1 00:00:02,202 --> 00:00:39,907 ♬~ 2 00:00:42,442 --> 00:00:49,316 時流に敏感な後白河上皇は 清盛の妻 時子の妹 滋子を女御➡ 3 00:00:49,316 --> 00:00:53,453 その子 憲仁親王を皇太子となさいました。 4 00:00:53,453 --> 00:00:55,989 けれど その上皇にも➡ 5 00:00:55,989 --> 00:01:02,262 最近の清盛の評判には 見過ごせないものがありました。 6 00:01:02,262 --> 00:01:06,133 (後白河)清盛 近頃 ちまたでは➡ 7 00:01:06,133 --> 00:01:10,003 その方を 何と呼んでいるか知っているか? 8 00:01:10,003 --> 00:01:12,773 (清盛)鬼 でござりましょう…。 9 00:01:12,773 --> 00:01:16,410 別段 今に始まったことではございませぬ。 10 00:01:16,410 --> 00:01:22,950 しかし 太政大臣として 権勢の頂点に立つ者の呼び名が➡ 11 00:01:22,950 --> 00:01:26,286 鬼では ちと まずいのではないかのう。 12 00:01:26,286 --> 00:01:30,157 上皇様 ちまたの者が見聞きするのは➡ 13 00:01:30,157 --> 00:01:33,627 末端の役人の言動にございましょう。 14 00:01:33,627 --> 00:01:37,497 そこに 多少の行き過ぎがあるかには 聞いておりますが➡ 15 00:01:37,497 --> 00:01:42,803 人気取りに腐心するよりも 大局を見誤らぬことこそ➡ 16 00:01:42,803 --> 00:01:46,139 政の枢要と心得ます。 17 00:01:46,139 --> 00:01:49,643 ご心配はご無用にございます。 18 00:01:58,652 --> 00:02:03,490 大したものよ 自信だけは…。 19 00:02:03,490 --> 00:02:09,596 そして 清盛の言動を憂慮する人物が もう一人いました。 20 00:02:09,596 --> 00:02:13,266 え~い それ… ハハハハ…。 21 00:02:13,266 --> 00:02:17,104 それ とっとと歩け! この謀反人めが! 22 00:02:17,104 --> 00:02:21,274 何でも 酒に酔って 鬼の悪口 並べたそうだぜ。 23 00:02:21,274 --> 00:02:26,613 たったそれだけのことで捕らえられ あげくは 斬罪か島流しだ。 24 00:02:26,613 --> 00:02:29,116 ひでえことしやがる! うん。 25 00:02:29,116 --> 00:02:32,953 昔の藤原一族よりも もっとひでえや! 26 00:02:32,953 --> 00:02:37,824 おごり高ぶり 我が世の春をおう歌する 平家の中にあって➡ 27 00:02:37,824 --> 00:02:45,132 己を見失っていない者は この小松内府 重盛だけでした。 28 00:02:45,132 --> 00:02:49,636 何だと!? 太政大臣を辞めろだと!? 29 00:02:49,636 --> 00:02:53,440 (重盛)我が平家百年の大計のために…。 30 00:02:53,440 --> 00:02:56,977 父上 ご決断願います。 31 00:02:56,977 --> 00:02:59,312 バカなことを言うな 重盛。 32 00:02:59,312 --> 00:03:02,082 このわしが なぜ辞めねばならぬのだ? 33 00:03:02,082 --> 00:03:04,384 お怒りは ごもっともです。 34 00:03:04,384 --> 00:03:07,254 ですが… ちまたには 平家への➡ 35 00:03:07,254 --> 00:03:11,091 いいや 父上への怨嗟の声が あふれております。 36 00:03:11,091 --> 00:03:13,994 そんなものに構うな! 37 00:03:13,994 --> 00:03:17,397 わしは この国のことを いつも考えておる。 38 00:03:17,397 --> 00:03:21,101 国を富ますことこそが政ではないのか? 39 00:03:21,101 --> 00:03:23,770 私は そのお気持ちが 分かっているつもりです! 40 00:03:23,770 --> 00:03:31,511 ですが… そこまで思いを巡らす者が 重職の中に何人いるでしょうか。 41 00:03:31,511 --> 00:03:35,949 父上… 不平不満と怨嗟の声は➡ 42 00:03:35,949 --> 00:03:41,254 やがては 大きな まがまがしい力となって この平家に襲いかかりましょう。 43 00:03:43,423 --> 00:03:45,358 分かった。 44 00:03:45,358 --> 00:03:47,961 お前の言うとおりにしよう。 45 00:03:47,961 --> 00:03:51,832 …が 暫時 待て。 46 00:03:51,832 --> 00:03:56,636 物事は全て 時を選ぶものでな。 47 00:03:56,636 --> 00:03:58,638 はっ。 48 00:04:00,240 --> 00:04:05,745 福原 今の神戸に 理想の貿易港を見た清盛の構想は➡ 49 00:04:05,745 --> 00:04:09,750 着々と実現に向けて歩んでいました。 50 00:04:12,919 --> 00:04:17,791 まこと 港づくりとは 金のかかるものよのう。 51 00:04:17,791 --> 00:04:22,596 あの 経ヶ島と陸地を結んで この海を内海と成せば➡ 52 00:04:22,596 --> 00:04:25,499 宋や南蛮との交易には またとない➡ 53 00:04:25,499 --> 00:04:29,269 波穏やかな港となるのは 目に見えておるというに! 54 00:04:29,269 --> 00:04:31,204 (経盛)はい。 55 00:04:31,204 --> 00:04:36,610 経盛。 あの厳島神殿の絵図面は お前も見たであろう。 56 00:04:36,610 --> 00:04:38,645 あの神殿を何と見る! 57 00:04:38,645 --> 00:04:41,414 何… と言われますと? 58 00:04:41,414 --> 00:04:45,619 あの厳島の神殿は いずれ交易が始まれば➡ 59 00:04:45,619 --> 00:04:49,289 必ず 宋や南蛮の使節の目に入る。 60 00:04:49,289 --> 00:04:54,127 海の上の壮麗な神殿は 使節たちを圧倒するであろう! 61 00:04:54,127 --> 00:04:57,430 すれば交渉は こちらに有利に運ぶ。 62 00:04:57,430 --> 00:05:02,269 つまりは 神殿づくりも何もかも あの港のためなのだ! 63 00:05:02,269 --> 00:05:08,742 残念ながら 営々と築いた積み石は あの海が荒れる度に崩れ➡ 64 00:05:08,742 --> 00:05:11,645 工事は遅々として進みませぬ。 65 00:05:11,645 --> 00:05:17,083 はあ… しかも 賛意は お見せになりながら➡ 66 00:05:17,083 --> 00:05:21,922 後白河様は 国費からは 少しも援助を下さらぬ! 67 00:05:21,922 --> 00:05:26,393 叡山の僧兵どもを 動かそうとなされたり…。 68 00:05:26,393 --> 00:05:29,930 申すも恐れ多いことながら もしやすると 上皇様は➡ 69 00:05:29,930 --> 00:05:32,832 兄上を恐れ その力をそぎ落とすのに➡ 70 00:05:32,832 --> 00:05:36,102 きゅうきゅうと なさっておられるのでは ないでしょうか。 71 00:05:36,102 --> 00:05:38,772 うむ…。 72 00:05:38,772 --> 00:05:42,642 確かに あのお方なら それぐらいのことは おやりになる。 73 00:05:42,642 --> 00:05:47,113 兄上…。 案ずるな。 74 00:05:47,113 --> 00:05:55,822 この海 この港を… 見事 造り上げて 日本国が富み栄えるのを見るまでは➡ 75 00:05:55,822 --> 00:06:00,327 清盛 死んでも死にきれぬわ! 76 00:06:02,362 --> 00:06:08,902 福原から都に戻った清盛は 日ならずして 病の床に伏しました。 77 00:06:08,902 --> 00:06:12,239 高熱を発して 苦痛を訴えるのですが➡ 78 00:06:12,239 --> 00:06:17,944 どんな名医に診せても 病名が定まらない奇病でした。 79 00:06:24,818 --> 00:06:29,122 清盛を見舞わん。 車を支度せよ。 80 00:06:32,626 --> 00:06:35,929 おことは 朕の縁戚じゃ。 81 00:06:35,929 --> 00:06:39,766 そう 硬くならずに楽にしてたもれ。 82 00:06:39,766 --> 00:06:43,270 もったいのうござります。 83 00:06:43,270 --> 00:06:48,775 しかし… いかにお優しいお言葉を かけていただいても➡ 84 00:06:48,775 --> 00:06:53,280 この清盛 かかる奇病に取りつかれて➡ 85 00:06:53,280 --> 00:06:57,617 定命が尽きるのかと思うと 残念でなりませぬ。 86 00:06:57,617 --> 00:07:02,222 ハハハハハ… 御辺らしくもないことを。 87 00:07:02,222 --> 00:07:07,060 まだ51歳。 夢は山のようにあろうに。 88 00:07:07,060 --> 00:07:11,932 いいえ。 夢は ただ一つ…。 89 00:07:11,932 --> 00:07:17,370 身に過ぎた事業と笑われながら こけの執念➡ 90 00:07:17,370 --> 00:07:22,909 ひたすら完成を夢みてきた 福原の港にござります。 91 00:07:22,909 --> 00:07:30,083 あの… あの一大事業が 中道で終わってしまうのかと思うと…。 92 00:07:30,083 --> 00:07:36,289 清盛 まこと… 死んでも死にきれませぬ! 93 00:07:38,258 --> 00:07:40,260 分かった。 94 00:07:40,260 --> 00:07:45,031 そのこと 国費をもって きっと完成させようから➡ 95 00:07:45,031 --> 00:07:47,967 もう そのように嘆くでない。 96 00:07:47,967 --> 00:07:51,604 ま… まことにござりまするか!? 97 00:07:51,604 --> 00:07:54,407 ご約定くださいまするか? 98 00:07:54,407 --> 00:07:57,944 よいとも。 約定しよう。 99 00:07:57,944 --> 00:07:59,946 おお…。 100 00:08:06,052 --> 00:08:10,857 清盛め はめおったか? 101 00:08:12,726 --> 00:08:19,499 清盛の奇病は それから数日の後 突然 快癒しました。 102 00:08:19,499 --> 00:08:23,436 奇病の原因は 大量の寄生虫だったという説や➡ 103 00:08:23,436 --> 00:08:29,075 仮病だったという説もあり 真相は分かりません。 104 00:08:29,075 --> 00:08:31,911 しかし その後 間もなく➡ 105 00:08:31,911 --> 00:08:37,083 病によって無常を悟ったという名目で 清盛は出家し➡ 106 00:08:37,083 --> 00:08:41,921 浄海と名乗って 太政大臣職を辞退したのです。 107 00:08:41,921 --> 00:08:48,228 「何事も時を選ぶ」と 重盛に約束したとおりに。 108 00:08:55,402 --> 00:08:58,938 いや 存外 さっぱりして悪くない。 109 00:08:58,938 --> 00:09:03,209 どうじゃ 朱鼻 お前も わしに倣ってみぬか? 110 00:09:03,209 --> 00:09:05,879 いえ 結構でございます。 111 00:09:05,879 --> 00:09:11,551 私めが目立つのは この朱鼻だけで十分でござります。 112 00:09:11,551 --> 00:09:13,887 ハハハハハ…。 113 00:09:13,887 --> 00:09:20,393 世間では長者と呼ばれながら その方 相変わらずの道化ぶりじゃのう。 114 00:09:24,531 --> 00:09:28,735 (文覚)頼朝殿 清盛が太政大臣から身を引き➡ 115 00:09:28,735 --> 00:09:32,072 出家したそうでござるぞ。 116 00:09:32,072 --> 00:09:35,742 とはいえ それは あくまでも表向き。 117 00:09:35,742 --> 00:09:38,578 後白河上皇様の院政をまねて➡ 118 00:09:38,578 --> 00:09:42,916 入道相国となって 権勢を振るうつもりに違いあるまい。 119 00:09:42,916 --> 00:09:44,851 (頼朝)いかにも。 120 00:09:44,851 --> 00:09:47,387 清盛のやりそうなことだ。 121 00:09:47,387 --> 00:09:49,923 一時は 民の不満も収まろうが➡ 122 00:09:49,923 --> 00:09:52,826 清盛への怨嗟の声は やがて よみがえるだろう。 123 00:09:52,826 --> 00:09:54,794 旧に倍してな。 124 00:09:54,794 --> 00:10:01,267 その民が異口同音に呼ぶのは 頼朝殿 そこもとの名じゃ。 125 00:10:01,267 --> 00:10:05,939 頼朝殿 そなたが 平家追討の旗をおあげになれば➡ 126 00:10:05,939 --> 00:10:12,111 諸国の武士は こぞって源氏の旗の下に はせ参じましょうぞ! 127 00:10:12,111 --> 00:10:15,615 まだだ。 まだ早い。 128 00:10:15,615 --> 00:10:19,953 平家の力は そこまで弱まってはいまい。 129 00:10:19,953 --> 00:10:22,856 15年待った この俺だ。 130 00:10:22,856 --> 00:10:28,128 時が熟すその時まで まだまだ待てる。 131 00:10:28,128 --> 00:10:31,831 いや 待つ! 132 00:10:36,836 --> 00:10:39,439 (時子)オホホホホホ…。 133 00:10:39,439 --> 00:10:44,978 時子 どうした? 何がおかしい? 134 00:10:44,978 --> 00:10:50,149 居眠りをなさるあなたを見ていたら つい。 オホホホホ…。 135 00:10:50,149 --> 00:10:55,655 それにしても あなたも お年を召されたものですね。 136 00:10:55,655 --> 00:10:58,691 ハハハハ… 年も取るわ。 137 00:10:58,691 --> 00:11:05,465 平家のために身を粉にしての30年 気の休まる時とて なかったのだからな。 138 00:11:05,465 --> 00:11:09,202 ほんに そのとおりでございますね。 139 00:11:09,202 --> 00:11:12,405 入道相国とおなりになった今も➡ 140 00:11:12,405 --> 00:11:18,611 楽隠居どころか 前にも勝るご多忙の日々。 141 00:11:18,611 --> 00:11:22,815 (時忠) 兄上 面倒な事態が発生いたしました。 142 00:11:25,485 --> 00:11:27,620 申せ。 143 00:11:27,620 --> 00:11:29,656 伊豆に放った間者の知らせによれば➡ 144 00:11:29,656 --> 00:11:34,394 頼朝は かの地の豪族 北条時政の娘 政子と➡ 145 00:11:34,394 --> 00:11:37,630 親密な仲になっている由にございます。 146 00:11:37,630 --> 00:11:40,667 頼朝とて 既に みそじに近い年じゃ。 147 00:11:40,667 --> 00:11:42,802 恋をしたとて不思議はあるまい。 148 00:11:42,802 --> 00:11:47,974 しかし兄上 北条は 関東一円に勢力を張る豪族。 149 00:11:47,974 --> 00:11:50,009 それと頼朝が結び付けば➡ 150 00:11:50,009 --> 00:11:54,647 我が平家にとって 侮るべからざる勢力になります。 151 00:11:54,647 --> 00:11:59,519 ハハハハハ… 時忠 気の回し過ぎじゃ。 152 00:11:59,519 --> 00:12:03,923 たかの知れた田舎豪族と 流人の頼朝が 手を握ったところで➡ 153 00:12:03,923 --> 00:12:06,826 何ができる。 気にするな。 154 00:12:06,826 --> 00:12:09,729 北条の力を侮ってはいけませぬ。 155 00:12:09,729 --> 00:12:11,664 ならば こうせい。 156 00:12:11,664 --> 00:12:14,267 時政のもとに 内々で使者を送り➡ 157 00:12:14,267 --> 00:12:19,939 平家と いさかいを起こしたくなくば 早々に 政子に婿を取らせよと言うのだ。 158 00:12:19,939 --> 00:12:23,610 言うまでもなく 頼朝以外の男とな。 159 00:12:23,610 --> 00:12:26,946 かしこまりました。 そういえば 義朝殿には➡ 160 00:12:26,946 --> 00:12:32,118 出家した2人の息子のほかに もう一人 息子がいたな。 161 00:12:32,118 --> 00:12:34,954 確か 牛若…。 162 00:12:34,954 --> 00:12:38,825 その牛若は 確か 15歳の子供。 163 00:12:38,825 --> 00:12:42,428 こちらの方は 気にすることもございますまい。 164 00:12:42,428 --> 00:12:44,964 うむ。 165 00:12:44,964 --> 00:12:49,435 その牛若が ひそかに 行動を起こそうとしていたのを➡ 166 00:12:49,435 --> 00:12:53,306 清盛は知る由もありませんでした。 167 00:12:53,306 --> 00:12:57,110 (鳥の鳴き声) 168 00:13:04,917 --> 00:13:07,587 (麻鳥)牛若丸様! 169 00:13:07,587 --> 00:13:10,256 (牛若丸)麻鳥 手紙で伝えたように➡ 170 00:13:10,256 --> 00:13:14,761 私は こよいかぎりで鞍馬を去り 奥州へ向かう。 171 00:13:14,761 --> 00:13:19,932 はい。その前に 一目 母上に会っていきたいのだ。 172 00:13:19,932 --> 00:13:22,969 (蓬子)ご案内いたします。 173 00:13:22,969 --> 00:13:28,608 ♬~ 174 00:13:28,608 --> 00:13:30,910 (足音) 175 00:13:40,620 --> 00:13:43,656 (常磐)牛若…? 176 00:13:43,656 --> 00:13:49,295 もしや そなたは牛若丸では? 177 00:13:49,295 --> 00:13:52,198 母上にございますね? 178 00:13:52,198 --> 00:13:55,435 牛若! 母上! 179 00:13:55,435 --> 00:13:59,806 会いたかった! 会いとうございました! 180 00:13:59,806 --> 00:14:06,612 私とて どれほど そなたに会いたいと思うていたことか…。 181 00:14:06,612 --> 00:14:12,418 顔を… 顔を見せてたもれ…。 182 00:14:14,754 --> 00:14:20,259 その面影… 紛れもなく牛若じゃ! 183 00:14:20,259 --> 00:14:23,262 母上! 184 00:14:23,262 --> 00:14:28,601 (泣き声) 185 00:14:28,601 --> 00:14:33,106 あなた ようございましたね。 186 00:14:33,106 --> 00:14:35,141 ああ よかった。 187 00:14:35,141 --> 00:14:39,612 本当に… 本当によかった。 188 00:14:39,612 --> 00:14:43,416 牛若 そなたは いくつになられました? 189 00:14:43,416 --> 00:14:46,786 15。 年が明ければ16です。 190 00:14:46,786 --> 00:14:51,290 16… もう立派な大人ですね。 191 00:14:51,290 --> 00:14:53,292 はい。 192 00:14:53,292 --> 00:14:57,964 牛若は 近々に元服し 九郎義経と名乗る所存にございます。 193 00:14:57,964 --> 00:14:59,899 元服? 194 00:14:59,899 --> 00:15:02,802 そなたは 仏門に入るのではないのですか? 195 00:15:02,802 --> 00:15:05,772 母上が それを願っていることは 承知しています。 196 00:15:05,772 --> 00:15:11,511 でも私は 鞍馬の暮らしを捨てる覚悟です。 197 00:15:11,511 --> 00:15:13,446 母上に お会いできたのを機に➡ 198 00:15:13,446 --> 00:15:16,249 源氏の再興に 身をささげるつもりでございます! 199 00:15:16,249 --> 00:15:19,252 牛若! それはなりませぬ。 200 00:15:19,252 --> 00:15:22,588 母上! なりませぬ… なりませぬ…! 201 00:15:22,588 --> 00:15:25,391 戦は もう嫌じゃ! 202 00:15:25,391 --> 00:15:31,097 せめて お前だけは 無事息災に生きてほしいのじゃ…。 203 00:15:34,400 --> 00:15:36,335 出家してたもれ。 204 00:15:36,335 --> 00:15:39,772 お願いじゃ 牛若。 出家してたもれ。 205 00:15:39,772 --> 00:15:45,278 母上… お許しください! 206 00:15:45,278 --> 00:15:49,282 ただ 手柄を夢みて 戦に加わりたいと 言ってるのではございませぬ! 207 00:15:49,282 --> 00:15:52,151 清盛によって 非業の死を遂げた父上のことが➡ 208 00:15:52,151 --> 00:15:54,420 どうしても忘れられませぬ! 209 00:15:54,420 --> 00:15:56,789 平家を倒して 源氏の旗を押し立てることが➡ 210 00:15:56,789 --> 00:15:58,825 私のただ一つの夢。 211 00:15:58,825 --> 00:16:02,595 それを失ったら 生きてるかいが ございませぬ! 212 00:16:02,595 --> 00:16:06,365 もはや止めますまい。 213 00:16:06,365 --> 00:16:12,905 ただ 牛若… お体を大切にしてたもれ。 214 00:16:12,905 --> 00:16:17,243 それだけです 母の願いは。 215 00:16:17,243 --> 00:16:20,246 ありがとうございます。 216 00:16:20,246 --> 00:16:24,116 それで これから どうなさるおつもりです? 217 00:16:24,116 --> 00:16:27,753 このまま 金売り吉次と申す者の手引きにより➡ 218 00:16:27,753 --> 00:16:30,089 奥州を訪ねるつもりでございます。 219 00:16:30,089 --> 00:16:33,392 奥州… 藤原の一族ですね? 220 00:16:33,392 --> 00:16:38,097 はい。 しばらくは そこに身を寄せて 天下のすう勢を学び➡ 221 00:16:38,097 --> 00:16:41,767 機を見て 平家打倒の狼煙を上げる 所存にございます。 222 00:16:41,767 --> 00:16:45,271 なんと また遠い所に…。 223 00:16:45,271 --> 00:16:55,781 ♬~ 224 00:16:55,781 --> 00:17:04,056 牛若… これは 父上が残していかれた仏像です。 225 00:17:04,056 --> 00:17:06,559 父上が…。 226 00:17:10,830 --> 00:17:16,636 では母上 お達者でお過ごしください。 227 00:17:16,636 --> 00:17:19,372 牛若…。 228 00:17:19,372 --> 00:17:24,677 (泣き声) 229 00:17:32,919 --> 00:17:36,255 (吉次)牛若様 お待ちいたしておりました。 230 00:17:36,255 --> 00:17:39,592 うん 吉次。 案内を頼むぞ。 231 00:17:39,592 --> 00:17:42,929 はい。 お任せくださいまし。 232 00:17:42,929 --> 00:17:47,400 麻鳥 蓬子… 造作をかけた。 233 00:17:47,400 --> 00:17:51,771 こたびの そなたたちの骨折り 牛若 決して忘れぬ。 234 00:17:51,771 --> 00:17:54,407 とんでもございません。 235 00:17:54,407 --> 00:17:58,277 私たちは ただ ご案内しただけでございます。 236 00:17:58,277 --> 00:18:03,549 そんなことより 牛若様 道中 お気を付けになってくださいまし。 237 00:18:03,549 --> 00:18:06,352 母上のことは頼んだぞ。 238 00:18:08,354 --> 00:18:10,289 さらばだ。 239 00:18:10,289 --> 00:18:17,363 ♬~ 240 00:18:17,363 --> 00:18:22,735 積年の宿願だった 母との再会を果たした牛若丸は➡ 241 00:18:22,735 --> 00:18:28,541 源氏の再興と平家の打倒という 新たな決意を胸に秘めて➡ 242 00:18:28,541 --> 00:18:32,078 はるかな みちのくへと 旅立っていきました。 243 00:18:32,078 --> 00:18:40,252 平家と源氏 天下をかけての決戦は いよいよ これから始まるのです。 244 00:18:40,252 --> 00:19:57,263 ♬~