1 00:00:34,045 --> 00:00:37,382 永禄8年10月。 2 00:00:37,382 --> 00:00:39,317 甲斐の武田信玄は➡ 3 00:00:39,317 --> 00:00:44,722 嫡男 義信を 謀反の廉で幽閉する。 4 00:00:44,722 --> 00:00:47,625 今川には激震が走った。 5 00:00:47,625 --> 00:00:52,063 氏真の妹は 義信に嫁いでおったのじゃ。 6 00:00:52,063 --> 00:00:55,933 これにより 武田と今川の同盟に➡ 7 00:00:55,933 --> 00:01:00,738 深い亀裂が生じる事となった。 8 00:01:00,738 --> 00:01:05,076 一方 直虎は 小野但馬の裏切りが➡ 9 00:01:05,076 --> 00:01:11,749 全て 井伊を守るための策であると 気付いたのじゃった。 10 00:01:11,749 --> 00:01:14,419 (直虎)我をうまく使え。 11 00:01:14,419 --> 00:01:18,419 我も そなたを うまく使う。 12 00:01:23,428 --> 00:01:25,763 (六左衛門)この綿を布に? (甚兵衛)へえ。➡ 13 00:01:25,763 --> 00:01:29,634 その方が 高く売れるんじゃねえか って話が 持ち上がりまして。 14 00:01:29,634 --> 00:01:32,036 やり方は 分かるのか? (甚兵衛)へえ。 15 00:01:32,036 --> 00:01:33,971 三河より来た この又吉が➡ 16 00:01:33,971 --> 00:01:36,374 一とおりの事は 分かっておるようで。 17 00:01:36,374 --> 00:01:41,245 しかし 皆 仕事が増えるであろう。 そこは よいのか。 18 00:01:41,245 --> 00:01:46,050 それで 暮らしが よくなりゃあと 女房どもも張り切っておりますで。 19 00:01:46,050 --> 00:01:49,721 うむ。 では 頼む。 20 00:01:49,721 --> 00:01:52,623 んでは 早速 取りかかるよう あんばいしますんで。 21 00:01:52,623 --> 00:01:57,323 よかったなあ。 お任せ下せえ。 22 00:02:00,364 --> 00:02:02,734 (六左衛門) 綿は うまく回っておりますな。 23 00:02:02,734 --> 00:02:09,607 のう。 又吉が流れてきたのは 実に ありがたい事であった。 24 00:02:09,607 --> 00:02:14,078 しかし 方久殿は また 駿府でございますか。 25 00:02:14,078 --> 00:02:19,751 まあ 種子島の事で 忙しいのであろうの。 26 00:02:19,751 --> 00:02:23,621 (直之)但馬と陰で 手を組んではおりませぬかの。 27 00:02:23,621 --> 00:02:27,625 但馬と手を組む? 乗っ取りを手伝えば➡ 28 00:02:27,625 --> 00:02:32,325 新たに村をやるなどと 言われておったりせんですかな。 29 00:02:34,699 --> 00:02:39,036 油断はできぬが 但馬も せんだって暴れたばかり。 30 00:02:39,036 --> 00:02:42,736 当分は 鳴りを潜めておるのではないか? 31 00:02:48,045 --> 00:02:52,917 (弥吉) 申し上げます。 近藤康用様が 至急の用で お越しでございます。 32 00:02:52,917 --> 00:02:55,617 近藤殿が? 33 00:03:12,737 --> 00:03:19,076 (近藤)にわかに参りました無礼 何とぞ ご容赦頂きたく。 34 00:03:19,076 --> 00:03:21,746 どうか お気になさらず。 35 00:03:21,746 --> 00:03:25,746 あの 本日は いかなるご用件で。 36 00:03:27,418 --> 00:03:33,691 実は 井伊の者が 我が領内に勝手に入り➡ 37 00:03:33,691 --> 00:03:38,029 木を盗んだとの訴えが ござりました。➡ 38 00:03:38,029 --> 00:03:44,702 つきましては 盗人をお引き渡し頂きたく存ずる。 39 00:03:44,702 --> 00:03:46,637 盗人を。 40 00:03:46,637 --> 00:06:24,637 ♬~ 41 00:06:27,064 --> 00:06:29,000 盗人を。 42 00:06:29,000 --> 00:06:33,337 盗みがあったのは 井伊との境の山でしてな。 43 00:06:33,337 --> 00:06:36,674 ここのところ 井伊には どこの馬の骨とも知れぬ輩が➡ 44 00:06:36,674 --> 00:06:39,343 随分と入ってきているそうですし。 45 00:06:39,343 --> 00:06:42,680 まず その者たちが 盗みを働いたと見て➡ 46 00:06:42,680 --> 00:06:45,680 間違いござらぬかと。 47 00:06:47,351 --> 00:06:50,688 やって来た者たちが おかしな事にならぬよう➡ 48 00:06:50,688 --> 00:06:53,024 村長に面倒を見させておる。 49 00:06:53,024 --> 00:06:57,361 しかし ご家中に 人が足りておらぬようじゃし➡ 50 00:06:57,361 --> 00:06:59,697 とても治めきれているとは。 51 00:06:59,697 --> 00:07:03,034 皆 井伊に なじみ よく働いてくれておる。 52 00:07:03,034 --> 00:07:05,703 盗みなど働く輩はおらぬ。 53 00:07:05,703 --> 00:07:09,373 さように お信じになりたいのは 分かります。 …が 所詮➡ 54 00:07:09,373 --> 00:07:12,276 元の土地に おられぬようになった 者たちばかりでござろう。 55 00:07:12,276 --> 00:07:15,713 それがゆえ こたびこそは まともにやっていこうとしておる。 56 00:07:15,713 --> 00:07:18,382 「二度ある事は三度ある」と 申し上げて…。 57 00:07:18,382 --> 00:07:22,720 やったのは 近藤の者ではないのか! 58 00:07:22,720 --> 00:07:26,390 井伊との境の木を切れば 当然 井伊の者がやったと思う。 59 00:07:26,390 --> 00:07:30,728 そう考えた近藤の者が そう見せかけたのではないか! 60 00:07:30,728 --> 00:07:33,998 なんという 言いがかりを。 61 00:07:33,998 --> 00:07:36,667 先に言いがかりをつけたのは そちらであろう! 62 00:07:36,667 --> 00:07:41,539 では 共に 山狩りをしては いかがでしょうか。 63 00:07:41,539 --> 00:07:46,010 ここで 言い争っておっても らちが明きませぬゆえ。 64 00:07:46,010 --> 00:07:52,683 確かに。 捕らえれば 一目瞭然に分かる事にござるな。 65 00:07:52,683 --> 00:07:56,353 では それで よろしうございますか? 66 00:07:56,353 --> 00:07:59,256 こちらは構いませぬ。 67 00:07:59,256 --> 00:08:03,694 井伊には 得策でないように 思われますがの。 68 00:08:03,694 --> 00:08:17,041 ♬~ 69 00:08:17,041 --> 00:08:19,710 これは。 70 00:08:19,710 --> 00:08:24,048 (直之) 確かに ひどうございますな。 71 00:08:24,048 --> 00:08:27,384 (近藤)ここまでが井伊。➡ 72 00:08:27,384 --> 00:08:31,255 こちらから向こうが 我ら近藤の 所領となってございますが➡ 73 00:08:31,255 --> 00:08:35,955 見事に 我らの側だけ やられてございますでしょう。 74 00:08:41,665 --> 00:08:44,335 ≪(家人)直虎様! どうした? 75 00:08:44,335 --> 00:08:48,335 もう少し向こうを 見てまいりましたが。 76 00:08:54,011 --> 00:08:56,711 ああっ! 77 00:09:01,352 --> 00:09:07,224 見ろ! 井伊も 同じ目に遭っておるではないか。 78 00:09:07,224 --> 00:09:09,693 慌てて 細工したのではございませぬか。 79 00:09:09,693 --> 00:09:11,629 昨夜 急いで 木を。 80 00:09:11,629 --> 00:09:14,365 昨日の今日で かような事が できるわけあるまい! 81 00:09:14,365 --> 00:09:16,300 いいや。 分かりませぬ。 82 00:09:16,300 --> 00:09:20,037 何せ さまざまな者が 入り込んでおるようですからな。 83 00:09:20,037 --> 00:09:24,909 一晩で木を切り倒すなど み仏の念力をもっても できぬわ! 84 00:09:24,909 --> 00:09:27,378 盗人を捕らえましょう! 85 00:09:27,378 --> 00:09:31,048 捕らえれば それで済む話です。 86 00:09:31,048 --> 00:09:35,048 捕らえましょう! ねっ。 87 00:09:37,321 --> 00:09:39,990 (直虎 近藤)さがせ! はっ。 88 00:09:39,990 --> 00:09:51,602 ♬~ 89 00:09:51,602 --> 00:09:55,005 (南渓)おお どうした。 90 00:09:55,005 --> 00:09:59,877 何やら 今朝は 打ちそろって 出かけておったようじゃが。 91 00:09:59,877 --> 00:10:05,349 近藤殿との境で もめ事がございまして。 92 00:10:05,349 --> 00:10:09,019 それより 和尚様。 常慶は つかまりましたか。 93 00:10:09,019 --> 00:10:11,689 三河の動きが気になり…。 94 00:10:11,689 --> 00:10:15,559 立ち寄りそうな所に 言づては したのじゃがの。 95 00:10:15,559 --> 00:10:19,029 あいつは あちらこちらを回っておるゆえ➡ 96 00:10:19,029 --> 00:10:22,366 おいそれとは つかまらんのじゃ。 97 00:10:22,366 --> 00:10:26,704 あちらから来るのを 待つしかないという事ですか。 98 00:10:26,704 --> 00:10:32,376 もどかしいがのう。 政次からは何かあったか? 99 00:10:32,376 --> 00:10:35,045 今 まさに 駿府にございます。 100 00:10:35,045 --> 00:10:37,715 今川と武田が いかなる事になりそうか➡ 101 00:10:37,715 --> 00:10:41,015 様子をうかがってくると 言うておりました。 102 00:10:45,589 --> 00:10:48,589 (関口)いつ出来るのじゃ。 103 00:10:50,294 --> 00:10:55,266 (関口)じゃから 種子島は いつ出来るのか➡ 104 00:10:55,266 --> 00:10:57,401 はっきり申せと言うておるのじゃ。 105 00:10:57,401 --> 00:11:01,071 (方久)ですから 先ほどから 申し上げておりますように➡ 106 00:11:01,071 --> 00:11:06,410 尻の穴の溝の細工が… ね。 107 00:11:06,410 --> 00:11:11,282 (氏真)ああっ! 尻の穴の件は聞き飽きた! 108 00:11:11,282 --> 00:11:15,582 (方久)私も できますれば ほかの話を致したいのですが。 109 00:11:22,760 --> 00:11:27,760 (政次)急ぎ進めさせますので お許し下さいませ。 110 00:11:35,706 --> 00:11:39,376 ご機嫌が お悪くございましたなあ。 111 00:11:39,376 --> 00:11:44,076 武田との話し合いは 進んでおらぬのですかな。 112 00:11:46,250 --> 00:11:49,053 そなたの耳にも 届いておったのか。 113 00:11:49,053 --> 00:11:52,723 こちらに出入りしておりますれば それなりに。 114 00:11:52,723 --> 00:11:57,061 しかし 一向に 私どもの商いは広げられず➡ 115 00:11:57,061 --> 00:12:00,731 種子島 種子島と せっつかれるばかりで。 116 00:12:00,731 --> 00:12:06,403 駿府の商いは 友野や松木が 仕切っておるからの。 117 00:12:06,403 --> 00:12:20,417 ♬~ 118 00:12:20,417 --> 00:12:23,417 お元気になられたのか。 119 00:12:27,091 --> 00:12:29,391 ≪(一同)おお~。 120 00:12:46,577 --> 00:12:49,346 (一同)おお~。 121 00:12:49,346 --> 00:12:53,250 これはこれは。 122 00:12:53,250 --> 00:12:57,721 (昊天)はい。 勝ちはせぬが 負けはせぬ。➡ 123 00:12:57,721 --> 00:13:00,057 面白い打ち方をされております。 124 00:13:00,057 --> 00:13:04,928 勝ちはせぬが 負けはせぬか。 125 00:13:04,928 --> 00:13:07,731 (虎松)はい! 126 00:13:07,731 --> 00:13:11,602 [ 回想 ] (政次)私なら 戦わぬ道を探ります。 127 00:13:11,602 --> 00:13:13,604 戦に戦わずして勝つ。 128 00:13:13,604 --> 00:13:18,604 もしくは 戦いに及ばずとも 済むよう 死力を尽くす。 129 00:13:20,310 --> 00:13:24,748 さまざまな戦い方があるものじゃ。 130 00:13:24,748 --> 00:13:26,683 和尚様にございますか? 131 00:13:26,683 --> 00:13:30,087 いえ 傑山さんに 供を願いたいのですが。 132 00:13:30,087 --> 00:13:32,356 あっ 山狩りにございますか。 133 00:13:32,356 --> 00:13:35,259 もう3日 音沙汰もないし➡ 134 00:13:35,259 --> 00:13:38,959 一度 様子を見に行ってまいろうか と思いまして。 135 00:13:43,000 --> 00:13:45,700 之の字。 136 00:13:48,705 --> 00:13:51,405 之の字! 137 00:13:54,044 --> 00:13:57,714 影も形もない。 138 00:13:57,714 --> 00:14:00,384 見張っている事に気付いて➡ 139 00:14:00,384 --> 00:14:04,254 もう近づかぬように したのかもしれませぬ。 140 00:14:04,254 --> 00:14:08,058 では これで山狩りは終わりか? 141 00:14:08,058 --> 00:14:13,931 それが 近藤殿は 捕まえるまで 意地でも諦めぬと。 142 00:14:13,931 --> 00:14:19,231 はあ? 相当しつこい 御仁のようでございます。 143 00:14:21,605 --> 00:14:26,076 ≪待て~! いたぞ~! ≪(笛の音) 144 00:14:26,076 --> 00:14:29,413 あれは…! 傑山殿! 参るぞ! 145 00:14:29,413 --> 00:14:33,413 殿が飛び出さぬよう 頼むぞ。 はっ。 146 00:14:38,222 --> 00:14:42,359 ≪アタタタ…! イテテテテ…! 147 00:14:42,359 --> 00:14:47,030 何じゃ こいつらは! 148 00:14:47,030 --> 00:14:49,030 何をする! 149 00:14:50,701 --> 00:14:56,373 井伊の方! こちらに加勢を! 150 00:14:56,373 --> 00:15:02,073 (笛の音) よし 行くぞ。 151 00:15:04,047 --> 00:15:06,047 ああっ イテッ! 152 00:15:08,385 --> 00:15:13,385 賊め! 覚悟しろ! 153 00:15:23,734 --> 00:15:26,069 大事ないか。 154 00:15:26,069 --> 00:15:28,069 (直之)吹き矢。 155 00:15:32,342 --> 00:15:34,342 そこか。 156 00:15:39,216 --> 00:15:42,352 ≪おお 危ねえ! おおっ わあ~! 157 00:15:42,352 --> 00:15:45,689 ≪(人が落ちる音) 行くぞ! はっ! 158 00:15:45,689 --> 00:15:50,561 イテッ… あっ… あっ…。 159 00:15:50,561 --> 00:15:53,030 動くでない! アイタタタタ…! 160 00:15:53,030 --> 00:15:56,330 捕らえたか! (直之)ええ なんとか1人。 161 00:15:58,902 --> 00:16:01,371 おぬし! 162 00:16:01,371 --> 00:16:06,710 おっ…! あん時の尼小僧様ではないか! 163 00:16:06,710 --> 00:16:09,379 まさか 殿のお知り合いにございますか!? 164 00:16:09,379 --> 00:16:11,715 あ… まあ。 165 00:16:11,715 --> 00:16:13,650 殿? 166 00:16:13,650 --> 00:16:16,386 (近藤)では その者は➡ 167 00:16:16,386 --> 00:16:20,057 その者は 井伊の者という事に ございますか。 168 00:16:20,057 --> 00:16:22,726 あ… いや。 169 00:16:22,726 --> 00:16:27,598 (近藤)しかし この者は 直虎様を 存じておるようでしたが。 170 00:16:27,598 --> 00:16:33,003 おいらは 旅から旅の流れ者に ございまして➡ 171 00:16:33,003 --> 00:16:36,673 ふとした折に 水をお恵み 頂きましただけでございますよ。 172 00:16:36,673 --> 00:16:38,609 (近藤)なにが流れ者じゃ!➡ 173 00:16:38,609 --> 00:16:40,544 どう見ても 徒党を組んでおったではないか! 174 00:16:40,544 --> 00:16:43,347 徒党? (近藤)いたであろう! 仲間が! 175 00:16:43,347 --> 00:16:45,682 何やら 痛めつけられておった ものがいたゆえ。 176 00:16:45,682 --> 00:16:48,352 哀れになり つい助けてしまっただけで。 177 00:16:48,352 --> 00:16:51,254 ふざけおって! この下郎が! 178 00:16:51,254 --> 00:16:54,224 待たれよ! 179 00:16:54,224 --> 00:16:58,996 この男を捕らえたは ここにおる中野じゃ! 180 00:16:58,996 --> 00:17:00,931 捕らえたのは こちら! 181 00:17:00,931 --> 00:17:07,231 ならば この男の処分は 井伊にて致したく! 182 00:17:16,380 --> 00:17:20,050 厳しう お願いしますぞ。 183 00:17:20,050 --> 00:17:22,719 承知しております。 184 00:17:22,719 --> 00:18:08,699 ♬~ 185 00:18:08,699 --> 00:18:12,399 弓をおやりになるんで…。 186 00:18:15,572 --> 00:18:19,342 (直之)あの男とは どういう関わりなのですか。 187 00:18:19,342 --> 00:18:22,045 聞いておったろう。 水を恵んだだけじゃ。 188 00:18:22,045 --> 00:18:26,745 それにしては 随分 親しげに見えましたが。 189 00:18:29,386 --> 00:18:33,256 二度ほど 知恵を貸してもろうた事がある。 190 00:18:33,256 --> 00:18:37,661 知恵を? 綿の人手を集めておる時と➡ 191 00:18:37,661 --> 00:18:41,531 虎松が 寺に来ぬようになった時に。 192 00:18:41,531 --> 00:18:47,003 虎松の負けん気が芽生えたのは あの男の忠告のおかげじゃ。 193 00:18:47,003 --> 00:18:51,875 はあ それは井伊としては ありがたい。 194 00:18:51,875 --> 00:18:54,678 (ため息) 195 00:18:54,678 --> 00:18:58,348 まあ とりあえず収まって よかったではないか。 196 00:18:58,348 --> 00:19:01,017 井伊の者では なかったわけであるし。 197 00:19:01,017 --> 00:19:06,356 こちらで あの男を打ち首にせねば ならなくなりましたがな。 198 00:19:06,356 --> 00:19:08,692 う… 打ち首! 199 00:19:08,692 --> 00:19:14,564 盗人は死罪 これが 当節の習いにござる。 200 00:19:14,564 --> 00:19:19,703 なにも… なにも殺さずとも よいのではないか? 201 00:19:19,703 --> 00:19:24,040 井伊の領主は 賊を打ち首にもできぬ弱腰と➡ 202 00:19:24,040 --> 00:19:28,378 笑われまするぞ。 木を盗んだだけであろう。 203 00:19:28,378 --> 00:19:31,281 ええ 井伊のご先祖様が戦い➡ 204 00:19:31,281 --> 00:19:34,184 血を流し 命を懸け 守り通した➡ 205 00:19:34,184 --> 00:19:37,654 大事な山の木が 盗まれたのでございますぞ。 206 00:19:37,654 --> 00:19:42,325 それも 1本2本ではないのですぞ! 207 00:19:42,325 --> 00:19:45,228 それはそうじゃが…。 208 00:19:45,228 --> 00:19:49,199 あ… とりあえず 但馬殿のお帰りをお待ちしては。 209 00:19:49,199 --> 00:19:51,334 そう… そうじゃな! 210 00:19:51,334 --> 00:19:57,334 たとえ 但馬でも 同じ事を申すと思いますがな。 211 00:20:15,025 --> 00:20:17,694 [ 回想 ] 人など 買やいいじゃねえですか。 212 00:20:17,694 --> 00:20:19,629 たまに売っておったりしますよ。 213 00:20:19,629 --> 00:20:23,033 何かで一度 勝たせてやったら よいのではないですかね。 214 00:20:23,033 --> 00:20:27,333 そうすりゃ 勝つ事の楽しさも覚えるし。 215 00:20:35,612 --> 00:20:39,612 賊であったとは…。 216 00:20:49,059 --> 00:20:50,994 [ 回想 ] 恩に着るぞ! 旅の者! 217 00:20:50,994 --> 00:20:52,929 またもや恩に着るぞ! 旅の者! 218 00:20:52,929 --> 00:20:56,229 お宝 見つかるとよいの! 219 00:21:04,074 --> 00:21:08,074 ご領主様だったとは…。 220 00:21:18,622 --> 00:21:21,424 捕らえてみれば 盗人は➡ 221 00:21:21,424 --> 00:21:25,424 どちらの者でもなかった というわけでございますか。 222 00:21:27,097 --> 00:21:30,967 捕らえたのは こちらゆえ こちらで預かっておるが➡ 223 00:21:30,967 --> 00:21:34,704 家老は いかがするがよいと思うか。 224 00:21:34,704 --> 00:21:38,575 徒党を組んで木を盗むとは 出来心では できぬ事。 225 00:21:38,575 --> 00:21:42,379 ほかにも 盗みを働く悪党に ございましょう。 226 00:21:42,379 --> 00:21:46,716 打ち首になさるが ふさわしいかと。 227 00:21:46,716 --> 00:21:51,588 打ち首か? はい。 それが常道かと。 228 00:21:51,588 --> 00:21:57,888 今 打ち首と言うたな。 はい。 229 00:22:00,263 --> 00:22:06,736 では… 打ち首にはせぬ! 230 00:22:06,736 --> 00:22:09,736 そういう事で しまいじゃ。 231 00:22:11,608 --> 00:22:13,610 (直之)お待ち下され! 直虎様! 232 00:22:13,610 --> 00:22:18,748 但馬が せよという事をすれば 罠にかかる事になると思わぬか? 233 00:22:18,748 --> 00:22:21,084 (直之) それは そうかもしれませぬが。 234 00:22:21,084 --> 00:22:24,754 よって 打ち首にはできぬという事じゃ。 235 00:22:24,754 --> 00:22:27,657 打ち首にせず どうなさるおつもりですか? 236 00:22:27,657 --> 00:22:30,427 百たたきにでもして 放り出せばよかろう! 237 00:22:30,427 --> 00:22:36,032 盗人も ばかではあるまい。 井伊には 二度と踏み込むまい! 238 00:22:36,032 --> 00:22:47,043 ♬~ 239 00:22:47,043 --> 00:22:49,379 何故 殿は あのような おかしな事を➡ 240 00:22:49,379 --> 00:22:51,679 言いだされておられる。 241 00:23:01,725 --> 00:23:07,063 井伊で盗みを働いたとあれば 駿府でも盗んでおるかもしれぬ。 242 00:23:07,063 --> 00:23:16,740 さすれば 井伊は 太守様の咎人を 見逃したという事にもなる。 243 00:23:16,740 --> 00:23:23,613 どうも お知り合いのようなのです。 244 00:23:23,613 --> 00:23:28,351 知り合い? 賊とか? 245 00:23:28,351 --> 00:23:34,051 はい。 恩がありますようで。 246 00:23:43,700 --> 00:23:46,603 近藤殿には どうお伝えするおつもりですか。 247 00:23:46,603 --> 00:23:49,039 打ち首にしたと言うておけばよい。 下がれ。 248 00:23:49,039 --> 00:23:51,708 確かめたいと申されたら どうなさるおつもりですか。 249 00:23:51,708 --> 00:23:55,378 焼いてしまったとでも 何とでも 言うておけばよい。 下がれ。 250 00:23:55,378 --> 00:23:58,715 逃がした賊と近藤殿が 鉢合わせせぬとは限りますまい。 251 00:23:58,715 --> 00:24:01,051 女子の部屋じゃぞ! 下がれ! 252 00:24:01,051 --> 00:24:05,751 次は どのような言いがかりを つけられるか分かりませんぞ! 253 00:24:08,725 --> 00:24:11,628 ≪(小坊主)直虎様。 254 00:24:11,628 --> 00:24:15,928 和尚様が 急ぎ お話があると。 255 00:24:20,070 --> 00:24:23,370 和尚様。 お話とは。 256 00:24:30,080 --> 00:24:32,682 ではの。 257 00:24:32,682 --> 00:24:36,019 お話とは…。 258 00:24:36,019 --> 00:24:40,719 お話をせねばならぬ事が いろいろとございます。 259 00:24:42,358 --> 00:24:45,058 そうか。 260 00:24:52,035 --> 00:24:54,938 あっ 今川は どのような様子であった。 261 00:24:54,938 --> 00:25:01,044 あの男を見逃せば 井伊は盗人を打ち首にせぬ所と➡ 262 00:25:01,044 --> 00:25:03,947 噂が立ちましょう。 263 00:25:03,947 --> 00:25:06,716 さすれば 次から次へと 賊が入ってきましょう。 264 00:25:06,716 --> 00:25:08,651 そのうち 民は襲われ➡ 265 00:25:08,651 --> 00:25:11,054 さらわれる者も 出るやもしれませぬ。 266 00:25:11,054 --> 00:25:13,957 ゆえに 民を守るものは➡ 267 00:25:13,957 --> 00:25:17,393 悪人に対して 処罰をせねば ならぬのでございます。 268 00:25:17,393 --> 00:25:21,264 お分かりにございますか。 269 00:25:21,264 --> 00:25:25,735 じゃが… あの男には恩があるのじゃ。 270 00:25:25,735 --> 00:25:30,406 知らぬものなら打ち首 知っておるものならば見逃すと➡ 271 00:25:30,406 --> 00:25:33,009 そう仰せか。 272 00:25:33,009 --> 00:25:34,944 見逃すわけではない。 273 00:25:34,944 --> 00:25:40,244 しかし なにも殺す事はないではないか。 274 00:25:43,653 --> 00:25:48,024 そうじゃ。 働かせてはどうじゃ。 275 00:25:48,024 --> 00:25:50,927 大体 人が足りず 集めておるのに➡ 276 00:25:50,927 --> 00:25:53,696 せっかく転がり込んできた者を 殺すというのは➡ 277 00:25:53,696 --> 00:25:56,366 おかしな話ではないか。 278 00:25:56,366 --> 00:25:59,035 ただ働きさせるのが 井伊にとっては➡ 279 00:25:59,035 --> 00:26:02,735 最もよかろう。 違うか? 280 00:26:06,376 --> 00:26:09,279 分かりました。 281 00:26:09,279 --> 00:26:14,717 改めて 労役の内容などを 吟味致しましょう。 282 00:26:14,717 --> 00:26:17,620 まことか? まこと 分かってくれたのか? 283 00:26:17,620 --> 00:26:22,592 正直に申せば 労役を科す事が 最上とは思えませぬが➡ 284 00:26:22,592 --> 00:26:25,361 やるという殿に やるなと申し上げるのは➡ 285 00:26:25,361 --> 00:26:28,264 無駄にございますゆえ。 286 00:26:28,264 --> 00:26:33,264 分かってくれて ありがたい! 鶴! 恩に着る。 287 00:26:35,004 --> 00:26:37,004 いえ…。 288 00:26:41,678 --> 00:26:46,349 それで 今川の方は いかがであったのじゃ。 289 00:26:46,349 --> 00:26:51,688 一つ 喜ばしい事は 大方様が ご回復なされた事にございます。 290 00:26:51,688 --> 00:26:53,623 持ち直されたか! 291 00:26:53,623 --> 00:26:59,562 武田の義信殿の幽閉を解くべく 信玄公に働きかけておられます。 292 00:26:59,562 --> 00:27:03,299 うまくいきそうなのか? 分かりませぬ。 293 00:27:03,299 --> 00:27:07,237 ですが うまくいかなければ➡ 294 00:27:07,237 --> 00:27:13,937 今川は 松平と和睦を結ぶ事に なるかもしれませぬ。 295 00:27:16,379 --> 00:27:22,079 武田に備えるには それが 最も手早くございましょうから。 296 00:27:23,720 --> 00:27:30,393 そうなれば 我らは 武田と戦えと 言われる事になるのか? 297 00:27:30,393 --> 00:27:34,998 そうなれば 恐らくは。 298 00:27:34,998 --> 00:27:46,009 ♬~ 299 00:27:46,009 --> 00:27:49,345 (南渓)何をしておるのじゃ。 300 00:27:49,345 --> 00:27:52,015 これが今川にございます。 301 00:27:52,015 --> 00:27:54,350 そして こちらが武田。 302 00:27:54,350 --> 00:27:57,253 これが手切れとなり➡ 303 00:27:57,253 --> 00:27:59,222 武田と立ち向かうために➡ 304 00:27:59,222 --> 00:28:04,694 今川が次は 松平と結ぶ。 305 00:28:04,694 --> 00:28:07,597 ありうる話じゃの。 306 00:28:07,597 --> 00:28:12,368 武田は さような動きになるとは 考えなかったのでしょうか? 307 00:28:12,368 --> 00:28:16,706 いや そもそも 武田は 上杉と戦うために➡ 308 00:28:16,706 --> 00:28:21,377 今川と結んでおったわけで これは まだ戦っておるわけです。 309 00:28:21,377 --> 00:28:25,248 となると 今川を切るというのは➡ 310 00:28:25,248 --> 00:28:28,718 南北に敵を抱える事になるわけで。 311 00:28:28,718 --> 00:28:34,524 そこは ほれ 武田は 北条とも 結んでおるわけだから。 312 00:28:34,524 --> 00:28:41,297 えと。 しかし 北条は 今川とも結んでおりますよね。 313 00:28:41,297 --> 00:28:45,997 そうなると… どうなるのじゃ。 314 00:28:51,341 --> 00:28:54,243 何故 尼小僧様は➡ 315 00:28:54,243 --> 00:28:57,943 ご領主なぞ やっておられるんですか? 316 00:29:00,683 --> 00:29:06,983 いいじゃねえですか。 それくらい。 冥土の土産に教えて下せえよ。 317 00:29:09,025 --> 00:29:11,928 桶狭間や その後の戦いで➡ 318 00:29:11,928 --> 00:29:16,899 井伊には 直系の男子が幼子しか おらぬようになってしまってな。 319 00:29:16,899 --> 00:29:23,373 あ… 戦で旦那を亡くして 出家した後家さんが➡ 320 00:29:23,373 --> 00:29:28,244 息子の後ろ盾にって事ですか? 321 00:29:28,244 --> 00:29:32,982 直虎様は 先々代のご領主の一人娘でな。 322 00:29:32,982 --> 00:29:37,653 出家したのは 十の時じゃ。 十で出家!? 323 00:29:37,653 --> 00:29:42,325 いいなずけが 父親の謀反の廉で追われてな。 324 00:29:42,325 --> 00:29:46,996 ほかには誰とも一緒にならぬと 出家をされ➡ 325 00:29:46,996 --> 00:29:51,868 今は そのいいなずけの息子に 井伊を 無事 引き継ぐべく➡ 326 00:29:51,868 --> 00:29:54,670 走り回っておられるという事じゃ。 327 00:29:54,670 --> 00:29:58,007 そいつは てめえの息子じゃ ねえんだろ? 328 00:29:58,007 --> 00:30:02,345 そうじゃな。 329 00:30:02,345 --> 00:30:06,215 直虎様は生まれてこの方➡ 330 00:30:06,215 --> 00:30:12,021 お家のためにしか 生きておらぬかもしれぬの。 331 00:30:12,021 --> 00:30:17,693 家なんざ そこまでして 守るもんなんですかね。 332 00:30:17,693 --> 00:30:24,367 (傑山)のう。 幸せなのかのう。 333 00:30:24,367 --> 00:30:26,702 お坊様にも分かんねえので。 334 00:30:26,702 --> 00:30:32,041 (傑山) しかし あれは竜宮小僧ゆえ。 335 00:30:32,041 --> 00:30:36,379 恐らく そのようにしか 生きられぬのじゃ。 336 00:30:36,379 --> 00:30:39,379 竜宮小僧…? 337 00:30:41,717 --> 00:30:44,053 おぬし 落ち着いておるの。➡ 338 00:30:44,053 --> 00:30:47,924 明日には 打ち首になるかもしれぬのに。 339 00:30:47,924 --> 00:30:54,224 かような事をしておれば 覚悟はしておりますんでね。 340 00:30:56,399 --> 00:31:01,099 (六左衛門) 傑山殿 ご苦労でござった。 代わりましょう。 341 00:31:08,010 --> 00:31:12,010 (直久)あ~っ! あ~っ! 342 00:31:13,749 --> 00:31:16,049 (直久)あ~っ! 343 00:31:19,088 --> 00:31:26,762 筋が悪いのう。 俺の弟とは思えぬな。 344 00:31:26,762 --> 00:31:31,762 いちいち気落ち致すな! 戯れじゃ! 345 00:31:34,370 --> 00:31:37,370 あの。 ん? 346 00:31:39,242 --> 00:31:43,045 それがしに御用とは? 347 00:31:43,045 --> 00:31:49,719 (政次)盗賊が捕らえられた時 近藤殿は いかがな ご様子で。 348 00:31:49,719 --> 00:31:54,590 それはもう その場で 成敗せんばかりでござったが。➡ 349 00:31:54,590 --> 00:31:57,593 それが何か。 350 00:31:57,593 --> 00:32:05,067 いや では やはり 盗賊は 近藤殿に引き渡そうかと。 351 00:32:05,067 --> 00:32:08,938 そんな! 殿が引き受けてきたものを今更。 352 00:32:08,938 --> 00:32:12,942 井伊で処罰すれば 仲間どもの恨みを買うかもしれぬ。 353 00:32:12,942 --> 00:32:18,414 それも考えれば 面倒な事であるしの。➡ 354 00:32:18,414 --> 00:32:21,317 このまま 殿に任せておけば➡ 355 00:32:21,317 --> 00:32:24,086 近藤殿が どなり込んでくるのは 必定。 356 00:32:24,086 --> 00:32:28,424 事が大きくなるに決まっておる。 357 00:32:28,424 --> 00:32:32,028 (ため息) 358 00:32:32,028 --> 00:32:38,028 では 近藤殿には 私の方から申し上げておく。 359 00:32:43,639 --> 00:32:47,043 (祐椿尼) 盗人にさせる仕事ですか…。 360 00:32:47,043 --> 00:32:51,380 (たけ)荒れ地を耕させるのが 一番ではございませぬか? 361 00:32:51,380 --> 00:32:55,251 ほかにはないか。 やってもらいたい仕事は…。 362 00:32:55,251 --> 00:32:58,254 あ! 間者! (たけ)間者? 363 00:32:58,254 --> 00:33:01,724 盗人ならば 忍び込むのは得意ではないか。 364 00:33:01,724 --> 00:33:05,394 そのまま逃げ出してしまうのでは ないですか。 365 00:33:05,394 --> 00:33:07,694 そうか…。 366 00:33:10,266 --> 00:33:14,070 おや 手習いは どうした。 367 00:33:14,070 --> 00:33:17,940 急に 殿の政の手習いが 始まりまして。 368 00:33:17,940 --> 00:33:20,743 政の手習い? 369 00:33:20,743 --> 00:33:24,614 (亥之助)木を盗んだ者に与える 罰でございますか。 370 00:33:24,614 --> 00:33:29,085 そう。 罰として 井伊のために 働いてもらおうと思うての。 371 00:33:29,085 --> 00:33:31,988 さて 皆なら どんな罰を与えるかの。 372 00:33:31,988 --> 00:33:34,890 (亥之助)それがしの代わりに 習字をやらせます! 373 00:33:34,890 --> 00:33:40,890 それは 己のためではないか。 いや 己のためですらないぞ。 374 00:33:45,034 --> 00:33:49,905 それがしの馬を買わせます! 375 00:33:49,905 --> 00:33:52,905 虎松は 何かないか。 376 00:33:54,710 --> 00:33:57,613 木を植えさせるのは どうでしょう。 377 00:33:57,613 --> 00:34:02,051 植えさせる? その者が木を切ったのであれば➡ 378 00:34:02,051 --> 00:34:04,387 そこに 木を植えさせては。 379 00:34:04,387 --> 00:34:07,056 それはよい! それも 是非 やらせよう。 380 00:34:07,056 --> 00:34:11,394 ほかにはないか? 直久は どうじゃ。 381 00:34:11,394 --> 00:34:14,730 これは 先日 捕らえたという 盗人の罰を➡ 382 00:34:14,730 --> 00:34:19,068 考えておいでなのですよね。 うむ。 383 00:34:19,068 --> 00:34:24,368 あの 聞き間違いかもしれぬのですが。 384 00:34:28,411 --> 00:34:32,281 我に黙って 引き渡そうとしたとは どういう事じゃ! 385 00:34:32,281 --> 00:34:35,217 殿が どうしても罰するのが お嫌じゃというなら➡ 386 00:34:35,217 --> 00:34:37,219 致し方ござらぬであろう! 387 00:34:37,219 --> 00:34:41,357 但馬の甘言に乗りおって。 388 00:34:41,357 --> 00:34:43,292 そなたの主は誰じゃ! 389 00:34:43,292 --> 00:34:48,030 こたびばかりは 但馬が正しうござる! 390 00:34:48,030 --> 00:34:52,702 武家たるもの 罪人は きちんと裁かねばなりませぬ! 391 00:34:52,702 --> 00:34:58,574 たわけ! そなたは もう 棒切れだけ振っておれ! 392 00:34:58,574 --> 00:35:01,377 但馬! 393 00:35:01,377 --> 00:35:07,717 但馬! おるか! 直虎様! 政次! 394 00:35:07,717 --> 00:35:11,387 おぬし どこへ行く! 殿…! 395 00:35:11,387 --> 00:35:14,056 礼はよい! どこへ行くのかと聞いておる! 396 00:35:14,056 --> 00:35:15,991 あ… それは。 397 00:35:15,991 --> 00:35:20,396 近藤殿のところか! 殿! ご勘弁下さいませ! 398 00:35:20,396 --> 00:35:22,696 出せ! 殿! 399 00:35:24,266 --> 00:35:26,268 構わぬ。 行け! しかし。 離せ! 400 00:35:26,268 --> 00:35:32,341 大事ない。 行け! 待て! 待て~! 401 00:35:32,341 --> 00:35:38,041 戦わぬのが最上! そう 我に 教えてくれたではないか! 402 00:35:39,682 --> 00:35:44,553 太刀を交え殺し合うのではなく その前に敵に屈させるが最上。 403 00:35:44,553 --> 00:35:48,357 さすれば 兵も銭も 最も失する事がない。 404 00:35:48,357 --> 00:35:53,028 裏を返せば 命のやり取りでしか 物事を収められぬというのは➡ 405 00:35:53,028 --> 00:35:56,365 決して 上等ではないという事じゃ! 406 00:35:56,365 --> 00:35:59,034 偉そうに説教を垂れた そなたが➡ 407 00:35:59,034 --> 00:36:04,373 なぜ ちっぽけな盗人一人の命を 取ろうとする! 408 00:36:04,373 --> 00:36:07,042 あとから考えた理屈で ございましょう。 409 00:36:07,042 --> 00:36:08,978 何を どう おっしゃろうが 殿は単に➡ 410 00:36:08,978 --> 00:36:11,380 知り合いの血を見るのが お嫌なだけだ。 411 00:36:11,380 --> 00:36:14,049 ああ 嫌じゃ! 我は これでも女子でな! 412 00:36:14,049 --> 00:36:17,749 女子は 血など見飽きておるからの! 413 00:36:22,391 --> 00:36:27,062 生きておれば ただ それだけで血が流れる。 414 00:36:27,062 --> 00:36:29,398 けがもする 病にもかかる➡ 415 00:36:29,398 --> 00:36:32,668 いやおうなく 戦に巻き込まれる事もある。 416 00:36:32,668 --> 00:36:38,541 ほかに打つ手もある事に わざわざ 血を流す事はない! 417 00:36:38,541 --> 00:36:41,677 もし 誰かに血を流させる事を➡ 418 00:36:41,677 --> 00:36:44,346 それを力だ それを強さだと 言うならば➡ 419 00:36:44,346 --> 00:36:49,018 なんと 愚かな事か なんと 無邪気な事か! 420 00:36:49,018 --> 00:36:52,354 そなたの敬愛する 孫子とかいう御仁は➡ 421 00:36:52,354 --> 00:36:54,690 こんな話も書いておられた。 422 00:36:54,690 --> 00:36:56,625 敵国の宰相を手なずけ➡ 423 00:36:56,625 --> 00:36:59,562 敵国の王や民に逆らう意思を なくさせ➡ 424 00:36:59,562 --> 00:37:02,565 戦わずして その国を得たという話じゃ。 425 00:37:02,565 --> 00:37:07,865 我は 家老には 是非かくあってほしいと願う! 426 00:37:16,946 --> 00:37:19,715 言いたい事は言うたか。 427 00:37:19,715 --> 00:37:22,618 言うた! 428 00:37:22,618 --> 00:37:25,387 では 俺からも言わせてもらうが➡ 429 00:37:25,387 --> 00:37:29,087 あの男が 虎松をさらったりすれば どうする。 430 00:37:31,060 --> 00:37:35,664 瀬戸村に押し入れば どうする? 431 00:37:35,664 --> 00:37:39,964 殿が 今 守らねばならぬものは 何だ! 432 00:37:43,339 --> 00:37:46,339 それは…。 433 00:37:49,211 --> 00:37:51,211 ≪(直之)直虎様! 434 00:37:53,983 --> 00:37:56,352 あの男が…。 435 00:37:56,352 --> 00:37:58,687 男が どうした? 436 00:37:58,687 --> 00:38:01,590 (いびき) (直之)恐らくは➡ 437 00:38:01,590 --> 00:38:05,027 隠し持っていた吹き矢で 六左を眠らせ➡ 438 00:38:05,027 --> 00:38:09,899 裏手から ここに続く穴を掘って 逃げたようです。 439 00:38:09,899 --> 00:38:14,703 (男の鼻歌) 440 00:38:14,703 --> 00:38:17,606 (政次)数日の間にか。 441 00:38:17,606 --> 00:38:22,906 (傑山)仲間に 金掘りでもおれば 難しくはなかろう。 442 00:38:25,047 --> 00:38:27,950 (直之)直虎様…。 443 00:38:27,950 --> 00:38:30,650 阿呆ではないか。 444 00:38:32,321 --> 00:38:36,659 これでは 我が阿呆みたいではないか! 445 00:38:36,659 --> 00:38:41,530 自業自得にございましょう。 446 00:38:41,530 --> 00:38:45,334 もう 情けなど かけてやらぬ…。 447 00:38:45,334 --> 00:38:50,673 今度 会うたら 鋸挽の刑に処してやるわ! 448 00:38:50,673 --> 00:38:55,673 うわ~! 449 00:38:59,014 --> 00:39:03,686 (カジ)あんまり遅いんで どうしたのかと思いやしたぜ。 頭。 450 00:39:03,686 --> 00:39:06,355 尼小僧に もっかい会えねえかと 思ってな。 451 00:39:06,355 --> 00:39:08,290 つい長居しちまったよ。 452 00:39:08,290 --> 00:39:12,027 (カジ)やめて下さいよ。 危ない橋 渡んの。 453 00:39:12,027 --> 00:39:15,727 ヘヘ。 分かってるって。 454 00:39:27,376 --> 00:39:29,311 (近藤)逃げられたとは➡ 455 00:39:29,311 --> 00:39:32,611 どうなっておられるのじゃ 井伊は! 456 00:39:34,984 --> 00:39:39,855 次に現れた時には 必ずや成敗致しますので。 457 00:39:39,855 --> 00:39:43,659 (近藤)やはり あの女子では 治めきれぬと➡ 458 00:39:43,659 --> 00:39:47,997 太守様に申し上げては いかがにございますかな。 459 00:39:47,997 --> 00:39:50,666 申し上げたきところに ございますが➡ 460 00:39:50,666 --> 00:39:54,003 太守様は今 それどころではあられぬご様子。 461 00:39:54,003 --> 00:39:57,703 ご不興を買いたくはございませぬ。 462 00:39:59,875 --> 00:40:02,875 確かに。 463 00:40:05,614 --> 00:40:08,614 どうなりましょうな。 武田と今川は。 464 00:40:10,552 --> 00:40:13,552 どうなりましょうな。 465 00:40:16,258 --> 00:40:19,558 た… 武田から かような知らせが。 466 00:40:22,031 --> 00:40:28,370 (氏真) ご嫡男 武田義信殿は廃嫡し➡ 467 00:40:28,370 --> 00:40:31,040 我が妹とは離縁。 468 00:40:31,040 --> 00:40:37,379 武田は もはや 話に応じる気は ないという事にございましょう。 469 00:40:37,379 --> 00:40:43,252 何故… 何故 かような汚いまねができる。 470 00:40:43,252 --> 00:40:46,055 信玄公が追放した父上を 受け入れたは➡ 471 00:40:46,055 --> 00:40:50,392 我ら今川ではないか。 我らが 信玄公に➡ 472 00:40:50,392 --> 00:40:53,062 国を取らせてやったような ものではないか! 473 00:40:53,062 --> 00:40:59,735 (寿桂尼)そもそも 親を追放するような男です。 474 00:40:59,735 --> 00:41:05,407 道理を言い立てても 詮ない事でございましょう。 475 00:41:05,407 --> 00:41:07,407 しかし。 476 00:41:09,278 --> 00:41:17,986 西に もう一人 恩知らずがおったはずです。 477 00:41:17,986 --> 00:41:24,986 そちらと手を組む事を考えては いかがでしょう。 478 00:41:26,695 --> 00:41:29,695 松平と…。 479 00:41:35,704 --> 00:41:40,375 今のところ この裏手には 見張りがおりませぬ。 480 00:41:40,375 --> 00:41:45,047 何かと物騒じゃ。 今後は 置かねばの。 481 00:41:45,047 --> 00:41:48,717 ≪(祐椿尼) と… 殿。 少し よろしいか。 482 00:41:48,717 --> 00:41:52,417 では よろしく頼む。 はっ。 483 00:42:02,064 --> 00:42:04,399 何でしょう。 484 00:42:04,399 --> 00:42:10,699 よいか 落ち着いて聞くのですよ。 485 00:42:13,742 --> 00:42:20,742 今… 寺に… な…。 486 00:42:24,086 --> 00:42:28,757 直親の娘と名乗る者が 来ておるそうです。 487 00:42:28,757 --> 00:42:33,457 はあ。 直親の娘…。 488 00:42:35,364 --> 00:42:38,267 なっ…! そうです。 489 00:42:38,267 --> 00:42:41,036 直親の娘です。 490 00:42:41,036 --> 00:43:08,730 ♬~ 491 00:43:08,730 --> 00:43:11,400 続く。 492 00:43:11,400 --> 00:43:13,735 恨み言も言えぬではないか! 493 00:43:13,735 --> 00:43:16,405 (しの)娘は どこじゃ。 おらの事でごぜえますか? 494 00:43:16,405 --> 00:43:18,740 武田の間者という事は ございませぬか? 495 00:43:18,740 --> 00:43:21,643 (直之)間者!? 武田を海には決して出さぬ。 496 00:43:21,643 --> 00:43:25,080 (南渓)子の父親など 誰にも分からんのではないか。 497 00:43:25,080 --> 00:43:27,416 首を洗って待っておられませ! 498 00:43:27,416 --> 00:43:29,751 フ~ンでございます。 のうなったのは➡ 499 00:43:29,751 --> 00:43:31,751 我の美しい思い出じゃ! 500 00:43:34,590 --> 00:43:40,696 <山梨県甲府市。 武田信玄が治めた地です。➡ 501 00:43:40,696 --> 00:43:45,033 武田家と今川家は 姻戚関係によって同盟を結び➡ 502 00:43:45,033 --> 00:43:48,033 力の均衡を保っていました> 503 00:43:49,905 --> 00:43:56,044 <信玄は 嫡男 義信の妻に 今川氏真の妹を迎える事で➡ 504 00:43:56,044 --> 00:44:00,344 今川家との関わりを 確かなものにしていきます> 505 00:44:02,384 --> 00:44:06,054 <信玄が暮らした…> 506 00:44:06,054 --> 00:44:10,054 <信玄を祭る武田神社が 建っています> 507 00:44:14,730 --> 00:44:18,600 <また 曲輪跡や石垣などの遺構が➡ 508 00:44:18,600 --> 00:44:22,300 当時の館の規模を 今に伝えています> 509 00:44:26,742 --> 00:44:33,548 <桶狭間の戦いのあと 政策を巡り 信玄と義信は 次第に対立。➡ 510 00:44:33,548 --> 00:44:37,019 義信は この東光寺に幽閉され➡ 511 00:44:37,019 --> 00:44:41,890 およそ2年 政治の表舞台から 退けられました。➡ 512 00:44:41,890 --> 00:44:48,363 今川との同盟を破り 三河 遠江に 触手を伸ばした武田信玄。➡ 513 00:44:48,363 --> 00:44:54,363 この事が 井伊谷に 大きな影響を 及ぼす事になるのです> 514 00:45:33,642 --> 00:45:49,642 ♬~