1 00:00:02,202 --> 00:00:05,772 (老人) どいておくれ。 そこ どいておくれ! 2 00:00:05,772 --> 00:00:09,943 ハアハア… どうにか 十両 かき集めてきた。 3 00:00:09,943 --> 00:00:14,114 これで せがれは た… 助かるんだね? お預かりいたしやす。 4 00:00:14,114 --> 00:00:16,149 (筧)待った! 5 00:00:16,149 --> 00:00:18,285 そいつは 騙り屋の手先だ。 6 00:00:18,285 --> 00:00:21,288 あんたから 十両 だまし取ろうとしてるのさ。 7 00:00:21,288 --> 00:00:23,423 か 騙り屋!? 8 00:00:23,423 --> 00:00:27,294 (息子)お父っつぁん! 私は お店の金なんぞ➡ 9 00:00:27,294 --> 00:00:30,797 使い込んじゃいません。 だまされていたんですよ! 10 00:00:30,797 --> 00:00:33,300 うわ~! (小判が落ちる音) 11 00:00:33,300 --> 00:00:35,235 ああっ! あっ あっ…。 12 00:00:35,235 --> 00:00:37,170 あっ…。 おら~! 13 00:00:37,170 --> 00:00:41,808 <江戸市中では 現代でいう詐欺事件にあたる➡ 14 00:00:41,808 --> 00:00:44,111 騙りが横行していた> 15 00:00:45,679 --> 00:00:49,316 (堅太郎)はあ… 騙り屋どもめ。 16 00:00:49,316 --> 00:00:52,986 しばらく下火だったのに 急に うじゃうじゃと…。 17 00:00:52,986 --> 00:00:57,658 またか! で 騙りの手口は? (筧)そりゃあ もう いろいろで。 18 00:00:57,658 --> 00:01:00,560 かみさんの なり手のない男に 女を引き合わせて➡ 19 00:01:00,560 --> 00:01:03,931 支度金やら何やら 引っ張り出すってのも ありましたね。 20 00:01:03,931 --> 00:01:09,803 昔 その手の女に 引っ掛かりそうになったことが…。 21 00:01:09,803 --> 00:01:11,805 同じく! (2人)おお~! 22 00:01:11,805 --> 00:01:13,807 ええっ!? 23 00:01:15,642 --> 00:01:20,280 手口は おおむね 2年前に捕らえた 大癋見の儀助一味と変わらぬようだ。 24 00:01:20,280 --> 00:01:24,284 大癋見というと 獄門になった あの…。 25 00:01:24,284 --> 00:01:26,954 (源次郎)よくも こう 次から次へと➡ 26 00:01:26,954 --> 00:01:31,291 新しい騙りのネタを見つけるもんだと 舌を巻くほどで。 27 00:01:31,291 --> 00:01:35,162 小金を持っている者ばかりか 貧しい者たちまでが➡ 28 00:01:35,162 --> 00:01:39,433 借財を負わされ 苦しめられた。 はい。 29 00:01:39,433 --> 00:01:42,803 こちらは その先手を打って かからねばならぬ。 30 00:01:42,803 --> 00:01:45,305 その方たちも 知恵を絞ってくれ。 31 00:01:45,305 --> 00:01:47,240 (一同)はっ! 32 00:01:47,240 --> 00:01:54,314 (2人)「人知らずして いきどおらず また 君子ならずや」。 33 00:01:54,314 --> 00:01:56,249 まあ よいでしょう。 34 00:01:56,249 --> 00:01:59,820 (妙) もう それくらいにしたら? 35 00:01:59,820 --> 00:02:02,322 こっちで お茶にしましょう。 36 00:02:07,627 --> 00:02:10,931 このあとは 手習い いたしますので。 37 00:02:10,931 --> 00:02:12,966 よいですね 求次郎。 はい。 38 00:02:12,966 --> 00:02:15,602 そんなに詰め込んだって。 39 00:02:15,602 --> 00:02:18,405 いっぺんに 覚えられるわけじゃなし。 40 00:02:18,405 --> 00:02:21,274 私は 忠相に➡ 41 00:02:21,274 --> 00:02:25,112 そんな押しつけがましい教え方は してきませんでしたよ。 42 00:02:25,112 --> 00:02:29,282 私には 私のやり方が ございますので。 43 00:02:29,282 --> 00:02:32,119 おいおい 雪絵。 そういう言い方は…。 44 00:02:32,119 --> 00:02:35,155 どうかなさいましたか? おお! これは婿殿。➡ 45 00:02:35,155 --> 00:02:38,291 ハハハ よいところへ…。 46 00:02:38,291 --> 00:02:41,294 ご覧なさいな 雪絵さん。 47 00:02:41,294 --> 00:02:44,631 無理に学問を詰め込まなくたって➡ 48 00:02:44,631 --> 00:02:48,802 ちゃんと 育つ証しが ここに…。 ん? 49 00:02:48,802 --> 00:02:52,439 あなたは 求次郎が 何を どう学ぶか➡ 50 00:02:52,439 --> 00:02:55,976 当面 私に任せると おっしゃってくださいましたよね? 51 00:02:55,976 --> 00:02:58,812 いや… うん 確かに。 52 00:02:58,812 --> 00:03:01,715 私にも言ったじゃありませんか。➡ 53 00:03:01,715 --> 00:03:07,254 雪絵さん一人では 心もとないから 力を貸してやってくれって。 54 00:03:07,254 --> 00:03:09,189 (雪絵)あなた そのようなことを? 55 00:03:09,189 --> 00:03:14,995 ん… うん。 (妙)忠相 はっきり言ってあげた方が…。 56 00:03:14,995 --> 00:03:16,963 あなた! うん。 57 00:03:16,963 --> 00:03:21,268 忠相 聞いているのですか? あ… 聞いております。 58 00:03:26,640 --> 00:04:41,348 ♬~ 59 00:04:43,049 --> 00:04:46,620 あ~あ… 母上と おばあ様は➡ 60 00:04:46,620 --> 00:04:49,656 私のことになると 言い争いばかり。 61 00:04:49,656 --> 00:04:53,293 (市之助)父上。 62 00:04:53,293 --> 00:04:55,228 父上。➡ 63 00:04:55,228 --> 00:04:58,632 父上! 64 00:04:58,632 --> 00:05:00,567 お待ちください! 父上。 65 00:05:00,567 --> 00:05:04,070 たまには うちにいて 母上の話を聞いてあげてください! 66 00:05:04,070 --> 00:05:06,072 (箕島)うるさい! (市之助)あっ! 67 00:05:08,575 --> 00:05:10,577 余計な口出しをするな。 68 00:05:15,081 --> 00:05:17,117 大丈夫? 69 00:05:17,117 --> 00:05:20,754 あの ご浪人 お父上なのだろう? 70 00:05:20,754 --> 00:05:22,689 乱暴なことをするな。 71 00:05:22,689 --> 00:05:26,259 父上を悪く言わないでくれ! 72 00:05:26,259 --> 00:05:28,195 いけない! 血が出てる。 73 00:05:28,195 --> 00:05:30,130 何でもないよ。 そうはいかない。 74 00:05:30,130 --> 00:05:40,407 ♬~ 75 00:05:40,407 --> 00:05:42,776 (おいね)はい これで大丈夫。 76 00:05:42,776 --> 00:05:45,979 大したことがなくて よかったですね。 若様。 77 00:05:47,614 --> 00:05:51,284 若様? (おいね)フフフ…。 78 00:05:51,284 --> 00:05:55,155 どうした? 求次郎。 友達と 喧嘩でもしたか? 79 00:05:55,155 --> 00:05:58,959 伊織先生 私は喧嘩なんか…。 80 00:05:58,959 --> 00:06:03,263 それに まだ 友達ってわけじゃ…。 81 00:06:05,565 --> 00:06:09,069 まっ 仲よくするこった。 82 00:06:21,915 --> 00:06:24,417 (求次郎)さっきは ごめん。 83 00:06:26,086 --> 00:06:28,588 お父上のことを悪く言って。 84 00:06:30,924 --> 00:06:37,097 考えてみれば 私だって 父や母のことを 悪く言われたくはない。 85 00:06:37,097 --> 00:06:41,401 父上が あんなふうになったのは 私のせいなんだ。 86 00:06:41,401 --> 00:06:43,403 えっ? 87 00:06:45,105 --> 00:06:52,846 近頃の母上は 父上には ちっとも構わず 私のことばかり。 88 00:06:52,846 --> 00:06:56,283 それで 2人は 仲たがいを…。 89 00:06:56,283 --> 00:07:00,553 それは つらかろう。 私の母上と おばあ様も➡ 90 00:07:00,553 --> 00:07:06,359 私の… いや 俺のことで すぐに こうなるから。 91 00:07:06,359 --> 00:07:09,729 そうか お主もか。 92 00:07:09,729 --> 00:07:12,232 求次郎だ。 93 00:07:12,232 --> 00:07:15,068 私は 市之助。 94 00:07:15,068 --> 00:07:17,904 (2人の笑い声) 95 00:07:17,904 --> 00:07:20,240 もう ここでいいよ。 96 00:07:20,240 --> 00:07:23,143 ここに住んでるの? 97 00:07:23,143 --> 00:07:26,913 浪人だからね 貧乏なんだ。 98 00:07:26,913 --> 00:07:28,848 (多喜)市之助! 99 00:07:28,848 --> 00:07:30,850 母上。 100 00:07:33,086 --> 00:07:35,922 遅かったではありませんか。 101 00:07:35,922 --> 00:07:37,957 あら こちらは? 102 00:07:37,957 --> 00:07:41,261 市之助殿が けがをされたので 送ってきました。 103 00:07:41,261 --> 00:07:45,098 それじゃ…。 104 00:07:45,098 --> 00:07:47,100 それじゃ! 105 00:07:49,769 --> 00:07:51,705 またね。 106 00:07:51,705 --> 00:07:53,707 またね! 107 00:07:57,110 --> 00:08:03,717 (楊枝を削る音) 108 00:08:03,717 --> 00:08:08,355 もういいから あなたは 自分のするべきことをなさい。 109 00:08:08,355 --> 00:08:11,057 (楊枝を削る音) (市之助)でも…。 110 00:08:13,059 --> 00:08:16,096 あなたには 人並み優れた才がある。 111 00:08:16,096 --> 00:08:20,800 浪人の子だからといって 後ろ指さされてたまるものですか! 112 00:08:22,569 --> 00:08:29,909 どうか しっかりと学問を身につけて…。 はい。 113 00:08:29,909 --> 00:08:35,782 お父上のような 負け犬にだけはならないでおくれ! 114 00:08:35,782 --> 00:08:38,585 (店主)旦那 もう しまいでえ。 115 00:08:40,620 --> 00:08:42,622 (店主)毎度! 116 00:08:51,598 --> 00:08:56,403 <忠相は 騙り屋に狙われた者が 訪れるであろう➡ 117 00:08:56,403 --> 00:09:01,708 金貸しや質屋に目をつけ 重点的に探らせる策を講じた> 118 00:09:01,708 --> 00:09:03,743 (商人)あの男に 金を渡せって。 119 00:09:03,743 --> 00:09:06,579 あとは 俺たちに任せてもらおう。 へい! 120 00:09:06,579 --> 00:09:10,350 子吉。合点だ。 こいつを借りるぜ。 121 00:09:10,350 --> 00:09:14,721 すいやせん 持ってきやした。 あっ 待ってたよ。 122 00:09:14,721 --> 00:09:17,557 うわ~! おりゃ!あたたた…。 123 00:09:17,557 --> 00:09:20,360 な 何すんだよ? よ~し 捕まえた。 124 00:09:20,360 --> 00:09:22,729 騙り屋め 観念しな。 125 00:09:22,729 --> 00:09:24,764 (老女)ふざけたこと お言いでないよ! 126 00:09:24,764 --> 00:09:28,234 あたしが そんな者に だまされたりするもんか! 127 00:09:28,234 --> 00:09:30,737 だまされる者は みんな そう言うんだ。 128 00:09:30,737 --> 00:09:32,772 いててて… 痛い痛い痛い…。 129 00:09:32,772 --> 00:09:35,608 ばあさんから 話は聞いた。 騙り屋一味として召し捕る! 130 00:09:35,608 --> 00:09:38,077 ハハハハ…。 131 00:09:38,077 --> 00:09:40,113 歩け! (男)あっしは 何も知らねえんです。➡ 132 00:09:40,113 --> 00:09:43,883 見ず知らずの男に 声かけられただけなんですよ。 133 00:09:43,883 --> 00:09:48,087 やつらは ただの使いっ走りにすぎないようで。 134 00:09:48,087 --> 00:09:51,925 そこそこの金をやって あの者たちは使い捨て。 135 00:09:51,925 --> 00:09:56,396 人手がいれば また集める。 その繰り返しなのだろう。 136 00:09:56,396 --> 00:10:01,201 騙り屋め 正体をつかまれぬよう よほど念入りに…。 137 00:10:19,953 --> 00:10:23,456 私に何の用だ? (浪人たち)うりゃ~! 138 00:10:25,825 --> 00:10:27,827 ていっ! おおっ! 139 00:10:30,964 --> 00:10:35,635 誰に頼まれた? 見逃してやるゆえ 話してもらおう! 140 00:10:35,635 --> 00:10:39,439 (材木が倒れる音) 141 00:10:46,646 --> 00:10:49,983 (橋田)しかし 一体 何者が!? 142 00:10:49,983 --> 00:10:52,318 お奉行と知っての狼藉でしょうか。 143 00:10:52,318 --> 00:10:55,221 騙り屋の仕業とは 考えられませんでしょうか。 144 00:10:55,221 --> 00:10:58,191 騙り屋の? お奉行の お策によって➡ 145 00:10:58,191 --> 00:11:01,027 次々と騙り屋が潰されています。 146 00:11:01,027 --> 00:11:04,764 お上の手が迫っていることも 肌で感じておりましょう。 147 00:11:04,764 --> 00:11:09,602 だとしても 私一人を消したところで どうなるというのだ。 148 00:11:09,602 --> 00:11:11,538 (筧)お奉行…。 149 00:11:11,538 --> 00:11:13,940 連中の つながりが割れました。 150 00:11:13,940 --> 00:11:17,777 やつらは 声をかけられる前 そろって 同じ口入れ屋に➡ 151 00:11:17,777 --> 00:11:19,812 職探しに行ってるんです。 152 00:11:19,812 --> 00:11:22,015 口入れ屋か…。 153 00:11:24,284 --> 00:11:26,219 (番頭)普請場の下働きですよ。 154 00:11:26,219 --> 00:11:30,089 旦那のような お侍のやるようなこっちゃ ございませんが…。 155 00:11:30,089 --> 00:11:33,793 石運びだろうが どぶさらいだろうが➡ 156 00:11:33,793 --> 00:11:37,130 飲み代さえ稼げれば構わん! (番頭)ああっ! 157 00:11:37,130 --> 00:11:40,633 (浜田屋)では 手前どもが その 下っ端連中を雇った➡ 158 00:11:40,633 --> 00:11:42,669 騙り屋だと おっしゃるので? 159 00:11:42,669 --> 00:11:46,439 まさか! ハハハハハ…! 160 00:11:46,439 --> 00:11:52,245 いや やつらは残らず 職探しで いっぺんは この店を訪ねている。 161 00:11:52,245 --> 00:11:55,648 職に あぶれた 若い者。 162 00:11:55,648 --> 00:11:58,985 確かに 江戸には多ございますな。 163 00:11:58,985 --> 00:12:02,855 はばかりながら 口入れ屋は お上に代わって➡ 164 00:12:02,855 --> 00:12:06,259 そうした者たちを救う商い。 165 00:12:06,259 --> 00:12:09,162 たまたま うちへ来た者が 関わったからといって➡ 166 00:12:09,162 --> 00:12:12,865 手前どもまで 騙り屋呼ばわりされるとは…。 167 00:12:14,601 --> 00:12:17,637 探られて 痛む腹は ございません。 168 00:12:17,637 --> 00:12:20,139 お気の済むまで お調べくださいまし! 169 00:12:22,775 --> 00:12:25,278 ちょっと待った。 浜田屋に用か? 170 00:12:25,278 --> 00:12:27,614 (紋蔵)はい。 何か お取り込みで? 171 00:12:27,614 --> 00:12:29,949 訳あって 主の評判を聞いてるんだがね。 172 00:12:29,949 --> 00:12:32,418 あっ あっしにとっちゃ 大恩人。 173 00:12:32,418 --> 00:12:35,788 長いこと 古手商いで ごひいきいただいておりますので…。 174 00:12:35,788 --> 00:12:37,824 おお 古着屋か。 175 00:12:37,824 --> 00:12:40,660 職のねえ者は 着るもんにも困ってます。 176 00:12:40,660 --> 00:12:43,429 それで いつでも 古着を用意しておいてやると➡ 177 00:12:43,429 --> 00:12:46,633 おっしゃってまして…。 そいつは また バカに親切だなあ。 178 00:12:46,633 --> 00:12:48,568 分かった。 もういいぞ。 179 00:12:48,568 --> 00:12:50,870 ご苦労さまでございます。 (大介)おう。 180 00:12:53,306 --> 00:12:55,975 つけいる隙がねえとは このこってすね。 181 00:12:55,975 --> 00:12:58,311 (鈴の音と かしわ手) 182 00:12:58,311 --> 00:13:00,747 (多喜)天満大自在天神様。 183 00:13:00,747 --> 00:13:03,383 我が子 市之助が 学問を究め➡ 184 00:13:03,383 --> 00:13:08,187 いつの日か 立派に身を立てられますように…。 185 00:13:18,398 --> 00:13:21,200 (伊三郎)ご熱心でございますな。 186 00:13:23,236 --> 00:13:26,139 賢そうな お子だ。➡ 187 00:13:26,139 --> 00:13:29,142 どこぞの私塾へでも お通いですか? 188 00:13:29,142 --> 00:13:32,612 (多喜)いえ それが まだ…。 189 00:13:32,612 --> 00:13:39,786 実は それがし 将軍様ご推奨の学問所に 少々 関わっておりまして…。 190 00:13:39,786 --> 00:13:42,288 まあ 公方様の? 191 00:13:45,425 --> 00:13:51,297 ここだけの話 少しばかり 籍に空きがございます。 192 00:13:51,297 --> 00:13:57,637 これぞという秀でた お子があれば 推挙してさしあげたい。 193 00:13:57,637 --> 00:14:02,075 ご推挙を? 194 00:14:02,075 --> 00:14:09,382 ご入所あらば ご子息の先行きは 安泰と決まったも同じ。 195 00:14:09,382 --> 00:14:12,285 これも 菅原道真公の お導き。 196 00:14:12,285 --> 00:14:15,755 天神様の ご霊験かと存じます。 197 00:14:15,755 --> 00:14:17,757 あ…。 (鈴の音) 198 00:14:24,263 --> 00:14:30,069  回想 (伊三郎)ご入所あらば ご子息の 先行きは 安泰と決まったも同じ。 199 00:14:30,069 --> 00:14:32,071 (戸が開く音) 200 00:14:40,113 --> 00:14:45,618 この房楊枝を 100本削って いくらになるか ご存じでございますか? 201 00:14:45,618 --> 00:14:47,620 何の皮肉だ? 202 00:14:52,391 --> 00:14:55,194 回りくどいことを言っても しかたありません。 203 00:14:59,298 --> 00:15:04,303 その腰の お刀 私に預からせてくださいませ。 204 00:15:06,572 --> 00:15:09,375 刀を? 205 00:15:09,375 --> 00:15:12,578 市之助を 学問所へ やることにいたしました。 206 00:15:12,578 --> 00:15:16,382 その手付けとして 金子に替えとうございます。 207 00:15:16,382 --> 00:15:21,754 多喜 本気で さようなことを 言っておるのか。 208 00:15:21,754 --> 00:15:25,258 (多喜)公方様が 肩入れなさっている 学問どころ。➡ 209 00:15:25,258 --> 00:15:31,597 お奉行の大岡様の ご子息をはじめ お歴々の若様が通われてると聞きました。 210 00:15:31,597 --> 00:15:37,770 市之助にも その方たちと 肩を並べる道が開かれたのです。 211 00:15:37,770 --> 00:15:41,107 お前は変わった…。 212 00:15:41,107 --> 00:15:45,411 主家の お取り潰しで 浪々の身となった3年前➡ 213 00:15:45,411 --> 00:15:50,950 そなたは この私に どこまでも ついてゆくと…。 214 00:15:50,950 --> 00:15:53,953 変わったのは あなたの方です。 215 00:15:56,422 --> 00:16:02,061 江戸へ出て つてを求めて歩き回ったのは 初めのうちだけ。 216 00:16:02,061 --> 00:16:04,096 腕も立つし 学もある。 217 00:16:04,096 --> 00:16:07,233 仕官先など すぐに見つかると おっしゃっていたのに➡ 218 00:16:07,233 --> 00:16:09,235 なぜ あっさり諦めてしまわれたのです。 219 00:16:09,235 --> 00:16:12,371 お前には 分からん!➡ 220 00:16:12,371 --> 00:16:16,742 どこの大名家も 人ばかり多くて 金はない。➡ 221 00:16:16,742 --> 00:16:20,246 俺は これまで どれほど あざけられたことか…。 222 00:16:24,250 --> 00:16:27,153 (多喜)だからといって➡ 223 00:16:27,153 --> 00:16:31,157 私たちを見捨ててよい という道理がありますか! 224 00:16:32,925 --> 00:16:35,595 (ふすまが開く音) 母上! 225 00:16:35,595 --> 00:16:39,899 もう やめてください! 母上も 父上も! 226 00:16:44,103 --> 00:16:48,975 支度金は三十両! あなたが 都合してくださらないのなら➡ 227 00:16:48,975 --> 00:16:52,278 私は 命と引き換えてでも 金子を つくります! 228 00:16:57,617 --> 00:17:00,219 (戸が閉まる音) 父上! 229 00:17:00,219 --> 00:17:02,221 父上! 230 00:17:06,559 --> 00:17:10,863 (喚声) 231 00:17:15,735 --> 00:17:18,771 てや~! てや~! 232 00:17:18,771 --> 00:17:24,076 人を増やして参るとは この腕前 よほど買われたか! 233 00:17:24,076 --> 00:17:26,112 ほざくな! 234 00:17:26,112 --> 00:17:28,114 てや~! 235 00:17:29,949 --> 00:17:34,754 てめえが憎くて憎くて なぶり殺しにしてくれと頼まれたのよ。 236 00:17:36,589 --> 00:17:38,891 や~っ! おっ…! 237 00:17:42,461 --> 00:17:44,463 かたじけない。 238 00:17:46,933 --> 00:17:48,935 (浪人たち)てや~! 239 00:17:58,544 --> 00:18:01,347 (浪人)てや~! おっ! 240 00:18:01,347 --> 00:18:04,250 (浪人)や~! (浪人)うっ…。 241 00:18:04,250 --> 00:18:06,252 (浪人)ひけ! 242 00:18:12,725 --> 00:18:16,228 助かった。 礼を申す。 243 00:18:16,228 --> 00:18:22,234 身内の役に立てなんだ この刀 見知らぬ御仁の役に立ったか…。 244 00:18:24,937 --> 00:18:26,939 待たれよ! 245 00:18:34,080 --> 00:18:36,916 あの野郎 確か…。 246 00:18:36,916 --> 00:18:39,585 (小判が落ちる音) (小癋見)また しくじったか! 247 00:18:39,585 --> 00:18:43,255 (伊三郎)あっしも 手ぶらで帰ったわけじゃござんせん。➡ 248 00:18:43,255 --> 00:18:48,394 あの小憎らしい奉行と渡り合える 腕っこきを見つけてめえりやした。 249 00:18:48,394 --> 00:18:50,329 (小癋見)ほう。 250 00:18:50,329 --> 00:18:53,232 「灯台下暗し」とは よく言ったもんで➡ 251 00:18:53,232 --> 00:18:56,936 あの浜田屋に出入りしてる浪人者でさ。 252 00:18:56,936 --> 00:19:03,242 しかも そればっかりじゃねえから おあつらえ向きで。 ハッ。 253 00:19:10,483 --> 00:19:14,353 これは お奉行 じきじきに…。 254 00:19:14,353 --> 00:19:18,724 こたびの騙りの手口 大癋見の儀助一味と➡ 255 00:19:18,724 --> 00:19:21,060 あまりに似通ってるのが 気にかかってな。 256 00:19:21,060 --> 00:19:24,096 (堅太郎)小癋見の紋蔵? 257 00:19:24,096 --> 00:19:28,234 (源次郎)大癋見一味に 名を連ねていた 儀助の弟だ。 258 00:19:28,234 --> 00:19:31,070 思い出した! 259 00:19:31,070 --> 00:19:35,241 確か ぼちぼち 江戸を売って ほとぼりを冷まそうってんで➡ 260 00:19:35,241 --> 00:19:39,111 一足先に 上方へ 下見に潜り込んでたんじゃ? 261 00:19:39,111 --> 00:19:41,914 それで 捕縛を免れたか…。 262 00:19:41,914 --> 00:19:47,386 子分の口から その名が出ても 大癋見は 弟と認めず➡ 263 00:19:47,386 --> 00:19:50,089 何一つ 話そうとしなかった。 264 00:19:50,089 --> 00:19:53,125 うまいこと 逃がすつもりだったんだろう。 265 00:19:53,125 --> 00:19:58,631 すると こたびの騙りは その小癋見が新たな頭として…。 266 00:20:00,800 --> 00:20:05,271 執ように 私の命を狙うのは 兄を獄門にかけられた➡ 267 00:20:05,271 --> 00:20:07,206 恨みがあってのことだろう。 268 00:20:07,206 --> 00:20:11,610 てめえが憎くて憎くて なぶり殺しにしてくれと頼まれたのよ。 269 00:20:11,610 --> 00:20:16,115 はなから それが目当てで 江戸へ戻ってきたのやもしれぬ。 270 00:20:16,115 --> 00:20:19,785 何としても こやつから お奉行を お守りせねば! 271 00:20:19,785 --> 00:20:21,787 (一同)はい。 272 00:20:25,658 --> 00:20:32,798 (小癋見)兄よ 小塚原に 獄門首を さらされた その恨み➡ 273 00:20:32,798 --> 00:20:37,636 今度こそ 必ず晴らしてみせる! 274 00:20:37,636 --> 00:20:39,638 求次郎? 275 00:20:42,141 --> 00:20:45,978 どこ行ったのかしら? 求次郎は。 276 00:20:45,978 --> 00:20:49,482 求次郎? 求次郎! 277 00:20:51,851 --> 00:20:55,321 求次郎! 278 00:20:55,321 --> 00:20:57,323 求次郎…。 279 00:21:00,593 --> 00:21:02,528 (戸が開く音) 280 00:21:02,528 --> 00:21:04,463 あっ! 281 00:21:04,463 --> 00:21:06,465 求次郎! 282 00:21:08,267 --> 00:21:11,270 あんなに ひどい言い争いは 初めて見た。 283 00:21:11,270 --> 00:21:14,073 それも また 私のために…。 284 00:21:17,776 --> 00:21:20,679 母上は 私を学問所へ やりたがってるんだ。 285 00:21:20,679 --> 00:21:24,416 はあ… 学問所か。 286 00:21:24,416 --> 00:21:26,785 俺は まっぴらだな。 287 00:21:26,785 --> 00:21:29,822 母上に教わるだけでも へとへとなのに。 288 00:21:29,822 --> 00:21:34,126 どっちにしたって 並大抵の金子じゃ 通えやしない。 289 00:21:34,126 --> 00:21:36,162 何しろ 公方様のお墨付き。 290 00:21:36,162 --> 00:21:39,632 町奉行の大岡様の ご子息も 通ってるっていうんだから。 291 00:21:39,632 --> 00:21:41,967 ええっ!? 292 00:21:41,967 --> 00:21:45,804 (お花)おとなしく読み書きなさってると いいんですけど 求次郎様。 293 00:21:45,804 --> 00:21:49,141 きっと また お義母様がいらして 甘い顔を…。 294 00:21:49,141 --> 00:21:51,443 ⚟奥様…。 295 00:21:51,443 --> 00:21:53,813 お花 ちょっと待って。 296 00:21:53,813 --> 00:21:59,018 お待ちしておりやすぜ。 (笑い声) 297 00:22:11,096 --> 00:22:13,098 (雪絵)あの…。 298 00:22:14,934 --> 00:22:22,241 ぶしつけでございますが 何か お困りのことでも おありなのでは? 299 00:22:28,781 --> 00:22:32,418 ここは 高利貸しですよね。 300 00:22:32,418 --> 00:22:37,256 今の方 おあしを 借りる おつもりだったんでしょうか。 301 00:22:37,256 --> 00:22:41,126 う~ん…。 302 00:22:41,126 --> 00:22:43,929 やっぱり おかしいよ その話。 303 00:22:49,835 --> 00:22:54,974 何たって お奉行の子が通ってるっていうのが…。 304 00:22:54,974 --> 00:22:57,309 (伊三郎) ちょっと よろしいでしょうか。➡ 305 00:22:57,309 --> 00:23:00,246 どこぞの学問所へは お通いですか? 306 00:23:00,246 --> 00:23:03,048 あっ あの人だ。 307 00:23:08,254 --> 00:23:11,257 もしかすると また 学問所の話を…。 308 00:23:14,059 --> 00:23:17,963 市之助 お主は 顔を見られているんだろう。 309 00:23:17,963 --> 00:23:20,599 あそこで 待っててくれ。 310 00:23:20,599 --> 00:23:22,601 大丈夫? 一人で。 311 00:23:26,472 --> 00:23:29,942 悪いやつは 許しちゃおけないよ。 312 00:23:29,942 --> 00:24:08,781 ♬~ 313 00:24:08,781 --> 00:24:12,384 坊ちゃん。 314 00:24:12,384 --> 00:24:16,088 どこの お子だね? 315 00:24:16,088 --> 00:24:20,392 おじさんに 用があるんじゃないのかい? 316 00:24:20,392 --> 00:24:22,895 いい子だから 言ってごらんよ。 317 00:24:25,764 --> 00:24:27,700 どこの子だい!? 318 00:24:27,700 --> 00:24:30,102 うわ~! 319 00:24:30,102 --> 00:24:33,605 どうしたの? とにかく… とにかく逃げろ! 320 00:24:33,605 --> 00:24:41,480 ♬~ 321 00:24:41,480 --> 00:24:44,183 あれ 求次郎じゃないか? 322 00:24:46,952 --> 00:24:52,758 ハア ハア ハア… 何か分かったの? 323 00:24:52,758 --> 00:24:58,430 ハア ハア ハア… 分かんない。 324 00:24:58,430 --> 00:25:02,935 (木づちで打つ音) 325 00:25:06,171 --> 00:25:08,173 (棟梁)あいよ。 326 00:25:17,383 --> 00:25:20,753 誰だ? 327 00:25:20,753 --> 00:25:24,056 旦那に お頼みしたいことがございまして…。 328 00:25:27,259 --> 00:25:30,963 訳あって 腕の立つ お方を探しておりました。 329 00:25:32,598 --> 00:25:36,268 敵をとっていただきたいんで。 敵? 330 00:25:36,268 --> 00:25:39,605 血も涙もない 人でなしの侍です! 331 00:25:39,605 --> 00:25:45,911 あっしは そいつに たった一人の兄を 殺されました。 332 00:25:52,785 --> 00:25:55,421 (紋蔵)三十両ございます。 333 00:25:55,421 --> 00:25:57,423 三十両!? 334 00:26:05,063 --> 00:26:09,234 ⚟(市之助)母上! 私は無理をして 学問所へなど行きたくはありません。 335 00:26:09,234 --> 00:26:13,238 それに もし あの話が でたらめだったら…。 336 00:26:13,238 --> 00:26:19,244 市之助… 母は もう 後戻りできないのです。 337 00:26:22,381 --> 00:26:27,753 とうとう あそこまで 父上を責めたのですから。➡ 338 00:26:27,753 --> 00:26:30,656 分かっているのです。 339 00:26:30,656 --> 00:26:36,094 私が 父上を追い詰めたということは…。 340 00:26:36,094 --> 00:26:39,965 それでも 負けぬと言ってほしかった。 341 00:26:39,965 --> 00:26:45,404 そなたのために 侍として生きる道を➡ 342 00:26:45,404 --> 00:26:48,941 探し続けてほしかった。 343 00:26:48,941 --> 00:26:50,876 (市之助)母上…。 344 00:26:50,876 --> 00:27:05,424 ♬~ 345 00:27:05,424 --> 00:27:09,728 多喜 お前は間違ってなどおらぬ。 346 00:27:16,902 --> 00:27:18,837 (勘太)お花ちゃん! 347 00:27:18,837 --> 00:27:21,740 あら 勘太さん! 悪いけど 私➡ 348 00:27:21,740 --> 00:27:23,775 忙しくて おしゃべりしてる暇 ないのよ。 349 00:27:23,775 --> 00:27:27,546 いや 今日は お花ちゃんと おしゃべりしに来たわけじゃあ…。 350 00:27:27,546 --> 00:27:29,481 違うの? 351 00:27:29,481 --> 00:27:33,085 いや お花ちゃんにも会いたいけどさあ。 352 00:27:33,085 --> 00:27:35,387 「にも」? あっ! 353 00:27:35,387 --> 00:27:38,757 さっき 養生所に寄ったら 伊織先生に➡ 354 00:27:38,757 --> 00:27:43,629 お奉行の若様に変わった様子はないかって 聞かれたもんだからさあ。 355 00:27:43,629 --> 00:27:47,099 (雪絵)おかしいと思ったのです。 356 00:27:47,099 --> 00:27:52,404 ゆうべから 食が進まないというし 朝は なかなか起きてこないし。 357 00:27:59,411 --> 00:28:02,214 湯島で 何があったのです? 358 00:28:02,214 --> 00:28:05,417 何か 怖い目にでも遭ったのですか? 359 00:28:08,020 --> 00:28:10,022 騙り!? 360 00:28:12,224 --> 00:28:19,932 それが まことの話なら… いくら何でも あんまりです。 361 00:28:22,234 --> 00:28:29,241 ご覧のとおり 爪に灯をともすような 暮らしでございます。 362 00:28:31,910 --> 00:28:36,748 いよいよの時は 我が子のため➡ 363 00:28:36,748 --> 00:28:40,452 この身を売ってでもと…。 364 00:28:42,087 --> 00:28:49,761 先日 あの場で お見かけしたのも 子供たちが つないだ縁かと。➡ 365 00:28:49,761 --> 00:28:52,397 間に合ってようございました。 366 00:28:52,397 --> 00:29:02,407 (多喜の泣き声) 367 00:29:04,876 --> 00:29:07,079 何だ? これ。 368 00:29:11,350 --> 00:29:13,652 市之助! 369 00:29:16,054 --> 00:29:19,758 えっ… 母上! 母上! 370 00:29:23,228 --> 00:29:25,897 ハッ…。 小判です。 371 00:29:25,897 --> 00:29:30,369 ここに 押し込んであったんです。 372 00:29:30,369 --> 00:29:33,071 どうして このような金子が。➡ 373 00:29:33,071 --> 00:29:36,742 この手拭いは 夫の…。 374 00:29:36,742 --> 00:29:39,044 確かに 父上のです。 375 00:29:43,248 --> 00:29:45,584 どういうことですか? 求次郎➡ 376 00:29:45,584 --> 00:29:48,286 すぐに番屋へ走りなさい! はい。 377 00:30:01,933 --> 00:30:05,404 馳走になった。 もう お帰りですか。 378 00:30:05,404 --> 00:30:08,607 皆様 これから おいでになる頃合いですのに。 379 00:30:08,607 --> 00:30:11,643 これ お秀。 私がいては 気詰まりだろう。 380 00:30:11,643 --> 00:30:14,780 ありがとう存じやした。 ありがとう存じました。 381 00:30:14,780 --> 00:30:17,416 どうぞ お気を付けなすって。 382 00:30:17,416 --> 00:30:25,791 ♬~ 383 00:30:25,791 --> 00:30:29,294 おお 誰かと思ったら 貴公は…。 384 00:30:29,294 --> 00:30:33,131 いや その節は まことに世話になった。 385 00:30:33,131 --> 00:30:36,635 どうやら お主を見誤った。 386 00:30:36,635 --> 00:30:39,671 助太刀などするでなかった。 387 00:30:39,671 --> 00:30:45,310 誰かが それがしを 悪党だと申したか? 388 00:30:45,310 --> 00:30:47,245 見当はつく。 389 00:30:47,245 --> 00:30:52,984 おおかた その者は 私に兄を殺された とでも言ったのだろう。 390 00:30:52,984 --> 00:30:55,454 身に覚えがあるのだな。 391 00:30:55,454 --> 00:30:59,991 ならば 遠慮はいたさぬ。 抜け。 392 00:30:59,991 --> 00:31:05,597 この命 いくらで請け負った? 三十両か? 393 00:31:05,597 --> 00:31:07,933 何!? 394 00:31:07,933 --> 00:31:13,739 三十両あれば 妻女の願いがかない 子に学問の道が開ける。 395 00:31:13,739 --> 00:31:19,111 そのため 貴公は その身を捨てる覚悟をしたと推察いたす。 396 00:31:19,111 --> 00:31:22,013 そこもとは一体…。 397 00:31:22,013 --> 00:31:29,621 しかし 貴公が受け取った金子は いずれ ご妻女から 頼み主の手に戻る。 398 00:31:29,621 --> 00:31:33,925 まこと うまくできておるな。 小癋見の紋蔵よ! 399 00:31:36,128 --> 00:31:39,631 どういうことだ? 妻から金が戻るとは。 400 00:31:39,631 --> 00:31:44,302 旦那! 口八丁に だまされちゃいけません。 401 00:31:44,302 --> 00:31:48,974 一思いに斬り捨ててください。 402 00:31:48,974 --> 00:31:51,009 お早く…。 403 00:31:51,009 --> 00:31:57,649 兄の敵を どうか… どうか! 404 00:31:57,649 --> 00:32:01,853 私たちを見捨ててよい という道理がありますか! 405 00:32:14,099 --> 00:32:16,034 (子吉)おとなしくしろい! 406 00:32:16,034 --> 00:32:17,969 おりゃ~! (呼び子) 407 00:32:17,969 --> 00:32:20,605 おりゃ! あ~ あ~! 408 00:32:20,605 --> 00:32:22,541 (子吉)おとなしくしろ! 409 00:32:22,541 --> 00:32:26,278 (呼び子) 410 00:32:26,278 --> 00:32:29,114 小癋見の紋蔵だな。 覚悟しやがれ! 411 00:32:29,114 --> 00:32:32,017 (喬之助)お奉行! (大介)お奉行! 412 00:32:32,017 --> 00:32:34,019 奉行…。 413 00:32:42,627 --> 00:32:44,563 (太鼓の音) 414 00:32:44,563 --> 00:32:51,803 南町奉行 大岡越前守様 ご出座~! (太鼓の音) 415 00:32:51,803 --> 00:32:55,507 一同の者 面を上げよ。 416 00:33:03,915 --> 00:33:06,751 古手商いは仮の姿。 417 00:33:06,751 --> 00:33:12,557 騙り屋一味の頭目 小癋見の紋蔵とは その方であるな。 418 00:33:12,557 --> 00:33:14,626 フン。 419 00:33:14,626 --> 00:33:21,266 口入れ屋 浜田屋嘉兵衛 その方 人を手配する生業をよいことに➡ 420 00:33:21,266 --> 00:33:26,104 騙り屋の手先を集めた旨に 相違はないか? 421 00:33:26,104 --> 00:33:31,977 職にあぶれた者が多い中 世のため 人のためと 思えばこそ。 422 00:33:31,977 --> 00:33:37,716 ならば その方が受け取った 多額の見返りを どう釈明いたす? 423 00:33:37,716 --> 00:33:40,619 きれい事は 通らぬ! 424 00:33:40,619 --> 00:33:43,922 ははっ… 恐れ入りました。 425 00:33:45,490 --> 00:33:48,126 紋蔵配下 伊三郎。 426 00:33:48,126 --> 00:33:50,629 へっ へえ…。 427 00:33:50,629 --> 00:33:54,299 騙りは 人の弱みにつけ込む所業。 428 00:33:54,299 --> 00:33:59,804 恐れ多くも 上様が掲げられた 学問ご奨励の政策を➡ 429 00:33:59,804 --> 00:34:04,242 騙りに悪用せしは 不届き至極。 430 00:34:04,242 --> 00:34:06,578 恐れ入りました。 431 00:34:06,578 --> 00:34:10,248 ちっ…。 432 00:34:10,248 --> 00:34:16,388 また 2年前 大癋見の儀助が 獄門になったことを恨み➡ 433 00:34:16,388 --> 00:34:21,593 奉行に 刺客を差し向けたことも そこな浪人たちによって➡ 434 00:34:21,593 --> 00:34:23,795 裏付けられた。 435 00:34:26,264 --> 00:34:31,403 紋蔵 申し開きがあるか? 436 00:34:31,403 --> 00:34:35,607 誓ったんですよ 死んだ兄貴に! 437 00:34:35,607 --> 00:34:40,478 騙りで もういっぺん 江戸中を騒がせて➡ 438 00:34:40,478 --> 00:34:45,951 憎き奉行に思い知らせてやろうと! 439 00:34:45,951 --> 00:34:51,823 まこと 儀助は それを望んでいただろうか。 440 00:34:51,823 --> 00:35:00,365 儀助は あらゆる罪を認めながら 弟については ついぞ 口を割らなかった。 441 00:35:00,365 --> 00:35:03,735 果たして それは➡ 442 00:35:03,735 --> 00:35:10,041 大癋見の騙りを 小癋見に 引き継がせるためだったかどうか…。 443 00:35:11,610 --> 00:35:14,112 ほかに 何が…。 444 00:35:19,918 --> 00:35:24,089 兄ならば 二度と江戸へは戻らず➡ 445 00:35:24,089 --> 00:35:29,894 上方で 穏やかに生きろという気持ちが なかったとも言い切れまい。 446 00:35:29,894 --> 00:35:50,115 ♬~ 447 00:35:50,115 --> 00:35:54,986 追って それぞれに 厳しき沙汰が下ろう。 448 00:35:54,986 --> 00:35:57,622 引き立てい! (一同)はっ! 449 00:35:57,622 --> 00:36:00,525 立て! 450 00:36:00,525 --> 00:36:09,901 ♬~ 451 00:36:09,901 --> 00:36:15,240 さて 浪人 箕島新左衛門。 452 00:36:15,240 --> 00:36:21,046 その方にも 即刻 裁きを申し渡すべきところだが…。 453 00:36:22,747 --> 00:36:24,749 (扉が開く音) 454 00:36:28,253 --> 00:36:30,555 多喜! 市之助! 455 00:36:37,262 --> 00:36:41,933 願いを お聞き届けいただき ありがとうございます。 456 00:36:41,933 --> 00:36:46,604 新左衛門の妻 多喜であるな。 457 00:36:46,604 --> 00:36:48,940 申し条とやらを聞こう。 458 00:36:48,940 --> 00:36:51,609 はい。 459 00:36:51,609 --> 00:36:54,512 我が夫 新左衛門は もとより➡ 460 00:36:54,512 --> 00:36:58,383 大それたまねのできる人では ございません。 461 00:36:58,383 --> 00:37:01,720 何もかも 妻である私が見えを張り➡ 462 00:37:01,720 --> 00:37:06,224 日頃より きつく責め立てたゆえでございます。 463 00:37:06,224 --> 00:37:12,363 どうか おとがめは夫でなく この私に お与えください。 464 00:37:12,363 --> 00:37:15,900 何とぞ お願い申し上げます。 465 00:37:15,900 --> 00:37:18,369 多喜 差し出口をいたすな! 466 00:37:18,369 --> 00:37:21,072 あなたは黙っていてください。 467 00:37:21,072 --> 00:37:23,374 どうか お奉行様! 468 00:37:23,374 --> 00:37:26,578 私が勝手にしたことだというに! 469 00:37:26,578 --> 00:37:29,080 もう争うのは やめてください! 470 00:37:30,749 --> 00:37:36,554 父上も母上も どうして 素直に悪かったと言わないのです? 471 00:37:36,554 --> 00:37:40,091 ありがとうと言わないのです? 472 00:37:40,091 --> 00:37:46,765 あの楽しかった日々は どうして失われてしまったのでしょう。➡ 473 00:37:46,765 --> 00:37:53,938 父上と母上のため 私は どうすればよかったのでしょう。 474 00:37:53,938 --> 00:37:58,610 貧しくたって構いません。 475 00:37:58,610 --> 00:38:03,114 一生 浪人の子で構いません。 476 00:38:05,717 --> 00:38:12,724 だから… どうか あのころの お二人に戻ってください。 477 00:38:17,428 --> 00:38:19,931 市之助…。 478 00:38:22,233 --> 00:38:27,105 日々の暮らしの厳しさは 互いの心に 影をさし➡ 479 00:38:27,105 --> 00:38:30,575 思いやりを失わせる。 480 00:38:30,575 --> 00:38:34,913 江戸の人々の安寧を守るは 奉行の勤め。 481 00:38:34,913 --> 00:38:38,383 この奉行にも 負うべき責めがあろう。 482 00:38:38,383 --> 00:38:42,587 いいえ お奉行様は 何も悪くありません。 483 00:38:42,587 --> 00:38:46,257 そう言ってくれるか。 484 00:38:46,257 --> 00:38:53,598 ならば そなたの優しき心に免じ 奉行は 父上の罪を減じよう。 485 00:38:53,598 --> 00:38:56,301 まことでございますか? 486 00:38:59,270 --> 00:39:04,542 箕島新左衛門は お構いなし。 487 00:39:04,542 --> 00:39:09,047 すなわち 無罪放免といたす。 488 00:39:09,047 --> 00:39:12,550 しかし それがしは この手で 大岡様に 刃を…。 489 00:39:12,550 --> 00:39:15,253 刃を 向けてはおらぬ。 490 00:39:22,060 --> 00:39:27,932 しかも その方は 偽りを吹き込まれた。 491 00:39:27,932 --> 00:39:31,736 あまつさえ 誰とも知れぬ その侍は➡ 492 00:39:31,736 --> 00:39:35,573 一度は その方に救われているではないか。 493 00:39:35,573 --> 00:39:37,575 お奉行…。 494 00:39:40,745 --> 00:39:43,748 ありがとうございます。 495 00:39:46,918 --> 00:39:49,587 あなた…。 496 00:39:49,587 --> 00:39:55,260 多喜… ふがいない私を許してくれるか。 497 00:39:55,260 --> 00:39:59,564 私の方こそ お許しを…。 498 00:40:02,767 --> 00:40:05,570 父上! 母上! 499 00:40:12,277 --> 00:40:14,279 市之助。 500 00:40:16,614 --> 00:40:21,119 今は苦しくとも その思いやりを胸に励めば➡ 501 00:40:21,119 --> 00:40:23,154 きっと 道は開ける。 502 00:40:23,154 --> 00:40:30,161 奉行も 町のため 心 尽くすゆえ そなたも… な。 503 00:40:33,298 --> 00:40:35,300 はい! 504 00:40:37,168 --> 00:40:39,971 本日の白洲 これまで。 505 00:40:42,006 --> 00:40:46,010 まあ こんなに たくさん…。 506 00:40:46,010 --> 00:40:49,147 また 求次郎に書物を? フフッ。 507 00:40:49,147 --> 00:40:53,451 お義母様 これは 私のために求めたのです。 508 00:40:53,451 --> 00:40:57,155 雪絵さんの? ええ。 509 00:40:57,155 --> 00:41:00,124 私が学んでいる姿を見せれば➡ 510 00:41:00,124 --> 00:41:03,928 あの子も 少しは やる気になってくれるのではないかと…。 511 00:41:03,928 --> 00:41:07,598 ウフッ 苦労するわね あなたも。 512 00:41:07,598 --> 00:41:10,301 ウフフフ…。 フフフ…。 513 00:41:12,270 --> 00:41:14,205 (求次郎)行っちゃうんだね。 514 00:41:14,205 --> 00:41:19,143 上州に小さな家を借りて 父上が 寺子屋をやることになったんだ。 515 00:41:19,143 --> 00:41:21,846 私も そこで 一緒に学ぶことにする。 516 00:41:37,962 --> 00:41:40,999 またね。 517 00:41:40,999 --> 00:41:43,301 またね。 518 00:41:43,301 --> 00:42:06,257 ♬~ 519 00:42:06,257 --> 00:42:11,763 父上… 友達って よいものですね。 520 00:42:11,763 --> 00:42:16,067 うん。 いいものだ。 521 00:42:18,636 --> 00:42:25,109 <愛すればこそ 思いが あふれ過ぎてしまうこともある。➡ 522 00:42:25,109 --> 00:42:29,947 人の心の機微を知り 成長する我が子を➡ 523 00:42:29,947 --> 00:42:33,651 たくましく思う 忠相であった> 524 00:42:35,286 --> 00:42:37,221 上様が!? 行き方知れずとなられた。 525 00:42:37,221 --> 00:42:39,157 必ず お捜しいたします。 526 00:42:39,157 --> 00:42:41,159 はつ江…。 どうか なさいましたか? 527 00:42:41,159 --> 00:42:44,796 はつ江に似ていた。 わしが殺したも同然なのじゃ。 528 00:42:44,796 --> 00:42:46,731 あのお方に にらまれたら…。 帰れ! 529 00:42:46,731 --> 00:42:48,666 そんなお方の嫁になるのは 嫌です。 530 00:42:48,666 --> 00:42:51,302 その小僧には お鷹場の鴨を殺した嫌疑が かかっておる! 531 00:42:51,302 --> 00:42:55,006 おまさのためにも 何かしたいのじゃ。 裏に たくらみがあると見た。