1 00:00:04,104 --> 00:00:09,276 <松庵の娘 おいちは 父の診療所を手伝いながら➡ 2 00:00:09,276 --> 00:00:13,580 医師を目指し 修業の日々を送っている> 3 00:00:15,148 --> 00:00:17,150 (おいち)誰? 4 00:00:17,150 --> 00:00:21,288 <おいちには 時々 何かを背負った人の心や➡ 5 00:00:21,288 --> 00:00:26,627 亡くなった人の影が見えるという 力があった> 6 00:00:26,627 --> 00:00:31,298 (新吉)これを 整えるのは 大変だろうなあ…。 7 00:00:31,298 --> 00:00:33,300 ⚟ううっ…。 シッ! 8 00:00:33,300 --> 00:00:37,170 うう… う…。 9 00:00:37,170 --> 00:00:41,008 (新吉)どうされたんです? 大丈夫ですか? 10 00:00:41,008 --> 00:00:44,311 あなた 赤子が…。 11 00:00:46,647 --> 00:00:48,582 おいちさん? 12 00:00:48,582 --> 00:00:51,818 何かが…。 え? 13 00:00:51,818 --> 00:00:54,655 来ます。 14 00:00:54,655 --> 00:00:56,590 来る! 15 00:00:56,590 --> 00:01:15,275 ♬~ 16 00:01:15,275 --> 00:01:18,178 うっ… ううう…。 17 00:01:18,178 --> 00:01:20,147 (荒い息遣い) 18 00:01:20,147 --> 00:01:24,618 確かに こっちへ逃げたんだな? ちく 抜かしとったら 承知せんぞ! 19 00:01:24,618 --> 00:01:26,954 ちくではねえ! ちく…? 20 00:01:26,954 --> 00:01:32,626 捜せ! あの体だ 遠くへは行けまい。 急げ! 21 00:01:32,626 --> 00:01:34,928 (一同)おう! 22 00:01:37,497 --> 00:01:41,802 あいつら 一体 何なんだ。 23 00:01:41,802 --> 00:01:46,306 もう 声を出しても構いませんよ。 24 00:01:46,306 --> 00:01:50,644 私は 修業中の医者です。 25 00:01:50,644 --> 00:01:55,515 (滝代)この子を… 殺さないで。 26 00:01:55,515 --> 00:01:58,719 お願いします…。 27 00:02:03,223 --> 00:02:08,395 もう着きますよ。 ゆっくり…。 (荒い息遣い) 28 00:02:08,395 --> 00:02:10,931 頑張って。 29 00:02:10,931 --> 00:02:13,934 ただいま 帰りました。 30 00:02:16,103 --> 00:02:18,138 (お蔦)どうしたんだい? 31 00:02:18,138 --> 00:02:23,276 道で倒れて動けなくなっていたの。 随分 大きなおなかだねえ。 32 00:02:23,276 --> 00:02:28,115 お父っつぁまは? 大工町のご隠居が 腰を痛めたんだってさ。 33 00:02:28,115 --> 00:02:31,018 ござを ひいてください。 あ…。 34 00:02:31,018 --> 00:02:33,320 大丈夫ですか? 35 00:02:35,789 --> 00:02:41,294 ここは私のうちですから 安心してくださいね。 36 00:02:41,294 --> 00:02:46,166 おすえさんを お連れしました! とりあげ婆が来れば 一安心だ。 37 00:02:46,166 --> 00:02:49,436 お願いします。 38 00:02:49,436 --> 00:02:52,639 (おすえ)よいしょ。 どうですか? 39 00:02:52,639 --> 00:02:55,308 こりゃ じきに生まれるね。 40 00:02:55,308 --> 00:02:59,813 でも あたしゃ 暗くなると 目がよく見えないんだよ。 41 00:02:59,813 --> 00:03:03,383 おいっちゃん あんたが取り上げるんだ。 42 00:03:03,383 --> 00:03:05,919 私が? 43 00:03:05,919 --> 00:03:08,388 あ… あっしは な… 何をすれば? 44 00:03:08,388 --> 00:03:10,757 湯を沸かしとくれ。 え… 湯? 45 00:03:10,757 --> 00:03:14,094 もたもたしない! へ… へい! 46 00:03:14,094 --> 00:03:21,835 ♬~ 47 00:03:21,835 --> 00:03:26,673 聞こえますか? 名前を教えてください。 48 00:03:26,673 --> 00:03:29,109 滝代と申します。 49 00:03:29,109 --> 00:03:32,946 滝代さん。 私は いちです。 50 00:03:32,946 --> 00:03:36,817 私が あなたの赤子を取り上げますからね。 51 00:03:36,817 --> 00:03:41,955 手伝いの人もいるし 何も案じることはありません。 52 00:03:41,955 --> 00:03:48,628 (荒い息遣い) 53 00:03:48,628 --> 00:03:52,299 (滝代)う~! (お蔦)頑張れ!頑張れ! 54 00:03:52,299 --> 00:03:56,636 (おすえ)ああ その調子だ。 (お蔦)頑張れ!滝代さん 頑張れ! 55 00:03:56,636 --> 00:03:59,139 (おすえ)いいよ いいよ その調子だ。 56 00:03:59,139 --> 00:04:02,109 (滝代)ううう~! 57 00:04:02,109 --> 00:04:05,579 さあ もう 一頑張りだ! 58 00:04:05,579 --> 00:04:09,082 おいっちゃん へその緒は あんたが切るんだよ。はい。 59 00:04:09,082 --> 00:04:13,754 滝代さん しっかりいきんで! もう少し! (おすえ)もう少し! 60 00:04:13,754 --> 00:04:26,466 ♬~ 61 00:04:26,466 --> 00:04:29,936 (松庵)どうした? (新吉)あああ~ あっ…。 62 00:04:29,936 --> 00:04:34,608 ⚟(産声) あっ ハハハハッ あっ あ~! 63 00:04:34,608 --> 00:04:37,110 生まれた! アハハハッ! 生まれた? 64 00:04:37,110 --> 00:04:40,413 ああ…! おいちさんが 赤ん坊を! 65 00:04:40,413 --> 00:04:43,116 おいちが… 赤ん坊を? アハハハ! 66 00:04:43,116 --> 00:04:45,051 離せ! おい! 67 00:04:45,051 --> 00:04:47,854 アハハハッ 生まれた~! 68 00:04:49,623 --> 00:04:55,428 赤子は 何の問題もないが 母親の方は どこも弱ってる。 69 00:04:55,428 --> 00:04:59,132 とりわけ 心の臓が危ない。 70 00:04:59,132 --> 00:05:02,903 心の臓…。 お産のせい? 71 00:05:02,903 --> 00:05:07,073 いや…。 ここまで かなり無理を重ねたようだ。 72 00:05:07,073 --> 00:05:11,278 とにかく 赤子が無事に生まれてよかった。 73 00:05:13,580 --> 00:05:18,251 追われていたの お侍に。 74 00:05:18,251 --> 00:05:21,154 お侍に? 物騒な話だな。 75 00:05:21,154 --> 00:05:24,391 今夜は 私がついていてあげてもいい? 76 00:05:24,391 --> 00:05:29,229 私は 巳助のとこに寄せてもらう。 何かあったら すぐに呼ぶんだぞ。 77 00:05:29,229 --> 00:05:31,231 はい。 78 00:05:38,605 --> 00:05:42,776 (赤ちゃんの泣き声) 79 00:05:42,776 --> 00:05:48,648 おなか すいたのかな? お蔦さんの所に お乳をもらいに行こうね。 80 00:05:48,648 --> 00:05:51,117 あの…。 81 00:05:51,117 --> 00:05:56,423 私が お乳をやっても? もちろんです。 82 00:06:00,794 --> 00:06:07,367 おいちさんは 私のこと 何もお聞きにならないんですね。 83 00:06:07,367 --> 00:06:13,173 お話しになりたくないことは そのままでいいんですよ。 84 00:06:17,577 --> 00:06:22,749 今日 お訪ねした家にも 決して口をきこうとなさらない➡ 85 00:06:22,749 --> 00:06:25,785 ご隠居様がいらっしゃるんです。 86 00:06:25,785 --> 00:06:31,925 息子さんご夫婦が心配して いろいろと話しかけるんですが…➡ 87 00:06:31,925 --> 00:06:36,096 ひと言も 口をきいてくださらなくて。 88 00:06:36,096 --> 00:06:41,268 その方も 抱えていらっしゃるんですね。 89 00:06:41,268 --> 00:06:44,104 え? 90 00:06:44,104 --> 00:06:48,608 誰にも言えない重いものを。 91 00:06:50,277 --> 00:06:52,279 はっ…! 92 00:06:52,279 --> 00:06:57,284 今 足音がしませんでしたか? え? 93 00:07:07,227 --> 00:07:10,930 (犬の遠ぼえ) 94 00:07:12,899 --> 00:07:15,902 誰もいませんでした。 95 00:07:17,737 --> 00:07:23,243 ご安心ください。 あ… よかった…。 96 00:07:44,597 --> 00:07:48,768 おいち おいち! 97 00:07:48,768 --> 00:07:51,671 母親がいない。 え…? 98 00:07:51,671 --> 00:07:54,274 あっ! 朝 様子を見に来たら➡ 99 00:07:54,274 --> 00:07:57,944 赤ん坊だけが ぐずっていた。 近所にもいない。そんな…。 100 00:07:57,944 --> 00:08:00,547 (赤ちゃんの泣き声) ああ よしよし。 101 00:08:00,547 --> 00:08:04,718 お蔦さんの所に 乳を頼んでくる。 分かった。 102 00:08:04,718 --> 00:08:35,782 ♬~ 103 00:08:35,782 --> 00:08:38,284 「十助」…。 104 00:08:59,606 --> 00:09:04,444 滝代さん…。 (十助の泣き声) 105 00:09:04,444 --> 00:09:08,882 (荒い息遣い) 106 00:09:08,882 --> 00:09:12,218 滝代さん! 107 00:09:12,218 --> 00:09:15,522 滝代さん! 108 00:09:29,068 --> 00:09:33,072 (藤吉)いつも ありがとうございます。 109 00:09:55,762 --> 00:09:58,398 (藤吉)いかがですか? 様子は。 110 00:09:58,398 --> 00:10:01,101 だいぶ よくなってきました。 111 00:10:01,101 --> 00:10:04,404 それは よかった。 あとは お薬をのめば➡ 112 00:10:04,404 --> 00:10:07,607 脚の痛みは取れますよ。 113 00:10:07,607 --> 00:10:11,911 好きに歩けるし 楽しみも増えますね。 114 00:10:13,780 --> 00:10:17,650 お義母様 そうなったら どこかへ出かけましょうよ。 115 00:10:17,650 --> 00:10:20,653 フフッ そうだ 汁粉を食べに行きましょう。 116 00:10:20,653 --> 00:10:22,789 ねえ おっ母さん。 117 00:10:22,789 --> 00:10:25,291 ご隠居様は お幸せですね。 118 00:10:25,291 --> 00:10:29,295 お身内の皆様に こんなに大切にされて。 119 00:10:34,000 --> 00:10:41,207 子から離れてしまった親は きっと さみしいでしょうね…。 120 00:10:49,516 --> 00:10:53,319 あっ すみません 私ったら変なことを。 121 00:10:55,288 --> 00:10:58,191 (おきく)報いを受けますよ そんな親は。 122 00:10:58,191 --> 00:11:00,193 え? 123 00:11:09,269 --> 00:11:15,575 呪いがかかるんです。 子をないがしろにした者には。 124 00:11:17,143 --> 00:11:19,612 おっ母さん なんてことを! 125 00:11:19,612 --> 00:11:22,649 すみません おいちさん。 いえ…。 126 00:11:22,649 --> 00:11:27,120 ご隠居様のお声 初めて聞けましたから。 127 00:11:27,120 --> 00:11:38,831 ♬~ 128 00:11:38,831 --> 00:11:40,833 (お夕)失礼します。 129 00:11:43,303 --> 00:11:46,306 (お夕)おいち様 お迎えの方がおいでに。 130 00:11:46,306 --> 00:11:48,508 は…。 131 00:11:59,652 --> 00:12:02,922 どうしたんです? 浮かない顔して。 132 00:12:02,922 --> 00:12:06,426 あ… ううん 何でもない。 133 00:12:09,262 --> 00:12:12,765 何で 赤子を置いてったんですかね。 134 00:12:14,601 --> 00:12:19,105 滝代さん 追われていたようだったから。 135 00:12:19,105 --> 00:12:24,777 十助ちゃんに災いが及ばないよう 黙って消えたのかもしれない。 136 00:12:24,777 --> 00:12:29,949 あの赤ん坊 十助っていうんですか。 そう決めてたみたい。 137 00:12:29,949 --> 00:12:33,419 紙に記してあったの。 いい名前じゃないですか。 138 00:12:33,419 --> 00:12:36,222 みんなの助けを呼ぶような。 139 00:12:37,957 --> 00:12:46,666 でも 滝代さんが背負っていた事情が 十助ちゃんにまで降りかかったら…。 140 00:12:46,666 --> 00:12:51,804 不幸や 呪いを呼んでしまったら…。 141 00:12:51,804 --> 00:12:55,642 子供に呪いなんてかかりやせん。 え? 142 00:12:55,642 --> 00:13:00,146 悪い因果があるっていうなら そんなもん 断ち切ればいいんです。 143 00:13:00,146 --> 00:13:07,754 あ… そうよね。 私たちが あの子を幸せにしてやればいいのよね。 144 00:13:07,754 --> 00:13:11,758 俺も手伝います。 お願いします。 145 00:13:21,267 --> 00:13:24,771 ただいま。 十助ちゃんは? うちにいるよ。 146 00:13:24,771 --> 00:13:28,107 お乳を飲んだら すぐ寝ちまった。 ありがとうございます。 147 00:13:28,107 --> 00:13:32,412 ねえ ねえ ねえ 十助坊のおっ母さん 病は重いのかい? 148 00:13:32,412 --> 00:13:37,784 え… ええ。療養所からは いつごろ 帰ってこられるんだい? 149 00:13:37,784 --> 00:13:40,987 ああ… えっと…。 (戸が開く音) 150 00:13:42,622 --> 00:13:44,624 伯母さん。 151 00:13:50,963 --> 00:13:55,134 (おうた)たった今 お前のお父っつぁんから頼まれた。 152 00:13:55,134 --> 00:13:58,805 これを預かってほしいって。 153 00:13:58,805 --> 00:14:04,911 行方知れずの赤ん坊の母親が 置いてったって? 154 00:14:04,911 --> 00:14:09,248 ここでは 人の出入りがあるし 私も お父っつぁまも➡ 155 00:14:09,248 --> 00:14:13,119 出かけることが多いから…。 金だけなら いくらだって預かるさ。 156 00:14:13,119 --> 00:14:18,591 だけど 赤ん坊となると話は別だ。 157 00:14:18,591 --> 00:14:24,764 おいち 嫁入り前のあんたが やっかい事を抱えた乳飲み子を➡ 158 00:14:24,764 --> 00:14:29,268 どうやって引き受けるっていうんだい! 伯母さん…。 159 00:14:29,268 --> 00:14:35,074 とにかく 赤ん坊の里子の先を探すんだ。 できるだけ早く。 160 00:14:35,074 --> 00:14:37,944 赤ん坊を手放せというの? そうだ。 161 00:14:37,944 --> 00:14:43,750 放り出して やっかい事は忘れて 涼しい顔をしてろというの? 162 00:14:43,750 --> 00:14:49,956 お前には背負い切れないだろう? 163 00:14:51,491 --> 00:14:56,329 おっ母様にも同じことを言ったの? 164 00:14:56,329 --> 00:14:58,631 え? 165 00:14:58,631 --> 00:15:03,369 おっ母様が身寄りのない私を 育てたいと言った時➡ 166 00:15:03,369 --> 00:15:07,240 伯母さんは何て言ったの? 167 00:15:07,240 --> 00:15:10,143 お前…。 (戸が開く音) 168 00:15:10,143 --> 00:15:12,111 (仙五朗)ごめんなすって。 169 00:15:12,111 --> 00:15:15,748 あ… 出直しやしょうか? 170 00:15:15,748 --> 00:15:19,252 いやいやいや いいんだ。 次の診察までは まだ間がある。 171 00:15:19,252 --> 00:15:21,454 へい。 どうぞ。 172 00:15:24,390 --> 00:15:26,759 失礼します。 173 00:15:26,759 --> 00:15:32,398 実は… こちらで生まれたって赤ん坊のことで。 174 00:15:32,398 --> 00:15:36,769 十助って名前と伺ったんですが…。 なぜ それを? 175 00:15:36,769 --> 00:15:45,778 はあ~… 2日ほど前 相生町の橋の近くで 女が殺されやした。 176 00:15:45,778 --> 00:15:52,552 駆けつけた者によると いまわの際 女は虫の息で ささやいたそうで…。 177 00:15:52,552 --> 00:15:56,122 十助…。 178 00:15:56,122 --> 00:15:59,826 あっ… 滝代さんが…。 179 00:16:02,361 --> 00:16:05,865 こっからが やっかいだ…。 180 00:16:08,234 --> 00:16:14,574 女は 懐に 丸めたさらしや ぼろを詰め 腹を大きく見せてたんです。 181 00:16:14,574 --> 00:16:19,245 まるで 身ごもっているかのように。 そして 下手人は 女を斬ったあと➡ 182 00:16:19,245 --> 00:16:22,081 腹を刺した。 183 00:16:22,081 --> 00:16:25,918 おなかを? つまり それは…。 184 00:16:25,918 --> 00:16:31,724 下手人は 腹の中の子を殺そうとした。 185 00:16:31,724 --> 00:16:37,530 狙われていたのは 十助ということか。 186 00:16:41,467 --> 00:16:43,769 (おうた)おいち。 187 00:16:54,780 --> 00:16:57,617 お蔦さん 十助ちゃんは どこですか? 188 00:16:57,617 --> 00:17:02,455 どこって 家の中で昼寝してるよ。 189 00:17:02,455 --> 00:17:06,425 おいっちゃん おむつ 替えといたよ。 190 00:17:06,425 --> 00:17:08,928 ありがとうございます。 191 00:17:12,899 --> 00:17:15,601 十助ちゃん…。 192 00:17:29,916 --> 00:17:32,385 おっ…。 193 00:17:32,385 --> 00:17:34,921 滝代さんが残していったものだ。 194 00:17:34,921 --> 00:17:37,757 紋が入っておりますね。 195 00:17:37,757 --> 00:17:41,093 滝代さんの素性を知る手がかりは これしかない。 196 00:17:41,093 --> 00:17:44,964 お武家が絡んでくるとなりゃ いよいよ やっかいだ。 197 00:17:44,964 --> 00:17:49,268 ⚟赤子は できるだけ早く ここから離した方がいい。 198 00:17:49,268 --> 00:17:52,939 今日のところは 私が連れて帰りますよ。 199 00:17:52,939 --> 00:17:55,608 義姉さん。 長屋は にぎやかで➡ 200 00:17:55,608 --> 00:17:59,779 助けも多いけど 皆 忙しい。 201 00:17:59,779 --> 00:18:05,051 目の届かない所で 赤ん坊に何かあっても 不思議じゃない。 202 00:18:05,051 --> 00:18:10,222 誰かの口から ここが知れることだってある。 203 00:18:10,222 --> 00:18:13,225 お願いします。 204 00:18:13,225 --> 00:18:29,575 ♬~ 205 00:18:29,575 --> 00:18:39,919 (十助の泣き声) 206 00:18:39,919 --> 00:18:44,590 ん? 元気な子だねえ。 名は何てんだい? 207 00:18:44,590 --> 00:18:55,601 ♬~ 208 00:18:55,601 --> 00:18:57,637 (お稲)おいちさん。 209 00:18:57,637 --> 00:19:02,341 あ… なかなか お見えにならないので お迎えに。 210 00:19:02,341 --> 00:19:04,276 お稲さん…。 211 00:19:04,276 --> 00:19:06,579 あ… 赤ん坊? 212 00:19:11,550 --> 00:19:14,353 (お稲)十助ちゃんに お乳をやっています。 213 00:19:14,353 --> 00:19:17,890 子供が生まれたばかりの女中が おりましてね。 214 00:19:17,890 --> 00:19:22,094 ありがとうございます。 さあ…。 215 00:19:24,764 --> 00:19:32,438 先日 子から離れてしまった母親のお話を されていましたね。 216 00:19:32,438 --> 00:19:34,440 はい。 217 00:19:34,440 --> 00:19:38,444 あれは 十助ちゃんのことですか? 218 00:19:47,887 --> 00:19:55,628 母親が… あの子を産んで すぐに亡くなりました。 219 00:19:55,628 --> 00:20:04,770 でも 事情があって 私の家で預かることができないんです。 220 00:20:04,770 --> 00:20:11,077 だけど どうしても 手放したくなくて…。 221 00:20:14,280 --> 00:20:20,986 私も 生まれてすぐに 両親を亡くしました。 222 00:20:22,621 --> 00:20:29,128 今の父に育てられて これまで暮らしてきました。 223 00:20:29,128 --> 00:20:34,133 もし 父に出会わなければ…。 224 00:20:35,901 --> 00:20:44,610 私の命も どこかで尽きていたかもしれない。 225 00:20:46,979 --> 00:20:53,152 そう思ったら あの子のそばで あの子を守ってやって➡ 226 00:20:53,152 --> 00:21:00,893 それで初めて 十助ちゃんが 生まれてきてくれて よかったって…➡ 227 00:21:00,893 --> 00:21:05,197 そう言えるような気がして…。 228 00:21:11,270 --> 00:21:15,107 すみません 自分のことばっかり。 229 00:21:15,107 --> 00:21:18,144 いいえ…。 230 00:21:18,144 --> 00:21:25,284 おいちさんのこと 初めて伺いました。 231 00:21:25,284 --> 00:21:32,158 十助ちゃんのために 何かできることがあったら➡ 232 00:21:32,158 --> 00:21:35,794 何でも言ってくださいね。 233 00:21:35,794 --> 00:21:39,431 ありがとうございます。 234 00:21:39,431 --> 00:21:44,803 義母の脚 ゆっくり さすってあげてください。 235 00:21:44,803 --> 00:21:47,106 はい。 236 00:21:50,142 --> 00:21:55,648 十助ちゃんというのね。 すてきなお名前ね。 フフッ。 237 00:21:55,648 --> 00:21:59,819 あ~ ほら 笑ったわ。 笑いました。 238 00:21:59,819 --> 00:22:05,257 本当に かわいい笑顔。 ねっ お夕 私にも抱かせて。 239 00:22:05,257 --> 00:22:08,260 お~ よしよし お~ よしよし。 240 00:22:08,260 --> 00:22:42,461 ♬~ 241 00:22:47,433 --> 00:22:49,435 お帰り。 242 00:22:51,303 --> 00:22:54,506 ただいま帰りました。 243 00:23:06,585 --> 00:23:14,927 お前を育てることになった時 誰よりも 力になってくれたのは 義姉さんだ。 244 00:23:14,927 --> 00:23:18,264 伯母さんが? 245 00:23:18,264 --> 00:23:23,102 お前のおっ母さんは 覚悟を決めていたが➡ 246 00:23:23,102 --> 00:23:30,843 私は迷っていた。 赤子を育て上げる自信がなかった。 247 00:23:30,843 --> 00:23:38,417 そしたら 死ぬ間際のおっ母さんに言われたんだ。 248 00:23:38,417 --> 00:23:45,190 「お前さんが迷っているのは 育てる自信がないからじゃない。➡ 249 00:23:45,190 --> 00:23:49,628 自分に自信がないからだ」と。 250 00:23:49,628 --> 00:23:53,132 自分に自信…。 251 00:23:55,501 --> 00:24:02,207 どういう医者になって どんなふうに暮らしたいのか。 252 00:24:04,576 --> 00:24:11,350 私は何も考えてなかった。 ただ 新しい知識を得て➡ 253 00:24:11,350 --> 00:24:16,055 難しい病に挑むことしか…。 254 00:24:21,593 --> 00:24:27,933 おっ母さんが死んだ朝 お前をだっこした時➡ 255 00:24:27,933 --> 00:24:32,938 ふっと 遠い先が見えた。 256 00:24:34,707 --> 00:24:46,518 お前と一緒に 私が大勢に囲まれて 忙しく楽しく暮らしている景色が。 257 00:24:50,789 --> 00:24:54,626 それを言ったら 義姉さんは…➡ 258 00:24:54,626 --> 00:24:59,631 「しっかりおやり」 そう言ってくれたんだ。 259 00:25:03,068 --> 00:25:11,076 それから私は 屋敷を出て 長屋の医者になった。 260 00:25:20,486 --> 00:25:25,791 お前は どういう医者になりたい? 261 00:25:27,760 --> 00:25:30,763 私は…。 262 00:25:39,271 --> 00:25:46,945 己が 一体 どうなりたいのか それを見つけない限り➡ 263 00:25:46,945 --> 00:25:54,153 お前は 十助に己を重ねて 何かをした気になっているだけだ。 264 00:25:57,289 --> 00:26:04,897 十助は 明日 義姉さんの所へ連れていく。 いいな? 265 00:26:04,897 --> 00:26:25,918 ♬~ 266 00:26:25,918 --> 00:26:28,954 (戸が開く音) (巳助)先生 いいかい? 267 00:26:28,954 --> 00:26:33,592 ん? どうした? 出先で酒を分けてもらったんだ。 268 00:26:33,592 --> 00:26:36,929 お前さん いいかげんにしないと 仕事に障るぞ。 269 00:26:36,929 --> 00:26:43,602 いいじゃねえか。 かみさんに 先立たれた者同士 仲よくやろうや~。 270 00:26:43,602 --> 00:26:47,105 そうでないと 俺…。 おう おう おう おう 泣くな。 271 00:26:47,105 --> 00:26:49,408 すぐ行くから。 272 00:26:49,408 --> 00:26:53,278 (小声で)覚えておけ。 これも療治だ。 273 00:26:53,278 --> 00:26:56,181 フフッ。 フフフフ…。 274 00:26:56,181 --> 00:26:58,984 さあ さあ さあ さあ。 おい。 275 00:27:09,561 --> 00:27:42,261 ♬~ 276 00:27:42,261 --> 00:27:45,063 はあ…。 277 00:27:48,600 --> 00:27:51,937 どういう医者に…。 278 00:27:51,937 --> 00:28:01,213 ♬~ 279 00:28:01,213 --> 00:28:05,083 ご隠居様。 280 00:28:05,083 --> 00:28:07,786 おはようございます。 281 00:28:16,562 --> 00:28:19,264 どうぞ。 282 00:28:27,573 --> 00:28:31,076 十助ちゃん。 フフッ…。 283 00:28:35,914 --> 00:28:41,720 おいちさん 松庵先生。 284 00:28:41,720 --> 00:28:48,493 今日は 朝早くから 突然 失礼いたしました。 285 00:28:48,493 --> 00:28:54,099 思い立ったら どうしても 我慢ができず➡ 286 00:28:54,099 --> 00:28:59,905 お稲に わがままを言って ここまで連れてきてもらいました。 287 00:29:08,547 --> 00:29:16,421 この子を 私たちに育てさせてくださいませんか? 288 00:29:16,421 --> 00:29:19,725 ん… 育てる? 289 00:29:21,560 --> 00:29:23,862 お願いいたします。 290 00:29:34,573 --> 00:29:39,244 上方に里子に出した? はい。 291 00:29:39,244 --> 00:29:44,383 大坂の大店に。 そういう話にいたしました。 292 00:29:44,383 --> 00:29:50,922 いつ どんな所から 長屋で 赤子を産んだ女の話が伝わるか➡ 293 00:29:50,922 --> 00:29:53,592 分かりませんから。 承知しやした。 294 00:29:53,592 --> 00:29:57,396 誰かから聞かれたら あっしも そのように。 295 00:29:57,396 --> 00:30:03,268 いや しかし 赤子を引き受けてくれる家があるとは…。 296 00:30:03,268 --> 00:30:10,275 私も驚きました。 吾妻屋さんには お子さんはおられません。 297 00:30:10,275 --> 00:30:14,780 今のあるじの藤吉さんも ご養子だそうで。 298 00:30:16,415 --> 00:30:20,786 ご隠居様と藤吉さんの間には➡ 299 00:30:20,786 --> 00:30:25,424 のっぴきならない 行き違いがあったようです。 300 00:30:25,424 --> 00:30:29,795 行き違い… ですか? 301 00:30:29,795 --> 00:30:35,133 ご隠居様は 子供だった藤吉さんを受け入れられず➡ 302 00:30:35,133 --> 00:30:40,005 ひどいことをしてしまったことが あったそうです。 303 00:30:40,005 --> 00:30:46,445 それからは ずっと ご自分を戒めておられた。 304 00:30:46,445 --> 00:30:53,985 決して 自分は幸せになってはならないと。 305 00:30:53,985 --> 00:31:00,759 そんなご隠居様が 赤子を育てることで もう一度 生き直したい➡ 306 00:31:00,759 --> 00:31:05,263 自分にかけた呪いを解きたいと おっしゃったんです。 307 00:31:05,263 --> 00:31:11,603 おいちさんは それでいいと判断されたんですね? 308 00:31:11,603 --> 00:31:17,275 ご隠居様のお言葉に うそはありませんでした。 309 00:31:17,275 --> 00:31:19,778 分かりやした。 310 00:31:22,614 --> 00:31:26,118 滝代さんを斬った男たちのことは まだ…? 311 00:31:26,118 --> 00:31:29,788 侍たちの足取りが ぷっつり途切れてやす。 312 00:31:29,788 --> 00:31:35,660 こいつは あっしの勘だが そこいらの町人に紛れてるのではと。 313 00:31:35,660 --> 00:31:39,965 親分さんにお願いがあるんです。 はい。 314 00:31:39,965 --> 00:31:44,136 滝代さんが 十助ちゃんに残していったものを➡ 315 00:31:44,136 --> 00:31:47,439 吾妻屋さんまで届けてもらえませんか? へい。 316 00:31:47,439 --> 00:31:52,644 私が動けば 十助ちゃんの居場所が 知れてしまいますから。 317 00:31:56,181 --> 00:31:58,650 これです。 318 00:31:58,650 --> 00:32:01,353 ほう…。 319 00:32:04,389 --> 00:32:07,092 はっ…! 320 00:32:07,092 --> 00:33:04,082 ♬~ 321 00:33:06,084 --> 00:33:09,888 ここが どこか分かるか? 322 00:33:12,858 --> 00:33:18,864 涙が…。 おいちさん 泣いておられる。 323 00:33:20,599 --> 00:33:23,401 何か見えたんだな? 324 00:33:25,270 --> 00:33:34,279 みなもが キラキラしていて… お二人が幸せそうで…。 325 00:33:34,279 --> 00:33:43,421 でも いつの間にか 滝代さんが残されて…。 326 00:33:43,421 --> 00:33:46,424 刀だけが…。 327 00:33:51,296 --> 00:33:54,065 何か起きます。 328 00:33:54,065 --> 00:33:58,003 とても怖いことが。 329 00:33:58,003 --> 00:34:10,916 (カラスの鳴き声) 330 00:34:10,916 --> 00:34:14,786 変な男? おう たった今。 331 00:34:14,786 --> 00:34:18,590 先生の家をのぞいてたから 「松庵先生なら➡ 332 00:34:18,590 --> 00:34:20,926 出ておりやすよ」って声かけたら 消えちまった。 333 00:34:20,926 --> 00:34:23,828 もしかして お侍さん? 334 00:34:23,828 --> 00:34:27,699 いや 身なりは その辺の物売りみてえな…。 335 00:34:27,699 --> 00:34:30,602 何してる!やめろ! 逃げるな! 336 00:34:30,602 --> 00:34:34,406 (巳助)おいっちゃん こいつだ! 木戸口の辺りから 中をうかがっておった。 337 00:34:34,406 --> 00:34:38,410 松庵に 何か御用ですか? 338 00:34:41,279 --> 00:34:45,617 お前… 武士だな? 違う! 339 00:34:45,617 --> 00:34:48,119 面を見せろ。 うっ! 340 00:34:48,119 --> 00:34:50,121 ほら! 341 00:34:55,293 --> 00:34:58,196 痛っ…! (巳助)あ~!➡ 342 00:34:58,196 --> 00:35:00,131 何すんだ!?➡ 343 00:35:00,131 --> 00:35:03,735 あっ 待て~! 大丈夫ですか? 344 00:35:03,735 --> 00:35:07,072 こ… 腰が…。 手当てを。 家の中へ。 345 00:35:07,072 --> 00:35:13,078 はあ はあ… やっぱり 武士でねえか。 ちく 抜かすでねえ! 346 00:35:15,246 --> 00:35:18,950  回想  ちく 抜かしとったら 承知せんぞ! 347 00:35:21,753 --> 00:35:25,256 おいっちゃん 逃げられちまった。 348 00:35:25,256 --> 00:35:28,927 巳助さん 仙五朗さんを呼んできて。 すぐに。 349 00:35:28,927 --> 00:35:30,929 ああ。 350 00:35:39,938 --> 00:35:44,776 痛みますか? あ… あっ 痛っ いてててっ あいてっ…。 351 00:35:44,776 --> 00:35:48,613 あ… あ…。 響きますか? 352 00:35:48,613 --> 00:35:51,282 あ… 平気です。 353 00:35:51,282 --> 00:35:55,587 では 薬を準備しますね。 354 00:36:00,358 --> 00:36:05,163 こんななりだが 武芸は からきしで。 いや 面目ない。 355 00:36:11,002 --> 00:36:16,808 「ちく」というのは うそという意味でしょうか? 356 00:36:19,244 --> 00:36:23,048 どちらのお国言葉ですか? 357 00:36:31,589 --> 00:36:38,363 私は 医師 藍野松庵の娘 いちと申します。 358 00:36:38,363 --> 00:36:43,668 お侍様は この家を訪ねていらしたのですね? 359 00:36:45,937 --> 00:36:48,440 何の御用で? 360 00:36:59,417 --> 00:37:04,255 相すまぬ。 杉野小十郎と申す。 361 00:37:04,255 --> 00:37:10,562 人を捜しております。 私の捜す人が こちらにおられたとのうわさを聞き➡ 362 00:37:10,562 --> 00:37:13,598 訪ねてまいりました。 363 00:37:13,598 --> 00:37:20,105 滝代様という方を もしや ご存じでは? 364 00:37:23,141 --> 00:37:27,112 存じております。 365 00:37:27,112 --> 00:37:31,583 お美しい方でした。 366 00:37:31,583 --> 00:37:41,593 で… 滝代様は その… 身重でおられましたか? 367 00:37:41,593 --> 00:37:48,466 仕事帰りの道で たまたまご一緒になり お産が始まりかけていたので➡ 368 00:37:48,466 --> 00:37:52,771 ここへ連れてきて 赤子を取り上げました。 369 00:37:52,771 --> 00:37:57,609 やはり…! で その赤子は 男でしたか? お答えできません。 370 00:37:57,609 --> 00:37:59,644 なぜ? 里子に出しましたので。 371 00:37:59,644 --> 00:38:04,716 里子…。 どちらに? 大坂へ。 372 00:38:04,716 --> 00:38:12,223 引き取っていただいた以上 情は断ち 全てを先様に委ねる覚悟で➡ 373 00:38:12,223 --> 00:38:15,727 取り次いでいただいた方に お渡しいたしました。 374 00:38:15,727 --> 00:38:23,902 先様のお名前もお住まいも 私は 一切 存じ上げません。 375 00:38:23,902 --> 00:38:29,707 では… 取り次いだ方を お教えいただけますか?杉野様。 376 00:38:29,707 --> 00:38:36,614 あなたは どういうお方なのですか? 377 00:38:36,614 --> 00:38:40,919 なぜ 赤子の行方を追うんです? 378 00:38:43,254 --> 00:38:49,561 それを知って どうなさるおつもりなのですか? 379 00:38:57,268 --> 00:39:03,274 取り戻します。 取り戻す? 赤子を? 380 00:39:04,876 --> 00:39:06,878 なぜ? 381 00:39:10,215 --> 00:39:12,417 誰だ!? 382 00:39:14,886 --> 00:39:19,224 ちょいとお邪魔しますよ。 383 00:39:19,224 --> 00:39:22,060 仙五朗親分さんです。 384 00:39:22,060 --> 00:39:26,731 目明か。 お前 話を聞いておったな。 385 00:39:26,731 --> 00:39:30,568 へい。 少々 立ち聞きさせてもらいやした。 386 00:39:30,568 --> 00:39:36,274 けど それが なりわいでしてね。 どうか ご容赦ください。 387 00:39:43,081 --> 00:39:48,953 赤子をつないだのは あっしでございます。 388 00:39:48,953 --> 00:39:55,793 そういうわけで もし そちらに どうしてもというご事情があるなら➡ 389 00:39:55,793 --> 00:40:00,632 まずは それをお聞かせ願えませんか。 目明風情に話すことではないわ。 390 00:40:00,632 --> 00:40:04,102 ほう~。 391 00:40:04,102 --> 00:40:07,605 あっしのことは まあ いい。 けれども おいちさんは➡ 392 00:40:07,605 --> 00:40:11,276 義理も交わりもない 滝代さんの世話をして➡ 393 00:40:11,276 --> 00:40:15,280 赤子の命を守ろうと必死でやんした。 394 00:40:15,280 --> 00:40:20,285 それを 今さら 返せだの 取り戻すだの ねじ込むだけってなぁ➡ 395 00:40:20,285 --> 00:40:24,489 あまりに不実じゃござんせんかね。 396 00:40:30,295 --> 00:40:32,497 そのとおりだな。 397 00:40:35,166 --> 00:40:37,468 重ね重ね すまぬ。 398 00:40:39,637 --> 00:40:46,411 私は 滝代様の身内となるはずだった者なのだ。 399 00:40:46,411 --> 00:40:49,647 身内? 400 00:40:49,647 --> 00:40:55,853 滝代様は 兄のいいなずけだった。 401 00:40:57,522 --> 00:41:02,927 では 赤子は お兄様のお子で? 402 00:41:02,927 --> 00:41:08,132 それは…。 違うんですね? 403 00:41:10,268 --> 00:41:15,473 ならば なぜ 杉野様は 赤子を取り戻そうとなさるのです? 404 00:41:18,609 --> 00:41:21,612 お話しください。 405 00:41:26,117 --> 00:41:30,421 おいちさん 仙五朗親分。 406 00:41:30,421 --> 00:41:33,624 お二人の言われることは ごもっともだ。 407 00:41:33,624 --> 00:41:39,797 こちらの事情を伝えずして 赤ん坊を返せとは あまりに無体な申し出。 408 00:41:39,797 --> 00:41:43,668 申し訳ござらぬ。 しかし これは 我がお家の…! 409 00:41:43,668 --> 00:41:46,671 お家!? あ…。 410 00:41:46,671 --> 00:41:50,675 お家の大事に関わるんですね? あの赤ん坊が。 411 00:41:52,377 --> 00:41:54,879 そうなんですね? 412 00:41:57,648 --> 00:42:00,385 お答えください。 413 00:42:00,385 --> 00:42:03,588 お武家に忠義があるというのなら➡ 414 00:42:03,588 --> 00:42:08,292 私たちは 己の思いに命を懸けております。 415 00:42:15,266 --> 00:42:19,771 滝代様が産んだ赤子は 殿のお子。 416 00:42:19,771 --> 00:42:25,410 すなわち 我らが藩のお世継ぎにございます。 417 00:42:25,410 --> 00:42:27,612 おっ…。 418 00:42:37,622 --> 00:42:39,657 <いよいよ最終回> 419 00:42:39,657 --> 00:42:42,960 誰かに見られた。 十助ちゃんのことが書いてあるの。 420 00:42:42,960 --> 00:42:45,997 相生町の殺しは これ以上 つっつくなと。 421 00:42:45,997 --> 00:42:49,634 相手は お侍ですよ? 杉野様…。 422 00:42:49,634 --> 00:42:52,937 娘の喉をかき切るぞ!