1 00:00:06,607 --> 00:00:09,109 おふねちゃん…。 2 00:00:09,109 --> 00:00:12,779 <おいちの幼なじみのおふねが亡くなり➡ 3 00:00:12,779 --> 00:00:17,618 彼女を知っていたという ならず者が殺された。➡ 4 00:00:17,618 --> 00:00:21,488 手習い仲間だったお松や 飾り職人の新吉も➡ 5 00:00:21,488 --> 00:00:24,491 その一件に巻き込まれる。➡ 6 00:00:24,491 --> 00:00:30,631 そんな時 普請場で 大勢のけが人が出る事故が起きた> 7 00:00:30,631 --> 00:00:33,967 まずは 血止めを急げ。 8 00:00:33,967 --> 00:00:40,440 <松庵に弟子入り志願していた 田澄十斗であったが…> 9 00:00:40,440 --> 00:00:43,810 (十斗)山賀先生に頼まれて 参りました。 10 00:00:43,810 --> 00:00:47,314 山賀先生と 我々では手が回らず➡ 11 00:00:47,314 --> 00:00:50,817 松庵先生にも 是非 お越しいただきたいと。 12 00:00:50,817 --> 00:00:53,453 悪いが 私は こちらで手いっぱいだ。 13 00:00:53,453 --> 00:00:57,658 ここに いる者は皆 ここで見捨てられたら どこへも行き場がない。 14 00:00:57,658 --> 00:01:00,260 ならば 教えてください。 15 00:01:00,260 --> 00:01:10,904 なぜ あの時… 先生は 患者を選ばれたのか? 16 00:01:10,904 --> 00:01:17,411 19年前 先生は 私の母を見殺しにした。 17 00:01:17,411 --> 00:01:32,793 ♬~ 18 00:01:32,793 --> 00:01:35,696 何を… 言っているの? 19 00:01:35,696 --> 00:01:39,433 お父っつぁまが あなたの母上を見殺しにしたなんて。 20 00:01:39,433 --> 00:01:43,804 おいち けが人の具合 確かめろ。 はい。 21 00:01:43,804 --> 00:01:46,306 松庵先生。 今は けが人が先だ。 22 00:01:46,306 --> 00:01:50,177 向こうでも医者が要るだろう。 すぐ戻れ。 23 00:01:50,177 --> 00:01:55,682 知りたいことがあるなら いつでも来い。 私は ここにいる。 24 00:02:02,589 --> 00:02:05,592 ちょっと しみるぞ。 25 00:02:08,929 --> 00:02:12,599 (おうた)えっ? あの時の子供が? 26 00:02:12,599 --> 00:02:17,104 伯母さんは 田澄様のことを知ってるのね? 27 00:02:17,104 --> 00:02:21,975 いや… あの お医者がって 初めて知った。 28 00:02:21,975 --> 00:02:27,748 じゃあ お父っつぁまと田澄様の関わりは? 29 00:02:27,748 --> 00:02:35,288 教えて。 お父っつぁまは 田澄様の母上を見殺しにしたの? 30 00:02:35,288 --> 00:02:37,224 見殺しになんかするか! 31 00:02:37,224 --> 00:02:42,529 お父っつぁんが どんな人か お前が 一番 よく分かってるだろう! 32 00:02:46,800 --> 00:02:50,671 私が 生まれる前の話? 33 00:02:50,671 --> 00:02:56,376 そうだ も… もっと昔の話だ。 34 00:03:04,084 --> 00:03:12,392 長崎で 外科術を学んだ松庵さんが 妹のお里と祝言をあげて➡ 35 00:03:12,392 --> 00:03:18,265 お大名家のお抱え医者にと 声がかかってさ➡ 36 00:03:18,265 --> 00:03:23,603 さあ これからだって時のことだった。 37 00:03:23,603 --> 00:03:28,775 甲州屋って 両国橋近くの荒物屋で➡ 38 00:03:28,775 --> 00:03:33,947 夫婦が はやり病にかかってさ…。➡ 39 00:03:33,947 --> 00:03:41,288 松庵さんは 手を尽くして療治したが 夜中になって おかみさんの具合が➡ 40 00:03:41,288 --> 00:03:48,428 急に悪くなったんだ。 後を追うように 旦那さんも…。 41 00:03:48,428 --> 00:03:51,965 それで お父っつぁまは? 42 00:03:51,965 --> 00:03:55,302 往診に行かなかったの? 43 00:03:55,302 --> 00:03:59,306 大名家のお姫様の手当てをしてたんだ。 44 00:03:59,306 --> 00:04:04,010 姫様も また はやり病だったのさ。 45 00:04:04,010 --> 00:04:07,380 じゃあ 田澄様は…。 46 00:04:07,380 --> 00:04:13,587 子供に病がうつってはいけないと 隣に預けられてたそうだ。➡ 47 00:04:13,587 --> 00:04:20,594 母親が 危ないと察して 走って…。 48 00:04:24,097 --> 00:04:29,769 お開けください! 先生! お開けください! 49 00:04:29,769 --> 00:04:35,408 (おうた)お大名家のお屋敷に 荒物屋の夫婦が危ないなんて話➡ 50 00:04:35,408 --> 00:04:38,612 届くはずもない。 51 00:04:41,214 --> 00:04:48,421 松庵さんは お抱え医者の話を断って 町医者になったんだ。 52 00:04:48,421 --> 00:04:51,625 償いということ? 53 00:04:51,625 --> 00:04:55,128 償い? 貧しいご夫婦より➡ 54 00:04:55,128 --> 00:04:58,431 お大名家のお姫様を選んだ。 バカ言っちゃいけないよ! 55 00:04:58,431 --> 00:05:01,434 でも 田澄様は そう…。 あれは しかたなかったんだ。 56 00:05:01,434 --> 00:05:04,905 だって あのあと…。 あ…。➡ 57 00:05:04,905 --> 00:05:07,574 あ…。 58 00:05:07,574 --> 00:05:10,377 はあ…。 59 00:05:10,377 --> 00:05:13,580 行こう。 え? 60 00:05:13,580 --> 00:05:18,919 長屋だよ。 これから先のことは 当人たちに聞いた方がいい。 61 00:05:18,919 --> 00:05:20,954 当人って…。 62 00:05:20,954 --> 00:05:24,791 話す時が来たってことか。 63 00:05:24,791 --> 00:05:30,797 誰か 誰か。 使いを頼まれてくれないかい? 64 00:05:37,604 --> 00:05:46,613 おかみさんは… お前さんのおっ母さんは 少し持ち直していた。 65 00:05:48,615 --> 00:05:52,118 話もできるようになり さ湯が欲しいと言い➡ 66 00:05:52,118 --> 00:05:55,956 起き上がって飲み干した。 67 00:05:55,956 --> 00:05:59,793 そこへ 私に迎えが来た。 68 00:05:59,793 --> 00:06:04,231 お大名家のお屋敷ですね。 69 00:06:04,231 --> 00:06:10,103 ああ。 私は そちらに付ききりになった。 70 00:06:10,103 --> 00:06:15,375 その間に おっ母さんの容体が 急に悪くなった。 71 00:06:15,375 --> 00:06:18,245 あなたは それを見過ごした。 72 00:06:18,245 --> 00:06:23,750 見抜けなかった。 医者なのに そうなることが。 73 00:06:23,750 --> 00:06:26,253 そうだな。 74 00:06:26,253 --> 00:06:29,589 じゃあ 何かい? お前さんには 見えるのかい? 75 00:06:29,589 --> 00:06:32,926 半時先 一時先の病人が どうなるか。 76 00:06:32,926 --> 00:06:35,829 今は 私の母の話です。 (おうた)ああ そうだよ。 77 00:06:35,829 --> 00:06:38,732 お前さんのおっ母さんの話だよ。 78 00:06:38,732 --> 00:06:41,935 まさか あの時 おっ母さんが産気づくなんて➡ 79 00:06:41,935 --> 00:06:44,604 誰も思ってなかったんだよ! 80 00:06:44,604 --> 00:06:46,606 お産? 81 00:06:48,475 --> 00:06:52,479 母上には 子供が…? 82 00:06:54,281 --> 00:07:01,087 確かに 母のおなかの中には 子供がいた。➡ 83 00:07:01,087 --> 00:07:04,925 産み月を迎えるところだった。 84 00:07:04,925 --> 00:07:14,234 私が 店を出て 一時ほどたった頃 おっ母さんが 苦しみだしたそうだ。 85 00:07:14,234 --> 00:07:23,376 陣痛だとは 誰も思わず 病のためだろうと 取り上げ婆も遅れた。 86 00:07:23,376 --> 00:07:33,887 明け方 私が 駆けつけた時 おっ母さんは早産で もう 虫の息だった。 87 00:07:35,588 --> 00:07:44,898 赤子は まだ 腹の中で 生きようとしていた。 88 00:07:46,599 --> 00:07:54,607 赤子なりに 弱った母と共に生きようと 外へ出ようと…。 89 00:07:56,276 --> 00:08:02,983 だが 赤子の思いは 病の身には重すぎた。 90 00:08:04,551 --> 00:08:09,356 おっ母さんは… 力尽きた。 91 00:08:09,356 --> 00:08:18,898 ♬~(歌声) 92 00:08:18,898 --> 00:08:21,901 赤子は…。 93 00:08:24,571 --> 00:08:26,506 うっ…。 94 00:08:26,506 --> 00:08:29,442 どうした? おいち。 95 00:08:29,442 --> 00:08:31,911 また 何か見たのかい? 96 00:08:31,911 --> 00:08:34,381 声…。(おうた)声? 97 00:08:34,381 --> 00:08:37,250 歌…。 98 00:08:37,250 --> 00:08:40,954 おいち!おいち! おいち! 99 00:08:47,594 --> 00:08:52,098 ♬~(歌声) 100 00:08:52,098 --> 00:08:55,602 おふねちゃん! 101 00:08:55,602 --> 00:08:58,938 おふねちゃん…? 102 00:08:58,938 --> 00:09:02,342 違うよね…。 103 00:09:02,342 --> 00:09:06,880 ♬~(歌声) 104 00:09:06,880 --> 00:09:09,549 誰? 105 00:09:09,549 --> 00:09:14,421 聞こえてくる この歌…。 106 00:09:14,421 --> 00:09:20,894 ♬~(歌声) 107 00:09:20,894 --> 00:09:30,904 ♬~ 108 00:09:30,904 --> 00:09:33,907 子守唄…? 109 00:09:41,548 --> 00:09:48,254 あれは… 誰? 110 00:09:53,593 --> 00:09:57,764 お前さんが生きていてよかった。 え? 111 00:09:57,764 --> 00:10:01,601 跡取りのいない 庄屋の養子になったと聞いた。 112 00:10:01,601 --> 00:10:07,474 安堵していたが 何年かして 行方知れずと聞かされた。 113 00:10:07,474 --> 00:10:10,677 私のことを…。 114 00:10:14,614 --> 00:10:21,120 養子先には 縁を切られました。 115 00:10:21,120 --> 00:10:25,291 医者になりたいと言ったので…。 116 00:10:25,291 --> 00:10:28,595 私を捜すためか。 117 00:10:32,065 --> 00:10:39,305 あのあと あなたは住まいを替えた。 118 00:10:39,305 --> 00:10:43,810 なぜ 姿を消したんですか? 119 00:10:43,810 --> 00:10:47,680 母が 早産で亡くなったというのなら➡ 120 00:10:47,680 --> 00:10:51,885 なぜ 初めから そう言ってくれなかったんだ。 121 00:11:03,763 --> 00:11:08,768 おいしそう。 頂きます。 122 00:11:12,472 --> 00:11:17,277 う~ん おいしい! 123 00:11:17,277 --> 00:11:20,613 (新吉) けが人の手当てで倒れたって聞いて…。 124 00:11:20,613 --> 00:11:23,650 もう すっかり。 125 00:11:23,650 --> 00:11:29,622 実は これは 引っ越しの挨拶でもあるんです。 126 00:11:29,622 --> 00:11:32,959 引っ越し? 親方から 許しを頂いて➡ 127 00:11:32,959 --> 00:11:36,296 住み込みから 通いになりやした。 128 00:11:36,296 --> 00:11:38,631 年季が明けたということですか? 129 00:11:38,631 --> 00:11:42,302 おめでとうございます! おいちさんのおかげです。 130 00:11:42,302 --> 00:11:47,440 飛び切りのかんざしを作れ。 それは 俺にしかできない仕事だって➡ 131 00:11:47,440 --> 00:11:50,343 そう 言ってくれたから。 ええ! 132 00:11:50,343 --> 00:11:56,182 で お住まいは どちらへ? 常盤町の作兵衛長屋ってとこです。 133 00:11:56,182 --> 00:12:00,019 そこ 私の幼なじみの家です。 えっ 本当ですか? 134 00:12:00,019 --> 00:12:04,757 お松ちゃんっていうの。 明るくて働き者よ。 135 00:12:04,757 --> 00:12:07,594 お父っつぁんと 妹さんが2人。 136 00:12:07,594 --> 00:12:11,264 でも お父っつぁんは お酒が過ぎると すぐ 体を壊すから➡ 137 00:12:11,264 --> 00:12:14,100 それが 心配で…。 分かりやした。 138 00:12:14,100 --> 00:12:18,271 これも縁です。 気にかけやす。 139 00:12:18,271 --> 00:12:23,409 新吉さんも 食べましょう。 はい。はい。 140 00:12:23,409 --> 00:12:27,780 うわっ! 何度言わせりゃ気が済むんだ? 141 00:12:27,780 --> 00:12:31,284 勘弁してくれ! 金なら必ず… ううっ! 142 00:12:31,284 --> 00:12:37,156 言ったよな? 次 払えなかったら 娘 差し出すって。 143 00:12:37,156 --> 00:12:40,627 ううう…。 どうする? 今 連れてくか? 144 00:12:40,627 --> 00:12:42,662 あ? ああ? 145 00:12:42,662 --> 00:12:45,965 いてててっ! あっ… 何しやがんだ! 146 00:12:45,965 --> 00:12:48,868 物騒な話が聞こえてきたんだが? 147 00:12:48,868 --> 00:12:51,304 うわっ! なっ…! 148 00:12:51,304 --> 00:12:56,643 おお… 親分じゃないですか。 ハハッ。 ああ 探索… ですか? 149 00:12:56,643 --> 00:13:00,613 おう ちょいとな。 何でえ? もめ事かい? 150 00:13:00,613 --> 00:13:05,084 ああ… いえいえ。 ただの ざれ合い。 おお~ 大丈夫か? 151 00:13:05,084 --> 00:13:07,987 じゃあな。 また 来るからな。 152 00:13:07,987 --> 00:13:10,890 おい 行くぞ! へい! 153 00:13:10,890 --> 00:13:14,694 (お松)お父っつぁん! お父っつぁん…。 154 00:13:20,400 --> 00:13:22,769 取り込み中 すまねえな。 155 00:13:22,769 --> 00:13:26,639 何か御用で? 六軒堀近くで 男が2人➡ 156 00:13:26,639 --> 00:13:30,943 死骸になって見つかったんだが 知ってるかい? 157 00:13:30,943 --> 00:13:35,415 いえ…。そいつらが たむろしてる路地があってな➡ 158 00:13:35,415 --> 00:13:40,286 出入りしてるもんを 一人一人 当たらせてもらってんだ。 159 00:13:40,286 --> 00:13:45,958 お父っつぁんから 何か 気になる話 聞いてないかい? 160 00:13:45,958 --> 00:13:51,831 お父っつぁんは 酒を飲むけど 刃物振り回して殺されるような連中とは➡ 161 00:13:51,831 --> 00:13:54,133 つきあい ないです。 162 00:13:56,436 --> 00:14:01,441 そうかい。 まっ また 寄らせてもらうさ。 163 00:14:06,746 --> 00:14:12,952 世の中 物騒な連中が多い。 何かあったら 番屋に来な。 164 00:14:23,763 --> 00:14:27,400 お父っつぁん さっき言ってたことは 本当? 165 00:14:27,400 --> 00:14:31,938 次にお金を払えなかったら 私を売るって。 そう言ったの? 166 00:14:31,938 --> 00:14:35,775 約束しちまったの? ねえ! 167 00:14:35,775 --> 00:14:38,478 離せ! (悲鳴) 168 00:14:41,948 --> 00:14:44,283 お姉ちゃん…。 169 00:14:44,283 --> 00:15:16,249 ♬~ 170 00:15:16,249 --> 00:15:22,588 刃物だけではない? 六軒堀のあの殺しがですかい? 171 00:15:22,588 --> 00:15:26,392 ああ。 もともと 死骸に血は少なかった。 172 00:15:26,392 --> 00:15:31,230 別の場所で殺され 刃物を 突き立てられたと思っていたんだが…。 173 00:15:31,230 --> 00:15:34,767 実は 毒でも盛られたと? いや。 174 00:15:34,767 --> 00:15:38,404 死骸に苦もんのあとがない。 だから 迷っていたんだ。 175 00:15:38,404 --> 00:15:42,775 確かに 毒飲んだ死骸は一目で分かりやす。 176 00:15:42,775 --> 00:15:47,947 顔つきが違いますからね。 ですが それでもないとなると…? 177 00:15:47,947 --> 00:15:50,416 薬湯…。 178 00:15:50,416 --> 00:15:54,954 眠らされ 刺された。 そうだ。 179 00:15:54,954 --> 00:16:00,726 やっ ありゃあ 苦い。 先生のとこで頂く薬湯なんざ もう…。 180 00:16:00,726 --> 00:16:04,564 あんなもん 連中が おとなしく飲み干すとは とても…。 181 00:16:04,564 --> 00:16:10,903 信じたのよ。 これは 体に効くと。 信じさせた 誰かが。 182 00:16:10,903 --> 00:16:17,243 つまり 飲ませたのは 連中が素直に言うことを聞く相手…。 183 00:16:17,243 --> 00:16:19,745 医者? 184 00:16:32,258 --> 00:16:35,561 ⚟(十斗)田澄です。 入れ。 185 00:16:37,129 --> 00:16:39,932 失礼します。 186 00:16:39,932 --> 00:16:44,403 庭に新しい石を据えたいと 算段していたところだ。 187 00:16:44,403 --> 00:16:49,942 診察に来る大店のあるじらを うならせたくてな。 ハハッ…。 188 00:16:49,942 --> 00:16:51,878 そうでしたか。 189 00:16:51,878 --> 00:16:56,115 金持ちというのは思いの外 吝嗇だ。 190 00:16:56,115 --> 00:16:59,151 値打ちのないものに金は出さぬ。 191 00:16:59,151 --> 00:17:05,224 だが この庭を見れば 一目瞭然。 192 00:17:05,224 --> 00:17:09,562 私の腕を思い知る。➡ 193 00:17:09,562 --> 00:17:15,434 大店やお武家に これだけのものを差し出させる。 194 00:17:15,434 --> 00:17:22,074 山賀貝弦の医術は まことであると。 195 00:17:22,074 --> 00:17:24,110 はい。 196 00:17:24,110 --> 00:17:29,582 腕さえあれば 医者は奥御殿まで上ることができる。 197 00:17:29,582 --> 00:17:35,288 長崎へ行けば お前も それが かなう。 198 00:17:40,927 --> 00:17:44,797 町医者の手伝いをしているそうだな。 えっ? 199 00:17:44,797 --> 00:17:47,400 つまらぬ寄り道はするな。 200 00:17:47,400 --> 00:17:53,606 金と栄誉 この2つに見合わぬ患者は捨て置け。 201 00:18:02,548 --> 00:18:06,352 (江上) 気になることを聞かれました 田澄に。 202 00:18:06,352 --> 00:18:09,555 川べりで死んでいたという ごろつきを➡ 203 00:18:09,555 --> 00:18:14,360 以前 屋敷で見かけたように思うのだが 心当たりはないかと。 204 00:18:14,360 --> 00:18:21,067 何だと? あの男は 少々 危のうございます。 205 00:18:21,067 --> 00:18:27,573 これ以上 詮索などさせぬよう 考えられてはいかがかと。 206 00:18:33,646 --> 00:18:36,549 (おふね)おいっちゃん おいっちゃん! 207 00:18:36,549 --> 00:18:40,252 おふねちゃん! やっと会えた。 208 00:18:40,252 --> 00:18:42,755 お松ちゃんが危ない。 え…? 209 00:18:42,755 --> 00:18:46,926 急いで… 守ってあげて! 210 00:18:46,926 --> 00:18:49,595 あ…。 211 00:18:49,595 --> 00:18:53,933 どうした? 行かなくちゃ…。 212 00:18:53,933 --> 00:19:06,579 ♬~ 213 00:19:06,579 --> 00:19:10,349 (新吉)おいちさん。 お松ちゃんの…。 214 00:19:10,349 --> 00:19:14,053 一晩中 飲んで 帰ってきたところだったようで。 215 00:19:14,053 --> 00:19:16,889 お松ちゃんは? 声をかけても 誰も…。 216 00:19:16,889 --> 00:19:22,895 あ… お松ちゃん! 開けて! いちだよ。 お松ちゃん! 217 00:19:25,598 --> 00:19:30,436 (友蔵) お松が… お松が売られちまうんだよ…。 218 00:19:30,436 --> 00:19:33,239 何ですって!? 返す金がなきゃ➡ 219 00:19:33,239 --> 00:19:38,911 お松を連れてくって…。 許してくれ お松よぅ…。 220 00:19:38,911 --> 00:19:41,814 (お清)おいちねえちゃん! お清ちゃん。 221 00:19:41,814 --> 00:19:44,383 どこに行ってたの? お松お姉ちゃんは? 222 00:19:44,383 --> 00:19:46,585 出てった 明け方に。 223 00:19:48,254 --> 00:19:51,757 (お清)お姉ちゃん! どこ行くの? 224 00:19:53,592 --> 00:19:58,597 安心おし。 お金を作って すぐ帰ってくるから。 225 00:20:06,105 --> 00:20:09,608 大事にしまっておきな。 226 00:20:15,114 --> 00:20:18,951 でも いつまでたっても帰ってこないから 私…。 227 00:20:18,951 --> 00:20:23,756 捜しに行ったのね? 巾着 見せてもらっていい? 228 00:20:32,431 --> 00:20:35,634 何も入ってねえようですね。 229 00:20:45,978 --> 00:20:59,525 ♬~ 230 00:20:59,525 --> 00:21:02,461 まさか…。 何です? 231 00:21:02,461 --> 00:21:06,298 お姉ちゃん どこへ行くって言ったか 聞いてない? 232 00:21:06,298 --> 00:21:09,268 お医者… お医者に行くって。 233 00:21:09,268 --> 00:21:14,039 (新吉)医者?新吉さん おじさんを 私の長屋まで連れてってもらえますか? 234 00:21:14,039 --> 00:21:17,977 もちろん。そのあと 仙五朗親分の所に走ってほしいの。 235 00:21:17,977 --> 00:21:21,614 すぐに来てほしいって。 (新吉)ここへですか? 236 00:21:21,614 --> 00:21:25,918 米沢町へ… 山賀貝弦のお屋敷へ。 237 00:21:34,627 --> 00:21:37,963 お待ちください! 238 00:21:37,963 --> 00:21:41,300 何だ? お前は。 先日もお訪ねしました➡ 239 00:21:41,300 --> 00:21:44,803 医師 藍野松庵の娘 いちと申します。 240 00:21:44,803 --> 00:21:50,676 田澄十斗様に… いえ 山賀貝弦先生に お取り次ぎ願えますか? 241 00:21:50,676 --> 00:21:54,980 先生は会わん。 田澄は… おらん。 242 00:21:54,980 --> 00:21:59,151 いない? ここを出ていった。 243 00:21:59,151 --> 00:22:01,921 帰れ。 分をわきまえろ。 うそ…。 244 00:22:01,921 --> 00:22:05,391 うそよ! あの… すいません! 245 00:22:05,391 --> 00:22:10,396 開けてください! お願いします! 開けて~! 246 00:22:32,117 --> 00:22:36,956 (山賀)女だと? (江上)貧しいなりをした町医者の娘です。 247 00:22:36,956 --> 00:22:41,293 田澄に会いたいと。 田澄か…。 248 00:22:41,293 --> 00:22:44,196 田澄は どこに閉じ込めた? 249 00:22:44,196 --> 00:22:48,634 田澄様まで…? (江上)東の道具小屋に。 250 00:22:48,634 --> 00:22:52,438 文を持ち込んだ娘も一緒か。 (江上)はい。➡ 251 00:22:52,438 --> 00:22:54,974 あそこならば 今は 出入りする者はおりません。➡ 252 00:22:54,974 --> 00:22:58,811 鍵もかかっております。 始末しますか? 253 00:22:58,811 --> 00:23:02,581 あの連中と同じように 例の薬を飲ませて…。 254 00:23:02,581 --> 00:23:06,919 待て。 娘はともかく 田澄は惜しい。 255 00:23:06,919 --> 00:23:10,589 私の力になれる男だ。 256 00:23:10,589 --> 00:23:17,096 ああ… 夜通し お大尽のお相伴で いささか疲れた。 257 00:23:17,096 --> 00:23:20,132 少し休む。➡ 258 00:23:20,132 --> 00:23:23,936 こよい もう一度 田澄と話す。 259 00:23:28,807 --> 00:23:39,118 ♬~ 260 00:23:39,118 --> 00:23:44,623 東… 東のお道具小屋。 261 00:23:46,992 --> 00:23:51,430 もし。 東のお道具小屋は どちらでしょうか? 262 00:23:51,430 --> 00:23:55,801 お前さん…。 薬種問屋 佐渡屋から よこされました。 263 00:23:55,801 --> 00:24:01,907 お道具小屋の薬研を頂いてこいと。 (2人)ああ…。➡ 264 00:24:01,907 --> 00:24:04,576 あちらです。 265 00:24:04,576 --> 00:24:07,246 ありがとうございます。 266 00:24:07,246 --> 00:24:57,129 ♬~ 267 00:24:57,129 --> 00:25:01,433 うう…。田澄様! うっ うう…。 268 00:25:04,570 --> 00:25:07,239 おけがは? 大事ない。 269 00:25:07,239 --> 00:25:09,174 向こうに 娘が もう一人いる。 270 00:25:09,174 --> 00:25:12,077 あっ… お松ちゃん! 271 00:25:12,077 --> 00:25:14,380 お松ちゃん…。 272 00:25:16,915 --> 00:25:19,251 おいっちゃん…。 助けに来たんだ。 273 00:25:19,251 --> 00:25:21,253 もう平気だよ! 274 00:25:23,756 --> 00:25:26,792 罰が当たったんだ…。 275 00:25:26,792 --> 00:25:31,930 私が よこしまなこと しようとしたから…。 276 00:25:31,930 --> 00:25:36,802 私… おふねちゃんの文を…。 277 00:25:36,802 --> 00:25:40,639 おふねちゃんと山賀が やり取りした文ね? 278 00:25:40,639 --> 00:25:45,144 知ってたの? お清ちゃんが見せてくれた。 279 00:25:49,948 --> 00:25:57,289 黙ってよう ずっと秘密にしてよう… そう思った。 280 00:25:57,289 --> 00:26:03,729 でも… お父っつぁんが 借金の形に 私を売ると言いだして…。 281 00:26:03,729 --> 00:26:09,234 山賀を脅して金に換えよう そう思ったんだね? 282 00:26:11,470 --> 00:26:17,276 六軒堀で見つかった連中も 2人の仲を知り 先生を脅していた。 283 00:26:17,276 --> 00:26:21,080 それで始末されたんだ。 田澄様は それを知って…? 284 00:26:21,080 --> 00:26:25,918 先生に問いただそうとした。 そしたら 後ろから殴られた。 285 00:26:25,918 --> 00:26:31,723 私たちも殺されるの? 逃げよう! すぐ! 286 00:26:37,529 --> 00:26:39,731 何…? 287 00:26:41,767 --> 00:26:44,803 (十斗)あっ! 火! (お松)煙…! 288 00:26:44,803 --> 00:26:47,406 (せきこみ) 289 00:26:47,406 --> 00:26:50,709 お前 一体 何を…!? 290 00:26:53,612 --> 00:26:57,416 屋敷に やっかいな女が入り込みました。 291 00:26:57,416 --> 00:27:00,886 3人まとめて 始末します。 292 00:27:00,886 --> 00:27:02,821 な…。 ご安心を。 293 00:27:02,821 --> 00:27:05,557 全ての罪は田澄にかぶせます。 294 00:27:05,557 --> 00:27:09,061 よせ… 勝手な振る舞いを! 295 00:27:11,897 --> 00:27:16,068 全て先生の命ではないですか! 296 00:27:16,068 --> 00:27:20,372 ならず者を手にかけた時から 我らは一蓮托生です。 297 00:27:20,372 --> 00:27:26,378 やっと… 田澄より先生に近づいた…。 298 00:27:28,113 --> 00:27:32,384 長崎へは 私が。 299 00:27:32,384 --> 00:27:37,256 作り上げたものを… お前ごときが! 300 00:27:37,256 --> 00:27:39,591 うっ…! 301 00:27:39,591 --> 00:27:41,894 うわ~! 302 00:27:53,939 --> 00:27:58,277 (せきこみ) (十斗)うっ! 煙を吸うな! 303 00:27:58,277 --> 00:28:01,880 ぐっ! うう~! 304 00:28:01,880 --> 00:28:04,783 (せきこみ) 305 00:28:04,783 --> 00:28:10,355 (十斗)うっ… うわ~! う~っ! 306 00:28:10,355 --> 00:28:15,661 私たち もう…。 駄目! 諦めちゃ…! 307 00:28:17,896 --> 00:28:41,119 ♬~(子守唄) 308 00:28:41,119 --> 00:28:50,395 ♬ お夢のお花も 309 00:28:50,395 --> 00:28:56,401 ♬ 散りまする 310 00:28:58,604 --> 00:29:03,408 ♬ はらはら どうして それを? 311 00:29:06,211 --> 00:29:11,083 あ… 歌っていた…。 312 00:29:11,083 --> 00:29:18,557 母が 生まれる子に…。 313 00:29:18,557 --> 00:29:24,763 田澄様の… 母上…。 314 00:29:26,431 --> 00:29:28,567 (焼け落ちる音) 315 00:29:28,567 --> 00:29:31,270 (十斗)うわっ! (悲鳴) 316 00:29:37,909 --> 00:29:43,081 (赤子の産声) 死ぬもんか…。 317 00:29:43,081 --> 00:29:49,388 私たち… 生きるために生まれてきたんだもの! 318 00:29:54,593 --> 00:29:58,897 (女の声)おいち おいち…。 319 00:30:00,465 --> 00:30:07,606 (女の声)生きて。 生きて!➡ 320 00:30:07,606 --> 00:30:09,908 おいち…! 321 00:30:11,943 --> 00:30:15,647 おっ母様! 322 00:30:22,120 --> 00:30:24,322 うわあ~! 323 00:30:25,957 --> 00:30:28,860 おいちさん! 新吉さん! 324 00:30:28,860 --> 00:30:31,129 あっ…! 325 00:30:31,129 --> 00:30:33,965 おいちさん! うわ~! 326 00:30:33,965 --> 00:30:46,778 ♬~ 327 00:30:50,415 --> 00:30:58,190 元は 村医者の薬箱を担がされてた 口減らしの小僧だったそうですよ。 328 00:30:58,190 --> 00:31:04,963 ひたすら勉学に励み 松の位の医者まで上り詰めた。 329 00:31:04,963 --> 00:31:13,171 出自を嫌って 金と肩書のある者しか 診ようとしなかった。 330 00:31:15,574 --> 00:31:21,947 ところがね 誰にも ないしょで 時々 路地裏の居酒屋のじじいの面倒を➡ 331 00:31:21,947 --> 00:31:26,418 見てたらしいんですよ。 持病の薬 届けたり➡ 332 00:31:26,418 --> 00:31:32,791 おいちさんのお友達とも そこで会うようになって。 333 00:31:32,791 --> 00:31:38,597 おふねちゃんと…。 はい。 334 00:31:38,597 --> 00:31:43,969 金だけが全てって男が 何で また➡ 335 00:31:43,969 --> 00:31:48,840 きったねえ裏路地のじじいなんかに 優しくしてたんだか。 336 00:31:48,840 --> 00:31:52,644 おふねちゃんだけには…。 337 00:31:52,644 --> 00:32:01,253 おふねちゃん 荒れた道端の ただの草むらの中でも➡ 338 00:32:01,253 --> 00:32:08,393 誰より早く 花の咲く芽を教えてくれる子でした。 339 00:32:08,393 --> 00:32:12,931 きれいなものが大好きで…。 340 00:32:12,931 --> 00:32:22,107 だから おふねちゃんには 見えていたのかもしれない。 341 00:32:22,107 --> 00:32:25,110 その訳が…。 342 00:32:27,779 --> 00:32:31,950 あんな男の中にも➡ 343 00:32:31,950 --> 00:32:38,623 何か一筋… きれいなものが。 344 00:32:38,623 --> 00:32:49,267 ♬~ 345 00:32:49,267 --> 00:32:53,171 これから どうするんだ? 346 00:32:53,171 --> 00:32:57,008 長崎行きも なくなっちまったんだろ。 347 00:32:57,008 --> 00:33:00,579 医者を続けます。➡ 348 00:33:00,579 --> 00:33:06,084 松庵先生のことを 全て許したわけじゃない。 349 00:33:08,753 --> 00:33:17,095 でも… 燃える小屋の中で もう駄目だと思った時…。 350 00:33:17,095 --> 00:33:20,765  回想 死ぬもんか…。 351 00:33:20,765 --> 00:33:27,272 私たち… 生きるために生まれてきたんだもの! 352 00:33:27,272 --> 00:33:30,942 忘れていた…。 353 00:33:30,942 --> 00:33:37,148 生きるために知りたいことが もっともっとある。 354 00:33:38,683 --> 00:33:43,288 私を手伝ってみないか? え? 355 00:33:43,288 --> 00:33:46,625 ここには 金も栄誉もない。 356 00:33:46,625 --> 00:33:51,129 だが それ以外のことは全てある。 357 00:33:51,129 --> 00:33:57,302 うるさい 貧しい 面倒くさい。 358 00:33:57,302 --> 00:34:01,306 だが 面白い。 359 00:34:09,581 --> 00:34:15,787 私を見定めてみろ。 許せぬのなら なおさら。 360 00:34:25,063 --> 00:34:29,267 (新吉)お松さん おふねさんのご実家で働くんですね。 361 00:34:29,267 --> 00:34:34,139 ええ。 おじさんは酒毒の養生で いいお医者さんの預かりになって➡ 362 00:34:34,139 --> 00:34:37,008 お松ちゃんは 小峯屋に住み込み。 363 00:34:37,008 --> 00:34:40,312 お清ちゃんと お良ちゃんも 引き受けてくれるって。 364 00:34:47,953 --> 00:34:49,955 おいちさん。 365 00:34:56,962 --> 00:34:58,897 (新吉)これ…。 366 00:34:58,897 --> 00:35:02,767 これ 新吉さんが うちへ落としてった…。 367 00:35:02,767 --> 00:35:06,237 作り直しました。 細工も変えて。 368 00:35:06,237 --> 00:35:12,377 てめえで言うのも何ですが いい出来で 親方にも褒められました 初めて。 369 00:35:12,377 --> 00:35:15,246 そう! 370 00:35:15,246 --> 00:35:19,551 おいちさんに もらってほしいんです。 私に? 371 00:35:21,119 --> 00:35:25,323 (新吉)おいちさんがいなかったら こいつは出来なかった。 372 00:35:26,958 --> 00:35:30,762 だから これは そのお礼です。 373 00:35:32,597 --> 00:35:36,401 お礼なら とっくに。 え? 374 00:35:36,401 --> 00:35:40,271 助けてくれた。 火の中に飛び込んで。 375 00:35:40,271 --> 00:35:45,410 あっ… ハハハッ! あ いや あれは無我夢中っていうか… ハハハ…! 376 00:35:45,410 --> 00:35:49,280 男前だったな~。 アハハハハッ! いや… いや~。 377 00:35:49,280 --> 00:35:52,283 煙で何にも見えなかったけど。 378 00:35:54,152 --> 00:35:57,022 (せきこみ) アハハハハ! 379 00:35:57,022 --> 00:36:00,725 ほこりが… ちょっ… 畳のほこりがね。 (せきこみ) 380 00:36:10,235 --> 00:36:12,537 (戸が開く音) 381 00:36:14,572 --> 00:36:16,775 ああ~…。 382 00:36:26,184 --> 00:36:29,387 お父っつぁま。 うん? 383 00:36:32,957 --> 00:36:36,261 ずっと 考えていたことがあるの。 384 00:36:38,596 --> 00:36:47,272 この先 もし 田澄様が長崎へ行くことになったら➡ 385 00:36:47,272 --> 00:36:53,478 私も ついていっていい? 386 00:36:55,613 --> 00:37:01,419 長崎 私も行ってみたいの。 387 00:37:01,419 --> 00:37:08,560 もし… もし 田澄様が ついてきてほしいって言ったら…。 388 00:37:08,560 --> 00:37:10,762 駄目だ。 389 00:37:13,064 --> 00:37:15,266 どうして? 390 00:37:19,237 --> 00:37:27,946 私が… 田澄様の妹だから? 391 00:37:35,687 --> 00:37:39,257 ずっと聞こえていたの。 392 00:37:39,257 --> 00:37:46,965 お父っつぁまが 田澄様の母上の話をする度…。 393 00:37:49,601 --> 00:37:56,307 かすかな… 優しい声が。 394 00:38:03,148 --> 00:38:08,553 それは 子守唄のようで…。 395 00:38:08,553 --> 00:38:20,231 ♬~ 396 00:38:20,231 --> 00:38:28,740 田澄様の母上が おなかの子に聴かせていた歌。 397 00:38:32,076 --> 00:38:36,915 お前が何を言いたいのか…➡ 398 00:38:36,915 --> 00:38:39,584 何を知りたいのか 私には分からん。 399 00:38:39,584 --> 00:38:42,620 この話には 続きがあって…。 400 00:38:42,620 --> 00:38:52,597 山賀屋敷で火に囲まれた時 そのうち 子守唄も聞こえなくなってしまって…。 401 00:38:52,597 --> 00:38:58,403 今度こそ もう駄目かもしれないって そう思った時…➡ 402 00:38:58,403 --> 00:39:08,413 聞こえたの。 生まれたばかりの赤子の産声が。 403 00:39:14,219 --> 00:39:20,558 そして 私を励ましてくれる…。 404 00:39:20,558 --> 00:39:27,432  回想 (女の声)生きるのよ。 おいち。➡ 405 00:39:27,432 --> 00:39:31,636 お父っつぁまが待ってるよ。 406 00:39:33,571 --> 00:39:36,774 おっ母様の声だった。 407 00:39:38,443 --> 00:39:44,949 ここで 私を育ててくれた…。 408 00:39:48,753 --> 00:39:58,930 私を背負って 私をあやして 私に笑いかけてくれて。 409 00:39:58,930 --> 00:40:03,735 私を守ってくれたのは…。 410 00:40:11,276 --> 00:40:13,978 おいち…。 411 00:40:18,783 --> 00:40:26,791 ずっと お父っつぁまの娘でいて いい? 412 00:40:31,796 --> 00:40:39,304 私… ここにいたい。 413 00:40:47,312 --> 00:40:54,052 お前は 私の娘だ。 414 00:40:54,052 --> 00:41:16,341 ♬~ 415 00:41:20,945 --> 00:41:23,648 (2人)ふうり~ん。 416 00:41:25,283 --> 00:41:28,619 (2人)見てもい~い? いいよ。 417 00:41:28,619 --> 00:41:33,324 これ 持ってきな。 (2人)ありがとう! 418 00:41:37,328 --> 00:41:40,798 (庄助) 六軒堀で 小間物問屋を営んでおります➡ 419 00:41:40,798 --> 00:41:44,302 いさご屋のあるじ 庄助と申します。 420 00:41:44,302 --> 00:41:46,637 はあ…。 421 00:41:46,637 --> 00:41:52,443 あ… 飾り職人の新吉さんから ここの先生のことを伺いまして。 422 00:41:52,443 --> 00:41:55,146 どうした? 423 00:42:05,990 --> 00:42:12,764 あの… もう一度 初めから話していただけますか? 424 00:42:12,764 --> 00:42:18,636 ですから あたしの中に姉がいるんです。 425 00:42:18,636 --> 00:42:21,406 姉…。 426 00:42:21,406 --> 00:42:28,112 死んだ姉が あたしの中で生きているのです。 427 00:42:39,290 --> 00:42:42,627 あの店には 何かがある。 428 00:42:42,627 --> 00:42:45,663 あたしの中のお京が 人を殺したんですよ。 429 00:42:45,663 --> 00:42:47,799 こいつは ひどいやつです。 430 00:42:47,799 --> 00:42:52,637 下手人につながる ただ一つの証しです。 431 00:42:52,637 --> 00:42:54,639 お京さん…。