1 00:00:39,843 --> 00:00:42,345 (家光)わしが「お万」と言ったら 2 00:00:42,345 --> 00:00:44,364 「はい」と言え 3 00:00:44,364 --> 00:00:47,934 「はい」と言え 言えッ 言え! 4 00:00:47,934 --> 00:00:51,934 「はい」と言え 言えッ 言え! 5 00:00:56,593 --> 00:00:59,496 (有功)今のお方は 6 00:00:59,496 --> 00:01:02,515 誰なのでおじゃりますか? 7 00:01:02,515 --> 00:01:08,521 家光公は 御年 三十七のはず 8 00:01:08,521 --> 00:01:10,857 あれは 9 00:01:10,857 --> 00:01:13,843 今のお方は 10 00:01:13,843 --> 00:01:16,443 少女やないか! 11 00:01:24,170 --> 00:01:28,825 (稲葉)今から六年前 まことの家光公は→ 12 00:01:28,825 --> 00:01:32,829 赤面疱瘡にて身罷られました 13 00:01:32,829 --> 00:01:36,833 《(春日)そなた 代わりに死ね》 14 00:01:36,833 --> 00:01:40,837 《畏れ多きことながら これより先》 15 00:01:40,837 --> 00:01:45,842 《そなたは 上様の着物を着 顔を頭巾で隠して》 16 00:01:45,842 --> 00:01:48,495 《上様として生きるのじゃ》 17 00:01:48,495 --> 00:01:51,514 《≪(松平)正勝殿を 上様の影武者に?》 18 00:01:51,514 --> 00:01:54,517 《≪(春日)今は常の時にあらず→》 19 00:01:54,517 --> 00:01:57,170 《もはや その姫だけが→》 20 00:01:57,170 --> 00:02:01,174 《家光公の血を伝える 唯一のお方なのじゃ》 21 00:02:01,174 --> 00:02:04,177 《今は御年 十一歳であられるが》 22 00:02:04,177 --> 00:02:09,215 《あと少し あと数年で お世継ぎをお産みになる》 23 00:02:09,215 --> 00:02:11,851 《(松平)数日なら いざ知らず》 24 00:02:11,851 --> 00:02:14,838 《数年も上様のご薨去を 隠せようか》 25 00:02:14,838 --> 00:02:17,340 《隠せまする! いや…》 26 00:02:17,340 --> 00:02:19,509 《隠すのじゃ》 27 00:02:19,509 --> 00:02:22,178 あなた様は「種」じゃ 28 00:02:22,178 --> 00:02:25,849 あなた様のお役目は ここ大奥で 29 00:02:25,849 --> 00:02:29,849 上様との間に お世継ぎをもうけること 30 00:02:36,860 --> 00:02:39,846 もともと大奥とは 男子たる将軍に 31 00:02:39,846 --> 00:02:43,933 お世継ぎをもうけて いただくために つくられたもの 32 00:02:43,933 --> 00:02:48,521 しかし今は もはや 女人達は不要 33 00:02:48,521 --> 00:02:55,161 代わりに集められたのは 諸国の若い浪人達でございます→ 34 00:02:55,161 --> 00:03:02,761 今 大奥は当代の上様を お守りするための城塞なのです 35 00:03:03,837 --> 00:03:06,873 最後に ひとつ 36 00:03:06,873 --> 00:03:11,177 当代の上様が 女性であるという秘事 37 00:03:11,177 --> 00:03:16,833 また表向きは私 稲葉正勝が頭巾をかぶり 38 00:03:16,833 --> 00:03:19,836 家光公を演じていること 39 00:03:19,836 --> 00:03:24,507 ご公儀においては これを知る者は六人衆といわれる 40 00:03:24,507 --> 00:03:27,844 一握りの者のみでございます 41 00:03:27,844 --> 00:03:31,181 このことを お知りあそばしたからには 42 00:03:31,181 --> 00:03:33,850 あなた様を 43 00:03:33,850 --> 00:03:37,350 一生 この大奥から 出すことはできませぬ 44 00:03:39,839 --> 00:03:42,839 一生… 45 00:04:16,176 --> 00:04:19,829 (玉栄)有功様 どないしはったんです そのお顔 46 00:04:19,829 --> 00:04:23,833 いや その… 47 00:04:23,833 --> 00:04:26,519 どない言うたらええのやろ 48 00:04:26,519 --> 00:04:29,522 ≪部屋子には お話しくだされませ→ 49 00:04:29,522 --> 00:04:33,122 いずれ 分かることでございますゆえ 50 00:04:51,511 --> 00:04:55,811 村瀬正資と申します 51 00:04:57,183 --> 00:05:00,186 春日局様の命を受け 52 00:05:00,186 --> 00:05:05,191 有功様のお世話係を 相務めさせていただきまする 53 00:05:05,191 --> 00:05:08,161 有功様のお世話係は この私がいてる! 54 00:05:08,161 --> 00:05:10,496 玉栄 55 00:05:10,496 --> 00:05:12,515 まあまあ 56 00:05:12,515 --> 00:05:16,519 大奥ならではの決まりごとも 多々ございますゆえ 57 00:05:16,519 --> 00:05:23,176 某は有功様の 大奥での案内役のようなもので 58 00:05:23,176 --> 00:05:25,862 確かに 私も玉栄も 59 00:05:25,862 --> 00:05:30,016 ここでは 右も左も分からぬさかい よろしう頼む 60 00:05:30,016 --> 00:05:34,504 某こそ 至らぬところも 多いとは存じますが 61 00:05:34,504 --> 00:05:36,873 そしたら 早速やけど 62 00:05:36,873 --> 00:05:39,175 何でございましょう? 63 00:05:39,175 --> 00:05:43,179 京の万里小路家と 伊勢の慶光院に 64 00:05:43,179 --> 00:05:48,167 私が ここで息災にしておるとの 便りを届けてほしいのや 65 00:05:48,167 --> 00:05:51,170 それは できませぬな 66 00:05:51,170 --> 00:05:56,259 何でや もう逃げ出す気など無い 私は… 67 00:05:56,259 --> 00:06:02,181 万里小路家には ご公儀から既に 子細をお伝えしてございます 68 00:06:02,181 --> 00:06:06,185 その折 金子も少々 お届けいたしましたところ 69 00:06:06,185 --> 00:06:12,175 お父上の有純卿は ことのほか お喜びになられたご様子で→ 70 00:06:12,175 --> 00:06:16,846 もともと出家した伜とは 親子の縁は切れており→ 71 00:06:16,846 --> 00:06:20,266 将軍付きのお小姓に なってくれたほうが→ 72 00:06:20,266 --> 00:06:23,853 お家のためには役に立ったと 73 00:06:23,853 --> 00:06:26,853 嘘をつけ! 玉栄 74 00:06:34,180 --> 00:06:37,850 では 慶光院に… 75 00:06:37,850 --> 00:06:41,854 慶光院も 既に次の院主が立ち つつがなく 76 00:06:41,854 --> 00:06:45,525 次の院主が? それはそうでござりましょう 77 00:06:45,525 --> 00:06:48,525 もう一年も過ぎておりますゆえ 78 00:06:53,516 --> 00:06:57,116 ≪(村瀬)ご用は それだけでござりましょうか 79 00:06:58,855 --> 00:07:02,859 それだけや おおきに 80 00:07:02,859 --> 00:07:07,459 ≪(村瀬)では こちらからも お願いが 81 00:07:10,850 --> 00:07:13,503 ここは江戸でございます 82 00:07:13,503 --> 00:07:18,503 その薄気味の悪い京ことばを 即刻 お改めくださいませ 83 00:07:19,509 --> 00:07:22,178 (春日の笑い声) 84 00:07:22,178 --> 00:07:24,831 どうじゃ 正資 85 00:07:24,831 --> 00:07:28,851 あのお公家様 打ちしおれておったであろ 86 00:07:28,851 --> 00:07:30,837 いえ それが… 87 00:07:30,837 --> 00:07:33,256 うん? そなた 88 00:07:33,256 --> 00:07:36,175 京ことばを改めよと 申したのであろう? 89 00:07:36,175 --> 00:07:39,829 はッ すると 90 00:07:39,829 --> 00:07:44,167 にこりと笑って こう仰せになりました 91 00:07:44,167 --> 00:07:48,838 《相分かった そなたの言うとおりだ》 92 00:07:48,838 --> 00:07:52,842 《これからは武家風に 改めるといたそう》 93 00:07:52,842 --> 00:07:57,442 少しの京なまりもない 滑らかなお言葉でございました 94 00:07:59,182 --> 00:08:01,182 ふんッ 95 00:08:08,841 --> 00:08:11,344 つまり私は 96 00:08:11,344 --> 00:08:16,349 徳川存亡の危機を救う 種馬にならんとあかんと 97 00:08:16,349 --> 00:08:18,851 そういうわけや 98 00:08:18,851 --> 00:08:22,171 そやから春日局は あのとき… 99 00:08:22,171 --> 00:08:24,507 《抱きなされ 女を》 100 00:08:24,507 --> 00:08:28,528 有功様の体を試したのや 101 00:08:28,528 --> 00:08:31,581 玉栄 やはり そなたを 102 00:08:31,581 --> 00:08:34,834 ここへ連れてきたのは 間違いやった 103 00:08:34,834 --> 00:08:40,256 しかも もう 一生 出ることもできひん 104 00:08:40,256 --> 00:08:44,510 ほんに すまぬことをした 申し訳ない 105 00:08:44,510 --> 00:08:46,512 いや 有功様 106 00:08:46,512 --> 00:08:50,850 有功様は また私を救うてくだされたのです 107 00:08:50,850 --> 00:08:52,852 救うた? 108 00:08:52,852 --> 00:08:55,521 ここ大奥へ来なければ 109 00:08:55,521 --> 00:08:58,821 私は殺されておりました 110 00:09:00,176 --> 00:09:04,847 明慧様のように あの遊女のように 111 00:09:04,847 --> 00:09:08,851 もしかしたら あの日 帰された他の遊女達も… 112 00:09:08,851 --> 00:09:11,521 それだけではない 玉栄 113 00:09:11,521 --> 00:09:14,857 初めて 大奥へ参った日 114 00:09:14,857 --> 00:09:18,528 大奥にいたはずの 大勢の女性達は 115 00:09:18,528 --> 00:09:21,831 どこへ行ったのやろかと 思うたのや 116 00:09:21,831 --> 00:09:27,131 それも 春日局様は きっと… 117 00:09:31,240 --> 00:09:35,845 何という恐ろしいとこに 118 00:09:35,845 --> 00:09:38,845 来てしもうたんやろう 119 00:09:55,848 --> 00:09:58,448 (襖を乱暴に開ける音) 120 00:10:00,853 --> 00:10:05,853 (足音) 121 00:10:11,847 --> 00:10:14,347 上様? 122 00:10:16,852 --> 00:10:19,505 (猫の鳴き声) 123 00:10:19,505 --> 00:10:22,805 そちにつかわす 受け取れ 124 00:10:42,345 --> 00:10:55,845 ♪♪~ 125 00:10:58,511 --> 00:11:02,164 <(村瀬)江戸城本丸 大奥> 126 00:11:02,164 --> 00:11:05,835 <かつては 公方様 ただお一人を除いて> 127 00:11:05,835 --> 00:11:09,221 <男子禁制であった この場所は> 128 00:11:09,221 --> 00:11:13,509 <三代将軍 家光公の死去をきっかけに> 129 00:11:13,509 --> 00:11:16,512 <男子のみが住まう館へと> 130 00:11:16,512 --> 00:11:19,515 <大きく様変わりしていた> 131 00:11:19,515 --> 00:11:22,852 <その中でも 当代の上様と> 132 00:11:22,852 --> 00:11:26,522 <稲葉正勝様 有功様をはじめ> 133 00:11:26,522 --> 00:11:30,176 <上様の側室となるべき方々は> 134 00:11:30,176 --> 00:11:35,181 <周囲を高い塀と 強固な鍵に守られた> 135 00:11:35,181 --> 00:11:37,850 <大奥の中の大奥> 136 00:11:37,850 --> 00:11:40,519 <ともいうべき場所で> 137 00:11:40,519 --> 00:11:43,819 <ひっそりと暮らしていた> 138 00:11:45,858 --> 00:11:48,458 (春日)ふんッ 139 00:11:49,495 --> 00:11:51,514 ふんッ 140 00:11:51,514 --> 00:11:54,514 かの者は いかがで? 141 00:11:55,551 --> 00:11:57,586 かの者? 142 00:11:57,586 --> 00:12:01,886 はッ かの者です 143 00:12:03,192 --> 00:12:09,181 打たれる間中 声ひとつ立てなんだわ あの男 144 00:12:09,181 --> 00:12:13,836 次に会うときまで 素直になるよう しつけておけ 145 00:12:13,836 --> 00:12:16,839 次? 146 00:12:16,839 --> 00:12:22,839 何と またお会いになるほどに お気に召したということで? 147 00:12:30,903 --> 00:12:35,508 あのような上様は初めて見た 148 00:12:35,508 --> 00:12:37,843 それは ようございました 149 00:12:37,843 --> 00:12:41,180 手間をかけた甲斐が あったというものじゃ 150 00:12:41,180 --> 00:12:43,849 あれほどの美形は そうはいまい 151 00:12:43,849 --> 00:12:48,854 猛々しさのない 優しげなところが お気に召したのかもしれませぬな 152 00:12:48,854 --> 00:12:51,857 昔 あのようなことが ありましたゆえ 153 00:12:51,857 --> 00:12:54,193 あのようなこと? 154 00:12:54,193 --> 00:12:57,493 いえ 三年前の… 155 00:12:59,849 --> 00:13:03,849 とうに済んだことであろう 156 00:13:05,521 --> 00:13:08,507 やれ 嬉しや! 157 00:13:08,507 --> 00:13:11,177 今まで何人の男を 158 00:13:11,177 --> 00:13:15,181 側室にしようと試みたことか 159 00:13:15,181 --> 00:13:19,185 角南重郷 和田正隆 勝田頼秀 160 00:13:19,185 --> 00:13:21,185 皆 飼い殺しじゃ 161 00:13:22,521 --> 00:13:25,524 御中臈? 今日は某 162 00:13:25,524 --> 00:13:29,895 有功様を御中臈の皆様に ご紹介したく存じます 163 00:13:29,895 --> 00:13:33,849 御中臈とは もともと 将軍の身の回りの世話をし 164 00:13:33,849 --> 00:13:38,187 将来の側室ともなる 奥女中の呼び名でございますが 165 00:13:38,187 --> 00:13:40,523 それになぞらえて 166 00:13:40,523 --> 00:13:44,160 上様の婿となるために 集められた男子を 167 00:13:44,160 --> 00:13:47,513 御中臈と お呼びしているのでございます 168 00:13:47,513 --> 00:13:50,516 私以外にも そのような方々がおわすのか? 169 00:13:50,516 --> 00:13:53,536 なら何ゆえ 私などを ここに? 170 00:13:53,536 --> 00:13:57,840 武家の子息から しかるべきお方を 婿に選べば良いことであろう 171 00:13:57,840 --> 00:14:02,845 いえ それが 上様が どなたに お引き合わせをしても 172 00:14:02,845 --> 00:14:06,232 なかなか首を 縦に振ってはくださいませんので 173 00:14:06,232 --> 00:14:09,832 角南重郷でござる 174 00:14:11,837 --> 00:14:14,137 勝田頼秀 175 00:14:15,174 --> 00:14:19,345 和田… 正隆じゃ 176 00:14:19,345 --> 00:14:23,849 お初にお目にかかる 万里小路有功でござる 177 00:14:23,849 --> 00:14:27,853 まだ不慣れゆえ 失礼なことも 多いかと存じまするが 178 00:14:27,853 --> 00:14:29,839 何とぞ よろしう… 179 00:14:29,839 --> 00:14:33,859 お主が 金に目がくらんで 還俗いたした元坊主か 180 00:14:33,859 --> 00:14:39,181 なるほど 上様のお好みは このような優男か 181 00:14:39,181 --> 00:14:42,535 小娘の趣味は 幼い 幼い 182 00:14:42,535 --> 00:14:45,171 (角南達が笑う) 183 00:14:45,171 --> 00:14:48,841 しかし 重郷殿 まだ この男 184 00:14:48,841 --> 00:14:51,844 上様の御寝所に 呼ばれてはないのだろう? 185 00:14:51,844 --> 00:14:56,332 せいぜい気をつけろ 斬り殺されんようにな 186 00:14:56,332 --> 00:14:59,185 三年前 上様は初めての男を 187 00:14:59,185 --> 00:15:01,854 お手討ちになさったのだそうな 188 00:15:01,854 --> 00:15:04,857 自分の体に傷をつけた上に 189 00:15:04,857 --> 00:15:08,861 男の抱き方が つまらなかったという理由でな 190 00:15:08,861 --> 00:15:13,849 ご気性の激しさだけは お父上の家光公に負けぬわ 191 00:15:13,849 --> 00:15:18,187 京の優男に あのじゃじゃ馬が 乗りこなせるかのう 192 00:15:18,187 --> 00:15:20,172 左様 左様 193 00:15:20,172 --> 00:15:22,174 そのお美しさでは稚児として 194 00:15:22,174 --> 00:15:25,177 寺の坊さんに かわいがられておったのでは? 195 00:15:25,177 --> 00:15:27,847 それでは上様と二人で 鮪のように 196 00:15:27,847 --> 00:15:30,850 ごろりと横たわったまま 何もできずに 197 00:15:30,850 --> 00:15:34,854 それは良いわ 女が二人 床におるようなもの 198 00:15:34,854 --> 00:15:36,839 (三人が大声で笑う) 199 00:15:36,839 --> 00:15:39,842 「君子は泰にして驕らず」 200 00:15:39,842 --> 00:15:42,661 はあ? 今 何と言った? 201 00:15:42,661 --> 00:15:46,515 武家の方々は 無口なものだと思うておったが 202 00:15:46,515 --> 00:15:51,186 宮中の女房達のように まあよう おしゃべりあそばすことよ 203 00:15:51,186 --> 00:15:53,589 何! ご心配召さるな 204 00:15:53,589 --> 00:15:56,175 私も初めて お目見えした際 205 00:15:56,175 --> 00:15:59,845 上様より扇子で 何度も打擲されました 206 00:15:59,845 --> 00:16:02,231 お気に召すどころか 207 00:16:02,231 --> 00:16:05,834 そもそも 皆様の敵ではございますまい 208 00:16:05,834 --> 00:16:11,190 が なるほど上様は 大変 気位の高いお方 209 00:16:11,190 --> 00:16:13,525 あなた方が チラとでも 210 00:16:13,525 --> 00:16:16,862 たかが小娘よという 風情を見せたら 211 00:16:16,862 --> 00:16:20,162 それは すぐさま 伝わってしまいましょう 212 00:16:21,166 --> 00:16:25,838 私のことは どのように言われても かまいますまいが 213 00:16:25,838 --> 00:16:30,859 畏れ多くも 上様を馬に例えるなど 214 00:16:30,859 --> 00:16:33,929 決して なさらぬがよろしかろう 215 00:16:33,929 --> 00:16:35,848 差し出口をたたくか 216 00:16:35,848 --> 00:16:37,848 この青二才が! 217 00:16:41,503 --> 00:16:44,506 まことにもって そのとおり 218 00:16:44,506 --> 00:16:47,876 ご挨拶だけのつもりが 長居をいたしました 219 00:16:47,876 --> 00:16:50,476 これにて失礼 220 00:17:01,173 --> 00:17:03,859 重郷殿 221 00:17:03,859 --> 00:17:10,349 先ほどの 「君子は泰にて云々」とは 222 00:17:10,349 --> 00:17:13,519 論語も知らぬのか あれは後に 223 00:17:13,519 --> 00:17:18,119 「小人は驕りて泰ならず」 と続くのだ! 224 00:17:19,191 --> 00:17:24,079 つまり 生意気にも 我らを馬鹿にしたというわけだ 225 00:17:24,079 --> 00:17:27,499 何が 「畏れ多くも 上様」だ 226 00:17:27,499 --> 00:17:29,799 偉そうに 227 00:17:43,849 --> 00:17:46,449 (足音) 228 00:17:58,514 --> 00:18:03,519 大奥の中でも 上様が女性とご存じなのは 229 00:18:03,519 --> 00:18:07,840 今 お会いになった 御中臈のお三方と その部屋子 230 00:18:07,840 --> 00:18:11,844 そして 春日殿の者まででございます 231 00:18:11,844 --> 00:18:14,847 他の大奥の男衆は皆 232 00:18:14,847 --> 00:18:18,517 家光公は生きておられて 233 00:18:18,517 --> 00:18:22,871 有功様を家光公付きの お小姓と思うておりますゆえ 234 00:18:22,871 --> 00:18:25,871 そのように お振る舞いくださいませ 235 00:18:27,509 --> 00:18:32,848 その秘密を知る者は 一生 大奥から出られぬ 236 00:18:32,848 --> 00:18:35,184 と正勝殿は申された 237 00:18:35,184 --> 00:18:37,184 はい 238 00:18:38,837 --> 00:18:41,840 そなたもか? 239 00:18:41,840 --> 00:18:44,440 無論でございます 240 00:18:50,933 --> 00:18:54,933 (鈴の音) 241 00:20:22,174 --> 00:20:26,774 《おめでとうございます 立派な男にございます》 242 00:20:36,839 --> 00:20:39,339 《でかしたぞ 雪》 243 00:20:43,195 --> 00:20:47,195 《でかした ようやった》 244 00:21:03,182 --> 00:21:09,204 (物音) 245 00:21:09,204 --> 00:21:11,857 玉栄か? 246 00:21:11,857 --> 00:21:15,857 (走り去る足音) 247 00:23:24,656 --> 00:23:26,825 きっと 昨日の御中臈らの仕業や 248 00:23:26,825 --> 00:23:29,845 何ちゅう根性の 曲がった奴らやろか 249 00:23:29,845 --> 00:23:33,498 源氏物語やな 玉栄 250 00:23:33,498 --> 00:23:35,500 はあ? 251 00:23:35,500 --> 00:23:37,903 桐壺更衣ちゅう 252 00:23:37,903 --> 00:23:40,505 帝の寵愛を受けた女性が 253 00:23:40,505 --> 00:23:44,505 ちょうど 同じような目に遭うておった 254 00:23:45,527 --> 00:23:48,563 よう笑うてられますな 255 00:23:48,563 --> 00:23:52,834 桐壺更衣は源氏の君の母君なのや 256 00:23:52,834 --> 00:23:55,504 光源氏のですか? 257 00:23:55,504 --> 00:23:58,490 ほんなら 有功様も上様との間に 258 00:23:58,490 --> 00:24:01,176 子が生まれるちゅうことですな 259 00:24:01,176 --> 00:24:03,161 さあ 260 00:24:03,161 --> 00:24:06,832 それが ええことなんか 悪いことなんか… 261 00:24:06,832 --> 00:24:08,834 (猫の鳴き声) 262 00:24:08,834 --> 00:24:11,169 そや 263 00:24:11,169 --> 00:24:14,823 お前は 若紫や 264 00:24:14,823 --> 00:24:17,242 若紫!? 265 00:24:17,242 --> 00:24:19,828 源氏の君の側室 266 00:24:19,828 --> 00:24:24,383 紫の上の 幼い頃の呼び名や 267 00:24:24,383 --> 00:24:28,837 何や 色っぽい名前ですな 268 00:24:28,837 --> 00:24:32,174 玉栄 はい 269 00:24:32,174 --> 00:24:34,843 知らぬ顔をしよう 270 00:24:34,843 --> 00:24:39,143 息巻いて騒げば 相手の思うつぼや 271 00:24:40,499 --> 00:24:42,834 分かりました 272 00:24:42,834 --> 00:24:46,334 うん 分かればええのや 273 00:24:48,323 --> 00:24:50,842 (角南)さぞかし驚いたであろうよ 274 00:24:50,842 --> 00:24:55,142 いかにも そのときの 元坊主の顔が見たかったのう 275 00:24:56,214 --> 00:24:59,267 そうそう 某 小耳に挟んだのだが 276 00:24:59,267 --> 00:25:02,838 何を小耳に挟んだ? いや 大したことではない 277 00:25:02,838 --> 00:25:05,857 もったいぶるな お主の悪い癖だ 278 00:25:05,857 --> 00:25:12,164 いや 何でも元坊主が 何と上様から 猫を拝領したとか 279 00:25:12,164 --> 00:25:16,835 そんなことか ほんとに大したことないのう 280 00:25:16,835 --> 00:25:21,840 だから言ったではないか 上様が 猫を? 281 00:25:21,840 --> 00:25:24,840 (足音) 282 00:25:34,920 --> 00:25:38,520 良い天気でございますな 283 00:25:52,838 --> 00:25:56,842 お待ちどおさんでございます うん ありがとう 284 00:25:56,842 --> 00:25:58,877 ほれ 285 00:25:58,877 --> 00:26:01,496 これは お前のやで→ 286 00:26:01,496 --> 00:26:04,796 小さい体で よう食うなあ 287 00:26:16,194 --> 00:26:19,831 江戸の食べもんだけは なかなか口が慣れません 288 00:26:19,831 --> 00:26:24,152 関東もんは ようまあ こないに 塩辛いもんが食べられますなあ 289 00:26:24,152 --> 00:26:27,155 食べ物に あれこれ言うたら あかんやろ 290 00:26:27,155 --> 00:26:31,155 若紫を見習うて 黙っていただきなさい 291 00:26:36,831 --> 00:26:39,000 下げてくれ 292 00:26:39,000 --> 00:26:41,820 どうかなさいましたか? 293 00:26:41,820 --> 00:26:45,173 食べとうのうなったんや すぐに膳を… 294 00:26:45,173 --> 00:26:48,176 (若紫の鳴き声) 295 00:26:48,176 --> 00:26:50,476 およし 若紫 296 00:26:54,849 --> 00:26:56,849 おいッ! 297 00:26:58,153 --> 00:27:00,822 この椀をよそうたのは誰や! 298 00:27:00,822 --> 00:27:03,825 ねずみを わざと入れたやろ 299 00:27:03,825 --> 00:27:07,162 不始末でしたでは 済まされへんで! 300 00:27:07,162 --> 00:27:09,164 「済まされへんで」 だとよ 301 00:27:09,164 --> 00:27:12,167 ねずみが自分から 飛び込んだんじゃねえのか? 302 00:27:12,167 --> 00:27:15,837 (一同が笑う) 303 00:27:15,837 --> 00:27:17,839 お前ら… 304 00:27:17,839 --> 00:27:21,839 (角南)で お味は いかがであったと? 305 00:27:22,844 --> 00:27:25,263 お前か 306 00:27:25,263 --> 00:27:27,863 「そうだ」と言ったら? 307 00:29:24,165 --> 00:29:27,165 すまぬが そこもと 308 00:29:32,574 --> 00:29:36,511 年の頃 十五~十六の若衆髷の子を 見かけなんだか? 309 00:29:36,511 --> 00:29:38,847 私の部屋子なのだが 310 00:29:38,847 --> 00:29:41,833 上様付きのお小姓殿か 311 00:29:41,833 --> 00:29:43,868 存じませぬな 312 00:29:43,868 --> 00:29:45,887 大奥は広うございます 313 00:29:45,887 --> 00:29:49,174 迷う者も多うございますゆえ 314 00:29:49,174 --> 00:29:51,176 左様か 315 00:29:51,176 --> 00:29:54,476 見かけたら 私の部屋へ 知らせてはくれぬか 316 00:29:56,164 --> 00:29:58,464 では 317 00:29:59,834 --> 00:30:02,837 男妾 318 00:30:02,837 --> 00:30:07,492 かの森蘭丸だとて 色のみならず 武をもって 319 00:30:07,492 --> 00:30:10,512 信長公に お仕えしていたはず 320 00:30:10,512 --> 00:30:14,499 貧しい公家が 役者のように体を売って 321 00:30:14,499 --> 00:30:17,168 お小姓の地位にありつくとは 322 00:30:17,168 --> 00:30:20,839 何と さもしい話ぞ 323 00:30:20,839 --> 00:30:26,139 「戦国の世は遠くなりにけり」か 324 00:30:35,837 --> 00:30:38,437 (村瀬)いかがした? 325 00:30:39,507 --> 00:30:42,911 顔色が悪い それに袖が取れかけておる 326 00:30:42,911 --> 00:30:45,830 うるさい! 何でもあらへん 327 00:30:45,830 --> 00:30:48,430 俺のことは放っとけ 328 00:30:53,171 --> 00:30:55,507 村瀬殿 329 00:30:55,507 --> 00:30:58,159 ねずみが入っておったのや 330 00:30:58,159 --> 00:31:00,161 はあ? 331 00:31:00,161 --> 00:31:03,832 有功様の夕げの椀に ねずみが! 332 00:31:03,832 --> 00:31:06,501 ねずみ… そや 333 00:31:06,501 --> 00:31:09,838 御膳所とやらの連中に きっつう言うといてほしい 334 00:31:09,838 --> 00:31:12,173 あんたの言うことなら聞くやろ 335 00:31:12,173 --> 00:31:14,175 それは確かに承知した 336 00:31:14,175 --> 00:31:17,846 以後 このようなことのなきよう 十分に言っておこう 337 00:31:17,846 --> 00:31:19,848 きっとやで 338 00:31:19,848 --> 00:31:22,148 ああ 339 00:32:08,830 --> 00:32:12,430 痛ッ… 340 00:32:23,161 --> 00:32:26,161 くそッ 341 00:32:27,165 --> 00:32:30,835 見えへんとこばっかり やりおって 342 00:32:30,835 --> 00:32:32,837 《(玉栄)あうッ》 343 00:32:32,837 --> 00:32:35,840 《お主らも試すであろう?》 《ぜひに》 344 00:32:35,840 --> 00:32:39,844 《大奥では 商売女も抱けぬからのう》 345 00:32:39,844 --> 00:32:42,513 《どうせ お前も寺では毎日》 346 00:32:42,513 --> 00:32:45,183 《坊主の慰みものだったのだろう》 347 00:32:45,183 --> 00:32:49,837 《そうとも こんなん慣れとるわ》 348 00:32:49,837 --> 00:32:54,342 《けど 坊さんらには 恩があるさかいな》 349 00:32:54,342 --> 00:32:57,442 《貴様はちゃうで このド下手!》 350 00:33:13,177 --> 00:33:15,330 《あ~ッ!》 351 00:33:15,330 --> 00:33:17,498 《お前の主人も そのうち》 352 00:33:17,498 --> 00:33:19,798 《同じ目に遭わせてやるわ》 353 00:33:24,155 --> 00:33:27,155 殺してやる… 354 00:35:15,683 --> 00:35:21,539 「君は言う 意を得ず 南山の陲に帰臥せんと」 355 00:35:21,539 --> 00:35:28,513 「ただ去れ 復た問うことなからん 白雲尽くる時無し」 356 00:35:28,513 --> 00:35:31,532 こんな世の中は 己の肌に合わぬので 357 00:35:31,532 --> 00:35:34,852 南山の陲にでも引きこもる 358 00:35:34,852 --> 00:35:39,190 そない言う友に対し 王維は こう答える 359 00:35:39,190 --> 00:35:44,862 そうか 元気で行くがよい もう何も聞くまい 360 00:35:44,862 --> 00:35:48,850 きっと白い雲が いつまでも 361 00:35:48,850 --> 00:35:52,450 君とともに いてくれるであろう 362 00:35:54,856 --> 00:36:00,845 白い雲とともに 遠く旅をするか… 363 00:36:00,845 --> 00:36:03,945 羨ましいものや 364 00:36:11,522 --> 00:36:15,122 今日は ここまでにしよか 365 00:36:18,196 --> 00:36:20,196 はい 366 00:36:35,196 --> 00:36:39,796 《≪院主様 院主様!》 367 00:36:44,188 --> 00:36:46,841 《明慧》 368 00:36:46,841 --> 00:36:49,527 《そうか…》 369 00:36:49,527 --> 00:36:52,864 《そうか よかった》 370 00:36:52,864 --> 00:36:55,366 《あれは悪夢やったのや》 371 00:36:55,366 --> 00:36:58,436 《(明慧)早う 慶光院へ 戻りましょう》 372 00:36:58,436 --> 00:37:00,936 《江戸は嫌いや》 373 00:37:07,612 --> 00:37:09,612 明慧! 374 00:37:17,288 --> 00:37:20,858 明慧… 375 00:37:20,858 --> 00:37:24,158 おぶをお持ちしました 376 00:37:25,963 --> 00:37:28,866 いかがしゃはりました? いや… 377 00:37:28,866 --> 00:37:31,869 何や お顔の色が青うございます 378 00:37:31,869 --> 00:37:34,539 お匙を呼びましょか? 379 00:37:34,539 --> 00:37:37,859 人は ただただ食うて寝て 380 00:37:37,859 --> 00:37:41,459 生き続けられるものなんやろか? 381 00:37:42,530 --> 00:37:45,516 生きられるのやろな きっと 382 00:37:45,516 --> 00:37:50,855 ここ大奥で 何もせず 年老いていくのやろな 383 00:37:50,855 --> 00:37:53,855 そなたも 私も 384 00:38:04,185 --> 00:38:08,785 玉栄 何かあったのか? 385 00:38:11,192 --> 00:38:13,194 いえ… 386 00:38:13,194 --> 00:38:17,794 今朝も様子が おかしいと思うたのや 387 00:38:19,850 --> 00:38:23,150 いえ 何も 388 00:38:24,188 --> 00:38:28,988 そうか 申したくないのやな 389 00:38:30,194 --> 00:38:33,194 (足音) 390 00:38:34,865 --> 00:38:37,868 おい 有功殿! 391 00:38:37,868 --> 00:38:40,238 道場へ参られよ 有功殿 392 00:38:40,238 --> 00:38:42,273 何をするのや 無礼やろ! 393 00:38:42,273 --> 00:38:45,192 大奥の男達は 上様をお守りするため 394 00:38:45,192 --> 00:38:48,195 武芸に励むのが決まりごとじゃ! いや 某は… 395 00:38:48,195 --> 00:38:51,182 言い分があるならば 道場にて聞こう 396 00:38:51,182 --> 00:38:54,852 これからは 有功殿も 我らと同じく 二本差しの身 397 00:38:54,852 --> 00:38:58,852 上様をお守りする 大奥の男になってもらわねば 398 00:38:59,857 --> 00:39:01,859 分かり申した 399 00:39:01,859 --> 00:39:04,195 お待ちください 村瀬殿に… 400 00:39:04,195 --> 00:39:06,197 よいのだ 玉栄 401 00:39:06,197 --> 00:39:08,497 では 参ろう 402 00:39:10,851 --> 00:39:12,851 私も参ります 403 00:41:04,882 --> 00:41:09,170 有功様 あいつは 明慧様を斬った… 404 00:41:09,170 --> 00:41:11,822 さあ ご指南役 この男に→ 405 00:41:11,822 --> 00:41:16,122 武芸の何たるかを 身をもって教えてやってくだされ 406 00:41:18,179 --> 00:41:20,779 ≪(角南)澤村殿! 407 00:41:45,506 --> 00:41:47,506 (澤村)さあ 408 00:42:15,836 --> 00:42:20,274 澤村様 そんな青びょうたん 409 00:42:20,274 --> 00:42:22,827 早う 打ちのめしてやりなされ 410 00:42:22,827 --> 00:42:24,845 いかにも いかにも! 411 00:42:24,845 --> 00:42:26,864 (一同が笑う) 412 00:42:26,864 --> 00:42:31,168 (澤村)どうなされた 打ってきなされ 413 00:42:31,168 --> 00:42:33,504 いかにも 某は 414 00:42:33,504 --> 00:42:36,524 あなた様のお付きの御坊を斬った 415 00:42:36,524 --> 00:42:39,824 いわば 敵にございますぞ 416 00:42:43,180 --> 00:42:47,184 さあ 遠慮は無用じゃ 417 00:42:47,184 --> 00:42:49,484 打ってきなされ 418 00:43:12,843 --> 00:43:15,162 私には打てぬ 419 00:43:15,162 --> 00:43:17,181 何? 420 00:43:17,181 --> 00:43:19,833 今は俗世の身とはいえども 421 00:43:19,833 --> 00:43:22,836 一度は御仏に仕えた身 422 00:43:22,836 --> 00:43:25,489 敵なら なおさら 423 00:43:25,489 --> 00:43:29,493 憎しみに曇った心で 人を打ちとうない 424 00:43:29,493 --> 00:43:35,165 何と この小姓殿 澤村様を打てる気でおるのか!?→ 425 00:43:35,165 --> 00:43:37,765 見てみたいの 426 00:43:38,836 --> 00:43:40,836 えーいッ 427 00:43:47,511 --> 00:43:52,166 (澤村)木刀とはいえ このまま打ち込んでいれば 428 00:43:52,166 --> 00:43:54,835 あなた様は死んでおりましたぞ 429 00:43:54,835 --> 00:43:56,837 であろうな 430 00:43:56,837 --> 00:43:59,837 それでも かまわぬと? 431 00:44:09,833 --> 00:44:13,671 では 素振りをしていただこう 432 00:44:13,671 --> 00:44:17,658 それなら 誰のことも 打たずに済みます 433 00:44:17,658 --> 00:44:19,658 (舌打ち) 434 00:44:36,260 --> 00:44:40,164 左様 それを 五百回おやりなさい 435 00:44:40,164 --> 00:44:45,169 五百? 今まで木刀なんか 持ったこともないお方なんやで!? 436 00:44:45,169 --> 00:44:47,171 だから 五百です 437 00:44:47,171 --> 00:44:51,492 城の警護をする者には 毎日 千回やらせている 438 00:44:51,492 --> 00:44:54,828 ならば 千回いたそう 439 00:44:54,828 --> 00:44:56,830 有功様! 440 00:44:56,830 --> 00:44:59,500 ≪(和田)いいぞ 面白うなってきた 441 00:44:59,500 --> 00:45:02,503 千回やってみろ うらなりめ 442 00:45:02,503 --> 00:45:05,506 では 千回 443 00:45:05,506 --> 00:45:07,806 始め 444 00:45:10,177 --> 00:45:12,177 一 445 00:45:16,216 --> 00:45:20,170 ≪(澤村)二 お万! わしじゃ 446 00:45:20,170 --> 00:45:22,170 お万! 447 00:45:25,843 --> 00:45:29,143 なぜ誰もおらんのじゃ 448 00:45:30,514 --> 00:45:37,504 (若紫の鳴き声) 449 00:45:37,504 --> 00:45:41,175 ええい わしに なれなれしう近づくな 450 00:45:41,175 --> 00:45:43,775 わしは畜生は好かぬ! 451 00:46:00,194 --> 00:46:02,794 (若紫が鳴く) 452 00:46:25,335 --> 00:46:27,335 七十四 453 00:46:31,825 --> 00:46:33,844 七十五 454 00:46:33,844 --> 00:46:39,166 へっぴり腰 もう足元が おぼつかんぞ 455 00:46:39,166 --> 00:46:43,504 まったく あれでは百 もつまいよ 456 00:46:43,504 --> 00:46:47,825 お公家様は 箸より重い物など 持ったことがないのであろう 457 00:46:47,825 --> 00:46:50,828 誰か 百までもつか 賭けようぞ 458 00:46:50,828 --> 00:46:53,128 (一同が笑う) 459 00:46:56,500 --> 00:46:58,800 ≪(澤村)七十九 460 00:47:01,155 --> 00:47:03,455 八十 461 00:47:06,176 --> 00:47:08,476 八十一 462 00:47:10,831 --> 00:47:13,431 八十二 463 00:47:15,836 --> 00:47:18,436 ≪(澤村)八十三 464 00:47:21,158 --> 00:47:26,163 《この世で生きる苦しさから 人は どうしたら救われるのか》 465 00:47:26,163 --> 00:47:29,566 《私は考えていきたいので おじゃります》 466 00:47:29,566 --> 00:47:32,503 《あなたは この江戸で還俗し→》 467 00:47:32,503 --> 00:47:35,506 《将軍・家光公の お小姓となるのです》 468 00:47:35,506 --> 00:47:41,161 《男としての欲望が むくむくと》 469 00:47:41,161 --> 00:47:45,182 《私が仕えてたのは あなた様や 御仏なんかやあらしません》 470 00:47:45,182 --> 00:47:48,819 《わしが「お万」と言ったら 「はい」と言え》 471 00:47:48,819 --> 00:47:52,156 《あなた様は「種」じゃ あなた様のお役目は→》 472 00:47:52,156 --> 00:47:55,492 《上様との間に お世継ぎをもうけること》 473 00:47:55,492 --> 00:47:57,828 《≪(侍)男妾》 474 00:47:57,828 --> 00:48:01,165 《一生 この大奥から 出すことはできませぬ》 475 00:48:01,165 --> 00:48:04,165 (澤村)百 476 00:48:09,823 --> 00:48:12,423 ≪(澤村)三百四 477 00:48:18,348 --> 00:48:20,948 ≪(澤村)三百五 478 00:48:27,157 --> 00:48:29,757 ≪(澤村)三百六 479 00:48:31,829 --> 00:48:35,833 振り上げたときの剣先が 曲がっております 480 00:48:35,833 --> 00:48:37,833 もう一度 481 00:48:45,342 --> 00:48:48,142 ≪(澤村)三百六 482 00:48:49,913 --> 00:48:51,832 いつまでやる気だ まったく 483 00:48:51,832 --> 00:48:54,432 ≪(澤村)三百七 484 00:48:59,339 --> 00:49:01,839 三百八 485 00:49:05,846 --> 00:49:09,146 ≪(澤村)七百九十八 486 00:49:11,835 --> 00:49:14,835 七百九十九 487 00:49:19,843 --> 00:49:21,843 (澤村)八百 488 00:49:22,846 --> 00:49:24,848 有功様! 489 00:49:24,848 --> 00:49:28,902 もう… もう十分です 490 00:49:28,902 --> 00:49:31,171 あと二百 491 00:49:31,171 --> 00:49:33,471 さあ 立ちなされ 492 00:49:50,507 --> 00:49:53,894 やったって無駄です 有功様 493 00:49:53,894 --> 00:49:56,894 もう誰も いてへんのやさかい 494 00:50:24,841 --> 00:50:28,441 (澤村)九百九十七 495 00:50:37,504 --> 00:50:40,104 ≪(澤村)九百九十八 496 00:50:50,167 --> 00:50:53,167 ≪(澤村)九百九十九 497 00:51:07,334 --> 00:51:09,834 ≪(澤村)千! 498 00:51:12,923 --> 00:51:14,841 有功様! 499 00:51:14,841 --> 00:51:17,828 確かに 千回 500 00:51:17,828 --> 00:51:21,428 では本日は これにて 501 00:51:25,268 --> 00:51:27,838 有功様 502 00:51:27,838 --> 00:51:32,159 何で こないな無茶をなさいます 503 00:51:32,159 --> 00:51:36,759 (荒い息の有功) 504 00:51:41,585 --> 00:51:46,885 堪忍な 玉栄 505 00:51:48,508 --> 00:51:51,828 何も私かて 506 00:51:51,828 --> 00:51:56,900 負けん気だけでしたんやないんや 507 00:51:56,900 --> 00:52:00,170 ただな 508 00:52:00,170 --> 00:52:03,470 ただ… 509 00:52:05,175 --> 00:52:08,178 もう何も 510 00:52:08,178 --> 00:52:10,778 考えたくないのや 511 00:52:24,177 --> 00:52:31,177 もう何も考えとうないんや 512 00:53:08,505 --> 00:53:10,507 <陰謀と愛憎渦巻く大奥に> 513 00:53:10,507 --> 00:53:13,507 <豪華キャストが集結>