1 00:00:02,000 --> 00:00:06,080 ・~ 2 00:00:06,080 --> 00:00:43,080 ・~ 3 00:00:46,820 --> 00:00:48,510 ・(与次郎)やっぱりだ。 4 00:00:48,510 --> 00:00:52,880 (与次郎)待ってたんです。 ここに いるんじゃないかって。 5 00:00:52,880 --> 00:00:54,230 (初音)それは ご苦労でしたね。 (雷鳴) 6 00:00:54,230 --> 00:00:58,230 今日は一体 どんな男と? 7 00:01:00,960 --> 00:01:04,660 金は いくらでも払うって 六之助さんに何べんも…。 8 00:01:04,660 --> 00:01:08,370 どうして あれきり あたしに会っちゃくれないんです? 9 00:01:08,370 --> 00:01:10,060 (初音)六に言っても無駄です。 10 00:01:10,060 --> 00:01:14,760 誰に会って どうするかは 私が決めることですからね。 11 00:01:14,760 --> 00:01:17,760 待って! 待ってくれ 初音様! 12 00:01:19,810 --> 00:01:21,500 あっ! 初音様! 13 00:01:21,500 --> 00:01:24,860 (新三郎)おい! 14 00:01:24,860 --> 00:01:26,860 何をやってる!? 15 00:01:28,570 --> 00:01:30,570 ああっ! 16 00:01:33,950 --> 00:01:36,950 あ… あたしは…! ああ? 17 00:01:40,680 --> 00:01:42,040 大丈夫か? 18 00:01:42,040 --> 00:01:47,040 気持ちいいこと… 冷たくて。 19 00:01:55,170 --> 00:01:59,550 ありがとうございます。 これ 貸していただいて。 20 00:01:59,550 --> 00:02:04,590 いえ 私の粗末な着物しかなくて…。 21 00:02:04,590 --> 00:02:10,650 あの男 何者です? 武家の女性に 何だって あんな ふらちなまねを。 22 00:02:10,650 --> 00:02:16,710 あれは一度 私の客になった人です。 客? 23 00:02:16,710 --> 00:02:21,100 私が相手をした人は どういうわけか 皆 しつこくて。 24 00:02:21,100 --> 00:02:27,830 あの手の茶屋の前で 待ち伏せされたのも 二度や三度ではありません。→ 25 00:02:27,830 --> 00:02:31,200 あなた様に お礼をしなくてはなりません。 26 00:02:31,200 --> 00:02:35,900 あっ こちとら 医者だ。 風邪さえ ひかなきゃ それでいい。 27 00:02:35,900 --> 00:02:39,280 それなら… もう ひいています。 28 00:02:39,280 --> 00:02:41,280 だって…。 29 00:02:48,030 --> 00:02:51,060 こんなに体が冷えて。 30 00:02:51,060 --> 00:02:57,790 先生 温めて治してくださいませ。 31 00:02:57,790 --> 00:03:00,150 (伊織)風邪なら よい薬がある。 32 00:03:00,150 --> 00:03:03,150 のめば 1晩で ケロリと治る。 33 00:03:10,250 --> 00:03:14,290 武家の女が客を取るとは… 一体 どういう素性だ? 34 00:03:14,290 --> 00:03:18,330 名は初音。 それよりほかは 何も言わぬ。 35 00:03:18,330 --> 00:03:23,720 お前を見る あの女の目 何やら 空恐ろしい。 36 00:03:23,720 --> 00:03:28,430 みいられないように気を付けろ。 ハッ 俺に限って そんなこと…。 37 00:03:28,430 --> 00:03:38,530 ・~ 38 00:03:38,530 --> 00:03:43,250 結城… 新三郎先生。 39 00:03:43,250 --> 00:03:46,620 (三次) そりゃ まっとうな女とは思えませんね。 40 00:03:46,620 --> 00:03:50,990 まあ おそろいで こそこそと 女の人のお話ですか? 41 00:03:50,990 --> 00:03:53,350 いや そういうんじゃねえよ お前。 余計なくちばし 突っ込むなって。 42 00:03:53,350 --> 00:03:55,710 フフフ…。 43 00:03:55,710 --> 00:03:58,070 (忠相)で 今宵は養生所にか? 44 00:03:58,070 --> 00:04:02,770 帰りたくないと言うんだ。 う~ん…。 45 00:04:02,770 --> 00:04:07,150 念のため 素性は当たっておいた方がよさそうだな。 46 00:04:07,150 --> 00:04:11,150 三次。 (三次)へい。 うん。 47 00:04:13,550 --> 00:05:17,190 ・~ 48 00:05:17,190 --> 00:05:27,190 ・~ 49 00:05:29,640 --> 00:05:44,120 ・~ 50 00:05:44,120 --> 00:05:47,820 (群兵衛) 六之助! どうして初音は帰ってこん? 51 00:05:47,820 --> 00:05:50,520 昨日の男が それほど気に入ったのか? 52 00:05:50,520 --> 00:05:52,210 (六之助)店の者に聞きましたら いつものように相手を残して→ 53 00:05:52,210 --> 00:05:57,920 先にお帰りになったと。 だから お前がついていけと言っておる。 54 00:05:57,920 --> 00:05:59,610 あっ ですが それでは初音様が…。 55 00:05:59,610 --> 00:06:03,980 お前は いわば 女郎屋の忘八だ。 56 00:06:03,980 --> 00:06:05,000 初音を甘やかすでない! 57 00:06:05,000 --> 00:06:11,060 フッ 私が女郎なら 女郎屋の主は 六之助ではなく→ 58 00:06:11,060 --> 00:06:14,420 兄上でございましょう? アハハ…。 59 00:06:14,420 --> 00:06:20,150 好きにさせてくれないなら… いつでも兄上とは縁を切ります。 60 00:06:20,150 --> 00:06:25,530 初音様…。 戻れば よい。 戻れば よいのだ 初音。 61 00:06:25,530 --> 00:06:30,530 本多様との約束 忘れずにいてくれたのだなあ。 62 00:06:33,280 --> 00:06:37,280 六之助 髪結いを呼べ。 すぐに支度だ! 63 00:06:42,370 --> 00:06:45,730 出来たか? 64 00:06:45,730 --> 00:06:50,120 はあ… 一段と美しい。 65 00:06:50,120 --> 00:06:56,180 三河一万石 大名家の嫡男とはいえ 輿入れさせるのが惜しくなる。 66 00:06:56,180 --> 00:07:01,230 いっそ いつまでも 我が手元に…。 67 00:07:01,230 --> 00:07:04,590 それが苦しいから手放すのでしょう? 68 00:07:04,590 --> 00:07:06,950 何を申す? 69 00:07:06,950 --> 00:07:12,670 確かな後ろ盾を得るついでに 兄上は 私の楽しみを奪おうとしてらっしゃる。 70 00:07:12,670 --> 00:07:16,380 どこへ行く? 小石川へ参ります。 71 00:07:16,380 --> 00:07:20,080 小石川? 会いたいお方がいるのです。 72 00:07:20,080 --> 00:07:22,440 お支度ありがとう存じます。 73 00:07:22,440 --> 00:07:25,800 待て! 74 00:07:25,800 --> 00:07:30,520 本多様は 親子して そなたの美貌に ぞっこんなのだ。 75 00:07:30,520 --> 00:07:33,210 今日こそ会わせろ 明日こそ連れてまいれと→ 76 00:07:33,210 --> 00:07:35,570 矢のような催促を…。 77 00:07:35,570 --> 00:07:37,920 六之助 止めろ。 78 00:07:37,920 --> 00:07:40,920 初音様…。 79 00:07:42,970 --> 00:07:48,970 六… お前 よもや 私を止めまいね? 80 00:07:50,720 --> 00:07:52,720 お帰り。 81 00:07:58,130 --> 00:08:01,500 旗本 疋田群兵衛の妹とな? 82 00:08:01,500 --> 00:08:04,530 お大名の本多兵部様ご嫡男と→ 83 00:08:04,530 --> 00:08:08,890 縁組みが進んでるそうで。 84 00:08:08,890 --> 00:08:14,960 今宵は屋敷へ行って 話をまとめる算段だったようです。 85 00:08:14,960 --> 00:08:19,000 ところが 妹の方は知らんぷり。 86 00:08:19,000 --> 00:08:24,000 上から下まで きれいに こしらえて 向かった先は…。 87 00:08:25,740 --> 00:08:29,110 先生? ちゃんと診てください。 88 00:08:29,110 --> 00:08:36,510 さっきから 胸が苦しくて… この辺りが 締めつけられるようなんです。 89 00:08:36,510 --> 00:08:41,560 頭が痛むんじゃなかったんですか? 90 00:08:41,560 --> 00:08:44,590 先生は 私を蔑んでらっしゃるの? 91 00:08:44,590 --> 00:08:46,950 あっ どうして 俺が? 92 00:08:46,950 --> 00:08:49,980 さっきから こちらを向いてもくださらない。 93 00:08:49,980 --> 00:08:51,980 悲しゅうございます。 94 00:08:54,690 --> 00:08:57,720 先生を見て 思ったんです。 95 00:08:57,720 --> 00:09:01,100 先生は 私を助けてくださるお方→ 96 00:09:01,100 --> 00:09:07,820 ねじ曲がった この心を 治してくださるお方に違いないって。 97 00:09:07,820 --> 00:09:09,820 あんたの… 心を? 98 00:09:11,860 --> 00:09:18,860 のぞいてみてください 私の 心の奥底を。 99 00:09:23,980 --> 00:09:26,010 (足音) 100 00:09:26,010 --> 00:09:29,040 今度は何のお薬ですか? 101 00:09:29,040 --> 00:09:32,400 あら 違った。 102 00:09:32,400 --> 00:09:35,430 また榊原先生が 邪魔をしに来られたのかと。 103 00:09:35,430 --> 00:09:37,450 フッ…。 あっ 忠相殿。 104 00:09:37,450 --> 00:09:40,150 新三郎の友です。 105 00:09:40,150 --> 00:09:43,150 近くまで来たのでな。 ああ…。 106 00:09:45,530 --> 00:09:48,560 忠相殿とやら…→ 107 00:09:48,560 --> 00:09:54,960 お恨み申し上げます。 ウフフ…。 108 00:09:54,960 --> 00:09:57,650 ふう…。 109 00:09:57,650 --> 00:10:01,360 直参旗本の妹か…。 110 00:10:01,360 --> 00:10:05,070 疋田家は やはり かなり食い詰めているそうだ。 111 00:10:05,070 --> 00:10:10,780 初音殿は 家を支えるために 春をひさぎ→ 112 00:10:10,780 --> 00:10:17,850 兄の群兵衛は 恐らく そのことを隠して 大名家との縁談を進めている。 113 00:10:17,850 --> 00:10:22,230 それでは心が壊れるのも無理はない。 心が? 114 00:10:22,230 --> 00:10:27,950 ああ…。 確かに あれは… 心の病かもしれん。 115 00:10:27,950 --> 00:10:31,660 人の気を引きたいがあまり あえて 自分をおとしめたり→ 116 00:10:31,660 --> 00:10:34,020 逆に 高飛車になってみたり…。 117 00:10:34,020 --> 00:10:39,070 治るものなのか? ああ 本人に その気があれば。 118 00:10:39,070 --> 00:10:41,090 それを やってみようと思う。 119 00:10:41,090 --> 00:10:44,120 やめておけ。 関わったら やっかいだぞ。 120 00:10:44,120 --> 00:10:48,160 病ならば 誰であろうと俺は診る! 121 00:10:48,160 --> 00:11:07,010 ・~ 122 00:11:07,010 --> 00:11:09,700 (雪絵)フフフ どうなさいました? 123 00:11:09,700 --> 00:11:14,700 いや… 女も いろいろだと思ってな。 124 00:11:15,770 --> 00:11:22,500 雪絵のように 見た目も 心も 美しく澄んだ女は そうそう おるまい。 125 00:11:22,500 --> 00:11:28,900 (雪絵)私の心が澄んでいるなどと どうして お分かりになりますの? 126 00:11:28,900 --> 00:11:31,920 うん? おなごは 皆→ 127 00:11:31,920 --> 00:11:35,920 殿方には計り知れぬ闇を 抱えているのかも。 128 00:11:38,660 --> 00:11:40,680 (与次郎) さんざん遊んできた あたしだって→ 129 00:11:40,680 --> 00:11:43,720 あんな女菩薩には お目にかかったことがない! 130 00:11:43,720 --> 00:11:47,080 一度 味を覚えさせて あれきりなんて… あんまりです! 131 00:11:47,080 --> 00:11:51,130 初音が嫌だと言う以上 俺には どうすることもできん。 132 00:11:51,130 --> 00:11:58,130 あ… あたしは 初音様のために 根岸に一軒 用意するつもりです! 133 00:12:00,880 --> 00:12:06,610 妾にするというのか? 疋田群兵衛の妹を。 134 00:12:06,610 --> 00:12:09,970 一生 おあしの苦労はさせません! 135 00:12:09,970 --> 00:12:14,350 おこがましくはございますが お兄上のあなた様のことだって…。 136 00:12:14,350 --> 00:12:19,070 たわけ! 誰が呉服問屋の妾になど 売り渡すか! 137 00:12:19,070 --> 00:12:26,810 初音には 三河一万石 本多兵部様ご嫡男へ 輿入れの話が進んでいるのだ。 138 00:12:26,810 --> 00:12:33,540 本多様!? では 初音様を お大名の奥方に? 139 00:12:33,540 --> 00:12:39,940 本来ならば 今宵にでも まとまる話だったものを…。 140 00:12:39,940 --> 00:12:47,680 初音様が 大名家の奥座敷なんぞに 収まっていられるもんか。 141 00:12:47,680 --> 00:12:54,750 閨にいるのは いっつも おんなじ 一人の男…。 142 00:12:54,750 --> 00:12:58,130 それで あの人の体が 鎮まろうはずがないんです! 143 00:12:58,130 --> 00:13:00,480 うせろ 下郎! 144 00:13:00,480 --> 00:13:02,830 ああっ! つまみ出せ! 145 00:13:02,830 --> 00:13:05,530 (六之助)はい。 (与次郎)あっ あっ…。→ 146 00:13:05,530 --> 00:13:07,890 兄妹じゃ 何も分かるまい! 返せ!→ 147 00:13:07,890 --> 00:13:10,240 あの人を あたしに返してくれ! 148 00:13:10,240 --> 00:13:14,280 (六之助)さあ… さあ…。 (戸の開閉音) 149 00:13:14,280 --> 00:13:19,280 分かってない… 誰も 初音様の幸せを考えちゃいない! 150 00:13:24,730 --> 00:13:28,430 旦那様 本多様からは きちんと お支払いをいただいております。 151 00:13:28,430 --> 00:13:31,460 なにも 旦那様が じかに お出向きにならなくても…。 152 00:13:31,460 --> 00:13:38,460 掛け取りに行こうってんじゃない。 ただの… ご挨拶ですよ。 153 00:13:40,540 --> 00:13:43,540 (六之助)旦那。 六之助さん。 154 00:13:45,930 --> 00:13:49,640 話すおつもりなんですね? 本多様に 初音様が なさってきたことを。 155 00:13:49,640 --> 00:13:54,360 これは人助けだ。 本多様のためでもあり 初音様のためでもある。 156 00:13:54,360 --> 00:13:57,720 あたしで足りなきゃ ほかの男を 引っ張り込んだって構やしない! 157 00:13:57,720 --> 00:14:03,110 あたしはね そういう覚悟で 世話をしようと言ってるんです! 158 00:14:03,110 --> 00:14:06,110 ほかに取られてたまるもんか。 159 00:14:10,510 --> 00:14:16,910 ・~ 160 00:14:16,910 --> 00:14:18,260 あっ! うう~…。 161 00:14:18,260 --> 00:14:20,260 (刃を抜く音) 162 00:14:26,340 --> 00:14:31,720 あっ! ああ… 誰か 誰か~! 163 00:14:31,720 --> 00:14:34,090 (辰三)子吉 あっちだ! (子吉)へい! 164 00:14:34,090 --> 00:14:36,440 身元が分かったのだな? 165 00:14:36,440 --> 00:14:43,840 はい 愛宕下源助町の呉服問屋 淡島屋の主 与次郎に間違いありません。 166 00:14:43,840 --> 00:14:48,220 あの辺りは武家地です。 なんでも 大名 本多兵部様の屋敷への→ 167 00:14:48,220 --> 00:14:52,270 道すがらだったそうです。 あの本多家か…。 168 00:14:52,270 --> 00:14:57,990 お奉行 何か心覚えがおありですか? いや…。 169 00:14:57,990 --> 00:14:59,670 (左門)傷は? 斬られたというより こう→ 170 00:14:59,670 --> 00:15:02,370 上から 刃を刺し込んだような…。 171 00:15:02,370 --> 00:15:05,390 傷の深さから見て そう長いもんじゃなさそうです。 172 00:15:05,390 --> 00:15:10,110 となると… 脇差しくらいの。 173 00:15:10,110 --> 00:15:13,480 引き続き 淡島屋の周りを当たってくれ。 174 00:15:13,480 --> 00:15:15,480 (一同)はい! 175 00:15:17,180 --> 00:15:20,550 殺された源助町の淡島屋のことを→ 176 00:15:20,550 --> 00:15:22,900 探ってきてくれ。 へい。 177 00:15:22,900 --> 00:15:25,260 この辺りで殺しがあったんだが 怪しい風体の者 見なかったか? 178 00:15:25,260 --> 00:15:27,620 いえ そのような方は 誰も…。 179 00:15:27,620 --> 00:15:31,650 つまり 淡島屋は 女にうつつを抜かしてたっていうのか? 180 00:15:31,650 --> 00:15:34,020 ええ 何か もう 取りつかれたようになって…。 181 00:15:34,020 --> 00:15:38,390 まあ 見るからに まっとうじゃありませんでしたね。 182 00:15:38,390 --> 00:15:40,740 (勘太)相手は どういう女なの? 183 00:15:40,740 --> 00:15:44,120 それは その… ちょっと こちらの方に。 184 00:15:44,120 --> 00:15:47,810 これは あくまでも噂ですよ。 185 00:15:47,810 --> 00:15:50,510 決して手前は関わっちゃいませんので。 186 00:15:50,510 --> 00:15:53,510 おかみさんに聞かれちゃ まずいってわけだ。 187 00:15:56,900 --> 00:15:58,260 ちょっと いいかい? 出合茶屋に出入りしてる→ 188 00:15:58,260 --> 00:16:01,960 武家娘 知らねえかい? 出合茶屋? 189 00:16:01,960 --> 00:16:05,330 いや~ 知りませんね。 与次郎の女関係で 聞きたいことがあるんだが…。 190 00:16:05,330 --> 00:16:07,680 女関係って言われても…。 191 00:16:07,680 --> 00:16:13,070 噂話を耳にした者が 茅町辺りの 出合茶屋へ話を持ち込むと→ 192 00:16:13,070 --> 00:16:16,780 そのうち こっそり いついつ 店に来るようにと→ 193 00:16:16,780 --> 00:16:18,130 知らせがあるんだそうです。 194 00:16:18,130 --> 00:16:21,490 とは言っても 誰でもいいってわけじゃなく→ 195 00:16:21,490 --> 00:16:24,860 僥倖にありつけるのは 金持ちばかり。 196 00:16:24,860 --> 00:16:28,220 どうやら 身元を探って 相手を決めてるようですね。 197 00:16:28,220 --> 00:16:31,250 間に中間らしいのが立ってるのは 分かったんですが→ 198 00:16:31,250 --> 00:16:34,960 相手が お旗本ってことで どこも みんな 口が重たくて…。 199 00:16:34,960 --> 00:16:37,980 女の身元は既に知れている。 200 00:16:37,980 --> 00:16:46,980 …が 知れたところで それが 淡島屋殺しの一件に関わりがあるか否か。 201 00:16:48,420 --> 00:16:52,130 あったとしたら…→ 202 00:16:52,130 --> 00:16:55,130 どう探るべきなのか…。 203 00:17:00,550 --> 00:17:06,930 沈香ですね。 よい香り。 204 00:17:06,930 --> 00:17:08,960 隠すつもりはなかったんです。 205 00:17:08,960 --> 00:17:15,700 先生には ただの初音として 向き合っていただきたかったから。 206 00:17:15,700 --> 00:17:19,400 何でも お話しいたします。 207 00:17:19,400 --> 00:17:23,110 さしずめ 一番お聞きになりたいのは→ 208 00:17:23,110 --> 00:17:28,830 どうして お客を取るようになったか ということでしょう? 209 00:17:28,830 --> 00:17:33,540 言いたくないことは 無理に話さずとも結構。 210 00:17:33,540 --> 00:17:39,260 私 母の素性を知らないんです。 211 00:17:39,260 --> 00:17:45,330 兄のお母上が亡くなってすぐ 父上は こっそり囲い者にしていた女と→ 212 00:17:45,330 --> 00:17:49,040 その女に産ませた娘を 疋田の家へ連れてまいりました。 213 00:17:49,040 --> 00:17:52,730 ご挨拶は? (初音)それが 私。 214 00:17:52,730 --> 00:17:55,090 兄上様 初音と申します。 215 00:17:55,090 --> 00:18:00,140 (初音)母上を失った兄は 後妻親子を憎んでいました。 216 00:18:00,140 --> 00:18:09,230 早々に母が死に 父上が亡くなってからは お役にも就けず 暮らしも荒れて…。 217 00:18:09,230 --> 00:18:12,270 んっ! (初音)あっ あっ! お前は売女の娘だ。 218 00:18:12,270 --> 00:18:17,310 母親と同じで 根っから ふしだらな女なのだ! 219 00:18:17,310 --> 00:18:22,030 (初音)何もかも お前のせいだと 日々 私を責めて…。 220 00:18:22,030 --> 00:18:27,410 ん… それで身売りを。 そんな むちゃな話があるか! 221 00:18:27,410 --> 00:18:31,120 言われ続けていれば それが正しいと思うもの。 222 00:18:31,120 --> 00:18:35,830 まこと 兄上の言葉に間違いはなく→ 223 00:18:35,830 --> 00:18:41,560 私は 殿方の肌に触れるのが 楽しくてなりませんでした。→ 224 00:18:41,560 --> 00:18:48,630 私は 今 生きている。 まるで チョウが羽を広げるように→ 225 00:18:48,630 --> 00:18:52,630 身も心も解き放たれて…。 226 00:18:55,360 --> 00:19:02,100 たつきの道具になれと命じたのに 妹は いそいそと客に会いに行く。 227 00:19:02,100 --> 00:19:09,830 兄上は それが許し難かったようで 今度は…。 228 00:19:09,830 --> 00:19:12,830 はあ… 少し休みましょう。 229 00:19:14,550 --> 00:19:17,250 (ため息) 230 00:19:17,250 --> 00:19:19,600 おい…。 231 00:19:19,600 --> 00:19:23,310 ひどい面だ。 まるで お前が病人だ。 232 00:19:23,310 --> 00:19:27,010 逃げてきた。 俺は 自分が恥ずかしい。 233 00:19:27,010 --> 00:19:30,710 榊原先生! 結城先生! どうした? 234 00:19:30,710 --> 00:19:35,710 (喬之助) 実は 殺しの件で お伺いしたいことが…。 235 00:19:37,440 --> 00:19:40,480 中間らしいのは さっぱり 出入りしやせんね。 236 00:19:40,480 --> 00:19:42,830 (駿介)おっ 誰か出てきた。 237 00:19:42,830 --> 00:19:45,520 ちょいと じいさん 御用の筋だ。 こっちに来てくんねえ。 238 00:19:45,520 --> 00:19:47,210 へい…。 239 00:19:47,210 --> 00:19:50,580 あの屋敷じゃ 中間は どのくらい雇ってる? 240 00:19:50,580 --> 00:19:53,610 中間といえば 六之助さんしかおりやせん。 241 00:19:53,610 --> 00:19:56,300 六之助? 六之助っていうんだな? へい。 242 00:19:56,300 --> 00:20:00,340 そこの者ども 何用だ? 243 00:20:00,340 --> 00:20:06,730 不浄役人め…。 支配違いの旗本屋敷で 何を探っている? 244 00:20:06,730 --> 00:20:10,110 実は 今朝方 商家の主が殺されまして その調べを。 245 00:20:10,110 --> 00:20:14,820 何を聞かれた? 246 00:20:14,820 --> 00:20:16,170 六之助さんのことでございます。 247 00:20:16,170 --> 00:20:19,870 六之助の? はあ…。 248 00:20:19,870 --> 00:20:27,280 今朝といえば… 明け方 出かけていった 六之助が いまだ戻らぬ。 249 00:20:27,280 --> 00:20:30,310 殺されたのは淡島屋という呉服問屋です。 250 00:20:30,310 --> 00:20:36,370 知らぬ。 知っていたところで そなたらに答えるいわれはないわ! 251 00:20:36,370 --> 00:20:40,370 去れ。 二度と この辺りをうろつくな! 252 00:20:43,110 --> 00:20:45,110 あ~ 怖かった…。 253 00:20:48,820 --> 00:20:50,180 待たせた。 254 00:20:50,180 --> 00:20:53,210 町方の同心が来ていましたね。 255 00:20:53,210 --> 00:20:56,900 ん? まさか 話を? 256 00:20:56,900 --> 00:21:00,270 淡島屋の名が耳に入りました。 257 00:21:00,270 --> 00:21:03,980 淡島屋といえば あの雨の日に…。 258 00:21:03,980 --> 00:21:08,690 あの時の男が? あの人 殺されたんですね。 259 00:21:08,690 --> 00:21:14,420 うん…。 私にも その罪の一端があるのかも。 260 00:21:14,420 --> 00:21:17,120 ん? どうして そんなことを? 261 00:21:17,120 --> 00:21:23,840 いずれ こんな日が来る…。 だから探していたのかも。 262 00:21:23,840 --> 00:21:28,550 私の 最後の男になるお方を。 263 00:21:28,550 --> 00:21:40,010 ・~ 264 00:21:40,010 --> 00:21:43,040 新三郎先生…。 265 00:21:43,040 --> 00:21:49,100 ・~ 266 00:21:49,100 --> 00:21:52,130 初音殿…。 267 00:21:52,130 --> 00:22:00,130 ・(雷鳴) 268 00:22:04,250 --> 00:22:06,250 (息を吹き込む音) 269 00:22:11,320 --> 00:22:13,670 初音様。 270 00:22:13,670 --> 00:22:16,370 六…。 271 00:22:16,370 --> 00:22:19,070 よく見つけ出したこと。→ 272 00:22:19,070 --> 00:22:23,780 でも 兄上のもとへは戻りません。 273 00:22:23,780 --> 00:22:27,150 (六之助)分かっています。 兄上様から お逃がしします。 274 00:22:27,150 --> 00:22:31,850 (初音)さんざん 私を売り物にしてきた お前がかえ? 275 00:22:31,850 --> 00:22:33,880 (六之助)おいたわしくてならなかった…。 276 00:22:33,880 --> 00:22:38,920 殿様に従うしかない自分が情けなかった。 277 00:22:38,920 --> 00:22:42,300 初音様… このまま2人で逃げましょう! 278 00:22:42,300 --> 00:22:47,010 もし… 姿を消したら…→ 279 00:22:47,010 --> 00:22:53,070 お前が 淡島屋殺しの罪を 背負うことになるだろう。 280 00:22:53,070 --> 00:22:58,120 ご存じなんですね 何もかも。 281 00:22:58,120 --> 00:23:02,120 抱いてやろう 六之助。 282 00:23:05,190 --> 00:23:10,240 私の最後の男は…→ 283 00:23:10,240 --> 00:23:14,240 はなから お前と決まっていたのかもしれないね。 284 00:23:25,720 --> 00:23:29,430 初音が? 朝から 初音殿の姿が見えず→ 285 00:23:29,430 --> 00:23:32,130 お帰りを確かめに参りました。 286 00:23:32,130 --> 00:23:35,490 会いたいお方がいるのです。 287 00:23:35,490 --> 00:23:39,190 お前か… 妹をたぶらかしたのは。 288 00:23:39,190 --> 00:23:42,230 それは聞き捨てなりません。 私は ただ 医者として…。 289 00:23:42,230 --> 00:23:49,960 口応えするでない! うぬ… 断じて許さぬ。 290 00:23:49,960 --> 00:23:52,990 疋田殿から 目付へ訴えが? 291 00:23:52,990 --> 00:23:55,690 (松平左近将監)さよう。 妹 初音は→ 292 00:23:55,690 --> 00:23:59,400 養生所の医師に かどわかされたと 申し立てておる。 293 00:23:59,400 --> 00:24:02,430 何かの間違いでございましょう。 294 00:24:02,430 --> 00:24:05,450 初音殿は 自ら 養生所へ。 295 00:24:05,450 --> 00:24:08,820 (目付)目付筋より 養生所へ問い合わせたところ→ 296 00:24:08,820 --> 00:24:12,530 確かに 同様の返答がございました。 297 00:24:12,530 --> 00:24:16,900 (左近将監) しかしながら 肝心の初音の姿がない。 298 00:24:16,900 --> 00:24:20,280 どこぞへ閉じ込められたとも 考えられる。 299 00:24:20,280 --> 00:24:25,660 まさか さようなこと あろうはずが…。 300 00:24:25,660 --> 00:24:30,040 妹は 本多兵部の嫡男へ 輿入れ間近とか。 301 00:24:30,040 --> 00:24:37,040 万一のことがあってはならぬと 疋田の訴えは すさまじゅうござる。 302 00:24:40,810 --> 00:24:46,530 いかがいたす? 越前殿。 303 00:24:46,530 --> 00:24:49,570 俺のせいで とんだやっかいに巻き込んでしまった…。 304 00:24:49,570 --> 00:24:53,940 忠相殿… 俺を 奉行所へ しょっぴいてくれ。 305 00:24:53,940 --> 00:24:57,640 う~ん…。 306 00:24:57,640 --> 00:25:01,010 すまん 私の力不足だ。 ああ いや…。 307 00:25:01,010 --> 00:25:05,390 とはいえ 初音殿さえ見つかれば 疑いは すぐに晴れるわけだから。 308 00:25:05,390 --> 00:25:07,740 うん? 309 00:25:07,740 --> 00:25:12,800 案外 待ってるのかもしれないぞ。 新三郎先生が捜しに来てくれるのを。 310 00:25:12,800 --> 00:25:18,800 伊織…。 よし… そっちの役目は引き受けよう。 311 00:25:26,600 --> 00:25:51,850 ・~ 312 00:25:51,850 --> 00:25:56,560 初音殿 どこ行った…? どうして 俺に何も言わず…。 313 00:25:56,560 --> 00:26:00,560 (初音)先生 新三郎先生。 314 00:26:03,300 --> 00:26:05,300 うん? 315 00:26:11,720 --> 00:26:17,440 (初音)こっち… こっちです。 ウフフ。 316 00:26:17,440 --> 00:26:29,230 ・~ 317 00:26:29,230 --> 00:26:31,580 初音殿! 318 00:26:31,580 --> 00:26:45,720 ・~ 319 00:26:45,720 --> 00:26:47,720 初音! 320 00:26:49,430 --> 00:26:51,120 んっ! 321 00:26:51,120 --> 00:26:54,480 よくも 我が妹を かような目に遭わせてくれたな! 322 00:26:54,480 --> 00:26:58,860 やめてください! 結城先生は 妹御を捜し出した方です! 323 00:26:58,860 --> 00:27:03,230 川の中から抱き上げて お一人で運んだんです! 324 00:27:03,230 --> 00:27:05,590 殺しておいて罪滅ぼしか! 325 00:27:05,590 --> 00:27:08,950 なんてことを! いくら お旗本でも許せません! 326 00:27:08,950 --> 00:27:11,650 (筧)駿介! 327 00:27:11,650 --> 00:27:15,690 妹御が どうして こんなことになったのか→ 328 00:27:15,690 --> 00:27:20,070 いずれ 我々のお奉行が 明らかにいたします。 329 00:27:20,070 --> 00:27:24,070 あれこれ言うのは それからにしていただきましょう。 330 00:27:26,470 --> 00:27:33,870 町方風情の無礼な振る舞い… 忘れぬ。 331 00:27:33,870 --> 00:27:35,870 どけ! 332 00:27:45,650 --> 00:27:49,360 ひでえや… 手も合わせねえで 悪態ばかり。 333 00:27:49,360 --> 00:27:52,730 死なれちゃ困る ただ それだけなのかね。 334 00:27:52,730 --> 00:27:56,430 つらくないわけがあるもんか あの御仁だって…。 335 00:27:56,430 --> 00:27:58,450 そんなはずはない…。 336 00:27:58,450 --> 00:28:00,450 決して ない! 337 00:28:06,530 --> 00:28:15,950 ・~ 338 00:28:15,950 --> 00:28:22,030 兄上様 痛い? 初音が おまじないをしてあげます。 339 00:28:22,030 --> 00:28:24,380 うっ…。 340 00:28:24,380 --> 00:28:40,200 ・~ 341 00:28:40,200 --> 00:28:42,200 初音…。 342 00:28:43,910 --> 00:28:48,910 見てごらん 六。 また 兄上が のぞき見を。 343 00:28:51,650 --> 00:29:00,730 六之助… 逃げたとばかり思っていたが さては お前が…。 344 00:29:00,730 --> 00:29:02,090 恐らくは溺死。 345 00:29:02,090 --> 00:29:06,470 だが 首元に かんざしで 刺したような痕があった。 346 00:29:06,470 --> 00:29:09,160 いまだ 六之助が見つかっていない。 347 00:29:09,160 --> 00:29:12,530 それが どうにも気がかりだ。 348 00:29:12,530 --> 00:29:18,260 ここで ずっと あの女のことを考えていた。 349 00:29:18,260 --> 00:29:21,620 恐ろしいほど熱くて…→ 350 00:29:21,620 --> 00:29:23,970 ひたむきな目をしていた。 351 00:29:23,970 --> 00:29:26,330 目の前のものを通り越して→ 352 00:29:26,330 --> 00:29:31,380 遠い先を見据えているような そんな まなざしだと。 353 00:29:31,380 --> 00:29:39,130 あれだけ生々しく生きながら… あまりにも はかなく もろい。 354 00:29:39,130 --> 00:29:45,130 新三郎は それを 誰よりも強く感じ取っていたのだろう。 355 00:29:53,600 --> 00:29:55,960 先生…→ 356 00:29:55,960 --> 00:29:58,310 うれしい。 357 00:29:58,310 --> 00:30:09,420 ・~ 358 00:30:09,420 --> 00:30:14,140 ハッ! ハァ ハァ… ハァ…。 359 00:30:14,140 --> 00:30:17,140 ハァ… ハァ…。 360 00:30:22,890 --> 00:30:24,890 初音様…。 361 00:30:42,090 --> 00:30:45,120 何ですか? お前さん方! 問答無用。 362 00:30:45,120 --> 00:30:47,470 ああ~! 363 00:30:47,470 --> 00:30:57,240 ・~ 364 00:30:57,240 --> 00:30:59,240 うわ~! あっ! 365 00:31:01,950 --> 00:31:04,310 邪魔をするな! かようなところへ来かかって→ 366 00:31:04,310 --> 00:31:06,660 素通りできると思うか! 367 00:31:06,660 --> 00:31:08,020 黙れ~! 368 00:31:08,020 --> 00:31:16,430 ・~ 369 00:31:16,430 --> 00:31:18,450 大事ないか? 370 00:31:18,450 --> 00:31:23,500 (太鼓の音) 371 00:31:23,500 --> 00:31:26,530 中間 六之助 面を上げよ。 372 00:31:26,530 --> 00:31:28,550 はっ。 373 00:31:28,550 --> 00:31:35,950 これより 呉服問屋 淡島屋与次郎が 殺められし一件について 詮議を始める。 374 00:31:35,950 --> 00:31:44,040 なお 目付の許しを得 その方を長く雇いし 旗本 疋田群兵衛殿の同座を…。 375 00:31:44,040 --> 00:31:46,070 待たれよ 越前殿。 376 00:31:46,070 --> 00:31:54,810 それがしが参ったは 我が妹 初音を殺めた 罪を裁いてもらいたいがため。 377 00:31:54,810 --> 00:31:58,180 六之助 ようも 初音を殺してくれたな。 378 00:31:58,180 --> 00:32:01,880 違います。 どうして 私が初音様を…! 379 00:32:01,880 --> 00:32:04,570 そなたが 初音に みだらな思いを寄せておったこと→ 380 00:32:04,570 --> 00:32:06,930 気付かなんだと思うてか!→ 381 00:32:06,930 --> 00:32:10,300 その果てに正気を失い 命を奪った。 382 00:32:10,300 --> 00:32:15,350 違うと言うなら これまで どこで何をしていたか申してみよ! 383 00:32:15,350 --> 00:32:17,040 お静まりください。 384 00:32:17,040 --> 00:32:21,740 疋田殿が そこまで仰せなら→ 385 00:32:21,740 --> 00:32:28,480 まずは初音殿について 越前から この者に問うことにいたしましょう。 386 00:32:28,480 --> 00:32:32,520 うむ そう願おう。 387 00:32:32,520 --> 00:32:36,560 改めて 六之助 調べ書きによれば→ 388 00:32:36,560 --> 00:32:44,970 初音殿を小石川養生所から連れ出したのは その方とある。 まことか? 389 00:32:44,970 --> 00:32:46,330 はい。 390 00:32:46,330 --> 00:32:49,690 おのれ… やはり思ったとおりであった! 391 00:32:49,690 --> 00:32:55,080 その死のゆくたて 存じておれば ありていに申せ。 392 00:32:55,080 --> 00:33:00,470 初音様を舟にお乗せして 川を渡っておりましたら…。 393 00:33:00,470 --> 00:33:04,850 私の最後の男は…→ 394 00:33:04,850 --> 00:33:08,550 はなから お前と決まっていたのかもしれないね。 395 00:33:08,550 --> 00:33:12,550 (六之助)まるで 夢を見ているようでした。 396 00:33:14,270 --> 00:33:18,270 満ち足りたよ 六。 397 00:33:25,060 --> 00:33:29,760 おかげで終わりにできる。 398 00:33:29,760 --> 00:33:32,790 終わりって…? 399 00:33:32,790 --> 00:33:36,830 思えば 私と兄上は…→ 400 00:33:36,830 --> 00:33:41,540 2人で うつろな宴を 貪ってきたようなものだった。 401 00:33:41,540 --> 00:33:53,330 ・~ 402 00:33:53,330 --> 00:33:55,020 初音様! 403 00:33:55,020 --> 00:33:57,020 兄上…。 404 00:33:59,720 --> 00:34:01,080 初音様! (川に身投げする音) 405 00:34:01,080 --> 00:34:03,100 偽りを申すな! 406 00:34:03,100 --> 00:34:07,130 初音は自ら死んだりはせぬ。 407 00:34:07,130 --> 00:34:11,170 どこまでも生きて 男を味わい尽くしたい。 そういう女だ。 408 00:34:11,170 --> 00:34:14,540 そう しむけたのは 殿様ではございませんか。 409 00:34:14,540 --> 00:34:16,890 何だと? 410 00:34:16,890 --> 00:34:20,270 苦しみを与えるつもりだったのに 初音様は いつも笑っていた。 411 00:34:20,270 --> 00:34:23,290 それをまた憎み 時には妬んで…! 412 00:34:23,290 --> 00:34:26,000 越前! こやつを黙らせろ! 413 00:34:26,000 --> 00:34:31,000 真実を知りたいと望んだは 疋田殿でござる。 414 00:34:40,800 --> 00:34:44,500 六之助 その後 いかがした? 415 00:34:44,500 --> 00:34:48,500 すぐに初音様の後を追って 川に飛び込みました。 ですが…。 416 00:34:50,240 --> 00:34:55,950 (六之助)のめのめと生き長らえた上 初音様を捜し出すこともできず→ 417 00:34:55,950 --> 00:34:58,650 こうなったら いっそ お上へ訴え出るしかないと…。 418 00:34:58,650 --> 00:35:01,680 何を訴えるつもりだった? 419 00:35:01,680 --> 00:35:03,030 淡島屋さんのことです。 420 00:35:03,030 --> 00:35:12,030 淡島屋殺しの真相であるな? なるほど… これで つながった。 421 00:35:15,150 --> 00:35:23,900 調べ書きによれば 六之助は 疋田殿より 淡島屋を斬れと命じられた由。 422 00:35:23,900 --> 00:35:25,900 されど…。 423 00:35:28,610 --> 00:35:30,970 思い切れなかったと。 424 00:35:30,970 --> 00:35:38,970 六之助の言い分を信じるならば 一体 誰が淡島屋を殺めたのか。 425 00:35:40,730 --> 00:35:43,430 妹に身売りを強いながら→ 426 00:35:43,430 --> 00:35:49,830 これを隠して 大名家へ嫁がせんための 口封じ… となれば→ 427 00:35:49,830 --> 00:35:52,850 疋田殿! 428 00:35:52,850 --> 00:35:56,230 越前 これは何の詮議ぞ? 429 00:35:56,230 --> 00:35:59,590 町奉行の分際で旗本を裁くつもりか! 430 00:35:59,590 --> 00:36:05,320 越前には 初音殿が命に代えて→ 431 00:36:05,320 --> 00:36:09,020 兄上を諫めたように思えてなりませぬ! 432 00:36:09,020 --> 00:36:11,380 何だと? 433 00:36:11,380 --> 00:36:13,380 (初音)兄上…。 434 00:36:15,420 --> 00:36:21,420 (初音)兄上 そこまでになさいませ。 435 00:36:24,510 --> 00:36:27,510 これが初音の定め…。 436 00:36:31,580 --> 00:36:35,610 兄上の定めでございます。 437 00:36:35,610 --> 00:36:37,640 初音…。 438 00:36:37,640 --> 00:36:41,640 いかがされた? 疋田殿。 439 00:36:50,770 --> 00:36:53,800 淡島屋を斬った…。→ 440 00:36:53,800 --> 00:37:00,530 六之助がやり損なったのを見て それがしが…。 441 00:37:00,530 --> 00:37:03,230 あっ! うう~…。 442 00:37:03,230 --> 00:37:08,280 あえて脇差しを用いたは 六之助に罪をかぶせんがため。 443 00:37:08,280 --> 00:37:14,340 更に 浪人どもを雇いて 六之助の口を塞ごうと。 444 00:37:14,340 --> 00:37:20,070 合わせ鏡のように生きた妹が 帰らぬ人となっても なお 我が身を…→ 445 00:37:20,070 --> 00:37:25,450 旗本の名を 惜しまれた。 446 00:37:25,450 --> 00:37:30,160 さようなことは もはや 二の次。 447 00:37:30,160 --> 00:37:37,240 俺は ただ… 初音が死んだことが 信じられなかった。 許せなかった。 448 00:37:37,240 --> 00:37:43,630 俺から初音を奪った者を 憎まずにはいられなかった。 449 00:37:43,630 --> 00:37:46,630 だから 六之助を…。 450 00:37:48,680 --> 00:37:52,680 兄上 ありがとう。 451 00:38:00,800 --> 00:38:02,490 疋田殿。 452 00:38:02,490 --> 00:38:06,860 それは… 初音の。 453 00:38:06,860 --> 00:38:11,240 小石川養生所 医師 結城新三郎をこれへ。 はっ! 454 00:38:11,240 --> 00:38:16,240 (戸の開閉音と足音) 455 00:38:18,650 --> 00:38:25,380 結城新三郎 初音殿のなきがらを 検分したのは その方であったな? 456 00:38:25,380 --> 00:38:27,740 はい。 457 00:38:27,740 --> 00:38:29,090 初音殿の手には→ 458 00:38:29,090 --> 00:38:34,470 かんざしを強く握った 傷痕が残っていました。 459 00:38:34,470 --> 00:38:38,850 このように 右手で しっかと持って 左手を添え→ 460 00:38:38,850 --> 00:38:41,850 力を込めて…。 461 00:38:44,570 --> 00:38:46,930 いとしい妹よ…→ 462 00:38:46,930 --> 00:38:52,930 兄のため よう覚悟をしてくれた。 褒美をやろう。 463 00:38:57,370 --> 00:39:08,140 ・~ 464 00:39:08,140 --> 00:39:12,850 これより先は 奉行の任にあらず。 465 00:39:12,850 --> 00:39:15,850 目付筋にお任せいたす。 466 00:39:17,900 --> 00:39:22,900 承知… つかまつった。 467 00:39:24,640 --> 00:39:31,710 なお 六之助は 淡島屋殺しに関わりなし。 468 00:39:31,710 --> 00:39:36,430 初音殿は自害したものと推量せられ…→ 469 00:39:36,430 --> 00:39:41,470 無罪放免。 下がってよし。 470 00:39:41,470 --> 00:39:47,530 お奉行様 初音様のお心を おくみ取りいただき→ 471 00:39:47,530 --> 00:39:49,530 ありがとうございます。 472 00:39:56,290 --> 00:39:59,290 (戸が開く音) 473 00:40:03,690 --> 00:40:08,080 榊原伊織 入牢 難儀であった。 474 00:40:08,080 --> 00:40:14,800 新三郎に比べたら 何ほどのことでもありません。 475 00:40:14,800 --> 00:40:16,160 俺は…。 476 00:40:16,160 --> 00:40:23,890 俺は あの人の… 初音殿の求めに 何一つ 応えてやれなかった。 477 00:40:23,890 --> 00:40:26,920 どうすれば救えるのか…。 478 00:40:26,920 --> 00:40:31,980 もしやすると この手で 望む所へ 送ってやるべきだったのではないか…。 479 00:40:31,980 --> 00:40:38,040 何もできぬまま… 初音殿は逝ってしまった。 480 00:40:38,040 --> 00:40:40,400 (初音)いいえ。→ 481 00:40:40,400 --> 00:40:47,130 私は 新三郎先生にお会いできて 幸せでした。 482 00:40:47,130 --> 00:40:49,490 あっ…。 483 00:40:49,490 --> 00:40:53,530 ・~ 484 00:40:53,530 --> 00:40:56,530 新三郎…。 485 00:40:59,260 --> 00:41:03,630 うむ…。 486 00:41:03,630 --> 00:41:08,010 本日の白洲 これまで。 487 00:41:08,010 --> 00:41:12,380 <後日 疋田群兵衛は→ 488 00:41:12,380 --> 00:41:16,380 目付の裁定を待たず 切腹した> 489 00:41:27,870 --> 00:41:31,570 ハァ…。 ハハハハハ…。 490 00:41:31,570 --> 00:41:34,270 いや~ よい汗をかいた。 491 00:41:34,270 --> 00:41:36,630 お主の迷いも解けたろう? 492 00:41:36,630 --> 00:41:39,990 えっ? 俺は 別に迷いなんて…。 493 00:41:39,990 --> 00:41:43,700 そうだったかな? さっきから どうしました? 求次郎。 494 00:41:43,700 --> 00:41:48,740 (求次郎)あの花の陰に 女の人が立っていますよね。 495 00:41:48,740 --> 00:41:51,770 えっ? (お花)えっ? (妙)女の人が…? 496 00:41:51,770 --> 00:41:55,150 (求次郎)とてもお美しい人です。 一体 どなたでしょう? 497 00:41:55,150 --> 00:41:59,180 私には見えませんけど…。 私も。 498 00:41:59,180 --> 00:42:02,220 (源次郎)いや 若様 まことでございますか? 499 00:42:02,220 --> 00:42:06,920 まさか この世のものではない人が…。 500 00:42:06,920 --> 00:42:08,940 忠相殿 もう一本! 501 00:42:08,940 --> 00:42:12,310 いや 次は 若様に お願いしようかな。 あら。 502 00:42:12,310 --> 00:42:14,670 えっ 私に? ええ。 503 00:42:14,670 --> 00:42:17,030 それはいい。 是非 お相手なさいませ。 504 00:42:17,030 --> 00:42:19,050 さあ まいりますよ。 505 00:42:19,050 --> 00:42:23,430 <新三郎は 決して初音を忘れまい。→ 506 00:42:23,430 --> 00:42:30,830 初音も それが よく分かっている… はずである> 507 00:42:30,830 --> 00:42:35,540 (初音)ウフフ… ウフフフ…。 508 00:42:35,540 --> 00:42:37,570 しじみ~。 <次回「大岡越前」> 509 00:42:37,570 --> 00:42:40,930 死ぬまでに一目でいいから会いたい。 510 00:42:40,930 --> 00:42:45,640 <病の女房と息子を思い 咎人 江戸へ舞い戻る。→ 511 00:42:45,640 --> 00:42:47,660 情けにほだされ 揺れる勘太> 512 00:42:47,660 --> 00:42:49,020 父ちゃんに会いてえんだよ! 会ってどうすんだよ! 513 00:42:49,020 --> 00:42:52,050 <大岡裁き その沙汰や いかに> 514 00:42:52,050 --> 00:42:55,050 勘太… 覚悟はあるか?