1 00:00:02,202 --> 00:00:39,907 ♬~ 2 00:00:41,875 --> 00:00:47,981 平 通盛 経正 知章が討たれ 重衡が捕らえられて➡ 3 00:00:47,981 --> 00:00:56,156 一ノ谷の合戦が 源氏の一方的な勝利に 終わろうとしている今…。 4 00:00:56,156 --> 00:00:59,826 (忠度)敦盛殿~! 敦盛殿はいずこ~!? 5 00:00:59,826 --> 00:01:01,762 ぐわ~…! 6 00:01:01,762 --> 00:01:04,097 (敦盛)これに~! 7 00:01:04,097 --> 00:01:07,968 おお 敦盛殿! わしのそばを離れるでないぞ! 8 00:01:07,968 --> 00:01:09,970 はい! でやっ! 9 00:01:09,970 --> 00:01:13,774 ぐあっ…。 おお~…。 10 00:01:13,774 --> 00:01:18,412 ハハッ。 おことを守ると兄上に約束したゆえ➡ 11 00:01:18,412 --> 00:01:20,347 手傷など負わせては➡ 12 00:01:20,347 --> 00:01:23,250 経正殿に合わせる顔がないわ! 13 00:01:23,250 --> 00:01:26,620 ⚟(喚声) 14 00:01:26,620 --> 00:01:29,523 敦盛殿 輪田ノ岬へ急がれよ! 15 00:01:29,523 --> 00:01:33,393 船に向かって ひとまず引き 帝を供奉して屋島へ! 16 00:01:33,393 --> 00:01:36,396 はい! やあっ! (いななき) 17 00:01:40,801 --> 00:01:45,305 おりゃっ! いや~っ! 18 00:01:45,305 --> 00:01:52,813 武勇の誉れ高い 薩摩守 平 忠度は さすがに一歩も引いてはおりません。 19 00:01:52,813 --> 00:01:54,748 (馬の脚を斬る音) 20 00:01:54,748 --> 00:01:58,318 (いななき) おのれ~! 21 00:01:58,318 --> 00:02:00,253 おおっ…! 22 00:02:00,253 --> 00:02:02,923 でや~っ! うお~…! 23 00:02:02,923 --> 00:02:07,094 ううっ…! 24 00:02:07,094 --> 00:02:12,265 ハア ハア…。 25 00:02:12,265 --> 00:02:16,136 敵ながら あっぱれのお働き…。 26 00:02:16,136 --> 00:02:19,406 是非とも お名を承りたい。 27 00:02:19,406 --> 00:02:26,279 即仏 無色… 死にゆく身に名など無用。 28 00:02:26,279 --> 00:02:30,784 とく この首を討て。 29 00:02:30,784 --> 00:02:32,819 でやっ! 30 00:02:32,819 --> 00:02:44,131 ♬~ 31 00:02:44,131 --> 00:02:49,302 鎧の箙に 歌反古らしい つづりが 忍ばせてありました。 32 00:02:49,302 --> 00:02:53,507 「旅宿花」と題する一首には…。 33 00:03:03,383 --> 00:03:08,588 生涯 歌に心を寄せた武将 平 忠度。 34 00:03:08,588 --> 00:03:12,392 41歳の最期でした。 35 00:03:17,297 --> 00:03:21,101 忠度殿…。 36 00:03:21,101 --> 00:03:23,403 (いななき) 37 00:03:23,403 --> 00:03:29,109 ⚟そこな公達! 返せ! 返したまえ! 38 00:03:32,112 --> 00:03:34,414 (直実)名ある御大将とお見受け申す。 39 00:03:34,414 --> 00:03:39,252 呼びかけられて逃げるとは ひきょうなり! 40 00:03:39,252 --> 00:03:42,122 潔く勝負したまえ! 41 00:03:42,122 --> 00:03:45,158 敵に後ろを見するは 平家の習いか!? 42 00:03:45,158 --> 00:03:47,294 おのれ 言わせておけば…! 43 00:03:47,294 --> 00:03:51,164 今そこへ参る! 待っておれ! 44 00:03:51,164 --> 00:03:56,303 おお! それでこそ武門の誉れ! (いななき) 45 00:03:56,303 --> 00:03:59,139 はあ~! 見参! 46 00:03:59,139 --> 00:04:02,142 え~い! はあっ! 47 00:04:06,746 --> 00:04:11,084 我は武蔵国 住人 熊谷次郎直実。 48 00:04:11,084 --> 00:04:14,087 して 公達のお名は何と? 49 00:04:15,756 --> 00:04:19,593 ん? 名乗らずば それもよし…。 50 00:04:19,593 --> 00:04:21,528 いざ 組まん! 51 00:04:21,528 --> 00:04:24,264 お~! はあっ! 52 00:04:24,264 --> 00:04:26,767 ああ~…! くう~…! 53 00:04:26,767 --> 00:04:29,769 ああっ…! うっ…。 54 00:04:36,943 --> 00:04:38,979 覚悟! 55 00:04:38,979 --> 00:04:44,417 ん!? おことは まだ子供ではないか…。 56 00:04:44,417 --> 00:04:46,786 子供ではない! さっさと討て! 57 00:04:46,786 --> 00:04:52,592 御年は? 既に17歳 立派な大人ぞ! 58 00:04:52,592 --> 00:04:56,796  心の声  17歳といえば 直家と同年…。 59 00:04:58,798 --> 00:05:00,734 助けてしんぜる。 60 00:05:00,734 --> 00:05:04,371 なぜじゃ!? 情けは無用ぞ! 61 00:05:04,371 --> 00:05:07,274 死を急ぐには若すぎる。 それに…➡ 62 00:05:07,274 --> 00:05:10,911 わしには そなたと同年の息子がおる。➡ 63 00:05:10,911 --> 00:05:12,846 とても ひと事とは思えぬ。 64 00:05:12,846 --> 00:05:15,081 いずこになりと 落ちられるがよかろう。 65 00:05:15,081 --> 00:05:19,953 ただ せめて 御名だけはお聞かせあれ。 66 00:05:19,953 --> 00:05:24,758 そなたは 九郎殿の家来か? そうじゃが…。 67 00:05:24,758 --> 00:05:27,661 されば 我が名は義経殿に問うがよい。 68 00:05:27,661 --> 00:05:31,264 ん? 九郎の殿をご存じか!? 69 00:05:31,264 --> 00:05:34,267 早く首を討て! 70 00:05:34,267 --> 00:05:38,605 命は助けると申しておる。 71 00:05:38,605 --> 00:05:44,110 ⚟熊谷殿! 助太刀いたそうか!? 72 00:05:44,110 --> 00:05:46,780 もはや逃れることはできまい…。 73 00:05:46,780 --> 00:05:49,683 同じ命を捨つるなれば➡ 74 00:05:49,683 --> 00:05:54,187 九郎殿のご家来に討たるること いささか本望。 75 00:05:59,292 --> 00:06:03,730 では いかにしても…。 76 00:06:03,730 --> 00:06:05,732 うむ。 77 00:06:11,471 --> 00:06:14,908 南無阿弥陀…。 78 00:06:14,908 --> 00:06:17,110 御免! 79 00:06:26,620 --> 00:06:30,457 おお! これはお手柄でござったな。 80 00:06:30,457 --> 00:06:34,661 して この公達の名は? 81 00:07:21,775 --> 00:07:25,278 軍奉行の梶原景時じゃ! 82 00:07:38,758 --> 00:07:46,399 九郎殿には 輪田ノ岬に一番乗りなされ まことに祝着至極。 83 00:07:46,399 --> 00:07:50,603 (義経) 景時殿も 生田では大層なお働きとか。 84 00:07:50,603 --> 00:07:56,409 いや 手前の働きなど 九郎殿のお手柄に比べれば…。 85 00:07:56,409 --> 00:08:00,714 ところで 院がお待ちかねの三種の神器は➡ 86 00:08:00,714 --> 00:08:04,017 どこに安置してござるのかな? 87 00:08:05,585 --> 00:08:09,422 三種の神器は ここにはござらぬ。 88 00:08:09,422 --> 00:08:11,424 何!? 89 00:08:11,424 --> 00:08:15,228 残念ながら 奪い奉ることは…。 90 00:08:15,228 --> 00:08:18,064 失敗されたとおっしゃるのか? 91 00:08:18,064 --> 00:08:20,900 我らが岬に到着した時には➡ 92 00:08:20,900 --> 00:08:23,937 既に御座船は手の届かぬ沖へ…。 93 00:08:23,937 --> 00:08:26,239 黙らっしゃい! 94 00:08:26,239 --> 00:08:30,243 こたびの戦の目的は ひとえに三種の神器の奪還のはず! 95 00:08:30,243 --> 00:08:34,748 そのためにこそ 範頼様をはじめ 我らは生田で➡ 96 00:08:34,748 --> 00:08:37,584 平家の主力を くぎづけにしたのじゃ! 97 00:08:37,584 --> 00:08:44,090 これは… 院や鎌倉に 何とご報告したらよいものか! 98 00:08:45,759 --> 00:08:48,795 (重忠)いやしかし お味方の勝利は➡ 99 00:08:48,795 --> 00:08:52,532 鵯越の奇襲により 敵陣を分断したがゆえで➡ 100 00:08:52,532 --> 00:08:56,770 この戦 九郎殿こそ 武勲第一と思われますぞ! 101 00:08:56,770 --> 00:08:59,606 それをお決めになるのは頼朝様じゃ! 102 00:08:59,606 --> 00:09:01,608 御免! 103 00:09:03,877 --> 00:09:05,912 致し方あるまい。 104 00:09:05,912 --> 00:09:10,216 三種の神器を逃したのは 義経の落ち度じゃ。 105 00:09:10,216 --> 00:09:12,218 ⚟御免。 106 00:09:17,090 --> 00:09:19,726 熊谷殿…。 107 00:09:19,726 --> 00:09:23,229 おお お手柄のようですな。 108 00:09:33,907 --> 00:09:35,842 これは…。 109 00:09:35,842 --> 00:09:38,745 一騎打ちした公達でございます。 110 00:09:38,745 --> 00:09:42,582 御名を問いましたが 名乗られず ただ…➡ 111 00:09:42,582 --> 00:09:47,387 手前のことを 九郎殿のご家来かと 尋ねました。 112 00:09:47,387 --> 00:09:50,256 この九郎の… 家来かと? 113 00:09:50,256 --> 00:09:53,259 はい。 さように答えますと➡ 114 00:09:53,259 --> 00:09:58,565 九郎殿のご家来に討たれるならば 本望と…。 115 00:10:00,400 --> 00:10:03,903 殿 この公達は…? 116 00:10:07,607 --> 00:10:09,542 平 敦盛殿じゃ。 117 00:10:09,542 --> 00:10:15,115 いや しかし…。 何故 敦盛殿は九郎の殿を? 118 00:10:15,115 --> 00:10:20,920 戦より… 恋が似合う公達であった。 119 00:10:20,920 --> 00:10:24,791 過ぐる日 敦盛は都にいる恋人➡ 120 00:10:24,791 --> 00:10:29,629 右大弁親宗の姫に会うために 屋島の陣を抜け出し➡ 121 00:10:29,629 --> 00:10:35,835 洛中を警護している義経の手に 捕らえられたことがありました。 122 00:10:37,504 --> 00:10:44,444 しかし 義経は敦盛をそのまま 屋島へ逃がしてやったのです。 123 00:10:44,444 --> 00:10:47,347 殿。 お願いがございます。 124 00:10:47,347 --> 00:10:49,315 ん? 125 00:10:49,315 --> 00:10:53,987 この形見の笛と鎧直垂。 126 00:10:53,987 --> 00:10:56,890 何とぞ 直実に賜りたく…。 127 00:10:56,890 --> 00:11:01,394 (重忠) おお お手柄の証しとして 何よりの品。 128 00:11:01,394 --> 00:11:05,932 いや 敦盛殿の父君に➡ 129 00:11:05,932 --> 00:11:10,403 是非とも 送って差し上げたいので。 130 00:11:10,403 --> 00:11:12,939 お願いじゃ 助けてくだされ…。 131 00:11:12,939 --> 00:11:19,412 痛い…。 死にたくない…。 132 00:11:19,412 --> 00:11:22,115 国へ帰りたい…。 133 00:11:22,115 --> 00:11:25,985 義経に請われ 陣医として参加している麻鳥は➡ 134 00:11:25,985 --> 00:11:30,423 この丘に負傷兵を運ばせ 手当てをしていました。 135 00:11:30,423 --> 00:11:32,792 (麻鳥)皆 しっかりするのだ。 136 00:11:32,792 --> 00:11:37,430 敵方にも手負いは多いはず。 なぜ平家の兵も連れてこない? 137 00:11:37,430 --> 00:11:41,301 ん? 戦は敵を殺すためのものじゃ。 138 00:11:41,301 --> 00:11:45,305 助けて手当てするなど 聞いたことも見たこともないわい! 139 00:11:45,305 --> 00:11:47,440 私は傷ついた者なら➡ 140 00:11:47,440 --> 00:11:50,310 源氏も平家も分け隔てなく 手当てをする。 141 00:11:50,310 --> 00:11:53,146 平家の負傷者も運んでくれ。 142 00:11:53,146 --> 00:11:55,982 そんな命令は聞けぬ。 なあ みんな! 143 00:11:55,982 --> 00:12:00,153 敵兵を助けて連れてくるなど 大将に知れたら ただでは済まんぞ! 144 00:12:00,153 --> 00:12:02,088 そうだ! そうだ そうだ! 145 00:12:02,088 --> 00:12:05,291 ⚟陣医殿の命令は 私の命令ぞ! 146 00:12:07,260 --> 00:12:09,262 (一同)あっ! ははっ…。 147 00:12:09,262 --> 00:12:12,398 これは 九郎様。 148 00:12:12,398 --> 00:12:15,101 手傷を負うた者には 源氏も平家もない。 149 00:12:15,101 --> 00:12:19,772 陣医殿の申されるように 分け隔てなく治療してやるがよい。 150 00:12:19,772 --> 00:12:22,075 ありがとうございます。 151 00:12:27,513 --> 00:12:30,416 何!? お味方総崩れ! 152 00:12:30,416 --> 00:12:34,287 この時 平 維盛は屋島にいます。 153 00:12:34,287 --> 00:12:39,158 病に倒れ 一ノ谷への出陣が遅れていたのです。 154 00:12:39,158 --> 00:12:42,028 鎧じゃ! 鎧を持て! 155 00:12:42,028 --> 00:12:47,433 殿! そのお体で合戦など… ご無理でござりまする。 156 00:12:47,433 --> 00:12:52,271 それに 今からでは もう…。 157 00:12:52,271 --> 00:12:56,175 はあ… このような時に役に立てぬとは➡ 158 00:12:56,175 --> 00:13:00,880 維盛 一生の不覚…。 うっ…。 159 00:13:08,254 --> 00:13:14,927 (朱鼻)信じられぬ…。 僅か3,000の兵に➡ 160 00:13:14,927 --> 00:13:18,765 1万5,000の平家が負けるとは…。 161 00:13:18,765 --> 00:13:25,271 恐ろしい男よ 九郎義経…。 162 00:13:31,944 --> 00:13:38,951 敗軍の将兵を乗せた平家の軍船は 夜を徹して屋島を目指します。 163 00:13:43,556 --> 00:13:47,293 その中に 夫 通盛の死を知った➡ 164 00:13:47,293 --> 00:13:50,129 小宰相がおりました。 165 00:13:50,129 --> 00:13:53,166 誰も 特に同情したりはしません。 166 00:13:53,166 --> 00:13:56,636 おなかに子がいようと いまいと➡ 167 00:13:56,636 --> 00:14:01,941 それは 世にありふれた物語だったからです。 168 00:14:45,618 --> 00:14:47,553 ⚟(水音) 169 00:14:47,553 --> 00:14:50,256 あっ… あっ…! 170 00:14:52,492 --> 00:14:57,797 誰か! 小宰相様が 海へ…! 171 00:14:57,797 --> 00:15:01,067 (教経)何!? 172 00:15:01,067 --> 00:15:04,570 水練の達者な者 飛び込んで助けよ! 173 00:15:04,570 --> 00:15:06,873 助けよ~! 174 00:15:18,584 --> 00:15:21,788 (泣き声) 175 00:15:24,257 --> 00:15:28,094 通盛様 御着替えの 鎧にございます。 176 00:15:28,094 --> 00:15:31,764 うむ。 177 00:15:31,764 --> 00:15:38,471 お着せして いま一度 沈めて差し上げよ。 178 00:15:41,407 --> 00:15:45,945 (教経)親子3人で 暮らしていただくのじゃ。 179 00:15:45,945 --> 00:15:53,953 千尋の底までは… 誰も邪魔しにはまいるまい。 180 00:16:07,066 --> 00:16:11,571 一方 屋島へ引き揚げた 平 経盛のもとへ➡ 181 00:16:11,571 --> 00:16:16,442 末子 敦盛の形見の品が届けられました。 182 00:16:16,442 --> 00:16:23,749 (直実)「敵と言い 味方と言うも 全ては 現世のかりそめのこと。➡ 183 00:16:23,749 --> 00:16:27,386 なんの恩怨や候わん。➡ 184 00:16:27,386 --> 00:16:33,759 親御のおん嘆き さこそと思うにつけ➡ 185 00:16:33,759 --> 00:16:38,264 人の身ならぬ心地に打ちのめされ➡ 186 00:16:38,264 --> 00:16:43,936 せめて 形見の笛と御袖➡ 187 00:16:43,936 --> 00:16:48,140 送りまいらせ候」…。 188 00:16:53,946 --> 00:17:02,221 敦盛… 情けある武士に 討たれしこと➡ 189 00:17:02,221 --> 00:17:08,427 さだめし 本望であろう。 なあ。 190 00:17:16,068 --> 00:17:30,082 ♬~ 191 00:17:30,082 --> 00:17:33,920  回想  しっかりと吹くのだぞ。 192 00:17:33,920 --> 00:17:39,725 父上 これは家伝来の青葉の笛! 193 00:17:39,725 --> 00:17:44,397 今日よりは そちのものぞ。 194 00:17:44,397 --> 00:17:55,408 ♬~ 195 00:17:55,408 --> 00:17:59,946 父と子の これほど切ない無言の顔合わせが➡ 196 00:17:59,946 --> 00:18:03,449 かつてあったでしょうか。 197 00:18:10,056 --> 00:19:27,266 ♬~