1 00:00:32,970 --> 00:00:36,907 (虎松)松下の虎松にございます。 2 00:00:36,907 --> 00:00:38,909 [ 回想 ] (虎松)虎松は➡ 3 00:00:38,909 --> 00:00:41,679 井伊の虎松でございます! 4 00:00:41,679 --> 00:00:45,049 (虎松)お元気そうで 何よりにございます。 5 00:00:45,049 --> 00:00:46,984 おとわ様。 6 00:00:46,984 --> 00:00:51,722 井伊家が潰れて6年。 7 00:00:51,722 --> 00:00:55,393 天正2年12月14日。 8 00:00:55,393 --> 00:01:01,393 直親の十三回忌の法要が行われた。 9 00:01:04,735 --> 00:01:11,609 直親の忘れ形見 虎松は 今や 松下家の養子。 10 00:01:11,609 --> 00:01:19,083 井伊との つながりが途切れたまま 15の春を迎えようとしていた。 11 00:01:19,083 --> 00:03:57,083 ♬~ 12 00:03:59,710 --> 00:04:02,613 (直久)ああ~!➡ 13 00:04:02,613 --> 00:04:05,049 痛い痛い痛い…! 14 00:04:05,049 --> 00:04:08,719 (直之)虎松様は 武術が お得意になられたか。 15 00:04:08,719 --> 00:04:12,590 (虎松) 松下の家には 武芸自慢の方が よう見られますので。 16 00:04:12,590 --> 00:04:15,590 (直久)いま一度! ああっ! 17 00:04:17,394 --> 00:04:20,297 痛い痛い痛い…! 18 00:04:20,297 --> 00:04:22,733 (祐椿尼)そういえば 直親も➡ 19 00:04:22,733 --> 00:04:25,636 前髪を落とさずに 戻ってまいりましたね。 20 00:04:25,636 --> 00:04:29,073 (あやめ) そうそう 井伊で元服するのだと。 21 00:04:29,073 --> 00:04:31,342 (しの)実は 虎松は➡ 22 00:04:31,342 --> 00:04:36,013 徳川様に お仕えしたいと 言いだしまして。 お仕え? 23 00:04:36,013 --> 00:04:38,916 もし 小姓として おそばに あがれるのなら➡ 24 00:04:38,916 --> 00:04:41,885 松下家の行く末も めでたいのではないか。 25 00:04:41,885 --> 00:04:45,356 ならば 元服は急がず➡ 26 00:04:45,356 --> 00:04:48,692 いずれ ふさわしい方に 烏帽子親になって頂いた方が➡ 27 00:04:48,692 --> 00:04:52,563 よいのではないかと 自ら言いだしまして。 28 00:04:52,563 --> 00:04:55,366 (直虎)しっかりしておるのう。 29 00:04:55,366 --> 00:04:58,035 (亥之助)母上! (なつ)はい。 30 00:04:58,035 --> 00:05:01,705 (亥之助) 直久が案内してくれると言うので 村を見て回ってきます。 31 00:05:01,705 --> 00:05:04,041 (なつ)そうですか。 之の字に➡ 32 00:05:04,041 --> 00:05:06,377 ついていってもろうては どうじゃ。 おとわ様。 33 00:05:06,377 --> 00:05:10,047 我らを いくつだとお思いですか。 心配は ご無用にございますよ。 34 00:05:10,047 --> 00:05:12,716 あっ そうか。 そうじゃな…。 35 00:05:12,716 --> 00:05:15,016 (亥之助)では。 36 00:05:21,392 --> 00:05:26,063 (しの)どことのう 直親様に似ておるでしょう。 37 00:05:26,063 --> 00:05:30,901 笛も続けておるのか。 (しの)笛も たしなみますが➡ 38 00:05:30,901 --> 00:05:35,339 絵の方が上手でございますかね。 絵…? 39 00:05:35,339 --> 00:05:41,011 父は絵を好んでおりましたので それゆえかと。 40 00:05:41,011 --> 00:05:47,351 虎松の中には いろいろな お方が 生きておるのじゃの。 41 00:05:47,351 --> 00:05:51,221 亥之助も 玄蕃に よう似ておる。 42 00:05:51,221 --> 00:05:54,224 おとわ様。 43 00:05:54,224 --> 00:05:57,995 2人が 無事 お仕えしましたら➡ 44 00:05:57,995 --> 00:06:03,367 私は こちらへ戻り 髪を下ろそうかと。 45 00:06:03,367 --> 00:06:05,302 そうなのか? 46 00:06:05,302 --> 00:06:12,710 これよりは 小野の菩提を弔って 過ごそうかと。 47 00:06:12,710 --> 00:06:18,410 よいのか。 はい。 本望でございます。 48 00:06:25,055 --> 00:06:28,055 おお~。 49 00:06:30,728 --> 00:06:33,330 おお~。 50 00:06:33,330 --> 00:06:47,678 ♬~ 51 00:06:47,678 --> 00:06:50,013 おお~! 52 00:06:50,013 --> 00:06:52,916 (亥之助) これほど豊かであったかの。 この村は。 53 00:06:52,916 --> 00:06:55,886 (直久)武田に焼かれた折に ならば いっそと➡ 54 00:06:55,886 --> 00:06:59,690 暮らしやすう 作り変えたのです。 55 00:06:59,690 --> 00:07:01,690 さあ。 56 00:07:03,560 --> 00:07:07,564 (直久)この寄り合い場では 手習いを受けられるようにし➡ 57 00:07:07,564 --> 00:07:11,034 具合が悪くなれば 寺で薬も もらえる。➡ 58 00:07:11,034 --> 00:07:13,937 さような仕組みが 人を呼び込みまして。➡ 59 00:07:13,937 --> 00:07:18,637 木綿も多く 作れるようになりました。 60 00:07:22,379 --> 00:07:27,050 近藤殿というのは 優れたお方であるのだな。 61 00:07:27,050 --> 00:07:32,656 (直久)あ… いや まことのところ 事を進めていったのは➡ 62 00:07:32,656 --> 00:07:35,559 おとわ様なのです。 (亥之助)おとわ様が。 63 00:07:35,559 --> 00:07:40,330 (直久)近藤様と共にというか 操るといいますか。 64 00:07:40,330 --> 00:07:45,002 確かに 水堀を作るのには 銭がかかります。 65 00:07:45,002 --> 00:07:51,341 しかし ひとたび作ってしまえば 水の心配はなくなります。 66 00:07:51,341 --> 00:07:57,014 回り回って 近藤様のお年貢に 返ってくるのです。 67 00:07:57,014 --> 00:08:01,351 どうか 10年後 20年後の➡ 68 00:08:01,351 --> 00:08:06,651 この地の事を お考え下さいませ。 69 00:08:11,361 --> 00:08:16,233 (亥之助)裏の領主という事か。 (直久)そうです。 70 00:08:16,233 --> 00:08:19,233 虎松… 虎松様? 71 00:08:21,038 --> 00:08:25,375 諦めよと言うたくせに。 72 00:08:25,375 --> 00:08:31,675 まあ あまり気にせんでくれ。 時折 ああなられるのだ。 73 00:08:33,183 --> 00:08:36,987 (なつ)ますます上達されましたね あやめ殿。 74 00:08:36,987 --> 00:08:40,657 この蝶なんて 今にも動き出しそうな。 75 00:08:40,657 --> 00:08:46,997 しの殿。 徳川様の お目見えの時に 着る着物は もう作ったのか? 76 00:08:46,997 --> 00:08:51,335 決まれば 考えねばと思うておりますが。 77 00:08:51,335 --> 00:08:56,673 もし よければじゃが 我らが仕立てようか。 78 00:08:56,673 --> 00:09:01,011 よろしいのですか? お手数では。 79 00:09:01,011 --> 00:09:04,348 松下には 世話になってばかりじゃし➡ 80 00:09:04,348 --> 00:09:08,018 できる事があるなら 手伝いたいところじゃ。 81 00:09:08,018 --> 00:09:13,718 むしろ やらせてもらいたいです。 こちらは。 82 00:09:17,027 --> 00:09:20,898 (しの)あ… お帰りなさいませ。 どうでした 村は。 83 00:09:20,898 --> 00:09:22,898 殿。 84 00:09:24,701 --> 00:09:27,037 もう 殿ではないが…。 85 00:09:27,037 --> 00:09:30,707 いえ あえて そう呼ばせて頂きます。 86 00:09:30,707 --> 00:09:33,610 ん… そうか。 87 00:09:33,610 --> 00:09:37,314 虎松は里を見 感嘆致しました。 88 00:09:37,314 --> 00:09:40,217 これほどに 民百姓が暮らしやすき里も➡ 89 00:09:40,217 --> 00:09:42,653 そうそう ございますまい。 90 00:09:42,653 --> 00:09:49,993 聞けば これは全て 殿が手がけられた事だと。 91 00:09:49,993 --> 00:09:53,664 我の力など 微々たるものじゃ。 92 00:09:53,664 --> 00:09:58,364 ご謙遜を。 まことじゃ。 93 00:10:05,275 --> 00:10:09,012 あれほどの事をなさり 殿は まことに➡ 94 00:10:09,012 --> 00:10:13,712 井伊家を再びとは 思うておられませんので? 95 00:10:21,591 --> 00:10:24,027 思うてはおらぬ。 96 00:10:24,027 --> 00:10:28,699 まことに? 露ほどもでございますか。 97 00:10:28,699 --> 00:10:33,570 何故 今更 さような事を。 98 00:10:33,570 --> 00:10:35,572 あの里を見て➡ 99 00:10:35,572 --> 00:10:42,245 殿は 再び当主をやりたいのでは ないかと 感じましたもので。 100 00:10:42,245 --> 00:10:45,248 (ため息) 101 00:10:45,248 --> 00:10:48,385 家名や土地を取り戻したいとは➡ 102 00:10:48,385 --> 00:10:52,255 まこと 露ほども思うておらぬし。 103 00:10:52,255 --> 00:10:59,029 今となっては ない方が やりやすいとすら思うておる。 104 00:10:59,029 --> 00:11:03,400 ない方が よい。 105 00:11:03,400 --> 00:11:09,400 そなたにとっては 許せぬ事を 言うておるのかもしれぬ。 106 00:11:13,076 --> 00:11:22,076 しかし これが 今の私の 偽らざる心じゃ。 107 00:11:27,424 --> 00:11:33,230 お話し頂き ありがとうございました。 108 00:11:33,230 --> 00:11:36,230 お考え よう分かりました。 109 00:11:41,938 --> 00:11:44,908 (南渓)小姓にあがる件じゃが➡ 110 00:11:44,908 --> 00:11:50,047 虎松からは ほかに 何も聞いておらぬのか。 そなたは。 111 00:11:50,047 --> 00:11:53,917 (六左衛門)はい。 特には。 112 00:11:53,917 --> 00:12:00,390 虎松は もう忘れてしもうたのかのう。 113 00:12:00,390 --> 00:12:03,060 [ 回想 ] 虎松は…➡ 114 00:12:03,060 --> 00:12:05,729 虎松は 井伊を取り戻したいです! 115 00:12:05,729 --> 00:12:08,632 虎松は 井伊を取り戻したいです! 116 00:12:08,632 --> 00:12:15,072 お~。 そのためには 何をすれば よいかの。➡ 117 00:12:15,072 --> 00:12:19,072 考えるのじゃ。 虎松。 118 00:12:23,413 --> 00:12:27,751 (六左衛門)松下は それは虎松様に ようしてくれましたし。 119 00:12:27,751 --> 00:12:30,654 忘れてしまわれたか お心変わりされても➡ 120 00:12:30,654 --> 00:12:33,354 おかしくはないかと。 121 00:12:35,025 --> 00:12:37,694 申し訳ございませぬ。 122 00:12:37,694 --> 00:12:42,566 そなたが謝るものでもない。 123 00:12:42,566 --> 00:12:47,266 少し 寂しいがの。 124 00:12:50,707 --> 00:12:54,578 (南渓)お… 噂をすればじゃ。 125 00:12:54,578 --> 00:12:58,048 (六左衛門)どうでした。 村は。 126 00:12:58,048 --> 00:13:01,384 すばらしく豊かな里で ございました。 127 00:13:01,384 --> 00:13:03,320 そうか。 128 00:13:03,320 --> 00:13:05,320 はい。 129 00:13:07,057 --> 00:13:11,928 ゆえに やはり 虎松は➡ 130 00:13:11,928 --> 00:13:15,732 何が何でも 頂戴しとうなりました。 131 00:13:15,732 --> 00:13:19,402 わ… 若? そうか。 132 00:13:19,402 --> 00:13:22,305 はい。 133 00:13:22,305 --> 00:13:31,014 和尚様 お手数ですが ひとつ これを 届けて頂けますか? 134 00:13:31,014 --> 00:13:33,683 どこへじゃ。 135 00:13:33,683 --> 00:13:43,693 ♬~ 136 00:13:43,693 --> 00:13:46,363 (六左衛門)お待ち下され 若。➡ 137 00:13:46,363 --> 00:13:49,266 かようなやり方は いくら何でも なりませぬ! 138 00:13:49,266 --> 00:13:52,702 もし まことに 井伊のお家を 再びと お考えなら➡ 139 00:13:52,702 --> 00:13:54,638 きちんと 松下のお父上と➡ 140 00:13:54,638 --> 00:13:58,041 話し合いをした上で なさるべきです。 141 00:13:58,041 --> 00:14:01,741 止められて終わりではないか。 142 00:14:04,915 --> 00:14:09,052 これは 恩を仇で返す事にございます!➡ 143 00:14:09,052 --> 00:14:11,721 加えて 母上も 殿も かような事は➡ 144 00:14:11,721 --> 00:14:13,657 もはや望んでおられぬかと 存じます! 145 00:14:13,657 --> 00:14:16,357 では ご初代様は? 146 00:14:18,061 --> 00:14:21,398 父上は? 147 00:14:21,398 --> 00:14:24,734 おおじじ様は? 148 00:14:24,734 --> 00:14:27,434 じじ様は? 149 00:14:29,072 --> 00:14:31,072 但馬は? 150 00:14:34,678 --> 00:14:39,349 まことに 望んではおらぬというのか。 151 00:14:39,349 --> 00:14:44,221 このまま 犬死でよいと。 152 00:14:44,221 --> 00:14:47,221 そ… それは…。 153 00:14:49,693 --> 00:14:52,596 六左。 154 00:14:52,596 --> 00:14:59,369 六左は 俺の守り役ではないか。 155 00:14:59,369 --> 00:15:06,042 八方丸く 収めてみせるゆえ➡ 156 00:15:06,042 --> 00:15:13,042 俺を信じてくれ… の。 157 00:15:28,064 --> 00:15:30,764 (虎松)では。 158 00:15:32,335 --> 00:15:36,006 (高瀬)虎松! 亥之助! 159 00:15:36,006 --> 00:15:41,878 (虎松)姉上! 高瀬。 まあ 娘らしうなって。 160 00:15:41,878 --> 00:15:46,650 表向きは 弥吉の孫という事に なっておりまして➡ 161 00:15:46,650 --> 00:15:50,353 法要に出る お許しを 近藤様に言いだせず。 162 00:15:50,353 --> 00:15:54,024 これ 道中 皆様で召し上がって下さい。 163 00:15:54,024 --> 00:15:59,362 饅頭です。 ちなみに こちらは 井伊の綿で作った布です。 164 00:15:59,362 --> 00:16:01,298 更に お望みとあらば➡ 165 00:16:01,298 --> 00:16:05,035 このように あやめ師匠の刺繍も お入れできます! 166 00:16:05,035 --> 00:16:07,704 たくましいのう。 姉上は。 167 00:16:07,704 --> 00:16:12,704 屋敷づとめで 随分と 人柄が さばけての。 168 00:16:16,379 --> 00:16:21,051 虎松 亥之助。 169 00:16:21,051 --> 00:16:24,921 家名はなくとも そなたらの中に➡ 170 00:16:24,921 --> 00:16:30,393 井伊の方々 小野の方々が 息づいておられる。 171 00:16:30,393 --> 00:16:36,666 誰にも見えずとも 井伊は そなたらの中にある。 172 00:16:36,666 --> 00:16:40,003 これよりは その力を➡ 173 00:16:40,003 --> 00:16:45,303 松下の名のもと 世のために使うて下され。 174 00:16:46,876 --> 00:16:48,876 はい。 175 00:16:58,355 --> 00:17:02,225 (高瀬)立派に お育ちでしたね。 お二人とも。 176 00:17:02,225 --> 00:17:06,925 のう。 ありがたい話じゃ。 177 00:17:09,699 --> 00:17:12,602 和尚様。 どちらへ。 178 00:17:12,602 --> 00:17:19,042 あ… 鳳来寺に。 179 00:17:19,042 --> 00:17:22,712 虎松の成長ぶりを伝えにな。 180 00:17:22,712 --> 00:17:27,712 よろしゅう お伝え下さいませ。 うむ…。 181 00:17:29,586 --> 00:17:33,990 …と言いつつ 南渓和尚が向かったのは➡ 182 00:17:33,990 --> 00:17:37,660 鳳来寺ではなかった。 183 00:17:37,660 --> 00:17:40,563 このころ 徳川家は➡ 184 00:17:40,563 --> 00:17:43,533 拡大した領土を 治めるべく➡ 185 00:17:43,533 --> 00:17:47,337 浜松と岡崎を 二大拠点とし➡ 186 00:17:47,337 --> 00:17:52,008 浜松は家康 岡崎は 嫡男 信康が➡ 187 00:17:52,008 --> 00:17:55,008 城主となっておった。 188 00:17:56,880 --> 00:18:01,017 (康政)松下の息子を 殿に 引き合わせたいと そういう事か。 189 00:18:01,017 --> 00:18:04,354 (常慶)はい。 次の鷹狩りの折に。 190 00:18:04,354 --> 00:18:08,691 (家康) 常慶。 松下の息子とは 確か…。 191 00:18:08,691 --> 00:18:12,562 井伊直親の遺児 虎松にございます。 192 00:18:12,562 --> 00:18:16,366 そして 供の者は 小野家の遺児にてございます。 193 00:18:16,366 --> 00:18:18,301 (忠次)さような者らを➡ 194 00:18:18,301 --> 00:18:21,704 殿のおそばにあげて 大事ないのか。 195 00:18:21,704 --> 00:18:25,575 井伊と小野は 我らに遺恨があろう。 196 00:18:25,575 --> 00:18:29,045 [ 回想 ] 井伊の再興を! 197 00:18:29,045 --> 00:18:31,045 徳川様! 198 00:18:32,649 --> 00:18:39,949 徳川様! お待ちあれ! 待たれよ! 徳川様! 199 00:18:41,991 --> 00:18:44,661 (常慶) 井伊が潰れてから今日まで➡ 200 00:18:44,661 --> 00:18:47,997 松下にて引き取り 育て上げました。 201 00:18:47,997 --> 00:18:52,335 賢き子らにございますし 何かあれば 兄や実母に➡ 202 00:18:52,335 --> 00:18:56,206 即座に 累が及ぶ事も わきまえておりますかと。 203 00:18:56,206 --> 00:19:00,009 分かった。 望みは小姓であったか。 204 00:19:00,009 --> 00:19:02,345 はい。 (忠次)しかし。 205 00:19:02,345 --> 00:19:07,016 忠次。 むしろ これは よい機会と捉えぬか。 206 00:19:07,016 --> 00:19:09,686 井伊と小野の遺児を 取り立てる事で➡ 207 00:19:09,686 --> 00:19:14,357 遺恨を一つ消してしまえると。 208 00:19:14,357 --> 00:19:17,694 よし では 決まりじゃな。 209 00:19:17,694 --> 00:19:24,567 一方 南渓和尚の姿は 岡崎城にあった。 210 00:19:24,567 --> 00:19:28,567 (瀬名)面をお上げ下され。 伯父上。 211 00:19:33,176 --> 00:19:36,980 (瀬名)お懐かしゅうございます。 212 00:19:36,980 --> 00:19:43,853 こちらは 我が息子にして 岡崎の城主 信康にございます。 213 00:19:43,853 --> 00:19:47,624 初に お目にかかります。 大伯父上。 214 00:19:47,624 --> 00:19:54,531 いえ。 御自ら ご挨拶とは 恐れ入ります。 215 00:19:54,531 --> 00:20:01,204 大伯父上の世継ぎ観音は 御利益があると お伺いしました。 216 00:20:01,204 --> 00:20:06,676 私も なかなか 嫡男に恵まれず。 217 00:20:06,676 --> 00:20:11,347 それには ちと コツがございまして。 218 00:20:11,347 --> 00:20:14,250 その話は また是非。 219 00:20:14,250 --> 00:20:19,250 殿。 ご苦労にございました。 はい。 220 00:20:21,024 --> 00:20:23,324 では。 221 00:20:29,699 --> 00:20:33,570 堂々たる お姿にございますな。 222 00:20:33,570 --> 00:20:36,372 (瀬名) お褒めにあずかり 光栄です。 223 00:20:36,372 --> 00:20:40,672 して 今日は いかな御用向きで。 224 00:20:53,389 --> 00:21:01,089 井伊直親の遺児 虎松からの お願いにございます。 225 00:21:08,738 --> 00:21:17,080 (虎松) 「我が名字を 井伊と称せられたく 願い上げ奉り候」。 226 00:21:17,080 --> 00:21:22,418 (康政)つまり 松下の虎松は まことのところでは➡ 227 00:21:22,418 --> 00:21:27,290 井伊の名で お仕えしたい。 それにより 家名を回復したいと➡ 228 00:21:27,290 --> 00:21:32,028 そう お方様に訴えてきた という事にございますか。 229 00:21:32,028 --> 00:21:37,367 (数正)しかしながら 育ててくれた 松下には大恩もあるし➡ 230 00:21:37,367 --> 00:21:42,238 実母の気持ちなどを考えると 己から 「井伊で」とは➡ 231 00:21:42,238 --> 00:21:45,041 とても言いだせぬとの事でな。 232 00:21:45,041 --> 00:21:49,712 (康政)そこで いっそ 殿から 井伊を名乗れと命じてほしいと➡ 233 00:21:49,712 --> 00:21:53,012 嘆願してきたという事ですか。 234 00:21:54,584 --> 00:21:58,054 瀬名は どう言うておった。 235 00:21:58,054 --> 00:22:02,392 殿に お任せするが できれば 虎松の意を➡ 236 00:22:02,392 --> 00:22:06,092 くんでやってほしいとは 仰せでした。 237 00:22:11,401 --> 00:22:17,273 まあ 少し考える。 常慶や忠次の手前もあるしな。 238 00:22:17,273 --> 00:22:20,410 よろしうお頼み申し上げます。 239 00:22:20,410 --> 00:22:22,710 では。 240 00:22:31,354 --> 00:22:34,257 そなたは どちらがよいと思う。 241 00:22:34,257 --> 00:22:37,694 松下として 受け入れる方が➡ 242 00:22:37,694 --> 00:22:40,694 無難であるとは 存じますが…。 243 00:22:54,243 --> 00:22:58,715 お目見えの日が 無事 決まったそうにございます。 244 00:22:58,715 --> 00:23:02,385 小姓として勤める旨も お許しが出たと。 245 00:23:02,385 --> 00:23:08,385 まあ! では 急ぎ 着物を仕立てねばなりませぬね。 246 00:23:10,259 --> 00:23:12,559 母上…。 247 00:23:14,397 --> 00:23:20,069 もしも 井伊が あのまま潰れずにおれば➡ 248 00:23:20,069 --> 00:23:27,069 私も今頃 虎松に 家督を譲っておったのですかね。 249 00:23:31,013 --> 00:23:34,713 そうかもしれませんね。 250 00:23:39,689 --> 00:23:46,989 あの子たちの時代が 始まっていくのですね…。 251 00:23:55,238 --> 00:23:57,240 (亥之助) うまく いかねば➡ 252 00:23:57,240 --> 00:23:59,709 どうするつもりですか? 253 00:23:59,709 --> 00:24:03,045 まあ また好機もあろう。 254 00:24:03,045 --> 00:24:09,045 勝負は 諦めなければよいだけじゃ。 255 00:24:10,720 --> 00:24:13,055 そう来ましたか。 256 00:24:13,055 --> 00:24:16,726 ≪(しの)虎松 亥之助 よいですか。 257 00:24:16,726 --> 00:24:19,026 はい。 258 00:24:24,400 --> 00:24:27,100 おお~。 259 00:24:30,072 --> 00:24:32,675 (亥之助)これは。 260 00:24:32,675 --> 00:24:37,675 井伊の皆様が 仕立てて下さったのですよ。 261 00:24:46,222 --> 00:24:48,522 これは。 262 00:24:50,226 --> 00:24:53,362 (しの)亡き父上や伯父上が➡ 263 00:24:53,362 --> 00:24:56,265 お守り下さいますように という事にございましょう。 264 00:24:56,265 --> 00:25:00,703 (虎松)虎と亀。 265 00:25:00,703 --> 00:25:03,606 さようにございますね。 266 00:25:03,606 --> 00:25:06,576 (しの)では 2人とも 礼状をしたためなされ。 267 00:25:06,576 --> 00:25:11,347 まとめて送りますゆえ。 (亥之助)はい。 268 00:25:11,347 --> 00:25:22,725 ♬~ 269 00:25:22,725 --> 00:25:27,725 行ける気がせぬか? イノ。 270 00:25:29,599 --> 00:25:34,337 これは 父上と但馬が➡ 271 00:25:34,337 --> 00:25:38,337 やれと言うて下さっておるのでは ないか? 272 00:25:44,981 --> 00:25:47,981 松下…。 273 00:25:52,355 --> 00:25:54,690 殿。 274 00:25:54,690 --> 00:25:56,990 井伊…。 275 00:25:59,362 --> 00:26:01,697 松下…。 276 00:26:01,697 --> 00:26:04,397 え? 井伊…。 277 00:26:07,370 --> 00:26:10,706 松下…。 278 00:26:10,706 --> 00:26:13,406 井伊。 279 00:26:17,380 --> 00:26:19,315 井伊…。 280 00:26:19,315 --> 00:26:24,053 そうして いよいよ 虎松たちが お目見えする➡ 281 00:26:24,053 --> 00:26:28,053 鷹狩りの日がやって来た。 282 00:26:38,567 --> 00:26:44,340 2人とも よう似合うておる。 立派な武者ぶりじゃ。 283 00:26:44,340 --> 00:26:50,012 (虎松)今日を迎えられたは 全て 父上のおかげにございます。 284 00:26:50,012 --> 00:26:55,351 虎松。 そなたは まことに よい子じゃが➡ 285 00:26:55,351 --> 00:26:58,688 少々 才気走ったところがある。➡ 286 00:26:58,688 --> 00:27:03,025 才気というのは 煙たがられる事もある。 287 00:27:03,025 --> 00:27:04,961 使い方を誤らず➡ 288 00:27:04,961 --> 00:27:08,898 殿のお役に立てるように 使うのじゃぞ。 289 00:27:08,898 --> 00:27:11,198 はい。 290 00:27:13,369 --> 00:27:16,038 (常慶)では 参りましょうか。 (源太郎)うむ。➡ 291 00:27:16,038 --> 00:27:19,738 頼むぞ。 常慶。 はい。 292 00:27:30,987 --> 00:27:34,657 どこか お悪いのではないか。 293 00:27:34,657 --> 00:27:40,357 あ… いや。 涙が汗となって。 294 00:27:48,204 --> 00:27:50,504 (家康)松下…。 295 00:27:52,675 --> 00:27:54,975 (家康)井伊…。 296 00:27:59,015 --> 00:28:03,715 (ノブ)何か ご心配事が おありでございますか。 297 00:28:08,691 --> 00:28:12,561 (ノブ)なるほど。 その虎松とかいう小童に➡ 298 00:28:12,561 --> 00:28:15,031 井伊の家名を再興してやるか➡ 299 00:28:15,031 --> 00:28:18,701 このまま 松下で 勤めさせるかというお話ですか。 300 00:28:18,701 --> 00:28:21,037 (家康)どうにも決めかねてのう。 301 00:28:21,037 --> 00:28:24,707 まあ しかし 伺うところ その小童 15にして➡ 302 00:28:24,707 --> 00:28:30,379 相当のしたたか者にございますな。 殿から言うてくれなどとは。 303 00:28:30,379 --> 00:28:34,679 それは楽しみでもあり 小憎らしくもある。 304 00:28:37,653 --> 00:28:42,324 では やり返しては いかがですか? 305 00:28:42,324 --> 00:28:45,995 ん? つまるところは その小童に➡ 306 00:28:45,995 --> 00:28:49,995 選ばせるのでございますよ。 307 00:29:01,010 --> 00:29:05,347 どう決められたのでしょうか。 308 00:29:05,347 --> 00:29:18,360 ♬~ 309 00:29:18,360 --> 00:29:23,232 本日は 日柄もよく 何よりにございます。 310 00:29:23,232 --> 00:29:26,235 あれか。 (常慶)はい。 311 00:29:26,235 --> 00:29:30,535 虎松 亥之助 御前に。 (2人)はっ! 312 00:29:37,847 --> 00:29:41,847 面を上げよ。 はっ! 313 00:29:51,994 --> 00:29:58,294 そなたは 井伊の遺児であるそうじゃの。 314 00:30:02,004 --> 00:30:06,004 そして それなるは 小野の遺児。 315 00:30:07,877 --> 00:30:11,347 この者は 松下の跡取りにございます! 316 00:30:11,347 --> 00:30:15,017 そして これなるは 松下の縁者! 317 00:30:15,017 --> 00:30:21,891 (家康)常慶。 わしはの この者は 心の内では➡ 318 00:30:21,891 --> 00:30:26,629 井伊として仕えたいと 思うておると思うのじゃが。➡ 319 00:30:26,629 --> 00:30:29,329 どうじゃ。 320 00:30:35,337 --> 00:30:39,041 はい。 321 00:30:39,041 --> 00:30:45,341 そうか。 やはり 井伊として仕えたいか。 322 00:30:46,916 --> 00:30:53,055 実は 心の奥底では➡ 323 00:30:53,055 --> 00:30:59,929 ずっと 井伊の家名を 再び立てる事を夢みておりました。 324 00:30:59,929 --> 00:31:07,603 しかし もはや夢と 半ば諦め。 325 00:31:07,603 --> 00:31:13,742 まさか かような事が起こりますとは。 326 00:31:13,742 --> 00:31:18,614 常慶。 この者の気持ち くんでやれぬか。 327 00:31:18,614 --> 00:31:23,752 恐れながら それは! 松下としては承服致しかねまする。 328 00:31:23,752 --> 00:31:28,090 そもそも そなたが この者を引き取ったのは➡ 329 00:31:28,090 --> 00:31:30,993 井伊への負い目ゆえであろう。 しかし! 330 00:31:30,993 --> 00:31:35,898 (忠次)殿。 これは松下に対し あまりの仕打ちにございますぞ! 331 00:31:35,898 --> 00:31:41,036 井伊は わしが潰したも同然! わしにとて 人の心はある。 332 00:31:41,036 --> 00:31:43,372 しかし! 松下には また別に 償いをするゆえ。 333 00:31:43,372 --> 00:31:45,708 ありがたき お言葉には ございますが! 殿。 334 00:31:45,708 --> 00:31:50,708 まずは 鷹狩りを致しましょう。 335 00:31:52,381 --> 00:31:55,381 (康政)話は また改めて。 336 00:32:04,393 --> 00:32:07,393 虎松。 はっ! 337 00:32:16,405 --> 00:32:22,745 今日よりは 万千代と名乗るがよい。 338 00:32:22,745 --> 00:32:27,745 亥之助は 万福と。 339 00:32:30,085 --> 00:32:32,354 万… 千代。 340 00:32:32,354 --> 00:32:38,027 わしの幼名 竹千代より 千代を与える。 341 00:32:38,027 --> 00:32:42,027 井伊が 千年万年続くよう。 342 00:32:45,901 --> 00:32:48,671 殿! 343 00:32:48,671 --> 00:32:56,045 井伊万千代 このご恩は 一生忘れませぬ! 344 00:32:56,045 --> 00:33:02,045 身命をかけ お仕えする所存にございまする! 345 00:33:06,055 --> 00:33:09,755 ハハハッ そうか。 346 00:33:11,393 --> 00:33:16,265 いや。 しかと励むがよい。 347 00:33:16,265 --> 00:33:19,068 はっ! 348 00:33:19,068 --> 00:33:23,739 兄上! 大変じゃ! 兄上~! 349 00:33:23,739 --> 00:33:27,609 では 松下の息子としてではなく➡ 350 00:33:27,609 --> 00:33:31,013 井伊として 仕える事になったのですか。 351 00:33:31,013 --> 00:33:35,684 (常慶) 殿が お家を再興したいのでは ないかと言いだされました手前➡ 352 00:33:35,684 --> 00:33:38,020 虎松も そうだと言うしかなかったのか➡ 353 00:33:38,020 --> 00:33:42,720 それとも 本心なのかは 測りかねますが。 354 00:33:48,364 --> 00:33:52,034 (しの)殿? 355 00:33:52,034 --> 00:33:59,375 (源太郎)と… 虎松が 虎…。 356 00:33:59,375 --> 00:34:02,711 (しの)殿! 殿! 殿!➡ 357 00:34:02,711 --> 00:34:04,646 しっかりして 下さいまするよう!➡ 358 00:34:04,646 --> 00:34:08,346 殿… 殿…! 殿! 359 00:34:10,386 --> 00:34:13,288 六左殿。 360 00:34:13,288 --> 00:34:16,988 何を知っておられる? 361 00:34:19,395 --> 00:34:22,395 お気を確かに。 362 00:34:24,066 --> 00:34:26,969 また いらぬ情に振り回され➡ 363 00:34:26,969 --> 00:34:29,938 これでは 松下に対し 示しがつきませぬぞ! 364 00:34:29,938 --> 00:34:34,676 しかし もう言うてしもうたし。 明日にでも お取り消し下され! 365 00:34:34,676 --> 00:34:37,346 いや~ 朝令暮改というのも。 366 00:34:37,346 --> 00:34:44,219 殿は 今までの松下の働きを 何と お心得か! 367 00:34:44,219 --> 00:34:48,957 お! そうじゃ そうじゃ。 では かようにすれば➡ 368 00:34:48,957 --> 00:34:52,694 再び松下にと 言いだすかもしれぬぞ。 369 00:34:52,694 --> 00:34:54,994 耳を貸せ。 370 00:35:13,015 --> 00:35:20,015 オッホホホ! オッホホホ~! 371 00:35:22,391 --> 00:35:28,730 ハハハッ… うまくいきましたのう。 ハハッ。➡ 372 00:35:28,730 --> 00:35:32,334 何か気になる事でも? 373 00:35:32,334 --> 00:35:37,206 殿の笑いが。 笑い? 374 00:35:37,206 --> 00:35:42,678 [ 回想 ] そうか。 ハハッ…。 375 00:35:42,678 --> 00:35:47,678 まあ 俺の気にし過ぎならよいのだが。 376 00:35:50,352 --> 00:35:52,688 お~! 377 00:35:52,688 --> 00:35:55,357 そして 翌日。 378 00:35:55,357 --> 00:35:59,695 (康政)鳥居元忠殿 大須賀康高殿➡ 379 00:35:59,695 --> 00:36:05,567 内藤正成殿 西郷清員殿➡ 380 00:36:05,567 --> 00:36:11,039 本多忠勝様 酒井忠次様。 381 00:36:11,039 --> 00:36:15,339 そして それがしは 榊原康政と申す。 382 00:36:19,715 --> 00:36:25,053 井伊直親が一子 井伊万千代と申します。 383 00:36:25,053 --> 00:36:27,956 井伊? 潰れたのではなかったのか。 384 00:36:27,956 --> 00:36:30,392 松下の子では? 385 00:36:30,392 --> 00:36:33,662 今日 この場にて お目通りがかない➡ 386 00:36:33,662 --> 00:36:36,331 恐悦至極に存じます。 387 00:36:36,331 --> 00:36:40,202 井伊の家名をお許し頂きました ご恩➡ 388 00:36:40,202 --> 00:36:43,005 生涯忘るる事なく➡ 389 00:36:43,005 --> 00:36:48,343 徳川のお家に 身を粉にして お仕えする所存にございます! 390 00:36:48,343 --> 00:36:51,246 ハハハハハッ…。 391 00:36:51,246 --> 00:36:54,683 これは勇ましい。 392 00:36:54,683 --> 00:36:59,555 本多忠勝様。 お褒めにあずかり 光栄にございます! 393 00:36:59,555 --> 00:37:05,027 おお。 一度で覚えたか。 これはこれは。 394 00:37:05,027 --> 00:37:10,899 (忠次)万千代。 そなたは 随分と さといの。 395 00:37:10,899 --> 00:37:16,599 是非 その頭を お家のために使うてもらいたい。 396 00:37:18,574 --> 00:37:23,045 草履番としての。 397 00:37:23,045 --> 00:37:26,715 井伊万千代 小野万福➡ 398 00:37:26,715 --> 00:37:31,987 両名に 今日から草履番を申しつける。 399 00:37:31,987 --> 00:37:35,657 あ… あの 恐れながら➡ 400 00:37:35,657 --> 00:37:39,995 草履番なるものは 一体 いかなるお役目で。 401 00:37:39,995 --> 00:37:44,666 皆の草履を受け取り 清め 番をする役目だ。 402 00:37:44,666 --> 00:37:46,602 恐れながら! 403 00:37:46,602 --> 00:37:50,339 我らは小姓として お仕えすると 伺っておったのですが。 404 00:37:50,339 --> 00:37:52,674 それは 陰ひなたとなり➡ 405 00:37:52,674 --> 00:37:57,546 徳川に尽くしてきた 松下虎松としてならばの話じゃ。➡ 406 00:37:57,546 --> 00:38:03,685 井伊は潰れた家 しかも 今川の国衆。 407 00:38:03,685 --> 00:38:10,359 徳川に含むところあるやもしれぬ 家の者を➡ 408 00:38:10,359 --> 00:38:17,032 やすやすと 殿のおそばに 置けるわけがなかろう。 409 00:38:17,032 --> 00:38:19,935 (家康)すまぬのう。 410 00:38:19,935 --> 00:38:25,374 昨日 わしが あのような事を 言うてしもうたがゆえ➡ 411 00:38:25,374 --> 00:38:29,244 かような事になってしもうた。➡ 412 00:38:29,244 --> 00:38:35,183 どうする? やはり 松下でという事なら➡ 413 00:38:35,183 --> 00:38:38,483 小姓にする事もできるが。 414 00:38:42,658 --> 00:38:45,358 どうする? 415 00:38:55,003 --> 00:39:04,680 それがしは 昨日 殿より 井伊万千代という名を頂きました。 416 00:39:04,680 --> 00:39:11,553 それを 己の欲得のため 一晩にて松下と前言を翻すは➡ 417 00:39:11,553 --> 00:39:14,553 不忠の極み! 418 00:39:19,027 --> 00:39:24,700 井伊万千代 かくなる上は➡ 419 00:39:24,700 --> 00:39:31,306 日の本一の草履番を目指す所存に ございます! 420 00:39:31,306 --> 00:39:35,644 ハハハハハッ…! 421 00:39:35,644 --> 00:39:43,518 そうか。 ならば しかと励むがよいぞ! 422 00:39:43,518 --> 00:39:45,518 はっ! 423 00:39:53,662 --> 00:39:57,332 草履番。 424 00:39:57,332 --> 00:40:02,032 おい そなたらの部屋は こっちじゃ。 425 00:40:37,973 --> 00:40:41,710 やられた。 426 00:40:41,710 --> 00:40:50,719 何じゃ あの… あの… 腐れコダヌキが!➡ 427 00:40:50,719 --> 00:40:53,388 おい! 何をする! イノ! 428 00:40:53,388 --> 00:40:58,059 ここは 城中です! 悪口は禁物にございます。 429 00:40:58,059 --> 00:41:02,397 (万千代)俺は まだ 15だ~!➡ 430 00:41:02,397 --> 00:41:06,735 それを よい年をした大人どもが…。➡ 431 00:41:06,735 --> 00:41:09,070 恥を知れ~!➡ 432 00:41:09,070 --> 00:41:12,407 殺す。 いつか 必ず殺す!➡ 433 00:41:12,407 --> 00:41:16,278 いつか 寝首をかき 血の一滴まで➡ 434 00:41:16,278 --> 00:41:20,081 たぬき汁にして すすり尽くしてくれるわ! 435 00:41:20,081 --> 00:41:25,081 寝首をかくなら 寝所にございますな。 436 00:41:33,628 --> 00:41:38,033 寝所に出入りするには まず 小姓にならねば➡ 437 00:41:38,033 --> 00:41:40,936 話になりませんな。 438 00:41:40,936 --> 00:41:46,374 そのためには まず 日の本一の草履番となり➡ 439 00:41:46,374 --> 00:41:49,674 小姓にあげてもらわねば なりませぬな。 440 00:42:01,723 --> 00:42:06,595 皆の草履を預かるというのなら➡ 441 00:42:06,595 --> 00:42:11,295 名を書いた札などが 要るのではないか。 442 00:42:13,335 --> 00:42:19,635 はい! 早速 作りましょう。 うむ。 443 00:42:22,043 --> 00:42:25,413 「忠勝」。 444 00:42:25,413 --> 00:42:33,688 こうして 後の徳川四天王 井伊直政の 出世の第一歩は➡ 445 00:42:33,688 --> 00:42:37,388 始まったのじゃった。 446 00:42:42,697 --> 00:42:47,035 ≪(しの)和尚様! 和尚様! 447 00:42:47,035 --> 00:42:51,373 しの殿! 和尚様は どこじゃ。 448 00:42:51,373 --> 00:42:55,073 どうされたのじゃ? 何かあったのか。 449 00:42:57,045 --> 00:43:03,718 虎松が 井伊の虎松として 仕官する事になったのじゃ! 450 00:43:03,718 --> 00:43:08,056 井伊の 虎松? 451 00:43:08,056 --> 00:43:10,725 続く。 452 00:43:10,725 --> 00:43:13,628 徳川に 井伊を再興してもらうつもりだ。 453 00:43:13,628 --> 00:43:17,399 話が おかしくありませぬか! 皆 怒っておるぞ。 454 00:43:17,399 --> 00:43:21,269 さような行いをする者の事を 当節では 当主と呼ぶのか! 455 00:43:21,269 --> 00:43:25,073 (氏真)戦ばかりが 仇の取り方ではあるまい。 456 00:43:25,073 --> 00:43:27,008 困ったものじゃのう。 457 00:43:27,008 --> 00:43:31,008 (万千代) 諦めなければ 必ずできる! 458 00:43:33,348 --> 00:43:35,283 <静岡県浜松市。➡ 459 00:43:35,283 --> 00:43:41,983 後に天下人となる徳川家康が 最も長い年月を過ごした地です> 460 00:43:43,692 --> 00:43:48,563 <市の中心部にある 引間城跡。➡ 461 00:43:48,563 --> 00:43:52,701 三河から遠江へと 勢力を広げていった家康は➡ 462 00:43:52,701 --> 00:43:58,001 永禄11年 今川氏の拠点であった この城を制圧> 463 00:44:00,575 --> 00:44:07,048 <その後 家康は 新たに 浜松城を築城しました。➡ 464 00:44:07,048 --> 00:44:09,718 近隣では その比を見ないほど➡ 465 00:44:09,718 --> 00:44:13,388 大規模で 堅固な城だったといいます。➡ 466 00:44:13,388 --> 00:44:17,726 自然石を積み上げた石垣は 400年たった今も➡ 467 00:44:17,726 --> 00:44:21,062 この城を支えています。➡ 468 00:44:21,062 --> 00:44:24,399 天下を制した家康の後に 続くように➡ 469 00:44:24,399 --> 00:44:29,738 浜松城を守る歴代の大名は 何人も出世を遂げていきました。➡ 470 00:44:29,738 --> 00:44:35,438 そのため この城は 出世城として 意識されるようになります> 471 00:44:37,012 --> 00:44:41,683 <若き日の家康とともに 発展していった町 浜松。➡ 472 00:44:41,683 --> 00:44:44,352 この地を足掛かりに 家康は➡ 473 00:44:44,352 --> 00:44:48,052 戦国大名として 飛躍していくのです> 474 00:45:33,935 --> 00:45:53,635 ♬~