1 00:00:02,069 --> 00:02:36,823 ♬~ 2 00:02:36,823 --> 00:02:43,497 (千種)秀勝~! 秀勝…。 3 00:02:43,497 --> 00:02:49,169 <天正4年秋 秀吉の嫡男 秀勝の突然の死は➡ 4 00:02:49,169 --> 00:02:55,509 長浜城を ねねの胸を 秋の嵐のように吹き抜けた。➡ 5 00:02:55,509 --> 00:02:58,412 千種と秀勝を迎えて1年半。➡ 6 00:02:58,412 --> 00:03:03,116 今は 幸薄かった秀勝も その母の千種も➡ 7 00:03:03,116 --> 00:03:06,453 ねねには 哀れでならなかった> 8 00:03:06,453 --> 00:03:12,459 (ねね)早いもの もう四十九日過ぎたとは…。 9 00:03:14,327 --> 00:03:18,465 あまり思い詰められると お体に障ります。 10 00:03:18,465 --> 00:03:24,137 たまには 気晴らしに 町に お出かけになってみたら…。 11 00:03:24,137 --> 00:03:31,011 (千種)秀吉様は お方様に 私のことは どう…? 12 00:03:31,011 --> 00:03:34,147 別に 何も…。 13 00:03:34,147 --> 00:03:36,483 気にすることはありませぬ。 14 00:03:36,483 --> 00:03:40,153 いつまでも ここにおられたらよいのじゃ。 15 00:03:40,153 --> 00:03:45,492 何なりと 私に言うてくだされ。 ご不自由はおかけいたしませぬ。 16 00:03:45,492 --> 00:03:50,797 女子は女子同士ではございませぬか。 なあ? 17 00:03:57,504 --> 00:04:01,374 おお… 見事な紅葉じゃ。 18 00:04:01,374 --> 00:04:05,679 千種殿 ほら ご覧なされませ。 19 00:04:07,314 --> 00:04:09,616 お方様。 20 00:04:11,451 --> 00:04:17,324 私は 秀吉様には もう用のない女子。 21 00:04:17,324 --> 00:04:21,461 分かっております。 千種殿。 22 00:04:21,461 --> 00:04:25,465 秀吉様からも いとまを出されました。 23 00:04:27,801 --> 00:04:33,106 秀吉殿が何を言われたか知りませぬが 私には…。 24 00:04:34,674 --> 00:04:42,816 7年という長い歳月 殿に お仕えなされたのではございませぬか。 25 00:04:42,816 --> 00:04:49,156 今になって そのような…。 私には できませぬ。 26 00:04:49,156 --> 00:04:51,491 私がついております。 27 00:04:51,491 --> 00:04:57,197 たとえ 秀吉殿とて 私が そのようなことは許しませぬ。 28 00:04:58,832 --> 00:05:05,105 大きな顔をして ここにおられたら よいのじゃ。 うん? 29 00:05:05,105 --> 00:05:10,777 ありがとうございます。 私のような女子を…。 30 00:05:10,777 --> 00:05:15,115 でも やはり ここを去ぬるのが…。 31 00:05:15,115 --> 00:05:18,018 千種殿…。 32 00:05:18,018 --> 00:05:24,124 私は 随分と お方様には ひどい仕打ちを。 33 00:05:24,124 --> 00:05:27,460 それは 誰よりも 私が 一番よう知っております。 34 00:05:27,460 --> 00:05:30,130 過ぎたことではありませぬか。 35 00:05:30,130 --> 00:05:34,467 いえ。 私の気が済みませぬ。 36 00:05:34,467 --> 00:05:42,342 それに 秀吉様のお心も もう とうに 私からは離れてしもうておられます。 37 00:05:42,342 --> 00:05:45,645 未練がましいことだけは しとうございませぬ。 38 00:05:49,482 --> 00:05:56,156 長い間のわがまま… どうぞ お許しくださいまし。 39 00:05:56,156 --> 00:05:59,826 今日かぎり 去ぬらせていただきます。 40 00:05:59,826 --> 00:06:02,729 出ていくと言うて どこへ? 41 00:06:02,729 --> 00:06:07,434 そなたには 身内がないと伺っております。 42 00:06:07,434 --> 00:06:10,103 無謀なことだけは なされますな。 43 00:06:10,103 --> 00:06:17,777 フッ…。 京でも 一人で なんとか生きておりました。 44 00:06:17,777 --> 00:06:23,450 また 元の暮らしに戻るだけのこと。 45 00:06:23,450 --> 00:06:27,320 ご案じくださいますな。 千種殿。 46 00:06:27,320 --> 00:06:31,324 人の哀れみや情けを受けるよりも➡ 47 00:06:31,324 --> 00:06:36,029 自分の力で 生きる道を選びとうございます。 48 00:06:39,100 --> 00:06:44,738 お方様の温かいお心…➡ 49 00:06:44,738 --> 00:06:48,141 千種 生涯忘れはいたしませぬ。 50 00:06:48,141 --> 00:06:53,813 では どうしても…? 51 00:06:53,813 --> 00:07:01,421 お世話になりました。 戦乱の世 明日のことは分かりませぬ。 52 00:07:01,421 --> 00:07:06,092 お方様も どうかお達者で…。 53 00:07:06,092 --> 00:07:23,109 ♬~ 54 00:07:23,109 --> 00:07:36,122 (雷鳴) 55 00:07:36,122 --> 00:07:51,604 (雨の音) 56 00:07:51,604 --> 00:08:10,390 ♬~ 57 00:08:11,958 --> 00:08:14,427 ⚟(きい)義姉様!➡ 58 00:08:14,427 --> 00:08:18,098 義姉様! おっ母さが 中村へ帰ると言って 聞かぬのじゃ! 59 00:08:18,098 --> 00:08:20,100 えっ? 60 00:08:28,441 --> 00:08:31,778 お義母様! (なか)あの女子も出ていった。 61 00:08:31,778 --> 00:08:34,447 もう案ずることものうなった。 62 00:08:34,447 --> 00:08:38,118 わしが ここにおることも いらんようになった。 63 00:08:38,118 --> 00:08:41,020 でも 秀吉殿のお留守の時に このような…。 64 00:08:41,020 --> 00:08:43,790 藤吉郎には関わりのないことじゃ。 65 00:08:43,790 --> 00:08:47,460 わしは ねねさのために おったまでのことよ。 66 00:08:47,460 --> 00:08:52,799 わしゃ 中村に 田や畑を頼んでる人がおるでなも➡ 67 00:08:52,799 --> 00:08:59,139 用が済んだら 中村へ去なねばならん。 去にたいのじゃ。 68 00:08:59,139 --> 00:09:02,409 では とも様や きい様は…。 (とも)そうじゃ。 69 00:09:02,409 --> 00:09:05,078 せっかく 親子で 暮らせるようになったというに…。 70 00:09:05,078 --> 00:09:07,013 私とて 寂しゅうございます。 71 00:09:07,013 --> 00:09:11,751 もう 皆 親など要らぬ年じゃ。 年寄りは やっかいなだけよ。 72 00:09:11,751 --> 00:09:13,753 お義母様! 73 00:09:17,090 --> 00:09:22,429 お義母様がいてくだすって 私は どれほど心強いことか…。 74 00:09:22,429 --> 00:09:26,766 私のためと思ってくださるなら ここにいてくださいまし。 75 00:09:26,766 --> 00:09:29,102 (きい)おっ母さ! 76 00:09:29,102 --> 00:09:32,772 (みつ)お方様。 みつにございます。 77 00:09:32,772 --> 00:09:35,442 まあ! みつ殿! 78 00:09:35,442 --> 00:09:37,777 (みつ)お久しゅうございます。 79 00:09:37,777 --> 00:09:44,117 どうしておられたのじゃ。 随分と顔を見せぬゆえ 案じておりました。 80 00:09:44,117 --> 00:09:48,788 播磨へ行っておりました。 (なか)播磨じゃと? 小一郎は? 81 00:09:48,788 --> 00:09:53,126 はい。 秀長様も 嘉助殿も…➡ 82 00:09:53,126 --> 00:09:57,464 難しいお役目を よう おつとめなされておられます。 83 00:09:57,464 --> 00:10:00,366 これは 秀長様と嘉助殿より➡ 84 00:10:00,366 --> 00:10:04,804 母上様 お方様 きい様にと お言づかりしてまいりました。 85 00:10:04,804 --> 00:10:07,140 あ… わしにか? 86 00:10:07,140 --> 00:10:11,478 嘉助さ わしのこと忘れんで…。 それで いつ帰る? 87 00:10:11,478 --> 00:10:15,815 間もなく。 まことか! 88 00:10:15,815 --> 00:10:20,487 お義母様。 秀長殿が お戻りになります。 89 00:10:20,487 --> 00:10:23,156 せめて それまで…。 90 00:10:23,156 --> 00:10:27,827 秀長様は 美しいお客人を お連れになるやもしれませぬ。 91 00:10:27,827 --> 00:10:31,698 女子か? あちらで よいお人に巡り会われました。 92 00:10:31,698 --> 00:10:36,503 それを お方様にお伝えするようにと。 それでは…! 93 00:10:36,503 --> 00:10:38,838 どういうお人じゃ? どんな身分の? 94 00:10:38,838 --> 00:10:43,176 それは いずれ 秀長様より…。 95 00:10:43,176 --> 00:10:48,848 小一郎が 嫁になる女子を連れて戻るとなると➡ 96 00:10:48,848 --> 00:10:51,751 やっぱり 会うておきたいのう。 97 00:10:51,751 --> 00:10:54,521 見ておきたいわ。 98 00:10:54,521 --> 00:10:57,857 秀長殿が気に入られたお方です。 99 00:10:57,857 --> 00:11:01,461 きっと お義母様の お気に召すことでございましょう。 100 00:11:01,461 --> 00:11:07,467 それまで また ここで 世話になろうかのう…。 101 00:11:15,008 --> 00:11:18,011 (笑い声) 102 00:11:18,011 --> 00:11:45,038 ♬~ 103 00:11:45,038 --> 00:11:48,508 (嘉助)何じゃ!? (弥五六)不粋なまねは よせ! 104 00:11:48,508 --> 00:11:50,843 秀長殿をお守りするのが わしのお役目じゃ。 105 00:11:50,843 --> 00:11:54,714 ここは 敵地も同然。 いつ何時 何があるやもしれぬではないか。 106 00:11:54,714 --> 00:12:04,724 ♬~ 107 00:12:06,326 --> 00:12:09,329 (秀長)相変わらず 精の出ることよのう。 108 00:12:09,329 --> 00:12:14,067 (しの)今年も よう 野菜が出来ました。 育ててくれた土には➡ 109 00:12:14,067 --> 00:12:17,804 お礼に たんと肥やしをやらねば 申し訳ありません。 110 00:12:17,804 --> 00:12:23,142 ハッ。 そのような しの殿を見てると 義姉様のことを思い出す…。 111 00:12:23,142 --> 00:12:26,846 義姉様も 土を大事になされるお人でのう。 112 00:12:28,481 --> 00:12:33,820 秀長様のお話は いつも 義姉上様のことばかり。 113 00:12:33,820 --> 00:12:39,492 いや… しの殿が 義姉様に よう似ておられるゆえ。 114 00:12:39,492 --> 00:12:42,195 私のような者が…。 115 00:12:46,366 --> 00:12:51,838 義姉上様は それはお美しいお方と…。 116 00:12:51,838 --> 00:12:57,510 見目 形ではない。 心ばえがのう。➡ 117 00:12:57,510 --> 00:13:02,515 義姉様も 優しくて よう気の付くお方じゃ。 118 00:13:17,463 --> 00:13:24,337 近いうちに 長浜に帰ることになるやもしれぬ。 119 00:13:24,337 --> 00:13:29,475 それでは もう お目にはかかれぬのでございますか? 120 00:13:29,475 --> 00:13:36,816 しの殿に 長浜に行ってもらいたいのじゃ。 わしと一緒に。➡ 121 00:13:36,816 --> 00:13:40,687 義姉様に会うてもらいたい。 兄者にもじゃ。 122 00:13:40,687 --> 00:13:46,159 しの殿の父上や母上には わしから お願いする。 123 00:13:46,159 --> 00:13:49,062 秀長様…。 124 00:13:49,062 --> 00:13:55,501 わしが 勝手の分からぬ山道で 迷うて難渋してる時➡ 125 00:13:55,501 --> 00:14:01,774 しの殿に会うて 助けられたばかりか いろいろ面倒まで見てもろうた。 126 00:14:01,774 --> 00:14:06,446 しの殿を生涯の伴侶にと思うたのも➡ 127 00:14:06,446 --> 00:14:10,149 あの時の しの殿の心遣いが 忘れられないからじゃ。 128 00:14:15,455 --> 00:14:22,128 いや… しの殿が嫌と言うなら 致し方あるまい。 129 00:14:22,128 --> 00:14:29,135 もし わしのような男でも ついてきてくだされるというなら…。 130 00:14:32,472 --> 00:14:35,375 もったいのうございます。 131 00:14:35,375 --> 00:14:43,116 でも 秀長様は 長浜12万石のご城主の弟御。 132 00:14:43,116 --> 00:14:46,486 私は 足軽の娘でございます。 133 00:14:46,486 --> 00:14:48,821 とても 秀長様のおそばに 置いていただけるような➡ 134 00:14:48,821 --> 00:14:50,757 女子ではございません。 135 00:14:50,757 --> 00:14:54,160 兄者とて わしとて 百姓じゃった。➡ 136 00:14:54,160 --> 00:14:57,497 義姉様とて しの殿と同じこと。 137 00:14:57,497 --> 00:15:02,101 第一 男と女子の間には➡ 138 00:15:02,101 --> 00:15:06,439 生まれや身分など 関わり合いのないことじゃ。 139 00:15:06,439 --> 00:15:10,309 義姉様は きっと 喜んでくだされる。 140 00:15:10,309 --> 00:15:15,314 しの殿のことを よう分かってくだされるお人じゃ。 141 00:15:28,461 --> 00:15:30,396 見るな! 142 00:15:30,396 --> 00:15:32,331 武士の情けというものじゃ。 143 00:15:32,331 --> 00:15:35,334 痛いのう~! 144 00:15:35,334 --> 00:15:40,072 はっ! それにしても 秀長殿も酔狂なお方よ。 145 00:15:40,072 --> 00:15:44,811 いくら 旅のつれづれとはいえ あのような小娘の どこがようてのう。 146 00:15:44,811 --> 00:15:49,148 ええではないか。 黒田官兵衛殿との談合も うまくいっておる。 147 00:15:49,148 --> 00:15:55,488 官兵衛殿の力添えで 播磨の豪族どもで 秀長殿に内応する者も出てきた。 148 00:15:55,488 --> 00:15:57,824 無事 大任を果たされておるのじゃ。 149 00:15:57,824 --> 00:16:01,093 女子の一人や二人で 目くじら立てることあるまい。 150 00:16:01,093 --> 00:16:04,430 おうおう 独り身は のんきでええのう。 151 00:16:04,430 --> 00:16:08,100 おかかのある身では 遊ぶこともできぬわ。 ふん! 152 00:16:08,100 --> 00:16:10,803 早う 長浜へ帰りたいわ! 153 00:16:16,442 --> 00:16:21,314 <その年の暮れ ねねの妹 ややに 初めて子が産まれた。➡ 154 00:16:21,314 --> 00:16:23,783 男の子であった。➡ 155 00:16:23,783 --> 00:16:26,452 ややの幸せそうな顔を見て➡ 156 00:16:26,452 --> 00:16:31,157 ねねは 子に恵まれない自分が またつらかった> 157 00:16:34,126 --> 00:16:39,999 <翌天正5年1月。 京から秀吉が 播磨から秀長が➡ 158 00:16:39,999 --> 00:16:45,304 いよいよ中国出陣に備え 相次いで 長浜へ帰ってきた> 159 00:16:47,473 --> 00:16:53,479 <久しぶりの家族の再会に 長浜城は華やいでいた> 160 00:16:58,484 --> 00:17:02,088 (こほ)お方様。 皆様 おそろいでございます。 161 00:17:02,088 --> 00:17:04,991 そろそろ お上がりなされませ。 はあはあ もうすぐじゃ。 162 00:17:04,991 --> 00:17:08,961 お方様! あとは 私どもが…。 163 00:17:08,961 --> 00:17:11,097 久しぶりのご帰城じゃ。 164 00:17:11,097 --> 00:17:14,433 秀吉殿にも 秀長殿にも➡ 165 00:17:14,433 --> 00:17:18,304 私の手作りのものを 召し上がっていただく。 166 00:17:18,304 --> 00:17:20,773 そのための おかかじゃ。 167 00:17:20,773 --> 00:17:24,777 (笑い声) 168 00:17:30,783 --> 00:17:32,718 (秀吉)おお! 遅うなりました。 169 00:17:32,718 --> 00:17:35,655 何をしておった。 厨に入っておりましたゆえ。 170 00:17:35,655 --> 00:17:39,125 (秀長)あっ じゃあ 今宵のごちそうは 義姉様が? 171 00:17:39,125 --> 00:17:42,795 このぐらいのことしか おかかのつとめも のうなりました。 172 00:17:42,795 --> 00:17:44,730 また 嫌みか? えっ? 173 00:17:44,730 --> 00:17:48,467 (なか)ねねさに 女子を押しつけて ねねさが どないに苦労したか。 174 00:17:48,467 --> 00:17:50,803 もう 済んだことではないか。 175 00:17:50,803 --> 00:17:53,706 おかか いろいろとしてやってくれたそうな…。 176 00:17:53,706 --> 00:17:56,475 ハッハ。 礼を言う。 そのことは もう…。 177 00:17:56,475 --> 00:18:02,081 秀長殿 嘉助殿 播磨でのおつとめ ご苦労さまでございました。 178 00:18:02,081 --> 00:18:04,984 いや~ 2人とも ようやってくれた。 179 00:18:04,984 --> 00:18:10,756 秀長の働きでのう 播磨の赤松 別所 浦上の諸氏も上洛し➡ 180 00:18:10,756 --> 00:18:14,427 信長様も 京へ入られて 無事 対面なされた。 181 00:18:14,427 --> 00:18:18,297 播磨は おおかた 信長様のお味方をするものと見た。 182 00:18:18,297 --> 00:18:22,301 いやいや まだまだ油断は…。 毛利とて さる者。 183 00:18:22,301 --> 00:18:26,439 毛利の働きかけで いつ寝返る者が現れるかも分かりません。 184 00:18:26,439 --> 00:18:29,775 今は 一時も早う 兄者が播磨に入られることが肝要。 185 00:18:29,775 --> 00:18:32,111 (とも)また 播磨へ行かれるのか? 186 00:18:32,111 --> 00:18:34,447 これからが 本当の中国攻めよ。 187 00:18:34,447 --> 00:18:37,350 是が非でも 毛利は抑えねばのう。 188 00:18:37,350 --> 00:18:39,318 その覚悟の中国攻めじゃ。 189 00:18:39,318 --> 00:18:45,091 皆ものう しっかと そのつもりで 留守を守ってくれ。 190 00:18:45,091 --> 00:18:49,462 おかかや おっ母様と共に 一族 結束をしてのう。 191 00:18:49,462 --> 00:18:54,133 (なか)わしはのう 小一郎の嫁の顔を見たら 中村へ去ぬる。➡ 192 00:18:54,133 --> 00:18:57,470 長浜になど用はないわ。 おっ母さあ…。 193 00:18:57,470 --> 00:19:02,308 フフフ…。 連れてくると聞いたが。 何の話よ。 194 00:19:02,308 --> 00:19:06,078 (なか)いやのう やっと 小一郎の気に入った女子が➡ 195 00:19:06,078 --> 00:19:08,981 見つかったそうじゃ。 ハッハッハッハ! 196 00:19:08,981 --> 00:19:12,752 いや… 兄者 会うてやってくれ。 197 00:19:12,752 --> 00:19:16,422 今 城下の知り人のうちに あずかってもろうてある。 198 00:19:16,422 --> 00:19:18,758 義姉様にも会ってもらいたい。 199 00:19:18,758 --> 00:19:21,093 ならば 遠慮なさらずとも➡ 200 00:19:21,093 --> 00:19:23,763 お城へ連れていらっしゃれば よろしかったものを…。 201 00:19:23,763 --> 00:19:27,099 かわいそうに お一人で 心細うなさっておられましょうに。 202 00:19:27,099 --> 00:19:29,435 たわけたことを言うな! 203 00:19:29,435 --> 00:19:34,306 どこの誰の娘だか知らんがのう わしの許しものう 連れてきおって。 204 00:19:34,306 --> 00:19:37,109 城へなど入れられる道理がなかろうが! 205 00:19:37,109 --> 00:19:41,981 別所長治殿の足軽をつとめる者の娘。 心利いた 素直な…。 206 00:19:41,981 --> 00:19:46,452 足軽の娘じゃと!? しかも 播磨の…! 207 00:19:46,452 --> 00:19:50,322 秀長 おぬし 何を血迷うておる。 208 00:19:50,322 --> 00:19:53,793 ええ娘じゃ。 会うてくだされば すぐに分かる。 209 00:19:53,793 --> 00:19:55,728 明日にでも 城に挨拶に来させ…。 210 00:19:55,728 --> 00:19:58,130 ならん! 会うことはないわ。 すぐに追い返せ。 211 00:19:58,130 --> 00:20:00,800 お前様! するだけのことは してやろう。 212 00:20:00,800 --> 00:20:02,735 銭なら いくらでも出してやるわ。 213 00:20:02,735 --> 00:20:05,137 そのような女子ではないわ! 214 00:20:05,137 --> 00:20:07,473 わしが おかかにと心を決めた…。 215 00:20:07,473 --> 00:20:10,810 秀長 頭を冷やせ。 216 00:20:10,810 --> 00:20:13,145 おぬしの女房は わしが決めると言うてある! 217 00:20:13,145 --> 00:20:16,816 ええかげんにせえ! 小一郎がもらう嫁ぞ! 218 00:20:16,816 --> 00:20:20,152 おみゃあがもらうんじゃねえ。 小一郎が ええと言うなら…。 219 00:20:20,152 --> 00:20:23,055 おっ母さあは 黙っていてくだされ! お前様 お義母様に なんということを! 220 00:20:23,055 --> 00:20:25,024 黙れ! おかかは引っ込んでおれ。 221 00:20:25,024 --> 00:20:28,027 嘉助。 はっ。おぬしも おぬしよのう。 222 00:20:28,027 --> 00:20:31,163 何のために 秀長の供をしてまいった。 223 00:20:31,163 --> 00:20:33,833 秀長が そのような女子に うつつを抜かせば➡ 224 00:20:33,833 --> 00:20:35,768 いさめるのが おぬしの役目であろうが。 225 00:20:35,768 --> 00:20:41,173 それをノコノコと 播磨から長浜まで その女子の供をしてまいったと申すのか! 226 00:20:41,173 --> 00:20:43,109 ああ!? 申し訳ございません。 227 00:20:43,109 --> 00:20:46,512 何を詫びることがある! おぬしには 関わりのないことじゃ! 228 00:20:46,512 --> 00:20:50,850 そうよ。 小一郎兄さが 勝手に…。 嘉助さに 何の罪があるというのじゃ! 229 00:20:50,850 --> 00:20:54,186 たとえ 兄さでも 許せぬ! きい! 230 00:20:54,186 --> 00:20:57,523 許さぬというたら 許さぬわ! 231 00:20:57,523 --> 00:21:01,794 それほどの女子であれば 側女にでも置いとけ! 232 00:21:01,794 --> 00:21:04,463 ならば わしも 目をつぶってやろう。 233 00:21:04,463 --> 00:21:08,134 じゃが 正室としては許さぬぞ。 兄者! 234 00:21:08,134 --> 00:21:12,471 小一郎 よう考えてみい。 235 00:21:12,471 --> 00:21:15,374 おぬしは もう 昔の小一郎ではないぞ。 236 00:21:15,374 --> 00:21:18,344 羽柴筑前守秀吉の弟ぞ! 237 00:21:18,344 --> 00:21:21,814 今にも何万石の城主におさまろうという 男じゃ。 238 00:21:21,814 --> 00:21:24,717 お前には お前にふさわしい女子を 奥方に迎えねば。 239 00:21:24,717 --> 00:21:26,685 それが お前の役目であろうが! 240 00:21:26,685 --> 00:21:31,490 たとえ 兄者の言葉でも こればかりは 従うわけにはいかん! 241 00:21:31,490 --> 00:21:34,160 わしは 兄者とは違う! 242 00:21:34,160 --> 00:21:36,095 側女など置くつもりはない! 243 00:21:36,095 --> 00:21:38,831 何じゃ!? お前様! 244 00:21:38,831 --> 00:21:43,502 わしは わしじゃ! おつとめのことなら いざ知らず➡ 245 00:21:43,502 --> 00:21:46,405 おかかのことまで 兄者の指図は受けぬわ! 246 00:21:46,405 --> 00:21:51,377 秀長! こら! やめんか 藤吉郎! こら! 247 00:21:51,377 --> 00:21:55,848 ええ年して たかが女子のことで 兄弟げんかなんかしおって! 248 00:21:55,848 --> 00:21:58,517 藤吉郎! おみゃあが悪い! 249 00:21:58,517 --> 00:22:00,519 お前様…。 250 00:22:11,797 --> 00:22:14,700 せっかくのところ 申し訳ございませぬ。 251 00:22:14,700 --> 00:22:17,703 あとは どうぞ ごゆるりと。 252 00:22:19,672 --> 00:22:24,677 ご案じなされますな。 あとは 私が よしなに…。 253 00:23:13,459 --> 00:23:16,128 私も 足軽の娘。 254 00:23:16,128 --> 00:23:20,799 それでも お前様は おかかとして 私をもらってくださいました。 255 00:23:20,799 --> 00:23:26,138 お前様が反対する気持ちが分かりませぬ。 256 00:23:26,138 --> 00:23:29,041 さあ 機嫌を直して あちらへ参りましょう。 257 00:23:29,041 --> 00:23:31,010 さあ なあ お前様。 258 00:23:31,010 --> 00:23:34,480 おかか。お前様…。 259 00:23:34,480 --> 00:23:39,351 秀長はのう わしにとって 大事な大事な弟よ。 260 00:23:39,351 --> 00:23:43,155 それは 分かっております。 261 00:23:43,155 --> 00:23:47,026 ともも きいも あのような男と 一緒になってしもうて➡ 262 00:23:47,026 --> 00:23:51,330 わしの身内といえば 秀長だけじゃ。 263 00:23:55,501 --> 00:24:01,307 せめて 秀長には ええ嫁をもろうてやりたい。 264 00:24:01,307 --> 00:24:05,778 今の秀長ならば それができる。 265 00:24:05,778 --> 00:24:08,113 お願いすれば➡ 266 00:24:08,113 --> 00:24:11,984 信長様のお血筋の方じゃとて 夢ではないわ。 267 00:24:11,984 --> 00:24:14,987 お前様…。 268 00:24:14,987 --> 00:24:19,725 ちょうど 秀長に頂きたい姫がおられる…。 269 00:24:19,725 --> 00:24:22,661 信長様の姪にあたられるお方じゃ。 270 00:24:22,661 --> 00:24:28,801 わしが 中国攻めで手柄を立てたら 必ずや下されるに違いない。 271 00:24:28,801 --> 00:24:33,138 まあ お前様…! お前様 そのようなことを…!? 272 00:24:33,138 --> 00:24:35,074 秀長は それほどの器の男よ。 273 00:24:35,074 --> 00:24:40,479 では 秀長殿は お前様のために…? 274 00:24:40,479 --> 00:24:46,151 お前様は まだ出世なさりたいのか。 275 00:24:46,151 --> 00:24:49,822 12万石を頂いて…。 276 00:24:49,822 --> 00:24:55,160 私は 足軽大将だけでも 分不相応と思っておったのに➡ 277 00:24:55,160 --> 00:24:57,496 これ以上 何をお望みか。 278 00:24:57,496 --> 00:25:01,367 まして そのために 秀長殿を当てになさるなど➡ 279 00:25:01,367 --> 00:25:04,770 兄様のなされることか! おかかには分からぬわ。 280 00:25:04,770 --> 00:25:08,440 はあ~。 ええ そのような理不尽なことは分かりませぬ。 281 00:25:08,440 --> 00:25:10,442 はあ~。 282 00:25:14,113 --> 00:25:17,116 信長様が怖い。 283 00:25:19,985 --> 00:25:24,990 信長様の前には わしの命など 吹けば飛ぶようなものよ。 284 00:25:28,460 --> 00:25:33,332 いつ どのようなことで 信長様のご勘気に触れるやもしれぬ。 285 00:25:33,332 --> 00:25:36,135 そうなれば 出世どころではないわ。 286 00:25:36,135 --> 00:25:40,139 わしの首など ひとっ飛びよ。 お前様…。 287 00:25:41,807 --> 00:25:47,279 せめて 信長様のご縁のある方を嫁に…。 288 00:25:47,279 --> 00:25:50,482 ハッハッハッハ。 お前様らしゅうもない。 289 00:25:50,482 --> 00:25:53,819 笑うな おかか。 おかかじゃから 言えるのよ。 290 00:25:53,819 --> 00:25:56,488 このようなこと 誰にも言えぬわ。 291 00:25:56,488 --> 00:26:06,298 信長様は お市様を奥方に遣わされた 浅井長政殿を討たれたお方。 292 00:26:06,298 --> 00:26:10,436 そのようなことをして 何になります。 293 00:26:10,436 --> 00:26:14,306 お前様が ただただ ご忠勤なさることが…。 294 00:26:14,306 --> 00:26:17,309 そのようなこと 言われいでも分かっておるわ。 295 00:26:17,309 --> 00:26:22,448 わしのためだけではない。 秀長のためにも…。 296 00:26:22,448 --> 00:26:30,155 それがのう 信長様のもとで生きる者の知恵の一つよ。 297 00:26:32,124 --> 00:26:36,795 わしには おかかもおる。 298 00:26:36,795 --> 00:26:42,668 おっ母様も ともも きいも… やや殿もおる。 299 00:26:42,668 --> 00:26:47,139 何千という家臣も その家族も 皆 わしの肩にかかっておる。 300 00:26:47,139 --> 00:26:50,042 何としても 羽柴の家を潰すわけにはいかんのじゃ。 301 00:26:50,042 --> 00:26:54,012 どうでも この戦国の世を 生き延びていかねばならんのじゃ。 302 00:26:54,012 --> 00:26:56,815 はあ…。 303 00:26:56,815 --> 00:27:01,420 秀長に 勝手なまねはさせぬ。 304 00:27:01,420 --> 00:27:11,096 いや… できぬようになってしもうたのよ。 わしの弟に生まれた因果よのう。 305 00:27:11,096 --> 00:27:14,967 でも…。 おかかの言うとおりかもしれん。 306 00:27:14,967 --> 00:27:19,438 足軽でおった方が よかったかもしれんのう…。はあ…。 307 00:27:19,438 --> 00:27:27,312 12万石になればなったで 背負うてる荷も重とうなる…。 308 00:27:27,312 --> 00:27:30,015 つらいのう。 309 00:27:38,790 --> 00:27:44,463 疲れたであろう。 いいえ。 秀長様のお供ができて➡ 310 00:27:44,463 --> 00:27:49,801 それだけで しのは幸せでございました。 311 00:27:49,801 --> 00:27:54,473 それに このような よい所を見せていただいて…。 312 00:27:54,473 --> 00:28:01,480 (鳥の鳴き声) 313 00:28:06,418 --> 00:28:12,291 ただ お城へ上がるのが…。 314 00:28:12,291 --> 00:28:19,431 私のような女子を 秀吉様やお方様に 気に入っていただけるか…。 315 00:28:19,431 --> 00:28:23,769 もうしばらく 城下で ゆっくりしておればよい。 316 00:28:23,769 --> 00:28:26,438 なにも 急ぐことはない。 317 00:28:26,438 --> 00:28:29,775 でも 間もなく また播磨へ…? 318 00:28:29,775 --> 00:28:33,445 それまでに きっと…。 319 00:28:33,445 --> 00:28:35,747  心の声 やはり…。 320 00:28:38,116 --> 00:28:40,786 案じるな。 321 00:28:40,786 --> 00:28:43,789 わしの言うとおりにしておれば よいのじゃ。 322 00:28:46,658 --> 00:28:50,963 いいな? はい。 323 00:28:53,365 --> 00:29:02,374 (鳥の鳴き声) 324 00:29:11,416 --> 00:29:16,755 藤吉郎が反対している娘じゃ。 会いに行ったとて 何になる。 325 00:29:16,755 --> 00:29:19,658 藤吉郎に知れたら ただでは済まぬわ。 326 00:29:19,658 --> 00:29:24,096 小一郎が はるばる 播磨から連れてきた女子じゃ。 327 00:29:24,096 --> 00:29:28,967 よほど 覚悟しておるのであろう。 せめて 会うだけでも会うてやらにゃ。 328 00:29:28,967 --> 00:29:33,438 小一郎兄様も ほかに 女子がおらぬわけであるまいに…。 329 00:29:33,438 --> 00:29:38,310 きい様とて お好きな嘉助殿に 添われたのではありませぬか。 330 00:29:38,310 --> 00:29:41,780 夫婦は 生涯連れ添うもの…。 331 00:29:41,780 --> 00:29:46,451 お互いの心が触れ合ってこそ 助け合うものじゃ。 332 00:29:46,451 --> 00:29:49,755 周りの裁量で 決められるものではありませぬ。 333 00:29:55,794 --> 00:30:03,135  心の声  秀長様。 しのは 播磨へ戻ります。➡ 334 00:30:03,135 --> 00:30:10,142 秀長様のこと しのは 生涯忘れませぬ。 335 00:30:17,482 --> 00:30:20,152 失礼いたします。 336 00:30:20,152 --> 00:30:23,155 何事か! 軍議の最中ぞ! 337 00:30:24,823 --> 00:30:29,494 秀長殿に 急ぎ お耳に入れたいことがございます。 338 00:30:29,494 --> 00:30:32,397 しの殿が 長浜をたたれます。 339 00:30:32,397 --> 00:30:36,401 女子の足 今すぐ追えば すぐに間に合うこと。 340 00:30:39,171 --> 00:30:41,506 秀長! 341 00:30:41,506 --> 00:30:44,209 秀長殿! 342 00:30:48,180 --> 00:30:53,051 追っても 無駄でございましょう。 343 00:30:53,051 --> 00:30:58,523 しの殿とて それなりの覚悟があってのこと…。 344 00:30:58,523 --> 00:31:01,827 そういう娘でございます。 345 00:31:04,796 --> 00:31:10,669 義姉様には いろいろとご迷惑をかけました。 346 00:31:10,669 --> 00:31:13,805 軍議の最中ゆえ…。 347 00:31:13,805 --> 00:31:59,518 ♬~ 348 00:32:01,787 --> 00:32:05,123 (なか)不憫なことをしたわなも。 349 00:32:05,123 --> 00:32:09,795 秀長殿も また すぐに 播磨にたたれる由にございます。 350 00:32:09,795 --> 00:32:14,132 その折に しの殿に お会いになれましょう。 351 00:32:14,132 --> 00:32:20,806 (なか)やれやれ これでは 心が残って 中村に去ぬこともできぬわ。 352 00:32:20,806 --> 00:32:25,477 よい首尾が聞かれるまで 長浜に ご逗留くださいまし。 353 00:32:25,477 --> 00:32:28,380 (なか)中村のことも気がかりじゃし…。 354 00:32:28,380 --> 00:32:35,487 中村には いつ戻られてもいいように 人を遣わせて 田や畑を作らせております。 355 00:32:35,487 --> 00:32:40,158 また 私の一存で 家も 新しゅうに建てました。 356 00:32:40,158 --> 00:32:45,030 いえ ご心配には及びませぬ。 357 00:32:45,030 --> 00:32:50,335 お義母様がおらいでは ねねは 心細うございます。 358 00:32:52,737 --> 00:32:57,175 <間もなく 秀吉と秀長は 播磨へ入った。➡ 359 00:32:57,175 --> 00:33:02,447 以前から 信長に内応していた 御着城城主 小寺政職の家臣➡ 360 00:33:02,447 --> 00:33:05,350 小寺官兵衛孝高と対面。➡ 361 00:33:05,350 --> 00:33:08,787 官兵衛は 信長に 二心のないことの証しに➡ 362 00:33:08,787 --> 00:33:11,122 7歳になる息子 松壽丸を➡ 363 00:33:11,122 --> 00:33:13,458 人質に差し出した。➡ 364 00:33:13,458 --> 00:33:16,361 後に黒田と改めた 官兵衛孝高は➡ 365 00:33:16,361 --> 00:33:20,131 その生涯を 秀吉にささげることになる。➡ 366 00:33:20,131 --> 00:33:25,804 秀吉は その後 立て続けに 播磨の諸大名を巧みに口説き落として➡ 367 00:33:25,804 --> 00:33:32,143 最大の勢力であった 三木城城主 別所長治をも 傘下に収めてしまった。➡ 368 00:33:32,143 --> 00:33:35,046 西国経略の基礎固めは出来たが➡ 369 00:33:35,046 --> 00:33:40,485 秀吉は なかなか 中国攻めにかかれなかった。➡ 370 00:33:40,485 --> 00:33:46,358 長浜へも帰れぬ秀吉に代わって ある日 秀長が帰ってきた> 371 00:33:46,358 --> 00:33:50,829 思いがけぬ ご帰城じゃ。 なんぞございましたのか? 372 00:33:50,829 --> 00:33:53,498 (秀長)黒田官兵衛殿のご子息を お連れいたしました。 373 00:33:53,498 --> 00:34:02,107 まあ! わざわざ 播磨から? よほど大事な客人と見えますな。 374 00:34:02,107 --> 00:34:05,443 あいにくと 秀吉殿がお留守。 375 00:34:05,443 --> 00:34:09,314 私が代わって おもてなしをしなければ なりますまい。 376 00:34:09,314 --> 00:34:12,317 (家次)客人ではない。 人質じゃ。 377 00:34:12,317 --> 00:34:14,786 人質…? 378 00:34:14,786 --> 00:34:18,123 (家次)官兵衛は 信長様に寝返った男。➡ 379 00:34:18,123 --> 00:34:21,626 形勢いかんでは いつ また 裏切るやもしれませぬ。➡ 380 00:34:21,626 --> 00:34:25,463 そのため…。 いやいや 官兵衛殿は そのような方ではない。 381 00:34:25,463 --> 00:34:29,134 しかしながら 乱世の習いとして。 382 00:34:29,134 --> 00:34:32,470 長浜で おあずかりするのでございますか? 383 00:34:32,470 --> 00:34:34,406 (秀長)信長様の仰せにございます。 384 00:34:34,406 --> 00:34:37,342 (家次)えらいものを引き受けたわ。 385 00:34:37,342 --> 00:34:43,114 万一のことがあったら 大ごとじゃ。 気の重いことよ。 386 00:34:43,114 --> 00:34:46,818 松壽丸殿を これへ。 はっ! 387 00:34:58,496 --> 00:35:00,432 このお子が…!? 388 00:35:00,432 --> 00:35:03,101 (なか)年端も行かぬに…。 389 00:35:03,101 --> 00:35:07,772 そなたは 今日より このお城で暮らすことになる。➡ 390 00:35:07,772 --> 00:35:10,675 あちらが お方様じゃ。 391 00:35:10,675 --> 00:35:16,114 (松壽丸)松壽丸にございます。 どうぞ よろしゅうお願いいたします。 392 00:35:16,114 --> 00:35:20,785 まあ… 立派なご挨拶じゃ。 393 00:35:20,785 --> 00:35:26,458 乱世の習いか何か知らぬが まだ母親の恋しい年頃じゃ。 394 00:35:26,458 --> 00:35:30,161 むごいことよのう。 おっ母様! 395 00:35:41,006 --> 00:35:46,144 私がついております。 私を母と思って…。 396 00:35:46,144 --> 00:35:49,047 不自由はおかけいたしませぬ。 ねね殿! 397 00:35:49,047 --> 00:35:54,819 私が おあずかりいたします。 さっ おじゃれ。 さあ。 398 00:35:54,819 --> 00:35:57,155 ねね殿! 家次殿。 399 00:35:57,155 --> 00:36:01,026 そうじゃ。 400 00:36:01,026 --> 00:36:04,763 肝心なことを伺うのを忘れました。 401 00:36:04,763 --> 00:36:07,432 しの殿とは その後…。 402 00:36:07,432 --> 00:36:10,335 お義母様も 気になすって。 403 00:36:10,335 --> 00:36:14,305 こたびは 連れてこなんだのか? 404 00:36:14,305 --> 00:36:18,076 あれきり どうしておるのか…。 405 00:36:18,076 --> 00:36:23,782 別所長治殿の城中に ご内室の侍女として 出仕したと聞きましたが➡ 406 00:36:23,782 --> 00:36:28,653 会うすべもなく… 両親も 口をつぐんでおります。 407 00:36:28,653 --> 00:36:32,123 恐らく わしを避けて…。 408 00:36:32,123 --> 00:36:34,059 秀長殿…。 409 00:36:34,059 --> 00:36:37,996 まあ これからは 播磨も長うなります。 410 00:36:37,996 --> 00:36:42,133 別所長治殿も 信長様に お味方しておりますし➡ 411 00:36:42,133 --> 00:36:46,004 そのうち 会える時もまいりましょう。 412 00:36:46,004 --> 00:36:50,008 秀長 諦めてはおりません。 413 00:36:56,681 --> 00:37:00,085 この度 お城で おあずかりすることになった➡ 414 00:37:00,085 --> 00:37:05,423 松壽丸殿じゃ。 皆 仲よう お相手になってくだされ。 415 00:37:05,423 --> 00:37:07,358 (4人)はい。 416 00:37:07,358 --> 00:37:11,296 孫七郎も 小吉も お豪も よいお仲間になりましょう。 417 00:37:11,296 --> 00:37:14,999 遠慮はいりません。 仲ようにな。 418 00:37:23,775 --> 00:37:25,710 (孫七郎)なんぞして 遊ぼう? 419 00:37:25,710 --> 00:37:29,647 松壽丸殿! 構いませぬ! 420 00:37:29,647 --> 00:37:34,419 男のお子じゃ 思い切って 暴れておいでなされませ。 421 00:37:34,419 --> 00:37:37,122 (進之介)さあ こちらへ どうぞ。 422 00:37:41,126 --> 00:37:47,799 やっぱり 子供じゃのう。 心の優しいお子と見えますなあ。 423 00:37:47,799 --> 00:37:52,670 ねね殿。 松壽丸は 殿からおあずかりした人質じゃ。 424 00:37:52,670 --> 00:37:56,474 勝手なまねは…。 人質じゃというて➡ 425 00:37:56,474 --> 00:38:00,078 孫七郎も小吉も同じ人の子。 426 00:38:00,078 --> 00:38:06,417 まして 親元を離れて どのような つらい思いをしておることか…。 427 00:38:06,417 --> 00:38:11,289 私が おあずかりいたします。 428 00:38:11,289 --> 00:38:15,093 これで 安堵いたしました。 429 00:38:15,093 --> 00:38:18,429 わしも あのような子を人質に取るなど 嫌じゃ。 430 00:38:18,429 --> 00:38:21,766 せめて 義姉様に かわいがっていただけたら。 431 00:38:21,766 --> 00:38:24,669 私の子として…。 (なか)フッフッフ。➡ 432 00:38:24,669 --> 00:38:28,439 ねねさも えらい子持ちじゃのう。 433 00:38:28,439 --> 00:38:35,747 私に子供ができずとも 神様が 次々と授けてくださいます。 フフフッ。 434 00:38:38,449 --> 00:38:43,321 (長政)家次殿。 あ… これは 秀長殿。 お戻りでござったか。 435 00:38:43,321 --> 00:38:46,324 長政殿 何用あって? はっ。 436 00:38:46,324 --> 00:38:49,460 京より 急用があって 立ち戻りました。 437 00:38:49,460 --> 00:38:53,798 秀吉殿が 越前の加賀へ出陣なされます。 (秀長)何!? 438 00:38:53,798 --> 00:38:59,137 長浜に待機中の手勢を率いて わしに越前へ下れとの仰せにございます。 439 00:38:59,137 --> 00:39:01,739 兄者が 越前へ!? なぜ 兄者が!? 440 00:39:01,739 --> 00:39:04,642 今は 一時も早う 毛利へ 手を打たねばならん時に…! 441 00:39:04,642 --> 00:39:10,081 それは 秀吉殿とて 同じお気持ち。 が 殿のご命令とあっては 是非もない。 442 00:39:10,081 --> 00:39:14,752 上杉謙信が 越中 魚津に出陣し 能登に向こうた。 443 00:39:14,752 --> 00:39:19,424 柴田勝家殿だけでは とても太刀打ちできる相手ではない。 444 00:39:19,424 --> 00:39:24,095 家次殿 急ぎ 出陣のお手配を。 うむ かしこまってござる。 445 00:39:24,095 --> 00:39:29,434 わしも行こう。 謙信は 手ごわい相手じゃ。 兄者一人では 心もとなかろう。 446 00:39:29,434 --> 00:39:31,436 秀長殿! 447 00:39:35,773 --> 00:39:39,644 <秀吉は 京から 秀長と長政は 長浜から➡ 448 00:39:39,644 --> 00:39:42,113 合わせて8,000の手勢を率いて➡ 449 00:39:42,113 --> 00:39:46,985 急きょ 柴田勝家の援軍として 越前の加賀へ はせ下った。➡ 450 00:39:46,985 --> 00:39:54,125 が 毛利討伐が 信長の天下統一への 一番の早道と信じていた秀吉にとっては➡ 451 00:39:54,125 --> 00:39:56,794 内心 大いに不満であった> 452 00:39:56,794 --> 00:40:02,467 無謀じゃのう。 そのような作戦は いたずらに 兵を失うだけ。 453 00:40:02,467 --> 00:40:05,136 今しばし 時を稼いで…。 (勝家)おぬし➡ 454 00:40:05,136 --> 00:40:08,806 臆病風に吹かれたか。 勝家殿。 455 00:40:08,806 --> 00:40:14,679 そのような腰折れで よう 信長様にお仕えできる。 456 00:40:14,679 --> 00:40:18,483 ただ攻めるだけが 戦ではござらぬわ! 457 00:40:18,483 --> 00:40:20,418 引いて 時を見るのも 兵法の…。 458 00:40:20,418 --> 00:40:22,820 わしに兵法を説く気か!? 459 00:40:22,820 --> 00:40:25,823 足軽上がりに 何が分かる! 460 00:40:27,692 --> 00:40:31,829 越前をおあずかりするのは この柴田勝家じゃ。 461 00:40:31,829 --> 00:40:35,166 おぬしの指図は受けぬわ! 462 00:40:35,166 --> 00:40:37,835 よう分かった! 463 00:40:37,835 --> 00:40:43,508 勝家殿は 足軽上がりの秀吉の助けは お気に召さぬと見えるのう。 464 00:40:43,508 --> 00:40:46,411 即刻 兵を引きましょう。 何!? 465 00:40:46,411 --> 00:40:49,180 役に立たぬ者がウロウロしておっては ご迷惑でござろう。 466 00:40:49,180 --> 00:40:51,115 秀長。 はっ。 467 00:40:51,115 --> 00:40:54,852 ただちに 兵を長浜へ返すぞ。 (利家)秀吉殿! 468 00:40:54,852 --> 00:40:57,522 たわけたことを言うものではない! 469 00:40:57,522 --> 00:40:59,857 わしは 当たり前のことを言うておるまで。 470 00:40:59,857 --> 00:41:02,760 第一 今 越前へなど来るのが 間違うておるのじゃ! 471 00:41:02,760 --> 00:41:05,129 上杉も 武田も 畿内の一向一揆も➡ 472 00:41:05,129 --> 00:41:08,466 後ろで助けておるのは 足利義昭を擁する毛利ですぞ! 473 00:41:08,466 --> 00:41:11,803 毛利を制することこそが 勝利への早道! 474 00:41:11,803 --> 00:41:14,472 越前などでグズグズしておっても 無益じゃ! 475 00:41:14,472 --> 00:41:19,811 今… 今 おぬしの一存で兵を引くことは 主命に背くことになるんだぞ! 476 00:41:19,811 --> 00:41:21,746 致し方ありませんのう。 477 00:41:21,746 --> 00:41:24,482 それが どういうことになるのか おぬし…! 478 00:41:24,482 --> 00:41:29,787 信長様のことじゃ 打ち首か 切腹か…。 覚悟の上じゃ! 479 00:41:31,356 --> 00:41:34,158 分かっていて…。 480 00:41:34,158 --> 00:41:37,061 思いとどまれ! 481 00:41:37,061 --> 00:41:41,833 おのれが正しいと信じたことで 命を落とすならば 本望でござる。 482 00:41:41,833 --> 00:41:46,170 負けると分かっている戦をして 無駄に 兵を犠牲にするより➡ 483 00:41:46,170 --> 00:41:51,042 その方が よっぽどましじゃ! タァ~ッ! 484 00:41:51,042 --> 00:41:53,511 秀長殿! 兄者を! 485 00:41:53,511 --> 00:41:56,180 止めても聞くような兄者ではござらん。 486 00:41:56,180 --> 00:41:59,083 信長様のお怒りを覚悟の退陣…。 487 00:41:59,083 --> 00:42:01,386 致し方あるまい。 488 00:42:02,987 --> 00:42:05,690 藤吉郎! 489 00:42:08,760 --> 00:42:15,666 犬千代様のご厚情… この藤吉郎 忘れませぬぞ。 490 00:42:15,666 --> 00:42:17,969 さらばでござる。 491 00:42:20,805 --> 00:42:24,475 フンッ 猿めも終わりよ。 492 00:42:24,475 --> 00:42:41,826 ♬~ 493 00:42:41,826 --> 00:42:46,497 <突然 手勢を率いて帰ってきた秀吉に ねねは驚いた。➡ 494 00:42:46,497 --> 00:42:49,834 訳を聞いて 心臓が止まりそうになった。➡ 495 00:42:49,834 --> 00:42:54,705 あれほど 信長を恐れていた秀吉が 信長に背いたのである。➡ 496 00:42:54,705 --> 00:42:59,177 ねねは 訳が分からぬまま ただ オロオロしていた> 497 00:42:59,177 --> 00:43:03,481 おかか 休みじゃ! 休みじゃ 休みじゃ! 498 00:43:09,787 --> 00:43:11,789 お前様! 499 00:43:20,431 --> 00:43:23,334 <空威張りをなされて…。➡ 500 00:43:23,334 --> 00:43:27,138 こんな時 おかかは どうすればよいのだろう。➡ 501 00:43:27,138 --> 00:43:31,476 ねねは 身を切られるように つらかった。➡ 502 00:43:31,476 --> 00:43:37,815 秀吉41歳 ねね30歳の秋のことであった> 503 00:43:37,815 --> 00:43:45,122 ♬~