1 00:01:06,283 --> 00:01:08,285 (家光)あれは… 2 00:01:08,285 --> 00:01:11,605 (澤村)死人を焼いておるのです 3 00:01:11,605 --> 00:01:13,640 死人を!? 4 00:01:13,640 --> 00:01:18,240 流行病による 死人でありますゆえ 5 00:01:19,596 --> 00:01:23,600 <(村瀬)寛永十九年 我が国は> 6 00:01:23,600 --> 00:01:27,604 <流行病に加えて 大飢きんに見舞われ> 7 00:01:27,604 --> 00:01:30,904 <あまたの死者が出た> 8 00:01:43,937 --> 00:01:46,606 土壁の中から藁を取り出し→ 9 00:01:46,606 --> 00:01:49,206 煮て食おうというのです 10 00:02:08,612 --> 00:02:12,612 まいりましょう 上… 千恵様 11 00:02:13,617 --> 00:02:17,020 どいた どいた~ 12 00:02:17,020 --> 00:02:19,620 どいた どいた! 13 00:02:24,661 --> 00:02:29,616 えいほ えいほ… 14 00:02:29,616 --> 00:02:33,616 ごめんよ ごめんよ 15 00:02:35,605 --> 00:02:39,609 前 来たときより また女が多なった 16 00:02:39,609 --> 00:02:42,946 どの家も 赤面疱瘡を恐れて 17 00:02:42,946 --> 00:02:46,246 若い男を 外へ出さぬのです 18 00:02:53,373 --> 00:02:56,610 髪を結うておる女が多いの 19 00:02:56,610 --> 00:03:00,610 そのほうが 働きやすいからかと… 20 00:03:19,599 --> 00:03:22,599 (女主人)いらっしゃいませ 21 00:03:23,603 --> 00:03:26,606 金子の用意を はッ 22 00:03:26,606 --> 00:03:29,943 これと これと はい 23 00:03:29,943 --> 00:03:31,945 これもくれ 24 00:03:31,945 --> 00:03:36,933 これと これと… これもじゃ 25 00:03:36,933 --> 00:03:41,454 ああ あの これはこれは 失礼をいたしました 26 00:03:41,454 --> 00:03:43,440 ぜひ 奥の部屋へ 27 00:03:43,440 --> 00:03:48,111 もっと良い品を お出しいたします どうぞ どうぞ 28 00:03:48,111 --> 00:03:51,911 こちらでございます 29 00:03:56,653 --> 00:04:00,953 こちらで少々 お待ちくださいまし 30 00:04:16,289 --> 00:04:20,889 ≪(又兵衛)いらっしゃいませ お品物をお持ちしました 31 00:04:40,614 --> 00:04:45,614 当家の伜の又兵衛でございます 32 00:04:51,958 --> 00:04:55,612 (女主人)ありがとうございました 33 00:04:55,612 --> 00:04:58,948 またのお越しを… 34 00:04:58,948 --> 00:05:00,948 お姫様! 35 00:05:02,018 --> 00:05:06,272 お姫様でしたら いっとき八両で 36 00:05:06,272 --> 00:05:11,272 伜が心より お待ち申し上げております 37 00:05:13,613 --> 00:05:16,266 八両とは… 38 00:05:16,266 --> 00:05:18,601 どこも あんな高い値で 39 00:05:18,601 --> 00:05:21,604 伜に遊女のまねを させているのか? 40 00:05:21,604 --> 00:05:25,604 あれでは貧しい者は 手が出ないではないか 41 00:05:32,599 --> 00:05:35,785 吉原にございます 42 00:05:35,785 --> 00:05:39,939 かつてのご公儀が認めた 遊郭でございますが 43 00:05:39,939 --> 00:05:44,277 今や 見る影もございませぬ 44 00:05:44,277 --> 00:05:51,577 これも 赤面疱瘡で 男子が激減したため… 45 00:05:53,603 --> 00:05:56,106 ≪(客引きの女)旦那 旦那→ 46 00:05:56,106 --> 00:05:59,109 ほら うちの子 ちゃ~んと若い子ですよ 47 00:05:59,109 --> 00:06:02,109 それも たったの二分 どうです? 48 00:06:08,284 --> 00:06:10,704 帰るぞ 49 00:06:10,704 --> 00:06:12,605 旦那 50 00:06:12,605 --> 00:06:15,942 わしが客なら 安うても絶対嫌じゃ 51 00:06:15,942 --> 00:06:17,944 なぜ あのような… 52 00:06:17,944 --> 00:06:23,244 女達が ここに来るのは 一夜の快楽のためではありませぬ 53 00:06:24,551 --> 00:06:27,937 そうまでしても 己が子を欲しい女が 54 00:06:27,937 --> 00:06:31,237 この世には いるということでございましょう 55 00:06:46,289 --> 00:06:48,589 (春日)上様! 56 00:06:49,609 --> 00:06:52,629 何じゃ 春日 57 00:06:52,629 --> 00:06:57,717 何度も申し上げておりますのに 何かありましたら どうなさいます 58 00:06:57,717 --> 00:07:00,717 正勝! 正勝はおるか 59 00:07:01,604 --> 00:07:03,623 上様! 60 00:07:03,623 --> 00:07:06,943 (稲葉)はッ 上様 ここに 61 00:07:06,943 --> 00:07:11,614 ただちに 六人衆を呼べ かしこまりましてございます 62 00:07:11,614 --> 00:07:13,616 明日一番だぞ 63 00:07:13,616 --> 00:07:16,786 このままでは各地で 一揆が起きるやもしれぬ 64 00:07:16,786 --> 00:07:19,086 はッ! 65 00:07:22,942 --> 00:07:24,944 上様 66 00:07:24,944 --> 00:07:28,615 春日 安心せい 67 00:07:28,615 --> 00:07:31,618 わしの忍び歩きは上手じゃ 68 00:07:31,618 --> 00:07:35,989 万に一つも 正体が知れることはない 69 00:07:35,989 --> 00:07:40,589 心配いたすな なッ? 70 00:07:41,945 --> 00:07:44,545 上様! 71 00:07:51,955 --> 00:07:54,958 この度の飢きんであるが 72 00:07:54,958 --> 00:07:57,994 急ぎ 仮小屋を市中に建てて 73 00:07:57,994 --> 00:08:02,594 七日間ほど 飢えた民に 粥を施しては どうであろう? 74 00:08:03,616 --> 00:08:06,653 (三浦) お優しいことでございますな 75 00:08:06,653 --> 00:08:09,272 ですが畏れながら 上様 76 00:08:09,272 --> 00:08:12,275 たった七日間 粥を ふるまったところで 77 00:08:12,275 --> 00:08:16,346 百姓らを まことに 救うことができるかどうかは… 78 00:08:16,346 --> 00:08:20,617 はあ? そんなことは できぬに決まっておるではないか 79 00:08:20,617 --> 00:08:24,621 これは各地で高まる 一揆の気運をくじくためであって 80 00:08:24,621 --> 00:08:27,621 百姓どもを救うための 策ではないわ! 81 00:08:30,627 --> 00:08:34,781 …で できるのか できぬのか? 82 00:08:34,781 --> 00:08:37,581 ははッ 直ちに 83 00:08:39,602 --> 00:08:41,955 それと 84 00:08:41,955 --> 00:08:45,275 どうやら 本百姓が抱える小作人達が 85 00:08:45,275 --> 00:08:50,280 この度の飢きんで逃げ出し 流民と化しておるようじゃ 86 00:08:50,280 --> 00:08:53,880 そなたら これをどう見る? 87 00:08:55,702 --> 00:08:59,606 (堀田)このようなときこそ 百姓どもには精を出して 88 00:08:59,606 --> 00:09:02,609 米を作ってもらわねば なりませぬのに… 89 00:09:02,609 --> 00:09:05,612 (松平)小作人だけでなく 貧しい百姓も 90 00:09:05,612 --> 00:09:10,617 貧しさに耐えかね 己が田を売れば さらに流民は増えましょうな 91 00:09:10,617 --> 00:09:12,619 そのためにも やはり 92 00:09:12,619 --> 00:09:15,919 百姓の田畑の売買を 禁ずるしかあるまい 93 00:09:17,690 --> 00:09:22,278 百姓を皆 小さな己の田を 家族で守る小農ばかりにして 94 00:09:22,278 --> 00:09:26,278 やつらを その土地に 一生 縛りつけ 働かせるのだ! 95 00:09:50,323 --> 00:09:54,611 《(有功)お前に 上様のおそばに上がり》 96 00:09:54,611 --> 00:09:57,280 《お子をなしてほしいのや》 97 00:09:57,280 --> 00:09:59,782 《玉栄)そんな… 有功様!》 98 00:09:59,782 --> 00:10:01,951 《頼む》 99 00:10:01,951 --> 00:10:04,621 《お前以外に誰もおらぬ》 100 00:10:04,621 --> 00:10:07,624 《私の代わりに》 101 00:10:07,624 --> 00:10:11,628 《上様に お世継ぎを》 102 00:10:11,628 --> 00:10:15,628 《おやめください 有功様 私などに そのような…》 103 00:10:41,624 --> 00:10:44,624 《分かりました》 104 00:11:54,597 --> 00:12:01,097 この度 おそばに上がることと 相成りました 玉栄でございます 105 00:12:12,598 --> 00:12:16,269 少々 話でもするかのう 106 00:12:16,269 --> 00:12:18,869 はッ… 107 00:12:22,275 --> 00:12:25,661 ふん… 108 00:12:25,661 --> 00:12:30,616 前髪を落とすと それだけで何とのう 109 00:12:30,616 --> 00:12:35,288 大人の男に見えるから 不思議なものじゃ 110 00:12:35,288 --> 00:12:39,625 畏れながら 私と上様は 同い年でございますが 111 00:12:39,625 --> 00:12:42,962 何じゃ その口の利きようは!? 112 00:12:42,962 --> 00:12:44,931 わしの気に入らなければ 113 00:12:44,931 --> 00:12:49,231 そなたの主人にも 恥をかかすことになるのだぞ 114 00:12:54,607 --> 00:12:59,607 私が上様のお気に召しても 召さなくても 115 00:13:02,265 --> 00:13:06,269 いずれにせよ 有功様を裏切り 116 00:13:06,269 --> 00:13:10,269 苦しめることに 変わりはございませんのやさかい 117 00:13:16,929 --> 00:13:19,932 ならば なぜ ここへ来た 118 00:13:19,932 --> 00:13:25,532 有功の頼みとはいえ 断ることもできたであろう 119 00:13:26,606 --> 00:13:31,906 そら 有功様の思い人である あなた様と… 120 00:13:32,945 --> 00:13:39,302 閨を… 共にするなど 121 00:13:39,302 --> 00:13:43,602 心苦しいに決まっております 122 00:13:44,607 --> 00:13:46,609 けど それでも それを 123 00:13:46,609 --> 00:13:51,209 私に頼まなければならんかった 有功様は 124 00:13:52,615 --> 00:13:56,615 もっと苦しかったはずです 125 00:13:58,671 --> 00:14:03,276 私は 有功様のお苦しみを見るのは 126 00:14:03,276 --> 00:14:06,329 何より 127 00:14:06,329 --> 00:14:09,929 何より つらい 128 00:14:15,621 --> 00:14:18,621 そやから ここへ来ました 129 00:14:20,626 --> 00:14:23,663 ふんッ 130 00:14:23,663 --> 00:14:27,663 有功と そなた… 131 00:14:30,620 --> 00:14:34,624 何があろうと 強い絆ゆえ 132 00:14:34,624 --> 00:14:38,624 結びつきは変わらぬと申すか 133 00:14:39,629 --> 00:14:43,599 それも考えました 134 00:14:43,599 --> 00:14:47,270 今晩を境に 135 00:14:47,270 --> 00:14:52,608 有功様と私は どないなっていくのやろかと→ 136 00:14:52,608 --> 00:14:55,611 けど… 137 00:14:55,611 --> 00:14:58,281 けど 今の今 138 00:14:58,281 --> 00:15:02,952 有功様の望みを退けることなど 私にはできしません 139 00:15:02,952 --> 00:15:06,289 お夏がいるからです 140 00:15:06,289 --> 00:15:12,361 有功様が お夏いう男に負けるのは 何より嫌や 141 00:15:12,361 --> 00:15:14,764 そやから 上様 142 00:15:14,764 --> 00:15:17,266 私のことを 有功様ほど 143 00:15:17,266 --> 00:15:20,286 お気に召してもろたら あきませんけど 144 00:15:20,286 --> 00:15:23,272 お夏よりは お気に召していただかんと 145 00:15:23,272 --> 00:15:26,943 そうでないと 私は有功様に 顔向けできしませんのや 146 00:15:26,943 --> 00:15:29,278 あきれた男じゃ 147 00:15:29,278 --> 00:15:32,298 わしに指図する気か 無礼者め! 148 00:15:32,298 --> 00:15:35,334 そうかて 私は自分の仕える方は 149 00:15:35,334 --> 00:15:38,287 上様でも 仏様でも あらしません 150 00:15:38,287 --> 00:15:41,887 有功様 ただ一人と 決めてますのやさかい 151 00:15:51,617 --> 00:15:53,953 わしに ここまで 152 00:15:53,953 --> 00:15:57,553 ずけずけ ものを言うやつは 初めてじゃ 153 00:16:00,009 --> 00:16:03,612 確かに そなたのような男 154 00:16:03,612 --> 00:16:07,212 わしは嫌いではない 155 00:16:08,284 --> 00:16:12,621 わしと そなた… 156 00:16:12,621 --> 00:16:17,921 お互い どこか 似ているところがある 157 00:16:26,619 --> 00:16:29,672 今夜を境に 158 00:16:29,672 --> 00:16:36,272 有功と どうなっていくのか と申したな 159 00:16:44,286 --> 00:16:47,586 いらぬ心配じゃ 160 00:16:49,625 --> 00:16:53,625 有功は そなたが好きなのだ 161 00:17:27,346 --> 00:17:40,946 ♪♪~ 162 00:20:13,245 --> 00:20:16,582 (溝口) 己に子種がないからといって 163 00:20:16,582 --> 00:20:20,252 悔しまぎれに 身分の卑しい部屋子の小僧を 164 00:20:20,252 --> 00:20:23,589 側室として差し出すとは 165 00:20:23,589 --> 00:20:28,928 公家のご子息とも思えぬ あさましさでございますなあ 166 00:20:28,928 --> 00:20:31,597 何やと! お前に何が分かるのや 167 00:20:31,597 --> 00:20:34,600 お前に有功様の 何が分かるというのや! 168 00:20:34,600 --> 00:20:37,570 このような狼藉 ただでは済みませぬぞ 169 00:20:37,570 --> 00:20:41,574 今日より この玉栄も お夏様と同じ ご側室 170 00:20:41,574 --> 00:20:44,093 身分が卑しいなどと罵れば 171 00:20:44,093 --> 00:20:47,093 それこそ ただでは済みませぬぞ 172 00:20:48,664 --> 00:20:51,664 玉栄 まいろう 173 00:20:57,573 --> 00:21:01,577 そなたは ええ子や 174 00:21:01,577 --> 00:21:05,177 ありがとう 玉栄 175 00:21:31,090 --> 00:21:33,590 千代… 176 00:21:47,573 --> 00:21:50,573 お呼びでございますか 177 00:22:08,260 --> 00:22:11,060 面白かった 178 00:22:13,932 --> 00:22:20,732 思うたより 面白い男であった お玉は 179 00:22:31,650 --> 00:22:34,920 不思議な子です 180 00:22:34,920 --> 00:22:40,592 生きる力も強いが 運も強い 181 00:22:40,592 --> 00:22:43,892 私とは まるで違う 182 00:22:44,930 --> 00:22:47,583 それにもかかわらず 183 00:22:47,583 --> 00:22:52,237 いや… であるからこそなのか 184 00:22:52,237 --> 00:22:57,837 あの子は私の分身のような 気がするのでございます 185 00:22:58,911 --> 00:23:04,283 私が光なら 玉栄は影 186 00:23:04,283 --> 00:23:10,883 私が影なら 玉栄は光というように 187 00:23:15,577 --> 00:23:18,877 こんなことがございました 188 00:23:20,916 --> 00:23:27,216 まだ私が 大奥へ入るとは 思いも寄らぬ頃のことです 189 00:23:38,584 --> 00:23:42,584 《(隆光)おい ちいと そこな稚児》 190 00:23:49,745 --> 00:23:52,915 《何や 人の顔を じろじろと》 191 00:23:52,915 --> 00:23:54,915 《こら 玉栄》 192 00:23:55,918 --> 00:23:58,754 《これは不思議》 193 00:23:58,754 --> 00:24:01,240 《この子には 将来》 194 00:24:01,240 --> 00:24:04,540 《天下人の父になる相が あらわれておるぞ》 195 00:24:05,627 --> 00:24:08,627 《何になる相やて?》 196 00:24:09,581 --> 00:24:12,881 《天下人の父じゃ》 197 00:24:20,242 --> 00:24:24,596 その僧の言葉どおりになれば 198 00:24:24,596 --> 00:24:28,596 そなたは そのほうが良いのか? 199 00:24:32,588 --> 00:24:35,588 はい 200 00:26:28,337 --> 00:26:31,089 <八月朔日> 201 00:26:31,089 --> 00:26:35,911 <江戸城では 徳川家康公の関東入国を祝って> 202 00:26:35,911 --> 00:26:40,916 <諸大名が登城し 公方様に祝賀を述べる> 203 00:26:40,916 --> 00:26:44,319 <この日を八朔という> 204 00:26:44,319 --> 00:26:46,922 (大目付)あなたへ! 205 00:26:46,922 --> 00:26:49,908 <まず大目付が このように> 206 00:26:49,908 --> 00:26:54,908 <公方様に拝謁あれの意を伝え> 207 00:27:04,656 --> 00:27:08,910 <次に 松平伊豆守信綱様が> 208 00:27:08,910 --> 00:27:13,510 <本人に代わって 御礼の口上を述べる> 209 00:27:14,583 --> 00:27:17,085 松平甲斐守輝綱 210 00:27:17,085 --> 00:27:20,185 朔日の御礼 申し上げまする 211 00:27:21,256 --> 00:27:24,259 <公方様のお答えは決まっている> 212 00:27:24,259 --> 00:27:26,261 めでたい 213 00:27:26,261 --> 00:27:28,861 (輝綱)ははッ 214 00:27:43,595 --> 00:27:46,195 ≪(大目付)あなたへ! 215 00:28:10,939 --> 00:28:14,576 (酒井)久方ぶりじゃのう 伊豆守 216 00:28:14,576 --> 00:28:16,578 これは 讃岐守様 217 00:28:16,578 --> 00:28:19,915 このような折しか登城できぬとは 218 00:28:19,915 --> 00:28:25,921 大老などというものは 敬して遠ざけられるばかりよの 219 00:28:25,921 --> 00:28:28,924 讃岐守様 そのような… 220 00:28:28,924 --> 00:28:31,927 そちらは ご子息か? 221 00:28:31,927 --> 00:28:34,262 はあ 申し遅れました 222 00:28:34,262 --> 00:28:37,265 これなるは長子 輝綱にございます 223 00:28:37,265 --> 00:28:39,267 これ ご挨拶を 224 00:28:39,267 --> 00:28:41,567 輝綱にございます 225 00:28:42,654 --> 00:28:44,923 これは わしの伜じゃ 226 00:28:44,923 --> 00:28:46,923 忠朝 227 00:28:49,277 --> 00:28:53,582 それでは 讃岐守様 これにて失礼つかまつりまする 228 00:28:53,582 --> 00:28:59,571 このご時世 互いに跡取りに恵まれ 何よりじゃ 229 00:28:59,571 --> 00:29:02,571 (松平)まことに 230 00:29:08,246 --> 00:29:10,248 (輝綱が笑う) 231 00:29:10,248 --> 00:29:12,918 何じゃ 何がおかしい? 232 00:29:12,918 --> 00:29:15,287 讃岐守様のご子息 233 00:29:15,287 --> 00:29:17,589 あれは娘御でしたぞ 234 00:29:17,589 --> 00:29:20,075 それだけではございませぬ 235 00:29:20,075 --> 00:29:22,594 登城の際の大名らの供に 236 00:29:22,594 --> 00:29:26,264 男のなりをした女が まあ多いこと 237 00:29:26,264 --> 00:29:29,564 父上は お気づきになられませなんだか? 238 00:29:44,933 --> 00:29:47,586 《(雪)上様は何か》 239 00:29:47,586 --> 00:29:50,572 《父上については おっしゃっておられましたか?》 240 00:29:50,572 --> 00:29:54,576 《(正則)はい よう知っている 竹馬の友と…》 241 00:29:54,576 --> 00:29:58,246 《そのお声は まるで》 242 00:29:58,246 --> 00:30:00,846 《父上のようでありました》 243 00:30:01,917 --> 00:30:06,517 母上 ただいま戻りましてございます 244 00:30:18,250 --> 00:30:22,604 八朔の日のお目通り つつがなく済みましたか? 245 00:30:22,604 --> 00:30:25,257 はい 今日も上様は 246 00:30:25,257 --> 00:30:27,926 優しい目で 私をご覧になり 247 00:30:27,926 --> 00:30:31,930 このように うなずいてくださいました 248 00:30:31,930 --> 00:30:33,915 お言葉は? 249 00:30:33,915 --> 00:30:36,251 「めでたい」と仰せでした 250 00:30:36,251 --> 00:30:39,254 他には… 母上 251 00:30:39,254 --> 00:30:42,924 今日は八朔の日 決まったお言葉の他に 252 00:30:42,924 --> 00:30:46,928 仰せになるはずがありません で 上様のご様子は? 253 00:30:46,928 --> 00:30:50,932 はい お変わりなく ご立派でした 254 00:30:50,932 --> 00:30:53,602 お召し物は どのような? 255 00:30:53,602 --> 00:30:55,904 浅黄色の… 256 00:30:55,904 --> 00:30:59,574 いや それは 伊豆守様であったか 257 00:30:59,574 --> 00:31:03,578 覚えておりませぬのか? 母上 258 00:31:03,578 --> 00:31:09,251 私もまだ お城に参内することには 慣れておりませぬゆえに 259 00:31:09,251 --> 00:31:12,254 そう… 260 00:31:12,254 --> 00:31:14,589 しかし 暑かった 261 00:31:14,589 --> 00:31:17,589 一日で あせもが出ました 262 00:33:13,308 --> 00:33:17,679 赤面疱瘡で跡継ぎがいなくなり 邪魔な大名が取り潰しになるのは 263 00:33:17,679 --> 00:33:20,615 最初こそ 好都合とも思っておりましたが… 264 00:33:20,615 --> 00:33:25,603 (太田)左様 これだけ男子の後継が 育たぬとなると 親藩の中にも 265 00:33:25,603 --> 00:33:29,603 お家断絶が危ぶまれる大名家が 出てきております 266 00:33:40,685 --> 00:33:43,104 皆様! 267 00:33:43,104 --> 00:33:47,092 皆様のお心も もはや決まっておりましょう 268 00:33:47,092 --> 00:33:50,192 ここは… 269 00:33:51,596 --> 00:33:53,598 ここは いっとき 270 00:33:53,598 --> 00:33:57,602 女子の後継が立つことを 認めるしかありませぬ 271 00:33:57,602 --> 00:34:00,271 待ちや 272 00:34:00,271 --> 00:34:03,775 何を申しておるのです 正盛 273 00:34:03,775 --> 00:34:07,262 あくまでも 次代までの つなぎでございます 274 00:34:07,262 --> 00:34:09,297 馬鹿な 275 00:34:09,297 --> 00:34:12,350 しかし すでに百姓や町人達は皆 276 00:34:12,350 --> 00:34:16,588 娘が父親から家業を受け継ぎ 暮らしを立てておりますそうな 277 00:34:16,588 --> 00:34:21,259 そなたまで何を言う 下々の者ならともかく 278 00:34:21,259 --> 00:34:24,929 戦場での働きこそを 本分とする武家で 279 00:34:24,929 --> 00:34:28,600 女子が家督を継ぐなど できるわけがありませぬ 280 00:34:28,600 --> 00:34:31,936 女が余っておるなら いくらでも側室を抱えて 281 00:34:31,936 --> 00:34:34,956 男子を産ませればよいでは ありませぬか! 282 00:34:34,956 --> 00:34:39,027 男子は今や 五人 生まれて やっと一人育てばいいほう 283 00:34:39,027 --> 00:34:41,930 (忠秋)側室を あまた持つ 大大名でも 284 00:34:41,930 --> 00:34:46,230 男子の後継を持つのは 難しうなっておるのですよ 285 00:34:47,268 --> 00:34:52,090 今はもう おばば様の知る 戦国の世とは違います→ 286 00:34:52,090 --> 00:34:54,592 乱世は遠い昔のこと→ 287 00:34:54,592 --> 00:34:58,997 そもそも戦をしようにも 男が足りませぬ 288 00:34:58,997 --> 00:35:01,933 それでは 武士の頂点に立つ将軍も 289 00:35:01,933 --> 00:35:04,533 女でかまわぬというのか! 290 00:35:07,272 --> 00:35:10,942 少なくとも 今の公方様 一代においては 291 00:35:10,942 --> 00:35:13,242 私は良いと思います 292 00:35:18,600 --> 00:35:22,604 私は ずっと あの方を おそばで拝見しておりますが 293 00:35:22,604 --> 00:35:25,623 先代・家光公と同様 294 00:35:25,623 --> 00:35:30,261 いえ それ以上に 名君となられる器であられると 295 00:35:30,261 --> 00:35:33,261 日々 思うてまいりました 296 00:35:36,918 --> 00:35:38,920 春日局様 297 00:35:38,920 --> 00:35:41,940 あなた様も 先代・家光公が亡くなられた際 298 00:35:41,940 --> 00:35:44,592 仰せになったではござらぬか 299 00:35:44,592 --> 00:35:46,928 今は常の時にあらず 300 00:35:46,928 --> 00:35:51,528 すべては 徳川家の治世を守るためでござる 301 00:36:43,601 --> 00:36:47,201 (村瀬)これはこれは 春日局様 302 00:36:48,606 --> 00:36:51,206 何じゃ 正資! 303 00:36:55,947 --> 00:36:59,547 何やら洒落のめしておるでは… 304 00:37:18,269 --> 00:37:21,269 これは!? 305 00:37:31,599 --> 00:37:34,199 後ろを向いてごらん 306 00:37:36,604 --> 00:37:39,591 青磁の色に 鬱金の刺しゅう 307 00:37:39,591 --> 00:37:41,593 中の着物は濃紺 308 00:37:41,593 --> 00:37:45,930 若々しい色や そなたに よう似合うている 309 00:37:45,930 --> 00:37:50,268 刺しゅうは もっと入れたほうが これでは お夏に勝たれへん… 310 00:37:50,268 --> 00:37:54,322 そのくらいがええのや それ以上は 下品やさかいな 311 00:37:54,322 --> 00:37:56,941 ≪(春日)有功殿!→ 312 00:37:56,941 --> 00:38:00,241 有功殿はおるか! 313 00:38:02,597 --> 00:38:05,266 菊見などと 314 00:38:05,266 --> 00:38:08,252 何をお考えか! いけませぬか? 315 00:38:08,252 --> 00:38:11,673 今日は 九月九日 重陽の節句でございますゆえ 316 00:38:11,673 --> 00:38:14,592 (春日)ここは宮中とは違います! 317 00:38:14,592 --> 00:38:17,595 ここ 大奥におる男達は 318 00:38:17,595 --> 00:38:20,948 上様をお守りすべき武士ですぞ 319 00:38:20,948 --> 00:38:25,036 それを皆 あのように 袴の紐まで 320 00:38:25,036 --> 00:38:28,923 裃と同じ色に染め上げ いらぬ腰板まで… 321 00:38:28,923 --> 00:38:31,592 まるで洒落気を競うようじゃ→ 322 00:38:31,592 --> 00:38:34,262 何と嘆かわしいこと 323 00:38:34,262 --> 00:38:36,264 市中では毎日 324 00:38:36,264 --> 00:38:40,264 死人を焼く死臭が たちこめているというのに! 325 00:38:41,636 --> 00:38:44,272 春日局様 326 00:38:44,272 --> 00:38:47,608 私も ここ大奥に お仕えする身 327 00:38:47,608 --> 00:38:51,612 お上から お扶持を いただいております 328 00:38:51,612 --> 00:38:55,600 今回の菊見のために 皆が新調した装束は 329 00:38:55,600 --> 00:38:59,604 すべて私のお扶持で 賄いましてございます 330 00:38:59,604 --> 00:39:03,274 今日の宴にしても 食事は普段どおり 331 00:39:03,274 --> 00:39:07,261 ただ酒の入った杯に 黄菊の花びらを浮かべ 332 00:39:07,261 --> 00:39:09,263 風情を楽しむだけ 333 00:39:09,263 --> 00:39:12,600 行灯も 各々の部屋から 持ち寄りましてございます 334 00:39:12,600 --> 00:39:15,603 しかし… もとより剣術 弓術の鍛錬も皆 335 00:39:15,603 --> 00:39:18,606 一日たりとも 怠ってはおりませぬ 336 00:39:18,606 --> 00:39:22,610 この大奥に 一生 とらわれの日々を過ごす者達が 337 00:39:22,610 --> 00:39:27,265 せめてもの慰みに 一夜 皆で菊をめでることの 338 00:39:27,265 --> 00:39:30,265 どこがいけませぬのか? 339 00:39:41,596 --> 00:39:44,599 誰もかれも もう このばばの言うことなど 340 00:39:44,599 --> 00:39:46,584 聞く耳を持たぬ 341 00:39:46,584 --> 00:39:49,587 有功も 六人衆も 正勝さえも 342 00:39:49,587 --> 00:39:52,924 上様も例外ではあらせられぬ 春日局様 343 00:39:52,924 --> 00:39:56,594 あまり お怒りになられると… ええい うるさい! 344 00:39:56,594 --> 00:39:58,596 (せき込む) 345 00:39:58,596 --> 00:40:03,596 ほら 某の申すとおりでは ございませぬか 346 00:40:09,590 --> 00:40:12,627 春日局様!? 347 00:40:12,627 --> 00:40:15,263 春日局様! 348 00:40:15,263 --> 00:40:17,598 誰か! 誰かッ 349 00:40:17,598 --> 00:40:19,600 春日局様ッ 350 00:40:19,600 --> 00:40:22,270 春日局様!→ 351 00:40:22,270 --> 00:40:24,870 春日局様ッ 春日局様! 352 00:42:00,952 --> 00:42:03,287 それほどまでに悪いのか!? 353 00:42:03,287 --> 00:42:07,959 何分 もうお年ですので 今年の夏の暑さが こたえたのかと 354 00:42:07,959 --> 00:42:10,628 それに… 355 00:42:10,628 --> 00:42:12,628 それに? 356 00:42:13,965 --> 00:42:16,617 母は 357 00:42:16,617 --> 00:42:19,617 薬断ちをしておりますゆえ 358 00:42:22,957 --> 00:42:24,957 春日! 359 00:42:27,962 --> 00:42:29,964 馬鹿 360 00:42:29,964 --> 00:42:32,617 何ゆえ そのように 361 00:42:32,617 --> 00:42:34,952 早う横になれ 362 00:42:34,952 --> 00:42:38,990 お見苦しき姿を お見せしております 363 00:42:38,990 --> 00:42:44,590 そなた なぜ薬断ちをしておるのだ!? 364 00:42:49,667 --> 00:42:54,622 先代・家光公が 赤面疱瘡を お病みなされた際 365 00:42:54,622 --> 00:42:58,292 私は神仏に薬断ちを誓い 366 00:42:58,292 --> 00:43:01,295 回復祈願を いたしましてございます 367 00:43:01,295 --> 00:43:03,631 つまらぬことを 368 00:43:03,631 --> 00:43:06,684 とうに父上は お亡くなりじゃ 369 00:43:06,684 --> 00:43:09,737 だからこそでございます 370 00:43:09,737 --> 00:43:13,291 先代様を お助けすることができなかった今 371 00:43:13,291 --> 00:43:17,628 せめて上様に 男子のお世継ぎが お生まれになるまでは 372 00:43:17,628 --> 00:43:19,964 この誓い 破れませぬ 373 00:43:19,964 --> 00:43:23,467 馬鹿者! わしが命じる 374 00:43:23,467 --> 00:43:26,287 薬を飲め 375 00:43:26,287 --> 00:43:29,307 薬を飲まずに死んだら 承知せぬぞ 376 00:43:29,307 --> 00:43:31,626 わしが斬って捨てるぞ 377 00:43:31,626 --> 00:43:33,626 よいか 378 00:43:34,662 --> 00:43:37,962 よいな? 春日! 379 00:43:53,297 --> 00:43:56,634 それでは あのお年まで ずっと薬断ちを? 380 00:43:56,634 --> 00:44:00,972 そうなのだ 何という頑固者であろうか 381 00:44:00,972 --> 00:44:02,972 あきれ果てるわ 382 00:44:06,627 --> 00:44:08,629 何じゃ 有功 383 00:44:08,629 --> 00:44:12,299 いえ 失礼つかまつりました 384 00:44:12,299 --> 00:44:15,970 何だ 申してみよ 385 00:44:15,970 --> 00:44:18,289 はい 386 00:44:18,289 --> 00:44:20,641 やはり 上様は 387 00:44:20,641 --> 00:44:24,628 春日局様が 大事であらせられるのだと 388 00:44:24,628 --> 00:44:29,228 まるで 母上様を ご案じなさるようでございます 389 00:44:34,622 --> 00:44:37,622 そうか 390 00:44:38,959 --> 00:44:41,278 そうだの 391 00:44:41,278 --> 00:44:44,878 不思議なものだ 392 00:44:46,617 --> 00:44:51,288 憎いと思ったこともあった 393 00:44:51,288 --> 00:44:56,888 母上と幼い わしを引き裂いたのも 春日であった 394 00:44:57,962 --> 00:45:01,615 そして 395 00:45:01,615 --> 00:45:07,615 そなたとの仲を裂こうとしたのも 春日であったに… 396 00:45:20,718 --> 00:45:24,955 今は どなたが 春日局様のそばに? 397 00:45:24,955 --> 00:45:29,627 乳母の矢島に命じたが あの高慢な乳母め 398 00:45:29,627 --> 00:45:33,631 千代姫の世話を盾に ずいぶんと駄々をこねた 399 00:45:33,631 --> 00:45:39,954 (せき込む春日) 400 00:45:39,954 --> 00:45:43,290 水… 401 00:45:43,290 --> 00:45:46,310 水がもう のうなった 402 00:45:46,310 --> 00:45:48,629 矢島! 403 00:45:48,629 --> 00:45:52,229 矢島はおらぬか 404 00:45:55,302 --> 00:45:58,305 まったく… 405 00:45:58,305 --> 00:46:01,308 また おらぬのか 406 00:46:01,308 --> 00:46:04,712 お持ちいたしました 407 00:46:04,712 --> 00:46:07,212 ただいま おつぎいたそう 408 00:46:08,282 --> 00:46:11,282 有功殿… 409 00:46:12,336 --> 00:46:14,972 起き上がってはなりませぬ 410 00:46:14,972 --> 00:46:19,272 (せき込む) 411 00:46:20,961 --> 00:46:23,561 さあ 412 00:46:38,729 --> 00:46:40,965 すみませぬ 413 00:46:40,965 --> 00:46:42,967 とはいえ 414 00:46:42,967 --> 00:46:45,619 なぜ あなた様が このような 415 00:46:45,619 --> 00:46:48,639 矢島殿は 手が離せぬ ご様子でしたので 416 00:46:48,639 --> 00:46:50,624 ふんッ 417 00:46:50,624 --> 00:46:53,627 どうせ 今頃 のんびりと 418 00:46:53,627 --> 00:46:57,927 縁側で菓子でも 食ろうておるのであろ 419 00:47:14,965 --> 00:47:17,965 まいりましょうか 420 00:47:19,620 --> 00:47:21,972 失礼 なッ 何を!? 421 00:47:21,972 --> 00:47:24,625 何をする! 厠でございましょう 422 00:47:24,625 --> 00:47:27,628 どうぞ お静かに 私が お連れいたしたほうが 423 00:47:27,628 --> 00:47:31,048 早うございましょう 起きるのも つらそうなご様子 424 00:47:31,048 --> 00:47:34,285 分かりましたぞ あなた様らしい やり方じゃ 425 00:47:34,285 --> 00:47:37,655 そうやって 私に恥をかかせようという 426 00:47:37,655 --> 00:47:40,191 そういう腹づもりなのじゃな 427 00:47:40,191 --> 00:47:42,726 そう思われるなら ご自由に 428 00:47:42,726 --> 00:47:45,629 ただ 人は皆 老いるもの 429 00:47:45,629 --> 00:47:47,631 私も いつか年を取り 430 00:47:47,631 --> 00:47:50,634 誰かの助けを借り 用を足すのです 431 00:47:50,634 --> 00:47:55,634 その巡り合わせに 恥も何もないと思うております 432 00:47:56,624 --> 00:47:58,626 もちろん お嫌なら 433 00:47:58,626 --> 00:48:02,626 今すぐ 矢島殿を お呼びすることもできますが 434 00:48:06,300 --> 00:48:10,300 ふんッ どっちもどっちだわ 435 00:48:57,968 --> 00:49:00,621 お水でございますか? 436 00:49:00,621 --> 00:49:03,307 毎日 こちらへ来ずとも 437 00:49:03,307 --> 00:49:05,292 結構ですのに 438 00:49:05,292 --> 00:49:07,962 写経は どこででもできますゆえ 439 00:49:07,962 --> 00:49:10,562 こちらでしているまでのこと 440 00:49:16,320 --> 00:49:18,956 有功殿… 441 00:49:18,956 --> 00:49:21,625 ≪(村瀬)有功様!→ 442 00:49:21,625 --> 00:49:23,925 有功様ッ! 443 00:49:24,962 --> 00:49:27,262 正資か? 444 00:49:28,632 --> 00:49:32,632 赤面疱瘡です 有功様 445 00:49:34,955 --> 00:49:39,293 捨蔵 いえ お楽様のために雇った 若い部屋子が 446 00:49:39,293 --> 00:49:41,795 まず二人 やられました 447 00:49:41,795 --> 00:49:44,331 それから お楽様ご自身も! 448 00:49:44,331 --> 00:49:47,634 お楽様まで? 赤面疱瘡は 449 00:49:47,634 --> 00:49:51,638 せいぜい十六~十七までの男が かかるものではないのか!? 450 00:49:51,638 --> 00:49:56,638 まれに成人した男子でも かかることはございます 451 00:49:58,045 --> 00:50:01,298 先代・家光公は 452 00:50:01,298 --> 00:50:07,598 御年 三十一歳で おかかりあそばし 亡くなられた 453 00:50:08,706 --> 00:50:12,626 正資 とにかく お楽様と その部屋子達を 454 00:50:12,626 --> 00:50:14,628 大奥の他の男達 455 00:50:14,628 --> 00:50:17,965 特に お夏様と お玉様から すぐに遠ざけるのだ! 456 00:50:17,965 --> 00:50:19,965 ですが どこへ? 457 00:50:27,624 --> 00:50:29,643 こちらへ! 458 00:50:29,643 --> 00:50:33,297 この春日局様のお部屋の次の間に えッ? 459 00:50:33,297 --> 00:50:36,300 私も その三人と同じ部屋で 寝泊まりをするぞ 460 00:50:36,300 --> 00:50:38,952 有功様! 万が一のことがあるゆえ 461 00:50:38,952 --> 00:50:41,955 正資も今後は この部屋に 一切 近づいてはならぬ 462 00:50:41,955 --> 00:50:44,975 食事など 必要なものは 女の矢島に持ってきていただく 463 00:50:44,975 --> 00:50:46,960 よいな しかし 464 00:50:46,960 --> 00:50:49,129 有功様 自らが ご看病など 465 00:50:49,129 --> 00:50:51,632 上様が お許しにはなりますまい 466 00:50:51,632 --> 00:50:55,786 上様には 私は たちの悪い 風邪にでもかかったと言っておけ 467 00:50:55,786 --> 00:50:58,789 私は この大奥では とうに いらぬ男だ 468 00:50:58,789 --> 00:51:01,889 赤面疱瘡で 死んだとて 何の不都合がある 469 00:51:04,645 --> 00:51:06,680 さて 470 00:51:06,680 --> 00:51:11,980 春日局様 お許しは いただけますでしょうか 471 00:51:14,638 --> 00:51:18,638 何の異存がありましょう 472 00:51:19,626 --> 00:51:22,996 この死にかけの ばばの部屋が 473 00:51:22,996 --> 00:51:26,996 かように役に立つなら 474 00:51:29,953 --> 00:51:34,253 どうぞ 良きように 475 00:52:05,622 --> 00:52:14,622 (苦しげな息) 476 00:52:15,616 --> 00:52:18,616 正則…