1 00:00:47,429 --> 00:00:49,431 (五郎蔵)親父。 (店主)へい。 2 00:00:49,431 --> 00:00:51,431 (五郎蔵)二つ くれ。 (店主)ああ へい。 3 00:01:02,444 --> 00:01:05,447 (男性)この じじい! (権助)観念しやがれってんだ➡ 4 00:01:05,447 --> 00:01:09,451 この野郎! (男性)どけ! 5 00:01:09,451 --> 00:01:13,455 (権助)こいつ… 太え野郎だ! 6 00:01:13,455 --> 00:01:15,457 (伊三次)危ねえ! (五郎蔵)大丈夫か? 7 00:01:15,457 --> 00:01:17,459 (権助)おら 来い! 8 00:01:17,459 --> 00:01:20,462 ほら 世話かけんじゃねえよ こら! (伊三次)おいおい 待ちやがれ➡ 9 00:01:20,462 --> 00:01:22,464 ほら! よせ お前! 年寄り相手によ。 10 00:01:22,464 --> 00:01:25,467 (権助)うるせえ! 引っ込んでろ! (伊三次)あっ! 11 00:01:25,467 --> 00:01:27,469 (伊三次) やりやがったな この野郎! 12 00:01:27,469 --> 00:01:45,469 ♬~ 13 00:01:48,423 --> 00:01:50,425 あ痛っ! (おまさ)バカだねえ➡ 14 00:01:50,425 --> 00:01:54,429 子供じゃあるまいし。 往来の中で ケンカだなんて。 15 00:01:54,429 --> 00:01:56,431 あ… あっしだって 何も やりたくて➡ 16 00:01:56,431 --> 00:02:00,435 やったわけじゃありません。 あ痛っ。 あ痛っ。 あ痛た…。 ああ。 17 00:02:00,435 --> 00:02:05,440 ただ 売られたケンカを買わずに 引き下がるのも 業腹で…。 18 00:02:05,440 --> 00:02:08,443 (おまさ) それが 子供だというんですよ。 19 00:02:08,443 --> 00:02:11,446 (伊三次)五郎蔵さん。 黙ってねえで 何とか言っておくんなせえよ。 20 00:02:11,446 --> 00:02:15,450 (五郎蔵)うん? (おまさ)何か 考え事でも? 21 00:02:15,450 --> 00:02:22,457 いや さっきの じいさんなんだが…。 22 00:02:22,457 --> 00:02:24,459 えっ? あの じいさんが どうかしましたか? 23 00:02:24,459 --> 00:02:26,461 (五郎蔵)《大丈夫か?》 24 00:02:26,461 --> 00:02:30,465 (五郎蔵)見覚えがあるような…。 25 00:02:30,465 --> 00:02:33,401 (おまさ)知り合いですか? 26 00:02:33,401 --> 00:02:37,405 (五郎蔵)そいつを さっきから ずっと 考えているんだが➡ 27 00:02:37,405 --> 00:02:40,405 誰だか 思い出せなくてな。 28 00:02:43,411 --> 00:02:46,414 (平蔵) で 五郎蔵は 思い出したのかい? 29 00:02:46,414 --> 00:02:50,418 (おまさ)はい。 けさ 起き抜けに思い出しまして➡ 30 00:02:50,418 --> 00:02:53,421 寝床から 飛び上がりそうになりましたとか。 31 00:02:53,421 --> 00:02:57,425 ハハハッ。 そりゃ よっぽどのことだ。 32 00:02:57,425 --> 00:03:00,428 (平蔵・おまさ)ハハハッ。 33 00:03:00,428 --> 00:03:04,432 で 誰なんだい? その じいさんっつうのは。 34 00:03:04,432 --> 00:03:08,436 伏木の卯三郎だったそうで。 35 00:03:08,436 --> 00:03:14,442 卯三郎…。 ああ 岩五郎の父親の卯三郎か。 36 00:03:14,442 --> 00:03:18,446 さようでございます。 何しろ 五郎蔵さんにしてみれば➡ 37 00:03:18,446 --> 00:03:21,449 十何年も以前に 2度ほど➡ 38 00:03:21,449 --> 00:03:24,452 見掛けたばかりだそうで ございまして。 39 00:03:24,452 --> 00:03:30,458 ハハッ。 そいつは すぐに 思い出せなくても 無理はねえな。 40 00:03:30,458 --> 00:03:40,402 ああ 卯三郎といえば 確か 海老坂の与兵衛の配下であったな。 41 00:03:40,402 --> 00:03:44,406 海老坂の与兵衛といえば➡ 42 00:03:44,406 --> 00:03:46,408 夜兎の角右衛門や➡ 43 00:03:46,408 --> 00:03:51,413 簑火の喜之助と 肩を並べるほどの 大盗賊でございます。 44 00:03:51,413 --> 00:03:55,417 うん。 そんな野郎が 江戸にいて➡ 45 00:03:55,417 --> 00:03:59,421 何か 一仕事 たくらんでいるとしたら➡ 46 00:03:59,421 --> 00:04:05,427 こいつは どうも面白くねえな。 五郎蔵さんも そう申しまして➡ 47 00:04:05,427 --> 00:04:10,432 その場で 卯三郎と気付いていれば 目を離しゃしなかったんだがって➡ 48 00:04:10,432 --> 00:04:13,435 大層な悔しがりようで。 49 00:04:13,435 --> 00:04:17,439 ああ 惜しいことをした。 50 00:04:17,439 --> 00:04:20,442 で 五郎蔵は どうしたい? 51 00:04:20,442 --> 00:04:23,445 卯三郎が せがれの岩五郎さんの所に➡ 52 00:04:23,445 --> 00:04:25,447 立ち寄るかもしれない ということで。 53 00:04:25,447 --> 00:04:32,387 御厩河岸に出向いたんだな? はい。 もう 大急ぎで。 54 00:04:32,387 --> 00:04:37,392 <幕府お米蔵の北にある 浅草三好町の河岸を➡ 55 00:04:37,392 --> 00:04:41,396 俗に 御厩河岸という> 56 00:04:41,396 --> 00:04:46,401 <昔 その辺りに 幕府の うまやがあったことから➡ 57 00:04:46,401 --> 00:04:50,405 この呼び名がついたと いわれている> 58 00:04:50,405 --> 00:04:53,408 <御厩河岸の渡し場の近くに➡ 59 00:04:53,408 --> 00:04:58,413 一膳飯屋を兼ねた 小さな居酒屋があった> 60 00:04:58,413 --> 00:05:02,417 (男性)おう またな。 (男性)ごちそうさん。 61 00:05:02,417 --> 00:05:09,424 <店を切り回しているのは 働き者で評判の女房のお勝で➡ 62 00:05:09,424 --> 00:05:15,430 その母親も 盲目ながら 立派に 手伝いをこなしている> 63 00:05:15,430 --> 00:05:17,430 (お勝)はい ただ今! 64 00:05:19,434 --> 00:05:24,439 <それに引き換え 亭主の岩五郎はというと…> 65 00:05:24,439 --> 00:05:27,442 <誠に のんきなものであるが➡ 66 00:05:27,442 --> 00:05:30,445 この 居眠りばかりしている亭主が➡ 67 00:05:30,445 --> 00:05:33,381 火付盗賊改方の 密偵であろうとは➡ 68 00:05:33,381 --> 00:05:39,387 女房のお勝も つゆ知らぬことであった> 69 00:05:39,387 --> 00:05:41,387 (岩五郎)へい らっしゃい。 70 00:05:44,392 --> 00:05:46,394 あっ…。 71 00:05:46,394 --> 00:06:01,409 ♬~ 72 00:06:01,409 --> 00:06:04,412 しばらく 会わなかったが 変わりはねえか? 73 00:06:04,412 --> 00:06:06,414 へい。 74 00:06:06,414 --> 00:06:12,420 あんまり 変わりが なさ過ぎて 毎日が 暇で しかたありやせん。 75 00:06:12,420 --> 00:06:15,423 そんな ぜいたくが言えるのも➡ 76 00:06:15,423 --> 00:06:18,426 働き者の かみさんが いりゃあこそだ。 77 00:06:18,426 --> 00:06:20,428 分かっておりやす。 78 00:06:20,428 --> 00:06:22,430 ありがてえと思わにゃ 罰が当たるぜ。 79 00:06:22,430 --> 00:06:28,430 そりゃもう おっしゃるとおりで。 今日は 何か ご用の向きで? 80 00:06:32,373 --> 00:06:41,382 昨日 町なかで 卯三郎を見掛けた。 81 00:06:41,382 --> 00:06:47,382 で もしか お前の所に 顔を出しちゃいねえかと思ってな。 82 00:06:49,390 --> 00:06:55,396 親父とは もう 10年以上も 会っちゃおりやせん。 83 00:06:55,396 --> 00:06:57,398 いまさら 言うまでもねえことですが➡ 84 00:06:57,398 --> 00:07:02,403 あっしは 助ばたらきの 錠前外しが もっぱらで➡ 85 00:07:02,403 --> 00:07:06,407 おつとめの方じゃ 親父とは 何の関わりもござんせんし➡ 86 00:07:06,407 --> 00:07:12,413 第一 面 出そうにも 親父は あっしが 所帯を持ったことも➡ 87 00:07:12,413 --> 00:07:17,418 ここに住んでることも 知りゃしねえんですぜ。 88 00:07:17,418 --> 00:07:25,426 しかし そうは言っても 親子には違えねえ。 89 00:07:25,426 --> 00:07:30,426 まあな じゅうぶんに 気を付けていてもらいてえんだ。 90 00:07:33,368 --> 00:07:39,374 というのもな 実を言うと 俺の不手際から➡ 91 00:07:39,374 --> 00:07:44,379 卯三郎を見失うようなことに なっちまったんだ。 92 00:07:44,379 --> 00:07:50,385 海老坂の与兵衛という 大物につながる筋を➡ 93 00:07:50,385 --> 00:07:59,394 みすみす つかみ損ねたかと思うと 長谷川さまに合わせる顔がねえ。 94 00:07:59,394 --> 00:08:01,396 お前にしてみりゃ➡ 95 00:08:01,396 --> 00:08:05,400 親を売るようで 気も とがめようが。 96 00:08:05,400 --> 00:08:10,405 いえ そんなことは…。 卯三郎というやつは➡ 97 00:08:10,405 --> 00:08:15,410 年端もいかねえ わが子を 丁稚奉公に出したまま➡ 98 00:08:15,410 --> 00:08:21,416 7年の間 一度も 会いに来なかったような父親でさ。 99 00:08:21,416 --> 00:08:25,420 それに比べりゃ 若えころから 目をかけてくれて➡ 100 00:08:25,420 --> 00:08:28,423 あっしが お縄にかかったときも➡ 101 00:08:28,423 --> 00:08:32,360 長谷川さまに 頭を下げて 命乞いをしてくれた➡ 102 00:08:32,360 --> 00:08:39,367 五郎蔵さんの方が よっぽど ありがてえと思っておりやす。 103 00:08:39,367 --> 00:08:45,367 そうかい。 そういう了見なら こんな うれしいことはねえ。 104 00:08:47,375 --> 00:08:57,385 もし 何かあったら 目印に このかさを 軒先に つるしておけ。 105 00:08:57,385 --> 00:08:59,387 いいな? (岩五郎)へい。 106 00:08:59,387 --> 00:09:18,406 ♬~ 107 00:09:18,406 --> 00:09:20,406 (おとき) 長谷川さまが おいでですよ。 108 00:09:31,436 --> 00:09:35,356 そう焦らなくたっていい。 109 00:09:35,356 --> 00:09:39,360 逃した魚を すぐに見つけようなんて➡ 110 00:09:39,360 --> 00:09:42,363 世の中 そう うめえ具合に いくもんじゃねえや。 111 00:09:42,363 --> 00:09:47,368 どうも 申し訳のねえことで。 112 00:09:47,368 --> 00:09:50,371 岩五郎さんは 元気でしたか? 113 00:09:50,371 --> 00:09:54,375 ああ 居酒屋の亭主が ちっとは 板につきましたかね。 114 00:09:54,375 --> 00:09:58,379 それが なかなか 板につくどころじゃねえ。 115 00:09:58,379 --> 00:10:02,383 あの野郎 女房に 食わせてもらってるくせに➡ 116 00:10:02,383 --> 00:10:05,386 毎日が 暇で しょうがねえなんて。 117 00:10:05,386 --> 00:10:08,389 そんな太平楽を言いやがったか。 118 00:10:08,389 --> 00:10:11,392 (おまさ) でも あの人は ああ見えて➡ 119 00:10:11,392 --> 00:10:13,394 心は しっかり しておりますから。 120 00:10:13,394 --> 00:10:17,398 能ある鷹は 爪を隠す というやつかい? 121 00:10:17,398 --> 00:10:21,402 鷹と申されては 褒め過ぎでございましょうけど。 122 00:10:21,402 --> 00:10:26,407 まあ トンビぐれえが あいつには ちょうどじゃねえかと。 123 00:10:26,407 --> 00:10:28,409 (五郎蔵) トンビは あんまりだぜ おい。 124 00:10:28,409 --> 00:10:31,412 ハハッ。 おい たこじゃあるめえし➡ 125 00:10:31,412 --> 00:10:35,416 そう あげたり下げたり するもんじゃねえ。 126 00:10:35,416 --> 00:10:38,416 (一同の笑い声) ≪(三次郎)お邪魔いたします。 127 00:10:41,422 --> 00:10:46,427 (三次郎)けさ方 押上村から初物が 売りに出されたもんですから➡ 128 00:10:46,427 --> 00:10:49,430 長谷川さまに 食べていただこうと思いまして➡ 129 00:10:49,430 --> 00:10:51,432 井戸で 冷やしといたところで ございます。 130 00:10:51,432 --> 00:10:53,432 おお そうかい。 ありがてえ。 131 00:10:55,436 --> 00:11:00,441 う~ん! こいつは 涼しくていい。 ほれ。 132 00:11:00,441 --> 00:11:03,441 (三次郎)では。 ああ ご苦労。 133 00:11:05,446 --> 00:11:07,448 ああ。 134 00:11:07,448 --> 00:11:13,448 ≪(風鈴の音) 135 00:11:22,463 --> 00:11:28,469 それにしても その海老坂の与兵衛という男➡ 136 00:11:28,469 --> 00:11:31,439 一度 捕らえて 面を拝んでみてえもんだな。 137 00:11:31,439 --> 00:11:33,307 (伊三次)まったくで。 138 00:11:33,307 --> 00:11:39,313 ですが 海老坂の一味と申せば➡ 139 00:11:39,313 --> 00:11:42,316 配下の者ですら 一人として 捕らわれたことがございません。 140 00:11:42,316 --> 00:11:49,323 とにかく 用心深え上に 仕事っぷりが際立っておりまして。 141 00:11:49,323 --> 00:11:54,328 あまりに 手口が鮮やか過ぎて おつとめから 3日たって➡ 142 00:11:54,328 --> 00:11:57,331 店の者が ようやく お金を盗まれていることに➡ 143 00:11:57,331 --> 00:12:01,335 気が付いたなんて話も ございますぐらいで。 144 00:12:01,335 --> 00:12:05,339 お前たちが 手放しで褒めるところを見ると➡ 145 00:12:05,339 --> 00:12:09,343 ああ こりゃ 相当な野郎だ。 146 00:12:09,343 --> 00:12:14,348 こいつは どうしても とらまえなくちゃならねえな。 147 00:12:14,348 --> 00:12:16,350 フフフッ。 ああ➡ 148 00:12:16,350 --> 00:12:20,354 卯三郎を追い掛けていた 柄の悪い連中ってのは? 149 00:12:20,354 --> 00:12:25,359 へい。 ありゃ あの辺の 旗本屋敷に雇われておりやす➡ 150 00:12:25,359 --> 00:12:27,361 渡り中間じゃねえかと思いますが。 151 00:12:27,361 --> 00:12:31,365 所在を突き止めてな そっちの方も当たってみてくれ。 152 00:12:31,365 --> 00:12:33,365 へい。 153 00:12:39,407 --> 00:12:42,407 (伊三次)そうかい。 ありがとよ。 154 00:12:46,414 --> 00:12:48,416 (小林)どうだ? 素性は。 (伊三次)へい。 155 00:12:48,416 --> 00:12:51,419 連中の一人は 権助と申しまして➡ 156 00:12:51,419 --> 00:12:56,424 戸田 播磨守さま お屋敷の 中間だそうでございます。 157 00:12:56,424 --> 00:12:59,427 (小林)では そいつを うまく引き出してくれ。 158 00:12:59,427 --> 00:13:01,427 (伊三次)へい。 159 00:13:09,437 --> 00:13:12,440 (権助)おっと! うわっ! おら! どこに 目 付けてやがんだ! 160 00:13:12,440 --> 00:13:16,444 (伊三次)うるせえな この野郎! (権助)あっ てめえ この前の…。 161 00:13:16,444 --> 00:13:19,447 (伊三次)あっ 誰かと思ったら てめえは…。 162 00:13:19,447 --> 00:13:22,450 何だよ! いきなり 人に突き当たりやがって!➡ 163 00:13:22,450 --> 00:13:24,452 また 殴られてえのか!? (伊三次)ああ すまねえ すまねえ。 164 00:13:24,452 --> 00:13:29,457 (伊三次)すまねえな。 どうだい? 仲直りに そこらで 一杯。 165 00:13:29,457 --> 00:13:34,395 ああ 俺は 届け物で忙しいんだよ。 油を売ってる暇はねえ。 166 00:13:34,395 --> 00:13:38,399 (伊三次)まあ… そう言わねえでよ 俺が おごるからよ。➡ 167 00:13:38,399 --> 00:13:40,401 なあ? おい。 酒…。 おい。 168 00:13:40,401 --> 00:13:42,403 うん? (伊三次)フフッ。 169 00:13:42,403 --> 00:13:44,403 (権助)ヘヘヘッ。 170 00:13:48,409 --> 00:13:52,413 (権助)あ~! うん? 171 00:13:52,413 --> 00:13:55,416 で 何の話をしてたんだっけ? 172 00:13:55,416 --> 00:13:57,418 だから じいさんのことだよ。 173 00:13:57,418 --> 00:14:02,423 ああ! あいつは 卯三郎といってな。 174 00:14:02,423 --> 00:14:04,425 何で 追っ掛けてんだ? (権助)ああ➡ 175 00:14:04,425 --> 00:14:09,430 借金を返さねえもんで 焼きを入れてやろうかと思ってよ。 176 00:14:09,430 --> 00:14:15,436 借金とは 幾らぐれえ? (権助)ああ 10両。 177 00:14:15,436 --> 00:14:18,439 (伊三次)お前が貸してんのか? (権助)おうよ。 文句あるかい? 178 00:14:18,439 --> 00:14:24,445 いや 大ありだよ。 ええ? 給金が 年に2両2分の中間が➡ 179 00:14:24,445 --> 00:14:26,447 どうやって 人に 10両 貸せるんでえ? 180 00:14:26,447 --> 00:14:31,469 そりゃ まあ 色々と実入りがよ。 ヘヘッ。 181 00:14:31,469 --> 00:14:37,391 実入り? なるほど。 10両は ばくちの借金か。 182 00:14:37,391 --> 00:14:40,394 てめえら 中間部屋で 賭場を開帳してやがんだろう? 183 00:14:40,394 --> 00:14:49,394 ハハッ! ヘヘヘ…。 ほい。 ヘヘヘ…。 あーあ。 184 00:14:53,407 --> 00:14:57,411 どうします? 今度 あいつらに見つかったら➡ 185 00:14:57,411 --> 00:14:59,413 卯三郎は 殺されてしまうかもしれませんぜ。 186 00:14:59,413 --> 00:15:05,419 そいつは 困る。 中間どもに 見張りをつけねばならんな。 187 00:15:05,419 --> 00:15:09,419 じゃあ あっしが ばくちの客にでもなって。 188 00:15:15,429 --> 00:15:32,429 (戸を揺らす音) 189 00:15:37,385 --> 00:15:39,385 (卯三郎)俺だよ。 190 00:15:41,389 --> 00:15:46,389 (卯三郎)岩五郎 俺だよ。 (岩五郎)親父…。 191 00:15:49,397 --> 00:15:52,400 (卯三郎)何か食う物ねえか? 192 00:15:52,400 --> 00:15:58,406 十何年ぶりで 面 合わせて そんな挨拶しか できねえのかよ。 193 00:15:58,406 --> 00:16:03,406 (卯三郎)おとといから 何も食べてねえんだ…。 194 00:16:06,414 --> 00:16:08,414 (岩五郎)ハァ…。 195 00:16:11,419 --> 00:16:13,421 (お勝)誰だい? 今頃。 196 00:16:13,421 --> 00:16:18,421 (岩五郎)誰でもねえ。 腹 減らした 野良犬だよ。 197 00:16:33,374 --> 00:16:35,374 あっ…。 198 00:16:42,383 --> 00:16:45,383 ずっと 江戸にいたのか? 199 00:16:47,388 --> 00:16:49,390 1年前ぐらいからな。 200 00:16:49,390 --> 00:16:53,394 だったら 何で もっと早く 訪ねてこねえんだよ。 201 00:16:53,394 --> 00:16:56,397 大病を患ってよ 体 壊しちまったんだ。 202 00:16:56,397 --> 00:17:00,401 そんなら なおのことじゃねえかよ。 (卯三郎)すまねえ。 203 00:17:00,401 --> 00:17:06,407 訪ねようと思って 何回も この近くまで来たんだけどよ➡ 204 00:17:06,407 --> 00:17:11,407 このざまだ 妙に 気後れしちまってな。 205 00:17:15,416 --> 00:17:20,416 うん? じゃあ 今夜に限って 何で 急に訪ねてきたんだ? 206 00:17:22,423 --> 00:17:28,429 実はな お前に会いてえって おっしゃる人がいてな。 207 00:17:28,429 --> 00:17:31,449 誰でえ? そのお人は。 208 00:17:31,449 --> 00:17:34,449 海老坂のお頭よ。 209 00:17:40,374 --> 00:17:43,377 (岩五郎)お頭が 俺に何の用で? 210 00:17:43,377 --> 00:17:45,379 (卯三郎) ヘヘッ。 言うまでもあるめえ。 211 00:17:45,379 --> 00:17:48,382 何か うめえ仕事でもあんのか? 212 00:17:48,382 --> 00:17:51,385 いや 詳しいことは 知らねえんだけどな➡ 213 00:17:51,385 --> 00:17:54,388 俺 体が利かなくなってから➡ 214 00:17:54,388 --> 00:17:58,392 おつとめには 無縁になっちまったから。 215 00:17:58,392 --> 00:18:01,395 お前 どうするんだ? 216 00:18:01,395 --> 00:18:04,398 お前も 堅気の商売してるんだ。 無理とは言わねえぜ。 217 00:18:04,398 --> 00:18:08,402 いや 海老坂の与兵衛ほどのお人に 会えるなら➡ 218 00:18:08,402 --> 00:18:11,405 こっちから頼んででも つないでもらいてえ。 219 00:18:11,405 --> 00:18:14,408 ホントかい!? さすが 俺のせがれだ。 220 00:18:14,408 --> 00:18:17,411 よし。 あしたの昼ちょうど九つにな➡ 221 00:18:17,411 --> 00:18:20,414 あの 浄念寺の裏の河原で 落ち合うことにしようじゃねえか。 222 00:18:20,414 --> 00:18:23,417 なっなっ? そうしよう。 よかった よかった。 223 00:18:23,417 --> 00:18:43,370 ♬~ 224 00:18:43,370 --> 00:18:51,378 ♬~ 225 00:18:51,378 --> 00:18:53,378 彦蔵さんだ。 226 00:18:55,382 --> 00:18:57,382 (彦蔵)ご案内いたしやす。 227 00:19:06,393 --> 00:19:08,393 (彦蔵)失礼します。 228 00:19:11,398 --> 00:19:15,398 (彦蔵)客人を お連れしました。 こちらへ。 229 00:20:42,022 --> 00:20:46,026 海老坂のお頭でいなさる。 230 00:20:46,026 --> 00:20:48,028 (岩五郎) お初に お目にかかります。➡ 231 00:20:48,028 --> 00:20:51,031 岩五郎と申します。 232 00:20:51,031 --> 00:20:53,033 (与兵衛)お前さんのことは➡ 233 00:20:53,033 --> 00:20:58,038 卯三郎どんから 色々と聞いておりますよ。➡ 234 00:20:58,038 --> 00:21:04,038 そのせいか これが 初対面とは思えませんな。 235 00:21:06,046 --> 00:21:09,049 何か ご用は ございますか? 236 00:21:09,049 --> 00:21:14,054 (与兵衛)いや しばらくは 誰も 寄せ付けねえように。 237 00:21:14,054 --> 00:21:16,054 へい。 238 00:21:21,061 --> 00:21:25,065 早速ですが ご用件を伺いましょう。 239 00:21:25,065 --> 00:21:30,070 (与兵衛)うん。 用というのは ほかでもねえ。 240 00:21:30,070 --> 00:21:35,070 お前さんの錠前外しの腕を 貸してもらいてえ。 241 00:21:38,012 --> 00:21:45,019 実は 今 3年越しの大仕事に かかっていてね。 242 00:21:45,019 --> 00:21:48,022 目当ての店には 飯炊きの奉公人として➡ 243 00:21:48,022 --> 00:21:52,026 うちの者を潜り込ませてある。 244 00:21:52,026 --> 00:21:56,030 店の間取りから何から それ そのとおり➡ 245 00:21:56,030 --> 00:22:01,035 目をつぶっても 歩けるほどに 調べ上げてある。➡ 246 00:22:01,035 --> 00:22:07,041 だが ここにきて 困ったことが できちまってな。 247 00:22:07,041 --> 00:22:10,044 困ったことと申しますと? 248 00:22:10,044 --> 00:22:16,050 配下の錠前外しが ぽっくり 逝っちまって…。➡ 249 00:22:16,050 --> 00:22:20,054 金蔵の鍵が開かねえんじゃ こりゃ どうしようもねえ。➡ 250 00:22:20,054 --> 00:22:25,059 3年越しの苦労も 全て 水の泡だ。 ハハハッ。 251 00:22:25,059 --> 00:22:29,063 ですが そういうことなら 背に腹は代えられません。➡ 252 00:22:29,063 --> 00:22:34,068 店の者を脅して 鍵を出させりゃ いいじゃありませんか。 253 00:22:34,068 --> 00:22:38,005 お前さん➡ 254 00:22:38,005 --> 00:22:43,010 フッ そいつは 本気で言ってるのかい? 255 00:22:43,010 --> 00:22:45,012 いいかい? 256 00:22:45,012 --> 00:22:49,016 おつとめの最中に 人を起こしたりするのは➡ 257 00:22:49,016 --> 00:22:52,019 素人のするこった。 (岩五郎)へい…。 258 00:22:52,019 --> 00:22:58,025 誠の盗賊というのはな 風のように忍び込んで➡ 259 00:22:58,025 --> 00:23:03,030 金を頂戴したら また 風のように引き揚げる。 260 00:23:03,030 --> 00:23:07,034 そうでなくちゃいけねえ。 (岩五郎)おっしゃるとおりで。 261 00:23:07,034 --> 00:23:12,034 ホントのところは あっしも 常々 そんなふうに…。 262 00:23:21,048 --> 00:23:24,051 (酒井)忠吾を呼んでまいりました。 ご苦労。 263 00:23:24,051 --> 00:23:26,053 (忠吾)私に何か? 264 00:23:26,053 --> 00:23:28,055 うん。 これから しばらく➡ 265 00:23:28,055 --> 00:23:32,059 賭場へ通ってもらうことに なるかもしれん。 266 00:23:32,059 --> 00:23:34,061 (忠吾)賭場でございますか? 267 00:23:34,061 --> 00:23:37,080 伊三次と組んで 張り込みをしてもらいたいのだ。 268 00:23:37,080 --> 00:23:41,080 (忠吾)はぁ…。 (久栄)お待たせいたしました。 269 00:23:50,010 --> 00:23:53,013 100両ある。 軍資金だ。 270 00:23:53,013 --> 00:23:58,018 えっ? まさか これで 私に ばくちを打てと? 271 00:23:58,018 --> 00:24:02,022 当たり前じゃねえか。 ばくちも打たねえで➡ 272 00:24:02,022 --> 00:24:05,025 どうやって 賭場に 潜り込むつもりだい。 273 00:24:05,025 --> 00:24:10,030 ですが…。 (久栄)100両では足りませぬか? 274 00:24:10,030 --> 00:24:12,032 とんでもございませぬ。 275 00:24:12,032 --> 00:24:14,034 かような大金を お預かりしまして➡ 276 00:24:14,034 --> 00:24:18,038 もしも 失うようなことにでも なりましては…。 277 00:24:18,038 --> 00:24:21,041 そこは 失わねえように うまく やれ。 278 00:24:21,041 --> 00:24:24,044 そんな無茶を申されましても…。 279 00:24:24,044 --> 00:24:27,047 (小林) しかし 武家の格好のままでは➡ 280 00:24:27,047 --> 00:24:30,050 警戒されましょう。 (酒井)できれば➡ 281 00:24:30,050 --> 00:24:32,052 町人に扮しました方が。 282 00:24:32,052 --> 00:24:37,024 うーん…。 といって やくざ者には 見えねえしなぁ。 283 00:24:37,024 --> 00:24:38,892 (久栄)フフッ。 284 00:24:38,892 --> 00:24:43,897 大店の 放蕩息子というのは どうでございましょう? 285 00:24:43,897 --> 00:24:46,900 うん! そいつは ぴったりだ。 286 00:24:46,900 --> 00:24:54,908 (一同の笑い声) 287 00:24:54,908 --> 00:24:57,911 7年前 尾張町の綿問屋➡ 288 00:24:57,911 --> 00:25:02,916 恵比寿屋の錠前を外したのは お前さんだね? 289 00:25:02,916 --> 00:25:04,918 へい。 さようで。 290 00:25:04,918 --> 00:25:07,921 あの店には 私も 目を付けていたんだが➡ 291 00:25:07,921 --> 00:25:10,924 錠前が難しいんで 手を引いた。 292 00:25:10,924 --> 00:25:16,930 あれを外したのは 大した お手並みだ。 293 00:25:16,930 --> 00:25:18,932 恐れ入りやす。 294 00:25:18,932 --> 00:25:22,936 あれをやっつけるのには あっしも 少々 てこずりやしたが。 295 00:25:22,936 --> 00:25:25,939 ハハハッ。 296 00:25:25,939 --> 00:25:31,939 こいつが 今度 外してもらいてえ錠前だ。 297 00:25:35,949 --> 00:25:37,985 (岩五郎)うん? 298 00:25:37,985 --> 00:25:41,989 どうも 見たことのねえ代物ですが…。 299 00:25:41,989 --> 00:25:44,992 特別に あつらえたものらしい。 300 00:25:44,992 --> 00:25:48,996 こいつは 本物の鍵から 写したものでござんすか? 301 00:25:48,996 --> 00:25:55,002 いや 錠前から ろう型を取って そいつを図にしたものだ。 302 00:25:55,002 --> 00:25:58,005 すると この寸法は➡ 303 00:25:58,005 --> 00:26:04,011 かなり 甘えとみておかなくちゃ なりやせん。 304 00:26:04,011 --> 00:26:09,016 どうだね? 開きそうかね? 305 00:26:09,016 --> 00:26:16,023 この世に 開けられねえ錠前は 一つもござんせん。 306 00:26:16,023 --> 00:26:20,027 (与兵衛) で 助けてもらえるんだろうね? 307 00:26:20,027 --> 00:26:24,031 (岩五郎)へい。 こんな大仕事 見せつけられたんじゃ➡ 308 00:26:24,031 --> 00:26:28,031 どうにも やらずにはいられません。 309 00:26:33,040 --> 00:26:37,978 (彦蔵)では 近いうちに また つなぎ つけさしていただきます。 310 00:26:37,978 --> 00:26:39,978 へい。 311 00:26:46,987 --> 00:26:48,989 (与兵衛)卯三郎どん➡ 312 00:26:48,989 --> 00:26:53,994 あんな立派な せがれがいようとは うらやましいかぎりだ。 313 00:26:53,994 --> 00:27:00,000 (卯三郎)へい。 お役に立てれば こんな幸いなことはございません。 314 00:27:00,000 --> 00:27:02,002 (卯三郎)ですが➡ 315 00:27:02,002 --> 00:27:07,007 あいつは 根っからの 職人かたぎでございまして➡ 316 00:27:07,007 --> 00:27:16,016 仕事をするにゃ それなりのものが いるってことが 頭にねえんで。 317 00:27:16,016 --> 00:27:19,019 ああ そうか。 こいつは 悪かった。 318 00:27:19,019 --> 00:27:23,023 支度金も渡さずに 帰しちまった。 319 00:27:23,023 --> 00:27:28,028 何でしたら あっしが 言付かっても よろしゅうございますが。 320 00:27:28,028 --> 00:27:43,977 ♬~ 321 00:27:43,977 --> 00:27:48,982 お前さん どうかしたのかい? (岩五郎)いや 何でもねえ。 322 00:27:48,982 --> 00:27:50,982 あっ そう。 323 00:30:08,021 --> 00:30:13,026 お前…。 また いちゃもんでも つけに来やがったのか。 324 00:30:13,026 --> 00:30:16,029 (伊三次)そんな挨拶はねえだろ。 いい客を連れてきてやったのによ。 325 00:30:16,029 --> 00:30:19,029 (伊三次)ええ? (権助)おいおい…。 326 00:30:21,034 --> 00:30:26,039 (忠吾)今日は 派手に 遊ばせてもらいますよ。➡ 327 00:30:26,039 --> 00:30:29,042 ヘヘヘッ。 (権助)旦那! 旦那 旦那! 328 00:30:29,042 --> 00:30:33,046 あちらです。 どうぞ どうぞ。 (忠吾)そうですか そうですか。 329 00:30:33,046 --> 00:30:36,049 (権助)こちらになります。 (忠吾)ハハハッ。 330 00:30:36,049 --> 00:30:38,049 (伊三次)ありがとな。 331 00:30:40,053 --> 00:30:43,056 (男性)さあ 入りました。 (男性)さあ 入りました。 どうぞ。 332 00:30:43,056 --> 00:30:45,058 (男性)張って 張って。 (客)半! 333 00:30:45,058 --> 00:30:47,060 (男性)さあ 張って。 (客)半! 334 00:30:47,060 --> 00:30:49,062 (男性)はい どうぞ。 (客)丁! 335 00:30:49,062 --> 00:30:52,065 (男性)丁。 はい どうぞ。 さあ 張って。 336 00:30:52,065 --> 00:30:54,067 半だ! (客)半! 337 00:30:54,067 --> 00:30:56,069 半! (男性)丁 ないか? 338 00:30:56,069 --> 00:30:58,071 丁。 丁だ。 339 00:30:58,071 --> 00:31:00,073 (伊三次) そんな しみったれた張り方じゃ➡ 340 00:31:00,073 --> 00:31:02,008 疑われっちまいますぜ。 341 00:31:02,008 --> 00:31:05,011 (忠吾)しかし お預かりした 大事な金子を➡ 342 00:31:05,011 --> 00:31:08,014 すってしまうわけには…。➡ 343 00:31:08,014 --> 00:31:11,017 丁。 丁だ。 (伊三次)ああ もう じれってえな。 344 00:31:11,017 --> 00:31:13,019 (忠吾)あっ! (男性)盆中 あたり。 345 00:31:13,019 --> 00:31:16,022 (男性)勝負。 346 00:31:16,022 --> 00:31:19,022 (男性)五三の丁。 (男性)丁と出ました。 347 00:31:22,028 --> 00:31:24,030 (忠吾)フフフ…。 348 00:31:24,030 --> 00:31:26,030 (男性)入れ ほら! 349 00:31:28,034 --> 00:31:32,038 (男性)この! おら! このじじい! おら! 350 00:31:32,038 --> 00:31:34,040 こっちだよ! この野郎! 351 00:31:34,040 --> 00:31:39,045 (男性)押すんじゃねえよ おら! こっちだよ! おら! 352 00:31:39,045 --> 00:31:41,047 (男性)こっち… ほら。 こっち こっち じいさん。 353 00:31:41,047 --> 00:31:43,047 (伊三次)卯三郎です。 354 00:31:50,056 --> 00:31:53,059 金は つくってきたんです。 このとおり 10両。 355 00:31:53,059 --> 00:31:56,062 あの… お返しいたします。 356 00:31:56,062 --> 00:32:00,066 (権助)ほう。 (卯三郎)ヘヘヘッ。 357 00:32:00,066 --> 00:32:03,003 痛っ! あ痛て…。 ああっ! 358 00:32:03,003 --> 00:32:06,006 金は もう 返したんだ。 もう 勘弁してやれ! 359 00:32:06,006 --> 00:32:10,010 (権助)返したのは 元金だけで まだ 利息が残ってんだよ。 360 00:32:10,010 --> 00:32:12,012 利息? (権助)おうよ。 361 00:32:12,012 --> 00:32:16,016 10日で 1割だから ひとつきで 都合3両。 362 00:32:16,016 --> 00:32:18,018 そんな べらぼうな利息が あるかい! 363 00:32:18,018 --> 00:32:21,021 (権助)うるせえ! ばくちの利息は べらぼうだって➡ 364 00:32:21,021 --> 00:32:25,025 相場が決まってんだよ! ええい! 365 00:32:25,025 --> 00:32:28,028 それで 卯三郎は どうなった? 366 00:32:28,028 --> 00:32:32,032 結局 許してもらえず ひっくくられて 今も 中間部屋に。 367 00:32:32,032 --> 00:32:35,035 そいつは まずいな。 368 00:32:35,035 --> 00:32:40,040 できれば 泳がせて 見張りをつけてえところだ。 369 00:32:40,040 --> 00:32:43,043 では 腕ずくで 卯三郎を助け出しますか。 370 00:32:43,043 --> 00:32:45,045 おいおい。 371 00:32:45,045 --> 00:32:49,049 旗本屋敷で暴れられちゃ 俺の首が これだい。 372 00:32:49,049 --> 00:32:51,051 ならば 不本意ながら➡ 373 00:32:51,051 --> 00:32:56,056 あの権助に 利息の3両 払ってやるしかございませぬ。 374 00:32:56,056 --> 00:32:58,058 うーん…。 375 00:32:58,058 --> 00:33:01,995 それにしても 卯三郎は 元金の方は 返したわけだ。 376 00:33:01,995 --> 00:33:05,999 はっ。 10両 耳を揃えて。 377 00:33:05,999 --> 00:33:08,999 どこで 都合したものか。 378 00:33:14,007 --> 00:33:19,012 忠吾が 土産だとよ。 (久栄)私に? 珍しい。➡ 379 00:33:19,012 --> 00:33:23,016 何でございますの? お前の大好物だ。 380 00:33:23,016 --> 00:33:29,022 ちょうど 通り道だったもので 近江屋の羽衣煎餅を。 381 00:33:29,022 --> 00:33:34,027 まあ どういう風の 吹き回しでございましょう。 382 00:33:34,027 --> 00:33:36,029 日頃の行いが 良いせいか➡ 383 00:33:36,029 --> 00:33:40,033 ゆうべは 思いの外 運が つきましてな➡ 384 00:33:40,033 --> 00:33:45,038 お預かりいたしました 100両も これ このとおり➡ 385 00:33:45,038 --> 00:33:51,044 もうけをつけまして。 うさぎにしちゃ 出来過ぎだな。 386 00:33:51,044 --> 00:33:53,044 ちょいと 出掛けてくる。 387 00:34:01,988 --> 00:34:05,992 (久栄)雨でも 降ってくるんじゃございませんか。 388 00:34:05,992 --> 00:34:08,995 (忠吾)雲一つ ございませんが。 389 00:34:08,995 --> 00:34:23,009 ♬~ 390 00:34:23,009 --> 00:34:25,011 (伊三次)長谷川さま どちらへ? 391 00:34:25,011 --> 00:34:28,014 卯三郎の様子を 確かめようと来たんだが➡ 392 00:34:28,014 --> 00:34:31,017 あれが 権助か? へい。 393 00:34:31,017 --> 00:34:34,020 借金の利息の取り立てに 行くところでさ。 394 00:34:34,020 --> 00:34:36,020 ああ…。 395 00:34:43,029 --> 00:34:47,033 (お勝)ありがとうございました。 (権助)おい! どけ!➡ 396 00:34:47,033 --> 00:34:50,036 岩五郎さんは いらっしゃいますかい? 397 00:34:50,036 --> 00:34:54,040 (お勝)今 留守にしてますけど うちの人に 何の用ですか? 398 00:34:54,040 --> 00:34:58,044 (権助)卯三郎さんの借金を 払ってもらいに来たんだよ。 399 00:34:58,044 --> 00:35:01,981 卯三郎さんって 誰ですか? (権助)ふざけるない!➡ 400 00:35:01,981 --> 00:35:05,985 ええい! てめえの亭主の父親じゃねえか! 401 00:35:05,985 --> 00:35:09,989 (お勝)うちの人の おとっつぁんは とっくに死んでるはずですけど。 402 00:35:09,989 --> 00:35:13,993 (権助)何だと!? しら 切りやがんと容赦しねえぞ! 403 00:35:13,993 --> 00:35:16,996 おい! (男性たち)おう! 404 00:35:16,996 --> 00:35:21,000 (お勝)何するんですか! (お八百)お勝 お勝…。 あっ…。 405 00:35:21,000 --> 00:35:24,003 やめてください! 406 00:35:24,003 --> 00:35:27,006 (権助)ああ~っ! 野郎! 407 00:35:27,006 --> 00:35:31,006 ちょっと 乱暴が過ぎやしねえか。 408 00:35:33,012 --> 00:35:36,015 てめえ! 409 00:35:36,015 --> 00:35:41,020 なめたまね しやがると 畳んで 大川へ ぶちこむぞ!➡ 410 00:35:41,020 --> 00:35:45,024 うっ! (男性)あっ 権助! 大丈夫か! 411 00:35:45,024 --> 00:35:57,036 ♬~ 412 00:35:57,036 --> 00:36:01,057 大丈夫か? そこへ 掛けろ。 413 00:36:01,057 --> 00:36:03,977 (お八百)まあ ホントに… ホントに ご親切に。 414 00:36:03,977 --> 00:36:05,979 何の何の。 415 00:36:05,979 --> 00:36:07,981 (お八百・お勝) ありがとうございました。 416 00:36:07,981 --> 00:36:11,985 (お勝)失礼ですが お名を お聞かせくださいまし。 417 00:36:11,985 --> 00:36:15,989 そんな ご大層なもんじゃねえ。 ただの浪人だよ。 418 00:36:15,989 --> 00:36:18,992 (お勝)でも…。 ああ さっきの連中➡ 419 00:36:18,992 --> 00:36:21,995 借金が どうしたとか 言っていたかな。 420 00:36:21,995 --> 00:36:23,997 それが➡ 421 00:36:23,997 --> 00:36:28,001 まるで 身に覚えのないことで ございまして。 422 00:36:28,001 --> 00:36:31,001 そいつは とんだ災難だったな。 423 00:36:35,008 --> 00:36:40,013 亭主は 留守かい? はい。 朝から わらじを売りに。 424 00:36:40,013 --> 00:36:43,016 ふーん。 そりゃ 精が出るこったな。 425 00:36:43,016 --> 00:36:45,018 (お八百)まあ いつもは もう➡ 426 00:36:45,018 --> 00:36:48,021 居眠りばかりしてるんで ございますがね➡ 427 00:36:48,021 --> 00:36:52,025 今日は 何ですか まあ 急に 思い立ちましてね。 428 00:36:52,025 --> 00:36:54,027 ほう。 429 00:36:54,027 --> 00:37:13,980 ♬~ 430 00:37:13,980 --> 00:37:29,980 ♬~ 431 00:38:37,030 --> 00:38:42,035 何か ふに落ちぬことでも ございますか? 432 00:38:42,035 --> 00:38:48,041 うん…。 卯三郎が返した 10両のことだがな。 433 00:38:48,041 --> 00:38:50,043 ばくちの借金のことで ございますね。 434 00:38:50,043 --> 00:38:57,050 うん…。 どうやって 工面したものか。 435 00:38:57,050 --> 00:39:00,053 もしや 岩五郎に泣き付いて➡ 436 00:39:00,053 --> 00:39:05,058 出してもらったんじゃねえかと 俺は 思うんだがな。 437 00:39:05,058 --> 00:39:11,064 でも それでしたら 岩五郎さんは 合図のすげがさをつるして➡ 438 00:39:11,064 --> 00:39:14,067 とっくに 私どもに 知らせてるはずですが。 439 00:39:14,067 --> 00:39:17,070 うん。 440 00:39:17,070 --> 00:39:21,074 これでな 卯三郎を中間部屋から 請け出してやってくれ。 441 00:39:21,074 --> 00:39:28,081 請け出して 10両どこで工面したか 聞き出しますか? 442 00:39:28,081 --> 00:39:31,081 それとなくな。 はい。 443 00:39:41,027 --> 00:39:45,031 (岩五郎)おう! 何でい 今日は休みにしたのかい? 444 00:39:45,031 --> 00:39:48,034 (お勝) 怖いから 閉めちまったんだよ。➡ 445 00:39:48,034 --> 00:39:52,038 昼間 変なやつらが 乗り込んできてさ。 446 00:39:52,038 --> 00:39:54,040 変なやつら? (お勝)ごろつきだよ。 447 00:39:54,040 --> 00:39:58,044 お前さんの父親が 借金してるとか何とか➡ 448 00:39:58,044 --> 00:40:01,047 妙な 言い掛かりを つけやがってさ。 449 00:40:01,047 --> 00:40:04,050 たまたま 親切な お武家さまが➡ 450 00:40:04,050 --> 00:40:07,053 助けてくだすったから いいようなものの。 451 00:40:07,053 --> 00:40:12,053 お武家って 誰だよ? (お勝)ご浪人だよ 通り掛かった。 452 00:40:14,060 --> 00:40:18,064 何だい もう! ちっとも売れてないじゃないか。 453 00:40:18,064 --> 00:40:22,068 (岩五郎)ああ。 (お勝)「ああ」じゃないよ まったく。 454 00:40:22,068 --> 00:40:42,021 ♬~ 455 00:40:42,021 --> 00:40:44,023 ♬~ 456 00:40:44,023 --> 00:40:48,023 (岩五郎)ヘヘヘッ。 よし。 ヘヘッ。 457 00:40:51,030 --> 00:40:53,032 (おまさ) さあさあ おじさん もう一つ。 458 00:40:53,032 --> 00:40:55,034 (卯三郎)いやいや もう…。➡ 459 00:40:55,034 --> 00:40:58,037 これ以上 飲んだら 帰れなくなっちゃう。 460 00:40:58,037 --> 00:41:00,039 (伊三次)まあ そう言わねえで。 461 00:41:00,039 --> 00:41:04,043 (おまさ)だったら 今晩 ここに 泊まっていけばいいじゃないですか。 462 00:41:04,043 --> 00:41:08,047 (卯三郎) ああ そういうのもあったね。➡ 463 00:41:08,047 --> 00:41:11,050 ああ じゃあ ついで。 (伊三次)おうおう…。 464 00:41:11,050 --> 00:41:17,050 (卯三郎)すいませんね。 おっとっと…。 ああ…。 465 00:41:19,058 --> 00:41:22,061 (三次郎) さあさあ ソラマメですよ。 466 00:41:22,061 --> 00:41:25,061 (卯三郎)ああ ソラマメまで。 ヘヘッ。 467 00:41:27,066 --> 00:41:31,070 あれ? このナス あんたが 漬けたんですか? 468 00:41:31,070 --> 00:41:33,005 (三次郎)さようですが。 469 00:41:33,005 --> 00:41:36,008 こりゃ うまい漬け方ですね。 470 00:41:36,008 --> 00:41:38,010 (おまさ)ああ そんなに お気に召したんなら➡ 471 00:41:38,010 --> 00:41:43,015 帰り 少し持って帰ったら? ねえ? (卯三郎)あら いいんですか? 472 00:41:43,015 --> 00:41:47,015 いくらでも 差し上げますよ。 ヘヘヘッ。 じゃあ。 473 00:41:50,022 --> 00:41:54,026 助けてもらった上に ごちそうまでなって…。 474 00:41:54,026 --> 00:41:59,031 あの… 立て替えてもらった3両は 必ず 返しますから。 475 00:41:59,031 --> 00:42:02,034 そんなこと言って 当てでもあるんですか? 476 00:42:02,034 --> 00:42:07,039 いや~ ねえこともねえんですよ。 477 00:42:07,039 --> 00:42:11,043 ホントですかい? (卯三郎)ホントですよ。➡ 478 00:42:11,043 --> 00:42:16,048 近々ね 金が手に入る。 (おまさ)どこから? 479 00:42:16,048 --> 00:42:22,054 えっ? いやいや それは ちょっと言えねえな。 480 00:42:22,054 --> 00:42:26,058 だけど ちょっとした仕事 頼まれちゃってね。 481 00:42:26,058 --> 00:42:30,062 (おまさ)おじさんにですか? (卯三郎)いや 俺じゃねえんだ。 482 00:42:30,062 --> 00:42:35,001 俺は もう 体 利かねえからね。 頼まれたのは 俺のせがれだ。 483 00:42:35,001 --> 00:42:40,006 (おまさ)おや 息子さんが いたなんて 初めて聞きましたよ。 484 00:42:40,006 --> 00:42:43,009 い… 岩五郎っていうんですよ。 485 00:42:43,009 --> 00:42:47,009 御厩河岸の近くに 住んでるんですけどね。 486 00:42:50,016 --> 00:42:54,020 それじゃ おじさんが借りた 10両は➡ 487 00:42:54,020 --> 00:42:58,024 その岩五郎さんが 工面したんですね? 488 00:42:58,024 --> 00:43:04,024 いや そうとも言えねえことは ねえんだけどね。 ヘヘッ。 489 00:43:09,035 --> 00:43:13,035 ちょっと 横にならしてもらうね。 490 00:43:18,044 --> 00:43:28,054 (卯三郎の いびき) 491 00:43:28,054 --> 00:43:32,074 (おまさ)聞いてました? (伊三次)今の口ぶりだと➡ 492 00:43:32,074 --> 00:43:35,995 やつは とっくに 岩五郎さんに会ってるようですが。 493 00:43:35,995 --> 00:43:40,995 ハァ…。 いったい どうなってるんです? 494 00:43:59,018 --> 00:44:05,018 (五郎蔵)お前 俺に 何か 隠し事しちゃいねえか? 495 00:44:08,027 --> 00:44:10,027 (五郎蔵)卯三郎と いつ会った? 496 00:44:12,031 --> 00:44:18,037 (岩五郎)ああ…。 3日前の晩です。 497 00:44:18,037 --> 00:44:21,040 (五郎蔵)なぜ かさをつるしておかなかった? 498 00:44:21,040 --> 00:44:23,042 (岩五郎)申し訳ござんせん! 499 00:44:23,042 --> 00:44:26,045 (五郎蔵) なぜかって聞いてるんだい! 500 00:44:26,045 --> 00:44:30,049 (岩五郎)実は 親父に会った翌日➡ 501 00:44:30,049 --> 00:44:34,049 海老坂の与兵衛に 引き合わされまして…。 502 00:44:35,988 --> 00:44:37,990 (五郎蔵)何だと!? 503 00:44:37,990 --> 00:44:42,995 (岩五郎)…で 錠前外しを助けてもらいてえと。 504 00:44:42,995 --> 00:44:48,000 まさか 海老坂の与兵衛ともあろう者が➡ 505 00:44:48,000 --> 00:44:53,005 てめえの方から わなに飛び込んでこようとはな。 506 00:44:53,005 --> 00:44:57,009 もちろん 引き受けたんだろうな? (岩五郎)へい。 507 00:44:57,009 --> 00:45:00,012 だもんで 2~3日は 向こうも 念のため➡ 508 00:45:00,012 --> 00:45:04,016 あっしの身辺に 目を光らせているんじゃねえかと➡ 509 00:45:04,016 --> 00:45:06,018 用心いたしまして。 510 00:45:06,018 --> 00:45:10,022 そうか。 そいつは よく気が付いた。 511 00:45:10,022 --> 00:45:12,024 恐れ入りやす。 512 00:45:12,024 --> 00:45:16,024 与兵衛とは 盗っ人宿で 会ったのか? 513 00:45:20,032 --> 00:45:25,037 (岩五郎)いえ 浄念寺のそばの料理茶屋で。 514 00:45:25,037 --> 00:45:27,039 (五郎蔵)なるほど。➡ 515 00:45:27,039 --> 00:45:32,978 まず そこへは 一回っきり。 二度とは 現れねえ。 516 00:45:32,978 --> 00:45:40,978 やつらが 押し込む店と 刻限を探り出すんだ。 いいな? 517 00:45:43,989 --> 00:45:48,994 それじゃ くれぐれも気を付けてな。 518 00:45:48,994 --> 00:45:51,997 何かあるとは思っていたが➡ 519 00:45:51,997 --> 00:45:57,002 岩五郎め すでに 敵の懐に 飛び込んでいようとは➡ 520 00:45:57,002 --> 00:45:59,004 はしっこい野郎だ。 521 00:45:59,004 --> 00:46:02,007 この上は いつ 合図があっても 見逃すことのないよう➡ 522 00:46:02,007 --> 00:46:07,012 御厩河岸へ 人をやる回数を 増やさねばなりますまい。 523 00:46:07,012 --> 00:46:12,017 近場に 足だまりを設けて 人を詰めさせておいた方がよい。 524 00:46:12,017 --> 00:46:15,020 では 早速 適当な家を。 525 00:46:15,020 --> 00:46:17,020 頼むぞ。 はっ。 526 00:46:21,026 --> 00:46:40,980 ♬~ 527 00:46:40,980 --> 00:46:49,989 ♬~ 528 00:46:49,989 --> 00:46:52,992 その後 変わりは ありませんかい? 529 00:46:52,992 --> 00:46:56,992 海老坂のお頭に つなぎを つけていただけねえでしょうか? 530 00:47:07,006 --> 00:47:12,011 (岩五郎)おい。 俺は ちょっと わらじを売りに行ってくるからな。 531 00:47:12,011 --> 00:47:16,015 そう…。 あいよ。 532 00:47:16,015 --> 00:47:35,968 ♬~ 533 00:47:35,968 --> 00:47:46,979 ♬~ 534 00:47:46,979 --> 00:47:50,983 岩五郎さん 急に どうしなすった? 535 00:47:50,983 --> 00:47:52,983 へい…。 536 00:47:55,988 --> 00:47:59,992 実は 少々 差し障りができまして➡ 537 00:47:59,992 --> 00:48:05,998 おつとめから 手を引かせて いただきとうございます。 538 00:48:05,998 --> 00:48:11,003 何か 気に入らねえことでも ありましたか? 539 00:48:11,003 --> 00:48:13,005 いえ そういうことでは…。 540 00:48:13,005 --> 00:48:17,005 みんな こっちの 勝手な都合でございまして。 541 00:48:21,013 --> 00:48:27,019 支度金のことで 何か? (岩五郎)支度金? 542 00:48:27,019 --> 00:48:31,023 卯三郎どんに 10両 言付けておいたが…。 543 00:48:31,023 --> 00:48:33,025 えっ…。 544 00:48:33,025 --> 00:48:38,030 ああ お前さん 受け取ってなかったのかい。 545 00:48:38,030 --> 00:48:40,032 え… えっ…。 546 00:48:40,032 --> 00:48:43,035 虫のいいことを 言うようでございますが➡ 547 00:48:43,035 --> 00:48:46,038 しばらく 待っていただけましたら 金は 必ず…。 548 00:48:46,038 --> 00:48:52,044 ああ いや じかに渡せなかった 私も悪かった。 549 00:48:52,044 --> 00:48:58,050 あの金は お前さんに 顔をつないでもらった礼として➡ 550 00:48:58,050 --> 00:49:00,052 卯三郎どんに差し上げたと➡ 551 00:49:00,052 --> 00:49:03,052 まあ そういうことに しておこうじゃねえか。 552 00:49:06,058 --> 00:49:10,058 (お勝)ありがとうございました。 よいしょ。 553 00:49:13,065 --> 00:49:15,065 ハァ…。 554 00:49:21,073 --> 00:49:25,077 しかし そうなると 何だな➡ 555 00:49:25,077 --> 00:49:30,082 この おつとめは 諦めるほかねえか。 556 00:49:30,082 --> 00:49:33,018 待ってくだせえ。 3年もかけて 仕込んだものを➡ 557 00:49:33,018 --> 00:49:37,022 そう あっさり諦めることは…。 あっしの他にも➡ 558 00:49:37,022 --> 00:49:41,022 錠前外しは いくらもいるじゃ…。 (与兵衛)いいかい? 559 00:49:43,028 --> 00:49:49,034 私は お前さんの腕と 人柄を見込んで 頼んだんだ。 560 00:49:49,034 --> 00:49:53,034 錠前外しなら 誰でもいいってわけじゃねえ。 561 00:49:55,040 --> 00:49:57,042 ハァ。 まあ いい。 562 00:49:57,042 --> 00:50:00,045 お前さんが その気になってくれるまで➡ 563 00:50:00,045 --> 00:50:05,045 この おつとめは 何年でも寝かせておくことにする。 564 00:50:10,055 --> 00:50:13,058 そこまで 買ってくださるとあっちゃ➡ 565 00:50:13,058 --> 00:50:17,062 あっしも 否やは申せません。 566 00:50:17,062 --> 00:50:23,068 というと 岩五郎さん やってくれるのかい? 567 00:50:23,068 --> 00:50:27,072 へい! もう どうなろうと構わねえ。 568 00:50:27,072 --> 00:50:32,094 お頭に 命を お預けいたしやす。 569 00:50:32,094 --> 00:50:37,015 そうかい…。 よく 思い直してくだすった。 570 00:50:37,015 --> 00:50:44,022 ただし それには 一つだけ条件が。 (与兵衛)条件とは? 571 00:50:44,022 --> 00:50:48,026 どこへ押し入るか 教えていただきたいんで。 572 00:50:48,026 --> 00:50:52,030 そいつは また どういう訳で? 573 00:50:52,030 --> 00:50:57,035 訳というほどのことでも ねえんですがね。 574 00:50:57,035 --> 00:50:59,037 あっしは 8つのときに➡ 575 00:50:59,037 --> 00:51:05,043 京橋の線香問屋に 丁稚奉公にやられたんですがね➡ 576 00:51:05,043 --> 00:51:12,050 そこの主人が 因業な野郎でございまして➡ 577 00:51:12,050 --> 00:51:18,056 あっしを目の敵にして 散々 いじめやがった。 578 00:51:18,056 --> 00:51:24,062 でも 子供ですから 逃げる所もござんせん。 579 00:51:24,062 --> 00:51:30,068 結局 7年も辛抱して➡ 580 00:51:30,068 --> 00:51:38,010 初めて 給金がもらえるという その日に➡ 581 00:51:38,010 --> 00:51:46,018 店の金を盗んだと 主人が 難癖をつけまして➡ 582 00:51:46,018 --> 00:51:49,018 あっしを追い出しやがったんで。 583 00:51:52,024 --> 00:51:57,029 そんときに 何年ぶりかで会いに来た親父と➡ 584 00:51:57,029 --> 00:52:01,033 運良く 会うことができまして➡ 585 00:52:01,033 --> 00:52:06,038 あっしが ひでえ目に遭ったことを 話しますと➡ 586 00:52:06,038 --> 00:52:15,047 親父は 意趣返しに 線香問屋に押し入ろうと…。 587 00:52:15,047 --> 00:52:20,052 卯三郎どんが 盗賊だって お前さん 知ってなすったのかい? 588 00:52:20,052 --> 00:52:25,052 いえ そんとき 初めて 打ち明けられまして…。 589 00:52:32,998 --> 00:52:36,001 (岩五郎) 一緒に 100と40両 盗んだのが➡ 590 00:52:36,001 --> 00:52:41,001 あっしが この稼業に入った きっかけなんでございます。 591 00:52:44,009 --> 00:52:50,015 ハァ…。 卯三郎どんも 罪なことをしたもんだ。 592 00:52:50,015 --> 00:52:55,020 (岩五郎)以来 あっしは 気休めかもしれませんが➡ 593 00:52:55,020 --> 00:52:59,024 盗むなら 悪人からと心に決めて➡ 594 00:52:59,024 --> 00:53:04,024 それだけは 一度も曲げずに やってきたんで。 595 00:53:06,031 --> 00:53:11,036 いや お前さんの気持ちは よく分かる。 596 00:53:11,036 --> 00:53:17,042 (岩五郎)では 押し入る先を 教えていただけますか? 597 00:53:17,042 --> 00:53:20,045 ああ いいとも。 598 00:53:20,045 --> 00:53:27,052 (与兵衛)目当ての店は 本郷一丁目の醤油酢問屋 柳屋だ。 599 00:53:27,052 --> 00:53:31,056 (甚右衛門)何…。 チョウキチ 何だ この掃き方は。 ええ?➡ 600 00:53:31,056 --> 00:53:35,994 お前は。 バカなやつだな。 手を…。 きちんと掃きなさい。➡ 601 00:53:35,994 --> 00:53:39,998 ほら 外 行くよ。 (男性)いってらっしゃいまし。 602 00:53:39,998 --> 00:53:44,002 (与兵衛)あるじの甚右衛門は 裏では 高利の金を貸して➡ 603 00:53:44,002 --> 00:53:49,007 血も涙もねえ取り立てをしてる 業突く張りだ。➡ 604 00:53:49,007 --> 00:53:53,007 その目で 確かめてみるがいい。 605 00:54:01,019 --> 00:54:04,019 (甚右衛門)ほら 行くよ。 はい。 606 00:54:11,029 --> 00:54:14,029 (甚右衛門)ほら 急ぎなさい もう。 607 00:54:16,034 --> 00:54:18,036 (丁稚)あっ! (甚右衛門)な… 何…。➡ 608 00:54:18,036 --> 00:54:24,042 何をやっとる! 何を! もう! この役立たずが。➡ 609 00:54:24,042 --> 00:54:28,046 荷物 拾って ついてきなさい。 まったく もう。➡ 610 00:54:28,046 --> 00:54:33,986 今日は もう 飯は食べさせない。 ったく もう。 急ぎなさい。 611 00:54:33,986 --> 00:54:54,006 ♬~ 612 00:54:54,006 --> 00:55:02,006 ♬~ 613 00:55:12,024 --> 00:55:32,060 ♬~ 614 00:55:32,060 --> 00:55:51,997 ♬~ 615 00:55:51,997 --> 00:56:12,017 ♬~ 616 00:56:12,017 --> 00:56:19,017 ♬~ 617 00:56:25,030 --> 00:56:30,035 (岩五郎)おっかさん…。 どうなすったんで? 618 00:56:30,035 --> 00:56:32,971 (お八百)いや はばかりへ行こうと思ったらね➡ 619 00:56:32,971 --> 00:56:37,976 何だか 音がしたもんだから。 何をしていたんだい? 620 00:56:37,976 --> 00:56:42,981 ええ…。 何でも ありません。 眠れねえもんで ちょっと。 621 00:56:42,981 --> 00:56:46,985 おお…。 うーん…。 622 00:56:46,985 --> 00:56:48,987 (鼻をすする音) 623 00:56:48,987 --> 00:56:53,992 一杯 やっていたのかい? (岩五郎)ええ まあ。 624 00:56:53,992 --> 00:56:55,994 お気になさらねえで。 さあさあ さあ。 625 00:56:55,994 --> 00:56:57,996 はばかりまで お連れいたしやしょう。 626 00:56:57,996 --> 00:57:01,996 もう 一人で行けますよ。 627 00:57:11,009 --> 00:57:14,009 ハァ…。 628 00:57:16,014 --> 00:57:20,018 岩五郎から その後 何の合図もないか? 629 00:57:20,018 --> 00:57:24,022 (酒井)日に何度か 人をやって 確かめてはいるのですが…。 630 00:57:24,022 --> 00:57:28,026 うーん…。 かさは つってねえんだな? 631 00:57:28,026 --> 00:57:31,029 (酒井)はっ。 この2~3日 岩五郎は➡ 632 00:57:31,029 --> 00:57:36,968 昼間は 店におらぬようです。 いつ行っても 姿が見えぬそうで。 633 00:57:36,968 --> 00:57:39,971 卯三郎は どうしてる? はっ。 634 00:57:39,971 --> 00:57:42,974 厳重に 見張りをつけておりますが➡ 635 00:57:42,974 --> 00:57:46,978 あれ以降 まるで 借りてきた猫のように➡ 636 00:57:46,978 --> 00:57:48,980 長屋で おとなしくしております。 637 00:57:48,980 --> 00:57:53,985 ばくちの借金で よっぽど 懲りたんであろう。 638 00:57:53,985 --> 00:57:56,988 (小林)海老坂一味と つなぎをつけるような気配は➡ 639 00:57:56,988 --> 00:58:01,993 まるで 見えませず おまさが申しますには➡ 640 00:58:01,993 --> 00:58:07,993 もはや おつとめからは 一切 身を引いているのではないかと。 641 00:58:11,002 --> 00:58:14,002 そうかもしれねえ。 642 00:58:20,011 --> 00:58:24,015 (男性)ごちそうさん。 (お勝)ありがとうございました。➡ 643 00:58:24,015 --> 00:58:26,015 お気を付けて。 644 00:58:33,024 --> 00:58:39,030 (お勝)まあ いつぞやの…。 すまねえが 水を一杯 所望したい。 645 00:58:39,030 --> 00:58:42,033 ええ ええ。 どうぞ お入りくださいまし。 646 00:58:42,033 --> 00:58:45,036 どうぞ。 どうぞ どうぞ。 647 00:58:45,036 --> 00:58:48,039 (お勝)この間の ご浪人さまが 寄ってくださいましたよ。 648 00:58:48,039 --> 00:58:50,041 (お八百)えっ!? (お勝)はい。 こっち こっち。➡ 649 00:58:50,041 --> 00:58:55,041 ここね。 はい。 よいしょ。 はい。 ここ座って。 650 00:58:58,049 --> 00:59:00,051 今日も 亭主は 留守か? 651 00:59:00,051 --> 00:59:06,057 はい。 何ですか このところ 急に 商売っ気を出しましてね➡ 652 00:59:06,057 --> 00:59:12,063 今日も 朝から わらじを売りに。 そんなに売れるものかね。 653 00:59:12,063 --> 00:59:16,067 (お勝)それが もう まるっきりなんでございますよ。 654 00:59:16,067 --> 00:59:22,073 うちのご亭主は 商売が下手で 困ったもんでございますよ。 655 00:59:22,073 --> 00:59:25,076 いいじゃありませんか 商いが 下手だって。 656 00:59:25,076 --> 00:59:29,080 あんな おっかさんを 大事にしてくれる優しい人は➡ 657 00:59:29,080 --> 00:59:32,100 どこを探したって 見つかりゃしないんだから。 658 00:59:32,100 --> 00:59:39,024 (お八百)まあ…。 お前さん お客さんの前で おのろけかい。 659 00:59:39,024 --> 00:59:42,027 (お勝)もう! もう…。 ハハハッ。 660 00:59:42,027 --> 00:59:46,031 ご亭主は どうも つかみどころのねえ人のようだな。 661 00:59:46,031 --> 00:59:51,036 (お八百)ええ もう せんだってもね 何を思い付いたのか➡ 662 00:59:51,036 --> 00:59:55,040 部屋に こもって 夜なべを。 ほう。 わらじでも編んでたのかい。 663 00:59:55,040 --> 00:59:59,044 さあ 何だか知りませんがね➡ 664 00:59:59,044 --> 01:00:03,048 一杯やりながら 一人で せっせと 仕事を。 665 01:00:03,048 --> 01:00:06,048 ほう。 仕事をな。 666 01:00:08,053 --> 01:00:10,055 お水より お神酒の方が➡ 667 01:00:10,055 --> 01:00:12,057 よろしかったんじゃ ございませんか? 668 01:00:12,057 --> 01:00:18,063 いや これでいい。 ちょっと 用事を思い付いてな。 669 01:00:18,063 --> 01:00:38,016 ♬~ 670 01:00:38,016 --> 01:00:58,036 ♬~ 671 01:00:58,036 --> 01:01:04,036 ♬~ 672 01:01:22,060 --> 01:01:26,064 (伊三次)ごめんよ! (卯三郎)えっ? あっ。➡ 673 01:01:26,064 --> 01:01:31,069 伊三次さん すまねえ。 まだ 金の都合がつかねえんで。 674 01:01:31,069 --> 01:01:33,004 ああ いいってことよ。 ええ? 675 01:01:33,004 --> 01:01:36,007 それより ちょっと 一緒に来てもらいてえんだが。 676 01:01:36,007 --> 01:01:40,011 どこへ行くんです? (伊三次)まあ いいから。 677 01:01:40,011 --> 01:01:42,011 ええ ええ。 678 01:01:49,020 --> 01:01:52,020 お前が 伏木の卯三郎か。 679 01:01:55,026 --> 01:02:01,032 あの方は 誰ですか? (おまさ)長谷川 平蔵さまですよ。 680 01:02:01,032 --> 01:02:03,034 (卯三郎)えっ?➡ 681 01:02:03,034 --> 01:02:09,040 ハハッ。 おまささん 人をからかっちゃいけませんよ。 682 01:02:09,040 --> 01:02:14,045 (おまさ)これが からかってる顔に見えますか? 683 01:02:14,045 --> 01:02:33,998 ♬~ 684 01:02:33,998 --> 01:02:36,998 ♬~ 685 01:02:39,003 --> 01:02:41,005 ≪(戸をたたく音) 686 01:02:41,005 --> 01:02:46,010 (お勝)看板だよ! 閉めちゃったよ! 687 01:02:46,010 --> 01:02:48,012 ≪(戸をたたく音) 688 01:02:48,012 --> 01:02:50,012 もう…。 689 01:03:10,034 --> 01:03:13,034 何でい? 騒々しい。 690 01:03:16,040 --> 01:03:18,042 (岩五郎)どうした? 691 01:03:18,042 --> 01:03:24,048 お前さんの おとっつぁんだって人が 表に立ってんだけど。 692 01:03:24,048 --> 01:03:26,048 ハァ…。 693 01:03:31,055 --> 01:03:32,991 (岩五郎)どういうことなんだよ! 694 01:03:32,991 --> 01:03:35,994 (卯三郎)いや 行き場がねえんだ。 しばらく 置いてくんねえか? 695 01:03:35,994 --> 01:03:39,994 (岩五郎)ほれ ほれ。 何があった? 696 01:03:42,000 --> 01:03:45,003 盗賊改めに 目 付けられた。 697 01:03:45,003 --> 01:03:49,007 何だって!? 何か しゃべったんじゃあるめえな? 698 01:03:49,007 --> 01:03:53,011 しゃべろうにも お前 おつとめのことは何にも知らねえ。 699 01:03:53,011 --> 01:03:55,013 だから こうやって 放されたんだ。 700 01:03:55,013 --> 01:03:58,016 後をつけられてねえだろうな。 701 01:03:58,016 --> 01:04:03,021 いや 大丈夫だと思うけどよ よう 怖くて うち帰れねえんだよ。 702 01:04:03,021 --> 01:04:09,027 (お勝)お前さん 父親は 死んだんじゃなかったのかい? 703 01:04:09,027 --> 01:04:12,030 いえ… そう思ってたんだがな➡ 704 01:04:12,030 --> 01:04:15,033 こうやって 訪ねてきたところを見ると➡ 705 01:04:15,033 --> 01:04:17,035 どうも 生き返ったらしいや。 706 01:04:17,035 --> 01:04:19,035 よしとくれよ! 縁起でもない! 707 01:06:25,063 --> 01:06:29,067 卯三郎…。 近々ね 金が手に入る。 708 01:06:29,067 --> 01:06:34,072 おつとめからは 一切 身を引いているのではないかと。 709 01:06:34,072 --> 01:06:37,075 海老坂のお頭よ。 710 01:06:37,075 --> 01:06:39,077 やってくれるのかい? (岩五郎)へい! 711 01:06:39,077 --> 01:06:44,082 押し込む店と 刻限を探り出すんだ。 712 01:06:44,082 --> 01:06:48,086 岩五郎め すでに 敵の懐に 飛び込んでいようとは。 713 01:06:48,086 --> 01:06:50,086 (権助)ああ~っ! 714 01:08:55,046 --> 01:09:01,052 はい。 よいしょ。 さあ どうぞ。 他に 何か いる物はありますか? 715 01:09:01,052 --> 01:09:05,056 ああ できりゃ 寝酒を ちょっと。 (岩五郎のせきばらい) 716 01:09:05,056 --> 01:09:10,061 お勝 酒はいいから もう 向こうへ行ってな。 717 01:09:10,061 --> 01:09:12,061 あいよ。 718 01:09:20,071 --> 01:09:25,076 (岩五郎) 支度金は どうしたんだよ! 719 01:09:25,076 --> 01:09:27,078 (卯三郎)支度金? 720 01:09:27,078 --> 01:09:32,083 (岩五郎)海老坂のお頭から 言付かった 10両だよ! 721 01:09:32,083 --> 01:09:37,088 ああ ああ… あれな すまねえ。 722 01:09:37,088 --> 01:09:42,093 あの金 もう 使っちまってよ もう ねえんだ。 723 01:09:42,093 --> 01:09:46,097 何に使ったんだよ! 724 01:09:46,097 --> 01:09:49,100 ばくちの借金でな その返済で。 725 01:09:49,100 --> 01:09:54,038 何で また…。 何で また ばくちなんか…。 726 01:09:54,038 --> 01:09:58,042 いや 俺が おつとめを引くときにな➡ 727 01:09:58,042 --> 01:10:02,046 海老坂のお頭から頂いた 納め金な➡ 728 01:10:02,046 --> 01:10:07,051 あれ 病の薬代で あらかた 使い果たしちまってよ。 729 01:10:07,051 --> 01:10:13,057 そうなるとよ つぶしの利かねえ 盗賊ほど惨めなものはねえんだよ。 730 01:10:13,057 --> 01:10:17,061 ばくち以外に 金を稼ぐ道を 思い付かなくてな。 731 01:10:17,061 --> 01:10:19,063 いや 俺が つかねえんだよ。 732 01:10:19,063 --> 01:10:22,066 俺が 半って言うと 必ず 丁が出るんだよ。 733 01:10:22,066 --> 01:10:24,068 何の話だ! (卯三郎)ばくちの話だ。 734 01:10:24,068 --> 01:10:27,071 いいかげんにしろよ! 735 01:10:27,071 --> 01:10:32,071 そんな怒んなくても お酒ぐらい いいじゃないか。 736 01:10:44,088 --> 01:10:50,088 薬代ぐらい 俺に頼れよ。 (卯三郎)うん…。 737 01:10:57,034 --> 01:10:59,034 いただきます。 738 01:11:19,056 --> 01:11:21,058 (岩五郎)図面の寸法で➡ 739 01:11:21,058 --> 01:11:24,061 錠前に ぴったり合うかどうか 分からねえんで➡ 740 01:11:24,061 --> 01:11:27,064 こころもち やすりのかけ方を違えて➡ 741 01:11:27,064 --> 01:11:30,067 合鍵を 3本 作っておきました。 742 01:11:30,067 --> 01:11:35,072 さすが 私が 見込んだだけのことはある。 743 01:11:35,072 --> 01:11:39,072 念の入った仕事だ。 744 01:11:44,081 --> 01:11:49,086 で 柳屋へは いつ 押し入るんで? 745 01:11:49,086 --> 01:11:55,026 (与兵衛)まず 明後日。 早えに越したことはねえ。 746 01:11:55,026 --> 01:11:58,029 一つ 気になることがあるんですが。 747 01:11:58,029 --> 01:12:01,032 (与兵衛)何でい? 言ってみねえ。 748 01:12:01,032 --> 01:12:05,036 盗んだ金を どうやって 運ぶつもりです? 749 01:12:05,036 --> 01:12:09,040 近くに 堀でもありゃ 舟を使うという手もあるが➡ 750 01:12:09,040 --> 01:12:13,044 あいにく 柳屋の辺りには それがねえ。 751 01:12:13,044 --> 01:12:18,049 となると 町木戸を開けさせて 押し通るしかございませんが。 752 01:12:18,049 --> 01:12:24,055 ハハッ。 お前さん いいところに気が付きなすったな。 753 01:12:24,055 --> 01:12:27,055 まっ 見ねえ。 754 01:12:31,062 --> 01:12:37,068 (与兵衛)柳屋から はす向かいの ここん所に 借家がある。➡ 755 01:12:37,068 --> 01:12:39,070 住んでるのは 艶っぽいので評判の➡ 756 01:12:39,070 --> 01:12:43,074 文字春という 常盤津の師匠なんだが➡ 757 01:12:43,074 --> 01:12:47,078 この女 何者だと思う? 758 01:12:47,078 --> 01:12:52,083 えっ? まさか こっちのお仲間ですか? 759 01:12:52,083 --> 01:12:55,083 その まさかよ。 760 01:13:02,026 --> 01:13:05,029 (与兵衛)文字春を 1年も前から ここに住まわせてるのは➡ 761 01:13:05,029 --> 01:13:10,029 むろん いざ おつとめというときのためでね。 762 01:13:16,040 --> 01:13:18,042 (甚右衛門)はい 行きますよ。 763 01:13:18,042 --> 01:13:21,045 (与兵衛)柳屋のあるじとは ずいぶん 懇ろになって➡ 764 01:13:21,045 --> 01:13:27,051 おかげで 店の内情は みんな こっちへ 筒抜けだ。 765 01:13:27,051 --> 01:13:31,055 (甚右衛門)おお お師匠さん。 持ちましょう 持ちましょう。 766 01:13:31,055 --> 01:13:34,055 さあ どうぞ。 どうぞ どうぞ。 はい。 767 01:13:39,063 --> 01:13:46,070 (甚右衛門)♬「手を付いて」 768 01:13:46,070 --> 01:13:48,072 (文字春)よう。 769 01:13:48,072 --> 01:13:59,016 ♬「ふっと見合わす」 770 01:13:59,016 --> 01:14:11,016 ♬「顔と顔」 771 01:14:14,031 --> 01:14:19,036 (与兵衛)盗んだ金は いったん この文字春の家に 運び込んで➡ 772 01:14:19,036 --> 01:14:22,039 朝まで 寝かしておく。➡ 773 01:14:22,039 --> 01:14:28,045 で 町木戸が開いてから 堂々と ここまで運んでくるんだ。 774 01:14:28,045 --> 01:14:32,049 (岩五郎)真っ昼間に 千両箱を 大丈夫でござんすか? 775 01:14:32,049 --> 01:14:38,049 そこは 抜かるもんじゃねえ。 ハハッ。 まあ 見てなせえ。 776 01:14:54,004 --> 01:14:56,006 うわっ! (卯三郎)おい。 777 01:14:56,006 --> 01:14:58,008 (岩五郎)うん? うん? 778 01:14:58,008 --> 01:15:05,015 どこ 行ってたんだよ。 (岩五郎)海老坂のお頭の所よ。 779 01:15:05,015 --> 01:15:09,019 押し込みは 近えのか? (岩五郎)あさっての晩。 780 01:15:09,019 --> 01:15:11,019 あさって!? 781 01:15:14,024 --> 01:15:17,027 押し込み先は どこだい? 782 01:15:17,027 --> 01:15:24,034 そいつは 親にも明かさねえのが 盗賊の仁義ってもんだぜ。 783 01:15:24,034 --> 01:15:28,034 違えねえ。 いい心掛けだ。 784 01:17:54,351 --> 01:17:56,353 (久栄)ねこ殿 ちょっと。 785 01:17:56,353 --> 01:17:59,356 (村松) はい。 何でございましょう? 786 01:17:59,356 --> 01:18:02,359 このところ 味付けが変わったようだと➡ 787 01:18:02,359 --> 01:18:05,362 殿様が おっしゃっておいでですが。 788 01:18:05,362 --> 01:18:09,366 やはり お気付きで。 (久栄)というと 何か? 789 01:18:09,366 --> 01:18:14,371 実は このところ お体のためをと思いまして➡ 790 01:18:14,371 --> 01:18:18,375 なるべく 薄味にと。 (久栄)あっ そうでありましたか。 791 01:18:18,375 --> 01:18:21,378 いつもながら よく 気の付くことです。 792 01:18:21,378 --> 01:18:24,381 何の これしきのこと。 793 01:18:24,381 --> 01:18:30,387 時に 明朝は 膳ごしらえは 不要だと 殿様の仰せです。 794 01:18:30,387 --> 01:18:34,391 味付けに ご不満でも? (久栄)そうではありませぬ。 795 01:18:34,391 --> 01:18:37,394 明日は 早くから お出掛けになられるそうで➡ 796 01:18:37,394 --> 01:18:41,398 にぎり飯でも こしらえてくれれば それでよいと。 797 01:18:41,398 --> 01:18:46,398 (村松) では 香の物でも添えましょう。 798 01:18:49,339 --> 01:18:52,342 10人分 いるそうです。 799 01:18:52,342 --> 01:19:00,350 10人分? 朝から 大勢で 遊山にでも お出掛けですかな? 800 01:19:00,350 --> 01:19:04,354 <海老坂の与兵衛一味が 柳屋へ押し入ったのは➡ 801 01:19:04,354 --> 01:19:06,354 その夜のことである> 802 01:19:17,367 --> 01:19:20,370 (戸をたたく音) 803 01:19:20,370 --> 01:19:40,390 ♬~ 804 01:19:40,390 --> 01:20:00,344 ♬~ 805 01:20:00,344 --> 01:20:20,364 ♬~ 806 01:20:20,364 --> 01:20:33,377 ♬~ 807 01:20:33,377 --> 01:20:35,379 (彦蔵)てめえ! 808 01:20:35,379 --> 01:20:45,405 ♬~ 809 01:20:45,405 --> 01:20:56,333 ♬~ 810 01:20:56,333 --> 01:20:59,336 (岩五郎)四半時 お待ちくだせえ。 811 01:20:59,336 --> 01:21:19,356 ♬~ 812 01:21:19,356 --> 01:21:39,376 ♬~ 813 01:21:39,376 --> 01:21:48,318 ♬~ 814 01:21:48,318 --> 01:21:50,320 ≪(物音) 815 01:21:50,320 --> 01:22:04,334 ♬~ 816 01:22:04,334 --> 01:22:06,336 (あくび) 817 01:22:06,336 --> 01:22:26,356 ♬~ 818 01:22:26,356 --> 01:22:34,356 ♬~ 819 01:22:45,392 --> 01:23:05,329 ♬~ 820 01:23:05,329 --> 01:23:20,329 ♬~ 821 01:23:29,353 --> 01:23:49,306 ♬~ 822 01:23:49,306 --> 01:24:03,320 ♬~ 823 01:24:03,320 --> 01:24:05,322 (解錠音) 824 01:24:05,322 --> 01:24:18,322 ♬~ 825 01:25:58,034 --> 01:26:02,034 ああ…。 826 01:26:11,047 --> 01:26:16,052 ♬(甚右衛門の鼻歌) 827 01:26:16,052 --> 01:26:24,052 ♬~ 828 01:27:03,033 --> 01:27:06,036 あっ! 鍵が! あっ ない!➡ 829 01:27:06,036 --> 01:27:10,040 ない! ない! 誰か! 誰か! 830 01:27:10,040 --> 01:27:12,040 (岡っ引き)下がれ 下がれ! 831 01:27:17,047 --> 01:27:21,051 (岡っ引き)下がれ。 下がれ。 832 01:27:21,051 --> 01:27:23,053 (男性)同心の方は まだですか? (岡っ引き)もうすぐだ。 833 01:27:23,053 --> 01:27:25,055 (男性)はぁ…。 834 01:27:25,055 --> 01:27:27,057 (岡っ引き) おう あけろ あけろ あけろ!➡ 835 01:27:27,057 --> 01:27:29,057 どけ! 836 01:27:36,066 --> 01:27:42,066 (文字春)お頭 支度が整いました。 (与兵衛)うん。 837 01:27:50,096 --> 01:27:52,096 (岡っ引き)下がれ。 838 01:27:54,017 --> 01:27:59,017 (同心)おう どけ どけ! どけ! (岡っ引き)あっ ご苦労さまです。 839 01:28:07,030 --> 01:28:10,033 (甚右衛門)千両箱 2つ…。 840 01:28:10,033 --> 01:28:14,033 どうしよう…。 ああ…。 841 01:28:21,044 --> 01:28:24,044 お頭は? (善太郎)追っ付け 来なさる。 842 01:28:41,064 --> 01:28:43,064 (彦蔵)よっと。 843 01:28:59,015 --> 01:29:19,035 ♬~ 844 01:29:19,035 --> 01:29:27,043 ♬~ 845 01:29:27,043 --> 01:29:30,043 海老坂の与兵衛であるな? 846 01:29:32,048 --> 01:29:41,057 千両箱を かごに載せるとは 噂に たがわぬ人を食った野郎だ。 847 01:29:41,057 --> 01:29:46,062 お手前が➡ 848 01:29:46,062 --> 01:29:49,065 盗賊改めの…。 849 01:29:49,065 --> 01:29:52,001 長谷川 平蔵じゃ。 850 01:29:52,001 --> 01:30:12,021 ♬~ 851 01:30:12,021 --> 01:30:27,021 ♬~ 852 01:30:29,038 --> 01:30:31,038 ≪(忠吾)ごめん! 853 01:30:34,043 --> 01:30:36,045 (文字春) どちらさまでございましょう? 854 01:30:36,045 --> 01:30:40,049 (忠吾)火付盗賊改方の者だ。 855 01:30:40,049 --> 01:30:46,055 で そんな怖い旦那が 私に 何のご用です? 856 01:30:46,055 --> 01:30:50,076 しらばっくれようたって そうはいかんぞ。 857 01:30:50,076 --> 01:30:55,999 あら 旦那 近くで見ると いい男…。 858 01:30:55,999 --> 01:30:57,999 神妙にせぬか…。 859 01:31:07,010 --> 01:31:11,014 これだから 女は 油断ならぬ。 860 01:31:11,014 --> 01:31:28,014 ♬~ 861 01:31:31,034 --> 01:31:36,039 (彦蔵)おい いくら何でも 遅過ぎやしねえか。 862 01:31:36,039 --> 01:31:40,039 (善太郎)ちょっと 様子を見に行ってきやす。 おい。 863 01:31:46,049 --> 01:31:50,019 (善太郎)うわっ! くそ!➡ 864 01:31:50,019 --> 01:31:51,888 くそ! やーっ!➡ 865 01:31:51,888 --> 01:31:53,890 うわー! 866 01:31:53,890 --> 01:31:57,894 火付盗賊改めである! 神妙にいたせ! 867 01:31:57,894 --> 01:32:17,914 ♬~ 868 01:32:17,914 --> 01:32:37,934 ♬~ 869 01:32:37,934 --> 01:32:55,985 ♬~ 870 01:32:55,985 --> 01:32:58,985 ♬~ 871 01:33:01,991 --> 01:33:03,993 (岩五郎)おお! (卯三郎)どうしたい? 872 01:33:03,993 --> 01:33:08,998 海老坂のお頭が お縄になんなすった。 873 01:33:08,998 --> 01:33:10,998 えっ? 874 01:33:17,006 --> 01:33:20,009 (お勝) お前さん どうしたんだよ? 875 01:33:20,009 --> 01:33:24,013 ちょいと 出掛けてくる。 (お勝)どこ 行くんだい? 876 01:33:24,013 --> 01:33:30,019 当分 帰れねえかもしれねえ。 (お勝)えっ…。 877 01:33:30,019 --> 01:33:32,021 お… お勝。 878 01:33:32,021 --> 01:33:37,021 お勝 な… 何か あったのかい? ええ? ええ? 879 01:33:42,031 --> 01:33:47,036 おっかさんを 大事にしてやんなよ。 880 01:33:47,036 --> 01:33:49,036 (お勝・お八百)えっ? 881 01:33:52,976 --> 01:33:57,976 おい。 俺も連れてってくれ。 (岩五郎)ああ…。 882 01:34:03,987 --> 01:34:05,987 (お勝)お前さん! 883 01:34:08,992 --> 01:34:11,992 (お勝)へそくりだよ。 持ってっとくれ。 884 01:34:13,997 --> 01:34:15,997 すまねえ。 885 01:36:48,451 --> 01:36:52,451 与兵衛 何か 言い残すことはないか? 886 01:36:57,460 --> 01:37:02,465 わしに できることがあれば 何なりと かなえてやるぞ。 887 01:37:02,465 --> 01:37:09,472 19の年を皮切りに 今日まで 四十数年➡ 888 01:37:09,472 --> 01:37:12,472 盗賊稼業を全うしてきました。 889 01:37:15,478 --> 01:37:20,478 心残りなんざ ただの一つもございません。 890 01:37:22,485 --> 01:37:28,491 しかしながら お聞きしてえことが 一つだけ。 891 01:37:28,491 --> 01:37:30,493 申してみよ。 892 01:37:30,493 --> 01:37:37,500 あっしらの動きが どこから 盗賊改めに 漏れたものか。 893 01:37:37,500 --> 01:37:41,437 どこから 漏れたと思う? 894 01:37:41,437 --> 01:37:47,443 岩五郎。 いや あいつじゃねえ。 895 01:37:47,443 --> 01:37:53,449 (与兵衛)となると 他には まるで 思い当たる節もねえが…。➡ 896 01:37:53,449 --> 01:37:56,452 ああ それと もう一つ。➡ 897 01:37:56,452 --> 01:38:00,456 あっしらの動きを 見通していながら➡ 898 01:38:00,456 --> 01:38:06,462 なぜ 昨夜のうちに 捕まえなかったんでございます? 899 01:38:06,462 --> 01:38:13,469 そりゃ 俺が お前を 大したやつだと認めているからよ。 900 01:38:13,469 --> 01:38:16,472 海老坂の与兵衛ともあろう者が➡ 901 01:38:16,472 --> 01:38:20,476 押し込み先で とらまえられたりしちゃ➡ 902 01:38:20,476 --> 01:38:29,485 生涯の最後にきて 大盗賊の名に 傷が付く… そう思ってな。 903 01:38:29,485 --> 01:38:33,485 誠でございますか? ああ。 904 01:38:37,493 --> 01:38:40,429 かたじけのうございます。 905 01:38:40,429 --> 01:38:44,433 だが それだけじゃねえ。 906 01:38:44,433 --> 01:38:51,440 いや 実はな 事前に知ったのは おつとめの日取りだけで➡ 907 01:38:51,440 --> 01:38:56,445 場所を知ったのは お前たちが押し込んだ後のことだ。 908 01:38:56,445 --> 01:39:01,450 それだから 後手を踏んで 慌てて出張るより➡ 909 01:39:01,450 --> 01:39:04,453 ここは じっくりと 腰を据えて➡ 910 01:39:04,453 --> 01:39:10,459 網を張った方がいいと 俺は そう考えたんだ。 911 01:39:10,459 --> 01:39:16,465 夜は 闇に紛れて 何人か 取り逃がすこともあるが➡ 912 01:39:16,465 --> 01:39:23,472 昼間なら 一人も 取り逃がすこっちゃねえからな。 913 01:39:23,472 --> 01:39:31,472 (与兵衛)ハッ。 ハハッ。 さすがは 長谷川 平蔵さまだ。 914 01:39:33,482 --> 01:39:39,482 縄目を受けても 悔いはございません。 915 01:39:48,431 --> 01:39:51,434 お泊まり いかがですか? ご飯もついてますよ。 916 01:39:51,434 --> 01:39:56,439 <そのころ 岩五郎は ようやく 草加まで 足を延ばしていた> 917 01:39:56,439 --> 01:39:59,442 (女性)安いよ 安いよ。 (女性)お泊まり いかがですか? 918 01:39:59,442 --> 01:40:04,442 (女性)お泊まり いかがですか? ご飯がついて 120文ですよ。 919 01:40:06,449 --> 01:40:09,452 (岩五郎)姉さん 2人だ。 (女性)お二人さま! 920 01:40:09,452 --> 01:40:12,455 (男性)ああ どうぞ どうぞ お入りください。 921 01:40:12,455 --> 01:40:14,455 (女性)いらっしゃいませ。 922 01:40:18,461 --> 01:40:34,461 ♬~ 923 01:40:36,479 --> 01:40:39,498 ≪(女性)失礼します。 924 01:40:39,498 --> 01:40:42,418 (卯三郎)おう 姉さん 明かりを 早く つけてくれや。 925 01:40:42,418 --> 01:40:44,418 (女性)はいはい。 926 01:40:57,433 --> 01:41:02,438 (岩五郎)うん? 姉さん 酒を頼んだ覚えはねえんだが。 927 01:41:02,438 --> 01:41:05,441 向かいのお客さんに つけるように 頼まれたもんでね。 928 01:41:05,441 --> 01:41:08,444 向かいの? どんな人だい? 929 01:41:08,444 --> 01:41:11,447 どんな人って お客さんが 確かめたら? 930 01:41:11,447 --> 01:41:27,447 ♬~ 931 01:41:42,411 --> 01:42:02,431 ♬~ 932 01:42:02,431 --> 01:42:04,433 ♬~ 933 01:42:04,433 --> 01:42:06,435 おう ご苦労だったな。 934 01:42:06,435 --> 01:42:10,439 そんなとこ 立ってねえで こっち 入んな。 935 01:42:10,439 --> 01:42:12,439 (卯三郎)へい。 936 01:42:17,446 --> 01:42:23,452 岩五郎 わ… 悪く思わねえでくれ。 (岩五郎)どういうことなんだ? 937 01:42:23,452 --> 01:42:26,455 お前のそぶりが あんまり 妙なんで➡ 938 01:42:26,455 --> 01:42:31,460 親父に 言い含めて お前を見張らせていたのよ。 939 01:42:31,460 --> 01:42:36,465 じゃあ 海老坂のお頭が捕まったのは…。 940 01:42:36,465 --> 01:42:40,402 親父が おつとめの日取りを 教えてくれたんで➡ 941 01:42:40,402 --> 01:42:45,407 その日は ずーっと お前をつけていたのよ。 942 01:42:45,407 --> 01:42:52,414 あっ ああっ…。 (五郎蔵)この 大バカ野郎! 943 01:42:52,414 --> 01:42:59,421 何だって 長谷川さまを裏切りやがった! 944 01:42:59,421 --> 01:43:02,424 (岩五郎)勘弁してくだせえ!➡ 945 01:43:02,424 --> 01:43:06,428 めったに 拝めねえ大仕事で 錠前の図面を見たら➡ 946 01:43:06,428 --> 01:43:11,428 どうしても 外さずにはいられなく なっちまったんでございます。 947 01:43:14,436 --> 01:43:18,440 岩五郎を かばうわけではございませんが➡ 948 01:43:18,440 --> 01:43:22,444 眠っていた こいつの心を その気にさせちまったのは➡ 949 01:43:22,444 --> 01:43:29,451 海老坂の与兵衛ならではのことで ございます! 950 01:43:29,451 --> 01:43:31,453 しかし だとすると➡ 951 01:43:31,453 --> 01:43:36,458 与兵衛のような盗賊が もし また現れたら➡ 952 01:43:36,458 --> 01:43:41,397 岩五郎は 同じ過ちをしでかすかもしれねえ。 953 01:43:41,397 --> 01:43:43,399 (岩五郎)いえ 二度とは決して! 954 01:43:43,399 --> 01:43:50,399 バカ! 密偵に 二度は通用しねえんだ! 955 01:43:54,410 --> 01:43:56,412 うわー! 956 01:43:56,412 --> 01:44:01,417 (五郎蔵)今後は 一切 錠前を いじれねえようにいたします。 957 01:44:01,417 --> 01:44:06,422 ですから どうか 命だけは…。 (岩五郎)うっ…。 958 01:44:06,422 --> 01:44:13,429 もういい 五郎蔵。 悪いのは お前たちばかりじゃねえ。 959 01:44:13,429 --> 01:44:18,434 岩五郎が 錠前外しを しでかそうとしているのを➡ 960 01:44:18,434 --> 01:44:26,442 知っていながら 俺が止めもせず とことん やらせたんだからな。 961 01:44:26,442 --> 01:44:33,449 盗っ人どもをとらまえるためには どんな手段も選ばねえ この俺が➡ 962 01:44:33,449 --> 01:44:40,449 誰よりも一番… ヘヘッ 悪いやつかもしれねえよ。 963 01:44:44,393 --> 01:44:48,397 <それから 3日がたった> 964 01:44:48,397 --> 01:44:50,399 (男性)ごめんよ。 965 01:44:50,399 --> 01:44:55,404 <浅草 御厩河岸の居酒屋は 相変わらず 繁盛しているが➡ 966 01:44:55,404 --> 01:44:59,408 以前とは 2つ 変わったことがあった> 967 01:44:59,408 --> 01:45:04,413 <1つは 岩五郎が 密偵の役目を解かれて➡ 968 01:45:04,413 --> 01:45:06,415 ただの居酒屋の亭主に なったこと> 969 01:45:06,415 --> 01:45:08,417 お前さん ほら 魚 焦げてるよ それ。 970 01:45:08,417 --> 01:45:10,419 うん!? 971 01:45:10,419 --> 01:45:16,425 <いまひとつは 厄介者が 1人 増えたことである> 972 01:45:16,425 --> 01:45:23,432 ♬(鼻歌) 973 01:45:23,432 --> 01:45:25,434 (忠吾)あ痛っ! 974 01:45:25,434 --> 01:45:29,438 ♬(鼻歌) 975 01:45:29,438 --> 01:45:31,438 (忠吾)フフフッ。 976 01:45:39,465 --> 01:45:44,386 何だ? この匂いは。 あっ うさぎ! 977 01:45:44,386 --> 01:45:47,389 (忠吾)あっ はい。➡ 978 01:45:47,389 --> 01:45:52,394 何か ご用でございますか? (久栄)何やら 花のような匂いが。 979 01:45:52,394 --> 01:45:57,399 ああ それは 私が…。 (久栄)髪油でございますね。 980 01:45:57,399 --> 01:46:01,403 めかしこんで どちらへ お出掛けですか? 981 01:46:01,403 --> 01:46:05,407 はっ ちょっと…。 ちょうど よかった。 982 01:46:05,407 --> 01:46:07,409 俺と一緒に行って うなぎでも 食おう。 983 01:46:07,409 --> 01:46:11,413 ああ せっかくですが 私 ちょっと 大事な用が…。 984 01:46:11,413 --> 01:46:14,413 待て。 あっ おう…。 985 01:46:19,421 --> 01:46:23,425 (久栄)何でございますか? (忠吾)あっ! 986 01:46:23,425 --> 01:46:28,425 まあ! 何が大事な用ですか。 987 01:46:30,432 --> 01:46:34,436 だが お前 吉原で遊ぶ金があるのか? おい。 988 01:46:34,436 --> 01:46:38,440 せんだって 賭場で もうけた金が…。 989 01:46:38,440 --> 01:46:44,446 ああ そうか そうか。 あんとき 幾ら もうけた? 990 01:46:44,446 --> 01:46:46,448 10両ばかし…。 正直に言え。 991 01:46:46,448 --> 01:46:48,450 きっかり 30両。 992 01:46:48,450 --> 01:46:53,455 それだけの金子があれば 刀でも買い求めるのが➡ 993 01:46:53,455 --> 01:46:55,457 武士のたしなみでは ございませぬか。 994 01:46:55,457 --> 01:46:57,459 いや もう まあまあ…。 995 01:46:57,459 --> 01:47:02,464 おい。 近江屋の羽衣煎餅を 忘れずに買って 帰るんだぞ。 996 01:47:02,464 --> 01:47:05,464 それは もう…。 ハハッ。 では。 997 01:47:08,470 --> 01:47:11,473 ハハハッ。 998 01:47:11,473 --> 01:47:21,473 ♬~