1 00:00:07,825 --> 00:00:12,850 それがしを 老中首座に 抜てきしていただきたいのです 2 00:00:16,875 --> 00:00:20,850 月が沈めば 日が昇る 3 00:00:26,525 --> 00:00:30,225 表があれば 裏もある 4 00:00:41,675 --> 00:00:44,875 それがしと上様は 表裏一体 5 00:00:47,375 --> 00:00:48,575 そうであろう? 6 00:01:13,575 --> 00:01:20,400 家臣を率いる新たな老中首座に 田沼を任命する 7 00:01:22,375 --> 00:01:26,325 何故に? 何故 田沼殿を… 8 00:01:28,050 --> 00:01:29,450 殿 9 00:01:29,450 --> 00:01:31,375 そなたに答える道理はない 10 00:01:35,425 --> 00:01:36,400 殿 11 00:01:37,800 --> 00:01:45,575 このところ 度重なる天変地異により 町では打ち壊しが 12 00:01:45,575 --> 00:01:48,750 農村では一揆が多発し 13 00:01:48,750 --> 00:01:52,550 民は皆 不況にあえいでおる 14 00:01:52,550 --> 00:01:56,825 まずは この景気を 早急に回復せねばならない 15 00:01:58,025 --> 00:02:01,975 田沼 頼んだぞ 16 00:02:05,825 --> 00:02:06,950 ははっ 17 00:02:23,950 --> 00:02:25,500 信通さま 18 00:02:31,475 --> 00:02:39,975 そなたの姉 高覚とめおととなったのだ 19 00:02:47,400 --> 00:02:48,625 なりません 20 00:02:49,450 --> 00:02:52,725 お声を掛けるまでは お目覚めになってはなりません 21 00:02:53,725 --> 00:02:55,800 そんなの無理であろう 22 00:02:55,800 --> 00:02:58,250 目が覚めてしまったんですから 23 00:02:58,250 --> 00:03:02,625 恐れながら 郷に入っては郷に従え 24 00:03:02,625 --> 00:03:06,650 本日からは 大奥のしきたりに 従っていただきます 25 00:03:06,650 --> 00:03:08,775 横におなりください 26 00:03:42,925 --> 00:03:48,275 冷たい…なぜ こんなに硬く 冷たいのです? 27 00:03:48,275 --> 00:03:50,600 それは… 28 00:03:50,600 --> 00:03:52,175 表の御膳所で 29 00:03:52,175 --> 00:03:56,225 まず 10人分の料理が作られ 30 00:03:56,225 --> 00:03:58,525 2人分 お毒味を 31 00:04:01,700 --> 00:04:04,700 長い廊下を渡り 32 00:04:04,700 --> 00:04:06,950 大奥まで運ばれ 33 00:04:06,950 --> 00:04:09,275 また お毒味 34 00:04:11,950 --> 00:04:15,425 美味でございます 35 00:04:15,425 --> 00:04:19,750 再び 長い廊下を渡り ようやく こちらに 36 00:04:19,750 --> 00:04:22,200 料理は1人分で十分です 37 00:04:23,675 --> 00:04:26,950 ひと箸つけたら お取り換えする 決まりにございます 38 00:04:35,525 --> 00:04:38,000 ついてこないでください 39 00:04:38,000 --> 00:04:40,025 厠に 用を足しに行くだけです 40 00:04:40,025 --> 00:04:41,500 お供いたします 41 00:04:41,500 --> 00:04:44,125 必要ない 少しは一人にしてくれ! 42 00:04:44,125 --> 00:04:45,975 なりません 43 00:04:45,975 --> 00:04:46,925 倫子さま 44 00:04:46,925 --> 00:04:48,875 お品 45 00:04:48,875 --> 00:04:51,300 この者たちが ず~っと 付きまとってくるのだ 46 00:04:51,300 --> 00:04:53,500 それがお役目故 47 00:04:53,500 --> 00:04:57,625 大奥のしきたりでしたら 私が きちんと学びます 48 00:04:57,625 --> 00:04:59,525 それ故 … 49 00:04:59,525 --> 00:05:05,075 倫子さまのお世話は これからも 私に任せていただきます 50 00:05:05,075 --> 00:05:08,350 お品…ああ それがいい 51 00:05:13,600 --> 00:05:15,750 そなたには無理かと 52 00:05:19,200 --> 00:05:22,850 必ず 務め上げてみせます 53 00:05:28,700 --> 00:05:29,975 そうですか 54 00:05:29,975 --> 00:05:32,025 では 早速お務めを 55 00:05:34,950 --> 00:05:38,175 御台さまのお手を 汚すわけにはまいりません 56 00:05:38,175 --> 00:05:39,445 用を済ませた後は 57 00:05:39,446 --> 00:05:44,450 お品殿がそちらで お拭きくださいませ 58 00:05:58,375 --> 00:06:04,775 貧乏旗本の出である 田沼殿が 老中首座とは… 59 00:06:04,775 --> 00:06:08,150 どうやって上様を説き伏せたのです? 60 00:06:08,150 --> 00:06:13,025 あのお方は そなたが育て上げた かいあって 先見の明がおありじゃ 61 00:06:13,025 --> 00:06:15,250 わしの才を見抜いたんであろう 62 00:06:16,750 --> 00:06:18,225 まあ よい 63 00:06:19,325 --> 00:06:21,175 こちらの件も頼みましたよ 64 00:06:21,175 --> 00:06:22,900 ああ 65 00:06:22,900 --> 00:06:27,975 しかし そんなに急ぐ必要あるか? 66 00:06:27,975 --> 00:06:32,375 万が一にも あの御台が世継ぎをなせば 67 00:06:32,375 --> 00:06:37,650 公家の者どもが 政にまで 口を挟んでくるでしょう 68 00:06:37,650 --> 00:06:42,925 その前に何としても 側室をあてがうのです 69 00:06:42,925 --> 00:06:46,025 われらの息のかかった側室を 70 00:06:53,450 --> 00:06:57,500 ほんに ここは変なしきたりばかりや 71 00:06:57,500 --> 00:06:59,250 息が詰まる 72 00:07:00,275 --> 00:07:04,700 その…昨晩は よく眠れましたか? 73 00:07:04,700 --> 00:07:07,848 ああ 信通さまのことか? 74 00:07:07,849 --> 00:07:11,700 だったら よかったと思うことにした 75 00:07:11,700 --> 00:07:13,400 よかった? 76 00:07:13,400 --> 00:07:16,350 私は もう この城から出られないし 77 00:07:16,350 --> 00:07:19,900 信通さまと姉上には 幸せになってもらいたいからな 78 00:07:22,075 --> 00:07:24,375 どれにしようかな 79 00:07:48,550 --> 00:07:54,425 上様におかれましては ご機嫌麗しゅう存じ奉ります 80 00:07:54,425 --> 00:08:01,875 本日も誠心誠意お仕えできることを 誠に誇らしくお喜び申し上げます 81 00:08:09,125 --> 00:08:12,500 御台さまからも何か一言 上様に 82 00:08:16,250 --> 00:08:17,850 お願い申し上げます 83 00:08:22,050 --> 00:08:26,800 上様には 健やかなるご様子 誠にお喜び申し上げます 84 00:08:30,475 --> 00:08:33,025 本日も奥女中一同… 85 00:08:39,600 --> 00:08:41,825 心にもない言葉は いらぬ 86 00:09:03,800 --> 00:09:06,350 今日も一度も 目が合わなかった 87 00:09:08,200 --> 00:09:11,375 上様とでございますか? 88 00:09:11,375 --> 00:09:13,575 他の女中たちとも 89 00:09:14,900 --> 00:09:17,525 どうなってるのかしらねぇ 90 00:09:17,525 --> 00:09:21,925 こんなにも上様のお渡りがないなんて 91 00:09:21,925 --> 00:09:27,225 御台さまに おなごとしての 魅力がないせいでは? 92 00:09:27,225 --> 00:09:29,025 そなたたち 無礼ですぞ 93 00:09:29,025 --> 00:09:30,050 よい 94 00:09:30,925 --> 00:09:34,850 そのようなことでしか 人の価値を測れないなど 95 00:09:34,850 --> 00:09:36,650 哀れな方たちです 96 00:09:38,400 --> 00:09:43,450 では他に何の価値があるのでしょう 97 00:09:46,150 --> 00:09:52,600 この大奥は将軍家の子孫繁栄のため 設けられた場所 98 00:09:53,950 --> 00:09:58,200 その務めを果たさずに 99 00:09:58,200 --> 00:10:01,500 妻といえるんでしょうかねぇ 100 00:10:06,250 --> 00:10:07,125 高岳さま 101 00:10:07,125 --> 00:10:08,500 何じゃ? 102 00:10:08,500 --> 00:10:09,925 申し上げます 103 00:10:09,925 --> 00:10:11,200 ついに… 104 00:10:14,175 --> 00:10:15,675 ...産まれました 105 00:10:16,425 --> 00:10:18,050 産まれたか 106 00:10:25,150 --> 00:10:27,025 何が? 107 00:10:27,025 --> 00:10:28,325 さあ? 108 00:10:32,200 --> 00:10:33,975 何と… 109 00:10:39,675 --> 00:10:42,700 こんな立派な子を産み 110 00:10:43,925 --> 00:10:47,425 御台よりも優秀やのう 111 00:10:47,425 --> 00:10:51,875 この子たちが高岳さまの ご実家で お産まれに 112 00:10:51,875 --> 00:10:55,000 どうか 私にもお譲りください 113 00:10:55,000 --> 00:10:57,000 いいえ この私に! 114 00:10:57,000 --> 00:10:59,200 何とぞ 高岳さま… 115 00:11:02,725 --> 00:11:04,400 猫? 116 00:11:04,400 --> 00:11:05,750 はい 117 00:11:05,750 --> 00:11:09,250 それも出世のために 欲しがっているようで 118 00:11:09,250 --> 00:11:11,025 どういうことだ? 119 00:11:11,025 --> 00:11:14,200 大奥で力を持つ高岳さまから 120 00:11:14,200 --> 00:11:17,425 同じ血統の猫をお譲りいただくことで 121 00:11:17,425 --> 00:11:21,025 少しでも お近づきになりたいと 考えているようでして 122 00:11:23,500 --> 00:11:26,375 出世のために 猫を欲しがったり 123 00:11:26,375 --> 00:11:29,750 上様のお手がつくよう競い合ったり… 124 00:11:29,750 --> 00:11:31,475 理解できないな 125 00:11:34,325 --> 00:11:39,475 こんな暮らしが一生 続くのですかね… 126 00:11:52,125 --> 00:11:57,150 めおとらしい生活は何一つなく 127 00:11:57,150 --> 00:11:59,400 閉ざされた城の中で 128 00:11:59,400 --> 00:12:03,850 生きる意味を見いだせずにいる 姫様なのでした 129 00:12:11,625 --> 00:12:13,875 倫子さま お召し替えを 130 00:12:13,875 --> 00:12:15,350 またか? 131 00:12:15,350 --> 00:12:18,825 一日 5回着替えるしきたりだそうで… 132 00:12:32,700 --> 00:12:34,150 お品殿 133 00:12:35,525 --> 00:12:39,525 この箱を 松島さまに 届けていただけませんか 134 00:12:39,525 --> 00:12:41,825 何故 私が? 135 00:12:41,825 --> 00:12:44,925 私には 他に務めがございます故 136 00:12:49,475 --> 00:12:51,300 お願い申し上げます 137 00:12:51,300 --> 00:12:52,650 ちょっと… 138 00:12:57,550 --> 00:13:00,275 この悪化しきった景気を 回復させるためには 139 00:13:00,275 --> 00:13:04,700 まず われわれ幕府の財政を 豊かにせねばなりませぬ 140 00:13:04,700 --> 00:13:11,650 そこで 町人たちに"株"を発行し 買わせてはどうでしょう? 141 00:13:11,650 --> 00:13:13,925 株? 142 00:13:13,950 --> 00:13:18,650 やみくもに 税を納めろと申しても 反発を招くだけです 143 00:13:18,650 --> 00:13:25,700 そこで 株を買った者だけが独占的に 商いを行える決まりにするのです 144 00:13:25,700 --> 00:13:28,875 そうすれば あきんどたちは 商いを行うために 145 00:13:28,875 --> 00:13:31,875 率先して税を幕府に納めるでしょう 146 00:13:33,650 --> 00:13:38,275 しかし 株を買えない者たちは どうなる? 147 00:13:38,275 --> 00:13:42,050 銭のない小さな商店は つぶれ 148 00:13:42,050 --> 00:13:45,125 ますます貧しくなる民が出てこよう 149 00:13:45,125 --> 00:13:46,750 それでよいかと 150 00:13:54,525 --> 00:13:56,950 このまま景気が悪化すれば 151 00:13:56,950 --> 00:14:00,050 全員 共倒れです 152 00:14:00,050 --> 00:14:03,375 多少の犠牲は致し方ないものと存じます 153 00:14:06,550 --> 00:14:10,500 勝つ者がいれば 負ける者がいる 154 00:14:12,850 --> 00:14:15,075 それが世の常ですから 155 00:14:22,525 --> 00:14:23,750 任せる 156 00:14:29,975 --> 00:14:31,925 承知つかまつりました 157 00:14:39,350 --> 00:14:44,350 そちらの お品殿が 運ぶ途中に割ってしまったようで 158 00:14:44,350 --> 00:14:45,800 私ではありません 159 00:14:45,800 --> 00:14:49,725 百両の値打ちのある鍋銚子ですぞ? 160 00:14:49,725 --> 00:14:53,250 そのような言い分が通るとお思いか? 161 00:14:53,250 --> 00:14:55,875 最初から割れていたのです 162 00:14:55,875 --> 00:14:57,475 信じてください 163 00:14:59,250 --> 00:15:04,175 お知保殿が お品に運ぶよう 頼まれたそうですね? 164 00:15:04,175 --> 00:15:06,225 そうです 165 00:15:06,225 --> 00:15:09,375 お知保殿が割ってしまい 私に ぬれぎぬを着せようと… 166 00:15:09,375 --> 00:15:12,550 私は何も存じ上げません 167 00:15:12,550 --> 00:15:14,875 そなたが割ったのであろ 168 00:15:16,475 --> 00:15:20,325 そのような 証しどこにあるというのです? 169 00:15:23,575 --> 00:15:27,525 確かにそのような証しはございません 170 00:15:27,525 --> 00:15:31,575 ですが 私はお品の言うことを信じます 171 00:15:32,300 --> 00:15:33,725 倫子さま… 172 00:15:35,725 --> 00:15:38,325 何はともあれ 173 00:15:38,325 --> 00:15:42,950 私は その鍋島焼の鍋銚子を金子に替え 174 00:15:42,950 --> 00:15:49,400 その銭で 女中たちに懐紙入れを 新しく支給するつもりでおりました 175 00:15:49,400 --> 00:15:52,100 上様は 倹約を好まれ 176 00:15:52,100 --> 00:15:56,725 このままでは 懐紙入れを揃える 経費が足りませぬ 177 00:15:57,825 --> 00:16:01,750 次にできることといえば人減らし 178 00:16:03,075 --> 00:16:10,250 誠に残念ではございますが お品殿には いとまを取らす他ないかと 179 00:16:10,250 --> 00:16:11,750 そんな 180 00:16:11,750 --> 00:16:16,425 全ての権限は大奥総取締 松島さまに ございます 181 00:16:20,426 --> 00:16:26,175 でしたら その経費分を 賄えればよいのですよね 182 00:16:37,750 --> 00:16:41,700 懐紙入れは われわれの手で作ります 183 00:16:41,700 --> 00:16:46,225 そうすれば お品に いとまを取らせる必要はないのでは? 184 00:16:52,175 --> 00:16:54,200 承知つかまつりました 185 00:16:55,650 --> 00:17:04,325 では 明日の朝までに上級女中 300人分の懐紙入れをお作りください 186 00:17:04,325 --> 00:17:10,000 300人 そんなの 間に合うはずがありません 187 00:17:10,000 --> 00:17:14,550 その場合は ここを辞めていただきます 188 00:17:19,550 --> 00:17:23,550 承知しました 必ず作ってみせます 189 00:17:26,025 --> 00:17:28,850 300など作れるはずがない 190 00:17:30,575 --> 00:17:38,250 念のため 他の女中たちに 一切 手を貸すなと申し伝えよ 191 00:17:38,250 --> 00:17:39,450 はい 192 00:17:43,198 --> 00:17:47,750 あの者たちが どうして お品に ひどいことをするか分かるか? 193 00:17:49,125 --> 00:17:50,200 いえ 194 00:17:51,925 --> 00:17:56,500 そうすれば 私が一番嫌がると 分かっているからだ 195 00:17:58,200 --> 00:18:01,325 それが何より許せない 196 00:18:01,325 --> 00:18:02,400 悔しい… 197 00:18:04,725 --> 00:18:08,700 だから 必ず作りきって見返してやろう 198 00:18:10,350 --> 00:18:11,200 はい 199 00:18:12,525 --> 00:18:14,900 上様には失望いたしました 200 00:18:16,125 --> 00:18:18,850 田沼殿ばかりを重用し 201 00:18:18,850 --> 00:18:23,450 政を任せきりにしておるのです 202 00:18:24,875 --> 00:18:26,800 田沼を? 203 00:18:26,800 --> 00:18:28,675 はい 204 00:18:28,675 --> 00:18:32,600 それもこれも 宗武さまが 跡を継がれていれば… 205 00:18:33,975 --> 00:18:40,250 吉宗公は最後に 大きく ご判断を誤られましたな 206 00:18:40,275 --> 00:18:44,775 何故 兄上を世継ぎに? 207 00:18:44,775 --> 00:18:50,050 わしは家重を選んだつもりはない 208 00:18:50,050 --> 00:18:53,750 孫の竹千代を選んだのじゃ 209 00:18:55,125 --> 00:18:56,150 はぁ? 210 00:18:57,400 --> 00:19:01,100 隠居をすれば 時間もできる 211 00:19:01,100 --> 00:19:08,350 わしは この手で竹千代を立派な跡継ぎ に育てると決めたのじゃ 212 00:19:10,675 --> 00:19:12,325 武元殿 213 00:19:13,900 --> 00:19:16,750 わしは まだ諦めてはおらぬぞ 214 00:19:21,625 --> 00:19:26,875 吉宗公にはもう一人 孫がおるであろう 215 00:19:28,625 --> 00:19:31,750 今は養子に出しておるが 216 00:19:31,750 --> 00:19:34,775 わしの息子であることに変わりはない 217 00:19:35,950 --> 00:19:40,125 将軍家の立派な跡継ぎだ 218 00:19:50,225 --> 00:19:57,175 御台さまが明日の朝までに 300もの懐紙入れをお作りになるとか 219 00:19:57,175 --> 00:19:59,550 なぜ そのような? 220 00:19:59,550 --> 00:20:02,950 松島が仕向けたのであろう 221 00:20:02,950 --> 00:20:07,975 あの鍋銚子は 最初から割られていたのじゃ 222 00:20:13,975 --> 00:20:17,075 涼しい顔をしながら 223 00:20:17,075 --> 00:20:21,800 気に入らない者は 徹底的に 排除していくおなごじゃ 224 00:20:23,925 --> 00:20:26,725 こんなことは手始めであろう 225 00:20:52,400 --> 00:20:54,725 これだけやって 12か 226 00:20:56,000 --> 00:20:56,925 痛っ 227 00:20:56,925 --> 00:20:58,750 大丈夫か 228 00:20:58,750 --> 00:21:00,250 汚れてしまいました 229 00:21:00,250 --> 00:21:01,425 やり直さないと… 230 00:21:01,425 --> 00:21:02,875 それより手当てを 231 00:21:06,150 --> 00:21:10,625 すみません! 傷を手当てする こう薬などはありませんか? 232 00:21:10,625 --> 00:21:13,250 付き人のお品が ケガをしてしまったのです 233 00:21:15,750 --> 00:21:17,550 聞こえているであろう 234 00:21:23,675 --> 00:21:25,975 すまない こんなものしかなくて 235 00:21:25,975 --> 00:21:29,725 とんでもございません ありがとう存じます 236 00:21:41,675 --> 00:21:45,575 ほんに ここは心ない者らが多すぎる 237 00:21:47,374 --> 00:21:50,774 無視する他ありません 238 00:21:50,775 --> 00:21:55,075 人の平穏を乱し災いのもととなる者は 239 00:21:55,075 --> 00:21:57,450 いないものと思う方が楽です 240 00:22:00,450 --> 00:22:05,375 ならば…いっそのこと殺してしまおうか 241 00:22:08,675 --> 00:22:12,250 前にそのような話があったであろう 242 00:22:12,250 --> 00:22:16,300 ああ 《南泉斬猫》にございますね 243 00:22:18,525 --> 00:22:20,825 そんなに悲しいお話なの? 244 00:22:23,475 --> 00:22:25,025 あるお寺で 245 00:22:25,025 --> 00:22:29,850 一匹の猫を 誰がもらうかで 争いが生まれたのです 246 00:22:29,850 --> 00:22:33,800 それを見た南泉というお坊さまが 247 00:22:33,800 --> 00:22:37,250 猫は争いのもとになるからと 248 00:22:37,250 --> 00:22:39,075 殺してしまったのです 249 00:22:40,450 --> 00:22:43,625 これは正しいことなのでしょうか? 250 00:22:46,275 --> 00:22:49,625 あの猫… かわいそうだったな 251 00:22:51,975 --> 00:22:54,825 よし できた 252 00:22:54,825 --> 00:22:56,600 ありがとうございます 253 00:22:57,650 --> 00:23:00,800 しかし 300となると 254 00:23:00,800 --> 00:23:02,775 生地も糸も足りないな 255 00:23:05,950 --> 00:23:07,900 どうしましょう 256 00:23:13,275 --> 00:23:16,900 あの様子ではとうてい間に合わないかと 257 00:23:19,425 --> 00:23:22,725 万が一のときは… 258 00:23:22,725 --> 00:23:23,875 やれ 259 00:23:25,175 --> 00:23:25,975 はい 260 00:23:37,775 --> 00:23:39,375 もう… 261 00:23:41,000 --> 00:23:45,050 お役御免になるなど いったい 何をしでかしたのだ? 262 00:23:45,050 --> 00:23:47,300 こっちが聞きたいですよ 263 00:23:47,300 --> 00:23:51,625 それがしは ただ託された文を お届けしただけなのに 264 00:23:51,625 --> 00:23:52,450 何だそれは 265 00:23:52,450 --> 00:23:53,875 -こっちが言いたいっすよ -あの 266 00:23:53,875 --> 00:23:57,775 買い物に出掛けたいので外出の手続きを 267 00:23:57,775 --> 00:24:00,575 買い物でしたら五菜に頼んでください 268 00:24:00,575 --> 00:24:02,500 それが まだ雇っていなくて… 269 00:24:02,500 --> 00:24:03,925 あの声は… 270 00:24:05,125 --> 00:24:08,375 おい バカ! 待て 271 00:24:08,375 --> 00:24:10,775 あんた!どうしてくれんだよ 272 00:24:10,775 --> 00:24:13,950 職 失ったじゃねえかよ 273 00:24:13,950 --> 00:24:15,050 くそ… 274 00:24:18,600 --> 00:24:21,763 とってもとっても愛らしいお方に 275 00:24:21,787 --> 00:24:24,950 五菜として雇って もらえることになったんすよ 276 00:24:24,950 --> 00:24:28,877 五菜っていうのはにゃ 外に出られない奥女中に代わって 277 00:24:28,901 --> 00:24:31,725 買い出しに出掛ける使用人のことでして 278 00:24:31,725 --> 00:24:33,700 どうでもいいから さっさと買え 279 00:24:33,700 --> 00:24:35,250 もう全部 買う 280 00:24:35,250 --> 00:24:37,250 ありがとうございます 281 00:24:42,450 --> 00:24:47,275 御台さまが お付きの者と 食事も ろくに取らずに 282 00:24:47,275 --> 00:24:49,650 懐紙入れをお作りになっているとか 283 00:24:52,600 --> 00:24:54,675 なぜ そのようなことを? 284 00:24:54,675 --> 00:24:57,950 女中たちに配るようにございます 285 00:24:57,950 --> 00:25:01,125 御台所のなさることとは とうてい思えませぬ 286 00:25:05,800 --> 00:25:09,375 あのお方は相当 変わっておいでで 287 00:25:11,175 --> 00:25:14,375 上様が気乗りされぬのも お察しいたします 288 00:25:16,100 --> 00:25:18,700 そこで... 289 00:25:18,700 --> 00:25:21,125 側室を設けてはいかがでしょうか? 290 00:25:23,025 --> 00:25:26,975 将軍家のさらなる繁栄のために 291 00:25:26,975 --> 00:25:29,650 お世継ぎは必要不可欠と存じます 292 00:25:32,100 --> 00:25:33,875 世継ぎは つくらぬ 293 00:25:45,050 --> 00:25:48,425 子など いらぬ 294 00:25:56,225 --> 00:25:57,250 上様 295 00:26:07,950 --> 00:26:10,275 まあ 上様の前を失礼な 296 00:26:21,775 --> 00:26:23,000 礼を申す 297 00:26:49,725 --> 00:26:51,900 あそこの方が広く使えるな 298 00:26:51,900 --> 00:26:54,750 材料も揃いましたし急ぎましょう 299 00:27:08,750 --> 00:27:10,200 これは良い 300 00:27:14,925 --> 00:27:16,550 トンボにございますか? 301 00:27:16,550 --> 00:27:17,900 ああ 302 00:27:17,900 --> 00:27:20,350 トンボは後ろ向きには飛べない 303 00:27:20,350 --> 00:27:23,750 だから 前へ前へと飛んでいく 304 00:27:23,750 --> 00:27:27,150 見ていると 元気が出るであろう 305 00:27:27,150 --> 00:27:30,525 何だか 倫子さまみたいですね 306 00:27:31,975 --> 00:27:33,400 私は… 307 00:27:35,850 --> 00:27:37,650 こんな見た目ではない 308 00:27:37,650 --> 00:27:39,900 そういう意味ではございません 309 00:27:42,500 --> 00:27:48,750 竹千代は どういう人と めおとになりたい? 310 00:27:48,750 --> 00:27:53,225 母上のように美しい人にございます 311 00:27:53,225 --> 00:27:54,975 美しいとは? 312 00:27:59,350 --> 00:28:03,400 見た目の美しさほど危ういものはない 313 00:28:04,500 --> 00:28:05,850 しかし… 314 00:28:07,975 --> 00:28:11,375 ここの美しさだけは確かじゃ 315 00:28:13,775 --> 00:28:18,650 心から信頼できる者と一緒になれ 316 00:28:22,700 --> 00:28:25,075 私は何をされようと 317 00:28:25,075 --> 00:28:28,800 そなたたちのように 汚い心には染まりません! 318 00:28:49,450 --> 00:28:50,900 どうかしましたか? 319 00:28:50,900 --> 00:28:52,150 いや… 320 00:29:18,750 --> 00:29:21,175 すみません 掃除をしたいのですが 321 00:29:21,175 --> 00:29:23,300 分かりました すぐに片付けます 322 00:29:23,300 --> 00:29:24,450 御台さま!? 323 00:29:27,400 --> 00:29:28,550 続けてください 324 00:29:28,550 --> 00:29:30,850 失礼いたします 325 00:29:30,850 --> 00:29:32,150 さあ 参りますよ 326 00:29:37,525 --> 00:29:39,175 こんなに女中が? 327 00:29:41,075 --> 00:29:46,000 ここにいるのはお目見えを 許されていない 身分の者たちですので 328 00:29:46,000 --> 00:29:49,225 普段は お会いする機会などありませんもんね 329 00:29:52,475 --> 00:29:56,325 お知保さまの仰せの通りに 330 00:30:08,325 --> 00:30:11,775 生きていくために奉公しているそうです 331 00:30:11,775 --> 00:30:13,100 生きていくため? 332 00:30:14,575 --> 00:30:18,150 今 江戸は ひどい不景気故 333 00:30:18,150 --> 00:30:21,375 おなごも働くことが 求められているそうで 334 00:30:22,925 --> 00:30:27,875 大奥は 高い報酬を得られる 格好の働き場なのだとか 335 00:30:31,575 --> 00:30:34,800 私らだけや あらへんのかもしれんな… 336 00:30:34,800 --> 00:30:37,175 息の詰まる思いしてるんは 337 00:30:40,675 --> 00:30:42,675 狭いお城の中で 338 00:30:42,675 --> 00:30:46,350 殿方に会うことも許されんと 働くばかりで 339 00:30:47,600 --> 00:30:50,775 もしかしたら あの者らも… 340 00:31:03,050 --> 00:31:08,325 私は もう このお城で 生涯 暮らすしかあらへん 341 00:31:08,325 --> 00:31:13,525 それやったら少しでも 住みやすい場所 に変えていきたいやないの 342 00:31:22,550 --> 00:31:24,875 ここにいる者らが 343 00:31:24,875 --> 00:31:28,625 誰かをさげすむ笑いやのうて 344 00:31:28,625 --> 00:31:31,750 心から笑えるようになったらええのにな 345 00:31:42,375 --> 00:31:45,700 ひどい…誰が こんなこと 346 00:31:57,025 --> 00:32:00,550 やろう 作り直そう 347 00:32:00,550 --> 00:32:02,650 また一から? 348 00:32:02,650 --> 00:32:04,725 さすがに間に合いません 349 00:32:21,225 --> 00:32:24,350 愚かにも程がある 350 00:32:24,350 --> 00:32:27,000 間に合うはずがございませぬ 351 00:32:30,025 --> 00:32:34,925 なぜ そこまで 御台を目の敵にするのじゃ? 352 00:32:34,925 --> 00:32:39,075 そなたも同じ 公家の出であろう 353 00:32:39,075 --> 00:32:42,675 里など とうに捨てました 354 00:32:42,675 --> 00:32:47,150 私は 身も心も 徳川家に捧げてきたのです 355 00:32:48,350 --> 00:32:50,600 それを あのおなごは… 356 00:32:54,925 --> 00:32:58,200 上様には そぐいませぬ 357 00:33:29,350 --> 00:33:30,525 私が縫う 358 00:33:30,525 --> 00:33:32,525 お品は 仕上げの型押しを 359 00:33:32,525 --> 00:33:35,600 しかし それでは 倫子さまの手に負担が… 360 00:33:36,375 --> 00:33:40,975 私は 型押しが面倒で苦手だ 361 00:33:40,975 --> 00:33:43,050 お互いが得意な方をやろう 362 00:33:43,050 --> 00:33:44,425 その方が早い 363 00:34:39,450 --> 00:34:41,850 いったい どこに… 364 00:34:41,850 --> 00:34:42,950 捜せ 365 00:34:42,950 --> 00:34:44,075 はい... 366 00:34:59,700 --> 00:35:02,300 誠に申し訳ございませぬ 367 00:35:02,300 --> 00:35:05,550 朝から御台さまのお姿が見えず… 368 00:35:05,550 --> 00:35:11,075 構わん 総触れは予定どおり行う 369 00:35:11,075 --> 00:35:12,100 はい 370 00:35:31,575 --> 00:35:32,850 どうして… 371 00:35:36,325 --> 00:35:39,900 今朝は お出迎えできず 失礼つかまつりました 372 00:35:50,950 --> 00:35:56,300 こちらに約束どおり300人分の 懐紙入れを揃えております 373 00:35:58,125 --> 00:36:01,200 誠に… 300… 374 00:36:02,350 --> 00:36:06,000 どうぞ お好きなものをお選びください 375 00:36:06,000 --> 00:36:08,950 まあ カワイイ 376 00:36:08,950 --> 00:36:11,275 まあ すてき 377 00:36:11,275 --> 00:36:12,650 触れるでない 378 00:36:18,000 --> 00:36:21,400 見事な出来栄え 感謝申し上げます 379 00:36:22,700 --> 00:36:27,100 しかし上様をお出迎えすることなく このような 380 00:36:28,825 --> 00:36:32,625 御台さまは ご自分の立場 がお分かりではないのですか? 381 00:36:35,450 --> 00:36:40,150 私は 奥女中1,000人の頂に立つ 御台所です 382 00:36:43,150 --> 00:36:45,400 そうであるからには 383 00:36:45,400 --> 00:36:49,575 今後 この城での無用な嫌がらせや そしりは断じて許しません! 384 00:36:50,675 --> 00:36:52,375 恐れながら 385 00:36:52,375 --> 00:36:54,974 御台さまは まず何よりも 386 00:36:54,998 --> 00:37:00,425 上様にお仕えし お支えするのが お役目かと存じます 387 00:37:00,425 --> 00:37:04,000 そのお役目を放り出し このような振る舞いは 388 00:37:04,000 --> 00:37:05,575 無礼千万 389 00:37:28,450 --> 00:37:31,700 上様に お謝りくださいませ 390 00:37:44,825 --> 00:37:47,350 申し訳あり… 391 00:37:47,350 --> 00:37:50,925 謝罪など いらぬ 392 00:38:34,475 --> 00:38:38,525 これを…わしにも くれぬか 393 00:38:40,425 --> 00:38:41,425 はい 394 00:39:00,600 --> 00:39:01,775 お品 395 00:39:05,075 --> 00:39:06,450 どうぞ 396 00:39:11,975 --> 00:39:13,700 これ… 397 00:39:13,700 --> 00:39:15,600 頑張ったご褒美だ 398 00:39:19,875 --> 00:39:25,575 私なら 他にも猫がいないか 探すなぁ 399 00:39:25,575 --> 00:39:27,450 探す? 400 00:39:27,450 --> 00:39:30,000 うん 殺さずに増やす 401 00:39:30,000 --> 00:39:31,875 みんなの元に渡るまで 402 00:39:44,475 --> 00:39:46,475 これからも ここにおります 403 00:39:50,150 --> 00:39:56,500 倫子さまが変えていく大奥を この目で見届けます 404 00:40:07,125 --> 00:40:10,775 こたびは誠に助けられました ありがとう 405 00:40:10,775 --> 00:40:11,900 いえ 406 00:40:11,900 --> 00:40:17,000 雇っていただいたからには この猿吉 何なりと 買ってまいります 407 00:40:21,700 --> 00:40:22,675 すみません 408 00:40:28,950 --> 00:40:29,850 いえ 409 00:40:54,600 --> 00:40:57,125 この殿方との出会いが 410 00:40:58,775 --> 00:41:06,450 後に倫子さまと お品さまの運命を 大きく揺るがすことになるのでした 411 00:41:16,750 --> 00:41:18,075 申し上げます 412 00:41:19,875 --> 00:41:23,525 こよい 上様のお渡りがございます 413 00:41:41,300 --> 00:41:42,550 失礼いたします 414 00:41:47,450 --> 00:41:52,525 側室の件 考えていただけました でしょうか? 415 00:41:54,775 --> 00:41:56,325 言うたであろう 416 00:41:58,000 --> 00:42:01,400 子など いらぬ 417 00:42:28,975 --> 00:42:31,825 側室を設けてくださいませ 418 00:42:37,975 --> 00:42:44,450 子は…"宝"ですぞ 419 00:42:49,375 --> 00:42:50,800 この者は… 420 00:42:52,925 --> 00:42:58,425 嘘じゃ… 421 00:43:10,025 --> 00:43:12,975 上様のおなりにございます 422 00:43:38,150 --> 00:43:40,000 懐紙入れの心付けだ 423 00:43:46,350 --> 00:43:47,400 ありがとう存じます 424 00:43:59,900 --> 00:44:00,950 どうして? 425 00:44:03,950 --> 00:44:08,775 そなたには 他に好きな男がおるのであろう 426 00:44:13,425 --> 00:44:18,400 好きでもない相手と交わる意味が 427 00:44:18,400 --> 00:44:19,725 どこにある… 428 00:44:29,650 --> 00:44:33,600 ほんの少しだけ 近づいたお二人 429 00:44:36,150 --> 00:44:42,025 しかし そのどこか寂しげな背中の訳を 430 00:44:42,025 --> 00:44:46,125 知る由もない 姫様なのでした 431 00:44:59,300 --> 00:45:02,275 ©2023 Fuji Television Network, Inc.