1 00:00:02,202 --> 00:00:39,506 ♬~ 2 00:00:41,308 --> 00:00:47,180 保元の乱終結後の信西による残党狩りは しゅん烈を極めました。 3 00:00:47,180 --> 00:00:51,952 しかし 新院方にくみした 源平それぞれの総帥➡ 4 00:00:51,952 --> 00:00:58,458 源 爲義と平 忠正のゆくえは ようとして知れませんでした。 5 00:01:01,395 --> 00:01:04,298 あなた お帰りなされませ。 6 00:01:04,298 --> 00:01:09,770 ああ。 清盛… 清盛!➡ 7 00:01:09,770 --> 00:01:12,105 わしじゃ わしじゃ! 8 00:01:12,105 --> 00:01:15,609 分からぬのか? 叔父の忠正じゃ! 9 00:01:15,609 --> 00:01:18,612 お前たち 中に入れ。 10 00:01:21,281 --> 00:01:25,953 清盛… 浄ヶ谷の奥に 隠れていたのじゃが➡ 11 00:01:25,953 --> 00:01:31,291 腹は減るわ 追っ手に追われるわで 精も根も尽き果てた…。 12 00:01:31,291 --> 00:01:36,630 甥御よ 頼む わしを匿うてくれい! 13 00:01:36,630 --> 00:01:39,299 甥御と あなたが言うなら あえて言おう。 14 00:01:39,299 --> 00:01:43,170 古い話だが 私が ご神輿に矢を射込んだ時➡ 15 00:01:43,170 --> 00:01:48,442 あなたは 「清盛は 甥でも縁者でもない。 縁を切る」とおっしゃったのをお忘れか。 16 00:01:48,442 --> 00:01:51,345 それを言われると一言もない。 17 00:01:51,345 --> 00:01:54,247 あの時のことは わびる! 18 00:01:54,247 --> 00:01:58,552 じゃが わしは死にとうない! 清盛…。 19 00:02:06,259 --> 00:02:10,097 ここでは話もできぬ。 ともかく中へ。 20 00:02:10,097 --> 00:02:15,602 す すまぬ 清盛。 すまぬ…。 21 00:02:17,771 --> 00:02:22,976 肉親の悲劇は 平家にとどまりません。 22 00:02:26,113 --> 00:02:29,149 (義朝)何 父上が? 23 00:02:29,149 --> 00:02:33,854 はい。 ただお一人で裏庭に。 24 00:02:37,424 --> 00:02:39,359 (義朝)父上! 25 00:02:39,359 --> 00:02:44,064 義朝… 別れを告げに参った。 26 00:02:46,133 --> 00:02:54,641 今更 何のかんばせあってと思うたが せめて お前に一目会いとうてな…。 27 00:02:54,641 --> 00:03:01,448 義朝 常磐 達者で暮らせよ。 28 00:03:01,448 --> 00:03:03,450 お待ちください! 29 00:03:05,285 --> 00:03:10,257 既に 都の出口は十重二十重に固められ 逃れるすべはございませぬ! 30 00:03:10,257 --> 00:03:12,392 分かっておる。 31 00:03:12,392 --> 00:03:16,930 源 爲義 死に場所だけは心得ているつもりだ。 32 00:03:16,930 --> 00:03:20,267 父上 ここに おとどまりください! 33 00:03:20,267 --> 00:03:26,406 この義朝 命を懸けても 信西殿に掛け合い お命 お守りいたします。 34 00:03:26,406 --> 00:03:30,777 お義父様 どうぞ 夫の言うとおりになさってくださいまし。 35 00:03:30,777 --> 00:03:33,113 さっ どうぞ…。 36 00:03:33,113 --> 00:03:38,418 分かった。 分かったよ 義朝。 37 00:03:46,626 --> 00:03:56,136 (後白河)平 清盛 ならびに 源 義朝 こたびの働き 共に見事であった。 38 00:03:56,136 --> 00:03:58,171 ははっ。 39 00:03:58,171 --> 00:04:02,242 もったいないお言葉にござります。 40 00:04:02,242 --> 00:04:06,746 (後白河) よって その方ら 共に昇殿を許し➡ 41 00:04:06,746 --> 00:04:13,520 清盛を播磨守 義朝を左馬頭に任ずる。 42 00:04:13,520 --> 00:04:15,756 ありがたき幸せにございます。 43 00:04:15,756 --> 00:04:20,627 ただ 清盛ならびに義朝 お上に お願いの筋がございます。 44 00:04:20,627 --> 00:04:23,096 む? 45 00:04:23,096 --> 00:04:29,970 こたびの乱によって 新院方にくみせし それがしの父 爲義ならびに 弟たち➡ 46 00:04:29,970 --> 00:04:34,608 更には 清盛殿が叔父 忠正殿…。 47 00:04:34,608 --> 00:04:40,113 お上のご仁慈により 何とぞ 一命だけは お許しくださいますよう➡ 48 00:04:40,113 --> 00:04:42,048 お願い申し上げます。 49 00:04:42,048 --> 00:04:46,286 この清盛からも お願い申し上げます。 50 00:04:46,286 --> 00:04:50,791 忠通 どのようにいたしたものか? 51 00:04:50,791 --> 00:04:53,627 (忠通)あっ は… はあ…。 52 00:04:53,627 --> 00:04:56,296 (信西)ここはお任せを! 53 00:04:56,296 --> 00:04:59,800 父や縁者を思う その方らの心情➡ 54 00:04:59,800 --> 00:05:03,236 この信西とて分からぬわけではない。 55 00:05:03,236 --> 00:05:06,239 だがの 清盛 義朝…➡ 56 00:05:06,239 --> 00:05:12,245 今ここで 彼らに情けをかけては 政に示しがつかぬ。 57 00:05:12,245 --> 00:05:14,181 信西様…。 58 00:05:14,181 --> 00:05:18,919 爲義の子らは 一命を差し許し 八丈島に配流。 59 00:05:18,919 --> 00:05:25,692 なれど 爲義ならびに忠正は その方らの手で 首をはねい! 60 00:05:25,692 --> 00:05:27,928 なんと…。 それは あまりに…。 61 00:05:27,928 --> 00:05:29,863 ええ 黙れ! 62 00:05:29,863 --> 00:05:33,266 武士が 政にまで 口出しをするとは何事か! 63 00:05:33,266 --> 00:05:37,103 あくまで不服と申すなら… 朝命に逆らう者として➡ 64 00:05:37,103 --> 00:05:41,408 せっかく頂いた その方らの役職を 剥奪するのみか➡ 65 00:05:41,408 --> 00:05:45,278 奈落の底にたたき落とすが それでもよいか! 66 00:05:45,278 --> 00:05:48,949 は…。 それは…。 67 00:05:48,949 --> 00:05:52,819 戦いに臨んでは 常に命を投げ出しながら➡ 68 00:05:52,819 --> 00:05:55,121 武士の力は まだ貴族には➡ 69 00:05:55,121 --> 00:05:58,425 及びもつかないものでしか なかったのです。 70 00:06:01,361 --> 00:06:03,897 (忠正)やよ… やよ 清盛! 71 00:06:03,897 --> 00:06:08,735 わしが かかる目に遭おうとしているのに なぜ救いの手を差し伸べぬ!? 72 00:06:08,735 --> 00:06:10,670 役人に 父親を任せて➡ 73 00:06:10,670 --> 00:06:16,076 自分は ここに顔も見せられぬ 義朝殿の方が まだましじゃ。➡ 74 00:06:16,076 --> 00:06:18,745 眉も動かさぬ しゃっ面さらして➡ 75 00:06:18,745 --> 00:06:23,083 この叔父貴の首が はねられるのを 見物しようとは➡ 76 00:06:23,083 --> 00:06:25,752 なんという不人情なやつ! 77 00:06:25,752 --> 00:06:27,787 貴様は鬼じゃ! 人でなしじゃ! 78 00:06:27,787 --> 00:06:32,926 忠正殿 この期に及んで見苦しゅうござるぞ。 79 00:06:32,926 --> 00:06:37,597 何!? 清盛殿も義朝も➡ 80 00:06:37,597 --> 00:06:41,468 なんとかして 我らを救おうとしたに違いない。 81 00:06:41,468 --> 00:06:44,938 これも天命じゃ。 82 00:06:44,938 --> 00:06:48,241 彼らの気持ちも察してやりなされ。 83 00:06:51,111 --> 00:06:53,947 さればご両所 お覚悟を。 84 00:06:53,947 --> 00:06:55,882 うむ。 85 00:06:55,882 --> 00:06:57,817 えいっ! 86 00:06:57,817 --> 00:07:01,755 うわっ! わ わ… わしは嫌じゃ! 87 00:07:01,755 --> 00:07:06,526 清盛! 貴様は やはり 生まれついてのわしの敵じゃった! 88 00:07:06,526 --> 00:07:09,429 今こそ 今こそ わしは言うぞ! 89 00:07:09,429 --> 00:07:12,332 いや… 待て 待て! もうひと言じゃ。 90 00:07:12,332 --> 00:07:17,570 清盛! お前の父親は やはり わしの弟の忠盛ではない!➡ 91 00:07:17,570 --> 00:07:22,442 だが 世に流れるうわさのごとく 先帝の白河の君でもない! 92 00:07:22,442 --> 00:07:27,080 わしはな わしは お前の母 泰子から聞いたのじゃ。 93 00:07:27,080 --> 00:07:32,252 お前の父は…。 ええ らちもない繰り言を! 94 00:07:32,252 --> 00:07:35,588 (ざわめき) 95 00:07:35,588 --> 00:07:40,260 ヒハハハハハハ… 気になるか 清盛。 教えてやろうぞ! 96 00:07:40,260 --> 00:07:43,096 お前の父は 八坂の悪僧じゃ! 97 00:07:43,096 --> 00:07:49,269 あの性悪の泰子さえも だまして 子を宿した 大悪の坊主じゃ! 98 00:07:49,269 --> 00:07:52,172 黙れ! 出任せを言うな! 99 00:07:52,172 --> 00:07:54,374 んんっ! 100 00:07:57,777 --> 00:08:00,547 ひどい… 自分の叔父を! 101 00:08:00,547 --> 00:08:02,882 まこと 鬼じゃ…。 102 00:08:02,882 --> 00:08:09,189 (群衆)鬼じゃ 鬼じゃ 鬼じゃ…。 103 00:08:12,058 --> 00:08:18,231 父上 お許しください…。 104 00:08:18,231 --> 00:08:25,739 あなた… お察しいたします…。 105 00:08:25,739 --> 00:08:28,775 常磐…。 106 00:08:28,775 --> 00:08:36,082 武士とは… 武士とは かくも弱いものなのか。 107 00:08:36,082 --> 00:08:42,956 かくも… 耐えねばならぬものなのか! 108 00:08:42,956 --> 00:08:45,392 あなた…。 109 00:08:45,392 --> 00:09:00,340 ♬~ 110 00:09:00,340 --> 00:09:06,846 爲朝は 右手の肘の筋を切られ 伊豆大島に流されました。 111 00:09:10,984 --> 00:09:13,353 そして1年…。 112 00:09:13,353 --> 00:09:28,234 ♬~(笛) 113 00:09:28,234 --> 00:09:36,109 ん? 誰じゃ このような山の中で…。 114 00:09:36,109 --> 00:09:55,462 ♬~(笛) 115 00:09:55,462 --> 00:10:03,403 麻鳥 月の夜にでも そなたの笛 ゆっくり聴いてみたいものよ。 116 00:10:03,403 --> 00:10:08,608 麻鳥じゃ…。 麻鳥じゃ! 117 00:10:10,176 --> 00:10:12,679 (手をたたく音) 118 00:10:16,416 --> 00:10:18,952 お呼びでございますか? 119 00:10:18,952 --> 00:10:23,790 あの笛の主を連れてまいれ。 すぐにじゃ! 120 00:10:23,790 --> 00:10:25,792 はっ。 121 00:10:39,639 --> 00:10:41,674 麻鳥…。 122 00:10:41,674 --> 00:10:44,978 (麻鳥)崇徳様。 123 00:10:44,978 --> 00:10:49,849 いつの日か 都へ お帰りになる日が参りますことを➡ 124 00:10:49,849 --> 00:10:54,154 心からお祈りいたします。 125 00:10:54,154 --> 00:10:57,824 麻鳥…。 126 00:10:57,824 --> 00:11:04,097 笛を聴かせてくりゃれ ゆっくりと。 127 00:11:04,097 --> 00:11:33,293 ♬~ 128 00:11:35,962 --> 00:11:41,768 黄泉のかなたに去った頼長に代わって 権力の座についた信西入道は➡ 129 00:11:41,768 --> 00:11:46,673 頼長に勝る秋霜烈日の政を 行い始めていました。 130 00:11:46,673 --> 00:11:52,145 ええ 歩け! この謀反人めが! 131 00:11:52,145 --> 00:11:54,981 えい! 吐け! (ムチを打つ音) 132 00:11:54,981 --> 00:11:57,650 信西様への謀反を もくろんだであろう。 133 00:11:57,650 --> 00:12:02,622 さあ 吐け! えい! 吐け! 134 00:12:02,622 --> 00:12:07,093 (信頼)手を打たねばならぬな。 それも早急に。 135 00:12:07,093 --> 00:12:11,598 いかにも。 同じ藤原の一族でありながら➡ 136 00:12:11,598 --> 00:12:15,401 信西の専制は 目に余りますな。 137 00:12:15,401 --> 00:12:17,337 殺すしかない。 138 00:12:17,337 --> 00:12:19,272 殺す…。 139 00:12:19,272 --> 00:12:21,941 そうじゃ! 140 00:12:21,941 --> 00:12:24,978 何としても信西を殺さねばならぬ。 141 00:12:24,978 --> 00:12:30,116 無論 そのあとを襲うのは 中納言のわしじゃ。 142 00:12:30,116 --> 00:12:36,422 しかし… 信西は 今や 六波羅の清盛を重用し 味方につけておる。 143 00:12:36,422 --> 00:12:39,626 平家の力は侮れませぬぞ。 144 00:12:39,626 --> 00:12:43,796 なんの フフフ… 手はある。 145 00:12:43,796 --> 00:12:46,432 源氏を利用するのじゃよ。 146 00:12:46,432 --> 00:12:48,368 源氏を? 147 00:12:48,368 --> 00:12:54,974 (信頼)平家の隆盛ぶりに比べて 源氏は むしろ冷遇されておる。➡ 148 00:12:54,974 --> 00:12:59,279 わしが そのように仕組んだのじゃ フフフ…。 149 00:13:03,249 --> 00:13:06,919 親殺しの人でなし! それでも武士か! 150 00:13:06,919 --> 00:13:09,255 そうだ そうだ! 人でなし! 151 00:13:09,255 --> 00:13:13,126 ⚟(物を投げつける音と罵声) 152 00:13:13,126 --> 00:13:17,764 あなた また町の者が表で…。 153 00:13:17,764 --> 00:13:21,100 捨て置け。 今更 気にしても始まらぬ。 154 00:13:21,100 --> 00:13:24,971 でも 身内を処刑したのは あなただけではないのに➡ 155 00:13:24,971 --> 00:13:28,408 どうして あなただけが? 156 00:13:28,408 --> 00:13:35,281 清盛殿が処刑したのは叔父 私が処刑したのは 実の父だ。 157 00:13:35,281 --> 00:13:39,786 それだけに 彼らは 私のことを許せぬのであろう。 158 00:13:39,786 --> 00:13:45,124 それにしても 私たち源氏だけが このような目に…。 159 00:13:45,124 --> 00:13:47,794 私には げせません。 160 00:13:47,794 --> 00:13:53,666 確かに 同じ功績をあげたにもかかわらず➡ 161 00:13:53,666 --> 00:13:59,972 平家に比べ 源氏は恩賞も少なく 冷遇されておる。 162 00:13:59,972 --> 00:14:04,944 そのことだけは 私も腑に落ちぬのだ。 163 00:14:04,944 --> 00:14:07,580 (熟柿が飛んでくる音) (蓬子)あっ! 今若様! 164 00:14:07,580 --> 00:14:20,593 (今若の泣き声) 165 00:14:20,593 --> 00:14:25,465 耐えるのだ。 ここは耐えねばならぬ。 166 00:14:25,465 --> 00:14:28,167 ここは…。 167 00:14:30,770 --> 00:14:37,110 何? 信頼と惟方が わしの暗殺の密議を? 168 00:14:37,110 --> 00:14:40,613 (綾麿)ひそかに放った間者が つかんでまいりました。 169 00:14:40,613 --> 00:14:47,120 今のところは まだ信西様憎しの議論に 終始しているようでおじゃりまするが➡ 170 00:14:47,120 --> 00:14:51,991 放っておけば やがては 寝首をかかれるやも…。 171 00:14:51,991 --> 00:14:54,794 ハハハハハハ…。 172 00:14:54,794 --> 00:14:58,664 たかの知れた腰抜けどもに 何もできはせぬわ。 173 00:14:58,664 --> 00:15:03,503 だがな 今 ひっ捕らえても 知らぬ存ぜぬで押し通されれば➡ 174 00:15:03,503 --> 00:15:05,438 何の証拠もない。 175 00:15:05,438 --> 00:15:09,442 捕らえるからには 拷問打ち首に 持っていけるだけの証拠を➡ 176 00:15:09,442 --> 00:15:11,577 そろえなければならぬ。 177 00:15:11,577 --> 00:15:14,480 それを待とう。 はっ。 178 00:15:14,480 --> 00:15:17,383 きゃつらは 更に 同志を募るはずだ。 179 00:15:17,383 --> 00:15:23,756 その有象無象が寄り集まり 謀反の計画が もっと はっきりと形を取ったところで➡ 180 00:15:23,756 --> 00:15:27,927 一網打尽じゃ! フフフフフフ…。 181 00:15:27,927 --> 00:15:30,763 ぐうの音も出ぬ証拠を そろえた上で➡ 182 00:15:30,763 --> 00:15:36,102 生爪を剥がし 目玉をえぐり出してくれるわ!➡ 183 00:15:36,102 --> 00:15:41,974 その首をさらして 世間の者どもに わしの恐ろしさを植え付けねばならぬ! 184 00:15:41,974 --> 00:15:46,279 恐怖こそが 政の要じゃ! 185 00:15:59,325 --> 00:16:01,260 (文覚)誰だ!? 186 00:16:01,260 --> 00:16:05,064 お願いでございます! 命ばかりは お助けくださいまし! 187 00:16:05,064 --> 00:16:09,735 私は ここで水守りをしておりました 麻鳥という者。 188 00:16:09,735 --> 00:16:11,671 決して怪しい者では…。 189 00:16:11,671 --> 00:16:13,906 ハハハハハハ…。 190 00:16:13,906 --> 00:16:18,244 わしは役人ではないし あることないことを訴人して➡ 191 00:16:18,244 --> 00:16:21,247 汚い小銭を稼ぐ間者でもない。 192 00:16:21,247 --> 00:16:25,918 見てのとおりの生臭坊主 文覚という者だ。 193 00:16:25,918 --> 00:16:30,590 どうだ 麻鳥 宿無しの俺を しばらく ここへ泊めてくれぬか? 194 00:16:30,590 --> 00:16:32,625 ようございますとも。 195 00:16:32,625 --> 00:16:37,763 さっ 食べ物もございます。 196 00:16:37,763 --> 00:16:40,600 おお これはありがたい! 197 00:16:40,600 --> 00:16:44,470 遠慮なく頂こう。 198 00:16:44,470 --> 00:16:50,776 文覚様… 戦は これでやむでしょうか? 199 00:16:50,776 --> 00:16:54,280 いいや やむまい。 200 00:16:54,280 --> 00:16:57,116 やまぬ方がよいのだ。 201 00:16:57,116 --> 00:17:01,888 人間と人間が 今のような欲と さいぎ心を 捨てぬ限りはな。 202 00:17:01,888 --> 00:17:04,223 はあ…。 203 00:17:04,223 --> 00:17:08,728 子が父を疑い 父が子を疑う。 204 00:17:08,728 --> 00:17:13,065 主従友人の間でさえ 心が許せなくなったら➡ 205 00:17:13,065 --> 00:17:17,904 弓矢で戦わずとも 世はそのまま地獄よ。 206 00:17:17,904 --> 00:17:22,241 それに 更に その上をいく毒がある。 207 00:17:22,241 --> 00:17:24,744 …と申しますと? 208 00:17:24,744 --> 00:17:27,580 権力よ。 209 00:17:27,580 --> 00:17:33,920 人間にとって 権力の魅力というものほど まか不思議な毒はない…。➡ 210 00:17:33,920 --> 00:17:38,758 人間とは なんと やっかいなものではないか。 211 00:17:38,758 --> 00:17:42,395 文覚様 このような時代に➡ 212 00:17:42,395 --> 00:17:49,168 私ども庶民は 一体 どうすれば よろしいのでございましょうか。 213 00:17:49,168 --> 00:17:53,773 お前は どう思っているのだ? 214 00:17:53,773 --> 00:17:57,410 見てのとおりの弱虫でございますが➡ 215 00:17:57,410 --> 00:18:02,248 できれば 医者になりたいと思っております。 216 00:18:02,248 --> 00:18:05,151 医者か…。 217 00:18:05,151 --> 00:18:10,957 人が人を助ける技として それに勝るものはないかもしれぬ。 218 00:18:10,957 --> 00:18:13,859 俺の知り合いの医者に 引き合わせてもよいぞ。 219 00:18:13,859 --> 00:18:17,730 本当でございますか? 220 00:18:17,730 --> 00:18:20,633 ありがとうございます! 221 00:18:20,633 --> 00:18:23,602 ありがとうございます 文覚様! 222 00:18:23,602 --> 00:18:27,440 ハハハハハ…。 223 00:18:27,440 --> 00:18:31,277 恐怖と殺し合いが横行する この恐ろしい時代にも➡ 224 00:18:31,277 --> 00:18:33,579 庶民は いたのです。 225 00:18:33,579 --> 00:18:37,083 柔軟に したたかに…。 226 00:18:40,920 --> 00:19:57,229 ♬~