1 00:00:02,135 --> 00:02:37,124 ♬~ 2 00:02:39,860 --> 00:02:42,229 <天正元年8月。➡ 3 00:02:42,229 --> 00:02:47,901 小谷落城とともに 3年にわたる 織田信長と浅井長政との攻防戦は➡ 4 00:02:47,901 --> 00:02:49,836 終止符を打った。➡ 5 00:02:49,836 --> 00:02:56,143 が 秀吉にとっては それが 大きな運命の転機となったのである> 6 00:03:03,850 --> 00:03:06,853 (秀吉)おかか 戻った! 7 00:03:12,526 --> 00:03:15,195 (ねね)お帰りなさいませ。 8 00:03:15,195 --> 00:03:17,197 出迎え 大儀じゃ。 9 00:03:21,068 --> 00:03:25,539 (とも)ああ お帰りなされ。 今日は 随分早う下がられた…。 10 00:03:25,539 --> 00:03:28,241 なんぞあったのか? 11 00:03:35,882 --> 00:03:40,587 なんぞ お気に召さぬことでもございましたか? 12 00:03:42,556 --> 00:03:47,561 とも様にも あのような…。 お気を悪くなさいましょう。 13 00:03:49,896 --> 00:03:55,902 今日は お暑うございました。 すぐ お湯をお使いになりますか? 14 00:04:01,842 --> 00:04:06,179 私の顔が どうかいたしましたか? 15 00:04:06,179 --> 00:04:08,849 見れば見るほど ええ女子じゃ。 16 00:04:08,849 --> 00:04:13,186 さすが わしが惚れただけのことはある。 まあ! 17 00:04:13,186 --> 00:04:16,857 城持ち大名のおかかになっても 決して見劣りせぬ顔じゃのう。 18 00:04:16,857 --> 00:04:20,527 ハハハ…。 見え透いたお世辞も いいかげんになさいませ。 19 00:04:20,527 --> 00:04:22,863 あとが恐ろしゅうございます。 20 00:04:22,863 --> 00:04:25,198 何のお目当てでございますか? 21 00:04:25,198 --> 00:04:27,534 おかかは➡ 22 00:04:27,534 --> 00:04:30,871 城持ち大名のおかかになる顔をして 生まれてきたと見えるのう。 23 00:04:30,871 --> 00:04:33,540 ざれ言も いいかげんになさいませ。 24 00:04:33,540 --> 00:04:36,877 私は そのような者になりたいと思いませぬ。 25 00:04:36,877 --> 00:04:40,747 さささ 早う お召し替えを。 ささ…。 26 00:04:40,747 --> 00:04:42,749 それが なってしもうたのじゃ。 27 00:04:42,749 --> 00:04:45,552 さあ お湯の支度をしてまいります。 28 00:04:45,552 --> 00:04:48,455 おかか! 29 00:04:48,455 --> 00:04:53,426 本日 殿より 近江平定の手柄により➡ 30 00:04:53,426 --> 00:05:00,066 小谷城主として 浅井の旧領のうち 江北三郡➡ 31 00:05:00,066 --> 00:05:02,836 12万石を賜ることになった! 32 00:05:02,836 --> 00:05:04,838 えっ! 33 00:05:08,508 --> 00:05:12,379 それをのう 誰よりも一番に➡ 34 00:05:12,379 --> 00:05:15,081 おかかに話したかったのよ。 35 00:05:19,519 --> 00:05:27,194 また これを機にのう 木下という姓を 羽柴と改めることにした。 36 00:05:27,194 --> 00:05:33,533 羽柴の羽は 丹羽長秀殿から 柴は 柴田勝家殿から➡ 37 00:05:33,533 --> 00:05:36,870 お二人を合わせたような武将になりたいと あやかって➡ 38 00:05:36,870 --> 00:05:40,874 丹羽 柴田様から 1字ずつ頂いた。 39 00:05:43,743 --> 00:05:46,546 信長様も お許しくだされた。 40 00:05:46,546 --> 00:05:51,418 なお 筑前守という受領名も頂戴した。 41 00:05:51,418 --> 00:05:56,890 今日から わしはのう 羽柴筑前守秀吉じゃ! 42 00:05:56,890 --> 00:06:00,760 弟の小一郎も 秀長と改める。 43 00:06:00,760 --> 00:06:05,765 同様に 弥兵衛殿も 浅野長政と名乗る。 44 00:06:07,500 --> 00:06:10,837 羽柴筑前守秀吉。 どうじゃ! 45 00:06:10,837 --> 00:06:15,141 いかにも 12万石の 城持ち大名らしい名じゃろうが。 46 00:06:21,848 --> 00:06:24,751 まことでございますか? 47 00:06:24,751 --> 00:06:31,858 おかか 姉様 わしの言うておることが信じられぬか? 48 00:06:31,858 --> 00:06:41,534 い いえ…。 でも まさか お前様が 12万石の…。 49 00:06:41,534 --> 00:06:48,208 アッハッハッハ! この大ぼら吹きめがと思うておるのか? 50 00:06:48,208 --> 00:06:50,543 いいえ…。 51 00:06:50,543 --> 00:06:54,881 無理もないわ。 名もない百姓のせがれで➡ 52 00:06:54,881 --> 00:06:58,752 信長様の草履を 懐で温めていた小者が…。 53 00:06:58,752 --> 00:07:02,155 わしじゃとて 思うてもみなかった。 54 00:07:02,155 --> 00:07:05,492 夢ではないかとのう。 55 00:07:05,492 --> 00:07:10,196 あささん あささん。 やや様に…。 (あさ)あっ はい! 56 00:07:17,504 --> 00:07:21,374 痛いか? 痛かろう。 57 00:07:21,374 --> 00:07:23,376 まことじゃ。 58 00:07:27,514 --> 00:07:30,517 お前様…。 59 00:07:36,189 --> 00:07:38,525 おめでとうございます。 60 00:07:38,525 --> 00:07:40,527 うん。 61 00:07:43,396 --> 00:07:47,534 お前様のご苦労が報いられて…。 62 00:07:47,534 --> 00:07:54,874 お前様が 一生懸命 お働きあそばした たまものでございます。うん。 63 00:07:54,874 --> 00:08:01,881 それを 信長様は ご覧あそばして…。 64 00:08:04,150 --> 00:08:10,490 本当に おめでとうございます。 65 00:08:10,490 --> 00:08:13,393 おかか…。 66 00:08:13,393 --> 00:08:18,365 おかかにも 随分 つらい思いをさせたのう。 67 00:08:18,365 --> 00:08:22,102 よう辛抱してくれた。 68 00:08:22,102 --> 00:08:25,505 おかかのおかげじゃ。 69 00:08:25,505 --> 00:08:28,174 おかかが いてくれたからこそ➡ 70 00:08:28,174 --> 00:08:30,110 わしも ここまで…。 71 00:08:30,110 --> 00:08:33,513 私は 何の役も…。 72 00:08:33,513 --> 00:08:40,186 わしはのう おかかを 城持ち大名のおかかにしたかったのじゃ。 73 00:08:40,186 --> 00:08:43,523 おかかが わしのおかかになってくれた時から➡ 74 00:08:43,523 --> 00:08:46,426 そう 心に決めておった。 75 00:08:46,426 --> 00:08:49,863 わしは おかかのために 一生懸命働いた。 76 00:08:49,863 --> 00:08:51,865 まことじゃ。 77 00:08:56,202 --> 00:09:02,008 私は 足軽組頭のおかか。 78 00:09:02,008 --> 00:09:08,148 お前様… お前様が好きなおつとめに励まれて➡ 79 00:09:08,148 --> 00:09:11,484 その日その日 しのげれば➡ 80 00:09:11,484 --> 00:09:14,154 ほかに欲しいものはございませなんだ。 81 00:09:14,154 --> 00:09:18,825 それが幸せでございました。 82 00:09:18,825 --> 00:09:24,831 はあ~ それが とうとう…。 83 00:09:26,499 --> 00:09:28,435 大名のおかかでは 不足か? 84 00:09:28,435 --> 00:09:33,840 いいえ。 私には 分不相応でございます。 85 00:09:33,840 --> 00:09:39,712 何を言う! わしが見込んだ おかかじゃぞ。 86 00:09:39,712 --> 00:09:42,515 わしの おかかじゃぞ! 87 00:09:42,515 --> 00:09:47,387 たとえ 百万石の大名のおかかになっても おかしゅうはないわ。 88 00:09:47,387 --> 00:09:52,525 お前様。 ウフフ…。 89 00:09:52,525 --> 00:09:56,196 あっ こうはしておられぬ! すぐ 祝いの支度を。 90 00:09:56,196 --> 00:09:58,131 あの 小一郎…。 ああ~。 91 00:09:58,131 --> 00:10:01,534 秀長じゃ。 あっ ひで… ひ? 92 00:10:01,534 --> 00:10:05,205 秀長! 秀長殿も 弥助殿も➡ 93 00:10:05,205 --> 00:10:07,874 今日は 骨休めじゃとおっしゃって 魚釣りに。 94 00:10:07,874 --> 00:10:11,211 じき戻られましょう。 すぐ 祝いの支度を。 95 00:10:11,211 --> 00:10:14,914 今宵は 思う存分 皆様と…。 96 00:10:17,884 --> 00:10:24,224 これからは 水仕事などはさせぬぞ。 97 00:10:24,224 --> 00:10:27,560 わしのおかかになって13年➡ 98 00:10:27,560 --> 00:10:32,232 よう働いてきた手じゃ。 99 00:10:32,232 --> 00:10:34,901 楽をしてくれのう。 100 00:10:34,901 --> 00:10:37,804 好きなだけ 栄耀栄華もさせてやれる。 101 00:10:37,804 --> 00:10:40,573 ねね。 いや…。 102 00:10:40,573 --> 00:10:46,246 ねねはのう 羽柴筑前守秀吉のおかかじゃぞ! 103 00:10:46,246 --> 00:10:49,916 私は 栄耀栄華などしとうはありません。 104 00:10:49,916 --> 00:10:53,786 しとうても どうしたらよいか分かりません。 105 00:10:53,786 --> 00:10:57,790 私は 今のまま 忙しく働き回るのが➡ 106 00:10:57,790 --> 00:11:00,793 性に合うております。 107 00:11:02,495 --> 00:11:07,867 相変わらず 欲がないのう。 おかか。 108 00:11:07,867 --> 00:11:13,573 (笑い声) 109 00:11:15,742 --> 00:11:19,212 (やや)まあ とも様と おあささから 話を聞いた時は➡ 110 00:11:19,212 --> 00:11:21,147 もう本当に びっくりした。 111 00:11:21,147 --> 00:11:23,883 (長政)いや~ わしも 耳を疑うてしもうたわ。 112 00:11:23,883 --> 00:11:28,755 いくら何でも いきなり 12万石の城持ち大名とはのう。 113 00:11:28,755 --> 00:11:31,558 秀吉殿がご城主になっては おかしいか? 114 00:11:31,558 --> 00:11:37,430 えっ…。 いえいえ 秀吉殿の 今まで尽くされた手柄を思えば。 115 00:11:37,430 --> 00:11:42,569 ハッハッハッハッハ。 いや~ 殊に 浅井・朝倉攻めなどは➡ 116 00:11:42,569 --> 00:11:46,906 秀吉殿お一人のお力で 勝利を収めたようなもの。 117 00:11:46,906 --> 00:11:48,841 格別のお手柄じゃったけえ。 118 00:11:48,841 --> 00:11:54,247 小谷城を落とした上に お市の方様まで 無事 お救いなされたのじゃからのう。 119 00:11:54,247 --> 00:11:58,585 長政殿。 そなたにも いろいろお世話になったそうな。 120 00:11:58,585 --> 00:12:02,855 秀吉殿がご出世なされたのも そなたたちのおかげ。 121 00:12:02,855 --> 00:12:05,525 厚くお礼を言います。 あ… いやいや。 122 00:12:05,525 --> 00:12:07,860 わしなどは 微力で…。 123 00:12:07,860 --> 00:12:11,531 さあさ 奥へ。 秀長殿も 弥助殿も もう…。 124 00:12:11,531 --> 00:12:16,202 さあ すぐ 祝いの支度をしますゆえ…。 それでは 早速 祝いの言葉なども。 125 00:12:16,202 --> 00:12:18,137 アッハッハッハ。 ⚟(笑い声) 126 00:12:18,137 --> 00:12:21,874 ⚟(笑い声) 127 00:12:21,874 --> 00:12:24,544 お姉様は おかしなお方じゃ。 128 00:12:24,544 --> 00:12:27,447 働いている時が 一番 生き生きと 美しゅう見える。 129 00:12:27,447 --> 00:12:30,883 アハハハッ! よほど貧乏性の生まれと見えるわ。 130 00:12:30,883 --> 00:12:34,220 人はのう 息災で働けるうちが花じゃ。 131 00:12:34,220 --> 00:12:38,091 ありがたいと思って働かねば 罰が当たります。 132 00:12:38,091 --> 00:12:41,094 (笑い声) 133 00:12:45,832 --> 00:12:48,568 (笑い声) 134 00:12:48,568 --> 00:12:51,904 今宵はのう 内輪だけの心ばかりの祝いじゃ。 135 00:12:51,904 --> 00:12:55,575 遠慮のう やってくれ。 ハハハ! 136 00:12:55,575 --> 00:12:59,245 小六殿以下 あちらの面々は➡ 137 00:12:59,245 --> 00:13:02,148 稲葉山攻めの時から わしと生死を共にしてくれた➡ 138 00:13:02,148 --> 00:13:04,083 剛の者たちでございます。 139 00:13:04,083 --> 00:13:07,520 彼らの働きなくば 今日の秀吉は ありませなんだ。 140 00:13:07,520 --> 00:13:11,858 特に 小六殿は わしの右腕になってもろうて…。 141 00:13:11,858 --> 00:13:14,193 わしは よい友に恵まれました。 142 00:13:14,193 --> 00:13:17,530 (小六)いやいや わしは ただ がむしゃらだけが 取り柄でのう。 143 00:13:17,530 --> 00:13:23,202 何と言うても 秀吉殿を 陰から支えてこられたのは秀長殿じゃ。➡ 144 00:13:23,202 --> 00:13:27,540 温かいお人柄 部下からの人望もあつい。 145 00:13:27,540 --> 00:13:31,210 秀吉殿の補佐役は 何と言うても 秀長殿じゃ。➡ 146 00:13:31,210 --> 00:13:33,880 まことに よい弟御をお持ちじゃ。 147 00:13:33,880 --> 00:13:36,783 (秀長)いや~ わしは ただ 兄者に くっついてきただけのことじゃ。 148 00:13:36,783 --> 00:13:39,752 まことの補佐役は 義姉様よ。➡ 149 00:13:39,752 --> 00:13:42,221 兄者のことは 誰よりも ようご存じで➡ 150 00:13:42,221 --> 00:13:47,560 兄者が存分に働けるよう しっかりと留守を守っておいでじゃった。 151 00:13:47,560 --> 00:13:51,431 今日の兄者があるのは ひとえに 義姉様のおかげよ。 152 00:13:51,431 --> 00:13:55,234 おろそかに思うたら 罰が当たるわ。 わしが許さん! 153 00:13:55,234 --> 00:13:58,905 秀長殿…。 分かっておる! 154 00:13:58,905 --> 00:14:04,177 大事なおかかじゃ。 わしはのう おかかのために 偉うなりたかったのよ。 155 00:14:04,177 --> 00:14:08,047 粗末にするはずがないわ。 156 00:14:08,047 --> 00:14:12,518 長政殿も よう働いてくだされた。 157 00:14:12,518 --> 00:14:15,855 今までは 信長様から おあずかりする与力じゃったが➡ 158 00:14:15,855 --> 00:14:21,194 これからは 羽柴筑前守秀吉の家臣として 信長様より頂戴し➡ 159 00:14:21,194 --> 00:14:23,529 それ相応に遇さねばならんのう。 160 00:14:23,529 --> 00:14:25,865 とうとう 秀吉殿のご家来になるのか。 161 00:14:25,865 --> 00:14:30,536 (又右衛門)それは重畳じゃ。 長政殿は 浅野の家を継ぐお人。 162 00:14:30,536 --> 00:14:35,208 まあ 今後とも よろしゅう お引き立て願いたい。 163 00:14:35,208 --> 00:14:39,879 小六殿 又十郎殿以下の面々も➡ 164 00:14:39,879 --> 00:14:43,549 羽柴家の家臣として 厚く遇さねばのう。 165 00:14:43,549 --> 00:14:47,220 (又十郎)いや~ 殿! わしゃ 禄などは要りませんぞ。 166 00:14:47,220 --> 00:14:51,090 わしゃ 秀吉殿を見込んでついてきた。 のう 弥兵衛も言え! 167 00:14:51,090 --> 00:14:54,093 (弥五六)殿の出世は わしらの出世や! そうじゃ! 168 00:14:54,093 --> 00:14:59,232 (又右衛門)いやいや 秀吉殿は ええご家臣を持たれて 果報なお方じゃ。 169 00:14:59,232 --> 00:15:04,070 それに 立派な ごきょうだいもおられる。 羽柴家は 万々歳じゃ。 170 00:15:04,070 --> 00:15:08,841 (こひ)嘉助殿がおられたら さぞ お喜びじゃろうにのう。 171 00:15:08,841 --> 00:15:12,178 嘉助さが岐阜に戻ったら びっくりするじゃろう。 172 00:15:12,178 --> 00:15:15,848 ああ おっ母さや きいにも 早う知らせてやりたいわ。 173 00:15:15,848 --> 00:15:18,184 そのうち 私がご挨拶に。 174 00:15:18,184 --> 00:15:21,087 藤吉郎も もう 12万石の大名じゃ。 175 00:15:21,087 --> 00:15:24,056 おっ母さを呼んで 楽をさせてあげてくだされ。 176 00:15:24,056 --> 00:15:26,058 はい。 そのつもりでおります。 177 00:15:26,058 --> 00:15:30,530 来るものか あの強情張りが。お前様。 ハハハハ! 178 00:15:30,530 --> 00:15:35,535 さあさあ 今宵は無礼講じゃ。 遠慮のう やってくれ。 179 00:15:42,141 --> 00:15:48,548 (嘉助)小谷攻めには3年もかかったわ。 長かったのう。 180 00:15:48,548 --> 00:15:54,220 死ぬかと思うことも 何度かあったが まあ どっちにしても 戦は地獄よ。 181 00:15:54,220 --> 00:15:57,123 (きい)じゃから 侍などやめて さっさと帰ってくればええんじゃ。 182 00:15:57,123 --> 00:16:01,494 いや わしゃ ひるみはせんぞ。 のう。 183 00:16:01,494 --> 00:16:05,832 いいか 小谷が落ちたのも 義兄様のお手柄よ。 184 00:16:05,832 --> 00:16:08,167 きっと 義兄様は また ご出世なさる。 185 00:16:08,167 --> 00:16:10,837 そしたら わしも 少しは お引き立てにあずかろう。 186 00:16:10,837 --> 00:16:15,508 きい 今度こそな お前とおっ母様を呼び寄せられる。 187 00:16:15,508 --> 00:16:17,443 楽しみにしていてくれ。 ヘッヘ…。 188 00:16:17,443 --> 00:16:24,183 (なか)なにが 出世じゃ。 藤吉郎は お市様のお子 万福丸様を串刺しにして➡ 189 00:16:24,183 --> 00:16:28,521 さらし者にしたというではないか。 世間では 鬼じゃと言うておる。 190 00:16:28,521 --> 00:16:33,192 おかげで 母親のわしは 肩身の狭い思いをしとるのじゃ。 191 00:16:33,192 --> 00:16:35,127 情けないわ。 192 00:16:35,127 --> 00:16:41,067 おっ母様。 おっ母様は 秀吉殿を そないなお方と思うておいでか? うん? 193 00:16:41,067 --> 00:16:44,804 あれはのう あれは 信長様のご命令で 他の者が…。 194 00:16:44,804 --> 00:16:47,206 おお! 秀吉殿はなあ➡ 195 00:16:47,206 --> 00:16:50,109 なんとかして 万福丸様を お助けしようとなされたんじゃ。 196 00:16:50,109 --> 00:16:54,547 じゃがなあ 信長様のご命令に背いたと知れたら➡ 197 00:16:54,547 --> 00:16:56,883 秀吉殿のお命の方が危ない。 198 00:16:56,883 --> 00:17:01,721 じゃによって 小六殿というお方が…。 しかたがなかったんじゃ。 199 00:17:01,721 --> 00:17:04,490 誰がやっても 同じことじゃ。 200 00:17:04,490 --> 00:17:08,160 殿様の命令とあれば 罪もない子供を殺す。 201 00:17:08,160 --> 00:17:11,063 それが 侍というものか! おぞましいわい。 202 00:17:11,063 --> 00:17:13,032 じゃから おっ母様 あれはのう…。 203 00:17:13,032 --> 00:17:16,035 (なか)それで出世して 何がええんじゃ。 何がうれしいんじゃ。 204 00:17:16,035 --> 00:17:21,040 わしゃ もう たくさんじゃ。 藤吉郎の話など せんでくれ。 205 00:17:46,532 --> 00:17:48,868 疲れたろう。 206 00:17:48,868 --> 00:17:53,172 まあ 起きておいででしたか。 207 00:17:56,742 --> 00:18:01,147 眠れぬ。 208 00:18:01,147 --> 00:18:04,150 では お酒を。 ああ。 209 00:18:06,485 --> 00:18:26,172 ♬~ 210 00:18:26,172 --> 00:18:32,178 おかか… よう生きて ここまで来たのう。 211 00:18:34,513 --> 00:18:45,858 私も お前様のために 幾度 身の縮む思いをさせられましたことか。 212 00:18:45,858 --> 00:18:51,731 わしは 運がよかった。 おかかが 運を持ってきてくれたのかもしれんのう。 213 00:18:51,731 --> 00:18:56,502 いいえ…。 運は ご自分の手でつかむものじゃ。 214 00:18:56,502 --> 00:19:01,807 お前様は そう言っておられました。 そのとおりでございます。 215 00:19:01,807 --> 00:19:07,146 お前様が 一生懸命 おつとめに励まれたから。 216 00:19:07,146 --> 00:19:12,818 わしはのう いわば 成り上がり者じゃ。 217 00:19:12,818 --> 00:19:16,155 丹羽殿や柴田殿とは違う。 218 00:19:16,155 --> 00:19:23,029 これからも… いや これからは 以前にも増して 風当たりが強うなろう。 219 00:19:23,029 --> 00:19:26,032 その中を生きていかねばならん。 220 00:19:31,170 --> 00:19:34,073 わしのまことの味方はのう➡ 221 00:19:34,073 --> 00:19:38,044 わしのことを 誰よりも よう分かってくれる➡ 222 00:19:38,044 --> 00:19:41,814 おかかと秀長だけじゃ。 223 00:19:41,814 --> 00:19:45,518 それだけは 忘れずにいてくれ。 はい。 224 00:19:45,518 --> 00:19:52,191 これからは 家臣も増えよう。 また 領内の人々のことも考えねばならん。 225 00:19:52,191 --> 00:19:56,529 ええ城主様じゃと 言われるようにならねばのう。 226 00:19:56,529 --> 00:19:58,864 おかかの務めも大変になるのう。 227 00:19:58,864 --> 00:20:03,536 フフフ…。 私も 足軽の娘。 228 00:20:03,536 --> 00:20:07,406 ご城主のおかかが どのようなものであるか➡ 229 00:20:07,406 --> 00:20:11,877 どうしたらよいか さっぱり見当がつきませぬ。 230 00:20:11,877 --> 00:20:15,548 でも 私のできるだけのことは…。 231 00:20:15,548 --> 00:20:17,483 その気持ちさえあれば わしのおかかじゃ➡ 232 00:20:17,483 --> 00:20:21,220 立派に務めてくれるわ。 233 00:20:21,220 --> 00:20:27,893 まず 小谷へ移らねば…。 それから 家臣を募る。 234 00:20:27,893 --> 00:20:31,764 皆 大ごとじゃ。 235 00:20:31,764 --> 00:20:34,767 小谷へ移るのでございますか? 236 00:20:34,767 --> 00:20:37,903 わしは 小谷城主じゃ。 237 00:20:37,903 --> 00:20:40,573 小谷じゃなければなりませぬか? 238 00:20:40,573 --> 00:20:43,476 うん? 239 00:20:43,476 --> 00:20:49,582 小谷だけは嫌でございます。 行きとうありませぬ。 行かれませぬ。 240 00:20:49,582 --> 00:20:51,517 おかか…? 241 00:20:51,517 --> 00:21:01,193 あのお城では 浅井久政様 長政様が ご自害あそばされました。 242 00:21:01,193 --> 00:21:04,196 万福丸様も…。 243 00:21:08,067 --> 00:21:11,537 お市様のお恨みも 籠もっておいでになりましょう。 244 00:21:11,537 --> 00:21:17,243 そのような所へ とても…。 つろうございます。 245 00:21:22,882 --> 00:21:26,552 私のわがままは 分かっております。 246 00:21:26,552 --> 00:21:29,855 でも 小谷だけは 嫌でございます。 247 00:21:32,892 --> 00:21:40,232 それでも行けとおっしゃるなら 私…。 248 00:21:40,232 --> 00:21:46,539 もういい。 分かった…。 249 00:21:48,908 --> 00:21:50,910 分かった。 250 00:21:53,245 --> 00:22:11,931 ♬~(歌声) 251 00:22:13,532 --> 00:22:18,204 おお 姫様方には ご機嫌よろしゅう。 252 00:22:18,204 --> 00:22:23,075 今日は この秀吉 姫様方に まりを持ってまいりましたぞ。 253 00:22:23,075 --> 00:22:29,782 ささ おごう様。 お初様。 お茶々様。 254 00:22:40,459 --> 00:22:45,231 お市様には ご機嫌麗しゅう…。 255 00:22:45,231 --> 00:22:48,133 (お市)お茶々 早う お上がりなされ。 256 00:22:48,133 --> 00:22:50,135 (茶々)はい。 257 00:22:58,577 --> 00:23:03,882 (くう)そなた よう お市の方様のお顔が見られるのう! 258 00:23:22,534 --> 00:23:41,553 ♬~ 259 00:23:41,553 --> 00:23:45,224 このお城では暮らしとうはございませぬ。 260 00:23:45,224 --> 00:23:47,559 (信長)ハッハッハ 何を言う。 261 00:23:47,559 --> 00:23:51,230 わしのもとを離れて どこに行く所があるんじゃ。 262 00:23:51,230 --> 00:23:57,102 清洲へ参りとうございます。 清洲へ? 263 00:23:57,102 --> 00:24:01,040 清洲は 私が大きゅうなった所…。 264 00:24:01,040 --> 00:24:04,777 今は 叔父上 信包殿がおられます。 265 00:24:04,777 --> 00:24:11,784 叔父上のおそばなら 姫たちと心安らかに 余生を送ることもできましょう。 266 00:24:14,453 --> 00:24:18,390 市 わしを恨んでいるのか…。 267 00:24:18,390 --> 00:24:22,394 どうか お聞き届けくださりませ。 268 00:24:32,538 --> 00:24:36,408 おかか 戻った!お帰りなさいませ。 おお やや殿。お帰りなさいまし。 269 00:24:36,408 --> 00:24:39,411 ちょうどよかった。 話がある。 ささ。 270 00:24:44,149 --> 00:24:48,087 おかか。 おかかは 小谷へ行かずともええ。 271 00:24:48,087 --> 00:24:50,089 なにも 嫌じゃというものを 無理にとは言わん。 272 00:24:50,089 --> 00:24:55,761 いいえ。 お姉様は 秀吉殿のおかかじゃ。 秀吉殿が行かれる所へなら どこへでも。 273 00:24:55,761 --> 00:24:57,763 のう? お姉様。 274 00:24:57,763 --> 00:25:00,699 いや 義姉様のお気持ちは よう分かります。 275 00:25:00,699 --> 00:25:03,836 普通の女子なら 城主のおかかになれるとなれば➡ 276 00:25:03,836 --> 00:25:06,739 有頂天になって どんなお城へでも乗り込みましょう。 277 00:25:06,739 --> 00:25:09,508 それができぬとおっしゃるのは いかにも 義姉様らしい。 278 00:25:09,508 --> 00:25:13,379 わしじゃとて 行かずに済むなら 行きとうはないわ。 279 00:25:13,379 --> 00:25:15,848 わしとて 同じじゃ。 280 00:25:15,848 --> 00:25:19,718 お市様には すっかり疎まれてしもうた。 281 00:25:19,718 --> 00:25:25,858 お市様の恨みの深さを思うたら 小谷を居城にするなど とてもできぬわ。 282 00:25:25,858 --> 00:25:29,728 お市様は 信長様をも 許してはおられぬのではないかのう。 283 00:25:29,728 --> 00:25:33,532 何でも 清洲へ行かれるそうではないか。 284 00:25:33,532 --> 00:25:35,467 清洲へ? 285 00:25:35,467 --> 00:25:42,207 お市様にとっては懐かしい清洲で 姫様たちと余生を送られるそうな。 286 00:25:42,207 --> 00:25:50,082 せっかく岐阜へ戻られて 信長様は 大層 お喜びだと伺いましたのに…。 287 00:25:50,082 --> 00:25:52,217 不運なお人よ。 288 00:25:52,217 --> 00:25:55,888 姫様たちのために 小谷を落ちられたのであろうが➡ 289 00:25:55,888 --> 00:25:59,558 死ぬよりも つらい思いを しておられるのであろうな。 290 00:25:59,558 --> 00:26:02,828 おかかは 岐阜におれ。 291 00:26:02,828 --> 00:26:06,698 そのうち 新しい城を建てる。 そこへ おかかを迎えてやる。 292 00:26:06,698 --> 00:26:09,168 それまでのう。 お城? 293 00:26:09,168 --> 00:26:13,038 うん。 今浜という所に築城することにした。 294 00:26:13,038 --> 00:26:16,041 琵琶湖のほとりで 風光明美な地じゃ。 おかかも きっと気に入ろう。 295 00:26:16,041 --> 00:26:18,177 信長様も お許しくだされた。 296 00:26:18,177 --> 00:26:21,847 とんでもございません。 私のために そのような…。 297 00:26:21,847 --> 00:26:24,183 おかかのために 城の一つや二つ 何でもないわ。 298 00:26:24,183 --> 00:26:27,519 いいえ なりませぬ。 新しい城を建てるなど…。 299 00:26:27,519 --> 00:26:30,422 また おからかいか?おかか。 300 00:26:30,422 --> 00:26:33,192 そう たやすく 城が出来るわけがございませぬ。 301 00:26:33,192 --> 00:26:36,528 どこから そのような銭が…。 ハッハッハッハ! 302 00:26:36,528 --> 00:26:39,865 侍大将のおかかが やりくりするのではないわ。 303 00:26:39,865 --> 00:26:42,201 12万石がある。 領民がおる。 304 00:26:42,201 --> 00:26:45,103 全ての領民に 賦役を課せば たちまち出来上がるわ。 305 00:26:45,103 --> 00:26:48,540 (やや)それでは 領民を働かせて? ああ 平等にのう。 306 00:26:48,540 --> 00:26:50,876 そんなひどいことを…。 307 00:26:50,876 --> 00:26:54,546 おかか 領民の務めじゃ。 308 00:26:54,546 --> 00:26:57,449 そのかわり わしは 領民たちを守ってやる。 相身互い。 309 00:26:57,449 --> 00:26:59,885 昔から そうなっておるのじゃ。 310 00:26:59,885 --> 00:27:02,788 小谷には 立派なお城がございます。 311 00:27:02,788 --> 00:27:06,692 私は ここの暮らしで十分でございます。 312 00:27:06,692 --> 00:27:10,496 はて 困ったのう。 (秀長)ハハハ。 313 00:27:10,496 --> 00:27:13,165 おかかには 城持ち大名のおかかが どのようなものか➡ 314 00:27:13,165 --> 00:27:15,501 とんと合点がいかぬと見えるのう。 315 00:27:15,501 --> 00:27:19,838 秀長 かみ砕いて 分かるように話してやれ。 316 00:27:19,838 --> 00:27:23,509 ああ。 義姉様のために建てるのではありません。 317 00:27:23,509 --> 00:27:29,181 小谷は山城。 山高く 霧深く 難攻不落で聞こえておりますが➡ 318 00:27:29,181 --> 00:27:31,517 人の往来には 難渋いたしております。 319 00:27:31,517 --> 00:27:36,188 往来の便が悪うては 商いもままならず 従って 商人も集まりません。 320 00:27:36,188 --> 00:27:38,524 それでは 町は栄えません。 321 00:27:38,524 --> 00:27:43,395 その点 今浜なら 船の便はよく 京との往来も容易です。➡ 322 00:27:43,395 --> 00:27:48,534 また 守るにしても攻めるにしても 小谷に比べて 地の利は得ております。 323 00:27:48,534 --> 00:27:53,405 何じゃ お姉様のためじゃなどと すっかり 秀吉殿に乗せられてしもうたわ。 324 00:27:53,405 --> 00:27:56,875 いや おかかのためが 一番の理由じゃ。 アッハッハッハ! 325 00:27:56,875 --> 00:27:59,778 いつも その手で お姉様は ごまかされておいでじゃ。 326 00:27:59,778 --> 00:28:02,481 やや。 うん… いや あの ともかくな➡ 327 00:28:02,481 --> 00:28:06,351 城が出来たら きいも呼べる。 さすがのおっ母様も 出てこられよう。 328 00:28:06,351 --> 00:28:09,821 のう? それまで わしは 小谷におる。 329 00:28:09,821 --> 00:28:13,158 やはり 小谷に行かれますか。 330 00:28:13,158 --> 00:28:17,829 12万石の城持ち大名になるためには せねばならぬことが 山ほどある。 331 00:28:17,829 --> 00:28:22,501 家臣を集めねばのう。 おかかに仕える女子どもも 探さねば…。 332 00:28:22,501 --> 00:28:25,837 いいえ。 私には あささんさえ いてくれれば…。 333 00:28:25,837 --> 00:28:30,509 そうはいかんのじゃ。 城に住むには それなりの体裁がいる。 334 00:28:30,509 --> 00:28:33,845 奥を取りしきるには それ相応ののう…。 でも 私は…。 335 00:28:33,845 --> 00:28:37,516 ええい わしに任せておけ! 城が出来たら 分かるわ。 336 00:28:37,516 --> 00:28:40,185 それでは 私も 小谷へは行かずとも…? 337 00:28:40,185 --> 00:28:43,855 長政殿は 小谷じゃ。 ついていかれるならば行かれたらよい。 338 00:28:43,855 --> 00:28:45,791 のう。 339 00:28:45,791 --> 00:28:47,793 (ため息) 340 00:28:51,730 --> 00:28:57,202 私は行かずとも ええじゃろう? そのような山の中で暮らしては➡ 341 00:28:57,202 --> 00:28:59,137 坊たちが かわいそうじゃ。 342 00:28:59,137 --> 00:29:01,807 (弥助)小谷では 親子4人 一緒じゃ。 343 00:29:01,807 --> 00:29:06,144 ねねさが岐阜に残られるのなら その方がええ。 344 00:29:06,144 --> 00:29:09,047 ねねさは 坊たちを慈しんでくださる。 345 00:29:09,047 --> 00:29:14,486 離れ離れになっては 坊たちも ねねさも かわいそうじゃ。 346 00:29:14,486 --> 00:29:20,359 今浜は 湖のほとり。 美しい所と聞いた。 347 00:29:20,359 --> 00:29:25,364 どのような城が出来るのじゃろう? 楽しみじゃ。 アハハ。 348 00:29:27,065 --> 00:29:33,839 <秀吉は 秀長と共に 家臣を連れ 小谷城へ移った。➡ 349 00:29:33,839 --> 00:29:37,509 ねねは ともたち親子と 岐阜へ残ることになり➡ 350 00:29:37,509 --> 00:29:43,215 秋のある日 ねねは 久しぶりに 中村へ挨拶に出かけた> 351 00:29:46,518 --> 00:29:51,857 お城での暮らしは どうなのじゃ? 小谷は 立派なお城じゃそうな。 352 00:29:51,857 --> 00:29:56,194 小谷へは 訳があって 私は…。 353 00:29:56,194 --> 00:30:01,066 新しい城が出来ましたら…。 お城を造るのか? 354 00:30:01,066 --> 00:30:06,838 はい。 小谷は山城ゆえ 何かと不都合じゃとおっしゃって。 355 00:30:06,838 --> 00:30:09,207 大名になったと思うたら…。 356 00:30:09,207 --> 00:30:14,880 野宿して 木綿針を売り歩いてた 時のことなど 忘れてしもうて。 357 00:30:14,880 --> 00:30:20,752 秀吉殿には 秀吉殿のお考えがあってのこと。 358 00:30:20,752 --> 00:30:24,556 あ… つきましては➡ 359 00:30:24,556 --> 00:30:28,894 無事 築城がなりましたら 是非 お母様に…。 360 00:30:28,894 --> 00:30:32,764 いや わしは行かぬ。 いえ 今日は そのことをお願いに…。 361 00:30:32,764 --> 00:30:35,767 ハッハ! そりゃ 無駄じゃ。 おっ母さあ…。 362 00:30:35,767 --> 00:30:38,236 (なか) いや わしの気持ちは変わりゃあせん。➡ 363 00:30:38,236 --> 00:30:42,107 なんぼ 城主になったからとて 明日のことは分からん。 364 00:30:42,107 --> 00:30:48,580 現に 小谷の前の殿様は 戦に負けて 自害なされたというではないか。➡ 365 00:30:48,580 --> 00:30:51,483 それが戦国というものよのう。 (戸が開く音) 366 00:30:51,483 --> 00:30:55,454 (すぎ)おなかさ。 秀吉殿の奥方がお見えになってるそうな。 367 00:30:55,454 --> 00:30:57,589 ちょっと ええかなも…。 368 00:30:57,589 --> 00:31:00,192 (なか)おすぎさか? おさださも一緒だ。 369 00:31:00,192 --> 00:31:04,863 ああ また イチとトラのことじゃな。 そのことなら 断る! 370 00:31:04,863 --> 00:31:06,798 冷たいこと言わずと。 371 00:31:06,798 --> 00:31:09,735 あっ このお方が 秀吉殿の…。 372 00:31:09,735 --> 00:31:13,205 もう 駄目じゃ! もう わしは反対じゃ。 373 00:31:13,205 --> 00:31:16,541 息子を侍にしたいなどとは 正気の沙汰ではないわ! 374 00:31:16,541 --> 00:31:20,212 イチ! トラ! これ! 375 00:31:20,212 --> 00:31:24,082 これが せがれのイチでござります。 (さだ)せがれのトラにございます。 376 00:31:24,082 --> 00:31:26,084 この子を 秀吉殿のご家来に…。 377 00:31:26,084 --> 00:31:30,222 奥方様から 秀吉殿に お口添え願いとうございます。 378 00:31:30,222 --> 00:31:32,157 うちのせがれも 是非…。 379 00:31:32,157 --> 00:31:34,559 まだ 子供ではありませぬか。 380 00:31:34,559 --> 00:31:37,462 小そうても 力では 大人にも引けは取りませぬ。 381 00:31:37,462 --> 00:31:41,900 飯じゃとて 大人の何倍も…。 我らの細腕では とても…。 382 00:31:41,900 --> 00:31:46,571 口減らしなら ほかに奉公の道もあろうが。 なにも 侍にさせんでも…。 383 00:31:46,571 --> 00:31:49,241 (トラ)わしは 侍になりたいのじゃ! (イチ)わしもじゃ! 384 00:31:49,241 --> 00:31:52,144 侍のどこがええのじゃ。 何にも知らずと。 385 00:31:52,144 --> 00:31:54,913 戦が好きじゃ! 畑をせんでええのが ええ! 386 00:31:54,913 --> 00:31:58,784 侍なら 秀吉殿のように偉うもなれる。 わしは 偉うなりたい! 387 00:31:58,784 --> 00:32:02,521 精出して働く! 連れてってくれ! ならぬ! ならん ならん。 388 00:32:02,521 --> 00:32:07,392 うちは 8人の子持ちじゃ。 腹いっぱい食わせることもできぬ。 389 00:32:07,392 --> 00:32:12,197 何度か 奉公には出したがなも 大食らいで 皆 帰されてきた。 390 00:32:12,197 --> 00:32:14,132 帰されたのではないわ。 出てきたんじゃ。 391 00:32:14,132 --> 00:32:18,870 トラは どこ行っても けんかしおって…。 腕っぷしが強すぎて 手に負えんのじゃ。 392 00:32:18,870 --> 00:32:20,806 侍なら なんとか…。 393 00:32:20,806 --> 00:32:25,210 母親のくせに 大事なせがれを ようも…。 394 00:32:25,210 --> 00:32:28,880 本当に 子供がかわいいなら 侍などさせぬ方がええと➡ 395 00:32:28,880 --> 00:32:30,816 あれほど言うたではないか! 396 00:32:30,816 --> 00:32:34,553 このとおりじゃ! いやもう 帰れ 帰れ! 帰れ! 397 00:32:34,553 --> 00:32:39,558 このとおりじゃ。 藤吉郎のおかげで こっちは迷惑しとるわ。 398 00:32:41,226 --> 00:32:47,899 私は 秀吉殿のおかかじゃが ご家来衆のことは よう分かりません。 399 00:32:47,899 --> 00:32:51,770 せっかく おいでくだされたが お役には立ちませぬ。 400 00:32:51,770 --> 00:32:54,773 許してくだされ。 なあ? 401 00:33:04,182 --> 00:33:08,520 ♬~ 402 00:33:08,520 --> 00:33:10,522 どこへ行かれる。 403 00:33:12,190 --> 00:33:15,861 私についてきても 私は知らぬ。 404 00:33:15,861 --> 00:33:42,554 ♬~ 405 00:33:44,890 --> 00:33:47,559 お方様 追い払いましょうか? 406 00:33:47,559 --> 00:33:52,430 ハハハッ 無駄じゃ。 追い払っても諦める子ではないわ。 407 00:33:52,430 --> 00:33:57,135 なかなかの根性よ。 末頼もしいわ。 408 00:34:14,519 --> 00:34:17,422 (とも)ねねさも 物好きな…。➡ 409 00:34:17,422 --> 00:34:20,392 8杯目じゃぞ。 410 00:34:20,392 --> 00:34:26,865 よいよい 食べ盛りじゃ。 ほれ。 411 00:34:26,865 --> 00:34:31,536 <このわんぱく坊主が 後々 秀吉の右腕になって働く➡ 412 00:34:31,536 --> 00:34:37,208 加藤虎之助清正と 福島市松正則である。➡ 413 00:34:37,208 --> 00:34:41,212 これが ねねとの初めての出会いであった> 414 00:34:44,082 --> 00:34:48,820 <そして トラとイチは 居ついてしまった> 415 00:34:48,820 --> 00:34:53,758 ああ ご苦労じゃなあ。 ちょっと おじゃれ。 416 00:34:53,758 --> 00:34:58,463 秀吉殿が起きられた。 ご挨拶なされ。 417 00:35:10,842 --> 00:35:15,513 お話しいたしました イチとトラでございます。 418 00:35:15,513 --> 00:35:18,850 うん。 419 00:35:18,850 --> 00:35:22,187 侍になりたいのか? (2人)はい! 420 00:35:22,187 --> 00:35:28,193 うん。 よかろう。 わしと一緒に 小谷へ来い。 421 00:35:30,061 --> 00:35:37,535 お許しが出たのじゃ。 小谷のお城で しっかりお働きなされ。 422 00:35:37,535 --> 00:35:43,208 案ずることはない。 ひもじい思いはさせぬ。 よいな? 423 00:35:43,208 --> 00:35:47,078 (2人)ありがとうございます! 424 00:35:47,078 --> 00:35:52,217 フフフフ…。 ああっ! ハハハ… まあ。 425 00:35:52,217 --> 00:35:57,555 おかかの頼みじゃけえ 連れてはいくが あれでは どうにもならんのう。 ハハッ。 426 00:35:57,555 --> 00:36:00,825 おなかいっぱい食べたいだけの 仕官でございましょう。 427 00:36:00,825 --> 00:36:04,696 よい子たちでございます。 お目にかけてくだされ。 428 00:36:04,696 --> 00:36:07,999 うん。 あっ…。 あっ はい はい。 429 00:36:09,834 --> 00:36:14,172 ハハハッ そういえば わしも あの子らと同じような時があった。 430 00:36:14,172 --> 00:36:18,176 昔のわしを見てるようじゃのう。 ハッハ ひと事とは思えぬわ。 431 00:36:20,045 --> 00:36:24,516 信長様は 度々 ご出陣あそばすと伺いましたのに➡ 432 00:36:24,516 --> 00:36:28,186 お前様は お供なさらずとも よろしいのでございますか? 433 00:36:28,186 --> 00:36:35,060 うん。 まずは 領内を治めるのが急務じゃ。 信長様も ご承知くだされておる。 434 00:36:35,060 --> 00:36:39,364 もう 毎日 人に会うだけで もう 大ごとじゃ。 435 00:36:42,200 --> 00:36:48,073 家臣も だいぶ集まった。 ほとんどが 浅井に仕えていた者たちじゃ。 436 00:36:48,073 --> 00:36:52,210 小谷攻めの折 わしが説得して 織田方に内応した者もおる。 437 00:36:52,210 --> 00:36:54,879 なかなかの人物じゃ。 438 00:36:54,879 --> 00:37:00,485 お前様は 尾張のお方なのに 近江のお方を ご家臣になされますのか。 439 00:37:00,485 --> 00:37:03,388 アハハハハ。 そのようなこと言うてはおられぬわ。 440 00:37:03,388 --> 00:37:06,357 わしには 子飼いの家臣というものがおらん。 441 00:37:06,357 --> 00:37:08,827 これから 家臣を集めるとなると➡ 442 00:37:08,827 --> 00:37:14,499 近江で城主になった以上 近江で募るよりほかはない。 443 00:37:14,499 --> 00:37:20,371 祝いに来る者 訴えに来る者… ハッハッハッハ さまざまな人でのう➡ 444 00:37:20,371 --> 00:37:24,843 あの小谷の山城も にぎおうておるわ。 ハハハッ 疲れた。 445 00:37:24,843 --> 00:37:28,179 私のわがままで お世話もできませず…。 446 00:37:28,179 --> 00:37:32,050 よい よい。 戦に出ていると思えば 何でもないわ。 447 00:37:32,050 --> 00:37:34,052 おかかは ここで待っておればええ。 448 00:37:34,052 --> 00:37:38,823 ゆっくりできるのも 今のうちだけかもしれんぞ。 449 00:37:38,823 --> 00:37:43,528 あっ そうじゃ。 おかか。 気に入った女子がおったらのう➡ 450 00:37:43,528 --> 00:37:47,198 侍女にしたらいい。 秀長も集めてくれてはおるが➡ 451 00:37:47,198 --> 00:37:50,535 おかかも 心掛けておいたらええ。 のう。 452 00:37:50,535 --> 00:37:54,239 侍女など とんでもございませぬ。 453 00:37:57,208 --> 00:37:59,878 おかか。 城主のおかかというものはのう…。 454 00:37:59,878 --> 00:38:03,748 たとえ 何になろうと あささんさえ いてくだされば…。 455 00:38:03,748 --> 00:38:06,751 今までも そうしてまいりました。 456 00:38:08,686 --> 00:38:12,157 おかか…。 457 00:38:12,157 --> 00:38:15,827 <秀吉の言うとおり この時の暮らしが➡ 458 00:38:15,827 --> 00:38:21,166 ねねの一生にとって 一番 平穏な時代であったのかもしれない。➡ 459 00:38:21,166 --> 00:38:25,503 ねねには 城主夫人としての生活が どんなものか➡ 460 00:38:25,503 --> 00:38:28,807 想像もつかなかったのである> 461 00:38:32,377 --> 00:38:35,513 <年が明けた天正2年元旦。➡ 462 00:38:35,513 --> 00:38:41,519 信長は 諸将を岐阜城に参集させ 年賀の儀を行った> 463 00:38:49,527 --> 00:38:53,531 羽柴筑前守秀吉殿。 464 00:39:01,806 --> 00:39:07,478 殿には ご尊顔麗しく 新年のご挨拶を申し上げます。 465 00:39:07,478 --> 00:39:09,414 うむ。 466 00:39:09,414 --> 00:39:13,151 ⚟申し上げます!➡ 467 00:39:13,151 --> 00:39:15,486 ただいま入りました 伝令の口上によれば➡ 468 00:39:15,486 --> 00:39:18,823 越前に 一向一揆 蜂起いたしました由にございます! 469 00:39:18,823 --> 00:39:21,159 何!? 470 00:39:21,159 --> 00:39:26,030 <朝倉は滅亡したが その後 越前の不安は著しく➡ 471 00:39:26,030 --> 00:39:31,169 信長は またまた 本願寺の一向一揆に 苦しめられることになる。➡ 472 00:39:31,169 --> 00:39:36,507 この時 秀吉は 信長の命により 敦賀へ派遣された。➡ 473 00:39:36,507 --> 00:39:40,178 その間 今浜の築城は 順調に進み➡ 474 00:39:40,178 --> 00:39:45,883 翌天正3年の春には 城は 無事完成していた> 475 00:40:08,206 --> 00:40:12,076 ここでは 長い間 お世話になった。 476 00:40:12,076 --> 00:40:15,079 名残惜しいのう。 (あさ)本当に…。 477 00:40:15,079 --> 00:40:18,216 お城の厨は どんなふうでございましょう? 478 00:40:18,216 --> 00:40:23,221 人も多くなるそうな。 忙しゅうなりましょう。 479 00:40:26,090 --> 00:40:30,228 (戸が開く音) ああ 間に合うて よかった。 480 00:40:30,228 --> 00:40:33,898 お母様が 弁当をこしらえてくだされた。 まあ。 481 00:40:33,898 --> 00:40:38,569 私たちも一緒に たちたかったが 家が まだ片づかぬ。 あとから行く。 482 00:40:38,569 --> 00:40:41,239 道中 気を付けてのう。 483 00:40:41,239 --> 00:40:44,142 それでは あちらでのう。 うん。 484 00:40:44,142 --> 00:40:46,911 そろそろ行かれた方が よろしいのではないか? 485 00:40:46,911 --> 00:40:50,782 秀吉殿が 迎えの者をよこしてくださるそうな。 486 00:40:50,782 --> 00:40:57,255 とも様には 坊がおられるゆえ 馬か何か 用意してくださるのであろう。 487 00:40:57,255 --> 00:41:00,525 (みつ)お方様。 488 00:41:00,525 --> 00:41:04,862 おみつ殿! 本日は おめでとうございます。 489 00:41:04,862 --> 00:41:09,200 お迎えに参りました。 みつが お供をさせていただきます。 490 00:41:09,200 --> 00:41:14,539 よう来てくだされた。 おみつ殿が道案内なら安心じゃ。 491 00:41:14,539 --> 00:41:17,241 では とも様を…。 492 00:41:25,183 --> 00:41:29,087 これをお召しあそばすよう 秀吉様から下されました。 493 00:41:29,087 --> 00:41:32,390 すぐ お召し替えなされてくださいまし。 494 00:41:36,561 --> 00:41:39,897 まあ…! 495 00:41:39,897 --> 00:41:42,233 なんと 見事な…。 496 00:41:42,233 --> 00:41:46,104 あ… これを着て旅をしろと? 497 00:41:46,104 --> 00:41:50,108 (みつ)はい。 秀吉様の仰せにございます。 498 00:41:50,108 --> 00:41:55,580 ハハッ まさか…。 このようなもの着たら 歩けぬわ。 499 00:41:55,580 --> 00:41:58,249 輿が待っております。 500 00:41:58,249 --> 00:42:00,551 輿? 501 00:42:11,796 --> 00:42:14,732 何事じゃ これは…!? 502 00:42:14,732 --> 00:42:20,438 今浜城主ご内室 ねね様の 輿とお供にございます。 503 00:42:32,884 --> 00:42:34,819 これに乗れというのか? 504 00:42:34,819 --> 00:42:38,756 まあ 仰々しい…。 505 00:42:38,756 --> 00:42:41,225 私は歩いていくわ。 506 00:42:41,225 --> 00:42:44,128 輿など乗らずとも 歩けるわ。 507 00:42:44,128 --> 00:42:46,831 そのための2本の脚じゃ! 508 00:42:49,901 --> 00:42:54,238 お姉様! あっ 坊たちに。 509 00:42:54,238 --> 00:42:58,943 お方様? はあ…。 510 00:43:09,520 --> 00:43:12,857 <足軽組頭から 侍大将まで➡ 511 00:43:12,857 --> 00:43:17,528 ただ やりくりに追われて つつましく おかかの務めを果たしてきた ねねには➡ 512 00:43:17,528 --> 00:43:21,532 身分の変化が どうしても認識できなかった> 513 00:43:29,540 --> 00:43:33,411 <今浜の新しい城で どんな暮らしが待っているのか。➡ 514 00:43:33,411 --> 00:43:37,415 ねねは 初めて不安になっていた> 515 00:43:37,415 --> 00:43:45,122 ♬~