1 00:00:32,850 --> 00:00:34,852 (真野浩太)いいな お前ら。 (甘利田幸男)手を離せ! 2 00:00:34,852 --> 00:00:36,854 〈私は給食が好きだ〉 3 00:00:36,854 --> 00:00:40,858 〈給食のために学校に来ていると 言っても過言ではない〉 4 00:00:40,858 --> 00:00:43,861 〈だが そんな事は 誰にも知られてはならない〉 5 00:00:43,861 --> 00:00:48,866 〈しかし 唯一 そんな私を 見透かしている奴がいる〉 6 00:00:48,866 --> 00:00:50,868 神野…。 (神野ゴウ)はい。 7 00:00:50,868 --> 00:00:53,871 毎朝 毎朝 何を笑っている? 8 00:00:53,871 --> 00:00:57,871 特に理由は ありません。 何もないのに笑う奴は嘘くさい。 9 00:00:58,876 --> 00:01:00,878 強いて言えば→ 10 00:01:00,878 --> 00:01:02,880 毎朝 先生に会うのが 楽しみな事でしょうか。 11 00:01:02,880 --> 00:01:04,880 (宗方早苗)フフッ…! 12 00:01:05,883 --> 00:01:08,886 お前 馬鹿にしてるな。 とんでもありません。 13 00:01:08,886 --> 00:01:10,886 行け。 14 00:01:16,894 --> 00:01:18,896 (鏑木 優)おはようございます。 15 00:01:18,896 --> 00:01:20,898 おはようございます。 16 00:01:20,898 --> 00:01:24,902 今日は 大事な日になりますよ。 どういう意味でしょうか? 17 00:01:24,902 --> 00:01:27,902 またまた。 わかってるくせに。 18 00:01:29,907 --> 00:01:31,907 失敬。 19 00:01:33,844 --> 00:01:35,846 (生徒たち)おはようございます! 20 00:01:35,846 --> 00:01:37,848 おはよう。 あいさつしろ。 21 00:01:37,848 --> 00:01:39,850 (真野)はい おはよう。 おはよう。 22 00:01:39,850 --> 00:01:42,850 (真野)はい おはよう。 はい 急げー! 23 00:01:59,870 --> 00:02:03,874 〈今日のメニューは 秋の訪れを祝う飯 栗ご飯〉 24 00:02:03,874 --> 00:02:07,878 〈給食において 最もアニバーサリーなデザート→ 25 00:02:07,878 --> 00:02:10,881 三色ゼリーが付くという 念願の取り合わせだ〉 26 00:02:10,881 --> 00:02:12,883 〈まさに 季節の変わり目に→ 27 00:02:12,883 --> 00:02:14,885 はっきりと くさびを打ち込む献立〉 28 00:02:14,885 --> 00:02:17,888 〈昼には マロンが待っている!〉 29 00:02:17,888 --> 00:02:20,888 (箕輪光蔵)宗方先生 ちょっと…。 30 00:02:23,894 --> 00:02:27,898 (鏑木)今日の放課後 緊急職員会を開いて頂きます。 31 00:02:27,898 --> 00:02:29,900 教育委員会で討議されて→ 32 00:02:29,900 --> 00:02:34,839 甘利田先生の素行が 問題ありとなったみたいで…。 33 00:02:34,839 --> 00:02:38,843 宗方先生の内部告発が 受理されたという事です。 34 00:02:38,843 --> 00:02:40,845 ちょっと待ってください! 35 00:02:40,845 --> 00:02:42,847 待てません。 そう申し上げましたよね? 36 00:02:42,847 --> 00:02:44,849 だって それは…! 教師が 毎下校時に→ 37 00:02:44,849 --> 00:02:47,852 近所の駄菓子屋で買い食いしても いいとお思いですか? 38 00:02:47,852 --> 00:02:49,854 それは… 別に犯罪では…。 39 00:02:49,854 --> 00:02:51,856 教師が生徒以上に→ 40 00:02:51,856 --> 00:02:54,859 給食に対して 異常な熱情を持っているのは→ 41 00:02:54,859 --> 00:02:56,861 どうですか? それだって 特に…。 42 00:02:56,861 --> 00:02:58,863 あなただって 問題ありと思っていたはずだ。 43 00:02:58,863 --> 00:03:00,865 今は違います! 44 00:03:00,865 --> 00:03:02,867 あなたが デマを流した事になりますよ! 45 00:03:02,867 --> 00:03:05,870 そうなったら ご自分の立場も危うくなる! 46 00:03:05,870 --> 00:03:07,872 ちょっと… 鏑木さん。 47 00:03:07,872 --> 00:03:12,877 今日は 私の上席に当たる 教育委員も出席します。 48 00:03:12,877 --> 00:03:17,882 (鏑木)実質は 彼の素行を問う 裁判だと思って頂いて結構です。 49 00:03:17,882 --> 00:03:19,884 穏やかではありませんな…。 50 00:03:19,884 --> 00:03:23,888 彼への質問者は 宗方先生 あなたが やってください。 51 00:03:23,888 --> 00:03:25,890 そんな… できません! 52 00:03:25,890 --> 00:03:29,894 当然でしょ! 告発者本人なんだから! 53 00:03:29,894 --> 00:03:32,830 甘利田先生を 辞めさせるおつもりですか? 54 00:03:32,830 --> 00:03:34,832 そんな事は考えませんよ。 55 00:03:34,832 --> 00:03:36,834 じゃあ また転勤ですか。 56 00:03:36,834 --> 00:03:41,834 彼の素行は直らないと 踏んでいます。 57 00:03:45,843 --> 00:03:49,843 一番手軽で確実な方法があります。 58 00:03:50,848 --> 00:03:54,848 (鏑木)それ以上に効く手はない。 59 00:06:02,813 --> 00:06:06,817 〈栗ご飯の醍醐味は 甘栗の甘さと食感だ〉 60 00:06:06,817 --> 00:06:09,820 〈芳醇という言葉が 最も合う果実は→ 61 00:06:09,820 --> 00:06:11,822 栗であると断言していい〉 62 00:06:11,822 --> 00:06:14,825 先生…。 63 00:06:14,825 --> 00:06:17,825 校長先生から お願いされて。 64 00:06:18,829 --> 00:06:20,831 あの… 今日の給食→ 65 00:06:20,831 --> 00:06:22,833 先生のクラスで 食べさせてもらって→ 66 00:06:22,833 --> 00:06:25,836 いいですか? どうぞ。 67 00:06:25,836 --> 00:06:30,841 それと… 今日の放課後 緊急職員会議があります。 68 00:06:30,841 --> 00:06:34,845 教育委員会の鏑木さんも 出席します。 69 00:06:34,845 --> 00:06:36,847 そうですか。 70 00:06:36,847 --> 00:06:39,850 先生を糾弾する会だそうです。 へえ~。 71 00:06:39,850 --> 00:06:42,853 怖くないんですか? 別に。 72 00:06:42,853 --> 00:06:45,856 また どっかの中学に 飛ばされるくらいでしょう。 73 00:06:45,856 --> 00:06:47,858 そうじゃないそうです。 74 00:06:47,858 --> 00:06:52,858 この学校… 教師だけ 弁当にするそうです。 75 00:06:54,865 --> 00:07:04,865 (水の流れ出る音) 76 00:07:05,809 --> 00:07:07,811 先生…? 77 00:07:07,811 --> 00:07:15,819 な… な… な… な… な… なん… なんですか それ。 78 00:07:15,819 --> 00:07:17,821 それじゃあ まるで 私が→ 79 00:07:17,821 --> 00:07:19,823 給食だけが楽しみで学校に来てる みたいじゃないですか。 80 00:07:19,823 --> 00:07:21,825 えっ 違う…? 馬鹿言っちゃいけない! 81 00:07:21,825 --> 00:07:23,827 そんな事して 一体 何になるというんですか。 82 00:07:23,827 --> 00:07:26,830 あ… 甘利田先生 しっかりして…。 しっかりしてますとも!! 83 00:07:26,830 --> 00:07:29,833 あの海坊主も ついに焼きが回りましたね。 84 00:07:29,833 --> 00:07:32,836 私を糾弾するのに 給食を取り上げるなんて→ 85 00:07:32,836 --> 00:07:34,838 一体 何を考えているんだ…! 86 00:07:34,838 --> 00:07:36,838 先生 落ち着いてください。 落ち着いてますとも!! 87 00:07:38,842 --> 00:07:42,846 (牧野文枝)ジャーン! 神野くん これ 見て! 88 00:07:42,846 --> 00:07:45,849 まるで夢のようね~! はい! 89 00:07:45,849 --> 00:07:48,852 もうすぐ食べられるからね~。 とても楽しみです。 90 00:07:48,852 --> 00:07:51,855 あっ また 何か 今日も考えてるんでしょ? 91 00:07:51,855 --> 00:07:53,857 さあ どうでしょう。 92 00:07:53,857 --> 00:07:57,861 ん~? 毎日 甘利田先生と 給食対決してるんだもんね。 93 00:07:57,861 --> 00:08:00,864 僕は 先生に 喜んでもらいたいだけです。 94 00:08:00,864 --> 00:08:02,800 え~ そうなの? フフフ…。 95 00:08:02,800 --> 00:08:04,802 ≫なんて事を…。 先生! 96 00:08:04,802 --> 00:08:07,805 なんて事を…。 (文枝)ど… どうしました? 97 00:08:07,805 --> 00:08:10,808 先生 ほら 見て。 三色ゼリー。 98 00:08:10,808 --> 00:08:12,810 フフッ… 神野くんなんてね→ 99 00:08:12,810 --> 00:08:16,810 もう 楽しみで さっきから ずーっと見てるんですよ。 ねっ? 100 00:08:17,815 --> 00:08:21,819 お前らは いいな…。 はい? 101 00:08:21,819 --> 00:08:25,823 な… なんて事を…。 102 00:08:25,823 --> 00:08:27,825 まさか…。 103 00:08:27,825 --> 00:08:45,843 ♬~ 104 00:08:45,843 --> 00:09:02,843 ♬~ 105 00:09:03,794 --> 00:09:07,798 ♬~ 106 00:09:07,798 --> 00:09:11,802 ♬~(一同)「学びの窓に緑燃ゆ」 107 00:09:11,802 --> 00:09:13,804 ♬~「みなぎる血潮は健やかに」 108 00:09:13,804 --> 00:09:15,806 (的場達也)先生 見て。 歌ってないんだけど…。 109 00:09:15,806 --> 00:09:17,808 (山口 剛)先生 元気ないぞ。 (俵 みなみ)本当だ。 110 00:09:17,808 --> 00:09:20,811 どうしたんだろう? いつも はしゃいでるのに。 111 00:09:20,811 --> 00:09:34,825 ♬~(スピーカーから流れる校歌) 112 00:09:34,825 --> 00:09:38,829 ♬~「ともに伸びゆく」 113 00:09:38,829 --> 00:09:44,835 ♬~「われら黍中」 114 00:09:44,835 --> 00:09:48,839 ♬~「あゝ 黍中」 115 00:09:48,839 --> 00:09:51,839 ♬~「黍名子中学校」 116 00:09:55,846 --> 00:10:03,787 ♬~ 117 00:10:03,787 --> 00:10:07,791 ♬~(皆川佐和子) 「とうとう流る里の川」 118 00:10:07,791 --> 00:10:12,791 ♬~(5人)「誠実の心は清らかに」 119 00:10:13,797 --> 00:10:17,797 ♬~「キビキビ進めよ ひたすらに」 120 00:10:19,803 --> 00:10:24,808 ♬~(一同)「ともに輝け」 121 00:10:24,808 --> 00:10:28,812 ♬~「われら黍中」 122 00:10:28,812 --> 00:10:32,816 ♬~「あゝ 黍中」 123 00:10:32,816 --> 00:10:36,820 ♬~「黍名子中学校」 124 00:10:36,820 --> 00:10:49,833 ♬~ 125 00:10:49,833 --> 00:10:59,843 (嗚咽) 126 00:10:59,843 --> 00:11:05,849 お前ら… 馬鹿だな…。 127 00:11:05,849 --> 00:11:08,852 (生徒たちの笑い声) 128 00:11:08,852 --> 00:11:11,855 (生徒たち)先生! 先生! 甘利田先生! 甘利田先生! 129 00:11:11,855 --> 00:11:14,855 (皆川)先生! (生徒たち)先生! 先生…! 130 00:11:16,860 --> 00:11:18,862 いくぞ 日直…。 131 00:11:18,862 --> 00:11:20,864 (関口昭子・内藤哲也)はい! 132 00:11:20,864 --> 00:11:27,871 ♬~ 133 00:11:27,871 --> 00:11:30,874 (内藤)手を合わせてください。 134 00:11:30,874 --> 00:11:32,876 (内藤・関口) せーの… いただきます。 135 00:11:32,876 --> 00:11:35,879 (一同)いただきます。 136 00:11:35,879 --> 00:11:37,879 いただきます…。 137 00:11:41,885 --> 00:11:43,887 〈何があろうとも→ 138 00:11:43,887 --> 00:11:46,890 目の前の給食には なんの罪もない〉 139 00:11:46,890 --> 00:11:48,892 〈先の事は いい〉 140 00:11:48,892 --> 00:11:52,896 〈今を生きる事にこそ 意味がある〉 141 00:11:52,896 --> 00:11:57,896 〈そうじゃなければ 私は私ではない〉 142 00:12:00,904 --> 00:12:02,839 ♬~(音楽) 143 00:12:02,839 --> 00:12:05,842 〈今日のメニューは 黄金色の悪魔的果実→ 144 00:12:05,842 --> 00:12:08,845 秋の緞帳を上げる栗ご飯〉 145 00:12:08,845 --> 00:12:10,847 〈テリッテリのスタミナ炒め〉 146 00:12:10,847 --> 00:12:12,849 〈栗に意外にも合う ニラ玉スープ〉 147 00:12:12,849 --> 00:12:14,851 〈いつもの瓶牛乳〉 148 00:12:14,851 --> 00:12:17,854 〈そして デザート界の クイーン オブ ハート→ 149 00:12:17,854 --> 00:12:20,857 見目麗しいぜ 三色ゼリー〉 150 00:12:20,857 --> 00:12:22,859 (箸入れの開閉音) 151 00:12:22,859 --> 00:12:26,863 〈見よ この黒光り〉 152 00:12:26,863 --> 00:12:29,866 〈何度でも言おう。 味は さじで変わる〉 153 00:12:29,866 --> 00:12:32,869 〈まずは 敬意を表して主役から〉 154 00:12:32,869 --> 00:12:38,875 ♬~ 155 00:12:38,875 --> 00:12:40,877 〈うまい…!〉 156 00:12:40,877 --> 00:12:42,879 (コオロギの鳴き声) 157 00:12:42,879 --> 00:12:46,883 〈今 この時 私にとっての秋が始まった〉 158 00:12:46,883 --> 00:12:48,885 〈口の中に広がる上品な甘み〉 159 00:12:48,885 --> 00:12:51,888 〈子どもの雑な舌には 到底理解の及ばない→ 160 00:12:51,888 --> 00:12:54,888 まさに大人のための給食だ〉 161 00:12:56,893 --> 00:12:58,895 (スープをすする音) 162 00:12:58,895 --> 00:13:00,897 〈ク~ッ!〉 163 00:13:00,897 --> 00:13:03,834 〈ニラ玉スープというのが また憎い!〉 164 00:13:03,834 --> 00:13:05,836 〈ほんのり中華を混ぜてくる〉 165 00:13:05,836 --> 00:13:07,838 〈主食と汁物が 黄色同士という演出〉 166 00:13:07,838 --> 00:13:10,841 〈どんどん 食が進んでしまうではないか〉 167 00:13:10,841 --> 00:13:12,843 〈続いては これだ〉 168 00:13:12,843 --> 00:13:14,845 〈スタミナ炒め〉 169 00:13:14,845 --> 00:13:17,848 〈スタミナ な… なんとかといえば→ 170 00:13:17,848 --> 00:13:19,850 とにかく豚肉だ〉 171 00:13:19,850 --> 00:13:21,852 〈ん? 何がいいって→ 172 00:13:21,852 --> 00:13:23,854 このテリッテリの色合いと 無駄に濃い味〉 173 00:13:23,854 --> 00:13:26,857 〈栗ご飯とのコラボは バッチリだ〉 174 00:13:26,857 --> 00:13:28,859 〈無駄なしょっぱさに拍手〉 175 00:13:28,859 --> 00:13:30,861 (拍手) 176 00:13:30,861 --> 00:13:33,864 〈では… いざ!〉 177 00:13:33,864 --> 00:13:37,868 ♬~ 178 00:13:37,868 --> 00:13:39,870 ん~っ! 179 00:13:39,870 --> 00:13:48,879 ♬~ 180 00:13:48,879 --> 00:13:50,881 う~ん…! 181 00:13:50,881 --> 00:14:08,832 ♬~ 182 00:14:08,832 --> 00:14:10,834 うん! うん! 183 00:14:10,834 --> 00:14:17,841 ♬~ 184 00:14:17,841 --> 00:14:20,844 〈栗という食材が 私に語りかける〉 185 00:14:20,844 --> 00:14:22,846 〈これがロマンだと〉 186 00:14:22,846 --> 00:14:25,849 〈そう! マロンこそ ロマンなんだと〉 187 00:14:25,849 --> 00:14:32,856 ♬~ 188 00:14:32,856 --> 00:14:34,858 ああ…! 189 00:14:34,858 --> 00:14:37,858 (箸入れを閉める音) 190 00:14:40,864 --> 00:14:47,871 〈もしかしたら 私の給食人生で 最後の三色ゼリーかもしれない〉 191 00:14:47,871 --> 00:14:50,874 〈ちなみに この3色には意味がある〉 192 00:14:50,874 --> 00:14:54,878 〈赤は花 白は雪 そして 緑は新緑だ〉 193 00:14:54,878 --> 00:14:58,882 〈花の下に残雪が残り その下には緑が芽吹く〉 194 00:14:58,882 --> 00:15:01,818 〈春先の変わりゆく風景を 表している〉 195 00:15:01,818 --> 00:15:05,822 〈季節の変わり目という意味では 今食べるのは正しい〉 196 00:15:05,822 --> 00:15:10,822 〈そして 私自身の節目という意味でも…〉 197 00:15:11,828 --> 00:15:14,831 〈あっ… 余計な事を考える必要はない〉 198 00:15:14,831 --> 00:15:19,836 〈今は… 今は ただ おいしい給食を食べるのみ〉 199 00:15:19,836 --> 00:15:23,836 〈きっと 奴だって そうしてる〉 200 00:15:26,843 --> 00:15:33,843 〈あ~ そうか… いい事するじゃないか〉 201 00:15:35,852 --> 00:15:38,855 〈不思議と 今日は受け入れられる〉 202 00:15:38,855 --> 00:15:41,858 〈お前の狙いどおり 私は食べちゃったよ〉 203 00:15:41,858 --> 00:15:44,861 〈フフッ… 奴だけは四色ゼリーだ〉 204 00:15:44,861 --> 00:15:47,864 〈さしずめ 最上段のマロンは→ 205 00:15:47,864 --> 00:15:49,866 いまだ衰えを見せない 太陽の輝きか〉 206 00:15:49,866 --> 00:15:51,868 (席を立つ音) 207 00:15:51,868 --> 00:15:53,868 〈それは 秋のゼリーだ〉 208 00:15:54,871 --> 00:15:56,871 〈んっ? んっ? なんだ?〉 209 00:16:06,816 --> 00:16:09,816 もし 良ければ 先生も どうぞ。 210 00:16:17,827 --> 00:16:27,837 ♬~ 211 00:16:27,837 --> 00:16:29,839 失礼します。 212 00:16:29,839 --> 00:16:35,845 ♬~ 213 00:16:35,845 --> 00:16:37,847 (席に着く音) 214 00:16:37,847 --> 00:16:42,852 ♬~ 215 00:16:42,852 --> 00:16:47,857 〈今日も負けたなあ…〉 216 00:16:47,857 --> 00:16:54,864 ♬~ 217 00:16:54,864 --> 00:16:58,864 〈ああ… 仕上がった〉 218 00:16:59,869 --> 00:17:01,869 ごちそうさまでした。 219 00:17:02,806 --> 00:17:04,808 ごちそうさまでした…。 220 00:17:04,808 --> 00:17:12,816 ♬~ 221 00:17:12,816 --> 00:17:16,816 (生徒たちの話し声) 222 00:18:54,851 --> 00:18:57,854 (鏑木)教育委員の佐久本先生です。 223 00:18:57,854 --> 00:18:59,856 この度 甘利田教員の→ 224 00:18:59,856 --> 00:19:03,860 教師としての素行不良告発が ございましたので→ 225 00:19:03,860 --> 00:19:06,863 事実確認の聴聞会を 開かせて頂きました。 226 00:19:06,863 --> 00:19:11,863 それでは 告発された宗方先生 お願いします。 227 00:19:22,879 --> 00:19:24,879 あの…。 228 00:19:27,884 --> 00:19:29,886 宗方先生。 229 00:19:29,886 --> 00:19:31,821 …はい。 230 00:19:31,821 --> 00:19:34,821 ちょっと すいません…。 231 00:19:35,825 --> 00:19:40,825 先生 どうぞ。 思った事を言ってください。 232 00:19:43,833 --> 00:19:50,840 私は… 最初は 甘利田先生が 正直 苦手でした。 233 00:19:50,840 --> 00:19:53,843 思った事を なんでも言って どんどんルールを変えて→ 234 00:19:53,843 --> 00:19:56,846 でも 自分の意見は絶対変えなくて→ 235 00:19:56,846 --> 00:19:59,849 こういう人は 学校にとって良くないと→ 236 00:19:59,849 --> 00:20:02,852 本気で思っていました。 237 00:20:02,852 --> 00:20:09,859 だから… ちょっと 怖かったです。 238 00:20:09,859 --> 00:20:12,859 (鏑木)宗方先生 ありがとうございます。 239 00:20:14,864 --> 00:20:17,867 ここに証拠写真があります。 240 00:20:17,867 --> 00:20:20,870 (鏑木)甘利田教諭が学校帰りに 近所の駄菓子屋で→ 241 00:20:20,870 --> 00:20:23,873 買い食いしている写真です。 回して。 242 00:20:23,873 --> 00:20:25,875 (鏑木)それも毎日だ! 243 00:20:25,875 --> 00:20:29,879 さらに 彼は 異常なまでに 給食に執着している。 244 00:20:29,879 --> 00:20:32,816 これは もう 尋常じゃない! 245 00:20:32,816 --> 00:20:35,819 いやしくも 教師が→ 246 00:20:35,819 --> 00:20:38,822 生徒よりも 給食を楽しみにしている。 247 00:20:38,822 --> 00:20:41,825 (鏑木)これは不真面目であると→ 248 00:20:41,825 --> 00:20:45,825 私は 断固許せないと 思う次第でございます。 249 00:20:46,830 --> 00:20:50,830 どうですか? 何か言い訳がありますか? 250 00:20:54,838 --> 00:20:56,840 何もないようなので→ 251 00:20:56,840 --> 00:21:01,845 私のほうで立案した 対処策を提案します。 252 00:21:01,845 --> 00:21:04,848 (鏑木)この学校の教員は 給食ではなく弁当を…。 253 00:21:04,848 --> 00:21:07,851 確かに 甘利田先生は…! 254 00:21:07,851 --> 00:21:09,853 はっ? 255 00:21:09,853 --> 00:21:14,858 確かに 毎朝 穴が開くほど 献立表を見ています。 256 00:21:14,858 --> 00:21:18,862 献立表は デスクの引き出しに しまってあって 毎日 磨きます。 257 00:21:18,862 --> 00:21:20,864 朝のホームルームも→ 258 00:21:20,864 --> 00:21:22,866 今日の献立を想像する時間に 充ててます。 259 00:21:22,866 --> 00:21:25,869 給食前の校歌は 大声で歌って踊りますし→ 260 00:21:25,869 --> 00:21:28,872 給食中は 誰も寄せ付けない オーラを発します。 261 00:21:28,872 --> 00:21:30,874 だから それが教師のやる事かと…。 262 00:21:30,874 --> 00:21:35,874 生徒たちは そんな先生が大好きです。 263 00:21:40,884 --> 00:21:42,886 子どもの好き嫌いなんてね…。 264 00:21:42,886 --> 00:21:45,889 鏑木さんは 何が気に食わないんですか? 265 00:21:45,889 --> 00:21:48,892 教師が給食が好きで いけませんか? 266 00:21:48,892 --> 00:21:51,895 おい! 佐久本先生の前で 何を言うか! 267 00:21:51,895 --> 00:21:54,898 私には わかります。 268 00:21:54,898 --> 00:21:58,902 最初 甘利田先生が嫌いでした。 269 00:21:58,902 --> 00:22:00,904 自由だからです。 270 00:22:00,904 --> 00:22:03,907 私は こんなに不自由なのに→ 271 00:22:03,907 --> 00:22:06,910 なんで この人だけ こんなに自由なんだって…。 272 00:22:06,910 --> 00:22:10,914 だから 嫌いでした。 273 00:22:10,914 --> 00:22:12,916 鏑木さんも同じなんですよね? 274 00:22:12,916 --> 00:22:14,918 何を馬鹿な事を…! 275 00:22:14,918 --> 00:22:17,921 甘利田先生は 私たちと違って→ 276 00:22:17,921 --> 00:22:20,924 好きなものを 好きでいられるんです。 277 00:22:20,924 --> 00:22:24,928 そんなふうに私はなりたい。 278 00:22:24,928 --> 00:22:30,934 ♬~ 279 00:22:30,934 --> 00:22:33,870 箕輪校長! あなたは どうなんだ!? 280 00:22:33,870 --> 00:22:39,876 ♬~ 281 00:22:39,876 --> 00:22:42,879 甘利田先生。 はい。 282 00:22:42,879 --> 00:22:45,879 買い食いは やめられませんか? 283 00:22:46,883 --> 00:22:48,885 やめられません。 284 00:22:48,885 --> 00:22:50,887 なぜですか? 285 00:22:50,887 --> 00:22:56,893 駄菓子が好きだから… では 駄目ですか? 286 00:22:56,893 --> 00:22:58,895 なるほど。 287 00:22:58,895 --> 00:23:00,897 「なるほど」じゃないでしょう! 288 00:23:00,897 --> 00:23:06,903 佐久本先生 この学校のモットーは質実剛健。 289 00:23:06,903 --> 00:23:10,907 (箕輪)飾り気がなく 真面目で たくましい→ 290 00:23:10,907 --> 00:23:12,909 という意味です。 291 00:23:12,909 --> 00:23:15,912 甘利田先生に問題がないとは 言いません。 292 00:23:15,912 --> 00:23:20,917 ですが それ以上に 貴重な人材だと私は思います。 293 00:23:20,917 --> 00:23:22,919 何をーっ!! (佐久本哲史)鏑木くん。 294 00:23:22,919 --> 00:23:24,921 はい。 (佐久本)帰りましょう。 295 00:23:24,921 --> 00:23:26,923 いや しかし…。 296 00:23:26,923 --> 00:23:29,926 報告と違う。 あなたの案は却下です。 297 00:23:29,926 --> 00:23:32,862 佐久本先生…。 失礼する。 298 00:23:32,862 --> 00:23:34,864 佐久本先生! 299 00:23:34,864 --> 00:23:42,872 ♬~ 300 00:23:42,872 --> 00:23:44,872 よしっ! 301 00:23:45,875 --> 00:23:50,880 ちょっと待ってください! 彼には問題があるんです! 302 00:23:50,880 --> 00:23:53,883 甘利田先生は 言い訳をしませんでした。 303 00:23:53,883 --> 00:23:55,885 それは 自分がやましいから…。 304 00:23:55,885 --> 00:24:00,890 逆です! 自分に自信があるからです。 305 00:24:00,890 --> 00:24:05,895 どうなろうとも悔いがない。 そんな覚悟が あの人にはある。 306 00:24:05,895 --> 00:24:07,897 そういう教師は貴重です。 307 00:24:07,897 --> 00:24:09,899 しかし 彼は給食の事しか…! 308 00:24:09,899 --> 00:24:13,899 給食の事しか言わないのは あなたも同じじゃないですか。 309 00:24:14,904 --> 00:24:17,907 (佐久本) あなたも給食が好きなはずだ。 310 00:24:17,907 --> 00:24:19,909 私は…! 311 00:24:19,909 --> 00:24:21,911 立場が邪魔をして 好きと言えませんか? 312 00:24:21,911 --> 00:24:23,913 好きとか嫌いとか…。 313 00:24:23,913 --> 00:24:25,913 言っていい! 314 00:24:26,916 --> 00:24:30,920 言えないから 言える人を 攻撃するのは違いますよ。 315 00:24:30,920 --> 00:24:36,920 ≫(足音) 316 00:24:43,866 --> 00:24:46,869 (佐久本)甘利田先生。 はい。 317 00:24:46,869 --> 00:24:50,869 私の教職の始めは 函館の中学校でした。 318 00:24:51,874 --> 00:24:53,876 …はい。 319 00:24:53,876 --> 00:24:57,880 そこでは 給食に いかめしが出た。 320 00:24:57,880 --> 00:24:59,882 そうですか…。 321 00:24:59,882 --> 00:25:04,882 あれは… うまかった~! 322 00:25:06,889 --> 00:25:08,889 はい。 323 00:25:12,895 --> 00:25:14,895 くっ…! 324 00:25:16,899 --> 00:25:22,899 では… 駄菓子でも食べに行きますか。 325 00:25:27,910 --> 00:25:31,848 フッ… はい。 326 00:25:31,848 --> 00:25:41,858 ♬~ 327 00:25:41,858 --> 00:25:43,860 何をしている? 328 00:25:43,860 --> 00:25:45,860 道草です。 329 00:25:48,865 --> 00:25:50,867 お前な…。 330 00:25:50,867 --> 00:25:52,867 先生 いいじゃないですか。 331 00:25:54,871 --> 00:25:56,871 あっ DON PACH。 332 00:25:58,875 --> 00:26:01,878 食べた事あるか? 333 00:26:01,878 --> 00:26:04,881 ないです。 勇気がなくて…。 334 00:26:04,881 --> 00:26:08,885 同じだ。 宗方先生も。 335 00:26:08,885 --> 00:26:12,885 どんな感じか試したくて。 いいですね。 336 00:26:13,890 --> 00:26:15,892 じゃあ…。 337 00:26:15,892 --> 00:26:19,896 ♬~ 338 00:26:19,896 --> 00:26:28,905 ♬~ 339 00:26:28,905 --> 00:26:35,845 ♬~ 340 00:26:35,845 --> 00:26:52,862 ♬~ 341 00:26:52,862 --> 00:26:55,865 いくぞ。 はい。 342 00:26:55,865 --> 00:26:57,867 (お春)せーの…。 343 00:26:57,867 --> 00:27:03,873 ♬~ 344 00:27:03,873 --> 00:27:06,876 (口の中で弾ける音) 345 00:27:06,876 --> 00:27:09,879 〈私は給食が好きだ〉 346 00:27:09,879 --> 00:27:12,882 〈それは誰にも止められない〉 347 00:27:12,882 --> 00:27:19,889 〈そして この地に来て 駄菓子の深さを知った〉 348 00:27:19,889 --> 00:27:21,891 〈人は少しずつ→ 349 00:27:21,891 --> 00:27:25,891 自分の心を満たすものを 増やしていく〉 350 00:27:26,896 --> 00:27:33,896 〈私は図らずも いい人たちに 囲まれていたのかもしれない〉 351 00:27:35,838 --> 00:27:38,841 〈もうすぐ 秋が来る〉 352 00:27:38,841 --> 00:27:40,841 (口の中で弾ける音)