1 00:00:03,170 --> 00:00:07,941 <おいちには 時々 何かを背負った人の心や➡ 2 00:00:07,941 --> 00:00:12,246 亡くなった人の影が見えるという 力があった> 3 00:00:13,814 --> 00:00:17,284 <おいちは 時に 危険に身をさらしながら➡ 4 00:00:17,284 --> 00:00:20,787 その力を生かそうとする。➡ 5 00:00:20,787 --> 00:00:23,690 そこへ…> 6 00:00:23,690 --> 00:00:26,660 (庄助)六間堀で 小間物問屋を営んでおります➡ 7 00:00:26,660 --> 00:00:32,132 いさご屋のあるじ 庄助と申します。 8 00:00:32,132 --> 00:00:36,303 あたしの中に姉がいるんです。 9 00:00:36,303 --> 00:00:39,206 (おいち)姉…。 10 00:00:39,206 --> 00:00:46,013 死んだ姉が あたしの中で生きているのです。 11 00:00:46,013 --> 00:00:58,992 ♬~ 12 00:00:58,992 --> 00:01:15,475 ♬~ 13 00:01:15,475 --> 00:01:17,945 (手代)いらっしゃいませ。 14 00:01:17,945 --> 00:01:22,416 菖蒲長屋の医師 藍野松庵の娘 いちと申します。 15 00:01:22,416 --> 00:01:24,785 はあ…。 こちらの若旦那様の➡ 16 00:01:24,785 --> 00:01:28,655 養生のお手伝いに参りました。 本日より ごやっかいになります。 17 00:01:28,655 --> 00:01:31,158 よろしくお願いいたします。 18 00:01:35,495 --> 00:01:40,801 あの… 若旦那様 庄助さんは どちらに? 19 00:01:40,801 --> 00:01:43,437 (十斗)一体 どういうことなんですか? 20 00:01:43,437 --> 00:01:46,306 (松庵)だから そういう相談が来たんだよ。 21 00:01:46,306 --> 00:01:49,309 布団は これで足りるかい? いや… はい。 22 00:01:49,309 --> 00:01:52,112 ここで 寝泊まりしてくれるとは助かった。 23 00:01:52,112 --> 00:01:56,650 私が 根岸へ通う間 夜の病人を どうしようかと迷っていたんだ。 24 00:01:56,650 --> 00:01:59,686 いや だから その相談というのは どういう話だったんですか? 25 00:01:59,686 --> 00:02:01,621 うん…。 26 00:02:01,621 --> 00:02:07,761 あたしには 同じ日 同じ時に生まれた 双子の姉がおりました。 27 00:02:07,761 --> 00:02:11,264 京といいます。 28 00:02:11,264 --> 00:02:13,600 お京さん…。 29 00:02:13,600 --> 00:02:17,404 母親は あたしたちを産み落とすと すぐ亡くなり➡ 30 00:02:17,404 --> 00:02:23,610 男に生まれたあたしは 店の跡取りとして 大切に育てられたのですが➡ 31 00:02:23,610 --> 00:02:28,782 姉は もともと 体が弱く いつも薄暗い 奥の座敷に➡ 32 00:02:28,782 --> 00:02:31,084 じっと寝かされておりました。 33 00:02:32,653 --> 00:02:36,456 (庄助) そばについているのは 乳母のお久だけ。 34 00:02:38,792 --> 00:02:43,296 (お京)はい きれいになりましょうね。 35 00:02:43,296 --> 00:02:48,635 (庄助)あたしは 姉が大好きで 姉の部屋に遊びに行っては➡ 36 00:02:48,635 --> 00:02:54,808 姉の着物を着たり 化粧のまね事をしたり…。➡ 37 00:02:54,808 --> 00:02:58,011 ですが それを知った祖父は…。 38 00:03:00,380 --> 00:03:03,283 (庄助)烈火のごとく怒り 罵りました。 39 00:03:03,283 --> 00:03:09,122 お前は… いさご屋の跡取りを おもちゃにするのか! 40 00:03:09,122 --> 00:03:13,393 (庄助)あたしではなく 姉を…。➡ 41 00:03:13,393 --> 00:03:19,199 「お前は いさご屋の跡取りを おもちゃにするのか」。 42 00:03:19,199 --> 00:03:22,936 この! この この! 43 00:03:22,936 --> 00:03:26,406 (庄助)それ以来 あたしも父に厳しくしつけられ…。 44 00:03:26,406 --> 00:03:29,109 加えて 16では。 45 00:03:29,109 --> 00:03:32,012 74…。 46 00:03:32,012 --> 00:03:35,615 違う! 79だ。➡ 47 00:03:35,615 --> 00:03:37,818 願いましては…。 48 00:03:40,287 --> 00:03:45,492 (庄助)7つの時 あたしたちは はやり病にかかり…。 49 00:03:47,627 --> 00:03:52,799 (庄助)姉が亡くなりました。 50 00:03:52,799 --> 00:03:55,836 (お久)お嬢様…。➡ 51 00:03:55,836 --> 00:04:00,140 お嬢様~!➡ 52 00:04:00,140 --> 00:04:03,110 お嬢様…。➡ 53 00:04:03,110 --> 00:04:06,246 お嬢様…! 54 00:04:06,246 --> 00:04:11,084 亡くなる間際 あたしは高熱にうなされた夢の中で➡ 55 00:04:11,084 --> 00:04:13,987 姉と約束を交わしたのです。 56 00:04:13,987 --> 00:04:20,093 もし どちらか 亡くなるようなことがあったら➡ 57 00:04:20,093 --> 00:04:25,899 生き残った体で 2人 共に生きようと。 58 00:04:25,899 --> 00:04:36,409 (泣き声) 59 00:04:36,409 --> 00:04:45,619 (庄助)それ以来 お京という女が あたしの中にいます。 60 00:04:45,619 --> 00:04:52,325 あなたは… お嬢様なんですか? 61 00:04:54,127 --> 00:04:58,431 そのお京が 人を殺したっていうんだ。 62 00:04:58,431 --> 00:05:02,235 妄想の中の女が…? 63 00:05:02,235 --> 00:05:05,071 もともと 引っ込み思案だった 若旦那にとって➡ 64 00:05:05,071 --> 00:05:09,376 心の中のお京は ただ一人の友だった。 65 00:05:09,376 --> 00:05:14,915 だが お京は 祖父や父から受けた仕打ちが 忘れられず➡ 66 00:05:14,915 --> 00:05:19,586 次第に 若旦那の中で暴れ始めた。 67 00:05:19,586 --> 00:05:25,759 憎い… 憎い…。 あたしの中で暴れる姉を➡ 68 00:05:25,759 --> 00:05:30,096 毎日 必死で なだめました。 抑えて 抑えて…。 69 00:05:30,096 --> 00:05:36,403 ある日 祖父が 死にました。➡ 70 00:05:36,403 --> 00:05:41,608 医者は 心の臓のせいだと言いましたが あたしは すぐに分かりました。 71 00:05:41,608 --> 00:05:45,779 お京が 首を絞めたのです。 72 00:05:45,779 --> 00:05:49,649 あたしの体を借りて…。 夢ではないのですか? 73 00:05:49,649 --> 00:05:55,121 私にも覚えがあります。 近しい人が語りかけてくるような…。 74 00:05:55,121 --> 00:06:00,727 違います。 その時 あたしは気を失い その間の記憶が 一切ないのです。➡ 75 00:06:00,727 --> 00:06:03,630 まるで… そう。 76 00:06:03,630 --> 00:06:08,235 お京に体を乗っ取られたような…。 77 00:06:08,235 --> 00:06:13,573 それだけではありません。 もしかしたら あたしは ほかにも…。 78 00:06:13,573 --> 00:06:16,376 ほかにも 心当たりが? 79 00:06:16,376 --> 00:06:18,578 いえ…。 80 00:06:20,247 --> 00:06:22,916 お願いです。 81 00:06:22,916 --> 00:06:29,122 お京は きっと また 誰かを殺そうとします。 82 00:06:31,591 --> 00:06:35,462 あたしは それを止める自信がない。 83 00:06:35,462 --> 00:06:38,765 その前に お京を…。 84 00:06:42,235 --> 00:06:48,441 あたしの中の姉を止めてほしいんです。 85 00:06:54,814 --> 00:06:57,017 大旦那様! 86 00:07:02,222 --> 00:07:09,362 ああ… あんたかい。 うちに取り入ろうという医者もどきは。 87 00:07:09,362 --> 00:07:12,732 「もどき」って…。 (庄助)お父っつぁん! 88 00:07:12,732 --> 00:07:17,237 あ… この方は あたしがお呼びしたんです。 89 00:07:17,237 --> 00:07:20,240 言ったでしょう。 体の調子が優れないから➡ 90 00:07:20,240 --> 00:07:22,375 しばらく お医者に とう留してもらうって。 91 00:07:22,375 --> 00:07:26,579 女だとは聞いていない。 こんな怪しげな者…➡ 92 00:07:26,579 --> 00:07:33,453 お大名家にも出入りを許された いさご屋の名に 障りが出たらどうする。➡ 93 00:07:33,453 --> 00:07:37,223 それぐらいのことも分からないのか。 (新吉)おいちさんは➡ 94 00:07:37,223 --> 00:07:41,094 れっきとしたお医者さんですよ。 新吉さん。 95 00:07:41,094 --> 00:07:45,932 飾り職人の新吉さんです。 若いのに腕がいい。 96 00:07:45,932 --> 00:07:49,602 しばらく うちで抱えて 新しいかんざしを こさえてもらおうと思ってます。 97 00:07:49,602 --> 00:07:53,273 職人を抱えるかどうかは 品を見て 私が決める。 98 00:07:53,273 --> 00:07:55,608 新吉さんの腕は確かですよ。 99 00:07:55,608 --> 00:07:58,411 おいちさんの腕も なかなかですよ。 100 00:07:58,411 --> 00:08:03,616 何たって あっしのここを 縫ってくれたんですからね! 101 00:08:07,554 --> 00:08:09,489 (せきばらい) 102 00:08:09,489 --> 00:08:16,062 一度は隠居をする心づもりだったが まだまだ お前に店は任せられないな。 103 00:08:16,062 --> 00:08:21,067 あるじは あたしです。 店のことは あたしが決めます。 104 00:08:24,571 --> 00:08:29,376 新吉さんと おいちさんには 店にいていただきますから。 105 00:08:37,083 --> 00:08:39,586 お父っつぁん! 106 00:08:41,254 --> 00:08:43,590 若旦那! 庄助さん。 107 00:08:43,590 --> 00:08:47,761 お水を下さい。 それと ぬれた手ぬぐいを。 庄助さん 大丈夫ですか? 108 00:08:47,761 --> 00:08:51,097 このまま寝かせてください。 手は首に。 (新吉)へい! 109 00:08:51,097 --> 00:08:53,600 (庄助)すいません…。 110 00:09:03,343 --> 00:09:08,715 は~… 辛気くせえ部屋だな。 111 00:09:08,715 --> 00:09:12,352 狭いし 暗いし…。 112 00:09:12,352 --> 00:09:18,058 私がお願いしたんです。 ここは昔 お京さんというお嬢さんが➡ 113 00:09:18,058 --> 00:09:24,731 養生されてた座敷なんです。 お京さんは もう亡くなってしまったけれど…。 114 00:09:24,731 --> 00:09:27,033 へえ…。 115 00:09:28,902 --> 00:09:34,374 じゃあ お京さんは おいちさんに 話しかけてくるかもしれませんね。 116 00:09:34,374 --> 00:09:38,244 え? おいちさん 誰の話でも➡ 117 00:09:38,244 --> 00:09:41,581 隔てなく聞いてくれそうだから。 118 00:09:41,581 --> 00:09:44,918 そう そのつもりで来たの。 119 00:09:44,918 --> 00:09:49,255 お京さんと話をしてみようと思って…。 120 00:09:49,255 --> 00:09:54,594 松庵先生からも くれぐれもよろしくと頼まれました。 121 00:09:54,594 --> 00:09:57,797 お父っつぁまが新吉さんに? 122 00:10:01,468 --> 00:10:07,774 ここの大旦那は おいちさんのことを てんで信じていません。 123 00:10:07,774 --> 00:10:12,412 何か嫌がらせされたら すぐ 俺を呼んでください。 124 00:10:12,412 --> 00:10:15,615 裏の仕事場にいます。 125 00:10:15,615 --> 00:10:18,818 あ… ありがとう! 126 00:10:25,291 --> 00:10:27,293 フフフッ…。 127 00:10:27,293 --> 00:10:47,080 ♬~ 128 00:11:09,602 --> 00:11:12,605 いいなあ それ。 129 00:11:30,290 --> 00:11:32,292 えっ? 130 00:11:33,960 --> 00:11:35,895 あっ ちょっと! 131 00:11:35,895 --> 00:11:37,830 (お久)乙松さんです。 132 00:11:37,830 --> 00:11:41,434 若旦那様の母親違いの弟さんです。 133 00:11:41,434 --> 00:11:46,139 久と申します。 先生のお世話をしろと 旦那様に。 134 00:11:46,139 --> 00:11:49,943 あなたが お京さんの…。 135 00:11:52,312 --> 00:11:57,517 大切なお京様のお部屋 お借りいたします。 136 00:11:59,652 --> 00:12:02,355 ご無礼いたしました。 137 00:12:07,927 --> 00:12:12,732 若旦那様のことを よろしくお願いいたします。 138 00:12:15,101 --> 00:12:21,774 小さい時から お二人を見てきて ここのところ おつらそうで…。 139 00:12:21,774 --> 00:12:25,278 ひょっとして お久さん…。 (お久)伺ってます。 140 00:12:25,278 --> 00:12:28,781 若旦那様の中にお嬢様がいると。 141 00:12:28,781 --> 00:12:34,988 私は うわべで 話 合わせているだけですが。 142 00:12:38,791 --> 00:12:45,298 いろいろ 教えていただきたいんです。 この家の方たちのこと。 143 00:12:45,298 --> 00:12:47,500 はあ…。 144 00:12:51,638 --> 00:12:55,508 (お久)番頭の弐助さんは 大旦那様の言いなりです。 145 00:12:55,508 --> 00:12:58,144 あっ…! 146 00:12:58,144 --> 00:13:02,949 (お久)店の者は 大抵 弐助さんの顔色をうかがっております。 147 00:13:13,259 --> 00:13:16,262 (お久)ご新造様のお富様。 148 00:13:16,262 --> 00:13:19,932 どこぞのお座敷で 大旦那様が見初められ➡ 149 00:13:19,932 --> 00:13:22,835 後妻に入られたのだとか。➡ 150 00:13:22,835 --> 00:13:28,608 今年 5つになられる乙松さんは 大旦那様とお富様が➡ 151 00:13:28,608 --> 00:13:33,479 それはそれは かわいがっておられるご次男で…➡ 152 00:13:33,479 --> 00:13:39,686 若旦那様のお味方は 家の中には誰もおりません。 153 00:14:17,924 --> 00:14:23,396 (庄助)ここで頂くお茶だけが あたしの安らぎです。 154 00:14:23,396 --> 00:14:28,935 お加減は もう…? ええ ありがとうございました。 155 00:14:28,935 --> 00:14:35,708 近頃は お京も おとなしくしているようで あたしも よく眠れます。 156 00:14:35,708 --> 00:14:38,211 そうですか。 157 00:14:41,647 --> 00:14:47,787 お京が見える あたしを 病だと思われますか? 158 00:14:47,787 --> 00:14:56,496 いいえ。 見えるということはあると思います。 159 00:15:08,741 --> 00:15:17,750 でも 幻ということもあります。 ですから 私は それを見極めに来たのです。 160 00:15:17,750 --> 00:15:22,255 庄助さんの不思議のもとを…。 161 00:15:22,255 --> 00:15:27,460 不思議の… もと。 162 00:15:29,595 --> 00:15:32,398 頂きます。 163 00:15:36,936 --> 00:15:39,238 おいしい! 164 00:15:50,783 --> 00:16:15,575 ♬~ 165 00:16:15,575 --> 00:16:18,077 (お京)苦しいの? 166 00:16:21,447 --> 00:16:24,250 お京さん…。 167 00:16:24,250 --> 00:16:27,086 お京さんね? 168 00:16:27,086 --> 00:16:39,098 ♬~ 169 00:16:39,098 --> 00:16:42,602 それが気に入ったの? 170 00:16:42,602 --> 00:16:46,272 さしてあげましょうか? 171 00:16:46,272 --> 00:17:12,899 ♬~ 172 00:17:12,899 --> 00:17:14,901 (障子が開く音) 173 00:17:17,570 --> 00:17:20,907 庄助さん…? 174 00:17:20,907 --> 00:17:23,209 どうなさいました? 175 00:17:24,777 --> 00:17:27,280 お京が…。 176 00:17:31,918 --> 00:17:36,389 お京が また人を…。 177 00:17:36,389 --> 00:17:39,926 庄助さん…。 178 00:17:39,926 --> 00:17:42,728 庄助さん! 179 00:17:47,600 --> 00:17:50,503 (仙五朗) ゆうべ 五間堀で女が殺されやした。 180 00:17:50,503 --> 00:17:52,471 2人目です。 2人目? 181 00:17:52,471 --> 00:17:58,611 1人目は半月前 御船蔵の裏手 殺されたのは夜中です。 182 00:17:58,611 --> 00:18:05,051 (十斗)夜中に女というと…。 ええ 2人とも夜鷹です。 183 00:18:05,051 --> 00:18:08,888 商いの河岸が違うんで 知り合いかどうかは分かりませんが➡ 184 00:18:08,888 --> 00:18:11,724 手口が似通っております。 185 00:18:11,724 --> 00:18:15,227 2人とも刃物で胸を一突き。 186 00:18:15,227 --> 00:18:19,098 なじみの客の中に 怪しい者はいないんですか? 187 00:18:19,098 --> 00:18:23,369 いや そりゃあ たたけば ほこりの出る者も いるだろうが…。 188 00:18:23,369 --> 00:18:25,438 (十斗)ならば 私に聞くまでもない。 189 00:18:25,438 --> 00:18:28,574 まずは そういう連中を 片っ端から引っ張って➡ 190 00:18:28,574 --> 00:18:33,079 ぎゅうぎゅう言わせてみればいい。 すねに傷ある者は➡ 191 00:18:33,079 --> 00:18:37,249 申し開きに口籠もる。 そして 更に責める。➡ 192 00:18:37,249 --> 00:18:42,755 覚えのある者は 必ず落ちますよ。 (ヒグラシの声) 193 00:18:42,755 --> 00:18:45,591 何か? 194 00:18:45,591 --> 00:18:48,394 ああ… い… いや。 195 00:18:48,394 --> 00:18:54,767 まあ 考えてみやす。 どうも。 196 00:18:54,767 --> 00:19:00,072 (ヒグラシの声) 197 00:19:04,443 --> 00:19:09,749 (ヒグラシの声) 198 00:19:12,551 --> 00:19:15,054 (2人)親分! お おう。 199 00:19:15,054 --> 00:19:17,723 (長治)ちょいと 気になる話を聞きつけました。 200 00:19:17,723 --> 00:19:20,559 なんでい? (長治) 殺された女たちが住んでいた長屋に➡ 201 00:19:20,559 --> 00:19:24,363 およしという夜鷹が住んでいたと。 およし? 202 00:19:24,363 --> 00:19:29,235 (太一)2人が殺される前 素早く家移りして 姿を消しています。 203 00:19:29,235 --> 00:19:31,437 家移り? 204 00:19:34,106 --> 00:19:37,243 御船蔵の殺し…。 205 00:19:37,243 --> 00:19:40,579 (庄助)女は刃物で一突き。 206 00:19:40,579 --> 00:19:46,385 その夜 あたしは昨夜と同じように めまいがして➡ 207 00:19:46,385 --> 00:19:51,590 気を失っていたんです。 気が付くと…➡ 208 00:19:51,590 --> 00:20:01,267 手が血で汚れていて…。 怖くて 誰にも言えなかった。 209 00:20:01,267 --> 00:20:08,941 下手人は 恐らく あたしです。 昨夜も きっと どこかで女が…! 210 00:20:08,941 --> 00:20:12,278 落ち着いてください。 (庄助)落ち着けるわけがないでしょ! 211 00:20:12,278 --> 00:20:21,987 あたしが… あたしの中のお京が 人を殺したんですよ。 212 00:20:21,987 --> 00:20:27,626 あなたの手についていたのは 血ではありません。 213 00:20:27,626 --> 00:20:30,529 染料です。 214 00:20:30,529 --> 00:20:35,301 せ… 染料…。 215 00:20:35,301 --> 00:20:40,639 血の臭いが まるでしませんでした。 まさか…。 216 00:20:40,639 --> 00:20:46,512 それに 生きている女の心の臓を一突き。 217 00:20:46,512 --> 00:20:51,283 よほどの胆力がなければ できない仕業です。 218 00:20:51,283 --> 00:20:59,091 あなたや ましてや 女のお京さんに おいそれと できることではありません。 219 00:21:08,267 --> 00:21:11,270 庄助さん…。 220 00:21:14,607 --> 00:21:18,944 す… すいません。 221 00:21:18,944 --> 00:21:22,248 うれしいんです。 222 00:21:24,617 --> 00:21:27,653 ほっとしてしまって…。 223 00:21:27,653 --> 00:21:31,357 ほっとしてしまって…。 224 00:21:34,960 --> 00:21:39,832 でも 安心するのは まだ早いです。 225 00:21:39,832 --> 00:21:46,639 え? 庄助さんの手を赤く汚した人がいます。 226 00:21:50,509 --> 00:21:57,016 誰かが あたしを陥れようと…? 227 00:22:03,022 --> 00:22:10,396 この殺しに関わる者が うちの中に…? 228 00:22:10,396 --> 00:22:16,936 私が調べます。 お身内を疑うのは 心苦しいですが➡ 229 00:22:16,936 --> 00:22:20,439 事の次第は 必ず突き止めます。 230 00:22:23,609 --> 00:22:26,111 お願いします。 231 00:22:31,784 --> 00:22:35,654 そのお茶は 庄助さんに? ええ。➡ 232 00:22:35,654 --> 00:22:38,424 昼間は いつも 私がお部屋に。 233 00:22:38,424 --> 00:22:40,793 しばらく お茶は控えてください。 234 00:22:40,793 --> 00:22:44,630 庄助さんには さ湯だけを 飲ませてあげてくれますか? 235 00:22:44,630 --> 00:22:47,533 え…? 236 00:22:47,533 --> 00:22:50,970 (お富)乙松に店を継がせたいのさ。➡ 237 00:22:50,970 --> 00:22:54,273 力を貸してくれないかい? 238 00:22:56,308 --> 00:22:58,510 あっ…。 239 00:23:00,913 --> 00:23:04,250 おや 先生。 何かご入り用ですか? 240 00:23:04,250 --> 00:23:07,086 おけと まっさらなさらしがあれば 頂きたいと…。 241 00:23:07,086 --> 00:23:09,121 あ はい。 242 00:23:09,121 --> 00:23:13,859 若旦那のお具合が また…? ええ まあ…。 243 00:23:13,859 --> 00:23:17,730 あ そうそう。 何だか 先生のお知り合いという方が➡ 244 00:23:17,730 --> 00:23:22,434 店にお見えだそうですよ。あ… 私? ええ。 245 00:23:24,103 --> 00:23:28,607 (おうた)あら~ これも 悪くないわね。 どう? 246 00:23:28,607 --> 00:23:31,944 伯母さん! え? あら おいち。 247 00:23:31,944 --> 00:23:34,613 ちょっと…。 (おうた)何? 何 何? 248 00:23:34,613 --> 00:23:38,784 何よ? な~に? どういうつもり? こんな所まで。 249 00:23:38,784 --> 00:23:42,288 どうって お前さんが こちらにお世話になってるから➡ 250 00:23:42,288 --> 00:23:44,957 ちょいと ご挨拶にね。 251 00:23:44,957 --> 00:23:47,626 アハハハッ。 252 00:23:47,626 --> 00:23:50,129 すいません。 ちょっと 伯母さん。 253 00:23:50,129 --> 00:23:52,798 何かい? 若旦那ってのは あんなに かっぷくがよかったのかい? 254 00:23:52,798 --> 00:23:55,634 あの人はね 番頭さんなのよ。 あっ そうかい。 255 00:23:55,634 --> 00:24:00,906 それで? どういったあんばいだい? 「どういった」って…? 256 00:24:00,906 --> 00:24:06,712 独り身の若旦那が お前さんを どうしても とう留したいって言ってんだろ? 257 00:24:06,712 --> 00:24:12,251 それって憎からずも お前のことを 思ってるっていう証しじゃないか。 258 00:24:12,251 --> 00:24:14,586 そんな悠長な話じゃないの! 259 00:24:14,586 --> 00:24:18,257 まあ 頑張っておくれよ。 ウフフフッ。 260 00:24:18,257 --> 00:24:22,461 そうだ。 ねえ 伯母さんに 頼みたいことがあるんだけど。 261 00:24:24,129 --> 00:24:27,266 (おうた)これを調べてほしいんだってさ。 262 00:24:27,266 --> 00:24:30,769 茶の葉? おいちさんが? 263 00:24:30,769 --> 00:24:34,940 少しは 身なりに気を配るのかと思ったら もう~…。 264 00:24:34,940 --> 00:24:39,611 (およし)すみません すみません。 子供が 急に ぐったりしちまって。 265 00:24:39,611 --> 00:24:42,281 中へどうぞ。 どうぞ どうぞ。 水 くんでくる。 266 00:24:42,281 --> 00:24:44,283 はい。 267 00:24:46,151 --> 00:24:48,787 この近くの人ですか? (およし)はい。 268 00:24:48,787 --> 00:24:52,291 名前は? (およし)正吉です。 269 00:24:52,291 --> 00:24:54,793 あたしは よし。 270 00:24:54,793 --> 00:24:58,664 熱が かなり高いな。 ゆうべの様子は? 271 00:24:58,664 --> 00:25:03,369 夜は 働きに出ているので…。 272 00:25:03,369 --> 00:25:05,304 そうですか。 273 00:25:05,304 --> 00:25:09,241 薬礼なら 必ず払います。 常磐町の甚兵衛店に住んでるんです。 274 00:25:09,241 --> 00:25:14,580 だから 正吉を 正吉を…! 275 00:25:14,580 --> 00:25:18,250 水くみ 手伝ってもらったよ。 ありがとうございます。 276 00:25:18,250 --> 00:25:21,153 えっと 手ぬぐいが…。 (おしま)ここです。 277 00:25:21,153 --> 00:25:25,391 この中のことなら 先生より よく知ってますよ。 278 00:25:25,391 --> 00:25:28,927 おっ母さんは 座ってな。 疲れちゃいますよ。 279 00:25:28,927 --> 00:25:32,731 体を冷やしてもらえますか? (おしま)はい。➡ 280 00:25:35,601 --> 00:25:40,906 ここと… あ~ 冷たい。 ここですね~。 281 00:25:42,941 --> 00:25:45,277 (十斗)頼もしいですね。➡ 282 00:25:45,277 --> 00:25:47,212 本当に助かります。 283 00:25:47,212 --> 00:25:53,919 この先生はね 無愛想だけど 腕は立つ。 安心しな。 284 00:26:06,365 --> 00:26:09,735 (おうた)落ち着いたようだね。 よかった。 285 00:26:09,735 --> 00:26:13,238 (十斗)すいません お手伝いに巻き込んでしまって。 286 00:26:13,238 --> 00:26:16,074 な~に いつものことだよ。 287 00:26:16,074 --> 00:26:23,382 あ さっきの件 頼んだよ。 いさご屋には 私がまた行くから。 288 00:26:23,382 --> 00:26:26,585 ん? あの…➡ 289 00:26:26,585 --> 00:26:32,758 こちらは いさご屋に関わりが…? 関わりってほどでもござんせんけどね。 290 00:26:32,758 --> 00:26:38,964 こちらの娘が見込まれて お世話になってるんですよ。 ウフフフッ。 291 00:26:40,933 --> 00:26:43,836 え? 先生 ありがとうございました。 292 00:26:43,836 --> 00:26:46,738 薬礼は 必ず…! 293 00:26:46,738 --> 00:26:49,108 ちょっと! ちょっと あんた! 294 00:26:49,108 --> 00:26:51,043 (十斗)およしさん? 295 00:26:51,043 --> 00:26:54,780 (おうた)およしさん! 行くのはおよし! 296 00:26:54,780 --> 00:26:57,983 おいち…。 297 00:26:59,651 --> 00:27:03,856 あっちな。 どうも。 298 00:27:11,563 --> 00:27:14,466 あの~…。 299 00:27:14,466 --> 00:27:18,070 私に用事って…。 300 00:27:18,070 --> 00:27:22,374 菖蒲長屋の先生のお身内って聞いたら 黙ってられなくて…。 301 00:27:22,374 --> 00:27:25,744 はあ…。 302 00:27:25,744 --> 00:27:29,915 いさご屋から逃げてください。 今すぐ! え? 303 00:27:29,915 --> 00:27:32,951 早くしないと お嬢さんの命が危ない。 304 00:27:32,951 --> 00:27:37,956 あそこには 人殺しがいます。 305 00:27:39,625 --> 00:27:43,428 あっ あなた ちょっと待ってください! 306 00:27:49,101 --> 00:27:51,603 おっ。 307 00:27:51,603 --> 00:27:55,774 おいちさん。 親分さん。 どうして ここに? 308 00:27:55,774 --> 00:28:00,612 いや… ちょいと 人を訪ねて。 そちらは? 私もです。 309 00:28:00,612 --> 00:28:03,348 およしさんという人に会いに。 310 00:28:03,348 --> 00:28:06,251 十斗さんから こちらがお住まいだと伺って。 311 00:28:06,251 --> 00:28:08,453 およしに…? ええ。 312 00:28:10,122 --> 00:28:13,992 ああ およしさん。 313 00:28:13,992 --> 00:28:16,195 お紺…。 314 00:28:17,863 --> 00:28:23,368 お前… お紺か? 315 00:28:23,368 --> 00:28:25,871 親分…。 316 00:28:28,907 --> 00:28:31,209 およしさん! 317 00:28:34,079 --> 00:28:39,885 水菓子が…。 きっと 坊ちゃん 待ってますよ。 318 00:28:48,594 --> 00:28:53,465 お伺いしたいことが…。 少しでいいので 話を…。お嬢さん。 319 00:28:53,465 --> 00:28:59,237 こいつは ひどいやつです。 手柄のためなら何だってやるんです。 320 00:28:59,237 --> 00:29:07,546 人の命なんざ使い捨て。 私の兄さんも それで死んだんです。 321 00:29:24,730 --> 00:29:27,633 (おまき)善次って男がいたんですよ。 322 00:29:27,633 --> 00:29:32,904 およしさんのお兄さんですね。 323 00:29:32,904 --> 00:29:39,578 (おまき)あちこちの賭場に出入りして 時々 仙五朗に いろんな話を流して➡ 324 00:29:39,578 --> 00:29:48,286 銭をもらってね。 だけど 仙五朗と じっこんだと知れ…➡ 325 00:29:48,286 --> 00:29:52,758 その筋の者に 袋だたきに遭って死んじまった。 326 00:29:52,758 --> 00:29:55,093 よせ おまき。 327 00:29:55,093 --> 00:29:57,996 (おまき)仙五朗に殺されたみたいに 言う人もいるけど➡ 328 00:29:57,996 --> 00:30:01,867 うちの人は てめえからそうしろだなんて ひと言も言っちゃいない。➡ 329 00:30:01,867 --> 00:30:06,405 なのに この人ったら…。 330 00:30:06,405 --> 00:30:10,275 思い出して 時々 参っちまうらしくて…。 331 00:30:10,275 --> 00:30:14,112 知ったふうな口をきくんじゃない。 お前に何が分かる。 332 00:30:14,112 --> 00:30:17,783 私以外の誰に分かるっていうんだよ! 333 00:30:17,783 --> 00:30:24,990 誰よりも お前さんのこと 憎んでいるのは…。 334 00:30:29,294 --> 00:30:36,068 憎んでいいのは この私じゃないか…。 335 00:30:36,068 --> 00:31:03,595 ♬~ 336 00:31:03,595 --> 00:31:24,783 (ヒグラシの声) 337 00:31:26,418 --> 00:31:32,624 ⚟(鼻歌) 338 00:31:32,624 --> 00:31:34,960 お父っつぁま。 339 00:31:34,960 --> 00:31:41,666 よう! どうした? 達者でやってるか? 340 00:31:46,972 --> 00:31:51,143 ハハハ… 何だよ おい。 341 00:31:51,143 --> 00:31:56,948 珍しいもの 見ちまったなあ。 根岸に戻る前に 雨に降られなきゃいいが。 342 00:31:56,948 --> 00:31:59,451 フフフ…。 343 00:32:05,257 --> 00:32:08,260 う~ん それは なかなか 難儀だなあ。 344 00:32:08,260 --> 00:32:14,266 庄助さんのことは これ以上 どうしたらいいのか…。 345 00:32:14,266 --> 00:32:18,270 若旦那が初めに店にやって来た時➡ 346 00:32:18,270 --> 00:32:22,007 店へ行きたいと言いだしたのは お前だ。 347 00:32:22,007 --> 00:32:28,113 死んだお京さんに苦しむのなら 私が話をしてみると。 348 00:32:28,113 --> 00:32:33,285 それは 今でも。 ならば やることは一つだ。 349 00:32:33,285 --> 00:32:38,957 生身の体は 死んでしまえば 私にも十斗にも➡ 350 00:32:38,957 --> 00:32:46,832 いや どんな名医でも治せない。 だが 心は救える。 351 00:32:46,832 --> 00:32:50,569 お前には それができる。 352 00:32:50,569 --> 00:32:53,371 お父っつぁま…。 353 00:33:03,248 --> 00:33:16,094 (すすり泣き) 354 00:33:16,094 --> 00:33:18,396 お京ちゃん。 355 00:33:18,396 --> 00:33:21,266 (泣き声) 356 00:33:21,266 --> 00:33:26,104 どうしたの? 何が悲しいの? 357 00:33:26,104 --> 00:33:32,410 私… おっ母さんの所へ行きたいの。 358 00:33:32,410 --> 00:33:41,152 おっ母さんの声が聞こえて 「ふわっと浮けば来れるよ」って。 359 00:33:41,152 --> 00:33:50,295 そう…。 でも 私 全然 ふわっとしないの。 360 00:33:50,295 --> 00:33:57,969 手も足も ずっと重くて…。 361 00:33:57,969 --> 00:34:04,242 ねえ どうしたら おっ母さんの所へ行けるの? 362 00:34:04,242 --> 00:34:11,383 私… 私 こんなに いい子にしてるのに…。 363 00:34:11,383 --> 00:34:25,897 (泣き声) 364 00:34:25,897 --> 00:34:28,800 おねえちゃん…。 365 00:34:28,800 --> 00:34:33,605 私がね お京ちゃんのこと➡ 366 00:34:33,605 --> 00:34:37,475 おっ母さんの所に送ってあげるからね。 367 00:34:37,475 --> 00:34:42,280 本当? 本当よ。 368 00:34:44,950 --> 00:34:50,622 私は そのために ここに来たんだから。 369 00:34:50,622 --> 00:35:06,905 ♬~ 370 00:35:06,905 --> 00:35:10,608 お京ちゃんのために…。 371 00:35:15,613 --> 00:35:19,384 およしさんの話が聞きたいんです。 372 00:35:19,384 --> 00:35:23,588 もう一度 私と一緒に 長屋を訪ねてくれませんか? 373 00:35:23,588 --> 00:35:30,295 あ… そいつは…。 374 00:35:32,097 --> 00:35:40,605 いさご屋の若旦那は 夜鷹殺しの下手人は 自分じゃないかと言っています。 375 00:35:40,605 --> 00:35:43,408 何ですって…? 376 00:35:43,408 --> 00:35:47,112 若旦那を そう 仕立て上げようとする誰かがいるんです。 377 00:35:47,112 --> 00:35:53,618 あの店には 何かがある。 378 00:35:53,618 --> 00:35:58,490 およしさんは それを知っています。 379 00:35:58,490 --> 00:36:01,359 お願いします! 380 00:36:01,359 --> 00:36:07,899 亡くなった方のお身内と顔を合わせるのは つらいと思いますが…。 381 00:36:07,899 --> 00:36:11,369 違うんです。 382 00:36:11,369 --> 00:36:22,981 昔 お紺の… およしの兄貴を 見殺しにしたのは まことです。 383 00:36:22,981 --> 00:36:33,691 けど あっしが臆してるのは そんなことじゃねえんで。 384 00:36:36,394 --> 00:36:40,765 20年近く前のことです。 385 00:36:40,765 --> 00:36:46,938 ひでえ殺しがありました。 386 00:36:46,938 --> 00:36:52,277 あっしは駆けずり回って 朝から晩まで走り回って➡ 387 00:36:52,277 --> 00:36:55,280 一人の男をひっ捕まえました。 388 00:36:55,280 --> 00:36:58,950 違う! 俺じゃねえ! うら~! 389 00:36:58,950 --> 00:37:02,220 お… 親分…! てめえの仕業なんだろうが! 390 00:37:02,220 --> 00:37:04,889 違うんだ! おら どうなんだ! こらっ! 391 00:37:04,889 --> 00:37:11,563 そいつが 下手人だと思い込み 責めたてて…。 392 00:37:11,563 --> 00:37:15,366 そいつは 首をつりました。 393 00:37:15,366 --> 00:37:21,172 これは間違いだったと あっしが気付いた時には もう…。 394 00:37:23,742 --> 00:37:29,547 おまきの… 父親です。 395 00:37:32,450 --> 00:37:40,458 殺されたのは あっしの前の女房で…。 396 00:37:43,394 --> 00:37:50,401 殺された時 女房は これを握っておりました。 397 00:37:53,938 --> 00:37:59,611 下手人につながる ただ一つの証しです。 398 00:37:59,611 --> 00:38:03,882 (雷鳴) 399 00:38:03,882 --> 00:38:07,886 それから いろいろありました。 400 00:38:10,555 --> 00:38:15,226 その下手人は? 401 00:38:15,226 --> 00:38:23,234 今も追っておりやす。 あっしも おまきも。 402 00:38:25,370 --> 00:38:31,075 けど あっしが 今 引いたり臆したりしてんのは➡ 403 00:38:31,075 --> 00:38:37,782 そういう… 誰かを追い詰めた後悔とか そういうことじゃねえんで。 404 00:38:40,251 --> 00:38:44,756 あっしの中には歯止めがないんで。 405 00:38:48,126 --> 00:38:53,398 許せねえ 人殺しが許せねえ。 406 00:38:53,398 --> 00:38:58,937 そのためなら 何だってする。 半端な筋者は もちろん➡ 407 00:38:58,937 --> 00:39:03,908 それが たとえ てめえの手先でも しょっぴいて ぎゅうぎゅう言わせて➡ 408 00:39:03,908 --> 00:39:06,544 何か吐き出すまで 断じて手は抜かねえ…! 409 00:39:06,544 --> 00:39:10,415 そういう危ねえ とがった刃が あっしの ここにあります! 410 00:39:10,415 --> 00:39:13,885 恐らく 死ぬまで。 あっしは 時々 そいつが…➡ 411 00:39:13,885 --> 00:39:17,088 く… く… く…。 412 00:39:18,723 --> 00:39:21,025 そいつが…。 413 00:39:25,063 --> 00:39:31,369 そいつを握りそうな あっしが怖いんで。 414 00:39:39,577 --> 00:39:43,748 だから… なんですね。 415 00:39:43,748 --> 00:39:45,750 え? 416 00:39:48,253 --> 00:39:55,026 ただ 強いだけじゃない。 417 00:39:55,026 --> 00:40:00,231 弱くて… もろい。 418 00:40:02,600 --> 00:40:10,275 だから 親分は ひるまず 悪に立ち向かうことができるんですね。 419 00:40:10,275 --> 00:40:17,482 ただの… 「人」だから。 420 00:40:23,288 --> 00:40:28,793 前に 父に言われました。 421 00:40:28,793 --> 00:40:36,601 私の… いろいろなものが見える力のことを。 422 00:40:40,305 --> 00:40:48,313 「薬には毒も身の内だ。 腹をくくれ」。 423 00:40:52,650 --> 00:40:55,453 「恐れるな」。 424 00:40:59,524 --> 00:41:02,460 力を貸してください。 425 00:41:02,460 --> 00:41:10,668 私… 救わなくちゃいけない人がいるんです。 426 00:41:12,937 --> 00:41:15,740 おいちさん…。 427 00:41:25,650 --> 00:41:31,956 音が聞こえた気がして 声をおかけしたんです。 そしたら…! 428 00:41:31,956 --> 00:41:33,891 血…! 429 00:41:33,891 --> 00:41:38,196 今度は… 臭いも…。 430 00:41:45,436 --> 00:41:48,973 これは…。どうされました? 431 00:41:48,973 --> 00:41:52,643 庄助さん。 手は このまま しばらく拭かないでいてください。 432 00:41:52,643 --> 00:41:55,446 ちょっと 調べたいことが。 433 00:41:55,446 --> 00:41:57,648 ⚟(悲鳴) 434 00:42:01,252 --> 00:42:03,588 大旦那様! 435 00:42:03,588 --> 00:42:06,391 あっ! 大旦那様! 436 00:42:06,391 --> 00:42:08,926 新吉さんに言って 私の部屋から薬籠を! 437 00:42:08,926 --> 00:42:12,263 誰にも言わないように。 はい。 438 00:42:12,263 --> 00:42:14,599 あ… ああ…。 439 00:42:14,599 --> 00:42:17,635 お お… おお…。 440 00:42:17,635 --> 00:42:19,771 何ですか? 441 00:42:19,771 --> 00:42:24,942 お京が… 来た…。 442 00:42:24,942 --> 00:42:35,253 ♬~ 443 00:42:39,957 --> 00:42:44,128 私は何も分かってなかった…。 一刻の猶予もならねえ! 444 00:42:44,128 --> 00:42:47,031 話します。 私の知ってること 何もかも。 445 00:42:47,031 --> 00:42:51,536 殺ってなんかいませんよ! こういうことだったんですね。