1 00:00:36,884 --> 00:00:39,720 ああ… じゃあ 行きますか。 勘定は 私が。 2 00:00:39,720 --> 00:00:42,723 あっ それは それは。 3 00:00:42,723 --> 00:00:46,193 あっ! ちょっ… 泥棒! 誰か 捕まえてくれ! 4 00:00:46,193 --> 00:00:48,229 (辰三)子吉! (子吉)へい! 5 00:00:48,229 --> 00:00:55,369 ♬~ 6 00:00:55,369 --> 00:00:57,569 子吉! あいよ! 7 00:00:59,206 --> 00:01:03,077 ヘヘヘ 待て~。 アッハッハ~。 8 00:01:03,077 --> 00:01:05,379 待て… おお… おっと。 9 00:01:05,379 --> 00:01:08,282 ヘヘヘヘ よっしゃ 捕まえた。 10 00:01:08,282 --> 00:01:11,052 あの子はね 悪い子じゃありやせんよ うん。 11 00:01:11,052 --> 00:01:13,888 (立花)人の紙入れ 盗んだのに いい子だって言うのか? 12 00:01:13,888 --> 00:01:15,923 親孝行なんですよ。 13 00:01:15,923 --> 00:01:18,059 病気のおふくろのために➡ 14 00:01:18,059 --> 00:01:20,394 神命丸をのませてやりたくって 紙入れを盗んだ…。 15 00:01:20,394 --> 00:01:23,898 神命丸? 今 評判のお薬。 ねっ? 16 00:01:23,898 --> 00:01:27,234 何でも 万病に効くってんで 日本橋の長命堂が売り出した薬。 17 00:01:27,234 --> 00:01:29,170 へえ~! 18 00:01:29,170 --> 00:01:34,508 ♬~ 19 00:01:34,508 --> 00:01:37,808 これでございます。 わ~! 神命丸。 20 00:01:40,381 --> 00:01:46,520 少々 値は張りますが 万病に 効く事は 間違いございません。 21 00:01:46,520 --> 00:01:50,358 (源次郎)もう駄目だと 医者が サジを投げた病人が➡ 22 00:01:50,358 --> 00:01:53,694 何人も助かったって話です。 (忠相)う~む…。 23 00:01:53,694 --> 00:01:59,367 ただし 高い薬で 貧乏人には手が出せない。 24 00:01:59,367 --> 00:02:03,037 なぜ高いんだ? 人参だの麝香だの➡ 25 00:02:03,037 --> 00:02:06,540 めったに手に入らない 高い原料を ふんだんに使って➡ 26 00:02:06,540 --> 00:02:08,576 おまけに 金を… 純金を➡ 27 00:02:08,576 --> 00:02:11,412 粉にして 混ぜてあるから高いんだって➡ 28 00:02:11,412 --> 00:02:13,712 町の噂ですが。 29 00:02:16,717 --> 00:02:19,053 (新三郎)まさか…。 (おいね)本当でしょうか? 30 00:02:19,053 --> 00:02:22,890 嘘に決まってる。 嘘だと言い切れるのか? 31 00:02:22,890 --> 00:02:27,590 当たり前です。 万病に効く 薬なんて あってたまるか。 32 00:02:30,998 --> 00:02:33,834 私の言う事が 信じられないというなら➡ 33 00:02:33,834 --> 00:02:37,671 その薬で 医者が投げ出した病気が 治ったという人間を➡ 34 00:02:37,671 --> 00:02:41,509 探して ここへ連れてきて下さい。 35 00:02:41,509 --> 00:02:43,544 本当に そういう人間がいるなら➡ 36 00:02:43,544 --> 00:02:47,381 私は 即刻 小石川養生所 医師の看板を下ろして➡ 37 00:02:47,381 --> 00:02:50,217 その薬屋の丁稚になります。 38 00:02:50,217 --> 00:02:55,022 それよりも そんなデタラメな 大げさな薬屋の大ボラを➡ 39 00:02:55,022 --> 00:02:57,058 町奉行所が 黙って放っておくのが悪い。 40 00:02:57,058 --> 00:03:01,195 う~ん… 確かにな。 41 00:03:01,195 --> 00:03:05,699 噂を信じて 病気の母親を治そうと➡ 42 00:03:05,699 --> 00:03:10,538 人のものに手を出した子どもまで 出たというのだから…。 43 00:03:10,538 --> 00:03:12,573 町奉行の罪とも言える。 44 00:03:12,573 --> 00:03:17,411 そうです。 私が医者をやめて 薬屋の丁稚になるか➡ 45 00:03:17,411 --> 00:03:21,711 忠相殿が 町奉行をやめるか どっちかだ。 46 00:03:27,955 --> 00:04:20,207 ♬~ 47 00:04:20,207 --> 00:04:22,877 ♬~ 48 00:04:22,877 --> 00:04:35,456 ♬~ 49 00:04:35,456 --> 00:04:42,656 ♬~ 50 00:04:49,837 --> 00:04:53,340 (お鈴)あっ こんにちは。 あら お鈴ちゃん いらっしゃい。 51 00:04:53,340 --> 00:04:56,243 すいません。 また これに おいしいものを詰めて下さい。 52 00:04:56,243 --> 00:04:58,212 お父つあんの見舞いに 行くのかい? 53 00:04:58,212 --> 00:05:00,514 はい。 偉いわね~。 54 00:05:00,514 --> 00:05:03,851 偉くなんかありません。 誰でもしている事です。 55 00:05:03,851 --> 00:05:06,353 親孝行は 誰でもしなきゃならない➡ 56 00:05:06,353 --> 00:05:09,023 当たり前の事だって事は みんな知ってる。 57 00:05:09,023 --> 00:05:10,958 知ってたって なかなか できやしない。 58 00:05:10,958 --> 00:05:13,527 そう。 ましてや お鈴ちゃんは…。 59 00:05:13,527 --> 00:05:18,365 ううん。 私が小さい時にね お父つあんが引き取ってくれて➡ 60 00:05:18,365 --> 00:05:20,701 今日まで 私を育ててくれた。 61 00:05:20,701 --> 00:05:23,370 だから 恩返しするのは当たり前。 そうでしょ? 62 00:05:23,370 --> 00:05:25,406 う~ん! 63 00:05:25,406 --> 00:05:27,541 どうだい? お父つあんは。 64 00:05:27,541 --> 00:05:30,211 うん… だんだん よくは なってるらしいんだけど➡ 65 00:05:30,211 --> 00:05:32,980 結城先生 厳しいから➡ 66 00:05:32,980 --> 00:05:35,883 つらい つらいって お父つあん 音 上げてるみたい。 67 00:05:35,883 --> 00:05:40,721 はあ… ああ…。 68 00:05:40,721 --> 00:05:43,691 あたたた… あたたた…。 69 00:05:43,691 --> 00:05:46,994 あたたたた…! 70 00:05:46,994 --> 00:05:49,496 こら 立つんだ。 71 00:05:49,496 --> 00:05:53,167 お前はな もう歩けるんだぞ。 72 00:05:53,167 --> 00:05:56,070 立たないか。 あいてっ あたたたた…。 73 00:05:56,070 --> 00:05:59,039 うう… 立てませ~ん。 74 00:05:59,039 --> 00:06:01,842 (お鈴)さあ お父つあん。 75 00:06:01,842 --> 00:06:04,678 ありがとな。 はい。 よし。 76 00:06:04,678 --> 00:06:08,349 ああ…。 77 00:06:08,349 --> 00:06:10,349 太吉! 78 00:06:13,220 --> 00:06:16,090 養生所でも 食事は ちゃんと出してるんだから➡ 79 00:06:16,090 --> 00:06:18,525 余計なものを 持ってきてはいけない。 80 00:06:18,525 --> 00:06:22,196 はい すいません。 81 00:06:22,196 --> 00:06:25,532 こら! あっ… こら! 82 00:06:25,532 --> 00:06:27,568 おい 誰か 片づけてくれ。 83 00:06:27,568 --> 00:06:29,768 ≪(おいね)はい。 84 00:06:32,973 --> 00:06:36,010 あら いけませんよ。 あっ すいません。 85 00:06:36,010 --> 00:06:38,145 ああ… いいのよ。 86 00:06:38,145 --> 00:06:40,981 でも お父つあんのため なんですからね。 87 00:06:40,981 --> 00:06:42,916 はい。 88 00:06:42,916 --> 00:06:44,852 はあ… んん…。 89 00:06:44,852 --> 00:06:47,855 じゃあ お父つあん また来ます。 うん。 90 00:06:47,855 --> 00:06:50,658 ああ お鈴 ちょっと待ってくれ。 91 00:06:50,658 --> 00:06:54,495 俺も連れてってくれよ~。 ええっ!? 92 00:06:54,495 --> 00:06:58,666 もう 嫌だよ~。 お父つあん! 93 00:06:58,666 --> 00:07:01,568 こんなつらい 痛い思いしないでもさ➡ 94 00:07:01,568 --> 00:07:05,172 あの薬のめば…。 あの薬? 95 00:07:05,172 --> 00:07:07,207 お前だって知ってんだろう? 96 00:07:07,207 --> 00:07:10,511 長命堂の 万病に効く薬だよ。 97 00:07:10,511 --> 00:07:14,014 ああ… 神命丸とかいう あの薬の事? 98 00:07:14,014 --> 00:07:16,517 そう! その薬だよ。 99 00:07:16,517 --> 00:07:19,853 本当に効くのかしら? 効くさ~。 100 00:07:19,853 --> 00:07:22,890 効いて治った人が 大勢いるって話だぞ。 101 00:07:22,890 --> 00:07:25,726 でも 随分高いお薬なんでしょ? 102 00:07:25,726 --> 00:07:29,863 いや… だからよ… 近江屋さんにお願いして➡ 103 00:07:29,863 --> 00:07:36,303 給金の前借りが お鈴… できねえかな? 104 00:07:36,303 --> 00:07:39,340 助けてくれよ~。 105 00:07:39,340 --> 00:07:42,643 こんな所にいたら お父つあん 死んじまうぞ。 106 00:07:42,643 --> 00:07:45,312 お父つあん…。 食いたいもんも食えねえで➡ 107 00:07:45,312 --> 00:07:48,649 お父つあん 死んじまうぞ。 108 00:07:48,649 --> 00:07:51,985 あっ… 死んじまう… ああ… 死んじまう…。 109 00:07:51,985 --> 00:07:53,921 ああ…。 (倒れる音) 110 00:07:53,921 --> 00:07:56,824 (太吉)ほらほら… ああ…。 111 00:07:56,824 --> 00:07:58,759 (片瀬)おやじさん。 112 00:07:58,759 --> 00:08:00,994 おう。 何か分かったか? 113 00:08:00,994 --> 00:08:04,331 はい。 長命堂のあるじは 弥兵衛➡ 114 00:08:04,331 --> 00:08:06,834 女房は おせい。 うむ。 115 00:08:06,834 --> 00:08:08,769 いらっしゃいませ。 116 00:08:08,769 --> 00:08:12,339 (片瀬)日本橋に店を開いたのは 3年ほど前ですが➡ 117 00:08:12,339 --> 00:08:15,843 万病に効くという神命丸が 売れに売れて➡ 118 00:08:15,843 --> 00:08:19,713 僅か1年ほどで 店も 今のように広げたというから➡ 119 00:08:19,713 --> 00:08:22,182 大したもんです。 120 00:08:22,182 --> 00:08:24,118 (橋田) 3年前までは どこにいたんだ? 121 00:08:24,118 --> 00:08:26,053 いや それが はっきりしないんです。 122 00:08:26,053 --> 00:08:28,522 ただ 14~15年前には➡ 123 00:08:28,522 --> 00:08:33,360 この江戸で もっと小さな薬屋を やっていたって話です。 124 00:08:33,360 --> 00:08:36,964 (源次郎)その辺のところを 詳しく調べてきてくれねえか。 125 00:08:36,964 --> 00:08:40,467 江戸のどこで どんな暮らしをしていたのか➡ 126 00:08:40,467 --> 00:08:43,303 江戸を離れた理由は何か。 (立花 片瀬)はい。 127 00:08:43,303 --> 00:08:45,973 (筧)村上さん。 おう 筧か。 何だ? 128 00:08:45,973 --> 00:08:49,009 その事なら わざわざ 調べに行くまでもありません。 129 00:08:49,009 --> 00:08:52,646 何? 弥兵衛の方から辰のところへ。 130 00:08:52,646 --> 00:08:55,482 うん? 話を聞いてもらいたいと 言ってきましてね。 131 00:08:55,482 --> 00:08:57,818 (橋田)話? いや 一体 何の話だ? 132 00:08:57,818 --> 00:09:01,989 15年前 弥兵衛夫婦が 江戸を離れる時に手放した娘➡ 133 00:09:01,989 --> 00:09:05,325 辰に見つけてもらえないか って話です。 134 00:09:05,325 --> 00:09:07,828 借金で首が回らなくなって➡ 135 00:09:07,828 --> 00:09:10,497 夜逃げ同然に 江戸を出たんだって 言ってました 弥兵衛。 136 00:09:10,497 --> 00:09:13,534 (忠高)その弥兵衛は 何で そんなに借金こさえたんだ? 137 00:09:13,534 --> 00:09:18,005 それがですね てめえじゃ 一文の金も借りた訳じゃない。 138 00:09:18,005 --> 00:09:20,040 (妙)えっ? 139 00:09:20,040 --> 00:09:22,876 友達の借金証文に 請判を 押してやっちゃった。 140 00:09:22,876 --> 00:09:24,878 まあ! (辰三)な~に それも➡ 141 00:09:24,878 --> 00:09:27,014 大した額の金じゃ なかったからと➡ 142 00:09:27,014 --> 00:09:28,949 つい うっかり 判を押したってんですが…。 143 00:09:28,949 --> 00:09:31,785 世の中には 悪いやつがいるんですね。 144 00:09:31,785 --> 00:09:36,657 証文を こっそり書き換えて 5両だったはずの証文が 50両! 145 00:09:36,657 --> 00:09:38,659 知らないうちに➡ 146 00:09:38,659 --> 00:09:41,128 5両の借金が 50両になってたの? 147 00:09:41,128 --> 00:09:43,063 そうなんですよ。 148 00:09:43,063 --> 00:09:44,998 まあ ひどい話…。 149 00:09:44,998 --> 00:09:47,901 それで 黙って 50両払ったのか? 弥兵衛は。 150 00:09:47,901 --> 00:09:50,838 いいえ。 そんなバカな話は あるかと文句を言って➡ 151 00:09:50,838 --> 00:09:54,641 払わなかった。 ところが…。 ところが? 152 00:09:54,641 --> 00:09:57,311 何日かして 土地のやくざが 子分を連れて➡ 153 00:09:57,311 --> 00:09:59,246 店に乗り込んできたってんですよ。 154 00:09:59,246 --> 00:10:04,818 やくざが? 何しに来たの? やくざが。 155 00:10:04,818 --> 00:10:06,753 どけ どけ! 156 00:10:06,753 --> 00:10:09,690 (弥兵衛)な… 何なんですか? お前さんたちは! 157 00:10:09,690 --> 00:10:13,160 な… 何をするんですか! 158 00:10:13,160 --> 00:10:17,664 おめえの借りた 50両の証文➡ 159 00:10:17,664 --> 00:10:21,864 利子がかさんで 元利百両。 160 00:10:24,171 --> 00:10:26,106 払ってもらおうか。 161 00:10:26,106 --> 00:10:29,510 とんでもない! それは 私の借りた金じゃない! 162 00:10:29,510 --> 00:10:34,681 払えねえと言うんなら この店は 俺のもんだ。 163 00:10:34,681 --> 00:10:36,617 そ… そんな むちゃな! 164 00:10:36,617 --> 00:10:39,186 何だ? てめえ…。 165 00:10:39,186 --> 00:10:42,089 (泣き声) 166 00:10:42,089 --> 00:10:45,359 (辰三)どうにもならずに 江戸を離れる事にした。 167 00:10:45,359 --> 00:10:47,294 …が 知らぬ土地で➡ 168 00:10:47,294 --> 00:10:50,030 どんな苦労が待っているかも 分からないと思うと➡ 169 00:10:50,030 --> 00:10:52,933 かわいい赤ん坊 とても連れてはいけないから➡ 170 00:10:52,933 --> 00:10:55,369 人に頼んで もらってもらった。 171 00:10:55,369 --> 00:10:57,871 まあ…。 172 00:10:57,871 --> 00:11:00,541 それで その赤ん坊は 今 どこにいるんだ? 173 00:11:00,541 --> 00:11:02,576 それが分からないんです。 174 00:11:02,576 --> 00:11:04,711 え~? 175 00:11:04,711 --> 00:11:07,614 分からない? (おせい)はい。 176 00:11:07,614 --> 00:11:14,221 娘を預けた 産婆のおくめさん…。 なあ。 177 00:11:14,221 --> 00:11:17,124 5年前に死んでしまって。 178 00:11:17,124 --> 00:11:20,093 おくめさんが 一体 誰に うちの娘をやったのか➡ 179 00:11:20,093 --> 00:11:23,230 分からなくなって しまったんですよ 親分…。 180 00:11:23,230 --> 00:11:25,732 そりゃあ 困りましたね…。 181 00:11:25,732 --> 00:11:28,635 金なら いくらだって出します。 182 00:11:28,635 --> 00:11:34,007 どうか 娘… 捜し出してやって下さいまし。 183 00:11:34,007 --> 00:11:36,510 お願いします! 184 00:11:36,510 --> 00:11:39,546 いくら その子の 幸せのためとはいえ…。 185 00:11:39,546 --> 00:11:45,852 うん… 赤子を手放さなければ ならなかった親の苦しみは➡ 186 00:11:45,852 --> 00:11:48,889 計り知れない。 187 00:11:48,889 --> 00:11:51,525 その産婆のおくめに 死なれたんじゃ➡ 188 00:11:51,525 --> 00:11:55,028 手がかりがなあ…。 それなんですよ~。 189 00:11:55,028 --> 00:11:57,698 おくめという人の身寄りは? 190 00:11:57,698 --> 00:12:00,200 身寄りですか? 身寄りがいりゃあ➡ 191 00:12:00,200 --> 00:12:02,536 そのおくめが 誰に 赤ん坊 渡したか➡ 192 00:12:02,536 --> 00:12:04,471 話ぐらい聞いてるかもしれねえ。 193 00:12:04,471 --> 00:12:06,406 ど… どこ行きゃ分かりやすか!? 身寄り。 194 00:12:06,406 --> 00:12:08,408 なにも身寄りとは限らない。 195 00:12:08,408 --> 00:12:12,212 おくめの住んでいた 近所の者に 聞いてみるという手もある。 196 00:12:12,212 --> 00:12:14,715 分かりやした! 197 00:12:14,715 --> 00:12:17,050 [ 回想 ] (太吉)近江屋さんに お願いして➡ 198 00:12:17,050 --> 00:12:22,389 給金の前借りが お鈴… できねえかな? 199 00:12:22,389 --> 00:12:39,339 ♬~ 200 00:12:39,339 --> 00:12:42,376 ただいま 帰りました。 (おきみ)ああ お帰り。 201 00:12:42,376 --> 00:12:45,846 (近江屋)どうだった? お父つあん。 おかげさまで。 202 00:12:45,846 --> 00:12:48,181 (おきみ)少しは よくなってた? はい。 203 00:12:48,181 --> 00:12:50,117 そりゃ よかった~。 204 00:12:50,117 --> 00:12:52,052 (おきみ)あの病は長いから。 205 00:12:52,052 --> 00:12:57,858 まあ お前も大変だろうが 養生所にいりゃ安心だ。 206 00:12:57,858 --> 00:13:02,195 結城先生 名医ですものね。 207 00:13:02,195 --> 00:13:04,395 どうしたの? お鈴。 208 00:13:06,366 --> 00:13:08,702 いえ…。 209 00:13:08,702 --> 00:13:11,538 勝手をして 申し訳ございませんでした。 210 00:13:11,538 --> 00:13:13,573 ありがとうございました。 211 00:13:13,573 --> 00:13:34,873 ♬~ 212 00:13:44,004 --> 00:13:46,673 お願いです。 どうかお願いします! 213 00:13:46,673 --> 00:13:49,576 いや そんな事 言われたって…。 214 00:13:49,576 --> 00:13:53,547 おい 番頭さん どうしたんだい? 215 00:13:53,547 --> 00:13:56,850 あっ 旦那様。 こちらの娘さんが➡ 216 00:13:56,850 --> 00:13:59,352 神命丸を買いに いらしたんですが…。 217 00:13:59,352 --> 00:14:01,688 ああ それは どうも。 毎度 ありがとう存じます。 218 00:14:01,688 --> 00:14:04,524 いえ それが ちっとも ありがたくないんです。 219 00:14:04,524 --> 00:14:07,194 えっ? 薬は欲しいが 金はない。 220 00:14:07,194 --> 00:14:12,032 勘定は 月々のお給金で払うからと 申されましてね…。 221 00:14:12,032 --> 00:14:15,068 お願いです! 222 00:14:15,068 --> 00:14:17,704 どうぞ… どうぞ! 223 00:14:17,704 --> 00:14:20,040 お嬢さん お嬢さん ちょっと…。 224 00:14:20,040 --> 00:14:23,376 せっかくですが そりゃあ駄目です。 225 00:14:23,376 --> 00:14:25,312 駄目? 226 00:14:25,312 --> 00:14:30,984 手前どもの神命丸は 原料が大層お高い薬でしてね➡ 227 00:14:30,984 --> 00:14:33,487 いくら 困っているからといっても➡ 228 00:14:33,487 --> 00:14:36,523 ただで差し上げる訳には まいりません。 229 00:14:36,523 --> 00:14:40,260 ただでくれとは言いません。 必ず お代は払います。 230 00:14:40,260 --> 00:14:45,499 しかし 月々のお給金から ボツボツ払うと おっしゃる? 231 00:14:45,499 --> 00:14:49,369 はい。 月の終わりには 必ず お届けに上がります! 232 00:14:49,369 --> 00:14:54,207 そんな事になったら まとめて お金を払って下さるお方が➡ 233 00:14:54,207 --> 00:14:59,346 いなくなってしまう。 ハハハハハハ。 駄目です 駄目です。 234 00:14:59,346 --> 00:15:13,860 ♬~ 235 00:15:13,860 --> 00:15:16,897 お前さん。 うん? 何だ おせいか。 236 00:15:16,897 --> 00:15:19,032 今の娘さん…。 237 00:15:19,032 --> 00:15:22,369 うん。 親御さんが 患っているらしい。 238 00:15:22,369 --> 00:15:28,041 神命丸を買いに来たんだが… フフッ。 それが どうかしたかい? 239 00:15:28,041 --> 00:15:31,645 娘の… お鈴に 似てませんでしたか? 240 00:15:31,645 --> 00:15:33,980 おせい。 241 00:15:33,980 --> 00:15:39,152 お鈴に似たような年頃の娘を 見ると いつもそれだ。 242 00:15:39,152 --> 00:15:41,988 でも…。 心配するな。 243 00:15:41,988 --> 00:15:47,661 今に 辰三親分が きっと 見つけ出してきてくれるさ。 244 00:15:47,661 --> 00:15:49,596 はい…。 245 00:15:49,596 --> 00:16:01,508 ♬~ 246 00:16:01,508 --> 00:16:05,378 娘さん どうしたんだい? 247 00:16:05,378 --> 00:16:10,016 そんな所で 何をしてるんだ? 248 00:16:10,016 --> 00:16:11,952 …いえ。 249 00:16:11,952 --> 00:16:13,887 身でも投げようってんじゃ ねえだろうな? 250 00:16:13,887 --> 00:16:17,190 違います。 251 00:16:17,190 --> 00:16:20,990 私が死んだら お父つあん…。 えっ? 252 00:16:23,530 --> 00:16:26,830 あの…。 何だい? 253 00:16:28,702 --> 00:16:31,605 吉原って どっちでしょうか? 254 00:16:31,605 --> 00:16:37,410 お前一人で 吉原へ何しに行くんだ? 255 00:16:37,410 --> 00:16:39,646 身を売りたいんです。 256 00:16:39,646 --> 00:16:41,982 え~? 257 00:16:41,982 --> 00:16:44,982 お願いします。 教えて下さい! 258 00:16:46,653 --> 00:16:48,588 いらっしゃい! 259 00:16:48,588 --> 00:16:53,288 誰か お連れがあるんですか? うん。 入んなよ。 260 00:16:57,163 --> 00:17:00,000 あら お鈴ちゃん! 261 00:17:00,000 --> 00:17:02,335 知り合いか? はい。 262 00:17:02,335 --> 00:17:05,005 父上。 おっ ちょうどよかった。 263 00:17:05,005 --> 00:17:06,940 どうかなさったんですか? 264 00:17:06,940 --> 00:17:13,346 この娘さんがな 吉原へ 身を売りたいんだって。 265 00:17:13,346 --> 00:17:16,016 え~!? 冗談じゃねえよ! 266 00:17:16,016 --> 00:17:19,352 えっ!? 一体 どうしたってんだよ お鈴ちゃん! 267 00:17:19,352 --> 00:17:28,061 ♬~ 268 00:17:28,061 --> 00:17:31,298 開けるぞ。 269 00:17:31,298 --> 00:17:33,998 これが太吉だが…。 270 00:17:37,804 --> 00:17:42,475 お鈴の父親だな? へ… へい。 271 00:17:42,475 --> 00:17:45,512 お鈴はな 吉原へ 身を売ろうとした。 272 00:17:45,512 --> 00:17:48,148 何だと? お… お鈴が? 273 00:17:48,148 --> 00:17:50,948 お前は ここを出たいと 言ったそうだな。 274 00:17:53,653 --> 00:17:57,524 なぜだ? おい 太吉! 275 00:17:57,524 --> 00:18:00,827 「ここで つらい 痛い思いをするよりは➡ 276 00:18:00,827 --> 00:18:06,333 万病に効く神命丸 買って のんで 楽に病気を治したい」。 277 00:18:06,333 --> 00:18:09,836 お前は お鈴に そう言ったそうだな。 278 00:18:09,836 --> 00:18:14,708 そんな事を…。 こら 太吉。 お鈴に言ったのか!? 279 00:18:14,708 --> 00:18:19,512 ううっ うう…。 280 00:18:19,512 --> 00:18:22,015 病気は薬では治らない。 281 00:18:22,015 --> 00:18:24,918 病気を治すのは 医者でも薬でもない。 282 00:18:24,918 --> 00:18:28,188 患っている病人が 自分で自分を治すのだ。 283 00:18:28,188 --> 00:18:30,988 いつも 俺は そう言ってるだろう。 それを…。 284 00:18:33,960 --> 00:18:36,863 忠相殿。 何だ? 285 00:18:36,863 --> 00:18:42,135 あなたのせいです。 私のせい? なぜ? 286 00:18:42,135 --> 00:18:44,471 お鈴が身を売ろうとした事も➡ 287 00:18:44,471 --> 00:18:47,307 貧しい少年が 人の紙入れ 盗んだのも➡ 288 00:18:47,307 --> 00:18:49,809 つまりは そんなイカサマ薬 野放しにしている➡ 289 00:18:49,809 --> 00:18:52,645 町奉行の怠慢のせいだ。 290 00:18:52,645 --> 00:18:54,581 私に どうしろと? 291 00:18:54,581 --> 00:18:58,081 イカサマ薬の販売を 取り締まるべきです。 292 00:19:00,153 --> 00:19:02,655 イカサマな薬と言えるのか? 293 00:19:02,655 --> 00:19:05,455 万病に効く薬なんかない! 294 00:19:08,328 --> 00:19:13,666 お奉行様 じきじきのお出まし まことに恐れ入ります。 295 00:19:13,666 --> 00:19:19,172 …が 手前どもに 何か 粗相でも ございましたでしょうか? 296 00:19:19,172 --> 00:19:24,677 うむ… 小石川養生所の 結城新三郎が➡ 297 00:19:24,677 --> 00:19:29,015 万病即効と売り出した神命丸 野放しにしておくは➡ 298 00:19:29,015 --> 00:19:32,452 町奉行の怠慢だと 大層 立腹でな。 299 00:19:32,452 --> 00:19:37,624 これはまた… 異な事を承ります。 300 00:19:37,624 --> 00:19:40,293 神命丸の どこが悪いと おっしゃいますのか? 301 00:19:40,293 --> 00:19:43,630 医者が サジを投げた重病人が 神命丸で治ったと➡ 302 00:19:43,630 --> 00:19:45,965 言い触らしていよう。 お待ち下さい。 303 00:19:45,965 --> 00:19:49,469 手前どもで さような事を 言い触らした覚えはございません。 304 00:19:49,469 --> 00:19:51,504 何? 305 00:19:51,504 --> 00:19:57,343 神命丸の効き目は 私どもが 頼みも致しませぬのに➡ 306 00:19:57,343 --> 00:20:01,481 薬を買って のんで下さった 皆々様方が➡ 307 00:20:01,481 --> 00:20:05,318 よ~く効く薬だ 治った 治ったと➡ 308 00:20:05,318 --> 00:20:07,654 勝手に広めて下さいますので。 309 00:20:07,654 --> 00:20:09,989 チッ こいつ…。 310 00:20:09,989 --> 00:20:14,861 まことに ありがたい事で ございます。 ハハハハハ。 311 00:20:14,861 --> 00:20:19,165 では聞こう。 神命丸の成分は? 312 00:20:19,165 --> 00:20:21,101 申せませぬ。 313 00:20:21,101 --> 00:20:25,839 たとえ お奉行様の お申しつけでありましょうとも➡ 314 00:20:25,839 --> 00:20:27,774 こればっかりは…。 315 00:20:27,774 --> 00:20:31,177 チッ なんていうやつだ。 316 00:20:31,177 --> 00:20:33,847 金儲けのためなら 人が どうなろうと➡ 317 00:20:33,847 --> 00:20:36,516 お前は知らん顔で通すつもりか? 318 00:20:36,516 --> 00:20:39,853 現に お前のところで売っている 薬が買いたいと➡ 319 00:20:39,853 --> 00:20:43,356 吉原に身を売ろうという娘まで 現れているのだぞ。 320 00:20:43,356 --> 00:20:48,194 親のため 家のために 女郎に身を落とす娘➡ 321 00:20:48,194 --> 00:20:52,532 なにも 今に始まった事では ございません。 322 00:20:52,532 --> 00:20:59,405 私も 以前 夫婦して死のうかと 思い詰めた事もございます。 323 00:20:59,405 --> 00:21:06,045 あの時 誰が 私を助けて下さいましたか? 324 00:21:06,045 --> 00:21:08,882 誰も 助けちゃくれませんでしたよ? 325 00:21:08,882 --> 00:21:12,719 そのために かわいい娘まで手放した。 326 00:21:12,719 --> 00:21:14,654 はい。 327 00:21:14,654 --> 00:21:18,525 今になって 手放した娘 取り戻そうと➡ 328 00:21:18,525 --> 00:21:22,228 金に糸目をつけず 捜させている。 329 00:21:22,228 --> 00:21:24,164 よくご存じで…。 330 00:21:24,164 --> 00:21:26,099 弥兵衛➡ 331 00:21:26,099 --> 00:21:30,737 昔 別れた娘の幸せを願う その方が➡ 332 00:21:30,737 --> 00:21:36,509 同じ年頃の娘 薬のために 身を売ろうとしたと聞いて➡ 333 00:21:36,509 --> 00:21:39,009 その胸が痛まぬのか? 334 00:21:42,382 --> 00:21:48,855 残念ながら その 身を売ろうとした娘さんは➡ 335 00:21:48,855 --> 00:21:51,691 私の娘ではございませんので。 336 00:21:51,691 --> 00:21:53,691 貴様! 337 00:21:58,464 --> 00:22:01,034 まったく 腹の立つ野郎だ。 338 00:22:01,034 --> 00:22:03,369 昔 自分が だまされたから➡ 339 00:22:03,369 --> 00:22:06,206 自分も 人をだまして 金を儲ける。 340 00:22:06,206 --> 00:22:08,875 長命堂弥兵衛の生き方だろう。 341 00:22:08,875 --> 00:22:11,211 許しておくのですか? 342 00:22:11,211 --> 00:22:15,882 弥兵衛を罰する力は 私にはない。 忠相殿! 343 00:22:15,882 --> 00:22:18,918 もし 弥兵衛を罰するものが あるとすれば➡ 344 00:22:18,918 --> 00:22:22,755 それは 町奉行ではなく 神様だろう。 345 00:22:22,755 --> 00:22:26,593 あなたが そんな弱音を吐くとは… フン! 346 00:22:26,593 --> 00:22:30,430 そんなに怒るなよ 新三郎。 怒る暇があったら➡ 347 00:22:30,430 --> 00:22:33,366 一人でも多くの病人を 私は治します。 348 00:22:33,366 --> 00:22:35,668 そうすれば あんなイカサマ薬➡ 349 00:22:35,668 --> 00:22:38,171 身を売ってまで買おうとする者は なくなるはず。 350 00:22:38,171 --> 00:22:40,106 そのとおりだ。 351 00:22:40,106 --> 00:22:44,043 しかし 私は それでいいとして 町奉行のあなたには➡ 352 00:22:44,043 --> 00:22:47,513 もっと しなくちゃならぬ事が あるはずです! 353 00:22:47,513 --> 00:22:53,186 町奉行の私が しなくてはならない事… うん。 354 00:22:53,186 --> 00:22:56,686 それが何か よく考えてみる事にしよう。 355 00:22:59,692 --> 00:23:04,197 私がしなければならない事は…➡ 356 00:23:04,197 --> 00:23:06,699 源さん 何だと思うね? 357 00:23:06,699 --> 00:23:10,036 はっ… いや… さあ? 358 00:23:10,036 --> 00:23:13,539 万病に効く薬はないと 新三郎は言うが➡ 359 00:23:13,539 --> 00:23:18,044 だからといって 神命丸を 売ってはならぬという権限は➡ 360 00:23:18,044 --> 00:23:21,547 町奉行にもない。 はい。 361 00:23:21,547 --> 00:23:23,483 効くか効かないかは➡ 362 00:23:23,483 --> 00:23:28,221 薬を買う人が 利口に 自分で判断するしかないのだ。 363 00:23:28,221 --> 00:23:30,890 買う人が利口に? そう。 364 00:23:30,890 --> 00:23:34,761 でも… 人が効くと言うのを 聞けば➡ 365 00:23:34,761 --> 00:23:36,696 なんとかして その薬を買って➡ 366 00:23:36,696 --> 00:23:39,165 病人の苦しみ 取り除いてあげたい…。 367 00:23:39,165 --> 00:23:41,668 まあ そう思うのが人情ですな。 368 00:23:41,668 --> 00:23:47,006 うん。 だからこそ 人の情けに つけいって➡ 369 00:23:47,006 --> 00:23:50,677 金を儲けようとする根性が 憎くてならぬと➡ 370 00:23:50,677 --> 00:23:53,579 新三郎は言うのだ。 はい。 371 00:23:53,579 --> 00:23:57,350 私だとて 憎いと思う。 372 00:23:57,350 --> 00:24:01,854 …が ただ憎むだけでは➡ 373 00:24:01,854 --> 00:24:06,154 町奉行の職責を果たしたとは 言えない。 374 00:24:11,564 --> 00:24:15,201 さあさあ 遠慮しねえで 入ってくれ 入ってくれ。 375 00:24:15,201 --> 00:24:17,136 おい 辰三はいねえか? 376 00:24:17,136 --> 00:24:19,539 いますよ。 おう。 377 00:24:19,539 --> 00:24:23,409 おくめって産婆の隣に住んでいた 和助さんだ。 さあ。 378 00:24:23,409 --> 00:24:26,045 えっ!? あっ… どうぞ どうぞ どうぞ。 379 00:24:26,045 --> 00:24:28,948 おい 三次 酒をくれ。 へい。 380 00:24:28,948 --> 00:24:32,151 あ~ 失礼しやす。 381 00:24:32,151 --> 00:24:38,491 いいか? ゆっくり飲みながら 思い出してみてくれ。 382 00:24:38,491 --> 00:24:40,426 (和助)へい…。 383 00:24:40,426 --> 00:24:42,362 15年前の話だ。 384 00:24:42,362 --> 00:24:47,500 あ~… まだ 俺が 42の➡ 385 00:24:47,500 --> 00:24:49,435 あれは厄年。 386 00:24:49,435 --> 00:24:51,838 でも働き盛りでしたよ 旦那。 387 00:24:51,838 --> 00:24:57,343 うん。 腕のいい大工だった。 ちゃんと覚えてるよ。 388 00:24:57,343 --> 00:24:59,679 さあさあ さあさあ やってくれ やってくれ。 389 00:24:59,679 --> 00:25:02,348 あっ 頂きます。 390 00:25:02,348 --> 00:25:05,017 よいしょ…。 ああ…。 391 00:25:05,017 --> 00:25:07,017 はいはい…。 392 00:25:11,190 --> 00:25:14,026 ああ… うめえな。 393 00:25:14,026 --> 00:25:16,696 ああ… なあなあ それで和助さん その15年前の…。 394 00:25:16,696 --> 00:25:20,199 まあ 慌てるない。 駆けつけ三杯 ゆっくり飲んで➡ 395 00:25:20,199 --> 00:25:24,070 それから 思い出してくれりゃいいんだ。 396 00:25:24,070 --> 00:25:27,874 ああ… おくめさんの事でしたよね? 397 00:25:27,874 --> 00:25:29,809 そう 産婆のおくめさん。 398 00:25:29,809 --> 00:25:33,679 そのおくめさんが 子どもを… 赤ん坊をさ➡ 399 00:25:33,679 --> 00:25:38,484 頼まれて 人にやった事がある ってんだが知らねえかい? 400 00:25:38,484 --> 00:25:42,655 ああ… あの時分は➡ 401 00:25:42,655 --> 00:25:47,326 愛宕下の政五郎って棟梁のとこで 働いてました。 402 00:25:47,326 --> 00:25:50,997 太吉って これも腕のいい大工と組んで➡ 403 00:25:50,997 --> 00:25:56,169 うるせえ仕事だってえと 棟梁が 太吉と俺に頼むんだ。 404 00:25:56,169 --> 00:26:01,040 「行ってきてくれ。 お前らでなきゃ 今度の仕事は勤まらねえ」。 405 00:26:01,040 --> 00:26:04,510 そう言ってくれて。 ハハハハハ! いやいや…。 406 00:26:04,510 --> 00:26:08,381 どっかの薬屋が 借金の請判 押して➡ 407 00:26:08,381 --> 00:26:12,685 夜逃げをして その時 まだ赤ん坊の娘を➡ 408 00:26:12,685 --> 00:26:18,491 おくめに預けたって話。 なあ 覚えてねえか? 409 00:26:18,491 --> 00:26:21,194 赤ん坊じゃねえよ 旦那。 うん? 410 00:26:21,194 --> 00:26:25,031 ありゃ もう3つか4つにゃ なってましたよ。 411 00:26:25,031 --> 00:26:26,966 何? 覚えてるのか!? 412 00:26:26,966 --> 00:26:28,901 まあ! そりゃ覚えてます。 413 00:26:28,901 --> 00:26:30,837 だって 女の子やった先が➡ 414 00:26:30,837 --> 00:26:33,473 俺の相棒の 太吉んとこだったんだもの。 415 00:26:33,473 --> 00:26:38,644 旦那! 和助 その太吉は 今 どこにいる? 416 00:26:38,644 --> 00:26:40,580 かみさんに死なれてから➡ 417 00:26:40,580 --> 00:26:43,316 酒ばっかり 食らってやがったもんで➡ 418 00:26:43,316 --> 00:26:45,251 卒中で倒れちまってさ。 419 00:26:45,251 --> 00:26:48,654 死んじまったのか!? いや 小石川の養生所にいるって➡ 420 00:26:48,654 --> 00:26:51,324 聞きましたよ。 あっ! 421 00:26:51,324 --> 00:26:55,194 じゃあ… お鈴ちゃんの お父つあんの太吉さん!? 422 00:26:55,194 --> 00:27:00,032 あれ? よく知ってんねえ。 そう お鈴っていった あの娘。 423 00:27:00,032 --> 00:27:02,532 (一同)え~!? 424 00:27:06,672 --> 00:27:12,011 私が… 長命堂の? 425 00:27:12,011 --> 00:27:14,514 あの神命丸の? 426 00:27:14,514 --> 00:27:16,514 ああ…。 427 00:27:24,023 --> 00:27:28,361 そりゃあね 急に うれしい顔をしろといわれても➡ 428 00:27:28,361 --> 00:27:31,264 できないと思いますよ。 はい。 429 00:27:31,264 --> 00:27:34,467 いや 何とも複雑な面持ちで➡ 430 00:27:34,467 --> 00:27:40,273 私も 何と言ってやったらいいか 言葉に詰まってしまいました。 431 00:27:40,273 --> 00:27:43,175 弥兵衛は 身を売ろうとした娘➡ 432 00:27:43,175 --> 00:27:47,813 自分の子ではないからと 申しておったが…。 433 00:27:47,813 --> 00:27:49,849 皮肉なものだ。 434 00:27:49,849 --> 00:27:52,318 あなた…。 435 00:27:52,318 --> 00:27:55,988 これが 神の与えた罰であろうか…。 436 00:27:55,988 --> 00:27:58,988 あっ… 若…。 437 00:28:03,162 --> 00:28:07,333 先日は どうも ご無礼致しましてございます。 438 00:28:07,333 --> 00:28:13,673 何と おわびをしてよいやら…。 まっ どうか このとおり 先生。 439 00:28:13,673 --> 00:28:15,708 そんな事は もういい。 440 00:28:15,708 --> 00:28:19,845 太吉のところに娘も呼んである。 行って 会ってきなさい。 441 00:28:19,845 --> 00:28:23,182 ありがとうございます。 442 00:28:23,182 --> 00:28:26,519 あっ それは それとして え~…➡ 443 00:28:26,519 --> 00:28:33,626 これは 私どもから ほんのお礼のしるし。 444 00:28:33,626 --> 00:28:36,963 おい…。 445 00:28:36,963 --> 00:28:38,998 俺を これ以上 怒らせないでくれ。 446 00:28:38,998 --> 00:28:40,998 はあ? 447 00:28:50,509 --> 00:28:52,809 (おいね)いらっしゃいましたよ。 448 00:28:55,348 --> 00:28:58,250 お鈴! 449 00:28:58,250 --> 00:29:03,823 お鈴 私が お前のお父つあんだよ。 450 00:29:03,823 --> 00:29:06,492 大きくなって…。 451 00:29:06,492 --> 00:29:09,528 太吉さん ありがとうございました! 452 00:29:09,528 --> 00:29:14,166 とりあえず これ 取っといてくれ。 453 00:29:14,166 --> 00:29:16,102 えっ…。 454 00:29:16,102 --> 00:29:21,841 先生には ないしょで 神命丸もあげましょう。 ハッハハハ…。 455 00:29:21,841 --> 00:29:27,041 それでは お鈴 一緒に ねっ 帰りましょう。 456 00:29:28,714 --> 00:29:31,651 どうした? お鈴。 457 00:29:31,651 --> 00:29:37,289 太吉さんに遠慮してんのかい? ハハハハハ 心配するな。 458 00:29:37,289 --> 00:29:41,961 太吉さんには ちゃんと お礼はしてあるんだから。 459 00:29:41,961 --> 00:29:45,798 いえ。 うん? 460 00:29:45,798 --> 00:29:47,833 私は 今までどおり…。 461 00:29:47,833 --> 00:29:50,302 お鈴? お鈴…。 462 00:29:50,302 --> 00:29:55,808 ねっ? いいだろ? お父つあん。 463 00:29:55,808 --> 00:29:59,145 お父つあんの子で おいといてちょうだい! 464 00:29:59,145 --> 00:30:01,645 お鈴 お前…。 465 00:30:03,983 --> 00:30:09,483 私は 太吉の娘の鈴です。 466 00:30:14,627 --> 00:30:17,496 若… 若! 467 00:30:17,496 --> 00:30:19,432 どうした? 源さん。 468 00:30:19,432 --> 00:30:23,002 長命堂弥兵衛が 訴状を持って 願って出てまいりました。 469 00:30:23,002 --> 00:30:25,037 何? お鈴が➡ 470 00:30:25,037 --> 00:30:29,508 自分は 長命堂の娘ではない 太吉の娘だと言い張って➡ 471 00:30:29,508 --> 00:30:33,379 長命堂に行く事を 拒みましたので。 472 00:30:33,379 --> 00:30:35,848 お奉行のお力で お鈴に➡ 473 00:30:35,848 --> 00:30:40,186 お前は長命堂夫婦の娘だと 言って頂きたいと。 474 00:30:40,186 --> 00:30:42,521 まあ…。 475 00:30:42,521 --> 00:30:46,859 神に頼らず この私に➡ 476 00:30:46,859 --> 00:30:52,359 町奉行として なすべき事を なせというのか…。 477 00:30:54,533 --> 00:31:21,627 (太鼓の音) 478 00:31:21,627 --> 00:31:25,427 一同の者 面を上げよ。 479 00:31:29,068 --> 00:31:33,839 早速であるが 大工 和助。 へい。 480 00:31:33,839 --> 00:31:36,342 そこにいる 鈴を見よ。 481 00:31:36,342 --> 00:31:41,180 以前 その方の隣に住んでいた 産婆の くめから➡ 482 00:31:41,180 --> 00:31:44,380 太吉がもらった娘に 相違ないか? 483 00:31:49,522 --> 00:31:53,359 はい。 相違ございません。 484 00:31:53,359 --> 00:31:59,165 お鈴ちゃん しばらくだったなあ。 すっかり きれいになって… ハハハ。 485 00:31:59,165 --> 00:32:02,034 お鈴。 はい。 486 00:32:02,034 --> 00:32:04,703 お前も この和助を覚えているか? 487 00:32:04,703 --> 00:32:09,575 覚えています。 お父つあんと 仲の良かった 和助おじさん。 488 00:32:09,575 --> 00:32:13,379 覚えていてくれたかい。 ハハハハ ありがとよ。 489 00:32:13,379 --> 00:32:17,079 和助 ご苦労であった。 へい。 490 00:32:25,891 --> 00:32:29,728 さて お鈴。 491 00:32:29,728 --> 00:32:32,164 これで お前は 間違いなく➡ 492 00:32:32,164 --> 00:32:38,464 そこにいる弥兵衛とおせいの娘 鈴という事になるのだぞ。 493 00:32:40,039 --> 00:32:43,676 お鈴。 494 00:32:43,676 --> 00:32:46,011 申し訳ありませんが➡ 495 00:32:46,011 --> 00:32:49,849 私は この太吉の娘 鈴でございます。 496 00:32:49,849 --> 00:32:51,784 お鈴…! 497 00:32:51,784 --> 00:32:54,720 今日まで お前を放っておいた お父つあん おっ母さん➡ 498 00:32:54,720 --> 00:32:58,023 恨む気持ちは 分からないでもないが➡ 499 00:32:58,023 --> 00:33:01,060 これには深~い訳がある。 500 00:33:01,060 --> 00:33:03,696 そうだよ。 私も お父つあんも➡ 501 00:33:03,696 --> 00:33:06,599 お前が邪魔で 人にあげたんじゃない! 502 00:33:06,599 --> 00:33:12,799 お前が かわいい 苦労させたくないと思えばこそ…。 503 00:33:16,041 --> 00:33:19,078 いいえ。 恨んで 言ってるんじゃありません。 504 00:33:19,078 --> 00:33:23,782 では なぜ 娘ではないと言い張るのだ? 505 00:33:23,782 --> 00:33:29,221 お父つあん 今日まで 私を育ててくれました。 506 00:33:29,221 --> 00:33:32,124 お鈴…。 507 00:33:32,124 --> 00:33:35,828 おっ母さんが死んで 気の弱いお父つあん➡ 508 00:33:35,828 --> 00:33:38,163 お酒 飲んで 泣いてばかりいましたが➡ 509 00:33:38,163 --> 00:33:41,667 私の事は それまでどおり かわいがってくれました。 510 00:33:41,667 --> 00:33:46,505 だから 太吉さんには 十分なお礼はしてあげよう。 511 00:33:46,505 --> 00:33:51,176 ああ そうだとも。 この間あげた お金で足りないというのなら➡ 512 00:33:51,176 --> 00:33:54,013 あと いくらだって あげよう。 513 00:33:54,013 --> 00:33:56,682 いいえ! お金じゃありません。 514 00:33:56,682 --> 00:33:59,018 金でなければ 何だというんだ? 515 00:33:59,018 --> 00:34:03,689 世間の人は お父つあんの事を 飲んだくれだっていいます。 516 00:34:03,689 --> 00:34:07,359 でも 私にとっては いいお父つあんです。 517 00:34:07,359 --> 00:34:11,697 しかし 太吉は 小石川養生所での療養を➡ 518 00:34:11,697 --> 00:34:16,568 つらいから 痛いから嫌だと申す 意気地なし。 519 00:34:16,568 --> 00:34:20,205 神命丸をのませろと お前に ねだって➡ 520 00:34:20,205 --> 00:34:25,544 そのために お前は 吉原へ 身を売ろうとまでしたではないか。 521 00:34:25,544 --> 00:34:28,580 あれは私の考え違いでした。 522 00:34:28,580 --> 00:34:30,716 申し訳ございません。 523 00:34:30,716 --> 00:34:33,619 あくまで 太吉をかばうつもりか? 524 00:34:33,619 --> 00:34:36,822 お鈴…。 525 00:34:36,822 --> 00:34:40,159 かばっているんじゃありません。 526 00:34:40,159 --> 00:34:45,331 本当に お父つあんが 好きなんです。 527 00:34:45,331 --> 00:34:49,168 だって おめえ 俺みてえな こんな…➡ 528 00:34:49,168 --> 00:34:54,340 こんな駄目なお父つあんを 好きだって…➡ 529 00:34:54,340 --> 00:34:56,275 本気で言ってんのか? 530 00:34:56,275 --> 00:35:00,512 本気だとも。 お父つあんは腕のいい職人。 531 00:35:00,512 --> 00:35:02,448 死んだおっ母さんも 言ってたじゃないか。 532 00:35:02,448 --> 00:35:05,184 ううう…。 533 00:35:05,184 --> 00:35:09,054 おっ母さんに死なれて さみしくて お酒飲んだ。 534 00:35:09,054 --> 00:35:11,056 お父つあん 気が優しいから➡ 535 00:35:11,056 --> 00:35:14,893 飲まないじゃ いられなかったんだよね? 536 00:35:14,893 --> 00:35:18,530 それで お酒を飲み過ぎて 病になった。 537 00:35:18,530 --> 00:35:24,036 娘の私が面倒見るのは 当たり前の話だ。➡ 538 00:35:24,036 --> 00:35:26,372 お奉行様。 539 00:35:26,372 --> 00:35:28,407 何だな? お鈴。 540 00:35:28,407 --> 00:35:31,343 病のお父つあんが 私に甘えて だだをこねて➡ 541 00:35:31,343 --> 00:35:34,179 そりゃ 迷惑はかけました。 542 00:35:34,179 --> 00:35:37,016 でも 私に迷惑をかけても➡ 543 00:35:37,016 --> 00:35:39,818 人様に 迷惑は 決して かけていません。 544 00:35:39,818 --> 00:35:42,321 うん。 545 00:35:42,321 --> 00:35:47,192 かけてませんよ お父つあん。 人に迷惑は 決して。 546 00:35:47,192 --> 00:35:49,194 そのとおりだ。 547 00:35:49,194 --> 00:35:54,033 だから 私 お父つあんが好きなんです。 548 00:35:54,033 --> 00:35:56,502 自分が幸せになるために➡ 549 00:35:56,502 --> 00:36:00,005 大好きなお父つあんを放って 長命堂さんに行くのは➡ 550 00:36:00,005 --> 00:36:01,940 嫌でございます。 551 00:36:01,940 --> 00:36:03,876 お鈴…。 552 00:36:03,876 --> 00:36:06,879 わがままを言って 申し訳ございませんが➡ 553 00:36:06,879 --> 00:36:12,351 どうか 今までどおり 太吉の娘の お鈴でおいといて下さい。 554 00:36:12,351 --> 00:36:15,351 よう分かったぞ。 555 00:36:17,022 --> 00:36:19,858 太吉。 は… はい! 556 00:36:19,858 --> 00:36:23,695 お鈴の申した事 その方も聞いたな? 557 00:36:23,695 --> 00:36:26,198 き 聞きました… 聞きました…。 558 00:36:26,198 --> 00:36:30,369 いいお父つあんだと お鈴は言うてくれたのだぞ。 559 00:36:30,369 --> 00:36:34,139 ああ… 恥ずかしい。 560 00:36:34,139 --> 00:36:39,478 自分が 自分の足で しっかり歩く稽古➡ 561 00:36:39,478 --> 00:36:44,983 痛いの つらいの だだこねて…。 562 00:36:44,983 --> 00:36:48,487 お鈴… 堪忍してくれ! 563 00:36:48,487 --> 00:36:51,824 もう言わねえよ! 564 00:36:51,824 --> 00:36:56,495 お父つあん…。 お父つあん 辛抱するよ。 565 00:36:56,495 --> 00:37:04,670 結城先生の言うとおり もう 毎日 少しずつでも稽古して➡ 566 00:37:04,670 --> 00:37:10,470 歩けるようになったら また 仕事 行ってやらあ! 567 00:37:13,011 --> 00:37:17,883 ああ… そうしておくれね。 568 00:37:17,883 --> 00:37:20,886 (太吉)こんな礼なんざいらねえや。 569 00:37:20,886 --> 00:37:23,722 俺にゃ…➡ 570 00:37:23,722 --> 00:37:28,026 お鈴がいるんだもの…。 571 00:37:28,026 --> 00:37:29,962 お父つあん。 572 00:37:29,962 --> 00:37:32,798 弥兵衛。 はっ。 573 00:37:32,798 --> 00:37:36,635 お鈴は よい娘だと思わないか? 574 00:37:36,635 --> 00:37:39,671 思います… はい。 575 00:37:39,671 --> 00:37:43,142 まだ3つの 幼いお鈴を➡ 576 00:37:43,142 --> 00:37:47,646 こんなよい娘に育ててくれた 太吉夫婦➡ 577 00:37:47,646 --> 00:37:52,317 ありがたい人と悟らねば 罰が当たる。 578 00:37:52,317 --> 00:37:56,655 おっしゃるとおりでございます。 579 00:37:56,655 --> 00:37:59,324 お鈴は 太吉の事を➡ 580 00:37:59,324 --> 00:38:04,163 「私には 迷惑はかけても 人様には迷惑はかけていない」と➡ 581 00:38:04,163 --> 00:38:07,666 誇らしげに申した。 582 00:38:07,666 --> 00:38:13,539 世間の人に迷惑かける者を 今更 親とは呼びたくないと➡ 583 00:38:13,539 --> 00:38:16,375 お鈴は お前に言いたいのだろう。 584 00:38:16,375 --> 00:38:19,845 無理もない。 お鈴は お前に➡ 585 00:38:19,845 --> 00:38:26,185 神命丸 月払いで売ってほしいと 頼みに行って すげなく断られた。 586 00:38:26,185 --> 00:38:31,885 そのために 吉原へ 身を売ろうとさえ思った。 587 00:38:33,458 --> 00:38:36,495 許しておくれ お鈴…。 588 00:38:36,495 --> 00:38:39,264 悪かった…。 589 00:38:39,264 --> 00:38:43,635 お父つあんが悪かった。 590 00:38:43,635 --> 00:38:48,307 ああ…。 591 00:38:48,307 --> 00:38:52,477 お恥ずかしゅうございます。 592 00:38:52,477 --> 00:38:55,814 弥兵衛 分かってくれたか? 593 00:38:55,814 --> 00:38:59,814 はい。 分かりました。 594 00:39:03,322 --> 00:39:09,995 目が覚めましてございます。 お前さん…。 595 00:39:09,995 --> 00:39:15,167 おせい… 許しておくれ。 596 00:39:15,167 --> 00:39:19,004 私は…➡ 597 00:39:19,004 --> 00:39:22,874 15年前 無一文になってから➡ 598 00:39:22,874 --> 00:39:26,678 だまされるより だましてやろうと➡ 599 00:39:26,678 --> 00:39:31,116 金儲けだけを考えて 生きてきた。 600 00:39:31,116 --> 00:39:34,152 恥ずかしい。 601 00:39:34,152 --> 00:39:38,952 お前も… さぞ つらかったろう。 602 00:39:42,828 --> 00:39:45,664 お奉行様。 603 00:39:45,664 --> 00:39:52,304 欲に目がくらんで 世間様に迷惑をかけた私は➡ 604 00:39:52,304 --> 00:39:58,176 どのような罰を受けましょうとも 自業自得でございます。 605 00:39:58,176 --> 00:40:03,482 ですが… 女房は何にも知らぬ事。 606 00:40:03,482 --> 00:40:07,986 どうか おせいにだけは➡ 607 00:40:07,986 --> 00:40:11,490 この子に…➡ 608 00:40:11,490 --> 00:40:17,296 時々は会えますように…。 609 00:40:17,296 --> 00:40:19,665 うむ。 610 00:40:19,665 --> 00:40:22,334 では お鈴。 611 00:40:22,334 --> 00:40:24,269 はい。 612 00:40:24,269 --> 00:40:27,506 お鈴は これまでどおり 太吉の娘として➡ 613 00:40:27,506 --> 00:40:30,175 孝養を尽くすとともに➡ 614 00:40:30,175 --> 00:40:34,680 長い年月 我が子を捨てた苦しみ 味わってきた➡ 615 00:40:34,680 --> 00:40:39,184 弥兵衛 おせいにも たまには顔を見せ➡ 616 00:40:39,184 --> 00:40:43,355 娘として 甘えてやってはどうか? 617 00:40:43,355 --> 00:40:46,555 奉行は そう思うが。 618 00:40:50,228 --> 00:40:53,928 はい お奉行様。 619 00:40:55,867 --> 00:40:59,667 ありがとうございます…。 620 00:41:07,045 --> 00:41:11,245 本日の白洲 これまで。 621 00:41:20,559 --> 00:41:23,228 はい。 うっ…。 622 00:41:23,228 --> 00:41:25,163 ああ…。 大丈夫? 623 00:41:25,163 --> 00:41:28,100 あたたた…。 あっ。 624 00:41:28,100 --> 00:41:30,902 はあ はあ…。 大丈夫かい? ああ。 625 00:41:30,902 --> 00:41:34,773 ありがとよ。 頑張ろう。 ああ。 626 00:41:34,773 --> 00:41:37,676 はい。 ああ…。 627 00:41:37,676 --> 00:41:40,512 おお 忠相殿。 628 00:41:40,512 --> 00:41:43,014 あっ お邪魔しますよ。 フフフ。 629 00:41:43,014 --> 00:41:45,684 長命堂が 神命丸の処方を➡ 630 00:41:45,684 --> 00:41:48,019 私のところへ 届けに来てくれました。 631 00:41:48,019 --> 00:41:49,955 商売の秘密…➡ 632 00:41:49,955 --> 00:41:52,357 越前に言われても 教えられぬと言っていた➡ 633 00:41:52,357 --> 00:41:54,393 神命丸の処方を 弥兵衛が? 634 00:41:54,393 --> 00:41:56,528 うん。 フッフッフ。 635 00:41:56,528 --> 00:41:59,564 調べてみたが なかなかのものだ。 636 00:41:59,564 --> 00:42:03,034 しかし 養生所で そんな高い薬が使えるのか? 637 00:42:03,034 --> 00:42:05,871 もちろん 安く納めてもらう事にしました。 638 00:42:05,871 --> 00:42:11,743 そうか。 しかし 新三郎の機嫌が 直って ほっとしたよ。 639 00:42:11,743 --> 00:42:16,047 私の方こそ あの弥兵衛を 善人に戻した 忠相殿は➡ 640 00:42:16,047 --> 00:42:20,218 やはり名奉行だと 改めて尊敬しているところです。 641 00:42:20,218 --> 00:42:23,518 まあ… ようございましたわね。 642 00:42:27,392 --> 00:42:29,327 お~ 雪絵! 643 00:42:29,327 --> 00:42:32,230 父上。 いかがなさいました? 644 00:42:32,230 --> 00:42:36,201 何を言っておるんだ。 今日は 戌の日だぞ。 645 00:42:36,201 --> 00:42:41,907 皆で水天宮様にね。 安産祈願だ。 646 00:42:41,907 --> 00:42:44,876 (妙)はい。 まあ 岩田帯! 647 00:42:44,876 --> 00:42:46,878 丈夫な子を頼んだぞ。 648 00:42:46,878 --> 00:42:50,182 <一に看病 二に薬。➡ 649 00:42:50,182 --> 00:42:54,853 それすら超える 万病治した娘の真心。➡ 650 00:42:54,853 --> 00:42:58,723 人の世は かくありたいと 心打たれる➡ 651 00:42:58,723 --> 00:43:02,223 忠相 新三郎であった>