1 00:00:02,135 --> 00:02:36,123 ♬~ 2 00:02:38,225 --> 00:02:41,561 <天正18年1月14日。➡ 3 00:02:41,561 --> 00:02:48,435 秀吉の妹 あさひは 聚楽第で ひっそりと その生涯を閉じた。➡ 4 00:02:48,435 --> 00:02:53,907 あさひの死は 北条攻めを前に 家康の力をたのまんとする秀吉には➡ 5 00:02:53,907 --> 00:02:56,576 大きな痛手であった。➡ 6 00:02:56,576 --> 00:03:01,181 折も折 あさひの死の前日 正月13日➡ 7 00:03:01,181 --> 00:03:04,518 家康の三男 長丸が 人質として上洛。➡ 8 00:03:04,518 --> 00:03:08,822 聚楽第において 元服。 秀忠と名乗った> 9 00:03:14,528 --> 00:03:20,867 (なか)藤吉郎は あさひを不憫だと 思う気持ちは みじんもないのか! 10 00:03:20,867 --> 00:03:25,205 あのような寂しい境涯で果てたのは 誰のせいじゃ! 11 00:03:25,205 --> 00:03:28,542 みんな 藤吉郎のせいではないか! 12 00:03:28,542 --> 00:03:33,213 それを 家康の子の元服じゃと!? 13 00:03:33,213 --> 00:03:36,550 あさひが それでは浮かばれぬわ! 14 00:03:36,550 --> 00:03:39,886 (ねね)申し訳ございませぬ。 15 00:03:39,886 --> 00:03:43,757 秀吉殿とて おつらいのでございます。 16 00:03:43,757 --> 00:03:48,895 あさひ殿に 許してくだされと 泣いておられました。 17 00:03:48,895 --> 00:03:53,567 ただ 小田原攻めを 前にしておられましたゆえ…。 18 00:03:53,567 --> 00:03:58,438 あさひは 死ぬまで 甚兵衛さのことを…。 19 00:03:58,438 --> 00:04:03,143 わしは 悔やんでも悔やみ切れぬわ…。 20 00:04:07,514 --> 00:04:10,851 お義母様。 21 00:04:10,851 --> 00:04:15,722 このことは 誰にも言うてくださるなと➡ 22 00:04:15,722 --> 00:04:18,525 あさひ殿のご遺言でございましたが…。 23 00:04:18,525 --> 00:04:21,528 (こほ)お方様。 お義母様には…。 24 00:04:23,196 --> 00:04:31,204 あさひ殿は 京に来られてから 何度も 甚兵衛殿にお会いになっておられます。 25 00:04:32,873 --> 00:04:38,211 甚兵衛さは… 甚兵衛さは 生きておったのか! 26 00:04:38,211 --> 00:04:40,147 はい。 27 00:04:40,147 --> 00:04:46,086 諸国を回って歩く芸人の一座に 加わられて…。 28 00:04:46,086 --> 00:04:51,224 ただ その時のことが あだで…。 29 00:04:51,224 --> 00:05:01,501 雪の日に 一人で加茂の河原へ行かれ その時 お風邪を召されたのがもとで…。 30 00:05:01,501 --> 00:05:05,372 (こほ)私がお仕えしておりながら あのようなことに…。 31 00:05:05,372 --> 00:05:08,375 皆 私が責めを負わねばならぬこと…。 32 00:05:08,375 --> 00:05:10,510 おいとまを頂く所存でございます。 33 00:05:10,510 --> 00:05:14,181 いや こほ殿…。 お許しくださいませ。 34 00:05:14,181 --> 00:05:19,519 何も知らなんだ…。 35 00:05:19,519 --> 00:05:22,856 家康殿のご正室ともあろう方を➡ 36 00:05:22,856 --> 00:05:28,195 私の一存で甚兵衛殿にお会わせしたことが お義母様のお耳に知れては➡ 37 00:05:28,195 --> 00:05:31,531 かえって お案じになると思って…。 38 00:05:31,531 --> 00:05:35,869 私の勝手でいたしました。 こほ殿がお悪いのではございませぬ。 39 00:05:35,869 --> 00:05:38,205 皆 私が…。 40 00:05:38,205 --> 00:05:41,107 ねねさ こほ殿…。 41 00:05:41,107 --> 00:05:48,215 ようやってくだされた。 わしも これで 胸のつかえが下りた。 42 00:05:48,215 --> 00:05:50,150 いや わしとて➡ 43 00:05:50,150 --> 00:05:55,088 あさひに 甚兵衛さの消息ぐらいは 知らせてやりたかった。 44 00:05:55,088 --> 00:05:59,559 でも 会えたのじゃな? これで 本望じゃ。 45 00:05:59,559 --> 00:06:02,162 大政所様…。 46 00:06:02,162 --> 00:06:05,065 これで わしも救われた。 47 00:06:05,065 --> 00:06:10,036 じゃが こほ殿 いとまを取るなどとは言わずに。 48 00:06:10,036 --> 00:06:13,173 かたじけのうございます。 49 00:06:13,173 --> 00:06:18,845 大政所様のお言葉で 私も気が晴れる思いでございます。 50 00:06:18,845 --> 00:06:24,150 ただ これ以上 お仕えいたしますことは…。 51 00:06:25,719 --> 00:06:35,395 こほ殿。 そなたは 長浜より 私たちと共に苦労してくだされた。 52 00:06:35,395 --> 00:06:41,868 お義母様や私にとっては のうてはならぬ お方じゃ。 53 00:06:41,868 --> 00:06:49,542 お方様や大政所様のご恩は 終生 忘れはいたしませぬ。 54 00:06:49,542 --> 00:06:55,415 ただ 長浜ご城主から 関白殿下におなりになられるまで➡ 55 00:06:55,415 --> 00:07:02,489 さまざまなものを見てまいりまして ご奉公するのが つろうなりました。 56 00:07:02,489 --> 00:07:06,159 あさひ様が お亡くなりになりました時に➡ 57 00:07:06,159 --> 00:07:09,462 私のつとめは終わったと…。 58 00:07:11,831 --> 00:07:14,534 こほ殿…。 59 00:07:19,172 --> 00:07:27,047 お義母様 そういう時が参ったのでございます。 60 00:07:27,047 --> 00:07:34,721 こほ殿には 私どもの よい思い出だけを土産に…。 61 00:07:34,721 --> 00:07:40,860 わしは もう あまり長生きはしとうのうなった。 62 00:07:40,860 --> 00:07:44,731 大政所様…。 63 00:07:44,731 --> 00:07:53,206 こほ殿。 たまには 顔を見せてくだされ。 また 昔話など…。 64 00:07:53,206 --> 00:07:56,509 それができるのは こほ殿だけじゃ。 65 00:08:05,485 --> 00:08:12,826 <あさひが没し こほが去って なかとねねの周りは寂しくなった。➡ 66 00:08:12,826 --> 00:08:15,161 鶴松という世継ぎに恵まれ➡ 67 00:08:15,161 --> 00:08:19,499 豊臣家の繁栄は 頂点に達した感があったにもかかわらず➡ 68 00:08:19,499 --> 00:08:26,206 ねねの心には いつも 妙な不安とともに 冷たい風が吹き抜けていた> 69 00:08:27,841 --> 00:08:32,145 <そんな ねねの予感が 一つの現実になる日が来た> 70 00:08:33,713 --> 00:08:39,185 (秀吉)北条はのう 徳川をたのみにしておったがのう➡ 71 00:08:39,185 --> 00:08:41,855 家康殿が 我らにお味方くだされ➡ 72 00:08:41,855 --> 00:08:44,524 北条攻めの先鋒を つとめられるとあってのう➡ 73 00:08:44,524 --> 00:08:49,396 攻勢に出るのを断念し 小田原に籠城策をとっておる。 74 00:08:49,396 --> 00:08:55,168 (秀長)兄者。 北条の籠城策は お家芸。 手ごおうござりますぞ。 75 00:08:55,168 --> 00:08:59,072 かつて 上杉 武田と戦うた時も その手で功を奏しております。 76 00:08:59,072 --> 00:09:03,009 しかも 背後には 北条と結ぶ伊達がおります。 77 00:09:03,009 --> 00:09:06,780 何よりも まず 伊達政宗を懐柔することが…。 78 00:09:06,780 --> 00:09:10,150 (三成)伊達は 目下 会津の芦名義廣と争い➡ 79 00:09:10,150 --> 00:09:12,819 北条を助ける力などありはしませぬ。 80 00:09:12,819 --> 00:09:15,722 一挙に たたき潰せば 済むことにございます。 81 00:09:15,722 --> 00:09:20,160 それはならん! 伊達政宗は 東北の雄じゃ。 82 00:09:20,160 --> 00:09:24,831 武力で対しては それだけ 北条への力も失われる。 83 00:09:24,831 --> 00:09:27,167 何としても 政宗とは話し合いで。 84 00:09:27,167 --> 00:09:30,503 これまで 何度も 政宗に上洛を促しましたが➡ 85 00:09:30,503 --> 00:09:35,508 無視しておるではありませぬか。 今更 懐柔策など 手ぬるいことは…。 86 00:09:37,844 --> 00:09:40,513 兄者 それだけは…。 87 00:09:40,513 --> 00:09:43,850 (三成)北条とて 懐柔策を受け入れぬゆえの➡ 88 00:09:43,850 --> 00:09:47,720 小田原攻めではござらぬか。 (秀長)伊達は 北条とは違う!➡ 89 00:09:47,720 --> 00:09:51,524 政宗は 話の分からぬ人物ではないわ!➡ 90 00:09:51,524 --> 00:09:54,427 手を尽くさば 必ず…。 91 00:09:54,427 --> 00:09:58,431 うっ! うっ うっ…! 92 00:10:01,534 --> 00:10:03,470 うっ! 秀長…。 93 00:10:03,470 --> 00:10:06,406 (秀長)うっ! 94 00:10:06,406 --> 00:10:10,543 秀長! 秀長! 95 00:10:10,543 --> 00:10:12,545 秀長! 96 00:10:22,555 --> 00:10:26,426 皆に 心配かけてしもうた。 97 00:10:26,426 --> 00:10:29,429 じゃが もう大丈夫じゃ。 98 00:10:29,429 --> 00:10:34,567 医者はのう 安静にして 療養につとめるよう言うておる。 99 00:10:34,567 --> 00:10:37,237 おぬしは ゆっくり休んでおればええ。 のう。 100 00:10:37,237 --> 00:10:43,109 これしきのこと…。 大事な戦じゃ。 101 00:10:43,109 --> 00:10:45,912 是が非でも 出陣せねば…。 秀長! 102 00:10:45,912 --> 00:10:50,250 ご無理なすってはいけませぬ。 お体に障ります。 103 00:10:50,250 --> 00:10:53,153 秀長殿に もしものことがあったら…。 104 00:10:53,153 --> 00:10:55,588 そうよ。 おぬしはのう➡ 105 00:10:55,588 --> 00:10:58,491 大和へ去んで ゆっくりと…。 のう。 106 00:10:58,491 --> 00:11:03,396 のう 小一郎よ。 おみゃあさは 長生きせねば。 107 00:11:03,396 --> 00:11:05,865 藤吉郎が ここまで来れたのも➡ 108 00:11:05,865 --> 00:11:09,202 おみゃあさが しっかり手綱を握っていたからじゃ。 109 00:11:09,202 --> 00:11:12,539 のう。 早う ようなって…。 110 00:11:12,539 --> 00:11:17,877 秀長 小田原攻めなど 小さなことよ。 111 00:11:17,877 --> 00:11:21,548 おぬしには もっともっと大きなつとめが待っておる。 112 00:11:21,548 --> 00:11:24,450 鶴松が成人するまでは おぬしに➡ 113 00:11:24,450 --> 00:11:27,220 天下を任せねばならぬ時とて あるやもしれぬわ。 114 00:11:27,220 --> 00:11:32,091 兄者…。 丈夫でいてもらわねば 困るのよ! 115 00:11:32,091 --> 00:11:35,895 兄者。 伊達政宗のことは…。 116 00:11:35,895 --> 00:11:38,565 おお 分かっておる 分かっておる。 117 00:11:38,565 --> 00:11:42,235 政宗とのことは おぬしが間に入って 事を進めてきたのじゃ。 118 00:11:42,235 --> 00:11:44,904 おぬしの努力を 無にするようなことはせぬわ。 119 00:11:44,904 --> 00:11:46,906 うん? 120 00:11:49,242 --> 00:11:55,114 <秀長の突然の吐血は また ねねの胸に 暗い影を落とした。➡ 121 00:11:55,114 --> 00:12:00,820 あさひの死のあとだけに 一層 不吉であった> 122 00:12:03,189 --> 00:12:07,860 <が 秀吉は 予定どおり 3月1日に京を出陣。➡ 123 00:12:07,860 --> 00:12:13,166 19日 家康に迎えられ 駿府へ入った> 124 00:12:17,537 --> 00:12:23,409 (家康)関白殿下を この駿府へ お迎えできるとは…。 125 00:12:23,409 --> 00:12:26,879 わしとて 感無量じゃ。 126 00:12:26,879 --> 00:12:32,552 三河殿のご領地を通って 小田原へ攻め入るとはのう。 ハッハ…。 127 00:12:32,552 --> 00:12:37,256 三河殿のお力添えのおかげじゃ。 128 00:12:39,425 --> 00:12:46,566 あさひは この城で 何年かを過ごしたのじゃのう。 129 00:12:46,566 --> 00:12:53,873 今も あさひ殿の部屋は そのままに…。 ご覧なされまするか? 130 00:13:02,515 --> 00:13:06,853 ここに あさひが…。 131 00:13:06,853 --> 00:13:17,497 ♬~ 132 00:13:17,497 --> 00:13:24,404 この部屋は 二度と誰にも使わせはしませぬ。 133 00:13:24,404 --> 00:13:30,076 また 二度と正室は迎えませぬ。 134 00:13:30,076 --> 00:13:32,378 三河殿…。 135 00:13:35,548 --> 00:13:42,221 あさひ殿には 罪なことをいたしました。 136 00:13:42,221 --> 00:13:47,894 少しでも あさひ殿への償いになればと こうして…。 137 00:13:47,894 --> 00:13:53,900 この部屋へ来ると あさひ殿が まだ生きておられるような気がして…。 138 00:13:55,568 --> 00:13:59,238 一人で見知らぬ土地へ来られ➡ 139 00:13:59,238 --> 00:14:05,044 どのような思いで 日々を送られていたのか…。 140 00:14:05,044 --> 00:14:11,517 わしを恨んでおったじゃろう。 141 00:14:11,517 --> 00:14:20,193 じゃが 三河殿のお心遣いで 随分 慰められたと言うておりました。 142 00:14:20,193 --> 00:14:26,199 今も このように 大事に思うていただいて…。 143 00:14:33,206 --> 00:14:38,878 この打ち掛けは 長浜におられる頃➡ 144 00:14:38,878 --> 00:14:44,217 殿下が 京より 初めて 土産に買うてくだされたと➡ 145 00:14:44,217 --> 00:14:48,921 殊の外 懐かしんでおられました。 146 00:14:51,891 --> 00:14:54,594 あさひ…。 147 00:14:58,564 --> 00:15:01,467 殿下をお恨み申し上げるようなことは➡ 148 00:15:01,467 --> 00:15:06,372 ただの一度も 口にされたことはありませなんだ。 149 00:15:06,372 --> 00:15:12,078 (泣き声) あさひ…。 150 00:15:16,849 --> 00:15:20,520 <やがて 家康と共に 駿府を後にした秀吉は➡ 151 00:15:20,520 --> 00:15:26,192 22万の大軍をもって 北条勢の立て籠もる 諸城を攻め落としながら➡ 152 00:15:26,192 --> 00:15:32,198 4月の初め 小田原城を俯瞰する石垣山に 陣を敷いた> 153 00:15:41,741 --> 00:15:48,447 度々 郡山まで お見舞いくだされて…。 154 00:15:48,447 --> 00:15:53,886 この間 伺ったより お顔の色も ようなられて。 155 00:15:53,886 --> 00:15:58,224 でも 起きていて よろしいのでございますか? 156 00:15:58,224 --> 00:16:02,495 寝てばかりいては 体がなまってしもうて。 157 00:16:02,495 --> 00:16:07,834 おみゃあさの病はのう 藤吉郎に こき使われたからじゃ。 158 00:16:07,834 --> 00:16:16,175 もう これからは 何にも考えずと しの殿と暮らしておりゃ ようなるで。 159 00:16:16,175 --> 00:16:20,847 兄者は いよいよ 小田原を包囲なされたそうな。 160 00:16:20,847 --> 00:16:26,185 (なか)また それを言う。 藤吉郎のことばかり案じておっては➡ 161 00:16:26,185 --> 00:16:29,856 ようなるものも ならぬではないか。 162 00:16:29,856 --> 00:16:35,194 私への文も 敵を鳥籠へ入れたなどと…。 163 00:16:35,194 --> 00:16:38,531 小田原を乾殺しにする所存にございます。 164 00:16:38,531 --> 00:16:45,204 わしのところにも 小田原攻めは 年を越す覚悟ゆえ➡ 165 00:16:45,204 --> 00:16:51,544 将士に倦怠の生じることなきようにと 陣中に慰安所を設けさせ➡ 166 00:16:51,544 --> 00:16:55,882 諸大名にも 女房を呼び寄せさせることにしたと➡ 167 00:16:55,882 --> 00:16:57,817 申し越されました。 168 00:16:57,817 --> 00:17:02,688 いい気なものよのう。 ねねさにはのう➡ 169 00:17:02,688 --> 00:17:09,161 小田原へ 淀の者をよこしてくれと 言うてきたそうな。 170 00:17:09,161 --> 00:17:11,497 淀殿をお呼びになりたくば➡ 171 00:17:11,497 --> 00:17:14,166 お好きなようになされば よろしいものを➡ 172 00:17:14,166 --> 00:17:16,836 私を立ててくだされて➡ 173 00:17:16,836 --> 00:17:20,706 私から 淀殿に よしなに計ろうてくだされと。 174 00:17:20,706 --> 00:17:23,509 ねねさ。 175 00:17:23,509 --> 00:17:27,847 秀吉殿のお心遣い ありがたいと思っております。 176 00:17:27,847 --> 00:17:32,184 ならば やはり 淀殿を小田原へ…? 177 00:17:32,184 --> 00:17:38,524 はい。 使いの者を走らせまして 淀殿に その旨 お伝えいたしました。 178 00:17:38,524 --> 00:17:41,861 こちらの帰りに 大坂城へ…。 179 00:17:41,861 --> 00:17:44,196 なにも わざわざ 義姉様が…。 180 00:17:44,196 --> 00:17:50,069 フッ… これも おかかのつとめでございます。 181 00:17:50,069 --> 00:17:55,808 また 鶴松君を おあずかりいたさねばなりませぬ。 182 00:17:55,808 --> 00:18:01,147 誰の子かも分からぬものを なにも ねねさが面倒見ることにゃあて。 183 00:18:01,147 --> 00:18:04,050 鶴松君は 豊臣の子…。 184 00:18:04,050 --> 00:18:07,053 私は その母でございます。 185 00:18:17,496 --> 00:18:19,799 (龍子)政所様。 186 00:18:25,371 --> 00:18:28,507 お久しゅうございますな。 187 00:18:28,507 --> 00:18:32,178 淀殿が小田原へ行かれると聞きました。 188 00:18:32,178 --> 00:18:37,049 政所様は 黙って お許しなされたのでございますか? 189 00:18:37,049 --> 00:18:41,854 関白殿のお申しつけ… 背くわけにはまいりませぬ。 190 00:18:41,854 --> 00:18:47,727 私には解せませぬ。 政所様を差し置いて そのような…。 191 00:18:47,727 --> 00:18:53,866 淀殿は 鶴松君の母上じゃ。 192 00:18:53,866 --> 00:19:00,139 関白殿がご寵愛なされるのも 致し方ございませぬ。 193 00:19:00,139 --> 00:19:07,813 子を産めぬ者は もう殿下には 用のない女子になってしもうたのですね。 194 00:19:07,813 --> 00:19:10,516 龍子殿…。 195 00:19:12,151 --> 00:19:17,490 政所様が そのように 物分かりようなされるゆえ➡ 196 00:19:17,490 --> 00:19:23,829 殿下も淀殿も 我らを ないがしろになされるのでございます。 197 00:19:23,829 --> 00:19:26,832 私には我慢できませぬ。 198 00:19:28,501 --> 00:19:36,375 龍子殿。 人には それぞれ持って生まれた 定めというものがございます。 199 00:19:36,375 --> 00:19:40,079 それに背くことはできませぬ。 200 00:19:43,849 --> 00:19:46,852 政所様…。 201 00:20:08,074 --> 00:20:13,079 お義母様。 鶴松君でございます。 202 00:20:18,751 --> 00:20:22,555 子に罪はございませぬ。 203 00:20:22,555 --> 00:20:30,229 間もなく お誕生を迎えられます。 かわいい盛りでございます。 204 00:20:30,229 --> 00:20:33,899 久しゅう 赤子を抱いたことも ございませなんだが➡ 205 00:20:33,899 --> 00:20:37,770 何やら 懐かしゅうて。 206 00:20:37,770 --> 00:20:41,240 昔に返ったような気がいたします。 207 00:20:41,240 --> 00:20:47,913 こうして 秀次殿や 小吉殿や 豪姫も抱きました。 208 00:20:47,913 --> 00:20:52,251 なあ。 人見知りせぬ よいお子じゃ。 209 00:20:52,251 --> 00:21:00,059 それ ほら。 ほら! お義母様を見て 笑っておられます。 210 00:21:00,059 --> 00:21:05,531 よう見ると やはり 秀吉殿の面影が…。 211 00:21:05,531 --> 00:21:08,200 目元など そっくりじゃ。 なあ。 212 00:21:08,200 --> 00:21:13,873 目より 額じゃ。 藤吉郎も赤子の時は おでこじゃった。 213 00:21:13,873 --> 00:21:16,542 耳の形も…。 214 00:21:16,542 --> 00:21:23,883 夏じゃというのに ぎょうさん着せおって。 厚着は 体に毒じゃ。 215 00:21:23,883 --> 00:21:29,555 まあ ほんに汗をかいておられます。 なんぼ大事な子か知らんが➡ 216 00:21:29,555 --> 00:21:34,894 今から お蚕ぐるみでは 丈夫な子には育たんわ。 217 00:21:34,894 --> 00:21:38,564 赤子は 木綿が一番じゃ。 218 00:21:38,564 --> 00:21:42,234 じゃがのう ねねさの言うとおり➡ 219 00:21:42,234 --> 00:21:48,574 子には 罪はにゃあで 親がおらんでは 子も寂しかろう。 220 00:21:48,574 --> 00:21:50,910 面倒見てやらにゃ。 のう。 (泣き声) 221 00:21:50,910 --> 00:21:54,780 お下が…。 では むつきをお取り替えいたします。 222 00:21:54,780 --> 00:22:01,487 はいはい…。 さあさあ。泣いたからとて すぐ乳をやると 癖になるぞ。 223 00:22:03,189 --> 00:22:07,526 じゃが ねねさも 因果なものよのう。 224 00:22:07,526 --> 00:22:10,863 人の子ばっかり育てて…。 225 00:22:10,863 --> 00:22:15,201 鶴松君は 我が子と思っております。 226 00:22:15,201 --> 00:22:20,873 淀殿も 私のことを 鶴松君に まんかか様と。 227 00:22:20,873 --> 00:22:22,808 まんかか様? 228 00:22:22,808 --> 00:22:26,545 北政所のかか様という意味で ございましょう。 229 00:22:26,545 --> 00:22:30,850 淀殿も 私を立ててくださいました。 230 00:22:32,885 --> 00:22:37,556 昔は 秀吉殿の女子のことで 悋気もいたしましたが➡ 231 00:22:37,556 --> 00:22:42,895 その方たちに比べましたら 私は果報者でございます。 232 00:22:42,895 --> 00:22:47,233 さあ さあ さあ…。 さっぱりなさられました。 233 00:22:47,233 --> 00:22:50,135 どれどれ… ちょっと ばばに貸してみい。 貸してみい 貸してみい。 234 00:22:50,135 --> 00:22:55,107 ばば様じゃ。 お~ こりゃ重たい。 重たいのう。 235 00:22:55,107 --> 00:22:58,110 パッ! パッ! パッ! 236 00:23:03,515 --> 00:23:07,386 鶴松はのう おっ母様とおかかに よう懐いて➡ 237 00:23:07,386 --> 00:23:10,189 息災にしておるそうじゃ。 238 00:23:10,189 --> 00:23:14,059 (淀殿)大政所様も かわいがって くだされておるのでございますか? 239 00:23:14,059 --> 00:23:17,062 アッハッハ! おっ母様には いとしい孫じゃ。 240 00:23:17,062 --> 00:23:21,533 そばにおれば 情も移ろうが。 おかかとて同じよ。 241 00:23:21,533 --> 00:23:28,407 これで 鶴松は 押しも押されもせぬ 豊臣家の世継ぎになったわ。 ハッハッハ。 242 00:23:28,407 --> 00:23:32,544 そなたを小田原に呼んだかいもあった。 243 00:23:32,544 --> 00:23:34,880 一石二鳥よのう。 244 00:23:34,880 --> 00:23:37,216 茶々…。 アッハッハッハッハ。 245 00:23:37,216 --> 00:23:43,555 (利休)千 宗易 火急の儀にて お目通り願わしゅう存じまする。 246 00:23:43,555 --> 00:23:49,261 おお 利休殿か。 何用じゃ? 247 00:23:55,167 --> 00:24:00,039 ただいま 伊達政宗殿 小田原へご到着。 248 00:24:00,039 --> 00:24:04,510 関白殿に謁見の儀 申し越されてございます。 249 00:24:04,510 --> 00:24:07,179 何 政宗が!? 250 00:24:07,179 --> 00:24:12,051 お聞き届け願わしゅう存じます。 251 00:24:12,051 --> 00:24:15,854 しばらく小田原にとどめておけ。 252 00:24:15,854 --> 00:24:17,790 追って沙汰する。 253 00:24:17,790 --> 00:24:27,199 関白殿。 政宗殿は 秀長殿との好誼を重んじられ 和議を…。 254 00:24:27,199 --> 00:24:30,202 追って沙汰すると言うておろうが! 255 00:24:38,210 --> 00:24:41,513 とうとう来たか…。 256 00:24:49,555 --> 00:24:54,226 秀長殿と秀吉殿のご意見は 違うそうな…。 257 00:24:54,226 --> 00:24:56,895 秀長殿がおられいでは➡ 258 00:24:56,895 --> 00:25:00,499 秀吉殿は このわしを 成敗なさる所存やもしれませぬな。 259 00:25:00,499 --> 00:25:03,168 いや お案じ召されますな。 260 00:25:03,168 --> 00:25:08,507 こたびの出陣がかなわずとも 秀長殿ご存命の間は➡ 261 00:25:08,507 --> 00:25:11,410 石田三成ごときの言うままには させませぬ。 262 00:25:11,410 --> 00:25:17,516 利休殿 何とぞ よしなに お力添えくださりまするよう…。 263 00:25:17,516 --> 00:25:23,856 秀吉殿も 奥羽における政宗殿の力は ようご承知じゃ。 264 00:25:23,856 --> 00:25:29,528 和議が成れば 北条にも また 奥羽平定にも➡ 265 00:25:29,528 --> 00:25:32,197 これ以上 有利なことはござらぬ。 266 00:25:32,197 --> 00:25:35,100 利休殿がついてくだされておれば…。 267 00:25:35,100 --> 00:25:42,541 (利休)いやいや わしは ただの茶頭じゃ。 268 00:25:42,541 --> 00:25:45,878 秀長殿に もしものことがあれば➡ 269 00:25:45,878 --> 00:25:52,551 その時こそ この利休の命運も尽きるやもしれませぬ。 270 00:25:52,551 --> 00:25:55,220 利休殿…。 271 00:25:55,220 --> 00:25:58,891 昔は ようござった…。 272 00:25:58,891 --> 00:26:08,167 家臣 皆一丸となって 秀吉殿をもり立てて…。 273 00:26:08,167 --> 00:26:15,507 いや 豊臣家も ここまで大きゅうなると なかなか難しゅうございまするわ。➡ 274 00:26:15,507 --> 00:26:18,210 ハッハッハッハ…。 275 00:26:21,180 --> 00:26:23,115 ⚟(笑い声) 276 00:26:23,115 --> 00:26:26,852 (秀長)鶴松の顔など見とうもないと 言っておった おっ母様が…。 ハハハッ。 277 00:26:26,852 --> 00:26:31,190 鶴松君がおらいでは 夜も日も明けられませぬ。 278 00:26:31,190 --> 00:26:34,526 (なか)赤子というものは 無心なものじゃ。➡ 279 00:26:34,526 --> 00:26:40,399 誰の子であろうと 慈しめば懐いてくれる。 正直なものよのう。 280 00:26:40,399 --> 00:26:44,536 (秀長)聚楽第も にぎやかなことじゃ。 ハッハッハッハ。 281 00:26:44,536 --> 00:26:48,407 伊達政宗殿との和議も 成り立ちましたそうな。 282 00:26:48,407 --> 00:26:51,877 これも 秀長殿のおかげでございます。 283 00:26:51,877 --> 00:26:57,216 これで 小田原が落ちれば 奥羽平定は 容易でございます。 284 00:26:57,216 --> 00:27:00,486 もう ご案じなさることはございませぬ。 285 00:27:00,486 --> 00:27:05,157 北条も 2か月にわたる籠城に疲れて 和議の動きも出始めたそうだ。 286 00:27:05,157 --> 00:27:10,829 ま いずれにしても 小田原が落ちるのに 時はかかりますまい。 287 00:27:10,829 --> 00:27:14,700 秀吉殿も 早う ご帰陣なさりとうございましょう。 288 00:27:14,700 --> 00:27:20,839 お義母様のことを気遣うて 陣中から 大政所様に お文が届きました。 289 00:27:20,839 --> 00:27:23,175 おお。 これじゃ これじゃ。 290 00:27:23,175 --> 00:27:26,078 わしがのう 字を読めぬのを 知っておって…。 291 00:27:26,078 --> 00:27:30,048 じゃがのう 藤吉郎から文をもらうのは 初めてじゃ。 292 00:27:30,048 --> 00:27:33,185 もう ねねさに 何度も読んでもろうた。 293 00:27:33,185 --> 00:27:35,187 どら どら どら…。 294 00:27:37,055 --> 00:27:41,527 「返す返す 我が身こと お案じなされましく候。➡ 295 00:27:41,527 --> 00:27:45,864 一段と息災にて お膳も上がり候まま お心安く候べく候」。 296 00:27:45,864 --> 00:27:50,536 藤吉郎も息災で 飯も よう食うておるそうな。 297 00:27:50,536 --> 00:27:53,872 「そもじ様」…。 ハッハッハッハ。 298 00:27:53,872 --> 00:28:00,145 「そもじ様 ご遊山候て 気をも慰め 若くおなり候て給うべく」…。 299 00:28:00,145 --> 00:28:13,158 (せみの声) 300 00:28:13,158 --> 00:28:16,495 北条も これまで。 301 00:28:16,495 --> 00:28:20,198 落城は 目前よのう。 302 00:28:30,842 --> 00:28:33,545 三河殿も いたされよ。 303 00:28:44,389 --> 00:28:51,096 北条の遺領 関八州は 三河殿に進ぜよう。 304 00:28:55,534 --> 00:28:58,537 よし。 ああ~。 305 00:29:02,808 --> 00:29:12,150 これぞ吉兆。 以後 関東の連小便と伝えましょうぞ。 306 00:29:12,150 --> 00:29:18,156 (笑い声) 307 00:29:23,161 --> 00:29:28,867 (正信)それは 徳川を関東へ移封する ということではございませんか!? 308 00:29:36,508 --> 00:29:38,443 いかにも。 309 00:29:38,443 --> 00:29:41,380 (康政)ならば これまでの領地領民を捨てて➡ 310 00:29:41,380 --> 00:29:43,849 関東へ行けと!? 311 00:29:43,849 --> 00:29:47,719 国替えじゃ。 致し方あるまい。 312 00:29:47,719 --> 00:29:51,723 そのような大事を 立ち小便をしながら 軽々しく! 313 00:29:51,723 --> 00:29:58,196 どこじゃろうと 何をしながらじゃろうと 関白の命令に変わりはないわ。 314 00:29:58,196 --> 00:30:01,867 (正信)ならば 殿は 関白の言うがままに…! 315 00:30:01,867 --> 00:30:04,202 まさか そのような…。 316 00:30:04,202 --> 00:30:08,540 三河は 松平家父祖伝来の地。➡ 317 00:30:08,540 --> 00:30:12,411 殿が 半生をかけて養われた ご領地ではございませんか!➡ 318 00:30:12,411 --> 00:30:16,214 それを捨てて 見も知らぬ関東へ行くなどと…! 319 00:30:16,214 --> 00:30:19,885 たとえ 関白の言葉といえど 我らは承服できませぬ! 320 00:30:19,885 --> 00:30:22,888 しかも 江戸を居城にせよとまで…! 321 00:30:26,758 --> 00:30:37,903 わしとて 関白の意のままになるのは 口惜しい。 無念じゃ。 322 00:30:37,903 --> 00:30:42,574 じゃが これに背けば 徳川は潰されよう。 323 00:30:42,574 --> 00:30:46,445 関白とて それを待っておるやもしれぬ。 324 00:30:46,445 --> 00:30:49,448 ならば 殿は 関東へ…? 325 00:30:49,448 --> 00:30:58,590 伊豆 相模 武蔵 上野 下野 常陸 下総 上総が 手に入るのじゃ。 326 00:30:58,590 --> 00:31:00,859 悪い取り引きではない。 327 00:31:00,859 --> 00:31:02,794 たとえ 領地が増えようと➡ 328 00:31:02,794 --> 00:31:06,732 海のものとも山のものとも分からぬ 関東でございますぞ! 329 00:31:06,732 --> 00:31:10,202 これから 我らが開いていけば ええことじゃ。 330 00:31:10,202 --> 00:31:12,204 殿! 331 00:31:15,073 --> 00:31:18,076 江戸とて捨てたものではないぞ。 332 00:31:18,076 --> 00:31:22,214 江戸には 海がある。 333 00:31:22,214 --> 00:31:26,084 関東を流れる川も 全て その海に注いでおる。 334 00:31:26,084 --> 00:31:29,087 地の利は 十分じゃ。 しかし…。 335 00:31:29,087 --> 00:31:37,562 また 関東は 源 頼朝公 開幕の地。 我らにとっても 縁起がええ。 336 00:31:37,562 --> 00:31:40,465 殿! 337 00:31:40,465 --> 00:31:45,470 徳川存続のためにも 行かねばならぬのじゃ! 338 00:31:54,579 --> 00:32:00,852 また 三河へ戻る時もあろう。 339 00:32:00,852 --> 00:32:04,856 必ず三河へ戻ってみせるわ。 340 00:32:07,726 --> 00:32:10,729 未練じゃぞ! 341 00:32:15,200 --> 00:32:18,537 ワッハッハッハッハッハ! 342 00:32:18,537 --> 00:32:23,208 (利家) それは思い切ったことをなさいましたな。 343 00:32:23,208 --> 00:32:28,880 じゃが 果たして 三河殿が承服なさいますかどうか…。 344 00:32:28,880 --> 00:32:35,554 フン…。 気に入らねば 旧領をも召し上げるまでじゃ。 345 00:32:35,554 --> 00:32:40,892 これからはのう 諸大名の国替えは わしの思うたままにやる。 346 00:32:40,892 --> 00:32:45,564 そうでのうては 利家殿 天下は治まりませぬわ。 347 00:32:45,564 --> 00:32:48,466 アッハッハッハッハ。 348 00:32:48,466 --> 00:32:51,469 (官兵衛)殿! ああ 官兵衛殿。 349 00:32:53,238 --> 00:32:56,908 北条氏直が 一人小田原城を出➡ 350 00:32:56,908 --> 00:32:59,578 降伏の儀 申し入れてまいりましてございます。 351 00:32:59,578 --> 00:33:02,180 何 氏直が…? 352 00:33:02,180 --> 00:33:06,852 (官兵衛)氏直は 罪を謝して切腹し➡ 353 00:33:06,852 --> 00:33:16,161 自らの命に代えて 父 氏政 叔父 氏照 ならびに 将卒の助命を乞うております。 354 00:33:18,864 --> 00:33:23,735 とうとう覚悟しおったか 北条も…。 355 00:33:23,735 --> 00:33:26,204 ハハハッ。 356 00:33:26,204 --> 00:33:32,544 <天正18年7月5日。 ついに 小田原攻めは終結した。➡ 357 00:33:32,544 --> 00:33:39,885 ここに 早雲以来 約100年にわたって 関東に君臨した北条氏は滅亡した。➡ 358 00:33:39,885 --> 00:33:47,759 7月13日 秀吉は 小田原城へ入り 正式に 家康の関東転封を公表。➡ 359 00:33:47,759 --> 00:33:54,065 家康は 父祖伝来の地 三河を捨て 直ちに江戸へ向かった> 360 00:33:58,236 --> 00:34:04,843 <17日 秀吉は 奥羽平定のため 小田原を出発。➡ 361 00:34:04,843 --> 00:34:10,148 茶々は 鶴松の待つ 京の聚楽第に帰ってきた> 362 00:34:18,189 --> 00:34:25,063 小田原攻めも無事に終わり ただいま戻りましてございます。 363 00:34:25,063 --> 00:34:31,202 長い陣中 よう 関白殿下にお仕えくだされました。 364 00:34:31,202 --> 00:34:33,872 礼を言います。 365 00:34:33,872 --> 00:34:42,881 留守中 鶴松君のお世話を頂きまして かたじけのうございました。 366 00:34:42,881 --> 00:34:50,221 お熱一つ出されず ご機嫌よう お過ごしになられました。 367 00:34:50,221 --> 00:34:54,092 大政所様も それはお喜びで…。 368 00:34:54,092 --> 00:34:59,230 鶴松君も ばば様 ばば様と懐かれて…。 369 00:34:59,230 --> 00:35:03,501 すっかり大きゅうなられました。 370 00:35:03,501 --> 00:35:09,374 大政所様 北政所様に いとおしんでいただきまして➡ 371 00:35:09,374 --> 00:35:12,377 私も 心おきのう…。 372 00:35:14,512 --> 00:35:16,848 (なか)おう? ホッホッホッホ…。 373 00:35:16,848 --> 00:35:22,520 のう 鶴松。 ばばのことを忘れず また来てくだされよ。 374 00:35:22,520 --> 00:35:25,523 ふう~ ふう~ ふう~。 375 00:35:30,195 --> 00:35:35,066 (乳母) 長い間 お世話になりましてございます。➡ 376 00:35:35,066 --> 00:35:37,068 それでは…。 377 00:35:50,515 --> 00:35:52,517 あっ。 378 00:35:56,421 --> 00:36:00,125 これ! こ…。 379 00:36:06,831 --> 00:36:09,734 (淀殿)鶴松! 380 00:36:09,734 --> 00:36:16,841 母でございます。 大きゅうなられて。 鶴松君。 381 00:36:16,841 --> 00:36:22,180 ♬~ 382 00:36:22,180 --> 00:36:26,184 また寂しゅうなるのう。 383 00:36:33,525 --> 00:36:43,201 まんかか様の何のと言われても 鶴松君の母上は 淀殿でございます。 384 00:36:43,201 --> 00:36:50,508 私たちが いくらいとおしんでも 淀殿には及びませぬ。 385 00:37:00,151 --> 00:37:08,460 <その年の9月1日 秀吉は 奥羽平定を終えて 京へ凱旋した> 386 00:37:11,162 --> 00:37:14,499 皆 息災で 何よりじゃった。 387 00:37:14,499 --> 00:37:20,171 おっ母様のお顔の色もええし…。 アッハッハッハ。 388 00:37:20,171 --> 00:37:25,844 殊に 秀長が 聚楽第で わしを迎えてくれようとはのう。 389 00:37:25,844 --> 00:37:30,715 秀長 病がようなって よかったのう。 おう? 390 00:37:30,715 --> 00:37:34,185 でも あまりご無理をなさいませぬように。 391 00:37:34,185 --> 00:37:37,522 わしは 清洲の頃 よう 兄者と共に 戦に従い➡ 392 00:37:37,522 --> 00:37:40,191 何度 生死の境を越えてきたか知れませぬ。 393 00:37:40,191 --> 00:37:43,862 これしきの病に くたばるような 秀長ではござりませぬわ。 394 00:37:43,862 --> 00:37:46,531 そうよ 秀長! ハッハッハ。 ハッハッハッハ。 395 00:37:46,531 --> 00:37:51,402 よう ここまで戦うてきたものよのう。 396 00:37:51,402 --> 00:37:54,873 秀長が わしのところへ 来てくれるようになってから➡ 397 00:37:54,873 --> 00:37:58,543 もはや30年よ。 長かったのう。 398 00:37:58,543 --> 00:38:01,813 じゃが やっと済んだわ。 ハッハ。 399 00:38:01,813 --> 00:38:07,152 北条を下し 奥羽を平定し これが最後の戦じゃ。 400 00:38:07,152 --> 00:38:11,022 日本全国津々浦々 ことごとく従えたわ。 401 00:38:11,022 --> 00:38:13,491 まことの天下統一も成った! 402 00:38:13,491 --> 00:38:19,164 秀長 これも おぬしの助けがあったからこそよ。 403 00:38:19,164 --> 00:38:21,833 おぬしのおかげぞ! ささっ。 404 00:38:21,833 --> 00:38:25,703 いや… わしは ただ 兄者についてきただけのことじゃ。 405 00:38:25,703 --> 00:38:28,506 (とも)何にしても めでたいことじゃ。 406 00:38:28,506 --> 00:38:32,377 信長様にできなんだことを 藤吉郎が果たしたのじゃから。 407 00:38:32,377 --> 00:38:34,846 ハッハッハッハ。 のう? おっ母様。 408 00:38:34,846 --> 00:38:38,716 おっ母様も 長生きしたかいがあったというものじゃ。 409 00:38:38,716 --> 00:38:41,719 (なか)あの小猿がのう。 (笑い声) 410 00:38:41,719 --> 00:38:44,856 (とも)秀次は こたびの戦でも 手柄を立てたのか? 411 00:38:44,856 --> 00:38:47,759 ああ。 よう働いてくれたわ。 412 00:38:47,759 --> 00:38:51,196 奥羽では 会津 白河の検地を 秀次に任せ➡ 413 00:38:51,196 --> 00:38:55,066 その近辺のことは 宇喜多秀家殿に申しつけた。 414 00:38:55,066 --> 00:39:00,805 お豪ものう寂しかろうがのう それが済めば 秀家殿も戻ってこられる。 415 00:39:00,805 --> 00:39:03,474 それまでの辛抱じゃ。 (豪)はい。 416 00:39:03,474 --> 00:39:07,812 お前様 於義伊殿は? ああ。 417 00:39:07,812 --> 00:39:14,485 小田原の陣のあとのう 関東の名門 結城晴朝殿の家督10万石を継がれ➡ 418 00:39:14,485 --> 00:39:16,821 結城秀康となられたわ。 419 00:39:16,821 --> 00:39:20,491 では もう戻ってはまいられませぬのか? 420 00:39:20,491 --> 00:39:24,162 藤吉郎には 鶴松さえおれば ええのじゃから。 421 00:39:24,162 --> 00:39:26,097 姉様。 422 00:39:26,097 --> 00:39:31,035 養子になっても 小吉のように 冷とうされてはのう…。 423 00:39:31,035 --> 00:39:34,505 姉様 めでたい席で そのような…。 424 00:39:34,505 --> 00:39:38,176 何があろうと 豊臣家の世継ぎは 鶴松君じゃ。 425 00:39:38,176 --> 00:39:40,511 お忘れなされますな。 426 00:39:40,511 --> 00:39:47,185 じゃがのう 天下を取ったら取ったで また もめ事が起きる。 427 00:39:47,185 --> 00:39:51,489 人は ほどほどにせにゃ いかんのじゃ。 428 00:40:03,735 --> 00:40:07,872 ああ… ハッハッハ。 429 00:40:07,872 --> 00:40:15,747 おかか。 淀と鶴松のことでは おかかにも 面倒かけたのう。 430 00:40:15,747 --> 00:40:19,884 いいえ。 お前様のお心遣いで➡ 431 00:40:19,884 --> 00:40:24,555 久しぶりに おかからしい つとめをさせていただきました。 432 00:40:24,555 --> 00:40:31,429 鶴松君をおあずかりして 昔に戻ったような気がして…。 433 00:40:31,429 --> 00:40:36,167 お義母様も あさひ殿を亡くされた寂しさを➡ 434 00:40:36,167 --> 00:40:38,569 お忘れのようで。 435 00:40:38,569 --> 00:40:44,575 そうか。 それは 何よりじゃった。 ハッハッハッハ。 436 00:40:46,244 --> 00:40:48,246 ハッハッハッハ。 437 00:40:58,589 --> 00:41:03,861 お義母様も私も 鶴松君をお守りして➡ 438 00:41:03,861 --> 00:41:07,732 豊臣家の ええお世継ぎになっていただけるよう➡ 439 00:41:07,732 --> 00:41:10,535 願うております。 440 00:41:10,535 --> 00:41:13,204 よう言うてくれた。 441 00:41:13,204 --> 00:41:16,708 おかかが 心より 鶴松をいとおしんでくれるのが➡ 442 00:41:16,708 --> 00:41:19,610 わしには 何よりも うれしいわ。 443 00:41:19,610 --> 00:41:25,416 お前様は 天下統一のおつとめを果たされ➡ 444 00:41:25,416 --> 00:41:28,419 鶴松君という お世継ぎもでき➡ 445 00:41:28,419 --> 00:41:33,891 豊臣家にとって もう 何の憂いもなくなりました。 446 00:41:33,891 --> 00:41:36,227 おめでとう存じます。 447 00:41:36,227 --> 00:41:40,898 エッヘヘヘ…。 おかか。 ハッハッハッハ。 448 00:41:40,898 --> 00:41:46,771 しばらくは 鶴松君をお相手に ゆっくりなされませ。 449 00:41:46,771 --> 00:41:52,243 ああ。 有馬へ 湯治にでも行くつもりよ。 450 00:41:52,243 --> 00:41:57,115 それは よろしゅうございますなあ。 451 00:41:57,115 --> 00:42:02,854 淀殿とて 小田原の出陣で お疲れでございましょう。 452 00:42:02,854 --> 00:42:06,524 ねぎろうてさしあげてくだされ。 453 00:42:06,524 --> 00:42:09,861 おかかと行くわ。 454 00:42:09,861 --> 00:42:14,165 おかかと2人きりでのう。 455 00:42:16,534 --> 00:42:18,536 お前様…。 456 00:42:20,204 --> 00:42:25,877 わしが今日あるは おかかのおかげじゃ。 457 00:42:25,877 --> 00:42:29,580 誰よりも おかかをねぎらわねば。 458 00:42:31,215 --> 00:42:36,921 それを楽しみに 奥羽より戻ってきたのじゃ。 459 00:42:39,090 --> 00:42:42,560 わしのおかかは 日本一じゃ。 460 00:42:42,560 --> 00:42:45,463 日本一のおかかじゃ。 461 00:42:45,463 --> 00:42:48,232 誰にも おかかには及ばぬわ。 462 00:42:48,232 --> 00:42:52,570 わしには 何よりも大事な おかかじゃ。 463 00:42:52,570 --> 00:42:59,243 そのおかかとのう 2人きりで行きたいのよ。 464 00:42:59,243 --> 00:43:08,052 ♬~ 465 00:43:08,052 --> 00:43:13,524 <鶴松の誕生や あさひの死で 暗い思いに閉ざされていた ねねには➡ 466 00:43:13,524 --> 00:43:16,861 思いがけない秀吉の言葉であった。➡ 467 00:43:16,861 --> 00:43:22,733 今 名実ともに天下統一を果たした秀吉と ねねとの間に➡ 468 00:43:22,733 --> 00:43:29,207 再び 昔と変わらぬ夫婦の信頼が よみがえっていた。➡ 469 00:43:29,207 --> 00:43:34,545 秀吉54歳 ねね43歳。➡ 470 00:43:34,545 --> 00:43:41,552 清洲で ささやかな祝言を挙げてから 29年目の秋であった>