1 00:00:29,296 --> 00:00:32,966 (女の声)助けて…。➡ 2 00:00:32,966 --> 00:00:39,306 ああ… 苦しい…。 3 00:00:39,306 --> 00:00:42,976 (荒い息遣い) 4 00:00:42,976 --> 00:00:48,649 助けて… はあ…。➡ 5 00:00:48,649 --> 00:00:53,854 誰か… 誰か…! 6 00:00:59,293 --> 00:01:02,930 (おいち)お父っつぁま… お父っつぁま! 7 00:01:02,930 --> 00:01:04,932 (松庵)病人か!? 8 00:01:06,600 --> 00:01:09,503 ああ…。 お父っつぁま 起きて! 9 00:01:09,503 --> 00:01:12,406 起きてよ! 10 00:01:12,406 --> 00:01:17,244 ハハハッ… おいち また 布団の跡がついてるぞ。 11 00:01:17,244 --> 00:01:20,781 お父っつぁまこそ よだれ! あ…。 12 00:01:20,781 --> 00:01:23,283 (笑い声) 13 00:01:23,283 --> 00:01:26,119 男か女か。 女の人。 14 00:01:26,119 --> 00:01:29,623 苦しがってた この辺。 癪じゃないな。 心の臓か。 15 00:01:29,623 --> 00:01:31,625 はい。 16 00:01:36,496 --> 00:01:38,498 よいしょ…。 17 00:01:44,171 --> 00:01:48,642 うん… 傷んでるサバを食べたって? 18 00:01:48,642 --> 00:01:51,545 それで腹痛か。 (老女)捨てらんないよ。 19 00:01:51,545 --> 00:01:55,515 息子が届けてくれたサバだもの… 痛い 痛い 痛い…。 20 00:01:55,515 --> 00:01:58,819 おいち。 延胡索 茴香 一さじずつ。 21 00:01:58,819 --> 00:02:00,754 はい。 22 00:02:00,754 --> 00:02:14,267 ♬~ 23 00:02:14,267 --> 00:02:20,073 (老人)とにかく ゆんべから めまいが止まらないんですよ。 ああ…。 24 00:02:20,073 --> 00:02:23,610 よし 起こすぞ。 あああ…。 25 00:02:23,610 --> 00:02:26,947 はい。 煎じ薬だ。 苦いがよく効く。 26 00:02:26,947 --> 00:02:29,783 あ… ありがとうございます。 27 00:02:29,783 --> 00:02:33,954 苦いよ これ~。 でも 効きますから。そうなの? 28 00:02:33,954 --> 00:02:37,457 う~ん うっ あ~ 苦い! 29 00:02:40,427 --> 00:02:44,231 どうぞ お大事に。 ありがとうございました。 30 00:02:54,641 --> 00:02:58,512 来ないじゃないか 心の臓が苦しい女の人なんて。 31 00:02:58,512 --> 00:03:03,450 確かに見たの。 苦しそうな… ここに ほくろのある女の人。 32 00:03:03,450 --> 00:03:07,754 ほう~。 お前の勘も外れる時があるとはねえ。 33 00:03:11,758 --> 00:03:15,095 (直助)ごめんください。 34 00:03:15,095 --> 00:03:19,933 こちら 藍野松庵先生のお住まいでしょうか。 35 00:03:19,933 --> 00:03:24,604 はい。 急の患者さんでなければ 八つ時まで待っていただければ…。 36 00:03:24,604 --> 00:03:27,107 いえ 私は 病人ではありません。 37 00:03:27,107 --> 00:03:30,610 常盤町の生薬屋 鵜野屋のせがれでございます。 38 00:03:30,610 --> 00:03:33,947 直助と申します。 39 00:03:33,947 --> 00:03:39,820 えっと… お薬の売り込みでしたら 私たち お金が…。 40 00:03:39,820 --> 00:03:42,322 あ いえ あの~…。 41 00:03:46,960 --> 00:03:53,266 (女の声)助けて… 苦しい…。 42 00:03:55,635 --> 00:03:57,938 誰か…。 43 00:04:00,474 --> 00:04:02,476 助けて! 44 00:04:04,911 --> 00:04:06,913 (直助)何か? 45 00:04:08,782 --> 00:04:11,251 いえ…。 46 00:04:11,251 --> 00:04:19,926 ♬~ 47 00:04:19,926 --> 00:04:22,829 えっ それは 一体 どういうことだい? 48 00:04:22,829 --> 00:04:25,398 だから…。 49 00:04:25,398 --> 00:04:29,269 ちょっと待ちな。 三関屋のまんじゅうじゃないか。 50 00:04:29,269 --> 00:04:31,772 これを持ってきたのかい? 直助さんが? 51 00:04:31,772 --> 00:04:35,108 義姉さんも どうです? 鵜野屋さんとの縁談は➡ 52 00:04:35,108 --> 00:04:38,779 私が取り付けて おいちに つないだんじゃないか。 53 00:04:38,779 --> 00:04:42,649 いつも ありがとうございます。 いつも お断りしちゃって すみません。 54 00:04:42,649 --> 00:04:47,287 何で 先様が 私より早く ここにやって来るんだい! 55 00:04:47,287 --> 00:04:52,425 恩人なんです 松庵先生は。➡ 56 00:04:52,425 --> 00:04:56,796 幼い頃 手前が やっかいな熱病にかかりまして➡ 57 00:04:56,796 --> 00:05:01,067 病持ちの薬屋なんて てんで信用がありません。 58 00:05:01,067 --> 00:05:03,737 店も どんどん傾くばかりで…。 59 00:05:03,737 --> 00:05:06,773 それを お父っつぁまが治してくれたって。 60 00:05:06,773 --> 00:05:10,243 そんな昔のことを 恩に感じてくれてるなんてなあ。 61 00:05:10,243 --> 00:05:12,913 伯母さんが 縁談話を持ち込んでくれたおかげで➡ 62 00:05:12,913 --> 00:05:15,949 それきりだった お父っつぁまの居場所が やっと分かったって。 63 00:05:15,949 --> 00:05:19,386 へえ~! それはご縁だねえ。 64 00:05:19,386 --> 00:05:23,089 で 直助さんは おいちのことを 気に入った様子だったかい? 65 00:05:23,089 --> 00:05:28,395 おいち お前は どうなのさ? どうって…。 66 00:05:28,395 --> 00:05:32,265 何か… よく見えなかったっていうか…。 67 00:05:32,265 --> 00:05:35,101 あ~! 肝心な時に目病みかい! 68 00:05:35,101 --> 00:05:37,771 お父っつぁんに その目をよ~く診ておもらい。 69 00:05:37,771 --> 00:05:42,642 いいかい? 鵜野屋さんは 小さいけれども 手堅い商いをされていてね➡ 70 00:05:42,642 --> 00:05:48,782 直助さんは ご新造さんを亡くされて お前より ちょいと年は上だけど➡ 71 00:05:48,782 --> 00:05:51,284 跳ねっ返りのお前には そのくらいが ちょうどいい。 72 00:05:51,284 --> 00:05:53,787 ご新造さんは 何で亡くなったんです? 73 00:05:53,787 --> 00:05:58,291 大店から嫁入りした 体の弱いお嬢さんだったそうだよ。 74 00:05:58,291 --> 00:06:03,997 なるほど。 おいちなら 当分 使い減りはしない。 フフッ。 75 00:06:05,565 --> 00:06:09,736 (おうた)ん? おいち?➡ 76 00:06:09,736 --> 00:06:13,373 おいち!あっ…。 77 00:06:13,373 --> 00:06:18,078 あの人… 何か背負ってたの。 78 00:06:19,913 --> 00:06:25,385 とんでもなく重いもの…。 79 00:06:25,385 --> 00:06:29,256 おいち あんた まさか また 何か見たのかい?➡ 80 00:06:29,256 --> 00:06:32,158 まさか それを 直助さんに話したりなんか…。 81 00:06:32,158 --> 00:06:34,127 おいち。 82 00:06:34,127 --> 00:06:37,964 いつも言ってるな。 見えるのはいい。 だが 見たものを➡ 83 00:06:37,964 --> 00:06:41,768 引きずっちゃあ駄目だ。 はい。 84 00:06:41,768 --> 00:06:43,703 ⚟どけどけ~! ⚟邪魔すんな~! 85 00:06:43,703 --> 00:06:46,606 ⚟邪魔だっつってんだろう! あちらだ! 86 00:06:46,606 --> 00:06:49,809 ほら ご新規さんだ。 87 00:06:52,279 --> 00:06:54,781 (おうた)親分さん。 (仙五朗)早くしろ おい! 88 00:06:54,781 --> 00:06:58,285 大丈夫か? おい 急げ! 急げ おら。 89 00:06:58,285 --> 00:07:00,553 (新吉)あ~! 90 00:07:00,553 --> 00:07:04,257 あいくちで 脇腹と太ももをやられておりやす。 91 00:07:05,892 --> 00:07:08,561 腹は かすり傷だ。 92 00:07:08,561 --> 00:07:11,464 ああ… ももが… なるほど。 93 00:07:11,464 --> 00:07:15,068 (新吉)あいつら ただじゃおかねえ! 俺が 何したってんだ! 94 00:07:15,068 --> 00:07:17,971 新吉! 賭場のいざこざに巻き込まれやした。 95 00:07:17,971 --> 00:07:20,240 こいつは 堅気の職人です。 96 00:07:20,240 --> 00:07:22,575 早く治しやがれ! コンチクショー! 97 00:07:22,575 --> 00:07:25,378 おいち 縫合の準備だ。 はい! 98 00:07:25,378 --> 00:07:28,581 刺した連中を 追ってめえりやす。 頼んます。承知。 99 00:07:28,581 --> 00:07:30,784 行くぞ。 (一同)へい! 100 00:07:32,752 --> 00:07:35,388 こりゃ 張りのある脚だ。 縫いがいがあるぞ。 101 00:07:35,388 --> 00:07:38,258 ぬ… 縫う!? お父っつぁま。 102 00:07:38,258 --> 00:07:40,193 おう。 103 00:07:40,193 --> 00:07:43,930 何だ。 俺は 布っきれじゃねえぞ! どこを縫うってんだ。 104 00:07:43,930 --> 00:07:46,399 俺は治せって言ってんだ このやぶ医者! 105 00:07:46,399 --> 00:07:50,270 静かに!うっ う~! しっかり 押さえて! 106 00:07:50,270 --> 00:07:52,772 さあ いくぞ。 107 00:07:52,772 --> 00:08:02,882 (新吉のうめき声) 108 00:08:02,882 --> 00:08:08,755 (新吉の叫び声) 109 00:08:08,755 --> 00:08:13,226 ううう~ うう… ああああ~! 110 00:08:13,226 --> 00:08:19,432 (犬のほえ声) 111 00:08:29,776 --> 00:08:46,126 ♬~ 112 00:08:46,126 --> 00:08:49,129 どこ? 113 00:08:49,129 --> 00:08:52,432 どこに いるの? 114 00:08:54,601 --> 00:08:57,404 (女の声)お願い…。➡ 115 00:08:57,404 --> 00:09:02,409 早く… あの人を…。 116 00:09:05,145 --> 00:09:11,351 (女の声)早く 助けて…。➡ 117 00:09:11,351 --> 00:09:17,057 直助さんを… 助けてあげて…! 118 00:09:19,092 --> 00:09:22,095 直助さんを…。 119 00:09:22,095 --> 00:09:35,375 ♬~ 120 00:09:35,375 --> 00:09:46,586 ♬~ 121 00:09:46,586 --> 00:09:48,922 (直助)おいちさん。 122 00:09:48,922 --> 00:09:52,759 うちの店に わざわざ。 123 00:09:52,759 --> 00:09:58,565 あ… こちらの竜骨散が 喉の腫れに よく効くと伺ったものですから。 124 00:09:58,565 --> 00:10:03,470 竜骨散 ございますよ。 さあ 中へどうぞ。 125 00:10:03,470 --> 00:10:06,172 じゃ…。 126 00:10:15,148 --> 00:10:18,418 父の世話をしてくれている お絹です。➡ 127 00:10:18,418 --> 00:10:23,223 こちら 藍野松庵先生の娘さんで おいちさん。 128 00:10:30,430 --> 00:10:34,300 薬の買い付けもなさるんですか? おいちさんが。 129 00:10:34,300 --> 00:10:41,007 これも 修業のうちだと 父が。 お医者様になられるのですね。 130 00:10:43,309 --> 00:10:47,313 はい。 いいことです。 131 00:10:47,313 --> 00:10:53,453 あ… あの~ 本当に そう思われます? 132 00:10:53,453 --> 00:10:56,356 女にしかない病が多くあります。➡ 133 00:10:56,356 --> 00:11:01,094 これからは 必ず 女のお医者が必要になります。➡ 134 00:11:01,094 --> 00:11:04,597 励んでください。 はい。 135 00:11:07,600 --> 00:11:12,772 父が おいちさんに会いたがっております。 136 00:11:12,772 --> 00:11:20,280 長患いで もう長くはないのですが… よろしければ。 137 00:11:25,285 --> 00:11:31,958 (直右衛門) 直助。 さ湯を持ってきてくれないか。 138 00:11:31,958 --> 00:11:36,429 頼む。 はい。 139 00:11:36,429 --> 00:11:40,934 おいちさん しばらくの間 父を頼みます。 はい。 140 00:11:55,315 --> 00:11:59,118 おいちさん。 はい。 141 00:12:00,753 --> 00:12:06,626 ようやく会えた。 よう来てくださった。 142 00:12:06,626 --> 00:12:12,265 あ…。 うっ あ… ああ…。 143 00:12:12,265 --> 00:12:14,767 はあ…。 144 00:12:16,603 --> 00:12:19,405 お願いです。 145 00:12:22,275 --> 00:12:27,146 直助の女房になってもらえませんか? 146 00:12:27,146 --> 00:12:30,617 あ… 私なんか とても…。 147 00:12:30,617 --> 00:12:34,487 直助が お嫌いですか? めっそうもないことでございます。 148 00:12:34,487 --> 00:12:43,196 私は 商いのことは まるで分かりませんし それに 好きとか嫌いとか➡ 149 00:12:43,196 --> 00:12:47,066 そういう気持ちも まだ よく…。 150 00:12:47,066 --> 00:12:49,769 ただ…。 151 00:12:53,640 --> 00:12:58,845 お力になれることが ありますか? 152 00:13:00,446 --> 00:13:05,585 私 それで来たんです。 もし… もし 大旦那様のお心に➡ 153 00:13:05,585 --> 00:13:07,887 引っ掛かることがおありなら…。 154 00:13:09,455 --> 00:13:12,091 申し訳ありません! 155 00:13:12,091 --> 00:13:15,795 出過ぎたことを申しました…。 156 00:13:18,865 --> 00:13:24,270 やはり あなたしかいない。 157 00:13:24,270 --> 00:13:31,411 この家には苦しみがあります。 それを払ってくれるのは➡ 158 00:13:31,411 --> 00:13:41,921 遠い昔 直助を救ってくださった先生の 娘さん あなたしか…。 159 00:13:44,624 --> 00:13:48,828 苦しみというのは…? 160 00:13:53,633 --> 00:13:58,805 女の人と関わりがありますか? 161 00:13:58,805 --> 00:14:07,113 例えば 4年前に亡くなられたご新造様…。 162 00:14:09,449 --> 00:14:12,151 大旦那様。 163 00:14:15,254 --> 00:14:22,762 お加世は 白水屋という大きな薬種問屋の娘で➡ 164 00:14:22,762 --> 00:14:27,400 美しい女でした。 165 00:14:27,400 --> 00:14:32,238 それはそれは美しい…➡ 166 00:14:32,238 --> 00:14:34,607 鬼でした。 167 00:14:34,607 --> 00:14:59,632 ♬~ 168 00:14:59,632 --> 00:15:01,834 (お絹)おいちさん。 169 00:15:06,239 --> 00:15:09,142 殺されますよ。 170 00:15:09,142 --> 00:15:15,915 ご新造様だけじゃない。 ここでは お梅という女中が死んでいます。 171 00:15:15,915 --> 00:15:19,585 病に見せかけた毒で。 それは…。 172 00:15:19,585 --> 00:15:22,388 (お絹)ここに嫁いでは駄目です。 173 00:15:25,925 --> 00:15:29,395 若旦那に殺されます。 174 00:15:29,395 --> 00:15:44,277 ♬~ 175 00:15:44,277 --> 00:15:48,114 ⚟はあ。⚟もう少し…。 かしこまりました。➡ 176 00:15:48,114 --> 00:15:50,917 そうですなあ。 評判よいようで。 177 00:16:08,434 --> 00:16:11,070 (手代)何とおっしゃいましたか? 178 00:16:11,070 --> 00:16:15,908 ですから 幼い頃 白水屋のお嬢様に 大層 かわいがっていただきまして。 179 00:16:15,908 --> 00:16:19,779 はあ…。 で 通りすがりに 懐かしくなってしまって➡ 180 00:16:19,779 --> 00:16:22,682 お目にかかれたらな~ と。 181 00:16:22,682 --> 00:16:28,087 あっ ここに ほくろのある… そう お加世様。 182 00:16:28,087 --> 00:16:33,793 お加世様に ほくろはございませんが。 えっ ないんですか? 183 00:16:35,828 --> 00:16:39,398 お父っつぁまが 長屋でお医者様をされているとか。 184 00:16:39,398 --> 00:16:42,602 それでしたら よいお品が こちらに。 185 00:16:42,602 --> 00:16:44,637 さあさあさあ。 あ… ちょっと。 186 00:16:44,637 --> 00:16:48,274 この先 小さいながら よい薬屋がございます。 187 00:16:48,274 --> 00:16:50,610 どうぞ。 あ… あの… ちょっと! 188 00:16:50,610 --> 00:16:53,112 あっ あの…! 189 00:16:53,112 --> 00:16:56,616 お嬢さん。 親分さん。 190 00:16:56,616 --> 00:17:00,586 新吉を刺した 賭場の連中を捜しておりやしてね➡ 191 00:17:00,586 --> 00:17:06,893 この辺り 聞き込んでおりました。 お嬢さんは この店に何か? 192 00:17:06,893 --> 00:17:11,230 鵜野屋さんという薬屋さんを ご存じですか? 193 00:17:11,230 --> 00:17:13,900 はい 私どもの縄張りでやすよ。 194 00:17:13,900 --> 00:17:19,071 その鵜野屋さんで亡くなられた お加世様の実家が こちらだと伺って➡ 195 00:17:19,071 --> 00:17:24,744 お加世様のことを 少し…。 何で また? 196 00:17:24,744 --> 00:17:30,383 実は… 鵜野屋さんと縁談がありまして。 197 00:17:30,383 --> 00:17:34,253 ほう~。ああ いえ ほんのお話です。 それだけです。 198 00:17:34,253 --> 00:17:37,556 それでお知りになりたいと。 199 00:17:44,597 --> 00:17:48,768 鵜野屋さんをお訪ねした時 感じたんです。 200 00:17:48,768 --> 00:17:55,274 あの家には まだ お加世様が生きているような…。 201 00:17:57,276 --> 00:18:00,880 生きて あの家の方たちを➡ 202 00:18:00,880 --> 00:18:03,916 振り回しているような…。 203 00:18:03,916 --> 00:18:07,620 お嬢さんは それが気になられる? 204 00:18:09,889 --> 00:18:15,695 あ… いえ 何も。 忘れてください 今の。 205 00:18:15,695 --> 00:18:32,078 ♬~ 206 00:18:32,078 --> 00:18:34,580  回想 うそつき! うそつき! 207 00:18:34,580 --> 00:18:39,085 変なこと言うんじゃないよ! うそつき! 208 00:18:40,920 --> 00:18:46,258 おいちちゃんが おっ母さんの後ろに 変な幽霊がいるって! 209 00:18:46,258 --> 00:18:50,563 なんて子だい! ほら 行くよ! 210 00:18:52,598 --> 00:18:56,268 本当にいるの 幽霊が…。 211 00:18:56,268 --> 00:18:58,270 うそつき! うそつき! 212 00:18:58,270 --> 00:19:01,574 うそつき! 行こう。 213 00:19:05,077 --> 00:19:10,583 うそじゃない… うそじゃない…。 214 00:19:28,200 --> 00:19:33,706 何で私なんだろ… 昔から。 215 00:19:38,577 --> 00:19:42,581 お父っつぁまは 私のこと 変だと思わないの? 216 00:19:45,084 --> 00:19:48,954 気になるのか? 見えたものが。 217 00:19:48,954 --> 00:19:54,794 それで 鵜野屋に行ったんだな? うん…。 218 00:19:54,794 --> 00:20:01,100 世の中には まだ 名前もない 私が見たこともない➡ 219 00:20:01,100 --> 00:20:04,403 そんな病が山ほどある。 220 00:20:04,403 --> 00:20:10,209 お前みたいな力を持つ者だって そりゃあ いるだろう。 221 00:20:10,209 --> 00:20:17,783 ただ お前が見えるものは いつも➡ 222 00:20:17,783 --> 00:20:24,290 お前と関わる誰かに 何かが起こりそうな時だけだ。 223 00:20:24,290 --> 00:20:29,962 どの人も みんな とてもやっかいな…➡ 224 00:20:29,962 --> 00:20:36,469 強くて 弱くて…。 225 00:20:39,305 --> 00:20:42,641 どうしようもないものを背負ってる。 226 00:20:42,641 --> 00:20:48,814 気付いてほしいんじゃないか? え? 227 00:20:48,814 --> 00:20:52,451 お前にしか聞こえないこと。 228 00:20:52,451 --> 00:20:55,321 私にしか…? 229 00:20:55,321 --> 00:20:58,991 お前の力が何なのか 私には分からん。 230 00:20:58,991 --> 00:21:06,098 だが 病も困り事も つまるところ 一つだ。 231 00:21:06,098 --> 00:21:09,935 見えたものの元をたどる。 232 00:21:09,935 --> 00:21:13,405 不思議を知るには それしかない。 233 00:21:13,405 --> 00:21:20,412 不思議を… 知る。 234 00:21:24,150 --> 00:21:28,154 すみません。 はい。 235 00:21:37,296 --> 00:21:42,434 教えてください。 あの時 言っていたこと。 236 00:21:42,434 --> 00:21:48,974 なぜ 直助さんが お加世様を殺すんですか? 237 00:21:48,974 --> 00:21:52,011 そんなこと言いましたっけ? 238 00:21:52,011 --> 00:21:57,983 じゃあ 一つだけ。 お加世様の前に亡くなられた女中さん➡ 239 00:21:57,983 --> 00:22:02,955 お梅さんには ほくろがあったんじゃないですか? 240 00:22:02,955 --> 00:22:05,257 ここに。 241 00:22:05,257 --> 00:22:07,960 なぜ それを…。 242 00:22:19,805 --> 00:22:25,511 すいません。 ここに お梅さんという方の 家があると聞いたんですけど…。 243 00:22:27,279 --> 00:22:30,282 直助さん? 244 00:22:35,621 --> 00:22:39,959 (直助)お梅も この菓子が好物でした。 245 00:22:39,959 --> 00:22:44,630 もうすぐ お梅の命日です。 246 00:22:44,630 --> 00:22:49,802 今日は ご実家にお位牌を拝みに。 247 00:22:49,802 --> 00:22:56,108 あの… 直助さんとお梅さんは…。 248 00:23:00,246 --> 00:23:03,249 思い合っておりました。 249 00:23:04,917 --> 00:23:13,926 けれど 白水屋から嫁取りの話を持ち込まれて…。 250 00:23:16,528 --> 00:23:19,331 (直助)断れなかった…。 251 00:23:25,938 --> 00:23:32,144 大店との縁談を断れば 鵜野屋の行く末が危うい。 252 00:23:35,648 --> 00:23:38,651 お梅さんは…? 253 00:23:38,651 --> 00:23:42,488 お加世の女中になりました。 254 00:23:42,488 --> 00:23:45,958 そんな…。 255 00:23:45,958 --> 00:23:54,266 お加世は なぜか お梅を気に入って 手放そうとしませんでした。 256 00:23:55,968 --> 00:24:02,775 お加世は わがままで すぐに 手がつけられないくらい暴れます。 257 00:24:02,775 --> 00:24:10,082 気に入っていたお梅でさえも ひどく たたくんです。 258 00:24:10,082 --> 00:24:16,588 見かねた私が お梅を逃がす算段をしたやさき➡ 259 00:24:16,588 --> 00:24:24,396 疲れ果てたんでしょう。 心の臓を病んで…。 260 00:24:36,909 --> 00:24:43,115 私が もう少し早く決心してれば…。 261 00:24:43,115 --> 00:25:12,144 ♬~ 262 00:25:12,144 --> 00:25:15,381 (おうた)何だって!? 263 00:25:15,381 --> 00:25:20,085 縁談を断る!? 直助さんは 嫁取りなんかしないと思う。 264 00:25:20,085 --> 00:25:22,588 どうして そんなことが分かるんだよ? 265 00:25:22,588 --> 00:25:27,092 直助さん… 思ってる人がいるから。 266 00:25:27,092 --> 00:25:29,928 なるほど。 それは残念だが しかたがないな。 267 00:25:29,928 --> 00:25:31,864 そんなことは どうだっていいんだよ! 268 00:25:31,864 --> 00:25:35,267 好き嫌いと 所帯を持つっていうのは 別のことだろ? 269 00:25:35,267 --> 00:25:39,138 大体 娘盛りが 薬草の臭いさせて…。 270 00:25:39,138 --> 00:25:43,976 おいち! お前は 一体 この先 どうしたいんだい? 271 00:25:43,976 --> 00:25:46,779 薬屋に嫁いだって 薬草の臭いは消えませんよ。 272 00:25:46,779 --> 00:25:49,281 そんなこと言ってないよ。 273 00:25:49,281 --> 00:25:54,586 私は… お医者になりたいの。 274 00:25:56,622 --> 00:26:03,729 今は ただの手伝いだけど そのうち お父っつぁまと同じくらい➡ 275 00:26:03,729 --> 00:26:07,533 いろんな人の病を治したい。 276 00:26:09,535 --> 00:26:14,373 だから 今は お嫁には行かない。 277 00:26:14,373 --> 00:26:20,579 学びたいことが たくさんあるから。 278 00:26:20,579 --> 00:26:26,585 ごめんなさい 伯母さん。 そんな…。 279 00:26:28,253 --> 00:26:31,557 ありがとうございました。 お大事に。 280 00:26:58,951 --> 00:27:01,720 何用です! おおっ…。 281 00:27:01,720 --> 00:27:05,891 あなた…。 あ あ… 新吉です。➡ 282 00:27:05,891 --> 00:27:10,229 先生に ここを ちょいちょいと。 あっ あの時の! 283 00:27:10,229 --> 00:27:14,900 覚えておいでですか? ええ やわらかくて 張りがあって➡ 284 00:27:14,900 --> 00:27:17,936 こんなに縫いやすい脚はないって お父っつぁま 感心しちゃって…。 285 00:27:17,936 --> 00:27:21,240 縫いやすい…?フフフッ。 そうですか。➡ 286 00:27:21,240 --> 00:27:24,576 あ… あの あっしは 飾り職人をしておりやす。➡ 287 00:27:24,576 --> 00:27:29,748 たまたま お嬢さんをお見かけして たまたま 菓子なんぞ持ってたりして…。 288 00:27:29,748 --> 00:27:36,054 (男の声) こんなことは… したくないんだ! 289 00:27:38,257 --> 00:27:43,762 いや~ それにしても いい天気ですねえ。 ハッハッハッハ…! 290 00:27:43,762 --> 00:27:49,568 新吉! 逃げてくれ! 291 00:27:49,568 --> 00:27:51,770 危ない! 292 00:27:57,309 --> 00:28:01,713 あっ! あ… いってえ~! 293 00:28:01,713 --> 00:28:11,890 ♬~ 294 00:28:11,890 --> 00:28:14,793 やめねえか! 295 00:28:14,793 --> 00:28:19,231 弥一兄さん…。 ど どうして…? 296 00:28:19,231 --> 00:28:23,068 (弥一)お前のせいだよ! お前さえいなきゃ…! 297 00:28:23,068 --> 00:28:27,239 「新吉 逃げてくれ」。 298 00:28:27,239 --> 00:28:30,142 心の中で そう言ってた。 299 00:28:30,142 --> 00:28:37,583 「こんなことは したくないんだ」。 300 00:28:37,583 --> 00:28:52,598 (泣き声) 301 00:28:55,133 --> 00:28:57,269 よし 縫うぞ~。 302 00:28:57,269 --> 00:29:01,039 うっ うっ あああ~! あ~! 303 00:29:01,039 --> 00:29:04,076 あ~ったたった~! あ~!➡ 304 00:29:04,076 --> 00:29:07,713 はあ はあ はあ…。 305 00:29:07,713 --> 00:29:11,216 弥一は新吉の兄弟子です。 306 00:29:11,216 --> 00:29:17,356 後から入ってきた新吉の腕前が 羨ましくって 悔しくて➡ 307 00:29:17,356 --> 00:29:24,563 賭場に入り浸りになったそうです。 連れ戻そうとやって来たのが 新吉で➡ 308 00:29:24,563 --> 00:29:28,767 余計 惨めになったって…。 309 00:29:30,369 --> 00:29:37,576 分かってるんです。 弥一さんには自分の弱さが…。 310 00:29:37,576 --> 00:29:42,080 おいちさんには見えるんですね。 311 00:29:42,080 --> 00:29:46,385 あっしらには見えない 気持ちや思いの影が。 312 00:29:46,385 --> 00:29:53,925 前から うすうす気付いてました。 さっきの一件で確信しました。 313 00:29:53,925 --> 00:29:58,797 お加世のことも何かを見た…。 314 00:29:58,797 --> 00:30:01,667 だから 動いた。 315 00:30:01,667 --> 00:30:09,174 教えてください。 何を見たんです? 316 00:30:11,943 --> 00:30:17,649 話しても 信じてもらえないと思います。 317 00:30:23,555 --> 00:30:28,126 鵜野屋のことを 少し調べました。 318 00:30:28,126 --> 00:30:37,302 お加世が鵜野屋に嫁ぐ前 白水屋でも お加世づきの女中が 1人 死んでました。 319 00:30:37,302 --> 00:30:42,174 心の臓をやられたとか…。 それは どういう…? 320 00:30:42,174 --> 00:30:51,817 恐らく 白水屋は やっかい払いがしたくて 格下の鵜野屋に娘を押しつけた。 321 00:30:51,817 --> 00:30:56,455 ご存じでしょ? お加世は 気に入らないことがあると➡ 322 00:30:56,455 --> 00:30:59,991 ひどく暴れて 周りを罵った。 323 00:30:59,991 --> 00:31:08,400 鵜野屋の誰もが 逆らっちゃいけない大店の娘を憎んでた。 324 00:31:08,400 --> 00:31:15,941 誰かが お加世を殺った。 そう考えられませんか? 325 00:31:15,941 --> 00:31:20,812 そんな…。 だったら なおさら 私にできることなんか…。 326 00:31:20,812 --> 00:31:24,116 救ったじゃないですか 弥一を。 327 00:31:25,951 --> 00:31:29,621 おいちさんには弥一の悲しみが見えた。 328 00:31:29,621 --> 00:31:35,927 だから 弥一は それ以上 己を汚さずに済んだ。 329 00:31:37,963 --> 00:31:41,299 鵜野屋の一件 終わっちゃいません。 330 00:31:41,299 --> 00:31:45,303 誰かが殺されようとしてやす。 331 00:31:47,105 --> 00:31:52,611 誰が…。 突き止めるんですよ そいつを。 332 00:31:56,314 --> 00:32:01,086 あ… ああ… ああ いっぺんに話し過ぎましたかね? 333 00:32:01,086 --> 00:32:04,756 あ… 少し休まれた方が…。 334 00:32:04,756 --> 00:32:21,106 ♬~ 335 00:32:21,106 --> 00:32:26,111 (女の声)おいちさん おいちさん。 336 00:32:29,614 --> 00:32:33,118 お梅さん… ですね。 337 00:32:33,118 --> 00:32:35,053 (お梅)はい。 338 00:32:35,053 --> 00:32:39,558 あ… やっと会えた。 339 00:32:42,427 --> 00:32:47,966 おいちさんみたいな人 初めてです。 340 00:32:47,966 --> 00:32:50,802 え? 341 00:32:50,802 --> 00:32:57,576 私 ずっと さまよってました。 誰も気付いてなんてくれなくて➡ 342 00:32:57,576 --> 00:33:01,079 みんな ただ おびえて…。 343 00:33:05,917 --> 00:33:14,226 冷たいでしょ? 命なんて もう ないんですもの。 344 00:33:17,529 --> 00:33:22,834 4年前の今日 なくしました。 345 00:33:25,604 --> 00:33:31,309 聞かせてください。 あなたのお話。 346 00:33:35,280 --> 00:33:38,950 殺さないで…。 347 00:33:38,950 --> 00:33:43,622 あの人を止めて。 348 00:33:43,622 --> 00:33:47,492 人を殺めては駄目。 お梅さん? 349 00:33:47,492 --> 00:33:51,296 直助さんを守ってあげて! 350 00:33:53,131 --> 00:33:55,634 (お梅)早く! 351 00:33:55,634 --> 00:34:07,579 ♬~ 352 00:34:07,579 --> 00:34:11,750 おう 覚めたか。 ほれ。 353 00:34:11,750 --> 00:34:16,087 どうだ? 少しは力が戻ったか? へい。 354 00:34:16,087 --> 00:34:20,759 おかげさんで 今日は こっちの脚を縫わせていただきました。➡ 355 00:34:20,759 --> 00:34:23,595 しばらく 様子を見てから…。 な… 何すか? 356 00:34:23,595 --> 00:34:25,931 親分さんは どちらに? 親分が どうした? 357 00:34:25,931 --> 00:34:29,601 教えて! 早く知らせないと! 傷… 傷が開きます…! 358 00:34:29,601 --> 00:34:31,536 大変なの! 359 00:34:31,536 --> 00:34:41,279 ♬~ 360 00:34:41,279 --> 00:34:45,083 あんた 腕上げたねえ。 でも もうちょっと➡ 361 00:34:45,083 --> 00:34:47,018 そこんところを 丸くした方が いいんじゃない? 362 00:34:47,018 --> 00:34:50,622 すみません 親分さん いらっしゃいますか? 363 00:34:50,622 --> 00:34:53,425 (おまき)仙五朗に何か御用で? 364 00:34:53,425 --> 00:34:57,963 突然 申し訳ありません。 私 菖蒲長屋のいちと申します。 365 00:34:57,963 --> 00:35:00,565 藍野松庵の娘です。 366 00:35:00,565 --> 00:35:05,737 まきでございます。 松庵先生のお話は 亭主から いつも。 367 00:35:05,737 --> 00:35:08,640 お前さん。 368 00:35:08,640 --> 00:35:11,610 どうした? 369 00:35:11,610 --> 00:35:15,447 おっ これは おいちさん。 一体 どうされました? 370 00:35:15,447 --> 00:35:21,586 直助さんが殺されます。 371 00:35:21,586 --> 00:35:24,289 見たんですね? 372 00:35:26,257 --> 00:35:28,259 急ぎやしょう。 373 00:35:28,259 --> 00:35:43,274 ♬~ 374 00:35:43,274 --> 00:35:46,111 ありがとうございました。 375 00:35:46,111 --> 00:35:48,613 どけ~! (手代)おっ…。➡ 376 00:35:48,613 --> 00:35:51,416 何ですか? 親分さん。 若旦那は どこだい? 377 00:35:51,416 --> 00:35:53,785 ご自分の部屋です。 どこなんだよ!?奥です! 378 00:35:53,785 --> 00:35:56,688 おう! (佐助)何事ですか!➡ 379 00:35:56,688 --> 00:35:59,958 挨拶もなしに 勝手に…。 邪魔だ! 380 00:35:59,958 --> 00:36:02,961 お… お待ちください! 381 00:36:04,929 --> 00:36:07,766 若旦那! 直助さん! 382 00:36:07,766 --> 00:36:10,602 どうされたんですか? 親分さん。 おっ…。 383 00:36:10,602 --> 00:36:13,104 こいつを運んできたのは誰だい? 384 00:36:16,241 --> 00:36:18,910 私ですが。 385 00:36:18,910 --> 00:36:24,115 あんた… これ飲めるかい? 386 00:36:40,598 --> 00:36:43,501 頂きましたが…。 (佐助)いくら何でも➡ 387 00:36:43,501 --> 00:36:47,472 こんな乱暴なことをされちゃあ…。 親分さん。 388 00:36:47,472 --> 00:36:50,175 お菓子です。 389 00:36:52,110 --> 00:36:57,415 お梅さんの好物です。 命日に事を起こすなら これを…。 390 00:36:59,851 --> 00:37:02,854 動くんじゃないよ! 391 00:37:05,223 --> 00:37:08,727 その菓子を こっちによこしな。 392 00:37:08,727 --> 00:37:11,229 早くしな! 393 00:37:18,236 --> 00:37:24,042 あなたが… お梅さんのおっ母さんだったんですね。 394 00:37:24,042 --> 00:37:26,911 お梅のおっ母さん…? 395 00:37:26,911 --> 00:37:32,717 この菓子はね お梅の供養だよ。 396 00:37:32,717 --> 00:37:39,491 今日は あの子の命日だ。 あの子を殺した男に罰を与えるんだ。 397 00:37:39,491 --> 00:37:42,460 違う… それは違います。 398 00:37:42,460 --> 00:37:46,164 お梅は 素直な優しい子だったよ。 399 00:37:49,267 --> 00:37:53,605 それを こいつが好き勝手して…。 400 00:37:53,605 --> 00:37:58,276 嫁取りが決まったら ぞんざいに捨てて…。 401 00:37:58,276 --> 00:38:02,547 どんなにひどい目に遭っても 耐えるしかなくて…➡ 402 00:38:02,547 --> 00:38:10,755 いじめられて 罵られて 苦しんで…。 403 00:38:13,558 --> 00:38:17,729 お梅と同じ苦しみを与えてやるんだ。 404 00:38:17,729 --> 00:38:20,064 さっさと食え! 405 00:38:20,064 --> 00:38:23,568 違う! 直助さんは お梅さんを逃がそうとしたんです。 406 00:38:23,568 --> 00:38:28,439 お二人は 本当に思い合っていたんです! あんたに何が分かるんだい! 407 00:38:28,439 --> 00:38:33,945 お梅の… 何が…。 408 00:38:38,583 --> 00:38:45,356 話すんです。 おいちさんが 見たもの聞いたこと全部。 409 00:38:45,356 --> 00:38:49,260 でも…。これ以上 みんなが 不幸にならない手だては きっとある。 410 00:38:49,260 --> 00:38:55,400 それが できんのは おいちさん あんたしか いないんだ。 411 00:38:55,400 --> 00:39:15,220 ♬~ 412 00:39:15,220 --> 00:39:17,922 私…。 413 00:39:20,358 --> 00:39:23,895 お梅さんに会ったんです。 414 00:39:23,895 --> 00:39:25,930 え…? 415 00:39:25,930 --> 00:39:33,238 お梅さんは 心の底から 直助さんのことが好きで➡ 416 00:39:33,238 --> 00:39:38,576 おっ母さんが大好きでした。 417 00:39:38,576 --> 00:39:43,881 何を言いだすかと思えば…。 髪をすいてもらったと。 418 00:39:45,450 --> 00:39:50,588 どんなに つらいことがあっても おっ母さんの前に座って➡ 419 00:39:50,588 --> 00:39:58,463 髪をすいてもらうと それだけで ホッとして…。 420 00:39:58,463 --> 00:40:04,669 おっ母さんの手が優しくて…。 421 00:40:09,941 --> 00:40:15,947 「お願い その手を大切にして」。 422 00:40:19,617 --> 00:40:25,323 「直助さんを殺さないで」。 423 00:40:27,792 --> 00:40:35,667 おっ母さんからもらった赤いくしは 宝物だったと。 424 00:40:35,667 --> 00:40:47,145 ♬~ 425 00:40:47,145 --> 00:40:55,653 ♬~ 426 00:40:55,653 --> 00:40:59,324 ねえ…。 427 00:40:59,324 --> 00:41:03,027 この人の言ってることは本当かい? 428 00:41:05,763 --> 00:41:09,567 (お絹)お梅は あんたを思ってた…? 429 00:41:12,270 --> 00:41:16,074 (お絹)あんたも お梅のことを…。 430 00:41:24,615 --> 00:41:27,318 私は…。 431 00:41:31,489 --> 00:41:37,795 若旦那 こっからは あんたが話す番だ。 432 00:41:37,795 --> 00:41:41,999 語ってやってくだせえ お梅のことを。 433 00:41:44,302 --> 00:41:46,804 若旦那が どんなにか大切に➡ 434 00:41:46,804 --> 00:41:49,307 お梅を 思っていたか…。 435 00:42:02,253 --> 00:42:05,256 殺しました。 436 00:42:10,928 --> 00:42:13,631 お梅は…。 437 00:42:15,767 --> 00:42:20,271 私が… 殺しました。 438 00:42:20,271 --> 00:42:31,616 ♬~ 439 00:42:31,616 --> 00:42:33,651 あっ! 若旦那! 440 00:42:33,651 --> 00:42:35,653 直助さん! 441 00:42:39,957 --> 00:42:42,627 あの子は風を立てる。 442 00:42:42,627 --> 00:42:47,799 こんなはずじゃなかった。 毒も身の内だ。 腹をくくれ。 443 00:42:47,799 --> 00:42:55,306 一番苦しいのは 罪を隠している人だと。