1 00:00:02,202 --> 00:00:39,706 ♬~ 2 00:00:41,808 --> 00:00:44,711 一ノ谷の戦いに敗れた平家は➡ 3 00:00:44,711 --> 00:00:50,517 改めて 四国の屋島を本拠地として 勢力の立て直しを図っていました。 4 00:00:50,517 --> 00:00:55,822 そして 寿永4年 西暦1185年2月➡ 5 00:00:55,822 --> 00:01:01,028 ついに 頼朝は 義経に屋島追討の命を下します。 6 00:01:03,931 --> 00:01:08,802 (百合野)ご武運を お祈り申します。 7 00:01:08,802 --> 00:01:13,640 (静)何とぞ ご無事のご帰還を。 8 00:01:13,640 --> 00:01:16,410 うん。 9 00:01:16,410 --> 00:01:19,947 いざ! 出陣じゃ! 10 00:01:19,947 --> 00:01:22,449 (一同)お~! 11 00:01:45,172 --> 00:01:48,442 強力な水軍を持つ平家に比べ➡ 12 00:01:48,442 --> 00:01:52,813 源氏の弱点は 組織された水軍を持たぬことでした。 13 00:01:52,813 --> 00:01:57,451 しかも 摂津 渡辺の浜に 義経が到着すると…。 14 00:01:57,451 --> 00:01:59,820 (三郎)殿!➡ 15 00:01:59,820 --> 00:02:03,690 一大事にございます。 船が 一そうもありません。 16 00:02:03,690 --> 00:02:05,926 何? 一そうもない? 17 00:02:05,926 --> 00:02:10,263 既に 景時殿の手の者が 全て運び去ったとかで。 18 00:02:10,263 --> 00:02:13,166 それは いつのことだ? 昨日の夕刻。 19 00:02:13,166 --> 00:02:17,604 殿が早馬をもって船の手配をなされたのは 一昨日の朝。 20 00:02:17,604 --> 00:02:20,641 これは明らかに 承知の上の邪魔立て! 21 00:02:20,641 --> 00:02:23,777 もう我慢がならん! かくなる上は➡ 22 00:02:23,777 --> 00:02:27,648 景時殿と刺し違えて…。 待て!し… しかし…。 23 00:02:27,648 --> 00:02:29,649 諦めるのは まだ早い。 24 00:02:29,649 --> 00:02:34,488 弁慶 正近。 鵜殿まで使いしてくれ。 隼人助のもとへじゃ。 25 00:02:34,488 --> 00:02:36,490 はっ。 26 00:02:36,490 --> 00:02:41,628 当時 紀州の海は 熊野水軍と呼ばれる豪族が➡ 27 00:02:41,628 --> 00:02:44,665 群雄割拠していました。 28 00:02:44,665 --> 00:02:49,669 その一翼が鵜殿隼人助の一党です。 29 00:02:51,972 --> 00:02:54,875 鵜殿隼人助は その昔➡ 30 00:02:54,875 --> 00:03:01,081 義経と いつの日にか平家を倒すことを 誓い合った仲でした。 31 00:03:01,081 --> 00:03:05,952 (隼人助)景時殿は まことに 強引なお人でしたな。 32 00:03:05,952 --> 00:03:08,955 金で人の心を切り崩し➡ 33 00:03:08,955 --> 00:03:12,392 次々に船を買い取っていかれました。 34 00:03:12,392 --> 00:03:14,928 ここでも景時殿が…。 35 00:03:14,928 --> 00:03:19,599 我が鵜殿党の中にも 船を売る者が現れる始末。 36 00:03:19,599 --> 00:03:21,635 情けないことでござる。 37 00:03:21,635 --> 00:03:27,274 …で 隼人助殿 残っている船の数は? 38 00:03:27,274 --> 00:03:32,412 大型船が5そう あとは 小舟20そう余り。 39 00:03:32,412 --> 00:03:35,949 それだけでござるか? それにても結構。 40 00:03:35,949 --> 00:03:40,120 早速に 船を摂津へ。 いや それが…。 41 00:03:40,120 --> 00:03:42,422 うん? まだ何か? 42 00:03:42,422 --> 00:03:46,293 その5そうも 今は 動かせませぬ。 43 00:03:46,293 --> 00:03:49,129 動かせぬ? 44 00:03:49,129 --> 00:03:52,999 熊野水軍中の大物 田辺の湛増が➡ 45 00:03:52,999 --> 00:03:56,436 阿波と紀伊の海峡に にらみを利かせておりますので。 46 00:03:56,436 --> 00:04:01,908 湛増…。 健在か あの入道。 47 00:04:01,908 --> 00:04:04,244 (隼人助)お知り合いでござるか? 48 00:04:04,244 --> 00:04:08,749 弁慶は 元熊野出の荒法師。 昔なじみだそうでございます。 49 00:04:08,749 --> 00:04:15,922 湛増は 今 熊野三山の別当として 権勢並ぶべくもなく…。➡ 50 00:04:15,922 --> 00:04:19,760 この勢力が源氏につくか 平家に回るか。 51 00:04:19,760 --> 00:04:25,098 それを見極めずして 田辺の沖に船は回せませぬ。 52 00:04:25,098 --> 00:04:27,300 んん…。 53 00:04:46,953 --> 00:04:52,826 かく申すは 昔 この辺りで修行いたせし武蔵坊弁慶。 54 00:04:52,826 --> 00:04:58,131 今は 九郎判官 源 義経様の家来にござる! 55 00:04:58,131 --> 00:05:00,367 弁慶…。 56 00:05:00,367 --> 00:05:04,237 湛増殿に願いの儀があって 書状を持参いたした。 57 00:05:04,237 --> 00:05:06,907 義経様の家来だと? 58 00:05:06,907 --> 00:05:11,077 うさんくさいやつめ。 さっさと消えろ! 59 00:05:11,077 --> 00:05:15,916 う~ん… たあ~! うわ~! 60 00:05:15,916 --> 00:05:19,252 ええい 斬れ! (一同)お~! 61 00:05:19,252 --> 00:05:22,556 ⚟引け! 双方とも 引け! 62 00:05:25,926 --> 00:05:30,096 九郎殿のご家来と申されたか。 63 00:05:30,096 --> 00:05:35,402 我があるじは 客を待たせておるゆえ ここでお会いするわけにはまいらん。 64 00:05:35,402 --> 00:05:40,707 …が 書状は お預かりせよとの命でございます。 65 00:05:44,110 --> 00:05:48,815 ご返事は 改めて承りに参る。 66 00:06:02,495 --> 00:06:45,939 ♬~ 67 00:06:45,939 --> 00:06:50,110 (朱鼻)弁慶が? …で その書状には 何と? 68 00:06:50,110 --> 00:06:56,283 いや 何… 久々の挨拶と 船に困った時はよしなに➡ 69 00:06:56,283 --> 00:06:58,618 などと書いてあるだけだ。 70 00:06:58,618 --> 00:07:00,587 (朱鼻)さようでございますか。 71 00:07:00,587 --> 00:07:06,226 弁慶ともあろう者が そんな のんびりしたことを申しておりますか。 72 00:07:06,226 --> 00:07:10,096 のんびり? 湛増様と平家のご縁は➡ 73 00:07:10,096 --> 00:07:13,566 入道相国様の頃からのもの。 74 00:07:13,566 --> 00:07:18,071 事あらば この辺りの水軍が 平家にお味方するのは➡ 75 00:07:18,071 --> 00:07:21,374 これ 当然というもので ございましょうに。 76 00:07:21,374 --> 00:07:23,310 う~ん… あ いや…。 77 00:07:23,310 --> 00:07:26,913 伴卜様の おっしゃるとおりでございますよ。 78 00:07:26,913 --> 00:07:32,385 この桜の局とて まごうことなき平家の縁者。 79 00:07:32,385 --> 00:07:40,093 湛増様が 源氏のお味方などされたら 死んでしまいます。 80 00:07:40,093 --> 00:07:45,598 (泣き声) おお~ 泣くな泣くな。 ああ よしよし。 81 00:07:52,806 --> 00:07:54,808 うん? 82 00:07:59,412 --> 00:08:03,416 (吉次)どうだい? 大入道のご機嫌は。 83 00:08:03,416 --> 00:08:07,053 おお 吉次殿。 84 00:08:07,053 --> 00:08:10,724 まずは こちらの思うつぼに はまっていますよ。 85 00:08:10,724 --> 00:08:13,360 平家につくのは間違いないでしょう。 86 00:08:13,360 --> 00:08:18,198 待て待て。 湛増の水軍は大船団だ。 87 00:08:18,198 --> 00:08:22,702 念には念を入れた方がいいぞ~。 88 00:08:25,572 --> 00:08:33,313 (いびき) 89 00:08:33,313 --> 00:08:36,082 湛増様… 湛増様! 90 00:08:36,082 --> 00:08:41,788 う~ん… 何事だ。 91 00:08:43,590 --> 00:08:47,293 ご覧ください 沖を。 92 00:08:51,765 --> 00:08:56,102 やっ あれは 平家の…。 93 00:08:56,102 --> 00:09:00,707 はい。 ご返事が遅いので 屋島が業を煮やし➡ 94 00:09:00,707 --> 00:09:04,344 平家に味方する者を 迎えに参ったのだそうでございます。 95 00:09:04,344 --> 00:09:07,714 う~ん 早くも来たか。 96 00:09:07,714 --> 00:09:12,052 この田辺には 平家と縁のある者が 数多く住まっております。 97 00:09:12,052 --> 00:09:15,355 彼らは 続々と あの船に…。 98 00:09:19,926 --> 00:09:25,565 湛増様 私にも 沖の船から使いが参っております。 99 00:09:25,565 --> 00:09:27,500 どうしたものか…。 100 00:09:27,500 --> 00:09:30,437 ええい! 101 00:09:30,437 --> 00:09:35,074 港に行き 皆に告げよ。 は? 102 00:09:35,074 --> 00:09:42,782 田辺の別当 湛増は 平家に味方することに決めたと。 103 00:09:48,621 --> 00:09:51,624 湛増様~。 104 00:09:56,362 --> 00:10:00,100 皆の者 よ~く聞け!➡ 105 00:10:00,100 --> 00:10:04,771 湛増様は 平家にお味方することを 決められたぞ! 106 00:10:04,771 --> 00:10:07,273 (一同)お~! 107 00:10:07,273 --> 00:10:12,145 (正近)やはり 湛増の本心は平家か。➡ 108 00:10:12,145 --> 00:10:16,349 こうなったら 一刻も早く 義経様のもとへ戻ろう。 109 00:10:18,284 --> 00:10:21,621 どうした? 弁慶。 110 00:10:21,621 --> 00:10:26,426 湛増の返事を どうしても聞きたいというのだな。 111 00:10:26,426 --> 00:10:31,264 分かった! そのことも義経様にお伝えする。 112 00:10:31,264 --> 00:10:34,167 おう。 113 00:10:34,167 --> 00:10:39,439 (朱鼻)沖の船が お前様の仕立てたものとも知らぬ湛増の➡ 114 00:10:39,439 --> 00:10:42,141 慌てふためく顔が見えまするな。 115 00:10:42,141 --> 00:10:49,315 源氏に時の勢いがあるとはいえ これで がぜん 平家の有利となったわ。 116 00:10:49,315 --> 00:10:54,654 さて 礼を申してよいものやら…。 うん? 117 00:10:54,654 --> 00:11:00,460 このように いつも 戦を大きくするのが あなた様の望み。 118 00:11:00,460 --> 00:11:06,266 いや みちのくの秀衡様のお指図で ございましょうが。 119 00:11:08,768 --> 00:11:12,105 遅いな 弁慶たちは。 120 00:11:12,105 --> 00:11:16,776 (三郎)鵜殿の首尾によっては 田辺あたりへ回ると申しておりました。➡ 121 00:11:16,776 --> 00:11:21,281 こちらからも 湛増に使いを出したら いかがでございますか? 122 00:11:23,650 --> 00:11:25,652 いや。 123 00:11:29,289 --> 00:11:32,125 待とう 弁慶を。 124 00:11:32,125 --> 00:11:34,060 はっ。 125 00:11:34,060 --> 00:11:47,607 ♬~ 126 00:11:47,607 --> 00:11:50,109 弁慶…。 127 00:11:52,145 --> 00:11:56,015 白紙は 源氏の白旗ということ…。 128 00:11:56,015 --> 00:12:00,954 天下を制するは 源氏とは限るまいに。 129 00:12:00,954 --> 00:12:04,257 弁慶に 二心なし。 130 00:12:09,095 --> 00:12:14,601 味方せずば この湛増を斬るか? 131 00:12:14,601 --> 00:12:31,618 ♬~ 132 00:12:31,618 --> 00:12:34,120  心の声 湛増殿…。 133 00:12:38,391 --> 00:12:40,960 さあ 引っ越しじゃ 引っ越しじゃ! 134 00:12:40,960 --> 00:12:44,631 こうなったからには 早く屋島に行きたいものじゃ。 135 00:12:44,631 --> 00:12:46,566 慌てることはないわい。 136 00:12:46,566 --> 00:12:50,436 田辺を出たとて 我らには 船さえあれば事足りるのじゃ。 137 00:12:50,436 --> 00:12:53,339 そうは言っても この度は 長の戦になるとか。 138 00:12:53,339 --> 00:12:55,975 やはり それなりの支度はせんとな。 139 00:12:55,975 --> 00:12:58,811 そうだ 急ごう急ごう。 そうだそうだ。 140 00:12:58,811 --> 00:13:01,581 (湛増)待てい!➡ 141 00:13:01,581 --> 00:13:07,387 たわけ者めが。 確かに平家に味方するとは申したが➡ 142 00:13:07,387 --> 00:13:12,091 それは わしの気分を言うたにすぎぬ。 143 00:13:12,091 --> 00:13:19,766 熊野の別当としては あくまでも 神問いの神事により➡ 144 00:13:19,766 --> 00:13:22,969 事を決めねばならぬ。 145 00:13:29,942 --> 00:13:34,814 「本日 神前に於ける鶏合わせにより➡ 146 00:13:34,814 --> 00:13:38,117 水軍の去就を問う➡ 147 00:13:38,117 --> 00:13:42,422 何人たりとも この神占の決するところ➡ 148 00:13:42,422 --> 00:13:46,292 異存のあるまじきこと」。 149 00:13:46,292 --> 00:13:53,433 ⚟(祝詞) 150 00:13:53,433 --> 00:13:57,637 (祝詞) 151 00:14:05,044 --> 00:14:09,248 (奉行)紅 乱獅子! 152 00:14:09,248 --> 00:14:11,184 (ざわめき) 153 00:14:11,184 --> 00:14:15,054 (鶏の鳴き声) 154 00:14:15,054 --> 00:14:20,360 白 青竜! 155 00:14:22,595 --> 00:14:25,098 湛増も心得ております。 156 00:14:25,098 --> 00:14:27,400 赤の乱獅子は飛び抜けて強いそうで➡ 157 00:14:27,400 --> 00:14:32,939 まずは形を作る儀式でございましょう。 ほう…。 158 00:14:32,939 --> 00:14:34,974 始め! 159 00:14:34,974 --> 00:14:48,988 (鶏の鳴き声と声援) 160 00:15:02,368 --> 00:15:05,071 負けた…。 161 00:15:05,071 --> 00:15:19,585 ♬~ 162 00:15:19,585 --> 00:15:23,589 かたじけない 湛増殿。 163 00:15:26,259 --> 00:15:30,096 どうにも気になって戻ってきた。 164 00:15:30,096 --> 00:15:36,402 さすがだな 昔なじみの腹の内。 165 00:15:40,807 --> 00:15:46,112 この時 景時は 筑紫で戦う範頼を助けるため➡ 166 00:15:46,112 --> 00:15:48,147 山陽道にいます。 167 00:15:48,147 --> 00:15:52,985 景時様を 再び九郎殿の軍監にお命じになるとは➡ 168 00:15:52,985 --> 00:15:56,823 鎌倉様の頼りは やはり景時様。 169 00:15:56,823 --> 00:16:00,626 (景時)ハッハッハッハ… それは まあ 当然のことだ。 170 00:16:00,626 --> 00:16:04,230 うん 那須与一! 171 00:16:04,230 --> 00:16:06,232 はっ。 172 00:16:13,906 --> 00:16:18,578 その方 摂津 渡辺へ先発せよ。 173 00:16:18,578 --> 00:16:24,917 この景時が着くまでは 一歩もお動きあるなと念を押せ。 174 00:16:24,917 --> 00:16:30,089 もっとも 船がなくば 動きたくとも動けまいがな。 175 00:16:30,089 --> 00:16:34,594 頼みの熊野水軍も 平家方と聞いた。 176 00:16:34,594 --> 00:16:37,263 かしこまりました。 177 00:16:37,263 --> 00:16:43,769 そのころ 屋島では 平 時忠が重大な決意を固めていました。 178 00:16:43,769 --> 00:16:51,277 (帥の局)あなた…。 源氏と和議をと 申されるのでございますか? 179 00:16:51,277 --> 00:16:56,782 もはや 戦の先は見えた。 180 00:16:56,782 --> 00:17:04,357 何としても 帝と建礼門院様のお命だけは お救いしたい。 181 00:17:04,357 --> 00:17:07,894 ああ… しかし➡ 182 00:17:07,894 --> 00:17:12,064 今 和議など口にすれば…。 183 00:17:12,064 --> 00:17:16,369 裏切り者として殺されるであろうな。➡ 184 00:17:16,369 --> 00:17:22,575 これは わしと 帝のおそばにお仕えするそなたで➡ 185 00:17:22,575 --> 00:17:26,579 ひそかに力を合わせるしかないのじゃ。 186 00:17:28,915 --> 00:17:31,217 頼む。 187 00:17:33,753 --> 00:17:36,055 あなた…。 188 00:17:38,591 --> 00:17:40,793 弁慶! 189 00:17:42,929 --> 00:17:45,264 (三郎)首尾は? はっ。 190 00:17:45,264 --> 00:17:49,936 鵜殿は申すまでもなく 田辺の湛増も 殿にお味方。 191 00:17:49,936 --> 00:17:54,407 今は お声がかりを待っております。 192 00:17:54,407 --> 00:17:59,612 弁慶の手柄でありました! 193 00:17:59,612 --> 00:18:02,348 うん! 194 00:18:02,348 --> 00:18:08,554 源平の合戦は ここで一つの転機を迎えます。 195 00:18:10,089 --> 00:19:27,099 ♬~