1 00:00:02,202 --> 00:00:38,906 ♬~ 2 00:00:40,641 --> 00:00:44,811 元暦元年 1184年秋➡ 3 00:00:44,811 --> 00:00:52,152 平家追討に出陣した源 範頼軍により 西国の緊張が再び高まる中➡ 4 00:00:52,152 --> 00:01:00,761 京では 九郎義経と百合野の婚礼が 滞りなく行われました。 5 00:01:00,761 --> 00:01:06,633 本日は おめでとうござりまする。 さすがは 鎌倉殿のお見立て。 6 00:01:06,633 --> 00:01:11,104 都にも見られぬ 美しいお方でございますなあ。 7 00:01:11,104 --> 00:01:14,775 いや まことに。 これで 九郎の殿も➡ 8 00:01:14,775 --> 00:01:19,112 洛中警護のお役に 励みが出られると申すもの。 9 00:01:19,112 --> 00:01:21,815 ワハハハハハハ。 10 00:01:28,789 --> 00:01:34,995 (狭山)百合野様 弱みを見せては 大事なお役目は つとまりませぬぞ。 11 00:01:41,501 --> 00:01:43,503 ん? 12 00:01:57,818 --> 00:02:00,253 お母様。 13 00:02:00,253 --> 00:02:04,758 (前司)覚悟の上ではありませぬか 静。 14 00:02:23,110 --> 00:02:27,414 疲れたであろう。 早く休むがよい。 15 00:02:33,286 --> 00:02:43,997 (百合野の泣き声) 16 00:02:43,997 --> 00:02:48,635 いかがいたした? もう家が恋しくなったか? 17 00:02:48,635 --> 00:02:51,538 いいえ。 18 00:02:51,538 --> 00:02:56,810 義経様 お願いでございます。 19 00:02:56,810 --> 00:03:01,248 私に優しくしてくださりませ。 20 00:03:01,248 --> 00:03:06,386 すまぬ。 そなたを嫌うではないが…。 21 00:03:06,386 --> 00:03:11,591 静様というお方のことは 存じております。 22 00:03:11,591 --> 00:03:13,527 そなた 静の名を…? 23 00:03:13,527 --> 00:03:19,466 はい。 私が 鎌倉から遣わされた➡ 24 00:03:19,466 --> 00:03:23,937 お気に染まぬ妻であることも 承知しております。 25 00:03:23,937 --> 00:03:25,972 百合野殿…。 26 00:03:25,972 --> 00:03:31,111 でも 妻となりましたからには➡ 27 00:03:31,111 --> 00:03:34,614 九郎様のお力になりとうございます。 28 00:03:34,614 --> 00:03:36,550 私の力に? 29 00:03:36,550 --> 00:03:42,489 はい。 ですから この度➡ 30 00:03:42,489 --> 00:03:46,126 私についてまいりました者の前だけでも➡ 31 00:03:46,126 --> 00:03:49,629 どうぞ 優しくしてくださりませ。 32 00:03:49,629 --> 00:03:52,833 さすれば 鎌倉への聞こえも…。 33 00:03:54,434 --> 00:03:59,973 門出の時 父は私に こう申しました。 34 00:03:59,973 --> 00:04:08,682 夫のためとあらば 父に背き 鎌倉様の仰せを守らないでもよいと。 35 00:04:08,682 --> 00:04:14,254 すまぬ 百合野殿。 36 00:04:14,254 --> 00:04:18,125 百合野殿では嫌でございます。 37 00:04:18,125 --> 00:04:21,928 百合野と お呼びくださいませ。 38 00:04:21,928 --> 00:04:25,932 分かった。 百合野。 39 00:04:31,404 --> 00:04:38,178 さて 義経が深く心を通わせた 平 重衡の物語を➡ 40 00:04:38,178 --> 00:04:42,048 ここで少し先に進めます。 41 00:04:42,048 --> 00:04:45,986 文治元年 鎌倉に捕らわれていた重衡は➡ 42 00:04:45,986 --> 00:04:50,290 ついに 奈良へ送られることになります。 43 00:05:23,390 --> 00:05:25,392 ⚟待て! 44 00:05:31,598 --> 00:05:34,634 やはり千手であったか。 45 00:05:34,634 --> 00:05:38,772 (千手)狩野介様 お頼み申します。 46 00:05:38,772 --> 00:05:43,977 いま一度… いま一度 重衡様に…! 47 00:05:51,785 --> 00:05:55,121 千手! 48 00:05:55,121 --> 00:05:58,425 千手 どうしてここへ? 49 00:05:58,425 --> 00:06:04,564 (泣き声) 50 00:06:04,564 --> 00:06:10,370 奈良へ お移しされると聞き➡ 51 00:06:10,370 --> 00:06:14,741 一目だけでも お会いしたく…。 52 00:06:14,741 --> 00:06:24,451 ♬~ 53 00:06:24,451 --> 00:06:28,755 いま一度 そなたに会えるとは…➡ 54 00:06:28,755 --> 00:06:34,561 地獄へ落ちる重衡への これは 仏のご慈悲であろう。 55 00:06:34,561 --> 00:06:38,932 (千手)私も その 地獄へお連れください ご一緒に! 56 00:06:38,932 --> 00:06:46,106 その言葉 うれしいが… ならぬ! 57 00:06:46,106 --> 00:06:48,942 重衡様! 58 00:06:48,942 --> 00:06:57,284 (泣き声) 59 00:06:57,284 --> 00:07:07,894 ♬~ 60 00:07:07,894 --> 00:07:11,564 ここを死に場所と知った重衡は➡ 61 00:07:11,564 --> 00:07:16,870 称名を唱えながら 廊を巡りたいと願い出ました。 62 00:07:19,239 --> 00:07:26,112 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏➡ 63 00:07:26,112 --> 00:07:32,118 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…。 64 00:07:36,589 --> 00:07:42,762 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…。 65 00:07:42,762 --> 00:07:53,406 (千手)な む あ み だ ぶ つ な む あ み だ ぶ つ…。➡ 66 00:07:53,406 --> 00:08:00,180 な む あ み だ ぶ つ。 67 00:08:00,180 --> 00:08:03,550 な む あ み だ…。 68 00:08:03,550 --> 00:08:05,752 (斬る音) 69 00:08:15,161 --> 00:08:59,973 ♬~ 70 00:09:01,608 --> 00:09:05,578 話は 周防の範頼軍に戻ります。 71 00:09:05,578 --> 00:09:09,349 備前 藤戸の戦いを勝ち取った範頼軍は➡ 72 00:09:09,349 --> 00:09:14,053 西へ敗走する平家軍を追って 周防まで進みます。 73 00:09:14,053 --> 00:09:18,058 船を持たぬまま ひたすら陸地を。 74 00:09:23,063 --> 00:09:24,998 (義時)範頼殿。 75 00:09:24,998 --> 00:09:30,737 おお 義時殿 ちょうどよい 一献召されよ。 76 00:09:30,737 --> 00:09:34,374 どうやら 深追いし過ぎましたぞ。 77 00:09:34,374 --> 00:09:37,243 背後を断たれ申した! 78 00:09:37,243 --> 00:09:39,179 何!? 79 00:09:39,179 --> 00:09:46,920 幾日かの後 後白河院から 再び 義経に 叙位のご沙汰がありました。 80 00:09:46,920 --> 00:09:52,792 大夫判官 従五位下に任ぜられ 昇殿が許されたのです。 81 00:09:52,792 --> 00:10:00,767 その方 今日より 九郎判官義経じゃ。 よいな? 82 00:10:00,767 --> 00:10:05,605 はっ。 ありがたき幸せにござりまする。 83 00:10:05,605 --> 00:10:11,111 (後白河) 鎌倉は そなたに冷たい …と聞くが。 84 00:10:11,111 --> 00:10:13,613 決して そのようなことはございませぬ。 85 00:10:13,613 --> 00:10:20,386 朝廷への忠誠の心 忘れぬようにな。 86 00:10:20,386 --> 00:10:22,322 はっ! 87 00:10:22,322 --> 00:10:27,160 そして そのころ 周防で戦う範頼の軍は…。 88 00:10:27,160 --> 00:10:31,164 ⚟脱走じゃ~! 陣抜けじゃ~! 89 00:10:34,300 --> 00:10:37,203 おのれ~ 逃げ足の速いやつめ! 90 00:10:37,203 --> 00:10:41,074 よいか お前たち! 脱走したら斬るぞ! 91 00:10:41,074 --> 00:10:47,013 けど わしら みんな気持ちは同じだ。 もう3日も食ってねえ! 92 00:10:47,013 --> 00:10:49,849 このままじゃ みんな飢え死にだ! 93 00:10:49,849 --> 00:10:51,851 うう~…。 94 00:10:51,851 --> 00:10:59,993 来るなら来い! 鎧袖一触じゃ! ハハハハハ! 95 00:10:59,993 --> 00:11:04,764 範頼殿 脱走騒ぎが起きているようですが。 96 00:11:04,764 --> 00:11:09,602 何? 脱走? フフフフフフ。 97 00:11:09,602 --> 00:11:12,505 それは平家の話であろう。 98 00:11:12,505 --> 00:11:16,476 坂東武者に限って そのような…。 99 00:11:16,476 --> 00:11:20,780 あなたは総大将ですぞ! 酒は お慎みなされい! 100 00:11:20,780 --> 00:11:23,816 あ… 義時殿…。 101 00:11:23,816 --> 00:11:29,122 ⚟(喊声) 102 00:11:29,122 --> 00:11:32,125 わあ 敵が…! 103 00:11:47,307 --> 00:11:50,210 お帰りなされませ。 104 00:11:50,210 --> 00:11:54,213 百合野 先に休んでいてよいのじゃ。 105 00:11:58,651 --> 00:12:04,457 静殿のところへ お渡りなのでございましょう? 106 00:12:04,457 --> 00:12:10,463 雪が降っておりますゆえ 私がお送りいたしましょう。 107 00:12:14,601 --> 00:12:42,295 ♬~ 108 00:12:42,295 --> 00:12:45,198 おやすみなさいませ。 109 00:12:45,198 --> 00:12:49,636 待て。 差していきなさい。 110 00:12:49,636 --> 00:12:53,306 いえ 私は…。 111 00:12:53,306 --> 00:13:03,750 ♬~ 112 00:13:03,750 --> 00:13:08,955 百合野様 私がお送りいたします。 113 00:13:11,624 --> 00:13:13,760 はい。 114 00:13:13,760 --> 00:13:35,448 ♬~ 115 00:13:42,422 --> 00:13:45,124 お呼びでございますか。 116 00:13:45,124 --> 00:13:49,429 九郎には 静とか申す そばめがおるそうじゃ。 117 00:13:49,429 --> 00:13:51,964 侍女の狭山が知らせてまいった。 118 00:13:51,964 --> 00:13:56,302 我らが こし入れさせた百合野を ないがしろにするとは…。 119 00:13:56,302 --> 00:14:01,074 院のご寵愛をよいことに 増長しておるのか 九郎は! 120 00:14:01,074 --> 00:14:04,944 私の方へは 百合野から 手紙が参っております。 121 00:14:04,944 --> 00:14:07,380 うん さぞ嘆いておろうな。 122 00:14:07,380 --> 00:14:11,584 いいえ。 百合野は 九郎殿に優しくしていただき➡ 123 00:14:11,584 --> 00:14:13,920 大層幸せだと書いてあります。 124 00:14:13,920 --> 00:14:16,255 何じゃと? 125 00:14:16,255 --> 00:14:21,127 そばめの一人や二人 殿にも身に覚えがございましょうに。 126 00:14:21,127 --> 00:14:23,396 フフフフフ。 (せきばらい) 127 00:14:23,396 --> 00:14:28,601 ⚟(時政)御免。ああ しゅうと殿か。 128 00:14:30,169 --> 00:14:33,606 せがれ 義時より 火急の知らせが。 129 00:14:33,606 --> 00:14:36,109 兄上が何か? ああ。 130 00:14:36,109 --> 00:14:40,279 兵糧不足のため このままでは自滅のほかはないと➡ 131 00:14:40,279 --> 00:14:42,215 援軍を求めてきております。 132 00:14:42,215 --> 00:14:45,618 範頼には ちと荷が重すぎたかのう。 133 00:14:45,618 --> 00:14:52,391 殿 範頼様を ひとまず お退かせあって 九郎の殿を 改めて 平家追討に…。 134 00:14:52,391 --> 00:14:54,961 いや それはならぬ。 しかし…。ともかく➡ 135 00:14:54,961 --> 00:14:58,631 範頼を書状でいさめるのが先じゃ。 136 00:14:58,631 --> 00:15:01,067 あなた お待ちください。 ん? 137 00:15:01,067 --> 00:15:03,369 それでは間に合いませぬ。 138 00:15:03,369 --> 00:15:07,740 先に 兄 宗時を失い 更に また一人の兄を失うこと➡ 139 00:15:07,740 --> 00:15:10,243 私には耐えられませぬ。 140 00:15:10,243 --> 00:15:13,146 何とぞ 九郎殿を差し向けてくだされ! 141 00:15:13,146 --> 00:15:17,350 (時政)殿 私からもお願いいたします。 142 00:15:18,951 --> 00:15:20,953 九郎めが! 143 00:15:20,953 --> 00:15:28,594 頼朝は 心ならずも 義経を 平家追討の大将軍に任じます。 144 00:15:28,594 --> 00:15:32,098 (弁慶)殿! 殿! 145 00:15:32,098 --> 00:15:36,936 しかし その心を 義経は知りません。 146 00:15:36,936 --> 00:15:39,405 殿 どういうことでございましょうか。 147 00:15:39,405 --> 00:15:46,946 私どもには さっぱり分かりませぬが またまた 平家追討のご命令。 148 00:15:46,946 --> 00:15:49,849 訳など分からずともよい。 149 00:15:49,849 --> 00:15:55,655 私はうれしい。 兄上が私を信じてくださった。 150 00:15:55,655 --> 00:15:58,858 これほど うれしいことがあろうか。 151 00:16:01,060 --> 00:16:04,564 さあ こよいこそ 酒盛りといこう! 152 00:16:08,935 --> 00:16:14,073 う~ん…。 確かに めでたいことには違いないのだが…。 153 00:16:14,073 --> 00:16:17,109 もろ手を挙げて祝ってよいかどうか…。 154 00:16:17,109 --> 00:16:20,580 (経春)いいんです! もろ手を挙げて祝っていいんです! 155 00:16:20,580 --> 00:16:24,083 うん? 俺… 俺は➡ 156 00:16:24,083 --> 00:16:27,587 初めて義経様の気持ちが分かりました。 157 00:16:27,587 --> 00:16:31,924 義経様は 頼朝様が好きなんです。 158 00:16:31,924 --> 00:16:34,961 理屈も何もなく ただ好きなんです。 159 00:16:34,961 --> 00:16:37,797 俺は その義経様が好きです! 160 00:16:37,797 --> 00:16:40,600 ああ そうだ。 俺たちも! 161 00:16:40,600 --> 00:16:46,405 その義経様のためにも 命をささげる。 それでよいではないか。 162 00:16:46,405 --> 00:16:49,609 そうだ。 それでいい! 163 00:16:49,609 --> 00:16:52,411 さあ 酒盛りだ! 164 00:16:52,411 --> 00:16:58,918 (いななき) 165 00:17:05,892 --> 00:17:10,763 ご武運を お祈り申します。 166 00:17:10,763 --> 00:17:15,601 何とぞ ご無事のご帰還を。 167 00:17:15,601 --> 00:17:18,371 うん。 168 00:17:18,371 --> 00:17:21,574 いざ! 出陣じゃ! 169 00:17:21,574 --> 00:17:24,610 (一同)お~! 170 00:17:24,610 --> 00:17:43,763 ♬~ 171 00:17:43,763 --> 00:17:46,799 兄 頼朝の憎しみを知らぬまま➡ 172 00:17:46,799 --> 00:17:53,105 九郎判官義経は 屋島へ向かって出発します。 173 00:17:53,105 --> 00:17:56,409 一方 屋島の平家は➡ 174 00:17:56,409 --> 00:18:02,048 味方につくはずの大軍を見込んで その義経を待ち受けます。 175 00:18:02,048 --> 00:18:10,756 源氏と平家は こうして 悲しい最後の戦いに突入していくのです。 176 00:18:10,756 --> 00:19:27,066 ♬~