1 00:00:02,102 --> 00:02:37,090 ♬~ 2 00:02:38,859 --> 00:02:44,531 <前田利家 おまつ夫妻の娘 お豪を 養女にもらい受けてから➡ 3 00:02:44,531 --> 00:02:47,868 ねねに 新しい生きがいが生まれた。➡ 4 00:02:47,868 --> 00:02:51,204 城主夫人としての多忙さに 追われながらも➡ 5 00:02:51,204 --> 00:02:56,543 ねねは 小さな命を育てる喜びを 味わっていた> 6 00:02:56,543 --> 00:02:59,880 (こほ)ほんに よう ここまで お育てになりました。 7 00:02:59,880 --> 00:03:03,150 まだ 乳離れもせぬうちに ここに来られた時には➡ 8 00:03:03,150 --> 00:03:05,819 どうなるかと案じておりましたが。 9 00:03:05,819 --> 00:03:09,489 (なか)これも ねねさの苦労のたまものじゃ。 のう。 10 00:03:09,489 --> 00:03:15,362 赤子の時から 慈しんで育てておれば 産んだも同じことじゃ。 11 00:03:15,362 --> 00:03:20,500 (秀吉)ああ おかか ちょっと貸せ。 ヘッヘッヘッヘ! よしよし よ~し! 12 00:03:20,500 --> 00:03:23,170 さあ お豪 たんと食べて 早う大きゅうなれ。 13 00:03:23,170 --> 00:03:26,073 ほ~ら ほら。 ほら。 (ねね)ああ そのような…。 14 00:03:26,073 --> 00:03:29,509 無理に押し込むでないわ。 うまいか? ハッハッハ! 15 00:03:29,509 --> 00:03:31,545 (秀長)ハッハッハ。 何の騒ぎかと思うたら…。 16 00:03:31,545 --> 00:03:34,848 秀長。 姫が かゆを食うた。 わしが食わせた。 ハッハッハ! 17 00:03:34,848 --> 00:03:38,719 おっ これはこれは 日増しに 愛らしゅうなられるのう。 18 00:03:38,719 --> 00:03:42,189 おっ! これはまた 重うなられた。 19 00:03:42,189 --> 00:03:46,860 小一郎。 おみゃあさも 早う 嫁もろうて 自分の子を抱かにゃあのう。 20 00:03:46,860 --> 00:03:52,532 秀長の嫁ならば わしに任しておけばいい。 三国一の嫁を探してやるわ。 21 00:03:52,532 --> 00:03:57,204 秀長殿 どなたか お気に入った娘御は おらぬのか? 22 00:03:57,204 --> 00:03:59,539 いやいや まだまだ それどころではありませぬ。 23 00:03:59,539 --> 00:04:02,442 これから 兄者も ますます忙しゅうなられる。 24 00:04:02,442 --> 00:04:05,145 わしも のんびりしておられぬわ。 25 00:04:05,145 --> 00:04:07,814 兄者。 うん?皆が お待ちかねじゃ。 26 00:04:07,814 --> 00:04:15,489 ああ。 あ~ 名残惜しいがのう…。 お豪 またのう。ハッハッハ。 27 00:04:15,489 --> 00:04:18,391 さあ。 うん。 28 00:04:18,391 --> 00:04:22,362 <そのころから 秀吉は また忙しくなっていた。➡ 29 00:04:22,362 --> 00:04:26,133 信長が 岐阜城を 長男の信忠に譲り➡ 30 00:04:26,133 --> 00:04:32,839 天正4年正月から 近江の安土に 壮大な城を築き始めていた> 31 00:04:32,839 --> 00:04:36,710 わしは 安土築城に 5,000の手勢を引き連れて➡ 32 00:04:36,710 --> 00:04:38,712 近々 安土へ出向する。 33 00:04:38,712 --> 00:04:40,714 (小六)たかが城普請に 5,000も? 34 00:04:40,714 --> 00:04:45,185 何しろ 大がかりな工事じゃ。 信長様 一世一代の大事業。 35 00:04:45,185 --> 00:04:48,855 羽柴筑前 できるかぎりの ご奉公をせねばなるまいて。 36 00:04:48,855 --> 00:04:52,192 (政長)信長様らしい どでかい城が建つのでしょうな。 37 00:04:52,192 --> 00:04:56,530 うん。 小六殿と長政は わしと一緒に行ってもらう。 38 00:04:56,530 --> 00:04:59,432 手配の方は 万事 抜かりのう。 分かった。 39 00:04:59,432 --> 00:05:01,368 秀長。 はっ。 40 00:05:01,368 --> 00:05:04,805 お前は 播磨へ行ってくれ。 では いよいよ 中国攻めか。 41 00:05:04,805 --> 00:05:07,707 いや 動くのは まだまだ先じゃ。 42 00:05:07,707 --> 00:05:11,678 じゃがのう 摂津や紀州での 一向一揆を助けておるのは➡ 43 00:05:11,678 --> 00:05:14,815 中国の毛利じゃ。 毛利はのう➡ 44 00:05:14,815 --> 00:05:18,685 信長様に京より追放された 足利義昭を擁して➡ 45 00:05:18,685 --> 00:05:21,688 義昭の将軍復職をねろうておる。 46 00:05:21,688 --> 00:05:25,458 本願寺の一向一揆も 義昭が糸を引いておるのよ。 47 00:05:25,458 --> 00:05:28,161 しつこい男じゃのう 義昭は。 48 00:05:28,161 --> 00:05:32,832 それだけではないわ。 越後の上杉謙信 甲斐の武田勝頼と手を結び➡ 49 00:05:32,832 --> 00:05:40,707 毛利と共に 信長様を挟み撃ちにし 義昭の再上洛をねろうておる。 50 00:05:40,707 --> 00:05:46,846 東の武田には 徳川殿。 北の上杉には 柴田殿がおられる。 51 00:05:46,846 --> 00:05:50,517 我らも 早晩 西の毛利と雌雄を決することになろう。 52 00:05:50,517 --> 00:05:54,854 じゃがのう その前に しておかねばならぬことがある。 53 00:05:54,854 --> 00:05:59,860 ハッハッハ。 調略か…。 いつもの秀吉殿の手じゃな。 54 00:06:03,129 --> 00:06:05,465 ここが播磨じゃ。 55 00:06:05,465 --> 00:06:10,337 播磨の諸豪族は 西の毛利につくか 東の織田につくか➡ 56 00:06:10,337 --> 00:06:13,139 今 迷うておる。 そこをねらう。 57 00:06:13,139 --> 00:06:17,010 とにかく 話し合うて できるだけ 味方につけねばのう。 58 00:06:17,010 --> 00:06:19,012 大任じゃのう それは。 59 00:06:19,012 --> 00:06:23,783 既に 信長様に 内応の意を表しておる者もおる。 60 00:06:23,783 --> 00:06:28,488 播磨 姫路におられる 小寺官兵衛殿じゃ。 61 00:06:28,488 --> 00:06:32,826 小寺殿を訪ねて よう談合せえ。 まず 官兵衛殿の心をつかむのよ。 62 00:06:32,826 --> 00:06:37,530 お前ならばできる。 お前を見込んでの大任じゃ。 のう。 63 00:06:46,172 --> 00:06:50,510 秀勝の顔も しばらく見られんのう。 64 00:06:50,510 --> 00:06:53,413 (千種)このような所で待つのは嫌じゃ。 65 00:06:53,413 --> 00:06:57,384 秀勝殿と私も お供します。 連れてってくだされ。 66 00:06:57,384 --> 00:07:03,089 遊びに行くのではないわ。 そなたには 秀勝を養育するつとめがあろう。 67 00:07:03,089 --> 00:07:05,992 立派に果たしてもらわねばのう。 68 00:07:05,992 --> 00:07:12,132 豪姫が来られてから 秀吉様もねね殿も 姫 姫と 豪姫に大騒ぎです。 69 00:07:12,132 --> 00:07:16,469 秀勝殿という立派なお子があるのに あまりのなさりようではありませぬか。 70 00:07:16,469 --> 00:07:20,140 おかかとて 寂しいのよ。 71 00:07:20,140 --> 00:07:25,011 秀勝が来ても そなたは おかかには 指も触れさせまいが。 72 00:07:25,011 --> 00:07:27,480 それでは おかかとて 立つ瀬がないわ。 73 00:07:27,480 --> 00:07:32,819 豪姫は おかかの せめてもの慰めよ。 74 00:07:32,819 --> 00:07:38,491 秀勝殿と私が大事なら 一緒に連れてってくださるはず。 75 00:07:38,491 --> 00:07:42,362 私は 片ときも離れていとうございませぬ。 76 00:07:42,362 --> 00:07:45,365 うん さあさあ…。 77 00:07:45,365 --> 00:07:48,168 さようでございますか。 うん? 78 00:07:48,168 --> 00:07:54,074 秀吉様は やっぱり ねね様の方が大事なのでしょう? 79 00:07:54,074 --> 00:07:57,877 ねね殿が怖いのであろう? 80 00:07:57,877 --> 00:07:59,846 (ため息) 81 00:08:03,683 --> 00:08:06,353 秀勝。 (秀勝)はい。 82 00:08:11,157 --> 00:08:16,496 よいか? 母様の言うことを よう聞いて 元気にしておれ。 83 00:08:16,496 --> 00:08:19,165 うん?はい。 うん。 84 00:08:22,369 --> 00:08:25,338 ではのう 行ってまいるぞ。 85 00:08:36,816 --> 00:08:41,087 ⚟(侍女)お方様が お見舞いに お越しくだされました。 86 00:08:56,169 --> 00:09:01,474 ご気分がすぐれぬ由 案じて参りました。 87 00:09:01,474 --> 00:09:04,377 医者は要らぬと おっしゃったそうじゃが➡ 88 00:09:04,377 --> 00:09:07,647 大事をおとりになった方が…。 89 00:09:09,349 --> 00:09:16,489 秀吉殿のお留守の時は 私がおあずかりする大事なお方じゃ。 90 00:09:16,489 --> 00:09:21,361 秀勝殿にも そなたにも 障りがあってはなりませぬ。 91 00:09:21,361 --> 00:09:25,632 何でも 遠慮のう言うてくだされ。 92 00:09:32,505 --> 00:09:37,177 なんぞ気に入らんことがあって ふて寝をしておるのよ。 93 00:09:37,177 --> 00:09:39,846 構うことはにゃあで 放っときゃあええ。 94 00:09:39,846 --> 00:09:45,518 秀吉殿がおられぬゆえ 心細うなられたのでございましょう。 95 00:09:45,518 --> 00:09:51,391 はあ~ 昔が懐かしゅうございます。 96 00:09:51,391 --> 00:10:00,366 秀吉殿が 足軽組頭をなされていた時は 私も畑などして このような気苦労は…。 97 00:10:02,068 --> 00:10:07,207 出世などしてほしゅうは ございませなんだ。 98 00:10:07,207 --> 00:10:13,079 (なか)よう分かる。 じゃが 今更 なってしもうたものをなも…。 99 00:10:13,079 --> 00:10:16,883 人には それぞれ 生まれた時からの定めがある。 100 00:10:16,883 --> 00:10:19,786 それに逆らうことはできんのよ。➡ 101 00:10:19,786 --> 00:10:25,558 どうせ背負うていかなきゃならんもんなら 笑うて暮らさにゃあなも。➡ 102 00:10:25,558 --> 00:10:28,461 同じ一生だわ。 103 00:10:28,461 --> 00:10:30,430 さようでございますな。 104 00:10:30,430 --> 00:10:33,900 くよくよしていても なるようにしかなりませぬ。 105 00:10:33,900 --> 00:10:37,770 アッハッハ! それでこそ ねねさじゃ。 (笑い声) 106 00:10:37,770 --> 00:10:40,240 (市松)おばば! 畑を手伝おう。 (虎之助)手伝わしてくれ! 107 00:10:40,240 --> 00:10:42,575 手伝いなど要らん! わしゃ 勝手にやっとるで。 108 00:10:42,575 --> 00:10:44,511 手伝わしてくれ! いや 迷惑じゃ! 109 00:10:44,511 --> 00:10:47,447 おばばの言いつけじゃと言えば 手習いをせずに済む。 110 00:10:47,447 --> 00:10:50,116 お前たち 手習いが嫌で…!? 111 00:10:53,920 --> 00:11:00,193 (進之助)失礼いたします。 市松殿 虎之助殿 お戻りなされ。 112 00:11:02,729 --> 00:11:06,699 あのようなことで争って 何になる。 113 00:11:09,402 --> 00:11:11,871 何があったのじゃ。 114 00:11:11,871 --> 00:11:13,806 石田佐吉という小僧が➡ 115 00:11:13,806 --> 00:11:17,544 よう書物を読み 計数に長けておるのを ひけらかしおって➡ 116 00:11:17,544 --> 00:11:21,881 我らを ばかにするのじゃ。 尾張から来たわしらは 力はあるが➡ 117 00:11:21,881 --> 00:11:25,218 頭は空っぽじゃというて。 あの近江者が! 118 00:11:25,218 --> 00:11:29,889 (市松)わしらは 侍になるのじゃ。 槍や剣の道さえ極めれば それでええ! 119 00:11:29,889 --> 00:11:34,561 それは違う! 文武両道に秀でておらねば まことの侍にはなれぬ! 120 00:11:34,561 --> 00:11:36,896 嫌じゃ! 嫌なものは嫌じゃ。 121 00:11:36,896 --> 00:11:39,566 イチ トラ! 122 00:11:39,566 --> 00:11:45,438 人は それぞれ違う。 その石田佐吉という小姓が➡ 123 00:11:45,438 --> 00:11:50,210 書や計数に秀でていれば その道に進めばよい。 124 00:11:50,210 --> 00:11:56,916 お前たちが 武の道を極めようとするなら その道へ進めばよいのじゃ。 125 00:11:56,916 --> 00:12:01,588 なにも 佐吉を 目の敵にすることはありますまい。 126 00:12:06,192 --> 00:12:13,066 また 近江 尾張などと つまらぬことで争ってはなりませぬ。 127 00:12:13,066 --> 00:12:17,737 どこで生まれようと 人には変わりはありませぬ。 128 00:12:19,739 --> 00:12:24,877 いずれ 秀吉殿の立派な家臣に なってもらわねばならぬ お前たちじゃ。 129 00:12:24,877 --> 00:12:30,550 それが争っていては 敵に向かった時 どうなります! 130 00:12:30,550 --> 00:12:35,822 なあ 皆 仲ように…。 131 00:12:38,224 --> 00:12:41,894 進之助 頼みます。 はい。 132 00:12:41,894 --> 00:12:47,567 さあ 参ろう。 さあ ほら 行け。 133 00:12:47,567 --> 00:13:01,848 ♬~ 134 00:13:01,848 --> 00:13:05,818 (家定)家定でございます。 ⚟はい。 135 00:13:16,195 --> 00:13:19,532 石田佐吉を召し連れました。 136 00:13:19,532 --> 00:13:23,870 おお そなたが…。 137 00:13:23,870 --> 00:13:28,541 わざわざ呼びたてることでも なかったのじゃが➡ 138 00:13:28,541 --> 00:13:33,212 小姓部屋で 気にかかることがあってのう。 139 00:13:34,881 --> 00:13:38,751 そなた 近江で 寺小姓をしておったそうな…。 140 00:13:38,751 --> 00:13:41,554 心利く者と住職の薦めがあって➡ 141 00:13:41,554 --> 00:13:45,425 秀吉殿が 小谷で 召し抱えられた由にございます。 142 00:13:45,425 --> 00:13:49,429 読み書き 計数にも長けていると 聞きました。 143 00:13:49,429 --> 00:13:51,898 (佐吉)和尚様に習いましてございます。 144 00:13:51,898 --> 00:13:56,769 はあ~ それは頼もしいことじゃ。 145 00:13:56,769 --> 00:14:01,174 そなたの才を妬んで とやかく言う者もおろうが➡ 146 00:14:01,174 --> 00:14:03,843 決して気にすることはありませぬ。 147 00:14:03,843 --> 00:14:08,715 そなたは そなたの持っているもので 殿にお仕えすればよいこと。 148 00:14:08,715 --> 00:14:13,519 これからも 自分の合うた道を励んでくだされ。 149 00:14:13,519 --> 00:14:15,455 はい。 150 00:14:15,455 --> 00:14:18,858 そのひと言が 言いたかっただけじゃ。 151 00:14:18,858 --> 00:14:24,530 くれぐれも つまらない争い事には 巻き込まれぬように…。 152 00:14:24,530 --> 00:14:29,202 はい。 佐吉 肝に銘じまして…。 153 00:14:29,202 --> 00:14:33,539 家定殿は 小姓部屋をあずかるお方。 154 00:14:33,539 --> 00:14:37,210 その人その人の持っている才を 伸ばしてやってくだされ。 155 00:14:37,210 --> 00:14:39,545 はっ。 156 00:14:39,545 --> 00:14:45,218 佐吉 時々は 私の部屋にも訪ねてくだされ。 157 00:14:45,218 --> 00:14:50,890 遠慮はいりませぬ。 私を母と思ってのう。 158 00:14:50,890 --> 00:14:53,226 <ねねは このころから➡ 159 00:14:53,226 --> 00:14:57,563 後の加藤虎之助清正 福島市松正則たちと➡ 160 00:14:57,563 --> 00:15:03,169 石田佐吉三成の肌合いの違う仲を案じて 心を砕いていた。➡ 161 00:15:03,169 --> 00:15:08,841 もちろん それが 遠い将来 豊臣家の存亡に関わる対立になるとは➡ 162 00:15:08,841 --> 00:15:11,511 夢にも思っていなかった。➡ 163 00:15:11,511 --> 00:15:16,182 ただ 次代を担う若者たちが 健やかに育ってくれることを➡ 164 00:15:16,182 --> 00:15:18,851 願っていたのである> 165 00:15:20,520 --> 00:15:24,857 (家次)ねね殿 小姓部屋にまで気を配られては➡ 166 00:15:24,857 --> 00:15:27,760 身がもちませぬ。 167 00:15:27,760 --> 00:15:35,201 秀吉殿が 安土より戻られましたら 改めて 信長様ご築城のお祝いに➡ 168 00:15:35,201 --> 00:15:39,071 参上いたしたいと申しておりました。 伺うておりまする。 169 00:15:39,071 --> 00:15:43,876 その折に持参なさるものを 調えておかねばなりませぬ。 170 00:15:43,876 --> 00:15:46,145 心掛けてはおりますが…。 171 00:15:47,747 --> 00:15:52,218 このようなものは いかがでございましょう? 172 00:15:52,218 --> 00:15:57,890 <ねねは 処々方々に手を回して 信長への献上の品を用意した。➡ 173 00:15:57,890 --> 00:16:04,163 信長好みの南蛮渡来の織物 器 装飾品から金銀まで➡ 174 00:16:04,163 --> 00:16:06,098 金に糸目はつけなかった> 175 00:16:06,098 --> 00:16:09,035 これはまた豪気な。 176 00:16:09,035 --> 00:16:14,507 信長様一世一代のご築城でございます。 177 00:16:14,507 --> 00:16:21,180 これまでの 信長様のご恩顧を思えば できるだけのことは…。 178 00:16:21,180 --> 00:16:25,852 どれだけかかっても この度のことは惜しんではなりませぬ。 179 00:16:25,852 --> 00:16:29,722 これで 秀吉殿も ますます殿のお覚えが めでとうなるというものじゃ。 180 00:16:29,722 --> 00:16:32,725 いいえ。 ただ 私は 信長様に➡ 181 00:16:32,725 --> 00:16:37,196 今までのお礼をいたしたいだけのことで ございます。 182 00:16:37,196 --> 00:16:39,165 はあ。 183 00:16:52,545 --> 00:16:56,415 いよいよ 信長様より 中国経略の命が下された。 184 00:16:56,415 --> 00:16:58,417 その準備のために上洛する。 185 00:16:58,417 --> 00:17:00,820 では 信長様へのお祝いは? 186 00:17:00,820 --> 00:17:02,755 おかかが行ってくれ。 私が!? 187 00:17:02,755 --> 00:17:05,691 火急の場合じゃ。 殿も お許しくださろう。 とても 私は…。 188 00:17:05,691 --> 00:17:09,495 取って食おうなどとは おっしゃらぬわ。 いや わしが行くより➡ 189 00:17:09,495 --> 00:17:12,164 おかかが行ってくれた方が 殿も お喜びになるかもしれんのう。 190 00:17:12,164 --> 00:17:15,134 ハッハッハッハ! あ…。 191 00:17:19,038 --> 00:17:24,176 <ねねは とんでもない代役を 引き受けるはめになってしまった> 192 00:17:24,176 --> 00:17:42,862 ♬~ 193 00:17:42,862 --> 00:17:47,733 お方様…。 大丈夫じゃ。 194 00:17:47,733 --> 00:17:53,205 ご挨拶の言葉は あれほど繰り返して 習い覚えた。 195 00:17:53,205 --> 00:17:56,108 立派に申し上げてみせるわ。 196 00:17:56,108 --> 00:17:58,077 (ふすまが開く音) 197 00:17:58,077 --> 00:18:01,347 (信長)おお ねねか! よう来た! 198 00:18:03,816 --> 00:18:06,485 この度は 信長様には…。 199 00:18:06,485 --> 00:18:09,155 (信長)ああ 堅苦しい挨拶は無用じゃ。 200 00:18:09,155 --> 00:18:14,493 筑前の名代で 祝いに来てくれたそうな…。 大儀じゃ。 201 00:18:14,493 --> 00:18:17,163 久しぶりじゃのう。 202 00:18:17,163 --> 00:18:21,033 また一段と 女ぶりが上がったではないか。 ハッハッハ。 203 00:18:21,033 --> 00:18:26,839 猿めには 過ぎた女房とは思ってはいたが 今まで よう猿に添い遂げてきた。 204 00:18:26,839 --> 00:18:31,177 果報な男よのう 猿は。 うん? ハッハッハッハ。 205 00:18:31,177 --> 00:18:34,847 どうじゃ? 長浜は。 206 00:18:34,847 --> 00:18:39,518 はい。 殿様のおかげをもちまして➡ 207 00:18:39,518 --> 00:18:43,856 平穏無事に その日を送ることが できましてございます。 208 00:18:43,856 --> 00:18:48,527 中村から 筑前の母を迎えることもできました。 209 00:18:48,527 --> 00:18:50,863 筑前も 喜んでおります。 210 00:18:50,863 --> 00:18:54,200 おお それは重畳じゃ。 211 00:18:54,200 --> 00:18:57,536 長浜も 城下も にぎわっておるそうな。 のう。 212 00:18:57,536 --> 00:19:02,141 はい。 殿様のご施政を見習うて…。 213 00:19:02,141 --> 00:19:05,478 領民も 喜んで家業に励んでおります。 214 00:19:05,478 --> 00:19:10,816 これも ひとえに 殿様のご威光のおかげと思っております。 215 00:19:10,816 --> 00:19:16,689 本日は 安土築城のお祝いと共に そのお礼を申し上げとうて…。 216 00:19:16,689 --> 00:19:21,460 いや 皆 筑前の働きよ。 217 00:19:21,460 --> 00:19:25,164 よう つとめてくれた。 はあ。 218 00:19:25,164 --> 00:19:30,836 それも そなたの内助の功があったからこそじゃ。 219 00:19:30,836 --> 00:19:36,175 ねね この上 欲しいのは ややじゃのう。 うん? 220 00:19:36,175 --> 00:19:39,845 ならば 嫡男ができましてございます。 221 00:19:39,845 --> 00:19:42,748 何 できたのか? はい。 222 00:19:42,748 --> 00:19:47,186 私にではございませぬが。 うん? 223 00:19:47,186 --> 00:19:52,058 あ… ハッハ。 そうか 猿め ほかの女子にのう…。 224 00:19:52,058 --> 00:19:57,530 秀勝と名付けまして 当年7歳に相なります。 225 00:19:57,530 --> 00:20:00,866 母親と共に 長浜に…。 226 00:20:00,866 --> 00:20:06,138 そうか。 それは知らなんだのう。 227 00:20:08,741 --> 00:20:14,213 子のない女子というものは 情けないものでございます。 228 00:20:14,213 --> 00:20:20,886 ほかの女子に心を移されたとて ただ耐えねばなりませぬ。 229 00:20:20,886 --> 00:20:25,758 12万石の身分を頂戴すれば それは 世の習い。 230 00:20:25,758 --> 00:20:30,563 恨みに思うことが間違っていると 人は申します。 231 00:20:30,563 --> 00:20:35,901 離別されぬのが ありがたいと 思わねばならんのかもしれませぬ。 232 00:20:35,901 --> 00:20:40,239 でも そのような女子と 同じ屋根の下に住むのは➡ 233 00:20:40,239 --> 00:20:43,909 地獄でございます。 234 00:20:43,909 --> 00:20:49,782 こんなことになりますのなら 足軽組頭でいた方が…。 235 00:20:49,782 --> 00:20:52,251 お方様! 236 00:20:52,251 --> 00:20:54,920 へっ? 237 00:20:54,920 --> 00:20:59,592 はっ! ハッハッハッハッハッハ! 238 00:20:59,592 --> 00:21:04,864 そなたのような女子でも 人並みに 悋気をするのか。 うん? 239 00:21:04,864 --> 00:21:10,202 まあ これは 殿様のお耳に はしたないことを…。 240 00:21:10,202 --> 00:21:13,105 申し訳ございません。 ハッハッハッハ! 241 00:21:13,105 --> 00:21:19,211 そなたに やかれるとは これまた よくよく果報な男よのう 猿は。 242 00:21:19,211 --> 00:21:23,549 お恥ずかしいところを お目にかけてしまいました。 243 00:21:23,549 --> 00:21:26,452 ハッハッハッハ! よいよい 分かっておる。 244 00:21:26,452 --> 00:21:31,891 ねね 気晴らしに ゆっくりと 安土見物でもしていけ。 245 00:21:31,891 --> 00:21:34,560 案内の供を遣わそう。 のう。 246 00:21:34,560 --> 00:21:36,529 はあ~…。 247 00:21:38,230 --> 00:21:43,569 数々の引き出物 見事なものばかりじゃ。 248 00:21:43,569 --> 00:21:47,840 したが 一番見事なのは そなたよ。 249 00:22:03,522 --> 00:22:05,791 ああ~…。 250 00:22:07,393 --> 00:22:12,865 どうして 信長様に あのようなことを…。 251 00:22:12,865 --> 00:22:18,737 せっかく ご挨拶に上がったのも 水の泡じゃ。 252 00:22:18,737 --> 00:22:25,211 お祝いの言葉を申し上げられず つまらない愚痴をこぼしてしまった…。 253 00:22:25,211 --> 00:22:28,547 お方様…。 254 00:22:28,547 --> 00:22:32,418 信長様が お優しい言葉をかけてくださるゆえ➡ 255 00:22:32,418 --> 00:22:35,221 つい甘えてしまって…。 256 00:22:35,221 --> 00:22:39,558 日頃 黙って ご辛抱あそばしておられますゆえ…。 257 00:22:39,558 --> 00:22:43,896 ばかな女子と笑っておいでになろう。 258 00:22:43,896 --> 00:22:49,568 足軽の娘は 所詮 足軽の娘じゃ。 259 00:22:49,568 --> 00:22:56,242 秀吉殿のお顔に 泥を塗ってしもうた。 260 00:22:56,242 --> 00:23:01,513 申し訳が立たぬ。 どうしよう…。 261 00:23:12,191 --> 00:23:14,126 お帰りなされませ。 262 00:23:14,126 --> 00:23:17,529 無事 お役目を果たされ 重畳に存じまする。 263 00:23:17,529 --> 00:23:20,866 留守中 ご苦労でした。 264 00:23:20,866 --> 00:23:23,836 お顔の色が すぐれませぬなあ。 265 00:23:29,208 --> 00:23:31,176 こほ殿。 266 00:23:35,547 --> 00:23:39,218 何か おありになったのではないのか? 267 00:23:39,218 --> 00:23:42,554 殿には お目通り かのうたのであろうな? 268 00:23:42,554 --> 00:23:45,524 信長様よりのご返礼は あったのか? 269 00:23:47,226 --> 00:23:50,562 おかしいのう。 わざわざ お祝いに参上したのじゃ。 270 00:23:50,562 --> 00:23:53,232 何か ご返礼があるのが しきたりじゃが。 271 00:23:53,232 --> 00:23:57,102 もしや なんぞ不都合でも? すぐに 安土をたちましたゆえ。 272 00:23:57,102 --> 00:24:01,373 ご案じなされますな。 無事に済みましてございます。 273 00:24:19,858 --> 00:24:22,528 お疲れが お出になったのでございましょう。 274 00:24:22,528 --> 00:24:24,463 ご心配には及びませぬ。 275 00:24:24,463 --> 00:24:28,867 じゃがのう 安土から戻って ろくに口も利かぬ。 276 00:24:28,867 --> 00:24:32,738 ねねさらしゅうないのう。 (きい)大任じゃったけのう。 277 00:24:32,738 --> 00:24:36,208 まこと 城主のご内室なんか なるもんではないわ。 278 00:24:36,208 --> 00:24:40,546 ねね殿のご気分は いかがじゃ? それがのう…。 279 00:24:40,546 --> 00:24:44,416 まあ 大したことがなければよいがのう。 280 00:24:44,416 --> 00:24:48,220 ねね殿 ちと相談しておきたいことがあってのう。 281 00:24:48,220 --> 00:24:51,557 全て 伯父様にお任せいたします。 282 00:24:51,557 --> 00:24:54,893 どうぞ よしなに お取り計らいくださいませ。 283 00:24:54,893 --> 00:24:56,829 ねね殿…。 284 00:24:56,829 --> 00:25:02,167 お義母様 勝手をいたしまして 申し訳ございません。 285 00:25:02,167 --> 00:25:06,505 何を言う。 日頃 寝たこともない ねねさじゃ。 286 00:25:06,505 --> 00:25:09,408 ゆっくり休んだ方がええ。 287 00:25:09,408 --> 00:25:12,845 ⚟(侍女)お方様! 大変でございます!➡ 288 00:25:12,845 --> 00:25:15,514 秀勝様が…! 秀勝様が…! 289 00:25:15,514 --> 00:25:17,449 どうかなされたか? 290 00:25:17,449 --> 00:25:19,385 おひきつけあそばして! 291 00:25:19,385 --> 00:25:22,054 こほ殿 すぐに支度を。 292 00:25:28,093 --> 00:25:32,531 秀勝殿! 何か言ってくだされ! 秀勝殿! 293 00:25:32,531 --> 00:25:34,867 医者は? ただいま お迎えに。 294 00:25:34,867 --> 00:25:37,770 まあ…。 触らないで! 295 00:25:37,770 --> 00:25:41,206 何か悪いものでも 食されたのか? いえ お毒味は 私が…。 296 00:25:41,206 --> 00:25:44,109 では 何故? 今朝までは 機嫌よう遊んでおられましたのが➡ 297 00:25:44,109 --> 00:25:47,079 急に お元気がのうなられて 先ほどから このように…。 298 00:25:47,079 --> 00:25:49,081 震えておられる。 299 00:25:49,081 --> 00:25:51,050 秀勝殿! 300 00:26:02,494 --> 00:26:04,430 (千種)何をなされる! 殺す気か!? 301 00:26:04,430 --> 00:26:09,701 ひきつけを起こされているのじゃ。 こうしなければ 舌をかみ切ってしまう! 302 00:26:12,171 --> 00:26:15,841 医者は どうしたのじゃ! はい! ただいま! 303 00:26:15,841 --> 00:26:18,177 (家次)ねね殿! 304 00:26:18,177 --> 00:26:22,147 早う! ひどい熱でございます。 305 00:26:35,194 --> 00:26:38,097 大丈夫でございましょうか!? 306 00:26:38,097 --> 00:26:40,532 これは 驚癇という病じゃ。 307 00:26:40,532 --> 00:26:45,404 熱の下がるのを待つよりほか ございませぬのう。 308 00:26:45,404 --> 00:26:47,873 どうあっても助けてくださいまし。 309 00:26:47,873 --> 00:26:51,743 私の命に懸けても お願いでございます。 310 00:26:51,743 --> 00:26:59,885 手当てというてものう…。 薬湯を差し上げて お熱さえ下がれば…。 311 00:26:59,885 --> 00:27:02,855 秀勝! 秀勝! 312 00:27:05,157 --> 00:27:07,826 きっと ようなります。 313 00:27:07,826 --> 00:27:11,497 大事なお子を 死なせるわけにはまいりませぬ。 314 00:27:11,497 --> 00:27:14,399 気を確かに お持ちなされませ。 315 00:27:14,399 --> 00:27:17,169 (とも)ああ どんな様子じゃ? 316 00:27:17,169 --> 00:27:20,072 まだ 熱が引かんのじゃ。 317 00:27:20,072 --> 00:27:24,843 このまま高い熱が続けば もたんかもしれんのう…。 318 00:27:24,843 --> 00:27:26,778 そんなに悪いのか? 319 00:27:26,778 --> 00:27:32,050 わしゃ 田舎で 同じような病で死んだ子を 何人も見とるけえ。 320 00:27:44,530 --> 00:27:50,402 千種殿 少し お休みなされませ。 321 00:27:50,402 --> 00:27:55,541 秀勝殿は 私が見ておりますゆえ。 322 00:27:55,541 --> 00:27:59,211 薬湯を頼みます。 はい。 323 00:28:06,485 --> 00:28:11,456 さあ 秀勝殿。 薬湯じゃ のんでくだされ。 324 00:28:13,358 --> 00:28:16,495 のまねば ようはなりませぬ! 325 00:28:16,495 --> 00:28:19,164 秀勝殿! さあ…。 326 00:28:19,164 --> 00:28:22,134 あ… それでは 無理じゃ。 327 00:28:32,511 --> 00:28:36,181 あ… のまれました。 328 00:28:54,766 --> 00:29:00,472 早う ようおなりなさいませ。 329 00:29:00,472 --> 00:29:05,143 病になど負けてはなりませぬぞ。 330 00:29:05,143 --> 00:29:20,826 ♬~ 331 00:29:33,171 --> 00:29:37,843 秀勝! 秀勝! 332 00:29:37,843 --> 00:29:41,513 秀勝! あっ 秀勝! 333 00:29:41,513 --> 00:29:44,850 秀勝殿。 秀… 秀勝~! 334 00:29:44,850 --> 00:29:48,186 早う 医者を! はい!早う! 335 00:29:48,186 --> 00:29:52,057 (千種)秀勝~!➡ 336 00:29:52,057 --> 00:29:54,026 秀勝…。 337 00:30:01,533 --> 00:30:06,872 申し訳ございません! 私の不行き届きで 秀勝殿を このような…。 338 00:30:06,872 --> 00:30:09,775 お許しくださいまし。 339 00:30:09,775 --> 00:30:29,461 ♬~ 340 00:30:31,096 --> 00:30:35,067 幸い薄い子であった…。 341 00:30:37,836 --> 00:30:41,573 お父がそばにいてやれず➡ 342 00:30:41,573 --> 00:30:44,543 不憫なことをしたのう…。 343 00:30:48,447 --> 00:30:52,417 許せ 秀勝…。 344 00:31:00,525 --> 00:31:05,397 きっと また ええお子を産みます。 345 00:31:05,397 --> 00:31:10,869 秀勝殿に負けぬような 男のお子を産んでみせます。➡ 346 00:31:10,869 --> 00:31:16,208 1人といわず 3人でも5人でも産んでみせます。 347 00:31:16,208 --> 00:31:19,878 今度は きっと丈夫な子を…。 348 00:31:19,878 --> 00:31:22,547 待っていてくだされ。 349 00:31:58,917 --> 00:32:06,191 今宵は 南殿のおそばに いてさしあげてくださいまし。 350 00:32:06,191 --> 00:32:11,530 すぐにも 京にお戻りになるお体…。 351 00:32:11,530 --> 00:32:15,200 せめて 長浜においでの間だけは…。 352 00:32:17,402 --> 00:32:21,373 私へのお心遣いは 無用でございます。 353 00:32:23,141 --> 00:32:29,548 私は 羽柴筑前殿のおかかなど➡ 354 00:32:29,548 --> 00:32:34,886 大きな顔をしておられぬ 女子でございます。 355 00:32:34,886 --> 00:32:48,233 秀吉殿の 大事な 大事なお子を お守りすることもできませなんだ。 356 00:32:48,233 --> 00:32:50,902 もう 気にするな。 357 00:32:50,902 --> 00:32:54,239 誰が悪いのでもないわ。 358 00:32:54,239 --> 00:32:57,209 持って生まれた定めよ。 359 00:32:59,578 --> 00:33:06,251 わしも諦めた。 おかかも くよくよするな。 360 00:33:08,186 --> 00:33:13,058 千種には いとまを取らす。 361 00:33:13,058 --> 00:33:15,060 お前様! 362 00:33:15,060 --> 00:33:22,734 千種とはのう もともと 遊びのつもりじゃった。 363 00:33:26,538 --> 00:33:35,547 わしが 京奉行をしていた頃 義昭めに ばかにされた腹いせで➡ 364 00:33:35,547 --> 00:33:39,885 放蕩していた時の慰めじゃ。 365 00:33:39,885 --> 00:33:45,557 秀勝が産まれたゆえ 長浜へも呼んだが➡ 366 00:33:45,557 --> 00:33:47,492 ええ潮時じゃろう。 367 00:33:47,492 --> 00:33:50,228 お前様。 368 00:33:50,228 --> 00:33:54,566 千種のことは おかかが ええように取り計ろうてくれ。 369 00:33:54,566 --> 00:33:58,904 それは むごすぎます。 勝手すぎます! 370 00:33:58,904 --> 00:34:01,506 もう 煩わしいことは御免じゃ。 371 00:34:01,506 --> 00:34:05,377 わしには 中国攻めという大任も控えておる。 372 00:34:05,377 --> 00:34:13,518 先の命も知れぬ。 このような大事な折に 女子どころではないわ。 373 00:34:13,518 --> 00:34:15,453 私は存じませぬ。 374 00:34:15,453 --> 00:34:18,857 お前様がお連れあそばした方では ございませぬか。 375 00:34:18,857 --> 00:34:24,129 おかか… 怖いのう。 376 00:34:29,501 --> 00:34:34,472 しかたがない。 わしから話そう。 377 00:34:42,881 --> 00:34:46,151 ⚟(千種)私を追い出そうとなされたとて そうはいきませぬ! 378 00:34:47,752 --> 00:34:50,555 銭など欲しゅうはありませぬ!➡ 379 00:34:50,555 --> 00:34:54,225 秀勝殿が死んだら また産めばよいことです。➡ 380 00:34:54,225 --> 00:35:00,198 私は 一生 秀吉様のおそばにいます。 どこへも行きませぬ! 381 00:35:01,833 --> 00:35:04,803 行く所もありませぬ…。 382 00:35:07,505 --> 00:35:20,485 (泣き声) 383 00:35:27,525 --> 00:35:31,396 やはり おかかのこしらえてくれたものは うまいのう。 384 00:35:31,396 --> 00:35:35,367 京に行ったら しばらくは食えぬわ。 ハッハッハッハ。 385 00:35:37,535 --> 00:35:42,507 おっ母様のこと 頼んだぞ。 はい。 386 00:35:45,410 --> 00:35:48,546 千種のことものう。 387 00:35:48,546 --> 00:35:51,516 お前様…。 うん…。 388 00:35:54,219 --> 00:35:56,154 (家次)失礼つかまつります。 おおっ。 389 00:35:56,154 --> 00:35:59,090 ただいま 信長様より お使者にて 書状が。 390 00:35:59,090 --> 00:36:02,060 何? 火急のご使者か? はっ。 391 00:36:07,766 --> 00:36:11,703 何じゃ これは? 「藤吉郎おんなども」とある。 392 00:36:11,703 --> 00:36:15,173 これは おかかに下されたものではないか? 393 00:36:15,173 --> 00:36:20,045 私に? 信長様が…!? うん。 394 00:36:20,045 --> 00:36:23,715 あっ! 待て待て。 読んで聞かせる。 読んで聞かせる。 395 00:36:28,186 --> 00:36:32,057 「仰せのごとく 今度は この地へ初めて越し➡ 396 00:36:32,057 --> 00:36:34,859 見参に入り 祝着に候」。 397 00:36:34,859 --> 00:36:38,196 おお この度は よう安土へ来てくれたと➡ 398 00:36:38,196 --> 00:36:41,533 お礼の言葉じゃ。これは あの 私に…! 待て待て。 読んで聞かせると言うに。 399 00:36:41,533 --> 00:36:45,203 読んで聞かせると言うに。 ええ~い! 400 00:36:45,203 --> 00:36:51,076 うん… 「殊に 土産 いろいろ美しさ なかなか目にも余り➡ 401 00:36:51,076 --> 00:36:53,078 筆に尽くし難く候」。 402 00:36:53,078 --> 00:36:56,815 ハッハッハッハッハ! 祝いの品々 ご満足のご様子じゃのう。 403 00:36:56,815 --> 00:36:59,551 うん? フッハッハッハ! 404 00:36:59,551 --> 00:37:05,356 「祝儀ばかり… 祝儀ばかりに この方よりも 何やらんと思い候えば➡ 405 00:37:05,356 --> 00:37:08,827 その方より 見事なる物 持たせ候間➡ 406 00:37:08,827 --> 00:37:13,698 別に 志なく候まま まずまず この度は とどめまいらせ候。➡ 407 00:37:13,698 --> 00:37:17,836 重ねて参り候時 それに従うべく候」。 408 00:37:17,836 --> 00:37:23,174 何じゃ 信長様からは 何のご返礼もなかったのか。 409 00:37:23,174 --> 00:37:25,844 こちらからも 何かやろうと思うておったが➡ 410 00:37:25,844 --> 00:37:30,715 あまりにも見事なものをもろうたゆえ 何をやってよいのか 思いもつかぬ。 411 00:37:30,715 --> 00:37:34,519 今度は やめにして この次来た時に 何かやろうと仰せられておる。 412 00:37:34,519 --> 00:37:40,859 う~ん。 ハッハッハッハ! おかか よほど気張って持っていったらしいのう。 413 00:37:40,859 --> 00:37:43,528 せめて 気持ちの品々を…。 414 00:37:43,528 --> 00:37:48,399 アッハッハッハ! 信長様の肝を抜くとは おかかの才覚も なかなかのものよ! 415 00:37:48,399 --> 00:37:52,871 アッハッハッハッハ! う~ん。 416 00:37:52,871 --> 00:38:00,478 「また なかんずく それの見目ぶり 形まで いつぞや 見まいらせ候折節よりは➡ 417 00:38:00,478 --> 00:38:03,381 十のもの 二十ほども見上げ候」。 418 00:38:03,381 --> 00:38:06,351 アッハッハッハ! おかか! 419 00:38:06,351 --> 00:38:09,487 おかかのことを褒めておいでじゃ。 アッハッハッハ! 420 00:38:09,487 --> 00:38:13,158 以前 おかかに会うた時よりも おかかの見目 形が➡ 421 00:38:13,158 --> 00:38:18,029 倍も美しゅうなったと。 しかし 十のものが二十にもなったとは➡ 422 00:38:18,029 --> 00:38:22,167 ちと褒め過ぎじゃのう。 アッハッハッハッハッハ! 423 00:38:22,167 --> 00:38:26,037 「藤吉郎 連々不足の旨申すのよし➡ 424 00:38:26,037 --> 00:38:28,506 言語道断 曲事…」。 あっ!待て 待て! 425 00:38:28,506 --> 00:38:33,378 「言語道断 曲事に候か」。 こら どういうことじゃ? おかか。 426 00:38:33,378 --> 00:38:36,381 わしが おかかの不足を言うておるようじゃが➡ 427 00:38:36,381 --> 00:38:40,118 けしからんと怒っておられる。 わしが いつ おかかの不足を言うた。 428 00:38:40,118 --> 00:38:42,053 なぜ このようなことを 信長様が? 429 00:38:42,053 --> 00:38:49,727 申し訳ございませぬ。 つい 千種殿に 秀勝殿がおできになったことを…。 430 00:38:51,529 --> 00:38:55,200 愚痴を申してしまいました。 431 00:38:55,200 --> 00:38:57,702 わしのことを あしざまに言うたのか。 432 00:38:57,702 --> 00:39:01,472 いえいえ 女子は つらいと…。 433 00:39:01,472 --> 00:39:06,811 それを お察しくだされたのでございましょう。 434 00:39:06,811 --> 00:39:15,153 何じゃ 信長様も おかかの肩ばっかり持って。 あ~。 435 00:39:15,153 --> 00:39:21,025 「いずかたを相訪ね候とも それさまほどのは➡ 436 00:39:21,025 --> 00:39:23,828 また再び かの剥げ鼠」…。 437 00:39:23,828 --> 00:39:25,763 剥げ鼠! 438 00:39:25,763 --> 00:39:29,500 剥げ鼠とは 何 これ わしのことか? 439 00:39:29,500 --> 00:39:36,374 まあ そ… それは あまりの申されようでございますな。 440 00:39:36,374 --> 00:39:45,049 なあ! 猿の次は 剥げ鼠か。 どうせ わしも 頭は薄うなった。 441 00:39:45,049 --> 00:39:47,852 剥げ猿の 剥げ鼠よ! 442 00:39:47,852 --> 00:39:52,724 「また再び かの剥げ鼠 相求め難き間」…。 443 00:39:52,724 --> 00:39:55,727 わしのような剥げ鼠は➡ 444 00:39:55,727 --> 00:39:58,496 おかかのような ええ女子は 二度と もらえぬじゃと。 445 00:39:58,496 --> 00:40:04,402 「じゃによって これより以降は 身持ちを陽快になし➡ 446 00:40:04,402 --> 00:40:07,538 いかにも かみ様なりに 重々しく➡ 447 00:40:07,538 --> 00:40:11,409 悋気などに立ち入り候ては しかるべからず候」。 448 00:40:11,409 --> 00:40:17,882 ハッハッハッハ! おかか。 けんか両成敗じゃ。 のう。 449 00:40:17,882 --> 00:40:20,551 わしのような剥げ鼠には➡ 450 00:40:20,551 --> 00:40:23,454 おかかのようなええ女子は 二度と もらえんのじゃから➡ 451 00:40:23,454 --> 00:40:27,892 おかかも これから先は 自信を持って… のう? 452 00:40:27,892 --> 00:40:30,561 奥方らしゅう 鷹揚に構えて➡ 453 00:40:30,561 --> 00:40:34,432 軽々しく やきもちなど やいてはならぬと➡ 454 00:40:34,432 --> 00:40:39,570 おかかのことを たしなめておられるわ。 うん? ハッハッハッハ。 455 00:40:39,570 --> 00:40:46,444 「女の役にて候間 申すものの申さぬなりに もてなし しかるべく候」。 456 00:40:46,444 --> 00:40:51,582 聞いたか おかか。 うん? 女のつとめとして➡ 457 00:40:51,582 --> 00:40:57,255 言いたいことも言わずと じっと辛抱して 亭主の面倒を見ろと仰せられておる。 458 00:40:57,255 --> 00:40:59,924 のう! はい。 459 00:40:59,924 --> 00:41:02,527 重々 心にしみましてございます。 460 00:41:02,527 --> 00:41:05,196 うん。 のう。 461 00:41:05,196 --> 00:41:13,071 「なお 文体に 羽柴に 拝見こいねがうものなり」と…。 462 00:41:13,071 --> 00:41:16,541 「藤吉郎おんなども」。 463 00:41:16,541 --> 00:41:23,214 この文の趣を お前様にも ようお伝えせよと。 464 00:41:23,214 --> 00:41:26,551 うん。 分かった。 465 00:41:26,551 --> 00:41:29,220 はあ~。 466 00:41:32,890 --> 00:41:42,567 信長様は お心のこまやかな お優しい方でおられますなあ。 467 00:41:42,567 --> 00:41:47,905 このような文を頂戴して➡ 468 00:41:47,905 --> 00:41:54,779 ねねは 身も心も洗われたような気がいたします。 469 00:41:54,779 --> 00:41:56,748 うん。 470 00:41:59,517 --> 00:42:07,859 これからは 信長様のお言葉を胸に よいおかかになるよう つとめます。 471 00:42:07,859 --> 00:42:12,530 はあ~ わしも こたえた…。 472 00:42:15,199 --> 00:42:20,872 <この手紙は 信長の人間性を知る上に 貴重な史料である。➡ 473 00:42:20,872 --> 00:42:27,545 また 秀吉とねね夫婦の仲を推し量る 数少ない手がかりとも言える。➡ 474 00:42:27,545 --> 00:42:31,883 この後 秀吉には 十指に余る側室ができるが➡ 475 00:42:31,883 --> 00:42:33,818 それに ねねが耐えたのも➡ 476 00:42:33,818 --> 00:42:39,090 信長のこの手紙が 長く心に残っていたせいかもしれない> 477 00:42:43,494 --> 00:42:46,230 <秀吉は 慌ただしく京へ戻り➡ 478 00:42:46,230 --> 00:42:51,502 ねねには 気の重い 千種の後始末が残されていた> 479 00:43:08,486 --> 00:43:13,191 ♬~ 480 00:43:13,191 --> 00:43:20,064 <今は 同じ女として 千種が哀れでならない ねねであった。➡ 481 00:43:20,064 --> 00:43:22,533 千種のことだけではない。➡ 482 00:43:22,533 --> 00:43:26,404 男は 戦 戦と 錦の御旗にするが➡ 483 00:43:26,404 --> 00:43:31,542 留守をあずかる女にも 家族のことから 政治向きのことまで➡ 484 00:43:31,542 --> 00:43:36,414 つらい戦が いくつもあるのだと ねねは恨めしかった> 485 00:43:36,414 --> 00:43:47,091 ♬~