1 00:00:02,102 --> 00:00:11,178 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:11,178 --> 00:02:09,863 ♬~ 3 00:02:12,499 --> 00:02:18,372 (東吾の鼻歌) 4 00:02:18,372 --> 00:02:24,678 (鴉の鳴き声) 5 00:02:24,678 --> 00:02:28,315 (物音) 6 00:02:28,315 --> 00:02:30,384 (東吾)やめろっ! 7 00:02:30,384 --> 00:02:33,153 (猪之松)たっ ぬっ! 8 00:02:33,153 --> 00:02:35,155 ん~っ! 9 00:02:43,330 --> 00:02:45,265 待て! (川に飛び込む音) 10 00:02:45,265 --> 00:02:47,467 しまった…。 11 00:02:55,542 --> 00:02:57,878 しっかりしろ! 12 00:02:57,878 --> 00:02:59,880 (鴉の鳴き声) 13 00:03:03,283 --> 00:03:28,008 ♬~ 14 00:03:28,008 --> 00:03:29,943 (お吉)どうぞ。 15 00:03:29,943 --> 00:03:32,879 (玄庵)神林様の おいでが もう ほんの僅か遅かったら➡ 16 00:03:32,879 --> 00:03:35,315 殺されているところでございましたな。 17 00:03:35,315 --> 00:03:38,218 喉を強く絞められて 倒れていました。 18 00:03:38,218 --> 00:03:42,022 うん…。 19 00:03:42,022 --> 00:03:46,860 (お絹)勘… 勘三郎! 20 00:03:46,860 --> 00:03:49,563 (るい)ああっ… いけませんよ。 ねっ? 21 00:03:51,698 --> 00:03:54,201 どなたか お呼びになりたいんですか? 22 00:03:54,201 --> 00:03:57,037 勘三郎は どこへ? 23 00:03:57,037 --> 00:03:59,940 勘三郎さん? 24 00:03:59,940 --> 00:04:02,843 鴉の… 勘三郎か? 25 00:04:02,843 --> 00:04:06,480 呼んでください! でないと… どこかへ行ってしまう! 26 00:04:06,480 --> 00:04:08,415 (嘉助)何なんですかね? 27 00:04:08,415 --> 00:04:10,350 嘉助。 へい。すまねえが一緒に来てくれ。 28 00:04:10,350 --> 00:04:12,352 へい! 29 00:04:15,155 --> 00:04:19,826 (嘉助)ああ… 何だ こりゃ? 30 00:04:19,826 --> 00:04:25,699 ここらに いたんだがなあ。 勘三郎! 31 00:04:25,699 --> 00:04:30,303 あっ 勘三郎っていうのは 鴉の名前ですか。 32 00:04:30,303 --> 00:04:37,010 お~い! 勘三郎~! 勘三郎! 33 00:04:37,010 --> 00:04:40,313 勘三郎! 勘三郎! 34 00:04:42,883 --> 00:04:46,186 俺が傘で追い払っちまったもんだから…。 35 00:04:46,186 --> 00:04:49,689 あの娘の飼っていた鴉なんだろう。 36 00:04:49,689 --> 00:04:51,625 夜になったから ねぐらへ 帰っちまったんじゃないですか? 37 00:04:51,625 --> 00:04:55,428 う~ん… また 明日 来てみるか! へい! 38 00:05:04,805 --> 00:05:07,107 若様 お帰りになりましたよ! 39 00:05:10,143 --> 00:05:12,078 畝様が見えてますよ。 40 00:05:12,078 --> 00:05:14,014 おう 源さんが…。 ええ。 41 00:05:14,014 --> 00:05:16,016 (戸を閉める音) 42 00:05:19,286 --> 00:05:21,221 よう! 43 00:05:21,221 --> 00:05:24,124 (源三郎)ああ… 玄庵先生に聞いたので やって来ました。 44 00:05:24,124 --> 00:05:26,059 うん。 45 00:05:26,059 --> 00:05:28,295 それで 相手の男の面はご覧になりましたか? 46 00:05:28,295 --> 00:05:34,100 いや それがさ いきなり 大川に飛び込むとは思わなかったから…。 47 00:05:34,100 --> 00:05:38,839 そう。 右の頬に傷のある 35~36の男だったな。 48 00:05:38,839 --> 00:05:41,675 ははあ… 猪之松ですな。 49 00:05:41,675 --> 00:05:43,710 猪之松…。 (源三郎)ええ。 50 00:05:43,710 --> 00:05:48,849 浅草の見せ物芸人の束ねをしてる親方で 文七というのが いるんですがね➡ 51 00:05:48,849 --> 00:05:51,885 猪之松は その文七の子分で あだ名を河童っていいます。 52 00:05:51,885 --> 00:05:54,020 河童の猪之松か…。 53 00:05:54,020 --> 00:05:57,057 どうりで川へ逃げやがった。 (笑い声) 54 00:05:57,057 --> 00:06:01,261 実はね 東吾さん 3日ほど前 浅草聖天裏の長屋で➡ 55 00:06:01,261 --> 00:06:03,330 殺しがあったんですよ。 うん。 56 00:06:03,330 --> 00:06:06,800 殺されたのは 彦三という同じ小屋掛けの芸人で➡ 57 00:06:06,800 --> 00:06:09,636 鴉を使う芸を見せていた男です。 58 00:06:09,636 --> 00:06:11,638 鴉? 59 00:06:13,273 --> 00:06:15,208 (鴉の鳴き声) 60 00:06:15,208 --> 00:06:34,694 ♬~ 61 00:06:34,694 --> 00:06:41,001 彦三は 持病の神経痛をこじらして 商売 休んで寝てたんだそうです。 62 00:06:41,001 --> 00:06:45,872 で その娘の お絹というのが 近所へ買い物に出かけたのが八つ少し前。 63 00:06:45,872 --> 00:06:50,510 で 長屋の大工の女房と一緒に 大家ん所へ店賃払いに行きましてね➡ 64 00:06:50,510 --> 00:06:53,179 大工の女房は そのまま長屋へ帰ったんですが➡ 65 00:06:53,179 --> 00:06:55,115 お絹は 煎じ薬を買いに回って➡ 66 00:06:55,115 --> 00:06:58,018 で うちに帰ってみると 彦三は 胸 突かれて死んでいた。 67 00:06:58,018 --> 00:07:00,787 真っ昼間は 誰も気が付かなかったんですか? 68 00:07:00,787 --> 00:07:03,123 ええ 下手人らしい者の姿も➡ 69 00:07:03,123 --> 00:07:05,458 それらしい物音を聞いた者も いねえんです。 70 00:07:05,458 --> 00:07:07,394 お絹が うちを留守にしていたのは? 71 00:07:07,394 --> 00:07:09,329 およそ半時です。 72 00:07:09,329 --> 00:07:15,135 うん… その間に下手人が 彦三のうちへ忍び込んで 胸を一突き。 73 00:07:15,135 --> 00:07:19,472 彦三を殺して 誰にも見つからずに 逃げていったってのかい? 74 00:07:19,472 --> 00:07:21,508 そういうことになりますな。 75 00:07:21,508 --> 00:07:26,246 とにかく 胸の突き傷以外 どこも やられちゃいませんでしたからね。 76 00:07:26,246 --> 00:07:28,181 うん…。 77 00:07:28,181 --> 00:07:30,817 で 箪笥の中には 多少まとまった金もあったんですが➡ 78 00:07:30,817 --> 00:07:34,287 これは盗られちゃいません。 部屋は物色された様子もないし…。 79 00:07:34,287 --> 00:07:37,824 ということは 物盗りじゃなかろうと 考えていいと思います。 80 00:07:37,824 --> 00:07:40,727 うん… すると怨恨か…。 81 00:07:40,727 --> 00:07:43,630 人に恨みを受けるようなことが あったんですか? 82 00:07:43,630 --> 00:07:48,168 ええ。 まあ この お絹というのが なかなかの器量よしでしてね。 83 00:07:48,168 --> 00:07:50,670 これを巡って 多少のいざこざ あったようですよ。 84 00:07:50,670 --> 00:07:55,508 待ってくれ 源さん。 もしかすると あの娘が…。 85 00:07:55,508 --> 00:07:58,845 ええ。 鴉を連れていたというので そうじゃないかと思って➡ 86 00:07:58,845 --> 00:08:00,780 やって来たんです。 87 00:08:00,780 --> 00:08:02,782 るい! はい…。 88 00:08:07,954 --> 00:08:14,627 ♬~ 89 00:08:14,627 --> 00:08:18,331 玄庵先生の薬が効いたかして よく眠ってます。 90 00:08:25,138 --> 00:08:29,642 間違いありませんね お絹です。 うん…。 91 00:08:36,750 --> 00:08:39,753 (戸を閉める音) 92 00:08:43,823 --> 00:08:45,759 (戸を開ける音) 93 00:08:45,759 --> 00:08:47,694 お絹が猪之松に襲われたとなると➡ 94 00:08:47,694 --> 00:08:49,696 彦三殺しに 猪之松は からんでるかもしれません。 95 00:08:49,696 --> 00:08:51,698 うん。 猪之松を手配してきます。 96 00:08:51,698 --> 00:08:54,000 (嘉助)どうも ご苦労さんです。 (お吉)ご苦労さまでした。 97 00:08:55,835 --> 00:08:57,837 (2人の ため息) 98 00:09:01,441 --> 00:09:03,376 (お吉)えっ… あっ これは? 99 00:09:03,376 --> 00:09:05,311 (おきく)柳の間の分。 (おもよ)萩の間の分。 100 00:09:05,311 --> 00:09:07,614 じゃあ 楓の分ね あとはね。(2人)はい! おいしょ…。 101 00:09:07,614 --> 00:09:09,816 (お吉)大丈夫? 気を付けてちょうだい。 (2人)は~い! 102 00:09:16,623 --> 00:09:20,260 ⚟お絹さん。 103 00:09:20,260 --> 00:09:22,962 はい。 104 00:09:22,962 --> 00:09:25,999 ちょっと お邪魔をしても よろしゅうございますか? 105 00:09:25,999 --> 00:09:28,201 はい…。 106 00:09:32,138 --> 00:09:34,073 おはよう。 107 00:09:34,073 --> 00:09:36,810 昨日は お助けくださいまして。 108 00:09:36,810 --> 00:09:42,615 いや… それより 俺が 鴉を追い払っちまったもんだから。 109 00:09:42,615 --> 00:09:46,152 いえ… もう うちの方へ 帰ってきてると思います。 110 00:09:46,152 --> 00:09:51,658 よく馴らしてありますし 中でも勘三郎は 一番利口な鴉ですから。 111 00:09:54,027 --> 00:09:57,864 彦三の 飼っていた鴉だな? 112 00:09:57,864 --> 00:10:01,067 (お絹)世話は 私がしてました。 113 00:10:05,171 --> 00:10:08,675 彦三は 何で殺されたんだい? 114 00:10:19,686 --> 00:10:22,322 住まいは 浅草と聞いているが➡ 115 00:10:22,322 --> 00:10:28,128 昨日は 何で あんな所で あんな目に遭ったんだい? 116 00:10:28,128 --> 00:10:33,333 私 お奉行所へ 行くつもりだったんです。 117 00:10:33,333 --> 00:10:36,202 奉行所へ…。 118 00:10:36,202 --> 00:10:40,707 お父っつぁんを殺した下手人を 縛ってもらいたかったんです。 119 00:10:40,707 --> 00:10:44,043 下手人の心当たりがあるって いうんですか? 120 00:10:44,043 --> 00:10:46,346 (お絹)はい あります。 121 00:10:46,346 --> 00:10:49,716 それなら 彦三殺しを調べてる お手先に言うとか➡ 122 00:10:49,716 --> 00:10:51,651 何も おめえが 奉行所へ出向いていかないでも➡ 123 00:10:51,651 --> 00:10:53,586 ほかにしようがあったろう。 124 00:10:53,586 --> 00:10:59,359 いいえ 仁助親分じゃ らちが明きません。 125 00:10:59,359 --> 00:11:02,829 文七が怖くって 手も足も出ないんです。 126 00:11:02,829 --> 00:11:05,164 文七? 127 00:11:05,164 --> 00:11:09,502 浅草の文七って親分は そんなに怖い お人なんですか? 128 00:11:09,502 --> 00:11:12,839 はい。 身内が大勢いて➡ 129 00:11:12,839 --> 00:11:20,313 逆らった者は 知らないうちに殺されて それっきりです。 130 00:11:20,313 --> 00:11:23,183 お父っつぁんだって…。 131 00:11:23,183 --> 00:11:26,519 彦三は 文七に殺されたというのか? 132 00:11:26,519 --> 00:11:30,323 そうに決まってます。 間違いありません。 133 00:11:35,528 --> 00:11:39,032 何で 彦三は 文七に逆らったんだい? 134 00:11:42,869 --> 00:11:44,804 つらいでしょうけど…➡ 135 00:11:44,804 --> 00:11:50,043 ねえ お絹さん 何でも話してごらんなさいな? 136 00:11:50,043 --> 00:11:54,347 こちらは 八丁堀の方なんですよ。 137 00:11:54,347 --> 00:11:59,352 ですから 必ず 力になってくださいますよ。 138 00:12:02,655 --> 00:12:04,991 お役人様だったんですか? 139 00:12:04,991 --> 00:12:07,894 いや 俺は… 俺は 八丁堀の旦那ではねえが➡ 140 00:12:07,894 --> 00:12:10,863 友達には定廻りの旦那もいる。 141 00:12:10,863 --> 00:12:15,668 兄貴も奉行所に勤めているから まっ 悪いようにはしねえつもりだ。 142 00:12:19,839 --> 00:12:23,176 たまたま… 大川沿いの あの空き地を通りかかって➡ 143 00:12:23,176 --> 00:12:26,079 おめえを助けたというのも 何かの縁だと思うから➡ 144 00:12:26,079 --> 00:12:31,517 遠慮なく 何でも打ち明けて 話してごらん。 145 00:12:31,517 --> 00:12:34,721 ありがとうございます。 146 00:12:42,195 --> 00:12:45,698 色好みの文七が…➡ 147 00:12:45,698 --> 00:12:48,534 私を 妾によこせって➡ 148 00:12:48,534 --> 00:12:50,870 お父っつぁんに言ったんです。 149 00:12:50,870 --> 00:12:55,041 んっ? で 断ったんだな? 150 00:12:55,041 --> 00:12:58,077 はい。 「ほかのことなら ともかくも➡ 151 00:12:58,077 --> 00:13:00,647 それだけは ご勘弁ください」って➡ 152 00:13:00,647 --> 00:13:05,284 お父っつぁん はっきり断ってきたって そう言ってました。 153 00:13:05,284 --> 00:13:07,287 でも…。 でも? 154 00:13:08,988 --> 00:13:13,493 (鴉の鳴き声) 155 00:13:13,493 --> 00:13:17,297 (彦三)でも とっても このままじゃ すまねえんだから…➡ 156 00:13:17,297 --> 00:13:19,232 なあ お絹➡ 157 00:13:19,232 --> 00:13:21,834 夜逃げをして どっか知らねえ土地 行って 暮らそう。 158 00:13:21,834 --> 00:13:23,770 なっ? お父っつぁん…。 159 00:13:23,770 --> 00:13:26,506 さあ 早く支度するんだ。 なっ? 160 00:13:26,506 --> 00:13:28,508 はい…。 161 00:13:34,247 --> 00:13:37,850 お父っつぁん おっ母さんのお位牌 持ってちょうだいな。 162 00:13:37,850 --> 00:13:40,520 (彦三)ああ…。 あっ…。 163 00:13:40,520 --> 00:13:42,455 あっ! あっ 痛っ…。➡ 164 00:13:42,455 --> 00:13:44,390 うっ…。 あっ 痛たた…。 165 00:13:44,390 --> 00:13:47,193 お父っつぁん…。 (彦三)う~。 ああ~ あ~…。 166 00:13:47,193 --> 00:13:49,696 痛むの? あ~…。 167 00:13:49,696 --> 00:13:51,631 うわ~…。 大丈夫? お父っつぁん…。 168 00:13:51,631 --> 00:13:55,568 (お絹)折あしく持病が出て…。 逃げられなかったんだな。 169 00:13:55,568 --> 00:14:00,139 けど 明日になったら なんとか立てるかもしれない➡ 170 00:14:00,139 --> 00:14:06,012 始末をつけるだけはしておこうと 大家さんに店賃を払って➡ 171 00:14:06,012 --> 00:14:11,484 いつもの薬を買いに 生薬屋さんへ行って➡ 172 00:14:11,484 --> 00:14:16,989 その留守の間に 文七の手が回って お父っつぁん…。 173 00:14:16,989 --> 00:14:22,995 しかし 文七がやったのだという 証拠は あるのかい? 174 00:14:24,664 --> 00:14:26,666 ありません。 175 00:14:28,835 --> 00:14:32,505 けど… 文七がしたに違いないんです。 176 00:14:32,505 --> 00:14:38,010 ほかに… ほかに お父っつぁんが 殺される理由なんて ありゃしません! 177 00:14:39,846 --> 00:14:48,855 (泣き声) 178 00:14:51,324 --> 00:14:54,527 お絹は どうしても 文七のしたことだと言い張っている。 179 00:14:54,527 --> 00:14:58,331 それを奉行所で聞いてもらいてえと 八丁堀へ行く途中➡ 180 00:14:58,331 --> 00:15:01,801 後をつけてきた猪之松に襲われたのだと 言っていた。 181 00:15:01,801 --> 00:15:04,270 どうして 奉行所へ行くのに 鳥籠 提げていったかを➡ 182 00:15:04,270 --> 00:15:06,205 お絹は言ってませんでしたか? 183 00:15:06,205 --> 00:15:10,143 「1人で行くのが心細いから 勘三郎を連れていった」とな。 184 00:15:10,143 --> 00:15:15,481 彦三が殺されたあと お絹には 鴉のほか 頼るものがなくなった。 185 00:15:15,481 --> 00:15:17,417 うん…。 186 00:15:17,417 --> 00:15:19,719 かわいそうに。 187 00:15:22,989 --> 00:15:27,293 (徳松)ちきしょう… 文七の野郎! 188 00:15:27,293 --> 00:15:30,196 東吾さん 念のため 徳松は ここへ置いていきましょう。 189 00:15:30,196 --> 00:15:33,499 東吾さん 手前と一緒に来てください。 おっ どこへだい? 190 00:15:33,499 --> 00:15:36,302 水神の森の近くです。 何があったんだい? 191 00:15:36,302 --> 00:15:38,237 猪之松が死骸になって 川ん中に浮いてました。 192 00:15:38,237 --> 00:15:40,173 猪之松が? 193 00:15:40,173 --> 00:15:42,175 昨日 お絹を襲ったやつですよ。 194 00:15:42,175 --> 00:15:44,177 間違いねえと思うんですが 首実検をお願いします。 195 00:15:51,317 --> 00:15:53,319 ご苦労さんです。 196 00:16:00,460 --> 00:16:02,395 こいつだ…。 197 00:16:02,395 --> 00:16:04,330 ゆうべ お絹を襲って 大川へ飛び込んで逃げた。 198 00:16:04,330 --> 00:16:07,333 間違いねえよ。 199 00:16:07,333 --> 00:16:11,637 ただし 着ている物は あの時と変わってるから➡ 200 00:16:11,637 --> 00:16:15,508 殺されたのは うちへ戻って着替えをして だいぶ たってからだ。 201 00:16:15,508 --> 00:16:17,810 胸を匕首の得物で一突き➡ 202 00:16:17,810 --> 00:16:19,745 彦三の場合と 手口は同じです。 うん。 203 00:16:19,745 --> 00:16:21,681 で その匕首は見つかったかい? 204 00:16:21,681 --> 00:16:24,150 (仁助)いえ どこにも見当たらねえんです。 205 00:16:24,150 --> 00:16:26,652 おい。 運んでけ。 へい。 206 00:16:30,022 --> 00:16:32,491 おめえが 仁助か? 207 00:16:32,491 --> 00:16:35,161 (男たち)よっ! 208 00:16:35,161 --> 00:16:37,096 へい。 209 00:16:37,096 --> 00:16:39,832 源さん 文七は当たってみたかい? 210 00:16:39,832 --> 00:16:44,670 いえ 文七は 昨日も今日も 猪之松とは会っちゃいません。 211 00:16:44,670 --> 00:16:46,606 「おとつい 見かけたきりだ」って そう言ってやしたよ。 212 00:16:46,606 --> 00:16:49,408 おお~ そうかい。 213 00:16:52,411 --> 00:16:58,017 東吾さん…。 源さん 浅草へ行ってみよう。 214 00:16:58,017 --> 00:17:02,221 文七ってやつの うちをのぞいてみるのも 悪くはなかろう。 215 00:17:10,963 --> 00:17:13,633 よう!嫌っ! ようよう よう! 216 00:17:13,633 --> 00:17:18,137 (花札をする声) 217 00:17:18,137 --> 00:17:22,808 文七は いるかい? あ? 218 00:17:22,808 --> 00:17:25,711 何だよ? おめえさん。 219 00:17:25,711 --> 00:17:27,980 (源三郎)おう…。 あっ…。 220 00:17:27,980 --> 00:17:30,783 ちょいと聞きてえことがあるんだ。 上がらしてもらうぜ。 221 00:17:35,154 --> 00:17:37,657 兄貴! 222 00:17:39,158 --> 00:17:44,297 親分! 同心と侍が 「親分に会いたい」って 来てますぜ。 223 00:17:44,297 --> 00:18:00,246 ♬~ 224 00:18:00,246 --> 00:18:02,315 (文七)こりゃ 旦那方ですかい。 225 00:18:02,315 --> 00:18:04,450 ご苦労さんでございます。➡ 226 00:18:04,450 --> 00:18:06,385 やい! お座布をお持ちしろい。➡ 227 00:18:06,385 --> 00:18:11,324 お茶だ! 甘えもんか何かあったろ。 228 00:18:11,324 --> 00:18:13,459 構わねえでくれ。 229 00:18:13,459 --> 00:18:16,262 死んだ猪之松のことで 2~3聞きてえことがあるんだ。 230 00:18:16,262 --> 00:18:19,165 いや~ こりゃ どうも。 231 00:18:19,165 --> 00:18:23,970 いろいろと お手数をおかけ申して 相すみませんことで。 232 00:18:23,970 --> 00:18:27,006 おとつい 来たそうじゃねえか。 233 00:18:27,006 --> 00:18:31,143 おとついの夕方 ちょいと 顔を出していきました。 234 00:18:31,143 --> 00:18:33,079 何の用だい? 235 00:18:33,079 --> 00:18:35,815 別に用があって 来たわけじゃねえ。 236 00:18:35,815 --> 00:18:40,653 何か 仕事がありゃあしねえかと そうやって 顔を出すんです。 237 00:18:40,653 --> 00:18:44,156 猪之松だけじゃありませんよ。 みんな そう…。 238 00:18:44,156 --> 00:18:48,494 で? 猪之松は そん時 何か言ってなかったかい? 239 00:18:48,494 --> 00:18:55,267 さあ~ 手前には何も…。 240 00:18:55,267 --> 00:18:57,670 (手をたたく音) (文七)政! 241 00:18:57,670 --> 00:19:00,673 おい。 ちょっと来い。 ⚟(政吉)へ~い。 242 00:19:09,615 --> 00:19:15,121 政吉っていいます。 祭りを宰領してますんで。 243 00:19:15,121 --> 00:19:21,460 猪之松がな てめえに何か言ってったか? おとつい 面 出した時によ。 244 00:19:21,460 --> 00:19:23,396 (政吉)これといって 別に? 245 00:19:23,396 --> 00:19:26,899 おめえの方が猪之松に 何か言いつけたんじゃねえのか? 246 00:19:30,136 --> 00:19:33,472 2~3日たったら また来いって 言いましたよ。 247 00:19:33,472 --> 00:19:37,643 千住の方に 市が立つかもしれねえ 当てがございましてね。 248 00:19:37,643 --> 00:19:39,979 それだけか? それだけです。 249 00:19:39,979 --> 00:19:42,281 よ~し 向こうへ行ってろい。 へい。 250 00:19:47,653 --> 00:19:49,588 (強く戸を閉める音) 251 00:19:49,588 --> 00:19:51,991 (おてつ)何にもございませんが➡ 252 00:19:51,991 --> 00:19:54,293 ほんの お口汚しで…。 253 00:19:54,293 --> 00:19:56,295 さあ どうぞ。 254 00:19:58,664 --> 00:20:01,700 どうぞ。 ハハッ。 255 00:20:01,700 --> 00:20:07,173 随分と大勢いるんだな。 飲み食いだけでも大変だろう。 256 00:20:07,173 --> 00:20:11,043 アッハハハハハハ…。 まったく…。 257 00:20:11,043 --> 00:20:14,680 役にも立たねえ 穀潰しばかりでしてね…。 258 00:20:14,680 --> 00:20:17,716 ゆんべは どこにいた? 259 00:20:17,716 --> 00:20:21,020 誰? 手前ですかい? 260 00:20:21,020 --> 00:20:24,724 そう… おめえだよ。 261 00:20:29,728 --> 00:20:32,031 誰が 酒なんか持ってこいと言った! 262 00:20:32,031 --> 00:20:35,334 昼間っから 旦那方が そんなものを お飲みになると思ってんのかい! 263 00:20:35,334 --> 00:20:38,237 すみません。 すみません…。 まあ! 申し訳ございません! 264 00:20:38,237 --> 00:20:40,873 うめえ茶を入れてこい。 早くだ! 265 00:20:40,873 --> 00:20:43,342 (おてつ)はい…。 266 00:20:43,342 --> 00:20:45,544 ゴホホホ…。 267 00:20:55,354 --> 00:21:01,494 ゆんべは 仲間内の 寄り合いが ございましてね。 268 00:21:01,494 --> 00:21:07,666 手前は吉原へ。 ハハハハハハ…。 269 00:21:07,666 --> 00:21:11,170 中は どこへ泊まったんだい? 相方は誰だ? 270 00:21:11,170 --> 00:21:18,677 兵庫屋の染蝶。 これが 手前のなじみでございますよ。 271 00:21:18,677 --> 00:21:20,613 吉原に なじみがいて➡ 272 00:21:20,613 --> 00:21:24,183 その上に「彦三の娘を妾によこせ」と 言ったのかい!? 273 00:21:24,183 --> 00:21:28,187 へっ? こりゃあ…。 274 00:21:28,187 --> 00:21:32,057 へへえ~。 275 00:21:32,057 --> 00:21:39,198 ヘヘヘ。 いや~ とんだことがお耳に 入りやしたね。 276 00:21:39,198 --> 00:21:44,036 いえ ありようを言やあ 彦三から➡ 277 00:21:44,036 --> 00:21:49,842 「娘を吉原に勤めに出してえが」と 相談を受けたんでございますわ。 278 00:21:49,842 --> 00:21:54,046 で 「女郎に売るくれえなら 俺が面倒 見てやってもいい」と➡ 279 00:21:54,046 --> 00:21:56,882 つい… ヘヘヘヘヘ 色気をね 出したんですが➡ 280 00:21:56,882 --> 00:21:59,351 な~に その話は それっきりで。 281 00:21:59,351 --> 00:22:03,155 「それっきり」だ? (文七)さいで。 282 00:22:03,155 --> 00:22:07,993 彦三が 返事を持ってくる前に 殺されちまったんでやすから➡ 283 00:22:07,993 --> 00:22:11,297 それっきりでございましょう。 284 00:22:11,297 --> 00:22:13,999 彦三が殺された日 おめえ どこで何してたんだ? 285 00:22:13,999 --> 00:22:19,805 (文七)浅草の奥山で… へい 見回っておりましたよ。 286 00:22:19,805 --> 00:22:21,740 1人でかい? 287 00:22:21,740 --> 00:22:25,177 (文七)猪之松が供をしておりました 一日中 奥山を。➡ 288 00:22:25,177 --> 00:22:30,015 奥山の芸人たちに聞いていただきゃ 分かります。 289 00:22:30,015 --> 00:22:34,887 一日中 ず~っと…➡ 290 00:22:34,887 --> 00:22:38,190 奥山に いたってね。 291 00:22:38,190 --> 00:22:46,198 ♬~ 292 00:22:47,867 --> 00:22:49,802 食えねえ野郎だ 文七…。 293 00:22:49,802 --> 00:22:52,037 確かに 文七は臭い。 294 00:22:52,037 --> 00:22:55,908 彦三が殺された当日 奥山を見回っていて 供していたのが➡ 295 00:22:55,908 --> 00:22:57,910 猪之松だってのは くせ者ですね。 296 00:22:57,910 --> 00:23:01,480 猪之松さえ 抱き込んでおきゃあ ちょいと 聖天裏まで出かけていって➡ 297 00:23:01,480 --> 00:23:03,816 彦三を殺すぐらい 造作もねえこってすから。 298 00:23:03,816 --> 00:23:07,686 うん…。 まあ はなっから 殺すつもりで 行ったんじゃねえかもしれねえがな。 299 00:23:07,686 --> 00:23:12,491 いや お絹を妾に差し出すという話を 彦三に言いに行って➡ 300 00:23:12,491 --> 00:23:14,426 それを はねつけられたもんだから➡ 301 00:23:14,426 --> 00:23:17,296 腹立ち紛れに突き殺した ってこともあるだろう。 302 00:23:17,296 --> 00:23:19,231 なるほど。 303 00:23:19,231 --> 00:23:22,134 文七は 猪之松に言って お絹を見張らせていた。 304 00:23:22,134 --> 00:23:24,837 お絹が出かけたから 猪之松は 後をつけたが➡ 305 00:23:24,837 --> 00:23:27,740 まさか奉行所へ行くとは 思いやしなかったろう。 306 00:23:27,740 --> 00:23:31,610 文七の所へ連れていって 手柄にしようと お絹を襲った。 307 00:23:31,610 --> 00:23:34,013 まあ そんなところじゃねえかな。 308 00:23:34,013 --> 00:23:36,682 猪之松を殺したのは 文七ですかね。 309 00:23:36,682 --> 00:23:41,553 うん…。 文七が直接 手を下したか 若い者に やらしたか➡ 310 00:23:41,553 --> 00:23:46,025 とにかく 猪之松のしくじりに腹を立てた 文七がやったんだと俺は思うな。 311 00:23:46,025 --> 00:23:50,696 まあ いずれ 猪之松は 口を封じるつもりじゃ いたんだろうが。 312 00:23:50,696 --> 00:23:55,034 兵庫屋の染蝶って女 調べてみなきゃいけませんな。 313 00:23:55,034 --> 00:23:56,969 う~ん… まあ 調べても➡ 314 00:23:56,969 --> 00:24:01,974 うまく口裏を合わすようにと 文七に言い含められているだろうな。 315 00:24:04,643 --> 00:24:08,814 どうも ああいう所の女の口を割らすのは 苦手ですな。 316 00:24:08,814 --> 00:24:12,985 んっ? いやね まあ 誰かさんみたいに男前で➡ 317 00:24:12,985 --> 00:24:15,654 その 口がうまくねえと…。 318 00:24:15,654 --> 00:24:18,157 俺におだてて 染蝶を調べろというのか。 319 00:24:18,157 --> 00:24:21,660 いえいえいえ! 吉原へなんぞ 東吾さん やったら➡ 320 00:24:21,660 --> 00:24:23,996 今後 かわせみへ 出入りしにくくなりますわ。 321 00:24:23,996 --> 00:24:26,498 ねえさん! ⚟(お六)はい。勘定だ。 322 00:24:26,498 --> 00:24:28,834 ⚟(お六)は~い。➡ 323 00:24:28,834 --> 00:24:31,737 もう お帰りでございますか? うん。 324 00:24:31,737 --> 00:24:34,006 釣りは要らねえよ。 325 00:24:34,006 --> 00:24:37,676 あ~ まあ… ありがとう存じます! 326 00:24:37,676 --> 00:24:39,611 なあ 源さん。 ああ…。 327 00:24:39,611 --> 00:24:43,315 おめえさん 先に 八丁堀へ帰っててくれ。 328 00:24:43,315 --> 00:24:45,384 東吾さんは? 329 00:24:45,384 --> 00:24:48,854 兵庫屋へ 行ってみようか。 330 00:24:48,854 --> 00:24:50,789 えっ? えっ? 331 00:24:50,789 --> 00:24:54,193 ただし るいには ないしょだぞ。 332 00:24:54,193 --> 00:24:57,529 あっ… あっ… あっ…。 333 00:24:57,529 --> 00:25:05,738 ♬~ 334 00:25:07,206 --> 00:25:09,141 ♬~(お囃子) 335 00:25:09,141 --> 00:25:12,044 ⚟(やり手)染蝶花魁でございます。 336 00:25:12,044 --> 00:25:47,312 ♬~ 337 00:25:47,312 --> 00:25:50,182 (やり手)おや…。 まあ どうも。 338 00:25:50,182 --> 00:25:55,854 ♬~ 339 00:25:55,854 --> 00:26:00,826 では ごゆるりと おしげりなんし。 340 00:26:00,826 --> 00:26:06,965 ♬~ 341 00:26:06,965 --> 00:26:13,739 (染蝶)わちきに 何ぞ お尋ねになりたいことがありんすとか。 342 00:26:13,739 --> 00:26:16,742 何ざますえ? 343 00:26:19,144 --> 00:26:23,649 花魁のなじみの客で 浅草の文七というのがいるだろう。 344 00:26:23,649 --> 00:26:25,584 あい。 345 00:26:25,584 --> 00:26:28,987 ゆんべ来て 泊まったと言ってるが 本当かい? 346 00:26:28,987 --> 00:26:32,825 あい。 来なました。 347 00:26:32,825 --> 00:26:36,161 なじみのことを初回の俺に 話してくれというのは無理だとも➡ 348 00:26:36,161 --> 00:26:39,064 やぼな話だとも承知で聞く。 349 00:26:39,064 --> 00:26:41,834 文七は ゆんべ 何時ごろ来て➡ 350 00:26:41,834 --> 00:26:45,304 今朝は いつごろ帰ったか➡ 351 00:26:45,304 --> 00:26:48,207 言ってもらえないかい? 352 00:26:48,207 --> 00:26:53,045 主さんは お役人ざますかえ? 353 00:26:53,045 --> 00:26:56,315 役人じゃあねえが うそ 隠しもねえ➡ 354 00:26:56,315 --> 00:27:00,119 文七のことを調べに来たのだ。 355 00:27:00,119 --> 00:27:02,788 お役人でもないお方が➡ 356 00:27:02,788 --> 00:27:07,626 なぜに また 文七さんをお調べになりんす? 357 00:27:07,626 --> 00:27:11,263 「袖すり合うも他生の縁」ってやつさ。 358 00:27:11,263 --> 00:27:13,198 色でもねえ 恋でもねえが➡ 359 00:27:13,198 --> 00:27:17,069 ある女のために 文七を調べているのだ。 360 00:27:17,069 --> 00:27:24,376 女? 女の人のためにざますかえ? 361 00:27:26,745 --> 00:27:29,681 身寄り 頼りのねえ娘だ。 362 00:27:29,681 --> 00:27:32,284 たった一人の父親を殺されて➡ 363 00:27:32,284 --> 00:27:36,155 お父っつぁんが残していった鴉と 暮らしてる かわいそうな娘。 364 00:27:36,155 --> 00:27:38,657 おまけに今度は その娘が 命を狙われた。 365 00:27:38,657 --> 00:27:43,529 見るに見かねて おせっかいがしたくなった➡ 366 00:27:43,529 --> 00:27:47,299 それだけの話だい。 367 00:27:47,299 --> 00:27:52,137 「かわいそうだ」は 「好きだ」ということ。 368 00:27:52,137 --> 00:28:00,245 主さんは その娘さんが 好きになりんした…。 369 00:28:00,245 --> 00:28:03,615 違いますかえ? 370 00:28:03,615 --> 00:28:06,251 アッハハハ…。 371 00:28:06,251 --> 00:28:10,122 キザなようだが 俺には恋女房がいるよ。 372 00:28:10,122 --> 00:28:13,959 恋女房がいると言いなました主さんに➡ 373 00:28:13,959 --> 00:28:21,633 わちきが「間夫になっておくんなはい」と 言ったら➡ 374 00:28:21,633 --> 00:28:25,137 どうしなますえ? 375 00:28:30,342 --> 00:28:33,145 何だと? 376 00:28:33,145 --> 00:28:38,016 なじみの客の ひそかごと。 377 00:28:38,016 --> 00:28:42,521 間夫でなければ 言えませんもの。 378 00:28:54,166 --> 00:29:00,973 間夫でなけりゃ言えねえか。 ハッハハハ…。 379 00:29:00,973 --> 00:29:04,810 しかたがねえ。 諦めるよ。 380 00:29:04,810 --> 00:29:07,446 文七のことは よそで調べよう。 381 00:29:07,446 --> 00:29:10,949 な~に 悪いことをしたやつは どっかでボロを出すはずだ。 382 00:29:10,949 --> 00:29:15,254 かわいそうな娘は 必ず助ける。 383 00:29:15,254 --> 00:29:22,995 そして 恋女房への操も フッフフフ… 立て通してみようよ! 384 00:29:22,995 --> 00:29:24,997 邪魔したな! 385 00:29:24,997 --> 00:29:27,466 (キセルをたたく音) お待ちなんし。 386 00:29:27,466 --> 00:29:29,468 んっ? 387 00:29:32,638 --> 00:29:38,443 「恋女房への操 立て通す」と言いなました 主さんの言葉に➡ 388 00:29:38,443 --> 00:29:44,650 同じ女子として 主さんの女房殿に代わっての礼…。 389 00:29:46,485 --> 00:29:52,658 文七さんのこと… 話しまほう。 390 00:29:52,658 --> 00:29:54,993 話してくれるかい? あい…。 391 00:29:54,993 --> 00:29:57,295 そいつは ありがてえ! 392 00:30:00,299 --> 00:30:04,169 文七さんは ゆうべ 引け過ぎに来なまして➡ 393 00:30:04,169 --> 00:30:08,006 今朝は明け六つ ここを出ていきなました。 394 00:30:08,006 --> 00:30:10,042 いつも そんなに早く帰んのかい? 395 00:30:10,042 --> 00:30:13,879 いいえ。 今朝に限って 駕籠も呼ばずに…。 396 00:30:13,879 --> 00:30:16,181 歩いて帰っていったのかい? 397 00:30:16,181 --> 00:30:20,052 誰ぞ お人を待たせてあるのだと言って…。 398 00:30:20,052 --> 00:30:22,521 人をな…。 399 00:30:22,521 --> 00:30:25,857  心の声  待たしていたのは 猪之松だろう。 400 00:30:25,857 --> 00:30:31,196 お役に 立ちましたかえ? 401 00:30:31,196 --> 00:30:36,334 立ったともよ。 このとおり 礼を言うぜ。 402 00:30:36,334 --> 00:30:50,849 ♬~ 403 00:30:56,555 --> 00:30:59,257 ねえさん 遅くまで悪かったな。 404 00:31:00,826 --> 00:31:02,761 東吾さん! 405 00:31:02,761 --> 00:31:04,696 おっ… 何だ 源さん 待っててくれたのかい。 406 00:31:04,696 --> 00:31:08,166 えっ いえ まあ…。 あの 兵庫屋は どうでした? 407 00:31:08,166 --> 00:31:10,102 うん。 ちょいと調べてもらいてえ。 はあ。 408 00:31:10,102 --> 00:31:13,672 猪之松が殺された朝 あの近くで 猪牙舟が1艘 なくなっていなかったか? 409 00:31:13,672 --> 00:31:16,508 それから 文七が花川戸のうちへ 帰ったのが何時だったか? 410 00:31:16,508 --> 00:31:19,544 文七が帰ったのを見た者がいたら 探し出してもらいたい。 411 00:31:19,544 --> 00:31:22,013 分かりました。 調べておきます。 それから もう一つ。 412 00:31:22,013 --> 00:31:24,916 兵庫屋の染蝶 俺が行って話を聞いたと 文七が知ったら➡ 413 00:31:24,916 --> 00:31:27,519 何をしでかすか 分からねえ。 しっかり 見張ってやってくれ。 414 00:31:27,519 --> 00:31:29,454 徳松にでも 言っときましょう。 415 00:31:29,454 --> 00:31:32,390 徳松じゃ ちょいと 心もとねえな。 長助に頼んでくれ。 416 00:31:32,390 --> 00:31:34,392 長助に… はい! 417 00:31:34,392 --> 00:31:38,029 源さん…。 はい! 418 00:31:38,029 --> 00:31:40,866 いい女だぜ 染蝶…。 419 00:31:40,866 --> 00:31:42,801 え~っ? 420 00:31:42,801 --> 00:31:47,339 るいには ないしょだがな。 アッハハハハ。 421 00:31:47,339 --> 00:31:49,408 東吾さん! 422 00:31:49,408 --> 00:31:56,114 ハハハハハハハハ ハハハハハ…。 423 00:31:59,918 --> 00:32:03,121 ああ これは畝様 おはようございます! 424 00:32:08,160 --> 00:32:10,162 (香苗)東吾さん…。 425 00:32:10,162 --> 00:32:13,298 あ… はい! 426 00:32:13,298 --> 00:32:15,233 (戸を開ける音) 427 00:32:15,233 --> 00:32:17,669 畝様が見えましたよ。 おう! 428 00:32:17,669 --> 00:32:21,173 (源三郎)失礼します。 よう 早いな。 429 00:32:21,173 --> 00:32:23,175 (戸を閉める音) 430 00:32:23,175 --> 00:32:25,177 東吾さんのおっしゃったとおりでしたね。 431 00:32:25,177 --> 00:32:27,312 うん…。 432 00:32:27,312 --> 00:32:29,247 橋場の渡しの近くで 猪牙舟が1艘 なくなって➡ 433 00:32:29,247 --> 00:32:31,183 船頭が青くなって 探し回っていたら➡ 434 00:32:31,183 --> 00:32:33,852 昼近くになって 柳橋の近くで 見つかったんだそうですよ。 435 00:32:33,852 --> 00:32:36,521 うん。 で 文七が うちへ帰ってきたのは? 436 00:32:36,521 --> 00:32:39,558 五つ半を過ぎてたんだそうですね。 437 00:32:39,558 --> 00:32:41,693 近くの隠居所で 仕事をしていた植木屋が➡ 438 00:32:41,693 --> 00:32:43,628 文七が帰ってくるのを見たって 言ってますから➡ 439 00:32:43,628 --> 00:32:45,864 これは間違いねえと思います。 440 00:32:45,864 --> 00:32:48,533 ただし 「着物に返り血らしいものは 付いてなかった」➡ 441 00:32:48,533 --> 00:32:50,869 はっきり そう言ってました。 442 00:32:50,869 --> 00:32:53,772 そうかい…。 いや 俺の方でも➡ 443 00:32:53,772 --> 00:32:56,208 ちょいと 文七のことを調べてみたんだがな➡ 444 00:32:56,208 --> 00:32:59,110 藤吉が面白いことを知らせてくれたよ 源さん。 445 00:32:59,110 --> 00:33:01,813 ほう。 面白いことって何ですか? 446 00:33:01,813 --> 00:33:04,149 うん。 文七は以前な➡ 447 00:33:04,149 --> 00:33:07,652 舞台で出刃打ちの芸当を 実に見事にやっていたというんだ。 448 00:33:07,652 --> 00:33:14,993 ♬~(お囃子) 449 00:33:14,993 --> 00:33:17,662 とりわけ 文七が売り物にしていた芸というのは➡ 450 00:33:17,662 --> 00:33:22,300 左右両方の手に持った 6丁の出刃を いちどきに四方へ投げて…。 451 00:33:22,300 --> 00:33:24,669 お~っ! 452 00:33:24,669 --> 00:33:26,605 ほっ! 453 00:33:26,605 --> 00:33:30,475 6つの藁人形に出刃を突き立ててみせる っていうから すごいや。 454 00:33:30,475 --> 00:33:32,410 おっ! 455 00:33:32,410 --> 00:33:39,017 (拍手と歓声) 456 00:33:39,017 --> 00:33:42,053 ありがとうございました。 ありがとうございました。➡ 457 00:33:42,053 --> 00:33:46,758 ありがとうございました。 ありがと~うございました! 458 00:33:46,758 --> 00:33:49,194 それじゃあ 猪之松は 文七の出刃で。 459 00:33:49,194 --> 00:33:51,196 恐らくな。 460 00:33:53,532 --> 00:33:57,702 夜明けに吉原を抜け出した文七は 猪牙を盗んで➡ 461 00:33:57,702 --> 00:34:03,808 猪之松の待たせてある 水神の森の辺りへ 出かけていった。 462 00:34:03,808 --> 00:34:18,657 ♬~ 463 00:34:18,657 --> 00:34:21,359 親方! 親方! 464 00:34:23,495 --> 00:34:25,497 親方~! 465 00:34:27,999 --> 00:34:34,873 うっ! かっ… はあ はあ はあ…。 466 00:34:34,873 --> 00:34:38,076 おあっ あ~…。 467 00:34:42,847 --> 00:34:48,653 猪之松を殺しても 文七は 返り血一つ 浴びねえで済む。 468 00:34:48,653 --> 00:34:51,323 恐らく 猪牙にも 血は付いていなかったろう。 469 00:34:51,323 --> 00:34:54,225 大した知恵者だよ。 470 00:34:54,225 --> 00:34:56,528 文七を しょっ引きましょう。 うん! 471 00:35:00,031 --> 00:35:03,034 (お絹)相すみませんが…。 はい。 472 00:35:05,270 --> 00:35:08,807 あら… どうしたの? お絹さん。 473 00:35:08,807 --> 00:35:12,644 聖天裏の長屋へ 一度 帰ってきたいと思います。 474 00:35:12,644 --> 00:35:14,579 えっ? 475 00:35:14,579 --> 00:35:17,148 勘三郎が帰ってきてると思いますし➡ 476 00:35:17,148 --> 00:35:22,020 勘三郎のほかにも3羽 うちには鴉がいますから。 477 00:35:22,020 --> 00:35:26,291 あっ… 待ってよ お絹さん。 ねっ? 478 00:35:26,291 --> 00:35:28,827 お絹さんの気持ちは 分からないじゃないけど➡ 479 00:35:28,827 --> 00:35:32,297 帰るなら 東吾様に言って それからにしてちょうだいな。 480 00:35:32,297 --> 00:35:36,101 でないと 私 気が済みませんから。 ねっ? 481 00:35:44,309 --> 00:35:46,311 ふう~…。 482 00:36:03,128 --> 00:36:05,130 (長助)ありゃ? 483 00:36:07,999 --> 00:36:13,271 ハハッ! どうも どうも! いつも すいませんねえ。 484 00:36:13,271 --> 00:36:16,975 ちょっと ねえさん…。何? 今の人 どなた? 485 00:36:16,975 --> 00:36:18,910 アッハハ…。 おい! 486 00:36:18,910 --> 00:36:21,479 誰やって 聞いてんねや! 487 00:36:21,479 --> 00:36:23,415 あ… 怪しい お人じゃござんせんよ。 (長助)誰や! 488 00:36:23,415 --> 00:36:26,151 文七親方です。 (長助)あっ!? 489 00:36:26,151 --> 00:36:28,153 文七…。 490 00:36:31,656 --> 00:36:34,693 それでやな 文七と何の話してたんや? 491 00:36:34,693 --> 00:36:37,295 正直に吐けよ。 おい! おい! 492 00:36:37,295 --> 00:36:41,166 「ゆんべ 染蝶花魁の所に上がった お客は誰か?」って聞かれたんで➡ 493 00:36:41,166 --> 00:36:44,836 「若い男前の お侍が」って…。 アホ! 494 00:36:44,836 --> 00:36:48,673 かっ… どこへ行ったか もう分からへんやないか。 495 00:36:48,673 --> 00:36:50,608 ちくしょう! 496 00:36:50,608 --> 00:36:58,183 ♬~ 497 00:36:58,183 --> 00:37:03,188 (文七)おい。 染蝶。 染蝶…。 498 00:37:05,924 --> 00:37:11,629 侍には うまく 言っといてくれたんだろうな。 499 00:37:14,632 --> 00:37:17,836 文七さん…。 500 00:37:21,272 --> 00:37:27,479 主も 浅草の文七親方と 人に呼ばれた お方。 501 00:37:27,479 --> 00:37:30,782 潔うに 名乗って出て。 502 00:37:32,350 --> 00:37:36,054 何もかも しゃべりやがったな…。 503 00:37:38,656 --> 00:37:41,993 (染蝶)うっ! うっ…。 504 00:37:41,993 --> 00:38:14,259 ♬~ 505 00:38:14,259 --> 00:38:16,194 ⚟(嘉助)若様! 506 00:38:16,194 --> 00:38:18,963 おお 嘉助か! どうしたい? 507 00:38:18,963 --> 00:38:21,633 お絹さんが見えなくなっちまったんだい。 508 00:38:21,633 --> 00:38:23,568 なに!? 聖天裏へ戻ったな。 509 00:38:23,568 --> 00:38:26,137 お嬢さん 心配して お絹さんの後を 追っていきやしたけども➡ 510 00:38:26,137 --> 00:38:28,973 まあ 真っ昼間のこってすから 間違いはねえと思いやしたが。 511 00:38:28,973 --> 00:38:31,476 彦三が殺されたのも真っ昼間だぞ! 512 00:38:31,476 --> 00:38:33,411 東吾さん 急ぎましょう。 うん。 513 00:38:33,411 --> 00:38:35,713 えっ? あっ…。 514 00:38:55,300 --> 00:38:57,836 なるほど。 これでは…➡ 515 00:38:57,836 --> 00:39:00,104 真っ昼間 彦三が殺されても…。 516 00:39:00,104 --> 00:39:02,040 う~ん…。 517 00:39:02,040 --> 00:39:12,817 (鴉の鳴き声) 518 00:39:12,817 --> 00:39:14,953 若様…。 嘉助…。 519 00:39:14,953 --> 00:39:16,955 へい。 520 00:39:18,623 --> 00:39:21,626 東吾さん…。 うん。 521 00:39:27,131 --> 00:39:29,801 (出刃が飛ぶ音) 522 00:39:29,801 --> 00:39:36,674 ♬~ 523 00:39:36,674 --> 00:39:40,445 (文七)来やがったな…。 524 00:39:40,445 --> 00:39:43,281 (鳴き声) 525 00:39:43,281 --> 00:39:49,821 ゆんべ 染蝶を口説きに行ったのは どっちだ? 526 00:39:49,821 --> 00:39:52,824 おおかた そっちの色男だろうが。 527 00:39:56,294 --> 00:39:59,664 染蝶は 今 殺してきた。 528 00:39:59,664 --> 00:40:02,500 なに~! 529 00:40:02,500 --> 00:40:04,435 ハハハハ ハハハハハ…。 530 00:40:04,435 --> 00:40:09,674 (鴉の鳴き声) 531 00:40:09,674 --> 00:40:12,310 おのれ~…。 532 00:40:12,310 --> 00:40:16,180 動くな! (鳴き声) 533 00:40:16,180 --> 00:40:20,184 (文七) 俺の出刃は いっときに八方へ飛んで➡ 534 00:40:20,184 --> 00:40:23,321 狙った的は外さねえ。➡ 535 00:40:23,321 --> 00:40:27,125 調べて おめえも よ~く知ってるはずだな。 536 00:40:29,527 --> 00:40:34,399 ほ~う… 腕に自信があるっていうのか。 537 00:40:34,399 --> 00:40:37,201 じゃあ やってみな。 538 00:40:37,201 --> 00:40:41,706 前へ飛んでいく出刃は たたき落とせるかしれねえが➡ 539 00:40:41,706 --> 00:40:46,544 後ろの女2人へ 飛んでいく出刃は➡ 540 00:40:46,544 --> 00:40:48,479 ハハハハハ…。➡ 541 00:40:48,479 --> 00:40:50,782 どう始末するってんでい! えっ!? 542 00:40:58,156 --> 00:41:01,059 どうした? 543 00:41:01,059 --> 00:41:05,563 こっちは とっくに 腹 決めてるんだ。 544 00:41:07,865 --> 00:41:10,735 地獄の道連れ➡ 545 00:41:10,735 --> 00:41:15,573 1人でも 余計に連れてってやる気でいるんだぜ。 546 00:41:15,573 --> 00:41:19,310 ハハハハ ハハハハハ…。 547 00:41:19,310 --> 00:41:23,514 あわよくば さいならってえ寸法よ。 548 00:41:23,514 --> 00:41:27,819 (鴉の鳴き声) 549 00:41:31,689 --> 00:41:35,026 彦三…。 550 00:41:35,026 --> 00:41:37,328 (鴉の鳴き声) 551 00:41:38,896 --> 00:41:42,333 た~っ! 552 00:41:42,333 --> 00:41:44,335 源さん! はっ! 553 00:41:47,205 --> 00:41:49,707 あなた! んっ? 554 00:41:49,707 --> 00:41:53,044 アハハハハハ…。 555 00:41:53,044 --> 00:41:55,880 んっ… フフフフフ。 556 00:41:55,880 --> 00:41:57,815 ほら。 ああ…。 557 00:41:57,815 --> 00:42:00,485 ハハハハハ…。 558 00:42:00,485 --> 00:42:02,487 お嬢さん! 559 00:42:04,822 --> 00:42:07,492 ♬~ 560 00:42:07,492 --> 00:42:09,794 勘三郎…。 561 00:42:12,363 --> 00:42:15,233 (お絹)勘三郎…。➡ 562 00:42:15,233 --> 00:42:20,037 勘三郎… 勘三郎…。 563 00:42:25,043 --> 00:42:28,312 鴉のおかげで 命拾いした。 564 00:42:28,312 --> 00:42:31,516 本当ですねえ。 供養してあげなくっちゃね。 565 00:42:31,516 --> 00:42:35,186 身代わりになった鴉のですか? ええ そうよ。 566 00:42:35,186 --> 00:42:37,688 飼い主の気持ちが分かったんですかね? 567 00:42:37,688 --> 00:42:44,328 利口な鴉よ。 お絹さんの命を助けて 彦三さんの敵も討ったんだもの。 568 00:42:44,328 --> 00:42:46,264 畝様に文七は➡ 569 00:42:46,264 --> 00:42:49,200 「彦三の幽霊だと思った」って 言ったんですってね。 570 00:42:49,200 --> 00:42:52,036 障子に映った 嘉助さんの影がね➡ 571 00:42:52,036 --> 00:42:55,073 鴉を使う時に 彦三さんが得意げな姿をしたのと➡ 572 00:42:55,073 --> 00:42:57,341 そっくりだったんですって。 (笑い声) 573 00:42:57,341 --> 00:43:02,814 でも 昼間から幽霊が出るなんて思う方が おかしいですよね。 574 00:43:02,814 --> 00:43:05,850 文七は 真っ昼間に彦三を殺したんだぞ。 575 00:43:05,850 --> 00:43:09,353 昼間 幽霊が出たって おかしいことはねえじゃねえか。 576 00:43:20,665 --> 00:43:24,168 申し訳ございません。 頂戴します。 577 00:43:24,168 --> 00:43:26,104 (通之進)頂戴すんのはいいが なあ 東吾➡ 578 00:43:26,104 --> 00:43:30,308 これは一体 何に使う金だい? 579 00:43:30,308 --> 00:43:34,846 葬式と墓を建てるのに 要る金です。 580 00:43:34,846 --> 00:43:36,781 へえ…。 581 00:43:36,781 --> 00:43:40,318 おめえさんが施主に なってやんなきゃなんねえような➡ 582 00:43:40,318 --> 00:43:44,689 仏なのかい? はい。 583 00:43:44,689 --> 00:43:50,194 うん…。 どこの どんな仏だい? 584 00:43:50,194 --> 00:43:52,196 なに 言えねえのかい。 585 00:43:52,196 --> 00:43:59,537 いえ。 吉原の…。 586 00:43:59,537 --> 00:44:01,806 吉原!? 587 00:44:01,806 --> 00:44:06,277 染蝶という花魁です。 588 00:44:06,277 --> 00:44:08,646 こいつは たまげたな おい。 589 00:44:08,646 --> 00:44:12,517 吉原に そんな深間がいたのかい。 590 00:44:12,517 --> 00:44:15,286 おい 香苗! は… はい。 591 00:44:15,286 --> 00:44:18,489 お前さん 少し 甘やかしすぎんじゃねえのか? おい。 592 00:44:18,489 --> 00:44:20,691 申し訳ございません。 593 00:44:23,361 --> 00:44:28,166 庄司の娘のことだけでも こっちはもう 大概 気に病んでるんでい。 594 00:44:28,166 --> 00:44:30,168 兄上…。 595 00:44:30,168 --> 00:44:32,169 いや… 今は いい。 596 00:44:32,169 --> 00:44:36,307 …が 神林の跡を おめえさんが継ぐってことになりゃ➡ 597 00:44:36,307 --> 00:44:39,177 こら もう 放っちゃおけねえこったからな。 598 00:44:39,177 --> 00:44:41,112 「放ってはおけない」とは どういうことですか? 599 00:44:41,112 --> 00:44:46,684 そりゃ おめえ きっちり 片つけさ ならめえよ。 600 00:44:46,684 --> 00:44:50,855 そのお話は… ねえ 東吾さん またにして。 早く お金を。 601 00:44:50,855 --> 00:44:54,158 はい。行ってあげた方が よろしいんでしょう? 602 00:44:58,195 --> 00:45:00,898 ごめん。 603 00:45:06,804 --> 00:45:08,839 う~ん…。 604 00:45:08,839 --> 00:45:10,975 あなた…。 んっ? 605 00:45:10,975 --> 00:45:14,011 真実 るいさんのことを 片をつけねばならないと➡ 606 00:45:14,011 --> 00:45:17,481 あなた お考えなのですか? 当たり前だい! 607 00:45:17,481 --> 00:45:22,286 世の中 うやむやにできることと できねえことがあらあね。 608 00:45:33,931 --> 00:45:36,133 (女の子)あっ 鴉! 609 00:45:39,670 --> 00:45:42,373 (女の子)行こう。 610 00:45:47,011 --> 00:45:49,046 勘三郎…。 611 00:45:49,046 --> 00:46:00,958 ♬~ 612 00:46:00,958 --> 00:46:05,463 お父っつぁん これからも見ていてね。 613 00:46:14,805 --> 00:46:18,276 どうしたんですか? んっ? 614 00:46:18,276 --> 00:46:22,647 変ですよ。 俺がか? 615 00:46:22,647 --> 00:46:28,986 ええ。 ここんとこ ずっと 何か おかしい。 616 00:46:28,986 --> 00:46:31,188 おかしかねえさ。 617 00:46:34,492 --> 00:46:37,828 若様。 おう 何だい? 618 00:46:37,828 --> 00:46:41,699 畝様が お迎えに。 そうか。 619 00:46:41,699 --> 00:46:44,168 お出かけですか? ああ。 620 00:46:44,168 --> 00:46:46,871 どちらへ? 621 00:46:49,840 --> 00:46:51,776 変な人…。 622 00:46:51,776 --> 00:46:53,711 えっ? 623 00:46:53,711 --> 00:46:56,013 何でもありませんよ。 624 00:47:03,954 --> 00:47:06,991 長助も 是非 墓参りがしてえって言うんで 連れてきました。 625 00:47:06,991 --> 00:47:10,461 うん。 私が もう少し 気を付けてたら➡ 626 00:47:10,461 --> 00:47:14,965 殺されんで済んだものをと 申し訳ないことしたと思ってます。 627 00:47:14,965 --> 00:47:17,268 な~に おめえのせいじゃねえさ。 628 00:47:17,268 --> 00:47:21,972 あれの持って生まれた運だろうよ。 629 00:47:21,972 --> 00:47:25,009 けど 墓が 彼岸まで間に合って よかったな。 630 00:47:25,009 --> 00:47:29,480 ああ… 石屋には くれぐれも 間に合わすようにって頼んでおきました。 631 00:47:29,480 --> 00:47:31,982 ありがとう。 632 00:47:34,151 --> 00:47:36,454 ねえ 東吾さん…。 うん? 633 00:47:38,022 --> 00:47:40,658 るいさんには 何て言って 出てきたんです? 634 00:47:40,658 --> 00:47:43,694 染蝶の墓 参ってやるからって 正直 おっしゃったんですか? 635 00:47:43,694 --> 00:47:49,367 いや… 何も言わずに 出てきちまった。 636 00:47:49,367 --> 00:47:51,369 そうですか…。 637 00:47:51,369 --> 00:47:55,172 東吾さんにも とうとう るいさんに ないしょの墓が出来たんですね。 638 00:47:55,172 --> 00:47:58,075 いや 手前は不粋で よく知りませんが➡ 639 00:47:58,075 --> 00:48:00,978 彼岸に 女房に ないしょの仏の墓に 参ってやるっていう➡ 640 00:48:00,978 --> 00:48:03,781 歌 あるんだそうですね。 641 00:48:03,781 --> 00:48:06,617 おい 源さん 妙な勘ぐりはしねえでくれ。 642 00:48:06,617 --> 00:48:09,253 俺と染蝶とはなあ…。 いや いいんですよ いいんです。 643 00:48:09,253 --> 00:48:11,789 るいさんには 絶対に言いませんから。 なっ? 644 00:48:11,789 --> 00:48:13,724 へい…。 645 00:48:13,724 --> 00:48:16,127 ハハッ… バカ。 646 00:48:16,127 --> 00:48:18,796 アッハハハハハ…。 647 00:48:18,796 --> 00:48:21,699 ハハハハハハハハハ! 648 00:48:21,699 --> 00:48:27,004 ♬~ 649 00:48:29,507 --> 00:48:34,645 ♬~(テーマ音楽) 650 00:48:34,645 --> 00:48:57,134 ♬~