1 00:00:02,202 --> 00:00:39,907 ♬~ 2 00:00:42,309 --> 00:00:45,312 宇治川の合戦に間に合わなかった巴は➡ 3 00:00:45,312 --> 00:00:52,119 敗走した兄 兼光を追って 洛外の道をひた走っていました。 4 00:00:55,455 --> 00:00:57,457 (いななき) 5 00:01:02,095 --> 00:01:05,132 もしやそなた 木曽殿のご正室➡ 6 00:01:05,132 --> 00:01:07,267 巴殿ではござらぬか? 7 00:01:07,267 --> 00:01:09,269 そういうあなたは…? 8 00:01:09,269 --> 00:01:13,473 鎌倉殿の弟 九郎義経にござる。 9 00:01:15,142 --> 00:01:17,277 待て。 10 00:01:17,277 --> 00:01:20,113 宇治川での我らの役目は終えたのじゃ。 11 00:01:20,113 --> 00:01:22,616 落ち武者に いちいち関わるでない。 12 00:01:22,616 --> 00:01:25,519 お待ちください。 13 00:01:25,519 --> 00:01:31,792 鎌倉では 義高が いろいろと お世話になりましたとか…。 14 00:01:31,792 --> 00:01:35,629 時折 剣のお相手などして慰めてきたが…。 15 00:01:35,629 --> 00:01:37,564 ありがとうございます。 16 00:01:37,564 --> 00:01:41,802 またあちこちに 勝ち戦に酔いしれる 兵どもがおりましょう。 17 00:01:41,802 --> 00:01:44,705 気を付けられよ。 御免。 18 00:01:44,705 --> 00:01:46,707 (いななき) 19 00:01:52,312 --> 00:01:58,118 範頼の大軍と激戦を重ねた兼平は 覚明とも別れ別れとなり➡ 20 00:01:58,118 --> 00:02:02,956 北陸を目指すべく 瀬田の川原へ出ました。 21 00:02:02,956 --> 00:02:05,659 殿 敵が…! 22 00:02:09,396 --> 00:02:12,699 お味方じゃ! (一同)おお! 23 00:02:14,768 --> 00:02:18,605 (兼平)殿! 24 00:02:18,605 --> 00:02:20,941 よくぞ ご無事で! 25 00:02:20,941 --> 00:02:23,410 (義仲)この者と出会うてな。 26 00:02:23,410 --> 00:02:29,282 手塚殿! (光盛)おお 兼平殿! 27 00:02:29,282 --> 00:02:33,954 殿 これより ご一緒に敵中を突破し➡ 28 00:02:33,954 --> 00:02:37,424 北陸の野で 時節の到来を待ちましょうぞ。 29 00:02:37,424 --> 00:02:39,793 もとより 我もその思い。 30 00:02:39,793 --> 00:02:45,132 だが… わしはもう疲れた。 31 00:02:45,132 --> 00:02:54,307 悔しいが… この薄金の鎧さえ 今は 身に重とうなった。 32 00:02:54,307 --> 00:02:56,643 何を仰せられる! 33 00:02:56,643 --> 00:02:59,679 木曽源氏の名にかけて➡ 34 00:02:59,679 --> 00:03:03,383 ここは生き延びていただかなければ なりませぬ! 35 00:03:03,383 --> 00:03:09,756 木曽に義仲殿ありと聞けば 兼光をはじめ 覚明殿など➡ 36 00:03:09,756 --> 00:03:12,392 続々と兵を集めてまいりましょう! 37 00:03:12,392 --> 00:03:15,295 兼平…。 38 00:03:15,295 --> 00:03:18,098 (喊声) 39 00:03:18,098 --> 00:03:20,133 かかれ! かかれ! 40 00:03:20,133 --> 00:03:25,972 殿! ここは我らにお任せを! いや わしも共に…。 41 00:03:25,972 --> 00:03:28,742 将たる者は 死んではならぬのです! 42 00:03:28,742 --> 00:03:30,811 殿! 早う! 43 00:03:30,811 --> 00:03:32,946 (ムチでたたく音と いななき) 44 00:03:32,946 --> 00:03:38,118 (喊声) 45 00:03:38,118 --> 00:03:42,622 すまぬ… 兼平! 46 00:03:42,622 --> 00:03:45,325 (刺す音) 47 00:03:47,961 --> 00:03:53,767 もはや これまで…! 48 00:03:53,767 --> 00:04:04,744 やよ 聞け! 木曽殿の御乳母子 今井四郎兼平➡ 49 00:04:04,744 --> 00:04:09,616 生年33の最期ぞ! 50 00:04:09,616 --> 00:04:12,919 ううっ…! 51 00:04:22,262 --> 00:04:25,065 (いななき) 52 00:04:31,271 --> 00:04:37,477 俺は 何をしたのだ…。 53 00:04:39,012 --> 00:04:43,784 何のために生まれてきたのだ…。 54 00:04:43,784 --> 00:04:45,719 うわっ…! 55 00:04:45,719 --> 00:04:49,523 ううっ…。 56 00:04:59,132 --> 00:05:02,736 (いななき) 57 00:05:02,736 --> 00:05:06,540 ⚟木曽殿を討ち取った~! 58 00:05:10,477 --> 00:05:16,283 木曽の谷の駒王丸 31歳➡ 59 00:05:16,283 --> 00:05:19,586 その視線の向こうに見ていたものは➡ 60 00:05:19,586 --> 00:05:25,392 少年の頃 戦った 狼だったのかもしれません。 61 00:05:25,392 --> 00:05:37,771 ♬~ 62 00:05:37,771 --> 00:05:40,607 冬姫様! 63 00:05:40,607 --> 00:05:45,946 義仲様が… 義仲様が…。 64 00:05:45,946 --> 00:05:49,416 どうなされました? 65 00:05:49,416 --> 00:05:53,620 討ち死に… なさったのですか? 66 00:05:55,222 --> 00:06:01,928 はい… 粟津ヶ原で 昨夜…。 67 00:06:05,932 --> 00:06:09,236 そうですか…。 68 00:06:13,907 --> 00:06:19,713 巴もまた 義仲を捜しながら 北陸を目指していました。 69 00:06:19,713 --> 00:06:22,616 (いななき) 70 00:06:22,616 --> 00:06:26,386 (義盛)いかがいたした? (西浦)はっ。 71 00:06:26,386 --> 00:06:30,090 馬のいななきが 聞こえましたような…。 72 00:06:30,090 --> 00:06:35,395 まあ よいではないか 木曽殿は もう討ち取ったのじゃからな。 73 00:06:35,395 --> 00:06:39,266 ハッハッハッハ…。 さようでございますな。 74 00:06:39,266 --> 00:06:43,270 えっ… 殿が討ち死に…!? 75 00:06:45,772 --> 00:06:47,707 巴殿! 76 00:06:47,707 --> 00:06:50,644 木曽義仲が妻 巴。 77 00:06:50,644 --> 00:06:55,782 「殿 討ち死に」と聞くからは もはや 逃げも隠れもせぬ。 78 00:06:55,782 --> 00:06:58,818 いざ 尋常に勝負! 79 00:06:58,818 --> 00:07:02,355 おお これなるは西浦七郎。 80 00:07:02,355 --> 00:07:05,225 お相手つかまつらん! 81 00:07:05,225 --> 00:07:07,160 (いななき) 82 00:07:07,160 --> 00:07:11,364 うお~! ふっ! うっ… うう…! 83 00:07:11,364 --> 00:07:14,901 え~い! ううっ…。 84 00:07:14,901 --> 00:07:16,836 むう…。 ハァ ハァ…。 85 00:07:16,836 --> 00:07:20,240 武運も尽きたようじゃ…。 86 00:07:20,240 --> 00:07:25,111 はや 首討って手柄とするがよい。 87 00:07:25,111 --> 00:07:27,914 さすがは木曽の巴殿➡ 88 00:07:27,914 --> 00:07:30,817 殺すには惜しい…。 89 00:07:30,817 --> 00:07:33,086 生け捕りにせよ! 90 00:07:33,086 --> 00:07:35,989 はっ。 91 00:07:35,989 --> 00:07:43,396 義仲の去った都に 九郎義経率いる 鎌倉勢が入ってきました。 92 00:07:43,396 --> 00:07:50,937 その様子は 軍紀まことに正しく 秋毫の狼藉もなかったと➡ 93 00:07:50,937 --> 00:07:53,740 当時の記録に記されています。 94 00:07:59,646 --> 00:08:03,516 これより 院のおんもとに参上する。 95 00:08:03,516 --> 00:08:07,220 (弁慶)晴れの初院参 お喜び申し上げます。 96 00:08:07,220 --> 00:08:13,360 さっそうたる坂東武者に 公家方も驚かれましょうな。 97 00:08:13,360 --> 00:08:15,729 お前たちは この寺で待て。 98 00:08:15,729 --> 00:08:17,931 はっ。 殿…! 99 00:08:19,599 --> 00:08:23,803 先に名指したる6名の者 参れ! 100 00:08:28,241 --> 00:08:34,581 晴れの席に連なるは 鎌倉殿の家臣ばかりか…! 101 00:08:34,581 --> 00:08:36,616 そういうことじゃ。 102 00:08:36,616 --> 00:08:42,322 いずれは我が殿が天下を握る。 わしは そう信じておる! 103 00:08:42,322 --> 00:08:49,129 前の右兵衛佐 源 頼朝が弟 九郎義経➡ 104 00:08:49,129 --> 00:08:52,966 宇治路の木曽勢を攻め破って ただいま洛中へ到着。➡ 105 00:08:52,966 --> 00:08:58,772 院のご警護に はせ参じました。 何とぞ お取り次ぎを…。 106 00:08:58,772 --> 00:09:02,542 これで妖雲一過。 107 00:09:02,542 --> 00:09:05,445 そちも安心するがよい。 108 00:09:05,445 --> 00:09:11,217 (冷泉の局)ひとえに ご威徳のたまもの。 おめでとう存じます。 109 00:09:11,217 --> 00:09:16,423 では 直ちに あの者どもをお召しに? 110 00:09:20,894 --> 00:09:24,364 あれが九郎か…。 111 00:09:24,364 --> 00:09:28,568 存外 小柄じゃのう。➡ 112 00:09:28,568 --> 00:09:35,909 だが つつましやかな うちに さっそうの気を含んでおる。 113 00:09:35,909 --> 00:09:41,081 お上 何とお言葉を? 114 00:09:41,081 --> 00:09:43,583 うむ…。 115 00:09:43,583 --> 00:09:50,356 「遠くを攻め上がりながら よう早くに駆けつけてまいった。➡ 116 00:09:50,356 --> 00:09:54,661 褒めてとらす」と伝えよ。 117 00:09:56,262 --> 00:10:00,033 鎌倉軍の総大将 範頼は この時➡ 118 00:10:00,033 --> 00:10:03,269 まだ大津の陣屋にいます。 119 00:10:03,269 --> 00:10:08,408 義仲と兼平の首は そこに届いていました。 120 00:10:08,408 --> 00:10:12,278 (範頼)ふむ 義仲と兼平か。 121 00:10:12,278 --> 00:10:15,949 思いの外に穏やかな顔をしておる。 122 00:10:15,949 --> 00:10:18,785 死んで安心したのであろうな。 123 00:10:18,785 --> 00:10:20,820 (笑い声) 124 00:10:20,820 --> 00:10:23,423 ん? あ… アハハハ。 125 00:10:23,423 --> 00:10:26,793 (景時)九郎殿に都入りを 先んじられたること➡ 126 00:10:26,793 --> 00:10:29,429 重々 残念にござったが➡ 127 00:10:29,429 --> 00:10:33,967 いや~ これで鎌倉殿への 面目が立ち申した。 128 00:10:33,967 --> 00:10:39,139 それより 鎌倉への報告の使者 もう出たであろうな? 129 00:10:39,139 --> 00:10:45,011 はっ。 私めが 自ら したためまして 急ぎ 使わしました。 130 00:10:45,011 --> 00:10:48,314 うむ。 ならば安心じゃ。 131 00:10:58,525 --> 00:11:01,761 覚明にとって 義仲こそ➡ 132 00:11:01,761 --> 00:11:05,932 天下を制するにふさわしい人物でした。 133 00:11:05,932 --> 00:11:11,271 その義仲が 極めた頂上から なぜか転げ落ち始めた時➡ 134 00:11:11,271 --> 00:11:15,775 覚明の人生は終わったのです。 135 00:11:27,420 --> 00:11:31,124 おお 弁慶 三郎。 136 00:11:31,124 --> 00:11:33,626 だいぶ残党を見つけたようだな。 137 00:11:33,626 --> 00:11:37,130 (三郎)樋口兼光を 捕らえてまいりました。 138 00:11:37,130 --> 00:11:40,166 (弁慶)これ以上 部下を死なすのが 忍びないとて➡ 139 00:11:40,166 --> 00:11:42,635 名乗り出たものにございます。 140 00:11:42,635 --> 00:11:45,438 そうか…。 141 00:11:45,438 --> 00:11:49,976 木曽ご一門に その人ありと知られた兼光殿➡ 142 00:11:49,976 --> 00:11:53,680 さすがに 潔いお覚悟。 143 00:12:01,588 --> 00:12:05,391 では 法皇様に命乞いを? 144 00:12:05,391 --> 00:12:12,265 うむ。 あの潔さ 首をはねるには惜しい器じゃ。 145 00:12:12,265 --> 00:12:15,401 できれば 我が配下に加えたい。 146 00:12:15,401 --> 00:12:18,404 ⚟(物音) 何者!? 147 00:12:23,276 --> 00:12:26,412 義経様 私でございます。 148 00:12:26,412 --> 00:12:29,616 おお 西浦七郎。 149 00:12:31,284 --> 00:12:33,286 都に来ておったのか? 150 00:12:33,286 --> 00:12:36,089 はい あるじと共に。 151 00:12:36,089 --> 00:12:41,094 その義盛様から お願いの儀がございまして…。 152 00:12:46,733 --> 00:12:49,969 気を付けるようにと あれほど申し上げたではござらぬか! 153 00:12:49,969 --> 00:12:52,639 申し訳ございませぬ。 154 00:12:52,639 --> 00:12:56,943 一思いに 首をはねられた方がと…。 155 00:12:58,811 --> 00:13:01,714 それは違いましょう。 156 00:13:01,714 --> 00:13:08,421 死をお望みなら 何故 義高殿の世話をする 西浦に勝負を挑まれた? 157 00:13:12,358 --> 00:13:15,762 お察しのとおりにございます。 158 00:13:15,762 --> 00:13:19,098 命を惜しみは いたしませぬが…➡ 159 00:13:19,098 --> 00:13:26,272 心の底で望んでおりましたのは 生きて 義高の顔を見ること…。 160 00:13:26,272 --> 00:13:31,944 たとえ いかな辱めを受けようと 鎌倉に行って➡ 161 00:13:31,944 --> 00:13:35,415 あの子の力になってやることで ございました。 162 00:13:35,415 --> 00:13:40,620 私にも 母と引き裂かれて暮らした 思い出がある。 163 00:13:40,620 --> 00:13:45,792 母なればこそ… そのお気持ちはよく分かる。 164 00:13:45,792 --> 00:13:48,695 母なれば…。 165 00:13:48,695 --> 00:13:54,801 いえ それだけでは…。 166 00:13:54,801 --> 00:13:58,438 それだけではない… と言われる? 167 00:13:58,438 --> 00:14:05,244 義高には 殿の血が…。 168 00:14:05,244 --> 00:14:09,916 木曽義仲の血が流れております。 169 00:14:09,916 --> 00:14:19,092 ♬~ 170 00:14:19,092 --> 00:14:27,600 木曽殿 なぜ おもとは そうまで慕われるのだ。 171 00:14:27,600 --> 00:14:33,106 一目なりと 会いたかった…。 172 00:14:36,776 --> 00:14:45,084 冬子 ハハハハ そ~ら 冷泉様からの賜った果物…。 173 00:14:52,959 --> 00:14:58,765 冬子…。 ああ… あ…。 174 00:15:06,606 --> 00:15:13,913 冬子… そなたは➡ 175 00:15:13,913 --> 00:15:19,085 そこまで 木曽殿を…。 176 00:15:19,085 --> 00:15:26,959 ♬~ 177 00:15:26,959 --> 00:15:32,932 義経の願いもむなしく 兼光の助命は かないませんでした。 178 00:15:32,932 --> 00:15:38,604 そしてまた 巴は鎌倉行きを命じられました。 179 00:15:38,604 --> 00:15:58,925 ♬~ 180 00:15:58,925 --> 00:16:05,364 (カラスの鳴き声) 181 00:16:05,364 --> 00:16:11,170 いや~ 恐ろしい…。 そうだな…。 182 00:16:11,170 --> 00:16:27,186 (人々のささやき声) 183 00:16:42,768 --> 00:16:48,274 その夜 さらされた首に異変が起こりました。 184 00:17:37,256 --> 00:17:41,127 山吹は 義仲の遺骨を木曽谷に埋め➡ 185 00:17:41,127 --> 00:17:45,631 生涯 その供養をしたといいます。 186 00:17:53,406 --> 00:17:59,278 屋島の平家は 満を持して 兵力を増強しています。 187 00:17:59,278 --> 00:18:06,585 源平が その総力を挙げての戦いは 今まさに 始まろうとしているのです。 188 00:18:10,556 --> 00:19:27,266 ♬~