1 00:00:04,938 --> 00:00:09,643 (千代)うちら大人には あの子を守る責任がありますのや。 2 00:00:11,278 --> 00:00:14,615 人生は もっともっと楽しいんやてこと➡ 3 00:00:14,615 --> 00:00:16,950 うちらが見せてあげな 誰が見せたげられますのや! 4 00:00:16,950 --> 00:00:19,253 (寛治)もうやめてくれや! 5 00:00:22,289 --> 00:00:30,631 ♬「オレンジのクレヨンで 描いた太陽だけじゃ」 6 00:00:30,631 --> 00:00:38,305 ♬「まだ何か足りない気がした」 7 00:00:38,305 --> 00:00:42,175 ♬「これは夢じゃない(夢みたい)」 8 00:00:42,175 --> 00:00:46,647 ♬「傷つけば痛い(嘘じゃない)」 9 00:00:46,647 --> 00:00:54,321 ♬「どんな今日も愛したいのにな」 10 00:00:54,321 --> 00:01:00,127 ♬「笑顔をあきらめたくないよ」 11 00:01:00,127 --> 00:01:06,900 ♬「転んでも ただでは起きない」 12 00:01:06,900 --> 00:01:11,271 ♬「そう 強くなれる」 13 00:01:11,271 --> 00:01:16,143 ♬「かさぶたが消えたなら」 14 00:01:16,143 --> 00:01:20,948 ♬「聞いてくれるといいな」 15 00:01:20,948 --> 00:01:28,288 ♬「泣き笑いのエピソードを」 16 00:01:28,288 --> 00:01:36,997 ♬~ 17 00:01:41,301 --> 00:01:44,638 (一平)これ。 18 00:01:44,638 --> 00:01:47,975 そして しばらくして➡ 19 00:01:47,975 --> 00:01:50,644 高城さんと小暮君が➡ 20 00:01:50,644 --> 00:01:53,547 樺太からソ連への国境を越えたニュースが➡ 21 00:01:53,547 --> 00:01:55,849 世間を賑わせました。 22 00:01:57,517 --> 00:02:01,822 すごいなあ あの2人は。 23 00:02:04,191 --> 00:02:10,931 (百合子)あなたは あなたの信じることを 貫きなさい。 24 00:02:10,931 --> 00:02:16,803 一平… ちょっとええ? 25 00:02:16,803 --> 00:02:19,106 ああ。 26 00:02:29,616 --> 00:02:33,920 何ですか? 話って。 27 00:02:36,289 --> 00:02:38,225 あのな…。 28 00:02:38,225 --> 00:02:42,162 あっ あれですか? この前のこと まだ謝ってなかったさかい。 29 00:02:42,162 --> 00:02:44,164 そないなことは もうええ。 30 00:02:44,164 --> 00:02:46,633 まさか まだ お母ちゃんて 呼んでほしいてか。 31 00:02:46,633 --> 00:02:48,969 そら勘弁やな。 僕も恥ずかしいよって。 32 00:02:48,969 --> 00:02:51,638 それも もうええ。 33 00:02:51,638 --> 00:02:54,541 ええさかい 黙って聞け。 34 00:02:54,541 --> 00:02:57,244 何や 怖いなあ。 35 00:03:01,448 --> 00:03:10,123 あのな うちが生まれたんは 南河内の ものすご田舎でな…。 36 00:03:10,123 --> 00:03:13,260 うちも お母ちゃんが はように死んで➡ 37 00:03:13,260 --> 00:03:17,597 酒と博打ばっかりで ろくに働きもせん クズみたいなお父ちゃんと➡ 38 00:03:17,597 --> 00:03:19,933 まだ ちいちゃい弟の面倒見ながら➡ 39 00:03:19,933 --> 00:03:23,270 学校にも行かれへん毎日を 送ってったんや。 40 00:03:23,270 --> 00:03:27,140 ほんで あげくの果てに そのお父ちゃんが 別の女連れてきてな➡ 41 00:03:27,140 --> 00:03:30,844 うちは 9歳で家追い出されてしもた。 42 00:03:32,612 --> 00:03:35,515 うちも あんたと おんなじなんや。 43 00:03:35,515 --> 00:03:38,518 お父ちゃんに捨てられてしもた。 44 00:03:42,289 --> 00:03:44,958 ほんでな…➡ 45 00:03:44,958 --> 00:03:48,829 岡安いう芝居茶屋に 奉公さしてもろたんやけど➡ 46 00:03:48,829 --> 00:03:54,968 8年勤めて年季明けた頃にな お父ちゃんが来て➡ 47 00:03:54,968 --> 00:03:58,839 うちは 借金の代わりに 身ぃ売られそうになって➡ 48 00:03:58,839 --> 00:04:01,775 道頓堀 逃げ出したんや。 49 00:04:01,775 --> 00:04:04,578 ほんで そのあと 京都行って➡ 50 00:04:04,578 --> 00:04:08,248 ものすご厳しい座長のいてる 一座に入ったり➡ 51 00:04:08,248 --> 00:04:11,918 撮影所入って 売れへん大部屋女優やってたんやけど➡ 52 00:04:11,918 --> 00:04:16,256 またテルヲが来て…。 あっ お父ちゃん テルヲいうねんけどな。 53 00:04:16,256 --> 00:04:20,594 テルヲが お金せびって…。 54 00:04:20,594 --> 00:04:26,266 ほんで いろいろあって うちは また 道頓堀戻ってくることなって➡ 55 00:04:26,266 --> 00:04:30,937 家庭劇で喜劇やることになったんだす。 56 00:04:30,937 --> 00:04:34,808 その年明けくらいやったかな➡ 57 00:04:34,808 --> 00:04:39,613 十何年ぶりに 弟のヨシヲに会えたんやけどな➡ 58 00:04:39,613 --> 00:04:43,950 結局 また生き別れになって…。 59 00:04:43,950 --> 00:04:48,955 うちは また独りぼっちになってしもた。 60 00:04:51,625 --> 00:04:56,296 あの時は ほんまに つろうて➡ 61 00:04:56,296 --> 00:05:00,567 うちの人生って こないなんかなて思てた時にな➡ 62 00:05:00,567 --> 00:05:04,571 一平が 一緒になろうて言うてくれて。 63 00:05:07,440 --> 00:05:13,914 5年前に 死に際のお父ちゃんが来てな➡ 64 00:05:13,914 --> 00:05:16,817 まあ 今までのことがあったさかい➡ 65 00:05:16,817 --> 00:05:19,586 うちは どないしても許されへんて 思てたんやけど➡ 66 00:05:19,586 --> 00:05:23,256 みんなが ようしてくれてな。 67 00:05:23,256 --> 00:05:28,595 最後の最後に ちょっことだけ許すことでけて➡ 68 00:05:28,595 --> 00:05:33,900 ほんで 今のうちがある ちゅうことなんや。 69 00:05:38,605 --> 00:05:41,508 次は俺の番や。 70 00:05:41,508 --> 00:05:45,478 俺のおやじも役者でな。 71 00:05:45,478 --> 00:05:49,616 小さい頃に 母親が男つくって 家 出てってしもて➡ 72 00:05:49,616 --> 00:05:53,486 俺もな おやじと ずっと2人やったんや。 73 00:05:53,486 --> 00:05:56,957 同じやな。 74 00:05:56,957 --> 00:06:03,763 ほんでな いやいややったけど 子役として舞台に立たされて➡ 75 00:06:03,763 --> 00:06:06,766 はように おやじが死んでしもた。 76 00:06:08,902 --> 00:06:11,805 まあ ほんで すぐに一座は解散して➡ 77 00:06:11,805 --> 00:06:15,775 俺は 台本の勉強やら芝居の勉強してた。 78 00:06:15,775 --> 00:06:21,915 そないな時に 鶴亀が新しい一座作るっつってな➡ 79 00:06:21,915 --> 00:06:26,786 それが 今の鶴亀家庭劇や。 80 00:06:26,786 --> 00:06:29,256 フッ… ええ名前やろ。 81 00:06:29,256 --> 00:06:32,158 (笑い声) 82 00:06:32,158 --> 00:06:37,130 芝居の勉強してる時にな➡ 83 00:06:37,130 --> 00:06:39,899 家族連れのお客さんが➡ 84 00:06:39,899 --> 00:06:42,802 みんなで笑て泣いて➡ 85 00:06:42,802 --> 00:06:46,273 ものすご楽しそうにしててな。 86 00:06:46,273 --> 00:06:53,146 そないな どこにでもいてるような 人たちのために芝居を作りたい思たんや。 87 00:06:53,146 --> 00:06:57,617 俺は 家庭いうもんを よう知らん。 88 00:06:57,617 --> 00:07:03,623 けどな この一座が 俺の家庭や思てる。 89 00:07:06,426 --> 00:07:10,897 愛情いうもんを よう知らんかったけどな。 90 00:07:10,897 --> 00:07:15,235 家庭劇のみんなと 千代と➡ 91 00:07:15,235 --> 00:07:19,105 一緒に暮らしてるようなってな➡ 92 00:07:19,105 --> 00:07:23,109 そういうもんが ちょっとは 分かるようなってきてる気がする。 93 00:07:26,579 --> 00:07:30,583 ほんで やっと 今の俺があるんや。 94 00:07:35,922 --> 00:07:40,260 そうですか…。 95 00:07:40,260 --> 00:07:43,263 ほな 僕は ぼちぼち…。 待ち。 96 00:07:44,931 --> 00:07:46,933 本題は こっからや。 97 00:07:55,942 --> 00:08:01,247 あんたにな うちらのこと 知っててほしかってん。 98 00:08:05,218 --> 00:08:07,554 何で…? 99 00:08:07,554 --> 00:08:13,560 寛治… うちらと一緒に暮らせへんか? 100 00:08:16,896 --> 00:08:19,799 えっ? 101 00:08:19,799 --> 00:08:25,905 うちは どない逆立ちしても➡ 102 00:08:25,905 --> 00:08:30,577 あんたの ほんまのお母ちゃんには なられへん。 103 00:08:30,577 --> 00:08:35,448 せやけどな あんたのこと心配やねん。 104 00:08:35,448 --> 00:08:39,586 心配でたまれへんねん。 105 00:08:39,586 --> 00:08:44,257 せやさかい そばにいてて。 106 00:08:44,257 --> 00:08:47,560 うちらが あんたのこと守ったげるさかい。 107 00:08:50,130 --> 00:08:54,901 あんたは また きれい事やて 言うかも分かれへんけどな➡ 108 00:08:54,901 --> 00:08:57,804 うちは悩んだで。 109 00:08:57,804 --> 00:09:02,809 悩んで悩んで ほんで やっと出した答えなんや。 110 00:09:05,879 --> 00:09:12,552 だんない。 うちらは あんたを 絶対に裏切れへん。 111 00:09:12,552 --> 00:09:14,854 何でか分かる? 112 00:09:17,223 --> 00:09:22,095 うちらは あんたの痛みを分かってるから。 113 00:09:22,095 --> 00:09:27,400 せやさかい なっ 一緒に暮らそ。 114 00:09:34,240 --> 00:09:37,911 また そんな… 無理やろ どうせ。 115 00:09:37,911 --> 00:09:41,581 無理やあれへん。だまされへんで 僕。 116 00:09:41,581 --> 00:09:45,919 笑わんかてええ。えっ? 117 00:09:45,919 --> 00:09:51,624 笑いたないのに 無理に笑うことなんかあれへんね。 118 00:09:55,595 --> 00:09:59,899 せ… せやけど 泣くよりええやろ。 119 00:10:05,939 --> 00:10:10,276 泣きたい時は 思いっきり泣いてええのや。 120 00:10:10,276 --> 00:10:13,179 (泣き声) 121 00:10:13,179 --> 00:10:15,615 ええんやで。 122 00:10:15,615 --> 00:10:25,625 (泣き声) 123 00:10:25,625 --> 00:10:32,632 この日から 千代ちゃんと一平君には 新しい家族ができました。 124 00:10:37,637 --> 00:10:40,306 (千之助) 次は 愛国もん やらへんちゅうんか。 125 00:10:40,306 --> 00:10:45,979 そうです。 今回だけ トリは別の芝居にしたい。 126 00:10:45,979 --> 00:10:50,316 (千之助)その 小暮っちゅうやつが 言うてたような芝居か。 127 00:10:50,316 --> 00:10:53,987 必死に働いてる人間が報われるような➡ 128 00:10:53,987 --> 00:10:56,289 そないな芝居を。 129 00:10:58,658 --> 00:11:01,928 これは あの2人への はなむけです。 130 00:11:01,928 --> 00:11:15,475 ♬~ 131 00:11:15,475 --> 00:11:19,946 そして いよいよ 家庭劇の年明け最初の興行➡ 132 00:11:19,946 --> 00:11:23,616 「人生双六」が幕を開けました。 133 00:11:23,616 --> 00:11:26,519 人生のどん底にある宇田と浜本の2人が➡ 134 00:11:26,519 --> 00:11:31,491 5年後の成功を誓って 再会を約束するというお話です。 135 00:11:31,491 --> 00:11:34,627 勤めるはずやったお店が のうなってしもてね。 136 00:11:34,627 --> 00:11:38,965 その舞台には 寛治君の姿もありました。 137 00:11:38,965 --> 00:11:41,868 そない ジロジロ見たらあきまへん。 はよ食べなはれ。 138 00:11:41,868 --> 00:11:45,638 へえ! すんまへん ご寮人さん。 139 00:11:45,638 --> 00:11:48,541 せやけどな 宇田さん。 はい。 140 00:11:48,541 --> 00:11:51,511 腐らず 諦めず 頑張り続けたら➡ 141 00:11:51,511 --> 00:11:54,981 必ず その頑張りが 実る時が来るんやないかて➡ 142 00:11:54,981 --> 00:11:57,317 僕は そない思てるんです。 143 00:11:57,317 --> 00:12:01,187 (千之助)腐らず 諦めずですか…。 ええ。 144 00:12:01,187 --> 00:12:04,924 今まで つらいことばっかりやったかも 分かれへん。 145 00:12:04,924 --> 00:12:10,263 けどな いつか きっと 心の底から笑える時が来る。 146 00:12:10,263 --> 00:12:13,600 きっと来ますって! 147 00:12:13,600 --> 00:12:17,470 はい! えっ? 148 00:12:17,470 --> 00:12:21,474 何や 君は。 何 君 「はい!」言うたの? 149 00:12:21,474 --> 00:12:25,612 いや 松吉! すんまへん。 余計なこと言いなはんな。 150 00:12:25,612 --> 00:12:28,281 すんまへん! 151 00:12:28,281 --> 00:12:30,583 お母ちゃん。 152 00:12:33,620 --> 00:12:36,956 誰がお母ちゃんだす。 ご寮人さんやろ。 153 00:12:36,956 --> 00:12:40,293 あっ… そやった すんまへん。 154 00:12:40,293 --> 00:12:42,962 ほんまに… はよ行きますで。 はい。 155 00:12:42,962 --> 00:12:45,298 ご主人 ごっつぉさんだした。 (小山田)ああ おおきに。 156 00:12:45,298 --> 00:12:55,942 ♬~ 157 00:12:55,942 --> 00:12:58,845 せや 宇田さん。 158 00:12:58,845 --> 00:13:03,583 はい? 僕と約束しませんか? 159 00:13:03,583 --> 00:13:05,518 約束? ええ。 160 00:13:05,518 --> 00:13:07,920 お互い 一生懸命働いて➡ 161 00:13:07,920 --> 00:13:11,257 石に かじりついてでも 成功するいう約束や。 162 00:13:11,257 --> 00:13:16,929 それも 今日から5年… 5年という月日を切ろう。 163 00:13:16,929 --> 00:13:24,604 今 これから… そや 人生の双六の始まりや。 164 00:13:24,604 --> 00:13:28,274 人生の双六…。 ええ。 165 00:13:28,274 --> 00:13:33,146 それを励みに 頑張ろいうことや。 よろしですな。 166 00:13:33,146 --> 00:13:36,949 ほな 約束や。 はい。 167 00:13:36,949 --> 00:13:40,286 ところが 現実の人生双六は➡ 168 00:13:40,286 --> 00:13:46,626 5年どころか 1年先のことまで 分からない時代へと突入していきました。 169 00:13:46,626 --> 00:13:57,970 ♬~ 170 00:13:57,970 --> 00:14:03,242 そして 昭和16年12月8日。 171 00:14:03,242 --> 00:14:06,579 (ラジオ)「臨時ニュースを申し上げます。 臨時ニュースを申し上げます。➡ 172 00:14:06,579 --> 00:14:10,450 大本営陸海軍部…」。 太平洋戦争の開戦です。 173 00:14:10,450 --> 00:14:16,923 (富士子)これ きっと 日本が勝ってるいうことだすな。 なあ? 174 00:14:16,923 --> 00:14:20,259 (かめ)そやな。なあ。 うん きっと そうや。 175 00:14:20,259 --> 00:14:22,929 (ラジオ)「本8日未明 西太平洋において…」。 176 00:14:22,929 --> 00:14:25,264 (百久利)日本万歳!➡ 177 00:14:25,264 --> 00:14:29,602 日本万歳! 万歳! 178 00:14:29,602 --> 00:14:36,609 日本万歳! よいよい よいよい! 日本万歳! よいよい よいよい! 179 00:14:38,277 --> 00:14:42,949 (ラジオ)「日本の今朝3時5分 ホノルルに初の空襲を開始しました」。 180 00:14:42,949 --> 00:14:54,961 ♬~