1 00:00:02,169 --> 00:00:07,107 (みつえ)水と油が仲ようなんのは やっぱり無理なんやろか。 2 00:00:07,107 --> 00:00:12,246 (シズ)福富と競い合うてきたおかげで 今の岡安があんのやて➡ 3 00:00:12,246 --> 00:00:15,148 わては ずっと そない思てきたんだす。 4 00:00:15,148 --> 00:00:20,120 姐さんにだけは 芝居茶屋 辞めんといてほしかった。➡ 5 00:00:20,120 --> 00:00:22,823 行くで みつえ。 6 00:00:24,591 --> 00:00:28,462 (菊)あんた これ以上 福助 そそのかさんといて。 7 00:00:28,462 --> 00:00:31,932 (福助)お母ちゃん 何言うてんねん。 うちは ほんまに福助…。 8 00:00:31,932 --> 00:00:37,804 人には それぞれ ふさわしい居場所っちゅうもんがある。 9 00:00:37,804 --> 00:00:40,507 あんたは うちに ふさわしない。 10 00:00:47,481 --> 00:00:52,185 (ハナ)おばあちゃんは あんたの味方や。 11 00:00:54,621 --> 00:00:58,292 幸せになり。 12 00:00:58,292 --> 00:01:00,994 ええな。 13 00:01:02,563 --> 00:01:05,899 おおきに おばあちゃん…。 14 00:01:05,899 --> 00:01:09,770 (一平)俺は この台本で 母親の無償の愛情描きたかったんです。 15 00:01:09,770 --> 00:01:14,074 (千之助) お前に親の気持ちの何が分かるんじゃ。 16 00:01:19,246 --> 00:01:27,588 ♬「オレンジのクレヨンで 描いた太陽だけじゃ」 17 00:01:27,588 --> 00:01:35,929 ♬「まだ何か足りない気がした」 18 00:01:35,929 --> 00:01:44,605 ♬「涙色したブルー こぼれて ひろがって」 19 00:01:44,605 --> 00:01:51,278 ♬「ほら いつも通りの空」 20 00:01:51,278 --> 00:01:55,148 ♬「これは夢じゃない(夢みたい)」 21 00:01:55,148 --> 00:01:59,152 ♬「傷つけば痛い(嘘じゃない)」 22 00:01:59,152 --> 00:02:07,227 ♬「どんな今日も愛したいのにな」 23 00:02:07,227 --> 00:02:13,100 ♬「笑顔をあきらめたくないよ」 24 00:02:13,100 --> 00:02:19,806 ♬「転んでも ただでは起きない」 25 00:02:19,806 --> 00:02:24,244 ♬「そう 強くなれる」 26 00:02:24,244 --> 00:02:29,116 ♬「かさぶたが消えたなら」 27 00:02:29,116 --> 00:02:34,588 ♬「聞いてくれるといいな」 28 00:02:34,588 --> 00:02:41,461 ♬「泣き笑いのエピソードを」 29 00:02:41,461 --> 00:02:49,603 ♬~ 30 00:02:49,603 --> 00:02:56,943 さて 今回の鶴亀家庭劇 「マットン婆さん」のお話とは。 31 00:02:56,943 --> 00:03:02,549 この片桐儀平は マットンこと お松が 女中として奉公していたうちの主人です。 32 00:03:02,549 --> 00:03:09,256 はように妻を亡くし 儀平の3人の子供は お松が実の母親のように育てました。 33 00:03:11,224 --> 00:03:14,127 (太鼓の音) こちらが主人公のお松さん。 34 00:03:14,127 --> 00:03:18,098 みんなから「お松どん お松どん」と 呼ばれてるうちに それが縮まって➡ 35 00:03:18,098 --> 00:03:20,567 マットンになったそうです。 36 00:03:20,567 --> 00:03:28,909 お松どん 松どん 松トン で マットンっていうことですわな。 37 00:03:28,909 --> 00:03:31,244 ちょっと無理あらへんか? 何じゃと コラ。 38 00:03:31,244 --> 00:03:34,915 (太鼓の音) やがて 30年の歳月が流れ➡ 39 00:03:34,915 --> 00:03:36,850 すっかり大きなった子供たち。 40 00:03:36,850 --> 00:03:41,588 せやけど 長男の正一郎と妹の満里子は 育ててもろた恩も忘れて➡ 41 00:03:41,588 --> 00:03:45,459 年老いたお松を邪魔者扱いし 追い出そうとします。 42 00:03:45,459 --> 00:03:51,264 しかし 末っ子の三郎は お松が大好き。 いつまでも お松にいてもらうため➡ 43 00:03:51,264 --> 00:03:57,938 もう60半ばにもなる彼女と 自分の父 儀平を結婚させようと考えたのです。 44 00:03:57,938 --> 00:04:00,841 えらい むちゃな話やなあ。 45 00:04:00,841 --> 00:04:03,543 千さんに言うてくれ。 46 00:04:03,543 --> 00:04:07,881 「マットンに財産取られてまう!」と 正一郎と満里子は大反対。 47 00:04:07,881 --> 00:04:11,551 実は2人は詐欺に遭うて ぎょうさん借金があったんです。 48 00:04:11,551 --> 00:04:16,423 今夜中にお金が用意できなければ 大変なことに。 えらいこっちゃ! 49 00:04:16,423 --> 00:04:20,227 (千代)えらい大金やんか! (天晴)これ わしらに? 50 00:04:20,227 --> 00:04:23,130 ああ。 こんだけあったら なんとか しのげる。 51 00:04:23,130 --> 00:04:26,566 三郎 おおきに。 さすが わしの弟や。 おおきに。 52 00:04:26,566 --> 00:04:29,469 お礼言うのは 僕やあれへん。 53 00:04:29,469 --> 00:04:33,907 そのお金はな マットンが大事に ためたもんなんやで。 54 00:04:33,907 --> 00:04:36,910 (天晴)何やて? マットンが? 55 00:04:40,247 --> 00:04:45,118 あれほど内緒にて言いましたやろ。 56 00:04:45,118 --> 00:04:49,589 黙ってられるはずあれへんやろ。 マットン ほんまにええんか? 57 00:04:49,589 --> 00:04:52,926 うちら あんたに いつも無理言うて 困らしてたのに。 58 00:04:52,926 --> 00:04:56,263 (棒読みで) ええ 正一郎さんも満里子さんも➡ 59 00:04:56,263 --> 00:04:59,599 わてにとったら ほんまの子供みたいなもんで。 60 00:04:59,599 --> 00:05:01,535 (天晴)マットン…。 61 00:05:01,535 --> 00:05:06,406 あの調子やと 明日も何しでかしはるか 分かれへんなあ 千之助さん。 62 00:05:06,406 --> 00:05:10,877 どうせ また むちゃくちゃにして 一人だけ笑いとるつもりやろ。 63 00:05:10,877 --> 00:05:13,547 もうええ。 64 00:05:13,547 --> 00:05:22,222 なあ 母親の無償の愛言うてたやんか。 何で そないなこと やりたかったん? 65 00:05:22,222 --> 00:05:26,560 そないいうたら あんたの お父ちゃんの話は よう聞くけど➡ 66 00:05:26,560 --> 00:05:28,895 お母ちゃんの話は 聞いたことあれへんなあ。 67 00:05:28,895 --> 00:05:34,601 どないな人やったん? 何でお前に言わなあかんねん。 68 00:05:37,571 --> 00:05:41,274 ええやんか別に… ケチ。 69 00:05:42,909 --> 00:05:45,812 みつえ? 70 00:05:45,812 --> 00:05:48,582 ちょちょちょちょちょちょ…! 71 00:05:48,582 --> 00:05:52,452 出ていくて 何で? しっ! もう こないするしかあれへん。 72 00:05:52,452 --> 00:05:55,455 考え直し。 うちが必ず ご寮人さん説得したげるさかい。 73 00:05:55,455 --> 00:06:00,527 無理やて。 見たやろ こないだの菊さんとのこと。 74 00:06:00,527 --> 00:06:03,530 4年前は うちが あんたを逃がしたったやろ。 75 00:06:06,199 --> 00:06:09,102 (赤松)千代ちゃん。 76 00:06:09,102 --> 00:06:11,872 はよう! 77 00:06:11,872 --> 00:06:25,885 ♬~ 78 00:06:25,885 --> 00:06:28,555 (宗助)どないしよ…。 79 00:06:28,555 --> 00:06:31,458 あ~ どないしよ。 80 00:06:31,458 --> 00:06:34,761 頼みましたで。 (小次郎)へえ。 81 00:06:36,897 --> 00:06:39,199 頼んますわな。 82 00:06:41,234 --> 00:06:45,238 あ~ どないしよ…。 落ち着きなはれ。 83 00:06:47,107 --> 00:06:49,109 どないかしたんですか? 84 00:06:49,109 --> 00:06:52,245 (富士子)あんたら いとさんから何か聞いてへんか?えっ? 85 00:06:52,245 --> 00:06:54,180 (節子)これ…。➡ 86 00:06:54,180 --> 00:06:58,918 駆け落ちしはったんだす 福富のボンと。 87 00:06:58,918 --> 00:07:01,221 えっ…。 88 00:07:10,530 --> 00:07:20,540 ♬~ 89 00:07:20,540 --> 00:07:27,881 (シズ)みつえが 3つのお祝いの時にな 初めてあつらえた着物だす。 90 00:07:27,881 --> 00:07:35,755 あの子 大喜びで走り回って 水たまりで こけてしもてな➡ 91 00:07:35,755 --> 00:07:41,227 上から下まで あっちゅう間に 泥だらけになってしもたんや。 92 00:07:41,227 --> 00:07:44,898 すぐに きれいにしたげるって 言うたんやけど➡ 93 00:07:44,898 --> 00:07:51,771 あの子 「新しいの買うて~!」って えらい泣いてな。 94 00:07:51,771 --> 00:07:57,077 ほんまに わがままな子やったわ。 95 00:07:59,245 --> 00:08:03,516 ほんで どないしたと思う? 96 00:08:03,516 --> 00:08:12,192 そら ご寮人さんは きつうお灸据えはったんと違いますか? 97 00:08:12,192 --> 00:08:18,865 新しい着物 また あつらえてしもた。 98 00:08:18,865 --> 00:08:24,537 わても旦さんも そない甘やかしたら あかんて分かってたんや。 99 00:08:24,537 --> 00:08:32,879 分かってたんやけど どないもこないも 可愛うてなあ…。 100 00:08:32,879 --> 00:08:41,221 あの時の みつえの うれしそうな顔は 一生忘れられへん。 101 00:08:41,221 --> 00:08:44,924 今でも わての宝物や。 102 00:08:51,564 --> 00:08:54,567 ぼちぼち行くで。 103 00:08:56,436 --> 00:08:58,905 おい 千代。 104 00:08:58,905 --> 00:09:04,210 役者やろ。 今は芝居のことだけ考え。 105 00:09:11,484 --> 00:09:14,854 (拍手) 106 00:09:14,854 --> 00:09:19,559 そして 「マットン婆さん」の幕が開きました。 107 00:09:22,729 --> 00:09:26,199 お父さん お願いします。 お金を貸してください。 108 00:09:26,199 --> 00:09:33,072 (小山田)そうしてやりたいけどな うちには もう そないな大金あれへん。 109 00:09:33,072 --> 00:09:37,811 わしが隠居した途端 見え見えの詐欺に引っ掛かりよって➡ 110 00:09:37,811 --> 00:09:39,746 この大バカ者が! 111 00:09:39,746 --> 00:09:42,749 そないなこと言わんと この家 担保にして➡ 112 00:09:42,749 --> 00:09:44,884 お父さんが どっかから お金借りてくれたら…。 113 00:09:44,884 --> 00:09:47,220 そないなことしたら わしは このあと➡ 114 00:09:47,220 --> 00:09:49,556 どないして暮らしていったらええ いうねん。 115 00:09:49,556 --> 00:09:51,891 そもそも マットンを雇うお金はあんのに➡ 116 00:09:51,891 --> 00:09:55,762 実の子である うちらに出すお金は あらへんなんて おかしいやろ。 117 00:09:55,762 --> 00:09:58,765 あないな役立たず さっさとクビにしたらええんや。 118 00:09:58,765 --> 00:10:02,235 なんちゅうこと言うねん! 僕らを育ててくれた恩人やで。 119 00:10:02,235 --> 00:10:06,106 覚えてへんわ そない大昔のこと。 マットンもマットンや。 120 00:10:06,106 --> 00:10:09,109 ええ年して お父さんと めおとになりたいやなんて…。 121 00:10:09,109 --> 00:10:12,579 お父さんが死んだら この家 遺産に貰うつもりで➡ 122 00:10:12,579 --> 00:10:15,915 そないなこと言うてんのちゃうか。 なんち…。 123 00:10:15,915 --> 00:10:19,586 もうええ。 124 00:10:19,586 --> 00:10:21,521 持っていきな。 125 00:10:21,521 --> 00:10:24,524 えっ? 何や。 126 00:10:28,261 --> 00:10:30,597 (千之助)失礼します。 127 00:10:30,597 --> 00:10:33,933 よっ 千之助! (拍手) 128 00:10:33,933 --> 00:10:39,806 また千之助さんが 台本にまるでない お芝居を始めはりました。 129 00:10:39,806 --> 00:10:46,513 三郎さん よいしょ… こっち… こっち ちょっと…。 130 00:10:46,513 --> 00:10:51,284 あのお金は マットンが用意したっていうのは➡ 131 00:10:51,284 --> 00:10:56,623 くれぐれも内緒でお願いします。 132 00:10:56,623 --> 00:11:00,493 えらい大金やんか! これを わしらに? 133 00:11:00,493 --> 00:11:02,795 そのお金はな マットンが…。 三郎さん! 134 00:11:11,137 --> 00:11:17,577 そのお金は マットンが用意しました。 135 00:11:17,577 --> 00:11:20,480 (天晴)何やて? マットンが? 136 00:11:20,480 --> 00:11:24,450 まあ 三郎さん えらい口の軽い。 137 00:11:24,450 --> 00:11:27,253 マットン 今 自分で言うたんやで。 138 00:11:27,253 --> 00:11:31,591 わてが言いましたか? わてが言いましたか? 139 00:11:31,591 --> 00:11:35,461 何でもかんでも マットンのせいにして。 140 00:11:35,461 --> 00:11:40,600 (笑い声) 141 00:11:40,600 --> 00:11:48,308 けどな… マットンは うれしおます。 142 00:11:50,944 --> 00:12:02,221 あんさんらには こない ちいちゃい頃から た~んと無理言われてきましたけどな➡ 143 00:12:02,221 --> 00:12:05,558 無理言われたら言われるほど➡ 144 00:12:05,558 --> 00:12:10,897 マットンを 頼りにしてくれてはるんやなあて➡ 145 00:12:10,897 --> 00:12:14,901 うれしゅうて うれしゅうて…。 146 00:12:17,236 --> 00:12:22,909 これからも遠慮のう無理言うて➡ 147 00:12:22,909 --> 00:12:26,613 どうか マットンを困らせとくなはれ。 148 00:12:29,582 --> 00:12:33,453 (千之助)どう逆立ちしたかて➡ 149 00:12:33,453 --> 00:12:41,194 あんさんらの ほんまのお母ちゃんには なれませんけど➡ 150 00:12:41,194 --> 00:12:48,268 ほんまのお母ちゃんの代わりに 無理聞いてあげるんが➡ 151 00:12:48,268 --> 00:12:52,972 マットンの生きる喜びです。 152 00:12:55,942 --> 00:12:59,612 俺は この台本で 母親の無償の愛情描きたかったんです。 153 00:12:59,612 --> 00:13:04,217 お前に親の気持ちの何が分かるんじゃ。 154 00:13:04,217 --> 00:13:08,888 (天晴)マットン…。 (すすり泣き) 155 00:13:08,888 --> 00:13:11,557 マットンちゃいますやろ。 156 00:13:11,557 --> 00:13:14,560 せやな。 157 00:13:18,431 --> 00:13:21,901 おおきに お母さん。 158 00:13:21,901 --> 00:13:26,773 いや~! 満里子が マットンって呼んでくれない。 159 00:13:26,773 --> 00:13:30,243 お母さん。 いや~ もう 正一郎さん…。 160 00:13:30,243 --> 00:13:34,914 お母さん。 お母さん。 161 00:13:34,914 --> 00:13:38,785 おや 旦さん 恥ずかしい。 162 00:13:38,785 --> 00:13:43,790 もう旦さんやあらへん。 あんさんや。 163 00:13:47,260 --> 00:13:50,163 あんさん。 164 00:13:50,163 --> 00:13:55,601 (拍手) 165 00:13:55,601 --> 00:13:58,938 お母さん。 166 00:13:58,938 --> 00:14:06,546 (拍手) 167 00:14:06,546 --> 00:14:08,881 (百久利)お疲れさんでした。 あ~ しんど。 はい お疲れさん。 168 00:14:08,881 --> 00:14:10,817 これだけやな 今日。 はい。 169 00:14:10,817 --> 00:14:13,119 ほな お先。 170 00:14:15,221 --> 00:14:18,891 俺は 何見てたんや。 171 00:14:18,891 --> 00:14:22,562 自分の台本 めちゃくちゃに 変えられたんが悔しゅうて➡ 172 00:14:22,562 --> 00:14:25,231 目ぇそらしてた。 173 00:14:25,231 --> 00:14:29,569 形は変わっても 俺がやりたかったことが ちゃんと残ってる。 174 00:14:29,569 --> 00:14:35,908 千さんは はなから あれを目指してたんや。 175 00:14:35,908 --> 00:14:41,214 悔しいけど この芝居 おもろいわ。 176 00:14:45,918 --> 00:14:47,920 (天晴)千代ちゃん?