1 00:00:02,102 --> 00:00:11,178 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:11,178 --> 00:02:08,829 ♬~ 3 00:02:08,829 --> 00:02:15,702 (花火の音) 4 00:02:15,702 --> 00:02:19,840 (男と女の息づかい) 5 00:02:19,840 --> 00:02:22,509 (花火の音) 6 00:02:22,509 --> 00:02:27,180 ああ…。 7 00:02:27,180 --> 00:02:35,055 (花火の音) 8 00:02:35,055 --> 00:02:37,190 ひぃ~…! うわっ! 9 00:02:37,190 --> 00:02:50,704 (花火の音) 10 00:02:50,704 --> 00:03:00,380 (セミの声) 11 00:03:00,380 --> 00:03:02,349 (おきく)し~っ! ⚟(藤吉)いや 何とも➡ 12 00:03:02,349 --> 00:03:05,352 見られた格好じゃござんせんよ。 ええ。➡ 13 00:03:05,352 --> 00:03:08,822 医者が来てね 2人のこと こう 引き離したんですけどもね。 14 00:03:08,822 --> 00:03:11,491 そら 当人たちは 極楽往生かもしれねえけどもね…。 15 00:03:11,491 --> 00:03:13,427 (嘉助)親分 冷たいの一杯。 16 00:03:13,427 --> 00:03:15,362 こら どうも。 ごっつぉうさん。 どうも どうも…。 17 00:03:15,362 --> 00:03:18,365 後々まで 死に恥さらしちまったんですからね。 18 00:03:18,365 --> 00:03:21,501 お吉さんも なんだよ あんなとこで あいびきしようなんて➡ 19 00:03:21,501 --> 00:03:24,838 思いなさんなよ。 (お吉)誰が そんなもん するもんですか。 20 00:03:24,838 --> 00:03:28,508 確か 男の方は 桶問屋の番頭だって 言ってましたね? 藤吉親分。 21 00:03:28,508 --> 00:03:33,380 ああ 上柳原町の桶問屋の番頭で 名前は 吉兵衛ってんだい。 年は28。 22 00:03:33,380 --> 00:03:37,517 女の方はね 近所の小料理屋で働いてる お繁って娘なんですよ。 23 00:03:37,517 --> 00:03:40,854 でも 嫌ですね。 そんな あられもない…。 24 00:03:40,854 --> 00:03:43,190 (るい)まあ 私たちには 縁のない話だから。 25 00:03:43,190 --> 00:03:45,859 全くね。 じゃあ… お邪魔さま。 26 00:03:45,859 --> 00:03:47,861 どうも ご苦労さんです。 お気を付けて。 27 00:03:55,202 --> 00:03:57,204 いや~ねえ。 28 00:03:59,539 --> 00:04:12,252 (鼻歌) 29 00:04:13,820 --> 00:04:18,825 おっ? ヘッヘッヘッヘッヘ…。 あら…。 30 00:04:30,370 --> 00:04:34,841 ううん… あ…。 31 00:04:34,841 --> 00:04:37,144 ぎゃ~! ああ~っ! 32 00:04:45,485 --> 00:04:48,388 ええっ!? またですか? 33 00:04:48,388 --> 00:04:53,860 (東吾)そうよ。 また 柳原土手で 中間と夜鷹が殺された。 34 00:04:53,860 --> 00:04:57,197 2人重なったまんま 大刀で芋刺しだと。 35 00:04:57,197 --> 00:05:00,800 好かねえ殺し方をしやがる。 本当にねえ。 36 00:05:00,800 --> 00:05:04,671 暑いからといって 涼みに出るのは よしにしろよ。出ませんよ。 37 00:05:04,671 --> 00:05:08,675 ここなら いい風が入ってくるから わざわざ殺されに出ることはねえしな。 38 00:05:08,675 --> 00:05:11,444 失礼します。 畝の旦那がおいでになりやした。 39 00:05:11,444 --> 00:05:15,348 おお 源さん ちょうどいい。 (源三郎)お邪魔します。 40 00:05:15,348 --> 00:05:17,350 ま… ひとつ いこう。 いや~ お暑いですな。 41 00:05:17,350 --> 00:05:21,121 結構ですね これは。 ひとつ頂きましょう。 さあ どうぞ。 42 00:05:21,121 --> 00:05:24,024 いけ好かねえ殺しのホシは まだ挙がらねえかい? 43 00:05:24,024 --> 00:05:26,493 まだです。 44 00:05:26,493 --> 00:05:31,832 まだ下手人が挙がらねえとすると 柳原土手は 閑古鳥が鳴いてるな。 45 00:05:31,832 --> 00:05:35,502 客も女たちも 気味悪がって 敬遠してますからな。 46 00:05:35,502 --> 00:05:38,538 そりゃそうだ。 誰しも 夜鷹を抱いたまんま➡ 47 00:05:38,538 --> 00:05:41,041 芋刺しにはなりたかねえもんな。 48 00:05:42,842 --> 00:05:45,512 突き刺した刀を そのまんまにしていくところを見ると➡ 49 00:05:45,512 --> 00:05:49,182 侍の仕業じゃねえな。まず…。 うん。 50 00:05:49,182 --> 00:05:52,853 明石橋の石置き場のと 柳原土手のと ホシは同じだろうか? 51 00:05:52,853 --> 00:05:54,788 手口は 全く同じです。 52 00:05:54,788 --> 00:05:57,190 ただ…。 ただ… 何でえ? 53 00:05:57,190 --> 00:06:02,462 前のは 脇差しを使っています。 それも ごく安物の ありふれたものです。 54 00:06:02,462 --> 00:06:04,798 が 柳原土手じゃあ 大刀を使っています。➡ 55 00:06:04,798 --> 00:06:08,668 銘はありませんが なかなかのもので 武士の差し料としても まずまずでしょう。 56 00:06:08,668 --> 00:06:10,670 う~ん…。 57 00:06:10,670 --> 00:06:15,442 一息に 男と女 両名を突っ殺した 力量といい その手際といい➡ 58 00:06:15,442 --> 00:06:18,345 まあ 町人の仕事とは思えませんが➡ 59 00:06:18,345 --> 00:06:21,147 考えてみると 武士でないとも言い切れませんな。 60 00:06:21,147 --> 00:06:23,083 あんなことをしでかす者に➡ 61 00:06:23,083 --> 00:06:25,819 たしなみを どうこう言うのは おかしいかもしれませんが➡ 62 00:06:25,819 --> 00:06:29,656 侍が 差し料をそのままに 捨てていくものでしょうか? 63 00:06:29,656 --> 00:06:33,493 そこんところなんですが まあ ちょっと解せねえんですよ。 64 00:06:33,493 --> 00:06:36,396 下手人の目星が絞れなくて 困ってるんです。 65 00:06:36,396 --> 00:06:40,166 通りすがりの 行きずり同然の犯行となると➡ 66 00:06:40,166 --> 00:06:43,069 これから まだ先 いけにえが出るかもしれねえな。 67 00:06:43,069 --> 00:06:47,841 こう暑い夜が続いたのでは 外に出るなと言ってもねえ。 68 00:06:47,841 --> 00:06:51,511 そうですなあ。 まあ ここなんぞは 川風が入って涼しいですが➡ 69 00:06:51,511 --> 00:06:56,383 八丁堀の拙宅なんぞは そよとも風が入りませんからな。 70 00:06:56,383 --> 00:06:59,185 あ~ どうも ごちそうさまでした。 71 00:06:59,185 --> 00:07:01,121 もう一度 見回ってまいります。 うん。 72 00:07:01,121 --> 00:07:03,823 ご苦労さまです。 失礼します。 73 00:07:12,132 --> 00:07:16,136 (鐘の音) 74 00:07:25,145 --> 00:07:29,149 (鐘の音) 75 00:07:35,488 --> 00:07:37,824 ⚟(お吉)あの~ お嬢様。 76 00:07:37,824 --> 00:07:40,493 えっ なあに? 77 00:07:40,493 --> 00:07:47,367 畝様からのお使いで 柳橋で また 2人 殺されたそうでございますよ。 78 00:07:47,367 --> 00:07:49,502 使いは帰ったのかい? 79 00:07:49,502 --> 00:07:52,405 いえ 外で お待ちになっていらっしゃいます。 80 00:07:52,405 --> 00:07:56,843 ってことは つまり 一緒に来てくれろというんだろう。 81 00:07:56,843 --> 00:07:58,845 出かけるよ。 82 00:08:06,119 --> 00:08:08,788 (鐘の音) 83 00:08:08,788 --> 00:08:11,124 ご苦労さまです。 84 00:08:11,124 --> 00:08:15,428 よくよく野暮な男と見えるな 源さんってやつは…。 85 00:08:22,736 --> 00:08:25,138 (源三郎)野暮な迎えを申し訳ありません。 86 00:08:25,138 --> 00:08:27,807 謝るくらいなら はなっから 迎えなんざあ よこすな。 87 00:08:27,807 --> 00:08:30,510 (源三郎)ハハハハ…。 ハハハ…。さあ どうぞ。 88 00:08:33,146 --> 00:08:35,081 (源三郎)おう 頼むよ。 へい。 89 00:08:35,081 --> 00:08:38,818 柳橋と言ったな? はい。随分と早い殺しじゃねえか。 90 00:08:38,818 --> 00:08:41,488 今までのは もう少し更けてから やられたって聞いてるが。 91 00:08:41,488 --> 00:08:44,391 宵のうちに殺されたのは 今度が初めてです。 92 00:08:44,391 --> 00:08:47,160 まあ おかげで 犯行を見かけたやつがいます。 93 00:08:47,160 --> 00:08:49,162 ほ~う。 94 00:08:55,835 --> 00:08:58,171 (藤吉)あっ ご苦労さまです。 (徳松)ご苦労さんです。 95 00:08:58,171 --> 00:09:00,106 やられたのは どこだ? へい。 96 00:09:00,106 --> 00:09:02,776 この先の 川っぷちの空き地だったんですが。 97 00:09:02,776 --> 00:09:06,646 2人とも 体が まだ温かくて ひょっとしたら助かるかもしれないと…。 98 00:09:06,646 --> 00:09:09,449 それで ここへ運んで医者に見せたのか? へい。 99 00:09:09,449 --> 00:09:12,786 けど もう 医者が来た時には 死んでたそうです。➡ 100 00:09:12,786 --> 00:09:16,656 運んだ時には もう息はなかったろうって 医者が言ってたっていいます。➡ 101 00:09:16,656 --> 00:09:21,461 人間 死んですぐ 冷たくなるもんじゃねえ。➡ 102 00:09:21,461 --> 00:09:24,798 柳橋の小文っていう芸者です。 103 00:09:24,798 --> 00:09:28,668 男の方は 笑っていそうな顔をして 死んでるのに➡ 104 00:09:28,668 --> 00:09:32,138 こっちの方は 恐怖に引きつって すさまじい形相だ。 105 00:09:32,138 --> 00:09:34,073 男の身元は分からねえのか? 106 00:09:34,073 --> 00:09:38,478 いえ 分かってます。 (徳松)吉原の松浦屋の若旦那。 107 00:09:38,478 --> 00:09:41,381 吉原の? 伊兵衛ってんです。 108 00:09:41,381 --> 00:09:44,818 ああ 江戸町2丁目辺りだな 松浦屋。 109 00:09:44,818 --> 00:09:49,689 小店だが 客種は悪くない店だ。 へえ~ こりゃ よくご存じで…。 110 00:09:49,689 --> 00:09:51,691 フッ…。 111 00:09:53,827 --> 00:09:57,163 (藤吉)あの~ ここの主ですが…。 112 00:09:57,163 --> 00:10:00,500 (六助) 六助でございます。 まことに どうも…。 113 00:10:00,500 --> 00:10:05,371 実は この2人 殺される前に うちの2階におりましたんで。 114 00:10:05,371 --> 00:10:07,373 ほう 2階にな。 (六助)へい。 115 00:10:07,373 --> 00:10:10,176 それが また どうして 殺されに出ていったというんだい。 116 00:10:10,176 --> 00:10:16,516 それが 実は 向島の松浦屋の寮まで 舟をやってくれとおいでになりまして➡ 117 00:10:16,516 --> 00:10:19,853 あいにく 船頭が みんな出払って 留守だったもんですから➡ 118 00:10:19,853 --> 00:10:23,523 しばらく 2階で お待ち願うことに…。 へい。➡ 119 00:10:23,523 --> 00:10:26,860 ところが 「どうも暑くて しかたがない。➡ 120 00:10:26,860 --> 00:10:29,529 涼みがてら その辺を ちょっと歩いてくる」とおっしゃって➡ 121 00:10:29,529 --> 00:10:31,464 で まあ 川っぷちの方へ…。 122 00:10:31,464 --> 00:10:33,867 何時ごろの渡しだい? 123 00:10:33,867 --> 00:10:37,203 五ツ過ぎでしたが…。 124 00:10:37,203 --> 00:10:40,874 夏の夜 まだ宵の口だな。へい。 125 00:10:40,874 --> 00:10:43,776 で 死骸は 2つに重なってたのか? 126 00:10:43,776 --> 00:10:49,215 いやいや…。 それが 近くに こう 別々に倒れておりましたようで。 127 00:10:49,215 --> 00:10:51,885 芋刺しじゃねえってのかい。 128 00:10:51,885 --> 00:10:55,555 (源三郎)違うっていやあ やられた刃物…。 うん? 129 00:10:55,555 --> 00:10:59,225 脇差し 刀じゃなく 今度に限っては槍。 130 00:10:59,225 --> 00:11:04,063 槍? 傷口は 槍で突いたような…。 131 00:11:04,063 --> 00:11:09,035 随分 恐ろしいものを 夕涼みに 担ぎ出してきやがったなあ。 132 00:11:09,035 --> 00:11:11,504 ところで 藤吉。 へえ。 133 00:11:11,504 --> 00:11:13,439 見つけたのは 誰なんだ? 134 00:11:13,439 --> 00:11:17,844 (藤吉)夕涼みの客相手に 麦湯を商っております娘で…。 135 00:11:17,844 --> 00:11:21,147 (徳松)名前は おたよ。 年は まだ18です。 136 00:11:25,184 --> 00:11:27,854 ハッ… なにも 心配することはないんだよ。 137 00:11:27,854 --> 00:11:31,191 旦那方は おめえから 話を お聞きになるだけなんだから。 138 00:11:31,191 --> 00:11:35,061 とんだものに出くわして びっくりしたろう。 かわいそうにな。 139 00:11:35,061 --> 00:11:37,063 さあ…。 140 00:11:41,201 --> 00:11:44,537 で 住まいは? 141 00:11:44,537 --> 00:11:49,208 (おたよ)薬研堀の八郎兵衛長屋に…。 142 00:11:49,208 --> 00:11:53,880 (源三郎)名前は おたよといったな? はい。 143 00:11:53,880 --> 00:11:56,783 薬研堀には 両親と一緒に住んでいるのか? 144 00:11:56,783 --> 00:11:59,752 いえ…。 姉と2人で暮らしてんです。 145 00:11:59,752 --> 00:12:03,489 ふだんは 縫い物なんぞして 暮らしを立ててると言ってます。 146 00:12:03,489 --> 00:12:06,159 麦湯は 夏場だけの稼ぎで…。 147 00:12:06,159 --> 00:12:09,495 なあ そうだったな?はい。 148 00:12:09,495 --> 00:12:13,166 姉さんと2人で 麦湯を売りに出てるのか? 149 00:12:13,166 --> 00:12:17,503 いえ 今夜は 私一人でした。 150 00:12:17,503 --> 00:12:20,173 では 姉さんは? 151 00:12:20,173 --> 00:12:28,047 うちにいます。 姉さん 体が悪いもんですから➡ 152 00:12:28,047 --> 00:12:33,186 よっぽど 具合のいい時には 手伝ってくれますけど…➡ 153 00:12:33,186 --> 00:12:37,056 今夜は 私一人でした。 154 00:12:37,056 --> 00:12:43,529 (源三郎)では おめえが見たことを 話してもらおうか? 155 00:12:43,529 --> 00:12:48,534 何でもいいんだ。 見たことを そっくりそのまんま話してくれ。 156 00:12:51,871 --> 00:12:57,210 私… 水をくみに行ったんです。 157 00:12:57,210 --> 00:13:02,815 ♬~ 158 00:13:02,815 --> 00:13:06,152 (おたよ)屋台の所まで戻ってくると➡ 159 00:13:06,152 --> 00:13:11,491 空き地の方で 人の声がしたように思いました。➡ 160 00:13:11,491 --> 00:13:17,497 暗い中から 男が 川の方に走っていきました。 161 00:13:22,502 --> 00:13:29,509 (おたよ)怖かったんです。 だから 少しずつ近づいていきました。 162 00:13:31,511 --> 00:13:34,847 (おたよ)人の倒れてるのが 見えたんです。➡ 163 00:13:34,847 --> 00:13:37,884 人を呼ぼうと思ったんですけど➡ 164 00:13:37,884 --> 00:13:41,187 あいにく 誰も通らないで➡ 165 00:13:41,187 --> 00:13:45,525 「どうしたんですか?」って 声をかけてみたんです。 166 00:13:45,525 --> 00:13:47,860 どうしたんですか? 167 00:13:47,860 --> 00:13:52,198 ♬~ 168 00:13:52,198 --> 00:13:54,133 ああ~っ! 169 00:13:54,133 --> 00:14:00,006 どうやって 人を呼んだのか… 自分でも覚えてません。 170 00:14:00,006 --> 00:14:05,144 すまねえが もう一度 空き地へ連れてってくれねえか。 171 00:14:05,144 --> 00:14:07,146 え…。 172 00:14:08,815 --> 00:14:12,118 私たちも一緒に行く。 心配はいらない。 173 00:14:13,686 --> 00:14:16,989 怖かねえよ。 おいらも一緒に行く。 174 00:14:24,364 --> 00:14:27,834 屋台が置いてあったのは どの辺だい? 175 00:14:27,834 --> 00:14:30,169 そこんとこです。 うん。 176 00:14:30,169 --> 00:14:32,171 おう。 へい! 177 00:14:38,044 --> 00:14:43,182 源さん すまねえが 伊兵衛と小文の 殺された場所へ 行ってみてくれねえか。 178 00:14:43,182 --> 00:14:45,184 へっ どうぞ。 179 00:14:49,055 --> 00:14:53,526 お前が見た男は あそこから こっちへ 逃げてきたんだな? 180 00:14:53,526 --> 00:14:55,461 はい。 181 00:14:55,461 --> 00:14:59,198 あそこに立っている源さんが 暗くて よく見えねえが➡ 182 00:14:59,198 --> 00:15:01,801 男だと よく分かったな。 183 00:15:01,801 --> 00:15:07,473 背が高くて 頭に 手拭いをかぶってましたから。 184 00:15:07,473 --> 00:15:09,409 頭に 白い手拭いをかぶっていりゃ➡ 185 00:15:09,409 --> 00:15:12,712 夜目にも 背の高さは はっきり分かります。 186 00:15:19,819 --> 00:15:25,491 う~ん なるほど。 で…? 187 00:15:25,491 --> 00:15:29,829 それだけです。 後のことは 何も覚えてません。 188 00:15:29,829 --> 00:15:32,865 そうか…。 いや ご苦労だった。 189 00:15:32,865 --> 00:15:35,701 嫌なことを思い出させて すまなかったね。 190 00:15:35,701 --> 00:15:38,504 もう 帰しても よろしゅうございますか? うん。 191 00:15:38,504 --> 00:15:42,375 じゃあ おいらが家まで送ろう。 192 00:15:42,375 --> 00:15:44,377 さあ。 193 00:15:49,515 --> 00:15:54,187 (セミの声) 194 00:15:54,187 --> 00:15:58,057 ⚟(物売りの声) 195 00:15:58,057 --> 00:16:00,460 るいは どう思う? 196 00:16:00,460 --> 00:16:06,332 下手人が襲ってきた時 伊兵衛と小文は 何をしていたのか。 197 00:16:06,332 --> 00:16:10,803 そりゃあ 抱き合うとか ねえ… してたんでございましょう。 198 00:16:10,803 --> 00:16:14,473 だって 下手人は 男と女が仲よくするのを見ると➡ 199 00:16:14,473 --> 00:16:16,409 殺す気になるっていうんですからねえ。 200 00:16:16,409 --> 00:16:18,344 立ったまま 抱き合っていたのか? 201 00:16:18,344 --> 00:16:21,347 そりゃあ 前の2組みたいなわけには いきませんよ。 202 00:16:21,347 --> 00:16:24,484 何しろ 柳橋の芸者衆と吉原の若旦那➡ 203 00:16:24,484 --> 00:16:27,153 そういう はしたないまねは できませんよ。 204 00:16:27,153 --> 00:16:32,491 人が近づいてきて 伊兵衛と小文が慌てて離れたところを➡ 205 00:16:32,491 --> 00:16:35,394 槍で 胸を えいっと…。 206 00:16:35,394 --> 00:16:37,363 槍をしごいて…? 207 00:16:37,363 --> 00:16:42,168 いくら夜でも 槍を担いで 人殺しに出かけたら 目立つだろうなあ。 208 00:16:42,168 --> 00:16:44,103 八丁堀の旦那方は➡ 209 00:16:44,103 --> 00:16:48,508 槍の穂先だけを持って出たんじゃねえか って お考えのようですね。 210 00:16:48,508 --> 00:16:50,843 う~ん…。 211 00:16:50,843 --> 00:16:54,714 とにかくねえ 近頃の若い人は 夜ふかしし過ぎるんですよ。 212 00:16:54,714 --> 00:16:58,718 私たちが若い時分には 女が 夜 外へ出歩くなんて➡ 213 00:16:58,718 --> 00:17:01,721 とんでもないことでしたがねえ。 214 00:17:08,327 --> 00:17:11,130 ⚟ちょいと もし 若様!➡ 215 00:17:11,130 --> 00:17:14,467 お寄んなんし…。 うん。 216 00:17:14,467 --> 00:17:18,337 昼日中から 派手な声 立てやがる。 217 00:17:18,337 --> 00:17:21,140 お~や いらっしゃいまし。 218 00:17:21,140 --> 00:17:24,477 随分 お見限りじゃございませんか。 お元気で? 219 00:17:24,477 --> 00:17:26,812 おかみは いるかい? 今 戻ったばかりです。 220 00:17:26,812 --> 00:17:30,116 さあ ささ… どうぞ 奥へ お通りくださいまし。 221 00:17:33,152 --> 00:17:35,087 邪魔するぞ。 222 00:17:35,087 --> 00:17:37,023 (よしの)誰? 223 00:17:37,023 --> 00:17:39,492 まあ 若様。 224 00:17:39,492 --> 00:17:41,427 松浦屋の弔いかい? 225 00:17:41,427 --> 00:17:43,829 そうなんですよ。 お気の毒に…。 226 00:17:43,829 --> 00:17:47,533 ささ 若様 どうぞ こちらへ。 ああ。さあ。 227 00:17:49,168 --> 00:17:52,505 まあ よう お越しくださいました。 228 00:17:52,505 --> 00:17:55,408 無沙汰していて すまねえ。 何をおっしゃいますやら。 229 00:17:55,408 --> 00:17:59,378 こんな所へ 足しげく お通いあそばしちゃ いけませんよ。 230 00:17:59,378 --> 00:18:04,450 それにしても… あそこも うちと同じで➡ 231 00:18:04,450 --> 00:18:08,120 おきんさんが 女手一つで 商売やってきて➡ 232 00:18:08,120 --> 00:18:10,456 ぼつぼつ 伊兵衛さんに 後を継がせようって やさきに➡ 233 00:18:10,456 --> 00:18:12,792 あんなことになっちまって。 うん。 234 00:18:12,792 --> 00:18:15,127 おきんも さぞ 嘆いているこったろうな。 235 00:18:15,127 --> 00:18:17,063 もう そりゃ 半狂乱。 236 00:18:17,063 --> 00:18:20,466 けど ひでえ道楽者だったって 言うじゃねえか 伊兵衛は。 237 00:18:20,466 --> 00:18:22,802 道楽者だって せがれはせがれ。 238 00:18:22,802 --> 00:18:25,705 親の気持ちにしてみりゃあ… ねえ 若様。 239 00:18:25,705 --> 00:18:29,141 おまけに 掛けがえのない 一人息子だっていうんですもの。 ねえ。 240 00:18:29,141 --> 00:18:31,077 相手は もっぱら芸者かい? 241 00:18:31,077 --> 00:18:37,016 いえ 芸者も お素人さんも いろいろ…。 どうぞ。 242 00:18:37,016 --> 00:18:40,486 女郎で熱くなっていたのは いなかったかい? 243 00:18:40,486 --> 00:18:43,389 それがね おかしなもんでね➡ 244 00:18:43,389 --> 00:18:45,825 女郎屋のせがれに生まれたせいか➡ 245 00:18:45,825 --> 00:18:49,495 あの女好きの伊兵衛さんが お女郎にだけは 手を出さなかった…。 246 00:18:49,495 --> 00:18:55,167 いえ どんなに誘われても 女郎通いは断ってたって言うんですから。 247 00:18:55,167 --> 00:19:01,173 女郎が嫌えかあ。 う~ん…。 248 00:19:03,976 --> 00:19:06,112 入れぼくろってのが あるだろう。 249 00:19:06,112 --> 00:19:09,448 ええ。 近頃 あんまり はやりませんけどね。 250 00:19:09,448 --> 00:19:12,785 殺された伊兵衛の右手に 入れぼくろが入れてあった。 251 00:19:12,785 --> 00:19:15,688 へえ~ そんな粋なもの してたんですか。 252 00:19:15,688 --> 00:19:19,458 小文の手も調べてみたが 小文は していなかったなあ。 253 00:19:19,458 --> 00:19:21,394 芸者は あんまりしませんよ。 254 00:19:21,394 --> 00:19:23,329 素人だって そんなまねは しねえだろう。 255 00:19:23,329 --> 00:19:28,467 う~ん… ほれ合った同士が 入れぼくろして 末を誓うといやあ…➡ 256 00:19:28,467 --> 00:19:31,370 そうですねえ 大抵 お女郎さんだろうけど…。 257 00:19:31,370 --> 00:19:35,808 うん。 その女郎が嫌いだというから 平仄が合わねえ。 258 00:19:35,808 --> 00:19:40,146 それとも 伊兵衛が もっとずっと若い頃に 熱くなった女郎がいたかな? 259 00:19:40,146 --> 00:19:44,483 いませんよ。 そんな話 聞いたことありませんもの。 260 00:19:44,483 --> 00:19:46,485 う~ん…。 261 00:19:48,354 --> 00:19:52,158 (太鼓と子供たちの声) 262 00:19:52,158 --> 00:19:54,827 ごめんよ。 (おてつ)いらっしゃいまし。➡ 263 00:19:54,827 --> 00:19:56,762 何をあげましょう? いや 違うんだ。 264 00:19:56,762 --> 00:19:59,698 すまねえが 藤吉は留守かい? あっ? 藤吉は俺だ…。 265 00:19:59,698 --> 00:20:02,701 あっ こりゃ どうも…。 266 00:20:02,701 --> 00:20:06,839 まあ! さいでございますか。 まあ 申し訳ございません。 267 00:20:06,839 --> 00:20:09,742 いつも うちのが… いえ 徳松も 大層お世話さまで…。 268 00:20:09,742 --> 00:20:12,711 よしてくれ。 そんなに言われると 面目なくていけねえよ。 269 00:20:12,711 --> 00:20:15,514 とにかく 汚えとこですけど どうぞ。 ねっ お上がりになって。 270 00:20:15,514 --> 00:20:17,450 上がらせてもらうよ。 どうぞ どうぞ。 271 00:20:17,450 --> 00:20:20,186 狭い所ですが どうぞ おひとつ…。 272 00:20:20,186 --> 00:20:22,188 (藤吉)ヘッヘッヘッヘ…。 273 00:20:24,056 --> 00:20:26,859 小文の方 洗ってみたかい? 274 00:20:26,859 --> 00:20:31,530 へえ。 洗ってはみましたが 出ませんね 何にも。 275 00:20:31,530 --> 00:20:35,401 伊兵衛の女になる前に ほれ合ったって男もいねえし➡ 276 00:20:35,401 --> 00:20:39,205 小文に夢中になって通ったってえ客も いません。 277 00:20:39,205 --> 00:20:42,108 ですから まあ 小文をとった とられたで起きた➡ 278 00:20:42,108 --> 00:20:44,543 刃傷沙汰じゃねえでしょう。 279 00:20:44,543 --> 00:20:46,479 う~ん。 280 00:20:46,479 --> 00:20:49,882 通りすがりの 相手かまわぬ殺しだったと見て➡ 281 00:20:49,882 --> 00:20:51,817 間違いはねえと思いますがねえ。 282 00:20:51,817 --> 00:20:56,555 何にもございませんが どうぞ。 ああ ありがとう。 283 00:20:56,555 --> 00:20:59,458 徳松は どうしたい? へえ…。 284 00:20:59,458 --> 00:21:04,163 あの野郎なあ 麦湯売りのね おたよんとこ行ったようなんですよ。 285 00:21:04,163 --> 00:21:08,033 下手人に仕返しされやしねえかって そうは言ってはいましたけどもね。 286 00:21:08,033 --> 00:21:13,739 そうか。 徳松が ついててくれりゃ 安心だな。 ハッハッハッハ。 287 00:21:15,508 --> 00:21:18,210 (カラスの鳴き声) 288 00:21:20,179 --> 00:21:23,516 ああ… お帰りなさいまし。 うん。 289 00:21:23,516 --> 00:21:27,853 あれ 佃島から しょっちゅう うちへ 魚を持ってきてくれてる➡ 290 00:21:27,853 --> 00:21:30,856 岩吉っていう漁師なんですがね。 291 00:21:32,725 --> 00:21:38,864 あの麦湯売りのおたよ あれの親たちも 佃の漁師だったそうで➡ 292 00:21:38,864 --> 00:21:44,203 岩吉は おたよとも その姉のおはまとも 幼なじみだそうなんです。 293 00:21:44,203 --> 00:21:47,106 おたよは 佃の生まれかあ。 へえ。 294 00:21:47,106 --> 00:21:49,542 まあ 親たちが 次々に死んでっから➡ 295 00:21:49,542 --> 00:21:52,211 薬研堀の方で 暮らしてるらしいんですがね➡ 296 00:21:52,211 --> 00:21:54,880 岩吉は いまだに 魚なんか 時々 持ってってやって➡ 297 00:21:54,880 --> 00:21:57,216 親しくしているそうですが➡ 298 00:21:57,216 --> 00:22:00,820 …それ 心配しましてね。 何の心配だ? 299 00:22:00,820 --> 00:22:05,491 いえ その… おたよが 仕返しをされやしねえかっていうんで。 300 00:22:05,491 --> 00:22:07,426 ハッハッハッハ…。 301 00:22:07,426 --> 00:22:11,363 徳松と同じことを言うんだな。 えっ? 302 00:22:11,363 --> 00:22:14,166 おたよは 下手人の顔を見たわけではないから➡ 303 00:22:14,166 --> 00:22:16,101 仕返しをされる心配はねえよ。 304 00:22:16,101 --> 00:22:19,038 (岩吉)けど 下手人の方が勘違いして➡ 305 00:22:19,038 --> 00:22:22,508 おたよさんに 顔を見られたんじゃねえか って勘違いして…。 306 00:22:22,508 --> 00:22:24,443 う~ん なるほどなあ。 307 00:22:24,443 --> 00:22:26,845 こりゃあ ねえとは 言えねえこってござんすよ。 308 00:22:26,845 --> 00:22:30,182 あれから 麦湯を売りにも出ていかねえで…。 309 00:22:30,182 --> 00:22:32,518 かわいそうに おたよさん。 310 00:22:32,518 --> 00:22:36,188 岩吉 今日は もう 薬研堀には行ってきたのか? 311 00:22:36,188 --> 00:22:38,123 いえ まだ これからです。 312 00:22:38,123 --> 00:22:40,059 そうか。 それじゃあ 俺も一緒に連れてってくれ。 313 00:22:40,059 --> 00:22:42,061 え~ また お出かけになるんですか? 314 00:22:42,061 --> 00:22:45,531 おたよにも それから 姉のおはまというのにも会ってみたい。 315 00:22:45,531 --> 00:22:50,536 へい お供しますだ! 舟で来てますから 乗ってくだせえ! さっ…。 316 00:22:55,207 --> 00:23:01,814 (赤ん坊の泣き声と子供たちの声) 317 00:23:01,814 --> 00:23:04,483 おう 変わりねえな。 (徳松)へい。 318 00:23:04,483 --> 00:23:06,785 病人に やってくれ。 319 00:23:09,154 --> 00:23:11,090 おたよちゃん。➡ 320 00:23:11,090 --> 00:23:13,025 神林の若様だ。 321 00:23:13,025 --> 00:23:15,027 おはまさんに土産だとよ。 322 00:23:15,027 --> 00:23:19,498 まあ すみません。 うん。 323 00:23:19,498 --> 00:23:21,500 どうだね? 324 00:23:24,370 --> 00:23:27,172 おっと いいから寝ていてくれ。 325 00:23:27,172 --> 00:23:31,844 (おはま)はい。 今日は だいぶいいんです。 起きようと思っていたとこですから。 326 00:23:31,844 --> 00:23:34,179 あら 岩吉さんも一緒だったの? 327 00:23:34,179 --> 00:23:36,515 おう。 俺が頼んで 来てもらったんだよ。 328 00:23:36,515 --> 00:23:39,852 仕返しされるといけねえからよ。 そんなことは させねえよ。 329 00:23:39,852 --> 00:23:42,187 俺がついてらあ。 330 00:23:42,187 --> 00:23:45,858 この度は お世話さまになりまして…。 331 00:23:45,858 --> 00:23:50,195 いやいや かえって お前にまで心配をかけてしまったな。 332 00:23:50,195 --> 00:23:53,499 体に障らぬように 気を付けてくれ。 333 00:23:57,536 --> 00:23:59,471 入れぼくろ…。 334 00:23:59,471 --> 00:24:02,141 はい? 335 00:24:02,141 --> 00:24:06,011 いや 何でもない。 こっちのことだ。 336 00:24:06,011 --> 00:24:12,151 ♬~ 337 00:24:12,151 --> 00:24:15,154 岩吉 おはまというのは いくつぐらいだ? 338 00:24:15,154 --> 00:24:17,823 25か 6になりましょう。 339 00:24:17,823 --> 00:24:21,694 親父が ばくちに負けて おはまが 苦界に身を沈めた…。 340 00:24:21,694 --> 00:24:23,696 なあ そんなことが ありゃしなかったか? 341 00:24:23,696 --> 00:24:26,165 いや そんなことは なかったですよ。➡ 342 00:24:26,165 --> 00:24:31,503 おはまさんは 13ぐらいから 女中奉公に出てましたから。 343 00:24:31,503 --> 00:24:35,841 あれほどの器量だ。 嫁に欲しいと言う男も 少なくはなかったろう。 344 00:24:35,841 --> 00:24:38,177 なぜ嫁入りをしなかったんだ? 345 00:24:38,177 --> 00:24:43,849 ええ… 奉公して 4~5年で 体こわしちまったってえから➡ 346 00:24:43,849 --> 00:24:45,784 それじゃねえですか? 347 00:24:45,784 --> 00:24:48,187 おはまが奉公していた先は どこの 何といううちだ? 348 00:24:48,187 --> 00:24:50,522 (岩吉)知りません。 もしかして 吉原…➡ 349 00:24:50,522 --> 00:24:53,425 吉原のどこかに奉公していたと 聞きはしなかったか? 350 00:24:53,425 --> 00:24:56,395 いや 向島って聞きました。 351 00:24:56,395 --> 00:24:59,531 向島? ええ。 いえ よくは知らねえんですが➡ 352 00:24:59,531 --> 00:25:02,134 向島って聞いた覚えがあります。 353 00:25:02,134 --> 00:25:05,471 岩吉。 おたよと おはまの生まれた 佃へ行ってみたい。 354 00:25:05,471 --> 00:25:07,773 連れてってくれ。 へい 合点だい! 355 00:25:23,489 --> 00:25:26,825 これが おはまと おたよの生まれたうちか…。 356 00:25:26,825 --> 00:25:30,496 久しく 住む人もいませんでしたから…。 357 00:25:30,496 --> 00:25:33,165 (娘たちの声) 358 00:25:33,165 --> 00:25:35,100 早く~! 早く! 359 00:25:35,100 --> 00:25:38,036 (岩吉)みんな 漁師の娘ですよ。 360 00:25:38,036 --> 00:25:40,839 おはまも おたよも 幼い頃には➡ 361 00:25:40,839 --> 00:25:43,509 ああして 元気に ここの海で泳いでいたのだなあ。 362 00:25:43,509 --> 00:25:47,379 2人とも 泳ぎはうまかったですよ。 よく元気に笑ってましたっけ。 363 00:25:47,379 --> 00:25:51,383 (娘たちの声) 364 00:25:51,383 --> 00:25:53,519 岩吉! へい 何です? 365 00:25:53,519 --> 00:25:55,454 娘たちの手に持ってるものは何だ? 366 00:25:55,454 --> 00:25:58,857 銛ですよ。 銛? 367 00:25:58,857 --> 00:26:03,695 (岩吉)水に潜って あの銛で魚を突くんです。 368 00:26:03,695 --> 00:26:08,133 おはまさんも おたよちゃんも そりゃ 上手に突いたもんでさあ。 369 00:26:08,133 --> 00:26:49,508 ♬~ 370 00:26:49,508 --> 00:26:52,845 (岩吉)旦那 どうかしなすったんですか? 371 00:26:52,845 --> 00:26:54,780 いや…。 372 00:26:54,780 --> 00:27:04,790 ♬~ 373 00:27:04,790 --> 00:27:10,462 ♬~(ざわめき) 374 00:27:10,462 --> 00:27:18,804 ♬~ 375 00:27:18,804 --> 00:27:24,476 どこへ行くんですか? 黙ってついてくりゃあ 分かるよ。 376 00:27:24,476 --> 00:27:26,478 東吾さん…。 377 00:27:29,815 --> 00:27:34,486 おかみさんだね? (おきん)はい おきんでございます。 378 00:27:34,486 --> 00:27:40,159 この松浦屋に 佃の漁師の娘で おはまというのが 奉公していたな? 379 00:27:40,159 --> 00:27:43,495 えっ? 女郎ではなく 女中だ。 380 00:27:43,495 --> 00:27:46,832 向島の寮で働いていたのかもしれぬが…。 381 00:27:46,832 --> 00:27:49,501 忘れるはずはなかろう! 382 00:27:49,501 --> 00:27:53,839 おはまと伊兵衛は 互いの腕に 入れ墨までして 将来を誓い合った仲。 383 00:27:53,839 --> 00:27:55,774 既に お調べはついている。 384 00:27:55,774 --> 00:27:58,477 下手に隠すと ためにならぬぞ! 385 00:28:05,117 --> 00:28:08,787 (おきん)申し訳ございません。 386 00:28:08,787 --> 00:28:15,460 おはまのことは 全くもって 私どもの落ち度でございました。 387 00:28:15,460 --> 00:28:19,798 そりゃまあ 若い2人のことでございますから➡ 388 00:28:19,798 --> 00:28:24,469 そういう仲になったのは 致し方がないとしても➡ 389 00:28:24,469 --> 00:28:28,807 人様の大事な娘さんに 入れぼくろを入れるだなんて➡ 390 00:28:28,807 --> 00:28:35,814 とんだことだと 伊兵衛を きつく叱りはしましたが…。 391 00:28:38,150 --> 00:28:43,155 えいっほ えいっほ えいっほ えいっほ…。 392 00:28:48,493 --> 00:28:53,365 東吾さん。 松浦屋のおかみ うまく 鎌にかかりましたな。 393 00:28:53,365 --> 00:28:56,368 かかり過ぎだよ。 ああまでうまく かかってくるとは➡ 394 00:28:56,368 --> 00:28:59,838 かけたこっちも思わなかった。 395 00:28:59,838 --> 00:29:02,441 俺は ただ ひょっとして➡ 396 00:29:02,441 --> 00:29:06,111 おはまが奉公していたのが 松浦屋ではなかったかと思って➡ 397 00:29:06,111 --> 00:29:08,046 鎌をかけてみただけだったんだ。 398 00:29:08,046 --> 00:29:11,984 これで 伊兵衛殺しの下手人は おはまだってことに…。 399 00:29:11,984 --> 00:29:14,786 なるかね? 400 00:29:14,786 --> 00:29:17,689 東吾さん そう お考えだったんでしょう? 401 00:29:17,689 --> 00:29:21,660 お互いが 納得ずくで 入れぼくろをした仲になったのなら➡ 402 00:29:21,660 --> 00:29:24,796 伊兵衛のおふくろの おきんが ああまで うろたえるわけがねえ。 403 00:29:24,796 --> 00:29:28,667 俺は 伊兵衛が おはまを 手ごめにしたんだと思った。 404 00:29:28,667 --> 00:29:32,671 が それにしても もう十何年も前の話だ。 405 00:29:32,671 --> 00:29:37,376 そんな昔の恨みを 今になって晴らそうとするだろうか? 406 00:29:37,376 --> 00:29:41,146 一応 金で 片ぁつけたでしょうしね。 うん。 407 00:29:41,146 --> 00:29:48,487 と同時に おきんが顔色を変え 体を震わせていた あのろうばいぶりが➡ 408 00:29:48,487 --> 00:29:51,156 俺には もう一つ 腑に落ちねえ。 409 00:29:51,156 --> 00:29:54,493 ただの色恋 入れぼくろをし合った仲だってほかに➡ 410 00:29:54,493 --> 00:29:57,396 何か なけりゃあ おはまは 伊兵衛を殺しゃあしない➡ 411 00:29:57,396 --> 00:29:59,364 おきんが あんなに うろたえるはずはない➡ 412 00:29:59,364 --> 00:30:01,366 そう お考えなんですね。 うん。 413 00:30:01,366 --> 00:30:05,504 八丁堀が 槍で突いたと判断していた 伊兵衛の胸の傷は➡ 414 00:30:05,504 --> 00:30:09,174 佃で 漁師の娘たちが持っていた銛を見た時➡ 415 00:30:09,174 --> 00:30:11,843 そうか おはまは こいつで 伊兵衛を突いたなと➡ 416 00:30:11,843 --> 00:30:14,513 納得はいったんだが…。 いや 待ってくださいよ 東吾さん。 417 00:30:14,513 --> 00:30:19,184 あの晩 麦湯売りに出てたのは おはまじゃない おたよだったんですよ。 418 00:30:19,184 --> 00:30:22,087 源さんらしくもねえ。 おたよが言ったろう。 419 00:30:22,087 --> 00:30:25,857 体のいい時は 姉も手伝ってくれるのだと。 420 00:30:25,857 --> 00:30:28,527 じゃあ 2人で出てたんですか? 421 00:30:28,527 --> 00:30:31,196 恐らくな。 422 00:30:31,196 --> 00:30:33,532 2人で殺したんですか? 423 00:30:33,532 --> 00:30:35,467 殺したのは おはま一人だ。 424 00:30:35,467 --> 00:30:38,403 銛で人を突けば 当然 返り血を浴びる。 425 00:30:38,403 --> 00:30:42,207 おたよの着物に 血の跡はなかった。 426 00:30:42,207 --> 00:30:44,543 おはまが…。 427 00:30:44,543 --> 00:30:49,214 女のおはまが たった一人で 伊兵衛と小文を殺したってんですか? 428 00:30:49,214 --> 00:30:51,550 うん。 429 00:30:51,550 --> 00:30:56,888 (2人の笑い声) 430 00:30:56,888 --> 00:31:01,727 おはまは 伊兵衛が 小文に熱くなって 通ってきてるのを知っていた。 431 00:31:01,727 --> 00:31:06,164 折を見て殺してやろうと 屋台のどこかに銛を隠して➡ 432 00:31:06,164 --> 00:31:08,467 柳橋へ商いに来ていた。 433 00:31:10,035 --> 00:31:13,038 待って 若旦那。 434 00:31:13,038 --> 00:31:15,040 (伊兵衛)誰? 435 00:31:17,175 --> 00:31:21,847 何だ ハッハ… おはまじゃないか。➡ 436 00:31:21,847 --> 00:31:24,149 フフ… ハッハッハッハ。 437 00:31:37,863 --> 00:31:42,200 (小文)若旦那 どうしたってんです? 438 00:31:42,200 --> 00:31:45,504 何してんですよ? 若旦那。 439 00:31:48,073 --> 00:31:50,542 ああ~っ! 440 00:31:50,542 --> 00:31:55,847 何すんだ お前! 人殺し~! 441 00:31:57,416 --> 00:31:59,418 ああ~っ! 442 00:32:02,821 --> 00:32:04,823 (小文)あ…。 443 00:32:12,831 --> 00:32:16,501 姉ちゃん? 何してんのよ? 444 00:32:16,501 --> 00:32:19,171 来るんじゃない! え? 445 00:32:19,171 --> 00:32:22,174 見ちゃいけないよ。 向こうへ お行き! 446 00:32:24,042 --> 00:32:26,044 はっ…! 447 00:32:30,782 --> 00:32:33,084 姉ちゃん! (おはま)寄るんじゃない! 448 00:32:36,188 --> 00:32:38,490 血がつくじゃないか。 449 00:32:43,528 --> 00:32:50,202 姉ちゃん… 何で…。 450 00:32:50,202 --> 00:32:54,072 (泣き声) 451 00:32:54,072 --> 00:32:58,777 泣かないでおくれ おたよちゃん…。 452 00:33:05,684 --> 00:33:14,392 姉ちゃん… 長い間の恨みを やっと晴らしたんだよ。 453 00:33:14,392 --> 00:33:23,101 (泣き声) 454 00:33:26,505 --> 00:33:33,178 泣かないで 笑っておくれ…。 455 00:33:33,178 --> 00:33:42,187 ♬~ 456 00:33:42,187 --> 00:33:46,524 では おたよが うそをついてたってんですか? 457 00:33:46,524 --> 00:33:53,198 姉をかばって おたよにすれば 命懸けで 八丁堀のお役人に うそをついた。 458 00:33:53,198 --> 00:33:57,068 背の高い男が逃げてったって あれは…➡ 459 00:33:57,068 --> 00:34:00,472 あれは おたよが必死についた うそだったんですか…。 460 00:34:00,472 --> 00:34:02,807 はなっから 変だと思った。 461 00:34:02,807 --> 00:34:06,144 あの暗さで 逃げてきたのが男だと おたよは言い切った。 462 00:34:06,144 --> 00:34:10,015 「よく分かったな」って言うと 「頭に手拭いを乗せていたから➡ 463 00:34:10,015 --> 00:34:13,018 背の高いのが はっきり分かった」と おたよは言ったが➡ 464 00:34:13,018 --> 00:34:16,788 なあ 源さん 人を殺して逃げるやつが➡ 465 00:34:16,788 --> 00:34:19,691 背筋をまっすぐに伸ばして 立って歩くかい? 466 00:34:19,691 --> 00:34:24,829 大概なら 身をこごめて 体を低くして逃げそうなもんじゃねえか。 467 00:34:24,829 --> 00:34:28,166 なぜ そこに気が付かなかったんだ! 468 00:34:28,166 --> 00:34:31,503 命懸けのうそだ。 だまされてやるのが 本当だよ。 469 00:34:31,503 --> 00:34:35,373 東吾さん! 薬研堀 行ってみます。 470 00:34:35,373 --> 00:34:37,375 おはまを お縄にするってのか? 471 00:34:37,375 --> 00:34:39,844 もし おはまが生きていれば…。 472 00:34:39,844 --> 00:34:42,547 生きて…? おい 源さん! 473 00:34:45,517 --> 00:34:47,519 源さん! 474 00:34:59,531 --> 00:35:02,801 源さん 来たな? へい。で? 475 00:35:02,801 --> 00:35:05,704 間に合いませんでした。 何!? 476 00:35:05,704 --> 00:35:08,707 おはまは 首をくくって 死にましたよ。 477 00:35:12,143 --> 00:35:25,156 (おたよの泣き声) 478 00:35:25,156 --> 00:35:31,162 東吾さん… 見てやってください。 479 00:35:39,170 --> 00:35:44,509 ♬~ 480 00:35:44,509 --> 00:35:46,845 なんてこった…。 481 00:35:46,845 --> 00:35:52,717 ♬~ 482 00:35:52,717 --> 00:35:55,186 ひでえことをしやがる。 483 00:35:55,186 --> 00:36:00,458 鬼だ! あいつは鬼です! おたよちゃん…。 484 00:36:00,458 --> 00:36:07,132 姉ちゃんの一生を 伊兵衛が… 伊兵衛が めちゃくちゃに! 485 00:36:07,132 --> 00:36:10,035 年端もいかねえ小娘…➡ 486 00:36:10,035 --> 00:36:14,039 手ごめにされただけでも どんなに悲しいことだったか…。 487 00:36:16,808 --> 00:36:20,478 親からもらった玉の肌➡ 488 00:36:20,478 --> 00:36:23,148 こんなに汚されちまって…。 489 00:36:23,148 --> 00:36:26,051 毒をのんで 死のうとしたっていいます。 490 00:36:26,051 --> 00:36:30,488 けど 人に見つけられ 助けられて➡ 491 00:36:30,488 --> 00:36:33,158 命は どうやら 取り留めたが➡ 492 00:36:33,158 --> 00:36:35,827 それがもとで 体 悪くして➡ 493 00:36:35,827 --> 00:36:40,498 それからは 寝たり起きたりの毎日だった っていいます。 494 00:36:40,498 --> 00:36:43,168 むごい話だ。 許せません。 495 00:36:43,168 --> 00:36:45,837 松浦屋じゃあ 金くれて➡ 496 00:36:45,837 --> 00:36:48,740 世間に言うなと 口止めしたんだそうです。 497 00:36:48,740 --> 00:36:51,509 金で片ぁつくこっちゃねえ! 498 00:36:51,509 --> 00:36:56,848 でも 姉ちゃんは言いませんでした。 499 00:36:56,848 --> 00:36:59,751 私にだって言わなかった…。 500 00:36:59,751 --> 00:37:04,656 (徳松)じっと歯を食いしばって 黙ってたんだよね きっと…。 501 00:37:04,656 --> 00:37:10,128 だから 私 知らないで➡ 502 00:37:10,128 --> 00:37:15,433 姉ちゃんに 随分 つらい思いをさせてしまい…。 503 00:37:23,141 --> 00:37:25,477 姉ちゃん。 何? 504 00:37:25,477 --> 00:37:30,181 お湯くんだから 体 洗いなよ。 ありがとう。 505 00:37:31,816 --> 00:37:35,687 おたよちゃんが商いに出かけたら 洗うわ。 506 00:37:35,687 --> 00:37:39,157 それじゃ お湯が冷めちまうじゃないの。 今 お入りよ。 507 00:37:39,157 --> 00:37:43,828 後で いいのよ。 駄目。 洗ってあげる。 508 00:37:43,828 --> 00:37:46,164 やめて! 強情 張らずに➡ 509 00:37:46,164 --> 00:37:48,466 たまには 私の言うこと聞きなさい。 510 00:37:50,502 --> 00:37:58,176 姉ちゃん… 何なの これ。 何なのよ!?➡ 511 00:37:58,176 --> 00:38:03,181 姉ちゃん…。 おたよちゃん…。 512 00:38:06,451 --> 00:38:18,062 (おはまの泣く声) 513 00:38:18,062 --> 00:38:19,998 姉ちゃん…。 514 00:38:19,998 --> 00:38:33,144 ♬~ 515 00:38:33,144 --> 00:38:37,816 ちっちゃい時から 佃の海で泳いでいたから➡ 516 00:38:37,816 --> 00:38:43,154 私 姉ちゃんの裸 よく見て知ってます。 517 00:38:43,154 --> 00:38:51,029 日に焼けて 海から上がると 水が玉になって➡ 518 00:38:51,029 --> 00:38:55,166 きれいな肌してたのに。 519 00:38:55,166 --> 00:39:00,972 姉ちゃん 入れ墨のこと 私にだって言わなかったけど➡ 520 00:39:00,972 --> 00:39:06,444 あいつのこと ずっと恨んで 生きてきたんだって そう言ってました。 521 00:39:06,444 --> 00:39:12,317 生かしちゃおけない 殺してやるって 姉ちゃん…。 522 00:39:12,317 --> 00:39:15,787 もっともだ。 無理はねえ! 523 00:39:15,787 --> 00:39:20,124 (おたよ)柳橋へ屋台を出して 姉ちゃんが あいつを殺そうと➡ 524 00:39:20,124 --> 00:39:24,796 屋台へ銛を忍ばせていたことも 私 ちゃんと知ってました。 525 00:39:24,796 --> 00:39:29,133 知ってても 姉ちゃん 止めようと思いませんでした。 526 00:39:29,133 --> 00:39:35,807 私も 姉ちゃんと一緒に あいつ殺してやるって思ってました! 527 00:39:35,807 --> 00:39:40,144 当たり前だい! 誰だって思うさ。 528 00:39:40,144 --> 00:39:45,483 だのに 姉ちゃん 私を巻き添えにしたくなくて➡ 529 00:39:45,483 --> 00:39:52,156 あの晩 私が 水くみに行ってる隙に…。 530 00:39:52,156 --> 00:39:57,028 (源三郎)おはまは この春に また 血ぃ吐いたんだそうです。 531 00:39:57,028 --> 00:40:00,031 長くはない命と覚悟を決めて➡ 532 00:40:00,031 --> 00:40:04,168 恨み抜いてきた伊兵衛を殺そうと 考えていたに違いありません。 533 00:40:04,168 --> 00:40:06,104 うん。 534 00:40:06,104 --> 00:40:09,841 それにしても 伊兵衛って男 人間じゃねえ! 535 00:40:09,841 --> 00:40:15,713 おもちゃにしただけでは飽き足らずに 面白ずくで こんなひどい入れ墨を…! 536 00:40:15,713 --> 00:40:18,850 たった一度の命…➡ 537 00:40:18,850 --> 00:40:23,521 どんな花でも咲かせよう女の一生 踏みにじりやがって…。 538 00:40:23,521 --> 00:40:27,191 金で片ぁつくと思っていた 伊兵衛親子を許せません! 539 00:40:27,191 --> 00:40:31,195 源さん 吉原へ行こう! はい! 540 00:40:33,064 --> 00:40:35,533 俺も連れてっておくんなさいよ! 俺も! 541 00:40:35,533 --> 00:40:37,869 お前は おたよちゃんについていてやれ。 542 00:40:37,869 --> 00:40:41,205 おたよ! (おたよ)はい。 543 00:40:41,205 --> 00:40:43,875 しっかりするんだぞ。 いいか!? 544 00:40:43,875 --> 00:40:49,747 お前の姉さんは 真っ暗闇の中 涙流し続けて死んじまったが➡ 545 00:40:49,747 --> 00:40:52,550 お前には まだ青空が残っている。 546 00:40:52,550 --> 00:40:56,888 あの佃島の 青い空をそのまま染めたような➡ 547 00:40:56,888 --> 00:40:59,557 美しい青い海も…。 548 00:40:59,557 --> 00:41:05,830 せめて お前だけでも 幸薄く死んだ おはまの分まで➡ 549 00:41:05,830 --> 00:41:08,166 幸せになってくれ! 550 00:41:08,166 --> 00:41:10,101 はい…。 551 00:41:10,101 --> 00:41:12,837 八丁堀にも 分からず屋ばかりがいるわけじゃねえ。 552 00:41:12,837 --> 00:41:15,740 俺や源さんや徳松みてえな男もいるんだ! 553 00:41:15,740 --> 00:41:18,710 はい… ありがとうございます。 554 00:41:18,710 --> 00:41:22,513 東吾さん! 行きましょう! うん! 555 00:41:22,513 --> 00:41:32,523 ♬~ 556 00:41:32,523 --> 00:41:34,525 姉ちゃん…。 557 00:41:36,394 --> 00:41:39,197 (悲鳴) 558 00:41:39,197 --> 00:41:41,866 どけい! どけ どけ どけ! 559 00:41:41,866 --> 00:41:44,168 (悲鳴) 560 00:41:46,204 --> 00:41:48,139 何をするんですよ! 561 00:41:48,139 --> 00:41:50,541 やっ! あっ! あっ…。 562 00:41:50,541 --> 00:41:53,444 おかみさん! 誰か 番所へ知らせといで! 563 00:41:53,444 --> 00:41:55,446 騒ぐんじゃねえ! 静かにしろい! 564 00:41:57,215 --> 00:41:59,550 おきん! 何ですよ? 565 00:41:59,550 --> 00:42:02,153 十何年前のことだが おめえ 忘れちゃいめえ。 566 00:42:02,153 --> 00:42:04,822 奉公人 おはま てめえのせがれが辱め➡ 567 00:42:04,822 --> 00:42:09,160 てめえ それを金で片ぁつけようとしたな。 その罪は軽かねえぞ! 568 00:42:09,160 --> 00:42:13,498 家財没収 家は闕所 江戸御構は 免れねえところだ。 569 00:42:13,498 --> 00:42:16,834 やい! 神妙に お縄を頂戴しろい! 570 00:42:16,834 --> 00:42:18,770 あああ…。 571 00:42:18,770 --> 00:42:23,174 ばかなせがれの位はい抱いて とっとと うせろ! 572 00:42:23,174 --> 00:42:27,512 はああ… 伊兵衛…。 573 00:42:27,512 --> 00:42:35,186 伊兵衛 い… 伊兵衛 伊兵衛! 574 00:42:35,186 --> 00:42:40,057 (泣き声) 575 00:42:40,057 --> 00:43:07,118 ♬~(木遣り) 576 00:43:07,118 --> 00:43:10,488 おたよちゃん ここ座って。 577 00:43:10,488 --> 00:43:13,825 遠慮することはない。 姉さんの供養だ。 578 00:43:13,825 --> 00:43:15,760 はい。 579 00:43:15,760 --> 00:43:24,168 ♬~(木遣り) 580 00:43:24,168 --> 00:43:26,504 おい。 へっ? 581 00:43:26,504 --> 00:43:29,841 飲めよ。 ああ。 582 00:43:29,841 --> 00:43:33,511 それで おたよちゃん これから どうする気だい? 583 00:43:33,511 --> 00:43:37,181 よかったら ねえ このうちへ いらっしゃいな。 584 00:43:37,181 --> 00:43:39,117 そうですよ おたよちゃん。 585 00:43:39,117 --> 00:43:42,520 おきくちゃんや おもよちゃんがいるから さみしくないでしょ。 586 00:43:42,520 --> 00:43:46,190 ありがとうございます。 587 00:43:46,190 --> 00:43:49,861 でも 私…➡ 588 00:43:49,861 --> 00:43:53,531 佃島へ帰ります。 589 00:43:53,531 --> 00:43:56,200 佃島へ? はい。 590 00:43:56,200 --> 00:43:59,203 そうか 佃島へなあ。 591 00:44:03,007 --> 00:44:18,155 ♬~ 592 00:44:18,155 --> 00:44:24,495 佃島で 明るい日に照らされ 海の風に肌をさらして暮らしていたら…➡ 593 00:44:24,495 --> 00:44:28,166 うん! おたよも きっと幸せになれる! 594 00:44:28,166 --> 00:44:32,503 でも 一人でやれるかしら? 595 00:44:32,503 --> 00:44:37,175 やれますよ。 女にでもできる仕事を見つけて➡ 596 00:44:37,175 --> 00:44:39,510 ちゃんと生きていきます。 597 00:44:39,510 --> 00:44:42,180 ♬~ 598 00:44:42,180 --> 00:44:46,517 ばかやろ! 飲めよ ほら。ええ。 ほら ほら…。 599 00:44:46,517 --> 00:44:57,228 ♬~ 600 00:45:10,708 --> 00:45:14,145 さようなら。 元気でね。 601 00:45:14,145 --> 00:45:16,147 はい。 602 00:45:20,484 --> 00:45:23,154 よっ! 603 00:45:23,154 --> 00:45:25,856 達者でな。 へい! 604 00:45:32,830 --> 00:45:36,701 ⚟(藤吉)徳松 おい! あら。 605 00:45:36,701 --> 00:45:39,503 全く しょうがねえな 大事な時に いもしねえで。 606 00:45:39,503 --> 00:45:41,439 何だい 大事な時にってのは? へえ。 607 00:45:41,439 --> 00:45:44,375 明石橋の石置き場と柳原土手の➡ 608 00:45:44,375 --> 00:45:47,178 芋刺しの下手人が 召し捕りになりましたんで。 609 00:45:47,178 --> 00:45:49,113 本当か? 本当だよ。 610 00:45:49,113 --> 00:45:51,048 で 下手人というのは? 誰なの? 611 00:45:51,048 --> 00:45:54,051 日本橋のね 古道具屋の主でした。 612 00:45:54,051 --> 00:45:56,187 古道具屋? 613 00:45:56,187 --> 00:45:59,857 いや 女房がね 若い男と駆け落ちをしましてね➡ 614 00:45:59,857 --> 00:46:02,760 それから どうも この おかしくなっちゃったらしいんですよね。 615 00:46:02,760 --> 00:46:07,465 なるほど 古道具屋なら 脇差しも刀も たやすく手に入るわけだ。 616 00:46:07,465 --> 00:46:09,400 (藤吉)ヘヘヘヘッ。 それにしても➡ 617 00:46:09,400 --> 00:46:12,136 下手人が挙がって ようございました。 うん。 618 00:46:12,136 --> 00:46:14,805 これからは安心して 夕涼みにも出られます。 619 00:46:14,805 --> 00:46:18,676 違えねえ。それでなきゃ お江戸の夏らしくありませんものね。 620 00:46:18,676 --> 00:46:21,479 おっ 今夜辺り どうだい? 涼みに出かけようか。 621 00:46:21,479 --> 00:46:24,382 えっ! 連れてってくださるんですか? うん。 622 00:46:24,382 --> 00:46:26,817 あっ それなら 石原の…。 ばか野郎! 623 00:46:26,817 --> 00:46:30,488 どこ行くか決めるのは おめえじゃねえ。 おめえは 黙って消えりゃいいんだよ。 624 00:46:30,488 --> 00:46:34,191 どうも ごめんなすって! あ… そうか いけねえ。 625 00:46:35,826 --> 00:46:38,162 おい おい おい おい! おっと!何を もたもた…。 626 00:46:38,162 --> 00:46:40,498 どっちが年寄りだか 分からねえじゃねえか! 627 00:46:40,498 --> 00:46:43,834 立て! ごめんなすって。 628 00:46:43,834 --> 00:46:47,171 (笑い声) 629 00:46:47,171 --> 00:48:49,160 ♬~