1 00:00:02,202 --> 00:00:06,940 (ハナ)ちょっと 昔話 してもええか。 2 00:00:06,940 --> 00:00:09,610 (天海)飯なんか食うてられるか! 3 00:00:09,610 --> 00:00:11,545 (一平)お父ちゃん! 4 00:00:11,545 --> 00:00:14,481 (天海)先前から お前 ここにおるやない…。 5 00:00:14,481 --> 00:00:18,619 何してんねん。 6 00:00:18,619 --> 00:00:24,491 お母ちゃんみたいに なりたかったんや。 7 00:00:24,491 --> 00:00:30,497 お母ちゃんの顔 忘れんようにと思うて。 8 00:00:32,633 --> 00:00:41,975 (笑い声) 9 00:00:41,975 --> 00:00:45,312 一平 何や その顔は。 10 00:00:45,312 --> 00:00:48,649 あほやなあ ほんまに。 11 00:00:48,649 --> 00:00:52,319 (天海)こんなことしたらな➡ 12 00:00:52,319 --> 00:00:56,657 お母ちゃんが叱るやないか。 なあ。 ハハハハ。 13 00:00:56,657 --> 00:01:04,932 ♬「オレンジのクレヨンで 描いた太陽だけじゃ」 14 00:01:04,932 --> 00:01:12,606 ♬「まだ何か足りない気がした」 15 00:01:12,606 --> 00:01:16,476 ♬「これは夢じゃない(夢みたい)」 16 00:01:16,476 --> 00:01:20,948 ♬「傷つけば痛い(嘘じゃない)」 17 00:01:20,948 --> 00:01:28,622 ♬「どんな今日も愛したいのにな」 18 00:01:28,622 --> 00:01:34,494 ♬「笑顔をあきらめたくないよ」 19 00:01:34,494 --> 00:01:41,635 ♬「転んでも ただでは起きない」 20 00:01:41,635 --> 00:01:45,505 ♬「そう 強くなれる」 21 00:01:45,505 --> 00:01:50,644 ♬「かさぶたが消えたなら」 22 00:01:50,644 --> 00:01:55,515 ♬「聞いてくれるといいな」 23 00:01:55,515 --> 00:02:02,589 ♬「泣き笑いのエピソードを」 24 00:02:02,589 --> 00:02:11,598 ♬~ 25 00:02:13,233 --> 00:02:17,604 天海さんは 役者を辞めはれへんかった。 26 00:02:17,604 --> 00:02:19,906 何でか分かるか? 27 00:02:22,275 --> 00:02:25,612 あんた お母ちゃんが恋しいて お母ちゃんが残していきはった➡ 28 00:02:25,612 --> 00:02:29,282 紅や おしろいを 顔に塗りたくったことがあったんやて。 29 00:02:29,282 --> 00:02:34,621 (天海)親の顔が見てみたいわ。 どんな あほな面しとんねん。 ええ?➡ 30 00:02:34,621 --> 00:02:37,290 わしか~! 31 00:02:37,290 --> 00:02:42,629 それ見て 天海さん大笑いしはって…。 32 00:02:42,629 --> 00:02:50,971 そしたらな 無性に台本が書きたなってんて。 33 00:02:50,971 --> 00:02:53,874 あんたへの思いを 書いとかなあかん。 34 00:02:53,874 --> 00:02:56,576 芝居にせなあかんて。 35 00:02:58,645 --> 00:03:14,127 ♬~ 36 00:03:14,127 --> 00:03:18,598  回想 (天海)もはや 父は この世のものではないのじゃ。 37 00:03:18,598 --> 00:03:25,305  回想  わてら 幽霊なんどすえ。ええっ! 38 00:03:28,275 --> 00:03:30,944  回想 (天海)事情を話す暇はない。➡ 39 00:03:30,944 --> 00:03:35,816 こうやって 母上にも そなたにも 会うことができて➡ 40 00:03:35,816 --> 00:03:42,556 何の思い残すことものう あの世に旅立つことができる。 41 00:03:42,556 --> 00:03:46,960 父上! 菊松! 42 00:03:46,960 --> 00:03:51,264 お会いしとうございました。 43 00:03:59,973 --> 00:04:04,244 あんたや。 あんたが お父ちゃんに➡ 44 00:04:04,244 --> 00:04:09,916 もっぺん 一から ほんまもんの 喜劇いうもんを作りたいて思わせたんや。 45 00:04:09,916 --> 00:04:16,790 あんたが天海天海継ぐの 誰よりも 喜んではんのは お父ちゃんと違うかな。 46 00:04:16,790 --> 00:04:19,593 あんたに役者続けてほしいて 誰よりも願てはんのは➡ 47 00:04:19,593 --> 00:04:21,895 お父ちゃんのはずや。 48 00:04:24,464 --> 00:04:32,472 何やねん… 何やねん さっきから…。 49 00:04:35,942 --> 00:04:39,246 もう遅いねや…。 50 00:04:41,615 --> 00:04:44,317 もう会えへんねん…。 51 00:04:46,486 --> 00:04:53,493 お父ちゃんにも お母ちゃんにも…。 52 00:04:57,631 --> 00:05:02,636 もう二度と…。 53 00:05:17,117 --> 00:05:20,420 生きるって しんどいのう。 54 00:05:23,790 --> 00:05:28,595 しんどいのう…。 55 00:05:28,595 --> 00:05:36,603 けどな… あんたは一人やあれへん。 56 00:05:40,207 --> 00:05:42,943 うちがいてる。 57 00:05:42,943 --> 00:05:57,958 ♬~ 58 00:06:00,894 --> 00:06:05,565 先代が この世を去ってから幾年月。 59 00:06:05,565 --> 00:06:12,239 この番組が始まってから ひいの ふうの みいの…。 60 00:06:12,239 --> 00:06:18,578 まっ いろいろありましたが ついに この日が やってまいりました。 61 00:06:18,578 --> 00:06:34,928 ♬~ 62 00:06:34,928 --> 00:06:39,599 (熊田)皆さん よろしゅうお願いいたします。 63 00:06:39,599 --> 00:06:42,269 (一同)お願いします。 64 00:06:42,269 --> 00:06:55,282 ♬~ 65 00:06:55,282 --> 00:07:15,235 (柝の音) 66 00:07:15,235 --> 00:07:25,578 (拍手) 67 00:07:25,578 --> 00:07:32,886 (天晴)東西…。 (一同)東西! 68 00:07:37,590 --> 00:07:42,262 本日は かくも大勢様のご来場を賜りまして➡ 69 00:07:42,262 --> 00:07:46,599 まことに ありがとうございます。 70 00:07:46,599 --> 00:07:49,936 この度 私 天海一平は➡ 71 00:07:49,936 --> 00:07:55,809 天海天海の名跡を 襲名させていただく運びと相成りました。 72 00:07:55,809 --> 00:07:59,279 (宗助)よっ 天海! (みつえ)日本一! 73 00:07:59,279 --> 00:08:06,586 (拍手) 74 00:08:09,089 --> 00:08:19,232 この襲名をするにあたり 私は 大きなものを失いました。 75 00:08:19,232 --> 00:08:25,905 ですが それ以上の大切なものに 気付くことができました。 76 00:08:25,905 --> 00:08:30,210 先代である 父の思いに…。 77 00:08:33,780 --> 00:08:37,250 父の法要の時のことでございます。 78 00:08:37,250 --> 00:08:39,919 供養をお願いしたお坊さんが その日に限って➡ 79 00:08:39,919 --> 00:08:42,589 大事な鉦を お忘れになってしまいはりまして…。 80 00:08:42,589 --> 00:08:44,924 (千之助)フフフ…。 81 00:08:44,924 --> 00:08:48,261 肝心の鳴らすとこで お経が止まってしまいはりました。 82 00:08:48,261 --> 00:08:50,196 (笑い声) 83 00:08:50,196 --> 00:08:53,933 我々 お墓の前で右往左往。 84 00:08:53,933 --> 00:08:57,270 その時 近くにいてた人力車の車夫が 気を利かせて➡ 85 00:08:57,270 --> 00:09:01,141 車の呼び鈴の鈴を お坊さんに渡したんです。 86 00:09:01,141 --> 00:09:04,077 ハハハハハハ! 87 00:09:04,077 --> 00:09:08,214 なんまいだ~ なんまいだ~。 88 00:09:08,214 --> 00:09:10,550 シャン シャン シャン シャン シャン。 89 00:09:10,550 --> 00:09:14,888 まるで猫の鈴ですわ。 その可愛らしい音色に➡ 90 00:09:14,888 --> 00:09:17,557 今にも泣きそうになってはった 参列者の皆さんも➡ 91 00:09:17,557 --> 00:09:21,561 思わず どっと笑いに包まれまして…。 92 00:09:24,230 --> 00:09:28,902 笑いと涙の隙間は 紙一枚や。 93 00:09:28,902 --> 00:09:32,238 これが喜劇やって➡ 94 00:09:32,238 --> 00:09:39,112 亡き父が 最後の最後に 私に教えてくれたような気がします。 95 00:09:39,112 --> 00:09:46,252 そんな父を 私は ずっと憎んでおりました。 96 00:09:46,252 --> 00:09:50,256 悔やんでも悔やみきれません。 97 00:09:52,125 --> 00:09:56,596 ほんまのことを申せば 私は➡ 98 00:09:56,596 --> 00:10:02,469 この襲名興行の千秋楽を迎えた後 役者を辞めるつもりでおりました。 99 00:10:02,469 --> 00:10:05,171 (どよめき) 100 00:10:09,943 --> 00:10:15,281 ですが 先代も おんなじやったと知りました。 101 00:10:15,281 --> 00:10:22,155 先代 父も 迷い苦しみながら それでも舞台に立ち続けていたんやと➡ 102 00:10:22,155 --> 00:10:25,291 教えられました。 103 00:10:25,291 --> 00:10:30,630 そんな父の名を汚さぬよう 決して ぬかるみになど落とさぬよう➡ 104 00:10:30,630 --> 00:10:34,300 しっかりと抱き締め 守り抜くことを➡ 105 00:10:34,300 --> 00:10:38,171 皆さんに お約束いたします。 106 00:10:38,171 --> 00:10:43,643 (拍手) 107 00:10:43,643 --> 00:10:45,578 (富士子)よっ 天海! 108 00:10:45,578 --> 00:10:49,516 (拍手) 109 00:10:49,516 --> 00:10:52,986 それと もう一つ。 110 00:10:52,986 --> 00:10:57,657 私が 今日 この決意を固められたのは➡ 111 00:10:57,657 --> 00:11:02,929 そこにおります 竹井千代のおかげです。 112 00:11:02,929 --> 00:11:07,267 千代 こっちへ。 113 00:11:07,267 --> 00:11:09,202 おい 一平…。 114 00:11:09,202 --> 00:11:11,604 ええ 座っとけ。 (百久利)千さん…。 115 00:11:11,604 --> 00:11:15,475 ええから座っとけ言うてんねや。 ええ。 116 00:11:15,475 --> 00:11:18,945 はよ来い。 はよ来い。 117 00:11:18,945 --> 00:11:21,848 (騒ぐ声) (千之助)ええから座れ。 118 00:11:21,848 --> 00:11:25,818 (拍手) ええから座れ言うてんねん! 119 00:11:25,818 --> 00:11:29,956 お客さんの前や。 ちゃんとせえ。 すんません。 120 00:11:29,956 --> 00:11:32,859 何で? 121 00:11:32,859 --> 00:11:40,600 私は 彼女に心を救われました。 122 00:11:40,600 --> 00:11:47,307 私のために笑い 泣いてくれる人です。 123 00:11:51,978 --> 00:11:56,316 私事で恐縮至極に存じますが➡ 124 00:11:56,316 --> 00:11:59,986 今日 この場をお借りして➡ 125 00:11:59,986 --> 00:12:03,590 私たちの結婚を ご報告申し上げます。 126 00:12:03,590 --> 00:12:06,893 え~!(どよめき) 127 00:12:08,461 --> 00:12:11,164 ハハハハ…。 えっ? 128 00:12:13,266 --> 00:12:15,602 ハハハハハ。 129 00:12:15,602 --> 00:12:18,271 今日よりは2人で力を合わせて➡ 130 00:12:18,271 --> 00:12:24,277 天海天海の名を後世に伝えていけたらと 願うております。 131 00:12:28,281 --> 00:12:33,152 私たち2人も 家庭劇一同も➡ 132 00:12:33,152 --> 00:12:37,957 まだまだ 未熟なところばかりでございます。 133 00:12:37,957 --> 00:12:47,634 ですが 共に精進を重ね これから 更なる高みを目指して➡ 134 00:12:47,634 --> 00:12:50,536 喜劇道に まい進する所存。 135 00:12:50,536 --> 00:12:54,507 どうか 皆々様におかれましては➡ 136 00:12:54,507 --> 00:13:00,213 引き続き お引き立てのほど➡ 137 00:13:00,213 --> 00:13:04,584 隅から隅まで ずずずい~っと➡ 138 00:13:04,584 --> 00:13:11,457 こいねがい上げ奉りまする~! 139 00:13:11,457 --> 00:13:18,598 (拍手) 140 00:13:18,598 --> 00:13:21,267 天海日本一! 141 00:13:21,267 --> 00:13:24,170 (拍手) 千代 おめでとう! 142 00:13:24,170 --> 00:13:27,940 (3人)おめでとう! (かめ)千代~! 143 00:13:27,940 --> 00:13:31,811 声が上ずってるがな。 144 00:13:31,811 --> 00:13:35,615 まだまだやなあ 2代目。 145 00:13:35,615 --> 00:13:54,300 (拍手) 146 00:13:54,300 --> 00:13:59,005 超えられるもんやったら わし超えてみい。 147 00:14:02,108 --> 00:14:07,580 (拍手) 148 00:14:07,580 --> 00:14:09,582 どないしたん? 149 00:14:11,250 --> 00:14:13,586 いや…。 150 00:14:13,586 --> 00:14:18,458 (拍手) 151 00:14:18,458 --> 00:14:25,932 (拍手と柝の音) 152 00:14:25,932 --> 00:14:35,942 ♬~ 153 00:14:35,942 --> 00:14:37,877 はよせえや。 154 00:14:37,877 --> 00:14:42,281 おめでとう 千代ちゃん 一平君。 155 00:14:42,281 --> 00:14:45,952 いや 天海さん。 おう! 156 00:14:45,952 --> 00:14:52,258 2人の行く先に たくさんの笑いが あふれますように。