1 00:00:02,102 --> 00:02:35,088 ♬~ 2 00:02:44,197 --> 00:02:48,068 <茶々が 秀吉の子をみごもったと聞かされて➡ 3 00:02:48,068 --> 00:02:51,071 なかは 秀吉の子だとは信じず➡ 4 00:02:51,071 --> 00:02:57,544 病後の体をおして ねねを従えて 急きょ 聚楽第へ駆けつけた> 5 00:02:57,544 --> 00:03:02,149 (なか)まだか! 何をしとるのじゃ 藤吉郎は!? 6 00:03:02,149 --> 00:03:04,151 はっ。 7 00:03:05,819 --> 00:03:07,754 (秀吉)あっ 待て。 8 00:03:07,754 --> 00:03:11,158 <2人の突然の来訪に 秀吉は狼狽した。➡ 9 00:03:11,158 --> 00:03:15,862 茶々の懐妊を まだ話せずにいたからである> 10 00:03:19,032 --> 00:03:23,170 アッハッハッハッハッハ。 11 00:03:23,170 --> 00:03:27,507 おっ母様も ねねも 仲ようそろうて。 12 00:03:27,507 --> 00:03:31,378 じゃが 来るなら来るで そう言うてくれれば 迎えもやり➡ 13 00:03:31,378 --> 00:03:34,181 もてなしの用意も 申しつけておいたものを。 14 00:03:34,181 --> 00:03:38,051 おう? ハッハッハ。 じゃが よう来てくれた。 15 00:03:38,051 --> 00:03:42,055 おっ母様。 おっ母様のことも いろいろ気にしながら➡ 16 00:03:42,055 --> 00:03:44,524 なかなか忙しゅうてのう。 17 00:03:44,524 --> 00:03:50,197 おかか。 おっ母様の面倒 よう見てくれて ありがたいと思うておるぞ。 18 00:03:50,197 --> 00:03:53,533 おお ちょうどええ! 梅がのう 見頃じゃ。 19 00:03:53,533 --> 00:03:57,404 おかかも おっ母様と共に 梅見の遊山でもして…。 のう? 20 00:03:57,404 --> 00:04:00,340 わしは 梅見などに来たんじゃにゃあ! 21 00:04:00,340 --> 00:04:07,647 (ねね)この度 お茶々殿 ご懐妊の由…。 22 00:04:11,485 --> 00:04:15,489 祝着至極に存じます。 23 00:04:17,357 --> 00:04:20,160 アッハッハ。 何じゃ。 アッハッハ…。 24 00:04:20,160 --> 00:04:23,830 茶々の祝いに来てくれたのか。 アッハッハッハ。 25 00:04:23,830 --> 00:04:32,506 おかか 喜んでくれ。 諦めていた子が授かった。 26 00:04:32,506 --> 00:04:35,842 これで おかかと共に 苦労して築き上げた豊臣家に➡ 27 00:04:35,842 --> 00:04:38,512 無事 世継ぎができたわ。 ハッハッハッハ! 28 00:04:38,512 --> 00:04:45,385 おっ母様。 おっ母様ものう かわいい孫の顔が見てもらえまするぞ。 29 00:04:45,385 --> 00:04:47,521 アッハッハッハッハ。 30 00:04:47,521 --> 00:04:50,190 長生きしてもろうたかいが ござりましたのう。 31 00:04:50,190 --> 00:04:52,859 楽しみに待っていてくだされや。 のう。 32 00:04:52,859 --> 00:04:56,730 たわけ! この大たわけ! お義母様…。 33 00:04:56,730 --> 00:04:59,199 お義母様…。 ええ ええ。 34 00:04:59,199 --> 00:05:02,102 おっ母様に怒られるのは 慣れておるわ。 35 00:05:02,102 --> 00:05:04,805 棒で殴られるよりは ましじゃ。 36 00:05:04,805 --> 00:05:09,476 おみゃあさ わしが何で怒ってるのか それも分からんのか! 37 00:05:09,476 --> 00:05:12,813 よう分かっておりまする。 38 00:05:12,813 --> 00:05:17,484 おかかを泣かせるようなことを してしまいました。 39 00:05:17,484 --> 00:05:23,356 餅の一つや二つ 飛んできても 当たり前でござりまするわ。 40 00:05:23,356 --> 00:05:27,494 おかかには すまぬと思うておりまする。 41 00:05:27,494 --> 00:05:31,164 ようも そないなことを…。 42 00:05:31,164 --> 00:05:36,837 じゃが おかかは めでたいと言うてくれましたぞ。 43 00:05:36,837 --> 00:05:41,174 おかかは 豊臣家の将来のためを思うて…。 44 00:05:41,174 --> 00:05:43,844 なにが 豊臣家のためじゃ! 45 00:05:43,844 --> 00:05:46,513 おみゃあさの子でもない者が 世継ぎになって➡ 46 00:05:46,513 --> 00:05:48,849 なにが めでたいのじゃ! 47 00:05:48,849 --> 00:05:51,751 おっ母様 それは どういうことでござりまする。 48 00:05:51,751 --> 00:05:54,721 たとえ おっ母様とて…。 よう考えてみい。 49 00:05:54,721 --> 00:05:57,524 今まで 何人も 若い側室がおりながら➡ 50 00:05:57,524 --> 00:06:00,794 誰一人として みごもった者は おらんではないか! 51 00:06:00,794 --> 00:06:03,129 それが 今頃になって 茶々に…。 52 00:06:03,129 --> 00:06:06,032 おかしいと思わぬ方が どうかしておるわ。➡ 53 00:06:06,032 --> 00:06:08,802 すぐ お茶々に いとまを出せ! 54 00:06:08,802 --> 00:06:13,673 おっ母様。おみゃあさが言いにくいんなら このわしが言うてやる! 55 00:06:13,673 --> 00:06:16,476 よし! (障子が開く音) 56 00:06:16,476 --> 00:06:18,478 茶々! 57 00:06:30,023 --> 00:06:37,497 (茶々)お越しと伺いまして ご挨拶に参上いたしましてございまする。 58 00:06:37,497 --> 00:06:42,168 北政所様にも お変わりものう…。 59 00:06:42,168 --> 00:06:46,840 茶々殿。 誰の子か分からぬ子をみごもった 女子など➡ 60 00:06:46,840 --> 00:06:50,176 関白殿のそばに置いとくわけにはいかぬ。 おっ母様…。 61 00:06:50,176 --> 00:06:53,513 おみゃあさは 黙っとれ! 62 00:06:53,513 --> 00:06:58,852 (茶々)私は 関白様のお子を みごもっております。➡ 63 00:06:58,852 --> 00:07:01,755 暇を頂く理由などござりませぬ。 64 00:07:01,755 --> 00:07:10,463 それとも 関白様も 私をお疑いにござりまするか? 65 00:07:10,463 --> 00:07:14,801 いや…。 確かに わしの子じゃ。 66 00:07:14,801 --> 00:07:17,504 わしが 一番 よう知っておる。 67 00:07:23,476 --> 00:07:30,817 北政所様に代わって 必ず ええ子を産みます。 68 00:07:30,817 --> 00:07:34,688 どうぞ ご安堵なされてくださいませ。 69 00:07:34,688 --> 00:07:41,828 のう おかかに代わって産むと 言うてくれておるのじゃ。 70 00:07:41,828 --> 00:07:48,134 産まれてくる子は おかかの子も同然ぞ。 71 00:07:52,839 --> 00:07:55,141 はあ! 72 00:08:00,647 --> 00:08:07,654 おっ母様も いずれは 分かってくだされよう。 73 00:08:11,124 --> 00:08:13,793 (秀長) だから 無駄じゃと言うたではないか。➡ 74 00:08:13,793 --> 00:08:18,131 兄者が信じておられる以上 わしらには どうすることもできんのよ。 75 00:08:18,131 --> 00:08:24,804 あの女子はのう 藤吉郎や わしらより 一枚も二枚も上手の女子じゃ。 76 00:08:24,804 --> 00:08:30,110 藤吉郎など 思うがままに振り回されるわ。 77 00:08:32,479 --> 00:08:39,152 (秀長)豊臣家は 兄者が作られたものじゃ。 兄者の好きなようになされたらええ。 78 00:08:39,152 --> 00:08:44,024 あのように喜んでおられる兄者を見たら わしは それでええと➡ 79 00:08:44,024 --> 00:08:47,827 そういう気になった。 80 00:08:47,827 --> 00:08:52,165 ただ 義姉様のことは気の毒で…。 81 00:08:52,165 --> 00:08:59,839 ああ。 正室に子がなくば ほかの女子に子を産ませてもええという➡ 82 00:08:59,839 --> 00:09:02,442 大名の習いじゃそうな…。 83 00:09:02,442 --> 00:09:06,112 ねねさものう 足軽のおかかでおれば➡ 84 00:09:06,112 --> 00:09:09,816 このような憂き目を見ずに 済んだものを…。 85 00:09:11,451 --> 00:09:15,755 すまぬ。 このとおりじゃ。 86 00:09:20,126 --> 00:09:30,136 茶々はのう おかかが 心底娘のように気遣うてきた姫じゃ。 87 00:09:30,136 --> 00:09:35,008 それゆえ おかかの気持ちを思うとのう➡ 88 00:09:35,008 --> 00:09:39,145 どうしても 茶々のことは言いだせなんだ。 89 00:09:39,145 --> 00:09:42,849 許してくれ。 のう。 90 00:09:46,486 --> 00:09:57,497 昔 長浜に 南殿のお子を迎えた時➡ 91 00:09:57,497 --> 00:10:01,367 取り乱しもいたしました。 92 00:10:01,367 --> 00:10:09,109 でも あの時 いつかまた きっと同じことが来ると➡ 93 00:10:09,109 --> 00:10:12,412 覚悟いたしておりました。 94 00:10:14,848 --> 00:10:17,750 (ため息) 95 00:10:17,750 --> 00:10:22,455 その時が来たのでございます。 96 00:10:25,492 --> 00:10:33,867 ええ年をして 娘のような女子にと 笑うておるであろうがの➡ 97 00:10:33,867 --> 00:10:42,542 茶々はのう わしにとって 何よりの慰めよ。 98 00:10:42,542 --> 00:10:46,412 おかかの次に のうてはならぬ女子じゃ。 99 00:10:46,412 --> 00:10:53,553 おかかならば 分かってくれようが。 100 00:10:53,553 --> 00:11:00,159 じゃというてのう おかかを なおざりにするつもりは 毛頭ないわ。 101 00:11:00,159 --> 00:11:03,830 おかかは あくまで わしのおかかじゃ。 102 00:11:03,830 --> 00:11:09,502 関白 豊臣秀吉の正室じゃ。 103 00:11:09,502 --> 00:11:15,375 茶々には 淀城を遣わすがのう➡ 104 00:11:15,375 --> 00:11:18,178 大坂城は おかかの城じゃ。 105 00:11:18,178 --> 00:11:21,514 おかかは 別格よ。 106 00:11:21,514 --> 00:11:23,850 おかか…。 107 00:11:23,850 --> 00:11:26,152 おかか…? 108 00:11:31,524 --> 00:11:34,227 おかか…。 109 00:11:37,197 --> 00:11:39,866 (ため息) 110 00:11:39,866 --> 00:11:47,740 おかかって… 一体 何だったのでございましょうな。 111 00:11:47,740 --> 00:12:00,820 ♬~ 112 00:12:00,820 --> 00:12:08,695 お前様は やっと好きな方に巡り会うて➡ 113 00:12:08,695 --> 00:12:14,167 思いを果たせられたのじゃ。 114 00:12:14,167 --> 00:12:19,472 私へのお気遣いは無用でございます。 115 00:12:23,843 --> 00:12:37,190 私には 29年連れ添った お前様との思い出があります。 116 00:12:37,190 --> 00:12:41,894 どのようなことがあろうと 消えはしません。 117 00:12:44,864 --> 00:12:55,508 お前様と2人で苦労してきたことだけが 私の宝じゃ。 118 00:12:55,508 --> 00:13:03,816 誰にもできぬ 誰も知らぬ…➡ 119 00:13:03,816 --> 00:13:07,520 2人だけの思い出じゃ。 120 00:13:09,155 --> 00:13:11,824 おかか…。 121 00:13:11,824 --> 00:13:20,833 ♬~ 122 00:13:28,841 --> 00:13:34,147 (ふすまが開く音) (侍女)石田三成殿がお見えにございます。 123 00:13:44,390 --> 00:13:46,859 (三成)お呼びにございますか? 124 00:13:46,859 --> 00:13:48,795 殿下は 何をしておられる!? 125 00:13:48,795 --> 00:13:52,198 使いをやっても どこにもおられぬそうじゃ。 126 00:13:52,198 --> 00:13:55,101 今宵は 北政所様のお越しにございます。 127 00:13:55,101 --> 00:13:59,072 それゆえ こちらには お渡りにならぬというのか? 128 00:13:59,072 --> 00:14:01,808 はっ。➡ 129 00:14:01,808 --> 00:14:07,480 北政所様は 殿下と共に 豊臣家を築かれたお方にございます。➡ 130 00:14:07,480 --> 00:14:13,152 殿下とて 政所様を大事になさるは 当然のこと。 131 00:14:13,152 --> 00:14:19,025 さりながら お茶々様は 関白のお世継ぎの母君になられるお方。 132 00:14:19,025 --> 00:14:22,161 いかに 政所様が権勢を振るわれましょうとも➡ 133 00:14:22,161 --> 00:14:24,831 お茶々様には及びませぬ。➡ 134 00:14:24,831 --> 00:14:27,834 心を大きゅうお持ちなされませ。 135 00:14:30,503 --> 00:14:33,206 ご苦労でした。 136 00:14:43,516 --> 00:14:47,854 (やや)お姉様!急な用向きとか…。 なんぞあったのか? 137 00:14:47,854 --> 00:14:50,757 (やや)なんぞあったのかではないわ!➡ 138 00:14:50,757 --> 00:14:54,727 お姉様は よう そないな のんきな顔をしておいでになられるのう。 139 00:14:54,727 --> 00:14:58,865 これでも 関白殿下のお留守の大坂城をあずかる➡ 140 00:14:58,865 --> 00:15:04,170 おかかの役目じゃ。 気の休まる暇がないわ。 141 00:15:06,139 --> 00:15:11,010 (やや)聞いたわ。 我らが 案じていたとおりになったではないか。 142 00:15:11,010 --> 00:15:14,814 しかも 子までできるとは…。 143 00:15:14,814 --> 00:15:19,685 長政殿も 秀長殿が 自ら 淀城の修築に当たられると聞いて➡ 144 00:15:19,685 --> 00:15:21,687 不審には思うていたが➡ 145 00:15:21,687 --> 00:15:27,393 よもや お茶々殿のためとは思わなんだと 嘆かれておられたわ。 146 00:15:27,393 --> 00:15:30,163 関白殿下に お子がおできになるのじゃ。 147 00:15:30,163 --> 00:15:32,098 城の一つぐらい…。 148 00:15:32,098 --> 00:15:35,835 (やや)それが秀吉殿のお子でのうてもか! やや! 149 00:15:35,835 --> 00:15:39,505 (やや)お姉様のお耳にも入っておろう。 世の人たちは 皆➡ 150 00:15:39,505 --> 00:15:42,408 関白殿下のお子であろうはずがないと 言うておる。 151 00:15:42,408 --> 00:15:48,514 誰が何と言おうと 秀吉殿が 我が子じゃと言うておられるのじゃ。 152 00:15:48,514 --> 00:15:52,185 私たちが とやかく言うことは 許されませぬ。 153 00:15:52,185 --> 00:15:57,056 私とて 許しませぬ。 お姉様! 154 00:15:57,056 --> 00:16:02,795 それでは お姉様の今までのご苦労は どうなるのじゃ! 155 00:16:02,795 --> 00:16:06,466 豊臣家は 秀吉殿お一人のものではないわ。 156 00:16:06,466 --> 00:16:11,804 お姉様の陰のお力がなくば 今の秀吉殿など おありにはならぬ! 157 00:16:11,804 --> 00:16:17,476 それを むざむざと あのような女子に 好き勝手にされて…! 158 00:16:17,476 --> 00:16:23,349 私は ただ 秀吉殿についてきただけじゃ。 159 00:16:23,349 --> 00:16:32,024 栄耀栄華など望んだわけでもないのに 秀吉殿は 関白におなりになった。 160 00:16:32,024 --> 00:16:34,827 これも定めよ。 161 00:16:34,827 --> 00:16:39,165 昔が懐かしいなどと言うてはおられぬ。 162 00:16:39,165 --> 00:16:44,036 これからも 秀吉殿についていくだけじゃ。 163 00:16:44,036 --> 00:16:47,506 もう…。 164 00:16:47,506 --> 00:16:52,378 私のことなど 案ぜずともよい。 165 00:16:52,378 --> 00:16:57,850 私は私なりに したたかに生きていく。 166 00:16:57,850 --> 00:16:59,785 ⚟(侍女)申し上げます。➡ 167 00:16:59,785 --> 00:17:04,123 三好吉房様のお方様が 大政所様のところにお見えになり➡ 168 00:17:04,123 --> 00:17:07,994 お方様にお越しくださるようにとのことで ございます。 169 00:17:07,994 --> 00:17:11,797 とも殿か…。 170 00:17:11,797 --> 00:17:15,468 はあ~ また ひともめあるわ…。 171 00:17:15,468 --> 00:17:19,338 全く お姉様こそ ええ迷惑じゃわ。 172 00:17:19,338 --> 00:17:25,645 フッ…。 身内の愚痴を聞くのも おかかのつとめじゃ。 173 00:17:30,016 --> 00:17:33,819 (とも)ねね様が それでは 豊臣家はどうなるのじゃ。 174 00:17:33,819 --> 00:17:38,157 縁もゆかりもない者にほしいままにされて ええと言われるのか? 175 00:17:38,157 --> 00:17:42,028 (なか)とも。 ねねさに そのようなこと言うたとて…。 176 00:17:42,028 --> 00:17:45,498 じゃが ねね様は 藤吉郎のおかかじゃ。 177 00:17:45,498 --> 00:17:49,168 ねね様に しっかりしてもらわねば。 178 00:17:49,168 --> 00:17:51,504 申し訳ございませぬ。 179 00:17:51,504 --> 00:17:55,841 おかかの私にも この度のことは…。 180 00:17:55,841 --> 00:17:59,712 (あさひ)おっ母様が言うたとて 藤吉郎兄さは 耳も貸さぬのよ。 181 00:17:59,712 --> 00:18:02,448 お茶々に迷うてしもうておるんじゃ。 182 00:18:02,448 --> 00:18:05,785 ならば 小吉はどうなるのじゃ。 183 00:18:05,785 --> 00:18:10,656 小吉は 豊臣家の跡継ぎにと言われて 養子にやったのじゃ。 184 00:18:10,656 --> 00:18:14,126 それを 今更 子ができたからとて➡ 185 00:18:14,126 --> 00:18:17,463 その子を世継ぎにするでは 話が通らぬではないか。 186 00:18:17,463 --> 00:18:20,132 (なか)小吉は まだ21。 187 00:18:20,132 --> 00:18:26,005 亡くなられた秀勝殿の遺領 丹波 亀山29万石を継いで➡ 188 00:18:26,005 --> 00:18:30,776 左近衛少将にまで なっておるではにゃあか。 189 00:18:30,776 --> 00:18:34,680 姉様 男か女子かも分からぬのじゃ。 190 00:18:34,680 --> 00:18:38,484 女子じゃったら 世継ぎの何のと心配することもない。 191 00:18:38,484 --> 00:18:40,820 姉様は 取り越し苦労が過ぎるのよ。 192 00:18:40,820 --> 00:18:43,489 何じゃ ひと事のように。 193 00:18:43,489 --> 00:18:48,361 豊臣家は 我ら身内で守っていかねばならんのじゃ。 194 00:18:48,361 --> 00:18:52,498 今頃 側室になったような女子に 大きな顔をされては➡ 195 00:18:52,498 --> 00:18:56,369 それこそ 豊臣家は 取り返しのつかぬことになるわ。 196 00:18:56,369 --> 00:19:03,442 おっ母様も ねね様も あさひも そのことは よう考えてもらわねばのう。 197 00:19:03,442 --> 00:19:11,150 ねね様 小吉のこと よろしゅう頼みましたぞ。 198 00:19:14,787 --> 00:19:19,659 <周りの さまざまな波紋をよそに 淀城の修復は終わり➡ 199 00:19:19,659 --> 00:19:26,666 その年の3月 茶々は 淀城へ移り 淀殿と呼ばれるようになった> 200 00:19:30,803 --> 00:19:37,143 ここでのう ちょっと控えておれ。 201 00:19:37,143 --> 00:19:40,046 殿下! 202 00:19:40,046 --> 00:19:45,017 茶々。 どうじゃ 淀城の住み心地は? ああ。 ハッハッハ…。 203 00:19:45,017 --> 00:19:48,154 いろいろ お心尽くしくだされて…。 うん。 204 00:19:48,154 --> 00:19:54,026 でも 殿下は いつも聚楽第。 殿下がおられいでは 寂しゅうございます。 205 00:19:54,026 --> 00:19:59,165 ハッハッハッハ! 暇があれば 必ず そなたのところへ来ておるではないか。 206 00:19:59,165 --> 00:20:02,835 アッハッハッハ! あっ 今日はのう➡ 207 00:20:02,835 --> 00:20:08,140 ええ土産を持ってきたぞ。 ハッハッハッハ。 うん。 208 00:20:20,853 --> 00:20:26,726 こたび 淀城の奥を 取りしきってもらうことになった➡ 209 00:20:26,726 --> 00:20:30,863 大蔵卿と その子息 大野治長じゃ。 210 00:20:30,863 --> 00:20:38,571 (大蔵卿)お茶々様 お久しゅうございます。 よう ご無事で…。 211 00:20:40,539 --> 00:20:45,211 そなたたちも よう来てくれました。 212 00:20:45,211 --> 00:20:49,548 いつも どうしておるかと 忘れたことはなかった。 213 00:20:49,548 --> 00:20:55,221 私も 小谷落城の折 夫は討ち死に…。 214 00:20:55,221 --> 00:20:59,091 お生まれなされてすぐ 乳母としてお仕えした お茶々様とは➡ 215 00:20:59,091 --> 00:21:01,026 別れ別れの憂き目に遭い➡ 216 00:21:01,026 --> 00:21:08,501 それ以後 近江の知り人のところに 治長ともども 身を寄せておりました。 217 00:21:08,501 --> 00:21:15,374 この度 関白様のお召しを受けて また おそばに…。 218 00:21:15,374 --> 00:21:20,513 城を持ったからにはのう 奥の局も置かねばならぬわ。 219 00:21:20,513 --> 00:21:24,850 茶々のことを よう心得 茶々も信じられるお人であれば➡ 220 00:21:24,850 --> 00:21:27,520 これ以上のことはなかろうが。 221 00:21:27,520 --> 00:21:30,422 かたじけのうございます。 222 00:21:30,422 --> 00:21:37,196 私は 大蔵卿の懐に抱かれ 膝の上で大きゅうなりました。 223 00:21:37,196 --> 00:21:41,066 母とも思えるお人でございます。 224 00:21:41,066 --> 00:21:48,207 治長殿は 私と幼なじみ…。 気心も知れております。 225 00:21:48,207 --> 00:21:51,911 兄様と会うたような思いでございます。 226 00:21:53,879 --> 00:21:59,885 (治長)こたびは めでたくご懐妊の由 祝着至極に存じます。 227 00:22:01,687 --> 00:22:04,490 関白殿下のお情けで➡ 228 00:22:04,490 --> 00:22:09,829 また おそばに お仕えすることが かないましたからには➡ 229 00:22:09,829 --> 00:22:15,701 私 命に代えても お茶々様を守らせていただきます。 230 00:22:15,701 --> 00:22:21,173 関白殿下にも よろしゅうお願いいたします。 231 00:22:21,173 --> 00:22:23,842 うむ。 232 00:22:23,842 --> 00:22:30,182 世継ぎを産むとなればのう 茶々には 何かと風当たりが強うなろう。 233 00:22:30,182 --> 00:22:34,853 そなた 茶々の心の支えじゃ。 234 00:22:34,853 --> 00:22:41,527 治長ともども 茶々のために また 産まれてくる子のために➡ 235 00:22:41,527 --> 00:22:45,231 せいぜい忠勤を励んでくだされ。 のう。 236 00:22:46,866 --> 00:22:50,569 (鐘の音) 237 00:22:52,204 --> 00:22:56,542 (大蔵卿)昔から よいおぐしで おいでじゃった。➡ 238 00:22:56,542 --> 00:23:03,148 こうしておりますと 昔に返ったような気がいたします。➡ 239 00:23:03,148 --> 00:23:08,020 小谷落城から もはや16年…。➡ 240 00:23:08,020 --> 00:23:11,824 あのころは まだ 7つでおいでじゃった。➡ 241 00:23:11,824 --> 00:23:18,831 それが このように見事な姫になられて…。 242 00:23:21,500 --> 00:23:27,506 (茶々)そなた 私を責めぬのか? 243 00:23:32,144 --> 00:23:39,852 私は 父上や母上を殺した秀吉の女子になった。 244 00:23:39,852 --> 00:23:45,524 浅井の恩を受けた者には 許せぬことであろう。 245 00:23:45,524 --> 00:23:47,860 お茶々様…。 246 00:23:47,860 --> 00:23:53,732 関白の権勢に迷うて 父上や母上を裏切った女子じゃ…。 247 00:23:53,732 --> 00:23:58,504 お茶々様の胸中 お察しいたします。 248 00:23:58,504 --> 00:24:06,145 じゃが 私には この道しかなかった…。 249 00:24:06,145 --> 00:24:13,018 お初も 小督も 北政所の言うままになって嫁いでいった。 250 00:24:13,018 --> 00:24:16,789 私だけは あの女子の勝手にはなりとうなかった。 251 00:24:16,789 --> 00:24:25,164 それには あの女子をしのぐ権勢を 手に入れるよりほかにはなかったのじゃ。 252 00:24:25,164 --> 00:24:28,834 それだけではない。 253 00:24:28,834 --> 00:24:37,176 父上や柴田勝家殿が滅びるのを 私は この目で見てきた。 254 00:24:37,176 --> 00:24:42,047 力のないということが どれほど惨めなものか➡ 255 00:24:42,047 --> 00:24:45,517 嫌というほど思い知らされたのじゃ。 256 00:24:45,517 --> 00:24:51,190 母上のようにだけは なりとうなかった。 強うなりたかった…。 257 00:24:51,190 --> 00:24:58,530 今は 関白殿下の権勢は 私のものじゃ。 258 00:24:58,530 --> 00:25:06,138 北政所とて もはや 私には 指一本出せぬ。 出させはせぬ! 259 00:25:06,138 --> 00:25:18,150 じゃが 浅井の娘としては してはならぬことをしてしもうた。 260 00:25:18,150 --> 00:25:22,488 そのように ご自分をお責めなされますな。 261 00:25:22,488 --> 00:25:27,359 お茶々様のお子は 関白殿下のお世継ぎ…。 262 00:25:27,359 --> 00:25:35,834 豊臣家をお継ぎなされましたら 浅井のお家の血を引くお方が➡ 263 00:25:35,834 --> 00:25:40,506 天下人になられるのではございませぬか。 264 00:25:40,506 --> 00:25:45,844 長い目で見れば お父上 お母上➡ 265 00:25:45,844 --> 00:25:54,153 ひいては 伯父上 信長殿のお志も 果たされることになりましょう。 266 00:25:56,188 --> 00:25:58,857 大蔵卿…。 267 00:25:58,857 --> 00:26:02,728 よい子をお産みなされませ。 268 00:26:02,728 --> 00:26:10,035 それでこそ お父上 お母上も 浮かばれなされましょう。 269 00:26:17,342 --> 00:26:20,813 <やがて 産み月の5月が来て➡ 270 00:26:20,813 --> 00:26:26,819 27日 茶々は 淀城で 無事 男子を出産した> 271 00:26:32,424 --> 00:26:38,363 おかか! よう来てくれたのう。 ハッハッハッハ! 272 00:26:38,363 --> 00:26:43,068 取るものも取りあえず お祝いとお見舞いをと思いまして。 273 00:26:43,068 --> 00:26:48,040 ああ。 おかか 喜んでくれ。 男じゃ! 男の子じゃ! アッハッハ! 274 00:26:48,040 --> 00:26:51,743 それは おめでとうございます。 うん うん…。 275 00:26:53,512 --> 00:26:55,848 何をしておいででございます? 276 00:26:55,848 --> 00:26:59,184 今のう 赤子を捨てに行っておるのよ。 捨てに? 277 00:26:59,184 --> 00:27:01,453 いや 一度捨てるとのう よう育つと聞いた。 278 00:27:01,453 --> 00:27:03,388 名ものう 捨と呼ぶことにしたわ。 279 00:27:03,388 --> 00:27:06,792 今 局の者がのう 拾いに行ってくれておるのであろう。 280 00:27:06,792 --> 00:27:10,796 もう戻ってくるじゃろう。 おおっ! 拾うてきたか! 281 00:27:12,664 --> 00:27:15,133 ご苦労じゃった ご苦労じゃった。 282 00:27:15,133 --> 00:27:19,471 お気を付けなされて…。 ああ…。 283 00:27:19,471 --> 00:27:23,342 おかか! 見てみい。 284 00:27:23,342 --> 00:27:27,146 わしによう似て 愛らしいじゃろうが。 うん? 285 00:27:27,146 --> 00:27:31,149 アッハッハッハ! これ これ! 捨! 286 00:27:35,821 --> 00:27:41,159 お茶々殿 立派な男のお子じゃ。 287 00:27:41,159 --> 00:27:47,032 お手柄でございます。 礼を言います。 288 00:27:47,032 --> 00:27:49,334 政所様…。 289 00:28:01,113 --> 00:28:05,784 奥をおあずかりしております 大蔵卿にございます。 290 00:28:05,784 --> 00:28:11,123 小谷の頃 お茶々様の乳母として お仕えしておりました。 291 00:28:11,123 --> 00:28:16,461 ああ… お茶々殿には 何よりの方じゃ。 292 00:28:16,461 --> 00:28:21,333 お茶々殿と お子のこと よろしゅうに頼みます。 293 00:28:21,333 --> 00:28:27,472 アッハッハッハ。 捨。 アッハッハ 父様じゃぞ。 294 00:28:27,472 --> 00:28:33,345 わしがのう そなたの父様じゃ。 あ~ かわいいのう。 295 00:28:33,345 --> 00:28:39,484 早うのう 丈夫で 立派に 大きゅうなってくだされよ。 のう。 296 00:28:39,484 --> 00:28:46,358 天下はのう 捨のものじゃ。 わしのものは みんな 捨のものじゃ。 297 00:28:46,358 --> 00:28:49,494 捨のためであれば 何も惜しゅうはないわ。 298 00:28:49,494 --> 00:28:54,366 ハッハ ええ子じゃ。 ハッハッハ ええ子じゃ ええ子じゃ のう。 ハッハ…。 299 00:28:54,366 --> 00:28:56,368 (侍女)申し上げます。 うん。 300 00:28:56,368 --> 00:29:00,439 (侍女)前田玄以殿 小西行長殿 大谷吉継殿のご使者➡ 301 00:29:00,439 --> 00:29:06,745 お祝いに参上なされてございます。 おお 早速に 大儀じゃのう。 302 00:29:11,083 --> 00:29:13,785 やっぱり 男の子じゃったそうな…。 303 00:29:13,785 --> 00:29:17,456 (あさひ)兄様は 淀城へ詰めきりだということじゃ。 304 00:29:17,456 --> 00:29:22,127 諸大名も公家衆も 皆 祝いに 淀城へ駆けつけて➡ 305 00:29:22,127 --> 00:29:24,463 大した騒ぎだとか。 306 00:29:24,463 --> 00:29:29,334 じゃが 豊臣家の本城は 大坂城ではないか。 307 00:29:29,334 --> 00:29:32,804 それがどうじゃ。 これでは まるで➡ 308 00:29:32,804 --> 00:29:35,707 淀城が 本城になってしまったようではないか。 309 00:29:35,707 --> 00:29:38,677 淀城で世継ぎが産まれたのじゃ。 しかたあるまい。 310 00:29:38,677 --> 00:29:45,384 諸大名とて まこと関白の子かどうか 分からんなどと 陰口を利きながら➡ 311 00:29:45,384 --> 00:29:51,156 いざとなれば 先を争って 藤吉郎に ごまをすっておるのよ。 312 00:29:51,156 --> 00:29:54,493 ねね様まで 祝いに駆けつけたというではないか。 313 00:29:54,493 --> 00:29:59,364 ねねさは 豊臣家のおかかとしての 立場があるのじゃ。 314 00:29:59,364 --> 00:30:04,836 これでは 先が思いやられるわ。 315 00:30:04,836 --> 00:30:08,707 藤吉郎は 我らが身内より➡ 316 00:30:08,707 --> 00:30:14,179 淀の者や その子の方が 大事になってしもうたのよ。 317 00:30:14,179 --> 00:30:18,050 秀次や小吉は もうおしまいじゃ。 (なか)とも! 318 00:30:18,050 --> 00:30:25,524 いずれ 豊臣家も 天下も 淀の者の子のものになってしまおう。 319 00:30:25,524 --> 00:30:31,396 せめて 今のうちに 小吉にだけは 身の立つようにしといてやらねばのう。 320 00:30:31,396 --> 00:30:35,534 小吉をどうしようというのじゃ。 321 00:30:35,534 --> 00:30:42,407 小吉は 押しも押されもせぬ豊臣家の子じゃ。 322 00:30:42,407 --> 00:30:45,110 このまま 後へは引けぬわ。 323 00:30:47,546 --> 00:30:51,216 子があるというのは いろいろ大変じゃのう。 324 00:30:51,216 --> 00:30:54,553 わしは 子がのうて よかったわ。 325 00:30:54,553 --> 00:30:59,424 何の望みもない。 案ずることもない。 326 00:30:59,424 --> 00:31:03,829 ただ静かに 死を待つだけじゃ。 327 00:31:03,829 --> 00:31:05,831 あさひ…? 328 00:31:07,499 --> 00:31:11,370 (なか) いっそ 子のないのが 気が楽じゃのう。 329 00:31:11,370 --> 00:31:16,508 藤吉郎も 苦労を背負うたようなものじゃ。 330 00:31:16,508 --> 00:31:20,379 子に迷うと 先が見えんようになる。 331 00:31:20,379 --> 00:31:24,082 それが案じられてならぬわ。 332 00:31:32,524 --> 00:31:34,459 (こほ)政所様。➡ 333 00:31:34,459 --> 00:31:41,199 とも様が 大政所様のところに お見えでございますが。 334 00:31:41,199 --> 00:31:43,135 はっ…? 335 00:31:43,135 --> 00:31:47,539 (こほ)ご気分がすぐれぬと 申し上げましょうか? 336 00:31:47,539 --> 00:31:54,212 いや 伺わねば…。 ご無理をなされては…。 337 00:31:54,212 --> 00:31:59,551 気遣うてくださいますな。 ちと考え事をしておりました。 338 00:31:59,551 --> 00:32:01,553 お方様…。 339 00:32:03,155 --> 00:32:11,496 こほ殿…。 こほ殿は 長浜から 私と共に苦労してきてくださいました。 340 00:32:11,496 --> 00:32:18,370 秀吉殿と私のことも 一番ようご承知じゃ。 341 00:32:18,370 --> 00:32:26,044 じゃが これからは 秀吉殿も変わられよう。 342 00:32:26,044 --> 00:32:32,184 私の おかかとしての役割も 変わってきましょう。 343 00:32:32,184 --> 00:32:35,520 また違う苦労が始まるわ。 344 00:32:35,520 --> 00:32:46,531 今までは 秀吉殿についてきただけじゃが これからは 私の役目も変わってくるわ。 345 00:32:49,067 --> 00:32:59,544 こほ殿 これからは 戦じゃ。 秀吉殿との戦でございます。 346 00:32:59,544 --> 00:33:01,847 お方様…。 347 00:33:03,415 --> 00:33:06,818 子のない者は強いわ…。 348 00:33:06,818 --> 00:33:10,121 恐ろしいものはない。 349 00:33:19,397 --> 00:33:23,368 そなたは ただ座って黙っておればよい。 350 00:33:23,368 --> 00:33:27,505 藤吉郎には 母様から話すゆえ。 351 00:33:27,505 --> 00:33:29,507 (小吉)はい。 352 00:33:32,177 --> 00:33:36,848 姉様。 ハッハッハ。 京まで 何用じゃ? 353 00:33:36,848 --> 00:33:39,184 おお 秀勝も。 354 00:33:39,184 --> 00:33:43,522 (とも)待っておっても いつ 大坂へ戻ってくるか分からぬゆえ。 355 00:33:43,522 --> 00:33:49,394 このごろは 淀城には行っても 大坂には なかなか足が向かぬらしいけえのう。 356 00:33:49,394 --> 00:33:52,197 ハッハッハッハ。 早速に 嫌みか。 357 00:33:52,197 --> 00:33:56,868 藤吉郎。 少しは ねね様や おっ母様のことも考えて…。 358 00:33:56,868 --> 00:33:59,537 いや~ おかかには 大坂城をあずけておる。 359 00:33:59,537 --> 00:34:02,807 それゆえ 安心して任しておるのよ。 360 00:34:02,807 --> 00:34:06,478 おっ母様とて おかかがいてくれれば 何も案ずることはないわ。 361 00:34:06,478 --> 00:34:08,813 わしゃ もう忙しゅうてのう。 362 00:34:08,813 --> 00:34:12,150 おかかならば よう分かってくれておるわ。 うん。 363 00:34:12,150 --> 00:34:16,021 で 用向きは何じゃ? 364 00:34:16,021 --> 00:34:21,493 小吉に 加増してやってはくれまいか。 365 00:34:21,493 --> 00:34:24,396 秀次は 近江に43万石。 366 00:34:24,396 --> 00:34:28,833 秀保は 小一郎の養子じゃけ 小一郎の百万石がある。 367 00:34:28,833 --> 00:34:33,505 じゃが 小吉は 亡くなった於次秀勝殿の遺領の➡ 368 00:34:33,505 --> 00:34:36,408 丹波29万石だけじゃ。 369 00:34:36,408 --> 00:34:41,179 豊臣家の子にふさわしいことを してもらわねばのう。 370 00:34:41,179 --> 00:34:47,052 しかも 小吉は 九州出陣の折 格別の手柄もあった。 371 00:34:47,052 --> 00:34:50,855 何の手柄もない 産まれたばかりの赤子に➡ 372 00:34:50,855 --> 00:34:53,525 天下もやろうと 言うておるそうではないか。 373 00:34:53,525 --> 00:34:56,861 されば 小吉とて…。 374 00:34:56,861 --> 00:34:59,197 ならぬ。 375 00:34:59,197 --> 00:35:04,469 小吉には 29万石とて過分よ。 376 00:35:04,469 --> 00:35:07,138 なにが 九州の手柄じゃ。 377 00:35:07,138 --> 00:35:11,476 あれは 小吉が わしの養子ゆえ 周りの者たちが気を遣うて➡ 378 00:35:11,476 --> 00:35:15,146 小吉に花を持たせただけのことじゃわ。 藤吉郎! 379 00:35:15,146 --> 00:35:17,816 それを ようもずうずうしい。 380 00:35:17,816 --> 00:35:21,152 いくら姉様じゃとて 許せませぬぞ。 381 00:35:21,152 --> 00:35:24,823 いや 身内じゃからこそ許せぬわ。 382 00:35:24,823 --> 00:35:28,493 わしの甥じゃから 子じゃからというて➡ 383 00:35:28,493 --> 00:35:31,830 豊臣家に何の役にも立たぬ者に 加増したとあってはのう➡ 384 00:35:31,830 --> 00:35:34,499 示しがつかぬわ。 385 00:35:34,499 --> 00:35:40,171 いや 秀勝の名を継いだゆえ 秀勝の遺領を遣わしたのが➡ 386 00:35:40,171 --> 00:35:42,507 そもそも 間違うておったのよ。 387 00:35:42,507 --> 00:35:48,179 小吉にはのう 29万石の領主の資格など ありはせぬわ。 388 00:35:48,179 --> 00:35:51,850 越前のうち 5万石に減俸じゃ。 389 00:35:51,850 --> 00:35:58,189 5万石とて多すぎるがのう 豊臣家にもろうた手前➡ 390 00:35:58,189 --> 00:36:01,092 皆召し上げるわけにも いかんであろうが。 391 00:36:01,092 --> 00:36:03,395 捨て扶持じゃ。 392 00:36:05,797 --> 00:36:08,700 (とも)藤吉郎! 393 00:36:08,700 --> 00:36:10,669 あんまりではないか。 394 00:36:10,669 --> 00:36:14,806 己に子ができると あないに変わるものとは思わなんだわ。 395 00:36:14,806 --> 00:36:17,142 我らの子など もう要らぬのよ。 396 00:36:17,142 --> 00:36:19,477 藤吉郎には 余計者になってしもうたのだわ。 397 00:36:19,477 --> 00:36:23,148 (吉房)とも! 秀吉殿を恨んではならん。 398 00:36:23,148 --> 00:36:28,486 わしらは 秀吉殿の身内ということだけで これまでに取り立てていただいたのだ。 399 00:36:28,486 --> 00:36:30,822 皆 秀吉殿のおかげじゃ。 400 00:36:30,822 --> 00:36:35,493 秀吉殿がおられずば 我らとて 我らの子とて➡ 401 00:36:35,493 --> 00:36:39,164 今頃は 細々と畑を耕しておろう。 それを思うたら…。 402 00:36:39,164 --> 00:36:42,067 お前様は いつもそれじゃ。 (吉房)とも。 403 00:36:42,067 --> 00:36:44,836 秀吉殿が偉うなられたというて➡ 404 00:36:44,836 --> 00:36:48,506 我らも偉うなったと思うのは 心得違いじゃ。 405 00:36:48,506 --> 00:36:53,378 今の我らは 分不相応よ。 わしには 空恐ろしいくらいじゃ。 406 00:36:53,378 --> 00:36:55,847 お前様…。 407 00:36:55,847 --> 00:37:00,118 秀吉殿にお子ができたら 秀吉殿とて変わられよう。 408 00:37:00,118 --> 00:37:02,454 変わるのが人情じゃ。 409 00:37:02,454 --> 00:37:04,389 これからとて 何があるか分からん。 410 00:37:04,389 --> 00:37:10,128 それだけは しかと 心しておかねばならぬぞ。 411 00:37:10,128 --> 00:37:18,837 とも… 中村で百姓しておった方が よかったかもしれぬのう。 412 00:37:24,142 --> 00:37:28,480 <秀吉は その後も 茶々と捨を淀城に置き➡ 413 00:37:28,480 --> 00:37:31,382 大坂城へは帰らなかった。➡ 414 00:37:31,382 --> 00:37:37,689 が 8月になって 珍しく 大坂城へ顔を見せた> 415 00:37:42,494 --> 00:37:51,503 秀家 秀康 秀俊。 皆 息災で何よりじゃ。 416 00:37:51,503 --> 00:37:55,173 お豪 久しぶりじゃのう。 417 00:37:55,173 --> 00:37:59,043 関白殿下にも お変わりものう。 ああ。 418 00:37:59,043 --> 00:38:02,447 捨様は ご機嫌ようなされておられますか? 419 00:38:02,447 --> 00:38:08,319 うん。 日増しに大きゅうなるわ。 アッハッハッハ。 420 00:38:08,319 --> 00:38:15,460 捨は産まれたがのう そなたたちも 豊臣の子であることには変わりはないわ。 421 00:38:15,460 --> 00:38:22,133 捨を弟と思うてのう 捨を助け もり立ててやってくだされや。 422 00:38:22,133 --> 00:38:24,135 のう? 423 00:38:33,745 --> 00:38:38,483 ああ~! あ~ 久方ぶりの大坂じゃ。 424 00:38:38,483 --> 00:38:41,820 やっと 我が家へ戻った気がするのう。 425 00:38:41,820 --> 00:38:49,494 おかかが よう 留守を守ってくれたゆえ わしも 何の心配ものう 京におられたわ。 426 00:38:49,494 --> 00:38:55,366 そろそろ 関東の北条とも 決着をつけねばならん時が来た。 427 00:38:55,366 --> 00:38:57,836 いざとなれば 戦にもなろう。 428 00:38:57,836 --> 00:39:02,674 大坂へ戻る暇など とてもなかったわ。 ああ。 ハッハッハ。 429 00:39:02,674 --> 00:39:08,780 大坂のことは ご案じなさいますな。 及ばずながら 私が…。 430 00:39:08,780 --> 00:39:13,117 大坂城は おかかの城じゃと 言うてくだされた時から➡ 431 00:39:13,117 --> 00:39:17,455 覚悟して おあずかりいたしております。 432 00:39:17,455 --> 00:39:20,792 そ… それがのう➡ 433 00:39:20,792 --> 00:39:29,467 こたび 淀の者と捨を 大坂城に移すことになった。 434 00:39:29,467 --> 00:39:35,807 いや 淀城はのう 捨には 方角がようないと言うのよ。 435 00:39:35,807 --> 00:39:40,144 いや わしは 陰陽師など信じはせぬ。 占いは嫌いじゃ。 436 00:39:40,144 --> 00:39:46,017 じゃがのう 茶々が… ハッハ ひどう気にしてのう。 437 00:39:46,017 --> 00:39:52,490 いや~ 母親であれば 子の無事を願うのは 当たり前よのう。 438 00:39:52,490 --> 00:39:57,362 名ものう 鶴松と改めた。 うん。 439 00:39:57,362 --> 00:40:04,102 のう 豊臣家の大事な子のためじゃ。 聞き分けてくれんか。 440 00:40:04,102 --> 00:40:09,040 おっ おかかたちはのう 聚楽第へ来てはどうじゃ? 441 00:40:09,040 --> 00:40:13,778 大坂へおっては おかかの顔も見られぬ。 たまには 京暮らしもええものじゃ。 442 00:40:13,778 --> 00:40:16,180 おっ母様の孝行とて できぬわ。 443 00:40:16,180 --> 00:40:21,052 あさひとて 京におれば 慰めにもなろうて。 のう? 444 00:40:21,052 --> 00:40:27,792 嫌とは申せませぬなあ。 関白殿下が もう お決めになっておられることじゃ。 445 00:40:27,792 --> 00:40:32,730 いやいや! わしは 頭を下げて頼んでおるのよ。 446 00:40:32,730 --> 00:40:37,869 なにも 陰陽師や占いのせいになさらずとも➡ 447 00:40:37,869 --> 00:40:43,207 鶴松君を大坂城の主になさると言えば それで済むことではございませぬか。 448 00:40:43,207 --> 00:40:45,143 おかか…。 449 00:40:45,143 --> 00:40:48,079 鶴松君は 豊臣家のお世継ぎ。 450 00:40:48,079 --> 00:40:52,550 大坂城におられるのが筋と 心得ております。 451 00:40:52,550 --> 00:40:57,422 いつでも お移りくださいませ。 452 00:40:57,422 --> 00:41:04,162 あ… 茶々や鶴松を 大坂城へ呼んだとてのう➡ 453 00:41:04,162 --> 00:41:08,833 おかかは わしの正室ぞ。 それゆえ 聚楽第へ呼ぶのよ。 454 00:41:08,833 --> 00:41:14,505 のう 京で 存分に楽しんだらええ。 のう。 アッハッハッハ。 455 00:41:14,505 --> 00:41:17,508 さあさあ さあさあ おかかも ほれ…。 456 00:41:21,179 --> 00:41:25,049 何じゃと!? お茶々や捨が ここに来るで➡ 457 00:41:25,049 --> 00:41:28,052 わしらに出ていけと言うのか! いや おっ母様…。 458 00:41:28,052 --> 00:41:31,522 そりゃ わしや あさひは どこに追い出されようと構わぬが➡ 459 00:41:31,522 --> 00:41:35,860 ねねさは違うぞ。 ねねさは 関白の正室じゃ。 460 00:41:35,860 --> 00:41:41,566 大坂城は ねねさのものじゃ! お茶々などに渡せるか! 461 00:41:45,203 --> 00:41:50,541 秀長殿 しばらくでございますな。 462 00:41:50,541 --> 00:41:56,214 義姉様…。 のう ねねさ 聞いたか? 463 00:41:56,214 --> 00:42:05,823 お義母様 この8月23日 淀殿と鶴松殿が 大坂城にお入りになります。 464 00:42:05,823 --> 00:42:10,161 その前に 私どもは 聚楽第へ…。 465 00:42:10,161 --> 00:42:14,032 では ねねさは ここを出ていくというのか!? 466 00:42:14,032 --> 00:42:18,503 お茶々や捨に この大坂城を渡すというのか!? 467 00:42:18,503 --> 00:42:21,839 私は 秀吉殿のおかかでございます。 468 00:42:21,839 --> 00:42:24,742 秀吉殿に逆らうわけにはまいりません。 469 00:42:24,742 --> 00:42:30,181 藤吉郎を操っておるのは お茶々じゃ! ねねさとて それくらいのことは…。 470 00:42:30,181 --> 00:42:36,854 お義母様。 私は 大坂城など惜しゅうはございませぬ。 471 00:42:36,854 --> 00:42:43,528 どこに移ろうと 秀吉殿のおかかの心は 誰にも譲りはいたしませぬ。 472 00:42:43,528 --> 00:42:46,431 それでいいと思っております。 473 00:42:46,431 --> 00:42:53,204 義姉様… 許してくだされ。 474 00:42:53,204 --> 00:42:58,075 兄者を動かす力は わしには もう のうなりました。 475 00:42:58,075 --> 00:43:02,814 わしの役目も もうそろそろ終わりでございます。 476 00:43:02,814 --> 00:43:04,749 秀長殿…。 477 00:43:04,749 --> 00:43:10,054 兄者は わしには もう 遠いお人じゃ。 478 00:43:11,823 --> 00:43:17,161 <今や ねねと茶々の立場は 逆転したのである。➡ 479 00:43:17,161 --> 00:43:23,167 茶々や鶴松が来る前に ねねたちは 大坂城を去った> 480 00:43:25,837 --> 00:43:32,510 <ねねは これからこそ 秀吉の妻として 本当のつとめが待っていると➡ 481 00:43:32,510 --> 00:43:36,180 自分に言い聞かせていた> 482 00:43:36,180 --> 00:43:48,192 ♬~