1 00:00:22,956 --> 00:00:26,293 (市右衛門)あっ! あいたたた…。 2 00:00:26,293 --> 00:00:28,962 大丈夫ですか。 あ~ 大丈夫ですかい。 3 00:00:28,962 --> 00:00:31,865 気を付けておくれよ。 4 00:00:31,865 --> 00:00:33,834 相すいやせんでした! 5 00:00:33,834 --> 00:00:37,538 まったく もう。 ふん! 6 00:00:40,674 --> 00:00:44,978 ん? ない。 財布がない。 7 00:00:44,978 --> 00:00:47,281 すりだ! 8 00:00:50,651 --> 00:00:52,686 (堅太郎)どうした? すりです。 9 00:00:52,686 --> 00:00:55,989 大工のなりした すりが あたしの財布を! 10 00:00:55,989 --> 00:00:57,991 子吉。 へい。 11 00:01:01,762 --> 00:01:04,598 おい! おめえ 大工か。へい。 12 00:01:04,598 --> 00:01:06,533 あ~ ちょっと 何… 何ですか? (子吉)持ってるな。 13 00:01:06,533 --> 00:01:08,468 (大工)えっ? (子吉)お前 どっから来た? 14 00:01:08,468 --> 00:01:11,471 (大工)えっ 今 あっちの方から来たんで。 (子吉)悪いな。 15 00:01:41,301 --> 00:01:44,638 (甚兵衛) よし。 今日は これで上がりにしよう。 16 00:01:44,638 --> 00:01:49,810 おっ 佐吉 見回りを頼む。 へい 親方。 17 00:01:49,810 --> 00:01:52,312 みんな ご苦労さん! 18 00:01:52,312 --> 00:01:55,148 佐吉あにぃ 久しぶりに どうです? 19 00:01:55,148 --> 00:01:57,084 あ~ そうしてえとこなんだが…。 20 00:01:57,084 --> 00:02:00,387 (徳次)悪いな。 佐吉は 俺と約束があるんだ。 21 00:02:00,387 --> 00:02:03,924 じゃあ しょうがねえな。 あにぃ また今度。 22 00:02:03,924 --> 00:02:07,594 ああ… すまねえな。 23 00:02:07,594 --> 00:02:09,529 何でえ 約束って? 24 00:02:09,529 --> 00:02:12,466 ここんとこ しけた面してやがるからよ➡ 25 00:02:12,466 --> 00:02:15,102 景気づけに いいとこ連れてってやるよ。 26 00:02:15,102 --> 00:02:17,037 ん? 27 00:02:17,037 --> 00:02:20,407 お気を付けて。 28 00:02:20,407 --> 00:02:22,476 あっ いらっしゃい。➡ 29 00:02:22,476 --> 00:02:25,178 はっつぁんが お見えだよ。 30 00:02:29,149 --> 00:02:31,418 ⚟丁半 駒そろいました。 31 00:02:31,418 --> 00:02:34,287 勝負! 32 00:02:34,287 --> 00:02:36,957 シゾロの丁! 丁と出ました。 33 00:02:36,957 --> 00:02:39,426 あ~…。 34 00:02:39,426 --> 00:02:41,928 ついてねえな。 35 00:02:43,630 --> 00:02:45,565 ハハハハ…。 さあ 次へいこう。 36 00:02:45,565 --> 00:02:47,567 よし もう一丁! あっ…。 37 00:02:50,303 --> 00:02:52,305 さあ どうぞ。 さあ 入りました。 38 00:02:52,305 --> 00:02:54,508 さあ 入りました。 はってください。 39 00:02:58,445 --> 00:03:00,914 (徳次)ついてる時は こういうもんよ。 40 00:03:00,914 --> 00:03:03,583 だから やめるに やめられねえ。 41 00:03:03,583 --> 00:03:06,253 おめえ よく来るのか。 42 00:03:06,253 --> 00:03:08,188 まあな。 43 00:03:08,188 --> 00:03:11,124 どうだ? どっかで一杯 引っ掛けてくか? 44 00:03:11,124 --> 00:03:13,927 あ~…。 45 00:03:13,927 --> 00:03:18,932 ちょいと 寄る所があるんだ。 ありがとな。 46 00:03:20,701 --> 00:03:23,403 (儀三郎)おい 徳次。 47 00:03:30,777 --> 00:03:35,415 (子どもたちが はしゃぐ声) 48 00:03:35,415 --> 00:03:37,951 よし できたぞ!ありがとう! おう。 49 00:03:37,951 --> 00:03:40,787 (おとよ) 朝っぱらから すまないわね 佐吉さん。 50 00:03:40,787 --> 00:03:42,722 (おきね)今度は 壊すんじゃないよ! 51 00:03:42,722 --> 00:03:46,960 いいってことよ。 これが ほんとの朝飯前だ! 52 00:03:46,960 --> 00:03:48,962 お~! 53 00:03:56,970 --> 00:04:00,273 (筧)大工の佐吉ってのは おめえかい? 54 00:04:03,376 --> 00:05:12,078 ♬~ 55 00:05:12,078 --> 00:05:16,883 ♬~ 56 00:05:20,587 --> 00:05:24,457 あっしが財布を盗んだと おっしゃるんで? 57 00:05:24,457 --> 00:05:28,461 近頃 たちの悪い すりが多くてな➡ 58 00:05:28,461 --> 00:05:31,932 ちょうど目配りしてたのが 運の尽きだ。 59 00:05:31,932 --> 00:05:33,867 とられた隠居が➡ 60 00:05:33,867 --> 00:05:35,802 半纏の背中に「甚」の字が➡ 61 00:05:35,802 --> 00:05:37,804 染め抜かれているのを覚えてた。 62 00:05:37,804 --> 00:05:40,640 そっから おめえに行き当たったのよ。 63 00:05:40,640 --> 00:05:44,644 もしかして つえをついた あのご隠居が…。 64 00:05:44,644 --> 00:05:48,481 ああ おめえが わざと ぶつかってきたと言ってたよ。 65 00:05:48,481 --> 00:05:50,951 いや わざとだなんて あれは つい うっかり…。 66 00:05:50,951 --> 00:05:53,420 何言ってんだ! いちもくさんに逃げただろうが! 67 00:05:53,420 --> 00:05:55,355 逃げちゃいやせん。 68 00:05:55,355 --> 00:06:01,161 ただ いつも手ぇ合わせてる お地蔵さんに 寄ってこうと思って。➡ 69 00:06:01,161 --> 00:06:03,463 財布といやあ…。 70 00:06:12,739 --> 00:06:15,242 こいつは…。 71 00:06:17,244 --> 00:06:19,246 それ あたしんです! 72 00:06:19,246 --> 00:06:22,916 お父っつぁんから預かった財布を うっかり どこかに落としちまって。 73 00:06:22,916 --> 00:06:25,819 さっきから この辺りを 行ったり来たり…。 74 00:06:25,819 --> 00:06:29,256 そうかい 気を付けなきゃいけねえぜ。 75 00:06:29,256 --> 00:06:33,560 助かります。 恩に着ます。ああ。 76 00:06:35,762 --> 00:06:39,399 そいつが本当なら どんな財布でえ? 77 00:06:39,399 --> 00:06:44,104 男持ちのしま柄で ずっしりと重たくて…。 78 00:06:44,104 --> 00:06:47,774 大当たり! まるっきり ご隠居が言ってたのと一緒だぜ。 79 00:06:47,774 --> 00:06:51,611 中には 細かいのも合わせて 10両入ってたそうだ。 80 00:06:51,611 --> 00:06:53,546 10両!? 81 00:06:53,546 --> 00:06:56,783 正直に話した方が 身のためだぜ。 82 00:06:56,783 --> 00:06:59,119 あっ 嘘じゃねえ。 83 00:06:59,119 --> 00:07:04,357 もし 拾った財布が ご隠居のなら きっと あの女が…。 84 00:07:04,357 --> 00:07:06,293 おっ 戻ってきた。 どうだった? 85 00:07:06,293 --> 00:07:09,229 見つけやした。 長屋に金がありやした。 86 00:07:09,229 --> 00:07:11,231 10両か。 87 00:07:11,231 --> 00:07:13,533 いや それが…。 88 00:07:16,569 --> 00:07:19,472 1両? 89 00:07:19,472 --> 00:07:22,375 見つかったのは 1両だけか。 90 00:07:22,375 --> 00:07:25,912 残る9両は 一日で使ってしまったとでも? 91 00:07:25,912 --> 00:07:31,584 本人は 盗んだものではなく もともとあった金だと言い張ってます。 92 00:07:31,584 --> 00:07:35,255 大工ならば 実入りは悪くないはずだ。 93 00:07:35,255 --> 00:07:38,758 1両くらいの金は 持っていたって おかしくはなかろう。 94 00:07:38,758 --> 00:07:44,264 でも これ 土間の水がめの下に落ちてたんです。➡ 95 00:07:44,264 --> 00:07:46,766 まるで 投げ捨てたみたいに。 96 00:07:46,766 --> 00:07:49,102 水がめの下? 97 00:07:49,102 --> 00:07:53,273 はい。 まさか 小判を 放りっぱなしにしていたとは。 98 00:07:53,273 --> 00:07:58,144 なんでも 佐吉は 困ってる連中を 見捨てることができねえたちで➡ 99 00:07:58,144 --> 00:08:00,880 金も 気前よく使ってたそうです。 100 00:08:00,880 --> 00:08:06,753 それにしても 近江屋の隠居は 何故 そのような大金を持ち歩いておったのだ。 101 00:08:06,753 --> 00:08:09,356 象牙の置物だか何だか➡ 102 00:08:09,356 --> 00:08:13,226 道具屋で 掘り出し物を見つけたんだそうで。 103 00:08:13,226 --> 00:08:18,565 置物に10両。 あるとこには あるもんですね。 104 00:08:18,565 --> 00:08:22,235 10両盗めば 首が飛ぶ。 105 00:08:22,235 --> 00:08:25,238 佐吉が 金に困っている様子はなかったか➡ 106 00:08:25,238 --> 00:08:27,374 嘘か まことか➡ 107 00:08:27,374 --> 00:08:30,744 佐吉の言う 財布の女についても 探ってみてくれ。 108 00:08:30,744 --> 00:08:33,580 (筧たち)はっ。 109 00:08:33,580 --> 00:08:35,515 とても考えられやせん。 110 00:08:35,515 --> 00:08:39,452 あのあにぃが 人様の懐を狙うなんて。 なあ。 111 00:08:39,452 --> 00:08:42,589 近頃 何か変わった様子は なかったかい? 112 00:08:42,589 --> 00:08:46,259 それが ここんとこ つきあい悪くって。 113 00:08:46,259 --> 00:08:49,929 俺たち てっきり イロでも できたんじゃねえか なんて。 114 00:08:49,929 --> 00:08:51,865 これか。 へい。 115 00:08:51,865 --> 00:08:55,802 あっ そうだ 徳あにぃだったら 何か聞いてるんじゃないですか。 116 00:08:55,802 --> 00:08:57,804 俺は何も知らん。 117 00:08:57,804 --> 00:09:00,874 何たって やつは 真面目一辺倒だったから。 118 00:09:00,874 --> 00:09:04,744 おめえさん 名は? 徳次です。 119 00:09:04,744 --> 00:09:09,582 佐吉とは古いのかい? ええ まあ。 120 00:09:09,582 --> 00:09:11,885 あいつ 何か あっしのこと…。 121 00:09:11,885 --> 00:09:14,554 うん? 122 00:09:14,554 --> 00:09:17,223 おいおい 何でえ おめえさんのことってのは。 123 00:09:17,223 --> 00:09:20,126 あっ…。 124 00:09:20,126 --> 00:09:22,429 (甚兵衛)旦那方。 125 00:09:25,098 --> 00:09:29,803 ただでさえ 人手が足りねえんだ。 そろそろ 勘弁してもらえやせんか。 126 00:09:29,803 --> 00:09:31,771 お~ こいつは すまなかった。 127 00:09:31,771 --> 00:09:34,073 もういいぞ。 (大工たち)へい。 128 00:09:43,750 --> 00:09:46,453 (徳次)お疲れさん。 (大工たち)お疲れさんです。 129 00:10:05,605 --> 00:10:07,540 (儀三郎)おい 徳次➡ 130 00:10:07,540 --> 00:10:12,111 おめえの顔を立てて やつに勝たしてやった1両は➡ 131 00:10:12,111 --> 00:10:17,917 利息をつけて 今までの貸しに積ませてもらうぜ。 132 00:10:40,640 --> 00:10:45,812 佐吉 出ませい。 (鍵を開ける音) 133 00:10:45,812 --> 00:10:52,452 改めて尋ねたいのは 長屋にあった1両のことだ。 134 00:10:52,452 --> 00:10:57,824 あれは お前さんが 博打で稼いだ金じゃないのかな。➡ 135 00:10:57,824 --> 00:11:03,096 お縄になる前の晩 徳次という大工仲間と連れ立って➡ 136 00:11:03,096 --> 00:11:07,400 稲荷町の居酒屋に入ってゆくのを 見た者があった。 137 00:11:07,400 --> 00:11:11,104 調べてみたところ 店は賭場を兼ねていて➡ 138 00:11:11,104 --> 00:11:15,275 夜な夜な 2階に人を集めて ご開帳を…。 139 00:11:15,275 --> 00:11:19,279 行ってはおりやせん そんな所へは。 140 00:11:19,279 --> 00:11:21,414 博打には手を出すなって➡ 141 00:11:21,414 --> 00:11:24,284 親方から それは やかましく言われてるんです。 142 00:11:24,284 --> 00:11:27,187 しかし 徳次という男は➡ 143 00:11:27,187 --> 00:11:30,423 前から 相当 入れ込んでるらしいじゃないか。 144 00:11:30,423 --> 00:11:33,126 借金も だいぶあって➡ 145 00:11:33,126 --> 00:11:37,964 大工道具を 質屋に持ち込んだこともあると聞いた。 146 00:11:37,964 --> 00:11:41,634 だから やめるに やめられねえ。 147 00:11:41,634 --> 00:11:45,305 おめえ よく来るのか。 148 00:11:45,305 --> 00:11:47,240 まあな。 149 00:11:47,240 --> 00:11:51,811 何か 金が入り用なところへ 徳次から誘われて➡ 150 00:11:51,811 --> 00:11:53,746 つい 魔が差して…。 151 00:11:53,746 --> 00:11:55,982 違えやす。 152 00:11:55,982 --> 00:11:59,852 きっと誰かと見間違えたんです。 153 00:11:59,852 --> 00:12:03,590 徳次という男をかばっている ということはあるまいか。 154 00:12:03,590 --> 00:12:05,925 佐吉が 徳次をですか。 155 00:12:05,925 --> 00:12:10,797 うむ 子細を話せば 徳次の罪も明かすことになる。 156 00:12:10,797 --> 00:12:14,601 徳次が 博打で 借金まで重ねているとなれば➡ 157 00:12:14,601 --> 00:12:18,771 どうあっても 罰は免れぬ。 158 00:12:18,771 --> 00:12:25,545 しかし おのが大罪を疑われる身で そこまで 人を案ずることなど…。 159 00:12:25,545 --> 00:12:31,284 なに そういう男も 世の中には あるかもしれぬ。 160 00:12:31,284 --> 00:12:33,219 はっ? 161 00:12:33,219 --> 00:12:37,924 ふと そう思ったまでだ。 162 00:12:47,834 --> 00:12:50,970 (猪之吉)おくにっていうのは おめえかい。 163 00:12:50,970 --> 00:12:53,873 (又五郎)とうに おっ死んだ 斑猫の助八の手下が➡ 164 00:12:53,873 --> 00:12:57,310 うろついてると聞いて 探してたのよ。 165 00:12:57,310 --> 00:12:59,646 フフフ。 フフフ。 166 00:12:59,646 --> 00:13:02,615 おい ちょちょちょ… 待て! 待て こら! 167 00:13:02,615 --> 00:13:05,451 よこせ おら! 168 00:13:05,451 --> 00:13:07,453 ああっ! んっ! 169 00:13:07,453 --> 00:13:10,923 ハハハハ… こいつは こっちへ頂くぜ。 170 00:13:10,923 --> 00:13:12,859 あいたっ! ん? あいたっ! 171 00:13:12,859 --> 00:13:17,597 おいおいおい 大の男が2人がかりか。 172 00:13:17,597 --> 00:13:20,633 なんだったら➡ 173 00:13:20,633 --> 00:13:23,403 俺が相手になってもいいぞ。 174 00:13:23,403 --> 00:13:27,774 うわっ ちょ ちょ…。 待て こら! こら! 175 00:13:27,774 --> 00:13:30,610 おい 大丈夫か? 176 00:13:30,610 --> 00:13:32,545 あ~ ちょっと待て。 177 00:13:32,545 --> 00:13:36,282 見せてみろ。 178 00:13:36,282 --> 00:13:39,585 ほら けがしてるじゃないか。 179 00:13:42,088 --> 00:13:44,991 よし おいねさん。 180 00:13:44,991 --> 00:13:48,294 よかったですね 大したことなくて。 181 00:13:48,294 --> 00:13:51,130 だから 何でもないって言ったのに。 182 00:13:51,130 --> 00:13:54,434 けがっていうのは ちょっと見ただけじゃ分からないんです。 183 00:13:54,434 --> 00:13:57,804 先生とばったり会うなんて 運がいいわ。 184 00:13:57,804 --> 00:14:01,240 あんなに荒っぽい人が 養生所のお医者なんてね。 185 00:14:01,240 --> 00:14:03,576 悪かったな。 186 00:14:03,576 --> 00:14:07,080 ⚟先生 お願いします。 187 00:14:07,080 --> 00:14:09,749 それで 奉行所宛の願い書きを? 188 00:14:09,749 --> 00:14:11,684 おい 伊織 何の話だ? 189 00:14:11,684 --> 00:14:15,254 ああ 同じ長屋の大工が 奉行所に しょっぴかれたっていうんだ。 190 00:14:15,254 --> 00:14:18,591 そいつを助けるために 何を どう書けばいいかって。 191 00:14:18,591 --> 00:14:21,627 いい人なんです 佐吉さん。➡ 192 00:14:21,627 --> 00:14:25,832 休みの時は 子どもたちの遊び相手。 193 00:14:28,935 --> 00:14:34,107 (おとよ)仕事が終われば 亭主たちの愚痴を黙って聞いてやって。 194 00:14:34,107 --> 00:14:37,610 そうかい。 飲みねえ 飲みねえ。 あ~ すんません すんません…。 195 00:14:37,610 --> 00:14:40,279 (おきね)夫婦喧嘩の取り持ちもね。 196 00:14:40,279 --> 00:14:43,182 まあまあ まあまあ…! 197 00:14:43,182 --> 00:14:47,386 少ねえけど これ 足しにしてくんな。 198 00:14:49,789 --> 00:14:51,724 これで仲直りだ。 199 00:14:51,724 --> 00:14:54,427 いや そんな 受け取れないよ! 200 00:14:54,427 --> 00:14:57,964 こっちは 独り身だから どうにでもならあ! ヘッ! 201 00:14:57,964 --> 00:15:01,734 (おとよ) そう言って いつも にこにこ笑ってね。 202 00:15:01,734 --> 00:15:05,905 ふ~ん そんなやつが 一体 何やらかしたんだ。 203 00:15:05,905 --> 00:15:08,941 小間物屋の隠居から財布をすった疑いが かかってるそうだ。 204 00:15:08,941 --> 00:15:11,577 しかも 中身は 10両だと。 205 00:15:11,577 --> 00:15:13,913 ほう そいつは 大ごとだな。 206 00:15:13,913 --> 00:15:18,084 とにかく あなた方の思いを そのまま伝えてみなさい。 207 00:15:18,084 --> 00:15:21,921 きっと お奉行所は 取り上げてくださるはずだ。 208 00:15:21,921 --> 00:15:25,258 (おとよたち)ありがとうございます! 209 00:15:25,258 --> 00:15:29,595 (六兵衛)そういうことでしたら ひとつ 私が書いてみましょうかね。 210 00:15:29,595 --> 00:15:32,098 お願いします。 お願いします 大家さん。 211 00:15:32,098 --> 00:15:35,134 大家さん お願いします。 それもいいけどよ➡ 212 00:15:35,134 --> 00:15:37,603 やっぱり ものがあった方が 効くんじゃねえか。 213 00:15:37,603 --> 00:15:39,539 ものというと? 214 00:15:39,539 --> 00:15:43,109 あ~ いっそ 小間物屋の隠居がとられた10両➡ 215 00:15:43,109 --> 00:15:46,612 そっくり返してやったらどうか って話ですよ。 216 00:15:46,612 --> 00:15:48,548 なるほど。 217 00:15:48,548 --> 00:15:51,951 そうすれば ご隠居の気持ちも収まって➡ 218 00:15:51,951 --> 00:15:54,854 訴えを 取り下げてくれるかもしれませんね。➡ 219 00:15:54,854 --> 00:15:57,623 あっ それでは 私は 願い書きを。➡ 220 00:15:57,623 --> 00:16:00,226 皆さんは お金集めの用意を。 221 00:16:00,226 --> 00:16:02,895 ⚟よし! ⚟佐吉さんのために! 222 00:16:02,895 --> 00:16:06,732 ⚟そうだ! 223 00:16:06,732 --> 00:16:11,437 まさか あの人が あたしの代わりに…。 224 00:16:17,376 --> 00:16:21,581 お願いします! (一同)お助け金で仲間が救われます!➡ 225 00:16:21,581 --> 00:16:24,917 お願いします! 力を貸してください! 226 00:16:24,917 --> 00:16:26,953 お願いします! お願いします お助けください! 227 00:16:26,953 --> 00:16:29,789 佐吉っつぁんは 盗みなんかするような男じゃねえんです! 228 00:16:29,789 --> 00:16:34,393 皆さんの志を募っております! お願いいたします! 229 00:16:34,393 --> 00:16:36,929 人には 出来心っていうもんがあるからな。 230 00:16:36,929 --> 00:16:41,267 第一 もし やってたら 金を返せば済むって話じゃねえだろう。 231 00:16:41,267 --> 00:16:43,202 出来心でやったなら➡ 232 00:16:43,202 --> 00:16:48,040 出来心でやったと正直に言う男でさあ! 佐吉っつぁんは! 233 00:16:48,040 --> 00:16:50,943 これ 少ねえけど 足しにしてくんな。 234 00:16:50,943 --> 00:16:53,980 佐吉あにぃのためだ。 俺たちも一緒に やらせてもらうぜ。 235 00:16:53,980 --> 00:16:56,115 ありがとうございます。 236 00:16:56,115 --> 00:16:59,018 お願いします! お願いします! お願いします! 237 00:16:59,018 --> 00:17:02,321 仲間の大工を助けてくだせえ! お願いします! 238 00:17:06,759 --> 00:17:11,564 (妙)喜捨のつもりで いくらか包もうと思ったんですけど➡ 239 00:17:11,564 --> 00:17:15,902 仮にも 忠相が お縄にした人ですからね。 240 00:17:15,902 --> 00:17:19,572 (作左ヱ門)あ~ いやいや しまった。 241 00:17:19,572 --> 00:17:22,909 そこまでは考えなかったな。 242 00:17:22,909 --> 00:17:25,745 (雪絵)お力添えなさったんですね 父上は。 243 00:17:25,745 --> 00:17:31,083 ハハハ… これは婿殿に すまんことをした。 244 00:17:31,083 --> 00:17:33,019 ハハハハ…。 245 00:17:33,019 --> 00:17:35,955 はっ! あっちい! 246 00:17:35,955 --> 00:17:38,958 みんなが助けたがっているということは➡ 247 00:17:38,958 --> 00:17:44,263 佐吉という人は よっぽど好かれているんですね。 248 00:17:44,263 --> 00:17:46,599 そういうことでしょうね。 249 00:17:46,599 --> 00:17:50,269 でも 父上が お縄になさったのだから➡ 250 00:17:50,269 --> 00:17:52,939 悪い人なのでしょう? 251 00:17:52,939 --> 00:17:54,874 お縄にしたからといって➡ 252 00:17:54,874 --> 00:17:58,277 間違いなく罪を犯しているとは 限らないんですよ 求次郎。 253 00:17:58,277 --> 00:18:00,212 えっ? 254 00:18:00,212 --> 00:18:02,882 お父上が お白洲で会って➡ 255 00:18:02,882 --> 00:18:08,554 まっすぐな目で その人を見て 事の真偽をお確かめになるのです。 256 00:18:08,554 --> 00:18:13,426 父上の仕事は 難しいものなのですね。 257 00:18:13,426 --> 00:18:18,731 そのとおり。 大したものじゃ 婿殿は。 258 00:18:18,731 --> 00:18:25,504 求次郎も お父上に倣って 立派な大人にならなければね。 259 00:18:25,504 --> 00:18:27,506 はい! 260 00:18:33,579 --> 00:18:37,917 これが 大家から届いた願い書きですか。 261 00:18:37,917 --> 00:18:40,953 それで お主が助けた女というのは? 262 00:18:40,953 --> 00:18:44,790 あっ 2人組の男は おくにと呼んでました。 263 00:18:44,790 --> 00:18:49,528 死んだ斑猫の助八の手下 確か そんな言い方も。 264 00:18:49,528 --> 00:18:53,933 斑猫の助八…。 何か覚えが? 265 00:18:53,933 --> 00:18:58,270 ならば おくには 女すりに相違あるまい。 266 00:18:58,270 --> 00:19:00,206 女すり? 267 00:19:00,206 --> 00:19:02,875 あの界隈では 数年前まで➡ 268 00:19:02,875 --> 00:19:08,214 斑猫の助八が 頭として すりたちを束ねていた。 269 00:19:08,214 --> 00:19:11,550 奉行の私が言うのも おかしなものだが➡ 270 00:19:11,550 --> 00:19:17,423 斑猫は 人を傷つけぬ 鮮やかな技の持ち主でな。 271 00:19:17,423 --> 00:19:20,559 すった財布から 要るだけの金を抜いて➡ 272 00:19:20,559 --> 00:19:24,430 気付かれないまま 元の懐へ返したというのだ。 273 00:19:24,430 --> 00:19:29,568 はあ まさに職人技 職人気質というやつですか。 274 00:19:29,568 --> 00:19:33,906 斑猫の助八が死んでから 手下の者たちは ちりぢりになり➡ 275 00:19:33,906 --> 00:19:38,778 今は 素性も知れぬ すりたちが はびこっている。 276 00:19:38,778 --> 00:19:41,781 おくにを襲ったのは その連中かもしれません。 277 00:19:41,781 --> 00:19:44,917 さては あいつら おくにが すり取った財布を➡ 278 00:19:44,917 --> 00:19:47,253 横取りしようとしていやがったな。 279 00:19:47,253 --> 00:19:49,255 おくにがすった財布を? 280 00:19:49,255 --> 00:19:54,593 ええ いかにも重そうな 男持ちのしまの財布です。 281 00:19:54,593 --> 00:20:00,766 長屋の者も 若い大工たちも 皆 佐吉の無実を信じ切っている。 282 00:20:00,766 --> 00:20:02,701 佐吉というのは➡ 283 00:20:02,701 --> 00:20:06,505 そう思われるだけのことを してきた男なのでしょう。 284 00:20:09,275 --> 00:20:12,611 なるほど 佐吉には 女があったか。 285 00:20:12,611 --> 00:20:16,282 はい。 ここ ふたつきばかり 通い詰めているようで。 286 00:20:16,282 --> 00:20:21,120 吉原か。いや それが 岡場所なんで。 287 00:20:21,120 --> 00:20:23,055 岡場所か。 288 00:20:23,055 --> 00:20:25,958 いっとき あれだけ たたいたというのに➡ 289 00:20:25,958 --> 00:20:28,994 いつの間にやら また あちこちに店がたって。 290 00:20:28,994 --> 00:20:32,298 表向きは 料理屋という触れ込みです。 291 00:20:32,298 --> 00:20:36,168 踏み込んで 店ごと まとめて ひっくくりますか。 292 00:20:36,168 --> 00:20:39,672 いや そこは焦らずともよい。 293 00:21:01,460 --> 00:21:04,263 ⚟(おるい)お待たせいたしました 旦那。 294 00:21:04,263 --> 00:21:08,767 あっ あんたが おるいさんか。 295 00:21:08,767 --> 00:21:13,272 あたしの評判を聞いて 来てくださったんですってね。 296 00:21:13,272 --> 00:21:15,941 徳次さんかい? 徳次? 297 00:21:15,941 --> 00:21:22,281 あっ いや 教えてくれたのは 佐吉って大工でな。 298 00:21:22,281 --> 00:21:25,951 佐吉? ああ あいつ。 299 00:21:25,951 --> 00:21:28,787 だいぶ お前さんに入れ込んでたようだが。 300 00:21:28,787 --> 00:21:33,125 あの人 財布を盗んで お縄になったんでしょう? 301 00:21:33,125 --> 00:21:35,161 ん? うん らしいな。 302 00:21:35,161 --> 00:21:39,632 お縄になったのは 3~4日前だったわよね。うん。 303 00:21:39,632 --> 00:21:43,435 あいつ その前の晩に ここへ来たのよ。 304 00:21:43,435 --> 00:21:45,804 (佐吉)よかったら 使ってくれ。 305 00:21:45,804 --> 00:21:48,641 たったの1枚きりじゃない。 306 00:21:48,641 --> 00:21:50,576 たったの? 307 00:21:50,576 --> 00:21:55,981 あんたときたら 来る度に 1分だ2分だと けちけちと! 308 00:21:55,981 --> 00:21:58,818 それだって 俺は 精いっぺえ…。 おるい。 309 00:21:58,818 --> 00:22:04,323 あら あんた 遅かったじゃない 待ってたのよ。 310 00:22:09,261 --> 00:22:14,600 (おるい)後んなって あん時 あいつが 10両持ってたはずだと知って➡ 311 00:22:14,600 --> 00:22:17,603 もう 悔しくて悔しくて! 312 00:22:20,472 --> 00:22:23,475 旦那。 313 00:22:26,946 --> 00:22:30,783 (三次)そいつは また 結構な役を仰せつかったもんで。 314 00:22:30,783 --> 00:22:34,286 いやいや。 おかげで ようやく察しがついた。 315 00:22:34,286 --> 00:22:37,990 土間に小判が落ちていた訳が。 316 00:22:43,796 --> 00:22:45,731 んっ! 317 00:22:45,731 --> 00:22:48,300 (喬之助)しかし 佐吉は 何だって➡ 318 00:22:48,300 --> 00:22:50,636 そんな心ない女に うつつを抜かしたんでしょうね。 319 00:22:50,636 --> 00:22:55,307 初めて店へ来た時 おるいは 佐吉に嘘をついたそうだ。 320 00:22:55,307 --> 00:22:59,645 在所は 佐吉とおんなじ 備前岡山の在だって。 321 00:22:59,645 --> 00:23:01,614 ありきたりの手管だな。 322 00:23:01,614 --> 00:23:05,918 えっ? 同郷と信じて すっかり 気を許して➡ 323 00:23:05,918 --> 00:23:09,255 佐吉は おるいに 死んだ妹の話をしたそうです。 324 00:23:09,255 --> 00:23:11,190 妹を亡くしているのか。 325 00:23:11,190 --> 00:23:15,761 はい。 子どもの頃 在所では 何年も米が取れなくて➡ 326 00:23:15,761 --> 00:23:20,399 幼い妹を飢え死にさせてしまったと…。 327 00:23:20,399 --> 00:23:23,602 その妹と おるいが 同い年だったんで➡ 328 00:23:23,602 --> 00:23:26,305 面影を重ねたんでしょう。 329 00:23:34,947 --> 00:23:42,288  回想 (おみよ)あんちゃん… あんちゃん おなかすいた。 330 00:23:42,288 --> 00:23:53,899 ♬~ 331 00:23:53,899 --> 00:23:57,303 おみよ ほら 食え。 332 00:23:57,303 --> 00:24:11,583 ♬~ 333 00:24:11,583 --> 00:24:14,253 (佐吉)おみよ しっかりしろ! おみよ!➡ 334 00:24:14,253 --> 00:24:17,756 おみよ しっかり! おみよ しっかりしろ!➡ 335 00:24:17,756 --> 00:24:20,559 おみよ! おみよ! 336 00:24:22,261 --> 00:24:24,763 おみよ…。 337 00:24:32,404 --> 00:24:39,778 それで 佐吉は 幼子を守る地蔵に 日々 手を合わせていたのか。 338 00:24:39,778 --> 00:24:41,714 (お秀)いらっしゃい。 339 00:24:41,714 --> 00:24:44,616 お奉行様。 あっ いらしてたんですか。 340 00:24:44,616 --> 00:24:46,952 遠慮はいらん。 お秀 熱いのをつけてやってくれ。 341 00:24:46,952 --> 00:24:48,887 はい ただいま。 ありがとうございます。 342 00:24:48,887 --> 00:24:52,291 昼間 うちの前にも 六兵衛店の人たちが来たんですよ。 343 00:24:52,291 --> 00:24:56,295 何だか みんなの気持ちが切なくって 私も入れちゃいました。 344 00:24:56,295 --> 00:24:58,430 10文こっきりですけど。 345 00:24:58,430 --> 00:25:01,333 しゃべってねえで早くしねえな。 は~い。 346 00:25:01,333 --> 00:25:05,070 その おくにって女すりのこと 何か分かったか。 347 00:25:05,070 --> 00:25:08,574 ええ 斑猫の助八の直弟子に間違いありやせん。 348 00:25:08,574 --> 00:25:10,509 お見立てどおり➡ 349 00:25:10,509 --> 00:25:13,245 隠居の財布をすったのは おくにで決まりでしょう。 350 00:25:13,245 --> 00:25:16,749 その財布を おくにが地蔵の裏に隠した。 351 00:25:16,749 --> 00:25:21,086 佐吉は 本当に 拾っただけだったんじゃないですかね。 352 00:25:21,086 --> 00:25:23,022 ちょいと あっしも探ってみたんですが➡ 353 00:25:23,022 --> 00:25:26,258 近頃 あの辺りをうろついてる すりどもは➡ 354 00:25:26,258 --> 00:25:29,762 賭場の貸元が仕切ってるって噂ですぜ。 355 00:25:29,762 --> 00:25:32,598 その貸元に心当たりは? 356 00:25:32,598 --> 00:25:36,468 儀三郎っていって 稲荷町の居酒屋を賭場にしてるそうで。 357 00:25:36,468 --> 00:25:40,272 それって 勘太が追っかけてた 徳次って野郎が入った店だ。 358 00:25:40,272 --> 00:25:43,275 例の佐吉の大工仲間だ。 359 00:25:48,981 --> 00:25:51,784 徳次。 へい。 360 00:25:56,822 --> 00:25:58,957 親方 何か ご用で? 361 00:25:58,957 --> 00:26:03,362 こいつを 六兵衛店へ届けてくんな。 362 00:26:03,362 --> 00:26:05,731 佐吉の長屋へ? 363 00:26:05,731 --> 00:26:11,937 5両ある。 かき集めるのに手間がかかっちまった。 364 00:26:18,911 --> 00:26:21,580 ああっ…。 (徳次)ごめんよ! 365 00:26:21,580 --> 00:26:23,515 おっ… おおっ! 366 00:26:23,515 --> 00:26:25,451 どいてくれ! どけ! 367 00:26:25,451 --> 00:26:27,753 (女性たち)ああっ! 368 00:26:29,455 --> 00:26:31,590 ごめんよ! (おさき)お帰り。 369 00:26:31,590 --> 00:26:33,926 お前さん? 370 00:26:33,926 --> 00:26:36,762 よいしょ。 371 00:26:36,762 --> 00:26:39,264 お前さん どうかしたの? 372 00:26:39,264 --> 00:26:41,600 江戸を出る。 3人で こっから逃げるんだ。 373 00:26:41,600 --> 00:26:44,903 逃げるって どうして? いいから 早く支度しろ! 374 00:26:49,942 --> 00:26:53,278 何なの このお金。 何でもねえ。 375 00:26:53,278 --> 00:26:55,614 何でもないわけないじゃない。 376 00:26:55,614 --> 00:27:00,419 まさか また博打に手を出したんじゃ…。 377 00:27:03,222 --> 00:27:08,560 すまねえ おさき 負けが込んで借りを作っちまった。 378 00:27:08,560 --> 00:27:12,898 借りがあるんなら どうして こんな大金が…。 379 00:27:12,898 --> 00:27:15,367 そいつは聞かねえでくれ。 380 00:27:15,367 --> 00:27:17,369 頼む。 381 00:27:21,573 --> 00:27:23,775 分かったわ。 382 00:27:25,377 --> 00:27:31,083 でも このお金は あたしの思うとおりにさせて。 383 00:27:31,083 --> 00:27:35,387 思うとおりって こんだけありゃあ 当面なんとか…。 384 00:27:35,387 --> 00:27:37,923 佐吉さんに恩返ししたいのよ! 385 00:27:37,923 --> 00:27:39,858 佐吉に? 386 00:27:39,858 --> 00:27:43,729 あたしたちも できることは やりたいじゃない。 387 00:27:43,729 --> 00:27:46,398 あたしたちが一緒になる時➡ 388 00:27:46,398 --> 00:27:51,770 あの人 さんざん 骨を折ってくれたわよね。 389 00:27:51,770 --> 00:27:55,407 おゆうのことも あんなに かわいがってくれて。 390 00:27:55,407 --> 00:27:59,945 生まれた時も 熱を出して もう危ないって時も➡ 391 00:27:59,945 --> 00:28:03,348 誰よりも案じてくれたのは 佐吉さんだったじゃない。 392 00:28:03,348 --> 00:28:05,284 何をぐずぐずしてる。 393 00:28:05,284 --> 00:28:07,219 早く医者へ連れてかねえと! 394 00:28:07,219 --> 00:28:10,889 駄目だ そんな銭はねえ。 んなこと言ってる場合か! 395 00:28:10,889 --> 00:28:12,824 おゆう…。 396 00:28:12,824 --> 00:28:14,760 お前さん! 397 00:28:14,760 --> 00:28:18,063 佐吉おじちゃん どうしたの? 398 00:28:23,235 --> 00:28:25,571 おあしなんか 生きてりゃ なんとかなる。 399 00:28:25,571 --> 00:28:29,775 だから そうしよう。 あたし 今から六兵衛店へ行ってくる。 400 00:28:31,376 --> 00:28:33,679 待ってくれ! 401 00:28:39,585 --> 00:28:42,254 お願いします。 助けてください。 402 00:28:42,254 --> 00:28:48,126 お願いしま~す! お願いしま~す! 403 00:28:48,126 --> 00:28:50,395 お願いします お願いします! 404 00:28:50,395 --> 00:28:53,298 (男性)よろしくお願いいたします。 お願いします。 405 00:28:53,298 --> 00:28:55,934 (子どもたち) お願いします! お願いします!➡ 406 00:28:55,934 --> 00:28:57,970 ありがとうございます!➡ 407 00:28:57,970 --> 00:29:00,772 お願いします! お願いします! 408 00:29:00,772 --> 00:29:03,542 百両? そうだよ。 409 00:29:03,542 --> 00:29:08,213 百両払えば そっから先は 月々10両で見逃してやろうっていう➡ 410 00:29:08,213 --> 00:29:12,084 ヘッ ありがてえ話じゃねえか。 411 00:29:12,084 --> 00:29:17,556 誰が そんな金 あんたらみたいな賽子稼業の連中に。 412 00:29:17,556 --> 00:29:20,859 そうかい そういうことなら…。 413 00:29:24,229 --> 00:29:27,132 あいたたたた…。 このアマ! 414 00:29:27,132 --> 00:29:29,134 ああっ…。 415 00:29:41,246 --> 00:29:45,584 わわわっ わっ せ… 先生! 先生! 先生! 416 00:29:45,584 --> 00:29:47,519 どうした? 先生 早く! 417 00:29:47,519 --> 00:29:49,921 おくにじゃないか! 418 00:29:49,921 --> 00:29:51,857 新三郎 すぐに手当てを。 おう。 419 00:29:51,857 --> 00:29:55,727 よし 立てるか。 さあ。先生… 先生…。 420 00:29:55,727 --> 00:29:59,931 佐吉って人 助けて。 421 00:29:59,931 --> 00:30:01,933 お願い。 422 00:30:05,270 --> 00:30:09,141 助けて。 お願い。 423 00:30:09,141 --> 00:30:12,044 お… おい しっかりしろ! おい! 424 00:30:12,044 --> 00:30:15,280 おい おくに!運ぼう。 ああ。よし。 425 00:30:15,280 --> 00:30:22,621 (太鼓の音) 426 00:30:22,621 --> 00:30:30,629 南町奉行 大岡越前守様 ご出座~! 427 00:30:40,172 --> 00:30:42,307 これより➡ 428 00:30:42,307 --> 00:30:47,979 小間物問屋 近江屋隠居 市右衛門より 財布を盗みし罪につき➡ 429 00:30:47,979 --> 00:30:53,652 堅大工町 六兵衛店 大工 佐吉の 詮議をいたす。 430 00:30:53,652 --> 00:30:57,355 一同の者 面を上げよ。 431 00:31:01,259 --> 00:31:03,261 佐吉 その方➡ 432 00:31:03,261 --> 00:31:07,399 いまだに 財布を盗んだ旨を認めぬと聞くが➡ 433 00:31:07,399 --> 00:31:09,334 まことであるか。 434 00:31:09,334 --> 00:31:13,939 はい あっしは盗んじゃおりやせん。 435 00:31:13,939 --> 00:31:17,609 けど よくよく考えてみたら➡ 436 00:31:17,609 --> 00:31:21,113 疑われてもしかたねえって 思うようになりやした。 437 00:31:21,113 --> 00:31:26,785 ほう 何故 さよう思うに至った? 438 00:31:26,785 --> 00:31:30,422 財布を持ってった女が すりに違えねえ。 439 00:31:30,422 --> 00:31:36,228 そう決めつけておりやしたが 証しがあるわけじゃありやせん。 440 00:31:36,228 --> 00:31:40,966 それより てめえは どうなんだ。 441 00:31:40,966 --> 00:31:43,802 財布を見つけた時➡ 442 00:31:43,802 --> 00:31:48,440 入ってる小判から 目が離せなかったじゃねえか。 443 00:31:48,440 --> 00:31:51,309 もし 誰も来なかったら➡ 444 00:31:51,309 --> 00:31:57,649 あのまま てめえの懐へ入れてたんじゃねえかって。 445 00:31:57,649 --> 00:32:01,253 お牢の中で あれこれ考えてるうち➡ 446 00:32:01,253 --> 00:32:06,925 そうに違えねえって 思うようになりやした。 447 00:32:06,925 --> 00:32:09,761 こうなったのも「身から出た錆」。 448 00:32:09,761 --> 00:32:14,266 だから 何もかも お奉行様に お任せして➡ 449 00:32:14,266 --> 00:32:19,137 お裁きに 従うことにいたしやす。 450 00:32:19,137 --> 00:32:21,606 そこまで申すなら➡ 451 00:32:21,606 --> 00:32:28,780 何故 稲荷町の賭場へ行っていたことを 認めようとはせぬ? 452 00:32:28,780 --> 00:32:31,817 そこで得た1両の金を➡ 453 00:32:31,817 --> 00:32:34,653 るいと申す なじみの女に やろうとしたことも➡ 454 00:32:34,653 --> 00:32:38,790 既に 調べはついておる。 455 00:32:38,790 --> 00:32:42,961 お奉行様 差し出がましゅうございますが…。 456 00:32:42,961 --> 00:32:47,299 控えよ! 構わぬ。 続けよ。 457 00:32:47,299 --> 00:32:52,637 この者は あたしの財布の金に目がくらんだと➡ 458 00:32:52,637 --> 00:32:54,573 言っておるのでございます。 459 00:32:54,573 --> 00:33:01,446 この期に及んで博打のことなど どうでもよいではございませんか。 460 00:33:01,446 --> 00:33:05,450 その方の言い分 もっともである。 461 00:33:24,269 --> 00:33:26,571 あっ おめえさんは! 462 00:33:31,142 --> 00:33:34,279 傷は痛まぬか。 463 00:33:34,279 --> 00:33:36,281 はい。 464 00:33:36,281 --> 00:33:42,153 ならば 聞く。 その方の名と生業は。 465 00:33:42,153 --> 00:33:45,624 くにと申します。 466 00:33:45,624 --> 00:33:52,297 人様の懐から お宝を頂戴して たつきにしております。 467 00:33:52,297 --> 00:33:56,968 ええっ この女が巾着切りを!? 468 00:33:56,968 --> 00:34:04,242 あの日 ご隠居さんの財布をすったのは あたしなんです。 469 00:34:04,242 --> 00:34:07,445 ごちそうさん。 ありがとうございました。 470 00:34:15,587 --> 00:34:20,091 (おくに)でも 近くに お役人がいるのを見かけて…。 471 00:34:37,275 --> 00:34:42,614 市右衛門 これは その方の財布であるな。 472 00:34:42,614 --> 00:34:48,420 あっ それです まさしく あたしの財布です! 473 00:34:48,420 --> 00:34:53,792 おくに その方は 亡き頭の教えに従って➡ 474 00:34:53,792 --> 00:34:58,964 この財布を 市右衛門の懐へ 戻そうとしたのではないか? 475 00:34:58,964 --> 00:35:01,366 えっ? 476 00:35:01,366 --> 00:35:08,573 はい。 さすがに こんなに大金 頂いちゃ 頭の名が廃ると思ったんです。 477 00:35:11,910 --> 00:35:19,217 ご隠居さん 佐吉さん このとおりです。 478 00:35:21,619 --> 00:35:25,457 奉行からも 佐吉にわびねばならぬ。 479 00:35:25,457 --> 00:35:29,327 罪なき身に 縄をかけようとした。 480 00:35:29,327 --> 00:35:32,931 罪のない身ではごぜえやせん。 481 00:35:32,931 --> 00:35:34,866 お奉行様がおっしゃったとおり➡ 482 00:35:34,866 --> 00:35:40,271 あっしは あの晩 ご隠居の財布の小判が目にちらついて➡ 483 00:35:40,271 --> 00:35:44,142 ついつい 一人で賭場へ…。 484 00:35:44,142 --> 00:35:50,782 やはり その方 徳次をかばうつもりなのだな。 485 00:35:50,782 --> 00:35:53,818 おとがめは あっしが 2人分 引き受けやす。 486 00:35:53,818 --> 00:35:58,523 だから どうか 徳次をお見逃しくださいやし! 487 00:35:58,523 --> 00:36:02,227 なぜ そうまでして かばう。 488 00:36:03,895 --> 00:36:08,733 あいつには 苦労をかけてきた かみさんがいるし➡ 489 00:36:08,733 --> 00:36:13,571 娘のおゆうは まだ こんなに小せえんです。 490 00:36:13,571 --> 00:36:16,474 そこへいくと あっしは独り身だ。 491 00:36:16,474 --> 00:36:19,444 両親は とうに あの世へ行ってるし➡ 492 00:36:19,444 --> 00:36:23,915 あっしばかりが頼りだった 妹のおみよも➡ 493 00:36:23,915 --> 00:36:28,753 腹を減らしたまま 死なせちまった。 494 00:36:28,753 --> 00:36:33,591 在所から 江戸へ出て今日までずっと➡ 495 00:36:33,591 --> 00:36:40,365 その方は 妹の死を 我が罪と思って生きてきたのだな。 496 00:36:40,365 --> 00:36:45,937 あいつを守ってやれねえで てめえばかりが生き延びた! 497 00:36:45,937 --> 00:36:49,407 (おみよ)あんちゃん おなかすいた。 498 00:36:49,407 --> 00:36:53,611 (佐吉)おみよ しっかり! おみよ しっかりしろ! 499 00:36:55,947 --> 00:37:00,718 お奉行様 こんなあっしが どうなろうと➡ 500 00:37:00,718 --> 00:37:05,056 困る者も 悲しむ者も 誰一人ごぜえやせん。 501 00:37:05,056 --> 00:37:07,726 誰一人おらぬ。 502 00:37:07,726 --> 00:37:11,529 まこと さように思うのか。 503 00:37:15,233 --> 00:37:18,069 佐吉! (子どもたち)あんちゃん!佐吉! 504 00:37:18,069 --> 00:37:20,371 佐吉あにぃ! (大工たち)あにぃ! 505 00:37:20,371 --> 00:37:24,576 この者たちは その方を救わんとして 志を募り➡ 506 00:37:24,576 --> 00:37:28,446 市右衛門に許しを得るための 金子を集めたのだ。 507 00:37:28,446 --> 00:37:32,951 見事 10両集まりましたよ 佐吉さん。 508 00:37:35,220 --> 00:37:38,256 俺のために みんなで…。 509 00:37:38,256 --> 00:37:40,925 当たり前じゃないの。 この子たちも あたしたちも➡ 510 00:37:40,925 --> 00:37:42,961 みんな あんたのことが好きなんだから。 511 00:37:42,961 --> 00:37:46,264 第一 おめえさんがいないと 女房を黙らすやつがいねえや。 512 00:37:46,264 --> 00:37:49,267 大家さんも へぼ将棋に つきあってくれる相手がいなくて➡ 513 00:37:49,267 --> 00:37:51,603 困ってらあ。 (笑い声) 514 00:37:51,603 --> 00:37:53,605 (徳次)すまねえ! 515 00:37:57,408 --> 00:37:59,344 すまねえ 佐吉。 516 00:37:59,344 --> 00:38:01,279 徳…。 517 00:38:01,279 --> 00:38:05,150 親方から 目をかけられて 若え連中から慕われて➡ 518 00:38:05,150 --> 00:38:08,553 俺は お前が羨ましかった。 519 00:38:08,553 --> 00:38:11,356 いっそ おめえも博打で苦しめばいい。 520 00:38:11,356 --> 00:38:14,893 心の中で そんな気持ちがあったんだ。 521 00:38:14,893 --> 00:38:18,229 何言ってんだい。 522 00:38:18,229 --> 00:38:21,733 俺は いつも てめえのことばかり。 523 00:38:21,733 --> 00:38:26,371 でも お前は 俺たちのことを…。 524 00:38:26,371 --> 00:38:30,241 許してください 佐吉さん。 525 00:38:30,241 --> 00:38:33,244 佐吉おじちゃん。 526 00:38:35,113 --> 00:38:38,816 一同 控えなさい。 527 00:38:42,820 --> 00:38:47,659 徳次と おくにが まことを話したことにより➡ 528 00:38:47,659 --> 00:38:52,163 儀三郎の賭博一味と その配下にある すり一党を捕らえ…。 529 00:38:59,103 --> 00:39:02,073 神妙にしろ~! 530 00:39:02,073 --> 00:39:04,342 また 思いがけなく➡ 531 00:39:04,342 --> 00:39:08,213 料理屋を騙る岡場所の裏も 暴くことができた。 532 00:39:08,213 --> 00:39:10,882 (戸が開く音) 533 00:39:10,882 --> 00:39:12,917 あっ…。 わっ わっ…。 534 00:39:12,917 --> 00:39:14,919 神妙にしやがれ! 535 00:39:21,526 --> 00:39:23,595 きゃ~! あっ あっ…。 536 00:39:23,595 --> 00:39:27,232 これを踏まえて 裁きを申し渡す。 537 00:39:27,232 --> 00:39:31,102 佐吉と徳次は共に➡ 538 00:39:31,102 --> 00:39:37,242 賭場出入りと博打の罪にて きっと叱りおく。 539 00:39:37,242 --> 00:39:39,577 あっしも お叱りだけで…。 540 00:39:39,577 --> 00:39:43,281 ご温情 ありがとうございます! 541 00:39:46,351 --> 00:39:49,754 そして おくに。 はい。 542 00:39:49,754 --> 00:39:57,929 その方が 長く すりを生業にしてきた罪は まことに重い。 543 00:39:57,929 --> 00:40:03,601 されど 殊勝なる自訴に加え 形の上では初犯。 544 00:40:03,601 --> 00:40:12,110 大金を懐に 油断のあった市右衛門の非も減じて➡ 545 00:40:12,110 --> 00:40:14,946 江戸十里四方お構いといたす。 546 00:40:14,946 --> 00:40:17,615 お奉行様…。 547 00:40:17,615 --> 00:40:23,421 二度三度 重ねての斟酌は なきものと心得よ。 548 00:40:28,626 --> 00:40:32,797 さて 佐吉。 へい。 549 00:40:32,797 --> 00:40:38,436 幼くして命を落とした その方の妹 おみよの魂は➡ 550 00:40:38,436 --> 00:40:44,242 優しい地蔵菩薩に抱かれ きっと あの世で救われていよう。 551 00:40:48,179 --> 00:40:51,015 高き空の向こうにあって➡ 552 00:40:51,015 --> 00:41:00,591 かほど多くの人々が心寄せる兄のことを 心から誇りに思っていようぞ。 553 00:41:00,591 --> 00:41:03,394 ありがとうごぜえやす。 554 00:41:03,394 --> 00:41:06,931 みんな 本当にありがとう! 555 00:41:06,931 --> 00:41:11,769 よし。 それじゃあ みんな 手締めだ。 556 00:41:11,769 --> 00:41:13,805 よ~っ! (手をたたく音) 557 00:41:13,805 --> 00:41:15,940 これ! あっ。 558 00:41:15,940 --> 00:41:18,409 これは どうも。 相すいません。 559 00:41:18,409 --> 00:41:22,213 本日の白洲 これまで。 560 00:41:34,625 --> 00:41:38,296 (作左ヱ門)時に 求次郎は どうしたい? 561 00:41:38,296 --> 00:41:40,231 あっ 来ましたよ。 562 00:41:40,231 --> 00:41:43,134 まあ 顔中 墨だらけ! 563 00:41:43,134 --> 00:41:48,006 手習いをしながら 突っ伏して寝てしまったみたいで。 564 00:41:48,006 --> 00:41:50,008 よいではありませんか。 565 00:41:50,008 --> 00:41:53,444 私も幼い頃 似たようなことをやったものですよ。 566 00:41:53,444 --> 00:41:55,380 父上も? うん。 567 00:41:55,380 --> 00:42:00,151 居眠りどころか 筆を振り回して剣術ごっこを。 568 00:42:00,151 --> 00:42:02,587 後始末に苦労しました。 569 00:42:02,587 --> 00:42:04,522 ウフフフ…。 570 00:42:04,522 --> 00:42:07,759 何でえ だったら おいらの方が よっぽど ましだ。 571 00:42:07,759 --> 00:42:10,261 (笑い声) 572 00:42:10,261 --> 00:42:16,134 <生きていれば絶望し 何かを諦めたくなることもある。➡ 573 00:42:16,134 --> 00:42:18,136 しかし また 生きていれば➡ 574 00:42:18,136 --> 00:42:24,409 人の心の温かさに 夢や希望が輝く時もある。➡ 575 00:42:24,409 --> 00:42:31,916 それが 奉行として 白洲に臨む忠相の喜びであった> 576 00:42:35,787 --> 00:42:38,289 鴨田十蔵だったな。 577 00:42:38,289 --> 00:42:41,192 私が殺しました。 いかようにも お裁きを。 578 00:42:41,192 --> 00:42:43,161 根付師の梅次が 姿をくらましてます。 579 00:42:43,161 --> 00:42:45,163 今度会ったら たたっ殺してやる! 580 00:42:45,163 --> 00:42:48,299 このままじゃいけねえんだ! ハハハハ…。 581 00:42:48,299 --> 00:42:50,234 坊ちゃん しっかり! 582 00:42:50,234 --> 00:42:52,170 又三をあやめたのは 私でござる。 583 00:42:52,170 --> 00:42:54,872 お家断絶になろうともか。