1 00:00:02,102 --> 00:00:11,178 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:11,178 --> 00:02:10,497 ♬~ 3 00:02:10,497 --> 00:02:18,805 ⚟(鳥の鳴き声) 4 00:02:21,174 --> 00:02:24,678 (東吾)のどかなものだな。 (源三郎)百舌が よく鳴きますな。 5 00:02:24,678 --> 00:02:28,315 林間 紅葉をたいて 久しぶりに酒でも酌み交わそうと➡ 6 00:02:28,315 --> 00:02:30,250 羅山先生のお招き➡ 7 00:02:30,250 --> 00:02:32,185 こいつは ありがてえと 早速に出てきたが➡ 8 00:02:32,185 --> 00:02:35,188 来てみて よかったな。 そうですな~。 9 00:02:35,188 --> 00:02:37,991 町じゅうを駆けずり回って➡ 10 00:02:37,991 --> 00:02:40,527 ほこりの染み込んだ体が 洗われるようですな。 11 00:02:40,527 --> 00:02:44,031 うん…。 体も心も きれいさっぱりとな。 12 00:02:44,031 --> 00:02:48,201 おっ! あの花 何て花か知ってますか? 13 00:02:48,201 --> 00:02:52,005 んっ? どれだい? ほら あれですよ…。 14 00:02:54,007 --> 00:02:56,543 (金属音) しまった! 15 00:02:56,543 --> 00:02:58,478 どうしたい? 源さん。 16 00:02:58,478 --> 00:03:00,414 気を付けてください。 罠です! 17 00:03:00,414 --> 00:03:03,150 罠!? 18 00:03:03,150 --> 00:03:05,652 きつねでも捕る罠でしょう。 19 00:03:05,652 --> 00:03:08,488 まだ ほかにも仕掛けてあるかもしれない。 20 00:03:08,488 --> 00:03:11,391 待ってろ 源さん。 外してやるから…。 21 00:03:11,391 --> 00:03:13,393 あ~ すいません。 えい! 22 00:03:15,996 --> 00:03:18,298 (罠を外す音) んっ! 23 00:03:18,298 --> 00:03:22,836 お~ じっとしてろ。 血が出てるぜ。 24 00:03:22,836 --> 00:03:28,642 あ~ すいませんな。 なに 歩けるでしょう。 25 00:03:28,642 --> 00:03:30,577 よいしょ…。 26 00:03:30,577 --> 00:03:34,181 なに なに… 歩きます。 おい 大丈夫かい? 27 00:03:34,181 --> 00:03:38,518 ほらほら 無理すんな! 源さん 肩へ つかまれ。 28 00:03:38,518 --> 00:03:41,021 ⚟(むめ)どうかなさいましたか? 29 00:03:45,192 --> 00:03:51,965 ♬~ 30 00:03:51,965 --> 00:03:54,868 (むめ)こちらでございます。 31 00:03:54,868 --> 00:04:17,157 ♬~ 32 00:04:17,157 --> 00:04:19,659 (おすが)申し訳ございません。 33 00:04:19,659 --> 00:04:23,530 この辺りの農家の者が 仕掛けた罠だと思います。 34 00:04:23,530 --> 00:04:28,301 (むめ)獣が この時期になりますと ひどく田畑を荒らしますので➡ 35 00:04:28,301 --> 00:04:30,237 罠を仕掛けます。 36 00:04:30,237 --> 00:04:32,172 今 馬を用意させましたので➡ 37 00:04:32,172 --> 00:04:37,511 しばしの間 お茶など召して ご休息くださいませ。 38 00:04:37,511 --> 00:05:11,978 ♬~ 39 00:05:11,978 --> 00:05:13,914 頂戴します。 40 00:05:13,914 --> 00:05:26,827 ♬~ 41 00:05:26,827 --> 00:05:28,829 (お吉)どうぞ。 (源三郎)ああ ありがとよ。 42 00:05:30,697 --> 00:05:34,000 まあ 真っ昼間から きつねが 化けて出たわけじゃねえんでしょうが➡ 43 00:05:34,000 --> 00:05:35,936 いや~ きれいな人でしたね。 44 00:05:35,936 --> 00:05:37,871 どこの お嬢様なんですか? 45 00:05:37,871 --> 00:05:40,507 いや~ それが俺としたことが ぼんやりしていてな➡ 46 00:05:40,507 --> 00:05:44,678 名前も うちも聞かずに来てしまったから 素性が分からねえんだ。 47 00:05:44,678 --> 00:05:47,013 (るい)ぼんやりと見とれて 名前を聞くのを忘れるほど➡ 48 00:05:47,013 --> 00:05:49,849 おきれいな人でしたの? へえ~。 49 00:05:49,849 --> 00:05:52,519 どこかの大名の姫君 ってわけじゃねえんでしょうが➡ 50 00:05:52,519 --> 00:05:55,322 よほどに裕福なうちの娘にあることは 間違いありませんな。 51 00:05:55,322 --> 00:05:58,024 うん…。 おいくつなんですか? 52 00:05:58,024 --> 00:06:01,895 そう 27~28… いや? もう少し いっていたかな? 53 00:06:01,895 --> 00:06:04,631 (源三郎)うん…。 何だ 年増じゃありませんか! 54 00:06:04,631 --> 00:06:08,134 いや~… 年増だからこそ ぞっとするほど 色っぽいんですよ。 55 00:06:08,134 --> 00:06:10,637 おや おや…。 56 00:06:10,637 --> 00:06:15,275 いや それがね 東吾さんを見た途端に 親切になりましてね。 57 00:06:15,275 --> 00:06:17,210 ばか 言え! 58 00:06:17,210 --> 00:06:19,646 ありゃ 源さんが けがをしてたからじゃねえかい。 59 00:06:19,646 --> 00:06:21,581 けが人そっちのけで お茶や お菓子を…➡ 60 00:06:21,581 --> 00:06:23,516 大変なもてなしようだったじゃ ありゃあせんか。 61 00:06:23,516 --> 00:06:25,819 源さんも 近頃は とんと人が悪くなった。 62 00:06:25,819 --> 00:06:28,488 あんなこと言って るいにヤキモチを焼かそうとしてるんだ。 63 00:06:28,488 --> 00:06:30,991 (笑い声) ⚟(嘉助)失礼します。 64 00:06:30,991 --> 00:06:33,827 おう! はい! 65 00:06:33,827 --> 00:06:36,496 (嘉助)お嬢さん…。 えっ? 66 00:06:36,496 --> 00:06:40,367 ご存じですか? 長尾様のお屋敷に 捨て子があったって話。 67 00:06:40,367 --> 00:06:42,369 いいえ? んっ? 68 00:06:42,369 --> 00:06:45,505 あ~ それなら 昨日 八丁堀 帰ってから 聞いたな。 69 00:06:45,505 --> 00:06:47,440 何でも 吟味与力の 長尾 要さんの所へ➡ 70 00:06:47,440 --> 00:06:50,176 3つぐらいの男の子が 捨ててあったんだそうですよ。 71 00:06:50,176 --> 00:06:55,015 しかも それがどうやら 長尾様の お孫さんらしいって話なんですよ。 72 00:06:55,015 --> 00:06:58,051 ああ~? そいつは聞かなかったぜ? 73 00:06:58,051 --> 00:07:00,921 まあ 捨てるっていっても かいまきに くるまって➡ 74 00:07:00,921 --> 00:07:02,856 「おぎゃ~! おぎゃ~!」って 泣いてたわけじゃねえんで。 75 00:07:02,856 --> 00:07:05,592 独りで ちょこちょこと 長尾様の お屋敷へ入ってきたっていうんです➡ 76 00:07:05,592 --> 00:07:07,594 その男の子が…。 77 00:07:09,262 --> 00:07:11,264 (久助)何だ 何だ? どこの子だ お前は? 78 00:07:14,134 --> 00:07:16,603 (要)久助 どうした? 79 00:07:16,603 --> 00:07:19,105 (久助)あっ 旦那様 この子が手紙を…。 80 00:07:23,943 --> 00:07:25,879 (嘉助)その手紙が➡ 81 00:07:25,879 --> 00:07:30,450 5年前に家出をなすった 長尾様のお嬢様 雪乃様のもので➡ 82 00:07:30,450 --> 00:07:33,954 「長い間 親不孝をして申し訳ないが➡ 83 00:07:33,954 --> 00:07:35,889 この子は新太郎といって➡ 84 00:07:35,889 --> 00:07:39,459 間違いなく 長尾家の血筋を引く者であるから➡ 85 00:07:39,459 --> 00:07:44,464 どうか この子の行く末を くれぐれもお頼み申す」と書いてあった。 86 00:07:48,101 --> 00:07:50,971 それで… 雪乃様は 今 どこに? 87 00:07:50,971 --> 00:07:53,807 そいつは書いてなかったそうです。 88 00:07:53,807 --> 00:07:56,476 「お子の行く末を頼む」…。 89 00:07:56,476 --> 00:07:59,312 あなた! もしやして 雪乃様は➡ 90 00:07:59,312 --> 00:08:01,581 死ぬつもりではありますまいか! 91 00:08:01,581 --> 00:08:04,617 私が行ってきましょう。 痛っ! 92 00:08:04,617 --> 00:08:07,921 その足で何ができる? 93 00:08:07,921 --> 00:08:29,309 ♬~ 94 00:08:29,309 --> 00:08:34,614 雪乃さんは 年は私より2つ上でしたけど➡ 95 00:08:34,614 --> 00:08:40,420 どちらも母親を亡くし 父と娘 2人きりの家でしたから➡ 96 00:08:40,420 --> 00:08:45,625 随分と 仲良く行き来もしていましたが➡ 97 00:08:45,625 --> 00:08:49,295 私が あなたのことを➡ 98 00:08:49,295 --> 00:08:55,969 誰にも言えずに そっと 心の奥底深くで お慕い申すようになった あのころ➡ 99 00:08:55,969 --> 00:09:02,575 雪乃さんも 内与力の息子に思いを寄せて…。 100 00:09:02,575 --> 00:09:06,246 それなら 俺も知っている。 101 00:09:06,246 --> 00:09:11,918 跡取りの一人息子と 婿取りしなければならぬ 一人娘が➡ 102 00:09:11,918 --> 00:09:16,256 好き合うたのが 不幸の始まり…。 103 00:09:16,256 --> 00:09:22,962 中に立ってくれる人もあったんですがね… 結局は駄目でした。 104 00:09:31,604 --> 00:09:34,507 あのあと 長尾様は言ったそうだよ。 105 00:09:34,507 --> 00:09:39,078 「なぜ あの時 折れてやらなかったのか」ってね。 106 00:09:39,078 --> 00:09:41,948 長尾さんが折れて 雪乃さんを嫁にやっていたら…➡ 107 00:09:41,948 --> 00:09:44,951 あんなことにはならなかった。 108 00:09:44,951 --> 00:09:48,822 「長尾の家は 2人の間にできた子の中から➡ 109 00:09:48,822 --> 00:09:53,026 1人 養子にして 継がせればよかった」とな。 110 00:09:55,795 --> 00:09:59,666 まだ 元気だった私の父も…。 111 00:09:59,666 --> 00:10:02,969 父上も 何か おっしゃっていたのか? 112 00:10:02,969 --> 00:10:08,842 はい。 「こういうことは せいてはいかん。➡ 113 00:10:08,842 --> 00:10:15,482 2人が 真実 思い合っているのなら 時を待つことだ」…。 114 00:10:15,482 --> 00:10:21,988 「時」を。 時をな…。 115 00:10:21,988 --> 00:10:25,992 そのうちには 周りも折れよう…➡ 116 00:10:25,992 --> 00:10:32,632 障害だと思っていたことが いつしか そうでなくなる。 117 00:10:32,632 --> 00:10:39,839 しかし… 雪乃さんは 「時」を待てなかったか。 118 00:10:39,839 --> 00:10:45,011 ええ。 まるで 誰かに当てつけでもするように➡ 119 00:10:45,011 --> 00:10:49,849 別な つまらぬ男と駆け落ちをして…。 120 00:10:49,849 --> 00:10:54,687 長尾さん あの時は つらかったと思うよ。 121 00:10:54,687 --> 00:11:00,093 ですから 父も…。 122 00:11:00,093 --> 00:11:02,028 んっ? 123 00:11:02,028 --> 00:11:09,636 亡くなります少し前に 私にね 言ってくれましたの。 124 00:11:09,636 --> 00:11:15,308 「庄司の家は 俺の代で 終わらしてもいいのだぞ」って。 125 00:11:15,308 --> 00:11:19,979 父上が そんなことを…。 ええ。 126 00:11:19,979 --> 00:11:24,484 繰り返し 繰り返し… 私に言ってくれてました。 127 00:11:27,487 --> 00:11:33,660 きっと 私が あなたのことを お慕い申していると➡ 128 00:11:33,660 --> 00:11:36,863 父は知っていたのでございましょうね。 129 00:11:40,433 --> 00:11:42,735 るい…。 130 00:11:47,207 --> 00:11:50,843 ⚟(新太郎)わあ~! わあ~!➡ 131 00:11:50,843 --> 00:11:53,646 わあ~! わあ~…。 132 00:11:55,715 --> 00:11:59,419 どこかな? 新太郎さん どこ行っちゃったのかな? 133 00:12:02,088 --> 00:12:05,959 (新太郎)わあっ! あ~ びっくりした~! 134 00:12:05,959 --> 00:12:08,628 あっ るい殿 いつも すいませんな。 135 00:12:08,628 --> 00:12:10,563 あっ いいえ。 136 00:12:10,563 --> 00:12:14,434 すえは「もう年で とても手に負えぬ」と申します。 137 00:12:14,434 --> 00:12:20,974 るい殿が来てくださるので いや 助かります。 138 00:12:20,974 --> 00:12:24,978 ⚟(半鐘の音) あらっ! 139 00:12:24,978 --> 00:12:27,480 (すえ)火事らしゅうございますよ! 140 00:12:27,480 --> 00:12:33,119 どの辺りであろう? 久助! 久助! 141 00:12:33,119 --> 00:12:35,989 嫌ね…。 142 00:12:35,989 --> 00:12:38,825 (嘉助)ほら ばあさん そこで 茶ぁ沸かしたって しょうがないんだよ! 143 00:12:38,825 --> 00:12:42,662 水は向こうで工面して お茶っ葉だけ 持ってきゃいいんだから! 144 00:12:42,662 --> 00:12:44,597 ほら もっと おっきいもん おっきいもん! 145 00:12:44,597 --> 00:12:49,836 何の騒ぎ? ねえ 何の騒ぎよ? あっ お嬢さん! 146 00:12:49,836 --> 00:12:52,672 神田の藤村さんが焼けちまったんですよ。 ええっ!? 147 00:12:52,672 --> 00:12:56,509 もらい火だったし 昼間のこってすから お客様には全部➡ 148 00:12:56,509 --> 00:12:59,545 無事に逃げていただいたそうですけど…。 で 藤村の旦那と おかみさんは? 149 00:12:59,545 --> 00:13:01,481 ああ ご無事です。 あ~ よかったわ。 150 00:13:01,481 --> 00:13:03,616 幸いね お蔵の方にも 目塗りが塗ってあったから➡ 151 00:13:03,616 --> 00:13:05,551 そっちも大丈夫ですって。 ああ そう。 152 00:13:05,551 --> 00:13:08,788 とにかく 炊き出しだけは こちらでいたします。 そう申しました。 153 00:13:08,788 --> 00:13:10,723 ありがとう。 藤村さんには➡ 154 00:13:10,723 --> 00:13:13,293 かわせみを始める時に いろいろと お世話になってるんですからね。 155 00:13:13,293 --> 00:13:15,294 そうそう! 156 00:13:17,797 --> 00:13:24,470 (焼け跡を片づける声) 157 00:13:24,470 --> 00:13:28,107 (おもよ)どうぞ。 おむすびですよ。 158 00:13:28,107 --> 00:13:31,477 (おきく)漬物もありますから。 どうぞ おひとつ どうぞ。 159 00:13:31,477 --> 00:13:33,513 (藤兵衛)はやばやと お見舞いを ありがとうございました。 160 00:13:33,513 --> 00:13:36,349 皆様 ご無事で何よりでございました。 161 00:13:36,349 --> 00:13:39,118 けど このとおり うちは丸焼け…。 162 00:13:39,118 --> 00:13:41,821 とんだ ご災難でございましたね。 163 00:13:41,821 --> 00:13:46,659 でも お客様が皆さん 気持ちよく おたちくださいましてね。 164 00:13:46,659 --> 00:13:50,129 かわせみの皆さんのお陰です。 まあ 「お陰だ」なんて…。 165 00:13:50,129 --> 00:13:53,100 いえ 亡くなったお父様のご恩 まだお返しもしてないのに➡ 166 00:13:53,100 --> 00:13:56,669 おるい様に また ご恩を受けて…。 167 00:13:56,669 --> 00:14:01,641 「ありがたいことだ」と ばあさんも 涙を流して 喜んでおりやした。 168 00:14:01,641 --> 00:14:03,943 嫌ですよ。 169 00:14:03,943 --> 00:14:08,281 その上に また こんなことを 申し上げていいのかどうか➡ 170 00:14:08,281 --> 00:14:11,084 私も さんざん 迷ったんでございますが…。 171 00:14:11,084 --> 00:14:14,454 何でしょう? 言ってくださいな。 172 00:14:14,454 --> 00:14:18,624 私で できることなら 何でもして さしあげるつもりでいるんですから。 173 00:14:18,624 --> 00:14:23,296 実は 手前どもに ご滞在中の女のお客様➡ 174 00:14:23,296 --> 00:14:27,467 かわせみで お預かりいただけませんでしょうか? 175 00:14:27,467 --> 00:14:31,304 (お吉)どうぞ。 はあ。 176 00:14:31,304 --> 00:14:33,639 あ~ 以前からのお知り合いで➡ 177 00:14:33,639 --> 00:14:38,478 おすが様とおっしゃる 千駄ヶ谷の方の大百姓のお嬢さんで➡ 178 00:14:38,478 --> 00:14:44,117 お年は もう30を 1つ 2つ… 越しておいでだと存じますが➡ 179 00:14:44,117 --> 00:14:48,321 先月の中頃から 手前どもに ご滞在で…。 180 00:14:48,321 --> 00:14:50,656 そういう方でしたら… ねえ お嬢様? 181 00:14:50,656 --> 00:14:54,127 ええ 今すぐにでも おいでいただいてかまいませんよ。 182 00:14:54,127 --> 00:14:56,496 さいですか 助かりました。 183 00:14:56,496 --> 00:14:59,532 いや~ どうも きれいな方で➡ 184 00:14:59,532 --> 00:15:04,771 うかつな所に頼んで 間違いがあっては 申し訳ございませんからな~。 185 00:15:04,771 --> 00:15:08,941 こういうことになっても千駄ヶ谷へ お帰りにならないというのは➡ 186 00:15:08,941 --> 00:15:11,944 江戸に まだ御用が残ってらっしゃる ってことなんでしょうかね? 187 00:15:11,944 --> 00:15:15,715 え~ それが まことに妙な御用で…。 188 00:15:15,715 --> 00:15:18,084 どんな御用ですか? 189 00:15:18,084 --> 00:15:21,621 好きな人を捜してらっしゃいますので…。 190 00:15:21,621 --> 00:15:23,623 まあ…。 ああ…。 191 00:15:26,793 --> 00:15:31,297 おすが様が 17の年に ご両親が亡くなりまして➡ 192 00:15:31,297 --> 00:15:34,200 弟さんの清之助様は まだ7つ➡ 193 00:15:34,200 --> 00:15:37,170 それから今日まで おすが様は➡ 194 00:15:37,170 --> 00:15:43,976 「このうちは弟が成人して継ぐうちだから」 と お独りで ず~っと…。 195 00:15:43,976 --> 00:15:48,714 昨年の春に 清之助様も22におなりになって➡ 196 00:15:48,714 --> 00:15:50,683 おうちをお継ぎになり➡ 197 00:15:50,683 --> 00:15:56,456 「これで もう 一安心だ」と 周りの者も喜んでおりましたら…➡ 198 00:15:56,456 --> 00:16:00,927 ハハハハ… おすが様が恋をなさいました。 199 00:16:00,927 --> 00:16:04,263 まあ~! よかったじゃありませんか。 200 00:16:04,263 --> 00:16:07,166 弟さんも そうやって 一人前におなりになったんですもの。 201 00:16:07,166 --> 00:16:10,937 おすが様も その恋しいお方の おそばに…。 202 00:16:10,937 --> 00:16:14,774 いえ それがです。 どうも駄目らしいので…。 203 00:16:14,774 --> 00:16:16,709 駄目? 204 00:16:16,709 --> 00:16:18,644 どうしてですか? 205 00:16:18,644 --> 00:16:21,647 手前も詳しくは存じませんのですが➡ 206 00:16:21,647 --> 00:16:24,484 何でも 間に立ったお方が➡ 207 00:16:24,484 --> 00:16:29,322 「ありゃ駄目だから諦めろ」と そうおっしゃったって言います。 208 00:16:29,322 --> 00:16:32,091 (お吉)まあ なんて意地悪な… ねえ? 209 00:16:32,091 --> 00:16:35,628 かわいそうに おすが様は恋煩い。 210 00:16:35,628 --> 00:16:39,298 「せめて もう一度だけ お目にかかりたい」と➡ 211 00:16:39,298 --> 00:16:42,201 江戸に出ておいでになりましたんですよ。 212 00:16:42,201 --> 00:16:44,637 江戸の人なんですか? 213 00:16:44,637 --> 00:16:47,106 (藤兵衛)…じゃないかというだけで➡ 214 00:16:47,106 --> 00:16:52,979 え~ 何しろ 相手の方の名前も所も 分からないっていうんですから➡ 215 00:16:52,979 --> 00:16:57,483 いや どうも 雲をつかむようなお話でございます。 216 00:16:57,483 --> 00:16:59,819 (笑い声) それじゃあ お嬢様➡ 217 00:16:59,819 --> 00:17:04,590 私たちで その おすが様の恋しい方を 捜してあげましょう! 218 00:17:04,590 --> 00:17:09,762 お吉さんが その気になったら ええ ええ 見つかるかもしれませんよ。 219 00:17:09,762 --> 00:17:13,599 藤兵衛さん どうぞ そのおすがさんって方 お連れになってくださいまし。 220 00:17:13,599 --> 00:17:17,470 ありがとうございます。 221 00:17:17,470 --> 00:17:22,942 ⚟(鐘の音) あの~…➡ 222 00:17:22,942 --> 00:17:26,779 そうと 話の決まったところで➡ 223 00:17:26,779 --> 00:17:30,283 おるい様のお耳に 入れておかねばならぬことが➡ 224 00:17:30,283 --> 00:17:33,185 ハハハハ… 1つだけございます。 225 00:17:33,185 --> 00:17:36,622 えっ? お吉さんも聞いてください。 226 00:17:36,622 --> 00:17:41,460 おすが様は おきれいな 気性も しっかりしたお方なんですが➡ 227 00:17:41,460 --> 00:17:45,798 1つだけ… 妙な病気がございます。 228 00:17:45,798 --> 00:17:48,100 嫌ですよ 旦那…。 229 00:17:48,100 --> 00:17:52,305 まさか 夜中に そのおすが様の首が ひょろひょろひょろって伸びて➡ 230 00:17:52,305 --> 00:17:56,475 行灯の油を なめるっていうんじゃないでしょうね? 231 00:17:56,475 --> 00:18:00,046 夜中に起きて 夢うつつで…➡ 232 00:18:00,046 --> 00:18:04,583 ふらふら~っと お歩きになりますんですよ おすが様。 233 00:18:04,583 --> 00:18:06,919 え~っ…。 234 00:18:06,919 --> 00:18:09,221 まあ~…。 235 00:18:11,257 --> 00:18:14,760 30過ぎて 夜中に寝ぼけて ふらふら 歩き回るだなんて…➡ 236 00:18:14,760 --> 00:18:16,696 変な人ですね! 237 00:18:16,696 --> 00:18:21,267 本当に。 変なお荷物を 背負い込んじまったもんだよ! 238 00:18:21,267 --> 00:18:23,302 どんな顔してるんだろう? (嘉助)こらっ! 239 00:18:23,302 --> 00:18:26,605 お客様の陰口 たたくんじゃねえって いつも そう言ってるだろう! 240 00:18:26,605 --> 00:18:31,444 だって 番頭さん 見たいと思いませんか? その人の顔。 241 00:18:31,444 --> 00:18:33,946 慌てて 見たがらなくたって そのうちに➡ 242 00:18:33,946 --> 00:18:37,450 藤村の旦那がお連れになりゃ 嫌でも見られるんじゃねえか。 243 00:18:37,450 --> 00:18:39,385 ⚟(藤兵衛)嘉助さん。 はい。 えっ!? 244 00:18:39,385 --> 00:18:41,954 あっ…。 245 00:18:41,954 --> 00:18:44,790 あ~ これは いらっしゃいまし。 いらっしゃいまし。 246 00:18:44,790 --> 00:18:47,827 お連れしました。 おすが様です。 247 00:18:47,827 --> 00:18:49,829 さいですか。 御苦労さんです。 248 00:19:00,039 --> 00:19:09,782 ♬~ 249 00:19:09,782 --> 00:19:12,418 (嘉助)あっ へい。 こちらへ頂戴いたします。➡ 250 00:19:12,418 --> 00:19:14,920 どうぞ こちらへ。 251 00:19:14,920 --> 00:19:53,959 ♬~ 252 00:19:53,959 --> 00:19:56,796 あんなきれいなお方が…➡ 253 00:19:56,796 --> 00:20:00,966 寝ぼけたり 恋煩いをしたり するもんでやんしょうかね? お嬢さん。 254 00:20:00,966 --> 00:20:04,470 フッ… 「人は見かけによらない」って言うわよ。 255 00:20:04,470 --> 00:20:08,974 けど きれいな方だけに困りますよね。 何でだよ? 256 00:20:08,974 --> 00:20:13,312 ほかのお客さんが びっくりするでしょう。 夜中に ふらふら 歩いたりしたら。 257 00:20:13,312 --> 00:20:16,982 よし 分かった。 今夜から ねえ お嬢さん➡ 258 00:20:16,982 --> 00:20:22,855 あっしが おすが様の前の部屋に泊まって それとなく見張りをいたしやしょう。 259 00:20:22,855 --> 00:20:25,491 ご苦労だけど… そうしてちょうだい。 (嘉助)へい。 260 00:20:25,491 --> 00:20:35,501 (物売りの声) 261 00:20:39,038 --> 00:21:09,969 ♬~ 262 00:21:09,969 --> 00:21:11,971 すみません! 親方 見逃しておくんなさい! 263 00:21:11,971 --> 00:21:15,174 でけえ声 出すな。 おっ!? 264 00:21:17,643 --> 00:21:19,845 おいっ! 265 00:21:47,640 --> 00:21:50,142 あっ ちょっと すみません! えっ 何だい? 266 00:21:50,142 --> 00:21:53,345 今の人は 何しに来たんですか? 今の? 267 00:21:53,345 --> 00:21:55,281 (嘉助)へえ。 ああ あの人ね! 268 00:21:55,281 --> 00:21:58,284 「ここで働きたい」って そう言ってきたのよ! 269 00:21:59,952 --> 00:22:01,887 「働きたい」…。 270 00:22:01,887 --> 00:22:05,457 働き口 探して回ってるっていうの? おすがさん。 271 00:22:05,457 --> 00:22:08,360 へえ。 だけどさ➡ 272 00:22:08,360 --> 00:22:10,329 おすがさんのおうちっていうのは➡ 273 00:22:10,329 --> 00:22:15,467 千駄ヶ谷の秋山っていえば 誰知らぬ者のない大地主でしょ? 274 00:22:15,467 --> 00:22:19,104 「下手な大名なんぞ及びもつかないような 格式のあるおうちだ」って➡ 275 00:22:19,104 --> 00:22:21,640 ねえ お嬢様 藤村の旦那が言ってましたよね。 276 00:22:21,640 --> 00:22:25,811 ねえ。 大層 裕福なおうちだというから 何も おすがさんが➡ 277 00:22:25,811 --> 00:22:29,315 料理屋の仲居さんなんかして 働くことはないと思うけどね。 278 00:22:29,315 --> 00:22:34,186 とにかく 分からねえ お人です。 279 00:22:34,186 --> 00:22:37,189 (風の音) 280 00:22:55,441 --> 00:22:57,443 ⚟(足音) 281 00:23:01,247 --> 00:23:12,625 ⚟(足音) 282 00:23:12,625 --> 00:24:18,424 ♬~ 283 00:24:18,424 --> 00:24:20,426 ひゃ~! 284 00:24:22,094 --> 00:24:24,096 びっくりした! 285 00:24:32,304 --> 00:24:36,642 私… また 寝ぼけたんでしょうか? 286 00:24:36,642 --> 00:24:39,111 悪い夢でも ご覧になったんでしょう。 287 00:24:39,111 --> 00:24:41,814 ご心配には及びませんよ。 288 00:24:51,991 --> 00:24:57,329 申し訳ございません。 とんだ お騒がせをいたしまして…。 289 00:24:57,329 --> 00:24:59,264 いいんですよ。 290 00:24:59,264 --> 00:25:03,969 今夜は私も 変に目がさえて 寝そびれてたんです。 291 00:25:07,005 --> 00:25:12,778 こんな恥ずかしい病に 取りつかれてしまいまして…。 292 00:25:12,778 --> 00:25:14,813 お小さい時分からなんですか? 293 00:25:14,813 --> 00:25:21,487 いえ。 ここ 2年ばかりでございます。 294 00:25:21,487 --> 00:25:30,095 2年前に 弟が嫁をもらいまして…。➡ 295 00:25:30,095 --> 00:25:34,633 一人っきりの弟の婚礼のことですから➡ 296 00:25:34,633 --> 00:25:37,536 随分前から 私なりに気を遣い➡ 297 00:25:37,536 --> 00:25:42,107 当日は本当に ヘトヘトに疲れきってしまいました。 298 00:25:42,107 --> 00:26:02,428 ♬~ 299 00:26:02,428 --> 00:26:04,363 誰だ! 300 00:26:04,363 --> 00:26:06,565 おすが様? 301 00:26:10,602 --> 00:26:15,441 (清之助) 姉様… そんなとこで何してるんです? 302 00:26:15,441 --> 00:26:25,951 ♬~ 303 00:26:25,951 --> 00:26:28,454 どうか 信じてくださいませ。 304 00:26:28,454 --> 00:26:32,958 私 決して 弟夫婦の部屋を のぞきに行ったのでは…。 305 00:26:32,958 --> 00:26:38,097 そんな はしたない まねをしたのでは ございません。 306 00:26:38,097 --> 00:26:40,165 本当に何も知らず➡ 307 00:26:40,165 --> 00:26:46,472 気が付いたら 弟の部屋の外に いただけなのでございます。 308 00:26:46,472 --> 00:26:53,278 ええ ええ…。 お信じ申しあげておりますよ 私は。 309 00:27:00,919 --> 00:27:03,822 それからなのでございます。➡ 310 00:27:03,822 --> 00:27:10,596 このような あさましい病に 取りつかれましたのは…。 311 00:27:10,596 --> 00:27:17,936 月に 4~5度も そのようなことが重なりまして➡ 312 00:27:17,936 --> 00:27:23,275 自分の寝間に 錠を下ろして… 休みました。 313 00:27:23,275 --> 00:27:29,081 両手両足 きつく縛って 休みましたのに➡ 314 00:27:29,081 --> 00:27:38,290 気が付くと… うちの中を うろうろ さまよい歩いているのです。➡ 315 00:27:38,290 --> 00:27:41,193 お百度参りもいたしました。➡ 316 00:27:41,193 --> 00:27:43,161 茶の湯の稽古に励めば➡ 317 00:27:43,161 --> 00:27:49,635 おのずと心も落ち着くと教えられて 夢中で お茶もお稽古しましたが➡ 318 00:27:49,635 --> 00:27:53,939 私… 弟に すまなくて…。 319 00:27:56,408 --> 00:27:58,343 姉様は疲れてるんです。 320 00:27:58,343 --> 00:28:04,049 長い間の疲れが出て かわいそうに…。 321 00:28:08,587 --> 00:28:16,061 もともと 私は 小作人の評判が よくございませんでね。 322 00:28:16,061 --> 00:28:19,765 別に 私が あこぎなまねを したからじゃございません。 323 00:28:19,765 --> 00:28:26,071 二親が死んで 私が17 弟が まだ7つ。 324 00:28:26,071 --> 00:28:28,006 ちょっとでも甘い顔を見せたら➡ 325 00:28:28,006 --> 00:28:32,778 山も田畑も どうなったかしれません。 326 00:28:32,778 --> 00:28:37,282 私は 親の残してくれた財産を そっくり 減らさずに➡ 327 00:28:37,282 --> 00:28:41,086 弟に渡したかっただけなんでございます。 328 00:28:41,086 --> 00:28:46,458 あなた独りで 大勢の使用人や親戚から 財産を守るのは➡ 329 00:28:46,458 --> 00:28:50,963 さぞ大変なことでしたでしょうね。 330 00:28:50,963 --> 00:28:54,466 どうして お婿さんを お迎えになりませんでしたの? 331 00:28:54,466 --> 00:28:57,469 お好きな方が いらっしゃらなかったんですか? 332 00:29:00,238 --> 00:29:02,574 いました。 333 00:29:02,574 --> 00:29:07,746 その人となら 夫婦になってもいいって思う人が➡ 334 00:29:07,746 --> 00:29:11,416 いるにはいました。 335 00:29:11,416 --> 00:29:16,588 でも… お断りしたんです。 336 00:29:16,588 --> 00:29:18,523 どうして? 337 00:29:18,523 --> 00:29:20,926 考えたんです。 338 00:29:20,926 --> 00:29:27,699 もし 夫婦になって 子供が生まれたら 人間 どうしたって 欲が出ます。 339 00:29:27,699 --> 00:29:32,537 弟が 一人前になった時に 弟に渡す財産を惜しいと思ったり➡ 340 00:29:32,537 --> 00:29:38,076 もしかして 自分の子供にやりたいと 思うようになったら➡ 341 00:29:38,076 --> 00:29:44,283 それこそ 取り返しがつかない… そう考えたんです。 342 00:29:44,283 --> 00:29:48,987 そこまで お考えになりましたの…。 343 00:29:50,789 --> 00:29:56,294 私… 父に約束したんです。 344 00:29:56,294 --> 00:30:00,632 「弟を 立派に一人前にしてみせます。➡ 345 00:30:00,632 --> 00:30:06,438 だから 安心して成仏してください」って…。 346 00:30:06,438 --> 00:30:09,641 苦労なすったんですね。 347 00:30:16,114 --> 00:30:18,817 とうとう やらかしたんだってな! ええ…。 348 00:30:18,817 --> 00:30:21,853 「腰を抜かすとこだった」って お吉が話していたよ。 アッハハハ。 349 00:30:21,853 --> 00:30:24,489 それにしても ほかのお客に会わなくてよかったですな。 350 00:30:24,489 --> 00:30:28,326 そんな迷惑な客は いいかげんで 出ていってもらうことだな。 351 00:30:28,326 --> 00:30:30,262 そうはいきませんよ。 352 00:30:30,262 --> 00:30:32,831 お前が言いづらいんだったら 俺が言ってやろうか? 353 00:30:32,831 --> 00:30:36,702 かわいそうな人なんですよ。 354 00:30:36,702 --> 00:30:42,007 若い頃から 家のために 独りで苦労を背負ってきて➡ 355 00:30:42,007 --> 00:30:43,942 弟さんが21になって➡ 356 00:30:43,942 --> 00:30:47,679 小作人たちの受けもよく お嫁さんもいい人で➡ 357 00:30:47,679 --> 00:30:50,349 「やっと苦労のかいがあった」って 喜んでいたのに➡ 358 00:30:50,349 --> 00:30:53,151 「情けない病気に 取りつかれてしまって」って➡ 359 00:30:53,151 --> 00:30:56,354 おすがさん 泣きながら言ってましたよ ここで。 360 00:30:56,354 --> 00:31:00,325 江戸へ出てきたのも 「恋しい人に会うためというよりは➡ 361 00:31:00,325 --> 00:31:05,163 弟夫婦のそばを離れて暮らそう」 そう決心したからなんですよ。 362 00:31:05,163 --> 00:31:09,801 「今のままでは 嫁にもすまない。 自分も惨めでならないから」って➡ 363 00:31:09,801 --> 00:31:15,307 かわいそうに 御大家のお嬢さんが 働き口を探して回ってるんですよ。 364 00:31:15,307 --> 00:31:18,210 女も30を過ぎて 男を知らねえでいると➡ 365 00:31:18,210 --> 00:31:20,178 ヤキモチを焼いてるわけでもねえのに➡ 366 00:31:20,178 --> 00:31:24,816 もやもやと妙な情念が頭をもたげて 夜中に ふらふらと歩き回るんだよ。 367 00:31:24,816 --> 00:31:26,752 違います! そうだよ! 368 00:31:26,752 --> 00:31:29,988 「好きな男と一緒になりゃ そんな病気は ぴたりと治っちまう」➡ 369 00:31:29,988 --> 00:31:32,991 前に医者に聞いたことがあらあ。 いやらしい。 そうじゃありませんったら! 370 00:31:32,991 --> 00:31:35,794 ⚟(お吉)お嬢さん…。 何? お吉さん。 371 00:31:35,794 --> 00:31:38,663 あの~ おすが様がお嬢さんに ちょっと…。 372 00:31:38,663 --> 00:31:40,699 あっ どうぞ お入りくださいって…➡ 373 00:31:40,699 --> 00:31:42,834 ちょうど 八丁堀の旦那も見えてるから➡ 374 00:31:42,834 --> 00:31:45,737 おすがさんの尋ね人 見つけてもらえるかもしれない。 375 00:31:45,737 --> 00:31:48,039 ちょっと… どうぞ。 376 00:31:52,511 --> 00:31:55,013 お邪魔をいたします。 377 00:31:58,683 --> 00:32:02,287 あっ! (箸を落とす音) 378 00:32:02,287 --> 00:32:07,092 あっ おすがさん おすがさん…。 どうしたの? 379 00:32:07,092 --> 00:32:09,795 あの人ですよ…。 あの人? 380 00:32:09,795 --> 00:32:12,831 ほら 代々木野の…。 381 00:32:12,831 --> 00:32:15,967 あっ そうだ! あの女だ! えっ? 382 00:32:15,967 --> 00:32:18,970 いや あの… 「きつねが化けたかと思った」 って 源さんが言った➡ 383 00:32:18,970 --> 00:32:21,306 ほら あの女だよ! あれが…。 384 00:32:21,306 --> 00:32:23,241 まあ~…。 385 00:32:23,241 --> 00:32:28,180 いや~ 驚きましたな。 世の中 広いようで狭いもんですな。 386 00:32:28,180 --> 00:32:31,983 じゃあ おすがさんが見初めた 「江戸の人」というのは? 387 00:32:31,983 --> 00:32:35,320 えっ!? えっ いえいえ いえいえ…。 388 00:32:35,320 --> 00:32:38,356 んっ? (お吉)若様だったんですか? 389 00:32:38,356 --> 00:32:41,126 まあ~! 390 00:32:41,126 --> 00:32:43,195 おいおい 源さん 悪い冗談は言うもんじゃないぜ。 391 00:32:43,195 --> 00:32:45,330 いえいえいえ 実はですね➡ 392 00:32:45,330 --> 00:32:47,365 その代々木野から戻って 間もなくでしたが➡ 393 00:32:47,365 --> 00:32:49,835 羅山先生から お手紙 頂戴しました。 394 00:32:49,835 --> 00:32:52,337 その「千駄ヶ谷辺りの大百姓の娘が➡ 395 00:32:52,337 --> 00:32:55,140 どうやら 東吾さんに 一目ぼれをしたらしい。➡ 396 00:32:55,140 --> 00:32:58,043 仲に立ってくれと頼まれてるが どうしようか」っていうんですが➡ 397 00:32:58,043 --> 00:32:59,978 いえ! もちろんですが➡ 398 00:32:59,978 --> 00:33:01,947 その 手前は「東吾さんには➡ 399 00:33:01,947 --> 00:33:04,816 しかるべきお方が もういらっしゃるから」 と申しあげておりましたが。 400 00:33:04,816 --> 00:33:08,286 おい しかし 源さん おめえさんも 随分 人が悪いぜ…。 401 00:33:08,286 --> 00:33:11,623 そんなことがあったの どうして 今まで黙ってたんだ? えっ? 402 00:33:11,623 --> 00:33:14,459 うかつに 東吾さんのお耳に入れると いい気になっちまって…➡ 403 00:33:14,459 --> 00:33:16,394 ハハハハハハハ! 404 00:33:16,394 --> 00:33:20,098 いや ここへ来て 飯のごちそうに なりにくくなりますからな。➡ 405 00:33:20,098 --> 00:33:23,001 アハハハハハハハハ…。 406 00:33:23,001 --> 00:33:26,471 まあ おすがさんのことなら 手前に お任せください。 407 00:33:26,471 --> 00:33:29,374 どうしようってんだ? 幸い心当たりがございます。 408 00:33:29,374 --> 00:33:31,810 お吉っつぁん ちょいと おすがさんの部屋まで案内してくれ。 409 00:33:31,810 --> 00:33:33,812 はい。 410 00:33:37,983 --> 00:33:43,688 (風の音) 411 00:33:45,323 --> 00:33:48,126 おう! 「おすがさんは 暫時 お借りしますから」と➡ 412 00:33:48,126 --> 00:33:50,061 言っといてくれねえか? へい。 413 00:33:50,061 --> 00:33:51,997 お気を付けて…。 ご苦労さんです。 414 00:33:51,997 --> 00:33:54,199 (源三郎)おう 駕籠屋 行ってくれ。 (駕籠屋)へい! 415 00:34:02,274 --> 00:34:05,310 駕籠を呼んで おすがさんを? (お吉)はい。 416 00:34:05,310 --> 00:34:07,612 そう…。 417 00:34:10,615 --> 00:34:12,617 じゃあ…。 418 00:34:37,842 --> 00:34:43,148 あいつ どこへ連れてったのかな? 419 00:34:44,983 --> 00:34:49,487 お気になるなら ついてっておあげに なればよかったのに。 420 00:34:49,487 --> 00:34:53,124 ばか! 何 怒ってるんだ。 421 00:34:53,124 --> 00:34:55,060 今からでも遅くはありませんよ。 422 00:34:55,060 --> 00:34:57,963 おすがさんのような おきれいな方に思われて。 423 00:34:57,963 --> 00:34:59,931 いいかげんにしろ。 424 00:34:59,931 --> 00:35:02,934 俺は とっさに 思い出せなかったぐらいなんだぞ? 425 00:35:02,934 --> 00:35:08,273 うそっ… うそですよ。 426 00:35:08,273 --> 00:35:13,445 (泣き声) 427 00:35:13,445 --> 00:35:16,348 るいっ! 428 00:35:16,348 --> 00:35:20,085 (泣き声) お吉たちに聞こえるじゃねえか! 429 00:35:20,085 --> 00:35:26,458 (泣き声) るい…。 430 00:35:26,458 --> 00:35:32,764 (拍子木の音) 火の用心! 431 00:35:34,799 --> 00:35:39,471 ⚟(拍子木の音) 432 00:35:39,471 --> 00:35:41,973 ⚟(お吉)畝様がお見えになりました。 433 00:35:41,973 --> 00:35:47,479 あ~ お寒かったでしょう…。 どうぞ お入りなさいましな。 434 00:35:47,479 --> 00:35:51,316 いや~ 早速ですが 長尾様の所へ 行って参りました。 435 00:35:51,316 --> 00:35:53,351 おっ? 長尾様の所へ? 436 00:35:53,351 --> 00:35:55,487 おすがさんの働き口に いいと思いましてね。 437 00:35:55,487 --> 00:35:57,422 ああ~…。 それで おすがさん➡ 438 00:35:57,422 --> 00:36:00,325 明日っから 長尾様へ奉公することに決まりやした。 439 00:36:00,325 --> 00:36:03,228 へえ~ そりゃあ…。 440 00:36:03,228 --> 00:36:07,432 ついては おすがさんの身元引受人に なってもらいてえんですが…。 441 00:36:07,432 --> 00:36:10,268 えっ! 私が? 442 00:36:10,268 --> 00:36:13,304 乗りかかった舟 是非 お願いしたい。 どうも。 443 00:36:13,304 --> 00:36:15,940 おすがさんも 「よろしく」と言っておりましたが。 444 00:36:15,940 --> 00:36:19,778 あの でも 私は そりゃ かまいませんけど…➡ 445 00:36:19,778 --> 00:36:24,949 どなたか「長尾様へご奉公に出すのは 不服だ」と おっしゃいませんかしらね? 446 00:36:24,949 --> 00:36:29,621 根も葉もねえことで いちいち ヤキモチを焼かれて たまるか! 447 00:36:29,621 --> 00:36:32,524 では… 手前は これにて…。 うん。 448 00:36:32,524 --> 00:36:34,826 (戸の開閉音) (源三郎)失礼。 449 00:36:39,097 --> 00:36:47,806 ♬~ 450 00:36:47,806 --> 00:36:52,110 お世話になりました。 お気を付けて…。 451 00:36:54,579 --> 00:36:57,315 すいません。 452 00:36:57,315 --> 00:37:00,585 お達者で どうぞ。 お気を付けて。 453 00:37:00,585 --> 00:37:15,600 ♬~ 454 00:37:15,600 --> 00:37:20,271 私… 何だか悪いことしちまったみたい…。 455 00:37:20,271 --> 00:37:29,447 ♬~ 456 00:37:29,447 --> 00:37:37,455 だって おすがさんの後ろ姿が どこか寂しげだったんですもの…。 457 00:37:46,798 --> 00:37:49,467 (通之進)いや 「源さんが いい人 世話してくれた」っつって➡ 458 00:37:49,467 --> 00:37:51,503 長尾さんな そりゃ喜んでたよ。 459 00:37:51,503 --> 00:37:54,806 恐れ入ります。 (香苗)「行儀作法の心得もあり➡ 460 00:37:54,806 --> 00:37:57,642 学問も それ相応に なさっておいでのようだから➡ 461 00:37:57,642 --> 00:38:01,513 新太郎さんの養育も 安心して任せられる」と➡ 462 00:38:01,513 --> 00:38:04,415 長尾様 そう おっしゃってらしたそうですよ。 463 00:38:04,415 --> 00:38:08,253 おう 源さん 一体 どっから連れてきたんだい? 464 00:38:08,253 --> 00:38:10,188 (源三郎)ああ… ほんのちょっとした知り合いです。 465 00:38:10,188 --> 00:38:14,058 えっ? ただの 知り合いかい? 466 00:38:14,058 --> 00:38:17,595 はあ… ただの知り合い… いや 本当です。 467 00:38:17,595 --> 00:38:22,267 ふ~ん… そうかい。 そうかい。 ハハハ。 468 00:38:22,267 --> 00:38:24,936 いやなあ あんなのを見つけてきて➡ 469 00:38:24,936 --> 00:38:28,439 女房にすること 考えりゃいいんだよ。 なあ 香苗? 470 00:38:28,439 --> 00:38:30,375 なあ? フフフフフ…。 471 00:38:30,375 --> 00:38:32,677 (香苗と通之進の笑い声) あっ いや…。 472 00:38:34,779 --> 00:38:42,654 (笹売りの声) 473 00:38:42,654 --> 00:38:46,291 (嘉助)さあ 入れるよ! ごめんよ! 474 00:38:46,291 --> 00:38:48,993 (お吉)うわ~ 大変そう! あっ 大変 大変 大変…。 475 00:38:52,964 --> 00:38:55,800 (嘉助)若様 もう 一息だ! うっしゃ! 476 00:38:55,800 --> 00:38:58,102 それ! おっ! 477 00:38:58,102 --> 00:39:00,038 よいしょ! おいさ! 478 00:39:00,038 --> 00:39:03,908 知りませんよ お屋敷そっちのけで お兄様に お叱りを受けても! 479 00:39:03,908 --> 00:39:11,382 ♬~ 480 00:39:11,382 --> 00:39:16,854 う~ん… うめえ! 本当に。 481 00:39:16,854 --> 00:39:20,391 おいしょ! ほら! 482 00:39:20,391 --> 00:39:23,228 あっ そうだ おい! えっ 何? 483 00:39:23,228 --> 00:39:27,065 長尾さんがな 「おすがさんを 後添いにしたい」と言いだしたんだ。 484 00:39:27,065 --> 00:39:30,935 まあ…。20年近くも やもめを 通してきた長尾さんがな。 485 00:39:30,935 --> 00:39:33,238 アッハハハ。 で おすがさんは? 486 00:39:33,238 --> 00:39:35,740 うん 承知したそうだよ。 おすがさんの方でも。 487 00:39:35,740 --> 00:39:38,243 そうですか…。 488 00:39:38,243 --> 00:39:42,580 「俺たちに仲人をしてもらいたい」と 長尾さん そう言ったんだが…。 489 00:39:42,580 --> 00:39:44,883 仲人を私たちに? 490 00:39:44,883 --> 00:39:48,419 いくら 内輪の祝言だからといって 俺たちがな…。 491 00:39:48,419 --> 00:39:53,758 兄上に押しつけてきた。 そうですか…。 492 00:39:53,758 --> 00:39:56,594 いや るいに相談なしで悪かったんだが…。 493 00:39:56,594 --> 00:39:58,529 いいんです それで。 494 00:39:58,529 --> 00:40:05,270 自分たちの祝言も挙げてないのに 人様のお仲人は務まりませんもんね。 495 00:40:05,270 --> 00:40:07,305 (嘉助)おっ! (お吉)はい! 496 00:40:07,305 --> 00:40:09,307 (お吉)はい。 よっ! 497 00:40:15,780 --> 00:40:17,715 (通之進)よう… 出来たな! 498 00:40:17,715 --> 00:40:21,452 アッハハ…。 ハハハハ。 499 00:40:21,452 --> 00:40:24,789 「祝言は はつはるになって 松が取れたら」と➡ 500 00:40:24,789 --> 00:40:27,458 長尾さん まあ うれしそうに そう言ってたよ。 501 00:40:27,458 --> 00:40:30,361 随分 急なことですのね。 ああ…。 502 00:40:30,361 --> 00:40:33,131 先が短いから 早い方がいいとよ。 503 00:40:33,131 --> 00:40:35,800 まあ…。 504 00:40:35,800 --> 00:40:37,735 若え者の婚礼と違って➡ 505 00:40:37,735 --> 00:40:41,606 まあ 身じんまく つけるつもりで 祝言を挙げる気になった。 506 00:40:41,606 --> 00:40:45,810 恐らくな…。 でも それでは おすがさんが…。 507 00:40:45,810 --> 00:40:48,313 いや なに あの人の方でもな➡ 508 00:40:48,313 --> 00:40:54,652 家のため 弟のためとはいいながら 婿も取らずに独り身を通してきて➡ 509 00:40:54,652 --> 00:40:58,823 哀れ姉様 弟夫婦の寝間を のぞいていたと➡ 510 00:40:58,823 --> 00:41:02,593 人に うわさされたまんまじゃ 死んでも死にきれねえ。 511 00:41:02,593 --> 00:41:05,096 きっと そんな思いが どっかにあって➡ 512 00:41:05,096 --> 00:41:09,600 「晴れて 祝言を挙げたい」と そう考えたんだろうよ。 513 00:41:09,600 --> 00:41:13,271 その思いのためだけに 夫婦になるのですか? 514 00:41:13,271 --> 00:41:15,773 そう言っちまっちゃ お前 身も蓋もありゃしねえやな。 515 00:41:15,773 --> 00:41:18,109 それは それとしてだ。 なあ? 516 00:41:18,109 --> 00:41:21,612 まあ 夫婦になりゃ また それなりの思いだって➡ 517 00:41:21,612 --> 00:41:25,917 ああ… きっと生まれてこようってもんだよ。 518 00:41:25,917 --> 00:41:31,456 随分 寂しいお話ですね。 ば~か。 519 00:41:31,456 --> 00:41:33,791 おめえさん 仲人なんだぜ。 おい。 520 00:41:33,791 --> 00:41:35,727 妙なこと 言うんじゃねえやな。 521 00:41:35,727 --> 00:41:38,463 だって…。 522 00:41:38,463 --> 00:41:41,132 ハハッ。 なあ 香苗…➡ 523 00:41:41,132 --> 00:41:46,637 幸せってものはな 人それぞれに まあ いろんな幸せがあるんだい。 524 00:41:46,637 --> 00:41:50,308 おめえさんの目にゃ そりゃ まあ 寂しく見えてもだな➡ 525 00:41:50,308 --> 00:41:54,178 それで十分幸せだと 喜んでる人もいるんだ。 526 00:41:54,178 --> 00:41:57,648 なあ? それでいいんだよ。 527 00:41:57,648 --> 00:42:01,352 ハハッ。 いいんだよ それで…。 528 00:42:12,597 --> 00:42:14,899 (嘉助)よっこらしょっと。 529 00:42:18,102 --> 00:42:20,605 (かしわ手) 530 00:42:22,273 --> 00:42:25,176 やれやれ…。 531 00:42:25,176 --> 00:42:29,147 さあ これで いつ 鐘が鳴っても 正月が来ても驚かねえぞ。 532 00:42:29,147 --> 00:42:31,449 本当にね。 は~あ…。 533 00:42:31,449 --> 00:42:35,286 これで 若様さえ 来ていただけたら 言うことないんですけどね。 534 00:42:35,286 --> 00:42:38,790 お吉っつぁん そいつを言っちゃいけないよ。 535 00:42:54,672 --> 00:42:56,874 ⚟(お吉)お嬢様。 536 00:43:02,079 --> 00:43:06,250 はあ… こっちは もう…。 何か 御用はございませんか? 537 00:43:06,250 --> 00:43:08,886 ありがとう。 538 00:43:08,886 --> 00:43:12,757 もう… 何にも ないわ。 539 00:43:12,757 --> 00:43:16,260 除夜の鐘を聞いたら おきくちゃんたちが 嘉助さんに➡ 540 00:43:16,260 --> 00:43:18,596 初詣 行こうって ねだってるんですけど➡ 541 00:43:18,596 --> 00:43:22,266 お嬢さんも一緒にいらっしゃいませんか? 542 00:43:22,266 --> 00:43:26,771 そうね。 「来年は もっともっといいことが ありますように」って➡ 543 00:43:26,771 --> 00:43:30,108 みんなで お願いに行こうかしらね。 544 00:43:30,108 --> 00:43:33,010 ⚟(嘉助)失礼します! 545 00:43:33,010 --> 00:43:36,280 お嬢さん…。 えっ 何? 546 00:43:36,280 --> 00:43:38,316 長尾様がおいでになりました。 547 00:43:38,316 --> 00:43:41,519 まあ~。 何でしょう? こんな時刻に。 548 00:43:49,794 --> 00:43:52,096 まあ~! 549 00:44:00,238 --> 00:44:03,875 このような時刻に 申し訳ございません。 550 00:44:03,875 --> 00:44:12,083 あの… どうしても 年が明けぬうちに お礼を申し上げたくて…。 551 00:44:12,083 --> 00:44:14,986 すがが 本当にお世話になりました。 552 00:44:14,986 --> 00:44:18,422 今少し早くに お礼に参上せねばならぬところ➡ 553 00:44:18,422 --> 00:44:20,358 御用繁多のため➡ 554 00:44:20,358 --> 00:44:22,894 大つごもりの今日という日に なってしまって➡ 555 00:44:22,894 --> 00:44:26,430 いや まことに面目ない。 556 00:44:26,430 --> 00:44:29,467 年が明けて 改めて ご挨拶にまかり出ます。 557 00:44:29,467 --> 00:44:35,907 恐れ入ります。 私の方こそ ご挨拶にあがらなければなりませんのに。 558 00:44:35,907 --> 00:44:38,776 とにかく今後ともに 昵懇にな。 559 00:44:38,776 --> 00:44:41,445 どうぞよろしくお願い申し上げます。 560 00:44:41,445 --> 00:44:43,381 ⚟長尾さん。 うん? 561 00:44:43,381 --> 00:44:47,318 ♬~ 562 00:44:47,318 --> 00:44:49,320 お上がりになりませんか? 563 00:44:49,320 --> 00:44:52,089 あっ いや… もうすぐ除夜の鐘が鳴る。 564 00:44:52,089 --> 00:44:54,025 春永に いずれ また。 565 00:44:54,025 --> 00:44:57,028 そうですか。 新太郎ちゃん…。 566 00:44:58,796 --> 00:45:01,065 (笑い声) あらまあ。 567 00:45:01,065 --> 00:45:04,735 もう すっかり おすがさんに なついておいでなんですね~。 568 00:45:04,735 --> 00:45:08,072 そうなのですよ。 もう すっかり 甘えてしまって…。 569 00:45:08,072 --> 00:45:10,975 ハハハハハハハ…。 570 00:45:10,975 --> 00:45:16,581 それでは どうぞ よいお年をお迎えくださいませ。 571 00:45:16,581 --> 00:45:18,516 あなたもね。 572 00:45:18,516 --> 00:45:20,885 はい。 573 00:45:20,885 --> 00:45:27,758 ♬~ 574 00:45:27,758 --> 00:45:31,762 では よいお年を。 (るい 東吾)よいお年を。 575 00:45:40,238 --> 00:45:43,774 ご夫婦ね…。 576 00:45:43,774 --> 00:45:49,280 まるで長年 連れ添ったご夫婦のように よく似合っておいでだわ。 577 00:45:49,280 --> 00:45:52,917 きっと もう 病気は出なくなったろう。 578 00:45:52,917 --> 00:45:57,622 全く 年なんか関係ないのね…。 うん? 579 00:45:57,622 --> 00:46:03,060 長尾様と おすがさんですよ。 うん…。 580 00:46:03,060 --> 00:46:06,097 新太郎ちゃんまで ウフフ…。 581 00:46:06,097 --> 00:46:09,100 前には私に飛びついてきたのに…。 582 00:46:12,737 --> 00:46:18,075 うらやましいのなら 来年こそ 産むんだな。 583 00:46:18,075 --> 00:46:22,380 いいんですか? お屋敷に お帰りにならなくっても。 584 00:46:24,248 --> 00:46:42,233 ⚟(除夜の鐘) 585 00:46:45,102 --> 00:46:54,311 ⚟(除夜の鐘) 586 00:46:57,615 --> 00:47:00,851 ⚟(除夜の鐘) 587 00:47:00,851 --> 00:47:08,225 初めてね 2人で こうして 除夜の鐘を聞くのは…。 588 00:47:08,225 --> 00:47:10,561 うん。 589 00:47:10,561 --> 00:47:13,864 本当に… でも いいんですか? お屋敷の方は。 590 00:47:13,864 --> 00:47:17,401 元旦に朝帰りだなんて…。 591 00:47:17,401 --> 00:47:21,272 元旦に朝帰りをしていけねえのなら➡ 592 00:47:21,272 --> 00:47:24,175 三が日は 外へ出ねえから いい。 593 00:47:24,175 --> 00:47:27,178 ウフフフフ…。 594 00:47:30,748 --> 00:47:33,751 夫婦が…。 えっ! 595 00:47:33,751 --> 00:47:40,458 夫婦が別々に除夜の鐘を聞くなんて つまらねえと思ったんだ。 596 00:47:40,458 --> 00:47:55,973 ♬~ 597 00:47:55,973 --> 00:48:03,214 お幸せになれるでしょうかね おすがさん これで…。 598 00:48:03,214 --> 00:48:05,716 ああ なれるさ。 599 00:48:05,716 --> 00:48:09,220 でも これからも いろんなことがあると思うんですよ。 600 00:48:09,220 --> 00:48:12,123 新太郎ちゃんのことも➡ 601 00:48:12,123 --> 00:48:15,860 それに もし おすがさんに 赤ちゃんでも できたら…。 602 00:48:15,860 --> 00:48:19,063 るいも苦労性だな。 603 00:48:19,063 --> 00:48:23,234 そりゃあ 人間 生きていりゃあ いろんなことがあるさ。 604 00:48:23,234 --> 00:48:27,405 大事なのは それを どう乗り越えるかじゃねえのか? 605 00:48:27,405 --> 00:48:30,708 どう乗り越えるか…。 606 00:48:32,743 --> 00:48:35,579 そう。 607 00:48:35,579 --> 00:48:38,249 私たちもね。 608 00:48:38,249 --> 00:48:55,733 ♬~