1 00:00:02,102 --> 00:00:07,040 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:07,040 --> 00:02:08,829 ♬~ 3 00:02:16,169 --> 00:02:18,839 (通之進)東吾。 (東吾)はい。 4 00:02:18,839 --> 00:02:20,774 (通之進)寒くはねえかい? 5 00:02:20,774 --> 00:02:24,644 いえ 兄上と違って 若うございますから。 6 00:02:24,644 --> 00:02:27,014 うそをつけ。 7 00:02:27,014 --> 00:02:31,685 香苗が 背中に そっと 真綿を仕込んどいてくれたんだろう? 8 00:02:31,685 --> 00:02:34,521 アハハッ…  ご存じだったんですか。 9 00:02:34,521 --> 00:02:41,294 いや まあ やることが 亡くなった母上によく似てきやがった…。 10 00:02:41,294 --> 00:02:45,599 ええ 私も ふと そう思うことがあります。 11 00:02:50,871 --> 00:02:53,874 どうしたい? 12 00:02:56,543 --> 00:02:59,846 (幸助)東吾様…。 何者だ? 13 00:03:02,649 --> 00:03:05,685 (通之進)なぜ 答えぬ? 14 00:03:05,685 --> 00:03:11,691 夜中 徒党を組んでの徘徊 何のためか申せ。 15 00:03:14,828 --> 00:03:17,531 東吾。 はい。 16 00:03:19,166 --> 00:03:21,168 ああ~! 17 00:03:25,038 --> 00:03:27,040 ああ…! 18 00:03:32,312 --> 00:03:35,215 油断するな 東吾。 19 00:03:35,215 --> 00:03:37,217 幸助。 20 00:03:39,019 --> 00:03:43,824 近頃 はやりの「勤皇浪士」と称する 盗っ人だな てめえたち。 21 00:03:46,693 --> 00:03:49,596 いいところで出会った。 22 00:03:49,596 --> 00:03:52,566 一網打尽にしてくれるから 覚悟しなよ! 23 00:03:52,566 --> 00:04:18,492 ♬~ 24 00:04:18,492 --> 00:04:20,794 (伊太郎)ご助勢つかまつる! 25 00:04:26,233 --> 00:04:29,169 東吾 殺すでない! はい! 26 00:04:29,169 --> 00:04:40,680 ♬~ 27 00:04:40,680 --> 00:04:42,616 伊太郎!? 28 00:04:42,616 --> 00:04:45,018 やあ 先生でしたか…。 29 00:04:45,018 --> 00:04:48,889 こいつらは盗っ人だ。 手加減するな! はい! 30 00:04:48,889 --> 00:04:51,191 1人や2人は斬ってもいい。 31 00:04:51,191 --> 00:04:54,528 あとは 俺が死なねえ程度に ぶったたいてやる。 32 00:04:54,528 --> 00:04:57,430 やあ~! てや! 33 00:04:57,430 --> 00:04:59,399 逃げろ! 34 00:04:59,399 --> 00:05:16,116 ♬~ 35 00:05:19,686 --> 00:05:21,688 やあ~! 36 00:05:28,395 --> 00:05:30,697 御用だ! 神妙にしろ! 37 00:05:34,201 --> 00:05:36,203 伊太郎! 38 00:05:38,004 --> 00:05:41,208 伊太郎! 伊太郎! 39 00:05:47,180 --> 00:05:49,115 (おもん)おきみさん! (おきみ)はい。 40 00:05:49,115 --> 00:05:51,117 キャ~ッ! ああ…。 41 00:05:53,954 --> 00:05:57,324 (源三郎)東吾さん。 ⚟おお。 42 00:05:57,324 --> 00:05:59,392 おお 源さん。 43 00:05:59,392 --> 00:06:03,129 (源三郎)ゆうべは お手柄でしたな。 アハハッ いやいや。 44 00:06:03,129 --> 00:06:05,799 (るい)いらっしゃいまし。 (源三郎)ああ。 おお…? 45 00:06:05,799 --> 00:06:08,602 ん? あっ ハハハッ… 上がれ。 46 00:06:12,973 --> 00:06:17,277 (源三郎)連中は やはり 勤皇浪士を名乗る 押し込みの一味でした。 47 00:06:17,277 --> 00:06:20,480 では もう 押し込みは なくなりますね。 48 00:06:20,480 --> 00:06:22,415 いや それが…。 えっ? 49 00:06:22,415 --> 00:06:26,152 何だい? やつら 相当に数が多いらしくて…。 50 00:06:26,152 --> 00:06:30,657 しかし 捕まえた連中の口を割らせりゃ…。 いや 駄目なんですよ それが。 51 00:06:32,659 --> 00:06:37,964 その あいにく ゆんべの首領は 東吾さんに斬られた中に入ってましてね。 52 00:06:39,833 --> 00:06:43,503 捕ったのは雑魚ばかり お互い 名前も知らぬ手合いですから。 53 00:06:43,503 --> 00:06:47,173 それじゃ 黒幕が どこの誰かも知らねえ ってわけなのか? 54 00:06:47,173 --> 00:06:49,109 はい。 55 00:06:49,109 --> 00:06:51,111 くそ…! 56 00:06:52,846 --> 00:06:54,848 ⚟(お吉)ごめんくださいまし。 57 00:06:56,516 --> 00:07:00,020 (お吉)ゆんべ お寺に押し入ったんですってね。 58 00:07:00,020 --> 00:07:02,789 おお…。 あっ どうぞ。 59 00:07:02,789 --> 00:07:06,126 (嘉助)小日向の常泉院がやられたって 話じゃありませんか。 60 00:07:06,126 --> 00:07:10,463 おお。 本堂を修復するためにな 集めた金 全部 持っていかれて➡ 61 00:07:10,463 --> 00:07:12,966 和尚は青くなっていたんだが➡ 62 00:07:12,966 --> 00:07:15,869 金が無事に戻ったのは 阿弥陀様のおかげだって➡ 63 00:07:15,869 --> 00:07:17,837 涙流して喜んでました。 64 00:07:17,837 --> 00:07:20,273 あら 阿弥陀様のおかげじゃありませんよ。 65 00:07:20,273 --> 00:07:22,642 東吾様のおかげじゃありませんか。 ねえ お嬢さん。 66 00:07:22,642 --> 00:07:24,577 (源三郎)頂きます。➡ 67 00:07:24,577 --> 00:07:28,148 あっ ところで 東吾さん。 うん? 68 00:07:28,148 --> 00:07:30,650 いや ゆうべ 助太刀に駆けつけた…。 69 00:07:30,650 --> 00:07:32,986 おお 伊太郎かい? ええ。 70 00:07:32,986 --> 00:07:35,021 東吾さんのお弟子だそうですな。 71 00:07:35,021 --> 00:07:39,492 うん 方月館道場に通ってきてるから 弟子といえば弟子だな。 72 00:07:39,492 --> 00:07:42,162 はあ… 侍ですか? 73 00:07:42,162 --> 00:07:45,065 いや 親は あの辺の大百姓だ。 74 00:07:45,065 --> 00:07:50,303 …が 実の父親が武士だとかで それで 剣術の稽古も始めたらしい。 75 00:07:50,303 --> 00:07:53,673 それが どうかしたのかい? 源さん。 76 00:07:53,673 --> 00:07:58,511 いえ 狸穴の道場で稽古してる 土地の若い者が➡ 77 00:07:58,511 --> 00:08:01,247 どうして 小日向辺りに いたんだろうと 思いましてね。 78 00:08:01,247 --> 00:08:07,053 なるほど しかも 夜更けの江戸川べりを 何で歩いてたっていうんでしょうね? 79 00:08:07,053 --> 00:08:08,988 いや それは 俺も…➡ 80 00:08:08,988 --> 00:08:11,458 「何で こんなところに」と 聞こうと思ってるうちに➡ 81 00:08:11,458 --> 00:08:13,393 伊太郎が いなくなっちまったんだ。 えっ…➡ 82 00:08:13,393 --> 00:08:15,962 いなくなっちゃったんですか? うん。 83 00:08:15,962 --> 00:08:20,800 東吾様にも何にも言わずにですか? 妙ですねえ…。 84 00:08:20,800 --> 00:08:23,136 狸穴へ 一度 行ってみましょう。 85 00:08:23,136 --> 00:08:26,139 源さん 伊太郎が怪しいっていうのかい? 86 00:08:26,139 --> 00:08:28,274 あっ いえいえ…。 87 00:08:28,274 --> 00:08:31,978 東吾さんの助勢をして 賊を1人斬って 手傷を負わしてるぐらいですから➡ 88 00:08:31,978 --> 00:08:33,913 よもやとは思いますけれども…。 89 00:08:33,913 --> 00:08:37,784 まあ うたぐりゃ そいつも押し込みの一味で➡ 90 00:08:37,784 --> 00:08:40,487 若旦那の顔 見て とっさに寝返ったってことも➡ 91 00:08:40,487 --> 00:08:42,489 考えられねえことはありやせんからね。 92 00:08:44,157 --> 00:08:46,493 よし 分かった。 俺も一緒に行こう。 93 00:08:46,493 --> 00:08:50,296 行っていただけますか? 伊太郎に剣を教えたのは 俺だ。 94 00:08:50,296 --> 00:08:52,232 俺の教えた剣で 伊太郎が➡ 95 00:08:52,232 --> 00:08:56,035 罪もない江戸の人たちを 傷つけてるのだったら…。 96 00:08:59,305 --> 00:09:01,608 頂きます。 どうぞ…。 97 00:09:15,455 --> 00:09:18,258 ⚟(正吉)先生! おお 正吉! 98 00:09:20,326 --> 00:09:23,196 (正吉)先生 どうして来たの? 99 00:09:23,196 --> 00:09:25,965 正吉に会いに来たんだぞ。 100 00:09:25,965 --> 00:09:28,268 本当…? うん。 101 00:09:28,268 --> 00:09:31,137 しばらく会わないうちに すっかり大きくなったな。 102 00:09:31,137 --> 00:09:33,072 (東吾 源三郎)ハッハッハッ…。 103 00:09:33,072 --> 00:09:35,141 おお かわいいな…。 104 00:09:35,141 --> 00:09:38,478 おっ母ちゃん 先生が来たよ。 105 00:09:38,478 --> 00:09:43,149 (おとせ)ゆうべは大変だったそうで おけがもなく 何よりでございました。 106 00:09:43,149 --> 00:09:45,085 おい どうして知ってるんだ? 107 00:09:45,085 --> 00:09:48,021 (善助)伊太郎さんに聞いたんですよ。 伊太郎が… 来たのか? 108 00:09:48,021 --> 00:09:52,025 (おとせ)はい。 (善助)あの まだ道場にいますよ。 109 00:09:53,793 --> 00:09:59,699 (方斎)昨夜は 思わぬところで 伊太郎が お役に立ったそうだの。 110 00:09:59,699 --> 00:10:04,003 そのことにつきまして 畝 源三郎と参りました。 111 00:10:04,003 --> 00:10:07,307 (方斎)うん… さもあろう。 112 00:10:07,307 --> 00:10:09,843 伊太郎にも言うておいた。 113 00:10:09,843 --> 00:10:13,513 「黙って 立ち去ったのは いかにも まずかった」とな。 114 00:10:13,513 --> 00:10:15,548 手前が承りたいのは➡ 115 00:10:15,548 --> 00:10:22,222 何用あって あの時刻に 小日向へ 参っていたかの一点でございます。 116 00:10:22,222 --> 00:10:24,224 答えなさい。 117 00:10:26,025 --> 00:10:28,528 はい。 118 00:10:28,528 --> 00:10:34,033 そのことにつきましては 大先生にも お話し申し上げましたが➡ 119 00:10:34,033 --> 00:10:36,836 親の恥になりますことにて…。 120 00:10:39,706 --> 00:10:43,042 言いにくかったら わしから話そうか。 121 00:10:43,042 --> 00:10:45,845 いえ 手前が申します。 122 00:10:48,715 --> 00:10:53,887 昨日 手前が小日向へ参りましたは➡ 123 00:10:53,887 --> 00:10:56,689 父の屋敷を見るためでした。 124 00:10:59,692 --> 00:11:02,495 (伊太郎) 初めて出かけていった 江戸の町➡ 125 00:11:02,495 --> 00:11:06,100 勝手が分からず さんざん迷い歩いて 小日向に着いて➡ 126 00:11:06,100 --> 00:11:12,005 何人かの人に尋ねて ようやく 父の屋敷へ参りました。 127 00:11:19,512 --> 00:11:24,017 (伊太郎)もとより 門の中へ入るつもりはありません。➡ 128 00:11:24,017 --> 00:11:27,687 父の屋敷 この目に しっかり見ておきたいと➡ 129 00:11:27,687 --> 00:11:31,191 ただ それだけで参ったのですが…。➡ 130 00:11:31,191 --> 00:11:36,396 この門の中に 実の父が暮らしているのかと思うと…。 131 00:11:45,338 --> 00:11:48,241 何か ご用でございましょうか? 132 00:11:48,241 --> 00:11:50,243 いや…。 133 00:11:55,882 --> 00:11:58,384 (うぐいすの鳴き声) 134 00:12:00,720 --> 00:12:03,723 (うぐいすの鳴き声のまね) 135 00:12:06,159 --> 00:12:08,995 (伊太郎)伝通院近くの そば屋へ入って➡ 136 00:12:08,995 --> 00:12:12,498 2階へ上がり 少し酒を飲んで 腹ごしらえをして➡ 137 00:12:12,498 --> 00:12:17,670 帰るつもりでおりましたが…。➡ 138 00:12:17,670 --> 00:12:23,476 一日中 歩き回って疲れたのか ちょっと横になったつもりが➡ 139 00:12:23,476 --> 00:12:25,478 ぐっすりと眠って…。 140 00:12:28,014 --> 00:12:31,017 相すみません お客さん…。 141 00:12:33,686 --> 00:12:38,324 (そば屋の主人)もう店 閉めますんで…。 あっ… すまん すまん。 142 00:12:38,324 --> 00:12:42,829 お~っとっとっと…。 おきよ 雑巾 持っておいで。⚟(おきよ)は~い。 143 00:12:45,531 --> 00:12:47,467 夜も更けておりましたし➡ 144 00:12:47,467 --> 00:12:54,240 どこかの寺のお堂にでも泊まるつもりで 足が また父の屋敷の方角へ…。➡ 145 00:12:54,240 --> 00:12:58,044 賊を見たのは 大曲へ来てからでございます。➡ 146 00:12:58,044 --> 00:13:02,015 通行人が襲われたと思って 助勢に駆けつけました。 147 00:13:02,015 --> 00:13:08,655 血の気の多いやつだな。 生兵法は 大けがのもとだぞ。はい。 148 00:13:08,655 --> 00:13:12,825 いや 正直を言えば おめえのおかげで助かった。 149 00:13:12,825 --> 00:13:16,295 思わぬ助勢の出現に 賊は 足並みを乱して➡ 150 00:13:16,295 --> 00:13:21,000 金箱まで投げ出していったのです。 うむ… うむ うむ。 151 00:13:22,669 --> 00:13:24,604 どうだ? 源さん。 152 00:13:24,604 --> 00:13:27,607 いや…。 いや…。 153 00:13:29,308 --> 00:13:35,114 伊太郎の父親は 御書院組の吉田織部様と 方斎先生から伺いましたが…。 154 00:13:35,114 --> 00:13:37,050 うん。 155 00:13:37,050 --> 00:13:40,319 おっ母さんってのは お多江さんと申しまして➡ 156 00:13:40,319 --> 00:13:44,023 やはり この近くの 大きな百姓家の娘さんでした。 157 00:13:44,023 --> 00:13:48,861 娘の時分に 吉田様へ 行儀見習の ご奉公に上がりまして➡ 158 00:13:48,861 --> 00:13:51,564 ご主人のお手がついた。 159 00:13:53,199 --> 00:13:55,702 織部様は ご養子様なんだそうで➡ 160 00:13:55,702 --> 00:13:59,205 自分の しでかしたことが 奥方の耳に入らねえうちに➡ 161 00:13:59,205 --> 00:14:02,642 お多江さんに お暇が出たんです。 その時 もう伊太郎さんが…? 162 00:14:02,642 --> 00:14:06,279 そうなんですよ。 お多江さんのおなかに 入っていましてね➡ 163 00:14:06,279 --> 00:14:11,484 こっちへ来てから 伊太郎さんを産んだってんです。 ええ。 164 00:14:11,484 --> 00:14:13,519 伊太郎の今の父親ってのは? 165 00:14:13,519 --> 00:14:17,156 ええ 松本庄右衛門と申しまして➡ 166 00:14:17,156 --> 00:14:20,159 苗字帯刀を許されている 名主の家柄です。➡ 167 00:14:20,159 --> 00:14:23,930 それで 伊太郎さんを我が子として かわいがってるんですから➡ 168 00:14:23,930 --> 00:14:27,500 そりゃあ もう 大きな腹の いいお人です。 169 00:14:27,500 --> 00:14:31,838 庄右衛門と お多江の間には ほかに 子供はできなかったのか? 170 00:14:31,838 --> 00:14:33,773 ええ。 171 00:14:33,773 --> 00:14:39,312 ですから 伊太郎さんさえ黙っていりゃ 庄右衛門旦那の跡を継いで➡ 172 00:14:39,312 --> 00:14:41,848 やがて お名主様になれるんですよ。 173 00:14:41,848 --> 00:14:44,517 それを どうでも侍になりてえ…。 174 00:14:44,517 --> 00:14:47,320 言ってんのかい? 困ったもんです。 175 00:14:49,856 --> 00:14:52,759 ⚟(雨の音) あっ 雨ですか。 176 00:14:52,759 --> 00:14:55,461 こりゃ…  こりゃ いけねえ! おい。 177 00:14:58,564 --> 00:15:02,502 ねえ 東吾さん。 うん? 178 00:15:02,502 --> 00:15:06,339 伊太郎は 今時分 家へ帰って ゆうべの手柄話➡ 179 00:15:06,339 --> 00:15:10,643 庄右衛門や母親に 語って聞かしてるんでしょうが➡ 180 00:15:10,643 --> 00:15:13,546 小日向の吉田の屋敷 見に行った と聞いたら➡ 181 00:15:13,546 --> 00:15:16,816 その2人 どう思うでしょうかねえ? 182 00:15:16,816 --> 00:15:19,652 うむ…。 (善助)そりゃあ まあ➡ 183 00:15:19,652 --> 00:15:23,289 いくら 庄右衛門さんが 太っ腹な お人だといったって➡ 184 00:15:23,289 --> 00:15:26,159 決して いい気持ちのもんじゃございますまい。 185 00:15:26,159 --> 00:15:28,661 せっかく 自分の跡継ぎにと思って➡ 186 00:15:28,661 --> 00:15:31,664 今日まで育ててきた 伊太郎さんですものねえ。 187 00:15:33,533 --> 00:15:35,535 はあ…。 188 00:15:42,508 --> 00:15:45,211 (鶏の鳴き声) 189 00:15:52,018 --> 00:15:56,522 (正吉)先生! お客様だよ。 (おとせ)伊太郎さんの ご両親が…。 190 00:15:58,791 --> 00:16:03,663 (庄右衛門)伊太郎は 私に遠慮して なかなか 本心を申しませんでしたが➡ 191 00:16:03,663 --> 00:16:10,269 前々から 侍になりたいと 強く心に決めていたらしゅうございます。 192 00:16:10,269 --> 00:16:14,807 それで どうやって侍になるというのです? 193 00:16:14,807 --> 00:16:20,480 (多江)吉田様へ ご奉公に上がりたいと申しております。 194 00:16:20,480 --> 00:16:22,982 奉公に? はい。 195 00:16:24,817 --> 00:16:29,689 中間でも若党でも 身分は どんなに低くてもよいからと➡ 196 00:16:29,689 --> 00:16:32,491 伊太郎は そう申します。 197 00:16:32,491 --> 00:16:36,362 親としては せがれが それほど思い詰めているものなら➡ 198 00:16:36,362 --> 00:16:40,566 なんとかして 望みをかなえてやりたいと存じまして…。 199 00:16:42,668 --> 00:16:46,172 まことに 厚かましいお願いとは存じますが➡ 200 00:16:46,172 --> 00:16:52,845 若先生から吉田様へ 伊太郎の気持ち お取り次ぎいただけませんでしょうか? 201 00:16:52,845 --> 00:16:54,780 待ってください。 202 00:16:54,780 --> 00:16:59,185 あなたも はなっから承知の上で と聞いたから 申すのですが➡ 203 00:16:59,185 --> 00:17:04,624 吉田織部様は 18年前 伊太郎誕生の折 父親の証しとして➡ 204 00:17:04,624 --> 00:17:08,794 吉田家に伝わる 千鳥の象眼の鍔を贈った というではありませんか。 205 00:17:08,794 --> 00:17:11,697 それを証拠に名乗って出れば…。 206 00:17:11,697 --> 00:17:14,600 いえ 伊太郎も私どもも➡ 207 00:17:14,600 --> 00:17:18,271 殿様のお血を引く者だと名乗って出る つもりは 毛頭ございません。 208 00:17:18,271 --> 00:17:20,973 ご奉公が望み…。 209 00:17:20,973 --> 00:17:23,809 どうか これだけは お間違いくださいませんように➡ 210 00:17:23,809 --> 00:17:26,279 お願い申し上げます。 211 00:17:26,279 --> 00:17:28,648 (庄右衛門)お願い申し上げます。 212 00:17:28,648 --> 00:17:38,858 ♬~ 213 00:17:43,496 --> 00:17:45,498 ⚟(伊太郎)先生! 214 00:17:52,004 --> 00:17:55,508 あの これ お荷物でも お持ち帰りいただくようにと➡ 215 00:17:55,508 --> 00:17:57,543 母から 言づかってまいりました。 216 00:17:57,543 --> 00:18:00,846 そうか。 それじゃ 遠慮なく…。 217 00:18:02,782 --> 00:18:06,452 父上 母上から お前の願いは確かに聞いた。 218 00:18:06,452 --> 00:18:08,387 しかるべき人に頼んで➡ 219 00:18:08,387 --> 00:18:11,257 吉田様に通じるように 計らってやるつもりだ。 220 00:18:11,257 --> 00:18:13,759 はい よろしくお願い申し上げます! 221 00:18:15,795 --> 00:18:17,830 しかし 伊太郎さん➡ 222 00:18:17,830 --> 00:18:22,134 お前さん 本当に 侍になりたいという それだけで➡ 223 00:18:22,134 --> 00:18:25,805 吉田家に奉公を願ってるのか? …と おっしゃいますと? 224 00:18:25,805 --> 00:18:32,144 私にはね おめえさんが 実の父親と 一つ屋敷に暮らしたいという思いが➡ 225 00:18:32,144 --> 00:18:36,015 どこかにあるように思えてならねえんだ。 226 00:18:36,015 --> 00:18:41,821 そりゃ お前さんが 実の父親を慕う情は よく分かる。 227 00:18:41,821 --> 00:18:46,692 しかし 世の中 情だけでは動かないもんだからな…。 228 00:18:46,692 --> 00:18:49,161 どういうことでしょうか? 229 00:18:49,161 --> 00:18:53,666 おめえが 吉田家に奉公したあとになって➡ 230 00:18:53,666 --> 00:18:57,169 織部様のお子だということが 皆に知れたらと➡ 231 00:18:57,169 --> 00:18:59,171 源さんは言ってるんだよ。 232 00:18:59,171 --> 00:19:04,777 奥様の思惑もあれば 家督のこともある。➡ 233 00:19:04,777 --> 00:19:07,613 いろいろ面倒なことが起こるやもしれん。 234 00:19:07,613 --> 00:19:09,548 そんな… 決して 私は…! 235 00:19:09,548 --> 00:19:14,487 「お前が」ではない。 「周囲が」の話だ。 236 00:19:14,487 --> 00:19:16,789 ⚟伊太郎さん! 237 00:19:24,964 --> 00:19:27,867 帰れ! 帰りなさい。 238 00:19:27,867 --> 00:19:40,446 ♬~ 239 00:19:40,446 --> 00:19:44,150 (お吉)男の人ってなあ つくづく 勝手なもんですねえ…。➡ 240 00:19:44,150 --> 00:19:48,988 これが 天下の旗本 立派な殿様のなさることですか? 241 00:19:48,988 --> 00:19:50,923 それっきりじゃなかろう。 242 00:19:50,923 --> 00:19:54,293 屋敷を出る時には それ相応のお手当も渡したろうし➡ 243 00:19:54,293 --> 00:19:56,996 証拠の刀の鍔も ちゃんと やってあるんだから。 244 00:19:56,996 --> 00:19:59,899 私はね 情のことを言ってるんですよ。 245 00:19:59,899 --> 00:20:06,305 親としての情があるんなら 18年も長い間 伊太郎さんをほっときますでしょうか。 246 00:20:06,305 --> 00:20:08,240 私は それが気に入らないんですよ。 247 00:20:08,240 --> 00:20:14,513 父親の情 織部様にもあったからこそ 家重代の千鳥の鍔を渡しもしたんだ。 248 00:20:14,513 --> 00:20:17,016 晴れて我が子と呼ぶことのできねえ 我が子へ➡ 249 00:20:17,016 --> 00:20:21,020 せめてもの心やりだと思うが…。 違うかな? 250 00:20:22,688 --> 00:20:24,724 (お吉)あっ お嬢さん できましたよ。➡ 251 00:20:24,724 --> 00:20:28,027 はい。 252 00:20:28,027 --> 00:20:33,532 伊太郎さんとおっしゃる その人が お侍になって➡ 253 00:20:33,532 --> 00:20:38,838 それで 幸せになれるものかしらねえ? 254 00:20:41,040 --> 00:20:45,878 狸穴の 育ての親の親御さんは いいお人のようですし➡ 255 00:20:45,878 --> 00:20:49,215 お名主様なら 不足はないでしょうに…。 256 00:20:49,215 --> 00:20:52,218 「実の父親と 一つ屋敷で暮らしたい。➡ 257 00:20:52,218 --> 00:20:56,956 だから 吉田家へ奉公したいと 伊太郎は考えてるんじゃねえか…」。 258 00:20:56,956 --> 00:20:59,558 源さんは そう言っていた。 259 00:20:59,558 --> 00:21:04,530 そりゃ 18年も別れて暮らしているんですもの。 260 00:21:04,530 --> 00:21:08,667 けど それならそれで やっかいなことにはなりませんか? 261 00:21:08,667 --> 00:21:13,005 なるものか! 別に 吉田家の跡を取りたい というわけじゃねえ。 262 00:21:13,005 --> 00:21:17,309 奥方だって もう不惑の年を越えて 今更 やきもちでもなかろう。 263 00:21:17,309 --> 00:21:20,679 それは 殿方のお考えですよ。 264 00:21:20,679 --> 00:21:26,385 まだ やきもちをやくってのか? はっ! 女ってのは執念深えなあ。 265 00:21:28,020 --> 00:21:30,322 ⚟(嘉助)若旦那! おう。 266 00:21:30,322 --> 00:21:33,859 ⚟(嘉助)畝の旦那が お見えになりやした。 267 00:21:33,859 --> 00:21:37,163 おお 源さん ちょうどいい。 とりだ。 うめえぜ! 268 00:21:38,731 --> 00:21:42,535 実は あのまんま 蔵前の鶴伊勢屋 行っておりまして。 269 00:21:42,535 --> 00:21:45,437 鶴伊勢屋? おお 料亭だ。 どうかしたのかい? 270 00:21:45,437 --> 00:21:49,408 ゆうべ 例の勤皇浪士の一味にやられました。 271 00:21:49,408 --> 00:21:52,211 また出たのかい!? (源三郎)はい。➡ 272 00:21:52,211 --> 00:21:57,082 盗られた金は 800両。 これは さる大名の重役に用立てていたものが➡ 273 00:21:57,082 --> 00:22:01,020 たまたま返されたものだそうですが…。 いえ 金だけじゃなくて…。 274 00:22:01,020 --> 00:22:03,155 何? 275 00:22:03,155 --> 00:22:05,491 主の撥一郎 息子の松之助➡ 276 00:22:05,491 --> 00:22:07,993 撥一郎のかみさんが斬り殺されまして…。 277 00:22:07,993 --> 00:22:11,864 まあ! おかみさんまで殺されたんですか? 278 00:22:11,864 --> 00:22:14,567 なんて ひどいことを…! 279 00:22:19,305 --> 00:22:21,841 で 奉公人は? 280 00:22:21,841 --> 00:22:24,877 幸い 皆 無事でした。 うむ。 281 00:22:24,877 --> 00:22:29,014 帳場のすぐ上の部屋に寝ていたのが 手代の佐助。 282 00:22:29,014 --> 00:22:32,851 これが 賊の入ってきた物音に まず 気が付いたんだそうです。 283 00:22:32,851 --> 00:22:36,522 うむ。 まず 物音に気が付いて 佐助は どうしたっていうんだ? 284 00:22:36,522 --> 00:22:39,325 いえ 何もしませんでした。 何? 285 00:22:39,325 --> 00:22:42,861 鶴伊勢屋の者が 日頃 主の撥一郎から➡ 286 00:22:42,861 --> 00:22:45,698 「もし 盗っ人に入られても 決して 騒いじゃいけない。➡ 287 00:22:45,698 --> 00:22:49,568 手向かいなど とんでもない。 じっと部屋に隠れて そこから出るな」➡ 288 00:22:49,568 --> 00:22:51,570 そう言われていたんだそうです。 289 00:22:51,570 --> 00:22:54,873 金は盗られても なんとかなるが➡ 290 00:22:54,873 --> 00:22:59,211 人の命は 取られたら 取り返しがきかねえ そういうわけですね。 291 00:22:59,211 --> 00:23:03,082 だから まあ 手代の佐助も あとから目を覚ました小僧たちも➡ 292 00:23:03,082 --> 00:23:05,017 じっと部屋に隠れていて…。 293 00:23:05,017 --> 00:23:08,287 斬られずに済んだんですね。 294 00:23:08,287 --> 00:23:10,823 それで…。 295 00:23:10,823 --> 00:23:13,292 (源三郎)佐助は すっかり物音がやんで➡ 296 00:23:13,292 --> 00:23:15,361 賊が出ていってしまったのを 見すましてから➡ 297 00:23:15,361 --> 00:23:17,997 恐る恐る 下へ下りていってみると➡ 298 00:23:17,997 --> 00:23:20,299 主夫婦が寝間で殺され➡ 299 00:23:20,299 --> 00:23:24,837 せがれの松之助も 自分の部屋で朱に染まって倒れていた。 300 00:23:24,837 --> 00:23:30,309 許せねえやつらだ。 全くです! ひどい連中です…。 301 00:23:30,309 --> 00:23:32,511 頂きます。 302 00:23:35,681 --> 00:23:41,186 あっ あの… 2~3 腑に落ちねえことが ありましてね。 303 00:23:41,186 --> 00:23:43,122 うん? いや➡ 304 00:23:43,122 --> 00:23:46,692 明日 もう一度 出向いてみようと思うんですが…。 305 00:23:46,692 --> 00:23:49,528 うん 分かった。 俺も一緒に行こう。 306 00:23:49,528 --> 00:23:51,463 あっ… お願いいたします。 307 00:23:51,463 --> 00:23:53,666 頂きます。 あっ どうも…。 308 00:24:00,806 --> 00:24:02,741 (伝次)ご苦労さまでございます。 309 00:24:02,741 --> 00:24:07,146 賊は 表の戸をたたき壊して まっすぐに 入ってきたものと思われますな。 310 00:24:07,146 --> 00:24:11,650 殺された3人は 3人とも 前から斬られていて➡ 311 00:24:11,650 --> 00:24:16,288 主人の撥一郎は 袈裟がけ 女房と息子は 胸一突きです。 312 00:24:16,288 --> 00:24:18,357 どれも手向かった様子は ありませんでした。 313 00:24:18,357 --> 00:24:20,359 どうぞ。 314 00:24:22,995 --> 00:24:26,031 (伝次)ここが 撥一郎たち夫婦の部屋です。 315 00:24:26,031 --> 00:24:29,168 玄関からは だいぶあるな。 ええ。 316 00:24:29,168 --> 00:24:32,071 商売柄 客を通す座敷が いくつもござんすからね。 317 00:24:32,071 --> 00:24:35,374 (徳松)幸い 泊まっていた客は 一人もいなかったそうで。 へえ。 318 00:24:37,042 --> 00:24:40,679 金は どこに置いてあったんだ? 源さん。 店です。 319 00:24:40,679 --> 00:24:44,850 800両 店で盗んで その上 なぜ こんな奥の➡ 320 00:24:44,850 --> 00:24:50,022 撥一郎夫婦の部屋まで 踏み込んできたのか…。 不思議ですな。 321 00:24:50,022 --> 00:24:52,691 奥に もっと金があると 思ったんじゃありませんか? 322 00:24:52,691 --> 00:24:56,528 それなら 撥一郎は 手元の 十両や二十両の金は 賊に渡しただろう。 323 00:24:56,528 --> 00:25:00,132 奉公人にも決して手向かいはしないように 口うるさいぐらいに言ってたんだ。 324 00:25:00,132 --> 00:25:05,004 なるほど 手向かいはしなかった。 …が 金を渡そうとした様子もねえ。 325 00:25:05,004 --> 00:25:07,873 布団の上で殺されてやすからね。 326 00:25:07,873 --> 00:25:13,145 「金を出せ」とも言わずに 斬りつけてきたんだろうなあ。 327 00:25:13,145 --> 00:25:15,647 つまり やつらは 金じゃなく➡ 328 00:25:15,647 --> 00:25:18,550 斬るのが目当てで ここまで踏み込んできた。 329 00:25:18,550 --> 00:25:22,287 それにしても 撥一郎や せがれの寝てる部屋が➡ 330 00:25:22,287 --> 00:25:26,091 よく やつらに分かったもんだな…。 えっ!? 331 00:25:27,826 --> 00:25:33,298 一味の中に この家の内部に詳しい者が いたのかもしれませんな。 332 00:25:33,298 --> 00:25:35,834 あるいは 中に 手引きしたやつがいるかもしれねえ。 333 00:25:35,834 --> 00:25:37,770 誰です? 334 00:25:37,770 --> 00:25:40,305 徳松。(徳松)へい! 手代を呼んできてくれ。 335 00:25:40,305 --> 00:25:42,241 (徳松)手代? 誰を呼びましょう? 336 00:25:42,241 --> 00:25:44,176 最初に 物音に気が付いたという…。 337 00:25:44,176 --> 00:25:46,178 佐助! おう。 338 00:25:46,178 --> 00:25:48,847 あっ それからな 偶然 あの晩 ここに泊まったという喜八もだ。 339 00:25:48,847 --> 00:25:50,849 呼んでこい。 (徳松)合点だい! 340 00:25:58,524 --> 00:26:00,959 どっちが佐助だ? 341 00:26:00,959 --> 00:26:02,995 佐助でございます。 342 00:26:02,995 --> 00:26:07,833 一番先に 賊の入る物音に気が付いたそうだの。 343 00:26:07,833 --> 00:26:13,539 賊かどうかは分かりませんでしたが 変な音がするので 目が覚めました。 344 00:26:13,539 --> 00:26:15,974 戸の壊れる音か? 345 00:26:15,974 --> 00:26:20,646 さあ… 特に大きな音だったとは思いませんが➡ 346 00:26:20,646 --> 00:26:23,449 あれが 戸を壊す音だったんでしょうか? 347 00:26:26,819 --> 00:26:29,621 喜八は その時 どこにいたんだ? 348 00:26:31,657 --> 00:26:38,530 (喜八)私は あの… 奥の布団部屋で寝ておりました… はい。 349 00:26:38,530 --> 00:26:43,335 戸の壊れる 大きな音を 聞いたような気がします。 350 00:26:46,171 --> 00:26:51,009 それで びっくりして 目を覚まして➡ 351 00:26:51,009 --> 00:26:55,314 廊下を人が歩いてくる音がしました。 352 00:26:55,314 --> 00:26:57,382 泥棒だと思いました。 353 00:26:57,382 --> 00:26:59,518 けど 怖くて➡ 354 00:26:59,518 --> 00:27:04,022 布団をかぶって じっとしていましたんで… はい。 355 00:27:10,963 --> 00:27:16,134 お前は いつも布団部屋に寝てるのか? いえ…。 356 00:27:16,134 --> 00:27:20,973 喜八さんは 今戸に おっ母さんと暮らしております。 357 00:27:20,973 --> 00:27:24,276 おとついは 帰る前に 「腹が痛い」と言いだしまして➡ 358 00:27:24,276 --> 00:27:26,979 家へ帰れず ここに泊まりましたものですから…。 359 00:27:26,979 --> 00:27:30,849 そうか… そいつは 運が悪かったな。 はい。 360 00:27:30,849 --> 00:27:33,652 おっ母さんも さぞ心配したろう。 361 00:27:33,652 --> 00:27:37,356 はい…。 はい… はい。 362 00:27:40,826 --> 00:27:42,828 無駄だ ありゃ。 363 00:27:48,700 --> 00:27:52,838 鶴伊勢屋ともあろう店が 出来の悪い手代を使ってるじゃねえか。 364 00:27:52,838 --> 00:27:55,507 ええ? いえいえ 実を言いますとね➡ 365 00:27:55,507 --> 00:28:00,245 ありゃ 撥一郎が若え時に 岡場所の女に産ませたせがれなんですよ。 366 00:28:00,245 --> 00:28:03,448 撥一郎の せがれだと…? (伝次)へい。 367 00:28:03,448 --> 00:28:07,786 まあ そんなところの女と深い仲になって 子まで産ませたとなっちゃ➡ 368 00:28:07,786 --> 00:28:12,624 世間体の悪い話だと 今戸に家持たせて そこで育てていたらしいんですよ。 369 00:28:12,624 --> 00:28:16,495 (伝次)おかみさんの方にも 松之助って跡取りができてやすからね。 370 00:28:16,495 --> 00:28:20,499 店へ女にせがまれて引き取りはしたものの せがれだとは披露できずに➡ 371 00:28:20,499 --> 00:28:22,968 手代として使っていたらしいんだ。 372 00:28:22,968 --> 00:28:25,871 う~ん お吉が聞いたら➡ 373 00:28:25,871 --> 00:28:29,641 「だから 男は勝手なんだ」と また言われそうだぜ こりゃあ。 374 00:28:29,641 --> 00:28:32,144 (八造)そんなことなら いっそ よそへ奉公に出しゃいいのに。 375 00:28:32,144 --> 00:28:35,047 いやいや よそで勤まる器量は 喜八にゃねえやな。 376 00:28:35,047 --> 00:28:37,015 そんな出来が悪いのか? ああ。 377 00:28:37,015 --> 00:28:40,819 鶴伊勢屋でもな 名目は手代ってことになってるけども➡ 378 00:28:40,819 --> 00:28:43,488 下働きみたいな仕事してるらしいんだよ。 そう…。 379 00:28:43,488 --> 00:28:46,525 (お花)まあ かわいそうに… ねえ? へえ~。 380 00:28:46,525 --> 00:28:50,262 それで 当人は 不服も言わずに 勤めてるんですか? 381 00:28:50,262 --> 00:28:53,165 まあ おふくろにでも 言い含められているんだろうよ。 382 00:28:53,165 --> 00:28:56,668 おとなしく まき割りだの 店の掃除やってるって話だよ。 383 00:29:04,776 --> 00:29:07,245 あれが 喜八の おふくろか? 384 00:29:07,245 --> 00:29:11,116 (伝次) へい。 まだ45~46歳だと思いましたが…。 385 00:29:11,116 --> 00:29:13,952 (源三郎)年よりは老けて見えますがね。 386 00:29:13,952 --> 00:29:18,957 若え頃 体いじめて稼いでた女は 老けるのが早いっていいますからね。 387 00:29:20,626 --> 00:29:23,128 おっ… 喜八だ。 388 00:29:23,128 --> 00:29:37,142 ♬~ 389 00:29:37,142 --> 00:29:42,648 父さんは このまんじゅう大好きだった…。 390 00:29:42,648 --> 00:30:15,313 ♬~ 391 00:30:15,313 --> 00:30:29,828 (泣き声) 392 00:30:29,828 --> 00:30:36,535 ♬ とんとん とんがらし ぴり~っと辛いは さんしょの実 393 00:30:36,535 --> 00:30:40,205 ♬ すわすわ辛いは こしょうの実 394 00:30:40,205 --> 00:30:42,874 おいおいおい どうしたんだ? 嘉助。 395 00:30:42,874 --> 00:30:46,211 おとせさんが来てるんですよ。 おとせが? 396 00:30:46,211 --> 00:30:49,214 正坊 連れて。 へえ 一体 何しに来たってんだ? 397 00:30:49,214 --> 00:30:53,719 おやじさんと 死んだご亭主の年忌だとか 言ってやしたがね。ふ~ん。 398 00:30:55,721 --> 00:30:59,524 ああ… それから 伊太郎さんって人も一緒なんですよ。 399 00:31:01,159 --> 00:31:04,996 (おとせ)伊太郎さんは 願いがかなって 吉田様に ご奉公ができるまで➡ 400 00:31:04,996 --> 00:31:09,668 こちらに置いてあげてください。 私は ほかに宿取りますから。 401 00:31:09,668 --> 00:31:14,005 そんな… 水くさいじゃありませんか おとせさん。 402 00:31:14,005 --> 00:31:16,308 私が 東吾様に叱られます。 403 00:31:16,308 --> 00:31:21,179 ⚟(おとせ)でも この子が騒ぎましたら ほかのお客様にも ご迷惑ですし。 404 00:31:21,179 --> 00:31:23,181 正吉は 俺が…。 405 00:31:23,181 --> 00:31:26,852 先生! ああ よく来たな 正吉。 406 00:31:26,852 --> 00:31:29,321 お帰りなさいまし。 407 00:31:29,321 --> 00:31:34,159 毎朝 ここへ迎えに来て 昼間は 八丁堀へ連れてって➡ 408 00:31:34,159 --> 00:31:36,695 預かってもらうことにするから 心配はいらねえ。 409 00:31:36,695 --> 00:31:39,531 いいでしょ おとせさん それで。 410 00:31:39,531 --> 00:31:42,334 ありがとう存じます。 411 00:31:42,334 --> 00:31:47,139 ご迷惑をおかけして 相すみませんが どうか よろしくお願いいたします。 412 00:31:49,207 --> 00:31:51,877 伊太郎は…。 はい! 413 00:31:51,877 --> 00:31:54,913 おめえが言ったとおり 親子の名乗りはせずに➡ 414 00:31:54,913 --> 00:31:58,650 若党中間でもいいからと 兄上に頼んでおいた。 415 00:31:58,650 --> 00:32:01,153 それでいいんだな? 結構です。 416 00:32:01,153 --> 00:32:03,155 ありがとう存じました。 417 00:32:05,657 --> 00:32:07,592 じゃ 早速 ごはんにしましょうね。 418 00:32:07,592 --> 00:32:11,463 正吉っちゃん おなかすいたでしょ? うん ぺこぺこ。 419 00:32:11,463 --> 00:32:15,834 (おとせ)相すみません。 うまいもの うんと食わしてやるからな。 420 00:32:15,834 --> 00:32:19,171 正吉 お前は何が食いたい? 421 00:32:19,171 --> 00:32:22,974 ⚟(笑い声) 422 00:32:41,326 --> 00:32:43,862 旦那…! どうした? 423 00:32:43,862 --> 00:32:45,797 喜八が 今戸の家を抜け出して➡ 424 00:32:45,797 --> 00:32:49,534 鳥越町の外れにある 蓮花寺って破れ寺へ入っていきやした。 425 00:32:49,534 --> 00:32:53,038 とうとう出てきやがった… よし! 426 00:32:58,710 --> 00:33:00,712 ⚟(伊太郎)先生! 427 00:33:02,280 --> 00:33:05,817 私も連れていってください。 お手伝いさせていただきます。 428 00:33:05,817 --> 00:33:07,853 よせ。 風邪をひくぜ。 429 00:33:07,853 --> 00:33:10,488 決して 捕り物のお邪魔はいたしませんから。 430 00:33:10,488 --> 00:33:14,993 東吾さん 伊太郎さんにも助っ人 頼みましょう。 431 00:33:14,993 --> 00:33:17,796 相手も腕の立つ連中です。 432 00:33:19,664 --> 00:33:21,700 お願いします! 433 00:33:21,700 --> 00:33:25,470 そのかわり おめえさん 奉公前の大事な体だ。 434 00:33:25,470 --> 00:33:27,839 けがしねえように気ぃ付けてくれ。 よし 行こう。 435 00:33:27,839 --> 00:33:29,841 はい! 436 00:33:33,311 --> 00:33:36,214 気を付けて どうぞ。 437 00:33:36,214 --> 00:33:39,184 行ってらっしゃいまし。 お気を付けて。 438 00:33:39,184 --> 00:33:49,527 ♬~ 439 00:33:49,527 --> 00:33:55,200 徳松が調べたところでは 押し込み先は 札差しの大口屋だろうと思います。 440 00:33:55,200 --> 00:33:59,537 喜八が 鶴伊勢屋 継ぐのを 親類の大口屋が反対していたんです。 441 00:33:59,537 --> 00:34:01,473 (伝次)おまけに 大口屋には今夜➡ 442 00:34:01,473 --> 00:34:04,276 さる お大名に用立てる まとまった金が置いてある。 443 00:34:04,276 --> 00:34:07,812 喜八は そいつを やつらに告げに来たんじゃねえかと。 444 00:34:07,812 --> 00:34:10,649 金を餌に 父親の時と同様➡ 445 00:34:10,649 --> 00:34:13,685 大口屋の主人を 殺させるつもりだというのか? 446 00:34:13,685 --> 00:34:15,820 へい。 447 00:34:15,820 --> 00:34:17,822 喜八め…! 448 00:34:20,692 --> 00:34:23,695 手前は 大口屋 手配してまいります。 449 00:34:23,695 --> 00:34:27,165 源さん 俺も片棒担がせてもらうぜ! はっ! 450 00:34:27,165 --> 00:34:49,854 ♬~ 451 00:34:56,528 --> 00:35:00,131 (徳松)旦那!➡ 452 00:35:00,131 --> 00:35:02,467 やつらは こっちへ向かっています。 453 00:35:02,467 --> 00:35:04,469 よし! (徳松)へい! 454 00:35:27,292 --> 00:35:29,494 喜八! おお。 455 00:35:33,999 --> 00:35:36,001 ⚟(戸をたたく音) 456 00:35:37,869 --> 00:35:44,175 もし… 鶴伊勢屋からの使いです。 ここをお開けくださいまし! 457 00:35:44,175 --> 00:35:46,177 (戸をたたく音) 458 00:35:46,177 --> 00:35:53,184 もし… 鶴伊勢屋の喜八です。 ここをお開けくださいまし! 459 00:35:53,184 --> 00:35:55,987 (戸をたたく音) ⚟(物音) 460 00:35:59,324 --> 00:36:01,259 えい! 461 00:36:01,259 --> 00:36:03,261 伊太郎 行くぞ! はい! 462 00:36:08,133 --> 00:36:10,135 ああっ! 463 00:36:12,871 --> 00:36:14,873 うああ…! 464 00:36:19,477 --> 00:36:21,413 ええ~い! 465 00:36:21,413 --> 00:36:24,115 伊太郎 けがは? ありません! 466 00:36:25,984 --> 00:36:27,986 うわっ うわあ…! 467 00:36:29,654 --> 00:36:31,589 てや! 468 00:36:31,589 --> 00:36:47,505 ♬~ 469 00:36:47,505 --> 00:36:49,441 この野郎! 470 00:36:49,441 --> 00:36:52,944 離せ… 離せ… 離せ! 471 00:36:54,679 --> 00:36:58,316 離せ…! 離せ…。 472 00:36:58,316 --> 00:37:01,119 ああ…! 473 00:37:01,119 --> 00:37:06,791 離せ~! 離せよ! 離せ~! 474 00:37:06,791 --> 00:37:09,694 神妙にしやがれ この野郎! 475 00:37:09,694 --> 00:37:14,265 何で… 何で 俺ばっかり いじめんだよ! 476 00:37:14,265 --> 00:37:23,808 (喜八の泣き声) 477 00:37:23,808 --> 00:37:39,624 ♬~ 478 00:37:46,498 --> 00:37:52,370 黙って鶴伊勢屋で働きながら 喜八は 親を恨んでいたんだ。 479 00:37:52,370 --> 00:37:57,675 腹違いの弟の松之助を羨み 憎んでいたものらしい。 480 00:37:57,675 --> 00:38:00,245 (お吉)出来のいい子と悪い子では➡ 481 00:38:00,245 --> 00:38:03,148 かわいいさが違うもんですかね? 父親っていうのは。 482 00:38:03,148 --> 00:38:07,352 親なら 違いはないはずだと思いますがね。 483 00:38:08,987 --> 00:38:11,456 まあ 喜八にしてみりゃ➡ 484 00:38:11,456 --> 00:38:15,627 片っぽは 「若旦那 若旦那」って ちやほやされて➡ 485 00:38:15,627 --> 00:38:17,662 てめえは 庭掃除だ まき割りだって➡ 486 00:38:17,662 --> 00:38:20,465 面白くもねえ仕事ばっかり やらされてるから➡ 487 00:38:20,465 --> 00:38:24,135 恨む気持ちにもなっていたんでしょうね。 488 00:38:24,135 --> 00:38:28,473 面白くねえから 悪い仲間とも つきあうようになった。 489 00:38:28,473 --> 00:38:31,142 その連中に誘われて行った賭場で➡ 490 00:38:31,142 --> 00:38:34,979 押し込みの一味とも 知り合うようになったんだ。 491 00:38:34,979 --> 00:38:38,483 どっか足らねえところもある 喜八のこった➡ 492 00:38:38,483 --> 00:38:42,353 うまいこと 持ちかけられて 手もなく乗っちまったんでしょう。 493 00:38:42,353 --> 00:38:49,127 主人夫婦と松之助さんを殺してしまえば 鶴伊勢屋の跡取りになれるって… ねえ? 494 00:38:49,127 --> 00:38:51,162 考えられません! 495 00:38:51,162 --> 00:38:53,831 伊太郎さん…。 496 00:38:53,831 --> 00:38:59,003 いくら何でも 血を分けた親を兄弟を 殺させるだなんて…➡ 497 00:38:59,003 --> 00:39:01,806 人間のすることではありません! 498 00:39:04,442 --> 00:39:08,947 伊太郎 おめえの言うとおりだ。 499 00:39:08,947 --> 00:39:15,119 …が まともな人間ならできるはずのねえ 醜い争い➡ 500 00:39:15,119 --> 00:39:20,458 血肉を分けた親子だから 兄弟だから 他人以上に根深く争うこともある。 501 00:39:20,458 --> 00:39:22,393 あるんだぜ。 502 00:39:22,393 --> 00:39:25,964 人間ってなあ おっかねえもんだ。 503 00:39:25,964 --> 00:39:29,267 一つ歯車が狂ったとなると➡ 504 00:39:29,267 --> 00:39:31,336 血肉を分けた身寄りの方が…。 505 00:39:31,336 --> 00:39:35,473 分かりません! 私には分かりません! 506 00:39:35,473 --> 00:39:38,276 分からないなら せめて覚えておけ! 507 00:39:38,276 --> 00:39:42,146 そういうことをした 喜八という男がいた。 508 00:39:42,146 --> 00:39:47,652 そして おめえも吉田家へ行った後➡ 509 00:39:47,652 --> 00:39:50,855 喜八と同じ境遇に 置かれるんだということをな! 510 00:39:56,661 --> 00:39:59,497 伊太郎さん…。 ほっといてやれ! 511 00:39:59,497 --> 00:40:01,432 でも あなた…。 512 00:40:01,432 --> 00:40:06,170 伊太郎は 美しく 純粋に 実の父親を慕っている。 513 00:40:06,170 --> 00:40:09,507 …が 父親の方でも➡ 514 00:40:09,507 --> 00:40:13,678 伊太郎の気持ちに 素直に応えてくれるかどうか➡ 515 00:40:13,678 --> 00:40:16,381 こいつは 誰にも分かりゃしねえよ。 516 00:40:18,016 --> 00:40:21,886 むごいようだが 人は それぞれに➡ 517 00:40:21,886 --> 00:40:26,724 それぞれの事情と それぞれの心を抱いて 生きてるんだってことを➡ 518 00:40:26,724 --> 00:40:29,727 伊太郎にも知らせてやっといた方がいい。 519 00:40:29,727 --> 00:40:32,864 はい…。 520 00:40:32,864 --> 00:40:37,201 若い者は 誰も彼も 自分と同じ気持ちでいねえじゃ➡ 521 00:40:37,201 --> 00:40:39,504 おさまらねえようだからな。 522 00:40:52,684 --> 00:41:29,387 ♬~ 523 00:41:33,191 --> 00:41:35,693 かわいい~ 見せてよ。➡ 524 00:41:35,693 --> 00:41:38,396 わん わん! かわいい。 525 00:41:47,205 --> 00:41:50,208 伊太郎さん。 はい。 526 00:41:50,208 --> 00:41:53,077 お気を付けてね…。 行ってらっしゃい。 527 00:41:53,077 --> 00:41:55,546 はい。 じゃ 行ってくる。 528 00:41:55,546 --> 00:41:57,548 (嘉助)行ってらっしゃいまし。 行ってらっしゃいまし。 529 00:41:59,717 --> 00:42:02,153 おとなしくしてるんだぞ。 うん! 530 00:42:02,153 --> 00:42:04,355 (おきみ)行ってらっしゃいまし。 531 00:42:14,665 --> 00:42:19,670 兄上 伊太郎が参りました。 (通之進)おお…。 532 00:42:27,678 --> 00:42:31,516 松本伊太郎にございます。 533 00:42:31,516 --> 00:42:39,257 うむ。 ゆうべは ご苦労だったな。 けがは なかったかい? 534 00:42:39,257 --> 00:42:44,195 (伊太郎)はい おかげをもちまして。 (通之進)そりゃよかった。➡ 535 00:42:44,195 --> 00:42:48,499 いや 東吾にな きつく叱りつけたんだ。 536 00:42:50,334 --> 00:42:53,871 斬ったのかい? おめえさんも。 537 00:42:53,871 --> 00:42:56,340 はい…。 538 00:42:56,340 --> 00:43:03,815 で 人を斬って どんな気持ちだった? 539 00:43:03,815 --> 00:43:08,152 斬るのも 斬られるのも➡ 540 00:43:08,152 --> 00:43:10,655 嫌なものだと思いました。 541 00:43:12,156 --> 00:43:14,492 そうかい? 542 00:43:14,492 --> 00:43:17,528 いや~ そいつは いい答えだ。 543 00:43:17,528 --> 00:43:19,730 いい答えだよ。 544 00:43:32,043 --> 00:43:34,812 なあ 伊太郎➡ 545 00:43:34,812 --> 00:43:39,517 それでも お前 侍奉公がしたいかい? 546 00:43:43,521 --> 00:43:49,527 実の父親のそばで 奉公がしたいと思うかい? 547 00:43:56,200 --> 00:44:02,473 まことに身勝手ではございますが➡ 548 00:44:02,473 --> 00:44:06,477 吉田家へ ご奉公に上がる気持ちが なくなりました。 549 00:44:08,346 --> 00:44:10,815 伊太郎…!? 550 00:44:10,815 --> 00:44:12,750 できますことならば➡ 551 00:44:12,750 --> 00:44:15,286 このまま 狸穴へ立ち戻り➡ 552 00:44:15,286 --> 00:44:17,588 父母に孝養を尽くしたいと存じます。 553 00:44:21,492 --> 00:44:23,528 (通之進)本心か? 554 00:44:23,528 --> 00:44:26,297 はい! 555 00:44:26,297 --> 00:44:28,499 (通之進)間違いねえな? 556 00:44:30,168 --> 00:44:35,039 私は 松本伊太郎です。 557 00:44:35,039 --> 00:44:38,843 母が恋しくなりました。 558 00:44:38,843 --> 00:44:41,045 父も案じてくれております。 559 00:44:43,014 --> 00:44:46,684 そうかい。 560 00:44:46,684 --> 00:44:49,320 おい 香苗…。 (香苗)はい。 561 00:44:49,320 --> 00:44:52,189 伊太郎に 何か土産 持たしてやってくれ。 562 00:44:52,189 --> 00:44:58,062 はい。 今すぐ 整えてまいりましょう。 待っていてくださいましね。 563 00:44:58,062 --> 00:45:16,280 ♬~ 564 00:45:16,280 --> 00:45:22,987 お手数ですが これを吉田家へ お返しいただけますまいか?うん? 565 00:45:22,987 --> 00:45:26,290 私には もはや不要の品でございますから。 566 00:45:26,290 --> 00:45:49,280 ♬~ 567 00:45:59,190 --> 00:46:04,795 なあ 伊太郎 お前がな➡ 568 00:46:04,795 --> 00:46:10,601 狸穴へ帰る気になったというから 聞かせるがな➡ 569 00:46:10,601 --> 00:46:17,808 吉田家じゃ お前が奉公に来ることを 望んじゃいなかったんだい。 570 00:46:19,343 --> 00:46:22,146 (通之進)いや なに➡ 571 00:46:22,146 --> 00:46:25,816 侍の家というのは やっかいなもんでな➡ 572 00:46:25,816 --> 00:46:31,489 家督相続なんかの 争いの種になりゃしねえかという➡ 573 00:46:31,489 --> 00:46:35,660 まあ 不安もありゃ また 世間体もある。 574 00:46:35,660 --> 00:46:41,832 まあ できることなら 波風立てずにと 誰しも そう考えてしまうもんなんだい。 575 00:46:41,832 --> 00:46:44,302 誰しもな…。 576 00:46:44,302 --> 00:46:47,204 だから… だから➡ 577 00:46:47,204 --> 00:46:53,511 決して 恨むんじゃねえぞ。 うん?➡ 578 00:46:53,511 --> 00:46:55,446 おめえにはな➡ 579 00:46:55,446 --> 00:47:02,620 狸穴に お父っつぁんも おっ母さんも ちゃんと いなさるんだから。 なあ おい。 580 00:47:02,620 --> 00:47:05,256 はい 分かっております。 581 00:47:05,256 --> 00:47:08,059 (通之進)うん そうかい。 582 00:47:11,128 --> 00:47:13,964 ああ 東吾…。 はい。 583 00:47:13,964 --> 00:47:17,668 お前は いい弟子を持ったな おい。 584 00:47:19,270 --> 00:47:21,272 はい…。 585 00:47:24,108 --> 00:47:29,647 伊太郎 これは確かにな。 はい。 586 00:47:29,647 --> 00:47:42,827 ♬~ 587 00:47:42,827 --> 00:47:46,697 伊太郎。 はい。 588 00:47:46,697 --> 00:47:50,701 おめえ 吉田家を恨んじゃいねえだろうな? 589 00:47:50,701 --> 00:47:56,507 いいえ 私が今日あるのは 吉田の父があってのことですから…。 590 00:47:58,309 --> 00:48:04,115 でも 「千鳥の鍔」は 返さずにはいられなかったんです。 591 00:48:04,115 --> 00:48:06,450 いつまでも それを持っていると➡ 592 00:48:06,450 --> 00:48:09,754 自分の道が開けてこないような そんな気がして…。 593 00:48:11,322 --> 00:48:13,958 おめえは いい弟子だよ。 594 00:48:13,958 --> 00:48:18,129 アハハハッ…。 595 00:48:18,129 --> 00:48:20,631 ⚟(正吉)先生! 596 00:48:20,631 --> 00:48:22,967 おお 正吉! 597 00:48:22,967 --> 00:48:24,969 先生! 598 00:48:29,140 --> 00:48:31,142 よいしょ。 599 00:48:38,816 --> 00:48:41,118 お帰りなさいまし。 お帰りなさいまし。