1 00:00:02,102 --> 00:02:37,391 ♬~ 2 00:02:39,526 --> 00:02:42,429 <天正8年1月➡ 3 00:02:42,429 --> 00:02:46,867 播磨の三木城を 1年にわたる干殺し戦術で陥れ➡ 4 00:02:46,867 --> 00:02:49,536 播磨平定を成し遂げた秀吉は➡ 5 00:02:49,536 --> 00:02:55,409 その年の2月に 久しぶりで 諸将を引き連れて 長浜に凱旋し➡ 6 00:02:55,409 --> 00:02:59,413 早速 城中で 茶会を催した> 7 00:03:01,148 --> 00:03:08,822 <客には 堺の商人で茶人の 津田宗及 銭屋宗納が招かれた。➡ 8 00:03:08,822 --> 00:03:13,160 茶の湯を通じて 当時の文化人たちの仲間入りをし➡ 9 00:03:13,160 --> 00:03:17,497 また 一族の者たちの 教養を高めようとした秀吉は➡ 10 00:03:17,497 --> 00:03:23,503 妹のきいも あさひという もっともらしい名前に改めさせていた> 11 00:03:40,520 --> 00:03:43,190 (秀吉)おう おかか。 ハッハッハ。 12 00:03:43,190 --> 00:03:48,528 (ねね)皆様 お疲れでございましょう。 私が 心ばかりの支度をしてございます。 13 00:03:48,528 --> 00:03:51,331 どうぞ ごゆるりと おくつろぎくださいまし。 14 00:03:51,331 --> 00:03:54,201 (小六)ああ こりゃこりゃ かたじけない。 さすが ねね殿じゃ。 15 00:03:54,201 --> 00:03:57,537 どうも わしは 茶の湯などというものは 結構すぎて 性に合わんわい。 16 00:03:57,537 --> 00:03:59,473 のう? (笑い声) 17 00:03:59,473 --> 00:04:02,375 お方様のお心遣いじゃ。 遠慮のう ごちそうになろう。 18 00:04:02,375 --> 00:04:04,678 ささ ご案内して。 19 00:04:08,148 --> 00:04:11,818 <久しぶりに 秀吉の帰城を迎えた ねねには➡ 20 00:04:11,818 --> 00:04:17,124 その機会を狙って ひそかに胸に秘めた たくらみがあった> 21 00:04:20,494 --> 00:04:25,198 おおっ 皆 そろうておるのう。 ハッハッハッハッハ。 22 00:04:29,169 --> 00:04:32,506 おかか 何をしておる。 早う。 23 00:04:32,506 --> 00:04:37,377 今日は ちと訳がございまして もう一人 同席させていただきとうございます。 24 00:04:37,377 --> 00:04:39,379 ほう。 25 00:04:43,850 --> 00:04:55,862 ♬~ 26 00:04:55,862 --> 00:04:59,733 皆様おそろいの この席をお借りいたしまして➡ 27 00:04:59,733 --> 00:05:07,474 秀長殿の祝言の儀 ならびに 夫婦の披露を させていただきとうございます。 28 00:05:07,474 --> 00:05:16,483 ♬~ 29 00:05:16,483 --> 00:05:22,355 秀長殿の奥方になられる しの様にございます。 30 00:05:22,355 --> 00:05:26,493 (なか)藤吉郎。 見苦しいまねは 許さんぞ。 31 00:05:26,493 --> 00:05:30,797 差し出たことをすると 親子の縁を切るでなも。 32 00:06:05,332 --> 00:06:08,335 秀長殿。 33 00:06:10,804 --> 00:06:12,806 (秀長)はっ。 34 00:06:29,489 --> 00:06:31,524 (なか)藤吉郎! 35 00:06:31,524 --> 00:07:23,476 ♬~ 36 00:07:23,476 --> 00:07:27,347 許さん! おかかとて 許せぬわ! 許せん! 37 00:07:27,347 --> 00:07:30,150 では どうぞ ご存分になさいませ。 38 00:07:30,150 --> 00:07:34,821 確かに 私の一存でいたしましたこと。 覚悟はできております。 39 00:07:34,821 --> 00:07:39,492 何じゃ! おっ母様も おかかも わしを ばかにしおって! 40 00:07:39,492 --> 00:07:42,395 おっ母様まで 親子の縁を切るなどと! 41 00:07:42,395 --> 00:07:46,833 お義母様とて 秀長殿の幸せを願ってゆえ…。 42 00:07:46,833 --> 00:07:54,507 なにが 幸せよ! 今の秀長であればのう どのような大身な姫でも もらえるわ! 43 00:07:54,507 --> 00:07:59,179 お前様は まだ 秀長殿を 出世の手段になさろうと言われますのか。 44 00:07:59,179 --> 00:08:01,781 何じゃ!? そうではありませぬか。 45 00:08:01,781 --> 00:08:05,452 お前様の都合のよい方を嫁にもらって 身内になされば➡ 46 00:08:05,452 --> 00:08:10,323 お前様は それで 得をなさいましょう。 でも 秀長殿は どうなさいます。 47 00:08:10,323 --> 00:08:13,126 わしを そのような男と思うておるのか。 48 00:08:13,126 --> 00:08:17,797 わしはのう… わしは 秀長のためを思えばこそ…! 49 00:08:17,797 --> 00:08:23,670 はっ… それを伺って 安堵いたしました。 50 00:08:23,670 --> 00:08:27,140 うん? フフッ…。 51 00:08:27,140 --> 00:08:33,480 これで 秀長殿も お好きな方と夫婦になられたのじゃ。 52 00:08:33,480 --> 00:08:40,353 それが一番の幸せ。 喜んで 祝って差し上げてくださいませ。 53 00:08:40,353 --> 00:08:42,655 なあ? 54 00:08:49,029 --> 00:08:52,165 お前様。 55 00:08:52,165 --> 00:08:58,505 私は お前様に添うて 本当に幸せだと思っております。 56 00:08:58,505 --> 00:09:03,343 今のお前様でしたら とても足軽組頭の娘など➡ 57 00:09:03,343 --> 00:09:07,113 もろうてはいただけませなんだ。 58 00:09:07,113 --> 00:09:12,786 ありがたいと思っておりますゆえ しの様のお力になったのでございます。 59 00:09:12,786 --> 00:09:15,789 それが 同じ女子としての…。 60 00:09:17,457 --> 00:09:22,328 それとも 私のような女子を おかかにして➡ 61 00:09:22,328 --> 00:09:25,131 後悔なさっておいでになりますか? 62 00:09:25,131 --> 00:09:27,133 おかか…。 63 00:09:28,802 --> 00:09:31,471 確かに 私のいたしましたことは➡ 64 00:09:31,471 --> 00:09:35,809 おかかとして差し出たまねと 心得ております。 65 00:09:35,809 --> 00:09:39,479 どのようなお怒りも 黙って お受けいたしましょう。 66 00:09:39,479 --> 00:09:44,350 去れと言われれば いつでも 実家に去らせていただきます。 67 00:09:44,350 --> 00:09:48,822 おかか。 わしは そのようなことを 言うておるのではないわ。 68 00:09:48,822 --> 00:09:53,693 おかかは 二言目には 離縁じゃ離縁じゃと わしを脅す。 ひきょうじゃぞ! 69 00:09:53,693 --> 00:09:58,164 女子には それよりほか 筋目の通しようがございませぬ。 70 00:09:58,164 --> 00:10:03,036 あ… 分かった 分かった。 もう 秀長のことは 何も言わぬわ。 71 00:10:03,036 --> 00:10:07,507 秀長のおかかじゃ わしが 口を出すことではないわのう。 72 00:10:07,507 --> 00:10:11,177 まあ! お前様。 73 00:10:11,177 --> 00:10:14,080 おかかと おっ母様には かなわぬわ! ハッハッハ…。 74 00:10:14,080 --> 00:10:17,517 城は落とせてものう おかかには歯が立たぬわ。 75 00:10:17,517 --> 00:10:19,452 負けた 負けた! アッハッハッハ。 76 00:10:19,452 --> 00:10:24,390 やっぱり 私の思ってたとおりの お前様じゃ。 77 00:10:24,390 --> 00:10:28,528 お前様のおかかになって 本当に果報者じゃ。 78 00:10:28,528 --> 00:10:31,431 ヘヘ…。 79 00:10:31,431 --> 00:10:36,202 お前様。 ああ… ええ祝言じゃったのう。 80 00:10:36,202 --> 00:10:41,074 ほんに 皆様に喜んでいただいて。 そうじゃ そうじゃ。 ハッハッハ…。 81 00:10:41,074 --> 00:10:45,545 お疲れでございましょう。 肩でも おもみいたしましょうか? 82 00:10:45,545 --> 00:10:49,415 いや… おかかとて疲れておろうが。 誰ぞ 呼んでくれ。 83 00:10:49,415 --> 00:10:52,418 誰にも触らせとうございませぬ。 84 00:10:52,418 --> 00:10:55,889 ねねだけの秀吉じゃ。 85 00:10:55,889 --> 00:10:57,891 う… うん。 86 00:11:04,497 --> 00:11:11,371 夢のようじゃ。 まさか しの殿を 長浜で このように…。 87 00:11:11,371 --> 00:11:14,841 皆 義姉様のおかげじゃ。 (しの)はい。 88 00:11:14,841 --> 00:11:18,511 わざわざ 播磨へ お迎えの使者を頂いた時は➡ 89 00:11:18,511 --> 00:11:21,414 私とて 信じられませなんだ。 90 00:11:21,414 --> 00:11:25,385 お方様のご恩は 終生…。 ああ。 91 00:11:25,385 --> 00:11:30,857 これからも 精いっぱい 羽柴の家のために働かねばのう。 92 00:11:30,857 --> 00:11:32,792 義姉様のためにも。 93 00:11:32,792 --> 00:11:39,532 はい。 ただ 私は 何のお役にも…。 94 00:11:39,532 --> 00:11:44,871 しの殿 それは言わぬと誓ったではないか。 95 00:11:44,871 --> 00:11:49,742 目など見えずとも しの殿の心には変わりはない。 96 00:11:49,742 --> 00:11:53,046 わしのおかかでいてくれたら それだけで…。 97 00:11:55,215 --> 00:12:01,487 不自由はさせん。 もう二度と つらい目には遭わせん。 98 00:12:01,487 --> 00:12:06,192 わしを信じて ついてきてくれ。 99 00:12:08,361 --> 00:12:15,368 <晴れて 秀長の妻となった しのは 夫と共に 姫路へ帰っていった> 100 00:12:18,037 --> 00:12:22,775 <秀吉もまた 播磨へ戻って 姫路城の修築にかかり➡ 101 00:12:22,775 --> 00:12:25,511 長浜城の留守をあずかる ねねは➡ 102 00:12:25,511 --> 00:12:31,851 一族の束ねに 領民との応対に 相変わらず忙しい日々を過ごしていた。➡ 103 00:12:31,851 --> 00:12:35,722 そして 翌天正9年3月の初め➡ 104 00:12:35,722 --> 00:12:38,725 ねねにとって うれしい出来事があった。➡ 105 00:12:38,725 --> 00:12:45,865 前田利家とおまつが 何年ぶりかで 長浜城を訪れたのである> 106 00:12:45,865 --> 00:12:49,535 よう いらしてくださいました。 107 00:12:49,535 --> 00:12:51,871 思いがけず お目にかかれて…。 108 00:12:51,871 --> 00:12:55,208 (まつ)お懐かしゅうございます。 109 00:12:55,208 --> 00:12:58,111 ねね様も お変わりものうて。 110 00:12:58,111 --> 00:13:02,815 (利家)この2月28日に 京で 信長様のお馬揃えがあってのう。 111 00:13:02,815 --> 00:13:06,486 はあ~ おうわさは伺っておりました。 112 00:13:06,486 --> 00:13:09,389 では おまつ様も ご一緒に? 113 00:13:09,389 --> 00:13:14,827 はい。 南部 津軽をはじめ 諸国の駿馬を集めての盛儀とのことゆえ➡ 114 00:13:14,827 --> 00:13:19,499 私も 是非 拝見させていただきとうて。 ハッハッハッハ! 115 00:13:19,499 --> 00:13:22,402 お馬揃えの見物よりも その帰りに➡ 116 00:13:22,402 --> 00:13:25,371 ねね殿にお会いするのが まつの目当てらしゅうて。 117 00:13:25,371 --> 00:13:30,510 このようなことでもない限り なかなか 長浜へも お伺いできませぬ。 118 00:13:30,510 --> 00:13:35,181 でも おまつ様は羨ましゅうございます。 119 00:13:35,181 --> 00:13:38,084 そのように おそろいで 京へ。 120 00:13:38,084 --> 00:13:40,853 私とて 何年ぶりかのこと…。 121 00:13:40,853 --> 00:13:45,191 利家殿は 戦 戦で 私は いつも 留守居役ばかり。 122 00:13:45,191 --> 00:13:49,529 でも おまつ様は お子に恵まれておいででございます。 123 00:13:49,529 --> 00:13:55,401 ご嫡男の利長様は 立派に ご成人あそばされたとか…。 124 00:13:55,401 --> 00:14:01,474 はい。 利長も この秋 信長様のご息女を頂くことになりました。 125 00:14:01,474 --> 00:14:06,346 まあ! 上様のご息女を奥方様に!? 126 00:14:06,346 --> 00:14:10,149 まあ それは おめでとうございます。 127 00:14:10,149 --> 00:14:14,821 利長は 小牧で ねね様のお世話で産まれました子。 128 00:14:14,821 --> 00:14:17,156 随分 守りもしていただきました。 129 00:14:17,156 --> 00:14:21,494 今でも その話を ようするのでございます。 130 00:14:21,494 --> 00:14:25,164 あのお子がのう…。 131 00:14:25,164 --> 00:14:28,835 私たちが年を取るのも 道理でございます。 132 00:14:28,835 --> 00:14:31,838 (笑い声) 133 00:14:33,506 --> 00:14:37,176 豪姫も 大きゅうなられました。 ただいま こちら…。 134 00:14:37,176 --> 00:14:42,882 ねね様。 豪には 私たちのことは…? 135 00:14:44,517 --> 00:14:47,854 乳飲み子の豪をもろうていただいて➡ 136 00:14:47,854 --> 00:14:53,526 豪も ねね様のことを まことの母と 思うているのでございましょう。 137 00:14:53,526 --> 00:15:00,800 ならば 何も…。 私たちも そのつもりで参っております。 138 00:15:00,800 --> 00:15:07,473 それでええのじゃ。 我らは その姿を見るだけで十分じゃ。 139 00:15:07,473 --> 00:15:09,409 利家様…。 140 00:15:09,409 --> 00:15:14,814 豪も 筑前殿とねね殿に かわいがられて 幸せであろう。 141 00:15:14,814 --> 00:15:17,483 筑前も 姫 姫と➡ 142 00:15:17,483 --> 00:15:22,155 目の中に入れても痛くないほど いとおしんでおられます。 143 00:15:22,155 --> 00:15:28,828 私も 於次丸や 豪姫がいて どれだけ慰められたか存じません。 144 00:15:28,828 --> 00:15:34,700 それを伺うて 私 豪を差し上げたかいがございました。 145 00:15:34,700 --> 00:15:37,403 ⚟(こほ)豪姫様でございます。 146 00:15:50,850 --> 00:15:57,523 能登 七尾ご城主 前田利家様と お方様じゃ。 147 00:15:57,523 --> 00:16:00,226 ご挨拶なされ。 148 00:16:04,797 --> 00:16:07,133 (豪)豪にございます。 149 00:16:07,133 --> 00:16:12,004 おお… ええお子じゃ。 150 00:16:12,004 --> 00:16:14,473 ほんに 美しい…。 151 00:16:14,473 --> 00:16:19,145 母様。 能登とは どこでございますか? 152 00:16:19,145 --> 00:16:25,017 北の海のそばでのう 雪が こんなに積もります。 153 00:16:25,017 --> 00:16:31,490 さあ お方様に 能登のお話をしていただきなされ。 154 00:16:31,490 --> 00:16:43,503 ♬~ 155 00:16:43,503 --> 00:16:46,806 立派な姫になられて…。 156 00:16:54,514 --> 00:16:58,384 <一方 播磨では その年の5月➡ 157 00:16:58,384 --> 00:17:02,121 約1年を費やした 姫路城の修理が完成し➡ 158 00:17:02,121 --> 00:17:07,793 その間にも 秀吉は 着々と 鳥取攻めの準備を進めていた。➡ 159 00:17:07,793 --> 00:17:13,132 そして 6月の末 2万余の大軍を率いて 因幡へ入り➡ 160 00:17:13,132 --> 00:17:19,005 毛利方の将 吉川経家の守る 鳥取城を包囲した> 161 00:17:19,005 --> 00:17:25,478 (やや)のう お姉様は 長浜の町のうわさをご存じか?➡ 162 00:17:25,478 --> 00:17:30,816 秀吉殿は 長浜の舟持ちに 諸役を免じなされたというが➡ 163 00:17:30,816 --> 00:17:33,719 若狭に舟を持っている長浜の商人たちは➡ 164 00:17:33,719 --> 00:17:40,159 因幡へ下って 因幡の五穀類を どんどんと買い入れておるそうじゃ。➡ 165 00:17:40,159 --> 00:17:46,032 そのために 因幡には もう 穀類が のうなってしもうたとか…。 166 00:17:46,032 --> 00:17:51,170 それがのう 秀吉殿の差し金じゃそうな。 167 00:17:51,170 --> 00:17:57,510 秀吉殿は 鳥取城攻めに備えて 城に兵糧を持ち込ませぬように➡ 168 00:17:57,510 --> 00:18:02,114 因幡中の穀類を 買い占めにかかったのじゃと。 169 00:18:02,114 --> 00:18:07,987 長浜の舟持ちに諸役を免じられたのも そのためであったと…。➡ 170 00:18:07,987 --> 00:18:11,791 まことか?➡ 171 00:18:11,791 --> 00:18:16,495 秀吉殿のなされよう お姉様は ご存じだったのか? 172 00:18:18,130 --> 00:18:22,802 秀吉殿は 三木城攻めと同じように➡ 173 00:18:22,802 --> 00:18:27,139 鳥取城も 渇え殺しになさろうとのご所存で…。 174 00:18:27,139 --> 00:18:29,075 そうなのか? 175 00:18:29,075 --> 00:18:33,012 やや。 女子の私たちが とやかく言うことではありませぬ。 176 00:18:33,012 --> 00:18:37,783 じゃが! じゃが 渇え殺しは ひどい…。 177 00:18:37,783 --> 00:18:41,153 三木城の干殺しの時も 世の人たちは➡ 178 00:18:41,153 --> 00:18:44,056 秀吉殿のことを 鬼のように言うたではないか。 179 00:18:44,056 --> 00:18:47,493 弓や鉄砲の戦は もっと酷じゃ。 180 00:18:47,493 --> 00:18:52,164 お互いに傷つき 死ぬ者も数知れず。 181 00:18:52,164 --> 00:18:57,036 三木城の時も しの様のように 無事だった方もおられる。 182 00:18:57,036 --> 00:19:02,742 秀吉殿とて 人の命は大事にしておられるゆえ…。 183 00:19:05,111 --> 00:19:09,782 ただ いつまで このような戦が続くのか…。 184 00:19:09,782 --> 00:19:18,791 早う 戦のない世の中が来なければ 苦しむのは 罪のない人ばかりじゃ。 185 00:19:21,127 --> 00:19:25,998 (小六)秀吉殿の深謀遠慮 見事 図に当たったわ! ハッハッハ! 186 00:19:25,998 --> 00:19:30,469 因幡の穀倉は 皆 空っぽじゃ。 ハッハッハッハ。 187 00:19:30,469 --> 00:19:32,805 金に目がくらみおってからに。 188 00:19:32,805 --> 00:19:36,475 皆 長浜の商人どもに 売り渡してしもうたらしいわい。 189 00:19:36,475 --> 00:19:39,812 (笑い声) (長政)鳥取城の前の城代は➡ 190 00:19:39,812 --> 00:19:42,715 殿の謀略とも知らず 目先の利に引かれて➡ 191 00:19:42,715 --> 00:19:45,151 3年! 3年分の蓄えを➡ 192 00:19:45,151 --> 00:19:48,487 皆 銭に換えてしまった ということでございます。 193 00:19:48,487 --> 00:19:55,161 吉川経家などは 毛利よりの援軍として 鳥取城に入った時には 穀倉は空。 194 00:19:55,161 --> 00:19:58,831 そのかわりに 銭は いくらあっても 腹は膨らまぬ。 195 00:19:58,831 --> 00:20:03,703 ハハハッ! 籠城するとなったら 石くれ同然です。 196 00:20:03,703 --> 00:20:08,174 あとはのう 一粒の雑穀とて 城内に持ち込ませぬよう➡ 197 00:20:08,174 --> 00:20:10,843 城を包囲するだけじゃ。 198 00:20:10,843 --> 00:20:14,714 まず 城の周りに 堀を巡らし 塀を立て➡ 199 00:20:14,714 --> 00:20:17,716 一兵たりとも 城内の出入りはかなわぬよう備える。 200 00:20:17,716 --> 00:20:22,455 海上には 毛利の援軍に対し 警備の舟を置く。 201 00:20:22,455 --> 00:20:25,191 (官兵衛)糧道を断てば 半年とはもつまい。 202 00:20:25,191 --> 00:20:29,528 鳥取城には 銭しかないのじゃ。 (笑い声) 203 00:20:29,528 --> 00:20:38,204 全軍を挙げて 工事にかかる。 それが済めばのう あとは待つだけじゃ。 204 00:20:38,204 --> 00:20:43,876 <兵糧の乏しい鳥取城は 秀吉の包囲作戦で たちまち 飢餓にひんし➡ 205 00:20:43,876 --> 00:20:49,748 餓死した者の肉まで食らうといった惨状に さすがの吉川経家も観念し➡ 206 00:20:49,748 --> 00:20:53,552 己の自害と引き換えに 部下の命乞いを条件に➡ 207 00:20:53,552 --> 00:20:55,488 降伏を申し出た。➡ 208 00:20:55,488 --> 00:21:03,829 秀吉は これを許し 10月25日 半年を待たずして 鳥取城は落城した。➡ 209 00:21:03,829 --> 00:21:07,700 三木の干殺しと並んで 鳥取の渇え殺しとして➡ 210 00:21:07,700 --> 00:21:10,703 今も語り伝えられている> 211 00:21:12,838 --> 00:21:16,175 <明けて天正10年1月➡ 212 00:21:16,175 --> 00:21:20,179 秀吉が 突然 長浜へ帰ってきた> 213 00:21:27,186 --> 00:21:30,089 皆 息災で何よりじゃ。 214 00:21:30,089 --> 00:21:34,527 長いご出陣 ご苦労さまでございました。 うむ。 215 00:21:34,527 --> 00:21:40,866 また 渇え殺しの何のと 世間から あしざまに言われておるそうな…。 216 00:21:40,866 --> 00:21:43,536 攻める方とて つらい戦よ。 217 00:21:43,536 --> 00:21:47,206 わしとて 戦など しとうないわ。 218 00:21:47,206 --> 00:21:51,877 話し合うて 上様のお味方を してくださるのが 一番じゃ。 219 00:21:51,877 --> 00:21:57,750 できるだけ 穏便に寝返るよう あの手この手を使うて 誘うておるのよ。 220 00:21:57,750 --> 00:22:04,456 ただ どうでも話し合いに応ぜぬ者は 戦うよりほかはない。 221 00:22:04,456 --> 00:22:08,360 やむにやまれぬ戦よ。 222 00:22:08,360 --> 00:22:10,362 (あさひ)嘉助さは 無事か? 223 00:22:10,362 --> 00:22:14,133 おお。 弥助も嘉助ものう よう働いてくれておるわ。 224 00:22:14,133 --> 00:22:17,503 ハハッ。 いずれ 恩賞を遣わそう。 恩賞なんぞより➡ 225 00:22:17,503 --> 00:22:22,174 たまには 長浜に 嘉助さを帰してほしい。 (とも)あさひ。 226 00:22:22,174 --> 00:22:24,843 しの様は ご機嫌 よう? 227 00:22:24,843 --> 00:22:30,716 おう。 姫路でのう 侍女にかしずかれて 幸せに暮らしておるわ。 安心せえ。 228 00:22:30,716 --> 00:22:34,186 姫路城は 立派なお城じゃそうな。 アッハッハッハ。 229 00:22:34,186 --> 00:22:36,121 あっ おかか。 はい。 230 00:22:36,121 --> 00:22:39,525 明日 姫路へたつ。 おかかも一緒じゃ。 231 00:22:39,525 --> 00:22:41,861 秀家殿も お連れするぞ。 232 00:22:41,861 --> 00:22:43,796 (秀家)まことでございますか? 233 00:22:43,796 --> 00:22:48,534 ああ まことじゃ。 ハッハッハッハ。 お母上に お会いできるぞ。 234 00:22:48,534 --> 00:22:50,536 はい。 235 00:23:00,145 --> 00:23:03,048 姫路で なんぞ? ああ…。 236 00:23:03,048 --> 00:23:06,018 秀家殿のお父上の病が重い。 237 00:23:06,018 --> 00:23:09,321 宇喜多直家殿が!? ああ。 238 00:23:11,156 --> 00:23:16,495 でも 秀家殿は 上様からおあずかりした 大事な人質。 239 00:23:16,495 --> 00:23:21,834 たとえ お父上がお病気とて 勝手に連れていかれては…。 240 00:23:21,834 --> 00:23:25,704 安土へ寄ってのう 上様に お許しいただいてきたわ。 241 00:23:25,704 --> 00:23:28,707 また 宇喜多の家督を相続できるよう お願いもしてきた。 242 00:23:28,707 --> 00:23:33,178 まあ それは よろしゅうございましたな。 243 00:23:33,178 --> 00:23:38,050 では 秀家殿は 晴れて 備前へ お帰りになるのでございますな? 244 00:23:38,050 --> 00:23:41,854 ああ。 備前 岡山の立派なご城主よ。 245 00:23:41,854 --> 00:23:46,859 では もう 長浜へは二度と…? 246 00:23:48,727 --> 00:23:53,866 豪姫や孫七郎とも 仲ようしていただきましたのに➡ 247 00:23:53,866 --> 00:23:56,535 さぞ がっかりいたしますでしょう。 248 00:23:56,535 --> 00:23:59,872 私とて 寂しゅうなります。 249 00:23:59,872 --> 00:24:03,742 秀家殿のお父上のことは 内密にのう。 250 00:24:03,742 --> 00:24:06,679 ただ 備前へ帰るお許しが出たとだけ。 のう。 251 00:24:06,679 --> 00:24:09,481 ああ… はい。 252 00:24:09,481 --> 00:24:14,820 でも まだ あのお年で…。 253 00:24:14,820 --> 00:24:18,490 不憫なことじゃ…。 254 00:24:18,490 --> 00:24:25,197 <翌日 ねねは 秀吉 秀家と共に 慌ただしく長浜を後にした> 255 00:24:34,039 --> 00:24:39,345 (直家)秀家か…。 大きゅうなったのう。 256 00:24:41,513 --> 00:24:45,184 長浜では お方様に➡ 257 00:24:45,184 --> 00:24:48,520 それはかわいがっていただいたそうに ございます。 258 00:24:48,520 --> 00:24:54,193 ねね殿… お礼の言葉もござらぬ。 259 00:24:54,193 --> 00:25:00,466 あまりにも よいお子ゆえ まことの子のような気がいたしまして。 260 00:25:00,466 --> 00:25:08,140 私も 秀家殿のために どれだけ慰められたか知れませぬ。 261 00:25:08,140 --> 00:25:13,479 筑前殿。 秀家は まだ若年。 262 00:25:13,479 --> 00:25:19,818 筑前殿のお力がなくば 宇喜多の家を守ることは かなわぬ。 263 00:25:19,818 --> 00:25:25,157 くれぐれも 秀家のこと…。 264 00:25:25,157 --> 00:25:30,496 筑前 直家殿が 我らがお味方くだされたこと➡ 265 00:25:30,496 --> 00:25:33,399 終生 忘れませぬぞ。 266 00:25:33,399 --> 00:25:44,043 筑前の力の及ぶ限り 秀家殿をもり立て 直家殿のご意志を継がれるよう…。 267 00:25:44,043 --> 00:25:47,513 かたじけない。 268 00:25:47,513 --> 00:25:50,849 秀家。 はい。 269 00:25:50,849 --> 00:25:57,723 筑前殿を 父上と思うて…。 270 00:25:57,723 --> 00:25:59,725 はい。 271 00:26:03,128 --> 00:26:06,465 父上! お前様! 272 00:26:06,465 --> 00:26:08,400 父上~! お前様! 273 00:26:08,400 --> 00:26:11,703 父上…。 お前様! 274 00:26:24,016 --> 00:26:27,486 どうじゃ? 姫路も なかなかのもんじゃろう。 275 00:26:27,486 --> 00:26:31,824 しばらく ゆっくりしておったらええ。 しのも おることじゃ。 276 00:26:31,824 --> 00:26:37,129 でも そう長く 長浜を留守にするわけにはまいりませぬ。 277 00:26:41,834 --> 00:26:46,505 (嘉助)義姉様! いや~ よう来られましたな! 278 00:26:46,505 --> 00:26:50,175 (弥助)お久しゅうございます。 お懐かしい! 元気で? 279 00:26:50,175 --> 00:26:54,046 まあ やっぱり お義母様や とも様 あさひさんも➡ 280 00:26:54,046 --> 00:26:58,050 お連れすればよかった。 喜ばれたであろうに。 281 00:26:58,050 --> 00:27:02,120 義姉様。 しのが 義姉様のことを待ちかねて…。 282 00:27:02,120 --> 00:27:04,122 ああ。 283 00:27:08,460 --> 00:27:13,131 しの殿の明るいお顔を見て 安堵いたしました。 284 00:27:13,131 --> 00:27:16,468 目の見えぬのにも だいぶ慣れましてございます。 285 00:27:16,468 --> 00:27:19,371 秀長殿に いたわっていただいて…。 286 00:27:19,371 --> 00:27:23,342 これも ひとえに お方様のおかげでございます。 287 00:27:23,342 --> 00:27:29,815 でも 秀長殿ご出陣中は 心細うございましょう? 288 00:27:29,815 --> 00:27:33,685 長浜におっては かえって お気を遣われると思って➡ 289 00:27:33,685 --> 00:27:37,156 姫路においでになるのを お止めはしませなんだが➡ 290 00:27:37,156 --> 00:27:43,028 もし 心細うおなりになったら いつでも 長浜に戻っておいでなされませ。 291 00:27:43,028 --> 00:27:45,497 ありがとうございます。 292 00:27:45,497 --> 00:27:51,837 どこにおりましょうと 私の胸の中には いつも 秀長様がいてくださいます。 293 00:27:51,837 --> 00:27:56,508 目は見えなくとも 秀長様のお姿は いつも見えます。 294 00:27:56,508 --> 00:28:00,379 一人でも 寂しいと思うたことは ございません。 295 00:28:00,379 --> 00:28:03,081 しの様…。 296 00:28:05,784 --> 00:28:09,488 秀長様? うん? 297 00:28:14,126 --> 00:28:16,128 まあ…。 298 00:28:18,997 --> 00:28:21,800 話の弾んでおるところ悪いが➡ 299 00:28:21,800 --> 00:28:25,137 ちょっと 義姉様を借りるぞ。 はい。 300 00:28:25,137 --> 00:28:27,139 なんぞ? 301 00:28:29,474 --> 00:28:34,346 なんと言われる! それは 一体 どういうことじゃ!? 302 00:28:34,346 --> 00:28:38,483 義姉様のお耳に入れることでは ないかもしれませんが➡ 303 00:28:38,483 --> 00:28:43,155 このまま放っておいたら 義姉様の立場がなくなってしまう。 304 00:28:43,155 --> 00:28:48,493 直家殿のお方様が 何故 秀吉殿の側室になられるのか!? 305 00:28:48,493 --> 00:28:52,831 秀家殿は 何と言っても まだ ご幼君。 306 00:28:52,831 --> 00:28:55,167 兄者が そのつもりなれば➡ 307 00:28:55,167 --> 00:28:57,836 宇喜多を討つなど 赤子の手をひねるより容易でございます。 308 00:28:57,836 --> 00:29:01,106 秀吉殿が そのようなことを なされる道理がないではないか! 309 00:29:01,106 --> 00:29:04,776 義姉様 世は乱世…。 310 00:29:04,776 --> 00:29:11,116 兄者に裏切るつもりがなくても 信長様のお心は知れませぬ。 311 00:29:11,116 --> 00:29:16,788 今は 宇喜多の所領を安堵なされているが いつ どんなことになるか…。 312 00:29:16,788 --> 00:29:22,127 宇喜多の家臣が疑心暗鬼になったとて 不思議はありますまい。 313 00:29:22,127 --> 00:29:25,797 そのような憂き目を 嫌というほど見てきておるのです。 314 00:29:25,797 --> 00:29:32,137 戦乱の中で お家を守るために 兄者に人質を差し出し➡ 315 00:29:32,137 --> 00:29:34,473 兄者にすがるよりほかに 道はないのじゃ。 316 00:29:34,473 --> 00:29:40,345 その人質に 直家殿のお方様が…。 317 00:29:40,345 --> 00:29:45,484 お家を思う家臣たちの知恵…。 318 00:29:45,484 --> 00:29:49,154 おふく様も承服なされた由にございます。 319 00:29:49,154 --> 00:29:52,858 秀吉殿は お受けなされたのか? 320 00:29:56,495 --> 00:30:02,834 たとえ 乱世の習いとはいえ わしには納得できませぬ。 321 00:30:02,834 --> 00:30:05,737 おふく様は ご子息 秀家殿のため➡ 322 00:30:05,737 --> 00:30:09,708 また 宇喜多の家のためにと 目をつぶられても➡ 323 00:30:09,708 --> 00:30:13,178 義姉様のお気持ちを思うと…。 324 00:30:13,178 --> 00:30:19,518 おふく様とて どのように おつらいことか…。 325 00:30:19,518 --> 00:30:25,390 義姉様。 義姉様から 兄者に思いとどまるよう…。 326 00:30:25,390 --> 00:30:28,860 わしが言うても 聞いてはくださらぬ。 327 00:30:28,860 --> 00:30:33,532 それでは 私が言うても…。 328 00:30:33,532 --> 00:30:39,538 そういうお方じゃ 秀吉殿は…。 329 00:30:46,545 --> 00:30:50,415 <ねねは ひそかに 備前の岡山城に向かった。➡ 330 00:30:50,415 --> 00:30:53,118 おふくに会うためである> 331 00:30:56,888 --> 00:31:05,163 直家葬儀の折には いろいろと お心遣いいただきまして…。 332 00:31:05,163 --> 00:31:09,835 ご心労 お察し申し上げます。 333 00:31:09,835 --> 00:31:17,509 何と申しましても 秀家は若年。 先のことが案ぜられまして…。 334 00:31:17,509 --> 00:31:23,215 今日 伺いましたのは そのことも気になりましたゆえ…。 335 00:31:24,850 --> 00:31:29,721 あ… 女子の私が このようなことを申し上げるのは➡ 336 00:31:29,721 --> 00:31:35,494 差し出がましいこととは存じますが➡ 337 00:31:35,494 --> 00:31:40,866 おふく様に 出家をお勧めしたいと思いまして…。 338 00:31:40,866 --> 00:31:45,203 私に 尼になれと…? 339 00:31:45,203 --> 00:31:53,879 仏門に入られた方を ご家中とて 筑前とて よもや 側室にとは申しますまい。 340 00:31:53,879 --> 00:31:58,216 ねね様は 何もかも ご承知で…。 341 00:31:58,216 --> 00:32:04,489 おふく様の胸中 いかばかりかと…。 342 00:32:04,489 --> 00:32:11,163 私の身は どうなりましょうと もう 覚悟はいたしております。 343 00:32:11,163 --> 00:32:16,835 ねね様のお心遣い ありがとうはございますが➡ 344 00:32:16,835 --> 00:32:22,707 それよりほかに 秀家や宇喜多の家を救う道は…。 345 00:32:22,707 --> 00:32:28,447 今更 尼になるわけにはまいりませぬ。 346 00:32:28,447 --> 00:32:33,185 ならば 秀家殿を 私に…➡ 347 00:32:33,185 --> 00:32:37,489 羽柴の家の子として 頂くわけにはまいりませぬか? 348 00:32:39,858 --> 00:32:48,200 秀家殿ご成人の暁には 必ず 宇喜多の家のお世継ぎとして➡ 349 00:32:48,200 --> 00:32:51,102 私が お守りいたします。 350 00:32:51,102 --> 00:32:53,104 はっ…。 351 00:32:55,073 --> 00:32:58,543 上様とて 筑前の養子を➡ 352 00:32:58,543 --> 00:33:01,546 ないがしろにするわけには まいりますまい。 353 00:33:03,148 --> 00:33:07,486 私を信じて 私にお任せくださいませ。 354 00:33:07,486 --> 00:33:09,821 ねね様…。 355 00:33:09,821 --> 00:33:14,493 お聞き届けくださいますか? 356 00:33:14,493 --> 00:33:18,830 二夫にまみゆるは女子の恥…。 357 00:33:18,830 --> 00:33:25,704 直家殿亡きあとは 心静かに 菩提を弔う所存でございました。 358 00:33:25,704 --> 00:33:33,178 尼になり 女子の操を通すことが できますのなら 本望でございます。 359 00:33:33,178 --> 00:33:39,851 また 秀家を ねね様にお守りいただけますなら…。 360 00:33:39,851 --> 00:33:47,192 いえ お子に頂いても ご養育は おふく様に…。 361 00:33:47,192 --> 00:33:53,064 秀家殿とて まだ 母親の恋しいお年頃。 362 00:33:53,064 --> 00:33:57,535 尼として おそばで お仕えなさいませ。 363 00:33:57,535 --> 00:33:59,471 ねね様…。 364 00:33:59,471 --> 00:34:04,342 おふく様や 秀家殿のためだけではございませぬ。 365 00:34:04,342 --> 00:34:08,146 これで 私も救われます。 366 00:34:08,146 --> 00:34:11,049 フフッ…。 367 00:34:11,049 --> 00:34:16,021 秀吉のおかかのやきもちと お笑いくださいませ。 368 00:34:16,021 --> 00:34:18,023 まあ…。 369 00:34:19,758 --> 00:34:23,695 これは 女子と男の戦にございます。 370 00:34:23,695 --> 00:34:28,166 男の思うままにされて 黙ってはおられませぬ。 371 00:34:28,166 --> 00:34:33,038 女子同士 腹を合わせて戦いましょう。 372 00:34:33,038 --> 00:34:35,040 まあ…。 373 00:34:50,422 --> 00:34:53,391 おふく殿が 尼になられた。 374 00:34:53,391 --> 00:34:59,531 まあ それは ご殊勝な…。 375 00:34:59,531 --> 00:35:02,801 女子の命は 操にございます。 376 00:35:02,801 --> 00:35:07,105 見上げたお心ばえでございますなあ。 377 00:35:09,140 --> 00:35:12,844 おかかの差し金じゃろ。 378 00:35:25,690 --> 00:35:29,694 秀家殿を養子にすると約束したそうな。 まことか? 379 00:35:33,832 --> 00:35:42,507 はい。 秀家殿は 人質として 私が 何年か 手元でお育ていたしました。 380 00:35:42,507 --> 00:35:45,410 あのようなお子がいたらと 思っておりましたゆえ➡ 381 00:35:45,410 --> 00:35:49,180 たってと おふく様に お願いいたしました。 382 00:35:49,180 --> 00:35:54,519 成人なすったら きっと お前様の よいお味方になられましょう。 383 00:35:54,519 --> 00:35:57,422 これからは どんどん ご養子をお迎えあそばされて➡ 384 00:35:57,422 --> 00:36:01,326 羽柴の家の子として お育ていたしとうございます。 385 00:36:01,326 --> 00:36:05,130 子は 多ければ多いほど いいものでございます。 386 00:36:05,130 --> 00:36:09,000 私も 楽しみが出来ました。 387 00:36:09,000 --> 00:36:11,302 おかか。 388 00:36:13,805 --> 00:36:17,675 おかかも したたかになったのう。 389 00:36:17,675 --> 00:36:20,145 はい。 390 00:36:20,145 --> 00:36:27,018 お前様にお仕えして 利口になりました。 391 00:36:27,018 --> 00:36:33,491 わしより 一枚も二枚も上手じゃ。 ハッハッハッハッハッハ! 392 00:36:33,491 --> 00:36:35,427 ハッハッハッハッハッハ! 393 00:36:35,427 --> 00:36:38,830 ⚟(秀長)失礼します。 おう。 394 00:36:38,830 --> 00:36:42,500 ただいま 於次秀勝殿 ご到着にございます。 395 00:36:42,500 --> 00:36:45,170 於次殿が? 来たか。 396 00:36:45,170 --> 00:36:47,105 お前様? 397 00:36:47,105 --> 00:36:50,041 秀勝も いよいよ 初陣の時が来た。 398 00:36:50,041 --> 00:36:53,511 於次様を戦に!? 399 00:36:53,511 --> 00:36:57,849 もう 15…。 具足初めじゃ。 400 00:36:57,849 --> 00:37:01,453 間もなく 備中へ出兵する。 401 00:37:01,453 --> 00:37:06,791 その前に 備前の児島に まだ 攻めねばならぬ城が 1つ残っておる。 402 00:37:06,791 --> 00:37:09,694 それを わしが供をして 秀勝に落とさせる。 403 00:37:09,694 --> 00:37:13,465 初陣には 格好の戦よ。 おかかも ちょうど 姫路におる。 404 00:37:13,465 --> 00:37:15,400 よい折と思うた。 405 00:37:15,400 --> 00:37:22,140 はあ… いよいよ 於次殿が…。 406 00:37:22,140 --> 00:37:27,011 羽柴の 立派な跡取りになってくれようのう。 407 00:37:27,011 --> 00:37:48,833 ♬~ 408 00:37:48,833 --> 00:37:54,506 おお… 見事な若武者ぶりよのう。 409 00:37:54,506 --> 00:38:01,312 秀勝殿… おめでとうございます。 410 00:38:01,312 --> 00:38:22,133 ♬~ 411 00:38:22,133 --> 00:38:25,837 まだ 年端も行かぬのに…。 412 00:38:27,472 --> 00:38:37,182 孫七郎や小吉や秀保も やがては 私たちから去っていくのであろう…。 413 00:38:38,816 --> 00:38:42,120 長浜も 寂しゅうなるわ。 414 00:38:44,489 --> 00:38:50,829 <於次秀勝の出陣を見送ると ねねは 長浜へ戻った。➡ 415 00:38:50,829 --> 00:38:54,699 やがて そのねねに 秀勝が 見事 敵城を攻略し➡ 416 00:38:54,699 --> 00:38:58,703 初陣を飾ったという知らせが届いた> 417 00:39:00,438 --> 00:39:02,774 秀勝殿は ご無事で? 418 00:39:02,774 --> 00:39:08,446 (みつ)上様も 初陣の勝ち戦を聞かれ 大層 お喜びなされた由にございます。 419 00:39:08,446 --> 00:39:12,317 (家次)うんうん。 これで 肩の荷を下ろしたわ。 420 00:39:12,317 --> 00:39:15,787 秀勝殿は 上様より頂いた大事なお子。 421 00:39:15,787 --> 00:39:20,458 ご養育には ねね殿も どれほど 心を砕かれたか知れぬ。 422 00:39:20,458 --> 00:39:25,330 ねね殿のご苦労も報われ 上様への面目も これで立ったというものじゃ。 423 00:39:25,330 --> 00:39:27,799 のう? ねね殿。 424 00:39:27,799 --> 00:39:33,671 これで 当分 秀勝殿は 長浜へは戻らぬのであろうな。 425 00:39:33,671 --> 00:39:38,443 殿と並んで 一軍を率いられる 総大将になられたのじゃ。 426 00:39:38,443 --> 00:39:44,148 ねね殿の手は離れられた。 立派に ご成人なされたのじゃ。 427 00:39:44,148 --> 00:39:49,821 宇喜多秀家殿も 弱冠11歳で 殿様と共に 備中へご出陣なさり➡ 428 00:39:49,821 --> 00:39:52,490 諸所で 城攻めに加わっておられます。 429 00:39:52,490 --> 00:39:54,425 秀家殿も? 430 00:39:54,425 --> 00:39:58,363 (家次)それが 武門の家に生まれた者の誉れよ。➡ 431 00:39:58,363 --> 00:40:03,134 亡き直家殿も さぞ お喜びであろう。 432 00:40:03,134 --> 00:40:05,503 して その後の様子は? 433 00:40:05,503 --> 00:40:10,174 備中を次々に下し いよいよ 高松城攻めにかかられます。 434 00:40:10,174 --> 00:40:12,510 やはり 戦になるのか。 435 00:40:12,510 --> 00:40:17,181 はい。 殿様は 高松城主 清水宗治に➡ 436 00:40:17,181 --> 00:40:21,052 上様に従えば 備中一国を与えると 申し入れなさりましたが➡ 437 00:40:21,052 --> 00:40:26,524 宗治は応ぜず やむなく 殿様も お心を決められましてございます。 438 00:40:26,524 --> 00:40:33,197 では 秀勝殿も 秀家殿と共に? はい。 439 00:40:33,197 --> 00:40:41,072 つい この間まで お二方とも この長浜で 槍の稽古や手習いに励まれ➡ 440 00:40:41,072 --> 00:40:46,744 豪や孫七郎と共に 遊び興じておられましたのを…。 441 00:40:46,744 --> 00:40:49,547 今も 目に浮かぶわ…。 442 00:40:49,547 --> 00:40:51,482 ねね殿…。 443 00:40:51,482 --> 00:40:57,889 (子供たちの声) 444 00:40:57,889 --> 00:41:01,159 皆 大きゅうならねばいい…。 445 00:41:01,159 --> 00:41:03,828 このままでいてほしい。 446 00:41:03,828 --> 00:41:08,132 (子供たちの声) 447 00:41:11,169 --> 00:41:18,042 <その年の5月 備中では ついに 高松城攻略作戦が開始された。➡ 448 00:41:18,042 --> 00:41:21,813 地形から見て 攻めるには難しいと見た秀吉は➡ 449 00:41:21,813 --> 00:41:23,748 水攻めの計画を立て➡ 450 00:41:23,748 --> 00:41:29,520 本陣と城との間に 高さ7メートル 長さ約3キロの堤防を築き➡ 451 00:41:29,520 --> 00:41:33,391 足守川をせき止めて その水を引き込んだ。➡ 452 00:41:33,391 --> 00:41:39,530 時は 梅雨。 みるみる水かさは増し たちまち高松城の周囲は 水浸しになり➡ 453 00:41:39,530 --> 00:41:41,866 城は 孤立した。➡ 454 00:41:41,866 --> 00:41:45,870 有名な 高松城の水攻めである> 455 00:41:56,214 --> 00:42:01,819 甲斐の武田勝頼親子がのう ついに 天目山において 自刃したと聞く。 456 00:42:01,819 --> 00:42:04,155 信長様は 直ちに兵を返され➡ 457 00:42:04,155 --> 00:42:08,026 上様自ら 兵を率いられて ご出陣なされるそうじゃ。 458 00:42:08,026 --> 00:42:13,498 また 明智光秀殿も 兵を集めて 我らを助けるため 帰国なされた。 459 00:42:13,498 --> 00:42:16,834 上様 総力を挙げての毛利攻めじゃ。 460 00:42:16,834 --> 00:42:19,737 どうでも 高松城は落とさねばのう。 461 00:42:19,737 --> 00:42:22,507 既に 高松城の糧道は断ってある。 462 00:42:22,507 --> 00:42:27,378 あとは 三木 鳥取両城と同じく 城内の窮乏を待つだけよ。 463 00:42:27,378 --> 00:42:34,118 毛利では 輝元自身 吉川元春らと 救援に出兵しておる。 予断は許さぬ! 464 00:42:34,118 --> 00:42:36,521 毛利との決戦は いたずらに 兵を失うだけじゃ。 465 00:42:36,521 --> 00:42:39,190 毛利とて 城内の将兵を見殺しにはできまい。 466 00:42:39,190 --> 00:42:43,528 城内の将兵の命と引き換えに 和議をすすめる。和議の条件は? 467 00:42:43,528 --> 00:42:47,198 備中 美作 但馬 3国のほかに➡ 468 00:42:47,198 --> 00:42:50,868 備後 出雲の両国の割譲と 清水宗治の切腹よ。 469 00:42:50,868 --> 00:42:54,205 (長政) それでは この戦 長引きそうですな。 470 00:42:54,205 --> 00:42:58,509 覚悟の上じゃ。 そのための水攻めよ。 471 00:43:02,814 --> 00:43:07,685 <この時 信長は 高松城攻めの応援に 中国へ下るため➡ 472 00:43:07,685 --> 00:43:11,823 長男 信忠と 京へ向かっていた。➡ 473 00:43:11,823 --> 00:43:15,693 一方 明智光秀も 備中出陣の命を受け➡ 474 00:43:15,693 --> 00:43:21,165 その準備のために 丹波 亀山城へ急いでいた。➡ 475 00:43:21,165 --> 00:43:28,039 運命の日 本能寺の変の6月2日は 刻々と近づこうとしていたのである。➡ 476 00:43:28,039 --> 00:43:31,509 時代は 大きく変わろうとしていた。➡ 477 00:43:31,509 --> 00:43:37,849 それは 秀吉とねねの運命をも 大きく変えることであった> 478 00:43:37,849 --> 00:43:44,856 ♬~