1 00:00:02,102 --> 00:02:37,090 ♬~ 2 00:02:40,794 --> 00:02:44,531 <天正14年5月14日。➡ 3 00:02:44,531 --> 00:02:49,870 この日 浜松で 夫 甚兵衛と離別させられた あさひと➡ 4 00:02:49,870 --> 00:02:54,541 徳川家康の結婚式が 盛大に行われていた。➡ 5 00:02:54,541 --> 00:02:57,210 なかは 秀長と共に➡ 6 00:02:57,210 --> 00:03:01,815 秀長の領地 大和にある 春日社に参詣した。➡ 7 00:03:01,815 --> 00:03:06,486 手の届かぬ所へ去ってしまった 幸い薄い娘 あさひのために➡ 8 00:03:06,486 --> 00:03:08,422 なかがしてやれるのは➡ 9 00:03:08,422 --> 00:03:11,825 ただ 神に祈ることしか なかったのであろう> 10 00:03:11,825 --> 00:03:14,528 (かしわ手) 11 00:03:22,836 --> 00:03:25,739 (やや)今頃は 祝言の最中じゃろう。➡ 12 00:03:25,739 --> 00:03:29,709 何事ものう 済んでくれるとよいが…。 13 00:03:29,709 --> 00:03:33,847 (ねね)長政殿には 大役をお願いしてしまった。 14 00:03:33,847 --> 00:03:37,718 (やや)何かあったら 付き添い役の長政殿は 生きては帰れぬ。 15 00:03:37,718 --> 00:03:40,520 その覚悟でお供をすると言うていた。 16 00:03:40,520 --> 00:03:43,423 とんだお役目を引き受けたものよ。 17 00:03:43,423 --> 00:03:50,864 長政殿には これまでも 度々 徳川に 使者として おつとめくだされておる。 18 00:03:50,864 --> 00:03:54,734 こたびのお輿入れも 秀吉殿のお身内からは➡ 19 00:03:54,734 --> 00:03:57,204 誰もついてはおられぬ。 20 00:03:57,204 --> 00:04:00,807 長政殿だけが頼りじゃ。 21 00:04:00,807 --> 00:04:06,146 秀吉殿も秀吉殿じゃ。 なんぼ天下を取りたいと言うたとて➡ 22 00:04:06,146 --> 00:04:09,049 あのように仲のええ あさひ殿と甚兵衛殿とを…。やや! 23 00:04:09,049 --> 00:04:14,821 やや そのようなことは…。 秀吉殿とて おつらいのじゃ。 24 00:04:14,821 --> 00:04:18,825 お姉様は 秀吉殿を許しておいでなのか? 25 00:04:20,694 --> 00:04:24,831 私は 秀吉殿のおかかじゃ。 26 00:04:24,831 --> 00:04:31,505 秀吉殿が ご自分を 一番責めておられることを知っておる。 27 00:04:31,505 --> 00:04:36,376 はあ~。 お姉様も 因果なお人に添われたのう。 28 00:04:36,376 --> 00:04:40,847 実の妹御を 情け容赦もなく あのようなことをするのじゃ。 29 00:04:40,847 --> 00:04:44,184 これから先とて 何をお考えか分からぬわ。 30 00:04:44,184 --> 00:04:47,521 お姉様とて あさひ殿の二の舞にされるやも…。 31 00:04:47,521 --> 00:04:51,391 私で済むことなら どのようなことも いといはせぬ。 32 00:04:51,391 --> 00:04:54,694 その方が よほど楽じゃ。 33 00:04:56,863 --> 00:05:01,701 後に残された者の方が 地獄じゃ。 34 00:05:01,701 --> 00:05:04,137 お姉様…。 35 00:05:04,137 --> 00:05:12,479 お義母様とて 秀長殿とて➡ 36 00:05:12,479 --> 00:05:15,815 秀吉殿とて 同じことじゃ。 37 00:05:15,815 --> 00:05:35,836 ♬~ 38 00:05:35,836 --> 00:05:39,139 (こほ)お疲れになりましたろう。 39 00:05:47,447 --> 00:05:52,385 (こほ)間もなく 家康殿も こちらにお越しになります。 40 00:05:52,385 --> 00:05:59,860 胸中 お察しいたしますが あさひ殿は 今日より 家康殿のご正室にございます。 41 00:05:59,860 --> 00:06:03,563 何事も ご辛抱あそばして…。 42 00:06:05,131 --> 00:06:09,002 くれぐれも 短慮のお振る舞いだけは…。 43 00:06:09,002 --> 00:06:11,471 (あさひ)分かっている。 44 00:06:11,471 --> 00:06:17,143 わしは 死んだも同じ女子じゃ。 何もかも諦めている。 45 00:06:17,143 --> 00:06:19,479 (足音) 46 00:06:19,479 --> 00:06:21,414 (八汐)殿のお越しにございます。➡ 47 00:06:21,414 --> 00:06:24,417 もう一度 ようあらためて…。 はい。 48 00:06:35,028 --> 00:06:38,498 (八汐)ちと失礼いたします。 どなたと心得る! 49 00:06:38,498 --> 00:06:41,835 私のお役目にございます。 お方様を疑うのか!? 50 00:06:41,835 --> 00:06:43,770 構わぬ。 51 00:06:43,770 --> 00:06:48,174 わしとて 家康殿と 刺し違えられるものなら刺し違えたいわ。 52 00:06:48,174 --> 00:06:50,110 お方様! 53 00:06:50,110 --> 00:06:53,847 ただ 意気地がのうて できぬだけじゃ。 54 00:06:53,847 --> 00:06:56,750 調べられて当たり前よ。 55 00:06:56,750 --> 00:07:10,797 ♬~ 56 00:07:10,797 --> 00:07:13,133 (八汐)こほ殿。 57 00:07:13,133 --> 00:07:29,149 ♬~ 58 00:07:29,149 --> 00:07:31,484 さあ。 59 00:07:31,484 --> 00:07:42,495 ♬~ 60 00:07:59,846 --> 00:08:02,549 甚兵衛さ…。 61 00:08:05,118 --> 00:08:07,787 (家康)あさひ殿。 62 00:08:07,787 --> 00:08:11,491 はるばると よう来られたのう。 63 00:08:13,126 --> 00:08:17,998 さすが 関白 秀吉殿の いとおしんでおられる妹御じゃ。 64 00:08:17,998 --> 00:08:20,800 輿入れの行列の美々しさには➡ 65 00:08:20,800 --> 00:08:24,671 肝を抜かれたと 皆 うわさをしておるそうじゃ。 66 00:08:24,671 --> 00:08:29,376 兄上の なみなみならぬ お心遣いよのう。 67 00:08:34,814 --> 00:08:39,819 じゃが あさひ殿には つらい旅でおじゃったろう。 68 00:08:44,157 --> 00:08:50,497 今更 このようなことを言うても 詮ないことかもしらぬが➡ 69 00:08:50,497 --> 00:08:54,834 わしは あさひ殿に➡ 70 00:08:54,834 --> 00:08:58,505 このようなつらい思いを させとうはなかった。 71 00:08:58,505 --> 00:09:05,311 あさひ殿と副田甚兵衛殿とのことも わしは よう承知しておる。 72 00:09:05,311 --> 00:09:11,084 あさひ殿にとって この上ない むごい仕打ちと知っていながら➡ 73 00:09:11,084 --> 00:09:15,789 あさひ殿を迎えねばならなかったのは この徳川のためじゃ。 74 00:09:17,457 --> 00:09:21,127 男は勝手と恨んでおられようが➡ 75 00:09:21,127 --> 00:09:27,801 誰とて 我が身はかわいい。 まして 家臣は なお大事じゃ。 76 00:09:27,801 --> 00:09:32,105 わしの苦衷も お察しくだされ。 77 00:09:39,145 --> 00:09:44,484 このように あさひ殿に 黙って来ていただいたからには➡ 78 00:09:44,484 --> 00:09:49,823 家康 決して あさひ殿を粗末にはいたさぬ。 79 00:09:49,823 --> 00:09:54,160 せめて 少しでも気が晴れるよう➡ 80 00:09:54,160 --> 00:10:02,035 あさひ殿の好きに お暮らしなされて…。 のう。 81 00:10:02,035 --> 00:10:07,707 まして あさひ殿は 徳川の正室じゃ。 何の遠慮もいらぬ。 82 00:10:07,707 --> 00:10:12,512 大きい顔をしていなされば それでええのじゃ。 83 00:10:12,512 --> 00:10:18,518 何不自由ないよう 何なりとお申しつけなされて…。 84 00:10:23,156 --> 00:10:27,527 あさひ殿 何もしはせぬ。 85 00:10:27,527 --> 00:10:32,866 あさひ殿が別れた甚兵衛殿への思い わしとて よう承知しておる。 86 00:10:32,866 --> 00:10:36,202 それを踏みにじるようなまねなど わしにはできぬ。 87 00:10:36,202 --> 00:10:40,206 いや してはならんのじゃ。 さあ…。 88 00:10:43,877 --> 00:10:47,213 家康殿…。 89 00:10:47,213 --> 00:10:54,220 じゃがのう 周りは 口さがない者ばかりじゃ。 90 00:10:58,224 --> 00:11:05,031 この家康が あさひ殿を疎んじて 指一本 触れなんだと言われては➡ 91 00:11:05,031 --> 00:11:08,334 秀吉殿への聞こえも悪かろう。 92 00:11:13,173 --> 00:11:19,846 ご迷惑かもしらぬが 今宵は 今しばらく ここで➡ 93 00:11:19,846 --> 00:11:23,716 よもやま話などして…。 94 00:11:23,716 --> 00:11:27,720 いろいろ お心遣い…➡ 95 00:11:27,720 --> 00:11:31,858 かたじけのうございます。 96 00:11:31,858 --> 00:11:35,528 あさひ殿。 97 00:11:35,528 --> 00:11:40,833 お互い 乱世に生まれて 因果なことよのう。 98 00:11:42,402 --> 00:11:46,172 あさひ殿も お聞き及びと思うが➡ 99 00:11:46,172 --> 00:11:54,881 わしの最初の妻は 信長様への手前 この手で討たねばならぬはめとなった。 100 00:11:54,881 --> 00:12:01,487 また その間にできた男の子も 自害して果てた。 101 00:12:01,487 --> 00:12:05,358 これとて 我が手にかけたも同然じゃ。 102 00:12:05,358 --> 00:12:10,163 二度と このようなことすまいと 心に誓ってはいたが➡ 103 00:12:10,163 --> 00:12:14,467 また そなたを不幸せにしてしもうた…。 104 00:12:17,036 --> 00:12:24,177 家康殿は もっと恐ろしい方かと 覚悟して参りました。 105 00:12:24,177 --> 00:12:29,515 じゃが 安堵いたしました。 (家康)あさひ殿…。 106 00:12:29,515 --> 00:12:35,188 どんなに寂しゅうても 家康殿のお心遣いで➡ 107 00:12:35,188 --> 00:12:39,525 このお城での暮らしも慰められましょう。 108 00:12:39,525 --> 00:12:45,198 そのうち 大坂へ帰る時も来よう。 109 00:12:45,198 --> 00:12:48,201 それまでの辛抱じゃ。 110 00:13:01,481 --> 00:13:04,150 (秀吉)おお おっ母様! 111 00:13:04,150 --> 00:13:06,819 お戻りなされませ。 ハッハッハッハ。 112 00:13:06,819 --> 00:13:11,491 いかがでござりました? 奈良は。 いくらか 気散じになられましたかのう。 113 00:13:11,491 --> 00:13:14,394 ちょうど今 浜松より 長政が戻りましてのう。 114 00:13:14,394 --> 00:13:18,364 祝言も無事に済み あさひも 殊の外 機嫌ようしておると。 115 00:13:18,364 --> 00:13:22,135 ハッハッハ。 私も 肩の荷を下ろしましたわ。 116 00:13:22,135 --> 00:13:24,137 おっ母様…。 117 00:13:28,841 --> 00:13:32,512 (なか)しばらく 小一郎の城で遊ばしてもろうてたゆえ➡ 118 00:13:32,512 --> 00:13:36,182 遅うなってしもうて…。 119 00:13:36,182 --> 00:13:41,187 秀吉殿が 気遣うておられました。 120 00:13:43,856 --> 00:13:50,530 長政殿のお話によりますと あさひ殿は 思ったより落ち着いておられたとか…。 121 00:13:50,530 --> 00:13:52,865 安堵いたしました。 122 00:13:52,865 --> 00:13:56,536 (秀長)長政殿には 気の重いお役目 大儀にございました。 123 00:13:56,536 --> 00:14:01,808 (長政)あ いや… あさひ殿には 何のお役にも立たいで…。 124 00:14:01,808 --> 00:14:05,678 あ… それはもう見事なご婚儀にて➡ 125 00:14:05,678 --> 00:14:11,150 家康殿も あさひ殿をお迎えするに 心から礼を尽くされておりました。 126 00:14:11,150 --> 00:14:16,022 また あさひ殿と家康殿も おむつまじいご様子にて…。 127 00:14:16,022 --> 00:14:18,324 お義母様。 128 00:14:21,794 --> 00:14:27,500 秀吉殿のなされ方 さぞ ご立腹とは存じますが➡ 129 00:14:27,500 --> 00:14:34,173 家康殿のお心遣いで あさひ殿も 慰められておられるとか…。 130 00:14:34,173 --> 00:14:40,046 どうぞ 秀吉殿を お許しになってくださいませ。 131 00:14:40,046 --> 00:14:46,052 これで 家康殿は 藤吉郎のところに来るのかのう? 132 00:14:50,189 --> 00:14:56,529 せめて あさひが嫁に行ったことが 無駄にならねばよいが…。➡ 133 00:14:56,529 --> 00:15:01,834 それでのうては あさひが あまりにも不憫じゃ。 134 00:15:08,808 --> 00:15:12,145 今度こそ 家康も 上洛してこよう。 135 00:15:12,145 --> 00:15:15,815 九州では 島津が豊後を侵し➡ 136 00:15:15,815 --> 00:15:20,486 豊後の大友宗麟が 我らの力を頼み 赴援を乞うてきておる。 137 00:15:20,486 --> 00:15:25,158 これを機に 九州の諸大名の国境を定め➡ 138 00:15:25,158 --> 00:15:28,828 それに背く者は 武力に訴えても討たねばならぬ。 139 00:15:28,828 --> 00:15:34,500 それには まず 徳川にも合力させることが肝要じゃ。 140 00:15:34,500 --> 00:15:37,403 家康が 我らに 臣従の意を表さば➡ 141 00:15:37,403 --> 00:15:40,840 諸国の大名も こぞって 九州へ兵を出すであろう。 142 00:15:40,840 --> 00:15:42,775 (官兵衛)ならば 猶予はなりませぬ。 143 00:15:42,775 --> 00:15:46,179 一刻も早う 家康に上洛を…。 144 00:15:46,179 --> 00:15:51,851 あさひが輿入れして 家康は わしの義弟になった。 145 00:15:51,851 --> 00:15:55,188 何を言わいでも 頭を下げてくるわ。 146 00:15:55,188 --> 00:15:59,525 そのために あさひを遣わしたのじゃ。 147 00:15:59,525 --> 00:16:05,798 じゃが 家康には 再度 上洛を促そう。 148 00:16:05,798 --> 00:16:10,136 なお 九州出陣の備えは かねて申しつけたとおり➡ 149 00:16:10,136 --> 00:16:12,438 万端 抜かりなきよう。 150 00:16:14,006 --> 00:16:18,010 兄者! どうした? 151 00:16:18,010 --> 00:16:20,780 小六殿の病状が急変したそうじゃ。 152 00:16:20,780 --> 00:16:23,783 今 大坂屋敷から使いの者が…。 153 00:16:28,821 --> 00:16:31,724 (小六)ハッハッハッハッハ。 154 00:16:31,724 --> 00:16:36,162 秀吉殿とねね殿のお顔を拝見したら➡ 155 00:16:36,162 --> 00:16:39,832 小六 病など吹っ飛びましてござりまする。 156 00:16:39,832 --> 00:16:44,704 ハッハッハ。 そうよ。 九州征伐も控えておる。 157 00:16:44,704 --> 00:16:47,173 早う ようなってくれ。 158 00:16:47,173 --> 00:16:50,076 小六殿がおらんと 戦にはならぬぞ。 ハッハッハ。 159 00:16:50,076 --> 00:16:57,183 いやいや わしは もはや 老骨。 お役に立たぬようになり申した。 160 00:16:57,183 --> 00:17:05,458 小六の時代は もう終わりました。 いつ果てようとも 心残りはござらぬ。 161 00:17:05,458 --> 00:17:09,128 何を言う。 小六殿。 162 00:17:09,128 --> 00:17:12,999 小六殿とは 美濃の川並衆の懐柔に 走り回っていた頃から➡ 163 00:17:12,999 --> 00:17:16,002 共に戦うてきた仲ではないか。 164 00:17:16,002 --> 00:17:23,476 わしが 初めて家臣を持てる身になった時 一番に仕えてくれたのも 小六殿じゃった。 165 00:17:23,476 --> 00:17:28,347 今日の秀吉あるも 皆 小六殿のおかげじゃ。 166 00:17:28,347 --> 00:17:30,816 これからとて 小六殿がおらずば…。 167 00:17:30,816 --> 00:17:34,153 小六殿。 168 00:17:34,153 --> 00:17:42,028 ねね殿。 ねね殿には ようしていただきました。 169 00:17:42,028 --> 00:17:47,700 わしが秀吉殿にお仕えしようと 心に決めたのは➡ 170 00:17:47,700 --> 00:17:52,004 ねね殿の人柄に惚れたからじゃ。 171 00:17:53,839 --> 00:18:01,113 あの時のことは 今でも よう覚えております。 172 00:18:01,113 --> 00:18:05,985 小六殿が小牧の家へ見えられた時に➡ 173 00:18:05,985 --> 00:18:09,455 私は 人質同様…。 174 00:18:09,455 --> 00:18:12,792 小六殿が恐ろしゅうて 震えておりました。 175 00:18:12,792 --> 00:18:16,462 (笑い声) 176 00:18:16,462 --> 00:18:21,801 それがどうじゃ。 秀吉殿の身代わりと知ると➡ 177 00:18:21,801 --> 00:18:25,671 秀吉殿が 私を見殺しになされるはずがないと➡ 178 00:18:25,671 --> 00:18:31,477 急に肝が据わられてのう。 (笑い声) 179 00:18:31,477 --> 00:18:39,151 秀吉殿を信じ切っておられる ねね殿に わしゃ 参ってしもうた。 180 00:18:39,151 --> 00:18:41,487 ハッハッハッハッハ。 181 00:18:41,487 --> 00:18:43,422 (せきこみ) 182 00:18:43,422 --> 00:18:48,160 まあ…。 小六殿 小六殿。横におなりなさいませ。 183 00:18:48,160 --> 00:18:53,466 小六殿。 無理は…。(せきこみ) 184 00:18:55,835 --> 00:18:59,171 わしの目に狂いはなかった…。 185 00:18:59,171 --> 00:19:07,980 秀吉殿は関白 ねね殿は北政所様じゃ。 186 00:19:07,980 --> 00:19:10,783 お仕えしたかいがござった。 187 00:19:10,783 --> 00:19:15,121 それも 皆 小六殿のおかげ…。 188 00:19:15,121 --> 00:19:18,791 (せきこみ) 小六…。小六殿。 189 00:19:18,791 --> 00:19:22,128 小六殿! 小六殿! (せきこみ) 190 00:19:22,128 --> 00:19:25,798 夕庵殿! 夕庵殿! (せきこみ) 191 00:19:25,798 --> 00:19:32,138 小六殿 これからぞ! 今まで わしと共に走りづめに走ってきた。 のう。 192 00:19:32,138 --> 00:19:35,808 やっと 小六殿に報いることもできよう。 のう。 193 00:19:35,808 --> 00:19:37,743 養生して長生きしてくだされ。 194 00:19:37,743 --> 00:19:41,147 おぬしはのう わしのただ一人の友じゃ! 195 00:19:41,147 --> 00:19:43,482 もったいない…。 196 00:19:43,482 --> 00:19:51,157 元はと言えば 夜盗呼ばわりされた しがない土豪のわしに➡ 197 00:19:51,157 --> 00:19:54,827 関白殿が そのような…。 198 00:19:54,827 --> 00:20:00,499 冥土のいい土産になりましょう。 小六殿! 199 00:20:00,499 --> 00:20:03,202 さあ! ささ…。 200 00:20:07,373 --> 00:20:15,514 ねね殿。 秀吉殿をお頼み申しましたぞ。➡ 201 00:20:15,514 --> 00:20:21,854 ねね殿が しっかりと手綱を取っておらねば➡ 202 00:20:21,854 --> 00:20:27,193 秀吉殿は どこへ迷われるか分からん。 203 00:20:27,193 --> 00:20:33,199 末永う 秀吉殿のおそばに…。 204 00:20:44,744 --> 00:20:50,749 (雷鳴) 205 00:20:52,885 --> 00:21:00,593 (小六)秀吉殿…。 今のまま ずっと 秀吉殿の天下が続くよう…。 206 00:21:06,165 --> 00:21:17,510 ねね殿…。 ねね殿と初めてお会いして 20年。 207 00:21:17,510 --> 00:21:20,412 わしはのう➡ 208 00:21:20,412 --> 00:21:26,852 ねね殿のために 働いてきたようなもんじゃ。 209 00:21:26,852 --> 00:21:29,855 悔いはござらぬ。 210 00:21:31,524 --> 00:21:35,528 悔いはのう…。 ハッハッハ…。 211 00:21:37,196 --> 00:21:40,866 <天正14年5月22日。➡ 212 00:21:40,866 --> 00:21:47,206 秀吉の右腕となって 戦国の世と 戦い続けてきた 蜂須賀小六正勝は➡ 213 00:21:47,206 --> 00:21:52,077 静かに その60年の生涯を閉じた。➡ 214 00:21:52,077 --> 00:21:57,550 が 秀吉には 小六の死を悼んでいる暇はなかった。➡ 215 00:21:57,550 --> 00:22:02,388 九州討伐を前に 一向に 家康上洛の気配がないのである。➡ 216 00:22:02,388 --> 00:22:04,356 秀吉は いらだっていた> 217 00:22:04,356 --> 00:22:10,129 兄者。 上洛の理由がないと言うてきた。 218 00:22:10,129 --> 00:22:12,832 それでは 家康殿は やはり…。 219 00:22:12,832 --> 00:22:21,841 来ぬわ! 家康め… どこまで わしをこけにするのじゃ! 220 00:22:21,841 --> 00:22:25,177 (秀長)兄者。 家康のことは もう…。➡ 221 00:22:25,177 --> 00:22:29,048 家康などおらずとも 九州くらい討つなど困りはせぬわ。 222 00:22:29,048 --> 00:22:34,186 そうはいかぬわ! 家康をこのままにしておいて➡ 223 00:22:34,186 --> 00:22:37,857 九州へ出兵中に攻められたら 何とする! 224 00:22:37,857 --> 00:22:43,195 家康はのう それを待っておるような男じゃ。 225 00:22:43,195 --> 00:22:47,867 おぬしは 家康の怖さを知らぬから そのようなことが言えるのよ。 226 00:22:47,867 --> 00:22:49,802 しかし 上洛せぬと言うものを…。 227 00:22:49,802 --> 00:22:52,738 どうでもさせるわ! 228 00:22:52,738 --> 00:22:56,208 させねば あさひに あのような むごい思いをさせて➡ 229 00:22:56,208 --> 00:22:59,111 家康にくれてやったことが 無駄になろうが! 230 00:22:59,111 --> 00:23:03,015 無駄になれば わしも あさひも おっ母様とて 浮かばれぬわ! 231 00:23:03,015 --> 00:23:07,152 ならば 今すぐ 兵を出して 家康を討つよりほかに…。 232 00:23:07,152 --> 00:23:12,458 戦をするつもりであれば あさひを家康にやったりなどはせぬわ! 233 00:23:27,473 --> 00:23:32,845 長政殿。 はっ。 234 00:23:32,845 --> 00:23:36,849 また おぬしを煩わせることになるが…。 235 00:23:40,185 --> 00:23:43,856 家康に会うてきてくれ。 236 00:23:43,856 --> 00:23:46,191 はい。 237 00:23:46,191 --> 00:23:50,062 この上 家康に 何を…? 238 00:23:50,062 --> 00:23:53,065 再度 上洛を促すだけのことじゃ。 239 00:23:53,065 --> 00:23:56,201 兄者 これ以上は…! 240 00:23:56,201 --> 00:24:05,477 辛抱じゃ。 こうなれば 根比べよのう。 241 00:24:05,477 --> 00:24:08,781 ハッハッハッハ…。 242 00:24:19,825 --> 00:24:26,699 あさひが三河へ行って 早 みつきじゃ。 243 00:24:26,699 --> 00:24:30,469 家康殿は 大坂に見えぬのかのう。 244 00:24:30,469 --> 00:24:37,843 さあ 私には…。 家康殿とて ご事情が。 245 00:24:37,843 --> 00:24:45,718 こりゃ 藤吉郎の負けじゃ。 家康殿も なかなか したたかな男よのう。 246 00:24:45,718 --> 00:24:51,390 これでは 藤吉郎は 戦でもせねば けりはつかぬわ。 247 00:24:51,390 --> 00:24:55,194 そうなると あさひの命がのうなる…。 248 00:24:55,194 --> 00:25:01,800 いえ それだけは…。 秀吉殿とて あさひ殿のお命に関わるようなことは…。 249 00:25:01,800 --> 00:25:09,475 あ~あ 藤吉郎も やっぱり 年かのう。 だんだん 目端が利かぬようになって…。 250 00:25:09,475 --> 00:25:15,481 このようなことなら あさひを嫁になぞやるんではなかった。 251 00:25:18,817 --> 00:25:22,154 関白殿下! ああ おっ母様じゃ。 252 00:25:22,154 --> 00:25:26,024 いちいち断ることもなかろうが。 ああ おかかも ここにおじゃったか。 253 00:25:26,024 --> 00:25:30,028 おっ母様。 おっ母様にのう➡ 254 00:25:30,028 --> 00:25:34,166 引き合わせねばならぬ お人がおってのう 来てもろうた。 255 00:25:34,166 --> 00:25:38,170 おかかもじゃ。 さあさあ おじゃれ。 256 00:25:41,507 --> 00:25:48,213 こほを あさひにつけてやったゆえ 奥を束ねる者がおらぬではと思うてのう。 257 00:25:49,848 --> 00:25:55,187 近江の蒲生貞秀殿のご家臣 川副勝重殿の娘御でのう➡ 258 00:25:55,187 --> 00:25:58,524 出家なされて 孝蔵主といわれる。 259 00:25:58,524 --> 00:26:04,129 こほに代わって 奥の束ねをしてもらう 奥女中筆頭じゃ。 ハッハッハ。 260 00:26:04,129 --> 00:26:06,799 なかなか頼りになるお人ゆえ➡ 261 00:26:06,799 --> 00:26:11,136 おっ母様にも おかかにも ええ相談相手になってくれよう。 262 00:26:11,136 --> 00:26:16,809 孝蔵主殿。 大政所に 北政所じゃ。 263 00:26:16,809 --> 00:26:19,144 (孝蔵主)孝蔵主と申します。 264 00:26:19,144 --> 00:26:23,816 今日より 大政所様 北政所様に お仕えさせていただきます。 265 00:26:23,816 --> 00:26:27,686 どうぞよろしゅうお願い申し上げます。 266 00:26:27,686 --> 00:26:32,157 わしゃ 田舎者じゃで 堅苦しいことは苦手じゃ。 267 00:26:32,157 --> 00:26:34,092 そのつもりでのう。 はい。 268 00:26:34,092 --> 00:26:38,030 気苦労も多いと思いますが よろしゅう頼みます。 269 00:26:38,030 --> 00:26:40,499 はい。 アッハッハ おかか…。 ハッハ。 270 00:26:40,499 --> 00:26:45,838 孝蔵主殿は 何もかも 心得ておられるわ。 案ずることはないわ。 アッハッハッハ。 271 00:26:45,838 --> 00:26:54,847 おっ母様。 近いうちにのう あさひの顔を見られるやもしれませぬぞ。 272 00:26:54,847 --> 00:26:59,184 おっ母様がのう 岡崎に行って あさひと会えるよう➡ 273 00:26:59,184 --> 00:27:01,453 長政を 三河へ遣わしました。 274 00:27:01,453 --> 00:27:04,790 おっ母様とて あさひの様子を気遣っておられた。 275 00:27:04,790 --> 00:27:09,661 必ずや お会わせ申しましょうのう。 楽しみに待っていてくだされや。 276 00:27:09,661 --> 00:27:11,964 アッハッハッハッハ。 277 00:27:18,137 --> 00:27:22,474 何!? 大政所を あさひのもとへ よこすというのか? 278 00:27:22,474 --> 00:27:24,810 (正信)殿の上洛と引き換えに➡ 279 00:27:24,810 --> 00:27:28,680 「二人とてなき母を 浜松まで 相越し申すべく候。➡ 280 00:27:28,680 --> 00:27:32,484 馬乗り一人添えず進ずべく候」。➡ 281 00:27:32,484 --> 00:27:35,187 さよう言うてきておりまする。 282 00:27:37,823 --> 00:27:43,495 武士一人もつけず 大政所を この浜松へ…。 283 00:27:43,495 --> 00:27:49,168 (忠次)とうとう 母親を人質に 殿を京に呼びつける気か。 284 00:27:49,168 --> 00:27:53,038 関白も よほどの覚悟と見えまするな。 285 00:27:53,038 --> 00:27:57,342 これを断れば 今度こそ 戦になりましょう。 286 00:27:59,178 --> 00:28:03,782 (忠勝)殿! これは 秀吉の奸計にござりまするぞ! 287 00:28:03,782 --> 00:28:08,453 いよいよ窮した秀吉が 大政所を餌に 殿を京へおびき寄せ➡ 288 00:28:08,453 --> 00:28:11,356 殿を討たんとする所存やも! 289 00:28:11,356 --> 00:28:15,794 わしに もしものことがあれば 大政所の命はない。 290 00:28:15,794 --> 00:28:19,464 秀吉とて よもや 生みの母を手にかけるようなことは…。 291 00:28:19,464 --> 00:28:21,800 偽者を送ってくるやもしれませぬ。 292 00:28:21,800 --> 00:28:26,672 刀に物を言わすというなら 我らとて むざむざ退きはしませぬ。 293 00:28:26,672 --> 00:28:31,143 秀吉を疎み 徳川に味方をする諸大名も 数多くおりまする。 294 00:28:31,143 --> 00:28:35,013 それらを糾合いたし…。 ならぬ。 295 00:28:35,013 --> 00:28:39,818 戦にしては 今の領国 保つこととて おぼつかぬわ。 296 00:28:39,818 --> 00:28:43,155 秀吉を甘う見たら 手痛い目に遭おうぞ。 297 00:28:43,155 --> 00:28:45,457 殿! 殿! 298 00:28:49,828 --> 00:28:53,498 今は 徳川を守る時じゃ。 299 00:28:53,498 --> 00:28:58,370 たとえ 秀吉の家臣となり 一大名に成り果つるとも➡ 300 00:28:58,370 --> 00:29:04,776 徳川の存続さえ全うすれば 必ずや また 時節も来ようというものじゃ。➡ 301 00:29:04,776 --> 00:29:11,450 秀吉につくも いっとき。 のう。 その間に 徳川の力を養えばええことじゃ。 302 00:29:11,450 --> 00:29:13,385 ならば…! 303 00:29:13,385 --> 00:29:19,791 待つのよ。 焦ってはならぬ。 304 00:29:19,791 --> 00:29:26,665 正信 もう この辺が潮時じゃろう。 殿…。 305 00:29:26,665 --> 00:29:30,802 (家康)関白殿下には 根負けしたわ。 306 00:29:30,802 --> 00:29:32,738 されど 殿…。 307 00:29:32,738 --> 00:29:37,142 わしが決めたことじゃ。 もう 誰にも何も言わさん。 308 00:29:37,142 --> 00:29:39,077 はっ…。 309 00:29:39,077 --> 00:29:45,017 正信…。 上洛の手はず 遺漏なきよう 長政殿と。 310 00:29:45,017 --> 00:29:49,021 しかと頼んだぞ。 心得ましてございます。 311 00:29:52,691 --> 00:29:58,430 まさか 偽者を送ってくるとは思わぬがのう…。 312 00:29:58,430 --> 00:30:02,734 ハッハ。 フッフッフ…。 313 00:30:05,504 --> 00:30:08,840 とうとう来ると言いよったか! 314 00:30:08,840 --> 00:30:14,713 (長政)さすがの家康殿も 大政所様を人質に差し出されては…。 315 00:30:14,713 --> 00:30:17,849 それは 口が裂けても言うてはなるまいぞ。 316 00:30:17,849 --> 00:30:24,723 秀長にも ねねにも おっ母様にも あくまで あさひの見舞いということじゃ。 317 00:30:24,723 --> 00:30:27,192 はい。 318 00:30:27,192 --> 00:30:31,196 して 手はずは? はっ。 319 00:30:35,867 --> 00:30:41,206 来る10月14日 大政所様は 大坂城を➡ 320 00:30:41,206 --> 00:30:45,877 家康殿もまた 同じ日の同じ刻に 浜松をおたちなされます。うん。 321 00:30:45,877 --> 00:30:52,751 (長政)10月18日 大政所様 家康殿 共に 岡崎城に入られ➡ 322 00:30:52,751 --> 00:30:59,424 大政所様は 岡崎城にて あさひ殿に対面なされます。 323 00:30:59,424 --> 00:31:02,828 あさひが 岡崎に来るのか。 324 00:31:02,828 --> 00:31:08,700 徳川は 人質が まことの大政所か否かを 疑うております。 325 00:31:08,700 --> 00:31:11,169 ばかな…! 326 00:31:11,169 --> 00:31:14,072 徳川にしてみれば もっとものこと…。 327 00:31:14,072 --> 00:31:19,845 実の母を人質に出すとは 信じられぬのでございましょう。➡ 328 00:31:19,845 --> 00:31:25,183 岡崎で 大政所様とあさひ殿の対面を その目で確かめ➡ 329 00:31:25,183 --> 00:31:32,057 まことの母と娘と見極めた上で 大政所様とあさひ殿を人質に➡ 330 00:31:32,057 --> 00:31:39,531 家康殿は 岡崎を発し 上洛されるものと思われます。 331 00:31:39,531 --> 00:31:43,401 家康らしい周到さよのう。 332 00:31:43,401 --> 00:31:47,406 もし 家康殿に 万一のことがあらば➡ 333 00:31:47,406 --> 00:31:51,877 大政所様 あさひ殿のお命はなきものと…。 分かっておるわ。 334 00:31:51,877 --> 00:31:56,548 殿と家康殿の和睦を 快う思うておらぬ大名とておりましょう。 335 00:31:56,548 --> 00:32:01,820 くれぐれも…! くれぐれも 家康殿のお命だけは…。 336 00:32:01,820 --> 00:32:05,690 家康には 誰にも 指一本触れさせぬわ。 337 00:32:05,690 --> 00:32:11,830 そうか…。 ハッハッハッハ…。 とうとう来るか。 338 00:32:11,830 --> 00:32:15,167 これで わしに 怖いものは もう のうなった。 339 00:32:15,167 --> 00:32:21,473 ハッハッハ…。 長政 度々の使者 大儀であった! 340 00:32:28,713 --> 00:32:32,717 ああ ハッハッハッハ。 於義伊殿は 手習いか。 341 00:32:32,717 --> 00:32:38,190 怖い母様に 尻をたたかれておるのう。 まあ お前様!ハッハッハ。 342 00:32:38,190 --> 00:32:43,061 於義伊殿はのう 関白家の 柱になってもらわねばならぬ お子じゃ。 343 00:32:43,061 --> 00:32:47,532 文武両道に秀でた 立派なお子になってくだされよ。 344 00:32:47,532 --> 00:32:49,868 のう? アッハッハッハ。 345 00:32:49,868 --> 00:32:54,739 近いうちにのう お父上が見えられまするぞ。 346 00:32:54,739 --> 00:32:59,544 まあ 家康殿が? うん。 347 00:32:59,544 --> 00:33:02,447 上洛なさることになった。 348 00:33:02,447 --> 00:33:05,817 於義伊殿の成長ぶりも 見ていただかねばのう。 349 00:33:05,817 --> 00:33:07,752 お父上も 楽しみにしておられましょう。 350 00:33:07,752 --> 00:33:11,690 まあ… お前様。 351 00:33:11,690 --> 00:33:15,494 おっ母様ものう あさひに会えることになった。 352 00:33:15,494 --> 00:33:20,165 岡崎に行かれる。 土産のものなど ととのえてやってくれ。 353 00:33:20,165 --> 00:33:26,838 それは… おめでとうございました。 うん。 354 00:33:26,838 --> 00:33:32,711 ああ… お義母様も さぞ お喜びでございましょう。 355 00:33:32,711 --> 00:33:37,015 於義伊殿も よろしゅうございましたな。 356 00:33:40,385 --> 00:33:43,855 (秀長)兄者。うん? 話がある。 357 00:33:43,855 --> 00:33:46,558 おお 何用じゃ? 358 00:33:48,526 --> 00:33:51,830 ハッハハ。 ではのう…。 359 00:34:02,073 --> 00:34:05,010 おっ母様から聞いた。 うん。 360 00:34:05,010 --> 00:34:07,812 おっ母様を岡崎にやられるというのは まことか!? 361 00:34:07,812 --> 00:34:12,484 ああ おぬしにも それを話してやろうと 思うていたところじゃ。 362 00:34:12,484 --> 00:34:17,155 兄者…。 兄者 それでも人間か!? 363 00:34:17,155 --> 00:34:20,058 秀長 何を怒っておるのよ。 364 00:34:20,058 --> 00:34:23,495 おっ母様は だませても わしは だませぬわ! 365 00:34:23,495 --> 00:34:28,366 兄者は おっ母様を人質にし おっ母様の命と引き換えに➡ 366 00:34:28,366 --> 00:34:30,368 家康の上洛を…! 367 00:34:30,368 --> 00:34:32,504 おっ母様は あさひに会えると喜んでおられる。 368 00:34:32,504 --> 00:34:34,439 それでええではないか。 いや わしは許さぬ! 369 00:34:34,439 --> 00:34:37,842 あさひのこととて 許せなんだ! 370 00:34:37,842 --> 00:34:41,713 じゃが あさひは 自分から行くと言うた。 それゆえ 諦めた! 371 00:34:41,713 --> 00:34:44,716 じゃが 今度は そうはいかぬ! 372 00:34:44,716 --> 00:34:47,185 母親を人質に出すなど➡ 373 00:34:47,185 --> 00:34:51,856 武士の面目にかけても できることではないわ! 374 00:34:51,856 --> 00:34:54,759 あさひを見舞うだけじゃ! どこが悪い! 375 00:34:54,759 --> 00:34:59,731 ならば! ならば 戦の方がましじゃ! 376 00:34:59,731 --> 00:35:03,468 力で 徳川を倒す。 377 00:35:03,468 --> 00:35:10,809 兄者が何と言おうと おっ母様をやるわけにいかぬ! 378 00:35:10,809 --> 00:35:15,146 戦をして 何になる。 379 00:35:15,146 --> 00:35:18,483 家康は 既に 上洛に応じてきておる。 380 00:35:18,483 --> 00:35:22,821 武士の面目の何のと言うて 血を流すだけが能ではなかろうが。 381 00:35:22,821 --> 00:35:27,492 もし… もし おっ母様に 万が一のことがあったら 何とする!? 382 00:35:27,492 --> 00:35:31,162 無事に戻られるよう 万全の手は打つ! それが わしのつとめじゃ。 383 00:35:31,162 --> 00:35:35,500 たとえ 無事に戻ってきても おっ母様を人質にすることには➡ 384 00:35:35,500 --> 00:35:37,836 変わりはないわ! 人質ではないわ! 385 00:35:37,836 --> 00:35:40,171 あさひの見舞いに行かれるだけじゃ。 386 00:35:40,171 --> 00:35:42,841 ならば どうでも…!? ああ! 387 00:35:42,841 --> 00:35:46,711 何百 何千の兵を犠牲にすることを 思えば…。 388 00:35:46,711 --> 00:35:51,716 おっ母様とて 許してくだされよう。 兄者! 389 00:35:56,388 --> 00:36:00,325 秀長…。 390 00:36:00,325 --> 00:36:08,800 誰かが一つにまとめねば いつまでたっても 乱世は終わらぬぞ。 391 00:36:08,800 --> 00:36:13,104 そのためには 私情を捨てねばならぬ時もあるわ。 392 00:36:19,811 --> 00:36:22,714 兄者を見損のうたわ! 393 00:36:22,714 --> 00:36:42,834 ♬~ 394 00:36:42,834 --> 00:36:45,136 おっ母様…。 395 00:36:46,704 --> 00:36:50,709 岡崎に行かれることはなりませぬ! 何を言うのじゃ。 396 00:36:50,709 --> 00:36:55,180 やめていただきます! おみゃあさに 止めだてされることはにゃあわ。 397 00:36:55,180 --> 00:36:57,115 おっ母様…。 398 00:36:57,115 --> 00:37:00,452 岡崎は 家康殿の領地じゃ。 399 00:37:00,452 --> 00:37:04,789 そこへ 一人で行くのじゃ。 何があっても おかしゅうはない。 400 00:37:04,789 --> 00:37:08,126 それぐらいは 覚悟の上よ。 401 00:37:08,126 --> 00:37:12,997 それを承知して…。 それでも行かれるおつもりなのか!? 402 00:37:12,997 --> 00:37:17,802 あさひも待っておろう。 ねねさも喜んでくれてのう➡ 403 00:37:17,802 --> 00:37:22,474 土産じゃ何じゃと 大騒ぎよ。 404 00:37:22,474 --> 00:37:25,143 なりませぬ! わしは反対じゃ! 405 00:37:25,143 --> 00:37:28,480 小一郎 騒ぐな。 406 00:37:28,480 --> 00:37:34,352 わしは 藤吉郎に 何一つしてやれなんだ…。 407 00:37:34,352 --> 00:37:38,823 2度目の父親とも折り合いが悪うてのう➡ 408 00:37:38,823 --> 00:37:44,696 不憫じゃったが 7つの時に 寺の坊主に出した。 409 00:37:44,696 --> 00:37:49,167 そこで また疎まれて 追い出されてしもうて…。 410 00:37:49,167 --> 00:37:56,040 それから あの子は 今日が日まで 一人で立派に生き抜いてきた。 411 00:37:56,040 --> 00:37:59,511 わしは 母親として 何一つしてやれなんだ。 412 00:37:59,511 --> 00:38:03,782 じゃが 藤吉郎は わしを大事にしてくれる。➡ 413 00:38:03,782 --> 00:38:10,655 もし 母親として 藤吉郎のために 何かしてやれることができるなら➡ 414 00:38:10,655 --> 00:38:14,425 これほどうれしいことはない。 415 00:38:14,425 --> 00:38:21,800 のう 母親として役に立つのなら 結構なことじゃ。 416 00:38:21,800 --> 00:38:25,670 わしは あの子のために 地獄へも行こう。 417 00:38:25,670 --> 00:38:27,972 おっ母様…。 418 00:38:30,141 --> 00:38:35,013 あ… これは ねねさには言うてはならぬぞ。 419 00:38:35,013 --> 00:38:41,753 ねねさが 藤吉郎を見限ったら 関白家は成り立たぬわ。 420 00:38:41,753 --> 00:38:50,461 のう うれしい旅立ちじゃ。 笑って送ってくだされや。 421 00:38:50,461 --> 00:38:55,166 小一郎! のう。 422 00:39:05,443 --> 00:39:09,113 お義母様も よほどうれしいと見えますなあ。 423 00:39:09,113 --> 00:39:17,789 まるで 子供のように はしゃがれて…。 私も ほっといたしました。 424 00:39:17,789 --> 00:39:21,459 さあ。 おお…。 425 00:39:21,459 --> 00:39:24,128 私も忙しゅうなります。 426 00:39:24,128 --> 00:39:30,468 やっと上洛なされる家康殿を せいぜい おもてなししなければ…。 427 00:39:30,468 --> 00:39:34,339 お前様と家康殿の間がうまくいけば➡ 428 00:39:34,339 --> 00:39:38,810 あさひ殿も 大坂に戻られることもございましょう。 429 00:39:38,810 --> 00:39:43,147 お義母様には 何よりの孝養でございます。 430 00:39:43,147 --> 00:39:59,497 ♬~ 431 00:39:59,497 --> 00:40:03,167 <天正14年10月14日。➡ 432 00:40:03,167 --> 00:40:08,039 いよいよ なかが 岡崎へたつ日が来た> 433 00:40:08,039 --> 00:40:15,747 お義母様。 ここに 水にあたった時の 薬が入ってございます。 気つけ薬も。 434 00:40:15,747 --> 00:40:19,517 いろいろと 心を遣わせたのう。 435 00:40:19,517 --> 00:40:24,188 十分なこともできませんで…。 436 00:40:24,188 --> 00:40:29,060 どうか 道中 お気を付けて。 437 00:40:29,060 --> 00:40:31,062 のう ねねさ。 438 00:40:31,062 --> 00:40:35,533 わしは ねねさのような よい嫁に仕えてもろうて➡ 439 00:40:35,533 --> 00:40:40,405 果報者じゃと思うておる。 旅先で何が起ころうと➡ 440 00:40:40,405 --> 00:40:45,209 もう思い残すことはにゃあで…。 まあ お義母様…。 441 00:40:45,209 --> 00:40:49,547 ともよ。(とも)うん? 弥助さを大事にせえよ。 442 00:40:49,547 --> 00:40:54,218 子供 子供と血道を上げておっても 最後は夫婦じゃ。 443 00:40:54,218 --> 00:40:59,557 夫婦仲ようせねば 年を取ってから 寂しい思いをするでなも。 444 00:40:59,557 --> 00:41:04,162 アッハハハ…。 おっ母さ 今頃 何を言うておるのじゃ。 445 00:41:04,162 --> 00:41:07,865 あさひに よろしゅう言うてくだされや。 おう…。 446 00:41:11,035 --> 00:41:14,038 ⚟(ふみ)出立のお時刻にございます。 447 00:41:16,741 --> 00:41:18,710 ふみ殿…? 448 00:41:18,710 --> 00:41:23,181 (ふみ)女子の姿でと 関白殿の仰せにございます。 449 00:41:23,181 --> 00:41:27,852 どのような格好をしておっても ふみ殿は ふみ殿じゃ。 450 00:41:27,852 --> 00:41:31,723 ふみ殿がついておってくれたら わしは 心丈夫じゃ。 451 00:41:31,723 --> 00:41:35,026 さて 行ってくるぞなも。 452 00:41:47,872 --> 00:41:51,876 おっ母様…。 案ずるな。 453 00:42:04,155 --> 00:42:06,491 お供は これだけでございますか? 454 00:42:06,491 --> 00:42:08,426 ばばの気楽な旅じゃ。 455 00:42:08,426 --> 00:42:12,363 大仰にされては 迷惑じゃからの。 でも…。 456 00:42:12,363 --> 00:42:16,501 徳川との約束じゃ。 馬乗り一人つけず進ぜよと…。 457 00:42:16,501 --> 00:42:19,404 小一郎! 458 00:42:19,404 --> 00:42:22,407 見送り 大儀じゃったのう。 459 00:42:26,177 --> 00:42:30,048 お義母様! おいでになってはなりませぬ! 460 00:42:30,048 --> 00:42:33,518 秀長殿 お止めして! おかか! 461 00:42:33,518 --> 00:42:39,390 お前様…。 お義母様を 岡崎の人質に…。 462 00:42:39,390 --> 00:42:41,859 そうではありませぬか!? 463 00:42:41,859 --> 00:42:49,867 義姉様 何を言うても遅いわ。 おっ母様は 承知で行かれたのじゃ。 464 00:42:51,536 --> 00:42:54,839 お前様! 465 00:42:56,407 --> 00:42:58,709 お義母様! 466 00:43:06,818 --> 00:43:09,120 お義母様! 467 00:43:10,688 --> 00:43:12,690 お義母様! 468 00:43:12,690 --> 00:43:19,163 <まさか 秀吉が 母親まで人質にするとは 思いも及ばなかったのである。➡ 469 00:43:19,163 --> 00:43:23,835 それだけに ねねの衝撃は大きかった。➡ 470 00:43:23,835 --> 00:43:28,172 静かに去っていく なかの輿を 止めるすべもなく➡ 471 00:43:28,172 --> 00:43:32,043 ねねは ただ ぼう然と見送っていた> 472 00:43:32,043 --> 00:43:44,055 ♬~