1 00:00:03,170 --> 00:00:05,772 (忠相)根付? 2 00:00:05,772 --> 00:00:10,611 申し訳ありません。 私が踏んでしまったのです。 3 00:00:10,611 --> 00:00:16,416 あなたのせいではありません。 落とした私が悪いのです。 4 00:00:16,416 --> 00:00:23,624 ですが これは あなたのおじい様が 昔々 その昔に➡ 5 00:00:23,624 --> 00:00:27,794 お守り代わりにしろと くれたものですから。 6 00:00:27,794 --> 00:00:32,633 なるほど。 (雪絵)帯飾りに使ってらしたそうです。 7 00:00:32,633 --> 00:00:36,503 のりで貼っても駄目でしょうね。 8 00:00:36,503 --> 00:00:39,306 (お花)はい…。 9 00:00:39,306 --> 00:00:42,309 そうです! 鎌倉河岸近くに➡ 10 00:00:42,309 --> 00:00:46,647 若い職人で 腕のいい根付師がいると 聞いたことがあります。 11 00:00:46,647 --> 00:00:48,582 本当? 名は? 12 00:00:48,582 --> 00:00:51,318 梅次さんです。 13 00:00:51,318 --> 00:00:55,155 その人に頼めば 元どおりになるかしら。 14 00:00:55,155 --> 00:00:59,026 それは分かりませんが 行くだけ行ってみたら どうですか。 15 00:00:59,026 --> 00:01:02,396 では 早速。 私も参ります! 16 00:01:02,396 --> 00:01:05,299 いいえ あなたは おばあ様とお留守番です。 17 00:01:05,299 --> 00:01:07,768 え~…。 18 00:01:07,768 --> 00:01:12,606 なら 私が一緒に行こう。 19 00:01:12,606 --> 00:01:14,641 はい。 20 00:01:14,641 --> 00:01:30,958 ♬~ 21 00:01:30,958 --> 00:01:33,293 あっ ここの長屋です。 22 00:01:33,293 --> 00:01:35,295 うん。 23 00:01:46,440 --> 00:01:48,508 こいつは➡ 24 00:01:48,508 --> 00:01:52,145 あっしの師匠だった 親父の喜平が こさえたもののようで。 25 00:01:52,145 --> 00:01:54,081 まあ。 ほう。 26 00:01:54,081 --> 00:01:57,818 (梅次)ここに 「喜」って印があるんで 間違いございません。 27 00:01:57,818 --> 00:02:01,688 巡り合わせというものは あるのですね。 まことにな。 28 00:02:01,688 --> 00:02:04,925 あ~ けど いいものを見せてもらいやした。 29 00:02:04,925 --> 00:02:06,860 さすが 親父だ。 30 00:02:06,860 --> 00:02:09,763 おい 仁助。 へい。 31 00:02:09,763 --> 00:02:13,633 おめえも よく見ておけ。 へい。 32 00:02:13,633 --> 00:02:17,104 旦那 こいつは 元には戻りませんが➡ 33 00:02:17,104 --> 00:02:20,607 あっしが 寸分たがわぬものを こさえちゃいけませんか。 34 00:02:20,607 --> 00:02:22,643 できるかい。 35 00:02:22,643 --> 00:02:24,945 あっちにいる親父が➡ 36 00:02:24,945 --> 00:02:29,282 やれるもんならやってみろって 言ってるような気がしましてね。 37 00:02:29,282 --> 00:02:33,787 もし 出来上がりが気に入らなかったら お代は結構でございます。 38 00:02:33,787 --> 00:02:35,722 (雪絵)あっ まことですか。 39 00:02:35,722 --> 00:02:39,593 へい。 そうか。 では 頼もう。 40 00:02:39,593 --> 00:02:42,129 よろしくお願いします。 41 00:02:42,129 --> 00:02:45,032 ひとつきとは かかりませんので そのころに また…。 42 00:02:45,032 --> 00:02:47,000 ⚟(おちか)梅さん! 43 00:02:47,000 --> 00:02:49,002 梅さん 大変! 44 00:02:49,002 --> 00:02:51,838 おちかちゃん 今は…。 あっ ごめんなさい。 45 00:02:51,838 --> 00:02:55,442 よい。 もう 話は終わった。 では 頼んだよ。 46 00:02:55,442 --> 00:02:57,444 へい。 47 00:03:00,580 --> 00:03:02,916 きっぷのいい方でしたね。 48 00:03:02,916 --> 00:03:05,619 うん そうだな。 49 00:03:07,788 --> 00:03:10,390 あなた。 ん? 50 00:03:10,390 --> 00:03:14,695 ちょっと寄りたい所があるんですが。 51 00:03:18,765 --> 00:03:20,801 何だって!? つい今し方➡ 52 00:03:20,801 --> 00:03:24,271 彌勒屋さんの前で 手代さんに聞いたんだから間違いない。 53 00:03:24,271 --> 00:03:26,773 仁助 あとは頼んだ! 54 00:03:26,773 --> 00:03:29,609 親方! 梅さん! 55 00:03:29,609 --> 00:03:32,512 んっ まあ おいしい。 56 00:03:32,512 --> 00:03:35,215 評判どおりですわ ここのおしるこ。 57 00:03:36,950 --> 00:03:38,952 ごめんよ! 58 00:03:47,294 --> 00:04:55,428 ♬~ 59 00:04:55,428 --> 00:05:00,634 ♬~ 60 00:05:13,813 --> 00:05:16,249 心労が重なり過ぎると➡ 61 00:05:16,249 --> 00:05:18,919 心の臓を急にやられることがある。 62 00:05:18,919 --> 00:05:22,255 まっ 若いのに気の毒なことだ。 63 00:05:22,255 --> 00:05:24,758 あいつのせいだ。 64 00:05:24,758 --> 00:05:26,693 えっ? いえ。 65 00:05:26,693 --> 00:05:30,096 お島も 最後は 苦しまずに逝けました。 66 00:05:30,096 --> 00:05:32,399 先生のおかげでございます。 67 00:05:32,399 --> 00:05:34,467 うん…。 68 00:05:34,467 --> 00:05:37,938 ではな。 あっ ありがとうございました。 69 00:05:37,938 --> 00:05:39,940 (多吉)あっ。 ああ 大丈夫。 70 00:05:41,608 --> 00:05:43,643 旦那! おい! 71 00:05:43,643 --> 00:05:45,645 はい。 72 00:05:48,281 --> 00:05:52,152 女将さんは ほんとに亡くなったんですね。 73 00:05:52,152 --> 00:05:55,956 旦那 一目だけでいい 会わせておくんなさい。 74 00:05:55,956 --> 00:05:57,891 冗談じゃないよ。 75 00:05:57,891 --> 00:05:59,826 そんなことをする義理は こっちにはないよ! 76 00:05:59,826 --> 00:06:01,761 とっとと帰っておくれ! 多吉! 77 00:06:01,761 --> 00:06:05,232 はい。 さあ 梅次さん。 よせよ! 離せ! 78 00:06:05,232 --> 00:06:07,167 (又三)なんてことするんだい。 79 00:06:07,167 --> 00:06:11,905 あんたも ひとかどの職人だろ。 それとも そこらの与太者なのか! 80 00:06:11,905 --> 00:06:14,241 申し訳ねえ。 81 00:06:14,241 --> 00:06:17,077 けど 旦那 後生だから 女将さんに…。 82 00:06:17,077 --> 00:06:19,913 (鴨田)おい 梅次! 旦那。 83 00:06:19,913 --> 00:06:22,582 お役人様 この男をしょっぴいてください。 84 00:06:22,582 --> 00:06:26,253 こいつは ゆすりたかりと おんなじだ! 迷惑なんです こっちは! 85 00:06:26,253 --> 00:06:29,456 何だと!?おい よせ! おいおい おいおい…。 86 00:06:31,925 --> 00:06:35,595 あんた 確か 北の…。 87 00:06:35,595 --> 00:06:37,530 ほら 来い 梅次! 88 00:06:37,530 --> 00:06:39,466 又三の旦那 頼むよ! 89 00:06:39,466 --> 00:06:42,769 女将さんに会わせてくれよ! 旦那! 90 00:06:44,604 --> 00:06:46,539 おい 大丈夫か。 あっ はい。 91 00:06:46,539 --> 00:06:48,475 何だい ありゃ。 へい。 92 00:06:48,475 --> 00:06:52,479 以前 うちに出入りしていた 根付師の梅次という男です。 93 00:06:52,479 --> 00:06:55,782 あの野郎 今度会ったら たたっ殺してやる! 94 00:06:55,782 --> 00:06:57,717 えっ? 95 00:06:57,717 --> 00:07:01,921 ああっ こ… これは失礼いたしました 私としたことが。 96 00:07:09,729 --> 00:07:11,665 大概にしろ 梅次! 97 00:07:11,665 --> 00:07:14,234 何度言えば分かるんだ! 彌勒屋が迷惑してるじゃねえか! 98 00:07:14,234 --> 00:07:18,905 彌勒屋のご主人と女将さんは あっしの実の親に違えねえ。 99 00:07:18,905 --> 00:07:22,575 それのどこが迷惑だっていうんだ 旦那。 だから…。 100 00:07:22,575 --> 00:07:25,478 このやけどの痕は あっしが まだ赤ん坊だった頃➡ 101 00:07:25,478 --> 00:07:29,249 親父に拾われた27年前からあるもんだ。 102 00:07:29,249 --> 00:07:31,918 この やけどを見た時➡ 103 00:07:31,918 --> 00:07:35,588 彌勒屋の女将さんの様子が 変わったんだよ。 104 00:07:35,588 --> 00:07:41,261 (お島)あ… 赤ん坊の頃からの? 105 00:07:41,261 --> 00:07:45,465 へい。 それが何か? 106 00:07:53,406 --> 00:07:55,475 どうしたんだ お島。 107 00:07:55,475 --> 00:07:58,778 あんた…。 108 00:07:58,778 --> 00:08:00,747 あんた! お島! 109 00:08:00,747 --> 00:08:04,884 (お島の泣き声) 110 00:08:04,884 --> 00:08:06,820 (梅次)それから すぐだ➡ 111 00:08:06,820 --> 00:08:12,225 あっしの品は 彌勒屋さんじゃ ただの一つも扱っちゃくれなくなった。 112 00:08:12,225 --> 00:08:14,227 捨てた子が 突然現れたんで➡ 113 00:08:14,227 --> 00:08:20,100 季節外れの幽霊じゃねえが 慌てふためいて そうしたに決まってる。 114 00:08:20,100 --> 00:08:22,569 じゃ 聞くが➡ 115 00:08:22,569 --> 00:08:25,605 向こうは おめえを実の子だと言ったのか。 116 00:08:25,605 --> 00:08:29,909 いや 何度 掛け合ってみても無駄だった。 けど…。 117 00:08:29,909 --> 00:08:33,613 梅次 考え違いをするな。 118 00:08:35,782 --> 00:08:41,621 喜平が おめえを拾い 養い 根付師として一人前に仕込んでくれた。 119 00:08:41,621 --> 00:08:45,091 おめえの親は喜平だ。 それでいいだろ。 120 00:08:45,091 --> 00:08:47,594 そんなことは分かってる! 121 00:08:47,594 --> 00:08:52,098 あっしは ただ 実の親が 何で我が子を捨てたのか➡ 122 00:08:52,098 --> 00:08:55,935 それが知りたいだけなんだ! 123 00:08:55,935 --> 00:08:59,806 俺は諦めねえ 何度だって彌勒屋に乗り込んで…。 124 00:08:59,806 --> 00:09:04,043 分かった 俺に任せろ。 125 00:09:04,043 --> 00:09:08,548 <それから幾日かたった ある日のこと> 126 00:09:12,218 --> 00:09:15,054 お兄ちゃん 持ってきたよ。 127 00:09:15,054 --> 00:09:18,725 (子吉)ヘックシ! う~! (堅太郎)あ~ 冷えてきたな。 128 00:09:18,725 --> 00:09:21,561 あっしの懐は もっと寒いですよ。 129 00:09:21,561 --> 00:09:23,496 そいつは 俺も同じだ。 130 00:09:23,496 --> 00:09:27,434 どっかに銭が落ちてねえかな …と くらぁ! 131 00:09:27,434 --> 00:09:29,436 おっ。 えっ? 132 00:09:29,436 --> 00:09:31,738 ハハハハ…。 旦那。 133 00:09:34,140 --> 00:09:37,444 (子吉)ん? 誰でい? 134 00:09:46,786 --> 00:09:50,924 あっ 鴨田さん 何かあったんですか? 135 00:09:50,924 --> 00:09:52,859 旦那? 136 00:09:52,859 --> 00:09:55,862 おおっ! 何をするんですか! 137 00:09:57,797 --> 00:09:59,799 うわ~! 138 00:10:01,935 --> 00:10:04,637 (子吉)ちょっと 旦那… うおっ! 139 00:10:11,411 --> 00:10:13,413 危ねえ! 140 00:10:17,217 --> 00:10:19,219 たあっ! うっ! 141 00:10:26,292 --> 00:10:28,228 子吉 縄を打て! 142 00:10:28,228 --> 00:10:30,230 あっ へい! 143 00:10:35,635 --> 00:10:38,338 これは どうしたんですか? 144 00:10:53,653 --> 00:10:57,991 おい。 145 00:10:57,991 --> 00:11:02,595 こいつは…。 あんたが やったのか? 146 00:11:02,595 --> 00:11:05,498 どうなんですか!? 147 00:11:05,498 --> 00:11:07,467 そうだ。 148 00:11:07,467 --> 00:11:11,604 誰なんです? この男。 149 00:11:11,604 --> 00:11:20,313 神田明神下 袋物問屋 彌勒屋の主 又三。 150 00:11:22,949 --> 00:11:24,951 (源次郎)あっ お奉行。 151 00:11:27,820 --> 00:11:29,822 間違いないのか 源さん。 152 00:11:29,822 --> 00:11:32,959 (源次郎) はっ 自分でやったって言っています。➡ 153 00:11:32,959 --> 00:11:36,296 匕首で一突き。 匕首? 154 00:11:36,296 --> 00:11:40,500 (源次郎)彌勒屋又三が いきなり襲ってきたと。 155 00:11:44,637 --> 00:11:48,441 (源次郎)又三は いざこざの片をつけると言って➡ 156 00:11:48,441 --> 00:11:50,376 出かけてったようでして。 157 00:11:50,376 --> 00:11:53,146 で この男の懐に こいつが。 158 00:11:53,146 --> 00:11:58,651 私と子吉を襲った時 懐から落ちたものです。 159 00:11:58,651 --> 00:12:02,355 猿ぐつわを。 はっ。 160 00:12:05,391 --> 00:12:08,194 鴨田十蔵だったな。 161 00:12:10,230 --> 00:12:12,165 はい。 162 00:12:12,165 --> 00:12:17,170 彌勒屋の主を殺したことに 相違ないか。 163 00:12:20,607 --> 00:12:25,411 はい。 その訳は? 164 00:12:25,411 --> 00:12:30,783 鴨田 何とか言え! 筧。 165 00:12:30,783 --> 00:12:33,286 いかがなさいますか お奉行。 166 00:12:33,286 --> 00:12:38,791 まずは 北の伊生殿に知らせねばならないだろう。 167 00:12:53,306 --> 00:12:57,310 まことのことなのか。 申し訳ございません。 168 00:12:57,310 --> 00:13:01,914 わしの目を見て申せ。 169 00:13:01,914 --> 00:13:07,253 はい 私が殺しました。 170 00:13:07,253 --> 00:13:09,756 何故だ? 171 00:13:09,756 --> 00:13:15,561 彌勒屋と もめ事があったと聞いたが 一体 何があった? 172 00:13:20,933 --> 00:13:22,869 何とか言わぬか。 173 00:13:22,869 --> 00:13:26,606 訳など いらぬこと。 何? 174 00:13:26,606 --> 00:13:32,945 訳はどうあれ 私が殺しました。 金は ついでに頂いたまでのこと。 175 00:13:32,945 --> 00:13:35,848 いかようにも ご処分を。 176 00:13:35,848 --> 00:13:38,818 たわけ! 177 00:13:38,818 --> 00:13:43,289 このままでは 代々続いた お主の家は潰れ➡ 178 00:13:43,289 --> 00:13:47,794 果ては死罪となるのだ。 179 00:13:47,794 --> 00:13:51,297 それでもよいのか。 180 00:13:51,297 --> 00:13:53,299 ご随意に。 181 00:14:08,581 --> 00:14:14,454 あきれ果てたものです。 あのような者は 即刻 罷免いたします。 182 00:14:14,454 --> 00:14:17,924 いかようにも お裁きを。 183 00:14:17,924 --> 00:14:20,259 よろしいのか。 184 00:14:20,259 --> 00:14:25,131 念には及びません。 では 御免。 185 00:14:25,131 --> 00:14:40,580 ♬~ 186 00:14:40,580 --> 00:14:43,950 (三次)驚きましたねえ 北の鴨田様がねえ。 187 00:14:43,950 --> 00:14:46,285 (お秀)けど ほんとなんですか? 188 00:14:46,285 --> 00:14:48,788 刀向けられて殺されかけたんだぜ こっちは。 189 00:14:48,788 --> 00:14:51,290 ねえ 旦那。 まあな。 190 00:14:51,290 --> 00:14:53,226 あっ いらっしゃいまし 結城先生。 191 00:14:53,226 --> 00:14:57,430 おっ 何だ 一同 打ちそろって。 楽しい話でもしてたのか? 192 00:14:57,430 --> 00:15:00,733 いや とても とても。 ん? 何だ? 何があった? 193 00:15:00,733 --> 00:15:02,668 いや 別に…。 194 00:15:02,668 --> 00:15:06,239 水くさいなあ 俺とお前たちの仲じゃないか。 195 00:15:06,239 --> 00:15:09,742 実は 北の鴨田の旦那が…。 辰! 196 00:15:09,742 --> 00:15:12,245 旦那 どうせ江戸中の噂になりますって。 197 00:15:12,245 --> 00:15:14,747 鴨田って あの しかめっ面の鴨田か。 198 00:15:14,747 --> 00:15:16,682 ええ。 あいつが どうした? 199 00:15:16,682 --> 00:15:19,252 人をあやめて 金をとったってんです。 200 00:15:19,252 --> 00:15:21,921 何だと!? 嘘だろ おい。 201 00:15:21,921 --> 00:15:24,257 当人が そうだと言ってます。 202 00:15:24,257 --> 00:15:27,927 ですが 殺した訳ってのを話さないんです。 203 00:15:27,927 --> 00:15:31,597 彌勒屋と 何か いざこざがあったらしいんですが。 204 00:15:31,597 --> 00:15:33,533 いざこざ? 205 00:15:33,533 --> 00:15:36,769 あっ だとしたら あれか。 206 00:15:36,769 --> 00:15:39,105 えっ 知ってるんですか? ああ。 207 00:15:39,105 --> 00:15:42,141 彌勒屋と 根付師の… 何と言ったかな➡ 208 00:15:42,141 --> 00:15:44,610 う~ん… あっ そうだ 梅次だ。 209 00:15:44,610 --> 00:15:48,281 その男がもめた時 鴨田も そこにいたんだ。 210 00:15:48,281 --> 00:15:50,283 えっ ほんとですかい そりゃ。 211 00:15:50,283 --> 00:15:52,618 私が嘘をついて どうなる。 212 00:15:52,618 --> 00:15:56,489 いや つい この間 彌勒屋の女将が亡くなって 私が看取った。 213 00:15:56,489 --> 00:16:01,727 その女将の死に顔を 見せろ 見せないで 梅次と彌勒屋が 大もめに もめて➡ 214 00:16:01,727 --> 00:16:03,663 で 鴨田が止めに入ってな。 215 00:16:03,663 --> 00:16:05,598 そんなことが…。 うん。 216 00:16:05,598 --> 00:16:07,600 どうします 筧さん。 217 00:16:07,600 --> 00:16:09,902 すぐ 彌勒屋へ走れ。 はい。 218 00:16:09,902 --> 00:16:11,904 子吉! あいよ! 219 00:16:14,240 --> 00:16:16,576 (堅太郎)梅次のことだが。 220 00:16:16,576 --> 00:16:19,912 (多吉)ふたつきばかり前まで➡ 221 00:16:19,912 --> 00:16:24,784 私どもの袋物に取り付ける根付を こしらえてもらってたんですが➡ 222 00:16:24,784 --> 00:16:29,922 急に 旦那様や女将さんとの折り合いが 悪くなったようで。 223 00:16:29,922 --> 00:16:32,758 ん? 何か訳でもあったのかい? 224 00:16:32,758 --> 00:16:35,795 いや よくは存じませんが➡ 225 00:16:35,795 --> 00:16:40,399 ゆすりたかりまがいの男だと よく旦那様が。 226 00:16:40,399 --> 00:16:43,269 ゆすりたかり? 227 00:16:43,269 --> 00:16:48,941 そのうち 女将さんの体の様子も おかしくなり➡ 228 00:16:48,941 --> 00:16:54,747 飯も食わず 何か 思い悩んでた様子で。 229 00:16:54,747 --> 00:16:59,285 (堅太郎)3人の間に 何かがあったんだな。 230 00:16:59,285 --> 00:17:03,556 そこに 鴨田の旦那が くちばしを突っ込んだってことか。 231 00:17:03,556 --> 00:17:07,727 まずは梅次だ。 ありがとよ。 あっ どうも はい。 232 00:17:07,727 --> 00:17:09,762 邪魔したぜ。 233 00:17:09,762 --> 00:17:12,765 ご苦労さまです。 234 00:17:19,238 --> 00:17:21,240 (伊生)申し訳ございませぬ。 235 00:17:21,240 --> 00:17:24,744 (松平左近将監)その者 いかがいたした。 236 00:17:24,744 --> 00:17:28,247 (伊生)大岡殿に お任せいたしました。 237 00:17:28,247 --> 00:17:30,182 大岡に? 238 00:17:30,182 --> 00:17:32,118 ご安心を。 239 00:17:32,118 --> 00:17:38,257 既に その者 お役召し上げとしております。 240 00:17:38,257 --> 00:17:43,129 ならば 我らに関わりはないか。 241 00:17:43,129 --> 00:17:45,998 かような時に始末を誤れば➡ 242 00:17:45,998 --> 00:17:50,836 その後 やっかいなことになることが ままある。 243 00:17:50,836 --> 00:17:55,608 そのこと お主の行く末にも響き➡ 244 00:17:55,608 --> 00:18:00,580 ひいては… 分かるな。 245 00:18:00,580 --> 00:18:03,049 (伊生)はっ。 246 00:18:03,049 --> 00:18:09,822 だが 次は こうはいかぬ。➡ 247 00:18:09,822 --> 00:18:12,825 覚えておくがよい。 248 00:18:29,175 --> 00:18:31,243 あっ これは お奉行。 249 00:18:31,243 --> 00:18:33,579 うん 根付師の梅次が➡ 250 00:18:33,579 --> 00:18:36,616 この一件に関わっているかもしれないと 源さんに聞いてな。 251 00:18:36,616 --> 00:18:38,751 お知り合いでございますか。 252 00:18:38,751 --> 00:18:41,787 うん ちょっとばかりな。 それで? 253 00:18:41,787 --> 00:18:45,391 梅次は 姿をくらましてます。 何? 254 00:18:45,391 --> 00:18:49,261 昨日の夜 急に 旅に出ると言って そのまま いなくなったそうで。 255 00:18:49,261 --> 00:18:51,263 そうだな。 はい。 256 00:18:51,263 --> 00:18:56,135 確か 弟子が1人いたな。 仁助とかいったが…。 257 00:18:56,135 --> 00:18:58,404 通いのお弟子さんでございます。 258 00:18:58,404 --> 00:19:02,708 岩本町の与兵衛長屋に住んでるとか。 259 00:19:02,708 --> 00:19:06,879 ほかにも知り合いの娘がいたな。 おちかという娘です。 260 00:19:06,879 --> 00:19:11,717 この近くの双葉という料理屋で働いていて 梅次とは恋仲だそうで。 261 00:19:11,717 --> 00:19:13,652 2人に話を聞いてみてくれ。 262 00:19:13,652 --> 00:19:16,355 何か知ってるかもしれない。 はい! 263 00:19:19,225 --> 00:19:21,160 それが おちかちゃん➡ 264 00:19:21,160 --> 00:19:24,363 ゆうべ 急に 泣きながら 私のところにやって来ましてね➡ 265 00:19:24,363 --> 00:19:28,067 「ごめんなさい 女将さん お店を辞めさせてください」って。 266 00:19:28,067 --> 00:19:30,002 おかしいと思ったんですよ。 267 00:19:30,002 --> 00:19:33,873 親方は 彌勒屋さんを 実の親に違えねえと。 268 00:19:33,873 --> 00:19:39,245 えっ? では 喜平は養い親だってえのか。 へい。 269 00:19:39,245 --> 00:19:42,148 根付師 喜平? 270 00:19:42,148 --> 00:19:46,352 鴨田と 何か関わりはなかったかな。 271 00:19:50,589 --> 00:19:53,259 あの梅次さんという お方➡ 272 00:19:53,259 --> 00:19:58,597 仕事を途中で放り出すような人には 見えませんでしたが。 273 00:19:58,597 --> 00:20:00,533 そうだな。 274 00:20:00,533 --> 00:20:02,468 (源次郎)若。 275 00:20:02,468 --> 00:20:04,470 何か分かったか 源さん。 276 00:20:04,470 --> 00:20:10,776 はい。 おちかという娘ですが こちらも姿をくらましていました。 277 00:20:10,776 --> 00:20:14,613 どうやら 梅次と2人一緒に江戸を出たようです。 278 00:20:14,613 --> 00:20:18,417 周りの話では 梅次は捨て子だったとか。 279 00:20:18,417 --> 00:20:20,352 捨て子? はい。 280 00:20:20,352 --> 00:20:24,790 27年前 師匠の喜平に拾われたんだそうで。 281 00:20:24,790 --> 00:20:27,126 ですが 梅次は どうやら➡ 282 00:20:27,126 --> 00:20:32,431 彌勒屋又三と お島を 実の親だと思い込んでいるようでして。 283 00:20:32,431 --> 00:20:34,366 何? 284 00:20:34,366 --> 00:20:37,269 いざこざのもとは どうも その辺りじゃないかと。 285 00:20:37,269 --> 00:20:44,810 梅次は 何度か 彌勒屋と そのことで会っていたような節があると。 286 00:20:44,810 --> 00:20:49,682 で 鴨田十蔵との関わりは? 287 00:20:49,682 --> 00:20:52,885 そのことですが…。 288 00:20:57,990 --> 00:21:01,794 根付師の梅次を知っておるな。 289 00:21:03,763 --> 00:21:07,266 その梅次が 江戸を離れた。 290 00:21:07,266 --> 00:21:10,603 おちかと申す娘と 一緒にな。 291 00:21:10,603 --> 00:21:14,940 お主が そうさせたのか。 292 00:21:14,940 --> 00:21:20,613 彌勒屋の又三を殺したのは 梅次ではないのか。 293 00:21:20,613 --> 00:21:26,285 梅次は 又三とお島を 実の親だと言っていたらしい。 294 00:21:26,285 --> 00:21:30,122 そのいざこざを収めるために 金を用意した又三が➡ 295 00:21:30,122 --> 00:21:32,792 梅次と会って殺された。 296 00:21:32,792 --> 00:21:34,727 それを知った お主が…。 297 00:21:34,727 --> 00:21:40,666 私に梅次をかばう訳など ございません。 298 00:21:40,666 --> 00:21:44,970 これは お主のたばこ入れだ。 299 00:21:44,970 --> 00:21:49,642 この根付には 喜平の印が彫ってある。 300 00:21:49,642 --> 00:21:53,979 喜平は 梅次の養い親で 根付の師匠だが➡ 301 00:21:53,979 --> 00:21:59,185 もともとは お主の家の下男だったそうじゃないか。 302 00:22:02,688 --> 00:22:08,494 (喜平) 鴨田の旦那 お待たせいたしました。 303 00:22:08,494 --> 00:22:12,264 これは…。 304 00:22:12,264 --> 00:22:15,601 喜平。 はい。 305 00:22:15,601 --> 00:22:18,637 見事なもんだな。 306 00:22:18,637 --> 00:22:22,274 え~ 梅次 ちょっと見てみろ。 へい。 307 00:22:22,274 --> 00:22:26,145 あっしも 若輩ながら 少し お手伝いさせていただきやしたんで。 308 00:22:26,145 --> 00:22:29,949 あ~ そうか。 こいつには 随分 助けられました。 309 00:22:29,949 --> 00:22:33,819 そろそろ 独り立ちしようか というぐらいの腕になりましてね。 310 00:22:33,819 --> 00:22:35,821 ほう。 いや…。 311 00:22:35,821 --> 00:22:40,292 梅次 その時は 何か一つ作ってくれ。 へい! 312 00:22:40,292 --> 00:22:44,630 その縁があって お主は 梅次をかわいがっていた。 313 00:22:44,630 --> 00:22:47,132 だから かばったと? 314 00:22:47,132 --> 00:22:49,335 違うのか。 315 00:22:53,005 --> 00:22:58,010 天下の南のお奉行様も 読み間違いはなさるもの。 316 00:22:59,712 --> 00:23:02,915 又三をあやめたのは 私です。 317 00:23:02,915 --> 00:23:09,688 そうか。 だが 梅次は戻ってくる。 318 00:23:09,688 --> 00:23:15,194 もし 又三をあやめたのが あの男なら。 319 00:23:18,931 --> 00:23:21,233 ではな。 320 00:23:29,942 --> 00:23:31,877 若。 321 00:23:31,877 --> 00:23:39,418 もし 本当に梅次が下手人で 彌勒屋又三が 実の親だとしたら➡ 322 00:23:39,418 --> 00:23:41,420 こいつは…。 323 00:23:47,960 --> 00:23:51,297 お珍しいですね お奉行様が お一人でなんて。 324 00:23:51,297 --> 00:23:53,299 うん。 325 00:23:58,170 --> 00:24:04,243 今度の一件 一筋縄じゃ いかないんでござんすか。 326 00:24:04,243 --> 00:24:09,915 昔々の話だ。 なるほど。 327 00:24:09,915 --> 00:24:15,254 で あっしは 何をすればいいんで? 328 00:24:15,254 --> 00:24:18,157 まっ 一杯いこう。 329 00:24:18,157 --> 00:24:21,927 親殺しなんざ ぞっとするぜ。 330 00:24:21,927 --> 00:24:25,764 けど 殺したと言ってるのは 鴨田の旦那の方ですぜ。 331 00:24:25,764 --> 00:24:29,268 このまま 梅次が戻らなきゃ そういうことになっちまうが➡ 332 00:24:29,268 --> 00:24:32,271 どっちに転んだって 寝覚めの悪い一件だ。 333 00:24:32,271 --> 00:24:34,606 う~ん…。 334 00:24:34,606 --> 00:24:36,542 おい 何だ? どうした? 335 00:24:36,542 --> 00:24:38,744 何かあったのかい? 336 00:24:42,281 --> 00:24:46,285 実は あっしは…。 梅さん。 337 00:24:46,285 --> 00:24:49,955 おちかちゃん このままじゃいけねえんだ! 338 00:24:49,955 --> 00:24:53,292 あっ おい 今 梅さんとか言ったか? 339 00:24:53,292 --> 00:24:55,227 それに おめえは おちか。 340 00:24:55,227 --> 00:24:58,630 ん? どこかで聞いたような…。 341 00:24:58,630 --> 00:25:03,369 おめえ 鎌倉河岸の根付師 梅次! 342 00:25:03,369 --> 00:25:08,073 へい。 ご面倒おかけします。 343 00:25:10,909 --> 00:25:13,579  回想 (喜平)坊ちゃん➡ 344 00:25:13,579 --> 00:25:18,450 梅の野郎を➡ 345 00:25:18,450 --> 00:25:23,455 梅次を よろしく頼みます。 346 00:25:25,758 --> 00:25:29,395 任せろ 喜平。 347 00:25:29,395 --> 00:25:31,897 ゆっくり休め。 348 00:25:33,766 --> 00:25:36,802 坊ちゃん…。 349 00:25:36,802 --> 00:25:47,613 ♬~ 350 00:25:47,613 --> 00:25:51,617  心の声 任せろ 喜平。 351 00:26:04,096 --> 00:26:11,937 南町奉行 大岡越前守様 ご出座~! 352 00:26:11,937 --> 00:26:21,480 (太鼓の音) 353 00:26:21,480 --> 00:26:25,484 一同の者 面を上げよ。 354 00:26:29,254 --> 00:26:34,927 さて 鎌倉河岸において 根付師を営む 梅次。 355 00:26:34,927 --> 00:26:41,700 その方 袋物問屋 彌勒屋又三をあやめたと 奉行所へ訴え出てまいったが➡ 356 00:26:41,700 --> 00:26:44,937 何かの間違いではないのか。 357 00:26:44,937 --> 00:26:46,872 間違いではございません。 358 00:26:46,872 --> 00:26:50,609 又三さんをあやめたのは あっしでございます。 359 00:26:50,609 --> 00:26:53,278 彌勒屋殺しは そこにおる➡ 360 00:26:53,278 --> 00:26:59,618 元北町奉行所同心 鴨田十蔵が 既に白状いたしておる。 361 00:26:59,618 --> 00:27:03,489 鴨田の旦那は あっしを かばってくれているのでございます。 362 00:27:03,489 --> 00:27:07,426 では 話を聞こう。 363 00:27:07,426 --> 00:27:12,898 あの日 あっしは 又三の旦那に呼び出されたんです。 364 00:27:12,898 --> 00:27:18,604 これをあげるから もう 近づかないでおくれ。 365 00:27:20,239 --> 00:27:22,941 銭なんか いらねえ! 366 00:27:27,112 --> 00:27:31,850 てめえ 図に乗るのも大概にしろ。 えっ? 367 00:27:31,850 --> 00:27:34,786 俺が どんな思いで あの女と身代を手に入れたか➡ 368 00:27:34,786 --> 00:27:36,788 分かってんのか。 369 00:27:36,788 --> 00:27:41,493 俺様を ただのお店者だと 見くびるんじゃねえぞ。 370 00:27:44,263 --> 00:27:46,265 (又三)この野郎! (梅次)うわっ! 371 00:27:48,600 --> 00:27:50,903 あっ! (刺す音) 372 00:28:01,880 --> 00:28:04,716 梅次 おめえ なんてことを! 373 00:28:04,716 --> 00:28:09,221 旦那… やっちまった。 374 00:28:09,221 --> 00:28:11,156 あっ…。 375 00:28:11,156 --> 00:28:14,893 俺に任せろ。 町方の俺なら 何とでもできる。 376 00:28:14,893 --> 00:28:18,363 おめえじゃねえ! こんなことやったの おめえじゃねえんだ。 377 00:28:18,363 --> 00:28:22,234 旦那…。 江戸を出ろ。 378 00:28:22,234 --> 00:28:24,236 気が付いた時は➡ 379 00:28:24,236 --> 00:28:29,741 おちかちゃんの手を取って 江戸を出てました。 380 00:28:29,741 --> 00:28:35,247 そうか。 だが 何故 戻った? 381 00:28:35,247 --> 00:28:38,083 とてもじゃねえが 人をあやめておいて➡ 382 00:28:38,083 --> 00:28:41,753 それも もしかしたら 実の親を…。 383 00:28:41,753 --> 00:28:44,656 あっしは とんでもねえ男です! 384 00:28:44,656 --> 00:28:47,559 お奉行様に申し上げます! 385 00:28:47,559 --> 00:28:50,262 梅次さんは 悪くなんかありません! 386 00:28:50,262 --> 00:28:53,265 いいえ 人をあやめたのは悪いけど➡ 387 00:28:53,265 --> 00:28:58,770 けど 又三の旦那の方から 匕首を抜いたんです! 388 00:28:58,770 --> 00:29:00,739 そうでしょ 梅さん! 389 00:29:00,739 --> 00:29:03,208 (梅次)おちかちゃん もういいんだ。 390 00:29:03,208 --> 00:29:05,877 いいんだよ もう。 391 00:29:05,877 --> 00:29:09,748 クッ… ハハハハハ! 392 00:29:09,748 --> 00:29:13,352 鴨田十蔵 何が おかしい? 393 00:29:13,352 --> 00:29:17,723 この者が申しておることは ただの作り話。 394 00:29:17,723 --> 00:29:20,626 又三をあやめたのは 私でござる。 395 00:29:20,626 --> 00:29:22,594 黙っておりましたが➡ 396 00:29:22,594 --> 00:29:26,898 私 梅次の一件で 又三から金を引き出す算段を企てました。 397 00:29:26,898 --> 00:29:30,569 それが証拠に 又三が用意した金は私の懐にあり➡ 398 00:29:30,569 --> 00:29:34,740 更に申せば この一件をもってして 私は お役を召し上げられ➡ 399 00:29:34,740 --> 00:29:38,076 代々続いた鴨田の家も この一件をもって しまい。 400 00:29:38,076 --> 00:29:40,012 たかが根付師などをかばって➡ 401 00:29:40,012 --> 00:29:42,581 みすみす さようなはめに陥るわけがない。 402 00:29:42,581 --> 00:29:44,616 旦那! よさぬか! 403 00:29:44,616 --> 00:29:47,419 白洲であるぞ。 404 00:29:50,922 --> 00:29:56,261 どちらかが 偽りを申しておるのだろうが➡ 405 00:29:56,261 --> 00:29:59,931 本日のところは 共に入牢を申しつけ➡ 406 00:29:59,931 --> 00:30:04,269 追って沙汰いたす。 407 00:30:04,269 --> 00:30:06,605 (源次郎)梅次が 己を守るために➡ 408 00:30:06,605 --> 00:30:09,641 相手をあやめたと申すのが まことならば➡ 409 00:30:09,641 --> 00:30:11,943 遠島 あるいは 事情によっては➡ 410 00:30:11,943 --> 00:30:14,846 おとがめなしとなることも あったはずですが。 411 00:30:14,846 --> 00:30:19,418 だが 親殺しとなれば そうもいかぬ…。 412 00:30:19,418 --> 00:30:21,353 はあ。 (戸が開く音) 413 00:30:21,353 --> 00:30:23,355 三次か。 414 00:30:25,223 --> 00:30:29,227 へい お奉行様。 415 00:30:36,835 --> 00:30:39,538 (子吉)どこ行くんだい。 416 00:30:42,307 --> 00:30:46,645 その昔 又三とお島の間に 子があって➡ 417 00:30:46,645 --> 00:30:51,983 その子が 神隠しにあったっていう話を 小耳に挟んでさ。 418 00:30:51,983 --> 00:30:57,456 多吉 お前の在所は 八王子なんだってな。 419 00:30:57,456 --> 00:31:01,460 えっ… はい そうですが。 420 00:31:01,460 --> 00:31:04,262 あの梅次が捨てられていたのも八王子だ。 421 00:31:04,262 --> 00:31:08,967 しかも 27年前にな。 422 00:31:17,109 --> 00:31:19,611 (橋田)又三は2度目の亭主? 423 00:31:19,611 --> 00:31:23,415 お島は 家付き娘なんだそうでして。 424 00:31:23,415 --> 00:31:28,620 最初の旦那は 少しばかり年の離れた 嘉右衛門という人だったそうです。 425 00:31:28,620 --> 00:31:30,655 その嘉右衛門が亡くなった後➡ 426 00:31:30,655 --> 00:31:35,961 当時 お店に出入りしていた 又三とお島が一緒になり 子が出来たと。 427 00:31:35,961 --> 00:31:38,797 (橋田)その生まれた子が 梅次か。 428 00:31:38,797 --> 00:31:41,833 (又三)お島 帰ったぞ。 429 00:31:41,833 --> 00:31:44,136 お帰りなさいまし。 お島。 ハハハ…。 430 00:31:44,136 --> 00:31:46,972 ああっ 大丈夫ですか。 431 00:31:46,972 --> 00:31:49,641 ああっ! 432 00:31:49,641 --> 00:31:53,311 (泣き声) 433 00:31:53,311 --> 00:31:58,650 梅次の右腕に残っておる やけどの痕は その時のもの。 434 00:31:58,650 --> 00:32:03,922 その赤ん坊が神隠しに と見せかけて。 435 00:32:03,922 --> 00:32:07,259 多吉が在所の八王子に捨てた。 436 00:32:07,259 --> 00:32:12,397 その多吉が言うには 梅次は 又三の子ではなく➡ 437 00:32:12,397 --> 00:32:16,701 嘉右衛門とお島の間に出来た子だと。 438 00:32:20,939 --> 00:32:24,810 では 親殺しではなかったのですね。 439 00:32:24,810 --> 00:32:28,814 だとしても 人を殺したことに変わりはない。 440 00:32:28,814 --> 00:32:33,952 あの鴨田が かばうのをやめることはないと思う。 441 00:32:33,952 --> 00:32:36,621 ですが 全てをなげうってまで➡ 442 00:32:36,621 --> 00:32:40,959 どうして かばうのでしょうか そのお方は。 443 00:32:40,959 --> 00:32:45,430 己が生きる道を捨てても 梅次を生かしたい。 444 00:32:45,430 --> 00:32:48,967 そんな何かが あるんだろう。 445 00:32:48,967 --> 00:33:14,759 ♬~ 446 00:33:14,759 --> 00:33:20,398 伊生殿 一つ お頼み申したいことが。 447 00:33:20,398 --> 00:33:23,201 頼み? 448 00:33:24,936 --> 00:33:26,872 ならぬ! 449 00:33:26,872 --> 00:33:30,275 何とぞ曲げて お力添えを! 450 00:33:30,275 --> 00:33:35,780 やくたいもないことを。 そちは 越前に 塩を送る気か。 451 00:33:35,780 --> 00:33:39,618 平に 平に お聞き届けくださいますよう! 452 00:33:39,618 --> 00:33:44,422 下野 このとおりでございます! 453 00:33:53,965 --> 00:33:57,836 <それから 2日後> 454 00:33:57,836 --> 00:34:02,374 じゃあ あっしは 親をあやめたことには…。 455 00:34:02,374 --> 00:34:05,277 ならぬ ということだ。 456 00:34:05,277 --> 00:34:07,579 梅さん! 457 00:34:07,579 --> 00:34:09,514 はあ…。 458 00:34:09,514 --> 00:34:12,384 人をあやめたことには 変わりありませんが➡ 459 00:34:12,384 --> 00:34:16,388 これで 胸のつかえが一つ下りました。 460 00:34:21,126 --> 00:34:26,264 ほう 鴨田 お主も安堵したか。 461 00:34:26,264 --> 00:34:28,199 そのようなことは。 462 00:34:28,199 --> 00:34:30,135 第一 又三殺しは…。 463 00:34:30,135 --> 00:34:33,605 もう一つ 安堵させてやろう。 464 00:34:33,605 --> 00:34:35,807 多吉を これへ。 465 00:34:46,785 --> 00:34:49,421 彌勒屋番頭 多吉。 466 00:34:49,421 --> 00:34:51,489 その方 その昔➡ 467 00:34:51,489 --> 00:34:57,162 当時の彌勒屋主 嘉右衛門が 殺されるところを見たと申すが➡ 468 00:34:57,162 --> 00:34:59,965 まことか? 469 00:34:59,965 --> 00:35:04,970 はい そのとおりでございます。 470 00:35:12,377 --> 00:35:14,913 あの夜➡ 471 00:35:14,913 --> 00:35:21,586 嘉右衛門様と女将さんのお帰りが遅いので 迎えに行ったのですが…。 472 00:35:21,586 --> 00:35:23,922 (嘉右衛門)大丈夫かい? お島…。 473 00:35:23,922 --> 00:35:27,258 (刺す音) うっ! 474 00:35:27,258 --> 00:35:32,130 お前… 又三…。 475 00:35:32,130 --> 00:35:35,934 (刺す音) 476 00:35:35,934 --> 00:35:39,738 や~っ! うう…。 477 00:35:43,608 --> 00:35:47,912 (又三)お島 終わったぜ。 478 00:35:49,948 --> 00:35:54,252 2人が たくらんで 嘉右衛門を殺したのだな。 479 00:35:56,287 --> 00:36:02,227 又三さんが 女将さんと出来ちまって。 480 00:36:02,227 --> 00:36:07,365 多分 嘉右衛門様が邪魔になったんだと。 481 00:36:07,365 --> 00:36:13,171 その後 生まれた赤ん坊の梅次を捨てた。 482 00:36:13,171 --> 00:36:17,876 (多吉)どうせ 嘉右衛門さんの子だから と言われて。 483 00:36:19,911 --> 00:36:26,618 哀れなのは 嘉右衛門。 お島とも不仲だったのであろう。 484 00:36:29,254 --> 00:36:34,392 嘉右衛門様は お武家の出でして➡ 485 00:36:34,392 --> 00:36:36,761 立ち居振る舞いに厳しく➡ 486 00:36:36,761 --> 00:36:43,401 そんなところが堅苦しいと 女将さんは いつも…。 487 00:36:43,401 --> 00:36:49,607 多吉 嘉右衛門が元武家とは まことのことか。 488 00:36:49,607 --> 00:36:51,543 (多吉)はい。 489 00:36:51,543 --> 00:36:59,117 訳あって 浪人をなさっている時に 婿に入られたのです。 490 00:36:59,117 --> 00:37:03,722 梅次が 嘉右衛門とお島の子であることは明白。 491 00:37:03,722 --> 00:37:07,892 その嘉右衛門が 又三に殺されたとすれば➡ 492 00:37:07,892 --> 00:37:13,231 梅次は 知らずに 父の敵を討ったということになる。 493 00:37:13,231 --> 00:37:15,233 えっ? 494 00:37:17,902 --> 00:37:21,573 町人に あだ討ちは許されてはおらぬが➡ 495 00:37:21,573 --> 00:37:25,243 梅次は 本を正せば 武家の子。 496 00:37:25,243 --> 00:37:31,382 武家とはいえ あだ討ち免状がなければ ただの意趣返しではあるが➡ 497 00:37:31,382 --> 00:37:36,087 梅次自ら 江戸へ戻ってきたことにも免じて➡ 498 00:37:36,087 --> 00:37:41,760 ご老中 松平左近将監様が➡ 499 00:37:41,760 --> 00:37:47,065 「おとがめなし」と 裁決くださった。 500 00:37:54,105 --> 00:37:56,040 鴨田十蔵。 501 00:37:56,040 --> 00:38:01,246 これでも その方が 又三をあやめたと申すか。 502 00:38:07,752 --> 00:38:12,257 もう よいのだよ。 503 00:38:16,361 --> 00:38:21,199 恐れ…➡ 504 00:38:21,199 --> 00:38:24,903 恐れ入りました! 505 00:38:24,903 --> 00:38:29,240 一つ 聞かせてくれぬか 鴨田。 506 00:38:29,240 --> 00:38:33,545 喜平に 恩でもあったのか。 507 00:38:37,115 --> 00:38:44,789 幼い頃 崖に落ちた私を 喜平は救ってくれたのです。 508 00:38:44,789 --> 00:38:48,626 崖に? 509 00:38:48,626 --> 00:38:51,429 それだけか。 510 00:38:57,268 --> 00:39:04,876 その時 喜平には 私と同い年の子がいたのです。➡ 511 00:39:04,876 --> 00:39:07,779 その子も 私と一緒に崖に落ちたのですが…。 512 00:39:07,779 --> 00:39:10,215 おい 大丈夫か! 513 00:39:10,215 --> 00:39:13,718 (鴨田)喜平は…。 514 00:39:13,718 --> 00:39:17,889 いいか 父ちゃん すぐ戻ってくっからな! 515 00:39:17,889 --> 00:39:19,891 おい! 516 00:39:22,360 --> 00:39:26,231 坊ちゃん! しっかり! 坊ちゃん! 517 00:39:26,231 --> 00:39:28,900 父ちゃん…。 518 00:39:28,900 --> 00:39:34,572 (鴨田)喜平は 我が子ではなく 私の命を救うために…。 519 00:39:34,572 --> 00:39:40,578 坊ちゃん しっかり! 必ず お助けしますからね! 520 00:39:43,281 --> 00:39:47,785 喜平の子は 死んだのか。 521 00:39:58,263 --> 00:40:05,937 その喜平が 拾ってきた赤ん坊を 我が子として育てると聞いた時➡ 522 00:40:05,937 --> 00:40:09,774 私は誓ったのです。 523 00:40:09,774 --> 00:40:17,982 この赤ん坊だけは何があっても どんなことをしてでも 私が守るのだと。 524 00:40:20,118 --> 00:40:25,623 お家断絶になろうともか。 525 00:40:28,293 --> 00:40:32,964 お家断絶になろうとも。 526 00:40:32,964 --> 00:40:36,634 うっ 旦那…。 527 00:40:36,634 --> 00:40:43,408 (泣き声) 528 00:40:43,408 --> 00:40:55,987 ♬~ 529 00:40:55,987 --> 00:40:58,022  心の声 伊生殿➡ 530 00:40:58,022 --> 00:41:05,797 左近将監様への橋渡し 感謝いたす。 531 00:41:05,797 --> 00:41:08,566  心の声 なんの。➡ 532 00:41:08,566 --> 00:41:14,772 それがしこそ あなたには感服つかまつる。 533 00:41:17,608 --> 00:41:22,914  心の声 鴨田 許せ。 534 00:41:33,424 --> 00:41:35,793 まあ そっくり! 535 00:41:35,793 --> 00:41:37,729 ねえ お義母様。 536 00:41:37,729 --> 00:41:39,664 まことです! 537 00:41:39,664 --> 00:41:42,133 ありがとう 梅次さん。 538 00:41:42,133 --> 00:41:45,636 いいえ こちらこそ ありがとう存じます。 539 00:41:45,636 --> 00:41:48,539 親方なら これぐらい お茶の子さいさいですよ。 540 00:41:48,539 --> 00:41:50,508 仁助さん。 541 00:41:50,508 --> 00:41:52,510 (仁助)すいません。 542 00:41:57,982 --> 00:42:02,253 しかし お主が 梅次の弟子になるとはな。 543 00:42:02,253 --> 00:42:06,924 はい 一番年上の下っ端弟子として 梅次を…➡ 544 00:42:06,924 --> 00:42:11,129 いや 親方を見守っていこうかと。 はい。 545 00:42:12,797 --> 00:42:14,799 (笑い声) 546 00:42:14,799 --> 00:42:21,272 <根付が取り持つ奇妙な縁で しかめっ面も笑顔になった。➡ 547 00:42:21,272 --> 00:42:28,946 その陰に 数十年の時を経て 図らずも討った父の敵があったこと➡ 548 00:42:28,946 --> 00:42:32,950 見事見抜いた大岡裁き> 549 00:42:35,286 --> 00:42:37,221 神妙にしろ! 550 00:42:37,221 --> 00:42:39,957 あの おたきって女は あっしの女房だった女ですから。 551 00:42:39,957 --> 00:42:41,893 私を信じて話しておくれ。 552 00:42:41,893 --> 00:42:44,796 おたきは 喜八と同じ罪に問われることになる。 553 00:42:44,796 --> 00:42:46,731 新たに法度を定めたいと。 554 00:42:46,731 --> 00:42:48,966 上様とて お許しになろうはずがない! 555 00:42:48,966 --> 00:42:51,636 自分から お縄にしてもらった方が ましです。 556 00:42:51,636 --> 00:42:54,939 そなたたちの日々を 奉行は信じたのだ。