1 00:00:02,102 --> 00:02:37,090 ♬~ 2 00:02:39,192 --> 00:02:41,862 <天正3年春。➡ 3 00:02:41,862 --> 00:02:47,734 秀吉が 琵琶湖東岸の今浜に築城中だった 新しい城が完成し➡ 4 00:02:47,734 --> 00:02:51,872 ねねも 岐阜から移り住む日が来た。➡ 5 00:02:51,872 --> 00:02:58,745 名実共に 江北三郡を領する 今浜城主 羽柴筑前守秀吉のご内室として➡ 6 00:02:58,745 --> 00:03:02,149 迎え入れられることになったのである> 7 00:03:02,149 --> 00:03:10,490 ♬~ 8 00:03:10,490 --> 00:03:14,161 <ひたすら秀吉のもとへ急ぐ ねねの胸に➡ 9 00:03:14,161 --> 00:03:20,500 新しく始まる城主夫人への不安と一緒に 過ぎ去った日々の数々の思い出が➡ 10 00:03:20,500 --> 00:03:23,403 よぎっては 消えていた> 11 00:03:23,403 --> 00:03:27,374 (とも)おねねさ! 海じゃ! 海が見える! 12 00:03:27,374 --> 00:03:29,376 (ねね)え…。 13 00:03:31,845 --> 00:03:34,181 (みつ)琵琶湖にございます。 14 00:03:34,181 --> 00:03:38,852 あれが? あれが湖か…。 15 00:03:38,852 --> 00:03:43,523 大きいのう。 海のようじゃ。 16 00:03:43,523 --> 00:03:47,527 はあ~ とうとう来た。 17 00:03:50,397 --> 00:03:52,866 (みつ)間もなく 今浜でございます。 18 00:03:52,866 --> 00:03:55,769 お着替えあそばされて 輿をお使いくださいますよう。 19 00:03:55,769 --> 00:03:59,206 私のことは 気を遣ってくださるな。 さあ 急ぎましょう。 20 00:03:59,206 --> 00:04:01,475 それでは 秀吉様に…。 21 00:04:01,475 --> 00:04:04,377 輿など 身分不相応じゃ。 ささ…。 22 00:04:04,377 --> 00:04:08,348 お方様は 今浜城主のご内室様にございます。 23 00:04:08,348 --> 00:04:11,485 何になろうと 私は 秀吉殿のおかかじゃ。 24 00:04:11,485 --> 00:04:15,155 今までとは変わりない。 お方様! 25 00:04:15,155 --> 00:04:20,026 あのようなものに押し込められてるより こうして歩いてった方が楽しい。 26 00:04:20,026 --> 00:04:22,496 気も楽じゃ。 27 00:04:22,496 --> 00:04:31,204 ♬~ 28 00:04:37,844 --> 00:04:41,148 (秀吉)秀長! 秀長! 29 00:04:46,520 --> 00:04:48,855 (秀長)はっ。 30 00:04:48,855 --> 00:04:51,525 まだか!? もうそろそろ…。 31 00:04:51,525 --> 00:04:55,195 聞き飽きたわ! 誰ぞやって 様子を見させい! 32 00:04:55,195 --> 00:04:58,098 道中 なんぞあったのかもしれん。 遅すぎるわ。 33 00:04:58,098 --> 00:05:00,033 供には 剛の者をつけてあります。 34 00:05:00,033 --> 00:05:02,469 また なんぞあれば 知らせてまいりましょう。 35 00:05:02,469 --> 00:05:04,471 ああ…。 36 00:05:07,808 --> 00:05:12,813 まあ… 立派なお城じゃのう。 37 00:05:30,063 --> 00:05:32,032 出迎えの用意は 遺漏ないのう!? 38 00:05:32,032 --> 00:05:35,035 おかかの初めての入城じゃ。 喜ばしてやりたい。 39 00:05:35,035 --> 00:05:37,737 兄者 案じなされますな。 40 00:05:48,849 --> 00:05:52,519 ⚟奥方様 ご着到の由にございます。 41 00:05:52,519 --> 00:05:54,854 来たか! 42 00:05:54,854 --> 00:05:57,190 来おった! 秀長! 来おった! 43 00:05:57,190 --> 00:06:00,193 来おった 来おった! 来おった! アハハ! 来おった! 44 00:06:08,802 --> 00:06:12,472 (侍女)無事のご着到 祝着至極に存じまする。➡ 45 00:06:12,472 --> 00:06:17,477 お疲れでございましたでしょう。 殿様が お待ちかねでございます。 46 00:06:19,145 --> 00:06:21,815 おかか! お前様! 47 00:06:21,815 --> 00:06:24,150 よう来た! ただいま到着いたしました。 48 00:06:24,150 --> 00:06:27,454 いろいろ お心遣いいただいて…。 49 00:06:29,823 --> 00:06:34,694 お前様 そのおひげ… いつ おたてになりました? 50 00:06:34,694 --> 00:06:38,164 ハッハッハッハ! ほんに まあ 偉そうに。 51 00:06:38,164 --> 00:06:40,500 (笑い声) 52 00:06:40,500 --> 00:06:42,502 兄者。 53 00:06:44,170 --> 00:06:47,841 では ずっと歩いてきたというのか!? 54 00:06:47,841 --> 00:06:49,776 は… はい。 55 00:06:49,776 --> 00:06:51,711 ⚟(きい)義姉様! それはそれは…。 56 00:06:51,711 --> 00:06:55,181 あれ! きい様。 (嘉助)きい! 57 00:06:55,181 --> 00:06:57,517 御前じゃぞ! 失礼があってはならん! 58 00:06:57,517 --> 00:07:00,420 (きい)兄さと義姉様ではないか。 なにが 失礼じゃ! 59 00:07:00,420 --> 00:07:02,355 きい! こら! 60 00:07:02,355 --> 00:07:06,326 わしも 兄様から迎えをもろうて 義姉様より 早う着いた。 61 00:07:06,326 --> 00:07:11,464 嘉助さも 足軽大将になって 家もある。 しばらくは そこで暮らすつもりじゃ。 62 00:07:11,464 --> 00:07:15,335 まあ それは よろしゅうございました。 して お義母様は? 63 00:07:15,335 --> 00:07:19,339 中村じゃ。 テコでも動かぬ。 もう諦めた。 64 00:07:19,339 --> 00:07:22,475 では お一人で 中村に…? 放っておけばええんじゃ。 65 00:07:22,475 --> 00:07:25,378 おっ母さも そう言っとる。 まあ…。 66 00:07:25,378 --> 00:07:30,150 (きい)義姉様に会えて うれしいわ! よろしゅうございました。 67 00:07:30,150 --> 00:07:32,485 おかか! はい! 68 00:07:32,485 --> 00:07:34,821 何のために 輿を遣わしたか➡ 69 00:07:34,821 --> 00:07:37,490 何のために 小袖まで添えたか 分かっておるのか! 70 00:07:37,490 --> 00:07:41,828 12万石の城主のおかかの 晴れの日に ふさわしいようにと思うて➡ 71 00:07:41,828 --> 00:07:44,731 それを…! これでは 不都合でございましたか? 72 00:07:44,731 --> 00:07:48,702 歩いて来ては なんぞ障りでも? 73 00:07:48,702 --> 00:07:51,504 おかかが 初めて この城に入るのじゃぞ! 74 00:07:51,504 --> 00:07:56,176 城主のおかかには それ相応の…! もう! 兄者! 兄者! 75 00:07:56,176 --> 00:07:59,512 よいではないか。 誰が咎めるわけでもなし。 76 00:07:59,512 --> 00:08:02,415 義姉様のなさりたいように なさればよい。 77 00:08:02,415 --> 00:08:05,118 それにしても 義姉様らしいのう。 78 00:08:05,118 --> 00:08:08,455 城主のご内室になられても 少しも変わらんわ。 ハッハッハ! 79 00:08:08,455 --> 00:08:12,792 いや! 変わってもらわねば困る! 今までとは 何もかも違うのじゃ! 80 00:08:12,792 --> 00:08:15,128 ⚟(弥助)弥助でござりまする。 81 00:08:15,128 --> 00:08:19,799 弥助殿! (とも)弥助さ~! やっと 今 ここへ。➡ 82 00:08:19,799 --> 00:08:24,137 坊! ほら 父様じゃ 父様じゃ。 (弥助)おお よう来たのう。 83 00:08:24,137 --> 00:08:28,007 わしは 秀吉殿にお引き立てをいただいて 足軽大将に任ぜられた。 84 00:08:28,007 --> 00:08:31,478 家も頂戴した。 さあ 坊たちを連れて すぐ そこへ。 85 00:08:31,478 --> 00:08:35,348 いや… ここに住むのではないのか? いや そうはいかんのじゃ。 86 00:08:35,348 --> 00:08:37,350 人には それぞれ分というものがある。 87 00:08:37,350 --> 00:08:40,487 たとえ きょうだいといっても それを超えることはできぬ。 88 00:08:40,487 --> 00:08:43,156 それでは 坊たちとは もう…? 89 00:08:43,156 --> 00:08:46,059 (弥助)すぐ近くでござります。 いつでも お目にかかれます。 90 00:08:46,059 --> 00:08:48,495 何やら 寂しいのう…。 91 00:08:48,495 --> 00:08:52,165 同じ屋根の下で 一緒に暮らしてきたものを…。 92 00:08:52,165 --> 00:08:57,037 ねね様には かわいがっていただきました。 坊 忘れはせんのう。 なあ? 93 00:08:57,037 --> 00:08:59,839 さあ それじゃあ 支度を…。 まあ そう急がずとも。 94 00:08:59,839 --> 00:09:03,109 きょうだい 打ちそろったんじゃ。 夕げでも食べて…。 95 00:09:03,109 --> 00:09:07,447 そうじゃ すぐ支度を…。 あっ! 厨は どこじゃ? 96 00:09:07,447 --> 00:09:11,317 夕げの支度は 係の者がしておる! おかかは 早う 着替えをせえ! 97 00:09:11,317 --> 00:09:13,787 皆が 首を長うして待っておるんじゃ! 98 00:09:13,787 --> 00:09:17,457 兄さ! 義姉様が せっかく おっしゃってくださるのに。 99 00:09:17,457 --> 00:09:20,460 黙れ! 誰かある! 100 00:09:30,036 --> 00:09:35,475 (こほ)お方様には 道中お障りもなく 何よりでございました。 101 00:09:35,475 --> 00:09:38,144 私は こほと申す者。 102 00:09:38,144 --> 00:09:42,015 お方様の お身の回りのお世話を 取りしきらせていただきます。 103 00:09:42,015 --> 00:09:45,718 どうぞ よろしゅうお願いいたします。 104 00:09:48,488 --> 00:09:50,423 (すえ)すえでございます。 105 00:09:50,423 --> 00:09:55,161 お方様のお召し物の お世話をさせていただきます。 106 00:09:55,161 --> 00:10:00,834 あちらに お召し替えのお支度が 整うております。 107 00:10:00,834 --> 00:10:11,177 ♬~ 108 00:10:11,177 --> 00:10:17,183 大丈夫です。 私一人で着られます。 行っててくだされ。 109 00:10:19,052 --> 00:10:22,755 これが私たちのおつとめにござりまする。 110 00:10:25,525 --> 00:10:28,862 大丈夫です。 111 00:10:28,862 --> 00:10:30,864 結構です。 112 00:10:39,506 --> 00:10:42,208 お方様 こちらへ。 113 00:10:42,208 --> 00:11:27,520 ♬~ 114 00:11:27,520 --> 00:11:32,192 おかか! ハッハッハッハ! 見事じゃ! 見違えたぞ! 115 00:11:32,192 --> 00:11:35,528 このようなものは 性に合いませぬ。 116 00:11:35,528 --> 00:11:38,231 え…。 ハッハッハッハッハ。 117 00:11:47,140 --> 00:11:53,146 <大広間狭しと居並ぶ家臣たちに ねねは まず どぎもを抜かれた> 118 00:12:03,156 --> 00:12:05,491 <今浜城へ着いた早々➡ 119 00:12:05,491 --> 00:12:11,164 ねねは 秀吉の家臣たちに 入城の挨拶をさせられたのだが➡ 120 00:12:11,164 --> 00:12:14,834 12万石の城主というのは ただごとではないと➡ 121 00:12:14,834 --> 00:12:19,706 ねねは この時 初めて 12万石の城主の重みというものが➡ 122 00:12:19,706 --> 00:12:22,709 身にしみて 分かりかけていた> 123 00:12:27,180 --> 00:12:30,083 伯父上様! 兄上様も! 124 00:12:30,083 --> 00:12:34,053 ハッハッハッハ! どうじゃ 驚いたか。 アッハッハッハ! 125 00:12:34,053 --> 00:12:38,191 木下家次殿は おかかの母上の兄様。 126 00:12:38,191 --> 00:12:41,527 家定殿は おかかのたった一人の兄上。 127 00:12:41,527 --> 00:12:45,398 共に おかかとは血縁じゃ。 さすれば わしにとっても一門衆。 128 00:12:45,398 --> 00:12:48,868 これからは 秀吉の右腕ともなって➡ 129 00:12:48,868 --> 00:12:52,205 我らを助けていただかねばのう。 ハッハッハッハ。 130 00:12:52,205 --> 00:12:57,877 (家次)この度 家定ともども 秀吉殿のお召しを受け➡ 131 00:12:57,877 --> 00:13:00,480 禄を頂戴することに相なった。 132 00:13:00,480 --> 00:13:05,351 久しぶり ねね殿の顔が見られて うれしいぞ。 133 00:13:05,351 --> 00:13:09,055 よう いらしてくださいました。 134 00:13:11,491 --> 00:13:18,798 私は 杉原のうちを出て 浅野のうちへ 養女に参りました女子。 135 00:13:20,500 --> 00:13:27,173 まさか 秀吉殿が 伯父上や兄上のことをお考えとは…。 136 00:13:27,173 --> 00:13:30,843 夢のようでございます。 137 00:13:30,843 --> 00:13:35,181 私の身内といえばのう 秀長 とも きいの3人だけじゃ。 138 00:13:35,181 --> 00:13:39,852 お父上も足軽 わしもまた 足軽より 身を起こした者。 139 00:13:39,852 --> 00:13:42,188 父祖代々の家臣もおらん。 140 00:13:42,188 --> 00:13:46,526 頼りにできるのは 血で結ばれた者だけじゃ。 141 00:13:46,526 --> 00:13:53,399 おかかの身内とて わしにとっては 何よりも大事なお味方じゃ。 ハッハッハ。 142 00:13:53,399 --> 00:13:57,537 快う はせ参じてくだされて 秀吉 頼もしいかぎりじゃわ。 143 00:13:57,537 --> 00:13:59,539 アッハッハッハッハッハ。 144 00:14:01,140 --> 00:14:07,013 (家定)これからは 秀吉殿とそなたと 命運を共にすることになる。 145 00:14:07,013 --> 00:14:11,784 ねねのためにも 精いっぱい おつとめに励まねばのう。 146 00:14:11,784 --> 00:14:16,689 兄上様…。 兄上様が おそばにいてくだすったら➡ 147 00:14:16,689 --> 00:14:19,492 どれだけ心強いことか…。 148 00:14:19,492 --> 00:14:24,797 義姉様 ええ相談相手が出来て よろしゅうございました。 149 00:14:34,040 --> 00:14:38,511 家定殿には 4人の息子殿がおありになるとか。 150 00:14:38,511 --> 00:14:41,848 いずれは 羽柴の家の力にもなってくれよう。 151 00:14:41,848 --> 00:14:44,183 ともにも 2人の息子がおる。 152 00:14:44,183 --> 00:14:49,188 ハッハッハ! 羽柴の家は 万々歳じゃ! ハッハッハッハッハ! 153 00:14:59,732 --> 00:15:03,136 (市松)お方様! 154 00:15:03,136 --> 00:15:06,806 まあ! イチとトラではないか! 155 00:15:06,806 --> 00:15:09,142 (虎之助)おいでを 今日か明日かと お待ちしておりました! 156 00:15:09,142 --> 00:15:15,014 まあ 懐かしいのう。 随分 立派になって…。 さあ。 157 00:15:15,014 --> 00:15:17,817 お方様も。 158 00:15:17,817 --> 00:15:23,689 このようなものを着せられ… 身動きができぬ。 159 00:15:23,689 --> 00:15:29,829 岐阜では身軽なものを着て イチやトラと一緒に掃除をしたもんじゃ。 160 00:15:29,829 --> 00:15:31,764 お城では 何をしとる? 161 00:15:31,764 --> 00:15:35,168 はい。 弓 槍 剣術 鉄砲などの稽古に 励んでおります。 162 00:15:35,168 --> 00:15:37,103 読み書き 兵法も習うております。 163 00:15:37,103 --> 00:15:39,839 ひもじい思いは しておらぬか? 164 00:15:39,839 --> 00:15:42,742 はい。 トラは いつも 10杯は 飯のお代わりをいたします。 165 00:15:42,742 --> 00:15:44,710 そういうイチじゃって…。 ハッハッハッハ。 166 00:15:44,710 --> 00:15:48,514 よいよい。 腹いっぱい食べて 早う大きゅうなって➡ 167 00:15:48,514 --> 00:15:52,385 秀吉殿のおそばで 存分 お働きできるようになってくだされ。 168 00:15:52,385 --> 00:15:54,387 (2人)はい! 169 00:16:01,794 --> 00:16:04,497 (こほ)お方様。 170 00:16:06,666 --> 00:16:12,805 お方様にお仕えする者たちが お目通りをお待ち申し上げております。 171 00:16:12,805 --> 00:16:14,807 (ため息) 172 00:16:22,148 --> 00:16:24,150 はっ! 173 00:16:26,018 --> 00:16:31,824 お方様じゃ。 本日は つつがのう お城にお入りあそばされた。 174 00:16:31,824 --> 00:16:37,129 かねがね申しつけたとおり 心より お仕え申し上げねばならぬ。 175 00:16:38,698 --> 00:16:42,835 こちらこそ よろしゅうお願いいたします。 176 00:16:42,835 --> 00:16:45,738 お方様の手となり足となって お仕えするのが➡ 177 00:16:45,738 --> 00:16:48,508 つとめの者たちにございまする。 178 00:16:48,508 --> 00:16:53,179 何なりと 遠慮のう お申しつけくださいませ。 179 00:16:53,179 --> 00:16:56,849 いくら何でも 私一人に これだけの…。 180 00:16:56,849 --> 00:17:01,454 私には あささんさえいてくれれば 十分でございます。 181 00:17:01,454 --> 00:17:06,125 おあさ殿は まだ 奥のおつとめに お慣れになりませぬゆえ➡ 182 00:17:06,125 --> 00:17:09,829 しばらく こほが おあずかりいたします。 183 00:17:28,147 --> 00:17:30,082 (障子を開ける音) 184 00:17:30,082 --> 00:17:32,018 おかか! おかか! 185 00:17:32,018 --> 00:17:35,488 お戻りなされませ。 何じゃ まだ起きておったのか。 186 00:17:35,488 --> 00:17:37,423 先に寝ておればよいものを…。 187 00:17:37,423 --> 00:17:41,360 お前様のお顔を見るまでは 何やら 心細うて…。 188 00:17:41,360 --> 00:17:45,498 ハッハ そのようなことを言うておっては 城主のおかかは つとまらぬぞ。 189 00:17:45,498 --> 00:17:47,433 わしは いろいろと忙しゅうて➡ 190 00:17:47,433 --> 00:17:49,368 ここのところ 寝るのは いつも夜明けじゃ。 191 00:17:49,368 --> 00:17:55,841 それでは お体がもちませぬ。 な~に まだまだ若い。 これしきのこと。 192 00:17:55,841 --> 00:18:00,446 おかか… ハッハッハ 久しぶりじゃのう。 193 00:18:00,446 --> 00:18:03,115 やっと おそばに参りました。 うん。 194 00:18:03,115 --> 00:18:06,018 やっと 2人きりになれた。 はい。 195 00:18:06,018 --> 00:18:10,990 会いたかった 会いたかった! 会いたかった! 196 00:18:10,990 --> 00:18:16,662 わがままを許していただいて 勝手をいたしまして お許しくださいまし。 197 00:18:16,662 --> 00:18:20,466 ええ ええ。 こうやって おかかを この城に迎えることができた。 198 00:18:20,466 --> 00:18:22,802 言うことはないわ。 アッハッハッハッハ。 199 00:18:22,802 --> 00:18:28,140 今日のおかかは 美しかった~。 満足じゃ。 ハッハッハッハ。 200 00:18:28,140 --> 00:18:31,477 どうじゃ この城は? 気に入ったか? はい。 201 00:18:31,477 --> 00:18:36,482 あまりに立派で…。 驚いたか。 202 00:18:40,152 --> 00:18:44,490 まあ このようなお城が…。 ハッハッハ。 203 00:18:44,490 --> 00:18:50,830 わしはのう 領主として 領民たちに応えてやらねばならん。 204 00:18:50,830 --> 00:18:54,500 この地が栄えるようにのう。 商人はもとより➡ 205 00:18:54,500 --> 00:18:59,839 鉄砲 鍛冶 武具などの職人たちを 各地より移住させ➡ 206 00:18:59,839 --> 00:19:04,110 今浜に住む者には 年貢や諸役を免除する。 207 00:19:04,110 --> 00:19:08,814 今に 岐阜に劣らぬ盛んな町にするぞ。 アッハッハッハ。 208 00:19:12,451 --> 00:19:14,787 おかか 見てみい。 209 00:19:14,787 --> 00:19:18,491 夜明けじゃ。 ハッハッハ…。 210 00:19:20,659 --> 00:19:24,964 どうじゃ ええ所じゃろう。 はい。 211 00:19:30,336 --> 00:19:36,809 わしはのう この今浜を 長浜と呼ぶように改めるつもりじゃ。 212 00:19:36,809 --> 00:19:40,479 ながはま? 長う栄えるようにのう。 213 00:19:40,479 --> 00:19:44,817 ああ 長浜…。 うん。 214 00:19:44,817 --> 00:19:47,720 よい名でございますなあ。 215 00:19:47,720 --> 00:19:53,492 信長様のお名にあやからせていただいて 「長」という字を頂戴したような。 216 00:19:53,492 --> 00:19:56,395 アッハッハッハッハ! さすが わしのおかかじゃ。 217 00:19:56,395 --> 00:19:59,398 お前様のお心ぐらい 分かります。 218 00:20:01,167 --> 00:20:08,507 ただ 私は このお城で 何をして暮らしてよいのか分かりませぬ。 219 00:20:08,507 --> 00:20:10,443 うん? 220 00:20:10,443 --> 00:20:13,846 私は 働くことしか能のない女子。 221 00:20:13,846 --> 00:20:18,517 今まで 私がしてきたことは 周りの者たちがしてくださいます。 222 00:20:18,517 --> 00:20:20,453 することがありませぬ。 223 00:20:20,453 --> 00:20:23,856 ハッハッハッハッハ。 224 00:20:23,856 --> 00:20:29,528 おかか。 おかかは 長浜城主のおかかぞ。 225 00:20:29,528 --> 00:20:32,198 侍大将のおかかとは違う。 226 00:20:32,198 --> 00:20:34,867 城主のおかかには 城主のおかかとしてのつとめがある。 227 00:20:34,867 --> 00:20:40,206 身につけねばならぬことが 山ほどある。 退屈をしている暇などないわ。 228 00:20:40,206 --> 00:20:43,109 ハッハッハッハ。 229 00:20:43,109 --> 00:20:48,080 わしは いつまた 戦へ出ねばならぬか 分からぬ身じゃ。 230 00:20:48,080 --> 00:20:53,552 城をあずかる者は置く。 じゃが その時 わしに代わるのは おかかぞ。 231 00:20:53,552 --> 00:20:57,423 戦のことは知らいでも 領内を治める政は➡ 232 00:20:57,423 --> 00:21:01,360 いささかなりとも わきまえておいてもらわねばのう。 233 00:21:01,360 --> 00:21:06,499 おかかの伯父上 家次殿は その道では 頼みになるお方じゃ。 234 00:21:06,499 --> 00:21:09,835 心得など ご教示願うがええ。 235 00:21:09,835 --> 00:21:11,771 はい。 236 00:21:11,771 --> 00:21:16,709 また 読み書き 歌の道 行儀作法なども➡ 237 00:21:16,709 --> 00:21:20,179 たしなみとして 身につけておいてもらわねばのう。 238 00:21:20,179 --> 00:21:24,049 こほという老女はのう 京の公家に仕えた女子。 239 00:21:24,049 --> 00:21:29,855 全てに堪能じゃ。 おかかのために呼び寄せた。 240 00:21:29,855 --> 00:21:35,194 わしはのう おかかが 誰のご内室にも引けを取らぬ➡ 241 00:21:35,194 --> 00:21:37,530 女子になってもらいたいのよ。 242 00:21:37,530 --> 00:21:41,867 おかかは わしの誇りじゃ。 宝じゃ。 243 00:21:41,867 --> 00:21:46,172 皆に 鼻を高うしたいのよ。 ハッハッハッハッハ! 244 00:21:47,740 --> 00:21:53,479 それでは 退屈などしておられませぬなあ。 おお そうじゃ そうじゃ。 245 00:21:53,479 --> 00:21:57,883 おかかは 日本一の女子じゃ! わしは よいおかかをもろうたぞ! 246 00:21:57,883 --> 00:22:00,586 ハッハッハッハッハッハ! 247 00:22:06,692 --> 00:22:09,829 お方様 何をなされます! 248 00:22:09,829 --> 00:22:11,764 厨へ参ります。 249 00:22:11,764 --> 00:22:16,502 せめて 秀吉殿や秀長殿のものは 私が作ります。 250 00:22:16,502 --> 00:22:20,840 お二人の召し上がるものは 私が 一番心得ております。 251 00:22:20,840 --> 00:22:24,176 ここへ来たからには ほかの者たちに任せては➡ 252 00:22:24,176 --> 00:22:26,879 申し訳ございませぬ。 253 00:22:30,850 --> 00:22:32,851 お方様…。 254 00:22:34,720 --> 00:22:38,724 お方様…。 お方様…。 255 00:22:53,539 --> 00:22:58,844 邪魔をして すみませぬが ちょっと料理を見せていただきます。 256 00:23:02,147 --> 00:23:06,485 まあ 大根とぶりの煮物か。 ちょっと 味を見せてもらいましょう。 257 00:23:06,485 --> 00:23:10,356 何をするのじゃ! 触るでない 殿様の召し上がるものじゃ。 258 00:23:10,356 --> 00:23:12,825 お方様じゃ! 粗相があってはならぬ。 259 00:23:12,825 --> 00:23:15,494 いやいや 気を遣ってくださるな。 260 00:23:15,494 --> 00:23:19,365 これからは 殿の召し上がりものは 私が吟味いたします。 261 00:23:19,365 --> 00:23:22,835 時々は 出入りするほどに よろしゅう頼みます。 262 00:23:22,835 --> 00:23:25,838 ちょっと 味を見せていただきましょう。 263 00:23:33,479 --> 00:23:35,848 少し味が薄いようじゃ。 264 00:23:35,848 --> 00:23:38,517 京風に仕立てておるのでございましょう。 265 00:23:38,517 --> 00:23:44,390 秀吉殿も秀長殿も 尾張のお方じゃ。 これでは 口に合いませぬ。 266 00:23:44,390 --> 00:23:46,392 では どのように…? 267 00:23:46,392 --> 00:23:49,862 秀吉殿は 甘みの利かれたものは お嫌いじゃ。 268 00:23:49,862 --> 00:23:52,197 砂糖は使わぬように。 ははっ。 269 00:23:52,197 --> 00:23:59,538 魚はのう そうそう 手を加えたものより このように 塩焼きを好まれる。 270 00:23:59,538 --> 00:24:05,811 鳥は 何でも召し上がる。 特にのう 鴨 つぐみなど好物じゃ。 271 00:24:05,811 --> 00:24:09,682 時々はのう 雑炊もよい。 ハハハハッ。 272 00:24:09,682 --> 00:24:11,684 はあ~。 273 00:24:16,822 --> 00:24:23,495 <女たちは めんくらい こほは 下々の者が迷惑すると たしなめたが➡ 274 00:24:23,495 --> 00:24:27,833 たとえ 城主夫人になったところで 妻のつとめは変わらぬと➡ 275 00:24:27,833 --> 00:24:30,536 ねねは譲らなかった> 276 00:24:32,171 --> 00:24:37,509 <しかし 侍女たちへの心配りは 結構疲れる。➡ 277 00:24:37,509 --> 00:24:40,412 「人を使うは使われる」と言う。➡ 278 00:24:40,412 --> 00:24:44,383 ねねの心境は まさに そのとおりであった> 279 00:24:44,383 --> 00:24:48,153 お方様! それは すえの役目にござりまする。 280 00:24:48,153 --> 00:24:51,857 私がした方が早い。 すえが お気に召しませぬか? 281 00:24:51,857 --> 00:24:56,528 いえ そうではない。 わざわざ すえ殿の手を煩わさずとも…。 282 00:24:56,528 --> 00:25:00,399 召し使いは お呼び捨てなされるのが 道理かと心得ます。 283 00:25:00,399 --> 00:25:04,336 お方様は また 洗濯などなさいましたそうな。 284 00:25:04,336 --> 00:25:11,043 秀吉殿や私が下に着けたものを 人に洗ってもらうわけにはまいりませぬ。 285 00:25:11,043 --> 00:25:15,814 お方様…。 私が湯につかった時に 洗えば済むもの。 286 00:25:15,814 --> 00:25:18,717 女子のたしなみでございます。 287 00:25:18,717 --> 00:25:21,153 ⚟お客様でございます。 288 00:25:21,153 --> 00:25:25,024 前田利家様 おまつ様が お祝いに見えましてございます。 289 00:25:25,024 --> 00:25:27,025 利家様と おまつ様が!? 290 00:25:27,025 --> 00:25:29,495 どこに おいでです?お召し替えは? いいえ。 291 00:25:29,495 --> 00:25:34,500 秀吉殿が足軽の時からのおつきあいの方。 構いませぬ。 292 00:25:38,837 --> 00:25:42,508 (利家)大したものよ。 城の見事さも さることながら➡ 293 00:25:42,508 --> 00:25:46,178 城下のにぎわいに驚かされたわ。 さすが秀吉殿じゃ。 294 00:25:46,178 --> 00:25:50,516 戦だけではない 国を興す才覚にも たけておじゃるわ。 295 00:25:50,516 --> 00:25:54,853 地の利を得ただけのこと。 わしの力だけではござりませぬわ。 296 00:25:54,853 --> 00:25:58,190 (まつ)でも 本当に よい所でございますなあ。 297 00:25:58,190 --> 00:26:02,461 ねね様も お幸せじゃ。 はい。 298 00:26:02,461 --> 00:26:07,332 でも なかなか慣れませんで…。 299 00:26:07,332 --> 00:26:12,471 私は 足軽のおかか。 働くことしか能がございません。 300 00:26:12,471 --> 00:26:16,341 貧乏性が身についているのでございます。 301 00:26:16,341 --> 00:26:20,345 何でも自分の手でしなければ 気が済みません。 302 00:26:20,345 --> 00:26:24,483 ご内室などという柄ではございませぬ。 (笑い声) 303 00:26:24,483 --> 00:26:28,353 着るものも 裾を引くようなものは うっとうしいて…。 304 00:26:28,353 --> 00:26:30,355 (笑い声) 305 00:26:30,355 --> 00:26:34,827 それが ねね殿のよいところじゃ。 のう? 306 00:26:34,827 --> 00:26:39,698 やっと落ち着かれたのじゃ。 今度こそ ややをお産みなされませ。 307 00:26:39,698 --> 00:26:43,702 ややができれば お暮らしも違うてまいりましょう。 308 00:26:45,471 --> 00:26:49,842 今となっては もう…。 309 00:26:49,842 --> 00:26:51,777 おまつ様は? 310 00:26:51,777 --> 00:26:55,514 はい。 今年の暮れに もう一人…。 311 00:26:55,514 --> 00:27:00,786 おお~! まあ! 羨ましゅうございますなあ。 312 00:27:00,786 --> 00:27:03,455 お一人ぐらい 頂きたいものでございますな。 313 00:27:03,455 --> 00:27:05,791 アッハッハ。 おかか。 314 00:27:05,791 --> 00:27:08,460 ねね殿も お寂しかろう。 315 00:27:08,460 --> 00:27:14,132 どうじゃ まつ? 次に産まれる子が女子なら…。 316 00:27:14,132 --> 00:27:19,471 はい。 秀吉殿と ねね様なら 慈しんでいただけましょう。 317 00:27:19,471 --> 00:27:21,807 おまつ様…! 318 00:27:21,807 --> 00:27:26,145 あっ…。 おかか…。 319 00:27:26,145 --> 00:27:32,017 そのようなことになりましたら お子に ご不自由はおかけいたしませぬ。 320 00:27:32,017 --> 00:27:35,821 我らは 子は授からぬものと 諦めておりました。 321 00:27:35,821 --> 00:27:39,691 利家殿と おまつ様が お許しくだされるのならば➡ 322 00:27:39,691 --> 00:27:42,160 これほど喜ばしいことはござりませぬわ。 323 00:27:42,160 --> 00:27:44,496 女子でもよいのか? 324 00:27:44,496 --> 00:27:47,833 ああ。 女子の方が愛らしゅうございます。 325 00:27:47,833 --> 00:27:51,503 おまつ様に似れば きっと 美しいお子でござろう。 ハッハ! 326 00:27:51,503 --> 00:27:53,438 楽しみに お待ちしております。 327 00:27:53,438 --> 00:27:55,841 秀吉殿とわしの仲じゃ。 328 00:27:55,841 --> 00:27:59,511 兄弟のところへ もろうてもらうようなものよ。 のう。 329 00:27:59,511 --> 00:28:02,781 私も ねね様を他人とは思うておりませぬ。 330 00:28:02,781 --> 00:28:05,450 安心して もろうていただけます。 331 00:28:05,450 --> 00:28:08,787 あ~ ありがとうございます。 332 00:28:08,787 --> 00:28:13,792 これで 私も 一人の母となれます。 333 00:28:16,128 --> 00:28:20,465 今日は どうぞ ごゆっくりなすってらしてくださいまし。 334 00:28:20,465 --> 00:28:23,802 積もる話もございますゆえ。うん。 なあ?のう。 335 00:28:23,802 --> 00:28:25,804 どうぞ。 336 00:28:29,675 --> 00:28:35,814 <それは つかの間 平和な長浜の春であった。➡ 337 00:28:35,814 --> 00:28:40,485 が その春を たちまちに嵐にするような出来事が➡ 338 00:28:40,485 --> 00:28:42,788 舞い込んできたのである> 339 00:28:46,358 --> 00:28:52,497 (千種)はあ…。 秀勝 ここが そなたの父様のお城じゃ。 340 00:28:52,497 --> 00:28:56,201 はあ~! 立派なお城じゃろう。 341 00:29:16,455 --> 00:29:19,124 おお 来たか! 342 00:29:19,124 --> 00:29:22,027 やっと会えた! 343 00:29:22,027 --> 00:29:25,998 もう会えぬのかと思っていた! もう 寂しゅうて 寂しゅうて! 344 00:29:25,998 --> 00:29:28,133 必ず迎えに行くと言うたではないか。 345 00:29:28,133 --> 00:29:31,803 でも 少しも来てはくださらぬゆえ…。 ハッハッハッハ。 346 00:29:31,803 --> 00:29:34,473 月々のものは ちゃんと使いの者に渡してある。 347 00:29:34,473 --> 00:29:39,144 あ~ 会いたかった! 会いたかった! 348 00:29:39,144 --> 00:29:44,016 秀勝が見ておる。 アッハッハッハ。 349 00:29:44,016 --> 00:29:49,154 秀勝 よう来たのう。 どれどれ…。 350 00:29:49,154 --> 00:29:56,028 あ~ 大きゅうなった! 重とうなった! 達者で何よりじゃ。 アッハッハッハ! 351 00:29:56,028 --> 00:30:00,499 のう。 これからはのう お父と一緒じゃぞ。 お父と一緒じゃ! 352 00:30:00,499 --> 00:30:02,434 もう離しはせぬぞ。 353 00:30:02,434 --> 00:30:07,372 私も離れはせぬ。 死ぬまで 秀吉殿のおそばにいる。 354 00:30:07,372 --> 00:30:12,077 秀勝の大事なおっ母様じゃ。 粗末に扱うたりはせぬわ。 355 00:30:16,515 --> 00:30:18,850 なんということをなされるのじゃ! 356 00:30:18,850 --> 00:30:22,187 あのような女子を城に入れるなど わしは聞いてはおらん! 357 00:30:22,187 --> 00:30:24,856 おぬしに断らねばならぬようなことでは なかろうが。 358 00:30:24,856 --> 00:30:28,193 わしは反対じゃ! すぐ戻しなされ。 359 00:30:28,193 --> 00:30:32,531 今なら まだ 義姉様は ご存じない。 知れぬうちに 城下町のどこぞへ…。 360 00:30:32,531 --> 00:30:36,868 絶対に 義姉様の耳に入れてはならん! 秀長…。 361 00:30:36,868 --> 00:30:39,771 兄者ができぬなら わしがやる! 362 00:30:39,771 --> 00:30:42,774 あの女子を城に置いて 何が悪い!? 363 00:30:45,210 --> 00:30:48,547 秀勝は わしの世継ぎぞ。 364 00:30:48,547 --> 00:30:51,450 千種は 秀勝の母親じゃ。 365 00:30:51,450 --> 00:30:54,419 兄者! 366 00:30:54,419 --> 00:30:57,556 兄者には 心というものがないのか! 367 00:30:57,556 --> 00:31:02,828 義姉様がどのような思いをなされているか 考えたことあるのか! 368 00:31:02,828 --> 00:31:05,497 おかかは おかかじゃ。 369 00:31:05,497 --> 00:31:09,167 わしにとっては 大事なおかかじゃ。 あの女子とは違う。 370 00:31:09,167 --> 00:31:16,875 じゃがのう おかかには 子ができぬ。 しかたがないではないか。 371 00:31:22,514 --> 00:31:27,853 小一郎! 皆 集まっておるのか? すぐに 軍議じゃ。 372 00:31:27,853 --> 00:31:32,524 今にも 三河で合戦があるやもしれぬ。 鉄砲も できるだけ集めねば。 373 00:31:32,524 --> 00:31:35,227 女子のことどころではないわ! 374 00:31:54,546 --> 00:31:56,882 ⚟(市松)お方様! ⚟(虎之助)お方様! 375 00:31:56,882 --> 00:31:59,184 イチとトラじゃ。 376 00:32:02,487 --> 00:32:05,824 何事じゃ 騒がしい! 奥へは みだりに 男子は入れぬ。 377 00:32:05,824 --> 00:32:09,161 それを知ってのことか! よいではありませぬか。 まだ 子供じゃ。 378 00:32:09,161 --> 00:32:11,096 なんぞ用か? 379 00:32:11,096 --> 00:32:13,498 あの~。 380 00:32:13,498 --> 00:32:15,834 お上がりなされ。 菓子がある。 381 00:32:15,834 --> 00:32:18,503 あの~。 (進之助)市松! 虎之助!➡ 382 00:32:18,503 --> 00:32:22,174 このような所へ! あっ これは お方様。 383 00:32:22,174 --> 00:32:26,044 (こほ)そなたは? 小姓組 佐竹進之助にございます。 384 00:32:26,044 --> 00:32:28,847 組の者たちに 槍の指南をいたしておりましたところ➡ 385 00:32:28,847 --> 00:32:31,750 急に この両名が抜け出しましたゆえ 追ってまいりました。 386 00:32:31,750 --> 00:32:34,719 お許しくださいませ。 387 00:32:34,719 --> 00:32:37,856 お方様のお耳に みだりに くだらぬことをお入れしてはならぬ。 388 00:32:37,856 --> 00:32:39,791 さあ 早う下がるのじゃ。 389 00:32:39,791 --> 00:32:42,727 お方様! 市松! 390 00:32:42,727 --> 00:32:47,532 今 殿の側室とやらというのが 殿の子を連れて お城へ来たそうじゃ! 391 00:32:47,532 --> 00:32:49,868 わしは 腹が立ってたまらぬ! (進之助)虎之助! 392 00:32:49,868 --> 00:32:54,172 (虎之助)お方様は ご存じかなも!? (市松)わしも悔しいぞ! 393 00:33:12,824 --> 00:33:17,696 おつとめがお忙しいのを承知の上で 呼び立ててしもうた…。 394 00:33:17,696 --> 00:33:19,998 話してくだされ。 395 00:33:22,501 --> 00:33:26,838 子供の言うことじゃ。 それも ただのうわさ…。 396 00:33:26,838 --> 00:33:32,511 気にすることが大人げないということも よう知っております。 397 00:33:32,511 --> 00:33:36,848 私は 秀吉殿を信じて 今まで ついてきた女子。 398 00:33:36,848 --> 00:33:43,855 よもやと思いますが 事が事じゃ。 やはり 気になってのう。 399 00:33:45,524 --> 00:33:50,395 秀長殿なら 何もかも ご承知と思って…。 400 00:33:50,395 --> 00:33:55,400 フフ… 女子の浅はかさと お笑いくだされ。 401 00:33:57,535 --> 00:34:02,240 やはり 根も葉もないうわさですか? 402 00:34:07,145 --> 00:34:09,848 秀長殿? 403 00:34:12,817 --> 00:34:18,156 私が ここで しらを切り通したところで➡ 404 00:34:18,156 --> 00:34:21,826 義姉様に知れずに済むことでは ございますまい。➡ 405 00:34:21,826 --> 00:34:26,498 実は 兄者が 京都奉行をなされていた頃の女子で➡ 406 00:34:26,498 --> 00:34:29,834 公家の娘とか申しておりますが➡ 407 00:34:29,834 --> 00:34:33,171 小谷攻めで 横山城をおあずかりになっている時に➡ 408 00:34:33,171 --> 00:34:35,106 近江へ呼んで 男の子が産まれました。 409 00:34:35,106 --> 00:34:38,510 ああ もうよい…! 410 00:34:38,510 --> 00:34:40,812 ああ…。 411 00:34:49,521 --> 00:34:53,191 分かりました。 412 00:34:53,191 --> 00:35:01,800 私が兄者のそばについておきながら 私の力が及びませなんだ。 413 00:35:01,800 --> 00:35:05,503 お許しくだされ。 そなたが そのような…。 414 00:35:08,673 --> 00:35:12,677 よう話してくださいました。 415 00:35:32,764 --> 00:35:40,505 私が… 私が おかかとして 足りなかっただけのことじゃ。 416 00:35:40,505 --> 00:35:45,176 秀吉殿のお気に召すように お仕えもできず…。 417 00:35:45,176 --> 00:35:48,847 お子を産むこともできませなんだ。 418 00:35:48,847 --> 00:35:53,518 秀吉殿を恨むこともできませぬ。 419 00:35:53,518 --> 00:35:57,188 お世継ぎもできぬ女子が おかかなどと大きな顔をして➡ 420 00:35:57,188 --> 00:36:00,892 秀吉殿のおそばにいたことが 間違いじゃった。 421 00:36:03,795 --> 00:36:12,470 今は ただ 潔う おいとま頂きましょう。 422 00:36:12,470 --> 00:36:16,341 義姉様! それは違います! 423 00:36:16,341 --> 00:36:19,344 義姉様は 兄者のご正室。 424 00:36:19,344 --> 00:36:22,814 兄者とて 義姉様のことは 誰よりも大事と…! 425 00:36:22,814 --> 00:36:29,688 私は 何のお役にも立たなかった女子。 426 00:36:29,688 --> 00:36:37,362 でも 私にも 女子としての誇りがあります。 427 00:36:37,362 --> 00:37:13,064 ♬~ 428 00:37:25,143 --> 00:37:30,014 秀吉殿には お目にかからず 参りとうございます。 429 00:37:30,014 --> 00:37:35,487 お顔を見れば取り乱して はしたない姿を お見せすることになりましょう。 430 00:37:35,487 --> 00:37:39,357 そのような別れだけは しとうありませぬ。 431 00:37:39,357 --> 00:37:44,829 義姉様のお気持ち わしには よう…。 432 00:37:44,829 --> 00:37:48,133 わしとて 兄者を許しはしません。 433 00:37:50,168 --> 00:37:55,039 ここは 義姉様の思うとおりになさいませ。 434 00:37:55,039 --> 00:37:58,510 いずれ よいように取り計らいます。 435 00:37:58,510 --> 00:38:01,780 そのような お心遣いは無用じゃ。 436 00:38:01,780 --> 00:38:06,484 なってしまったことは しかたがないではありませぬか。 437 00:38:11,456 --> 00:38:20,798 秀長殿は 秀吉殿の片腕となって いつまでも 仲よう…。 438 00:38:20,798 --> 00:38:25,670 秀長殿には 本当に ようしていただきました。 439 00:38:25,670 --> 00:38:28,673 改めて 礼を言います。 440 00:38:32,143 --> 00:38:37,448 秀吉殿のおかかになったことも 悔いてはおりませぬ。 441 00:38:39,484 --> 00:38:48,159 14年… 本当に幸せな毎日でした。 442 00:38:48,159 --> 00:38:51,829 秀吉殿には 文を差し上げるつもりです。 443 00:38:51,829 --> 00:38:54,832 そなたからも どうぞよろしゅうに…。 444 00:38:56,501 --> 00:39:03,308 必ず… 必ず お迎えに上がります。 445 00:39:03,308 --> 00:39:06,311 すぐ 輿の支度をいたしましょう。 446 00:39:06,311 --> 00:39:09,447 ハッ… 輿など要りませぬ。 447 00:39:09,447 --> 00:39:15,453 私は 長浜から出ていく女子。 もう そのような身分ではありませぬ。 448 00:39:48,486 --> 00:39:56,160 (なか)あ~あ… どえらい城を建ててまって。 449 00:39:56,160 --> 00:40:02,500 戦をして 人を殺して 栄耀栄華をして 何になる。 450 00:40:02,500 --> 00:40:05,403 後生のええはずはなあわ。 451 00:40:05,403 --> 00:40:08,706 ナムアミダブツ ナムアミダブツ…。 452 00:40:13,511 --> 00:40:16,180 こらこら こらこら! どこ行く!? 453 00:40:16,180 --> 00:40:19,083 ちょっと 城の中を見せてもらいたいんじゃがなも。 454 00:40:19,083 --> 00:40:21,052 こっから中へ入ることはならん。 455 00:40:21,052 --> 00:40:25,857 わしが ちいとばかり城の中を見たとて 減るもんじゃなかろうが。 456 00:40:25,857 --> 00:40:28,526 かてえこと言わずに…。 ならぬ! これ! 457 00:40:28,526 --> 00:40:30,862 言うことを聞かぬと ひっ捕らえるぞ! 帰れ! 458 00:40:30,862 --> 00:40:36,200 わしゃ 城を見に来たんじゃ。 なにも 藤吉郎なぞに会いに来たんじゃにゃあで。 459 00:40:36,200 --> 00:40:42,206 城を見たら すぐに去ぬる。 藤吉郎の顔など見とうもないわ。 460 00:40:45,877 --> 00:40:49,213 藤吉郎とは 殿のことか? 461 00:40:49,213 --> 00:40:55,553 ああ わしのせがれよ。 侍になどなった ばか息子よ。 462 00:40:55,553 --> 00:40:58,456 陽気のせいかのう? 頭のおかしな ばあさんじゃ。 463 00:40:58,456 --> 00:41:01,826 春じゃからのう。 なあ 悪いことは言わん。 464 00:41:01,826 --> 00:41:04,162 痛い目に遭わぬうちに 帰った方が ためじゃ。 465 00:41:04,162 --> 00:41:08,499 せっかく 尾張の中村から来たんじゃ! 城の中ぐらい見せてくれてもよかろうが! 466 00:41:08,499 --> 00:41:12,370 何を… 何! 人が甘い顔してたら その気になりおって。 467 00:41:12,370 --> 00:41:15,840 やめてくれ! 468 00:41:15,840 --> 00:41:18,743 年寄りに 手荒なまねをしくさって! 469 00:41:18,743 --> 00:41:22,180 おみゃあらの上司は そんなしつけをしとるのか! 470 00:41:22,180 --> 00:41:27,051 もう我慢ならん! 藤吉郎を ここへ呼べ! 説教する!➡ 471 00:41:27,051 --> 00:41:29,053 藤吉郎! 472 00:41:29,053 --> 00:41:31,522 パカパカ パカパカ パカパカ パカパカ! 473 00:41:31,522 --> 00:41:35,193 アッハッハッハ! パカパカ パカパカ! 474 00:41:35,193 --> 00:41:41,065 (なか)言わねば 腹の虫がおさまらぬ! お前らも分からんのう! 475 00:41:41,065 --> 00:41:48,740 藤吉郎! 藤吉郎 出てこい! 藤吉郎! 476 00:41:48,740 --> 00:41:53,745 もしや… 中村の母上様ではござりませぬか? 477 00:41:55,513 --> 00:41:59,884 そうじゃ。 お義母様じゃ! 478 00:41:59,884 --> 00:42:04,155 お義母様! ああ… ねねさではないか! 479 00:42:04,155 --> 00:42:08,026 どうなさいました? どうもこうもにゃあわ。 480 00:42:08,026 --> 00:42:12,497 こんな門番 抱えておっては 藤吉郎の先行きが案じられるわ。 481 00:42:12,497 --> 00:42:15,400 なんぞ 粗相があったのか? 482 00:42:15,400 --> 00:42:18,836 お方様じゃ。 はっ! 483 00:42:18,836 --> 00:42:22,707 ハハハハッ…。 ねねさも 偉うなったものよのう。 484 00:42:22,707 --> 00:42:27,178 でも どうして こちらへ? いや~ わしは ちょいと…。 485 00:42:27,178 --> 00:42:32,483 ねねさこそ どうした? どこぞ 旅にでも? 486 00:42:37,522 --> 00:42:41,526 お義母様…。 どうした? 487 00:42:45,396 --> 00:42:47,532 ねねさ…。 488 00:42:47,532 --> 00:42:51,202 (すすり泣き) 489 00:42:51,202 --> 00:42:58,075 わしゃ とんでもにゃあところに 来合わしたらしいのう。 490 00:42:58,075 --> 00:43:02,480 どうした? お義母様…。 491 00:43:02,480 --> 00:43:08,152 <できた女のようでも やはり ねねも 普通の女であった。➡ 492 00:43:08,152 --> 00:43:14,025 秀吉を信じて ついてきただけに その裏切りは許せなかった。➡ 493 00:43:14,025 --> 00:43:18,162 誰にぶつけることもできぬ 怒りと悲しみを➡ 494 00:43:18,162 --> 00:43:24,035 ねねは なかの胸で 思い切り涙にして流していた> 495 00:43:24,035 --> 00:43:44,021 ♬~