1 00:00:51,771 --> 00:00:56,476 大岡様。 安藤対馬守様が お待ちにござりまする。 2 00:00:56,476 --> 00:00:59,176 (忠相)安藤様が? はっ。 3 00:01:00,813 --> 00:01:03,483 安藤様 お連れ致しました。 4 00:01:03,483 --> 00:01:09,155 (安藤)おお 越前。 小出に会わなんだか? 5 00:01:09,155 --> 00:01:11,824 今 大廊下で…。 6 00:01:11,824 --> 00:01:17,697 上様がな 越前が参っても 今日は会わぬと仰せなのだよ。 7 00:01:17,697 --> 00:01:21,167 お目通りは叶いませぬか? 8 00:01:21,167 --> 00:01:23,867 何をやらかした? 9 00:01:25,838 --> 00:01:28,174 はて…。 10 00:01:28,174 --> 00:01:33,012 寺社奉行のする事に 南町奉行が口出しするとは➡ 11 00:01:33,012 --> 00:01:39,452 迷惑至極と上様に…。 小出信濃守様が? 12 00:01:39,452 --> 00:01:44,323 心当たりがあるか? 越前。 13 00:01:44,323 --> 00:01:47,323 いえ 一向に…。 14 00:01:49,128 --> 00:01:51,798 一体 何の事だ? 源さん。 15 00:01:51,798 --> 00:01:56,469 (源次郎)いや 寺社奉行に ねじ込まれるような もめ事➡ 16 00:01:56,469 --> 00:01:59,806 ございませんがね。 源さんに 心当たりが➡ 17 00:01:59,806 --> 00:02:06,679 ないとすれば 騒ぎのもとは おやじ殿か…。 18 00:02:06,679 --> 00:02:11,379 (雪絵)えっ お父様が? 御前がですか? 19 00:02:14,821 --> 00:02:18,491 母上。 (妙)いらっしゃい。 20 00:02:18,491 --> 00:02:25,491 おとうさん。 忠相が…。 21 00:02:27,166 --> 00:02:31,037 (忠高)おう 暇なら つきあってやってもいいぞ。 22 00:02:31,037 --> 00:02:34,774 残念ながら そんな暇は…。 ある訳ないわよね。 23 00:02:34,774 --> 00:02:39,645 南町奉行に そんな暇。 じゃあ 何しに来たんだ? 24 00:02:39,645 --> 00:02:46,786 フフッ 父上 どこかで 丸い頭を ポカッと殴ったりしませんでしたか? 25 00:02:46,786 --> 00:02:48,721 え~!? 26 00:02:48,721 --> 00:02:53,659 丸い頭? 丸い頭を ポカッ…。 27 00:02:53,659 --> 00:02:57,797 (子吉)あっ…。 (辰三)ポカッと… 御前が。 28 00:02:57,797 --> 00:03:01,467 (片瀬)丸い頭 殴ったってのか? 殴った 殴った。 29 00:03:01,467 --> 00:03:05,137 どこで殴った? 浅草の観音様へ行く道で…。 30 00:03:05,137 --> 00:03:08,474 本堂建立の…。 願人坊主。 31 00:03:08,474 --> 00:03:11,143 (片瀬)願人坊主? 32 00:03:11,143 --> 00:03:16,816 (辰三)どこかの大店のお嬢さんに。 (子吉)しつこく絡んでいるとこへ。 33 00:03:16,816 --> 00:03:19,485 (辰三)御前が通りかかってね…。 34 00:03:19,485 --> 00:03:24,156 いい加減にしねえか! あっ! 35 00:03:24,156 --> 00:03:27,059 おい うせろ! はい… はい! 36 00:03:27,059 --> 00:03:30,496 おありがとうございます! おい 坊主! 37 00:03:30,496 --> 00:03:33,766 忘れもんだ! 38 00:03:33,766 --> 00:03:38,638 御隠居様 ありがとうございました! 39 00:03:38,638 --> 00:03:44,410 あの事か? しかし 願人坊主を はり飛ばしたぐらいの事で➡ 40 00:03:44,410 --> 00:03:47,313 寺社奉行が 上様に訴え出るとは 思えませんから➡ 41 00:03:47,313 --> 00:03:50,316 違うでしょう。 上様に? 42 00:03:50,316 --> 00:03:54,316 まあ…。 ほかを当たってみます。 43 00:03:56,022 --> 00:05:05,322 ♬~ 44 00:05:12,798 --> 00:05:16,498 筧さん。 (立花)見回り行ってきます。 45 00:05:24,410 --> 00:05:27,146 (筧)お奉行。 46 00:05:27,146 --> 00:05:30,816 どうした? 筧。 御城中での事➡ 47 00:05:30,816 --> 00:05:34,687 村上さんから承り 私の致しました事で➡ 48 00:05:34,687 --> 00:05:37,623 お奉行に ご迷惑を おかけしたのではないかと。 49 00:05:37,623 --> 00:05:43,095 寺社方がらみの何かに 関わったと申すのか? はい。 50 00:05:43,095 --> 00:05:45,765 うん 聞こう。 51 00:05:45,765 --> 00:05:50,436 私の父の代から 何かと 相談を受けてまいりました➡ 52 00:05:50,436 --> 00:05:56,308 本郷の炭問屋 秋田屋へ 同じ本郷の吉祥院の住職➡ 53 00:05:56,308 --> 00:06:00,446 白善と申す者が参りまして 観音様の御尊像を➡ 54 00:06:00,446 --> 00:06:04,784 早く渡してくれと 言ったというんです。 55 00:06:04,784 --> 00:06:09,455 (庄兵ヱ)待って下さい 白善さん! 56 00:06:09,455 --> 00:06:14,126 この観音像は 父 先代 秋田屋庄左ヱ門の➡ 57 00:06:14,126 --> 00:06:17,997 守本尊でございますよ? (白善)そりゃ 吉祥院の檀家総代➡ 58 00:06:17,997 --> 00:06:21,801 秋田屋さんの御先代が 大切にしていらしたぐらい➡ 59 00:06:21,801 --> 00:06:27,139 私も よく存じております。 が 御先代さんは➡ 60 00:06:27,139 --> 00:06:31,410 亡くなる少し前に 後生のために 守本尊の観音様を➡ 61 00:06:31,410 --> 00:06:34,313 吉祥院に たって 寄進したいと おっしゃって…。 62 00:06:34,313 --> 00:06:38,284 聞いてませんよ 私は。 あなたが聞いていなくても➡ 63 00:06:38,284 --> 00:06:42,755 こっちには 御先代から頂戴した 証文が ここに➡ 64 00:06:42,755 --> 00:06:46,425 ちゃんとあるんですよ。 65 00:06:46,425 --> 00:06:59,438 ♬~ 66 00:06:59,438 --> 00:07:03,109 確かに 先代主の書いた 証文だったのか? 67 00:07:03,109 --> 00:07:06,445 亡くなる寸前の病人が 書きましたものですから➡ 68 00:07:06,445 --> 00:07:10,116 字はゆがみ 震えていて 先代の筆跡とも➡ 69 00:07:10,116 --> 00:07:13,986 そうでないとも言える証文。 うん…。 70 00:07:13,986 --> 00:07:17,456 ただ…。 何だ? 71 00:07:17,456 --> 00:07:21,794 秋田屋庄左ヱ門と書いた 名前の 下に くっきり押された印形は➡ 72 00:07:21,794 --> 00:07:26,132 紛れもなく 先代の実印だったと 庄兵ヱは言っております。 73 00:07:26,132 --> 00:07:30,002 うん その印形を 誰かに貸した事は? 74 00:07:30,002 --> 00:07:34,940 なかったと…。 「父に限って 間違っても 実印を➡ 75 00:07:34,940 --> 00:07:39,411 人に貸すなど」と 庄兵ヱは 私に きっぱり申しておりました。 76 00:07:39,411 --> 00:07:45,284 しかし その証文のある事を 庄兵ヱは知らずにいた。 77 00:07:45,284 --> 00:07:48,754 はい。 病に伏せり➡ 78 00:07:48,754 --> 00:07:53,425 死を目前にした時に 人が何を思い 何をするかは➡ 79 00:07:53,425 --> 00:07:59,765 100人が100人 1,000人が1,000人 同じだろう事はないはず。 80 00:07:59,765 --> 00:08:04,436 先代 秋田屋庄左ヱ門が 迫りくる死に心動かし➡ 81 00:08:04,436 --> 00:08:11,110 後生願うて 守本尊の観世音菩薩 菩提寺に寄進すると決めたとて➡ 82 00:08:11,110 --> 00:08:14,013 何の不思議もない…。 83 00:08:14,013 --> 00:08:17,983 では 証文は 本物だと おっしゃいますのか? 84 00:08:17,983 --> 00:08:23,689 南町奉行所の同心 筧 甚内が 証文が 本物か偽物か➡ 85 00:08:23,689 --> 00:08:28,460 探ってると知って 吉祥院白善が 寺社奉行に手を回し➡ 86 00:08:28,460 --> 00:08:34,733 訴え出たというのなら… 筧。 はい。 87 00:08:34,733 --> 00:08:39,605 まだ 証文が偽物という筋も 捨てられぬ。 88 00:08:39,605 --> 00:08:41,607 分かりました。 89 00:08:41,607 --> 00:08:44,410 (源次郎)お奉行が そう おっしゃってんなら➡ 90 00:08:44,410 --> 00:08:48,080 その吉祥院の白善って住職 手分けして➡ 91 00:08:48,080 --> 00:08:51,417 とことん探ってみようじゃないか。 (一同)はい! 92 00:08:51,417 --> 00:08:55,087 (三次)たたけば とんでもねえ ほこりが出ねえとも➡ 93 00:08:55,087 --> 00:08:58,958 限りませんものねぇ。 (お秀)辰三親分も 子吉さんも➡ 94 00:08:58,958 --> 00:09:00,960 しっかりお願いしますよ! 95 00:09:00,960 --> 00:09:03,762 任せとけってんだよ。 96 00:09:03,762 --> 00:09:07,633 で どっから探りやす? 俺は あの白善が➡ 97 00:09:07,633 --> 00:09:11,103 寺社奉行の小出様 動かすだけの力 どこにあるんだか➡ 98 00:09:11,103 --> 00:09:14,006 探ってみようと思います。 うん いいだろう。 99 00:09:14,006 --> 00:09:17,776 じゃあ 私は 吉祥院に どんな奴らが出入りするのか➡ 100 00:09:17,776 --> 00:09:23,649 それとなく見張っていましょう。 いや それは 三次に頼もう。 101 00:09:23,649 --> 00:09:25,949 はいよ。 102 00:09:28,420 --> 00:09:32,291 あっ 坊や 走ったら危ないよ。 103 00:09:32,291 --> 00:09:42,935 ♬~ 104 00:09:42,935 --> 00:09:46,235 (権次)お嬢さん お手を。 105 00:09:52,077 --> 00:09:55,948 ん? あの男…。 106 00:09:55,948 --> 00:10:30,449 ♬~ 107 00:10:30,449 --> 00:10:34,119 (白善)どちらへ いらっしゃいます? 108 00:10:34,119 --> 00:10:36,789 あ… ああ…。 109 00:10:36,789 --> 00:10:41,460 あの~ お墓。 墓地なら あちらですよ。 110 00:10:41,460 --> 00:10:44,129 ああ あっち。 111 00:10:44,129 --> 00:10:49,802 はて 初めてのお顔ですが この寺の檀家さんの? 112 00:10:49,802 --> 00:10:53,472 いえ そうじゃないんです。 昔 世話になった人の墓が➡ 113 00:10:53,472 --> 00:10:56,141 ここにあるって 聞いたもんですから ちょっとね。 114 00:10:56,141 --> 00:11:00,813 お知り合いのお名前は? ああ 名前は 村山。 115 00:11:00,813 --> 00:11:06,151 村山様。 村山の源五郎って旦那の墓。 116 00:11:06,151 --> 00:11:10,022 そういうお方のお墓は この寺にはございません。 117 00:11:10,022 --> 00:11:13,025 じゃあ しょうがねえや。 ほか 当たってみやしょう。 118 00:11:13,025 --> 00:11:15,025 お邪魔様。 119 00:11:42,454 --> 00:11:45,124 どうしたんですよ? ご住職。 120 00:11:45,124 --> 00:11:51,124 お嬢さん 待たせちゃ かわいそうだ。 早く さあ さあ…。 121 00:11:54,133 --> 00:11:57,035 さあ さあ…。 122 00:11:57,035 --> 00:12:20,159 ♬~ 123 00:12:20,159 --> 00:12:22,494 何してたの? 124 00:12:22,494 --> 00:12:25,831 私にも いろいろと 用がございます。 125 00:12:25,831 --> 00:12:32,638 いや… 私が来たら 用事なんか放り出して➡ 126 00:12:32,638 --> 00:12:38,410 すぐに来てくれなければ 嫌だからね。 127 00:12:38,410 --> 00:12:55,410 ♬~ 128 00:13:09,808 --> 00:13:14,480 あの吉祥院の白善という僧は 調べれば調べるほど➡ 129 00:13:14,480 --> 00:13:18,817 感心させられる事ばかりで いや~ 驚きました。 130 00:13:18,817 --> 00:13:22,688 とても 偽の証文を持ち込むような 男ではなかったか。 はい。 131 00:13:22,688 --> 00:13:27,159 幼い昔から 神童の誉れ高く 親も この子は 仏門に入れ➡ 132 00:13:27,159 --> 00:13:29,828 僧にしてやれば きっと出世してくれると➡ 133 00:13:29,828 --> 00:13:33,432 寺入り 剃髪を済まして 本山に修行に行けば➡ 134 00:13:33,432 --> 00:13:37,769 兄弟子たちを追い越し あの若さで 吉祥院の住職を任され➡ 135 00:13:37,769 --> 00:13:42,107 檀家の人たち 口をそろえて いいご住職に来て頂いたと➡ 136 00:13:42,107 --> 00:13:44,443 評判もよく…。 (三次)お奉行様。 137 00:13:44,443 --> 00:13:49,114 うん 上がってくれ。 138 00:13:49,114 --> 00:13:52,784 お話し中 申し訳ねえたぁ 承知で申し上げますんで➡ 139 00:13:52,784 --> 00:13:56,655 筧の旦那も 聞いておくんなさい。 何だ? 140 00:13:56,655 --> 00:14:01,126 吉祥院で 妙な野郎の面 見ちまったんですよ。 141 00:14:01,126 --> 00:14:03,061 ん? (三次)吉祥院じゃ➡ 142 00:14:03,061 --> 00:14:08,467 鳶の袢纏 着てやがったが 何年か前に会った時には➡ 143 00:14:08,467 --> 00:14:14,806 木綿の着物に 前垂れを掛けて どっかの御店の手代か番頭。 144 00:14:14,806 --> 00:14:18,143 何? (三次)おまけに その野郎も➡ 145 00:14:18,143 --> 00:14:21,480 野郎がお供をしてきた 大店のお嬢様も➡ 146 00:14:21,480 --> 00:14:26,818 本堂じゃなく 方丈か 奥の座敷へ入ったまま。 147 00:14:26,818 --> 00:14:32,624 どこの誰かは分からんのか? いえ 花屋のばあさんに聞いたら➡ 148 00:14:32,624 --> 00:14:38,096 日本橋の呉服問屋 駿河屋さんの お嬢さんで おとせさん。 149 00:14:38,096 --> 00:14:41,967 「近頃 ちょくちょく お参りにいらっしゃいますので➡ 150 00:14:41,967 --> 00:14:45,437 お供の頭に伺ったら そう言ってましたから➡ 151 00:14:45,437 --> 00:14:49,107 間違いはございませんよ」って ばあさん よほど いい客だと➡ 152 00:14:49,107 --> 00:14:52,010 思ったんでしょう。 ニコニコしながら 話してくれやした。 153 00:14:52,010 --> 00:14:57,449 日本橋の駿河屋ならば 大店中の大店。 (筧)はい。 154 00:14:57,449 --> 00:15:02,120 寺参りのお供が 鳶の頭 一人というのは おかしくないか? 155 00:15:02,120 --> 00:15:05,457 調べてまいります。 156 00:15:05,457 --> 00:15:10,757 お待たせ致しました。 お嬢さん。 うん。 157 00:15:12,331 --> 00:15:17,331 釣りは要らねえよ。 あ… ありがとうございます! 158 00:15:26,144 --> 00:15:29,481 あれが 日本橋駿河屋の娘のおとせだ。 159 00:15:29,481 --> 00:15:32,384 違いますよ。 何? 160 00:15:32,384 --> 00:15:34,753 駿河屋のおとせさんって お嬢さんは ほら➡ 161 00:15:34,753 --> 00:15:39,091 浅草で 大岡の御前が 願人坊主に 絡まれていたのを助けてあげた…。 162 00:15:39,091 --> 00:15:44,091 ああ…。 あの女は おとせさんじゃねえよ 旦那! 163 00:15:48,100 --> 00:15:50,035 (筧)くそ~っ! 164 00:15:50,035 --> 00:15:54,773 駄目! 寺ん中は 寺社方の…。 俺たち町奉行所の者が➡ 165 00:15:54,773 --> 00:15:56,708 手ぇ出せねえ場所だよ 旦那! 166 00:15:56,708 --> 00:15:59,444 分かってるよ! 167 00:15:59,444 --> 00:16:02,347 花屋の店先で 見張ってやがった。 168 00:16:02,347 --> 00:16:04,316 え? 169 00:16:04,316 --> 00:16:09,616 2人いたんだが 恐らく 一人は南町の…。 170 00:16:13,792 --> 00:16:19,665 だから 寺社方の旦那 せかして さっさと 金無垢の観音様➡ 171 00:16:19,665 --> 00:16:22,665 頂戴致しましょうや! 172 00:16:34,746 --> 00:16:40,619 何とかっていう人の作で えらい 値打ちの観音様なんだろう? 173 00:16:40,619 --> 00:16:46,091 秋田屋から取り上げて 吉祥院の物にしちまえば…➡ 174 00:16:46,091 --> 00:16:55,434 白善さん また お前様のお手柄になるんだ。 175 00:16:55,434 --> 00:16:59,771 おやりよ 早く! 176 00:16:59,771 --> 00:17:03,108 お代わり! あいよ。 177 00:17:03,108 --> 00:17:06,011 ごちそうさま。 ありがとうございます。 178 00:17:06,011 --> 00:17:08,780 ここへ置いときますよ。 あっ お客さん お釣りを! 179 00:17:08,780 --> 00:17:14,453 いえいえ お釣りは要りません。 あ… ありがとうございます。 180 00:17:14,453 --> 00:17:16,788 [ 回想 ] お客さん お釣り。 181 00:17:16,788 --> 00:17:20,088 いえいえ お釣りは要りません。 182 00:17:21,660 --> 00:17:24,663 思い出した! 183 00:17:24,663 --> 00:17:28,400 七化けの権次って野郎だ 旦那! 184 00:17:28,400 --> 00:17:31,737 思い出したんだな? はあ やっとね。 185 00:17:31,737 --> 00:17:35,407 ゆすり 騙りに かっぱらい。 悪い事なら 何でもしようって➡ 186 00:17:35,407 --> 00:17:39,077 ふてぇ野郎だ! よし。 吉祥院に張り付いて➡ 187 00:17:39,077 --> 00:17:43,377 権次が出てきたらお縄にするんだ。 (3人)はい! 188 00:17:48,754 --> 00:17:52,090 旦那様! (庄兵ヱ)ああ どうし…。➡ 189 00:17:52,090 --> 00:17:55,427 あっ 筧さん! 今 筧さん 呼んでこいって➡ 190 00:17:55,427 --> 00:17:58,096 これに頼んでたとこなんですよ。 えっ? 191 00:17:58,096 --> 00:18:02,768 吉祥院の住職の 父親が来てんですよ 今…。 192 00:18:02,768 --> 00:18:06,468 住職の父親? はい。 193 00:18:11,443 --> 00:18:13,378 (筧)あの侍が? 194 00:18:13,378 --> 00:18:17,115 住職の父親。 どこの藩中だ? 195 00:18:17,115 --> 00:18:19,785 いえいえ お大名の 御家来ではなく 寺侍。 196 00:18:19,785 --> 00:18:21,720 寺侍? 197 00:18:21,720 --> 00:18:25,457 (庄兵ヱ)しかも 門跡寺の寺侍。 将軍様と同じ➡ 198 00:18:25,457 --> 00:18:29,127 紀州の前の殿様の お姫様だっていうんだから➡ 199 00:18:29,127 --> 00:18:32,998 将軍様の叔母上様。 (筧)だから 寺社奉行は➡ 200 00:18:32,998 --> 00:18:35,934 頼まれれば 嫌と言えずに 引き受けて…。 201 00:18:35,934 --> 00:18:38,403 (庄兵ヱ)どう考えても 勝ち目はない…。 202 00:18:38,403 --> 00:18:42,073 上様の叔母上様の尼様と 喧嘩しようってんじゃねえんだぞ。 203 00:18:42,073 --> 00:18:45,410 (吉宗)結構なお点前で。 204 00:18:45,410 --> 00:18:48,313 おお おお…。 205 00:18:48,313 --> 00:18:50,282 たかが 寺侍じゃねえか。 206 00:18:50,282 --> 00:18:53,582 聞こえますよ! 聞かしてんだ。 207 00:19:03,428 --> 00:19:08,767 (左門)そうか… いや そうでしたか。 208 00:19:08,767 --> 00:19:14,639 あなたが南町奉行所の…。 筧 甚内です。 209 00:19:14,639 --> 00:19:19,778 なら 話は早い。 私は この白善の父➡ 210 00:19:19,778 --> 00:19:25,450 門跡寺の寺侍を 長年 勤めております 荒川左門。 211 00:19:25,450 --> 00:19:32,257 庄左ヱ門の 守本尊である 観音像を 吉祥院へ お渡し下され。 212 00:19:32,257 --> 00:19:36,061 父 庄左ヱ門が死んだあとになって 渡してくれと言われても➡ 213 00:19:36,061 --> 00:19:40,398 「はい そうですかと渡す気には とてもなれぬ」と申しています。 214 00:19:40,398 --> 00:19:45,270 庄左ヱ門の書いた 証文のある事は 筧殿もご存じですな? 215 00:19:45,270 --> 00:19:48,740 見てはいませんが 話は聞いています。 216 00:19:48,740 --> 00:19:51,409 なら 渡して下さい。 しかし…。 217 00:19:51,409 --> 00:19:57,282 筧殿 これは 菩提寺である吉祥院と➡ 218 00:19:57,282 --> 00:20:05,957 檀家である 秋田屋との相談事。 もし… もし 役向きへ➡ 219 00:20:05,957 --> 00:20:12,430 願って出るとすれば 寺社方。 町奉行所同心である➡ 220 00:20:12,430 --> 00:20:16,101 筧殿の出る幕は ござないはず。 221 00:20:16,101 --> 00:20:19,971 しかし 秋田屋さんは 先代から江戸に住み➡ 222 00:20:19,971 --> 00:20:24,442 江戸で商いをしている人。 町奉行所の私たち役人が➡ 223 00:20:24,442 --> 00:20:27,779 何か困った事があれば 相談に乗ってあげるのが…。 224 00:20:27,779 --> 00:20:31,116 筋違いだ。 何ぃ? 225 00:20:31,116 --> 00:20:37,989 迷惑千万 この上ござらん! …と言うておるのだ。 226 00:20:37,989 --> 00:20:41,760 秋田屋さん。 え… ええ? 227 00:20:41,760 --> 00:20:45,664 そんなとこに隠れてないで こっちへ出てきて下さいな。 228 00:20:45,664 --> 00:20:49,801 私たちは 秋田屋さんと話しに 来てるんですよ。 229 00:20:49,801 --> 00:20:54,139 お話 承りましょう。 230 00:20:54,139 --> 00:21:00,478 (白善)今 父が申しましたとおり 徳川将軍家公方様の下には➡ 231 00:21:00,478 --> 00:21:06,818 御老中 若年寄 大目付 寺社奉行 勘定奉行 町奉行の➡ 232 00:21:06,818 --> 00:21:11,690 三奉行がおいでなされて それぞれの領分 職分を➡ 233 00:21:11,690 --> 00:21:18,430 互いに侵さず 仲睦まじく 世の中が回っているものだと➡ 234 00:21:18,430 --> 00:21:20,832 教えられてまいりましたのに…。 235 00:21:20,832 --> 00:21:25,170 お二人は ご存じなかったようじゃのう。 236 00:21:25,170 --> 00:21:29,841 筧さん 何とか言って下さいよ…。 237 00:21:29,841 --> 00:21:34,112 ああ 言ってやらあ。 おい 白善。 238 00:21:34,112 --> 00:21:40,452 このごろ 吉祥院にゃあ 日本橋の 呉服問屋 駿河屋のお嬢さんが➡ 239 00:21:40,452 --> 00:21:44,789 しげしげとご参詣のようだが 日本橋にゃあ➡ 240 00:21:44,789 --> 00:21:49,661 駿河屋って呉服問屋が 何軒も軒を並べてるのかい? 241 00:21:49,661 --> 00:21:54,799 馬鹿馬鹿しい。 駿河屋さんが 何軒もある訳ないじゃないか。 242 00:21:54,799 --> 00:22:00,472 ヘヘッ… だって 俺の知ってる 駿河屋のおとせってお嬢さんは➡ 243 00:22:00,472 --> 00:22:05,343 吉祥院に鳶連れてきた娘とは 似ても似つかぬ➡ 244 00:22:05,343 --> 00:22:09,481 そりゃあ 愛らしいお嬢さんだからよ…。 245 00:22:09,481 --> 00:22:11,781 えっ…? 246 00:22:14,152 --> 00:22:17,152 白善 どうした? 247 00:22:19,024 --> 00:22:21,324 帰りましょう。 248 00:22:23,161 --> 00:22:26,831 ああ 帰れ 帰れ! 足元 明るいうちに➡ 249 00:22:26,831 --> 00:22:29,501 尻尾 巻いて さっさとな! 250 00:22:29,501 --> 00:22:32,771 秋田屋! 塩 ぶっかけてやれ! 251 00:22:32,771 --> 00:22:36,641 観音様…。 これで めでたし。 252 00:22:36,641 --> 00:22:39,444 (2人)シャンシャンと! 253 00:22:39,444 --> 00:22:41,379 (笑い声) 254 00:22:41,379 --> 00:22:43,782 (戸が開く音) 255 00:22:43,782 --> 00:22:47,652 おお~ ホッホッホ。 256 00:22:47,652 --> 00:22:51,952 お帰りなさい 観音様。 257 00:22:54,793 --> 00:22:59,464 何しやがる!? この人は… どこの誰なんだ? 258 00:22:59,464 --> 00:23:03,802 だから 日本橋の駿河屋の…! 259 00:23:03,802 --> 00:23:06,704 嘘だ… 嘘だ 嘘だ! 260 00:23:06,704 --> 00:23:11,476 じゃあ どこの誰ならいいってんだい? 261 00:23:11,476 --> 00:23:20,151 言ってみな。 よう 誰だって言えってのか! 262 00:23:20,151 --> 00:23:26,825 お気の済むよう お望みどおりに 好きな名前 言ってあげるよ。 263 00:23:26,825 --> 00:23:34,099 こちとら 相手のお望み次第で なりも変えれば 名も変わる。 264 00:23:34,099 --> 00:23:39,971 七化け権次と…。 お役者 おちか。 265 00:23:39,971 --> 00:23:42,671 ええっ!? 266 00:23:45,710 --> 00:23:52,117 だまされたのが悔しいと お町の旦那に訴えて出りゃあ…。 267 00:23:52,117 --> 00:23:56,788 白善さん あんたも同罪 一蓮托生。 268 00:23:56,788 --> 00:24:02,127 偽証文で檀家をだまし 金無垢の 仏像をふんだくろうとした➡ 269 00:24:02,127 --> 00:24:05,997 大騙りと 3人そろって お縄を食らうぞ。 270 00:24:05,997 --> 00:24:09,000 ああ~っ! 271 00:24:09,000 --> 00:24:14,472 いいや! 俺たちだけじゃねえ! 272 00:24:14,472 --> 00:24:20,145 あんたのおやじの荒川左門が 上様の叔母上様だって➡ 273 00:24:20,145 --> 00:24:24,015 門跡尼様まで巻き込んで 寺社奉行様➡ 274 00:24:24,015 --> 00:24:27,819 だまくらかしちまったんだろう? 275 00:24:27,819 --> 00:24:35,093 えらい事してくれちまったよなぁ。 お前のおやじも…。 276 00:24:35,093 --> 00:24:39,430 あああ~っ! 277 00:24:39,430 --> 00:24:44,130 ハッハッハッハ…! 278 00:24:51,042 --> 00:24:54,342 お奉行。 ≪(小出)左門か。 はっ。 279 00:24:57,448 --> 00:25:02,120 吉祥院へ寄進の観音菩薩像の事 少しも早く 秋田屋へ➡ 280 00:25:02,120 --> 00:25:05,456 お申しつけ下さりまするように。 また 何かあったのか? 281 00:25:05,456 --> 00:25:08,793 門跡尼様が…。 門跡尼様が? 282 00:25:08,793 --> 00:25:14,132 今朝も 「小出から まだ 知らせは ないのか?」と…。 283 00:25:14,132 --> 00:25:20,832 ええい 分かっとるわ! これ以上 大岡に勝手させようか! 284 00:25:22,807 --> 00:25:29,147 越前。 今日も 上様は お目通りは叶わぬぞ。 285 00:25:29,147 --> 00:25:32,750 (ため息) 水野様。 286 00:25:32,750 --> 00:25:37,422 (水野)何だ? 上様は この忠相の 一体 何に お腹立ちなのか➡ 287 00:25:37,422 --> 00:25:40,758 おもらし頂けませんか? 288 00:25:40,758 --> 00:25:45,430 南の同心が首を突っ込んでいる 寺の住職と➡ 289 00:25:45,430 --> 00:25:49,767 檀家のいざこざ。 ほれ 吉祥院の…。 290 00:25:49,767 --> 00:25:55,440 その事ならば 秋田屋は 父から そんな話は聞いた事がない。 291 00:25:55,440 --> 00:25:59,777 どうしたものかと相談されて 吉祥院住職の身の回り➡ 292 00:25:59,777 --> 00:26:03,448 探索していると 報告 受けてはおりますが…。 293 00:26:03,448 --> 00:26:08,319 それが 余計な事だと 寺社奉行 小出信濃守は➡ 294 00:26:08,319 --> 00:26:13,458 上様に…。 今日も 申し上げとった。 うん。 295 00:26:13,458 --> 00:26:19,330 越前。 白善の父 荒川左門が 上様御縁戚の➡ 296 00:26:19,330 --> 00:26:25,069 門跡寺の寺侍だという事は 承知しておろうな。 はい。 297 00:26:25,069 --> 00:26:30,808 叔母上様の御名を出されては 上様も 越前を庇ってやれず➡ 298 00:26:30,808 --> 00:26:35,079 お困りなのだよ。 ならば この裁きは➡ 299 00:26:35,079 --> 00:26:39,751 上様御上覧のお裁きにしてみては いけませぬか? 300 00:26:39,751 --> 00:26:43,421 上様御上覧の? なるほど。 301 00:26:43,421 --> 00:26:49,294 三代将軍家光様が 御自身人たちの 裁き みそなわせし事ありと➡ 302 00:26:49,294 --> 00:26:52,764 聞いている。 寺と檀家の争いですから➡ 303 00:26:52,764 --> 00:26:57,635 お裁きは 寺社奉行にして頂き 年まだ若い白善が➡ 304 00:26:57,635 --> 00:27:00,438 ちまたの悪に だまされていないか➡ 305 00:27:00,438 --> 00:27:04,738 町奉行の私は 調べておきます。 306 00:27:06,778 --> 00:27:10,448 それなら 小出も文句は言うまい。 307 00:27:10,448 --> 00:27:12,383 忠相。 308 00:27:12,383 --> 00:27:15,119 おお…。 上様。 309 00:27:15,119 --> 00:27:18,456 それでいこう。 310 00:27:18,456 --> 00:27:23,795 三代将軍の御前裁判上聴公事。 311 00:27:23,795 --> 00:27:27,131 余も してみとうなった。 312 00:27:27,131 --> 00:27:29,467 忠之。 はっ! 313 00:27:29,467 --> 00:27:35,073 老中 若年寄 大目付にも申しつけ 江戸城内に 白洲をしつらえる。 314 00:27:35,073 --> 00:27:39,410 叔母上 門跡尼にも ご納得頂ける名裁きを➡ 315 00:27:39,410 --> 00:27:43,081 寺社奉行の小出にも致してみよと 言うてやれ! 316 00:27:43,081 --> 00:27:46,081 ははっ! ははっ! 317 00:27:50,755 --> 00:27:54,425 筧さん。 お奉行に恥かかせねえよう➡ 318 00:27:54,425 --> 00:27:57,328 腹くくって しっかり頼むぞ。 (3人)はい! 319 00:27:57,328 --> 00:28:02,767 上様御上覧のお裁きとなりゃあ 寺社方だって➡ 320 00:28:02,767 --> 00:28:05,436 もう俺たちのする事に とやこう言えめえ。 321 00:28:05,436 --> 00:28:08,339 (橋田)いや しかし…。 ん? 何ですか? 322 00:28:08,339 --> 00:28:13,311 向こうには 庄左ヱ門が書いたって 証文があるんだぞ。 323 00:28:13,311 --> 00:28:16,447 それだよ 筧。 324 00:28:16,447 --> 00:28:19,350 庄左ヱ門は 実印 人に貸したりはしなかったと➡ 325 00:28:19,350 --> 00:28:21,786 秋田屋庄兵ヱは 言ってるんですが…。 326 00:28:21,786 --> 00:28:25,123 でも 証文は…。 ちゃんとある。 327 00:28:25,123 --> 00:28:30,461 その証文が偽物だって事になりゃ 向こうに勝ち目はなくなるんだが。 328 00:28:30,461 --> 00:28:33,364 う~ん…。 329 00:28:33,364 --> 00:28:39,737 あ~! よしっ そいつは 俺が 調べてみてやろう。 330 00:28:39,737 --> 00:28:42,073 御前がですか? うん。 331 00:28:42,073 --> 00:28:45,743 おとうさんに そんな事…。 できるもんか。 332 00:28:45,743 --> 00:28:48,646 何ぃ? (伊織)おば様。 333 00:28:48,646 --> 00:28:53,084 あら 伊織さん。 おじ様には 私が ついていきますから。 334 00:28:53,084 --> 00:28:58,423 伊織先生が? えっ 忠高と一緒にかい? 335 00:28:58,423 --> 00:29:03,094 はい。 忠相に話を聞いて どうすりゃ 実印 秋田屋の者に➡ 336 00:29:03,094 --> 00:29:06,764 気付かれずに 証文に押せるか ずっと考えてたんです。 337 00:29:06,764 --> 00:29:10,101 伊織さんが一緒なら…。 はい! 338 00:29:10,101 --> 00:29:15,440 まあ 分かるような… うん 気がする。 339 00:29:15,440 --> 00:29:18,109 ふん! 340 00:29:18,109 --> 00:29:30,688 ♬~ 341 00:29:30,688 --> 00:29:36,688 父は 離れで伏せっておりましたが 実印は…。 342 00:29:38,729 --> 00:29:41,729 (庄兵ヱ) ここに しまってありました。 343 00:29:49,740 --> 00:29:54,078 これでございます。 檀家総代の庄左ヱ門さんに➡ 344 00:29:54,078 --> 00:29:56,414 印を押してもらう必要のある時は 白善が…。 345 00:29:56,414 --> 00:30:01,085 はい。 書きつけを持ってらして 私が 父に代わって➡ 346 00:30:01,085 --> 00:30:05,423 印を押してました。 白善に印を貸して➡ 347 00:30:05,423 --> 00:30:10,761 押させたんじゃなくて? いえ 印は私が押しました。 348 00:30:10,761 --> 00:30:14,632 ふ~ん。 あっ 一度だけ…。 349 00:30:14,632 --> 00:30:19,103 何かあったのか? 一度だけ 私が押さずに➡ 350 00:30:19,103 --> 00:30:21,772 白善さんに押してもらった事が ありました。 351 00:30:21,772 --> 00:30:23,708 ええっ!? 352 00:30:23,708 --> 00:30:26,644 (庄兵ヱ) いつものように 私が書きつけに➡ 353 00:30:26,644 --> 00:30:30,114 印を押していました時に 丁稚の定吉が…。 354 00:30:30,114 --> 00:30:33,784 旦那様。 何だい? 定吉。 355 00:30:33,784 --> 00:30:37,655 番頭さんが 旦那様でなければ 分からないお客様だから➡ 356 00:30:37,655 --> 00:30:40,658 相すいませんが ちょっと お店へと…。 357 00:30:40,658 --> 00:30:44,795 ああ そう。 和尚さん あと何枚ですか? 358 00:30:44,795 --> 00:30:49,095 あと 7枚です。 359 00:30:55,139 --> 00:30:59,139 定吉。 こっちへおいで。 はい。 360 00:31:00,811 --> 00:31:04,148 和尚さんが この書きつけに印を押したら➡ 361 00:31:04,148 --> 00:31:12,490 そろばんの玉を こうやって… あと 7つだからね。 362 00:31:12,490 --> 00:31:15,393 間違いのないように。 はい! 363 00:31:15,393 --> 00:31:19,693 じゃ ちょっと失礼して…。 ああ どうぞ。 364 00:31:21,832 --> 00:31:26,504 じゃあ 定吉さん 押しますよ。 はい。 365 00:31:26,504 --> 00:31:40,051 ♬~ 366 00:31:40,051 --> 00:31:42,987 定吉さん。 はい? 367 00:31:42,987 --> 00:31:46,457 お菓子 私は もう十分に 頂戴致しましたから➡ 368 00:31:46,457 --> 00:31:49,794 定吉さんも 1つ お上がり。 369 00:31:49,794 --> 00:31:52,129 いえ そろばんが ありますから。 370 00:31:52,129 --> 00:31:55,032 お菓子を食べながらでも そろばんは置けますよ。 371 00:31:55,032 --> 00:31:58,032 さっ 遠慮しないで…。 372 00:32:02,773 --> 00:32:06,073 ありがとうございます。 373 00:32:08,679 --> 00:32:11,979 じゃ 押しますよ。 374 00:32:20,825 --> 00:32:24,695 菓子を食べながらでも 間違いなく あと7枚➡ 375 00:32:24,695 --> 00:32:29,500 白善が印を押すのを しっかり見て そろばんを置いてたんだね? 376 00:32:29,500 --> 00:32:37,108 はい。 じゃあ 偽証文に 印を押す隙はなかったんだな。 377 00:32:37,108 --> 00:32:40,011 偽証文? 何です? 378 00:32:40,011 --> 00:32:44,982 いや 7枚よりほかに 印を押せなかったんだねって…。 379 00:32:44,982 --> 00:32:48,119 そりゃ 印を押せませんでしたけど…。 380 00:32:48,119 --> 00:32:53,119 「けど」? けど 何だ? 定吉。 381 00:33:16,480 --> 00:33:19,817 おい 早くしろよ~。 382 00:33:19,817 --> 00:33:23,117 あ~ 振り袖 疲れた。 383 00:33:31,762 --> 00:33:35,099 おう 待ってたぜ。 384 00:33:35,099 --> 00:33:38,769 しまった! 385 00:33:38,769 --> 00:33:41,439 おい! 何 閉めてんだよ!➡ 386 00:33:41,439 --> 00:33:44,341 ちょっと 開けて~! 387 00:33:44,341 --> 00:33:50,781 門の外へ 一歩 出てくりゃ 寺社方は助けられねえ。 388 00:33:50,781 --> 00:33:54,481 あ~! 御用だ。 389 00:33:56,120 --> 00:34:01,992 ちょっと 何してんだよ! お縄につけ。 390 00:34:01,992 --> 00:34:04,462 ああ~。 391 00:34:04,462 --> 00:34:09,133 (太鼓の音) 392 00:34:09,133 --> 00:34:14,004 <江戸城の中に白洲をしつらえ 奉行たちの裁きを➡ 393 00:34:14,004 --> 00:34:19,477 将軍が親しくご覧になったのを 公事上聴といい➡ 394 00:34:19,477 --> 00:34:26,350 八代将軍吉宗は この後 何度も行ったと記録にある> 395 00:34:26,350 --> 00:34:28,650 始めよ。 396 00:34:34,759 --> 00:34:38,095 吉祥院白善。 ははっ。 397 00:34:38,095 --> 00:34:41,966 (小出)付き添い人 荒川左門。 はっ。 398 00:34:41,966 --> 00:34:44,969 (小出)秋田屋庄兵ヱ。 はい! 399 00:34:44,969 --> 00:34:50,441 これより 秋田屋庄左ヱ門 守本尊寄進について➡ 400 00:34:50,441 --> 00:34:52,441 取り調べる。 401 00:34:54,111 --> 00:34:59,450 吉祥院より提出の 守本尊寄進の証書➡ 402 00:34:59,450 --> 00:35:05,122 庄左ヱ門の署名 実印に 偽りはないな? 403 00:35:05,122 --> 00:35:11,462 おそれながら 申し上げます。 (小出)何だ? 庄兵ヱ。 404 00:35:11,462 --> 00:35:16,333 その印は 亡き父 庄左ヱ門の 捺印にはあらず➡ 405 00:35:16,333 --> 00:35:21,806 吉祥院ご住職が 勝手に押して作った偽りの証。 406 00:35:21,806 --> 00:35:27,678 黙れ 黙れ! 畏れ多くも 上様御上覧の裁きの場で➡ 407 00:35:27,678 --> 00:35:32,416 証拠もなしに 勝手な事 言うては 重きお咎めありと➡ 408 00:35:32,416 --> 00:35:36,287 承知であろうな? 証拠があればこそ言っております。 409 00:35:36,287 --> 00:35:39,987 証文は偽物と…。 410 00:35:42,092 --> 00:35:46,964 おそれながら 南町奉行 大岡越前守➡ 411 00:35:46,964 --> 00:35:53,437 それについて 吉祥院住職 白善に 尋ねたき事 これあり。 412 00:35:53,437 --> 00:35:57,107 寺社奉行 小出殿のお許しを。 413 00:35:57,107 --> 00:36:01,779 聞く事あらば 尋ねさっしゃい。 某 ここにて➡ 414 00:36:01,779 --> 00:36:06,779 しっかりと伺っておりまする。 では…。 415 00:36:11,455 --> 00:36:16,126 白善。 南町奉行より尋ねる。 416 00:36:16,126 --> 00:36:20,798 檀家総代 秋田屋庄左ヱ門の印 押さねばならぬ➡ 417 00:36:20,798 --> 00:36:23,701 書きつけ証文などを 秋田屋へ持ってまいって➡ 418 00:36:23,701 --> 00:36:28,472 病中の庄左ヱ門に代わり 当代の主 庄兵ヱに➡ 419 00:36:28,472 --> 00:36:30,808 印 押してもろうた事が ありましたな? 420 00:36:30,808 --> 00:36:36,413 (白善)はい 何度かございました。 何度かあった 捺印の中に➡ 421 00:36:36,413 --> 00:36:40,084 たった一度だけ 庄兵ヱに 急な用事が出来て➡ 422 00:36:40,084 --> 00:36:44,755 庄兵ヱから印を借り受け その方が 書類に印を押した➡ 423 00:36:44,755 --> 00:36:50,094 覚えもあるな? (白善)あっ 一度だけ➡ 424 00:36:50,094 --> 00:36:55,432 そういう事がございました。 が 私が一人で➡ 425 00:36:55,432 --> 00:36:58,102 印を押していた訳では ございません。➡ 426 00:36:58,102 --> 00:37:02,973 丁稚の定吉どんが 私のそばで 私が印を押す度に➡ 427 00:37:02,973 --> 00:37:05,776 そろばんを はじいておりましたから➡ 428 00:37:05,776 --> 00:37:10,447 書きつけのほかに 偽証文を作ろうための紙になど➡ 429 00:37:10,447 --> 00:37:15,319 印の押しようは ござりませんでしたよ。 430 00:37:15,319 --> 00:37:20,457 秋田屋丁稚 定吉 それにいますな? 431 00:37:20,457 --> 00:37:22,457 はっ! 432 00:37:33,737 --> 00:37:36,407 定吉。 はい。 433 00:37:36,407 --> 00:37:39,743 お前が そろばんをはじいて あと7枚の書きつけに➡ 434 00:37:39,743 --> 00:37:45,416 印を押した時に 吉祥院の和尚が 致した事 覚えているね? 435 00:37:45,416 --> 00:37:49,753 はい。 和尚さん 印に印肉が詰まったって…。 436 00:37:49,753 --> 00:37:54,753 詰まったと言って…? 印のお掃除してました。 437 00:38:03,100 --> 00:38:06,437 こうしてか? (定吉)はい。 438 00:38:06,437 --> 00:38:18,048 ♬~ 439 00:38:18,048 --> 00:38:22,748 白善殿 いかがなされた? 440 00:38:31,395 --> 00:38:36,266 父が自慢の神童 宗門にあっても 群を抜いて➡ 441 00:38:36,266 --> 00:38:40,738 一寺を預かる住職に 若くしてなった秀才が➡ 442 00:38:40,738 --> 00:38:45,075 女には初心でしかなかった 若者の悲しさ。 443 00:38:45,075 --> 00:38:50,948 手練れの毒婦の色香に迷い 七化け権次と➡ 444 00:38:50,948 --> 00:38:55,419 2つ名のある悪党に 脅し だまされ➡ 445 00:38:55,419 --> 00:38:58,756 言われるままに 偽証文を作って➡ 446 00:38:58,756 --> 00:39:01,425 秋田屋へ 守本尊 渡せと 押しかけ➡ 447 00:39:01,425 --> 00:39:04,094 寺社へ訴え出たは もっての外! 448 00:39:04,094 --> 00:39:11,769 寺社奉行殿の厳しいお裁き 神妙に受けるがよかろう。 449 00:39:11,769 --> 00:39:16,640 あとは 小出殿が…。 450 00:39:16,640 --> 00:39:18,642 越前殿…。 451 00:39:18,642 --> 00:39:24,114 上様御上覧のお裁きでござる。 あ… はっ。 452 00:39:24,114 --> 00:39:29,414 見事なお裁き 見せて下さりまするように。 453 00:39:37,061 --> 00:39:39,730 よう致した! 454 00:39:39,730 --> 00:39:44,068 英貞! はっ! 455 00:39:44,068 --> 00:39:49,740 寺社奉行も 越前に負けぬ裁き 皆の者に見せてみよ! 456 00:39:49,740 --> 00:39:52,440 はっ! 457 00:39:55,612 --> 00:40:00,384 吉祥院白善 若気の至りとは申せ➡ 458 00:40:00,384 --> 00:40:04,755 僧侶が 仏像を 騙り取ろうと致したは言語道断! 459 00:40:04,755 --> 00:40:09,426 重き罰 受けねばならぬところなれど➡ 460 00:40:09,426 --> 00:40:15,099 心を入れ替え 修行のし直しを 致そうというなら➡ 461 00:40:15,099 --> 00:40:21,438 破れ笠一蓋 杖一本 諸国巡礼行脚の旅➡ 462 00:40:21,438 --> 00:40:24,775 特に許して遣わす。 463 00:40:24,775 --> 00:40:29,446 あ… ありがとうござりまする。 464 00:40:29,446 --> 00:40:33,784 白善が父 荒川左門。 はい! 465 00:40:33,784 --> 00:40:38,655 我が子かわいさのあまり 門跡尼様のお袖にすがり➡ 466 00:40:38,655 --> 00:40:45,796 寺社奉行へ押しつけがましき訴え まことに許し難き事なれど➡ 467 00:40:45,796 --> 00:40:51,468 門跡尼様おそばに 長年 仕えていた事もあれば➡ 468 00:40:51,468 --> 00:40:56,468 士分を取り上げるだけで 許して遣わす! 469 00:40:58,142 --> 00:41:01,044 ハッハッハッハ! おっ…。 470 00:41:01,044 --> 00:41:03,814 よう できた! 471 00:41:03,814 --> 00:41:16,393 ♬~ 472 00:41:16,393 --> 00:41:18,362 (子吉) ねえ 聞いた 聞いた 聞いた? 473 00:41:18,362 --> 00:41:22,499 (お秀)聞きましたよ! 上様御上覧の御前公事。 474 00:41:22,499 --> 00:41:27,371 天下を裁く名奉行。 瓦版屋も大騒ぎだよ! 475 00:41:27,371 --> 00:41:32,776 おめでたいだよ~! (一同)おお~! 476 00:41:32,776 --> 00:41:36,076 筧 おめでとう。 477 00:41:40,117 --> 00:41:43,453 ありがとうございました。 478 00:41:43,453 --> 00:41:45,789 (雪絵)あの筧さんが…。 479 00:41:45,789 --> 00:41:49,459 えっ? 筧さんが どうかしました? 480 00:41:49,459 --> 00:41:52,796 自分のせいで お奉行様に ご迷惑をおかけしたって➡ 481 00:41:52,796 --> 00:41:55,132 泣きそうな顔 してらしたんですって。 482 00:41:55,132 --> 00:41:58,468 へえ~。 ともかく 今度は 父上と➡ 483 00:41:58,468 --> 00:42:02,339 伊織のおかげで 偽証文のカラクリが 分かったんだから…。 484 00:42:02,339 --> 00:42:07,477 へえ~ 大威張りで 酒を飲めるほどに➡ 485 00:42:07,477 --> 00:42:12,816 ヘヘッ 手柄を立てたってのかい? 何ぃ? 486 00:42:12,816 --> 00:42:16,687 立ててます 立ててます 大手柄。 ねえ? 487 00:42:16,687 --> 00:42:20,691 そうだよな? ハッハッハ…。 へえ~! 488 00:42:20,691 --> 00:42:24,161 ハッハッハッハ…! この野郎! 489 00:42:24,161 --> 00:42:27,831 とにかく この度は 上様のおかげで➡ 490 00:42:27,831 --> 00:42:32,436 寺社だ 町奉行だと 互いに 領分 領域にこだわって➡ 491 00:42:32,436 --> 00:42:37,307 縦割りで仕事をしていたのでは どこかに見損ない➡ 492 00:42:37,307 --> 00:42:39,776 見落としが 生じてしまうという事が…。 493 00:42:39,776 --> 00:42:43,647 そう みんなにも よく分かった。 494 00:42:43,647 --> 00:42:47,651 役人の見落としがな 悪人を はびこらせ➡ 495 00:42:47,651 --> 00:42:50,787 善人を泣かせちまうんだ。 496 00:42:50,787 --> 00:42:56,126 今日の上覧公事で そのような事が もう二度となくなってくれたら…。 497 00:42:56,126 --> 00:43:01,465 なってくれるよ。 みんなにも 今度ばかりは分かったんだから。 498 00:43:01,465 --> 00:43:05,802 うん。 そう願いたいものだ。 499 00:43:05,802 --> 00:43:11,675 <人たちの幸と不幸が 役人たちの 功名手柄の取り合いで➡ 500 00:43:11,675 --> 00:43:17,147 踏みにじられてなるものか。 裁きは 人の幸せを➡ 501 00:43:17,147 --> 00:43:23,487 守ってやろうためにあると 心に誓う忠相であった> 502 00:43:23,487 --> 00:43:25,787 面を上げい。