1 00:00:05,138 --> 00:00:11,845 <品川御殿山の藤堂寺に 近頃 奇妙なことが起こっていた> 2 00:00:14,615 --> 00:00:20,954 元禄の頃 火事で消失したとはいえ この地にあった品川御殿➡ 3 00:00:20,954 --> 00:00:24,825 将軍家 鷹狩りの際の 休息所であったとか。 4 00:00:24,825 --> 00:00:28,829 (住職)公方様が大和から お移しあそばされた桜も➡ 5 00:00:28,829 --> 00:00:32,966 この地で 毎年 見事に咲き誇り➡ 6 00:00:32,966 --> 00:00:38,305 将軍家とのご縁の深さ 感じ入りまする…。 7 00:00:38,305 --> 00:00:44,177 (赤星)ここ 藤堂寺は 公方様弟君にあらせられる我が殿が➡ 8 00:00:44,177 --> 00:00:49,316 ごとう留なさるには 最も ふさわしいということ。 9 00:00:49,316 --> 00:00:52,219 (住職)この後 江戸入りともなれば➡ 10 00:00:52,219 --> 00:00:57,658 大名へのお取り立て 間違いなしでございましょう。 11 00:00:57,658 --> 00:01:05,465 なれど 母が異なるゆえ 兄君は身共のことを知らぬであろう。 12 00:01:05,465 --> 00:01:10,237 江戸入りともなれば 騒ぎになるは必定。 13 00:01:10,237 --> 00:01:16,610 それは本意ではない。 のう 赤星。 14 00:01:16,610 --> 00:01:18,612 はっ! 15 00:01:22,783 --> 00:01:26,286 (松平左近将監)この3月に将軍家として➡ 16 00:01:26,286 --> 00:01:32,960 60年ぶりの日光ご社参も 無事に終わり➡ 17 00:01:32,960 --> 00:01:40,634 慣例どおり 祝儀能が 千代田のご城内にて行われる。 18 00:01:40,634 --> 00:01:47,975 その取りまとめを ご苦労だが 越前に頼みたい。 19 00:01:47,975 --> 00:01:52,646 はっ。 されど…。 20 00:01:52,646 --> 00:01:55,549 不服か? めっそうもない。 21 00:01:55,549 --> 00:01:59,319 実は 品川宿に 気になる噂がございまして…。 22 00:01:59,319 --> 00:02:02,923 その噂とは 御殿山藤堂寺に➡ 23 00:02:02,923 --> 00:02:05,826 紀州家二代目 光貞公が ご落胤。 24 00:02:05,826 --> 00:02:13,934 つまり 上様弟君と称する 中川正軒なるお方が現れた ですな。 25 00:02:13,934 --> 00:02:18,271 伊生殿も ご存じでしたか。 26 00:02:18,271 --> 00:02:23,944 その一件 まだ 上様のお耳には 入れてはおらぬが➡ 27 00:02:23,944 --> 00:02:28,615 まことならば 放ってはおけぬ 天下の大事。 28 00:02:28,615 --> 00:02:35,489 故に 寺社奉行と共に探索するよう 下野には 既に命じてある。 29 00:02:35,489 --> 00:02:42,963 よって 祝儀能の件 致し方なく 大岡殿に お任せいたす所存。 30 00:02:42,963 --> 00:02:45,866 よいな 越前。 31 00:02:45,866 --> 00:02:47,868 はっ。 32 00:02:52,305 --> 00:04:07,013 ♬~ 33 00:04:08,582 --> 00:04:12,452 (読売屋)さあさあ 千代田のお城で ご祝儀能が開かれるよ。 34 00:04:12,452 --> 00:04:18,759 <江戸の町は 城内で開かれる 祝儀能の噂で持ちきりであった> 35 00:04:18,759 --> 00:04:23,263 (作左ヱ門)とはいうものの 名主や家主たちも➡ 36 00:04:23,263 --> 00:04:26,166 あの退屈な能を敬遠しており➡ 37 00:04:26,166 --> 00:04:29,936 名代を行かせるのが 慣例というわけじゃ。 38 00:04:29,936 --> 00:04:32,839 (求次郎)名代? 鑑札さえあれば➡ 39 00:04:32,839 --> 00:04:36,610 誰もが 名主でございっていう顔で➡ 40 00:04:36,610 --> 00:04:40,947 能を見ることができるのだ。 では 私でも? 41 00:04:40,947 --> 00:04:45,418 フフッ 何を言っているのですか。 まだ 子供のくせに。 42 00:04:45,418 --> 00:04:49,789 それに 麻裃でなければいけません。 43 00:04:49,789 --> 00:04:52,826 (お花)では 私は駄目なのですね。 44 00:04:52,826 --> 00:04:55,962 ですが 勘太さんなら大丈夫ですよ。 45 00:04:55,962 --> 00:05:00,800 あら どうして そこで 勘太さんの名前が 出てくるのですか? 若様。 46 00:05:00,800 --> 00:05:04,671 あっしがどうかしたのかい? お花ちゃん。 47 00:05:04,671 --> 00:05:07,374 どうもしません! 48 00:05:07,374 --> 00:05:09,309 えっ? 49 00:05:09,309 --> 00:05:11,578 王手じゃ! ええ!? 50 00:05:11,578 --> 00:05:14,781 ハハハハ…。 ハハハハ…!え~! 51 00:05:16,383 --> 00:05:18,919 (子吉)親分 行きやしょうよ! せっかく家主さんが➡ 52 00:05:18,919 --> 00:05:21,955 鑑札 渡すから どうかひとつって 言ってんですから。 53 00:05:21,955 --> 00:05:24,090 何言ってやがる! 江戸っ子が しゃっちょこばって➡ 54 00:05:24,090 --> 00:05:26,026 お能拝見なんざ 後生が悪くていけねえ。 55 00:05:26,026 --> 00:05:28,929 (三次)けど お城ん中 入るなんて めったにありやせんぜ。 56 00:05:28,929 --> 00:05:32,599 (子吉)ねえ! お菓子と ご酒まで下されるそうだ。 57 00:05:32,599 --> 00:05:36,269 おう それこそ…。 めったにあるもんじゃない。 58 00:05:36,269 --> 00:05:38,939 麻裃なんか そこらの質屋で 手に入れりゃいいんだし。 59 00:05:38,939 --> 00:05:42,275 それに 荒縄で たすき掛けって手もありやすぜ。 60 00:05:42,275 --> 00:05:46,146 ああ 紋なんざ 切って のりで貼っときゃいいんだよ。 61 00:05:46,146 --> 00:05:48,148 いいんですか? 祝儀能を取りしきる➡ 62 00:05:48,148 --> 00:05:51,284 お奉行配下の我々が そんなこと言ったりして。 63 00:05:51,284 --> 00:05:53,787 違えねえ。 (笑い声) 64 00:05:53,787 --> 00:05:55,722 行きやしょう 親分! 65 00:05:55,722 --> 00:05:59,526 (カラスの鳴き声) 66 00:06:06,900 --> 00:06:08,835 (手下)へい。 (勝治)弥助。 67 00:06:08,835 --> 00:06:11,571 へい。庄三。 へい。 68 00:06:11,571 --> 00:06:15,375 (おすま)あちこちの家主に 頭下げて借りたもんだからね➡ 69 00:06:15,375 --> 00:06:18,178 あだやおろそかにしないでおくれよ。 (手下たち)へい。 70 00:06:20,580 --> 00:06:23,617 (勝治) 御殿山も あんばいよう運んどるそうや。 71 00:06:23,617 --> 00:06:26,753 お前の弟も…。 豪気なもんだろ。 72 00:06:26,753 --> 00:06:28,755 (笑い声) 73 00:06:30,390 --> 00:06:33,693 甚八は どうしたんだい? (加吉)見てきやす。 74 00:06:39,599 --> 00:06:42,502 遅かったじゃないか 甚八さん。 75 00:06:42,502 --> 00:06:46,373 お前さんが来てくれないことには 始まらないんだからさ。 76 00:06:46,373 --> 00:06:49,276 へえ。 (おすま)御殿山のご落胤と➡ 77 00:06:49,276 --> 00:06:53,580 天下をひっくり返そうってんだ。 尻込みしてる時じゃないからね。 78 00:06:55,415 --> 00:07:01,054 へい。 ちっ 何だよ… しっかり頼むよ! 79 00:07:01,054 --> 00:07:05,558 (笑い声) 80 00:07:11,064 --> 00:07:13,066 ごめんなさい。 すまねえ。 81 00:07:23,777 --> 00:07:25,779 およう? 82 00:07:33,253 --> 00:07:35,255 お帰り。 (およう)ああ。 83 00:07:37,924 --> 00:07:39,859 薬 もらってきたよ。 84 00:07:39,859 --> 00:07:46,099 (権蔵)ああ… お帰り。 ああ…。 85 00:07:46,099 --> 00:07:48,935 ああ…。 (せきこみ) 86 00:07:48,935 --> 00:07:52,405 (およう)大丈夫? (権蔵)ああ… んん…。 87 00:07:52,405 --> 00:07:57,410 (せきこみ) ああ…。 88 00:08:00,113 --> 00:08:02,115 うっ…。 89 00:08:03,717 --> 00:08:05,719 権蔵…。 90 00:08:08,888 --> 00:08:12,559 <そして 祝儀能当日。➡ 91 00:08:12,559 --> 00:08:17,063 祝儀能とは 将軍家の祝い事に合わせ➡ 92 00:08:17,063 --> 00:08:22,369 本丸 大広間南庭の舞台で 能を演じることを言うが➡ 93 00:08:22,369 --> 00:08:25,572 初日は 町入能と称し➡ 94 00:08:25,572 --> 00:08:31,244 江戸の町々の 名主や家主たちの拝観を許していた> 95 00:08:31,244 --> 00:08:38,118 ♬~(謡と囃子) 96 00:08:38,118 --> 00:08:55,935 ♬~ 97 00:08:55,935 --> 00:08:58,972 あんなとっから見えんすかね? 98 00:08:58,972 --> 00:09:02,042 納まり返ってるなんざ 上様らしくねえぜ。 99 00:09:02,042 --> 00:09:14,554 ♬~ 100 00:09:14,554 --> 00:09:16,856 (町人たち)おお! 101 00:09:18,425 --> 00:09:22,062 楽しんでおるか? 皆の者! 102 00:09:22,062 --> 00:09:24,731 よっ 御大将! (笑い声) 103 00:09:24,731 --> 00:09:26,666 待ってました! 日本一! 104 00:09:26,666 --> 00:09:28,601 (笑い声) 105 00:09:28,601 --> 00:09:30,603 これ! (対馬守)静かにせい! 106 00:09:30,603 --> 00:09:33,239 (讃岐守)よさぬか! 引っ込め! 白髪頭! 107 00:09:33,239 --> 00:09:36,910 しゃらくせえ 左近将監! (罵声) 108 00:09:36,910 --> 00:09:38,845 いやいや 愉快愉快。 109 00:09:38,845 --> 00:09:43,249 これ…。 大岡殿。 110 00:09:43,249 --> 00:09:58,465 ♬~ 111 00:10:02,936 --> 00:10:04,971 これが お奉行様の貫禄よ! ヘヘヘ。 112 00:10:04,971 --> 00:10:07,407 よっ 南町! (笑い声) 113 00:10:07,407 --> 00:10:09,943 バカ! ハハハハハ…。 114 00:10:09,943 --> 00:10:11,945 ハハハハハ…。 115 00:10:17,116 --> 00:11:13,273 ♬~ 116 00:11:13,273 --> 00:11:15,275 (鍵が開く音) 117 00:11:15,275 --> 00:11:17,777 ご金蔵が破られた!? 118 00:11:17,777 --> 00:11:24,117 消えた御用金 三万両の代わりに この紙が置いてあった。 119 00:11:24,117 --> 00:11:26,052 消えた? 120 00:11:26,052 --> 00:11:32,425 仮にも ご金蔵が破られたなどとあっては お上の威信に傷がつく。 121 00:11:32,425 --> 00:11:35,128 あくまで 消えたのじゃ。 122 00:11:37,263 --> 00:11:42,435 「お能拝見 小判拝借 ありがたや 公方様さま」。 123 00:11:42,435 --> 00:11:47,273 忠相 賊は なかなかの手だれのようじゃ。 124 00:11:47,273 --> 00:11:51,144 この錠前を開けられるとはのう。 125 00:11:51,144 --> 00:11:53,646 そうは思わぬか? ん? 126 00:11:53,646 --> 00:11:59,319 賊が 町入能に紛れて ご城内におったことは間違いない。 127 00:11:59,319 --> 00:12:06,125 されば 越前 この責めは 町入能を仕切った その方にある!➡ 128 00:12:06,125 --> 00:12:08,995 であろう? ご同輩。 129 00:12:08,995 --> 00:12:12,966 品川御殿山の一件も しかり。 130 00:12:12,966 --> 00:12:18,771 このようなこと 露見すれば 上様のご威光に 傷がつく。 131 00:12:24,110 --> 00:12:28,615 越前 勘定総吟味が3日後に控えておる。 132 00:12:28,615 --> 00:12:33,119 それまでに 内密に探索し 一命を賭して➡ 133 00:12:33,119 --> 00:12:35,121 三万両を取り戻すのじゃ! 134 00:12:36,956 --> 00:12:38,958 はっ! 135 00:12:40,627 --> 00:12:44,497 3日のうちに!? 盗まれた三万両を探せと? 136 00:12:44,497 --> 00:12:48,968 ですが 城内から どうやって三万両もの金を…。 137 00:12:48,968 --> 00:12:53,806 三万両を持ち出すとすれば 御門を抜けるか 堀を渡るか➡ 138 00:12:53,806 --> 00:12:58,978 あるいは…。 舟を使って 堀づたいか。 139 00:12:58,978 --> 00:13:00,913 どちらにしても大仕事。 140 00:13:00,913 --> 00:13:03,816 そう簡単にはいきません。 141 00:13:03,816 --> 00:13:08,655 上様も気にしておられた 錠前破りの手口…。 142 00:13:08,655 --> 00:13:13,159 そこから 賊をたどる線もあるな。 143 00:13:20,099 --> 00:13:23,770 (勝治)まずは 四千両や。➡ 144 00:13:23,770 --> 00:13:28,408 どうや? ざまあみやがれってんだ 公方のやつ。 145 00:13:28,408 --> 00:13:32,278 少しは すっきりしたみたいやな。 何言ってんだい これからだよ!➡ 146 00:13:32,278 --> 00:13:35,114 早いとこ 店に 金運ぶんだ! (勝治)加吉! 147 00:13:35,114 --> 00:13:37,817 (加吉)へい! おう! (手下たち)へい! 148 00:13:41,988 --> 00:13:45,825 (大介)舟? (番太)へい。 お城の方から➡ 149 00:13:45,825 --> 00:13:48,428 明け六つ ちょいと前に➡ 150 00:13:48,428 --> 00:13:51,331 男が 3人ばかり乗ってやした。 151 00:13:51,331 --> 00:13:53,299 (筧)荷は載せてなかったかい? 152 00:13:53,299 --> 00:13:58,438 たるが一つ 載っかってたような…。 たるが一つ? 153 00:13:58,438 --> 00:14:00,373 旦那 旦那旦那! どうした? 154 00:14:00,373 --> 00:14:03,910 明け方 この先の渡しで 舟から荷車に 乗り換えてるらしい男たちを➡ 155 00:14:03,910 --> 00:14:05,912 アサリ売りのガキが見てやした。 156 00:14:07,747 --> 00:14:09,782 おっおっおっ… 荷車の荷は? 157 00:14:09,782 --> 00:14:13,252 たるが一つ。 男が3人で押してたそうですが➡ 158 00:14:13,252 --> 00:14:18,124 顔は見てないようで。舟から荷車か。 用意周到ですね。 159 00:14:18,124 --> 00:14:21,127 だが 荷が軽すぎる。 そいつら どっち行った? 160 00:14:21,127 --> 00:14:23,262 寺町の方へ。 おう。 161 00:14:23,262 --> 00:14:25,932 旦那… 一体 何があったんですか? 162 00:14:25,932 --> 00:14:27,934 聞きたいか? 163 00:14:30,103 --> 00:14:32,605 誰かに しゃべった途端 首が飛ぶぞ 覚悟しろ! 164 00:14:32,605 --> 00:14:35,108 大介! はい。 165 00:14:35,108 --> 00:14:38,945 (堅太郎)こっちです。 おお。 166 00:14:38,945 --> 00:14:41,981 (堅太郎)おお。 (筧)ああ。➡ 167 00:14:41,981 --> 00:14:45,618 荷車が この寺に入っていくのを 見たやつがいました。 168 00:14:45,618 --> 00:14:48,321 踏み込むぞ! (筧たち)へい! 169 00:15:02,101 --> 00:15:05,605 (源次郎)お奉行 遅かったようです。 170 00:15:17,383 --> 00:15:20,586 何でしょうか。 171 00:15:20,586 --> 00:15:23,256 千両箱を燃やしたのかもしれんな。 172 00:15:23,256 --> 00:15:26,592 でも これじゃ 千両箱4つが いいところです。 173 00:15:26,592 --> 00:15:29,095 (辰三)こっちは 竹の残りかすです。 174 00:15:29,095 --> 00:15:31,931 たるのタガだな こいつは。 175 00:15:31,931 --> 00:15:34,400 わざわざ たるを燃やしたということは➡ 176 00:15:34,400 --> 00:15:37,770 このたるから足がつくことを 恐れたのかもしれんな。 177 00:15:37,770 --> 00:15:41,073 たるを扱うところを 片っ端から探ってみましょう。 178 00:15:49,482 --> 00:15:51,617 甚八…。 179 00:15:51,617 --> 00:15:55,488 久しぶりだな… 権蔵。 180 00:15:55,488 --> 00:15:58,491 (伊織)足は よくなったかい? (町人)へい ありがとうございます。 181 00:16:04,197 --> 00:16:07,233 おおっ…。 182 00:16:07,233 --> 00:16:09,235 おい あんた! 183 00:16:11,904 --> 00:16:13,906 追え! (丑松)へい。 184 00:16:19,779 --> 00:16:23,482 おい 権蔵 どうした!? 185 00:16:25,384 --> 00:16:27,320 今の男に やられたのか? 186 00:16:27,320 --> 00:16:29,755 何の話です? 先生。 とぼけるな。 187 00:16:29,755 --> 00:16:31,691 そこから飛び出していく男を 見たんだよ。 188 00:16:31,691 --> 00:16:34,594 うるせえな! ほっといてくれ。 189 00:16:34,594 --> 00:16:36,529 放っておけないから こうして来てるんだ。 190 00:16:36,529 --> 00:16:39,465 先生! 191 00:16:39,465 --> 00:16:42,335 世話を焼くなとか言うなよ おようさん。 192 00:16:42,335 --> 00:16:44,770 私は医者として言ってるんだ。 193 00:16:44,770 --> 00:16:46,806 養生所へ来た方がいい。 194 00:16:46,806 --> 00:16:49,642 さっきの男が またぞろ やって来るかもしれんしな。 195 00:16:49,642 --> 00:16:53,779 えっ? 今し方 ご亭主が男に殴られた。 196 00:16:53,779 --> 00:16:56,682 だが 知らないって言いやがる。 197 00:16:56,682 --> 00:16:59,285 何が どうなってるんだ? 一体。 198 00:16:59,285 --> 00:17:01,287 あんた? 199 00:17:03,055 --> 00:17:07,226 先生 今日のところは 帰ってくださいな。 200 00:17:07,226 --> 00:17:11,230 またか。 いいか? 何度でも言うが➡ 201 00:17:11,230 --> 00:17:17,370 権蔵の心の臓は 相当弱ってる。 養生所で面倒見た方がいい。 202 00:17:17,370 --> 00:17:20,273 帰ってくださいな。 お願いしますから。 203 00:17:20,273 --> 00:17:23,276 頑固だな お前たちも。 204 00:17:25,578 --> 00:17:28,381 おい こいつは 小判じゃないか。 205 00:17:28,381 --> 00:17:30,917 葵御紋!?➡ 206 00:17:30,917 --> 00:17:33,953 おい どうしたんだ? これは。 207 00:17:33,953 --> 00:17:36,088 あんた!? 208 00:17:36,088 --> 00:17:38,124 ううっ… うっ…。 209 00:17:38,124 --> 00:17:41,394 うっ…! 210 00:17:41,394 --> 00:17:43,462 甚八…。 211 00:17:43,462 --> 00:17:45,765 うっ ううっ…。 212 00:17:45,765 --> 00:17:47,700 ああ… ううっ…。 あんた!? 213 00:17:47,700 --> 00:17:50,603 権蔵 権蔵! (権蔵)ああ ああ…。 214 00:17:50,603 --> 00:17:53,506 ちっ! 215 00:17:53,506 --> 00:17:55,508 ああ…。 216 00:17:58,277 --> 00:18:00,212 あとは頼んだよ。 217 00:18:00,212 --> 00:18:03,916 私は 人相書きを作らねばならんのでな。 はい。 218 00:18:10,923 --> 00:18:13,125 口を開こうともしません。 219 00:18:14,760 --> 00:18:18,064 もう一度 聞くぞ。➡ 220 00:18:18,064 --> 00:18:20,566 この切餅は どうした? 221 00:18:25,571 --> 00:18:28,874 こいつと権蔵には どんな因縁があるんだ? 222 00:18:33,446 --> 00:18:35,448 (筧)おい! 223 00:18:40,753 --> 00:18:45,558 三次 こいつを見てくれ。 (三次)へい。 224 00:18:48,394 --> 00:18:51,297 こいつは 夢虫の甚八。 225 00:18:51,297 --> 00:18:53,265 夢虫? 226 00:18:53,265 --> 00:18:59,605 上方を根城にしていた 錺職で 腕を買われて鍵師になった男です。 227 00:18:59,605 --> 00:19:02,208 こいつ 江戸に いやがったのか…。 228 00:19:02,208 --> 00:19:05,211 この男なら やれますぜ 旦那。 229 00:19:05,211 --> 00:19:08,014 夢虫の甚八…。 230 00:19:08,014 --> 00:19:26,732 ♬~ 231 00:19:26,732 --> 00:19:29,068 話が あるんだがな。 232 00:19:29,068 --> 00:19:33,239 ああ そうか…。 233 00:19:33,239 --> 00:19:35,741 うあっ! おおっ!おら~! 234 00:19:35,741 --> 00:19:39,045 うあっ あ~! 待て こら! 235 00:19:40,913 --> 00:19:42,848 あっ! や~っ! 236 00:19:42,848 --> 00:19:46,352 (刺す音) うっ… あ…。 237 00:19:49,088 --> 00:19:51,390 何してやがる!? おい! 238 00:19:51,390 --> 00:19:55,261 (呼び子) 239 00:19:55,261 --> 00:19:58,264 大丈夫か? しっかりしろい! おい! 240 00:20:02,034 --> 00:20:04,036 (加吉)お着きになりやした。 241 00:20:12,278 --> 00:20:15,614 (おすま) 御殿山の方は うまくいってるらしいね。 242 00:20:15,614 --> 00:20:19,285 (赤星)バカどもが 押すな押すなで寄進騒ぎだ。 243 00:20:19,285 --> 00:20:22,121 (笑い声) 北町奉行の➡ 244 00:20:22,121 --> 00:20:28,427 伊生下野が うろつき始めたんでな その目をかすめての江戸入りってわけさ。 245 00:20:28,427 --> 00:20:32,298 おい。 へい。➡ 246 00:20:32,298 --> 00:20:34,300 失礼しやす。 247 00:20:36,635 --> 00:20:41,807 蓮池ご金蔵から頂いた 三万両のうちの四千両や。 248 00:20:41,807 --> 00:20:44,710 切餅1つ 足りぬと聞いたが…。 249 00:20:44,710 --> 00:20:49,682 ああ… そいつの始末なら とっくに済ませたよ。 250 00:20:49,682 --> 00:20:55,321 おい おすま 何ちゅう口のきき方や! (黒岩)仮にも公方の弟君様だぜ。 251 00:20:55,321 --> 00:21:00,159 それが本当なら この場で その首をかっ切ってるよ! 252 00:21:00,159 --> 00:21:02,762 姉上を怒らせるな。 253 00:21:02,762 --> 00:21:09,101 公方が お家改易にした旗本 水野なにがしの お側女だったんだからな。 254 00:21:09,101 --> 00:21:13,973 それが 公方のせいで 上方まで流れたあげく➡ 255 00:21:13,973 --> 00:21:19,745 今じゃ 盗人 蝮指の勝治の女房にまで 落ちぶれちまったんだ! 256 00:21:19,745 --> 00:21:23,048 えらい言いぐさやな。 ハッハハハハ…! 257 00:21:25,284 --> 00:21:27,620 何が おかしい!? 258 00:21:27,620 --> 00:21:31,290 俺や姉上が どんな思いで ここまで来たか➡ 259 00:21:31,290 --> 00:21:34,293 てめえら 知らねえわけじゃねえだろ! 260 00:21:36,162 --> 00:21:39,965 …とまあ すごんだところで➡ 261 00:21:39,965 --> 00:21:44,837 姉上の お相伴に あずかり損ねた口だからな この俺も。 262 00:21:44,837 --> 00:21:48,307 もっとも 公方憎しで➡ 263 00:21:48,307 --> 00:21:51,811 あんたたちと一か八か 大勝負を仕掛けてみたら➡ 264 00:21:51,811 --> 00:21:55,681 思いもかけず 三万両を手に入れた。 265 00:21:55,681 --> 00:21:58,150 勝負は これからだ。 266 00:21:58,150 --> 00:22:03,589 ご落胤と世間を たばかったところで 公方になれるわけでもなし。 267 00:22:03,589 --> 00:22:11,096 まずは この四千両で 町にあぶれる浪人どもを かき集め➡ 268 00:22:11,096 --> 00:22:14,967 やつらの不平不満を 江戸の町に ぶちまける! 269 00:22:14,967 --> 00:22:17,403 (小判が落ちる音) あっ…。 270 00:22:17,403 --> 00:22:21,273 火をつけるもよし 暴れ回るも これまたよし。 271 00:22:21,273 --> 00:22:25,277 そうなりゃ 江戸は大混乱だ! ハッハッハ…! 272 00:22:25,277 --> 00:22:29,148 (笑い声) 273 00:22:29,148 --> 00:22:34,286 ふんぞり返る公方や世の中に 一泡吹かせてる間に➡ 274 00:22:34,286 --> 00:22:38,123 こちとら どこぞのお大尽よろしく 高みの見物と しゃれ込む➡ 275 00:22:38,123 --> 00:22:41,627 っていう寸法は どうだ? 276 00:22:41,627 --> 00:22:45,431 いいねえ ゾクゾクしてくるよ。 アハハハ…! 277 00:22:45,431 --> 00:22:50,803 江戸の町が混乱したら 俺たち盗人も やりやすくなるっちゅうもんや。 278 00:22:50,803 --> 00:22:53,305 (加吉)へい。 (笑い声) 279 00:22:53,305 --> 00:23:01,113 まあ どちらにしろ 俺たちの行く末は 地獄落ちだがな。 280 00:23:16,395 --> 00:23:27,406 ♬~ 281 00:23:27,406 --> 00:23:30,109 さしてやるよ。 うん。 282 00:23:36,782 --> 00:23:38,717 どう? 似合うね。 283 00:23:38,717 --> 00:23:54,199 ♬~ 284 00:23:54,199 --> 00:23:58,170 気が付いたか。 南の お奉行様だ。 285 00:23:58,170 --> 00:24:01,373 あっ ああ…。 286 00:24:01,373 --> 00:24:05,244 聞かせてくれぬか あの男との関わりを。 287 00:24:05,244 --> 00:24:10,049 おようが 口をつぐんだままでな。 らちが明かんのだ。 288 00:24:12,751 --> 00:24:16,956 何故 あの男は あの金を お前に渡したのだ? 289 00:24:20,259 --> 00:24:24,096 あ… あ…。 290 00:24:24,096 --> 00:24:28,767 二昔ばかり前のことです。 291 00:24:28,767 --> 00:24:35,941 あっしと甚八は 幼なじみで 甚八と おようは 恋仲でした。 292 00:24:35,941 --> 00:24:40,612 けど 魔が差した おいらが そこに割って入ったのが 運の尽き。 293 00:24:40,612 --> 00:24:45,951 いつの間にか あっしが本気になっちまって…。 294 00:24:45,951 --> 00:24:50,289 あちこち流れ歩いて さんざん苦労かけた末➡ 295 00:24:50,289 --> 00:24:55,627 体 壊しちまって 江戸に舞い戻ったってわけです。 296 00:24:55,627 --> 00:24:58,664 そんなお前たちに 甚八が気付いた。 297 00:24:58,664 --> 00:25:03,869 しかし 殴るのは分かるが どうして 金を渡す? 298 00:25:07,239 --> 00:25:09,241 どうしてですかねえ…。 299 00:25:09,241 --> 00:25:13,912 うっ! うっ うっ うっ… 勘弁してくれ! 300 00:25:13,912 --> 00:25:18,384 できるか バカ野郎! 2人して 俺を おこわに かけやがって。 301 00:25:18,384 --> 00:25:22,087 許さねえからな てめえだけは…。 302 00:25:22,087 --> 00:25:26,925 うっ! あっ… うっ ああ… うう…。 303 00:25:26,925 --> 00:25:30,396 (苦しむ声) 304 00:25:30,396 --> 00:25:34,266 てめえなんか 勝手に死んじまえ! 305 00:25:34,266 --> 00:25:37,936 (権蔵)ううっ…。 306 00:25:37,936 --> 00:25:42,408 うっ! いってえ! あっ ああ うう…。 307 00:25:42,408 --> 00:25:51,116 あいつは 昔っから優しい男で それを… それを あっしが…。 308 00:25:51,116 --> 00:25:57,289 (泣き声) 309 00:25:57,289 --> 00:26:00,559 お奉行様 あっしは もう長くねえ。 310 00:26:00,559 --> 00:26:05,431 あいつに 甚八には あっしが謝ってたと伝えて…➡ 311 00:26:05,431 --> 00:26:09,735 おようも あいつのことを まだ…。 312 00:26:09,735 --> 00:26:14,239 うっ! うう… ああ…。 313 00:26:14,239 --> 00:26:18,544 権蔵! おい 権蔵! おい! 314 00:26:33,091 --> 00:26:36,128 あたしのせいなんです。 315 00:26:36,128 --> 00:26:40,766 あたしの…。 316 00:26:40,766 --> 00:26:44,603 あたしのせいなんです! 317 00:26:44,603 --> 00:26:52,277 あんた~ ごめんよ! 318 00:26:52,277 --> 00:26:57,149 (泣き声) 319 00:26:57,149 --> 00:27:00,552 甚八は まだ目が覚めぬ。 320 00:27:00,552 --> 00:27:05,424 あの男に伝えたいことがあれば 祈ってやることだ。 321 00:27:05,424 --> 00:27:08,127 「死ぬな」とな。 322 00:27:16,902 --> 00:27:19,805 甚八さん…。 323 00:27:19,805 --> 00:27:23,609 (犬の遠ぼえ) 324 00:27:27,246 --> 00:27:31,450  回想 一命を賭して 三万両を取り戻すのじゃ! 325 00:27:33,919 --> 00:27:35,921 (求次郎)父上…。 326 00:27:41,660 --> 00:27:47,266 母上が 父上のことを心配なされて… ですから…。 327 00:27:47,266 --> 00:27:50,602 大事ない。 よいな。 328 00:27:50,602 --> 00:27:55,774 はい。 ⚟求次郎 大きゅうなったのう。 329 00:27:55,774 --> 00:27:59,278 これは 上様。 上様。 330 00:28:01,213 --> 00:28:03,215 求次郎…。 331 00:28:06,051 --> 00:28:10,889 切腹の期限は明日だったか 忠相。 332 00:28:10,889 --> 00:28:12,891 はい。 333 00:28:17,062 --> 00:28:23,268 そうか そのようなことがな。 はい。 334 00:28:25,237 --> 00:28:28,574 人とは いとおしいものよのう。 335 00:28:28,574 --> 00:28:30,509 は? 336 00:28:30,509 --> 00:28:35,447 二昔も前に逃げた女の暮らしぶりを見て➡ 337 00:28:35,447 --> 00:28:43,088 盗んだとはいえ そしらぬ顔で 小判を与える男がいるかと思えば➡ 338 00:28:43,088 --> 00:28:49,962 その男が盗んだ小判であろうと知りながら 女は 口をつぐみ➡ 339 00:28:49,962 --> 00:28:56,101 そんな2人の別れを作った 己のありようを➡ 340 00:28:56,101 --> 00:29:01,073 ざんげして死ぬ男もいる。 341 00:29:01,073 --> 00:29:05,911 人とは いとおしい。 342 00:29:05,911 --> 00:29:12,884 恩しゅうを乗り越え 相手をいたわることができる。 343 00:29:12,884 --> 00:29:15,354 のう。 344 00:29:15,354 --> 00:29:18,657 上様。 ハハハハ…。 345 00:29:23,562 --> 00:29:29,735 うむ どうした? 雪絵。 顔の色が すぐれぬではないか。 346 00:29:29,735 --> 00:29:32,371 心配いたすな。 347 00:29:32,371 --> 00:29:37,876 たとえ 3日のうちに 三万両が戻らずとも 余が切腹などさせぬ。 348 00:29:41,380 --> 00:29:46,918 いいえ。 うちの亭主殿は 必ず 明日のうちに➡ 349 00:29:46,918 --> 00:29:51,256 賊を捕らえてご覧に入れます。 ねっ あなた。 350 00:29:51,256 --> 00:29:55,093 雪絵…。ウフフフ…。 ハハハハハ…! 351 00:29:55,093 --> 00:29:57,396 あっ 上様。 352 00:29:57,396 --> 00:30:01,933 余に構うな 源次郎。 何か分かったのか? 源さん。 353 00:30:01,933 --> 00:30:06,605 錺職ってのを手がかりに 甚八の周りを探ったところ➡ 354 00:30:06,605 --> 00:30:10,942 伊勢屋という 下酒問屋に 出入りしていたことが分かりました。 355 00:30:10,942 --> 00:30:13,612 お奉行のお察しどおり…。 356 00:30:13,612 --> 00:30:17,783 焼いた たるの出所は そこというわけか。 357 00:30:17,783 --> 00:30:21,286 恐らく。 主は 上方の出だそうで➡ 358 00:30:21,286 --> 00:30:27,426 三次に確かめさせましたところ 蝮指の勝治という 盗人の頭だそうで。 359 00:30:27,426 --> 00:30:31,797 では 伊勢屋自体が盗人宿? 360 00:30:31,797 --> 00:30:35,667 勝治の女房 おすまというのが 貧乏御家人の娘で➡ 361 00:30:35,667 --> 00:30:40,505 以前 旗本二千石 水野忠恒様の 奥女中に上がり➡ 362 00:30:40,505 --> 00:30:43,308 そのまま お妾に… はい。 363 00:30:43,308 --> 00:30:46,211 水野忠恒と申せば…。 364 00:30:46,211 --> 00:30:52,984 酒好きの上 乱暴狼藉が過ぎたので 何度か戒めたが なおらず➡ 365 00:30:52,984 --> 00:30:56,021 余が改易とした男だ。 366 00:30:56,021 --> 00:30:59,658 おすまは それを恨んで 勝治と一緒になり➡ 367 00:30:59,658 --> 00:31:02,260 こたびの件を たくらんだのでしょう。 368 00:31:02,260 --> 00:31:06,098 やれやれ。 それが まことなら➡ 369 00:31:06,098 --> 00:31:10,902 人とは いとおしいが まこと 面倒でもあるものよ。 370 00:31:13,839 --> 00:31:17,142 源さん 一つ頼まれてくれるか。 371 00:31:19,277 --> 00:31:23,115 あっ ああ~…。 372 00:31:23,115 --> 00:31:26,017 とろけるような心持ちだ。 373 00:31:26,017 --> 00:31:30,288 ヘヘッ さすが 蝮指だねえ。 374 00:31:30,288 --> 00:31:33,291 ⚟(加吉)お頭! ああ? どうしたのさ? 375 00:31:34,960 --> 00:31:38,663 甚八が まだ生きてるって噂が…。 376 00:31:42,834 --> 00:31:46,838 権蔵が 死んだ…。 377 00:31:48,507 --> 00:31:52,310 あたしのせいだ。 378 00:31:52,310 --> 00:31:58,183 あたしが あんたを裏切って 一緒に逃げたりしなきゃ➡ 379 00:31:58,183 --> 00:32:03,188 あの人は あんな死に方しなくて 済んだかもしれない。 380 00:32:05,257 --> 00:32:08,160 あんただって こんなことには…。 381 00:32:08,160 --> 00:32:12,030 (甚八)あっ…。 382 00:32:12,030 --> 00:32:14,599 もういいんだ…。 383 00:32:14,599 --> 00:32:17,302 終わった話だ。 384 00:32:18,937 --> 00:32:21,273 甚八さん。 385 00:32:21,273 --> 00:32:27,145 初めは お前たちを恨んで 俺がヤケになり➡ 386 00:32:27,145 --> 00:32:33,418 上方くんだりまで流れて 盗人の仲間に なっちまったのが悪かったんだ。 387 00:32:33,418 --> 00:32:43,428 ただ おめえたち2人の暮らし 見てたら たまんなかった。 388 00:32:43,428 --> 00:32:45,797 だから…。 389 00:32:45,797 --> 00:32:47,833 小判を置いていったのだな。 390 00:32:47,833 --> 00:32:49,835 へえ。 391 00:32:55,307 --> 00:32:58,643 悪かったな。 392 00:32:58,643 --> 00:33:02,514 俺のせいで とんでもねえことに 巻き込んじまって…。 393 00:33:02,514 --> 00:33:06,918 ううん…。 394 00:33:06,918 --> 00:33:13,225 あんたが恵んでくれたって分かった時 あたしゃ うれしくて…。 395 00:33:15,393 --> 00:33:17,762 (甚八)およう…。 お奉行。 396 00:33:17,762 --> 00:33:23,635 案の定 伊勢屋に 身なりのいい武家が 昨日から投宿しているようです。 397 00:33:23,635 --> 00:33:25,637 そうか。 398 00:33:28,773 --> 00:33:31,810 甚八。 399 00:33:31,810 --> 00:33:36,648 蝮指の勝治から 中川正軒という名を 聞いたことがないか? 400 00:33:36,648 --> 00:33:39,284 いいえ…。 401 00:33:39,284 --> 00:33:43,955 ただ おすまには お侍の弟がいて➡ 402 00:33:43,955 --> 00:33:47,626 今度のたくらみに 一枚かんでるって話は 聞きました…。 403 00:33:47,626 --> 00:33:50,662 弟…。 (甚八)ええ。 404 00:33:50,662 --> 00:33:56,968 で 伊勢屋の酒だるも 一枚かんでいるのだろう? 405 00:33:56,968 --> 00:34:00,839 へえ… そのとおりです。 406 00:34:00,839 --> 00:34:04,242 おい どういうことだ? 407 00:34:04,242 --> 00:34:06,945 金の隠し場所だよ。 408 00:34:09,080 --> 00:34:11,383 生きてやがったのか 甚八のやつ。 へえ。 409 00:34:11,383 --> 00:34:14,920 養生所に かくまわれてるって話で…。 410 00:34:14,920 --> 00:34:17,822 その男の口から こたびの一件が…。 411 00:34:17,822 --> 00:34:19,791 どないする? 412 00:34:19,791 --> 00:34:22,260 ならば 一気に片づけてしまうか。 413 00:34:22,260 --> 00:34:24,596 どうしようってのさ? 414 00:34:24,596 --> 00:34:27,933 養生所に火をつけ ついでに 甚八の口を封じる。 415 00:34:27,933 --> 00:34:31,403 その騒ぎに乗じて 残りの金を 堀から引き揚げ➡ 416 00:34:31,403 --> 00:34:33,605 江戸を引き払う! 417 00:34:40,946 --> 00:34:42,948 (加吉)おい! (子分)へい。 418 00:34:48,687 --> 00:34:52,958 おとなしくしろ! お奉行の言ったとおりだ。 419 00:34:52,958 --> 00:34:56,628 甚八が生きてると知ったら 必ず襲ってくるとな。 420 00:34:56,628 --> 00:34:58,563 ここに 甚八は いないぞ。 421 00:34:58,563 --> 00:35:00,498 しゃらくせえ! 422 00:35:00,498 --> 00:35:02,434 (捕方たち)御用だ! 御用だ! 423 00:35:02,434 --> 00:35:13,078 ♬~ 424 00:35:13,078 --> 00:35:16,281 ん? 火の手が上がらへんな。 425 00:35:23,788 --> 00:35:26,391 (堅太郎)伊勢屋勝治 神妙にしろ! 426 00:35:26,391 --> 00:35:28,326 いてまえ~! 427 00:35:28,326 --> 00:35:39,270 ♬~ 428 00:35:39,270 --> 00:35:41,206 野郎! 429 00:35:41,206 --> 00:35:46,211 ♬~ 430 00:35:56,287 --> 00:35:59,124 南町奉行 大岡越前である! 431 00:35:59,124 --> 00:36:02,994 中川正軒 おとなしく縛につけ! 432 00:36:02,994 --> 00:36:06,731 大岡…。 433 00:36:06,731 --> 00:36:13,505 来やがったな 公方の腰巾着! 434 00:36:13,505 --> 00:36:20,578 ♬~ 435 00:36:20,578 --> 00:36:24,082 大儀である 大岡忠相! 436 00:36:24,082 --> 00:36:26,918 何!? 437 00:36:26,918 --> 00:36:30,388 てめえに 一太刀 浴びせりゃ 御の字だぜ! 438 00:36:30,388 --> 00:36:32,390 是非もなし! 439 00:36:34,092 --> 00:36:36,027 フッ! 440 00:36:36,027 --> 00:36:38,029 うっ! 441 00:36:40,765 --> 00:36:42,700 うお~っ! 442 00:36:42,700 --> 00:36:58,283 ♬~ 443 00:36:58,283 --> 00:37:02,053 あっ… ちょっと 気安く触るんじゃないよ! 444 00:37:02,053 --> 00:37:04,055 動くんじゃねえ! 行くぞ ほら! 445 00:37:05,724 --> 00:37:09,594 <こうして たるに くくりつけられた 千両箱は➡ 446 00:37:09,594 --> 00:37:15,733 全て 引き揚げられ 三万両は ご金蔵に戻った> 447 00:37:15,733 --> 00:37:21,606 (太鼓の音) 南町奉行 大岡越前守様 ご出座~! 448 00:37:21,606 --> 00:37:23,608 (太鼓の音) 449 00:37:23,608 --> 00:37:26,811 一同の者 面を上げよ。 450 00:37:31,249 --> 00:37:34,753 (勝治)おそれながら お奉行様 三万両の御用金のことは➡ 451 00:37:34,753 --> 00:37:38,089 何者かに謀られたもの。 濡れ衣でございます。 452 00:37:38,089 --> 00:37:40,992 このお白洲 合点が まいりまへん! 453 00:37:40,992 --> 00:37:45,396 三万両の御用金とは 何のことだ? 454 00:37:45,396 --> 00:37:47,332 えっ? 455 00:37:47,332 --> 00:37:52,771 この白洲は 公方様弟君と名乗り 世間を騒がせた➡ 456 00:37:52,771 --> 00:37:59,544 中川正軒と その一派 下酒問屋 伊勢屋主こと➡ 457 00:37:59,544 --> 00:38:02,580 蝮指の勝治と 女房 おすま➡ 458 00:38:02,580 --> 00:38:07,285 配下の者どもの罪を問う場である。 459 00:38:07,285 --> 00:38:11,890 事もあろうに 将軍家に盾つく 大それたことを たくらむとは➡ 460 00:38:11,890 --> 00:38:14,225 不届き至極。 461 00:38:14,225 --> 00:38:17,228 極刑あるものと覚悟いたすがよい! 462 00:38:17,228 --> 00:38:22,100 フン! 磔獄門 覚悟しての たくらみだ。 463 00:38:22,100 --> 00:38:28,072 怖くなんかないよ! ちっ あんたも 何か言っておやり! 464 00:38:28,072 --> 00:38:33,945 お高いところから 大身旗本が いい気なもんだな。 465 00:38:33,945 --> 00:38:38,783 俺たち 御目見得以下のクズ御家人はな➡ 466 00:38:38,783 --> 00:38:43,087 生まれ落ちた そん時から 泥沼の中に どっぷりつかり➡ 467 00:38:43,087 --> 00:38:46,758 地べた はいずり回って 生きてくしかねえ。 468 00:38:46,758 --> 00:38:55,767 そっから はい上がるために 夢の一つや二つ 見たって…➡ 469 00:38:55,767 --> 00:38:59,604 罰は当たるめえよ。 470 00:38:59,604 --> 00:39:02,207 夢とな。 471 00:39:02,207 --> 00:39:07,045 だが お主の言う 御目見得以下の御家人たち 皆が皆➡ 472 00:39:07,045 --> 00:39:11,549 お主と同じような夢を見るとは限るまい! 473 00:39:11,549 --> 00:39:17,722 身の不運を嘆く お主の 心根の弱さが悪を引き付けた。 474 00:39:17,722 --> 00:39:21,025 ただ それだけのこと。 475 00:39:25,230 --> 00:39:29,234 即刻 引っ立てい! (同心)はっ! それ! 476 00:39:29,234 --> 00:39:32,036 (捕方たち)はっ! (捕方)えい 立てい! 477 00:39:40,778 --> 00:39:44,249 さて 甚八。 478 00:39:44,249 --> 00:39:48,253 かねてよりの盗人稼業の罪は罪。 479 00:39:48,253 --> 00:39:52,590 だが 人を思いやる その心根に免じて➡ 480 00:39:52,590 --> 00:39:57,395 罪一等を減じ 江戸所払いとする。 481 00:40:00,932 --> 00:40:05,603 しかし その傷では 一人で生きてはいかれまい。 482 00:40:05,603 --> 00:40:07,538 これから どうする? 483 00:40:07,538 --> 00:40:11,943 フッ どうもこうもありません。 484 00:40:11,943 --> 00:40:17,115 死んだ権蔵のことを思えば どうとでもなります。 485 00:40:17,115 --> 00:40:22,620 およう。 甚八は こう申しておるが➡ 486 00:40:22,620 --> 00:40:24,923 どうしたものかのう。 487 00:40:27,125 --> 00:40:29,627 お奉行様に申し上げます。 488 00:40:29,627 --> 00:40:33,298 もし… もし 許されるのなら➡ 489 00:40:33,298 --> 00:40:38,169 このあたしが 甚八さんの面倒を見とうございます! 490 00:40:38,169 --> 00:40:41,639 まことか? はい あたしのせいで➡ 491 00:40:41,639 --> 00:40:43,975 甚八さんは こうなったんです。 492 00:40:43,975 --> 00:40:50,748 せめてもの罪滅ぼし 一所懸命 お世話いたします! 493 00:40:50,748 --> 00:40:56,254 どうする 甚八。 おようの申し出 受けてみるか? 494 00:41:00,391 --> 00:41:07,198 そ そんな… そんな…。 495 00:41:08,933 --> 00:41:11,269 よいではないか。 496 00:41:11,269 --> 00:41:16,974 その強い心を忘れず ひたむきに 2人で生きていけばよい。 497 00:41:18,943 --> 00:41:21,279 お奉行様…。 498 00:41:21,279 --> 00:41:35,126 ♬~ 499 00:41:35,126 --> 00:41:39,964 消えた三万両が戻ったのは 越前の手柄であった。 500 00:41:39,964 --> 00:41:44,135 のう 左近。 はっ! 501 00:41:44,135 --> 00:41:53,144 下野。 中川正軒の一件 手柄を横取りされたと思うてはならぬ。 502 00:41:53,144 --> 00:41:58,950 南も北も手を携え 悪党どもを召し捕らねばのう。 503 00:41:58,950 --> 00:42:01,853 は…。 はっ! 504 00:42:01,853 --> 00:42:03,788 ははあ! 505 00:42:03,788 --> 00:42:06,090 上様。 506 00:42:06,090 --> 00:42:11,896 余が 正軒のことを 知らずにいたと思うか。 507 00:42:11,896 --> 00:42:16,401 見くびるなよ! (一同)ははあ。 508 00:42:16,401 --> 00:42:19,604 ハッハッハッハ…。 509 00:42:19,604 --> 00:42:23,941 <ご落胤騒動と ご金蔵破り➡ 510 00:42:23,941 --> 00:42:28,112 江戸の町を揺るがしかねない 2つの事件を解決し➡ 511 00:42:28,112 --> 00:42:32,617 ほっと安堵する忠相であった> 512 00:42:34,986 --> 00:42:37,822 同心が酔って十手をなくすとは 何たる失態! 513 00:42:37,822 --> 00:42:40,625 相良大介 謹慎を申し渡す。 514 00:42:40,625 --> 00:42:44,295 こいつで たんと おあしを稼いで…。 元どおり しゃべれるようにしてやるから。 515 00:42:44,295 --> 00:42:47,131 お前は 売られた身だ。 おくに! 516 00:42:47,131 --> 00:42:49,801 おいらは 取り返しのつかないことを…。 517 00:42:49,801 --> 00:42:51,836 私に 2人と話をさせてください。 518 00:42:51,836 --> 00:42:54,839 十手には おそれを抱かせるだけの力がある。