1 00:00:02,202 --> 00:00:39,206 ♬~ 2 00:00:44,444 --> 00:00:47,814 平家の清盛大法要が終わり➡ 3 00:00:47,814 --> 00:00:53,153 義経の鵯越への進撃が開始された その時➡ 4 00:00:53,153 --> 00:00:58,659 後白河法皇のお使いが 平家の陣を訪れます。 5 00:00:58,659 --> 00:01:03,163 (いななき) 6 00:01:08,769 --> 00:01:12,973 後白河院のお使いとして参りました。 7 00:01:18,946 --> 00:01:22,816 平 宗盛にございます。 8 00:01:22,816 --> 00:01:27,287 同じく知盛にございます。 9 00:01:27,287 --> 00:01:31,625 (宗盛)院よりのご使者と承りましたが? 10 00:01:31,625 --> 00:01:33,961 (知盛)院宣を賜るのでござるか? 11 00:01:33,961 --> 00:01:39,433 いや 内々のお指図で 下向いたしました。 12 00:01:39,433 --> 00:01:42,135 後白河院におかれては➡ 13 00:01:42,135 --> 00:01:49,643 平家と源氏に和解の道はなきやと み心をお痛めでございます。 14 00:01:49,643 --> 00:01:52,679 院は 和議をお望みか。 15 00:01:52,679 --> 00:01:56,817 しかし 源氏の軍勢は 我らに向かって迫りつつありますぞ! 16 00:01:56,817 --> 00:02:01,788 いや もし平家に 和議のお心があるなれば➡ 17 00:02:01,788 --> 00:02:06,093 急ぎ立ち返って 奏聞に及びまする。 さすれば…➡ 18 00:02:06,093 --> 00:02:10,764 8日中には 和議の院宣が➡ 19 00:02:10,764 --> 00:02:14,935 改めて 平家と源氏に下ることとなっております。 20 00:02:14,935 --> 00:02:17,270 な… なんと! 21 00:02:17,270 --> 00:02:22,109 しかも 院には 平家のご返事を待つ間➡ 22 00:02:22,109 --> 00:02:28,281 源氏勢に 兵馬を動かすなと 固くお沙汰をなされました。 23 00:02:28,281 --> 00:02:35,055 何? 院が まことに そう お沙汰をされたのでございますか? 24 00:02:35,055 --> 00:02:42,429 はい。 ですから 源氏勢は動きませぬ。 25 00:02:42,429 --> 00:02:47,634 院に逆ろうて 勝手に動けば 別でございますが…。 26 00:02:47,634 --> 00:03:10,957 ♬~ 27 00:03:10,957 --> 00:03:13,160 弁慶。 28 00:03:16,596 --> 00:03:19,099 殿。 29 00:03:19,099 --> 00:03:27,107 決戦は 7日の早暁 遅れてはならぬ。 急がせよ!はっ。 30 00:03:47,294 --> 00:03:52,299 宗盛殿 院宣による和議となれば➡ 31 00:03:52,299 --> 00:03:54,968 謹んでお受けするほかはあるまい。 32 00:03:54,968 --> 00:03:58,305 いいや! まだ院宣ではござらぬ! 33 00:03:58,305 --> 00:04:06,379 しかし 院のお言葉なれば 院宣と同じことじゃ。 34 00:04:06,379 --> 00:04:10,083 我が方に三種の神器があるゆえに➡ 35 00:04:10,083 --> 00:04:14,955 法皇様は 何としても 和議をなさりたいのであろう。 36 00:04:14,955 --> 00:04:19,092 しかし この話 信じてよいものか…。 37 00:04:19,092 --> 00:04:23,597 といって 和議を拒む理由はあるまい。 38 00:04:23,597 --> 00:04:29,469 戦をせずに済むなら 何としても避けたいもの。 39 00:04:29,469 --> 00:04:35,942 幼くてあられる帝を 危うい目に お遭わせしとうはない。 40 00:04:35,942 --> 00:04:39,279 では ご使者を通し➡ 41 00:04:39,279 --> 00:04:47,020 我らに和議の用意があることを 院へ奏上いたすことに。 42 00:04:47,020 --> 00:04:49,789 よき知らせ。 43 00:04:49,789 --> 00:04:55,095 早速 建礼門院様に お知らせしてまいりまする。 44 00:05:05,238 --> 00:05:09,576 (駄五六) おい 和議じゃ 院宣じゃ! 戦はないぞ! 45 00:05:09,576 --> 00:05:14,915 おい 駄五六 本当か!? (雑兵たち)どこから聞いた! え? 46 00:05:14,915 --> 00:05:17,817 御座船の水夫から聞き出したんじゃ。 確かなもんさ。 47 00:05:17,817 --> 00:05:20,787 ほれ 使い番の方々が 駆けていかれるわ。 48 00:05:20,787 --> 00:05:24,090 (雑兵たち)うわ~! 49 00:05:24,090 --> 00:05:26,927 ああ!どうした? 50 00:05:26,927 --> 00:05:30,630 見ろ! 女輿じゃ! 51 00:05:33,266 --> 00:05:39,406 おお この戦場へ 女輿とはな。 お顔を拝みたいもんじゃ。 52 00:05:39,406 --> 00:05:41,775 ⚟(教経)こら! 駄五六! 53 00:05:41,775 --> 00:05:46,279 持ち場を離れて何とする! いや~ ああ 御大将! 54 00:05:46,279 --> 00:05:51,618 へえ ただいますぐに 戻りますでございます。 55 00:05:51,618 --> 00:05:57,123 この陣を預かる教経である。 お顔をお見せ願いたい。 56 00:06:02,562 --> 00:06:04,764 (教経)義姉上…。 57 00:06:06,366 --> 00:06:09,236 いかがなされたのです? かような所へ。 58 00:06:09,236 --> 00:06:16,009 お許しください。 どうしても 通盛様に お会いしたいことがありまして。 59 00:06:16,009 --> 00:06:18,011 義姉上…。 60 00:06:19,746 --> 00:06:24,251 駄五六。 兄上の陣 明泉寺まで案内せい。 61 00:06:24,251 --> 00:06:28,455 はっ はい! どうぞ。 62 00:06:38,598 --> 00:06:40,600 何事じゃ 一体。 63 00:06:42,269 --> 00:06:44,571 (通盛)小宰相! 64 00:06:46,606 --> 00:06:49,276 どうしたのじゃ? 別れは済んでおろうに➡ 65 00:06:49,276 --> 00:06:51,945 どうしてまた ここまで…。 66 00:06:51,945 --> 00:06:56,416 私のご挨拶はいたしましたが➡ 67 00:06:56,416 --> 00:07:01,221 おなかのお子にも お言葉を頂きたく。 68 00:07:01,221 --> 00:07:06,559 屋島でお別れした時は まだ 半信半疑。 69 00:07:06,559 --> 00:07:11,731 お話ししたものかどうかと 迷うておりました。 70 00:07:11,731 --> 00:07:17,537 けれど 今は もう間違いのないことと…。 71 00:07:17,537 --> 00:07:20,073 そう思いましたら➡ 72 00:07:20,073 --> 00:07:23,376 どうしても お会いしたくて。 73 00:07:23,376 --> 00:07:26,579 小宰相。 74 00:07:26,579 --> 00:07:32,752 まことに生まれるのじゃな? そなたと わしの子が…。 75 00:07:32,752 --> 00:07:34,954 はい。 76 00:07:36,923 --> 00:07:42,796 して 身2つになるは いつごろぞ? 77 00:07:42,796 --> 00:07:48,401 紅葉の 色づく頃には… 78 00:07:48,401 --> 00:07:52,205 そうか… そうか! 79 00:07:53,940 --> 00:07:57,410 え… ええ~。 80 00:07:57,410 --> 00:08:01,281 ⚟(通盛) 通盛 この年にして初めての子じゃ。➡ 81 00:08:01,281 --> 00:08:05,719 くれぐれも大事にしてたもれ。 ⚟(小宰相)はい。 82 00:08:05,719 --> 00:08:09,556 うう~… うう…。 83 00:08:09,556 --> 00:08:16,229 ⚟(通盛)私に万一のことあらば その子をこそ 私と思うてな。 84 00:08:16,229 --> 00:08:19,566 ⚟(小宰相)いいえ そのような!➡ 85 00:08:19,566 --> 00:08:24,070 殿もご無事でなければ嫌でございます。 嫌でございます。 86 00:08:24,070 --> 00:08:27,574 ああ 甘ったるくて聞いてられねえ。 87 00:08:27,574 --> 00:08:30,377 ええ~ ちょいとごめんなさいよ。 88 00:08:30,377 --> 00:08:33,246 おい! 帰りの道案内もせい! 89 00:08:33,246 --> 00:08:35,749 分かってますよ 表にいます! 90 00:08:38,752 --> 00:08:42,922 安心いたせ。 院より和議のお使いが見えてな。 91 00:08:42,922 --> 00:08:44,958 多分 戦にはなるまい。 92 00:08:44,958 --> 00:08:48,261 それは まことでございますか? 93 00:08:48,261 --> 00:08:53,767 この8日には 院宣も下るとか。 まあ…。 94 00:08:53,767 --> 00:08:55,769 ⚟(教経)御免! 95 00:08:57,937 --> 00:08:59,939 あ…。 96 00:09:01,541 --> 00:09:06,212 教経… いや… 実は➡ 97 00:09:06,212 --> 00:09:10,550 わしたちに 子が。 え? 98 00:09:10,550 --> 00:09:14,721 それは おめでとうございます。 99 00:09:14,721 --> 00:09:18,224 しかし この戦場のただ中へ…。 100 00:09:18,224 --> 00:09:24,564 分かっておる。 すぐ屋島に帰すゆえ ここは… 大目に見てやってくれ。 101 00:09:24,564 --> 00:09:29,869 まあ 和議の話もあることですから。 102 00:09:32,739 --> 00:09:43,450 (談笑する声) 103 00:09:43,450 --> 00:09:50,090 ええ もう すっかり かかあを思い出してしまったぞい。 104 00:09:50,090 --> 00:09:52,792 こんな所にいられるかい。 105 00:10:03,603 --> 00:10:15,415 (談笑する声) 106 00:10:20,153 --> 00:10:24,891 やってられるか… やってられるか…。 107 00:10:24,891 --> 00:10:28,394 はあ はあ はあ~。 108 00:10:32,665 --> 00:10:37,136 はあ~ よ~し これで うちに帰れるぞ! 109 00:10:37,136 --> 00:10:41,341 かかあに会えるぞ! わ~い! 110 00:10:45,845 --> 00:10:49,449 いかん。 道を間違えたか…。 111 00:10:49,449 --> 00:10:51,751 へっ まあいいわ。 112 00:10:54,988 --> 00:10:57,323 わっ! 113 00:10:57,323 --> 00:11:00,159 わあ~! 114 00:11:00,159 --> 00:11:03,596 えっ? げげげ… 源氏!? 115 00:11:03,596 --> 00:11:08,101 待て! 平家の雑兵だな? なぜ こんな所にいる!? 116 00:11:08,101 --> 00:11:10,937 いやいや… ななな… なぜって➡ 117 00:11:10,937 --> 00:11:14,274 かかあに会いたくて 逃げてきたです。 118 00:11:14,274 --> 00:11:18,278 (三郎)かかあに? (駄五六)へえ。ハハハハハハ。 119 00:11:18,278 --> 00:11:23,783 近在の者か? この山の向こうの稲川村。 120 00:11:23,783 --> 00:11:26,819 名は? 駄五六と申します。 121 00:11:26,819 --> 00:11:32,959 それにしても 平家は 和議じゃと言うて みんな陽気にしてますのに➡ 122 00:11:32,959 --> 00:11:34,894 お前さん方 どうして…。 123 00:11:34,894 --> 00:11:39,632 駄五六とやら 鵯越を知っているか? ええ ええ そりゃ 地元ですから。 124 00:11:39,632 --> 00:11:42,669 よ~し 道が分からず難渋している。 125 00:11:42,669 --> 00:11:44,971 むう! ああ~。 126 00:11:44,971 --> 00:11:49,475 直ちに鵯越の上まで案内せい! よいな! ああ… はいはい。 127 00:11:58,818 --> 00:12:03,022 駄五六め どこへ うせおった? 128 00:12:05,625 --> 00:12:08,928 (弁慶・小声で)こら 待て。 かか… 堪忍じゃ! 堪忍じゃ! 129 00:12:08,928 --> 00:12:12,265 静かにせい。 ああ…。 130 00:12:12,265 --> 00:12:15,768 なぜ逃げる? 土地の者と言うたは うそか? 131 00:12:15,768 --> 00:12:18,271 いや うそじゃねえです。 お許しください。 132 00:12:18,271 --> 00:12:21,174 鵯越を下から眺めたことはありますが➡ 133 00:12:21,174 --> 00:12:23,943 上から見たことは 一度もありませんので。 134 00:12:23,943 --> 00:12:26,412 ⚟ハッハハハハハハ!➡ 135 00:12:26,412 --> 00:12:29,315 鵯越が どうしたって? 136 00:12:29,315 --> 00:12:31,618 (弁慶)小僧 何がおかしい? 137 00:12:31,618 --> 00:12:34,654 おじさんたち 源氏だろ? 138 00:12:34,654 --> 00:12:37,790 何? やめい! 139 00:12:37,790 --> 00:12:40,293 何故 源氏と見た? 140 00:12:40,293 --> 00:12:44,964 うん? 俺だってバカじゃないよ。 一目見りゃ分かる。 141 00:12:44,964 --> 00:12:47,433 あんた方は源氏で➡ 142 00:12:47,433 --> 00:12:50,637 そのおっさんは 陣抜けした平家の雑兵だろ。 143 00:12:50,637 --> 00:12:53,539 何だと! このガキが! (正近)静かにせよ。 144 00:12:53,539 --> 00:12:56,976 ハハハ 面白いやつ。 145 00:12:56,976 --> 00:13:02,248 姿からして猟師と見たが ここらの山には詳しいか? 146 00:13:02,248 --> 00:13:06,119 この山は 俺の庭じゃ! 目をつぶっても歩けるわ! 147 00:13:06,119 --> 00:13:11,924 どうじゃ? 明日の夜明けまでに 鵯越へ 我らを案内できるか? 148 00:13:11,924 --> 00:13:16,596 お安い御用だ。 あんたが ちゃんと俺に頼むならな。 149 00:13:16,596 --> 00:13:19,799 こやつ 言わせておけば…。 正近。 150 00:13:24,103 --> 00:13:29,976 わしは 九郎義経。 頼む 案内してくれ。 151 00:13:29,976 --> 00:13:32,779 (弁慶)殿 このような者に…。 152 00:13:32,779 --> 00:13:34,714 ワッハハ~ 気に入ったぞ! 153 00:13:34,714 --> 00:13:38,284 俺に頭を下げたお侍を 初めて見たものな! 154 00:13:38,284 --> 00:13:41,621 ハハ… そちの名は? 155 00:13:41,621 --> 00:13:46,426 名前なんて… ない。 ほう… 名無しか。 156 00:13:46,426 --> 00:13:51,297 俺には お父もお母もいねえ。 だから 名なんぞないんだ! 157 00:13:51,297 --> 00:13:53,599 そうか…。 158 00:13:55,635 --> 00:13:59,439 よし。 わしが お前の名付け親となってやろう。 159 00:13:59,439 --> 00:14:02,742 え? 俺に名前を付けてくれるのか? 160 00:14:02,742 --> 00:14:06,079 おう この辺りの森は何と呼ぶ? 161 00:14:06,079 --> 00:14:08,981 鷲ノ尾というんだ。 兄弟はおるのか? 162 00:14:08,981 --> 00:14:13,753 兄者が2人いたそうだが 顔も覚えていねえ。 163 00:14:13,753 --> 00:14:17,256 そうか。 では 今より➡ 164 00:14:17,256 --> 00:14:21,594 鷲ノ尾三郎経春と名乗れ。 165 00:14:21,594 --> 00:14:24,097 経春とは 過分な名じゃぞ。 166 00:14:24,097 --> 00:14:28,401 殿のお名前 義経様の1字を賜ったのじゃ。 167 00:14:28,401 --> 00:14:31,938 はい! ほう 名前を賜ったら➡ 168 00:14:31,938 --> 00:14:34,774 言葉遣いまで変わったぞ。 169 00:14:34,774 --> 00:14:38,978 では 鵯越へ ご案内いたします! 170 00:15:01,734 --> 00:15:04,070 (枝が折れた音) (駄五六)ああ 痛…。 171 00:15:04,070 --> 00:15:06,572 (小声で)バカ者 音を立てるな。 172 00:15:06,572 --> 00:15:12,278 ハハハハハハ。 この~。 うう~。 173 00:15:42,775 --> 00:15:45,111 (火がはぜる音) ううっ。 174 00:15:45,111 --> 00:15:48,815 ああ~。 175 00:16:00,593 --> 00:16:06,899 (小鳥のさえずり) 176 00:16:06,899 --> 00:16:22,915 ♬~ 177 00:16:22,915 --> 00:16:25,251 うう~…。 178 00:16:25,251 --> 00:16:58,284 ♬~ 179 00:16:58,284 --> 00:17:06,492 我らは これより 一気にここを下り 眼下の陣を駆け抜けて 輪田ノ岬に出る。 180 00:17:12,064 --> 00:17:17,236 時を移さず 御座船にある三種の神器を奪還する! 181 00:17:17,236 --> 00:17:22,441 駄五六 家に帰って達者で暮らせ。 182 00:17:24,110 --> 00:17:26,245 えっ…。 183 00:17:26,245 --> 00:17:28,748 行くぞ! 184 00:17:28,748 --> 00:17:32,618 ああ… いや~! 185 00:17:32,618 --> 00:17:37,924 いいい… 嫌だ~! おいら 戦は嫌だ~! 186 00:17:37,924 --> 00:17:42,595 嫌だ~! 187 00:17:42,595 --> 00:17:46,265 駆けよ! 駆け抜けよ! 188 00:17:46,265 --> 00:17:49,569 目指すは 輪田ノ岬ぞ! 189 00:17:51,137 --> 00:17:54,607 平家が見た和議の夢も➡ 190 00:17:54,607 --> 00:18:00,346 後白河法皇が見た 三種の神器取り戻しの夢も➡ 191 00:18:00,346 --> 00:18:05,051 一瞬にして吹き飛ばした鵯越でした。 192 00:18:10,022 --> 00:19:27,233 ♬~