1 00:00:03,750 --> 00:00:05,400 (子吉)やっぱり 晴れだ!→ 2 00:00:05,400 --> 00:00:07,760 ヘヘヘヘヘ…! 3 00:00:07,760 --> 00:00:11,470 あ~ いやいや 出かけにね 猫が顔を洗ってやしてね→ 4 00:00:11,470 --> 00:00:16,850 雨かと思ったら 日本晴れで ようござんした! 5 00:00:16,850 --> 00:00:19,210 ねえ 叔父さん。 のんきなこと言ってんじゃねえ! 6 00:00:19,210 --> 00:00:21,570 お忍びとはいえ お奉行様のお供なんだよ。 7 00:00:21,570 --> 00:00:25,610 辰。 今日の私は ただの貧乏旗本 大橋源五郎だ。 8 00:00:25,610 --> 00:00:30,320 げ… げんごろう? ヘッ こいつは いいや! ハハハ…。 9 00:00:30,320 --> 00:00:32,350 ハハハ…。 10 00:00:32,350 --> 00:00:36,390 (伴内)待たれよ そこの御仁! えっ? おいらかい? 11 00:00:36,390 --> 00:00:42,770 お主が供をしておる 人品卑しからぬ御仁の方に決まっておる。 12 00:00:42,770 --> 00:00:44,130 私か? 13 00:00:44,130 --> 00:00:48,500 いや おぶ… あっ… いや え~っと… あっ 源五郎様。 14 00:00:48,500 --> 00:00:50,520 うむ。 よした方がよろしいかと。 15 00:00:50,520 --> 00:00:54,230 そうですよ。 どうせ 見料目当ての八卦見なんすから。 16 00:00:54,230 --> 00:01:00,950 確かに この田所伴内 一介の易者 八卦見にすぎぬが→ 17 00:01:00,950 --> 00:01:04,660 見料目当てで人を呼び止めたりはせん。 18 00:01:04,660 --> 00:01:08,370 それがしの目に狂いがなければ そちらのお方は→ 19 00:01:08,370 --> 00:01:13,090 天下を治める力量の持ち主と見たから 呼び止めたまで。 20 00:01:13,090 --> 00:01:16,450 天下… フッ こりゃあ 驚いた。 21 00:01:16,450 --> 00:01:18,470 …とか何とか いいかげんに言ってんじゃねえか? 22 00:01:18,470 --> 00:01:21,500 (辰三 子吉)おお おお…。 この伴内 これまで→ 23 00:01:21,500 --> 00:01:25,200 一度も かたったことなどない。→ 24 00:01:25,200 --> 00:01:28,230 おおっ! これは珍しい! 25 00:01:28,230 --> 00:01:32,940 古今東西 まれに見る吉相の持ち主!→ 26 00:01:32,940 --> 00:01:36,650 おお~ 天に昇る龍がごとく→ 27 00:01:36,650 --> 00:01:40,360 勢いのある その顔だち…。 28 00:01:40,360 --> 00:01:43,720 おっ! 29 00:01:43,720 --> 00:01:49,780 奥方も さぞかし つつましく 美人の誉れ高きお人と見た。 30 00:01:49,780 --> 00:01:51,130 当たり! 31 00:01:51,130 --> 00:01:56,520 なんと なんと 友にも恵まれ 勇猛果敢→ 32 00:01:56,520 --> 00:01:59,540 さまざまな難関を突破できる→ 33 00:01:59,540 --> 00:02:03,260 まさしく強運の持ち主でもあると 出ておる! どうだ? 34 00:02:03,260 --> 00:02:08,970 そのとおり! よっ 日の本一の八卦見! 35 00:02:08,970 --> 00:02:13,690 そこまで褒められると ちと こそばゆいが。 ハハハ…。 36 00:02:13,690 --> 00:02:17,400 これ すなわち 天の声! 37 00:02:17,400 --> 00:02:21,770 天の声か…。 38 00:02:21,770 --> 00:02:24,130 お主 この商い 長いのか? 39 00:02:24,130 --> 00:02:30,520 貴公と同じく 勝手気ままな 浪人暮らしと言えば 聞こえはいいが→ 40 00:02:30,520 --> 00:02:34,230 侍として生きるすべなく 八卦見をなりわいとしておる。 41 00:02:34,230 --> 00:02:39,620 しかし 存外 天分の職であったらしいな。 42 00:02:39,620 --> 00:02:42,300 では…。 43 00:02:42,300 --> 00:02:44,330 見料20文。 44 00:02:44,330 --> 00:02:48,710 何事も なりわいは大切だからな。 アハハ! そういうことだ。 45 00:02:48,710 --> 00:02:51,070 ハハハハ…。 ハハハハ…。 46 00:02:51,070 --> 00:02:53,420 うっ…。 (3人)ん? 47 00:02:53,420 --> 00:02:56,780 あっ…。 えっ? 48 00:02:56,780 --> 00:03:00,150 ああ… ああ~! うっ…! 49 00:03:00,150 --> 00:03:02,510 ちょちょ… どうした? おいおい…。 50 00:03:02,510 --> 00:03:07,230 いや… 何でもない…。 時折 こうして… ああ…。 51 00:03:07,230 --> 00:03:10,920 おお…。 これは いかん。 52 00:03:10,920 --> 00:03:12,940 辰三 養生所へ。 へい! 53 00:03:12,940 --> 00:03:17,320 あたたた…。 (伊織)いつからだ? この痛みは。 54 00:03:17,320 --> 00:03:20,350 ここのところ 度々…。 55 00:03:20,350 --> 00:03:24,400 なに ここ10年 いろいろ ござったでな→ 56 00:03:24,400 --> 00:03:27,430 胃の腑も疲れておるのだろう。 57 00:03:27,430 --> 00:03:29,780 …でござろう? 先生。 58 00:03:29,780 --> 00:03:33,820 まあ… そんなところだな。 59 00:03:33,820 --> 00:03:36,180 (伴内)あたたたた…。 60 00:03:36,180 --> 00:03:39,550 あとで薬を調合するから。 (おいね)はい。 61 00:03:39,550 --> 00:03:44,930 薬? しかし その… 今 持ち合わせが…。 62 00:03:44,930 --> 00:03:48,300 ここは養生所です。 薬料は要りません。 63 00:03:48,300 --> 00:03:52,680 ハハハ… ならば なおさら 先ほどの見料を払わねばな。 64 00:03:52,680 --> 00:03:57,390 こうして 養生所まで 運んでもらったんだ。 見料などは…。 65 00:03:57,390 --> 00:03:59,080 いや… そうは いかん。 66 00:03:59,080 --> 00:04:02,770 この大橋源五郎 人に借りは作らん。 67 00:04:02,770 --> 00:04:04,130 げんごろう? 68 00:04:04,130 --> 00:04:07,830 (辰三)全くよう… 人騒がせな八卦見の旦那だぜ。 69 00:04:07,830 --> 00:04:11,530 しかし 「待たれよ そこの御仁」には 笑っちゃいやしたけどね。 70 00:04:11,530 --> 00:04:14,890 (笑い声) 71 00:04:14,890 --> 00:04:17,250 どうした? 72 00:04:17,250 --> 00:04:22,310 あの男の命 そう長くはもたん。 何? 73 00:04:22,310 --> 00:04:28,030 胃の腑の奥に大きな塊がある。 あれは がんと申してな→ 74 00:04:28,030 --> 00:04:34,760 命は もって… あと半年。 75 00:04:34,760 --> 00:04:36,780 まことか…。 76 00:04:36,780 --> 00:04:40,780 とても 当人には言えぬがな。 77 00:04:45,210 --> 00:05:49,850 ・~ 78 00:05:49,850 --> 00:06:01,630 ・~ 79 00:06:01,630 --> 00:06:03,650 大きな声で言うんじゃねえや アハハ…! 80 00:06:03,650 --> 00:06:07,030 (鐘の音) 81 00:06:07,030 --> 00:06:12,070 (友之助)八卦見 俺が これから何をするか当ててみろ。 82 00:06:12,070 --> 00:06:17,070 申し訳ござらぬ。 もう 今日は 店じまいでござってな。 83 00:06:19,480 --> 00:06:23,480 当ててみろと申しておる。 84 00:06:25,540 --> 00:06:29,910 (大倉)友之助殿… 参りますぞ。 85 00:06:29,910 --> 00:06:32,940 (長谷川)こんなところで 引っ掛かってる場合ではござらん。 86 00:06:32,940 --> 00:06:37,330 (吉沢)そうじゃ! おなごが 首を長くして待っておる。 87 00:06:37,330 --> 00:06:40,020 それも そうか。 88 00:06:40,020 --> 00:06:42,370 ヘヘヘヘ…。 89 00:06:42,370 --> 00:06:50,450 ・~ 90 00:06:50,450 --> 00:06:56,450 (小一郎)すまぬ。 酔っておるので勘弁してくれ。 91 00:07:01,900 --> 00:07:05,940 ・(大倉)四宮! 早く来い。 ・(友之助)小一郎 置いてくぞ! 92 00:07:05,940 --> 00:07:08,630 はい。 93 00:07:08,630 --> 00:07:10,630 では。 94 00:07:14,030 --> 00:07:19,070 四宮… 小一郎…。 95 00:07:19,070 --> 00:07:23,790 お帰りなさい 伴内先生。 あっ 伴内先生 お帰りなさい。 96 00:07:23,790 --> 00:07:29,170 小一郎が 江戸まで追ってきていたとは…。 97 00:07:29,170 --> 00:07:38,170 ・~ 98 00:07:47,020 --> 00:07:49,370 ひっ! 99 00:07:49,370 --> 00:07:52,370 おっ… お千代坊。 100 00:07:56,110 --> 00:08:03,520 (お千代)どうしたの? 何かあったの? 101 00:08:03,520 --> 00:08:07,560 何でもない フフッ… うん。 102 00:08:07,560 --> 00:08:12,930 何でもないぞ お千代坊。 103 00:08:12,930 --> 00:08:14,290 (お美津)お千代? 104 00:08:14,290 --> 00:08:18,290 (伴内)ああ…。 あっ お帰りなさい 伴内先生。 105 00:08:22,030 --> 00:08:25,400 う~ん。 これ ちょっと多く作ったから。 106 00:08:25,400 --> 00:08:28,430 ああ… いつも すまんな。 107 00:08:28,430 --> 00:08:31,460 お美津殿には世話になってばっかりだ。 108 00:08:31,460 --> 00:08:34,490 お隣同士じゃないですか。 109 00:08:34,490 --> 00:08:36,840 おなかの調子は どうですか? 110 00:08:36,840 --> 00:08:40,220 いや そのことなんだが… 養生所に運ばれてな。 111 00:08:40,220 --> 00:08:42,240 養生所!? あっ…。 112 00:08:42,240 --> 00:08:45,930 あっ…。 アハハ…。 113 00:08:45,930 --> 00:08:47,280 いや 心配には及ばぬ。 114 00:08:47,280 --> 00:08:51,990 まあ 安静にしていればいいと言われて 薬をもらって帰ってきた。 115 00:08:51,990 --> 00:08:54,360 ああ… あ~ びっくりした。 116 00:08:54,360 --> 00:08:58,060 あっ もう 脅かしっこなし。 アハハ…。→ 117 00:08:58,060 --> 00:09:02,440 すまん すまん…。 (笑い声) 118 00:09:02,440 --> 00:09:04,460 あ…。 119 00:09:04,460 --> 00:09:08,840 おお… お千代坊 ほれ… これ うん。 120 00:09:08,840 --> 00:09:13,880 よし! ああ… どら。 うん? 121 00:09:13,880 --> 00:09:15,230 はい やってみよう。 122 00:09:15,230 --> 00:09:18,940 お~。 ハハハハ…。 フフッ…。 123 00:09:18,940 --> 00:09:20,620 よかったね お千代。 うん! 124 00:09:20,620 --> 00:09:23,650 ハハハ… よ~し。 125 00:09:23,650 --> 00:09:26,340 せ~の… ふう~! 126 00:09:26,340 --> 00:09:28,700 (笑い声) 127 00:09:28,700 --> 00:09:36,440 ですが… 不治の病であると 知らずにいるのも ふびんなこと。 128 00:09:36,440 --> 00:09:39,470 はい…。 しかし その易者→ 129 00:09:39,470 --> 00:09:43,180 天下を治める大器とは 言い得て妙ですなあ。 130 00:09:43,180 --> 00:09:47,880 フフフッ 上様にお叱りを受けます。 ん? アハハ…。 131 00:09:47,880 --> 00:09:51,590 でも 父上 奥方が つつましく美人と→ 132 00:09:51,590 --> 00:09:54,960 誉れ高いと その易者さんに言われたと→ 133 00:09:54,960 --> 00:09:58,340 辰三さんにお聞きしましたが それは まことですか? 134 00:09:58,340 --> 00:10:04,390 そうだったかな。 それは つまり その~…→ 135 00:10:04,390 --> 00:10:06,750 母上のことなのでしょうか。 136 00:10:06,750 --> 00:10:09,440 決まってるじゃありませんか 若様。 137 00:10:09,440 --> 00:10:11,470 つつましく ねえ…。 フフフ…。 138 00:10:11,470 --> 00:10:16,510 何ですか? 求次郎。 いえ 別に! 失礼します。 139 00:10:16,510 --> 00:10:18,860 (笑い声) 140 00:10:18,860 --> 00:10:23,920 (勘太)酒こぼしたぐれえで あんなに 怒んなくたって…。 (笑い声) 141 00:10:23,920 --> 00:10:27,290 何でしょう? (堅太郎)さあな? 142 00:10:27,290 --> 00:10:29,640 ・人殺しだ! ああっ…。 143 00:10:29,640 --> 00:10:31,640 どうした!? あっ…。 144 00:10:34,020 --> 00:10:37,730 さっきの やつらだ。 勘太! へい! 145 00:10:37,730 --> 00:10:40,410 (呼び子) 146 00:10:40,410 --> 00:10:43,450 (喬之助)顔は見なかったんですか? はあ… 暗くて見えなかった。 147 00:10:43,450 --> 00:10:47,150 (筧)勘太 お前もか? へい。 すいやせん。 148 00:10:47,150 --> 00:10:51,150 後を追ってはみたんですが 影も形も…。 149 00:10:59,270 --> 00:11:03,980 誰だ? 呼んだのは。 仮にも南の与力ですよ 筧さん。 150 00:11:03,980 --> 00:11:08,360 (左門)何をしておる? 片瀬。 はっ? 151 00:11:08,360 --> 00:11:11,720 下手人を逃した口裏合わせか。 いや…。 152 00:11:11,720 --> 00:11:14,090 駿介! いや 私は そんな言い方してません。 153 00:11:14,090 --> 00:11:17,090 だが 今のは聞き捨てならねえ…。 154 00:11:22,500 --> 00:11:24,530 なら まず動け! うん? 155 00:11:24,530 --> 00:11:29,580 この者の素性を確かめ 身内に知らせるのが先だ。 156 00:11:29,580 --> 00:11:34,290 その上で恨んでいる者が いたか いなかったのか。 157 00:11:34,290 --> 00:11:37,650 それによって 下手人の姿も また変わってくる。 158 00:11:37,650 --> 00:11:41,020 くだらない詮議は あとにしろ! 159 00:11:41,020 --> 00:11:44,390 勘太 行くぞ! へい! 160 00:11:44,390 --> 00:11:48,390 (喬之助)筧さん… 筧さん! 筧さん! 161 00:11:55,500 --> 00:11:58,860 ありがとうございました。 162 00:11:58,860 --> 00:12:00,220 ・(子吉)この先 どうなるんすかね? 南の旦那たちは。 163 00:12:00,220 --> 00:12:03,250 神山様の言ってることは 間違えじゃないが→ 164 00:12:03,250 --> 00:12:05,600 言い方ってのがあるよな 言い方ってのが。 165 00:12:05,600 --> 00:12:09,980 それで どうなったんですか? ん~ 殺された男の素性は分かったが→ 166 00:12:09,980 --> 00:12:12,340 人に恨みを買ってる節はなかった。 うん。 167 00:12:12,340 --> 00:12:15,700 逃げた侍が 4~5人にいたってことだから 多分…。 168 00:12:15,700 --> 00:12:17,390 辻斬り!? お~ 怖っ…。 169 00:12:17,390 --> 00:12:20,080 夜道は気を付けな お秀さん。 170 00:12:20,080 --> 00:12:22,440 だんびら ぶら下げてりゃ 斬りたくなるらしいからな。 171 00:12:22,440 --> 00:12:24,440 冗談じゃありませんよ! ヘヘヘ…。 172 00:12:28,490 --> 00:12:33,220 (小春)一体 近頃のお前は どうしたのです? そのような姿→ 173 00:12:33,220 --> 00:12:38,930 亡き父上に 申し訳ないとは思わないのですか? 174 00:12:38,930 --> 00:12:44,650 お前は敵を追う身なのですよ。 分かってます! 175 00:12:44,650 --> 00:12:47,680 そうですか。 176 00:12:47,680 --> 00:12:53,420 でしたら 敵の田所伴内は見つけたのですか? 177 00:12:53,420 --> 00:12:56,450 母が 仕立物で日々の暮らしを立て→ 178 00:12:56,450 --> 00:13:01,830 お前は 毎日 江戸の町に出て 伴内を捜すと誓ったではありませんか。 179 00:13:01,830 --> 00:13:09,900 それが 何ですか… どこぞの旗本奴の 腰巾着と成り果て 毎日毎日 酒浸り。 180 00:13:09,900 --> 00:13:12,270 侍としての意地は どこに行ったのです! 181 00:13:12,270 --> 00:13:15,630 そんなもの とっくに なくしてます。 小一郎! 182 00:13:15,630 --> 00:13:19,340 だからこそ 沼田友之助のような男にも こびへつらっているのです。 183 00:13:19,340 --> 00:13:24,050 沼田の家は代々の旗本 その父は小普請支配 あわよくば…。 184 00:13:24,050 --> 00:13:26,050 お黙りなさい! 185 00:13:31,790 --> 00:13:38,530 父上の敵 田所伴内を討ち取り お家再興を果たすのが あなたの務め。 186 00:13:38,530 --> 00:13:42,570 この10年 そのためだけに 生きてきたのではありませんか! 187 00:13:42,570 --> 00:13:47,290 お家再興 お家再興… 四宮の家が そんなに大事ですか!? 188 00:13:47,290 --> 00:13:50,980 たとえ 敵を討ったとしても 帰参がかなうかどうかなんて→ 189 00:13:50,980 --> 00:13:53,680 分かりっこないじゃありませんか! 190 00:13:53,680 --> 00:14:00,420 なんという情けないことを… それでも あなたは 父上の子ですか!? 191 00:14:00,420 --> 00:14:06,140 父上の子だから こんな ありさまなんじゃありませんか。 192 00:14:06,140 --> 00:14:09,500 もういいです。 193 00:14:09,500 --> 00:14:11,860 離してください! 194 00:14:11,860 --> 00:14:13,210 これは どうしたのです? 195 00:14:13,210 --> 00:14:16,240 えっ? 196 00:14:16,240 --> 00:14:19,270 (小春)血では… ありませんか? 197 00:14:19,270 --> 00:14:21,620 何でもありません! 198 00:14:21,620 --> 00:14:23,320 小一郎! (戸を閉める音) 199 00:14:23,320 --> 00:14:26,000 夜を徹しての見回り? 200 00:14:26,000 --> 00:14:30,050 ちまたで辻斬りが出たという話が 飛び交っております。 201 00:14:30,050 --> 00:14:37,050 ああいった輩は それを面白がり 必ずや 数日のうちに またやります。 202 00:14:38,470 --> 00:14:41,500 筧らを試すつもりか? 神山。 203 00:14:41,500 --> 00:14:46,540 悪党どもを捕らまえんがため。 うん…。 204 00:14:46,540 --> 00:14:49,240 あら 神山さん。 205 00:14:49,240 --> 00:14:52,930 これ いい匂いよ。 ほら。 206 00:14:52,930 --> 00:14:55,640 はあ…。 母親を見知っておるのか? 207 00:14:55,640 --> 00:15:01,690 いや…。 まあ… はい。 208 00:15:01,690 --> 00:15:08,430 忠相には話してなかったの? はあ… まあ…。 209 00:15:08,430 --> 00:15:14,150 <神山左門は 幼い頃 二親を盗賊に殺められ→ 210 00:15:14,150 --> 00:15:19,870 その折 忠相の父 忠高に 神山家への養子縁組みを→ 211 00:15:19,870 --> 00:15:24,250 取り計らってもらったという いきさつがあった> 212 00:15:24,250 --> 00:15:30,980 私たちは それ以来の間柄。 ねっ? は… はあ。 213 00:15:30,980 --> 00:15:33,010 いや それは また奇遇な。 まことに! 214 00:15:33,010 --> 00:15:38,400 そのような方が南の与力になられるとは ご縁ですねえ。 215 00:15:38,400 --> 00:15:42,430 そうだな。 216 00:15:42,430 --> 00:15:44,780 神山。 217 00:15:44,780 --> 00:15:48,160 先ほどの話 やってみろ。 218 00:15:48,160 --> 00:15:50,520 はっ! 219 00:15:50,520 --> 00:15:53,550 ええっ!? はあ? 夜通しの見回りだ? 220 00:15:53,550 --> 00:15:56,570 寝るなってことか…。 正気ですか? 221 00:15:56,570 --> 00:15:58,260 (勘太)殺す気だな 俺たちを。 222 00:15:58,260 --> 00:16:01,950 だからって… ねえ? 223 00:16:01,950 --> 00:16:03,310 やるんすか? 224 00:16:03,310 --> 00:16:05,670 やらいでか。 225 00:16:05,670 --> 00:16:08,360 ここで逃げたら江戸っ子の名折れよ。 226 00:16:08,360 --> 00:16:13,740 しかも 神山様は大奥様の肝煎りですしね。 227 00:16:13,740 --> 00:16:15,100 そういうこった! 228 00:16:15,100 --> 00:16:19,810 おめえら 南の気概を見せてやれ! 229 00:16:19,810 --> 00:16:21,160 (一同)お~! 230 00:16:21,160 --> 00:16:25,530 旦那方 気張ってくださいよ。 231 00:16:25,530 --> 00:16:37,310 ・~ 232 00:16:37,310 --> 00:16:39,340 大丈夫か? へい。 233 00:16:39,340 --> 00:16:42,370 (新三郎)ああ そうだ 易者の伴内先生のうちだな? 234 00:16:42,370 --> 00:16:46,370 そう…。 ああ ありがとう ありがとう。 ふう…。 235 00:16:49,770 --> 00:16:52,130 ・(お美津)嘘でしょ? 伴内先生。 236 00:16:52,130 --> 00:16:56,500 まことのことだ。 私は…→ 237 00:16:56,500 --> 00:16:59,540 敵として追われる身なのだ。 238 00:16:59,540 --> 00:17:01,540 信じられない…。 239 00:17:04,250 --> 00:17:09,640 10年前 私の友人に→ 240 00:17:09,640 --> 00:17:12,670 四宮直太郎という男がおってな。 241 00:17:12,670 --> 00:17:17,050 息子や女房まで打擲してるという 話を聞き→ 242 00:17:17,050 --> 00:17:20,410 友として 諫めようとしたんだが…。 243 00:17:20,410 --> 00:17:22,770  回想 (直太郎)黙れ 黙れ 黙れ!→ 244 00:17:22,770 --> 00:17:27,770 黙らねば… 斬る! 245 00:17:34,550 --> 00:17:36,550 おのれ~! 246 00:17:38,260 --> 00:17:42,970 ああ… おのれ~! 247 00:17:42,970 --> 00:17:44,320 (斬る音) ああっ…。 248 00:17:44,320 --> 00:17:46,320 あっ…。 (石に頭がぶつかる音) 249 00:17:54,090 --> 00:17:57,110 (伴内)それから10年…。 250 00:17:57,110 --> 00:18:02,500 小一郎を… 直太郎の息子を 江戸で見かけた。 251 00:18:02,500 --> 00:18:07,880 忘れかけていたことを 思い出してしまったのだ。 252 00:18:07,880 --> 00:18:10,580 所詮 逃げられぬのだと。 253 00:18:10,580 --> 00:18:16,640 ならば 武士として 尋常に 勝負をしなければならぬ。 254 00:18:16,640 --> 00:18:22,370 そんな… そんな…。 255 00:18:22,370 --> 00:18:25,370 ・(伴内)しかたのないことなのだ。 256 00:18:29,100 --> 00:18:35,830 お美津殿にだけは このことは きちんと話しておかねばならんと思うた。 257 00:18:35,830 --> 00:18:37,850 いつもいつも世話になってばかり…。 258 00:18:37,850 --> 00:18:42,240 嫌です… 嫌です! 259 00:18:42,240 --> 00:18:47,280 伴内先生は もう お侍なんかじゃない。 260 00:18:47,280 --> 00:18:50,980 ただの易者の先生。 そうでしょ? 261 00:18:50,980 --> 00:18:55,360 しかしな…。 262 00:18:55,360 --> 00:19:06,800 (お千代の泣き声) 263 00:19:06,800 --> 00:19:10,510 (お美津)ごめんね… 泣かないで。 (泣き声) 264 00:19:10,510 --> 00:19:14,550 ・(泣き声) はあ…。 265 00:19:14,550 --> 00:19:16,910 まことか…。 はあ…。 266 00:19:16,910 --> 00:19:19,940 伊織に請われ 様子を見に行ったのですが→ 267 00:19:19,940 --> 00:19:23,310 声もかけられずに こうして…。 268 00:19:23,310 --> 00:19:25,660 あの男がな…。 269 00:19:25,660 --> 00:19:29,030 余命いくばくもないことを 知らぬそうですね。 270 00:19:29,030 --> 00:19:33,410 うん… それを知ったら…→ 271 00:19:33,410 --> 00:19:37,110 あの男 尋常の勝負どころか→ 272 00:19:37,110 --> 00:19:40,810 敵として討たれてやるとまで 言うかもしれんな。 273 00:19:40,810 --> 00:19:46,200 ですが そうなったら あの親子が…。 悲しむだろう…。 274 00:19:46,200 --> 00:19:52,930 だが… 四宮小一郎なる男を 返り討ちにしたところで→ 275 00:19:52,930 --> 00:19:55,960 その命は長くはもたぬ。 276 00:19:55,960 --> 00:20:01,020 どちらにしろ 悲しい定めが待ち受けているのですね。 277 00:20:01,020 --> 00:20:08,760 武士のならいといえ 仇討ちとは… むなしいものです。 278 00:20:08,760 --> 00:20:13,470 ・(犬の鳴き声) 279 00:20:13,470 --> 00:20:16,840 斬るか。 280 00:20:16,840 --> 00:20:18,840 やりますか。 281 00:20:23,910 --> 00:20:27,280 何だ!? お前たちは! 一度も二度も同じことよ。 282 00:20:27,280 --> 00:20:30,280 なあ? 小一郎。 283 00:20:33,010 --> 00:20:35,700 よしましょう 友之助殿。 どうした? 284 00:20:35,700 --> 00:20:39,730 もうやめてください! 引っ込んでろ! 285 00:20:39,730 --> 00:20:41,080 あっ…。 286 00:20:41,080 --> 00:20:43,440 ああ~! あっ ああっ! いっ…。 287 00:20:43,440 --> 00:20:47,150 (刺す音) ああ~! あっ あっ ああ~ あっ…! 288 00:20:47,150 --> 00:20:51,860 やめてください! 誰か! 誰か! 誰か 助けて… 誰か! 289 00:20:51,860 --> 00:20:54,550 (刺す音) うわっ! ああ~! 290 00:20:54,550 --> 00:20:56,910 子吉! へい! 291 00:20:56,910 --> 00:20:58,260 (呼び子) 292 00:20:58,260 --> 00:21:04,980 小一郎! 貴様 なぜ邪魔をした? あっ… あっ… あっ あっ…。 293 00:21:04,980 --> 00:21:09,040 あっ あっ あっ あっ…。 294 00:21:09,040 --> 00:21:12,070 あっ… あっ…。 295 00:21:12,070 --> 00:21:14,420 うわっ! 296 00:21:14,420 --> 00:21:17,110 あ~! うわっ! 297 00:21:17,110 --> 00:21:19,110 うっ…。 298 00:21:27,880 --> 00:21:30,240 友之助殿! あっ あっ…。 299 00:21:30,240 --> 00:21:33,610 友之助殿! 友之助殿! あっ ああっ あ~! 300 00:21:33,610 --> 00:21:37,640 あっ 旦那! 旦那 旦那…! 301 00:21:37,640 --> 00:21:41,640 あっ そこを動くなよ! おとなしくしてろい! 302 00:21:47,080 --> 00:21:54,820 ・~ 303 00:21:54,820 --> 00:21:57,850 (堅太郎)殺された2人は 小間物屋の主人と女中。→ 304 00:21:57,850 --> 00:22:02,230 斬った男は四宮小一郎という浪人者だと。 305 00:22:02,230 --> 00:22:07,610 四宮小一郎? 306 00:22:07,610 --> 00:22:11,320 何か? いや… 続けてくれ。 307 00:22:11,320 --> 00:22:16,700 四宮小一郎は 小普請支配 沼田主膳の嫡男 友之助の→ 308 00:22:16,700 --> 00:22:18,060 取り巻きの一人だったそうです。 309 00:22:18,060 --> 00:22:20,080 その取り巻きたちの話では→ 310 00:22:20,080 --> 00:22:25,460 3日前の辻斬りも 四宮小一郎の仕業だったと。 311 00:22:25,460 --> 00:22:27,810 (駿介)町方に引き渡そうとしたやさき→ 312 00:22:27,810 --> 00:22:30,180 いきなり 2人をたたき殺して 刃向かってきたと言ってます。 313 00:22:30,180 --> 00:22:35,180 どうも うさんくさい話です。 眉に唾かと。 314 00:22:37,580 --> 00:22:40,280 探ってみろ。 (一同)はっ! 315 00:22:40,280 --> 00:22:43,640 (主膳) このままで済ますわけにはいかぬ。→ 316 00:22:43,640 --> 00:22:49,360 沼田の家の嫡男が 辻斬りなぞであっては断じてならん! 317 00:22:49,360 --> 00:22:51,050 逃げた者の住まいは どこだ? 318 00:22:51,050 --> 00:22:54,750 た た た… 確か 浅草田原町の→ 319 00:22:54,750 --> 00:22:56,110 裏長屋と聞いた覚えが。 320 00:22:56,110 --> 00:22:59,130 町方には話したのか? 321 00:22:59,130 --> 00:23:03,840 いえ…。 ならば…→ 322 00:23:03,840 --> 00:23:09,570 町方より先に見つけ出し その男をたたき斬れ! 323 00:23:09,570 --> 00:23:12,600 辻斬りの下手人としてな。 324 00:23:12,600 --> 00:23:18,660 首尾よく果たせば 仕官の道も開けよう。 325 00:23:18,660 --> 00:23:20,010 よいな! 326 00:23:20,010 --> 00:23:35,160 ・~ 327 00:23:35,160 --> 00:23:38,860 おい! 待て! 328 00:23:38,860 --> 00:23:44,580 取り巻き連中が? 狙いは 小一郎かと。 329 00:23:44,580 --> 00:23:47,610 武家の面目か…。 330 00:23:47,610 --> 00:23:53,670 友之助の評判が すこぶる悪く 恐らく 辻斬りも…。 331 00:23:53,670 --> 00:23:56,670 お奉行にお知らせしておく。 332 00:23:59,730 --> 00:24:02,770 では…。 333 00:24:02,770 --> 00:24:04,770 頼むぞ。 334 00:24:14,880 --> 00:24:16,240 はい。 335 00:24:16,240 --> 00:24:19,600 辻斬り!? 先生の八卦で→ 336 00:24:19,600 --> 00:24:23,300 そいつの居場所 分かんねえかねえ? それが分かりゃ苦労しねえや! 337 00:24:23,300 --> 00:24:26,300 (笑い声) ああ そのとおり。 338 00:24:30,380 --> 00:24:33,380 体 大事にな。 339 00:24:38,790 --> 00:24:42,790 小一郎が辻斬り… ばかな。 340 00:24:48,230 --> 00:24:50,580 もう店じまいか? 341 00:24:50,580 --> 00:24:55,630 おっ これは 大橋殿。 342 00:24:55,630 --> 00:24:59,660 辻斬りの人相書きだな。 343 00:24:59,660 --> 00:25:04,040 この男が… 辻斬りであろうはずがない。 344 00:25:04,040 --> 00:25:09,040 お主の知り合いなのだな? お手前には関わりなきこと。 345 00:25:12,130 --> 00:25:19,190 あっ… うっ! うっ ああ…。 346 00:25:19,190 --> 00:25:21,550 痛むか? 347 00:25:21,550 --> 00:25:23,570 平気だ。 348 00:25:23,570 --> 00:25:29,290 大橋殿… すまぬが頼まれてくれぬか? 何だ? 349 00:25:29,290 --> 00:25:33,290 この若者を… 共に捜してもらいたい。 350 00:25:35,360 --> 00:25:40,360 敵と狙う男を捜せと言うのか? 何故? 351 00:25:43,430 --> 00:25:47,140 この10年 苦労の連続であった。 352 00:25:47,140 --> 00:25:54,880 山の頂に 大きな岩を運んでも 途端に滑り落ちていく…→ 353 00:25:54,880 --> 00:26:00,610 そんな夢ばかり 見続けたあげくに 酒に溺れて ボロボロになったのを→ 354 00:26:00,610 --> 00:26:03,640 救ってくれたのが 長屋の親子でな。 355 00:26:03,640 --> 00:26:05,330 起こしますよ。 356 00:26:05,330 --> 00:26:08,360 (伴内)亭主を病で亡くしておるので→ 357 00:26:08,360 --> 00:26:12,070 看病は お手のものだと 笑う姿が いとおしくてな。 358 00:26:12,070 --> 00:26:15,420 うん? おお…。 359 00:26:15,420 --> 00:26:19,800 (伴内)幸せとは こういうものかと しみじみと思え→ 360 00:26:19,800 --> 00:26:23,510 その幸せを逃したくなかった。 361 00:26:23,510 --> 00:26:25,530 だが 同じように…→ 362 00:26:25,530 --> 00:26:32,260 10年という年月が 小一郎にもあったはずなのだ。 363 00:26:32,260 --> 00:26:37,980 私を敵と狙い続けた10年が。 364 00:26:37,980 --> 00:26:46,070 その小一郎が江戸にいると分かっては もう逃げてはおられぬ。 365 00:26:46,070 --> 00:26:52,460 大橋殿… これ すなわち 天の声。 366 00:26:52,460 --> 00:26:58,850 天の声か…。 お手前を巻き込むのは忍びないが→ 367 00:26:58,850 --> 00:27:05,600 何しろ この体では 少々 心もとない。 願わくば…。 368 00:27:05,600 --> 00:27:08,620 分かった。 369 00:27:08,620 --> 00:27:10,970 ハァ… ハァ… ハァ…。 370 00:27:10,970 --> 00:27:14,350 では あなたは 辻斬りの仲間だったのですか? 371 00:27:14,350 --> 00:27:19,730 その者たちが私を捜してます! 追われているのです 私は! 372 00:27:19,730 --> 00:27:25,790 もしかすると 町方にも…。 どうしたらよいのですか!? 母上! 373 00:27:25,790 --> 00:27:27,470 しっかりなさい! 374 00:27:27,470 --> 00:27:32,530 武士なら武士らしく 逃げ回ることなく 身の証しを訴え出るのです! 375 00:27:32,530 --> 00:27:35,230 ですが… 人を斬ったのです。 376 00:27:35,230 --> 00:27:40,280 私は この手で人を…。 377 00:27:40,280 --> 00:27:45,990 小一郎 あなたは 間違ったことをしたわけではありません。 378 00:27:45,990 --> 00:27:48,020 辻斬りを成敗したのです。 379 00:27:48,020 --> 00:27:50,700 そのことを お上に訴え出れば→ 380 00:27:50,700 --> 00:27:52,400 称賛されることはあっても 非難されることは…。 381 00:27:52,400 --> 00:27:55,760 (戸が開く音) ひっ! 382 00:27:55,760 --> 00:28:03,760 それは困る。 お主には辻斬りとして 死んでもらうしかないのだ。 383 00:28:07,880 --> 00:28:13,930 あっ! あっ あっ… あっ あっ! 384 00:28:13,930 --> 00:28:16,640 逃げなさい 小一郎! 母上! 早く! 385 00:28:16,640 --> 00:28:25,060 ・~ 386 00:28:25,060 --> 00:28:28,760 どうした? 何があった? 387 00:28:28,760 --> 00:28:33,470 ここのうちに お侍が数人やって来て 大騒ぎさ! 388 00:28:33,470 --> 00:28:39,190 小春殿! 遅かったか…。 389 00:28:39,190 --> 00:28:41,550 小一郎は どうした? 390 00:28:41,550 --> 00:28:45,260 んっ…。 こ… 小一郎は…。 391 00:28:45,260 --> 00:28:48,290 あっ あなたは…? 392 00:28:48,290 --> 00:28:51,320 伴内じゃ。 田所伴内。 393 00:28:51,320 --> 00:28:53,320 伴内…? 394 00:28:55,030 --> 00:29:00,740 はっ… 夫の敵! 395 00:29:00,740 --> 00:29:02,090 覚悟! よせ! 396 00:29:02,090 --> 00:29:05,450 お… お離しください! この男は夫の敵なのです! 397 00:29:05,450 --> 00:29:10,170 だとしてもだ! 奉行の前で 刃傷沙汰は許さぬ! 398 00:29:10,170 --> 00:29:14,880 えっ? 南町奉行 大岡越前だ。 399 00:29:14,880 --> 00:29:17,580 あっ… お… 大岡様? 400 00:29:17,580 --> 00:29:21,580 小春とやら 小一郎が来たのだな? 401 00:29:25,320 --> 00:29:28,690 辻斬りを殺めたと…。 402 00:29:28,690 --> 00:29:32,720 ですが その小一郎を追って3人の男が! 403 00:29:32,720 --> 00:29:34,750 お奉行! お奉行! 404 00:29:34,750 --> 00:29:38,450 近くで くだんの浪人たちを 見た者がおりました。 405 00:29:38,450 --> 00:29:42,830 小一郎が追われておる。 まだ 遠くへは行ってはおらぬはず! 捜せ! 406 00:29:42,830 --> 00:29:44,830 (駿介 喬之助)ははっ! 407 00:29:46,870 --> 00:29:50,240 お手前… まことに 大岡殿? 408 00:29:50,240 --> 00:29:53,240 話は あとだ。 小一郎を捜そう。 409 00:29:55,290 --> 00:30:03,370 小春殿… 仇討ちは しばし 奉行に預けてもらう。 410 00:30:03,370 --> 00:30:05,370 よいな? 411 00:30:06,070 --> 00:30:15,160 小春殿… それがし 逃げも隠れもせぬ。 必ず 小一郎を救い出してみせるでな。 412 00:30:15,160 --> 00:30:26,270 ・~ 413 00:30:26,270 --> 00:30:29,300 ハァ… ハァ…。 414 00:30:29,300 --> 00:30:31,650 死んでもらうぞ。 415 00:30:31,650 --> 00:30:37,710 恨むなよ お前の命に 我らの仕官が懸かっておる。 416 00:30:37,710 --> 00:30:39,060 これまでだ。 417 00:30:39,060 --> 00:30:43,100 小一郎! んっ! 418 00:30:43,100 --> 00:30:46,800 この者を殺させるわけにはいかん。 419 00:30:46,800 --> 00:30:51,520 田所伴内 この命を懸けて守ってみせる! 420 00:30:51,520 --> 00:30:54,550 何!? やっ! ああっ! 421 00:30:54,550 --> 00:30:57,240 や~! ああ~! 422 00:30:57,240 --> 00:31:03,300 ・~ 423 00:31:03,300 --> 00:31:05,650 ああっ! 424 00:31:05,650 --> 00:31:11,380 ・~ 425 00:31:11,380 --> 00:31:13,730 や~! や~! あっ…。 426 00:31:13,730 --> 00:31:19,120 ・~ 427 00:31:19,120 --> 00:31:21,480 うお~! 428 00:31:21,480 --> 00:31:24,840 うっ…。 429 00:31:24,840 --> 00:31:26,840 お奉行! 430 00:31:29,560 --> 00:31:33,560 大事ないか? かたじけない… 大岡殿。 431 00:31:35,950 --> 00:31:40,670 ・ こんこん小山の子兎は 432 00:31:40,670 --> 00:31:46,730 当人は知らぬことだ。 ・ なぜにお耳が長うござる 433 00:31:46,730 --> 00:31:51,780 ・ おッ母ちゃんの ぽんぽにいた時に 434 00:31:51,780 --> 00:31:55,490 泣いてはいかん。 はい…。 435 00:31:55,490 --> 00:32:00,210 遠州浪人 大倉厳八 以下3名の者→ 436 00:32:00,210 --> 00:32:06,930 その方ら 旗本 沼田主膳が嫡男 友之助の 辻斬りに加担し→ 437 00:32:06,930 --> 00:32:14,680 四宮小一郎に罪をかぶせんがため 殺そうと たくらんだこと間違いないな? 438 00:32:14,680 --> 00:32:19,060 武家の面目のため たくらみを謀った沼田主膳は→ 439 00:32:19,060 --> 00:32:23,770 評定所にて厳しき沙汰を受ける。 440 00:32:23,770 --> 00:32:28,150 その方らは この越前が 余罪ことごとく吟味いたすゆえ→ 441 00:32:28,150 --> 00:32:31,180 さよう 心得よ。 442 00:32:31,180 --> 00:32:33,180 引き立てい! 443 00:32:38,580 --> 00:32:44,310 さて 四宮小一郎 その母 小春。 444 00:32:44,310 --> 00:32:49,360 奉行所に 仇討ち願い届が出ておるが これに相違ないな? 445 00:32:49,360 --> 00:32:53,730 相違ございません。 446 00:32:53,730 --> 00:32:56,730 田所伴内を これへ。 はっ! 447 00:33:09,560 --> 00:33:15,960 伴内は 今 体が思わしくないので 付き添いがおる。 448 00:33:15,960 --> 00:33:21,680 さて… 仇討ち願が出ており 田所伴内もまた→ 449 00:33:21,680 --> 00:33:26,070 父の敵として 尋常に勝負に及ぶと 申しておるが…。 450 00:33:26,070 --> 00:33:30,100 お奉行様に申し上げます! 451 00:33:30,100 --> 00:33:34,150 その仇討ち願 取り下げたく存じます。 452 00:33:34,150 --> 00:33:37,180 何? 小一郎…。 453 00:33:37,180 --> 00:33:41,880 父は 私にとって恐怖でした。 454 00:33:41,880 --> 00:33:46,270 幼い頃より 口応えすることを許されず 事あれば打擲され…。 455 00:33:46,270 --> 00:33:48,620 おのれ~! 456 00:33:48,620 --> 00:33:53,000 (小一郎)そんな恐怖の日々から ある日 突然 解き放たれたのです。 457 00:33:53,000 --> 00:34:00,740 なのに 武家のならい しきたりだと 父の敵を討つ旅に出ると言われ→ 458 00:34:00,740 --> 00:34:05,120 10年もの間 今度は 母に口応えすることを許されない旅を→ 459 00:34:05,120 --> 00:34:07,470 続けなければならなかったのです。 460 00:34:07,470 --> 00:34:13,530 泣き言は およしなさい 小一郎! 武家にとって お家が大事! 461 00:34:13,530 --> 00:34:19,590 どんなことがあろうとも お家再興を 果たすのが 役目ではありませんか。 462 00:34:19,590 --> 00:34:23,300 そうではございませんか? お奉行様。 463 00:34:23,300 --> 00:34:28,350 なのに この期に及んで…。 母は悔しくてなりません。 464 00:34:28,350 --> 00:34:35,350 敵は ここにおるのです! 父を殺した田所伴内が ここに! 465 00:34:38,450 --> 00:34:42,450 私も人殺しなのです 母上。 466 00:34:44,840 --> 00:34:49,560 辻斬りだとはいえ 沼田友之助を斬ったのです。 467 00:34:49,560 --> 00:34:52,590 人の一生を この手で絶ったのです。 468 00:34:52,590 --> 00:34:57,310 怖くて… 怖くて震えが止まりませんでした。 469 00:34:57,310 --> 00:35:01,010 恐らく 伴内殿とて同じ。 470 00:35:01,010 --> 00:35:06,400 この10年の間 その恐怖と 闘い続けていたに違いないのです! 471 00:35:06,400 --> 00:35:09,760 そうでしょ!? 伴内殿! 472 00:35:09,760 --> 00:35:15,820 だが… だが それでも私は そなたの父の敵…。 473 00:35:15,820 --> 00:35:18,180 うっ…。 伴内先生!? 474 00:35:18,180 --> 00:35:20,870 大事ない。 475 00:35:20,870 --> 00:35:23,900 小一郎殿 尋常に勝負を! 476 00:35:23,900 --> 00:35:27,610 できません… 私には できません! 477 00:35:27,610 --> 00:35:29,300 母上 お許しを! 478 00:35:29,300 --> 00:35:34,680 小春 どうする? 479 00:35:34,680 --> 00:35:44,780 この方や小一郎に 10年があったように 私にもありました。 480 00:35:44,780 --> 00:35:51,180 女の身で 小一郎を 叱咤し続けなければならない つらさ…。 481 00:35:51,180 --> 00:35:58,590 それを耐え忍べたのは… あんな夫でも 敵を討ちさえすれば…→ 482 00:35:58,590 --> 00:36:05,980 四宮の家が… お家が再興する…。 483 00:36:05,980 --> 00:36:08,020 ただ ただ それだけのために…。 484 00:36:08,020 --> 00:36:14,080 小一郎のためだけを思い 生き続けてきたのです。 485 00:36:14,080 --> 00:36:18,780 敵を討たせるためだけに! 486 00:36:18,780 --> 00:36:23,500 そ… そうだ… そのとおりだ! 487 00:36:23,500 --> 00:36:28,880 小一郎… 私と勝負するのだ。 488 00:36:28,880 --> 00:36:31,880 母の涙をむげにしてはならん! 489 00:36:34,270 --> 00:36:36,620 でも…→ 490 00:36:36,620 --> 00:36:38,990 でも もし 伴内先生を殺したら→ 491 00:36:38,990 --> 00:36:41,680 私が許さない…。 492 00:36:41,680 --> 00:36:45,390 必ず 必ず敵を討ちます! 493 00:36:45,390 --> 00:36:47,740 何を言うんだ お美津殿! 494 00:36:47,740 --> 00:36:50,430 控えい お美津。 495 00:36:50,430 --> 00:36:54,140 その気持ち分からんでもないが 重敵は禁じられておる。 496 00:36:54,140 --> 00:36:56,490 申し訳ございません! 497 00:36:56,490 --> 00:37:01,210 でも… でも…。 498 00:37:01,210 --> 00:37:10,210 武家のならいとはいえ… 仇を討つとは罪深いことかもしれんな…。 499 00:37:13,330 --> 00:37:21,740 伴内は その方らの 夫であり 父でもある男を斬った。 500 00:37:21,740 --> 00:37:25,790 それは… 許し難いことであろう。 501 00:37:25,790 --> 00:37:30,170 だが 伴内は 敵として狙われているにもかかわらず→ 502 00:37:30,170 --> 00:37:37,240 小一郎の命を救おうとしたところを この奉行が見ておる。 503 00:37:37,240 --> 00:37:43,300 人とは… 必ず いつか死ぬ。 504 00:37:43,300 --> 00:37:46,330 伴内とて同じ。 505 00:37:46,330 --> 00:37:56,330 仇討ちなど せずとも いつか… 仇討ちの旅は閉じることになる。 506 00:37:59,450 --> 00:38:02,480 それでよいのではないか? 507 00:38:02,480 --> 00:38:04,840 ですが…! (伴内)うっ…。 (お美津)伴内先生!? 508 00:38:04,840 --> 00:38:09,890 うっ… 平気だ。 大事ない。 509 00:38:09,890 --> 00:38:12,920 ただの胃の腑の疲れ。 510 00:38:12,920 --> 00:38:17,920 そ… そうであろう? お奉行殿。 511 00:38:20,670 --> 00:38:25,670 うむ… そうだな。 512 00:38:47,600 --> 00:38:52,320 そうでしたか…。 513 00:38:52,320 --> 00:38:56,030 そうですね…。 514 00:38:56,030 --> 00:39:03,760 お奉行様が そう おっしゃるなら 私は もう…。 515 00:39:03,760 --> 00:39:05,760 母上? 516 00:39:08,480 --> 00:39:11,510 よいのです…。 517 00:39:11,510 --> 00:39:15,510 もう… よいのです。 518 00:39:16,900 --> 00:39:21,940 小春殿… それはいかん。 519 00:39:21,940 --> 00:39:23,630 いかん! 520 00:39:23,630 --> 00:39:28,350 いいえ。 521 00:39:28,350 --> 00:39:32,720 10年かかりましたが…→ 522 00:39:32,720 --> 00:39:38,120 お奉行様のお声で ようやく…→ 523 00:39:38,120 --> 00:39:42,820 肩の荷が下りました。 524 00:39:42,820 --> 00:39:52,590 ・~ 525 00:39:52,590 --> 00:39:58,640 お奉行殿… これは 天の声であろうか? 526 00:39:58,640 --> 00:40:02,350 いかにも…→ 527 00:40:02,350 --> 00:40:04,350 天の声。 528 00:40:07,400 --> 00:40:13,130 ご両人… すまなかった。 529 00:40:13,130 --> 00:40:16,490 私を許してくれ! 530 00:40:16,490 --> 00:40:18,850 このとおりだ! 531 00:40:18,850 --> 00:40:26,590 ・~ 532 00:40:26,590 --> 00:40:29,960 伴内。 533 00:40:29,960 --> 00:40:37,960 お美津と共に 命尽きる その時まで… 幸せにな。 534 00:40:39,720 --> 00:40:43,720 ありがとうございます お奉行様! 535 00:40:47,470 --> 00:40:51,180 ハハハ お千代坊…。 536 00:40:51,180 --> 00:41:08,010 ・~ 537 00:41:08,010 --> 00:41:11,380 <田所伴内は それから ひとつき後→ 538 00:41:11,380 --> 00:41:15,380 黄泉の国へと旅立った> 539 00:41:25,850 --> 00:41:29,560 (吉宗)そうか… そのようなことがな。 540 00:41:29,560 --> 00:41:32,260 のう 忠相。 はっ。 541 00:41:32,260 --> 00:41:37,640 風穴というのを知っておるか? はっ? 542 00:41:37,640 --> 00:41:43,700 この世の どこかの山の中にあるらしい。 543 00:41:43,700 --> 00:41:46,730 その穴に石を投げ込むと→ 544 00:41:46,730 --> 00:41:53,790 不思議なことに 幾日も 風が吹き荒れるという。 545 00:41:53,790 --> 00:42:02,790 大きな石を投げ込むと… 風は 更に強くなる。 546 00:42:04,570 --> 00:42:11,300 武家の世にも 風穴があれば 石を投げ込みたいものでございます。 547 00:42:11,300 --> 00:42:14,010 さすれば 仇討ちも…。 548 00:42:14,010 --> 00:42:16,360 うむ…。 549 00:42:16,360 --> 00:42:20,400 <「風穴を開ける」と人は言う。→ 550 00:42:20,400 --> 00:42:25,120 たった一つの石が 何かが変わるきっかけになれば→ 551 00:42:25,120 --> 00:42:29,820 いつでも投げ込む覚悟を 持たねばならないと思う→ 552 00:42:29,820 --> 00:42:32,820 忠相であった> 553 00:42:34,870 --> 00:42:37,900 <次回「大岡越前」> 554 00:42:37,900 --> 00:42:39,590 末代まで たたったるさかいにな! 555 00:42:39,590 --> 00:42:45,650 <天に唾する鬼ババに 目を覚まさせたのは小さなお手玉だった> 556 00:42:45,650 --> 00:42:48,010 お母ちゃ~ん! あの子がいないと駄目なんです。 557 00:42:48,010 --> 00:42:50,700 堂々と会いに行ける生き方をしては…。 558 00:42:50,700 --> 00:42:54,700 <涙も笑顔の大岡裁き>