1 00:00:02,135 --> 00:02:37,124 ♬~ 2 00:02:38,892 --> 00:02:42,562 <天正11年4月24日➡ 3 00:02:42,562 --> 00:02:47,901 秀吉と天下を二分していた柴田勝家は ついに 秀吉に敗れ➡ 4 00:02:47,901 --> 00:02:52,239 北の庄において お市の方と共に 自害して果てた。➡ 5 00:02:52,239 --> 00:02:58,245 勝家 62歳 お市の方は 37歳であった> 6 00:03:01,848 --> 00:03:07,721 <その直後 秀吉と勝家の対決に 心を痛めていた 姫路城のねねのもとへ➡ 7 00:03:07,721 --> 00:03:10,857 秀吉から 火急の知らせが届いた。➡ 8 00:03:10,857 --> 00:03:15,562 ねねは 京の南にある 山崎の城へ向かった> 9 00:03:18,732 --> 00:03:20,734 (秀長)義姉様。 10 00:03:22,869 --> 00:03:27,207 (ねね)秀長殿。 義姉様 ようおいでくださいました。 11 00:03:27,207 --> 00:03:29,142 随分早い お着きでございましたな。 12 00:03:29,142 --> 00:03:33,080 秀吉殿の文を見て 急いで姫路を出ました。 13 00:03:33,080 --> 00:03:37,851 それはそれは…。 なにも そのように お急ぎにならなくとも。 14 00:03:37,851 --> 00:03:44,224 既に お聞き及びと存じますが 去る24日 勝家殿 お市の方様➡ 15 00:03:44,224 --> 00:03:47,928 北の庄の城中にて 自害なされました。 16 00:03:50,097 --> 00:03:53,567 まことか!? 17 00:03:53,567 --> 00:03:57,237 山崎への道中で そのうわさは 耳にしましたが➡ 18 00:03:57,237 --> 00:03:59,172 まさか お市の方様まで…。 19 00:03:59,172 --> 00:04:02,075 では 兄者は 義姉様に まだ何も…? 20 00:04:02,075 --> 00:04:05,512 いいえ。 文には そのようなことは…。 して 秀吉殿は? 21 00:04:05,512 --> 00:04:09,382 兄者は その後 加賀に入られ 目下 北陸の平定に つとめておられます。 22 00:04:09,382 --> 00:04:12,853 ここには おられぬのか? 23 00:04:12,853 --> 00:04:18,525 北陸の武将は もはや 誰一人として 兄者に盾をつく者はござりませぬ。 24 00:04:18,525 --> 00:04:21,862 義姉様 ご安堵なされませ。 25 00:04:21,862 --> 00:04:28,168 秀吉殿は とうとう 勝家殿まで…。 26 00:04:30,537 --> 00:04:37,878 それにしても 勝家殿は なにも お市の方様まで道連れになさることは…。 27 00:04:37,878 --> 00:04:41,548 お助け申すことは できませなんだのか!? 28 00:04:41,548 --> 00:04:47,420 お市様自ら 勝家殿のお供をなされたものと存じます。 29 00:04:47,420 --> 00:04:51,725 お覚悟の辞世の歌が残されておりました。 30 00:04:54,561 --> 00:04:57,564 おいたわしい…。 31 00:05:01,168 --> 00:05:04,070 お茶々様…。 32 00:05:04,070 --> 00:05:09,509 3人の姫たちは 北の庄に おいでになったのでございましょう? 33 00:05:09,509 --> 00:05:16,383 はい。 お茶々様 お初様 小督様 皆無事に 落城前に お落ちなされました。 34 00:05:16,383 --> 00:05:19,853 3人の姫だけ 残されたのか…。 35 00:05:19,853 --> 00:05:22,189 して 今 どこに? 36 00:05:22,189 --> 00:05:26,059 (秀長)このお城に お連れ申してございます。 37 00:05:26,059 --> 00:05:29,529 ここ…? 38 00:05:29,529 --> 00:05:33,233 では 捕らわれの身として? 39 00:05:34,868 --> 00:05:38,538 まさか 秀吉殿は 姫たちのお命を召される…。 40 00:05:38,538 --> 00:05:43,410 いえ。 3人の姫たちは 信長様のお血筋にあたられる方。 41 00:05:43,410 --> 00:05:45,879 兄者とて そのようなこと…。 42 00:05:45,879 --> 00:05:52,219 いや 大事な姫たちゆえ 義姉様にお世話するようにと。 43 00:05:52,219 --> 00:05:55,555 はあ~。 44 00:05:55,555 --> 00:05:58,892 それで 私を山崎へ…。 45 00:05:58,892 --> 00:06:00,894 はい。 46 00:06:08,168 --> 00:06:14,040 小谷落城といい 北の庄といい➡ 47 00:06:14,040 --> 00:06:18,044 二度までも 恐ろしい思いをなされたのじゃ。 48 00:06:21,181 --> 00:06:25,852 まして この度は 母上を失われ➡ 49 00:06:25,852 --> 00:06:30,724 どれだけ つらい思いをなされていることか…。 50 00:06:30,724 --> 00:06:34,527 姫様たちのお世話をするのは➡ 51 00:06:34,527 --> 00:06:40,200 上様のご恩を被った私の つとめでございます。 52 00:06:40,200 --> 00:06:44,070 また いささかでも➡ 53 00:06:44,070 --> 00:06:48,875 お市様へのお詫びになりましょう。 54 00:06:48,875 --> 00:07:03,390 ♬~ 55 00:07:03,390 --> 00:07:06,092 (戸が開く音) 56 00:07:23,710 --> 00:07:29,182 筑前殿のご内室にございます。 57 00:07:29,182 --> 00:07:36,523 お茶々殿 お初殿 小督殿にございます。 58 00:07:36,523 --> 00:07:40,827 筑前の女房 ねねにございます。 59 00:07:43,396 --> 00:07:49,703 まあ 皆様方 それぞれ 美しい姫様になられて…。 60 00:07:53,540 --> 00:07:58,878 この度のこと 何と申し上げてよいか…。 61 00:07:58,878 --> 00:08:05,485 姫様方の胸中 お察し申し上げます。 62 00:08:05,485 --> 00:08:10,357 これからは 遠慮のう 私に お申しつけくださいませ。 63 00:08:10,357 --> 00:08:14,661 そのために 姫路より出てまいりました。 64 00:08:16,830 --> 00:08:21,167 慣れぬ所ゆえ お寂しゅうございましょう。 65 00:08:21,167 --> 00:08:24,838 今日より 私を 母上とおぼし召されて…。 66 00:08:24,838 --> 00:08:27,841 (茶々)お初 小督。 67 00:08:31,511 --> 00:08:33,847 (秀長)お茶々殿! 68 00:08:33,847 --> 00:08:47,193 ♬~ 69 00:08:47,193 --> 00:08:49,896 義姉様に あのような…。 70 00:08:51,531 --> 00:08:56,202 なかなかご気性の激しい姫様と見えますな お茶々様は。 71 00:08:56,202 --> 00:08:58,872 北の庄から ここへ来るまでも あのとおりで➡ 72 00:08:58,872 --> 00:09:01,474 ひと言も しゃべらず…。 73 00:09:01,474 --> 00:09:03,810 無理もありませぬ。 74 00:09:03,810 --> 00:09:07,147 さぞ 秀吉殿を憎んでおられましょう。 75 00:09:07,147 --> 00:09:12,485 どれだけ ご無念か…。 私には 痛いほど分かります。 76 00:09:12,485 --> 00:09:18,358 兄者が引き取られても あれでは 先が思いやられます。 77 00:09:18,358 --> 00:09:21,494 義姉様が ご苦労なされるだけじゃ。 78 00:09:21,494 --> 00:09:24,397 あれほど ご気丈な姫様じゃ。 79 00:09:24,397 --> 00:09:29,169 なんとか 悲しみを乗り越えてくださいましょう。 80 00:09:29,169 --> 00:09:34,874 あれだけのご気性ゆえ 今まで耐えてこられたのじゃ。 81 00:09:41,514 --> 00:09:45,852 (あさひ)何じゃ。 どのようなことかと案じておったら➡ 82 00:09:45,852 --> 00:09:50,190 そのような娘たちの面倒を見させるために 義姉様を呼びつけたのか。 83 00:09:50,190 --> 00:09:55,862 (とも)いくら 上様のお血筋じゃとて 今は 上様には お力などありはせぬ。 84 00:09:55,862 --> 00:09:59,199 それほど大事にすることもあるまいに。 85 00:09:59,199 --> 00:10:04,537 (こほ)秀吉殿のなされたことへの 償いじゃと書いておられます。 86 00:10:04,537 --> 00:10:07,440 (なか)まあ ねねさは 親を亡くした姫たちを➡ 87 00:10:07,440 --> 00:10:11,878 放ってはおけんのじゃろう。 ねねさは そういう女子ぞ。 88 00:10:11,878 --> 00:10:15,548 (豪)母様は いつ 姫路へ戻られるのじゃ? 89 00:10:15,548 --> 00:10:17,884 (こほ)しばらく山崎にと…。 90 00:10:17,884 --> 00:10:22,755 ねねさに尻拭いばかりさせて 藤吉郎は 何をしておるのじゃ。 91 00:10:22,755 --> 00:10:24,757 (こほ)天下を治められるのには➡ 92 00:10:24,757 --> 00:10:28,895 まだまだ なさらねばならぬことが おありなのでございましょう。 93 00:10:28,895 --> 00:10:33,766 どこまで欲をかいたら気が済むのじゃ あのたわけは…。 94 00:10:33,766 --> 00:10:38,571 これでは いつ 甚兵衛殿が戻られるか 分からぬのう。 95 00:10:38,571 --> 00:10:44,244 藤吉郎が天下を取れば 弥助殿とて 甚兵衛殿とて➡ 96 00:10:44,244 --> 00:10:46,179 お城の一つぐらいは もらえよう。 97 00:10:46,179 --> 00:10:48,581 もうしばらくの辛抱じゃ。 98 00:10:48,581 --> 00:10:51,251 わしは 城など要らぬ。 99 00:10:51,251 --> 00:10:56,122 戦がのうなって 毎日 甚兵衛殿と一緒に暮らせたら➡ 100 00:10:56,122 --> 00:10:58,124 それでええんじゃ。 101 00:11:01,060 --> 00:11:03,196 (小督)これを 私に? 102 00:11:03,196 --> 00:11:08,902 お気に入っていただけましたか? これは お初様に。 103 00:11:10,537 --> 00:11:12,872 (初)なんと見事な…。 104 00:11:12,872 --> 00:11:18,178 美しい姫様に お召しいただければ さぞ映えましょう。 105 00:11:22,882 --> 00:11:28,555 お姉様! お方様が 小袖や打ち掛けを。 お姉様にも下されました。 106 00:11:28,555 --> 00:11:32,225 京より取り寄せてくだされたそうな。 107 00:11:32,225 --> 00:11:37,564 お茶々様にも 気に入っていただけますと よろしいのですが。 108 00:11:37,564 --> 00:11:41,234 まあ! ようお似合いじゃ。 109 00:11:41,234 --> 00:11:44,137 ささ お茶々様にも。 110 00:11:44,137 --> 00:11:47,574 (茶々)お方様。 はい。 111 00:11:47,574 --> 00:11:52,445 信孝殿が 尾張 内海の大御堂寺にて➡ 112 00:11:52,445 --> 00:11:55,248 自害なされたそうにございますな。 113 00:11:55,248 --> 00:11:57,917 信孝殿が!? まことですか!? 114 00:11:57,917 --> 00:12:04,524 はい…。 かねて 信雄様 美濃を攻め入り➡ 115 00:12:04,524 --> 00:12:08,394 岐阜城を囲んでおられました由に ございましたが➡ 116 00:12:08,394 --> 00:12:16,135 この5月2日 大御堂寺において ご覚悟の最期を遂げられたとか…。 117 00:12:16,135 --> 00:12:18,538 皆 筑前殿の差し金か。 118 00:12:18,538 --> 00:12:26,412 お茶々様。 これは 織田家のご兄弟が 家督を争われての仕儀。 119 00:12:26,412 --> 00:12:30,149 筑前には 関わり知らぬことでございます。 120 00:12:30,149 --> 00:12:34,554 筑前殿が 信雄殿をそそのかして➡ 121 00:12:34,554 --> 00:12:38,224 信孝殿が自害なされるように しむけられたとか。 122 00:12:38,224 --> 00:12:42,562 お茶々様…。 (茶々)皆 そう言うております。 123 00:12:42,562 --> 00:12:47,233 いかにも 筑前殿のなされ方じゃ。 124 00:12:47,233 --> 00:12:49,902 筑前殿は そのようにして➡ 125 00:12:49,902 --> 00:12:55,775 邪魔になる織田の一族を 葬っていかれるおつもりなのじゃ。 126 00:12:55,775 --> 00:13:03,449 兄弟の争いに乗じて 信雄殿に 信孝殿を殺させたのじゃ。➡ 127 00:13:03,449 --> 00:13:07,754 筑前殿とは そのようなお人じゃ。 128 00:13:09,389 --> 00:13:13,860 今に 織田の血を引く者は➡ 129 00:13:13,860 --> 00:13:16,763 筑前殿に根絶やしされよう。 130 00:13:16,763 --> 00:13:19,766 信雄殿とて 今に…。 131 00:13:21,734 --> 00:13:24,504 このようなお心遣い 無用じゃ! 132 00:13:24,504 --> 00:13:28,207 生きるためには 筑前殿の庇護を受けねばならぬ。 133 00:13:28,207 --> 00:13:31,878 じゃが 我らは 捕らわれの身も同然…。 134 00:13:31,878 --> 00:13:34,547 余計なことは なされますな! 135 00:13:34,547 --> 00:13:37,550 お初! 小督! 136 00:13:50,897 --> 00:13:55,568 (進之介)せっかくの お方様のお心遣いを…。 137 00:13:55,568 --> 00:13:59,439 秀吉殿は 何をしておられるのかのう。 138 00:13:59,439 --> 00:14:04,177 早う お戻りいただかねば…。 139 00:14:04,177 --> 00:14:08,481 私には 荷が勝ち過ぎるわ。 140 00:14:10,049 --> 00:14:46,552 ♬~(琴) 141 00:14:46,552 --> 00:14:48,554 (琴の弦が切れる音) 142 00:14:58,564 --> 00:15:01,167 (秀吉)ハッハッハッハッハ。 143 00:15:01,167 --> 00:15:06,038 利家殿がいてくだされれば 北国は 安泰にござりまするわ。 144 00:15:06,038 --> 00:15:11,511 越後の上杉景勝も 北の庄の戦勝を祝うてきましたゆえ➡ 145 00:15:11,511 --> 00:15:14,847 以後 事を構えることもありますまい。 146 00:15:14,847 --> 00:15:17,750 信孝殿も あのような仕儀になって…。 147 00:15:17,750 --> 00:15:22,722 (まつ)信孝様も おかわいそうに。 まだ 26のお若さだったとか…。 148 00:15:22,722 --> 00:15:29,862 ああ…。 ただ一人のお味方 勝家殿が あのようなことになって➡ 149 00:15:29,862 --> 00:15:33,199 気を落とされての ご自害でありましょうが。 150 00:15:33,199 --> 00:15:38,538 ハハッ これで 秀吉 安堵して 長浜へ帰れまするわ。 151 00:15:38,538 --> 00:15:41,874 まあ 長浜へおいでなされますのか? 152 00:15:41,874 --> 00:15:48,748 ああ。 長浜城も いち早う 柴田勝豊殿が お味方くだされて➡ 153 00:15:48,748 --> 00:15:51,217 再び 我らのものとなりましたゆえ。 154 00:15:51,217 --> 00:15:53,886 ねね様も さぞ お喜びでございましょう。 155 00:15:53,886 --> 00:15:56,789 あのように 長浜をいとおしんでおられました。 156 00:15:56,789 --> 00:16:00,493 早う呼んでおあげなされませ。 はあ…。 157 00:16:00,493 --> 00:16:05,364 ところが まだ せねばならぬことがありますゆえ。 158 00:16:05,364 --> 00:16:13,072 本能寺の変のあと 光秀の味方をして 長浜城主となった京極高次を➡ 159 00:16:13,072 --> 00:16:15,508 成敗いたさねばなりませぬゆえ。 160 00:16:15,508 --> 00:16:17,844 京極高次殿を…? 161 00:16:17,844 --> 00:16:24,851 一旦 光秀に味方して 我らに弓引いた者を このまま見逃すわけにはまいりませぬ。 162 00:16:28,855 --> 00:16:35,528 おまつ様。 天下を治めるというのは このようなことでござりまする。 163 00:16:35,528 --> 00:16:37,864 たとえ 非情に見えましょうとも➡ 164 00:16:37,864 --> 00:16:40,766 情に流されて 謀反のおそれある者を許しておっては➡ 165 00:16:40,766 --> 00:16:44,537 天下の安泰はなりませぬわ。 166 00:16:44,537 --> 00:16:47,440 ⚟(まあ)まあにございます。 167 00:16:47,440 --> 00:16:50,743 おお おまあ殿か。 168 00:16:55,548 --> 00:17:01,354 秀吉殿が そなたの無事な顔を見たいと おっしゃって。 169 00:17:01,354 --> 00:17:07,493 北の庄落城の折は 大変な目に遭われましたのう。 170 00:17:07,493 --> 00:17:11,831 あのような中を ようここまで…。 何よりでござった。 171 00:17:11,831 --> 00:17:14,834 (まあ)勝家様のお情けで…。 172 00:17:16,502 --> 00:17:22,174 まあ… ハハッ 今のうち せいぜい 父上や母上に お甘えなされませ。 173 00:17:22,174 --> 00:17:26,879 そのうち この秀吉が お迎えに上がりましょう。 174 00:17:29,048 --> 00:17:32,818 利家殿とおまつ様の大事な姫じゃ。 175 00:17:32,818 --> 00:17:35,821 粗末にはいたしませぬわ。 176 00:17:46,198 --> 00:17:53,072 では まあを 秀吉殿に 人質にと約束されたと言われますのか!? 177 00:17:53,072 --> 00:17:55,875 何故 そのようなことを!? 178 00:17:55,875 --> 00:17:59,745 お前様と利長殿は 秀吉殿に お味方をして➡ 179 00:17:59,745 --> 00:18:03,149 北の庄攻めでは 立派に 先陣をつとめられたではありませぬか!? 180 00:18:03,149 --> 00:18:06,819 それが 秀吉殿へ 二心のない 何よりの証し。 181 00:18:06,819 --> 00:18:10,690 それでも まだ 秀吉殿は 我らを疑うておいでなのですか!? 182 00:18:10,690 --> 00:18:15,828 (利家)我らとて 一度は 秀吉殿に弓を引いた身。 183 00:18:15,828 --> 00:18:18,164 高次殿と同じよ。 184 00:18:18,164 --> 00:18:22,034 いいえ。 高次殿と我らとは違います。 185 00:18:22,034 --> 00:18:27,173 お前様と秀吉殿は 秀吉殿が足軽の頃からの深いおつきあい。 186 00:18:27,173 --> 00:18:33,045 心ならずも 勝家殿の与力として 秀吉殿に盾つくことにはなりましたが➡ 187 00:18:33,045 --> 00:18:36,515 それは 秀吉殿とて ようお分かりくだされているはず。 188 00:18:36,515 --> 00:18:39,418 昔は昔 今は今じゃ! 189 00:18:39,418 --> 00:18:43,189 それが 戦に敗れた者の不運…。 190 00:18:43,189 --> 00:18:46,092 乱世の習いじゃ! (杯を投げつける音) 191 00:18:46,092 --> 00:18:49,528 秀吉殿には 既に お豪を差し上げております! 192 00:18:49,528 --> 00:18:57,236 お豪は 我らの娘ではない。 秀吉殿のご息女。 人質にはならぬわ。 193 00:19:00,139 --> 00:19:05,478 秀吉殿は 昔は 足軽。 194 00:19:05,478 --> 00:19:11,817 お前様は 信長様の母衣衆をおつとめなされて…。 195 00:19:11,817 --> 00:19:14,520 それが 今は…。 196 00:19:16,489 --> 00:19:19,825 もしや…! 197 00:19:19,825 --> 00:19:25,131 もしや 秀吉殿は まあを側室になさるおつもりでは…! 198 00:19:26,699 --> 00:19:34,373 人質に差し出した以上 どうなされようと 我らには何も言えぬ。 199 00:19:34,373 --> 00:19:39,845 それでは… それでは まあが あまりにも哀れでございます。 200 00:19:39,845 --> 00:19:47,153 案じるな! ねね殿がついておる。 悪いようには なされぬわ。 201 00:20:03,069 --> 00:20:07,873 ああ…。 やっぱり 長浜は 懐かしゅうございますのう。 202 00:20:07,873 --> 00:20:12,211 うん。 何と言うても わしが 生まれて初めて 手がけた城じゃ。 203 00:20:12,211 --> 00:20:15,881 義姉様も 気にしておられた。 早う お戻りなされる方が…。 204 00:20:15,881 --> 00:20:18,217 いや このような城は無用じゃ。 205 00:20:18,217 --> 00:20:23,556 今に ここより何倍も大きなものを建てる。 そこへ おかかを迎える。 206 00:20:23,556 --> 00:20:27,893 兄者…。 ああ。 高次は まだか? 207 00:20:27,893 --> 00:20:36,235 兄者。 高次のことじゃが 今更 無益な殺生は…。 208 00:20:36,235 --> 00:20:38,904 京極家は 元近江の守護職の家柄。 209 00:20:38,904 --> 00:20:43,242 高次とて 光秀に担がれれば 昔の夢を追いとうにもなりましょう。 210 00:20:43,242 --> 00:20:45,177 じゃが それだけのことじゃ。 211 00:20:45,177 --> 00:20:49,915 生かしておいたとて 一人では 何の力もない若輩。 212 00:20:49,915 --> 00:20:52,585 障りにはなりますまい。 213 00:20:52,585 --> 00:20:55,488 秀政殿におあずけなされて 命だけは…。 214 00:20:55,488 --> 00:20:59,458 義姉様がお聞きになったら また…。 遅いのう 秀政は。 215 00:20:59,458 --> 00:21:02,394 わしの意に背くつもりか。 兄者。 216 00:21:02,394 --> 00:21:05,164 (近習)殿。 何用じゃ?申し上げます。➡ 217 00:21:05,164 --> 00:21:08,868 堀 秀政殿のお使者と共に 京極高次の姉と申す者➡ 218 00:21:08,868 --> 00:21:11,203 殿のお目通りを願うて 参っております。 219 00:21:11,203 --> 00:21:14,907 高次は? はっ…。 いまだ不参にございます。 220 00:21:37,229 --> 00:21:41,100 京極高次の姉 龍子にございます。 221 00:21:41,100 --> 00:21:44,570 お目通りの儀 お許しいただきまして…。 222 00:21:44,570 --> 00:21:48,440 堀 秀政殿より たっての頼み 何用じゃ。 223 00:21:48,440 --> 00:21:51,243 弟 高次に代わりまして➡ 224 00:21:51,243 --> 00:21:53,913 私の命をお召しいただきたく➡ 225 00:21:53,913 --> 00:21:56,615 お願いに参上いたしましてございます。 226 00:21:58,250 --> 00:22:06,859 先般 高次が秀吉殿に対しての謀反 秀吉殿のご成敗は もっともに存じます。 227 00:22:06,859 --> 00:22:13,732 なれど 高次は まだ分別もゆかぬ若年。 光秀の意のままに動いたにすぎませぬ。 228 00:22:13,732 --> 00:22:19,872 また あの年で命を落とすには あまりにも不憫でございます。 229 00:22:19,872 --> 00:22:24,210 もし 私を成敗なされて お許しくだされるならば➡ 230 00:22:24,210 --> 00:22:27,112 私の命など惜しゅうはございませぬ。 231 00:22:27,112 --> 00:22:31,417 どうぞ お聞き届けくださいまし。 232 00:22:37,756 --> 00:22:41,460 その覚悟にて 参上いたしました。 233 00:22:43,229 --> 00:22:46,565 (使者)何をなさる!? (龍子)お止めくださいますな! 234 00:22:46,565 --> 00:22:48,901 待たれい! (使者)早まり召さるな! 235 00:22:48,901 --> 00:22:50,836 お止めくださいますな! 236 00:22:50,836 --> 00:22:53,839 弟の身代わりに果てるのは 本望にございます! 237 00:22:57,910 --> 00:23:00,512 勝手は許さぬぞ。 238 00:23:00,512 --> 00:23:05,184 長らえたとて 詮ない命でございます。 239 00:23:05,184 --> 00:23:11,857 もし 高次が 秀吉殿のお手にかかれば この世に 私は ただ一人…。 240 00:23:11,857 --> 00:23:15,194 頼りにする者とてございませぬ。 241 00:23:15,194 --> 00:23:18,864 いずれにしても 無用の命でございます。 242 00:23:18,864 --> 00:23:23,736 ただ 高次は 京極の血筋を引く ただ一人の男子。 243 00:23:23,736 --> 00:23:28,207 せめて お命をお許しくださるならばと…。 244 00:23:28,207 --> 00:23:30,909 どうぞ ご成敗くださいまし! 245 00:23:32,878 --> 00:23:38,217 よう… よう分かった。 246 00:23:38,217 --> 00:23:44,089 では お聞き届けくださいますか!? 247 00:23:44,089 --> 00:23:47,092 わしは 殺生は嫌いじゃ。 248 00:23:49,228 --> 00:23:54,099 そなたの 弟を思う気持ちに免じて 高次の命 許してつかわそう。 249 00:23:54,099 --> 00:23:59,104 そのかわり そなたの命は わしがあずかろう。 250 00:24:01,507 --> 00:24:06,845 そなたが わしの人質として わしのところへ来れば➡ 251 00:24:06,845 --> 00:24:10,516 高次とて 謀反はなるまい。 252 00:24:10,516 --> 00:24:14,386 そなたも 高次の命も 無事。 253 00:24:14,386 --> 00:24:17,389 無益な殺生は せずとも済むわ。 254 00:24:19,525 --> 00:24:21,827 それでどうじゃ? 255 00:24:33,539 --> 00:24:36,442 かたじけのうございます。 256 00:24:36,442 --> 00:24:41,213 私は もはや 死んだも同じ女子。 257 00:24:41,213 --> 00:24:46,518 秀吉殿のお心に添うよう ご存分になされてくださいまし。 258 00:24:49,888 --> 00:24:54,560 いずれ改めて 迎えの者を遣わそう。 259 00:24:54,560 --> 00:24:57,262 それまで この城で待っておれ。 260 00:25:10,843 --> 00:25:15,714 久方ぶりの長浜での酒じゃ。 格別の味がするのう。 ハッハ。 261 00:25:15,714 --> 00:25:18,717 (小六)この城を立ち退いてから 1年足らずじゃ。 262 00:25:18,717 --> 00:25:22,454 この間に 天下は 目まぐるしゅう変わった。 263 00:25:22,454 --> 00:25:25,858 今は もう 勝家もおらぬ。 264 00:25:25,858 --> 00:25:30,529 いよいよ 秀吉殿の天下が来る。 265 00:25:30,529 --> 00:25:35,401 (長政)まこと 人の定めとは 分からぬものでございますなあ。 266 00:25:35,401 --> 00:25:37,403 ハッハッハッハッハ…。 267 00:25:37,403 --> 00:25:43,542 今日は 5月5日。 1年前は 上様も ご存命であられた。 268 00:25:43,542 --> 00:25:46,879 よもや このようなことになろうとはのう。 269 00:25:46,879 --> 00:25:49,548 (家次)我らも 1年前の今頃は➡ 270 00:25:49,548 --> 00:25:53,886 上様の御為に 高松城攻めに 命を懸けておりました。 271 00:25:53,886 --> 00:25:57,556 女子のことなど考える余裕は なかったと思うが➡ 272 00:25:57,556 --> 00:26:02,828 高次の命と引き換えに あのような美女を ものにされるとはのう。➡ 273 00:26:02,828 --> 00:26:07,499 フッフッフッフ…。 いや わしゃ 人を殺すのが嫌いだで。 274 00:26:07,499 --> 00:26:10,402 ただ それだけのことよ。 275 00:26:10,402 --> 00:26:16,175 なにも ねねを疎んじて 龍子をそばに置こうというのではないぞ。 276 00:26:16,175 --> 00:26:18,844 人質としてじゃ。 277 00:26:18,844 --> 00:26:24,183 ただ 龍子は 名門 京極家の息女…。 278 00:26:24,183 --> 00:26:27,886 側室にしても 不足はないわのう。 279 00:26:29,855 --> 00:26:36,195 じゃがのう 時が来るまで おかかには ないしょじゃぞ。 280 00:26:36,195 --> 00:26:38,530 まだまだ せねばならぬことがある。 281 00:26:38,530 --> 00:26:43,235 波風が立っては面倒じゃ。 アッハッハッハッハッハ! 282 00:26:45,204 --> 00:26:49,074 いよいよ 明日は 山崎じゃ。 283 00:26:49,074 --> 00:26:53,078 おかかも 首を長うして待っておろうのう。 284 00:27:08,160 --> 00:27:10,462 下がっておれ。 はっ。 285 00:27:15,834 --> 00:27:17,836 戻った。 286 00:27:19,505 --> 00:27:22,207 お戻りなさいませ。 287 00:27:24,843 --> 00:27:29,548 3人の姫たちは 機嫌ようしておられるか? 288 00:27:31,183 --> 00:27:33,185 はあ…。 289 00:27:40,192 --> 00:27:42,895 (戸が開く音) 290 00:28:04,149 --> 00:28:09,488 筑前 ただいま戻りましてござります。 291 00:28:09,488 --> 00:28:14,359 早速に 姫様方の顔が見とうて。 292 00:28:14,359 --> 00:28:19,498 つつがのう お過ごしの由 何よりにござります。 293 00:28:19,498 --> 00:28:22,834 何と言うても この城は 手狭。 294 00:28:22,834 --> 00:28:28,173 何かと ご不自由なことも おありになりましょうが➡ 295 00:28:28,173 --> 00:28:33,845 そのうち 立派な城も出来まする。 それまでの辛抱でござりまするぞ。 296 00:28:33,845 --> 00:28:38,517 我らは 捕らわれの身と承知で ここへ来ておるのじゃ。 297 00:28:38,517 --> 00:28:41,420 余計なお気遣いは 無用。 298 00:28:41,420 --> 00:28:45,123 お方様に そう申し上げてあります。 299 00:28:51,096 --> 00:29:00,472 お茶々様。 そのお言葉は この筑前 心外にござりまするぞ。 300 00:29:00,472 --> 00:29:09,147 お茶々様はじめ 3人の姫様方は お市の方様の 大事な大事な忘れ形見…。 301 00:29:09,147 --> 00:29:15,020 お市の方様より おあずかりした 姫様たちにござりまするぞ。 302 00:29:15,020 --> 00:29:20,759 どうか この筑前と ねねを 父とも母とも思うて➡ 303 00:29:20,759 --> 00:29:24,496 存分に わがままを言うてくだされ。 304 00:29:24,496 --> 00:29:30,369 姫様たちを残された お市の方様のお心を思えば➡ 305 00:29:30,369 --> 00:29:35,140 どのようなことをしても お尽くしせねばなりませぬ。 306 00:29:35,140 --> 00:29:42,147 どうか この筑前の胸中 お察しくださりませ。 307 00:29:53,191 --> 00:29:55,193 う~ん…。 308 00:29:57,863 --> 00:30:02,734 さすがの私も お茶々様には 手を焼いております。 309 00:30:02,734 --> 00:30:08,206 ハッハッハッハ。 なかなか 誇り高い姫君よのう。 310 00:30:08,206 --> 00:30:13,545 さすが 上様の血を 引いておられるだけのことはあるわ。 311 00:30:13,545 --> 00:30:18,417 思えば 悲運な姫よのう。 312 00:30:18,417 --> 00:30:21,420 2度も 落城の業火をくぐり抜けて➡ 313 00:30:21,420 --> 00:30:24,189 それでも 生きてこられた。 314 00:30:24,189 --> 00:30:27,893 気丈になられるのも 道理よのう。 315 00:30:27,893 --> 00:30:32,564 そうでのうては 戦乱の世は 生き延びてはこられぬわ。 316 00:30:32,564 --> 00:30:39,438 それがまた お茶々様のよいところでもあるのじゃ。 317 00:30:39,438 --> 00:30:43,575 私も そう思って…。 318 00:30:43,575 --> 00:30:46,278 でも…。 おかか。 319 00:30:49,247 --> 00:30:52,951 大坂にのう 城を建てるぞ。 320 00:30:57,923 --> 00:31:04,196 ここはのう 京を守るには要衝の地じゃが 何と言うても 山の中じゃ。 321 00:31:04,196 --> 00:31:07,099 天下を治めるには ふさわしゅうない。 322 00:31:07,099 --> 00:31:12,070 じゃが 大坂ならばのう 海もある 淀川もある。 323 00:31:12,070 --> 00:31:15,540 海と川に囲まれた要害の地じゃ。 324 00:31:15,540 --> 00:31:17,843 堺も控えておる。 325 00:31:19,411 --> 00:31:28,120 海はのう 九州 四国 いや 遠く異国まで続いておるのじゃ。 326 00:31:28,120 --> 00:31:32,557 天下に にらみを利かせ 諸国の交易を盛んにし➡ 327 00:31:32,557 --> 00:31:37,429 国の富をはかるには 大坂をおいて ほかにはないわ。 328 00:31:37,429 --> 00:31:44,569 おかか。 大坂の城はのう 上様の安土の城をしのぐものになろうぞ。 329 00:31:44,569 --> 00:31:49,441 また ここでは 満足な女子どもも集められぬ。 330 00:31:49,441 --> 00:31:53,578 大坂ならば 心利いた女子どもを➡ 331 00:31:53,578 --> 00:31:57,249 お茶々様たちに お仕えさせることもできるわ。 332 00:31:57,249 --> 00:32:01,253 おかかの手を煩わせるのも 今しばらくの辛抱じゃ。 333 00:32:02,854 --> 00:32:05,524 お前様。 うん? 334 00:32:05,524 --> 00:32:11,196 今宵にでも とくと お話を伺おうと 思っておりましたが➡ 335 00:32:11,196 --> 00:32:15,534 お前様は やはり 天下を取りたいがために➡ 336 00:32:15,534 --> 00:32:19,871 勝家殿を お討ちになったのでございますか? 337 00:32:19,871 --> 00:32:25,744 勝家殿は 戦を疎まれ お市の方様と北の庄に帰られ➡ 338 00:32:25,744 --> 00:32:27,746 3人の姫様方と➡ 339 00:32:27,746 --> 00:32:31,883 幸せにお暮らしになっていた ということではございませぬか。 340 00:32:31,883 --> 00:32:33,819 それを お前様は…。 341 00:32:33,819 --> 00:32:35,754 おかか…。 342 00:32:35,754 --> 00:32:38,457 そのために お市様まで…。 343 00:32:41,226 --> 00:32:45,931 それほどまでにして 天下をお取りになりたいのか お前様は!? 344 00:32:49,901 --> 00:32:53,605 恐ろしいお方じゃ…。 345 00:32:56,775 --> 00:33:02,781 私には お前様が分からなくなりました。 346 00:33:04,416 --> 00:33:11,189 お前様は 今まで 上様のために おつとめに励んでこられました。 347 00:33:11,189 --> 00:33:16,194 私は そういうお前様を信じて ついてまいりました。 348 00:33:18,864 --> 00:33:25,203 でも お前様は変わられてしまった…。 349 00:33:25,203 --> 00:33:30,909 ねねの分からぬ 秀吉殿になられてしまった…。 350 00:33:36,548 --> 00:33:45,557 おかか…。 おかかは わしを そのような男と思うておるのか。 351 00:33:45,557 --> 00:33:50,562 ただ天下が欲しゅうて 勝家殿を討ったと思うておるのか!? 352 00:33:53,231 --> 00:33:59,104 おかか。 わしとて 戦は嫌いじゃ。 353 00:33:59,104 --> 00:34:03,041 勝家殿と共に 秀信様をお助け申し➡ 354 00:34:03,041 --> 00:34:06,778 天下を治めることができるならば そうしたかったわ。 355 00:34:06,778 --> 00:34:11,516 勝家殿と争うことだけは しとうはなかった! 356 00:34:11,516 --> 00:34:19,858 じゃがのう たとえ 上様のお子とは申せ 己には 何の力も持たぬ信孝様が➡ 357 00:34:19,858 --> 00:34:29,200 勝家殿の力を頼って 上様の跡目を狙い 邪魔者のわしを討たんと謀った。 358 00:34:29,200 --> 00:34:32,537 わしとて 手をこまねいておるわけにはいかぬわ。 359 00:34:32,537 --> 00:34:36,541 討たねば討たれる。 乱世の習いよ。 360 00:34:38,209 --> 00:34:46,084 おかか…。 この正月 わしが姫路に去んだのものう➡ 361 00:34:46,084 --> 00:34:51,222 おかかや おっ母様と 今生の別れになるやもしれぬと思うて…。 362 00:34:51,222 --> 00:35:00,031 また 家臣たちにも 家族と最後の時を過ごさせとうて…。 363 00:35:00,031 --> 00:35:11,176 わしとてのう 命を懸けて 己と家臣たちとを守る戦じゃと➡ 364 00:35:11,176 --> 00:35:15,847 覚悟の出陣じゃった。 365 00:35:15,847 --> 00:35:22,721 おかかには それは 分かってもらえたと思うていた。 366 00:35:22,721 --> 00:35:29,194 正直言うてのう 天下を考えるゆとりなど なかったわ! 367 00:35:29,194 --> 00:35:35,200 食うか 食われるか… ただそれだけの戦じゃった! 368 00:35:40,205 --> 00:35:44,876 じゃがのう わしは運よく生き残った。 369 00:35:44,876 --> 00:35:50,548 生き残ってみれば 天下を治めるのは わしよりほかにはおらぬ。 370 00:35:50,548 --> 00:35:55,220 わしだけが 戦のない世にできる たった一人の男じゃと気付いた。 371 00:35:55,220 --> 00:35:58,556 じゃが 気の重いつとめよのう。 372 00:35:58,556 --> 00:36:02,160 天下を肩に背負うていくには 力がのうてはならぬ。 373 00:36:02,160 --> 00:36:04,496 また 一時の気の緩みも許されぬ。 374 00:36:04,496 --> 00:36:06,431 地獄じゃぞ おかか! 375 00:36:06,431 --> 00:36:11,369 それでも わしがやらねば やり遂げることが➡ 376 00:36:11,369 --> 00:36:15,507 志半ばにして果てられた上様のお心を お継ぎすることじゃ。 377 00:36:15,507 --> 00:36:19,377 また これまで 戦乱の世のいけにえとなった➡ 378 00:36:19,377 --> 00:36:22,380 多くの将兵たちの供養でもあろうが。 379 00:36:26,518 --> 00:36:36,194 おかか…。 わしの力で この長い長い戦乱の世を終わりにしたい。 380 00:36:36,194 --> 00:36:39,097 せねばならんのよ! 381 00:36:39,097 --> 00:36:42,067 おかか…。 382 00:36:42,067 --> 00:36:47,539 世の人はのう わしが天下が欲しゅうて 勝家殿を討ったと➡ 383 00:36:47,539 --> 00:36:50,875 あしざまに言うやもしれん。 それでもええ! 384 00:36:50,875 --> 00:36:55,747 じゃが おかかにだけは 分かってほしいのじゃ。 385 00:36:55,747 --> 00:37:02,487 わしの これからのつとめはのう この日本に戦をなくすことじゃ。 386 00:37:02,487 --> 00:37:09,828 戦さえなければ 国は栄え 民も豊かになろう。 387 00:37:09,828 --> 00:37:16,835 厳しい道じゃがのう わしがやらねば やる者はおらんのよ。 388 00:37:19,838 --> 00:37:32,150 わしが 心より信じられる者は 昔も今も おかかと秀長だけじゃ。 389 00:37:36,387 --> 00:37:48,533 おかか…。 今の天下にのう 同じ力の者が2人おれば 必ず戦になる。 390 00:37:48,533 --> 00:37:53,204 それは 嫌と言うほど 骨身にしみておるわ。 391 00:37:53,204 --> 00:37:56,107 今のわしに 力がのうなれば たちまち➡ 392 00:37:56,107 --> 00:38:00,011 群雄相争う戦乱の世に 戻ってしまうのじゃ。 393 00:38:00,011 --> 00:38:02,714 戻してはならんのよ。 394 00:38:06,484 --> 00:38:11,823 前にも増して険しい道かもしれぬが➡ 395 00:38:11,823 --> 00:38:14,125 ついてきてくれるか? 396 00:38:18,496 --> 00:38:20,498 はい…。 397 00:38:30,108 --> 00:38:33,111 ⚟殿のご帰城にござるぞ! 398 00:38:41,186 --> 00:38:45,056 (なか)藤吉郎! おお おっ母さあ!藤吉郎! 399 00:38:45,056 --> 00:38:49,527 戻ってきたのか。 戻った。 おっ母さも 息災で何よりじゃ。 400 00:38:49,527 --> 00:38:52,864 ねねさは どうした? ああ 山崎じゃ。 401 00:38:52,864 --> 00:38:56,201 何じゃ おみゃあさ一人か。 おお。 402 00:38:56,201 --> 00:38:58,870 待っとったのに…。 うん。 403 00:38:58,870 --> 00:39:03,274 ハッハッハ。 おっ母さ 話がある。 さあさあ。 さあさあ。 404 00:39:03,274 --> 00:39:07,145 では 我らに この城を出ろと言うのか? 405 00:39:07,145 --> 00:39:11,482 そうじゃ。 この度 大坂を居城にすることにした。 406 00:39:11,482 --> 00:39:15,353 秀勝殿も 間もなく 丹波 亀山城から戻られる。 407 00:39:15,353 --> 00:39:21,159 豪姫も一緒じゃ。 姉様も あさひも やや殿も 皆 大坂じゃ。 408 00:39:21,159 --> 00:39:23,094 (あさひ)甚兵衛どのは? おう。 409 00:39:23,094 --> 00:39:26,497 甚兵衛も 弥助も 長政も 皆 大坂で待っておるぞ。 410 00:39:26,497 --> 00:39:30,168 (やや)また お引っ越しでございますか。 ハッハッハッハ。 411 00:39:30,168 --> 00:39:34,505 今は大した城ではござらんがのう 近々 普請に取りかかる。 412 00:39:34,505 --> 00:39:38,376 今に どでかい城が出来まするぞ。 見ていてくだされ。 413 00:39:38,376 --> 00:39:42,180 わしは 嫌じゃ。 おっ母様…。 414 00:39:42,180 --> 00:39:48,853 せっかく この城になじんだと思うたら また見知らぬ所へ行くなぞ 御免だ。 415 00:39:48,853 --> 00:39:55,193 おっ母様。 それは なりませぬぞ。 416 00:39:55,193 --> 00:39:58,863 おっ母様は わしのそばにいてもらわねば➡ 417 00:39:58,863 --> 00:40:02,533 これからも どこで どのようなことが 起こるやもしれませぬ。 418 00:40:02,533 --> 00:40:06,404 秀吉とて もう 昔の秀吉ではござりませぬぞ。 419 00:40:06,404 --> 00:40:10,875 おっ母様とて 秀吉のおふくろ様ともなれば➡ 420 00:40:10,875 --> 00:40:14,212 もはや 勝手は許されませぬ。 421 00:40:14,212 --> 00:40:18,549 人質にでもとられたら どうするおつもりじゃ。 422 00:40:18,549 --> 00:40:22,220 おっ母様。 藤吉郎のおかげで➡ 423 00:40:22,220 --> 00:40:26,090 我ら身内 このようなぜいたくな暮らしが できておるのではないか。 424 00:40:26,090 --> 00:40:28,559 文句を言うたら 罰が当たるわ。 425 00:40:28,559 --> 00:40:33,898 ハッハッハッハ。 長浜も姫路の暮らしも 質素なものよ。 426 00:40:33,898 --> 00:40:36,567 大坂城が出来たらのう➡ 427 00:40:36,567 --> 00:40:39,904 まことの栄耀栄華を していただきまするぞ。 428 00:40:39,904 --> 00:40:45,777 やや殿も 姉様も あさひも わしにとっては 大事な身内じゃ。 429 00:40:45,777 --> 00:40:49,247 どうでも 幸せになってもらわねばのう。 430 00:40:49,247 --> 00:40:57,121 藤吉郎。 弥助殿のこと 孫七郎のことも よろしゅう頼みましたぞ。 431 00:40:57,121 --> 00:41:00,191 うむ。 ハッハッハ。 432 00:41:00,191 --> 00:41:10,835 ♬~ 433 00:41:10,835 --> 00:41:12,770 止めい! 434 00:41:12,770 --> 00:41:18,209 <6月2日 信長の一周忌にあたる その日➡ 435 00:41:18,209 --> 00:41:22,880 秀吉は 大徳寺で盛大に法要を営むと➡ 436 00:41:22,880 --> 00:41:30,221 その足で 池田恒興に明け渡させた 念願の大坂城へ入った。➡ 437 00:41:30,221 --> 00:41:34,559 信長の死から1年 歴史は 目まぐるしく変転し➡ 438 00:41:34,559 --> 00:41:36,894 くしくも 信長の命日に➡ 439 00:41:36,894 --> 00:41:42,200 秀吉は 自分の時代を 大きく踏み出し始めたのである> 440 00:41:46,571 --> 00:41:51,242 では お義母様も 秀勝殿も 大坂城に? 441 00:41:51,242 --> 00:41:54,145 宇喜多秀家殿も お呼びになるそうじゃ。 442 00:41:54,145 --> 00:41:58,916 秀家殿も? まあ お懐かしい…。 443 00:41:58,916 --> 00:42:03,187 (秀長)それに 孫七郎たち お茶々様たち 豪姫…。 444 00:42:03,187 --> 00:42:07,525 いずれ 築城の暁には 木下家定殿や やや殿のお子たちも➡ 445 00:42:07,525 --> 00:42:11,863 城中に暮らすことになりましょう。 それは にぎやかになりますなあ。 446 00:42:11,863 --> 00:42:15,199 義姉様も ご苦労なことじゃ。 いいえ。 447 00:42:15,199 --> 00:42:20,071 お若い方が育っていくのを見るのは 楽しゅうございます。 448 00:42:20,071 --> 00:42:25,076 子のない私には 何よりの楽しみじゃ。 449 00:42:26,811 --> 00:42:30,748 <やがて ねねも 大坂へ移った> 450 00:42:30,748 --> 00:42:34,218 お着きになられたか? 451 00:42:34,218 --> 00:42:54,539 ♬~ 452 00:42:54,539 --> 00:43:03,381 <そして 姫路から なか とも あさひたちも 大坂城へ入った。➡ 453 00:43:03,381 --> 00:43:07,518 その日から 秀吉と共に その一族にも➡ 454 00:43:07,518 --> 00:43:13,191 天下人 秀吉の一族としての 新しい日が始まったのである> 455 00:43:13,191 --> 00:43:17,862 ♬~ 456 00:43:17,862 --> 00:43:23,534 <だが それはまた ねねにも なか とも あさひにも➡ 457 00:43:23,534 --> 00:43:27,205 それぞれに 天下人 秀吉の一族としての➡ 458 00:43:27,205 --> 00:43:32,076 新しい苦難と不幸の始まりでもあった> 459 00:43:32,076 --> 00:43:48,092 ♬~