1 00:00:02,202 --> 00:00:05,405 (雪絵)これから暑くなりますわね~。 2 00:00:05,405 --> 00:00:08,275 (源次郎)「腐草 蛍となる」ですか。 3 00:00:08,275 --> 00:00:14,781 (妙)朽ちた草が蛍に生まれ変わるという 昔からの言い伝えですね。 4 00:00:14,781 --> 00:00:17,618 (雪絵)村上さんも風流ですこと。 5 00:00:17,618 --> 00:00:19,653 あ… 恐れ入ります。 6 00:00:19,653 --> 00:00:23,123 旅をするにも よい頃合いです。 7 00:00:23,123 --> 00:00:25,792 お伊勢参りに 大山参り。 8 00:00:25,792 --> 00:00:30,297 「伊勢参り 大神宮には ちょっと寄り」。 9 00:00:30,297 --> 00:00:33,967 私は四国巡礼がいいですなあ。 10 00:00:33,967 --> 00:00:37,304 (雪絵)フッ 今 何と申されました? 11 00:00:37,304 --> 00:00:39,806 いや おかしいですか? 12 00:00:39,806 --> 00:00:44,645 世の悪人を 旦那様の下で捕まえるのが 村上さんのなりわい。 13 00:00:44,645 --> 00:00:47,447 それが 巡礼とかおっしゃって…。 14 00:00:47,447 --> 00:00:50,350 (妙)冗談ばかり もう。 (雪絵)アハハハハ。 15 00:00:50,350 --> 00:00:55,656 いや… そうそう 冗談です。 いや 冗談 冗談。 16 00:00:55,656 --> 00:01:00,160 (3人の笑い声) 17 00:01:00,160 --> 00:01:02,095 <その夜➡ 18 00:01:02,095 --> 00:01:09,603 寝静まる江戸の町に 一陣のつむじ風が ひそかに吹き荒れていた> 19 00:01:09,603 --> 00:01:22,616 ♬~ 20 00:01:24,151 --> 00:01:26,787 おい 辰 小腹すいたなあ。 21 00:01:26,787 --> 00:01:29,623 ああ だったら この先に夜鳴きそばが…。 22 00:01:29,623 --> 00:01:32,292 あれ? (筧)ん? 23 00:01:32,292 --> 00:01:36,129 今夜のことは なかったことだ。 分かってるね? 24 00:01:36,129 --> 00:01:38,432 (番頭)はい 承知いたしております。 25 00:01:38,432 --> 00:01:40,801 (筧)三島屋。 26 00:01:40,801 --> 00:01:45,305 これは お役人様。 お見回り ご苦労さまでございます。 27 00:01:45,305 --> 00:01:48,976 何かあったかい? くぐり戸が開いてるじゃねえか。 28 00:01:48,976 --> 00:01:53,146 申し訳ございません。 おかみさんが熱を出されまして➡ 29 00:01:53,146 --> 00:01:57,017 今 小僧に 先生を 迎えに行かせたところでございまして。 30 00:01:57,017 --> 00:02:01,388 だが 不用心だ。 夜盗に狙われねえとも限らねえ。 31 00:02:01,388 --> 00:02:05,258 (三島屋)申し訳ございません。 ご造作おかけいたしました。 32 00:02:05,258 --> 00:02:08,962 ご足労おかけいたしました。 さっ どうぞ。 33 00:02:10,764 --> 00:02:12,699 ⚟(物音) 34 00:02:12,699 --> 00:02:16,203 辰。 へい!親分 お待ちください! 35 00:02:18,638 --> 00:02:22,943 旦那! (筧)三島屋 一体これは どういうことだ! 36 00:02:22,943 --> 00:02:25,245 そ… それが その~。 37 00:02:27,414 --> 00:02:30,117 それは勘弁を…。 のけ! 38 00:02:31,785 --> 00:02:34,621 (忠相)「不義不正の悪人 三島屋㐂平➡ 39 00:02:34,621 --> 00:02:39,493 作事下奉行 八橋十郎 真田新左衛門と結託➡ 40 00:02:39,493 --> 00:02:44,131 材木横流しで 大金を横領した罪 明白につき➡ 41 00:02:44,131 --> 00:02:49,436 金一千両の罰金申しつくるものなり。➡ 42 00:02:49,436 --> 00:02:52,339 夜の奉行」? 43 00:02:52,339 --> 00:02:54,307 三島屋を締め上げましたところ➡ 44 00:02:54,307 --> 00:02:57,310 そこに書かれてあることは まことであると➡ 45 00:02:57,310 --> 00:03:00,080 ようやく認めましたので こうして。 46 00:03:00,080 --> 00:03:04,384 夜の奉行か… フッ。 47 00:03:09,256 --> 00:04:22,562 ♬~ 48 00:04:28,401 --> 00:04:33,240 はあ~ 「夜の奉行」とは まったく 人を食ったぬすっとですな。 49 00:04:33,240 --> 00:04:35,609 フフッ まことにな。 50 00:04:35,609 --> 00:04:39,279 そんな悠長な…。 材木横流しの発覚を恐れて➡ 51 00:04:39,279 --> 00:04:41,615 差し出した千両を悠々と持ち去った上に➡ 52 00:04:41,615 --> 00:04:44,951 奉行の名をかたるとは 言語道断! 不届き千万! 53 00:04:44,951 --> 00:04:47,854 しかし 筧さんと辰三が通りかからなかったら➡ 54 00:04:47,854 --> 00:04:50,290 三島屋は 口をつぐんだままで➡ 55 00:04:50,290 --> 00:04:53,793 この一件 闇に葬られたかもしれません。 56 00:04:53,793 --> 00:04:56,830 役人の名が ご丁寧に 書かれてあったから➡ 57 00:04:56,830 --> 00:05:00,367 しらばっくれるわけにも いかなくなったんだろう 三島屋も。 58 00:05:00,367 --> 00:05:03,570 三島屋にとっちゃ 材木の横流しが ばれるより➡ 59 00:05:03,570 --> 00:05:06,239 千両持ってかれた方が得だと 踏んだんでしょうがね。 60 00:05:06,239 --> 00:05:10,744 (筧)お店にとって何より怖いのは 世間の噂だからなあ。 61 00:05:10,744 --> 00:05:16,917 だが 不思議なのは ぬすっとのくせに どこで横流しのことを知ったかだ。 62 00:05:16,917 --> 00:05:20,787 そこだよ。 夜の奉行と気取るのは結構だが➡ 63 00:05:20,787 --> 00:05:24,391 もしや ほかにも ゆすりの種を持っていたとしたら…。 64 00:05:24,391 --> 00:05:27,294 (筧)では またぞろ…? 65 00:05:27,294 --> 00:05:29,930 源さん どうした? 66 00:05:29,930 --> 00:05:36,403 はあ それが 昨日 妙な訴えがあったものですから。 67 00:05:36,403 --> 00:05:39,940 (太助)妹を返してくれ。 <その 妙な訴えとは➡ 68 00:05:39,940 --> 00:05:46,813 日本橋駿河町の両替商 山田屋で 奉公していた おみよという娘が➡ 69 00:05:46,813 --> 00:05:50,951 急な はやり病で亡くなったからと 死に目にもあえず➡ 70 00:05:50,951 --> 00:05:53,620 骨だけ返されたのは理不尽だと➡ 71 00:05:53,620 --> 00:05:58,491 兄である 左官屋 太助が 訴え出たものであった> 72 00:05:58,491 --> 00:06:02,329 (筧)それが本当なら いくら はやり病だからといっても➡ 73 00:06:02,329 --> 00:06:04,898 太助じゃなくても 合点がいくものじゃねえ。 74 00:06:04,898 --> 00:06:08,368 そりゃそうですが 山田屋となると 大店です。 75 00:06:08,368 --> 00:06:12,072 それだよ。 三島屋の一件もある。 76 00:06:12,072 --> 00:06:16,743 もしかすると 裏に よほどのことがあるんじゃないかと…。 77 00:06:16,743 --> 00:06:19,579 いや これは ただの勘ですが…。 78 00:06:19,579 --> 00:06:23,250 源さんの その勘に賭けてみよう。 (源次郎)あ… はっ。 79 00:06:23,250 --> 00:06:28,555 皆 その一件 探ってみてくれ。 (一同)はい。 80 00:06:32,959 --> 00:06:36,596 (勘太)あ 旦那 こちらです。 うん。 81 00:06:36,596 --> 00:06:40,400 (太助)あっしだってね 長年 妹が世話になってきたお店だ➡ 82 00:06:40,400 --> 00:06:43,770 訴えたくなんかねえ。 けど➡ 83 00:06:43,770 --> 00:06:46,273 いきなりやって来て 香典と骨 渡されて➡ 84 00:06:46,273 --> 00:06:49,276 「死んだんだ 諦めろ」って そんな…。 85 00:06:49,276 --> 00:06:53,413 そんなバカな話がありますか! クソッ。 86 00:06:53,413 --> 00:06:55,916 旦那 こいつは…。 87 00:07:02,055 --> 00:07:05,925 (勝三)そうはおっしゃられましても こちらも はやり病だと聞いて➡ 88 00:07:05,925 --> 00:07:11,064 慌ててしまって。 それに 今更 妹を返せと言われましても どうすれば…。 89 00:07:11,064 --> 00:07:15,568 そりゃあそうだが もっと やりようがあったんじゃねえのか? 90 00:07:23,243 --> 00:07:28,081 (山田屋)お役人様 ご苦労さまでございます。 91 00:07:28,081 --> 00:07:30,917 今日のところは これで。 92 00:07:30,917 --> 00:07:33,386 口止めのつもりか? 山田屋。 93 00:07:33,386 --> 00:07:38,224 あ… めっそうもない。 手間賃でございます。 94 00:07:38,224 --> 00:07:41,928 あいにく 銭には困ってないんでな。 95 00:07:41,928 --> 00:07:43,964 (犬の声) 96 00:07:43,964 --> 00:07:48,268 あっ おい 勝三。 ほら。 (勝三)はい。 ほら。 97 00:07:48,268 --> 00:07:50,203 (犬の ほえ声) 98 00:07:50,203 --> 00:07:52,939 早く追い出しなさい! はい! 99 00:07:52,939 --> 00:07:54,874 こういうのはな やりようがあんだよ。 100 00:07:54,874 --> 00:07:57,277 子吉。 へい。 101 00:07:57,277 --> 00:07:59,212 う~ん はい! 102 00:07:59,212 --> 00:08:02,215 おいで ほい。 ほいほいほい。 103 00:08:09,856 --> 00:08:11,925 山田屋。 (山田屋)へえ。 104 00:08:11,925 --> 00:08:15,729 夜の奉行って名を 聞いたことあるかい? 105 00:08:17,597 --> 00:08:20,600 フフッ 邪魔したな。 106 00:08:22,902 --> 00:08:24,938 おい。 107 00:08:24,938 --> 00:08:28,375 気付いたか? ええ。 ありゃ 血ですね。 108 00:08:28,375 --> 00:08:30,744 血!? バカ。 う~ん。 109 00:08:30,744 --> 00:08:34,614 犬がにおいを嗅いで ほえたと来た日にゃ まだ新しい。 110 00:08:34,614 --> 00:08:38,918 店のやつらの様子も変でした。 うさんくせえや 旦那。 111 00:08:38,918 --> 00:08:41,221 (戸の開く音) 112 00:08:44,791 --> 00:08:47,594 あれほど 始末しておけと 言ったはずです。 113 00:08:47,594 --> 00:08:50,930 申し訳ございません。 さあ早く。 ほら もう。 114 00:08:50,930 --> 00:08:53,233 ほら。 はい。 115 00:08:54,801 --> 00:08:57,404 待て! 116 00:08:57,404 --> 00:09:00,407 おい 山田屋 そいつは何だ? 117 00:09:00,407 --> 00:09:02,542 (山田屋)あ… ご… ご勘弁を。 118 00:09:02,542 --> 00:09:04,577 (辰三)そうはいかねえんだよ。 119 00:09:04,577 --> 00:09:06,780 (山田屋)う… あっ。 120 00:09:13,186 --> 00:09:15,488 なるほどな。 121 00:09:17,557 --> 00:09:20,593 山田屋宗兵衛 その方➡ 122 00:09:20,593 --> 00:09:25,064 神田竪大工町左官 太助の妹 おみよの死に際し➡ 123 00:09:25,064 --> 00:09:30,870 はやり病と称し その死に目にもあわせなかったそうだな。 124 00:09:30,870 --> 00:09:33,573 まことか? はい。 125 00:09:33,573 --> 00:09:39,245 その おみよのはやり病 まことのことか? 126 00:09:39,245 --> 00:09:41,915 ん… 申し訳ございません! 127 00:09:41,915 --> 00:09:44,818 おみよは… おみよは…。 128 00:09:44,818 --> 00:09:46,820 どうしたのだ? 129 00:09:49,088 --> 00:09:53,393 夜の奉行と名乗る一味に 斬られたのでございます。 130 00:09:53,393 --> 00:09:56,296 ほう 夜の奉行。 131 00:09:56,296 --> 00:09:58,798 それは…。 132 00:10:01,267 --> 00:10:06,473 ここにある この書きつけの主のことであるな? 133 00:10:08,408 --> 00:10:13,279 ここに その方が 勘定奉行配下の郡代➡ 134 00:10:13,279 --> 00:10:15,615 および 勘定組頭と結託し➡ 135 00:10:15,615 --> 00:10:19,285 金銀相場を動かし 不当な利益を得た罪あり。 136 00:10:19,285 --> 00:10:25,091 よって 罰として二千両もらい受くる とあるが➡ 137 00:10:25,091 --> 00:10:30,430 よもや 二千両 渡したのではあるまいな? 138 00:10:30,430 --> 00:10:33,133 そ… それが…。 139 00:10:40,440 --> 00:10:45,812 (夜の奉行)これは受け取りだ。 訴えられるもんなら訴えても構わんぞ。➡ 140 00:10:45,812 --> 00:10:49,015 こっちは証拠を握っておる。 141 00:10:51,985 --> 00:10:53,920 (刺す音) (おみよ)うっ あ…。 142 00:10:53,920 --> 00:10:56,222 (悲鳴) 143 00:10:57,857 --> 00:11:00,793 おい! 長居は無用ですぜ。 144 00:11:00,793 --> 00:11:02,795 行くぞ。 145 00:11:05,398 --> 00:11:07,333 ああ~。 146 00:11:07,333 --> 00:11:09,769 おみよ…。 おみよちゃん! 147 00:11:09,769 --> 00:11:13,106 (山田屋)そのような死に方をしたと 表沙汰になったら…。 148 00:11:13,106 --> 00:11:16,142 そこに書かれてあることも 露見するかもしれません。 149 00:11:16,142 --> 00:11:20,613 ですから お店の者には口止めをし…。 150 00:11:20,613 --> 00:11:23,950 おみよを はやり病にしたと… いうわけだな? 151 00:11:23,950 --> 00:11:26,786 申し訳ございません! 152 00:11:26,786 --> 00:11:29,822 沙汰を申し渡す。 153 00:11:29,822 --> 00:11:33,426 山田屋宗兵衛 その方➡ 154 00:11:33,426 --> 00:11:39,132 自らの悪事の露見を恐れて おみよの死をむげに扱ったこと 許し難し。 155 00:11:39,132 --> 00:11:42,969 よって 遠島を申しつける。 156 00:11:42,969 --> 00:11:45,271 (山田屋)は… はは~。 157 00:11:47,807 --> 00:11:49,842 あっ お奉行 何か? 158 00:11:49,842 --> 00:11:53,980 小松屋の幾代餅だよ。 源さん 好きだろ? 159 00:11:53,980 --> 00:11:58,651 さあ。 いや ありがとうございます。 160 00:11:58,651 --> 00:12:01,621 では 遠慮なく。 161 00:12:01,621 --> 00:12:04,390 山田屋の一件 礼を言うよ。 162 00:12:04,390 --> 00:12:06,459 源さんの勘は相変わらずだ。 163 00:12:06,459 --> 00:12:09,262 いや~ 何をおっしゃいます。 164 00:12:09,262 --> 00:12:13,933 私は言うだけで あとは筧たちがやってくれたのですから。 165 00:12:13,933 --> 00:12:16,603 ただ…。 うん? 166 00:12:16,603 --> 00:12:20,406 夜の奉行は ぬすっとを従えた二本差し。➡ 167 00:12:20,406 --> 00:12:23,309 いや しかも 内情に通じるやからだと。 168 00:12:23,309 --> 00:12:28,615 うん。 私も そうにらんでる。 169 00:12:28,615 --> 00:12:31,284 明日からも頼むよ 源さん。 170 00:12:31,284 --> 00:12:33,286 あ はい。 171 00:12:33,286 --> 00:12:35,955 ですが 若。 172 00:12:35,955 --> 00:12:38,625 私も いつかはいなくなります。 173 00:12:38,625 --> 00:12:41,427 どうしたんだ 急に。 174 00:12:41,427 --> 00:12:47,133 あ いえ。 相変わらず うまいですな 幾代餅。 175 00:12:47,133 --> 00:12:49,168 (笑い声) 176 00:12:49,168 --> 00:12:54,307 <夜の奉行によって 役人との癒着が露見した➡ 177 00:12:54,307 --> 00:12:59,178 山田屋と三島屋は 江戸市民の怨嗟の的となり➡ 178 00:12:59,178 --> 00:13:03,483 その後 店を閉じた。 そして…> 179 00:13:05,251 --> 00:13:07,186 (小判の音) 180 00:13:07,186 --> 00:13:09,122 (人々の騒ぎ声) 181 00:13:09,122 --> 00:13:12,025 もったいねえのう。 ほら。 ほ~らよっ。 182 00:13:12,025 --> 00:13:14,761 小判だ。 小判が降ってきたぞ! 183 00:13:14,761 --> 00:13:18,631 (人々の騒ぎ声と小判が降る音) 184 00:13:18,631 --> 00:13:21,267 <更に後日…> (町人)どうしたんだい? 185 00:13:21,267 --> 00:13:24,270 例の小判をばらまいたのは 夜の奉行だそうだ。 186 00:13:24,270 --> 00:13:29,409 (寅吉) 山田屋と三島屋に押し入ったぬすっとだが ただのぬすっとなんかじゃねえ。 187 00:13:29,409 --> 00:13:32,278 (馬次)ああ ほれほれほれ 書いてあるぞ。 188 00:13:32,278 --> 00:13:37,150 盗んだ金を江戸のみんなに分け与えるのは 当然だってよ。 189 00:13:37,150 --> 00:13:40,153 義賊だねえ まるで。 (町人たち)ああ。 190 00:13:40,153 --> 00:13:43,289 よっ 夜の奉行! (笑い声) 191 00:13:43,289 --> 00:13:46,959 <まいた小判の効果は てきめんであった。➡ 192 00:13:46,959 --> 00:13:54,967 江戸の人々の間で 夜の奉行の評判は うなぎ登りとなったのである> 193 00:13:57,303 --> 00:13:59,972 (お秀)「義賊と評判の夜の奉行。➡ 194 00:13:59,972 --> 00:14:03,743 それに比べて昼の奉行は 後追いばかりで形なしである。➡ 195 00:14:03,743 --> 00:14:07,914 さて この決着 どうつくのか お立ち会い」か…。 196 00:14:07,914 --> 00:14:10,583 何が義賊だ スットコドッコイ! 197 00:14:10,583 --> 00:14:14,454 申し訳ありません。 お秀も 悪気があるわけじゃないんですから。 198 00:14:14,454 --> 00:14:18,324 けどよ いつもなら 大岡様は名奉行とか何とか…。 199 00:14:18,324 --> 00:14:21,227 そう。 いつも 持ち上げてばっかりのくせしやがって。 200 00:14:21,227 --> 00:14:25,765 よみうり売るためなら 平気で手のひら返しやがる。 201 00:14:25,765 --> 00:14:28,101 売る方も売る方なら 買う方も買う方だ。 202 00:14:28,101 --> 00:14:30,770 それが許せねえって言ってんだよ! 203 00:14:30,770 --> 00:14:34,407 そんなもんだろ 世間なんざ。 え? 204 00:14:34,407 --> 00:14:39,278 手のひら返しなんざ 当たり前ってことさ。 まあ そりゃそうですけど。 205 00:14:39,278 --> 00:14:43,616 当のお奉行は こんなことで 文句の一つも言うわけねえが➡ 206 00:14:43,616 --> 00:14:47,120 長年 そんな世間ってやつとつきあってる こちとら➡ 207 00:14:47,120 --> 00:14:51,290 へっ いいかげん くたびれるぜ な? ハッハハハ。 208 00:14:51,290 --> 00:14:54,193 村上さん どうかしたんですか? 209 00:14:54,193 --> 00:14:58,197 どうもしねえよ。 よっこらしょっと。 210 00:15:01,367 --> 00:15:05,571 よっこらしょ か…。 フッ。 211 00:15:05,571 --> 00:15:07,507 何かあったのかな。 212 00:15:07,507 --> 00:15:11,244 いつもなら 「お前ら 立て札 引っこ抜いてる暇あるなら➡ 213 00:15:11,244 --> 00:15:14,080 夜の奉行 とっ捕まえてこい」 って言うとこですよね? 214 00:15:14,080 --> 00:15:16,015 まあな。 215 00:15:16,015 --> 00:15:18,918 (吉宗)下々の者たちの間では➡ 216 00:15:18,918 --> 00:15:23,756 夜の奉行とやらが 大層な評判であると聞いたが➡ 217 00:15:23,756 --> 00:15:27,393 どうしたものかのう 左近。 218 00:15:27,393 --> 00:15:29,462 はあ。 219 00:15:29,462 --> 00:15:32,598 越前。 下野。 220 00:15:32,598 --> 00:15:36,269 はっ。(伊生)はっ。 全くもって不徳の致すところ。 221 00:15:36,269 --> 00:15:38,604 申し訳ございませぬ。 222 00:15:38,604 --> 00:15:44,410 頭を下げて 余の叱責をやり過ごす気か 両名とも。 223 00:15:44,410 --> 00:15:49,949 伊生殿もそれがしも 全く そのような気はございませぬ。 224 00:15:49,949 --> 00:15:54,620 ですが…。 言い訳なら聞く耳持たぬぞ 越前。 225 00:15:54,620 --> 00:15:58,424 夜の奉行と名乗ろうが ぬすっとはぬすっと。 226 00:15:58,424 --> 00:16:01,894 いつかは 法の裁きを受けてもらう所存にて。 227 00:16:01,894 --> 00:16:04,931 のう 伊生殿。 228 00:16:04,931 --> 00:16:07,066 しかり。 229 00:16:07,066 --> 00:16:13,239 だが 黒い噂で名が挙がった役人どもは お役御免を願い出ておる。 230 00:16:13,239 --> 00:16:17,577 あちらにもこちらにも飛び火し 皆 戦々恐々。 231 00:16:17,577 --> 00:16:22,748 これもまた 夜の奉行のおかげだと 世間が騒ぐ。 232 00:16:22,748 --> 00:16:26,385 商人と役人の金がらみの関わりが まことなら➡ 233 00:16:26,385 --> 00:16:30,256 それもまた いつかは露見すること。 234 00:16:30,256 --> 00:16:32,758 早いか遅いかの違いでございましょう。 235 00:16:32,758 --> 00:16:39,398 ならば 夜の奉行とやらの素っ首 余の前に差し出せるのだな? 236 00:16:39,398 --> 00:16:44,770 御意。 それができねば 越前 下野➡ 237 00:16:44,770 --> 00:16:49,408 その方らの首が ここに並ぶことになる。 238 00:16:49,408 --> 00:16:52,712 よいな。 はっ。 239 00:16:55,214 --> 00:16:57,149 ははあ。 240 00:16:57,149 --> 00:17:00,553 大岡殿のおかげで 一蓮托生になり申した。 241 00:17:00,553 --> 00:17:04,357 ハハハハハハ。 242 00:17:04,357 --> 00:17:08,561 それで お話とは? 243 00:17:08,561 --> 00:17:14,901 越前には その夜の奉行とやらの見当は ついとるのか? 244 00:17:14,901 --> 00:17:20,239 はい。 恐らく 幕閣の内情に通じた者か➡ 245 00:17:20,239 --> 00:17:24,744 その近くに潜んでおる者ではないかと。 246 00:17:24,744 --> 00:17:31,250 下野も そうにらんでおる。 そこで浮かび上がった男が1人…。 247 00:17:31,250 --> 00:17:38,591 旗本一千石 町小路左門。 町小路左門? 248 00:17:38,591 --> 00:17:45,264 商人と役人の結託の内情を探っていた 切れ者の目付であったが➡ 249 00:17:45,264 --> 00:17:53,406 生来の病弱が災いして 半年ほど前に 目付職を免じられておる。 250 00:17:53,406 --> 00:17:56,609 この者が 夜の奉行とつながるか分かりませぬが➡ 251 00:17:56,609 --> 00:18:00,479 山田屋と三島屋を 探っていた節がござれば…。 252 00:18:00,479 --> 00:18:09,221 本来ならば 下野に探らせるところだが あいにくの 御用繁多。 253 00:18:09,221 --> 00:18:12,224 お主に任せるしかない。 254 00:18:12,224 --> 00:18:20,433 はっ。 伊生殿とは 一蓮托生。 フフフフ。 255 00:18:29,909 --> 00:18:32,111 あいつは 確か…。 256 00:18:36,082 --> 00:18:38,117 あいなめの金兵衛? 257 00:18:38,117 --> 00:18:42,588 へい。 あいなめは 殿様が食う魚。 258 00:18:42,588 --> 00:18:47,460 そいつを食えるように ぬすっとに精を出す。 259 00:18:47,460 --> 00:18:52,765 銭のためなら 人殺しだってやりかねない男です。 260 00:18:52,765 --> 00:18:56,936 その者が 中間として雇われているのだな では。 261 00:18:56,936 --> 00:19:03,542 ところが 町小路の殿様って人が 寝たきりなんでございます。➡ 262 00:19:03,542 --> 00:19:07,046 薬をのむのも やっとのありさまでして。➡ 263 00:19:07,046 --> 00:19:11,884 長くは もたねえんじゃねえかって ご家中の噂です。 264 00:19:11,884 --> 00:19:13,819 とても…。 265 00:19:13,819 --> 00:19:16,722 夜の奉行は勤まらないか。 266 00:19:16,722 --> 00:19:20,359 へい。 ですが➡ 267 00:19:20,359 --> 00:19:22,428 金兵衛が住み込んでいるのが➡ 268 00:19:22,428 --> 00:19:24,730 たまたまとは…。 しかも➡ 269 00:19:24,730 --> 00:19:27,633 あいつが 江戸にいるとは…。 270 00:19:27,633 --> 00:19:32,471 どういうことだ? 金兵衛の縄張りは 西国だったはずです。 271 00:19:32,471 --> 00:19:35,074 西国? 海賊上がりの➡ 272 00:19:35,074 --> 00:19:39,578 かなり大きなぬすっとの一味に 加わっているとか。 273 00:19:39,578 --> 00:19:44,750 夜の奉行の次は 海賊上がりのぬすっとか。 274 00:19:44,750 --> 00:19:47,787 三次 ご苦労だったな。 275 00:19:47,787 --> 00:19:57,263 (セミの声) 276 00:19:57,263 --> 00:20:02,468 あ… あれ? どこ行きやがった。 捜せ。 277 00:20:09,975 --> 00:20:12,745 (右門)町方に目を付けられたな。 278 00:20:12,745 --> 00:20:15,614 ちょいと はしゃぎすぎましたぜ 旦那。 279 00:20:15,614 --> 00:20:19,952 フンッ これからが本番だ。➡ 280 00:20:19,952 --> 00:20:22,655 出してくれ。 (船頭)へい。 281 00:20:24,790 --> 00:20:28,294 おい。 あっ ああ。 282 00:20:30,296 --> 00:20:32,798 町小路の殿様に 弟? 283 00:20:32,798 --> 00:20:35,134 (番人)ええ 右門様とおっしゃいまして➡ 284 00:20:35,134 --> 00:20:40,005 兄上様同様 頭が切れるお方でございましたから➡ 285 00:20:40,005 --> 00:20:43,809 あの方さえいりゃあ お家も安泰だったんでしょうけど。 286 00:20:43,809 --> 00:20:46,145 今はいないのか? ええ。 287 00:20:46,145 --> 00:20:50,015 何年か前に お旗本の近藤家へ 養子に入ってらっしゃいます。 288 00:20:50,015 --> 00:20:52,918 近藤右門? 289 00:20:52,918 --> 00:20:56,789 はい。 町小路左門の双子の弟で➡ 290 00:20:56,789 --> 00:21:00,793 3年前に 二百石の近藤家の 養子となっていました。 291 00:21:00,793 --> 00:21:02,928 双子…。 (筧)探ってみると➡ 292 00:21:02,928 --> 00:21:07,099 こいつが とんだ しくじり小普請でして。 どういうことだ? 293 00:21:07,099 --> 00:21:12,605 無役ですから 月に一遍や二編は 小普請支配に挨拶に出向くのが道理。 294 00:21:12,605 --> 00:21:15,107 しかし そんなことは お構いなしに➡ 295 00:21:15,107 --> 00:21:20,613 悪所通いは言うに及ばず 酒を食らっての喧嘩三昧。 296 00:21:20,613 --> 00:21:22,948 (駿介)とんだカブキ者ですね。 297 00:21:22,948 --> 00:21:25,851 近藤家でも 頭を抱えてるってよ。 298 00:21:25,851 --> 00:21:31,423 その右門 町小路家にも出入りしていて 兄弟仲もよいようですし➡ 299 00:21:31,423 --> 00:21:37,296 例の金兵衛。 あいつを中間として 潜り込ませたのも 右門だそうでして。 300 00:21:37,296 --> 00:21:42,635 悪所通いのついでに ぬすっとと 知り合いになったってなところでしょう。 301 00:21:42,635 --> 00:21:45,304 どう思う? 源さん。 302 00:21:45,304 --> 00:21:50,176 はっ 辰三たちが見た不敵な侍も そいつでしょう。 303 00:21:50,176 --> 00:21:52,378 恐らく その男が…。 304 00:21:54,446 --> 00:21:57,149 夜の奉行。 305 00:21:58,818 --> 00:22:03,088 おっ どうした? 目黒の叔父様のお見舞いに➡ 306 00:22:03,088 --> 00:22:06,926 求次郎も参ると申しますので。 そうか。 307 00:22:06,926 --> 00:22:10,629 そこまで一緒に行こう。 (求次郎)はい。 308 00:22:15,401 --> 00:22:20,272 (お花)うれしそう 若様。 本当に。 ウフフ。 309 00:22:20,272 --> 00:22:24,109 では ここでな。 行ってらっしゃいませ。 310 00:22:24,109 --> 00:22:27,146 (お花)行ってらっしゃいませ。 311 00:22:27,146 --> 00:22:29,448 (雪絵)参りましょう。 (お花)はい。 312 00:22:31,283 --> 00:22:40,793 ♬~ 313 00:22:40,793 --> 00:22:43,829 (伊織)おお 忠相。 おう 往診か。 314 00:22:43,829 --> 00:22:47,666 貧乏暇なしだ。 珍しいな おしのびとは。 315 00:22:47,666 --> 00:22:54,306 うん。 私に会いたいと思ってるやつが いそうなのでな。 316 00:22:54,306 --> 00:22:56,308 ではな。 317 00:22:57,977 --> 00:23:01,480 どういうことだ? さあ。 318 00:23:19,265 --> 00:23:24,570 (右門)南町奉行 大岡越前守殿と お見受けいたす。 319 00:23:26,138 --> 00:23:30,609 それがし 無役ながら 旗本二百石 近藤右門。 320 00:23:30,609 --> 00:23:34,780 近藤…? お奉行…。 321 00:23:34,780 --> 00:23:36,715 何か用か? 322 00:23:36,715 --> 00:23:40,286 一度 ご尊顔を拝したいと 思っておりました。 323 00:23:40,286 --> 00:23:42,221 折り入って お話が。 324 00:23:42,221 --> 00:23:45,624 分かった。 駿介 ここで待て。 325 00:23:45,624 --> 00:23:47,559 ですが…。 326 00:23:47,559 --> 00:23:50,296 いいんだ。 327 00:23:50,296 --> 00:23:53,098 さあ 行こう。 どうぞ。 328 00:24:09,648 --> 00:24:13,619 世間では 夜の奉行とやらが もてはやされて➡ 329 00:24:13,619 --> 00:24:17,256 お奉行殿も さぞ ご心痛なことでしょう。 330 00:24:17,256 --> 00:24:23,395 フッ。 商家に押し込み 夜盗同然の所業をするやから。 331 00:24:23,395 --> 00:24:26,765 相手にもいたしておらぬ。 332 00:24:26,765 --> 00:24:28,701 ほう~。 333 00:24:28,701 --> 00:24:35,474 だが 万に一つでも 幕閣の目付に関わりがあるとしたならば➡ 334 00:24:35,474 --> 00:24:39,111 放っておくわけにもいかぬがな。 335 00:24:39,111 --> 00:24:42,982 目付… なるほど。 336 00:24:42,982 --> 00:24:47,786 それがしの兄も目付でござった。 337 00:24:47,786 --> 00:24:55,961 確か 商家と役人との関わりを探索し その証拠もあると聞いておりますが➡ 338 00:24:55,961 --> 00:25:00,165 何者かが そのようなものを利用していると? 339 00:25:05,237 --> 00:25:08,574 お主ではないのか? 340 00:25:08,574 --> 00:25:13,379 ハッ これはしたり。 341 00:25:13,379 --> 00:25:17,249 ですが…。 何だ? 342 00:25:17,249 --> 00:25:22,121 その夜の奉行に 心当たりが ないわけではないと申したら➡ 343 00:25:22,121 --> 00:25:24,423 いかがなされます? 344 00:25:27,760 --> 00:25:30,262 夜の奉行のねらいは➡ 345 00:25:30,262 --> 00:25:34,767 江戸で悪をむさぼるやからに 天誅を加えること。 346 00:25:34,767 --> 00:25:38,404 それは昼のお奉行殿とて同じこと。 347 00:25:38,404 --> 00:25:43,609 一見 相反する2人の奉行が お互い受け入れてこそ➡ 348 00:25:43,609 --> 00:25:48,414 江戸の悪を根絶やしにできるとは お思いになりませんか? 349 00:25:48,414 --> 00:25:54,620 大岡様に そのお覚悟がおありなら それがしが仲立ちをしてもよいのだが➡ 350 00:25:54,620 --> 00:25:57,122 いかがでござる? 351 00:25:57,122 --> 00:26:03,562 フッ… ハハハハ…。 352 00:26:03,562 --> 00:26:05,597 何がおかしい。 353 00:26:05,597 --> 00:26:07,900 悪所通いで ぬすっとと知り合い➡ 354 00:26:07,900 --> 00:26:10,936 正義を振りかざすように 見せかけてはいるが➡ 355 00:26:10,936 --> 00:26:17,910 実は ただの小悪党。 それが 夜の奉行だ。 356 00:26:17,910 --> 00:26:23,916 お主の手を借りずとも この手で成敗してみせる。 357 00:26:26,084 --> 00:26:28,754 ほかに用がなければ…。 358 00:26:28,754 --> 00:26:34,927 夜の奉行が次に狙うのは 廻船問屋 井筒屋。 359 00:26:34,927 --> 00:26:41,100 押し入るのは 明後日の五ツ半。 360 00:26:41,100 --> 00:26:48,607 そう分かっていて 昼のお奉行殿に 夜の奉行が召し捕れるかどうか➡ 361 00:26:48,607 --> 00:26:52,111 見ものでござるなあ。 362 00:26:52,111 --> 00:26:54,413 では これにて御免。 363 00:26:55,981 --> 00:27:11,897 ♬~ 364 00:27:11,897 --> 00:27:15,234 (牛松)ああ ごめんよ ごめんよ。 ああ ととととと。 365 00:27:15,234 --> 00:27:17,569 どけよ! (牛松)ああ 旦那 申し訳ねえ。 366 00:27:17,569 --> 00:27:19,571 いいから。 367 00:27:24,076 --> 00:27:27,079 クソ~ お前のせいで…! 368 00:27:29,882 --> 00:27:31,817 ああ もう! 369 00:27:31,817 --> 00:27:37,256 受けて立ちましょうよ。 何が夜の奉行だ! 370 00:27:37,256 --> 00:27:42,394 (堅太郎)だが 一体どういうつもりなんだ 押し入る場所と日取りを知らせるなど。 371 00:27:42,394 --> 00:27:45,764 (駿介)井筒屋だと思わせて 別の場所に押し入ると考えた方が➡ 372 00:27:45,764 --> 00:27:49,601 よくありませんか? 待ち伏せる我らに肩すかしを食らわせ➡ 373 00:27:49,601 --> 00:27:51,937 コケにするつもりかもしれないな。 374 00:27:51,937 --> 00:27:54,740 だったら どこを狙うってんだ? 375 00:28:04,583 --> 00:28:07,586 おい… おい? 376 00:28:12,891 --> 00:28:14,893 お花ちゃん…? 377 00:28:16,562 --> 00:28:20,232 どうしたんだ? お花ちゃん! 378 00:28:20,232 --> 00:28:24,069 勘太さん…。 379 00:28:24,069 --> 00:28:27,105 奥様と若様は? えっ? 380 00:28:27,105 --> 00:28:29,875 奥様! 若様! ちょっ ちょちょ! 381 00:28:29,875 --> 00:28:32,244 奥様! 若様! お花ちゃん ちょっと落ち着いて。 382 00:28:32,244 --> 00:28:34,546 どうしよう… 若様! 383 00:28:40,953 --> 00:28:43,255 何ですか あなたたちは。 384 00:28:44,957 --> 00:28:48,260 うっ。若様! うっ! 385 00:28:48,260 --> 00:28:53,765 こ… これが お花ちゃんの懐に。 (源次郎)うん? 386 00:28:53,765 --> 00:29:01,340 「奥方とご嫡男 お預かり申し候 夜の奉行」。 387 00:29:01,340 --> 00:29:04,243 申し訳ございません! 旦那様。 388 00:29:04,243 --> 00:29:09,548 お花 けがはないのだな? はい。 389 00:29:09,548 --> 00:29:13,885 ですが 若様と奥様が…! 390 00:29:13,885 --> 00:29:18,557 勘太。 お花を。 へい。 391 00:29:18,557 --> 00:29:21,760 お花ちゃん 行こう。 392 00:29:23,895 --> 00:29:27,232 はなから こういう筋書きだったようですね。 393 00:29:27,232 --> 00:29:31,103 だから お奉行に 場所と日取りを知らせた。 394 00:29:31,103 --> 00:29:34,740 待ち構えて召し捕れるものならやってみろ というつもりなのだろう。 395 00:29:34,740 --> 00:29:37,776 (筧)こざかしいまねを! 396 00:29:37,776 --> 00:29:42,614 だが…➡ 397 00:29:42,614 --> 00:29:45,450 負けるわけにはいかん。 398 00:29:45,450 --> 00:29:50,222 <雪絵と求次郎の行方は 一向に分からず➡ 399 00:29:50,222 --> 00:29:55,594 右門も金兵衛の居場所も ようとしてつかめなかった> 400 00:29:55,594 --> 00:30:33,965 ♬~ 401 00:30:33,965 --> 00:30:39,137 (牛松)何で頭は あんな侍 入れたんだ? なあ?(舌打ち) 402 00:30:39,137 --> 00:30:41,073 (金兵衛) いくら人質を取ってるからとはいえ➡ 403 00:30:41,073 --> 00:30:44,309 井筒屋で待ち構えでもされてたら こっちはイチコロだ。 404 00:30:44,309 --> 00:30:48,180 別の大店を狙いましょうや。 405 00:30:48,180 --> 00:30:52,050 お主らにとっては ただ金のためかもしれぬが➡ 406 00:30:52,050 --> 00:30:55,454 わしにとっては 世直しのためだ。 407 00:30:55,454 --> 00:30:57,522 狙う店には意味がある。 408 00:30:57,522 --> 00:30:59,991 しかし 旦那…。 409 00:30:59,991 --> 00:31:06,098 下手なまねをしたら 人質がどうなるか➡ 410 00:31:06,098 --> 00:31:09,935 分からぬ越前でもあるまいよ。 411 00:31:09,935 --> 00:31:13,638 なあ? へい。 412 00:31:24,483 --> 00:31:33,792 <そして 夜の奉行が井筒屋を狙うという 当日の夕刻を迎えていた> 413 00:31:39,798 --> 00:31:44,503 (源次郎)お奉行 お願いがあって参りました。 414 00:31:49,975 --> 00:31:55,147 井筒屋の一件 目をつむっちゃどうでしょうか。 415 00:31:55,147 --> 00:31:57,182 何? 416 00:31:57,182 --> 00:31:59,985 夜の奉行の正体は分かってるんだ。 417 00:31:59,985 --> 00:32:04,956 その上 どうせ 相手は 役人と関わりがある悪徳商人です。 418 00:32:04,956 --> 00:32:08,593 やつの好きにさせてやったって 罰は当たりません。 419 00:32:08,593 --> 00:32:12,097 自分が何を言ってるのか分かってるのか 源さん。 420 00:32:12,097 --> 00:32:15,133 奥様と坊ちゃまの命には 代えられませんよ。 421 00:32:15,133 --> 00:32:23,108 どうか この村上源次郎の最後の願い お聞き届けください。 422 00:32:23,108 --> 00:32:25,610 最後の? 423 00:32:25,610 --> 00:32:29,481 ハッ 先から考えていたのですが➡ 424 00:32:29,481 --> 00:32:34,319 折を見て お役御免を願うつもりでした。 425 00:32:34,319 --> 00:32:38,623 いや もう くたびれました。 ですから…。 426 00:32:38,623 --> 00:32:43,795 だとしても できない相談だな。 427 00:32:43,795 --> 00:32:45,797 若…! 428 00:32:48,967 --> 00:32:51,770 私は町奉行だ。 429 00:32:54,840 --> 00:33:01,546 悪党が押し入るのが分かっていながら それを見逃すことはできない。 430 00:33:01,546 --> 00:33:03,482 それぐらい 源さんなら…。 431 00:33:03,482 --> 00:33:06,184 分かっていてお頼みしてるんです こちとら。 432 00:33:10,255 --> 00:33:15,594 困らせないでくれよ 源さん。 433 00:33:15,594 --> 00:33:21,099 では 今この場で わたくし 身を引かせていただきます。 434 00:33:21,099 --> 00:33:24,970 源さん! もうこれ以上のお役は 御免こうむります。 435 00:33:24,970 --> 00:33:32,277 ですが 若が 井筒屋から手を引くと おっしゃってくださるのなら 話は別です。 436 00:33:32,277 --> 00:33:40,952 若 お願いです。 どうか 奥様と坊ちゃまの命を… お命を! 437 00:33:40,952 --> 00:33:46,625 若にとって 掛けがえのないお二人ではありませんか。 438 00:33:46,625 --> 00:33:56,134 ♬~ 439 00:33:56,134 --> 00:34:00,839  回想  (源次郎)若にとって 掛けがえのないお二人ではありませんか。 440 00:34:05,577 --> 00:34:16,588 ♬~ 441 00:34:16,588 --> 00:34:18,924 今朝から おかしな様子はありません。 442 00:34:18,924 --> 00:34:23,395 (右門)言ったとおりだろう。 大岡とて 人の親よ。 443 00:34:23,395 --> 00:34:27,599 旦那 偉そうにおっしゃるのは 金を手に入れてからです。 444 00:34:27,599 --> 00:34:30,902 (右門)強欲だな お前は。 445 00:34:36,107 --> 00:34:38,043 ⚟どちら様ですか? 446 00:34:38,043 --> 00:34:43,615 若年寄小出信濃守様より 井筒屋重兵衛への火急の書状を持参した。 447 00:34:43,615 --> 00:34:47,118 今すぐ開けよ。 ⚟お待ちくださいませ。 448 00:34:50,288 --> 00:34:55,160 来やがったな。 こちとら 昨日の夜からお待ちかねだい! 449 00:34:55,160 --> 00:34:57,629 ⚟(水音) 夜の奉行こと 近藤右門! 450 00:34:57,629 --> 00:35:01,232 神妙にお縄を頂戴しろ! 451 00:35:01,232 --> 00:35:05,236 (右門)奥方と息子の命 なくなるぜ! 452 00:35:05,236 --> 00:35:08,006 是非もなし! (右門)何? 453 00:35:08,006 --> 00:35:10,241 ひっ捕らえい! やっちまえ! 454 00:35:10,241 --> 00:36:04,062 ♬~ 455 00:36:04,062 --> 00:36:06,965 ⚟(雪絵)どうですか? ⚟(求次郎)もう少しです 母上。 456 00:36:06,965 --> 00:36:09,934 (かみちぎる音) 457 00:36:09,934 --> 00:36:12,137 よくやりました。 458 00:36:14,773 --> 00:36:17,609 (雪絵)あと少しですよ。 うん! 459 00:36:17,609 --> 00:36:20,612 さあ 参りましょう。 460 00:36:23,448 --> 00:36:26,751 残念だったなあ 奥方様。 461 00:36:26,751 --> 00:36:30,088 あっ。 462 00:36:30,088 --> 00:36:36,394 (右門)怖い顔だ。 だが まっこと怖いのは お前の旦那よ。 463 00:36:36,394 --> 00:36:40,265 お前たちの命より 町奉行の立場を選んだのだからな。 464 00:36:40,265 --> 00:36:48,773 それがどうしました。 私たちは 大岡忠相の妻であり 息子です。 465 00:36:48,773 --> 00:36:52,944 殺したいのなら そうすればよろしいでしょう。 466 00:36:52,944 --> 00:36:55,780 そうですね? 求次郎。 はい! 467 00:36:55,780 --> 00:36:59,617 いいだろう。 念仏を唱えろ。 468 00:36:59,617 --> 00:37:01,619 ⚟待て! 469 00:37:05,724 --> 00:37:09,561 俺の 優れた手下たちが お前一人を黙って逃すと思うか? 470 00:37:09,561 --> 00:37:11,496 夜と昼の違いは そこだよ。 471 00:37:11,496 --> 00:37:17,735 しゃらくせえ。 俺が目付になってりゃ こんなことにはならなかったのだ! 472 00:37:17,735 --> 00:37:22,073 ちょいと後から生まれたってだけで 養子に放り出され➡ 473 00:37:22,073 --> 00:37:27,879 小普請支配に頭を下げ まいないを使わねば職を得られぬ屈辱! 474 00:37:27,879 --> 00:37:32,717 どこもかしこも おかしなことがはびこる この世とやらに➡ 475 00:37:32,717 --> 00:37:38,623 正義の鉄鎚を下すために 俺は夜の奉行になったのだ! 476 00:37:38,623 --> 00:37:42,093 だが 正義を成し遂げたかったのなら➡ 477 00:37:42,093 --> 00:37:45,130 役人どもと御用商人たちの不正を➡ 478 00:37:45,130 --> 00:37:48,600 正々堂々 訴え出ればよかったのではないか? 479 00:37:48,600 --> 00:37:53,471 フッ。 随分と甘いことを言う。 480 00:37:53,471 --> 00:37:58,776 俺が夜の奉行になったからこそ こうして悪事が公になったのではないか! 481 00:37:58,776 --> 00:38:02,347 だとしても! ぬすっとと共に押し込めば➡ 482 00:38:02,347 --> 00:38:05,216 お前の正義は 正義ではなくなる。 483 00:38:05,216 --> 00:38:09,888 お主の言ってることは ただのぬすっとの世まい言よ! 484 00:38:09,888 --> 00:38:18,062 越前。 お前ならと思っていたのだが どうやら見損なったようだ。 485 00:38:18,062 --> 00:38:20,965 はっ や… 求次郎! 求次郎! 486 00:38:20,965 --> 00:38:24,836 離せ! うう!うっ。 487 00:38:24,836 --> 00:38:30,575 どうせ助からねえんなら 冥土の土産に この息子を連れてくまでだ。 488 00:38:30,575 --> 00:38:37,081 それでも したり顔でいられるか? さあ 泣け 叫べ➡ 489 00:38:37,081 --> 00:38:40,952 「父上 助けてください」となあ! 490 00:38:40,952 --> 00:38:46,090 刀を置け 近藤右門! 指図は受けねえ! 491 00:38:46,090 --> 00:38:48,593 殺すなら私を殺しなさい! 492 00:38:50,962 --> 00:38:52,964 うわっ! 493 00:38:52,964 --> 00:38:55,166 捕らえろ! (同心たち)はい! 494 00:38:59,103 --> 00:39:02,874 求次郎 母を。 はい。 495 00:39:02,874 --> 00:39:05,376 母上。 求次郎! 496 00:39:08,546 --> 00:39:10,548 (雪絵)あなた。 497 00:39:12,350 --> 00:39:17,655 このような目に遭わせたこと… 許せ。 498 00:39:19,891 --> 00:39:22,093 (求次郎)父上! 499 00:39:26,231 --> 00:39:28,566 あいなめの金兵衛とやら➡ 500 00:39:28,566 --> 00:39:33,438 近藤右門は 評定にて切腹と相なったぞ。 501 00:39:33,438 --> 00:39:36,941 く… くっ 介しゃくを! 502 00:39:38,743 --> 00:39:41,579 目付の弟と聞いた時は➡ 503 00:39:41,579 --> 00:39:46,384 こりゃ ひともうけできると ぬすっとの世界に引きずり込み➡ 504 00:39:46,384 --> 00:39:50,755 夜の奉行に仕立てたまではいいが➡ 505 00:39:50,755 --> 00:39:57,395 義賊まがいに 小判ばらまかせたり 襲うお店をばらしたりなど➡ 506 00:39:57,395 --> 00:40:02,267 どうにもこうにも頭でっかちで 始末に負えねえ。 507 00:40:02,267 --> 00:40:07,405 夜の奉行 後々役に立つと思ったんだが…。 508 00:40:07,405 --> 00:40:10,308 後々とは どういうことだ? 509 00:40:10,308 --> 00:40:14,612 え…? 何でもありませんや。 510 00:40:14,612 --> 00:40:25,923 ♬~ 511 00:40:27,625 --> 00:40:30,962 では どうあってもか。 512 00:40:30,962 --> 00:40:36,434 今まで 幾人もの悪党をお縄にしたからこそ➡ 513 00:40:36,434 --> 00:40:42,140 四国巡礼の道行きに出たいのです。 514 00:40:42,140 --> 00:40:46,444 今日は動けても 明日 動けるかどうか…。 515 00:40:46,444 --> 00:40:51,316 源さんは いつも そばにいてくれるものだと…。 516 00:40:51,316 --> 00:40:58,623 若。 わがままを お許しください。 517 00:41:08,399 --> 00:41:12,103 苦労をかけた。 518 00:41:12,103 --> 00:41:17,608 いつでも戻ってきてほしい。 519 00:41:17,608 --> 00:41:21,479 いいね? 源さん。 520 00:41:21,479 --> 00:41:23,948 若…。 521 00:41:23,948 --> 00:41:32,290 ♬~ 522 00:41:32,290 --> 00:41:34,292 よいしょ。 523 00:41:35,960 --> 00:41:39,430 木戸口まで送りましょう。 ああ すまない。 524 00:41:39,430 --> 00:41:43,301 これ 旅の途中で。 <こうして 同心 村上源次郎は➡ 525 00:41:43,301 --> 00:41:49,507 その役職を離れ 四国巡礼の旅に出た> 526 00:41:53,010 --> 00:41:57,315 (源次郎)大殿 ご無沙汰しております。➡ 527 00:41:57,315 --> 00:42:02,320 そのうち 私も そちらに参ります。 528 00:42:05,923 --> 00:42:07,859 雪絵。 (雪絵)はい。 529 00:42:07,859 --> 00:42:11,796 源さんが 茅ヶ崎の父上の墓を 詣でてくれたそうだよ。 530 00:42:11,796 --> 00:42:17,101 そうですか。 元気に旅を続けていらっしゃるんですね。 531 00:42:17,101 --> 00:42:23,775 <幾年月 喜びも悲しみも共にした村上源次郎が➡ 532 00:42:23,775 --> 00:42:26,811 青く続く空のもと➡ 533 00:42:26,811 --> 00:42:32,283 残りの人生を 思うがまま生きてほしいと願う➡ 534 00:42:32,283 --> 00:42:35,286 忠相であった> 535 00:42:35,286 --> 00:42:38,623 もうおよしよ。 酒がこぼれるだろ! 536 00:42:38,623 --> 00:42:41,659 お父っつぁん。 働き者で よくできた娘です。 537 00:42:41,659 --> 00:42:44,128 鬼! ありがとうございました! 538 00:42:44,128 --> 00:42:46,064 大ごとになる前に なんとかしねえと。 539 00:42:46,064 --> 00:42:51,002 柳町の長屋で 子供が殺されました。 毒を? 540 00:42:51,002 --> 00:42:55,206 どの親のもとに生まれるかで 人生が決まると。