1 00:00:02,503 --> 00:00:04,438 (隠館厄介) ⟨人と人がいれば→ 2 00:00:04,505 --> 00:00:08,442 おのずと関係性というものが 生まれる⟩ 3 00:00:08,509 --> 00:00:13,514 ⟨特に男と女の場合 関係性は 目まぐるしく変化する⟩ 4 00:00:15,015 --> 00:00:18,953 ⟨例えば どちらか1人が 死んでしまったら→ 5 00:00:19,020 --> 00:00:22,456 残された者は 忘れがたい その記憶は→ 6 00:00:22,523 --> 00:00:25,026 どうなるのだろう⟩ 7 00:00:26,527 --> 00:00:28,462 ⟨今日子さんは卑怯だ⟩ 8 00:00:28,529 --> 00:00:32,466 ⟨自分だけは すぐにでも 忘れられるのだから⟩ 9 00:00:32,533 --> 00:00:35,469 ⟨それだけに 今日子さんは→ 10 00:00:35,536 --> 00:00:38,039 脆く 儚い⟩ 11 00:00:47,048 --> 00:00:48,549 {\an8}(絆井法郎) あぁ~。 12 00:00:59,060 --> 00:01:00,928 (鳴き声) (法郎) ん? 13 00:01:00,995 --> 00:01:02,496 おっ? (まくる) えっ? 14 00:01:03,497 --> 00:01:05,933 (法郎) おいおい… 何? (まくる) おっ… えっ? えっ? 15 00:01:06,767 --> 00:01:09,203 (法郎) 何? 何だ? どうした? 16 00:01:09,270 --> 00:01:11,205 ん? 17 00:01:11,272 --> 00:01:13,274 何? それ。 (ドアが閉まる音) 18 00:01:15,276 --> 00:01:18,212 (猫の鳴き声) (法郎) 気のせいか? 19 00:01:18,279 --> 00:01:21,715 (厄介)《今 僕は 怪しい不法侵入者だ》 20 00:01:21,782 --> 00:01:24,218 《災厄まみれの厄介だからこそ→ 21 00:01:24,285 --> 00:01:27,221 今日まで 清廉潔白に 生きて来たというのに…》 22 00:01:27,288 --> 00:01:28,722 {\an8}(法郎) ん~? 23 00:01:28,789 --> 00:01:31,225 {\an8}☏(ベル) 24 00:01:31,292 --> 00:01:33,227 {\an8}☏(ベル) (法郎) はい。 25 00:01:33,294 --> 00:01:35,229 はい サンドグラス。 26 00:01:35,296 --> 00:01:38,232 あっ 今日子さん 絆井法郎です。 27 00:01:38,299 --> 00:01:41,235 あぁ うん… 表に? 28 00:01:41,302 --> 00:01:43,804 怪しい人影? 29 00:01:44,805 --> 00:01:46,740 それで? 30 00:01:46,807 --> 00:01:48,242 うん。 31 00:01:48,309 --> 00:01:49,743 男。 32 00:01:49,810 --> 00:01:52,246 大きなリュックを背負った…。 33 00:01:52,313 --> 00:01:53,814 (猫の鳴き声) 34 00:01:58,319 --> 00:02:00,254 (掟上今日子) 誰もいない? 35 00:02:00,321 --> 00:02:03,691 そうですか お騒がせしました。 36 00:02:03,757 --> 00:02:06,193 (厄介) ⟨これまで何度も やってもいない犯罪の→ 37 00:02:06,260 --> 00:02:08,696 ぬれぎぬを着せられて来た⟩ 38 00:02:08,762 --> 00:02:12,700 ⟨しかし 今度ばかりは 言い訳が立たない⟩ 39 00:02:12,766 --> 00:02:16,704 ⟨みんなの目を欺き こっそりと→ 40 00:02:16,770 --> 00:02:20,207 今日子さんの部屋に 入ろうというのだから⟩ 41 00:02:20,274 --> 00:02:23,277 ⟨話は 昨日にさかのぼる⟩ 42 00:02:29,283 --> 00:02:31,218 (厄介) 重信さん? (重信) シ~! 43 00:02:31,285 --> 00:02:34,221 {\an8}(厄介) お~ ちょっと…。 >> 大声を出すな。 44 00:02:34,288 --> 00:02:36,724 {\an8}社長直々の極秘ミッションだ これは。 45 00:02:36,790 --> 00:02:39,226 (厄介) 社長って 作創社の? 46 00:02:39,293 --> 00:02:43,230 ⟨作創社とは 都内にある大手出版社であり→ 47 00:02:43,297 --> 00:02:46,233 {\an8}重信さんは そこの編集者である⟩ 48 00:02:46,300 --> 00:02:48,736 これって 須永フェスタの時の…。 49 00:02:48,802 --> 00:02:51,238 須永先生の最後の原稿だ。 50 00:02:51,305 --> 00:02:54,241 (厄介) ⟨推理小説家 須永昼兵衛⟩ 51 00:02:54,308 --> 00:02:58,245 {\an8}⟨先月 須永先生の大ファンである 今日子さんと僕は→ 52 00:02:58,312 --> 00:03:02,183 {\an8}須永先生の別荘で 須永フェスタに参加した⟩ 53 00:03:02,249 --> 00:03:07,187 ⟨屋敷のどこかに隠された原稿を 捜すというイベントだ⟩ 54 00:03:07,254 --> 00:03:11,191 {\an8}⟨ところが その朝 須永先生は心不全で急逝⟩ 55 00:03:11,258 --> 00:03:13,694 {\an8}⟨危うく須永先生の遺稿が→ 56 00:03:13,761 --> 00:03:16,196 行方知れずに なるところだったが→ 57 00:03:16,263 --> 00:03:19,700 さすが今日子さん 見事 原稿のデータを見つけ出し→ 58 00:03:19,767 --> 00:03:21,702 事なきを得た⟩ 59 00:03:21,769 --> 00:03:23,203 ⟨…はずだった⟩ 60 00:03:23,270 --> 00:03:25,205 この原稿が何か? 61 00:03:25,272 --> 00:03:28,709 実は 須永先生の死に→ 62 00:03:28,776 --> 00:03:30,778 自殺の可能性が出て来た。 63 00:03:32,780 --> 00:03:37,217 {\an8}(厄介) ⟨重信さんの話によると 心不全で亡くなった須永先生が→ 64 00:03:37,284 --> 00:03:39,720 {\an8}自殺だったという可能性が 浮上した⟩ 65 00:03:39,787 --> 00:03:41,722 {\an8}⟨というのも 常用していた睡眠薬を→ 66 00:03:41,789 --> 00:03:44,225 {\an8}過剰摂取した疑いが 出て来たからだ⟩ 67 00:03:44,291 --> 00:03:46,226 ⟨自殺だったとなれば→ 68 00:03:46,293 --> 00:03:48,228 センセーショナルな 大ニュースである⟩ 69 00:03:48,295 --> 00:03:51,732 {\an8}⟨作創社の宣伝部からは いっそ それを売りに→ 70 00:03:51,799 --> 00:03:54,735 {\an8}遺稿を出版しようという 声まで出始めた⟩ 71 00:03:54,802 --> 00:03:56,737 ⟨しかし 小中社長は→ 72 00:03:56,804 --> 00:04:00,240 須永昼兵衛が自殺したとは 考えにくいという⟩ 73 00:04:00,307 --> 00:04:04,678 ⟨そこで今日子さんに 白羽の矢が立った⟩ 74 00:04:04,745 --> 00:04:07,181 (重信) 今日子さんに 依頼してもらいたい。 75 00:04:07,247 --> 00:04:09,183 早急に 内密に。 76 00:04:09,249 --> 00:04:11,185 (厄介) 直接 依頼すれば いいじゃないですか。 77 00:04:11,251 --> 00:04:14,688 夢にまで見た今日子さんに 再び会ってしまったら→ 78 00:04:14,755 --> 00:04:18,192 彼女の美しさに どうにか なってしまいそうなんだよ。 79 00:04:18,258 --> 00:04:20,194 (厄介) いつの間に そこまで…。 80 00:04:20,260 --> 00:04:23,197 ⟨というわけで 僕が今日子さんに→ 81 00:04:23,263 --> 00:04:25,699 {\an8}依頼を伝えることになった⟩ 82 00:04:25,766 --> 00:04:28,202 小中社長いわく もし自殺であれば→ 83 00:04:28,269 --> 00:04:31,705 この中に 何らかのヒントが 隠されているはずだと。 84 00:04:31,772 --> 00:04:33,707 作家人生最後の作品に→ 85 00:04:33,774 --> 00:04:36,210 あの須永昼兵衛が 何もしないわけはない。 86 00:04:36,276 --> 00:04:38,712 それを確認しないことには→ 87 00:04:38,779 --> 00:04:41,215 自殺として売り出すことは はばかられる→ 88 00:04:41,281 --> 00:04:43,717 …という お気持ちのようです。 89 00:04:43,784 --> 00:04:48,222 (今日子) 裏を返せば 自殺ではないという 確証がほしい。 90 00:04:48,288 --> 00:04:50,724 あるものを証明するなら まだしも→ 91 00:04:50,791 --> 00:04:53,727 ないものを証明するのは 難儀な話です。 92 00:04:53,794 --> 00:04:57,731 ですが 須永先生が自殺をするとは 考えにくい→ 93 00:04:57,798 --> 00:05:00,234 …という意見には賛成です。 94 00:05:00,300 --> 00:05:04,672 須永先生の作品には 自殺をする人物が出て来ない。 95 00:05:04,738 --> 00:05:07,675 (厄介) 1人も? (今日子) 例え話ですら出て来ません。 96 00:05:07,741 --> 00:05:12,179 まるで 自殺という言葉そのものを 避けているかのように。 97 00:05:12,246 --> 00:05:14,181 (厄介) でも それは…。 98 00:05:14,248 --> 00:05:18,185 (今日子) ええ 私の記憶の限りでは という話です。 99 00:05:18,252 --> 00:05:20,187 記憶を一日で 失うようになってから→ 100 00:05:20,254 --> 00:05:22,189 出版された本については→ 101 00:05:22,256 --> 00:05:24,692 読んだとしても 忘れてしまってますから。 102 00:05:24,758 --> 00:05:27,695 つまり この調査を遂行するには→ 103 00:05:27,761 --> 00:05:31,198 この1冊を読んだだけでは 足りないということです。 104 00:05:31,265 --> 00:05:34,768 須永先生の全著作の手配を。 105 00:05:36,770 --> 00:05:40,207 {\an8}(厄介) ⟨こうして ひと晩明けた今日⟩ 106 00:05:40,274 --> 00:05:41,775 おっ! 107 00:05:44,278 --> 00:05:46,714 あっ… 厄介です。 108 00:05:46,780 --> 00:05:49,216 (今日子) あっ 厄介さん! (厄介) はい。 109 00:05:49,283 --> 00:05:51,719 (今日子) 見つかりませんでしたか? (厄介) はい。 110 00:05:51,785 --> 00:05:54,221 あの… 依頼の内容は? 111 00:05:54,288 --> 00:05:57,224 (今日子) 今朝 起きてから 左の太ももに 残してあったメモを読んだので→ 112 00:05:57,291 --> 00:05:59,226 大体のことは。 113 00:05:59,293 --> 00:06:02,162 見ますか? (厄介) あっ いえ それは…。 114 00:06:02,229 --> 00:06:03,731 (今日子) どうぞ 中へ。 115 00:06:05,733 --> 00:06:07,234 どうぞ? 116 00:06:08,235 --> 00:06:10,237 (厄介) はい。 117 00:06:10,237 --> 00:06:31,759 ♪~ 118 00:06:48,776 --> 00:06:50,277 (今日子) よいしょ。 119 00:06:51,278 --> 00:06:54,214 (厄介) 須永先生が 45年間で書き上げた作品は→ 120 00:06:54,281 --> 00:06:56,717 書籍にして99冊です。 121 00:06:56,784 --> 00:06:59,219 (今日子) 壮観ですね! 122 00:06:59,286 --> 00:07:01,655 (厄介) ホントに 全部読むんですか? 123 00:07:01,722 --> 00:07:04,658 (今日子) もちろんです 目的は 自殺に関する表現が→ 124 00:07:04,725 --> 00:07:07,728 本当にないのかを 確認するだけではありません。 125 00:07:09,229 --> 00:07:11,665 100冊目となる この最後の原稿を→ 126 00:07:11,732 --> 00:07:14,168 読み解くヒントを得ることが 主眼です。 127 00:07:14,234 --> 00:07:16,170 読んだ記憶のある作品も含めて→ 128 00:07:16,236 --> 00:07:18,172 年代順に イチから読んで行くことで→ 129 00:07:18,238 --> 00:07:22,242 須永先生の心の変遷を あらためて 理解する必要があります。 130 00:07:24,244 --> 00:07:28,682 (厄介) ⟨99冊 普通の人なら 何日かに分けて読めばいい⟩ 131 00:07:28,749 --> 00:07:30,684 ⟨でも今日子さんの場合→ 132 00:07:30,751 --> 00:07:32,686 一度眠ると 忘れてしまう⟩ 133 00:07:32,753 --> 00:07:34,188 ⟨本来→ 134 00:07:34,254 --> 00:07:37,191 一日で解決できる依頼しか 引き受けない探偵なのだ⟩ 135 00:07:37,257 --> 00:07:39,693 ⟨だが 須永昼兵衛に 関わる依頼ともなれば→ 136 00:07:39,760 --> 00:07:41,695 話は別だ⟩ 137 00:07:41,762 --> 00:07:45,199 (今日子) 徹夜で読んで 読んで読んで読み尽くします! 138 00:07:45,265 --> 00:07:49,269 昨日の私が 推薦文を残していました。 139 00:07:51,271 --> 00:07:53,774 一筆 お願いします。 140 00:07:54,775 --> 00:07:56,210 (厄介) はい。 141 00:07:56,276 --> 00:08:00,280 ⟨昨日 僕は 今日子さんにスカウトされた⟩ 142 00:08:04,218 --> 00:08:09,156 (今日子) こんな形で 須永先生の遺稿を 読むことになるなんて。 143 00:08:09,223 --> 00:08:13,160 (厄介) はい… 約束を楽しみにしてたのに…。 144 00:08:13,227 --> 00:08:15,162 (今日子) 約束? 145 00:08:15,229 --> 00:08:16,663 (厄介) あっ…。 146 00:08:16,730 --> 00:08:19,666 (今日子) もしかして 私と? 147 00:08:19,733 --> 00:08:23,237 あっ… おっしゃってください 明日には忘れます。 148 00:08:24,238 --> 00:08:27,174 (厄介) その本が出版されたら 僕が買って→ 149 00:08:27,241 --> 00:08:30,677 サンドグラスの書棚に 置いておくって約束したんです。 150 00:08:30,744 --> 00:08:33,680 今日子さんが そうしてほしいって。 151 00:08:33,747 --> 00:08:37,184 (今日子) 私が そんなことを あなたに? 152 00:08:37,251 --> 00:08:38,752 (厄介) はい。 153 00:08:41,755 --> 00:08:45,259 (厄介) ⟨その話が 信用につながったようで…⟩ 154 00:08:46,260 --> 00:08:48,195 僕が 寝ないよう見張りを? 155 00:08:48,262 --> 00:08:50,197 (今日子) もちろん 時給もお支払いします。 156 00:08:50,264 --> 00:08:52,199 (厄介) でも 部屋に泊まるというのは さすがに…。 157 00:08:52,266 --> 00:08:54,201 (今日子) 極秘任務ということですから→ 158 00:08:54,268 --> 00:08:57,204 情報の拡散は 防がねばなりません。 159 00:08:57,271 --> 00:09:00,707 ご都合が悪ければ 先ほどの重信さんという方に…。 160 00:09:00,774 --> 00:09:03,710 (厄介) やります! 僕にやらせてください。 161 00:09:06,713 --> 00:09:09,149 {\an8}(厄介) ⟨いつも助けられてばかりの この僕が→ 162 00:09:09,216 --> 00:09:11,151 {\an8}名実ともにワトソンに⟩ 163 00:09:11,218 --> 00:09:13,153 ⟨探偵と依頼人から→ 164 00:09:13,220 --> 00:09:15,656 探偵と助手に昇格だ⟩ 165 00:09:15,722 --> 00:09:17,224 (今日子) では。 166 00:09:19,726 --> 00:09:21,662 {\an8}よろしくお願いします。 167 00:09:21,728 --> 00:09:24,164 {\an8}(厄介) こちらこそ よろしくお願いします。 168 00:09:24,231 --> 00:09:26,233 {\an8}早速ですが。 169 00:09:29,236 --> 00:09:31,672 (厄介) これを。 170 00:09:31,738 --> 00:09:33,173 書籍リストです。 171 00:09:33,240 --> 00:09:35,676 発行年月日とタイトルを まとめてもらいました。 172 00:09:35,742 --> 00:09:38,178 これで 順番通りに読むことができます。 173 00:09:38,245 --> 00:09:40,180 (今日子) 小中…。 174 00:09:40,247 --> 00:09:43,183 確か 須永先生の最初の担当編集者。 175 00:09:43,250 --> 00:09:44,685 (厄介) 今や 社長です。 176 00:09:44,751 --> 00:09:47,688 元編集者だからこそ この件にも熱心なんだろうと→ 177 00:09:47,754 --> 00:09:50,190 昨日の今日子さんが。 (今日子) なるほど。 178 00:09:50,257 --> 00:09:52,192 社長さんとは お話が合いそうです。 179 00:09:52,259 --> 00:09:56,697 実は今朝 厄介さんが来る前に 最後の原稿を読んだんですけど→ 180 00:09:56,763 --> 00:10:00,200 はっきり言って 凡作でした。 (厄介) 凡作? 181 00:10:00,267 --> 00:10:02,703 (今日子) 鬼気迫るものもなく→ 182 00:10:02,769 --> 00:10:05,706 良くも悪くも いつも通りの須永昼兵衛。 183 00:10:05,772 --> 00:10:08,775 (厄介) 厳しいですね。 (今日子) ファンだからこそです。 184 00:10:11,278 --> 00:10:14,214 これを最後の作品にしようとした とは思えません。 185 00:10:14,281 --> 00:10:17,718 うっかり最後になってしまった というほうが ぴったり来ます。 186 00:10:17,784 --> 00:10:20,721 (厄介) 社長さんが自殺を認めないのも 無理はない。 187 00:10:20,787 --> 00:10:25,225 (今日子) はい ですが 現時点では ファンの心証にすぎません。 188 00:10:25,292 --> 00:10:27,794 全部読んでみないことには。 189 00:10:29,296 --> 00:10:31,231 {\an8}1冊目。 190 00:10:31,298 --> 00:10:34,234 {\an8}デビュー作の“水底の殺人”から 始めます。 191 00:10:34,301 --> 00:10:36,303 (厄介) はい。 192 00:10:36,303 --> 00:10:41,808 ♪~ 193 00:10:42,809 --> 00:10:52,819 ♪~ 194 00:10:52,819 --> 00:10:55,756 {\an8}(厄介)《30分で長編1冊とは 驚異のペース》 195 00:10:55,822 --> 00:10:58,325 {\an8}《読むのが速いと 言うだけのことはある》 196 00:10:59,826 --> 00:11:03,196 《99冊×30分=2970分→ 197 00:11:03,263 --> 00:11:06,199 =49.5時間》 198 00:11:06,266 --> 00:11:08,201 {\an8}《2日ちょっとで読み終わる》 199 00:11:08,268 --> 00:11:11,204 {\an8}《2日の徹夜くらい余裕だ》 200 00:11:11,271 --> 00:11:14,207 《今日子さんを ただ見守るだけの この仕事》 201 00:11:14,274 --> 00:11:17,277 《退屈で 眠くなるかと思ったが…》 202 00:11:18,779 --> 00:11:21,715 《全くならない! 楽しくて仕方ない!》 203 00:11:21,782 --> 00:11:25,218 《今日子さんを見ているだけで 時給が発生する》 204 00:11:25,285 --> 00:11:28,722 《この世に こんな幸せな仕事があったとは》 205 00:11:28,789 --> 00:11:30,223 《待てよ》 206 00:11:30,290 --> 00:11:32,726 《もし僕と今日子さんが結婚し→ 207 00:11:32,793 --> 00:11:36,296 妻と夫という関係に なったとしたら…》 208 00:11:38,799 --> 00:11:41,802 (今日子)〔おかえりなさい〕 (厄介)〔ただいま〕 209 00:11:43,303 --> 00:11:45,739 《今日子さんを毎日見られる》 210 00:11:45,806 --> 00:11:48,742 《リラックスした姿や→ 211 00:11:48,809 --> 00:11:50,811 寝顔でさえも》 212 00:11:52,813 --> 00:11:55,248 《いや 待て待て 今日子さんは眠るたびに→ 213 00:11:55,315 --> 00:11:57,818 僕のことを 忘れてしまうわけだから…》 214 00:12:01,755 --> 00:12:04,191 (今日子)〔誰?〕 (厄介)〔僕は君の夫で…〕 215 00:12:04,257 --> 00:12:08,195 (今日子)〔不審者が私の部屋に!〕 (厄介)〔毎朝毎朝 通報しないでくれ!〕 216 00:12:08,261 --> 00:12:10,697 (今日子)〔助けてください!〕 217 00:12:10,764 --> 00:12:12,199 (厄介)《ダメだ》 218 00:12:12,265 --> 00:12:14,701 《なまじ不運な人生を 送って来たせいで→ 219 00:12:14,768 --> 00:12:17,704 妄想ですら 幸せな想像ができない》 220 00:12:17,771 --> 00:12:20,207 (今日子) 厄介さんは ご結婚は? 221 00:12:20,273 --> 00:12:22,275 (厄介) 結婚の妄想なんてしてません! 222 00:12:23,777 --> 00:12:25,712 (今日子) してたんですか? 223 00:12:25,779 --> 00:12:29,216 (厄介) あっ いや… 結婚は してません。 224 00:12:29,282 --> 00:12:31,218 (今日子) するご予定は? (厄介) 全く。 225 00:12:31,284 --> 00:12:33,220 (今日子) 彼女は? (厄介) 残念ながら。 226 00:12:33,286 --> 00:12:36,723 (今日子) よかった。 (厄介) えっ? 227 00:12:36,790 --> 00:12:40,727 (今日子) 彼女がいたら この状況は 申し訳ないなぁと。 228 00:12:40,794 --> 00:12:42,229 (厄介) あぁ…。 229 00:12:42,295 --> 00:12:44,231 (今日子) 結婚願望は? 230 00:12:44,297 --> 00:12:47,734 (厄介) なくは ないですが…。 231 00:12:47,801 --> 00:12:50,237 男と女の関係性のゴールが→ 232 00:12:50,303 --> 00:12:53,240 必ずしも結婚である必要は ないとも思います。 233 00:12:53,306 --> 00:12:54,741 (今日子) 確かに。 234 00:12:54,808 --> 00:12:58,311 (厄介) お互いにとって ベストな選択ができれば それで。 235 00:12:59,813 --> 00:13:02,249 (今日子) 何か想定している相手が いるような…。 236 00:13:03,750 --> 00:13:07,187 (厄介) 気にしないでください サ~っと流してください。 237 00:13:07,254 --> 00:13:09,256 流して。 238 00:13:12,259 --> 00:13:15,695 (今日子) 須永先生も 私が記憶している限り お独りでした。 239 00:13:15,762 --> 00:13:18,198 (厄介) あぁ 生涯 独身だったみたいです。 240 00:13:18,265 --> 00:13:21,701 遺産は 遠い親戚が受け取ると。 241 00:13:21,768 --> 00:13:24,704 (今日子) その方達は 須永先生の死について何と? 242 00:13:24,771 --> 00:13:27,207 (厄介) 自殺として売り出すことで 本が売れるなら→ 243 00:13:27,274 --> 00:13:30,277 そうしてほしいって スタンスのようです。 244 00:13:31,778 --> 00:13:35,215 (今日子) 須永先生を 何だと思ってるんでしょう。 245 00:13:35,282 --> 00:13:38,718 須永先生は 命と向き合って来られた作家です。 246 00:13:38,785 --> 00:13:42,222 推理小説家ですから 作品の中で人は死にますけど→ 247 00:13:42,289 --> 00:13:46,293 決して 死を粗雑には扱わなかった。 248 00:13:49,296 --> 00:13:53,300 (今日子) 須永先生の名誉のためにも 頑張らなくては。 249 00:13:54,801 --> 00:13:57,737 (厄介)《ふと心配になった》 250 00:13:57,804 --> 00:14:00,740 《須永先生への強い思い入れが→ 251 00:14:00,807 --> 00:14:04,244 判断を誤らせることも あるのではないか…》 252 00:14:07,547 --> 00:14:09,983 (也川) 今日 今日子さん見た? 253 00:14:10,050 --> 00:14:12,552 見てないね。 254 00:14:16,556 --> 00:14:18,058 (今日子) いただきます。 255 00:14:22,062 --> 00:14:24,998 (今日子) う~ん! とってもおいしいです! 256 00:14:25,065 --> 00:14:27,000 (厄介) お口に合って よかったです。 (今日子) うん! 257 00:14:27,067 --> 00:14:29,002 これも おいしいです! 258 00:14:29,069 --> 00:14:30,570 (厄介) ぜひ サラダも。 259 00:14:31,571 --> 00:14:34,507 (今日子) ビーフストロガノフって 作れるんですね。 260 00:14:34,574 --> 00:14:37,510 (厄介) 意外と簡単なんです 安い食材で代用利くし。 261 00:14:37,577 --> 00:14:39,012 (今日子) へぇ~。 262 00:14:39,079 --> 00:14:42,515 (厄介)《このシチュエーションは まるで 同棲したてのカップル》 263 00:14:42,582 --> 00:14:44,584 《同棲したことないけど》 264 00:14:47,587 --> 00:14:49,089 (今日子) あら ごめんなさい。 265 00:14:50,590 --> 00:14:54,527 (厄介)《いかん 意識しているのは 明らかに僕のほうだけだ》 266 00:14:54,594 --> 00:14:58,098 《冷静に 助手という任務に 徹しなければ》 267 00:15:04,537 --> 00:15:08,475 {\an8}(厄介) ⟨須永先生は並行して いくつもの シリーズを手掛けていた⟩ 268 00:15:08,541 --> 00:15:10,977 {\an8}⟨作品をシリーズ別に分けると→ 269 00:15:11,044 --> 00:15:13,980 {\an8}ほとんどの作品が 何かしらのシリーズもので→ 270 00:15:14,047 --> 00:15:16,983 {\an8}計22のシリーズが存在する⟩ 271 00:15:17,050 --> 00:15:20,987 {\an8}⟨そして どのシリーズも きちんと完結している⟩ 272 00:15:21,054 --> 00:15:22,989 {\an8}⟨読者が 1人でもいる限り→ 273 00:15:23,056 --> 00:15:25,992 {\an8}何年かかろうとも 作品を完結させる⟩ 274 00:15:26,059 --> 00:15:29,496 ⟨それが須永先生の 矜持だったようだ⟩ 275 00:15:29,562 --> 00:15:31,998 あれ? 276 00:15:32,065 --> 00:15:33,500 (今日子) 何か? 277 00:15:33,566 --> 00:15:37,504 (厄介) この数年 須永先生は新しい シリーズを始めていないんです。 278 00:15:37,570 --> 00:15:41,007 一方で 続いていたシリーズを 全て終わらせている。 279 00:15:41,074 --> 00:15:44,010 {\an8}これって ご自身の 作家人生を→ 280 00:15:44,077 --> 00:15:47,013 締めくくろうとしていたようにも 見えませんか? 281 00:15:47,080 --> 00:15:50,016 (今日子) それは 須永先生の素人の発想です。 282 00:15:50,083 --> 00:15:52,519 (厄介) 須永先生の素人? 283 00:15:52,585 --> 00:15:55,021 (今日子) その現象は 珍しいことではないんです。 284 00:15:55,088 --> 00:15:59,025 過去にも何度か 全シリーズが終わる 空白のタイミングが存在し→ 285 00:15:59,092 --> 00:16:02,962 当時のファンが 「先生は 筆を折る気かもしれない」→ 286 00:16:03,029 --> 00:16:05,965 …と やきもきしたそうです。 (厄介) はあ。 287 00:16:06,032 --> 00:16:08,968 (今日子) そして また 新しいシリーズが始まる。 288 00:16:09,035 --> 00:16:12,472 (厄介) じゃあ “とうもろこしの軸”も 新しいシリーズだったんですか? 289 00:16:12,539 --> 00:16:14,974 (今日子) いえ ノンシリーズでした。 (厄介) ノンシリーズ? 290 00:16:15,041 --> 00:16:18,979 つまり シリーズものではない 1冊で完結している作品。 291 00:16:19,045 --> 00:16:21,481 (今日子) はい ごく稀にあるんです。 292 00:16:21,548 --> 00:16:24,484 “瞳悟空”や“天使が通る人生”→ 293 00:16:24,551 --> 00:16:26,986 “すったもんだの殺人”あたりが そうです。 294 00:16:27,053 --> 00:16:28,988 (厄介) どれもマイナーですね。 295 00:16:29,055 --> 00:16:30,990 (今日子) ノンシリーズは あまり売れませんし→ 296 00:16:31,057 --> 00:16:33,993 ファンの間でも 筆休め的な作品だという認識です。 297 00:16:34,060 --> 00:16:35,995 (厄介) 筆休め? 298 00:16:36,062 --> 00:16:39,499 (今日子) 先生も時には 読者受けや 売り上げを考えない→ 299 00:16:39,566 --> 00:16:42,068 気楽な小説を 書きたくなるんでしょう。 300 00:16:47,073 --> 00:16:51,010 (今日子) ハァ~ 本を連続して読むって 案外 疲れますね。 301 00:16:51,077 --> 00:16:53,013 (厄介) 集中力を高める ヨガのポーズ知ってます。 302 00:16:53,079 --> 00:16:55,515 ジムで掃除のバイトしてたら 覚えちゃって。 303 00:16:55,582 --> 00:16:58,017 (今日子) 教えてください! (厄介) はい。 304 00:16:58,084 --> 00:17:00,520 じゃあ 右足を軸にして→ 305 00:17:00,587 --> 00:17:02,956 左足をふくらはぎに乗っけます。 306 00:17:03,022 --> 00:17:04,958 (今日子) はい。 (厄介) そして 胸に→ 307 00:17:05,025 --> 00:17:07,460 手を合掌させてください。 (今日子) はい。 308 00:17:07,527 --> 00:17:11,965 (厄介) で 鼻で息を吸いながら 手を上に上げて行きます。 309 00:17:12,031 --> 00:17:14,467 ス~。 (今日子) ス~。 310 00:17:14,534 --> 00:17:16,469 はい。 (厄介) これで…。 311 00:17:16,536 --> 00:17:21,040 ⟨思えば この時が 和気あいあいのピークだった⟩ 312 00:17:25,545 --> 00:17:28,982 (厄介) ⟨いや 2日目も楽しかった⟩ 313 00:17:29,048 --> 00:17:32,986 ⟨徹夜ハイとでもいうのか お互いに妙な親近感が生まれ→ 314 00:17:33,052 --> 00:17:37,490 以前から こうして ずっと2人でいたような…⟩ 315 00:17:37,557 --> 00:17:42,061 ⟨しかし 変わらない関係なんて ないのだ⟩ 316 00:17:50,570 --> 00:17:52,071 (厄介) あっ! 317 00:17:53,073 --> 00:17:54,574 すいません。 318 00:17:58,578 --> 00:18:00,580 (今日子) ハァ…。 319 00:18:02,582 --> 00:18:04,017 (厄介) すいません。 320 00:18:04,083 --> 00:18:07,520 《こらえよう 今日子さんは集中力を使い→ 321 00:18:07,587 --> 00:18:10,523 頭脳を フル回転させ続けているわけで→ 322 00:18:10,590 --> 00:18:13,092 僕より疲れているのだから》 323 00:18:14,594 --> 00:18:17,530 《この3日で読書スピードは どんどん落ち込み→ 324 00:18:17,597 --> 00:18:20,533 今や1冊読むのに 2時間かかっている》 325 00:18:20,600 --> 00:18:23,036 《今後 3時間に スローダウンしたとして→ 326 00:18:23,102 --> 00:18:25,538 残り あと35冊》 327 00:18:25,605 --> 00:18:31,544 《35冊×3時間=105時間=…》 328 00:18:31,611 --> 00:18:34,113 {\an8}《あと4日!?》 329 00:18:37,116 --> 00:18:39,118 (厄介) それは無理だろ。 330 00:18:40,620 --> 00:18:42,622 (今日子) 何ですか? 331 00:18:43,623 --> 00:18:46,559 (厄介) 独り言で。 (今日子) 気が散ります。 332 00:18:46,626 --> 00:18:48,628 (厄介) 申し訳ありません。 333 00:18:52,632 --> 00:18:56,069 (厄介)《思えば無謀な挑戦だったのだ》 334 00:18:56,135 --> 00:18:59,572 《「とても無鉄砲」だったのだ》 335 00:18:59,639 --> 00:19:03,009 《今日子さんなら もしかしてと 期待した僕が甘かった》 336 00:19:03,076 --> 00:19:07,514 《1人の人間が 寝ずに 99冊もの本を読むなんて→ 337 00:19:07,580 --> 00:19:10,016 「とりとめのない多重事故」 だったのだ》 338 00:19:10,083 --> 00:19:12,519 《できることなら いつまでも→ 339 00:19:12,585 --> 00:19:16,022 「嬉し恥ずかし文化祭」で いたかった》 340 00:19:16,089 --> 00:19:18,091 ハァ…。 341 00:19:19,592 --> 00:19:22,028 おわ~!! 今日子さん ダメです! 342 00:19:22,095 --> 00:19:25,031 大丈夫ですか!? 343 00:19:25,098 --> 00:19:29,536 (今日子) うるさっ! 大声出さないでください。 344 00:19:29,602 --> 00:19:34,107 (厄介)《この12時間 今日子さんの 機嫌の悪さはピークに達している》 345 00:19:35,108 --> 00:19:37,610 (今日子) 言われなくても頑張ってます。 346 00:19:40,613 --> 00:19:45,118 (今日子) ハァ~ 徹夜続きで そんな重いもの食べられません。 347 00:19:47,620 --> 00:19:50,123 厄介さんって 気が利かないんですね。 348 00:19:51,124 --> 00:19:54,627 {\an8}あ~ 気が散る 気配を消しててください。 349 00:19:56,629 --> 00:19:58,565 (厄介)《何だ これは…》 350 00:19:58,631 --> 00:20:02,068 《結婚もしていないのに 倦怠期の夫婦か》 351 00:20:03,570 --> 00:20:05,004 (今日子) 水。 352 00:20:05,071 --> 00:20:07,006 (厄介)《倦怠期の夫婦どころじゃ ない》 353 00:20:07,073 --> 00:20:09,008 《これは 奴隷だ》 354 00:20:09,075 --> 00:20:11,578 《主人と奴隷の関係だ》 355 00:20:16,583 --> 00:20:19,519 (厄介)《分かってる 全ては眠気と疲労のせいだ》 356 00:20:19,586 --> 00:20:24,023 《この状況のせいであって 今日子さんのせいでは ない》 357 00:20:24,090 --> 00:20:27,527 《問題は 僕が今日子さんを→ 358 00:20:27,594 --> 00:20:31,030 嫌いになってしまいそうな ことだ》 359 00:20:31,097 --> 00:20:34,534 《今日子さんを 憎々しく思う日が来るなんて…》 360 00:20:34,601 --> 00:20:37,036 《睡眠不足は こうも人から正気を奪うのか》 361 00:20:37,103 --> 00:20:40,039 《いや 僕という人間が→ 362 00:20:40,106 --> 00:20:43,543 小さい男だから悪いのか》 363 00:20:43,610 --> 00:20:46,546 《そもそも こんな仕事 引き受けなければよかった》 364 00:20:46,613 --> 00:20:49,549 《本はといえば 重信の野郎が こんな依頼を持ち掛けて…》 365 00:20:49,616 --> 00:20:51,551 《いや 本はといえば 須永先生が…》 366 00:20:51,618 --> 00:20:55,121 なぜ 死んだ 須永昼兵衛!! 367 00:20:59,626 --> 00:21:01,561 (厄介) すいません…。 368 00:21:03,062 --> 00:21:05,498 静かにします。 369 00:21:05,565 --> 00:21:07,066 (今日子) チッ! 370 00:21:09,569 --> 00:21:13,006 (厄介)《いかん 僕も だいぶ壊れて来ている》 371 00:21:13,072 --> 00:21:15,508 《思い出そう かわいかった今日子さんを→ 372 00:21:15,575 --> 00:21:17,510 愛すべき今日子さんを》 373 00:21:17,577 --> 00:21:19,512 《かわいかった…》 374 00:21:19,579 --> 00:21:24,017 《あの時も この時も あの時…》 375 00:21:24,083 --> 00:21:26,019 (今日子)〔そういうのパスです〕 376 00:21:26,085 --> 00:21:27,520 〔パ~ス~!〕 377 00:21:27,587 --> 00:21:31,591 (厄介)《余計なことまで 思い出してしまった》 378 00:21:33,092 --> 00:21:34,594 ハァ。 379 00:21:35,595 --> 00:21:39,532 《今 この時のことも 今日子さんは忘れてしまう》 380 00:21:39,599 --> 00:21:44,537 《僕は 忘れられないのに 嫌いになりたくないのに》 381 00:21:44,604 --> 00:21:48,041 《忘れてしまえる今日子さんは 卑怯だ》 382 00:21:48,107 --> 00:21:52,545 {\an8}今日子さん 部屋で孤独死してたら どうしよう! 383 00:21:52,612 --> 00:21:55,548 {\an8}(法郎) えっ? >> だって 今日で もう…。 384 00:21:55,615 --> 00:21:57,050 4日。 385 00:21:57,116 --> 00:22:00,053 4日も下りて来ないんだよ ねぇ 様子見に行こうよ。 386 00:22:00,119 --> 00:22:02,488 うん。 (法郎) あぁ~ いやいやいや。 387 00:22:02,555 --> 00:22:03,990 いやいや いや。 388 00:22:04,057 --> 00:22:05,992 今日子さんだって大人なんだし→ 389 00:22:06,059 --> 00:22:08,995 ただ上に住んでるからってだけで あんまり干渉したら→ 390 00:22:09,062 --> 00:22:12,565 野暮なんじゃないかな。 >> そうだけど…。 391 00:22:14,067 --> 00:22:16,002 あっ 法郎さんってさ→ 392 00:22:16,069 --> 00:22:19,505 今日子さんの部屋 入ったことあるの? 393 00:22:19,572 --> 00:22:21,507 (法郎) ん? 394 00:22:21,574 --> 00:22:24,077 いや? ないよ。 395 00:22:25,578 --> 00:22:28,081 (厄介) ⟨そうして 再び日は暮れ…⟩ 396 00:22:29,582 --> 00:22:32,518 ⟨この頃には もう 今日子さんに頼まれるがまま→ 397 00:22:32,585 --> 00:22:36,589 眠らないための あらゆる方策を 尽くすしかなく…⟩ 398 00:22:41,594 --> 00:22:46,032 (今日子) はぁ~! まずい。 399 00:22:46,099 --> 00:22:47,533 (厄介) ごめんなさい。 400 00:22:47,600 --> 00:22:51,537 こんなもの食べさせたいわけじゃ。 (今日子) はい。 401 00:22:51,604 --> 00:22:53,539 目が覚めます。 402 00:22:53,606 --> 00:22:55,541 (厄介)《これじゃ拷問だ》 403 00:22:55,608 --> 00:22:58,044 《罪人と拷問の執行人だ》 404 00:22:58,111 --> 00:23:01,547 《なぜ好きな人をここまで 苦しめなくてはならないのか》 405 00:23:07,053 --> 00:23:08,554 (厄介) 今日子さん! 406 00:23:12,058 --> 00:23:15,495 (今日子) 限界です… つねってください。 407 00:23:15,561 --> 00:23:19,499 ほっぺた つねってください 強めに。 408 00:23:19,565 --> 00:23:23,002 (厄介) いや でも…。 (今日子) 早く。 409 00:23:23,069 --> 00:23:26,506 この眠気を乗り切らにゃいと→ 410 00:23:26,572 --> 00:23:30,009 ここまでの仕事が無駄になります。 411 00:23:30,076 --> 00:23:34,013 協力してくれている厄介さんに→ 412 00:23:34,080 --> 00:23:36,516 傲慢無礼にゃ ひどい態度を取っている→ 413 00:23:36,582 --> 00:23:39,585 自分への罰でもあるんです。 414 00:23:46,092 --> 00:23:48,027 (今日子) 誓約書に 何て書いたか→ 415 00:23:48,094 --> 00:23:50,096 忘れたんですか? 416 00:23:50,096 --> 00:24:01,040 ♪~ 417 00:24:01,040 --> 00:24:02,542 (厄介) 失礼します。 418 00:24:09,048 --> 00:24:11,050 (今日子) 両手で。 419 00:24:12,552 --> 00:24:14,053 (厄介) はい。 420 00:24:17,056 --> 00:24:19,559 (今日子) はい そのままで。 421 00:24:21,060 --> 00:24:23,996 (厄介)《今日子さんは 以前言っていた》 422 00:24:24,063 --> 00:24:26,999 (今日子)〔知りたいんです 私は〕 423 00:24:27,066 --> 00:24:30,503 〔掟上今日子が なぜ探偵なのか〕 424 00:24:30,570 --> 00:24:34,507 (厄介)《その真意が何なのか いまだに分からないけれど→ 425 00:24:34,574 --> 00:24:37,510 謎を解くことが 今日子さんの人生で→ 426 00:24:37,577 --> 00:24:42,582 望みであるのなら 僕は それに付き合うしかない》 427 00:24:44,584 --> 00:24:46,519 (今日子) いい感じです。 428 00:24:46,586 --> 00:24:48,521 (厄介) 乗り越えましょう。 (今日子) はい。 429 00:24:48,588 --> 00:24:50,523 (厄介) ⟨読書開始から90時間⟩ 430 00:24:50,590 --> 00:24:53,526 ⟨僕と今日子さんは 運動部の チームメートさながらの→ 431 00:24:53,593 --> 00:24:56,529 スポ根的関係へと移行していた⟩ 432 00:24:56,596 --> 00:25:00,032 ⟨しかし 肝心の推理は置き去りで→ 433 00:25:00,099 --> 00:25:02,468 とにかく99冊を読み切る→ 434 00:25:02,535 --> 00:25:07,039 …という見当違いの目標へと 向かっていたようにも思う⟩ 435 00:25:12,545 --> 00:25:13,980 (厄介) うっ! 436 00:25:14,046 --> 00:25:16,048 (今日子) くっ…。 437 00:25:19,051 --> 00:25:21,487 (厄介) もう やめよう。 438 00:25:21,554 --> 00:25:23,990 終わりにしよう。 439 00:25:24,056 --> 00:25:26,492 さっきから4時間→ 440 00:25:26,559 --> 00:25:28,995 ずっと同じ本 読んでます。 441 00:25:29,061 --> 00:25:32,999 “ことなかれな俺”から 一歩も進んでません。 442 00:25:33,065 --> 00:25:35,001 {\an8}まだ21冊もあるんですよ。 443 00:25:35,067 --> 00:25:38,004 {\an8}読むだけじゃなく 推理もしなきゃいけないんです。 444 00:25:38,070 --> 00:25:41,507 一度受けた依頼を 解決したいのは分かるけど。 445 00:25:41,574 --> 00:25:43,009 (今日子) 今 何日ですか? 446 00:25:43,075 --> 00:25:45,011 (厄介) お昼です。 447 00:25:45,077 --> 00:25:47,079 ん? 448 00:25:48,581 --> 00:25:50,516 (今日子) 5日目。 449 00:25:50,583 --> 00:25:56,088 私としたことが… 5日も お風呂に入ってない…。 450 00:25:59,091 --> 00:26:02,461 (今日子) シャワー 浴びて来ます…。 451 00:26:02,528 --> 00:26:07,466 お湯浴びて お水浴びれば… 目も覚めると思います…。 452 00:26:07,533 --> 00:26:11,971 (厄介) まだ続けるんですか? (今日子) もちろん…。 453 00:26:12,038 --> 00:26:16,976 朝ごはん… 昼? 454 00:26:17,043 --> 00:26:20,046 よろしくお願いしまします…。 455 00:26:22,048 --> 00:26:23,549 あっ。 456 00:26:25,051 --> 00:26:27,553 寝室 入っちゃダメですよ。 457 00:26:27,553 --> 00:26:38,564 ♪~ 458 00:26:38,564 --> 00:26:40,499 (厄介) 食事…。 459 00:26:40,566 --> 00:26:42,501 (シャワーの音) 460 00:26:42,568 --> 00:26:45,504 (厄介) 食材 もうないよ…。 (シャワーの音) 461 00:26:45,571 --> 00:26:51,010 (シャワーの音) 462 00:26:51,077 --> 00:26:54,013 (厄介) え~…。 463 00:26:54,080 --> 00:26:58,084 今日子さんが シャワーから出たら…。 464 00:27:00,586 --> 00:27:04,023 何か買って…。 465 00:27:14,533 --> 00:27:17,970 (シャワーの音) 466 00:27:18,037 --> 00:27:19,538 (厄介) あぁ! 467 00:27:21,040 --> 00:27:24,477 今日子さん! 今日子さん 聞こえますか!? 468 00:27:24,543 --> 00:27:25,978 (シャワーの音) 469 00:27:26,045 --> 00:27:28,047 (厄介) すいません 開けます! (シャワーの音) 470 00:27:36,555 --> 00:27:39,058 (厄介) 今日子さん! 今日子さん! 471 00:27:51,037 --> 00:27:54,473 {\an8}(厄介)《冷水を浴びたまま3時間 死んでしまう》 472 00:27:54,540 --> 00:27:57,043 {\an8}《この人は死んでしまう》 473 00:28:03,482 --> 00:28:05,918 (厄介) ⟨冷え切った体を 急激に温めると→ 474 00:28:05,985 --> 00:28:08,421 冷たい血液が心臓に戻り→ 475 00:28:08,487 --> 00:28:10,489 ショック状態を 起こすことがある⟩ 476 00:28:12,992 --> 00:28:14,927 ⟨スキー場で バイトした時に習った→ 477 00:28:14,994 --> 00:28:17,930 凍傷のケアと同じだ⟩ 478 00:28:17,997 --> 00:28:21,000 ⟨少しずつ温めないといけない⟩ 479 00:28:29,008 --> 00:28:33,012 (厄介) ⟨僕はレスキューさながら 患者を温め続けた⟩ 480 00:28:47,526 --> 00:28:49,528 (厄介) ハァ…。 481 00:28:49,528 --> 00:29:09,482 ♪~ 482 00:29:09,482 --> 00:29:12,918 (厄介) ⟨この時の僕は 多分かなりイカれていた⟩ 483 00:29:12,985 --> 00:29:14,920 ⟨疲れと寝不足と→ 484 00:29:14,987 --> 00:29:18,491 今日子さんが無事だったという そのことに⟩ 485 00:29:22,495 --> 00:29:26,932 (厄介) ⟨だから あんな大胆なことが できたんだと思う⟩ 486 00:29:26,999 --> 00:29:30,503 ⟨僕は今日子さんを裏切る⟩ 487 00:29:32,505 --> 00:29:36,008 ⟨こんな依頼 初めから なかったのだ⟩ 488 00:29:39,011 --> 00:29:40,946 (厄介) ⟨記憶を奪わなければ→ 489 00:29:41,013 --> 00:29:44,450 今日子さんは またイチから 同じことを始めてしまう⟩ 490 00:29:44,517 --> 00:29:47,520 ⟨今度こそ 死んでしまう⟩ 491 00:29:54,026 --> 00:29:57,029 (厄介) ⟨初めて記された 僕への信頼⟩ 492 00:30:00,966 --> 00:30:03,402 (厄介) ⟨全てを なかったことに⟩ 493 00:30:03,469 --> 00:30:06,472 ⟨跡形もなく 徹底的に⟩ 494 00:30:07,473 --> 00:30:10,910 ⟨忘れていい 全て忘れればいい⟩ 495 00:30:10,976 --> 00:30:15,481 ⟨忘れてしまえば また新しい一日を始められる⟩ 496 00:30:15,481 --> 00:30:25,991 ♪~ 497 00:30:25,991 --> 00:30:27,927 (厄介) ⟨犯罪だけは犯すまいと→ 498 00:30:27,993 --> 00:30:31,430 清く正しく生きて来た僕だが→ 499 00:30:31,497 --> 00:30:35,935 いざとなると さまざまな仕事経験が生かされ→ 500 00:30:36,001 --> 00:30:40,506 証拠隠滅のための あらゆる知識を 持っていたことに気付く⟩ 501 00:30:42,007 --> 00:30:45,945 ⟨僕は悪党だ 立派な犯罪人だ⟩ 502 00:30:46,011 --> 00:30:47,947 ⟨僕と今日子さんは→ 503 00:30:48,013 --> 00:30:50,516 加害者と被害者に なってしまった⟩ 504 00:30:52,518 --> 00:30:54,453 ⟨裏切り者の僕は→ 505 00:30:54,520 --> 00:30:59,525 もう二度と 今日子さんに 助けを求めることはできない⟩ 506 00:31:01,961 --> 00:31:03,896 ⟨それでいい⟩ 507 00:31:03,963 --> 00:31:05,898 ⟨探偵は他に いくらでもいる⟩ 508 00:31:05,965 --> 00:31:08,400 ⟨でも 今日子さんは→ 509 00:31:08,467 --> 00:31:10,469 1人しかいない⟩ 510 00:31:19,478 --> 00:31:24,416 (厄介) ⟨その時 僕は何げなく→ 511 00:31:24,483 --> 00:31:28,420 見てはいけないものを→ 512 00:31:28,487 --> 00:31:30,489 見てしまった⟩ 513 00:31:33,492 --> 00:31:34,994 どうした? 514 00:31:35,995 --> 00:31:38,430 (厄介) 昨夜 いろいろ…。 515 00:31:38,497 --> 00:31:42,501 あっ いや この6日… あり過ぎまして…。 516 00:31:45,004 --> 00:31:46,438 ハァ。 517 00:31:46,505 --> 00:31:49,441 で… 調査のほうは? 518 00:31:49,508 --> 00:31:51,944 (厄介) 途中で今日子さんが寝ちゃって…。 519 00:31:52,011 --> 00:31:54,947 全部 忘れちまったってことか。 520 00:31:55,014 --> 00:31:56,949 (厄介) 僕のせいです。 521 00:31:57,016 --> 00:31:59,518 手掛かりは何もなしか。 522 00:32:01,954 --> 00:32:06,392 (厄介)“とうもろこしの軸”の… 発売予定日。 523 00:32:06,458 --> 00:32:07,893 はぁ? 524 00:32:07,960 --> 00:32:10,896 (厄介) 今日子さんの二の腕に 書いてあったんです。 525 00:32:10,963 --> 00:32:15,401 (厄介の声) 多分… 眠ってしまう 直前に書いたものだと。 526 00:32:15,467 --> 00:32:18,404 それ… いつ どうやって見たの? 527 00:32:18,470 --> 00:32:20,406 (厄介) ハァ…。 528 00:32:20,472 --> 00:32:22,908 いいじゃないですか そんなこと。 529 00:32:22,975 --> 00:32:25,911 確か発売予定は 来年の2月って 言ってましたよね? 530 00:32:25,978 --> 00:32:28,414 ああ それが何だっつうの? 531 00:32:28,480 --> 00:32:30,416 (厄介) 分かりません。 532 00:32:30,482 --> 00:32:35,421 仕方ない 須永先生の死は 自殺ということで。 533 00:32:35,487 --> 00:32:38,424 (今日子) 須永先生は自殺ではありません。 534 00:32:38,490 --> 00:32:39,992 今日子さん! 535 00:32:40,993 --> 00:32:44,430 (今日子) 重信さんと厄介さん。 536 00:32:44,496 --> 00:32:46,932 当たり。 (厄介) どうして? 537 00:32:46,999 --> 00:32:50,002 (今日子) 早速ですが 証明を開始します。 538 00:32:51,003 --> 00:32:54,440 須永先生は自殺ではなかった という証明です。 539 00:32:54,506 --> 00:32:56,442 (厄介) 証明できるんですか? 540 00:32:56,508 --> 00:32:59,011 (今日子) はい 僭越ながら。 541 00:33:00,412 --> 00:33:04,350 (今日子) 今朝 目を覚ました私は昨日までの ことを すっかり忘れていました。 542 00:33:05,417 --> 00:33:07,353 でも…。 543 00:33:07,419 --> 00:33:09,355 部屋で このリストを拾った。 544 00:33:09,421 --> 00:33:11,924 (厄介) えっ? (今日子) 抜かりましたね。 545 00:33:13,926 --> 00:33:17,363 このリストは何なのか? 疑問に思った私は→ 546 00:33:17,429 --> 00:33:20,366 ここに書かれていた 小中さんの名前に注目。 547 00:33:20,432 --> 00:33:23,369 朝一番で作創社に 問い合わせたところ→ 548 00:33:23,435 --> 00:33:26,372 小中社長に直接 お会いすることができ→ 549 00:33:26,438 --> 00:33:29,375 須永先生の話に花を咲かせつつ→ 550 00:33:29,441 --> 00:33:31,877 今回の依頼の件を あらためて教えてもらい→ 551 00:33:31,944 --> 00:33:33,946 状況を把握しました。 552 00:33:34,947 --> 00:33:38,384 昨日までの私は 須永先生の全著作を読むという→ 553 00:33:38,450 --> 00:33:40,386 無謀な行動に出たようですが→ 554 00:33:40,452 --> 00:33:42,888 そんな必要は なかったんです。 555 00:33:42,955 --> 00:33:46,392 このリストだけ見れば 事件は ほぼ解決できた。 556 00:33:46,458 --> 00:33:47,893 (厄介) えっ? 557 00:33:47,960 --> 00:33:50,396 (今日子) 昨日までの私は 仕事に かこつけて→ 558 00:33:50,462 --> 00:33:53,399 全著作を読みたいという 気持ちも あったんでしょう。 559 00:33:53,465 --> 00:33:55,401 ファン心理とは恐ろしいものです。 560 00:33:55,467 --> 00:33:57,403 (厄介) リストだけで どうやって? 561 00:33:57,469 --> 00:34:00,906 (今日子) 見て1秒で気付きました。 (厄介) 1秒!? 562 00:34:00,973 --> 00:34:03,409 (今日子) 重要なのは出版年月日。 563 00:34:03,475 --> 00:34:06,412 ある作品群だけ 出版月が同じなんです。 564 00:34:06,478 --> 00:34:08,914 (厄介) どのシリーズですか? (重信) ちょ… 見せてみろ。 565 00:34:08,981 --> 00:34:12,418 (今日子) シリーズではない作品群です。 (厄介) ノンシリーズ。 566 00:34:12,484 --> 00:34:15,421 続きものじゃない1冊読み切りの 作品ってことですか? 567 00:34:15,487 --> 00:34:16,922 (今日子) はい。 568 00:34:16,989 --> 00:34:18,924 このリストでいうと→ 569 00:34:18,991 --> 00:34:21,927 1番 25番 48番→ 570 00:34:21,994 --> 00:34:24,930 51番 66番 79番の→ 571 00:34:24,997 --> 00:34:27,499 6作品がノンシリーズ。 572 00:34:28,500 --> 00:34:31,437 (厄介) あっ… 全て出版が2月。 573 00:34:31,503 --> 00:34:33,939 “とうもろこしの軸”も ノンシリーズで→ 574 00:34:34,006 --> 00:34:35,941 出版予定は2月だ。 575 00:34:36,008 --> 00:34:40,446 (今日子) これらの作品は 須永先生自らが 企画する原稿捜索イベント→ 576 00:34:40,512 --> 00:34:44,450 須永フェスタに使われた 作品でもあります。 577 00:34:44,516 --> 00:34:47,953 とても偶然とは思えません。 578 00:34:48,020 --> 00:34:49,955 (今日子の声) そこで 作創社のライブラリーで→ 579 00:34:50,022 --> 00:34:52,958 これらの作品を 読ませてもらったんです。 580 00:34:53,025 --> 00:34:55,961 すると 意外なことが分かりました。 581 00:34:56,028 --> 00:34:58,964 ノンシリーズだと思われていた この作品群は→ 582 00:34:59,031 --> 00:35:03,402 ある共通点を持つ 1つのシリーズだったんです。 583 00:35:03,469 --> 00:35:05,404 (厄介) ん? >> 全部→ 584 00:35:05,471 --> 00:35:07,906 ジャンルもテーマもバラバラですが。 (今日子) はい。 585 00:35:07,973 --> 00:35:10,409 私も この7冊に 特化して読まなければ→ 586 00:35:10,476 --> 00:35:13,412 そうとは気付きませんでした。 (厄介) じゃあ 何が? 587 00:35:13,479 --> 00:35:15,414 (今日子) 脇役です。 588 00:35:15,481 --> 00:35:17,416 (厄介) 脇役? >> 脇役? 589 00:35:17,483 --> 00:35:19,418 (今日子) 共通する1人の人物が→ 590 00:35:19,485 --> 00:35:23,422 誰にも気付かれないよう さりげなく 目立たず→ 591 00:35:23,489 --> 00:35:26,492 7作品 全てに登場してるんです。 592 00:35:27,493 --> 00:35:29,428 (今日子の声) ノンシリーズ1作目。 593 00:35:29,495 --> 00:35:31,430 デビュー作の“水底の殺人”。 594 00:35:31,497 --> 00:35:33,432 主人公の妹の クラスメートとして→ 595 00:35:33,499 --> 00:35:35,934 17歳の女学生が登場します。 596 00:35:36,001 --> 00:35:40,439 妹と出席番号が近い ま行の苗字を持つ少女。 597 00:35:40,506 --> 00:35:42,441 その7年後に出版されたのが→ 598 00:35:42,508 --> 00:35:43,942 “瞳悟空”。 599 00:35:44,009 --> 00:35:46,445 24歳の桃田という女性が→ 600 00:35:46,512 --> 00:35:48,947 事件の目撃者として登場します。 601 00:35:49,014 --> 00:35:52,451 その9年後 “天使が通る人生”。 602 00:35:52,518 --> 00:35:54,953 主人公の女性刑事の ペンフレンドとして→ 603 00:35:55,020 --> 00:35:56,955 三十路を過ぎた桑田さん。 604 00:35:57,022 --> 00:35:58,957 {\an8}>> 桑田? (厄介) 桃田じゃないんですか? 605 00:35:59,024 --> 00:36:01,393 {\an8}(今日子) 結婚したんです。 606 00:36:01,460 --> 00:36:04,396 {\an8}その翌年 “すったもんだの殺人”。 607 00:36:04,463 --> 00:36:08,400 主婦の朝美さんが 主人公の道案内をしてくれます。 608 00:36:08,467 --> 00:36:11,403 ここで ようやく 下の名前が分かりました。 609 00:36:11,470 --> 00:36:13,405 旧姓 桃田朝美さん。 610 00:36:13,472 --> 00:36:15,407 それから9年後に出版された→ 611 00:36:15,474 --> 00:36:16,909 “バタ足倶楽部”。 612 00:36:16,975 --> 00:36:21,413 受付の桑っちとして 40歳代半ばの女性が登場。 613 00:36:21,480 --> 00:36:23,916 さらに7年後の“黄緑少年”では→ 614 00:36:23,982 --> 00:36:25,918 朝ちゃんと名乗る 50歳代の女性に→ 615 00:36:25,984 --> 00:36:28,420 子供達が落とし物を届けます。 616 00:36:28,487 --> 00:36:32,424 そして12年後 “とうもろこしの軸”。 617 00:36:32,491 --> 00:36:35,928 主人公の一家に とうもろこしを分けてくれる→ 618 00:36:35,994 --> 00:36:38,997 62歳の農家のおばちゃんが 登場します。 619 00:36:40,499 --> 00:36:43,435 (今日子の声) 出版時期と年齢がぴったりです。 620 00:36:43,502 --> 00:36:46,438 須永先生は ノンシリーズの中で ひそかに→ 621 00:36:46,505 --> 00:36:48,941 少女から成長し おばちゃんになって行く→ 622 00:36:49,007 --> 00:36:51,009 1人の女性を描いていた。 623 00:36:52,511 --> 00:36:55,447 では その朝美さんとは誰なのか? 624 00:36:55,514 --> 00:36:57,950 >> 実在するんですか? (今日子) はい。 625 00:36:58,016 --> 00:37:02,387 小中社長が古い資料を調べて 問い合わせてくれました。 626 00:37:02,454 --> 00:37:05,891 学生時代 須永先生が お付き合いしていた少女。 627 00:37:05,958 --> 00:37:08,393 (厄介) それが… 朝美さん。 628 00:37:08,460 --> 00:37:12,965 (今日子) 17歳の時 ご病気で亡くなったそうです。 629 00:37:12,965 --> 00:37:22,474 ♪~ 630 00:37:22,474 --> 00:37:27,412 (今日子) だから須永先生は 命と向き合う作家になった。 631 00:37:27,479 --> 00:37:30,415 生きたくても生きられなかった 彼女を思い→ 632 00:37:30,482 --> 00:37:33,919 自ら命を絶つ 自殺を忌み嫌って→ 633 00:37:33,986 --> 00:37:38,423 作中で一度も 言葉ですら使わなかった。 634 00:37:38,490 --> 00:37:41,493 2月は 彼女の誕生月だったそうです。 635 00:37:43,495 --> 00:37:48,433 須永先生にとって ノンシリーズの執筆は筆休め。 636 00:37:48,500 --> 00:37:50,936 ファンは みんな そう思っていましたが→ 637 00:37:51,003 --> 00:37:53,005 とんでもない。 638 00:37:54,006 --> 00:37:55,941 須永先生にとっては→ 639 00:37:56,008 --> 00:38:00,012 ノンシリーズこそが 宝物だったんです。 640 00:38:01,947 --> 00:38:05,884 (今日子の声) 物語の片隅で朝美さんは→ 641 00:38:05,951 --> 00:38:10,956 元気に高校を卒業し 働いて…。 642 00:38:12,958 --> 00:38:15,894 (今日子の声) 結婚して家庭を持って→ 643 00:38:15,961 --> 00:38:18,397 子供を育て…。 644 00:38:18,463 --> 00:38:22,968 ひっそりと 平穏な人生を生きていた。 645 00:38:25,971 --> 00:38:28,407 (今日子の声) 45年にわたって→ 646 00:38:28,473 --> 00:38:30,976 須永先生と共に。 647 00:38:30,976 --> 00:38:38,984 ♪~ 648 00:38:38,984 --> 00:38:43,422 (今日子)“とうもろこしの軸”の中で 朝美さんは まだ お元気です。 649 00:38:43,488 --> 00:38:45,924 1人の人間の人生を 描くのであれば→ 650 00:38:45,991 --> 00:38:49,494 大往生するまでを描いてこそ人生。 651 00:38:50,996 --> 00:38:54,433 ノンシリーズは まだ完結していません。 652 00:38:54,499 --> 00:38:58,437 そうだ… 志の途中だ。 653 00:38:58,503 --> 00:39:02,941 (厄介) 須永先生が物語を終わらせずに 自殺するはずがない。 654 00:39:04,443 --> 00:39:06,878 (今日子) 社長さんも 納得してくださいました。 655 00:39:06,945 --> 00:39:10,382 自殺ではなく 不慮の死による 最後の作品として→ 656 00:39:10,449 --> 00:39:14,453 遺稿を出版するよう 部下に厳命するとのことです。 657 00:39:17,956 --> 00:39:20,959 (今日子) 以上で証明を終わります。 658 00:39:20,959 --> 00:39:28,467 ♪~ 659 00:39:28,467 --> 00:39:30,902 (重信) 今日子さん! 660 00:39:30,969 --> 00:39:32,971 また いつか。 661 00:39:34,473 --> 00:39:36,408 (今日子) さて 厄介さん。 662 00:39:36,475 --> 00:39:38,977 大人の話をしましょうか。 663 00:39:42,981 --> 00:39:46,918 {\an8}(今日子) 何から話しましょうねぇ。 (厄介) あの…→ 664 00:39:46,985 --> 00:39:49,421 {\an8}先に聞いていいですか? (今日子) どうぞ。 665 00:39:49,488 --> 00:39:51,423 (厄介) 須永先生の作品リスト→ 666 00:39:51,490 --> 00:39:53,925 リュックの中に しまった記憶があるんですが→ 667 00:39:53,992 --> 00:39:55,427 部屋に落ちてたっていうのは? 668 00:39:55,494 --> 00:39:57,996 (今日子) はい ウソです。 (厄介) じゃあ どうして? 669 00:39:58,997 --> 00:40:02,367 (今日子) どうしてだと思います? 670 00:40:02,434 --> 00:40:05,871 (厄介) もしかして… 寝てなかった? 671 00:40:05,937 --> 00:40:07,873 (今日子) いいえ ぐっすり眠りました。 672 00:40:07,939 --> 00:40:10,876 おかげで事件を解決することが できたんです。 673 00:40:10,942 --> 00:40:13,378 一度寝て さっぱりして→ 674 00:40:13,445 --> 00:40:15,881 新たな角度から 作品リストを見ることで→ 675 00:40:15,947 --> 00:40:17,883 パ~っと。 676 00:40:17,949 --> 00:40:22,387 (厄介) 僕が 体のどこかのメモを 消し忘れた? 677 00:40:22,454 --> 00:40:23,955 あっ…。 678 00:40:25,457 --> 00:40:26,892 (今日子) いいえ。 679 00:40:26,958 --> 00:40:29,895 厄介さんは 見事に消し去ってくれました。 680 00:40:29,961 --> 00:40:31,897 基本データは 残してくれたようですが→ 681 00:40:31,963 --> 00:40:35,901 須永先生の事件に関することは キレイさっぱり。 682 00:40:35,967 --> 00:40:37,903 太ももまで丁寧に。 683 00:40:37,969 --> 00:40:39,905 (厄介) すいません 見てません 見ないよう 触れないよう→ 684 00:40:39,971 --> 00:40:41,907 気を付けて… っていうか それどころじゃなくて…。 685 00:40:41,973 --> 00:40:44,476 (今日子) はい 泣いてましたもんね。 686 00:40:46,978 --> 00:40:49,414 温かくて いい気持ちで寝てたのに→ 687 00:40:49,481 --> 00:40:52,417 あんまり泣いてるから 起きてしまいました。 688 00:40:52,484 --> 00:40:54,486 (厄介) あの時…? 689 00:40:56,988 --> 00:41:00,859 (今日子の声) 驚きました 何が起こったのか全く分からず→ 690 00:41:00,926 --> 00:41:03,428 ひとまず 寝たふりを。 691 00:41:06,431 --> 00:41:08,433 〔ドアが閉まる音〕 692 00:41:16,942 --> 00:41:19,377 (今日子の声) 厄介さんに 依頼のメモを消される前に→ 693 00:41:19,444 --> 00:41:21,446 全て確認し。 694 00:41:23,448 --> 00:41:26,451 (今日子の声) 大体の状況は把握できました。 695 00:41:32,457 --> 00:41:35,460 (足音) 696 00:41:42,467 --> 00:41:44,402 (今日子の声) それから眠らず ずっと起きていて→ 697 00:41:44,469 --> 00:41:46,404 今 この通り。 698 00:41:46,471 --> 00:41:49,908 (厄介) じゃ 僕が 今日子さんの 体のメモを消してる間も…。 699 00:41:49,975 --> 00:41:51,910 (今日子) ばっちり起きてました。 700 00:41:51,977 --> 00:41:54,913 (厄介) 信じられない なら 止めてください! 701 00:41:54,980 --> 00:41:59,417 もう メモを見ちゃってたなら 必死に消す必要もなかったわけで。 702 00:41:59,484 --> 00:42:02,354 (今日子) この人 頑張ってるなぁって 応援したくなって。 703 00:42:02,420 --> 00:42:03,855 (厄介) はっ? 704 00:42:03,922 --> 00:42:07,926 (今日子) 頑張る男子の姿 大好物なんです。 705 00:42:09,427 --> 00:42:11,363 (厄介) あの状況で のんきな…。 706 00:42:11,429 --> 00:42:14,933 (今日子) だって 怖くなかったんです 不思議と。 707 00:42:17,435 --> 00:42:20,872 厄介さんにメモを消されてる間→ 708 00:42:20,939 --> 00:42:23,875 何だか安心してたんです 私。 709 00:42:23,942 --> 00:42:26,945 この人なら大丈夫 安心できるって。 710 00:42:30,448 --> 00:42:34,386 (今日子) 多分 この人は ずっと前から こうやって→ 711 00:42:34,452 --> 00:42:37,889 私に優しくしてくれてたん だろうなぁって。 712 00:42:37,956 --> 00:42:39,958 何となく。 713 00:42:43,962 --> 00:42:45,897 (今日子) お世話になりました。 714 00:42:45,964 --> 00:42:47,899 うちにいた5日間→ 715 00:42:47,966 --> 00:42:50,402 私 随分ひどい態度も 取ったのでは? 716 00:42:50,468 --> 00:42:51,903 (厄介) はい かなり。 717 00:42:51,970 --> 00:42:55,473 (今日子) ハァ お恥ずかしい。 (厄介) いえ お互いさまです。 718 00:42:56,975 --> 00:43:01,346 (今日子) そうですね 私なんて 裸見られちゃったし…。 719 00:43:01,413 --> 00:43:03,415 忘れてください。 720 00:43:05,417 --> 00:43:06,851 (厄介) 努力します。 721 00:43:06,918 --> 00:43:09,354 (今日子) 今度 厄介さんのも見せてくださいね。 722 00:43:09,421 --> 00:43:10,855 (厄介) えっ? 723 00:43:10,922 --> 00:43:12,357 (今日子) 冗談です。 724 00:43:12,424 --> 00:43:14,426 (厄介) ハァ…。 725 00:43:15,427 --> 00:43:18,863 (今日子) また ご入り用の際は ご連絡ください。 726 00:43:18,930 --> 00:43:21,866 (厄介) 依頼していいんですか? (今日子) もちろん。 727 00:43:21,933 --> 00:43:26,438 それと… 寝室の天井のことですが。 728 00:43:30,442 --> 00:43:32,944 (今日子) 決して 口外しないように。 729 00:43:35,947 --> 00:43:37,382 (法郎) おかえり。 730 00:43:37,449 --> 00:43:39,884 夕飯 食べる? (今日子) 結構です。 731 00:43:39,951 --> 00:43:43,455 もう寝ます おやすみなさい。 (法郎) うん。 732 00:43:53,965 --> 00:43:58,903 (厄介) ⟨あの時 見てしまった 見てはいけないもの⟩ 733 00:43:58,970 --> 00:44:02,407 ⟨朝 ベッドで目覚めた 今日子さんが→ 734 00:44:02,474 --> 00:44:06,911 一番に目にするであろう メッセージ⟩ 735 00:44:06,978 --> 00:44:09,414 ⟨今日子さんの筆跡ではない→ 736 00:44:09,481 --> 00:44:11,416 あの文字は?⟩ 737 00:44:11,483 --> 00:44:15,487 {\an8}誰が あれを? (今日子) 分かりません。 738 00:44:16,988 --> 00:44:20,992 {\an8}私は それを知りたくて 探偵をやっているのかも。 739 00:44:22,494 --> 00:44:27,932 {\an8}でも 自分が探偵であることには しっくり来るんです。 740 00:44:27,999 --> 00:44:30,935 {\an8}探偵 掟上今日子。 741 00:44:31,002 --> 00:44:32,937 {\an8}その名前さえあれば→ 742 00:44:33,004 --> 00:44:36,007 {\an8}一日を生きて行けるような 気がする。 743 00:44:38,510 --> 00:44:40,512 {\an8}おかしな話ですね。 744 00:44:44,015 --> 00:44:47,452 {\an8}(厄介) ⟨この日 僕は ある決心をした⟩ 745 00:44:47,519 --> 00:44:50,455 {\an8}⟨探偵と依頼人という 関係からすれば→ 746 00:44:50,522 --> 00:44:52,957 {\an8}出過ぎたまねかもしれない⟩ 747 00:44:53,024 --> 00:44:57,028 {\an8}⟨でも僕は そうせずには いられなかった⟩ 748 00:44:58,530 --> 00:45:01,900 {\an8}⟨須永先生が朝美さんの人生を→ 749 00:45:01,966 --> 00:45:04,903 {\an8}人知れず紡ぎ続けたように⟩ 750 00:45:04,969 --> 00:45:07,906 {\an8}⟨今日子さんの儚い人生を→ 751 00:45:07,972 --> 00:45:10,408 {\an8}消えてしまう その日々を⟩ 752 00:45:10,475 --> 00:45:12,410 {\an8}⟨誰かが→ 753 00:45:12,477 --> 00:45:14,412 {\an8}僕が→ 754 00:45:14,479 --> 00:45:15,980 {\an8}この手で⟩ 755 00:45:15,980 --> 00:45:34,499 ♪~