1 00:00:35,991 --> 00:00:40,262 <八代将軍 吉宗が設けた 目安箱は➡ 2 00:00:40,262 --> 00:00:47,252 毎月3回 すなわち 2日 11日 21日の3日に限り➡ 3 00:00:47,252 --> 00:00:51,256 朝から正午まで 龍口評定所門前に置かれ➡ 4 00:00:51,256 --> 00:00:56,256 武士を除いて 誰でも投書する事ができた> 5 00:01:04,253 --> 00:01:06,922 和泉守。 6 00:01:06,922 --> 00:01:11,994 (水野)いえ 匿名の訴状は 取り上げられぬ定め…。 7 00:01:11,994 --> 00:01:14,813 誹謗中傷でも構わん。 8 00:01:14,813 --> 00:01:17,613 見せよ。 は…。 9 00:01:23,822 --> 00:01:27,022 越前を呼べ。 10 00:01:28,710 --> 00:01:30,913 螢火の五郎蔵? 11 00:01:30,913 --> 00:01:33,916 その方が 南町奉行になる前の事でも➡ 12 00:01:33,916 --> 00:01:36,318 話には聞いておろう。 13 00:01:36,318 --> 00:01:39,254 大名 旗本の屋敷ばかりを 荒らし回って➡ 14 00:01:39,254 --> 00:01:41,323 ついには 勘定屋敷から➡ 15 00:01:41,323 --> 00:01:44,827 御用金 四千両を盗み出したという 不敵な盗賊。 16 00:01:44,827 --> 00:01:48,981 今日まで行方の知れぬ憎い奴。 17 00:01:48,981 --> 00:01:55,320 きっと捕らえて 御用金 四千両 取り返してもらいたい。 18 00:01:55,320 --> 00:02:08,020 ♬~ 19 00:02:18,644 --> 00:02:25,344 お連れ様 遅うございますね。 ああ… もう 来ねえんだろう。 20 00:02:26,985 --> 00:02:30,272 おう 邪魔したな。 21 00:02:30,272 --> 00:02:34,142 こ… こんなに たくさん!? 22 00:02:34,142 --> 00:02:39,842 おのれ 何 隠していやがる? 23 00:02:41,984 --> 00:02:45,103 (筧)螢火の五郎蔵 御用だ! 24 00:02:45,103 --> 00:02:58,903 ♬~ 25 00:03:14,750 --> 00:03:18,604 五郎蔵 もはや 逃れられぬぞ。 26 00:03:18,604 --> 00:03:31,304 ♬~ 27 00:03:32,935 --> 00:03:35,487 ううっ…! 28 00:03:35,487 --> 00:04:44,987 ♬~ 29 00:04:47,092 --> 00:04:51,592 ♬~ 30 00:04:53,582 --> 00:04:59,421 御用金の四千両 どこへ隠したか 正直に申せ。 31 00:04:59,421 --> 00:05:05,927 そんなものは もう とっくに使い切っちまいましたよ。 32 00:05:05,927 --> 00:05:08,313 子分思いのお前が➡ 33 00:05:08,313 --> 00:05:12,918 石を抱かされても 決して言わぬと 心に決めた 四千両➡ 34 00:05:12,918 --> 00:05:17,656 親の心を知らぬ子分は その方を訴人して➡ 35 00:05:17,656 --> 00:05:21,309 おのがものにしようと 企んだ。 36 00:05:21,309 --> 00:05:23,645 …ハハハ! 37 00:05:23,645 --> 00:05:27,983 そんな あたじけねえ根性の 子分はいねえよ。 38 00:05:27,983 --> 00:05:30,152 ならば この2年➡ 39 00:05:30,152 --> 00:05:34,756 北と南の奉行所が 懸命の探索にも➡ 40 00:05:34,756 --> 00:05:37,492 一度も尻尾を見せなかった お前が➡ 41 00:05:37,492 --> 00:05:42,247 昨夜に限って 何故 捕まった? 42 00:05:42,247 --> 00:05:46,485 そりゃあ これまでの奉行と違って➡ 43 00:05:46,485 --> 00:05:49,654 大岡様は 名奉行って訳でござんしょ。 44 00:05:49,654 --> 00:05:53,258 ねえ? ハハハハハ! 45 00:05:53,258 --> 00:05:57,258 五郎蔵 これを見よ。 46 00:06:16,248 --> 00:06:22,754 何者かが これを目安箱に投げ込み 上様から この越前に…。 47 00:06:22,754 --> 00:06:24,823 嘘だ! 48 00:06:24,823 --> 00:06:29,311 名奉行とうたわれるなら もうちっと ましな手 考えてくれ。 49 00:06:29,311 --> 00:06:32,681 はばかりながら この五郎蔵には➡ 50 00:06:32,681 --> 00:06:37,486 そんな汚えまねする仲間は 一人もいねえ! 51 00:06:37,486 --> 00:06:41,823 大岡様 たとえ この五郎蔵➡ 52 00:06:41,823 --> 00:06:45,811 磔 獄門にされたとしても➡ 53 00:06:45,811 --> 00:06:53,511 御用金の四千両 どこにあるとは 決して言わねえ。 54 00:07:01,977 --> 00:07:05,580 こりゃ 重い…! 55 00:07:05,580 --> 00:07:07,880 (おぎん) しっ! 声が大きいんだよ! 56 00:07:12,320 --> 00:07:14,923 (仙三)何だよ 空っぽじゃねえかよ!➡ 57 00:07:14,923 --> 00:07:17,976 千両箱なんかねえじゃねえか! どこにあるんだよ!? 58 00:07:17,976 --> 00:07:19,928 そんな 馬鹿な! 59 00:07:19,928 --> 00:07:23,765 だって… 仏に守られてる場所に 埋めたって➡ 60 00:07:23,765 --> 00:07:26,585 そう言ったんだよ 五郎蔵が! 61 00:07:26,585 --> 00:07:30,322 (留松)もう お前には本当の事を 言う気が失せたって事だ。 62 00:07:30,322 --> 00:07:32,324 なあ? そうだよ。 63 00:07:32,324 --> 00:07:36,811 お前より大事な女が 親分にはいたって事さな。 64 00:07:36,811 --> 00:07:40,482 女? 7年前に別れた 昔の女房。 65 00:07:40,482 --> 00:07:44,319 昔の女房が この江戸へ出てきたってのかい? 66 00:07:44,319 --> 00:07:46,588 ≪大変だ! 67 00:07:46,588 --> 00:07:49,658 富治。 お前 どうしたんだよ? 68 00:07:49,658 --> 00:07:52,310 お… 親分が! 親分が! 69 00:07:52,310 --> 00:07:55,010 親分が どうしたってんだ!? おい! 70 00:08:01,753 --> 00:08:09,644 ≪(片瀬)おい 代わろう。 おい 代わるぞ。 71 00:08:09,644 --> 00:08:13,144 (立花)お願いします…。 72 00:08:17,652 --> 00:08:21,952 (片瀬)これは 駄目だ。 辰。 鍬 取ってくれ。 73 00:08:24,926 --> 00:08:29,648 与吉 危ないよ。 74 00:08:29,648 --> 00:08:31,983 何なんです? 75 00:08:31,983 --> 00:08:35,654 螢火の五郎蔵だってさ。 あら 泥棒? 76 00:08:35,654 --> 00:08:37,589 ただの泥棒じゃねえ。 77 00:08:37,589 --> 00:08:41,326 勘定屋敷から四千両も盗んだ 螢火は 大泥棒だぜ。 78 00:08:41,326 --> 00:08:44,346 すげえな すげえな! 79 00:08:44,346 --> 00:08:47,582 螢火だってよ おっ母! 80 00:08:47,582 --> 00:08:49,651 ああ 螢火。 81 00:08:49,651 --> 00:08:52,087 大岡様に捕まって さすがの五郎蔵も➡ 82 00:08:52,087 --> 00:08:54,089 隠しきれなかったんだな。 83 00:08:54,089 --> 00:08:56,658 四千両の隠し場所…。 白状しちゃったんですか? 84 00:08:56,658 --> 00:08:59,311 四千両なんて めったに拝めるもんじゃねえぞ。 85 00:08:59,311 --> 00:09:04,916 お~い! 早く掘ってくれ! 見せてくれよ! 螢火 日本一! 86 00:09:04,916 --> 00:09:10,088 ≪いよっ! 螢火! ≪日本一! ≪見せてくれよ! 87 00:09:10,088 --> 00:09:25,253 ♬~ 88 00:09:25,253 --> 00:09:29,324 おっ母? おっ母! 89 00:09:29,324 --> 00:09:31,476 …帰ろう。 えっ? 90 00:09:31,476 --> 00:09:33,676 帰るんだよ! 91 00:09:36,264 --> 00:09:41,419 嘘だよ。 そうだよなあ。 92 00:09:41,419 --> 00:09:45,090 騙したのか 役人を。 93 00:09:45,090 --> 00:09:47,142 ハハハハ! 94 00:09:47,142 --> 00:09:49,342 おい。 おい。 95 00:10:02,440 --> 00:10:06,094 ごめんなすって。 ごめんなすって。 96 00:10:06,094 --> 00:10:08,294 行ってきます。 97 00:10:11,149 --> 00:10:13,318 五郎蔵! 98 00:10:13,318 --> 00:10:15,654 (辰三)本当に ここに 埋めたのかよ? 99 00:10:15,654 --> 00:10:19,658 そんな事 言ったか? 何!? 100 00:10:19,658 --> 00:10:23,428 俺は この辺りの土なら 軟らかくて➡ 101 00:10:23,428 --> 00:10:26,815 掘りやすいんじゃねえかって 言っただけだよ。 102 00:10:26,815 --> 00:10:31,086 この野郎…! 騙したのか! (辰三)旦那! 103 00:10:31,086 --> 00:10:33,655 ≪こら! 卑怯だぞ! 104 00:10:33,655 --> 00:10:36,324 (橋田)よせ! よさねえか! 駄目だって 旦那! 105 00:10:36,324 --> 00:10:39,978 ≪卑怯者! 江戸っ子は 弱い者の味方だ。 106 00:10:39,978 --> 00:10:43,978 ありがてえなあ。 ハハハハハ! 107 00:10:53,308 --> 00:10:56,311 どうしたの? 与吉。 108 00:10:56,311 --> 00:10:58,913 おっ母こそ 何だよ! 109 00:10:58,913 --> 00:11:03,585 もっと見ていたかったのに 五郎蔵。 110 00:11:03,585 --> 00:11:07,822 あんなもん 子どもが見るもんじゃないよ。 111 00:11:07,822 --> 00:11:12,093 おいらのチャンも 五郎蔵だろ? 112 00:11:12,093 --> 00:11:15,480 えっ? 鍛冶屋のじっちゃんが言ったよ。 113 00:11:15,480 --> 00:11:21,419 「与吉 お前のチャンは五郎蔵。 しっかり覚えて 忘れんな」って。 114 00:11:21,419 --> 00:11:25,657 …そうだよ。 お前のチャンは 五郎蔵だ。 115 00:11:25,657 --> 00:11:29,644 なら 螢火の五郎蔵が… チャン! 116 00:11:29,644 --> 00:11:31,596 違う! 117 00:11:31,596 --> 00:11:33,581 名前は同じ 五郎蔵でも➡ 118 00:11:33,581 --> 00:11:36,251 チャンは まっとう正直な 腕のいい石工! 119 00:11:36,251 --> 00:11:39,104 泥棒なんかであるもんかい! 120 00:11:39,104 --> 00:11:57,489 ♬~ 121 00:11:57,489 --> 00:12:02,289 俺に いい考えがある。 何? 122 00:12:04,813 --> 00:12:09,613 (獄吏)新入りがあるぞ 受け取れ! (一同)へい。 123 00:12:12,420 --> 00:12:18,927 「地獄の沙汰も金しだい」。 命の蔓は持ってきたか? 124 00:12:18,927 --> 00:12:22,263 へい。 125 00:12:22,263 --> 00:12:24,916 どうぞ お納め下さいまし。 126 00:12:24,916 --> 00:12:28,603 おい 2分 持ってきやがったぜ。 127 00:12:28,603 --> 00:12:30,588 ほう! 128 00:12:30,588 --> 00:12:36,094 おい! 何 やらかしてきやがった? 129 00:12:36,094 --> 00:12:40,315 いや もう けちな置き引きで… へい。 130 00:12:40,315 --> 00:12:48,590 けちな置き引き こそ泥で 蔓を2分とは 上出来だ。 131 00:12:48,590 --> 00:12:51,326 お前 ここをなめるなよ! 132 00:12:51,326 --> 00:12:53,326 うわっ! 133 00:12:54,963 --> 00:12:58,316 た… 助けてくれ。 134 00:12:58,316 --> 00:13:00,316 ひっ! 135 00:13:01,986 --> 00:13:06,441 何だ 富じゃねえか。 136 00:13:06,441 --> 00:13:09,427 親分… 助けて下さい! 137 00:13:09,427 --> 00:13:13,314 こら! 勘弁してやってくれ。 138 00:13:13,314 --> 00:13:15,600 へ… へい。 139 00:13:15,600 --> 00:13:20,088 何しに来た? 140 00:13:20,088 --> 00:13:22,590 なんとか 親分が➡ 141 00:13:22,590 --> 00:13:24,993 ここから出られる 手だてはねえかと➡ 142 00:13:24,993 --> 00:13:27,595 お指図を頂戴しに。 143 00:13:27,595 --> 00:13:29,647 俺は駄目だ。 144 00:13:29,647 --> 00:13:34,752 相手は 大岡越前 諦めたよ 俺は。 145 00:13:34,752 --> 00:13:41,826 なら 四千両は どこにあるのか 教えておくんなさい。 146 00:13:41,826 --> 00:13:46,748 やっぱり それが知りたくて やって来たか? 147 00:13:46,748 --> 00:13:48,917 親分…。 148 00:13:48,917 --> 00:13:53,338 俺を売ったのも…➡ 149 00:13:53,338 --> 00:13:55,423 てめえか!? 150 00:13:55,423 --> 00:13:57,642 お… 親分! 151 00:13:57,642 --> 00:14:02,914 (五郎蔵)目 つぶっていてくれろ。 (一同)へい。 152 00:14:02,914 --> 00:14:08,753 耳も 塞いでいてくれろ。 (一同)へい。 153 00:14:08,753 --> 00:14:24,319 ♬~ 154 00:14:24,319 --> 00:14:27,322 入ってきた時から 具合が悪そうでしたよ。 155 00:14:27,322 --> 00:14:30,758 ああ。 しゃばで悪い物でも 食ったんじゃねえのか? 156 00:14:30,758 --> 00:14:34,646 何せ ひでえ腹痛で… なあ? 157 00:14:34,646 --> 00:14:38,917 のたうち回って 血 吐いて… なあ? 158 00:14:38,917 --> 00:14:40,919 嘘だな そりゃ。 159 00:14:40,919 --> 00:14:44,656 嘘? この胸のあざは 膝の痕。 160 00:14:44,656 --> 00:14:50,812 ぐいと踏みつけて 両手で首を絞めて 殺した。 161 00:14:50,812 --> 00:14:54,082 声も出せなかったろう これじゃあ。 162 00:14:54,082 --> 00:14:58,753 五郎蔵 お前の手下を お前が殺ったか? 163 00:14:58,753 --> 00:15:05,810 お奉行様 こんな やぶの寝言に 耳 貸しちゃいけねえよ。 164 00:15:05,810 --> 00:15:09,914 せっかくだが 五郎蔵 お前よりも➡ 165 00:15:09,914 --> 00:15:13,101 この伊織とのつきあいの方が ずっと長い。 166 00:15:13,101 --> 00:15:17,322 私の最も信頼している男だ。 167 00:15:17,322 --> 00:15:19,991 ほう…。 168 00:15:19,991 --> 00:15:26,814 けど 人の心ほど 当てにならねえものはねえよ。 169 00:15:26,814 --> 00:15:32,320 俺は この年になって はっきりと それをね…➡ 170 00:15:32,320 --> 00:15:35,820 思い知ったよ。 171 00:15:38,926 --> 00:15:42,313 越前! 何を ぐずぐずしているのだ! 172 00:15:42,313 --> 00:15:47,318 螢火を捕まえても 四千両 取り戻せねば 何にもならぬぞ! 173 00:15:47,318 --> 00:15:50,588 おそれながら…➡ 174 00:15:50,588 --> 00:15:55,309 五郎蔵は 国で 役人のひどい取り調べを受けて➡ 175 00:15:55,309 --> 00:15:57,812 悪の道へ落ちた男。 176 00:15:57,812 --> 00:16:02,316 なればこそ 大名 旗本といった 権柄ずくな相手ばかりを狙って➡ 177 00:16:02,316 --> 00:16:09,657 今 目の前に 死罪 磔になるのを 待っているのでございます。 178 00:16:09,657 --> 00:16:15,763 その男から四千両 どうやって 取り戻すと申すのじゃ? 179 00:16:15,763 --> 00:16:20,985 それを 今 考えております。 180 00:16:20,985 --> 00:16:28,593 留松 どこで女房に会ったって 親分 言ってたんだ? 181 00:16:28,593 --> 00:16:39,320 ああ… 「髪結い床で働いてた 手先の器用な女だからな」って➡ 182 00:16:39,320 --> 00:16:46,320 親分 懐かしそうに 言っていたなあ。 183 00:16:47,929 --> 00:16:49,929 そいつを捜すんだ。 184 00:17:00,591 --> 00:17:03,291 (おぎん)お栄さんだね? 185 00:17:06,581 --> 00:17:08,816 誰なんです? お前さん。 186 00:17:08,816 --> 00:17:11,986 私に 何の用があるっていうんです? 187 00:17:11,986 --> 00:17:17,275 螢火の親分の件で来たって言やあ 分かるだろ? 188 00:17:17,275 --> 00:17:19,594 存じません そんな人。 189 00:17:19,594 --> 00:17:22,246 しらばっくれるんじゃないよ! 190 00:17:22,246 --> 00:17:26,250 焼けぼっくいに 火 付けて よろしくやってる牝狐が! 191 00:17:26,250 --> 00:17:28,986 おい! 192 00:17:28,986 --> 00:17:32,786 面白そうな話だな。 193 00:17:35,660 --> 00:17:38,913 後で 何か 聞く事になるかもしれねえや。 194 00:17:38,913 --> 00:17:42,984 名前は? …お栄。 195 00:17:42,984 --> 00:17:48,923 でも あの人も 螢火なんて人も 私 知りません。 196 00:17:48,923 --> 00:17:53,628 ふ~ん… そうかい。 197 00:17:53,628 --> 00:18:04,255 ♬~ 198 00:18:04,255 --> 00:18:06,257 おぎん! 199 00:18:06,257 --> 00:18:09,260 親分…! どうした? 五郎蔵。 200 00:18:09,260 --> 00:18:17,151 あ… いや さすがは大岡様と 感心しているんでございますよ。 201 00:18:17,151 --> 00:18:20,254 田所 この女を どこで捕らえた? 202 00:18:20,254 --> 00:18:26,928 碇床って髪結い床の 女髪結いの お栄って女に…。 203 00:18:26,928 --> 00:18:29,981 えっ? 204 00:18:29,981 --> 00:18:37,839 螢火の親分が どうとかって 食ってかかってやがったもんでね。 205 00:18:37,839 --> 00:18:40,925 知らねえなあ。 206 00:18:40,925 --> 00:18:44,425 俺は 何にも知らねえよ。 207 00:18:46,097 --> 00:18:48,082 五郎蔵は もういい。 208 00:18:48,082 --> 00:18:51,602 牢屋敷へ戻してやれ。 はっ。 209 00:18:51,602 --> 00:19:02,580 ♬~ 210 00:19:02,580 --> 00:19:04,815 誰だい? 211 00:19:04,815 --> 00:19:08,315 ≪富治あにいの お仲間だね? 212 00:19:11,756 --> 00:19:14,091 誰だ? てめえは。 213 00:19:14,091 --> 00:19:16,791 猿の三次。 214 00:19:21,249 --> 00:19:28,249 こいつをね お前さんたちに 届けてくれって頼まれて。 215 00:19:31,259 --> 00:19:34,262 富治あにいからって言うより➡ 216 00:19:34,262 --> 00:19:37,598 螢火の親分からって 言った方がいいかな。 217 00:19:37,598 --> 00:19:39,650 親分から? 218 00:19:39,650 --> 00:19:43,350 (一同)おありがとうごぜえやす。 219 00:19:46,991 --> 00:19:49,994 おい。 うん? 220 00:19:49,994 --> 00:19:52,694 すまねえ。 221 00:20:06,928 --> 00:20:24,645 ♬~ 222 00:20:24,645 --> 00:20:26,645 (床をたたく音) 223 00:20:42,246 --> 00:20:44,246 (仙三)親分! 224 00:20:46,250 --> 00:20:48,502 どうぞ! 225 00:20:48,502 --> 00:20:55,593 親分 このまま江戸を離れて また 上方で荒稼ぎ…。 226 00:20:55,593 --> 00:21:00,648 ねえ 親分 一緒に行きましょうよ。 227 00:21:00,648 --> 00:21:04,151 上方へ行く路銀はあるのか? 228 00:21:04,151 --> 00:21:08,923 だから 例の四千両。 229 00:21:08,923 --> 00:21:11,258 よし。 230 00:21:11,258 --> 00:21:13,661 おい 仙三! へい。 231 00:21:13,661 --> 00:21:16,314 舟 上手へやってくれ。 232 00:21:16,314 --> 00:21:19,014 合点でい! 233 00:21:32,313 --> 00:21:36,751 親分! 本当に ここにあるんですかい? 234 00:21:36,751 --> 00:21:39,251 ああ。 235 00:21:48,579 --> 00:21:51,279 うわっ! 痛え 痛え…。 236 00:21:53,250 --> 00:21:57,088 あの世へ行ったら 富治に よろしくな。 237 00:21:57,088 --> 00:22:02,093 富治も 牢で…! ああ 締めてやった。 238 00:22:02,093 --> 00:22:05,646 おぎんの始末は もう できねえが…。 239 00:22:05,646 --> 00:22:07,648 あの お栄っていう髪結いだって➡ 240 00:22:07,648 --> 00:22:10,985 金が手に入りゃあ さっさと逃げ出すに決まってる! 241 00:22:10,985 --> 00:22:15,990 俺が お栄と一緒になるために 金 隠したと思ったか? 242 00:22:15,990 --> 00:22:20,978 ふん! 分けりゃあ すぐに使っちまう 馬鹿ばっかり➡ 243 00:22:20,978 --> 00:22:25,416 足 洗った時の事を思って してやってるのによお。 244 00:22:25,416 --> 00:22:27,418 うるせえ この野郎! 245 00:22:27,418 --> 00:22:30,321 愛想が尽きりゃあ 五分と五分…➡ 246 00:22:30,321 --> 00:22:33,321 覚悟しやがれ。 247 00:22:43,584 --> 00:22:46,284 ぐっ…! 野郎! 248 00:22:54,145 --> 00:22:59,583 けっ! 参った 参った…。 249 00:22:59,583 --> 00:23:01,919 へっ! 250 00:23:01,919 --> 00:23:05,423 ああ あっさりと 牢抜けできるなんざ➡ 251 00:23:05,423 --> 00:23:08,826 話がうますぎるとは思ったが…。 252 00:23:08,826 --> 00:23:12,980 なに 一本とられたのは こちらも同じだ。 253 00:23:12,980 --> 00:23:16,817 また 穴掘りの見物だけ…。 254 00:23:16,817 --> 00:23:19,987 お奉行様 もういい。 255 00:23:19,987 --> 00:23:24,287 早えところ あの世へ 送っておくんなせえ。 256 00:23:26,760 --> 00:23:32,917 四千両の事は言わずに 死のうつもりだと言うのか? 257 00:23:32,917 --> 00:23:38,589 はて どうしやしょうかね? 258 00:23:38,589 --> 00:23:42,993 ハハハハハハ… ハハハハハハ! 259 00:23:42,993 --> 00:23:50,484 アハハハハハハ! ハハハハハハ! 260 00:23:50,484 --> 00:23:54,989 螢火だって 大岡様にゃ 手も足も出ねえや。 261 00:23:54,989 --> 00:23:58,259 けど まだ 四千両は見つからねえんだろ? 262 00:23:58,259 --> 00:24:04,815 大岡様と五郎蔵の勝負どこだね! 263 00:24:04,815 --> 00:24:06,817 (笑い声) 264 00:24:06,817 --> 00:24:09,987 五郎蔵は 大岡様なんかに負けねえ! 265 00:24:09,987 --> 00:24:12,823 なっ? おっ母! 与吉…。 266 00:24:12,823 --> 00:24:17,023 螢火だ 偉いんだぞ! 与吉! 267 00:24:31,759 --> 00:24:34,959 ちょいと。 へい いらっしゃい! 268 00:24:38,265 --> 00:24:40,251 おい。 269 00:24:40,251 --> 00:24:43,988 この銭 おはじきにでも するつもりか? 坊主。 270 00:24:43,988 --> 00:24:46,690 坊主じゃねえやい! 螢火だい! 271 00:24:46,690 --> 00:24:50,261 螢火か! ハハハハ! 272 00:24:50,261 --> 00:24:53,581 おい おやじさん 西瓜 くれ。 はい。 おいくつ? 273 00:24:53,581 --> 00:24:56,381 2つだ。 2つ! ヘヘヘ 毎度あり! 274 00:24:58,319 --> 00:25:02,323 お父上? どうしたんです? その子。 275 00:25:02,323 --> 00:25:05,643 八百屋のざるから 銭 かっ払いやがった。 276 00:25:05,643 --> 00:25:08,312 こいつ 螢火だってよ。 277 00:25:08,312 --> 00:25:10,312 (2人)ええっ!? 278 00:25:15,252 --> 00:25:18,989 おう かっ払った お詫びの西瓜だ。 279 00:25:18,989 --> 00:25:23,594 螢火ならよ 大岡様のお裁きを 受けさせてやろうと➡ 280 00:25:23,594 --> 00:25:25,596 ここへ連れてきたんだ。 281 00:25:25,596 --> 00:25:30,596 大岡様なんて 怖かねえやい! ハハハハハ! 282 00:25:32,753 --> 00:25:37,324 そうか 怖くないか。 283 00:25:37,324 --> 00:25:41,328 ほら お奉行様だぞ。 284 00:25:41,328 --> 00:25:44,315 そうだ 大岡様だ。 285 00:25:44,315 --> 00:25:46,815 怖かねえやい! 286 00:25:49,653 --> 00:25:54,658 ハハハハハ! おい 何だ 何だ。 竹とんぼ一つ 飛ばせねえのかよ。 287 00:25:54,658 --> 00:25:58,646 お前 いつも どんな事して遊んで もらってたんだ? 五郎蔵に。 288 00:25:58,646 --> 00:26:00,648 遊んでなんかいねえやい! 289 00:26:00,648 --> 00:26:02,650 どうして? 290 00:26:02,650 --> 00:26:05,753 チャン いなくなって おっ母もいねえんだもん。 291 00:26:05,753 --> 00:26:07,771 まあ…。 292 00:26:07,771 --> 00:26:10,774 そうか。 293 00:26:10,774 --> 00:26:14,645 すると 悪い事をしても➡ 294 00:26:14,645 --> 00:26:20,267 こうやって 怒ってくれる人が いなかったって訳だ。 295 00:26:20,267 --> 00:26:22,653 かわいそうに…。 296 00:26:22,653 --> 00:26:29,760 なに おてんとうさまはな いつも見ていて下さるんだぞ。 297 00:26:29,760 --> 00:26:34,431 おてんとうさま? ああ そうだとも。 298 00:26:34,431 --> 00:26:36,417 えい! 299 00:26:36,417 --> 00:26:41,422 そのかわりな 悪い事をすると 罰を当てなさるんだぞ。 300 00:26:41,422 --> 00:26:46,922 痛え! ほら 当たった。 ハハハハ! 301 00:26:48,979 --> 00:26:50,981 (源次郎)若。 302 00:26:50,981 --> 00:26:54,681 碇床のお栄 連れてまいりました。 303 00:26:56,253 --> 00:26:59,753 おっ母! お前って子は…! 304 00:27:10,818 --> 00:27:15,589 申し訳ございません! おっ母…。 305 00:27:15,589 --> 00:27:20,928 与吉! お前のチャンは 螢火じゃないよ! 306 00:27:20,928 --> 00:27:23,313 泥棒じゃない! 307 00:27:23,313 --> 00:27:28,619 立派な堅気の 人一倍 腕のいい石工だった。 308 00:27:28,619 --> 00:27:31,989 なのに どうして…➡ 309 00:27:31,989 --> 00:27:38,812 どうして お前は 螢火だなんて 五郎蔵だなんて…➡ 310 00:27:38,812 --> 00:27:43,317 あんな つまんない男に なりたいっていうんだ! 311 00:27:43,317 --> 00:27:46,817 お前が お栄か? 312 00:27:48,922 --> 00:27:50,922 はい。 313 00:27:56,980 --> 00:28:00,934 与吉は 五郎蔵との間に出来た子か? 314 00:28:00,934 --> 00:28:02,986 いいえ。 315 00:28:02,986 --> 00:28:07,324 私も与吉も 螢火の五郎蔵なんて盗人とは➡ 316 00:28:07,324 --> 00:28:11,311 縁もゆかりもございません。 そうか。 317 00:28:11,311 --> 00:28:15,315 螢火の五郎蔵は 近々に お仕置きになる身。 318 00:28:15,315 --> 00:28:18,318 女房 子どもならば 生あるうちに➡ 319 00:28:18,318 --> 00:28:21,588 一目 会わせてやろうと思うたのだが➡ 320 00:28:21,588 --> 00:28:24,758 他人ならば その要もない。 321 00:28:24,758 --> 00:28:26,760 よし。 322 00:28:26,760 --> 00:28:32,149 今日は あの子を連れて 帰ってもよいぞ。 323 00:28:32,149 --> 00:28:34,149 ありがとうございます。 324 00:28:38,922 --> 00:28:44,428 四千両 どこにあるかも 白状させずに 処刑!? 325 00:28:44,428 --> 00:28:49,728 忠相! 一体 何を考えているのか? 326 00:28:51,585 --> 00:28:56,924 私は 賭けてみたいのです。 327 00:28:56,924 --> 00:29:00,427 何に賭けると申すのじゃ!? 328 00:29:00,427 --> 00:29:02,412 四千両という大金を➡ 329 00:29:02,412 --> 00:29:05,816 人に見つからぬ場所に隠したまま 誰にも告げずに➡ 330 00:29:05,816 --> 00:29:08,652 死んでいけるものなのかどうかに。 331 00:29:08,652 --> 00:29:10,654 何!? 332 00:29:10,654 --> 00:29:15,309 あの男は 人の心ほど 当てにならぬものはないと➡ 333 00:29:15,309 --> 00:29:17,928 申しておりました。 334 00:29:17,928 --> 00:29:23,083 …が 私は 人間を信じたい。 335 00:29:23,083 --> 00:29:27,104 そう常々思うて 生きております! 336 00:29:27,104 --> 00:29:30,491 この場に及んで 五郎蔵を信じて➡ 337 00:29:30,491 --> 00:29:33,927 五郎蔵に裏切られたら 何とする!? 338 00:29:33,927 --> 00:29:35,929 その時は…。 その時は? 339 00:29:35,929 --> 00:29:39,149 取り返せなんだ四千両は➡ 340 00:29:39,149 --> 00:29:46,657 忠相生涯の役料御扶持から お取り上げ下さりまするよう➡ 341 00:29:46,657 --> 00:29:50,857 お願いを申し上げまする。 342 00:29:58,985 --> 00:30:02,522 (源次郎)若。 343 00:30:02,522 --> 00:30:07,644 明日 小塚っ原にて 処刑が決まった五郎蔵…。 はい。 344 00:30:07,644 --> 00:30:12,315 ひげを剃り 髷を結い直して やろうかと思ってな。 345 00:30:12,315 --> 00:30:15,752 五郎蔵の髷をですか? うん。 346 00:30:15,752 --> 00:30:22,252 分かりました。 碇床のお栄にやらせましょう。 347 00:30:48,918 --> 00:30:53,218 さあ やってくれ。 348 00:30:55,308 --> 00:30:57,308 はい。 349 00:31:01,264 --> 00:32:01,107 ♬~ 350 00:32:01,107 --> 00:32:03,142 うん? 351 00:32:03,142 --> 00:32:05,078 おお いいな。 352 00:32:05,078 --> 00:32:07,096 座れ。 353 00:32:07,096 --> 00:32:17,156 ♬~ 354 00:32:17,156 --> 00:32:20,426 うん。 よく似合うよ。 355 00:32:20,426 --> 00:32:26,983 ♬~ 356 00:32:26,983 --> 00:32:29,485 (与吉)おっ母。 357 00:32:29,485 --> 00:32:31,487 与吉…。 358 00:32:31,487 --> 00:32:37,827 おじさんが 螢火の五郎蔵? ああ そうだよ。 359 00:32:37,827 --> 00:32:43,983 すげえなあ! ええ? 360 00:32:43,983 --> 00:32:47,754 本物の螢火だ! 361 00:32:47,754 --> 00:32:52,975 坊 お前… 年は いくつだ? 362 00:32:52,975 --> 00:32:54,975 5つです。 363 00:32:57,430 --> 00:33:01,350 5つか…。 364 00:33:01,350 --> 00:33:03,586 そうかい…。 365 00:33:03,586 --> 00:33:06,923 (田所)坊。 366 00:33:06,923 --> 00:33:09,926 おっ母さんの仕事の邪魔だ。 367 00:33:09,926 --> 00:33:12,926 こっちへ来な。 368 00:33:20,937 --> 00:33:26,776 かわいい子だ。 なあ おかみさん。 369 00:33:26,776 --> 00:33:30,930 大事に育ててやんなせえよ。 370 00:33:30,930 --> 00:34:26,269 ♬~ 371 00:34:26,269 --> 00:34:28,654 できました。 372 00:34:28,654 --> 00:34:34,443 ああ いい気持ちだ。 さっぱりした。 ありがとう。 373 00:34:34,443 --> 00:34:38,247 …で お代は? 32文です。 374 00:34:38,247 --> 00:34:42,251 わざわざ 来てもらったんだ。 もっと たんとあげますよ。 375 00:34:42,251 --> 00:34:44,987 いいえ それだけで結構です。 376 00:34:44,987 --> 00:34:47,323 そう言いなさんな。 377 00:34:47,323 --> 00:34:50,977 こう見えても 金はあるんだ。 378 00:34:50,977 --> 00:34:53,412 (お栄)お決まりですから。 379 00:34:53,412 --> 00:34:57,650 (五郎蔵)そうかい。 じゃあ しょうがねえな。 380 00:34:57,650 --> 00:35:02,038 おう お役人。 終わったよ。 (田所)おう。 381 00:35:02,038 --> 00:35:05,338 おお きれいになったな。 382 00:35:07,276 --> 00:35:11,647 さあ おじさんに ご挨拶して。 383 00:35:11,647 --> 00:35:14,984 おじさん またね。 フフフフ…。 384 00:35:14,984 --> 00:35:20,439 おじさんに 「また」はねえが 坊も達者で いい子になんなよ。 385 00:35:20,439 --> 00:35:22,439 うん! 386 00:35:25,761 --> 00:35:31,961 おっ母 俺 5つじゃねえ。 6つだぞ。 387 00:35:34,820 --> 00:35:38,307 おい! (与吉)おじさん またね。 388 00:35:38,307 --> 00:35:58,594 ♬~ 389 00:35:58,594 --> 00:36:02,265 いい男になったな。 390 00:36:02,265 --> 00:36:04,817 へい。 391 00:36:04,817 --> 00:36:13,142 これで 螢火の五郎蔵の名に 恥じねえ最期を迎えられやす。 392 00:36:13,142 --> 00:36:20,650 その事で お前に頼みがあるんだ。 はて 何でございましょう? 393 00:36:20,650 --> 00:36:24,654 世間では お前の事を 大泥棒と褒めそやして➡ 394 00:36:24,654 --> 00:36:29,258 小さな子どもたちまで 螢火ごっこで遊んでいる。 395 00:36:29,258 --> 00:36:32,311 ほっておいたら 後から後から➡ 396 00:36:32,311 --> 00:36:36,649 螢火の2代目 3代目が 湧いてきそうなあんばいだ。 397 00:36:36,649 --> 00:36:38,935 そりゃ どうも。 398 00:36:38,935 --> 00:36:41,320 子どもたちが もう…➡ 399 00:36:41,320 --> 00:36:44,657 もう悪い事はしたくないと 思うように➡ 400 00:36:44,657 --> 00:36:48,260 五郎蔵➡ 401 00:36:48,260 --> 00:36:53,683 惨めに死んではくれまいか。 402 00:36:53,683 --> 00:36:56,252 …ハハハハハハ! 403 00:36:56,252 --> 00:37:01,090 随分と 虫のいい事を おっしゃるんだね お奉行様。 404 00:37:01,090 --> 00:37:03,109 駄目か? 駄目だい。 405 00:37:03,109 --> 00:37:05,761 嫌だね。 406 00:37:05,761 --> 00:37:08,648 立派に死んでみせてやろうと➡ 407 00:37:08,648 --> 00:37:12,918 辞世の三十一文字まで 作ってあるんだ。 408 00:37:12,918 --> 00:37:16,922 あの子がな 五郎蔵…。 えっ? 409 00:37:16,922 --> 00:37:21,661 お栄が連れてた あの子だよ。 410 00:37:21,661 --> 00:37:24,313 …あの子が 何だってんだい? 411 00:37:24,313 --> 00:37:27,316 大きくなったら 螢火になると言って➡ 412 00:37:27,316 --> 00:37:34,490 八百屋の店のざるの銭 盗んで 捕まってきた。 413 00:37:34,490 --> 00:37:38,661 あの子は… あの子は 俺の子じゃねえ! 414 00:37:38,661 --> 00:37:40,646 しかし あの子は➡ 415 00:37:40,646 --> 00:37:43,582 「おいらのチャンも 同じ名前の五郎蔵だから➡ 416 00:37:43,582 --> 00:37:46,268 螢火になる」と言って➡ 417 00:37:46,268 --> 00:37:49,605 お栄を 困らせている。 418 00:37:49,605 --> 00:37:51,757 やめてくれ! 419 00:37:51,757 --> 00:37:56,746 あの子が 俺の子だというんなら なおさら聞けるか そんな頼み! 420 00:37:56,746 --> 00:38:01,150 がきの前で みっともねえ死にざま 見せられるかい!➡ 421 00:38:01,150 --> 00:38:04,850 見せられるかよ…! 422 00:38:09,975 --> 00:38:14,275 お待ち! 与吉ったら! 423 00:38:16,982 --> 00:38:19,418 与吉 帰るよ ほら! 嫌だい! 424 00:38:19,418 --> 00:38:22,718 いいから おいで! 425 00:38:28,928 --> 00:38:31,814 おい 来たぞ! 426 00:38:31,814 --> 00:38:37,653 螢火だ! 螢火の五郎蔵だ! 427 00:38:37,653 --> 00:38:40,853 ≪螢火! ≪五郎蔵! 428 00:38:43,359 --> 00:38:46,812 螢火! いよっ! 螢火! 429 00:38:46,812 --> 00:38:51,650 螢火! 螢火! 五郎蔵! 430 00:38:51,650 --> 00:38:53,919 「螢火は」! 431 00:38:53,919 --> 00:38:56,655 螢火! いよっ 五郎蔵! 待ってました! 432 00:38:56,655 --> 00:39:01,310 「今 消え落ちて ながひかり➡ 433 00:39:01,310 --> 00:39:08,818 ゆうすげ草に 名をぞ とどむる」。 434 00:39:08,818 --> 00:39:14,618 いいぞ~! 日本一! 日本一! 五郎蔵! 435 00:39:17,660 --> 00:39:21,660 (鴉の鳴き声) 436 00:39:25,985 --> 00:39:27,987 (お栄)帰ろう! (与吉)嫌だ! 437 00:39:27,987 --> 00:39:30,322 おいでって! 嫌だ! おいで! 438 00:39:30,322 --> 00:39:32,992 嫌だ! いいから!➡ 439 00:39:32,992 --> 00:39:39,415 いいから! 与吉 ほら 立って! 440 00:39:39,415 --> 00:39:41,417 嫌だ! 441 00:39:41,417 --> 00:39:44,217 (お栄)ほら 行くよ! (与吉)嫌だ! 442 00:39:46,922 --> 00:39:48,991 (お栄)行くったら! 443 00:39:48,991 --> 00:39:50,993 嫌だ! お立ち! 444 00:39:50,993 --> 00:39:54,246 (与吉)嫌だ! 445 00:39:54,246 --> 00:39:56,546 嫌だ! 446 00:39:58,651 --> 00:40:01,320 …助けてくれ~! 447 00:40:01,320 --> 00:40:03,589 嫌だ 嫌だ! 俺は まだ死にたくねえ!➡ 448 00:40:03,589 --> 00:40:06,308 嫌だ 嫌だ! 助けてくれ! 449 00:40:06,308 --> 00:40:09,311 助けてくれ… 助けてくれ~! 450 00:40:09,311 --> 00:40:11,597 お役人さん 助けてくれ! 俺は まだ死にたくねえ! 451 00:40:11,597 --> 00:40:14,316 死にたくねえ 死にたくねえんだ! 452 00:40:14,316 --> 00:40:17,816 死にたくねえよ~! 453 00:40:35,654 --> 00:40:39,308 何だ ありゃ おい! ざまあねえな! 454 00:40:39,308 --> 00:40:43,479 螢火が聞いて あきれらあ。 嫌だ… 嫌だ 嫌だ! 455 00:40:43,479 --> 00:40:48,317 螢火なんて… 嫌いだ! 456 00:40:48,317 --> 00:40:51,317 大嫌いだ! 457 00:40:53,923 --> 00:40:57,309 母ちゃんも…➡ 458 00:40:57,309 --> 00:41:00,930 嫌いだよ…。 459 00:41:00,930 --> 00:41:10,606 (泣き声) 460 00:41:10,606 --> 00:41:24,920 ♬~ 461 00:41:24,920 --> 00:41:27,720 …助けてくれ~! 462 00:41:34,647 --> 00:41:37,447 (片瀬)あった! (立花)ありました! 463 00:41:43,756 --> 00:41:46,158 (田所)どうして分かったんです? 464 00:41:46,158 --> 00:41:50,763 五郎蔵が教えてくれたよ。 五郎蔵が? 465 00:41:50,763 --> 00:41:57,820 「螢火が 今 消え落ちて」とは あの夕日が影を落とす➡ 466 00:41:57,820 --> 00:41:59,822 「ながひかり」…。 467 00:41:59,822 --> 00:42:03,259 …長光寺! 468 00:42:03,259 --> 00:42:06,595 「ゆうすげ草に」…。 469 00:42:06,595 --> 00:42:09,248 (源次郎)「名をぞ とどむる」か! 470 00:42:09,248 --> 00:42:16,655 五郎蔵が 死ぬ前に たった一度だけ 私を信じ➡ 471 00:42:16,655 --> 00:42:20,142 私に 四千両の埋めてある場所➡ 472 00:42:20,142 --> 00:42:24,647 教えてくれて 逝ったのだと…➡ 473 00:42:24,647 --> 00:42:27,647 信じたいのだ。 474 00:42:31,587 --> 00:42:33,822 田所。 475 00:42:33,822 --> 00:42:38,310 五郎蔵が お栄に渡したかった 髪結い代だ。 476 00:42:38,310 --> 00:42:42,915 お栄に 届けてやってくれ。 はい。 477 00:42:42,915 --> 00:42:47,936 私からではなく 五郎蔵からだと言ってな。 478 00:42:47,936 --> 00:42:50,439 はい… はい! 479 00:42:50,439 --> 00:42:54,710 <親と名乗れず 子と言えず➡ 480 00:42:54,710 --> 00:43:00,316 磔柱の上と下 つらい別れに鳴く鴉➡ 481 00:43:00,316 --> 00:43:05,921 約束果たした 五郎蔵の 忘れ形見の行く末 祈る➡ 482 00:43:05,921 --> 00:43:08,921 忠相であった> 483 00:43:11,260 --> 00:43:16,081 噂 入ってきてるんでしょ? お奉行のですか? 484 00:43:16,081 --> 00:43:19,918 艶っぽい噂。 お奉行様に好きな女が…。 485 00:43:19,918 --> 00:43:22,421 噂は…。 嘘じゃなかった。 486 00:43:22,421 --> 00:43:26,221 でも 私は あなたを信じていますから。