1 00:00:02,202 --> 00:00:44,645 ♬~ 2 00:00:44,645 --> 00:00:49,816 平家 すなわち清盛を憎む声が 日増しに高まる中➡ 3 00:00:49,816 --> 00:00:52,653 やんごとなき殿上人の間にも➡ 4 00:00:52,653 --> 00:00:58,458 清盛の排斥を望む声が ひそかに ささやかれるようになりました。 5 00:01:01,094 --> 00:01:06,767 (後白河)西光 清盛の評判はどうじゃ? 6 00:01:06,767 --> 00:01:08,802 (西光)それは…➡ 7 00:01:08,802 --> 00:01:12,105 全てご存じのはずでございます。 8 00:01:12,105 --> 00:01:14,942 (ため息) 9 00:01:14,942 --> 00:01:23,116 今や あの男 己に勝る力を持つ者は 誰もいないと信じておる。 10 00:01:23,116 --> 00:01:30,290 それゆえにこそ わしも かの福原の港造営には力を貸さぬのだ。 11 00:01:30,290 --> 00:01:34,294 もはや しゅん巡している時ではございません。 12 00:01:34,294 --> 00:01:37,164 捨て置けば 清盛は やがては➡ 13 00:01:37,164 --> 00:01:44,438 恐れ多くも 己を 帝の座につけんとするやも。 14 00:01:44,438 --> 00:01:47,808 ここは 何か手を打たねば➡ 15 00:01:47,808 --> 00:01:51,311 悔いを千載に残すことになりましょう。 16 00:01:51,311 --> 00:01:54,147 清盛を縁戚にまで加えながら➡ 17 00:01:54,147 --> 00:02:00,654 後白河法皇は その権力の拡大を ひそかに恐れていたのです。 18 00:02:06,393 --> 00:02:09,296 では おのおの方には➡ 19 00:02:09,296 --> 00:02:14,101 平家討伐の旗をあげるのに 異存はござらぬのだな? 20 00:02:14,101 --> 00:02:18,772 (俊寛)これ以上 平家の無法を 見逃すわけにはいかん。 21 00:02:18,772 --> 00:02:21,408 討つべし 清盛。 22 00:02:21,408 --> 00:02:26,780 しかり。 あの怪物さえ倒せば 平家は一気に崩壊しよう。 23 00:02:26,780 --> 00:02:29,816 我らは その先駆けとなろうぞ。 24 00:02:29,816 --> 00:02:33,286 (西光)行綱殿 そこもとは反対か? 25 00:02:33,286 --> 00:02:36,123 (行綱)と… とんでもない。 26 00:02:36,123 --> 00:02:38,959 あの男がおる限り この世は定まりません。 27 00:02:38,959 --> 00:02:41,995 ただ…。 「ただ」 何でござる? 28 00:02:41,995 --> 00:02:44,765 別に あの男を討たずとも➡ 29 00:02:44,765 --> 00:02:48,435 もっと穏便な 追い落とす手だてを探すべきではと。 30 00:02:48,435 --> 00:02:50,370 (俊寛)バカなことを申されるな! 31 00:02:50,370 --> 00:02:53,807 平家が横暴の源は 清盛めにある。 32 00:02:53,807 --> 00:02:58,145 あの男を討たずに 平家の討伐もへちまもない! 33 00:02:58,145 --> 00:03:03,750 行綱殿 かかる柔弱の徒輩が 我らの仲間にいるとは➡ 34 00:03:03,750 --> 00:03:06,586 この俊寛 思うてもおらなんだ。 35 00:03:06,586 --> 00:03:09,923 お… お許しくだされ。 失言でござる。 36 00:03:09,923 --> 00:03:12,959 確かに 俊寛殿が 仰せのとおりでござる。 37 00:03:12,959 --> 00:03:19,266 よくぞ申された。 ご一同 これより 固めの杯を。 38 00:03:19,266 --> 00:03:23,570 されば 清盛の死を願って! 39 00:03:27,774 --> 00:03:31,278 (俊寛)いや~ 愉快愉快。 40 00:03:31,278 --> 00:03:35,949 されば 前祝いに 私が舞をひとさし。 41 00:03:35,949 --> 00:03:38,285 (ぶつかる音) あ…。 42 00:03:38,285 --> 00:03:43,123 門出に瓶子が倒れるとは 不吉な…。 43 00:03:43,123 --> 00:03:47,961 ⚟(後白河) いいや むしろこれは よきしるしじゃ。 44 00:03:47,961 --> 00:03:50,630 (一同)はあ~。 45 00:03:50,630 --> 00:03:55,135 瓶子は すなわち 平氏である。 46 00:03:55,135 --> 00:03:57,170 平家が倒れたのじゃ。 47 00:03:57,170 --> 00:04:01,575 これほど さい先のよい ずい兆はなかろう。 48 00:04:01,575 --> 00:04:05,912 いや~ さすがに お目の付けどころが違います。 49 00:04:05,912 --> 00:04:07,948 言われてみれば その瓶子➡ 50 00:04:07,948 --> 00:04:13,253 確かに 清盛が首のように見えますなあ。 51 00:04:13,253 --> 00:04:19,459 (一同の笑い声) 52 00:04:21,394 --> 00:04:23,930 いや~ 愉快愉快。 53 00:04:23,930 --> 00:04:27,267 これでもう 清盛が首は 飛んだも同じことじゃ。 54 00:04:27,267 --> 00:04:29,603 なあ 行綱殿。 55 00:04:29,603 --> 00:04:34,107 さよう。 あのお方がお味方についてくれれば…。 56 00:04:34,107 --> 00:04:36,409 うん? 57 00:04:36,409 --> 00:04:39,613 行綱殿 どうなされた? 58 00:04:39,613 --> 00:04:45,285 いや 酒にかまけて 愛用の横笛を置き忘れたようだ。 59 00:04:45,285 --> 00:04:48,088 どうぞ 方々はお先に。 60 00:04:58,832 --> 00:05:02,702 ⚟(西光)俊寛殿。➡ 61 00:05:02,702 --> 00:05:07,240 行綱殿がことを どう思われる? 62 00:05:07,240 --> 00:05:15,582 さよう。 あの御仁を仲間に引き入れたのは 間違いだったやも。 63 00:05:15,582 --> 00:05:20,921 うん。 わしも同感じゃ。 64 00:05:20,921 --> 00:05:27,093 恐らく 肝心要の時に あの男は 腰砕けとなろう。 65 00:05:27,093 --> 00:05:36,102 西光殿 そうなる前に 何か 手を打った方がよいかもしれんのう。 66 00:05:36,102 --> 00:05:38,605 うう…。 67 00:05:47,280 --> 00:05:50,183 (清盛)ハハハハハハハハハ。 68 00:05:50,183 --> 00:05:54,955 朱鼻 お前の取り越し苦労も ちと度が過ぎるぞ。 69 00:05:54,955 --> 00:05:57,858 (朱鼻) いえ 取り越し苦労ではございませぬ。 70 00:05:57,858 --> 00:06:03,063 近頃の後白河様の動きには ただならぬものが見受けられます。 71 00:06:03,063 --> 00:06:08,235 だがな 朱鼻。 あのお方と俺とは 縁戚関係にあるのだぞ。 72 00:06:08,235 --> 00:06:11,738 その後白河様が 俺を排斥しようとする動きに➡ 73 00:06:11,738 --> 00:06:14,241 同調なされるはずがあるまい。 74 00:06:14,241 --> 00:06:16,576 ではございますが…。 もうよい。 75 00:06:16,576 --> 00:06:21,081 これ以上の讒言は 聞きとうない。 はっ。 76 00:06:21,081 --> 00:06:25,252 (時忠)相国様 多田蔵人行綱が➡ 77 00:06:25,252 --> 00:06:28,588 火急の用件で内々にお目にかかりたいと。 78 00:06:28,588 --> 00:06:32,459 どうせ 官職でも求めに来たのであろう。 追い返せ。 79 00:06:32,459 --> 00:06:37,097 お待ちください。 私めが聞き及んだところでは➡ 80 00:06:37,097 --> 00:06:42,969 その行綱様は相国様排斥をもくろむ一味と 関わりがあるはずで…。 81 00:06:42,969 --> 00:06:45,272 何? 82 00:06:45,272 --> 00:06:48,174 西光らが わしの暗殺を? 83 00:06:48,174 --> 00:06:52,612 はい。 しかも その場には 法皇様もおられました。 84 00:06:52,612 --> 00:06:54,948 (経盛)後白河様が? 85 00:06:54,948 --> 00:06:57,984 (行綱)近々 風の強い夜を選んで➡ 86 00:06:57,984 --> 00:07:01,054 この福原に火を放ち 一気に➡ 87 00:07:01,054 --> 00:07:03,723 相国様の御首を 挙げる手だてにございます。 88 00:07:03,723 --> 00:07:06,059 (忠度)なんということだ! 89 00:07:06,059 --> 00:07:09,095 行綱殿 よくぞ知らせてくれた。 90 00:07:09,095 --> 00:07:14,734 清盛 そこもとのことは 終生忘れぬぞ。 91 00:07:14,734 --> 00:07:18,238 相国様 それより早く手を打たねば。 92 00:07:18,238 --> 00:07:24,377 分かっておる。 時忠 忠度。 即刻 手勢を引き連れ➡ 93 00:07:24,377 --> 00:07:27,080 謀反人どもを 一網打尽にせい。 94 00:07:27,080 --> 00:07:31,384 兄上 法皇様は いかように。 95 00:07:31,384 --> 00:07:34,921 あのお方に 手出ししてはならぬ。 96 00:07:34,921 --> 00:07:39,092 謀反の張本人 西光だけは 逃がしてはならん! 97 00:07:39,092 --> 00:07:43,096 急げ 急げ急げ! 急げ! 98 00:07:46,766 --> 00:07:50,603 急げ! 何としても 俊寛を ひっ捕らえるのだ! 99 00:07:50,603 --> 00:07:53,940 急げ 急げ急げ! 100 00:07:53,940 --> 00:07:58,278 え~い 何をする! ええ 離せ! 101 00:07:58,278 --> 00:08:01,047 わしが何をしたというのじゃ! 黙れ! 102 00:08:01,047 --> 00:08:03,883 貴様らのたくらみは 既についえた。 103 00:08:03,883 --> 00:08:06,720 蔵人行綱が 訴人して出たのだ! 104 00:08:06,720 --> 00:08:11,725 行綱が? お… おのれ 行綱~! 105 00:08:21,067 --> 00:08:26,373 (麻鳥)お召しによって参上いたしました。 医者の麻鳥でございます。 106 00:08:34,080 --> 00:08:36,916 どうじゃ? 麻鳥とやら。 107 00:08:36,916 --> 00:08:41,388 はい。 どこも悪いところはございません。 108 00:08:41,388 --> 00:08:44,090 つつがなき お体にございます。 109 00:08:44,090 --> 00:08:50,964 そうか。 大事の前に 病ごときに倒れては かなわんからな。 110 00:08:50,964 --> 00:08:53,767 は? ハハハハハハ。 111 00:08:53,767 --> 00:08:56,803 近々に時代が変わるということじゃ。 112 00:08:56,803 --> 00:08:58,938 (蓬子)時代が変わる? 113 00:08:58,938 --> 00:09:02,709 そうじゃ。 暗黒の時は終わりを告げ➡ 114 00:09:02,709 --> 00:09:06,212 この京にも 新しい時代の風が吹こう。 115 00:09:06,212 --> 00:09:09,549 ⚟(物音) ん? 何だ? あの物音は。 116 00:09:09,549 --> 00:09:13,720 (物音) 117 00:09:13,720 --> 00:09:16,756 忠度殿! こは何事じゃ! 118 00:09:16,756 --> 00:09:21,594 ええ 黙れ! その方らが 相国様に謀反をたくらみおる一件➡ 119 00:09:21,594 --> 00:09:24,364 既に露見いたしたぞ! 120 00:09:24,364 --> 00:09:28,568 ここな不届き者めが! 神妙にせい! 121 00:09:31,137 --> 00:09:35,008 無念じゃ。 122 00:09:35,008 --> 00:09:39,746 己よな 西光なる下司は。 ふん。 123 00:09:39,746 --> 00:09:43,917 その面 見るも腹立たしいわ! 124 00:09:43,917 --> 00:09:47,587 この清盛を討って 己が平家に代わらんとは➡ 125 00:09:47,587 --> 00:09:51,391 八つ裂きにしても飽き足りぬやつ。 126 00:09:51,391 --> 00:09:55,261 世を乱す奸臣とは 己のような者を言うのだ。 127 00:09:55,261 --> 00:09:57,263 (西光)黙れ 清盛! 128 00:09:57,263 --> 00:10:00,400 こたびが蜂起は 誰が命じたものでもない。 129 00:10:00,400 --> 00:10:03,269 まさしく 自然のことわりである。 130 00:10:03,269 --> 00:10:07,941 平家の専横を憎み 一門栄華のおごりを呪う➡ 131 00:10:07,941 --> 00:10:09,876 もろびとの怒りじゃ! 132 00:10:09,876 --> 00:10:12,278 言いよるわ この下司めが。 133 00:10:12,278 --> 00:10:16,783 専横とは何 おごりとは何。 134 00:10:16,783 --> 00:10:21,421 それらのひぼうは なんじらごとき 下司のひがみではないか。 135 00:10:21,421 --> 00:10:24,290 わしのことを 下司 下司と呼ぶが➡ 136 00:10:24,290 --> 00:10:27,193 その言葉 お主に そっくり返上するわ。 137 00:10:27,193 --> 00:10:30,163 何? そもそも貴様は➡ 138 00:10:30,163 --> 00:10:34,434 貧乏武士 忠盛のせがれ いやいや それならまだしも➡ 139 00:10:34,434 --> 00:10:38,638 本当は 素性とて知れぬ 八坂の悪僧のせがれではないか! 140 00:10:38,638 --> 00:10:42,442 貴様が下司の生まれでなくて ほかに 誰が下司だと言えるか! 141 00:10:42,442 --> 00:10:44,811 アッハハハハハハ。 142 00:10:44,811 --> 00:10:47,313 ええ! 誰かある! 143 00:10:47,313 --> 00:10:51,150 こやつを引き出して 早々に斬れ! 144 00:10:51,150 --> 00:10:53,086 はっ。 145 00:10:53,086 --> 00:10:56,322 清盛は いらだっていました。 146 00:10:56,322 --> 00:11:00,193 それは この国を富ますための港づくりを➡ 147 00:11:00,193 --> 00:11:08,401 後白河法皇も殿上人たちも 誰一人 理解しようとしなかったからです。 148 00:11:08,401 --> 00:11:12,605 俊寛僧都 判官康頼➡ 149 00:11:12,605 --> 00:11:17,277 ならびに 少将成経に申し渡す。➡ 150 00:11:17,277 --> 00:11:21,114 本来なら 死罪申しつけるところではあるが➡ 151 00:11:21,114 --> 00:11:26,619 相国様 格別のご仁慈により 罪一等を減じ➡ 152 00:11:26,619 --> 00:11:30,123 鬼界ヶ島に配流申しつける。 153 00:11:30,123 --> 00:11:35,428 ええ? あの鳥も通わぬ絶海の孤島に? 154 00:11:35,428 --> 00:11:40,800 (成経)あ… あそこは 鬼も住まぬと うわさされる所。 155 00:11:40,800 --> 00:11:44,637 どうか それだけは お許しくださいまし。 156 00:11:44,637 --> 00:11:47,307 見苦しいぞ ご両所。 157 00:11:47,307 --> 00:11:50,143 これも天命。 158 00:11:50,143 --> 00:11:53,646 清盛めが わしらに しむけた仕打ち。 159 00:11:53,646 --> 00:11:56,983 しっかりと受け止めようではないか。 160 00:11:56,983 --> 00:11:59,285 うう…。 くっ…。 161 00:12:01,588 --> 00:12:06,926 更に 大納言 藤原成親は 備前の山寺に流され➡ 162 00:12:06,926 --> 00:12:12,098 世に言う 鹿ヶ谷の変は もろくも ついえ去りました。 163 00:12:12,098 --> 00:12:15,134 平家の力は 依然強力であり➡ 164 00:12:15,134 --> 00:12:20,139 貴族がたくらむ陰謀などは 「蟷螂の斧」にすぎなかったのです。 165 00:12:24,277 --> 00:12:29,148 何? 時子… いや 二位の尼殿が? 166 00:12:29,148 --> 00:12:33,987 はい。 久々にお目にかかりたいと 玄関先に。 167 00:12:33,987 --> 00:12:38,424 ほう。 珍しいこともあるものだ。 168 00:12:38,424 --> 00:12:40,493 通すがよい。 169 00:12:40,493 --> 00:12:43,796 (二位の尼) では こたびの騒動の裏には➡ 170 00:12:43,796 --> 00:12:46,833 後白河法皇様が? 171 00:12:46,833 --> 00:12:51,537 問いただしてはみたが あのお方も古だぬきじゃ。 172 00:12:51,537 --> 00:12:54,440 決して そうとはお認めにならぬ。 173 00:12:54,440 --> 00:12:59,979 でも あなたとは縁戚関係にある後白河様が➡ 174 00:12:59,979 --> 00:13:02,749 どうして そのような…。 175 00:13:02,749 --> 00:13:08,554 とどのつまりは あのお方も より一層の権力が欲しいのであろう。 176 00:13:08,554 --> 00:13:12,759 このわし同様にな。 177 00:13:12,759 --> 00:13:19,098 いくつになっても 殿方というのは まるで子供でございますねえ。 178 00:13:19,098 --> 00:13:21,034 そのとおりだ。 179 00:13:21,034 --> 00:13:26,272 恐らく このわしとて 死ぬるまで 心休まる日は来るまい。 180 00:13:26,272 --> 00:13:31,611 私は ようございました。 男と生まれずに。 181 00:13:31,611 --> 00:13:34,113 ハッハハハハハハ。 182 00:13:34,113 --> 00:13:38,951 のう 時子… いや 二位殿。 183 00:13:38,951 --> 00:13:42,822 そなたが わしの病平癒を祈って 出家してからは➡ 184 00:13:42,822 --> 00:13:49,295 わしも いささか面ばゆくてな ゆっくり話したこともなかった。 185 00:13:49,295 --> 00:13:53,800 どうじゃ 久しぶりに 夕げを共にしていかぬか? 186 00:13:53,800 --> 00:13:56,602 はい。 187 00:13:59,305 --> 00:14:04,077 俊寛たちが 鬼界ヶ島に流されて➡ 188 00:14:04,077 --> 00:14:07,380 2年の月日がたちました。 189 00:14:13,086 --> 00:14:15,788 (貝を割る音) 190 00:14:42,615 --> 00:14:48,621 (木を削る音) 191 00:14:52,625 --> 00:14:57,130 康頼 何を数えているのだ? 192 00:14:57,130 --> 00:14:59,799 2年がたった。 193 00:14:59,799 --> 00:15:02,068 ああ~。 194 00:15:02,068 --> 00:15:08,941 俺たちが この鬼界ヶ島に流されてから ちょうど2年がたったのだ。 195 00:15:08,941 --> 00:15:14,947 ひょっとすると 今日辺り ご赦免の船が見えるかもしれん。 196 00:15:16,616 --> 00:15:19,919 つまらぬ夢を抱くな。 197 00:15:19,919 --> 00:15:24,390 あの清盛が 我らを赦免するはずがない。 198 00:15:24,390 --> 00:15:26,926 俊寛の言うとおりだ。 199 00:15:26,926 --> 00:15:31,431 それより 貝を拾った方が…。 200 00:15:33,099 --> 00:15:37,937 あっ あ… あれは何だ? 201 00:15:37,937 --> 00:15:40,940 あ? まさか。 202 00:15:44,811 --> 00:15:50,650 おお~! あれは 都から来た ご赦免船だ! 203 00:15:50,650 --> 00:15:54,387 ハハハハハ。 間違いない! 204 00:15:54,387 --> 00:16:00,126 俺たちは この世の地獄から救われたのだ! ああ。 205 00:16:00,126 --> 00:16:05,932 夢ではないぞ…。 うう… ああ~! 206 00:16:05,932 --> 00:16:14,774 (3人の喜ぶ声) 207 00:16:14,774 --> 00:16:18,611 (使者)入道相国様格別のご仁慈により➡ 208 00:16:18,611 --> 00:16:24,250 以下の者の罪を差し許し 都への帰国を認めるものなり。➡ 209 00:16:24,250 --> 00:16:31,991 判官康頼 ならびに 少将成経 右の2名 直ちに船に乗り移るがよい。 210 00:16:31,991 --> 00:16:36,262 は… はい! ありがとうございます! 211 00:16:36,262 --> 00:16:39,932 お待ちくださいまし。 (使者)む? 212 00:16:39,932 --> 00:16:45,404 今 読み上げられた名の中に 1人 名前が漏れておりました。 213 00:16:45,404 --> 00:16:48,307 それがし 俊寛の名が。 214 00:16:48,307 --> 00:16:51,277 いいや 漏れているのではない。 215 00:16:51,277 --> 00:16:55,147 そこもとの名は 初めから記されておらぬのだ。 216 00:16:55,147 --> 00:16:58,784 な… なんと…。 217 00:16:58,784 --> 00:17:01,220 (康頼)そんな…。 また どうして? 218 00:17:01,220 --> 00:17:05,725 それゆえ 俊寛殿 そこもとを乗せるわけにはまいらぬ。 219 00:17:05,725 --> 00:17:10,062 さあ 早く乗るのだ。 220 00:17:10,062 --> 00:17:12,365 ああ…。 221 00:17:13,933 --> 00:17:17,937 ウ~ワハハハハハハハ…。 222 00:17:17,937 --> 00:17:23,075 清盛が狭量のほど とくと見届けさせてもらったわ! 223 00:17:23,075 --> 00:17:25,011 うん? 224 00:17:25,011 --> 00:17:28,581 清盛めは 1人 島に残されたわしが 泣きわめき➡ 225 00:17:28,581 --> 00:17:33,386 連れ戻してくれと懇願する様を 見たかったのであろう? 226 00:17:33,386 --> 00:17:37,757 ワハハハハハハ。 あいにくだが そうはいかぬ! 227 00:17:37,757 --> 00:17:41,093 (使者)何? (俊寛)帰って 清盛に伝えよ。➡ 228 00:17:41,093 --> 00:17:47,400 平家が おごりの限りを尽くす都になど わしは帰りたいとは思わぬとな。➡ 229 00:17:47,400 --> 00:17:56,409 真の極楽浄土とは ここじゃ。 この鬼界ヶ島じゃ。 230 00:17:56,409 --> 00:18:00,279 ハ~ッハハハハハハハ。➡ 231 00:18:00,279 --> 00:18:04,083 ワハハハハ ハハハハ! 232 00:18:06,886 --> 00:18:10,356 わしは 幸せ者じゃ。 233 00:18:10,356 --> 00:18:14,226 二度と清盛が面を 見ずに済むのだからなあ。 234 00:18:14,226 --> 00:18:21,901 ア~ッハハハハハハハ。 235 00:18:21,901 --> 00:18:26,739 ウワ~ッハハハハ~ ウウ…。 236 00:18:26,739 --> 00:18:30,910 俊寛は その後 二度と都に帰ることなく➡ 237 00:18:30,910 --> 00:18:36,215 この最果ての地で 一生を終えたと伝えられています。 238 00:18:40,586 --> 00:19:54,293 ♬~