1 00:00:01,030 --> 00:00:04,720 (筧)浪人は何人だ? (辰三)12~13人とか。 そうだな? 2 00:00:04,720 --> 00:00:07,080 は… はい。 あの~…。 あの男は かたりだ。 3 00:00:07,080 --> 00:00:09,080 お前は だまされてるんだ。 4 00:00:15,500 --> 00:00:23,580 ・~ 5 00:00:23,580 --> 00:00:28,290 南町奉行 大岡越前である! おとなしく 縛につけ! 6 00:00:28,290 --> 00:00:30,650 (正軒)問答無用! 7 00:00:30,650 --> 00:00:33,010 や~っ! や~っ! 8 00:00:33,010 --> 00:00:39,400 ・~ 9 00:00:39,400 --> 00:00:41,760 神妙にしろ! (喜八郎)うわわ…。 10 00:00:41,760 --> 00:00:43,780 あっ… ガハッ…。 11 00:00:43,780 --> 00:00:46,470 あ… ああ…。 (勘太)御用でい! 12 00:00:46,470 --> 00:01:04,990 ・~ 13 00:01:04,990 --> 00:01:11,390 <この夜 将軍 吉宗の父 前の紀州大納言光貞のご落胤と称し→ 14 00:01:11,390 --> 00:01:15,100 浪人たちを扇動しようとした中川正軒が→ 15 00:01:15,100 --> 00:01:19,130 忠相の手によって捕らえられた> 16 00:01:19,130 --> 00:01:25,870 (太鼓の音) 南町奉行 大岡越前守様 ご出座~! 17 00:01:25,870 --> 00:01:29,230 無宿浪人 中川正軒。 18 00:01:29,230 --> 00:01:32,270 事もあろうに 将軍家の名をかたって 金を集め→ 19 00:01:32,270 --> 00:01:39,010 更には 浪人どもをあおりたて ご公儀に 盾つこうとしたこと 不届き至極! 20 00:01:39,010 --> 00:01:46,740 必ずや 極刑あるものと覚悟いたせ。 (正軒)フフ… ハハハハ…! 笑止! 21 00:01:46,740 --> 00:01:52,460 この身ごときが 公儀の詮議を受け 天下に知られたこと→ 22 00:01:52,460 --> 00:01:56,170 むざむざ 野たれ死ぬより はるかによいわ! 23 00:01:56,170 --> 00:01:58,200 引っ立てい! はっ! 24 00:01:58,200 --> 00:02:03,910 中川正軒なる方が本物なら 新たに大名が出来→ 25 00:02:03,910 --> 00:02:05,600 配下のお取り立てがある。 26 00:02:05,600 --> 00:02:09,640 ただひたすら それを信じたばかりに このような…。 27 00:02:09,640 --> 00:02:12,670 まことに… まことに! 28 00:02:12,670 --> 00:02:15,030 友部喜八郎。 29 00:02:15,030 --> 00:02:20,080 そなたの娘 美和が 何とぞ ご容赦あるようにと→ 30 00:02:20,080 --> 00:02:22,440 涙ながらに訴え出ておる。 31 00:02:22,440 --> 00:02:25,130 あ… 美和が…。 32 00:02:25,130 --> 00:02:31,190 長きにわたる浪人暮らしが 父親の目を狂わせた… とな。 33 00:02:31,190 --> 00:02:38,600 それ すなわち 我ら 政に携わる者の不徳の致すところ。 34 00:02:38,600 --> 00:02:44,990 よって 友部喜八郎以下の者どもは 罪一等を減じ→ 35 00:02:44,990 --> 00:02:47,350 百敲きの罰といたす。 36 00:02:47,350 --> 00:02:50,380 (一同)ああ…。 はは~っ! 37 00:02:50,380 --> 00:02:56,440 これよりは 地道に暮らしを立てるよう 精進いたせ。 38 00:02:56,440 --> 00:03:02,170 まことに恩情あるお言葉 かたじけない! 39 00:03:02,170 --> 00:03:05,860 35! はっ! 40 00:03:05,860 --> 00:03:07,550 36! んっ! 41 00:03:07,550 --> 00:03:10,920 37! えい! 38! 42 00:03:10,920 --> 00:03:13,280 ぐっ…。 (お美和)父上! 43 00:03:13,280 --> 00:03:16,970 だから 来るこたぁねえって言ったんだよ。 44 00:03:16,970 --> 00:03:19,670 身内には つれえよな。 いいえ! 45 00:03:19,670 --> 00:03:24,060 百敲きで済んだのは 親分さんたちの お力添えがあったからこそです。 46 00:03:24,060 --> 00:03:27,080 父の罪は 私も背負わなければ。 47 00:03:27,080 --> 00:03:30,780 そうかい。 なら お奉行様も ご満足だろうよ。 48 00:03:30,780 --> 00:03:33,810 おいらも 鼻が高えってもんだ。 49 00:03:33,810 --> 00:03:36,170 何で親分が鼻高いんすか? 50 00:03:36,170 --> 00:03:39,200 お美和ちゃんと親しくなったのは おいらが一等先だ。 51 00:03:39,200 --> 00:03:41,230 へえ~ お花ちゃんに言っちゃおう。 あっ いや… 子吉! 52 00:03:41,230 --> 00:03:43,580 分かった はいはい…。 53 00:03:43,580 --> 00:03:45,930 うっ! 51! 54 00:03:45,930 --> 00:03:48,930 (たたく音) 52! 55 00:03:50,310 --> 00:03:53,340 で… 無事 長屋には戻ったのか。 56 00:03:53,340 --> 00:03:56,380 へい。 今頃は うんうんと うなってる頃ですよ。 57 00:03:56,380 --> 00:03:58,730 これに懲りてくれりゃいいんですがねえ。 58 00:03:58,730 --> 00:04:00,080 何だ? 心配なのか。 59 00:04:00,080 --> 00:04:04,780 あの親父の山っ気には 娘さんも困り果ててんすよ。 60 00:04:04,780 --> 00:04:06,140 くそったれ! 父上! なりません! 61 00:04:06,140 --> 00:04:10,840 あっ… 貸せ! もう… ああ…。 62 00:04:10,840 --> 00:04:12,200 いててて…! 63 00:04:12,200 --> 00:04:14,560 このご時世 誰もが 貧乏から抜け出したいと思ってる。 64 00:04:14,560 --> 00:04:16,910 浪人なら なおさらだろ。 65 00:04:16,910 --> 00:04:20,940 ですが 敲きで済んだんですから 当分 おとなしくなるでしょう。 66 00:04:20,940 --> 00:04:23,650 北のお奉行なら島流し… 違いますか? 67 00:04:23,650 --> 00:04:28,020 …かもしれんな。 あのお方は 上しか見ぬ時があるからな。 68 00:04:28,020 --> 00:04:30,720 あ~ そいつを分かってくれりゃ いいんですが…。 69 00:04:30,720 --> 00:04:36,440 敲きはつらいが その場でお解き放ち。 さすがはお奉行様と 町でも評判ですよ。 70 00:04:36,440 --> 00:04:41,160 大岡裁き ここにあり~。 (笑い声) 71 00:04:41,160 --> 00:04:44,180 ここに置くぞ。 毎度。 72 00:04:44,180 --> 00:04:46,540 ありがとうございます。 73 00:04:46,540 --> 00:04:48,890  心の声 たかが浪人者を解き放って→ 74 00:04:48,890 --> 00:04:53,270 世の中が変わるわけでもあるまいに…。→ 75 00:04:53,270 --> 00:04:57,270 大岡裁きが聞いてあきれる。 76 00:04:59,670 --> 00:05:04,670 いい気なもんだなあ… 大岡忠相。 77 00:05:06,740 --> 00:05:09,770 (雪絵)あら! おっ ほほ…。 78 00:05:09,770 --> 00:05:13,480 鼻緒が切れるなんて 縁起が悪い。 ああ…。 79 00:05:13,480 --> 00:05:15,500 ハハハ…。 80 00:05:15,500 --> 00:06:20,150 ・~ 81 00:06:20,150 --> 00:06:30,150 ・~ 82 00:06:39,670 --> 00:06:42,370 托鉢なら お門違いだぞ! 83 00:06:42,370 --> 00:06:47,080 予の顔を見忘れたか 天中。 何? 84 00:06:47,080 --> 00:06:51,120 和尚… 俺だよ 俺。 85 00:06:51,120 --> 00:06:53,140 天一だ。 86 00:06:53,140 --> 00:06:56,510 (大膳)ほう~ もとは 天中殿の弟子か! 87 00:06:56,510 --> 00:07:04,580 …とはいうても 2年ほど前に 修行を 嫌がり 飛び出したっきり 「梨のつぶて」。 88 00:07:04,580 --> 00:07:05,930 一体 何のために戻ってきた? 89 00:07:05,930 --> 00:07:10,650 和尚のことが急に懐かしゅうなってな。 (右京)お~ 殊勝なことではないか。 90 00:07:10,650 --> 00:07:14,360 何せ 5つの時から 十数年間 面倒を見てもらってたというのに→ 91 00:07:14,360 --> 00:07:17,720 後ろ足で砂をかけるように飛び出し 後生が悪かった。 92 00:07:17,720 --> 00:07:20,080 そうか。 では この寺を継ぐか? 93 00:07:20,080 --> 00:07:24,780 生臭坊主の寺など要らんわい! (笑い声) 94 00:07:24,780 --> 00:07:28,820 小僧のくせに 大人をたぶらかそうとしよるわ。 95 00:07:28,820 --> 00:07:33,870 こういう男よ この小童は。 どこの馬の骨とも知れず→ 96 00:07:33,870 --> 00:07:36,580 寺の前で野たれ死にしそうに なっているところを助けたのだが→ 97 00:07:36,580 --> 00:07:39,600 存外 機転の利く子でな。→ 98 00:07:39,600 --> 00:07:44,320 竹三と名乗っておったが わしの一字を取って→ 99 00:07:44,320 --> 00:07:47,680 天一と名付けてやった。 100 00:07:47,680 --> 00:07:52,400 その恩義を忘れて逃げられたと。 ハハハ だが 戻ってきたのだ。 101 00:07:52,400 --> 00:07:54,760 よかったではないか。 ただ戻ってきたわけではないぞ。 102 00:07:54,760 --> 00:07:58,120 うん? 103 00:07:58,120 --> 00:08:02,120 土産付きだ。 土産? 104 00:08:05,860 --> 00:08:09,230 (天中)赤川大膳に 藤井右京。 105 00:08:09,230 --> 00:08:11,260 今は山賊まがいの浪人だが→ 106 00:08:11,260 --> 00:08:18,260 もとは 大藩に仕えていた 立派なお武家でな わしとは旧知の仲よ。 107 00:08:24,050 --> 00:08:26,740 (大膳)こ… この紋所は! 108 00:08:26,740 --> 00:08:28,760 拝見。 109 00:08:28,760 --> 00:08:44,590 ・~ 110 00:08:44,590 --> 00:08:49,300 備前兼光… 短刀だが 業物だ。 間違いない。 111 00:08:49,300 --> 00:08:51,300 そうか。 112 00:08:53,000 --> 00:08:57,720 「その方 懐妊のこと 我が血筋に相違なし。→ 113 00:08:57,720 --> 00:09:01,750 後日のため 守り刀を遣わすものなり。→ 114 00:09:01,750 --> 00:09:03,110 新之助頼方」。 115 00:09:03,110 --> 00:09:05,460 頼方!? いや… な… 何!? 116 00:09:05,460 --> 00:09:07,820 これも本物だろう? 117 00:09:07,820 --> 00:09:10,840 印形もある… 間違いない。 118 00:09:10,840 --> 00:09:12,200 誰だか分かるか? 和尚。 119 00:09:12,200 --> 00:09:18,250 分からいでか。 紀伊家55万石を継いだ後 江戸城に迎えられ→ 120 00:09:18,250 --> 00:09:23,970 今や 天下に号令する 八代将軍 吉宗ではないか! 121 00:09:23,970 --> 00:09:28,360 おうさ。 つまり こいつは ご落胤のお墨付きと短刀ってわけだ。 122 00:09:28,360 --> 00:09:31,360 それを どこで手に入れた? 123 00:09:35,090 --> 00:09:38,090 抜いたら死ぬぞ。 124 00:09:40,470 --> 00:09:42,830 フン…。 125 00:09:42,830 --> 00:09:50,240 大体 お主らは すぐに刀に手をかけるが そいつを抜くのは最後の最後。 126 00:09:50,240 --> 00:09:55,960 そこに至るまで すべきことがある。 127 00:09:55,960 --> 00:09:57,320 ここ 使うんだよ ここ。 128 00:09:57,320 --> 00:10:01,020 ハハハハ…。 和尚 久しぶりだったな。 129 00:10:01,020 --> 00:10:06,070 まことに。 この方は 山内伊賀亮殿と申してな→ 130 00:10:06,070 --> 00:10:13,470 もとは関白 九条家に勤めていた方で 今は浪々の身だが なかなかの人物。 131 00:10:13,470 --> 00:10:16,840 江戸ではなかったのか? 伊賀亮殿。 132 00:10:16,840 --> 00:10:22,560 ご両人 刀の腕は大したことないが 目利きだな。 133 00:10:22,560 --> 00:10:27,950 確かに どちらも本物だ。 134 00:10:27,950 --> 00:10:30,980 …で? 135 00:10:30,980 --> 00:10:34,010 ほら さっきの答えだよ。 何で あんたに話さなきゃならねえ? 136 00:10:34,010 --> 00:10:37,050 おっ そうか… 和尚 邪魔したな。 いや~ 待て待て! 137 00:10:37,050 --> 00:10:42,050 天一 詳しく話せ。 伊賀亮殿は頼りになる。 138 00:10:45,460 --> 00:10:48,830 (天一) この2年 あちこち渡り歩いたあげく→ 139 00:10:48,830 --> 00:10:52,190 紀州は平野村の感応寺に潜り込んだ。→ 140 00:10:52,190 --> 00:10:54,550 …で そこで手伝いをしていた→ 141 00:10:54,550 --> 00:10:57,910 お三という ばあさんと 親しくなったんだ。 142 00:10:57,910 --> 00:11:01,620 (天一)そうか 孫がいたのか ばあさん。 (お三)お前さん いくつになる? 143 00:11:01,620 --> 00:11:05,660 今年 二十歳だ。 そうかい。 144 00:11:05,660 --> 00:11:07,680 ねえ…。 145 00:11:07,680 --> 00:11:13,410 生きてりゃ あんたとおんなじ年だ。 146 00:11:13,410 --> 00:11:20,140 死んだのか。 娘の産後の肥立ちが悪くてな→ 147 00:11:20,140 --> 00:11:26,870 ひとつきも たたないうちに 乳も ろくに飲めないまま 逝ってしまった…。 148 00:11:26,870 --> 00:11:33,940 娘もな 後を追うようにして… 逝ってしまった。 149 00:11:33,940 --> 00:11:37,980 …で おら 独りぼっちさ。 150 00:11:37,980 --> 00:11:40,680 そりゃ さみしいな ばあさんも。 151 00:11:40,680 --> 00:11:44,050 まっ 私が ここにいる間は 孫だと思ってくれりゃいい。 152 00:11:44,050 --> 00:11:48,050 アハッ うれしい~。 ハハハ…。 153 00:11:52,120 --> 00:11:59,870 けどな 孫はな 生きてりゃ お前なんかとは 比べ物になんない。 154 00:11:59,870 --> 00:12:03,580 えっ? 誰にも 言うな。 155 00:12:03,580 --> 00:12:09,960 ああ…。 お前を見てると 孫のようだ。 フフッ。 156 00:12:09,960 --> 00:12:13,960 これも… 何かの縁だ。 157 00:12:17,380 --> 00:12:21,080 (天一)そこで取り出したのが このお墨付きと短刀ってわけだ。 158 00:12:21,080 --> 00:12:23,110 ばあさんの話じゃ 20年前→ 159 00:12:23,110 --> 00:12:27,820 まだ 吉宗が 加納将監とかいう家来の 屋敷で暮らしていた頃→ 160 00:12:27,820 --> 00:12:32,530 そこで働いていた ばあさんの娘 清乃とできちまって 腹が膨らんだ。 161 00:12:32,530 --> 00:12:36,240 …で 宿下がりとなった時 これを持たされたってことらしい。 162 00:12:36,240 --> 00:12:40,610 吉宗は若い時分 加納将監の子として 暮らしていたことがあるはずだ。 163 00:12:40,610 --> 00:12:43,300 きよの… あっ 確かに娘宛てだ。 164 00:12:43,300 --> 00:12:47,350 赤ん坊が死に これを使う機会がなかったというわけか。 165 00:12:47,350 --> 00:12:50,710 そのばあさん どうした? えっ? 166 00:12:50,710 --> 00:12:54,080 殺したな? ええっ? 167 00:12:54,080 --> 00:13:28,750 ・~ 168 00:13:28,750 --> 00:13:30,110 そのまま逃げてきたのか! 169 00:13:30,110 --> 00:13:33,470 それじゃ 俺が殺したってことになるじゃねえか。 170 00:13:33,470 --> 00:13:37,840 そしらぬ顔で お三ばあさんの 弔いの托鉢に出ると言って→ 171 00:13:37,840 --> 00:13:40,210 寺の和尚に挨拶をし 表門から堂々と出てきたわ。 172 00:13:40,210 --> 00:13:44,250 ハハッ 抜け目のないガキだな! アハハ。 173 00:13:44,250 --> 00:13:48,960 寺に 娘と孫の墓はあったか? そんなもの見てねえよ。 174 00:13:48,960 --> 00:13:52,330 ほかに お墨付きのことを知っている者は? 175 00:13:52,330 --> 00:13:56,030 村長が面倒を見てたようだが 詳しくは分からねえ。 176 00:13:56,030 --> 00:13:59,400 …で どうする? こいつは金になるぞ! 177 00:13:59,400 --> 00:14:02,760 この寺を舞台に 一芝居打つか! おっ アハハ! 178 00:14:02,760 --> 00:14:06,470 天一を ご落胤に でっちあげ 寄進と称して金を巻き上げるんだ! 179 00:14:06,470 --> 00:14:10,840 お~! そりゃいい! 俺は やるぜ。 180 00:14:10,840 --> 00:14:13,870 初手は それでいい。 初手? 181 00:14:13,870 --> 00:14:16,900 そこから どうするというんだ? 182 00:14:16,900 --> 00:14:18,580 江戸のやつらと戦だ。 183 00:14:18,580 --> 00:14:20,280 戦? ああ。 184 00:14:20,280 --> 00:14:25,660 しくじったら 獄門だが 勝負するなら命懸け。 185 00:14:25,660 --> 00:14:31,380 金を集めるだけ集め 偽者なら偽者らしく 八代将軍ご落胤として→ 186 00:14:31,380 --> 00:14:37,110 大坂 京都と 派手に大名行列を押し立て 江戸へと乗り込む。 187 00:14:37,110 --> 00:14:41,150 それなら 直接 江戸表に乗り込んだ方が よかないか? 188 00:14:41,150 --> 00:14:43,500 江戸には 越前がいる。 189 00:14:43,500 --> 00:14:45,860 越前? 190 00:14:45,860 --> 00:14:51,250 町奉行の大岡越前だ。 191 00:14:51,250 --> 00:14:55,290 いきなり 江戸に出たら やつの取り調べとなり→ 192 00:14:55,290 --> 00:14:57,650 そこでばれたら 一巻の終わり。 193 00:14:57,650 --> 00:15:03,370 それより 大坂城代 京都所司代を たぶらかし ご落胤と認めさせ→ 194 00:15:03,370 --> 00:15:07,740 江戸のお偉いさんが逃げられないように 仕組むんだ。 195 00:15:07,740 --> 00:15:12,740 あ~ それが成就するまでは数か月 その間に…。 196 00:15:15,830 --> 00:15:19,530 おおそれながら まかり越しました 山内伊賀亮。 197 00:15:19,530 --> 00:15:27,530 将軍家ご落胤 天一坊様に目通り許され 恐悦至極にござりまする。 198 00:15:31,650 --> 00:15:33,000 予も うれしく思う。 199 00:15:33,000 --> 00:15:38,050 おっ… おめえ なかなか筋がいい。 これから 作法も含めて教えてやる。 200 00:15:38,050 --> 00:15:42,090 (笑い声) 和尚 まずは支度金だ。 201 00:15:42,090 --> 00:15:46,130 近隣の分限者に金主になってもらうには お主の力がいる。→ 202 00:15:46,130 --> 00:15:48,820 天一の身の上をそれなりに作り出せば→ 203 00:15:48,820 --> 00:15:52,190 あとは お墨付きと短刀で乗り切れる。 204 00:15:52,190 --> 00:15:56,230 うまくいきゃ 天一 お前は 将軍家跡継ぎ→ 205 00:15:56,230 --> 00:16:02,290 和尚は 上野の大僧正 我々は 大名 …も 夢じゃねえ。 206 00:16:02,290 --> 00:16:04,310 (笑い声) 207 00:16:04,310 --> 00:16:06,340 おもしれえ! やってやろうじゃねえか! 208 00:16:06,340 --> 00:16:09,360 生まれたからには でかいことやらなきゃ 男じゃねえ! 209 00:16:09,360 --> 00:16:12,720 そういうことだ! (笑い声) 210 00:16:12,720 --> 00:16:17,720  心の声 待っていろ 大岡忠相。 吠え面かくな。 211 00:16:19,130 --> 00:16:23,500 <それから みつきが過ぎた ある日のこと> 212 00:16:23,500 --> 00:16:25,850 (吉宗)話とは何だ? 213 00:16:25,850 --> 00:16:28,890 (松平左近将監)おそれながら 上様のお若き頃のことについて→ 214 00:16:28,890 --> 00:16:34,940 お尋ねしたき儀がございまして… かように一同 まかり越した次第。 215 00:16:34,940 --> 00:16:37,970 若き頃? あっ… は… はい。 216 00:16:37,970 --> 00:16:40,000 あ~ 上様におかれましては→ 217 00:16:40,000 --> 00:16:43,030 紀州平野村に住んでいたという→ 218 00:16:43,030 --> 00:16:49,090 清乃と申す… 娘に お心当たりは ございましょうや? 219 00:16:49,090 --> 00:16:52,800 清乃? 上様が加納将監方において→ 220 00:16:52,800 --> 00:16:55,830 部屋住みご修業中のことでございます。 221 00:16:55,830 --> 00:17:00,210 ええ… その娘に その証拠の品なるものを→ 222 00:17:00,210 --> 00:17:06,600 お遣わしになったかどうか… それを… はい…。 223 00:17:06,600 --> 00:17:09,620 上様…。 上様…。 224 00:17:09,620 --> 00:17:11,310 ある。 (一同)えっ!? 225 00:17:11,310 --> 00:17:13,670 あっ いや…。 あ…。 226 00:17:13,670 --> 00:17:21,750 20年前 みごもった清乃に 備前兼光の短刀と墨付き…→ 227 00:17:21,750 --> 00:17:25,460 確かに与えた覚えが… ある。 228 00:17:25,460 --> 00:17:29,830 (どよめき) 229 00:17:29,830 --> 00:17:32,190 (一同)ははあ…。 230 00:17:32,190 --> 00:17:36,900 聞いたか? 下野 越前。 (伊生)はっ。 231 00:17:36,900 --> 00:17:41,620 では 天一坊なる ご落胤は 本物ということか! うん! 232 00:17:41,620 --> 00:17:47,010 大坂城代からの早馬での知らせ まさかとは思うたが…。 233 00:17:47,010 --> 00:17:51,050 ですが… 上様のお言葉があった今となっては…。 234 00:17:51,050 --> 00:17:53,400 (一同)うん…。 235 00:17:53,400 --> 00:17:58,790 早速 大坂城代には 書面をもって 知らせねばなるまい。 236 00:17:58,790 --> 00:18:00,790 はっ…。 237 00:18:02,490 --> 00:18:06,200 将軍家ご落胤様 お通り~! 238 00:18:06,200 --> 00:18:09,230 下に~ 下に! 239 00:18:09,230 --> 00:18:13,600 <吉宗のひと言で ご落胤として→ 240 00:18:13,600 --> 00:18:16,960 表向き迎えられた 天一坊一行は→ 241 00:18:16,960 --> 00:18:22,360 大坂城代 京都所司代への目通りを済ませ 江戸へと向かっていた> 242 00:18:22,360 --> 00:18:26,070 献上の品でございます! お~…! 243 00:18:26,070 --> 00:18:30,770 献上のお品でございます! うわうわ…。 244 00:18:30,770 --> 00:18:32,120 献上のお品でございます! ああ…。 245 00:18:32,120 --> 00:18:34,480 いよいよ江戸入りだ。 勝負はここからだ。 246 00:18:34,480 --> 00:18:37,840 ハハッ 武者震いがする! まことに。 (笑い声) 247 00:18:37,840 --> 00:18:43,840 笑うな! 威厳を保て。 我らは ご落胤様のお供である。 248 00:18:50,970 --> 00:18:52,320 上様のご落胤!? 249 00:18:52,320 --> 00:18:56,030 いや どうせ 偽者でしょう。 この間の件もありますし。 250 00:18:56,030 --> 00:18:59,400 それが そうでもないのだよ 源さん。 えっ? 251 00:18:59,400 --> 00:19:04,110 証拠の品があるとかで 上方では 商人たちが貢ぎ物を差し出し→ 252 00:19:04,110 --> 00:19:09,490 冥加金50両を出して 供に加わる浪人も後を絶たないらしい。 253 00:19:09,490 --> 00:19:12,860 50両? 本物の将軍家跡継ぎなら→ 254 00:19:12,860 --> 00:19:18,580 惜しくはないんだろう。 とにかく 人が集まり 金も集まる。 255 00:19:18,580 --> 00:19:20,940 江戸入りも間近じゃないかと。 ・(足音) 256 00:19:20,940 --> 00:19:22,290 おう 忠相。 うん。 257 00:19:22,290 --> 00:19:25,660 忠相 今の伊織さんのお話…。 258 00:19:25,660 --> 00:19:30,370 ええ。 ご落胤は あと数日もすれば 江戸へ ご到着なされるはずです。 259 00:19:30,370 --> 00:19:35,750 では 本物のご落胤なのですか? うん…。 260 00:19:35,750 --> 00:19:39,130 上様が そのようなことがあったと お認めになられた。 261 00:19:39,130 --> 00:19:42,820 (お花)えっ!? 上様が? 262 00:19:42,820 --> 00:19:44,170 そんな…! どうした? お花。 263 00:19:44,170 --> 00:19:49,560 だって あの上様に ご落胤だなんて… 信じられません! 264 00:19:49,560 --> 00:19:52,930 意外に うぶですねえ お花も。 (雪絵)求次郎。 265 00:19:52,930 --> 00:19:54,280 フフフ…。 ですが あなた…。 うん。 266 00:19:54,280 --> 00:19:59,990 これは大変なことに。 うん…。 267 00:19:59,990 --> 00:20:02,020 家重様のことがある。 268 00:20:02,020 --> 00:20:06,730 <吉宗の嫡男 家重は病弱ゆえに→ 269 00:20:06,730 --> 00:20:10,770 その行く末を危ぶむ声が 大きかった> 270 00:20:10,770 --> 00:20:15,150 これから いろいろ大変だな 忠相も。 アハハ…。 271 00:20:15,150 --> 00:20:17,500 上様! 272 00:20:17,500 --> 00:20:19,860 久しいのう 伊織。 273 00:20:19,860 --> 00:20:21,880 (せきこみ) はっ…。 274 00:20:21,880 --> 00:20:23,240 ハハハハ…。 275 00:20:23,240 --> 00:20:28,620 清乃の産んだ子が 江戸へ向かっておるそうだな。 276 00:20:28,620 --> 00:20:33,620 はあ… 天一坊様と仰せられる由。 277 00:20:36,360 --> 00:20:41,080 清乃はな… 俺が気ままに暮らしておった頃→ 278 00:20:41,080 --> 00:20:45,450 加納家に腰元奉公していた。 279 00:20:45,450 --> 00:20:48,480 気立てのよい 控えめな娘で→ 280 00:20:48,480 --> 00:20:52,190 清乃といる時だけ 俺は 素直になれた。 281 00:20:52,190 --> 00:20:56,900 清乃がみごもったと聞いた時も うれしかった。 282 00:20:56,900 --> 00:21:03,970 が… 紀州家の四男坊の俺には 何もできずに…。 283 00:21:03,970 --> 00:21:09,700 いつか何かがあったらと 身につけていた短刀と墨付きを与え→ 284 00:21:09,700 --> 00:21:12,730 親のもとへと帰してしまったのだ。 285 00:21:12,730 --> 00:21:18,790 あの時 うなずいた清乃の目には…。 286 00:21:18,790 --> 00:21:24,510 あの涙… 生涯忘れたことはない。 287 00:21:24,510 --> 00:21:29,220 全ては俺の不徳のいたすところ。 288 00:21:29,220 --> 00:21:34,940 恐らく 短刀と墨付きは 俺が清乃に渡したものだろうが→ 289 00:21:34,940 --> 00:21:41,010 20年も前のこと 存分に調べるに越したことはない。 290 00:21:41,010 --> 00:21:46,390 だが 忠相… 俺は…→ 291 00:21:46,390 --> 00:21:50,430 お前が我が子と言うなら 受け入れる。 292 00:21:50,430 --> 00:21:56,170 上様…。 天一坊が本物なら あの清乃の子なのだ。 293 00:21:56,170 --> 00:21:59,170 あの 清乃の…。 294 00:22:02,880 --> 00:22:04,240 分かるな? 忠相。 295 00:22:04,240 --> 00:22:07,930 はっ。 296 00:22:07,930 --> 00:22:09,630 それだけだ。 297 00:22:09,630 --> 00:22:12,630 雪絵。 はい。 298 00:22:13,670 --> 00:22:18,380 邪魔したな。 見送るには及ばぬ。 299 00:22:18,380 --> 00:22:21,080 (戸の開閉音) 300 00:22:21,080 --> 00:22:25,450 あなた…。 301 00:22:25,450 --> 00:22:29,160 そんな顔をするな。 302 00:22:29,160 --> 00:22:31,160 事実は一つだ。 303 00:22:35,890 --> 00:22:37,240 んっ んん~! 304 00:22:37,240 --> 00:22:41,280 ごめんよ。 おお… これは親分! 305 00:22:41,280 --> 00:22:46,990 あの節は いかい世話になった。 いいんですよ。 お美和さんは? 306 00:22:46,990 --> 00:22:49,030 あ~ 留守にしておる 品川の親戚の家にな。 307 00:22:49,030 --> 00:22:54,740 品川? また 何で? えっ? あっ… いや その…。 308 00:22:54,740 --> 00:22:58,110 エヘヘ… ハハハ… いや まあ…。 309 00:22:58,110 --> 00:23:03,490 金策ですかい? あ~ 面目ない…。 310 00:23:03,490 --> 00:23:06,200 叔父さん 品川っていや 例の…。 あ~ ご落胤か。 311 00:23:06,200 --> 00:23:11,910 ご落胤? あっ そういえば…。 それより 仕事早く見つけるこった。 312 00:23:11,910 --> 00:23:15,910 口入れ屋なら紹介するからよ。 なっ? かたじけない…。 313 00:23:20,000 --> 00:23:24,700 岡っ引き風情が…。 314 00:23:24,700 --> 00:23:27,410 ご落胤ねえ…。 315 00:23:27,410 --> 00:23:30,770 下に~ 下に! 316 00:23:30,770 --> 00:23:33,800 あっ ああ… 泣かないで。 泣かないのよ。 317 00:23:33,800 --> 00:23:36,500 泣くな! 天一坊様なるぞ! 318 00:23:36,500 --> 00:23:40,200 申し訳ありません! 泣かないで 泣かないで。 319 00:23:40,200 --> 00:23:42,200 (天一)止めよ。 320 00:23:50,640 --> 00:23:53,670 菓子じゃ。 321 00:23:53,670 --> 00:23:55,350 もう泣くな。 322 00:23:55,350 --> 00:23:58,350 申し訳ございません! 323 00:24:00,730 --> 00:24:02,080 ありがとうございます! 324 00:24:02,080 --> 00:24:13,200 ・~ 325 00:24:13,200 --> 00:24:16,570 天一坊様! 326 00:24:16,570 --> 00:24:19,570 天一坊様。 327 00:24:38,450 --> 00:24:40,800 あちらだ。 328 00:24:40,800 --> 00:24:46,530 <天一坊一行は その日 品川の八ツ山御殿に入った> 329 00:24:46,530 --> 00:25:02,680 ・~ 330 00:25:02,680 --> 00:25:04,040 どういうことだ? 女を引き入れるとは。 331 00:25:04,040 --> 00:25:07,070 よいではないか。 天一とて男だ。 332 00:25:07,070 --> 00:25:12,460 「大事の前の小事」。 ネズミ穴一つで 倉は 火事で丸焼けになる。 333 00:25:12,460 --> 00:25:14,810 わしも そう言ったのだが→ 334 00:25:14,810 --> 00:25:18,180 「傍らで 身の回りの世話を してほしいだけだ」の一点張りでな。 335 00:25:18,180 --> 00:25:21,550 天一に だだをこねられたら このたくらみは泡と消えるぞ。 336 00:25:21,550 --> 00:25:26,550 老中らによる証拠調べは すぐ目の前。 今 ここで…。 337 00:25:33,330 --> 00:25:40,070 ・~ 338 00:25:40,070 --> 00:25:45,450 あ~ 誰にもやらんわい! 339 00:25:45,450 --> 00:25:48,810 んっ! 340 00:25:48,810 --> 00:25:50,810 (舌打ち) 341 00:25:53,190 --> 00:25:55,550 名は? 342 00:25:55,550 --> 00:25:59,920 美和と申します。 生国は? 343 00:25:59,920 --> 00:26:02,290 浪人暮らしの双親と 諸国を巡っておりましたので→ 344 00:26:02,290 --> 00:26:06,330 確かなことは…。 気が付いた時には江戸に。 345 00:26:06,330 --> 00:26:09,690 そうか…。 346 00:26:09,690 --> 00:26:13,060 あの…? これからは そばで働け。 いいな? 347 00:26:13,060 --> 00:26:18,780 えっ? フッ… 怖がるな。 何もせん。 348 00:26:18,780 --> 00:26:21,810 ただ そばにいればいい。 349 00:26:21,810 --> 00:26:25,850 俺には… いや 私には→ 350 00:26:25,850 --> 00:26:29,850 泣く子をあやす母親がおらんからな。 351 00:26:31,580 --> 00:26:33,580 はい。 352 00:26:40,000 --> 00:26:43,030 すまんな… 危ない目に遭わせたようだ。 353 00:26:43,030 --> 00:26:45,380 いいえ。 354 00:26:45,380 --> 00:26:48,740 ですが あの男は相当な手だれかと…。 355 00:26:48,740 --> 00:26:52,110 何という名の男か 分かるか? 356 00:26:52,110 --> 00:26:56,110 山内… そう 山内伊賀亮とか。 357 00:26:58,180 --> 00:27:00,860 どうかなさいましたので? 358 00:27:00,860 --> 00:27:03,860 いや… ご苦労だったな。 359 00:27:09,630 --> 00:27:13,660 山内伊賀亮…。 360 00:27:13,660 --> 00:27:18,710 何!? 天一坊というと ご落胤と言われておるお方か? 361 00:27:18,710 --> 00:27:23,710 はい。 今夜から 向こうで お身の回りの お世話をすることになりました。 362 00:27:26,800 --> 00:27:31,840 父上 しばらく留守にいたしますが よろしいですか? 363 00:27:31,840 --> 00:27:34,540 よいも悪いもない! お前が気に入られれば→ 364 00:27:34,540 --> 00:27:37,570 わしは将軍様の縁戚となるやもしれぬ。 365 00:27:37,570 --> 00:27:40,270 父上…。 そういう顔をするな。 366 00:27:40,270 --> 00:27:47,000 正軒の時には恥をかいたが 今度ばかりは本物だと評判になっておる。 367 00:27:47,000 --> 00:27:52,720 美和 お前が気に入られれば わしとて取り立てられるやもしれぬ。 368 00:27:52,720 --> 00:27:58,720 ん~ どうか 天一坊様に頼んでみてくれ。 なっ? え~ 頼む! このとおりだ! 369 00:27:59,790 --> 00:28:02,820 折を見て…。 370 00:28:02,820 --> 00:28:05,510 そろそろだ。 はい。 371 00:28:05,510 --> 00:28:07,210 では 父上…。 うむ。 372 00:28:07,210 --> 00:28:12,210 娘を よろしくお頼み申す。 (右京)おう。 373 00:28:14,940 --> 00:28:18,940 よろしくお頼み申す! (右京)おう。 374 00:28:20,000 --> 00:28:22,350 ねえ すごいねえ…。 375 00:28:22,350 --> 00:28:26,060 おう 何があったんだい? それがねえ…! 376 00:28:26,060 --> 00:28:29,090 (笑い声) 377 00:28:29,090 --> 00:28:36,820 あ~む… アハハハハ! 378 00:28:36,820 --> 00:28:38,520 あの男の娘が? まことか? 379 00:28:38,520 --> 00:28:42,560 まこともまことの話ですよ。 おいら この目で見たんすから。 380 00:28:42,560 --> 00:28:45,250 侍と一緒に長屋出ていくのを。 381 00:28:45,250 --> 00:28:49,950 まこと ご落胤なら 御の字なのではありませんか? 382 00:28:49,950 --> 00:28:52,660 ごもっとも! いや もしも偽者だったら どうする? 383 00:28:52,660 --> 00:28:56,360 なあ? 三次。 さあ… どうなんでしょうね? 384 00:28:56,360 --> 00:29:02,750 どちらにしても あの親父のこった 娘を たきつけたに決まってまさあ。 385 00:29:02,750 --> 00:29:07,460 因果なもんだよな 父親があれじゃ。 そうかしら? 386 00:29:07,460 --> 00:29:09,490 父親が だらしねえから お美和ちゃんが かわいそうだよ。 387 00:29:09,490 --> 00:29:13,860 そんなに気になるんだったら そのお美和さんのところに行って→ 388 00:29:13,860 --> 00:29:15,210 連れ戻してきたら どうかしら? えっ? 389 00:29:15,210 --> 00:29:18,240 私は ちっとも構いませんから。 390 00:29:18,240 --> 00:29:21,280 あっ ちょ… お花ちゃん? 391 00:29:21,280 --> 00:29:26,280 大変ですねえ 勘太の親分。 392 00:29:29,690 --> 00:29:37,760 <天一坊の証拠調べは 老中 松平左近将監の屋敷で行われた> 393 00:29:37,760 --> 00:29:43,500 しかる後 天一坊様お生まれしが 産後の肥立ち悪く 清乃様も死去。 394 00:29:43,500 --> 00:29:48,880 老婆 お三のもとで育てられるも 生来の病弱。 395 00:29:48,880 --> 00:29:52,910 このままでは 清乃様の二の舞と 5歳のみぎりに→ 396 00:29:52,910 --> 00:29:57,970 この天中なる僧が差配する 美濃の国 常楽院にて養育。 397 00:29:57,970 --> 00:30:03,020 すくすくと お育ちなされ 一人前の僧となった18の年より→ 398 00:30:03,020 --> 00:30:07,070 諸国を漫遊し 見識を広め 二十歳を境に→ 399 00:30:07,070 --> 00:30:12,790 以前より お預かりし その証拠の品 広める時 来たりと→ 400 00:30:12,790 --> 00:30:17,790 江戸に下向なされたる次第でござる。 401 00:30:20,200 --> 00:30:25,910 はあ… 相分かり申した。 この上は 重役一同 合議いたし→ 402 00:30:25,910 --> 00:30:28,280 親子ご対面の儀 はかり申す。 403 00:30:28,280 --> 00:30:33,320 左近をはじめ 皆の者 大儀であった。 404 00:30:33,320 --> 00:30:37,030 一同 よしなに取り計らうよう。 405 00:30:37,030 --> 00:30:40,400 かしこまりました。 406 00:30:40,400 --> 00:30:42,400  心の声 やったぜ…。 407 00:30:52,180 --> 00:30:58,580 ・~ 408 00:30:58,580 --> 00:31:01,580 大岡殿! 409 00:31:04,630 --> 00:31:08,680 越前! 天一坊様に無礼であろう! 410 00:31:08,680 --> 00:31:10,680 よい。 411 00:31:20,130 --> 00:31:22,820 あの男が…。 大岡越前。 412 00:31:22,820 --> 00:31:30,230 あの目が怖え…。 案ずるな。 越前とて 老中には逆らえん。 413 00:31:30,230 --> 00:31:32,580 今 何と申した? 414 00:31:32,580 --> 00:31:38,980 はっ。 いま一度の吟味 この越前にお申しつけくださいますよう。 415 00:31:38,980 --> 00:31:43,360 大岡殿! 先ほどの振る舞いといい いかがなされたのだ!? 416 00:31:43,360 --> 00:31:45,380 伊生殿は お気付きになられないか? 417 00:31:45,380 --> 00:31:49,750 天一坊君 まごうことなき 上様のお子ならば→ 418 00:31:49,750 --> 00:31:53,460 静かに江戸へ下向し お沙汰を待つはず。 419 00:31:53,460 --> 00:31:58,180 それが 土地土地において金を集め 人を集め→ 420 00:31:58,180 --> 00:32:02,880 大名のごとき振る舞いをし 世間を騒がせる。 421 00:32:02,880 --> 00:32:07,930 父親に恥をかかせて なにが ご落胤でありましょうや!? 422 00:32:07,930 --> 00:32:10,290 大岡殿! 言葉がすぎまする! 423 00:32:10,290 --> 00:32:14,670 越前! 本来ならば 老中だけの証拠調べ→ 424 00:32:14,670 --> 00:32:22,080 それを是非にと言うから お主らを同道させたんじゃ! なのに…。 425 00:32:22,080 --> 00:32:27,800 左近将監様 伏して… 伏して…→ 426 00:32:27,800 --> 00:32:29,150 お願い申し上げまする! 427 00:32:29,150 --> 00:32:32,150 まだ言うか! 428 00:32:37,900 --> 00:32:40,590 再吟味? あ… はい。 429 00:32:40,590 --> 00:32:42,950 いや 我ら重役の意見を差し置いて→ 430 00:32:42,950 --> 00:32:44,970 そのようなことを 申しておるのでございます。 431 00:32:44,970 --> 00:32:49,020 確かに 天一坊は 清乃の子で間違いないのだな? 432 00:32:49,020 --> 00:32:53,390 はい。 あの しれ者が…。 433 00:32:53,390 --> 00:32:59,120 予の言葉を逆手に取り 何を血迷うたことを…。 434 00:32:59,120 --> 00:33:04,510 天一坊再吟味は無用。 越前には 閉門を申しつけよ。 435 00:33:04,510 --> 00:33:07,510 (一同)は… はっ…! 436 00:33:11,240 --> 00:33:14,610 上意! 437 00:33:14,610 --> 00:33:17,610 大岡越前守。 438 00:33:22,010 --> 00:33:25,710 閉門 申しつくものなり。 439 00:33:25,710 --> 00:33:27,710 ははっ! 440 00:33:33,120 --> 00:33:35,150 どうして お奉行が閉門となるのですか! 441 00:33:35,150 --> 00:33:39,180 ああ! 上様ともあろうお方が なんということを! 442 00:33:39,180 --> 00:33:45,910 例のご落胤の件で ご老中の ご機嫌を損ねたと 専らの噂です! 443 00:33:45,910 --> 00:33:50,290 だとしてもだ! 町奉行が閉門などと 聞いたことがない! 444 00:33:50,290 --> 00:33:52,990 白洲は どうなるんですか? 445 00:33:52,990 --> 00:33:56,690 神山さん 何とか言ったらどうですか!? 446 00:33:56,690 --> 00:34:02,690 俺が何か言ったら お奉行の閉門が解けるのか? 447 00:34:05,780 --> 00:34:07,470 俺たちは町方だ。 448 00:34:07,470 --> 00:34:12,510 日々 江戸の者たちへの務めを果たすまでだ。 449 00:34:12,510 --> 00:34:17,510 お奉行が何か言われるまではな。 450 00:34:21,930 --> 00:34:24,970 上様は どうなされたのでしょうか? 451 00:34:24,970 --> 00:34:30,970 若の言うことなら 受け入れると仰せられたのは嘘か…。 452 00:34:32,720 --> 00:34:41,130 上様は 天一坊に… いや 清乃の子に会いたいのだ。 453 00:34:41,130 --> 00:34:45,850 あの涙… 生涯忘れたことはない。 454 00:34:45,850 --> 00:34:51,240 まこと ご落胤なら 障りはない。 だが…。 455 00:34:51,240 --> 00:34:55,270 違うと お思いなのですね。 456 00:34:55,270 --> 00:34:58,300 うん…。 忠相。 457 00:34:58,300 --> 00:35:01,010 あっ 伊織さん… 新三郎さんまで。 先生方 どうして? 458 00:35:01,010 --> 00:35:03,360 病にかかっている者がいると言ったら 通されたんだ。 459 00:35:03,360 --> 00:35:08,740 医者に閉門は関わりありませんので。 何か役に立つことはないか? 忠相。 460 00:35:08,740 --> 00:35:10,090 切腹でもされては たまりません。 461 00:35:10,090 --> 00:35:12,780 切腹!? 462 00:35:12,780 --> 00:35:16,480 ならば… 死人にでもなるか。 463 00:35:16,480 --> 00:35:18,500 何? 464 00:35:18,500 --> 00:35:22,880 よっと…。 ああ…。 465 00:35:22,880 --> 00:35:24,230 待てい! おお…。 466 00:35:24,230 --> 00:35:27,600 はやり病で一人死んだ。 これから 養生所へ運ぶ。 467 00:35:27,600 --> 00:35:30,960 何? 中を見てもよいが→ 468 00:35:30,960 --> 00:35:33,330 はやり病だ。 うつるかもしれんぞ。 そんな…! 469 00:35:33,330 --> 00:35:36,690 医者の俺たちしか 担いではいけぬからな。 470 00:35:36,690 --> 00:35:39,720 通ってよいな? あ… 通るぞ! 471 00:35:39,720 --> 00:35:41,410 うつるぞ! うつるぞ! 472 00:35:41,410 --> 00:35:46,120 ハ~ッハッハ… ハ~ッハッハ! え~? 473 00:35:46,120 --> 00:35:49,820 伊織… 伊織 下ろすぞ。 これは たまらん。 474 00:35:49,820 --> 00:35:54,200 もう駄目だ。 今 開けますからね。 475 00:35:54,200 --> 00:35:58,910 よし…。 さあ さあ さあ…。 476 00:35:58,910 --> 00:36:01,910 ここから かなり ありますが…。 477 00:36:10,690 --> 00:36:13,690 村上さんに頼まれました。 すまんな。 478 00:36:19,780 --> 00:36:26,520 <忠相は 徳川御三家であり 副将軍の異名を持つ 水戸中納言に→ 479 00:36:26,520 --> 00:36:28,540 窮状を訴えた> 480 00:36:28,540 --> 00:36:33,260 まあ 越前 ここは わしに任せておけ。 481 00:36:33,260 --> 00:36:35,610 ははっ! 482 00:36:35,610 --> 00:36:46,050 ・~ 483 00:36:46,050 --> 00:36:49,080 うん よかろう。 次。 484 00:36:49,080 --> 00:36:54,140 それがしは 25両。 25両? 少ないな…。 485 00:36:54,140 --> 00:37:03,140 ・~ 486 00:37:05,570 --> 00:37:07,270 あっ どうだ? 頼んでくれたか? わしのこと。 487 00:37:07,270 --> 00:37:11,310 父上…。 天一坊様に気に入られてるのなら… えっ。 488 00:37:11,310 --> 00:37:14,330 あそこに群がるやつらとは違って→ 489 00:37:14,330 --> 00:37:16,690 もっと いい役目を 与えられるではないか! 490 00:37:16,690 --> 00:37:18,710 困ります 父上。 いや いい… おい… なっ? 491 00:37:18,710 --> 00:37:21,730 お帰りください! おっとっと…。 492 00:37:21,730 --> 00:37:23,090 おい! おい 美和! か…。 493 00:37:23,090 --> 00:37:27,090 たっ… もう~。 494 00:37:33,190 --> 00:37:38,900 あれは お前の父か? 495 00:37:38,900 --> 00:37:40,260 はい。 496 00:37:40,260 --> 00:37:43,630 おやじ 酒だ! へい。 497 00:37:43,630 --> 00:37:47,330 そうか… そのくらい お安い御用だ。 498 00:37:47,330 --> 00:37:50,360 いけません。 どうして? 499 00:37:50,360 --> 00:37:55,070 父は優しい人ですが… 弱い人なのです。 500 00:37:55,070 --> 00:37:58,440 人として駄目なところがあります。 501 00:37:58,440 --> 00:38:01,460 天一坊様に ご迷惑をおかけします。 502 00:38:01,460 --> 00:38:04,500 だが 父親なんだろ? 503 00:38:04,500 --> 00:38:08,870 父だからこそ 身びいきしたくないのです。 504 00:38:08,870 --> 00:38:13,590 身内なら なんとかしてやりたいと 思うものではないのか? 父が嫌いか? 505 00:38:13,590 --> 00:38:18,590 いいえ。 好きだからこそです。 506 00:38:21,670 --> 00:38:26,380 本当の親への気持ちってのは そういうものなのか…。 507 00:38:26,380 --> 00:38:28,070 えっ? 508 00:38:28,070 --> 00:38:30,430 あっ…。 509 00:38:30,430 --> 00:38:33,790 申し訳ありません。 510 00:38:33,790 --> 00:38:35,790 いいんだ。 511 00:38:36,490 --> 00:38:40,490  回想 出ていけ このクソガキ! あっ! 512 00:38:42,220 --> 00:38:45,580 おんちゃん! 513 00:38:45,580 --> 00:38:48,940 おんちゃ~ん! 514 00:38:48,940 --> 00:39:05,110 ・~ 515 00:39:05,110 --> 00:39:08,110 俺は 親を知らぬ…。 516 00:39:13,860 --> 00:39:19,580 中納言をたきつけるとは… 考えたな 越前。 517 00:39:19,580 --> 00:39:25,980 天一坊の一件 水戸にとっても ひと事ではない。 518 00:39:25,980 --> 00:39:30,360 病弱な家重なら ともかく 天一坊まで現れたら→ 519 00:39:30,360 --> 00:39:34,360 水戸の出番は なくなる。 520 00:39:37,100 --> 00:39:43,150 天一坊を… 偽者だと思うておるのか。 521 00:39:43,150 --> 00:39:45,840 いえ。 522 00:39:45,840 --> 00:39:51,840 ただ この手で 調べてみたいのでございます。 523 00:39:56,950 --> 00:40:03,690 天一坊の再吟味… 予の名代として許す。 524 00:40:03,690 --> 00:40:05,690 はっ! 525 00:40:10,760 --> 00:40:13,120 再吟味!? ああ。 526 00:40:13,120 --> 00:40:19,180 たった今 知らせが届いた。 越前の屋敷に来いとなあ…。 527 00:40:19,180 --> 00:40:21,530 越前は閉門ではなかったのか? 528 00:40:21,530 --> 00:40:25,240 大岡越前 ただ者ではないということよ。 529 00:40:25,240 --> 00:40:28,610 町方風情が 何様のつもりだ! 530 00:40:28,610 --> 00:40:34,330 天一。 越前の再吟味が決まったぞ。 531 00:40:34,330 --> 00:40:37,700 行くのか? 行かねばなるまい。 532 00:40:37,700 --> 00:40:41,400 よいか? やつは我々を怒らせるつもりだ。 533 00:40:41,400 --> 00:40:44,770 怒れば 向こうの思うつぼ。 534 00:40:44,770 --> 00:40:47,770 正念場だぞ 天一。 535 00:40:50,150 --> 00:40:53,520 どうした? 536 00:40:53,520 --> 00:40:58,910 親とは 一体… どういうものかな? 537 00:40:58,910 --> 00:41:00,600 な… 何? 538 00:41:00,600 --> 00:41:02,600 天一! 539 00:41:05,310 --> 00:41:08,670 再吟味だと!? 無礼な! 540 00:41:08,670 --> 00:41:11,700 けしからん! 無礼にも程がある! 541 00:41:11,700 --> 00:41:13,700 そうだ! 542 00:41:16,760 --> 00:41:18,110 お奉行様! 543 00:41:18,110 --> 00:41:22,140 伊織先生 新三郎先生 お奉行様が いらっしゃいました。 544 00:41:22,140 --> 00:41:24,830 おう 忠相 うまくいったようだな。 545 00:41:24,830 --> 00:41:27,190 ああ 早速だが どちらが行ってくれるのだ? 546 00:41:27,190 --> 00:41:29,220 私が参ります。 そうか。 547 00:41:29,220 --> 00:41:33,250 駿介が供をする。 よろしくお願いします。 548 00:41:33,250 --> 00:41:37,970 二の矢 三の矢というわけだな。 ああ。 頼んだぞ 二人とも。 549 00:41:37,970 --> 00:41:40,970 はい! お任せください! 550 00:41:46,380 --> 00:41:53,380 <朝を待たず 結城新三郎と北島駿介は いずこかへと旅立った> 551 00:41:57,830 --> 00:41:59,830 お帰りなさいまし。 552 00:42:05,900 --> 00:42:07,260 伊賀亮。 553 00:42:07,260 --> 00:42:10,960 久方ぶりだったな… 忠相。 554 00:42:10,960 --> 00:42:16,010 <そして 天一坊事件に関わる 忠相と伊賀亮には→ 555 00:42:16,010 --> 00:42:20,050 どうやら 過去の因縁があるようだが→ 556 00:42:20,050 --> 00:42:27,460 天一坊の心の奥底にある秘密が 事件の鍵を握ることについては→ 557 00:42:27,460 --> 00:42:32,460 この2人も まだ知らぬことであった> 558 00:42:35,200 --> 00:42:38,230 <次回「大岡越前」。→ 559 00:42:38,230 --> 00:42:41,940 天一坊は本物か いざ始まった 再吟味> 560 00:42:41,940 --> 00:42:44,630 父と会いたい… ただただ それだけで。 561 00:42:44,630 --> 00:42:49,010 <風雲急を告げる時 秘められた真実が明かされる> 562 00:42:49,010 --> 00:42:55,010 天一坊か? 天下の極悪人 死罪獄門になるがいい。