1 00:00:12,613 --> 00:00:17,618 定吉 定吉! きばれ。 2 00:00:19,286 --> 00:00:21,622 <赤面疱瘡。➡ 3 00:00:21,622 --> 00:00:30,964 高熱を発し 全身に赤い発疹を生じたのち 数日で死に至る恐ろしい病である。➡ 4 00:00:30,964 --> 00:00:36,303 しかも 罹患するのは いかなるわけか 若い男子だけ。➡ 5 00:00:36,303 --> 00:00:40,641 いつごろからか はやりだし 定着した この疫病のせいで➡ 6 00:00:40,641 --> 00:00:46,346 この国の男は 女の4分の1しか おらぬようになった> 7 00:00:51,285 --> 00:00:57,658 <その極めて偏った男女の数のありようは 労働も子育ても➡ 8 00:00:57,658 --> 00:01:01,528 全て 女の手に委ねられる世を つくり出し➡ 9 00:01:01,528 --> 00:01:05,265 男たちは ただただ生き長らえること➡ 10 00:01:05,265 --> 00:01:10,137 そして 種を付けることだけを 望まれる存在となった。➡ 11 00:01:10,137 --> 00:01:16,877 そのような世の頂点に立つ将軍も もちろん女。➡ 12 00:01:16,877 --> 00:01:21,815 そして 将軍の世継ぎを 生み育てる場であった大奥は➡ 13 00:01:21,815 --> 00:01:25,819 美男3,000人が仕える場となった> 14 00:01:28,488 --> 00:01:35,262 <これは その大奥の 闇に葬り去られた まことの姿> 15 00:01:35,262 --> 00:01:44,571 ♬~ 16 00:01:51,845 --> 00:01:57,150 <時は 七代将軍 家継公が御世> 17 00:02:07,594 --> 00:02:11,598 (信)行ってまいります。 ⚟行ってらっしゃいませ。 18 00:02:26,279 --> 00:02:46,299 ♬~ 19 00:02:46,299 --> 00:02:48,301 もう一本! 20 00:02:51,972 --> 00:02:56,843 うん… うん! 21 00:02:56,843 --> 00:02:59,312 悪いなぁ。 いつも差し入れてもらって。 22 00:02:59,312 --> 00:03:01,915 いえいえ。 男子は世の宝。 23 00:03:01,915 --> 00:03:05,218 食わせるのは女の役目でございますから。 24 00:03:13,260 --> 00:03:21,134 ねぇ この間 破れ長屋の女たちに 旦那が種付けして回ったって本当? 25 00:03:21,134 --> 00:03:23,904 何でぇ。 耳が早えな。 26 00:03:23,904 --> 00:03:28,275 旦那くらいよ。 今どき お代ももらわず 種付けして回るなんて。 27 00:03:28,275 --> 00:03:31,178 岡場所で子種付けてもらう 金もねえ人たちだ。 28 00:03:31,178 --> 00:03:33,613 金なんか もらえるかよ。 29 00:03:33,613 --> 00:03:38,618 いくらだって出すっていう 金持ち女とは寝ないくせに。 30 00:03:41,955 --> 00:03:44,858 お武家様の意地ですか。 31 00:03:44,858 --> 00:03:50,163 俺は別に金で買われてるわけじゃない これは人助けだって。 32 00:03:52,599 --> 00:03:58,305 でも お前なら買われたって構わねえぜ。 33 00:04:00,440 --> 00:04:03,443 田嶋屋のお信様。 34 00:04:08,915 --> 00:04:11,251 そんなことしたら おとっつあんも おっかさんも➡ 35 00:04:11,251 --> 00:04:14,588 泡吹いて倒れるわ! 36 00:04:14,588 --> 00:04:16,523 ハハハハハッ…。 37 00:04:16,523 --> 00:04:18,458 そりゃそうだ。 38 00:04:18,458 --> 00:04:22,462 田嶋屋のお嬢が 貧乏旗本の息子に 手ぇ出しちまうなんてなぁ。 39 00:04:22,462 --> 00:04:25,465 ハハッ ハハッ。 40 00:04:37,811 --> 00:04:41,815 そういや また縁談断ったって本当か? 41 00:04:41,815 --> 00:04:45,285 あら そっちこそ お耳が早い。 42 00:04:45,285 --> 00:04:50,157 羽振りもよけりゃ 男ぶりもいい。 油問屋の息子だって聞いたぜ。 43 00:04:50,157 --> 00:04:55,629 いい男だったんだけどさ 目がね。 私の好みじゃなかったのよね。 44 00:04:55,629 --> 00:04:59,299 そんな贅沢言ってると そのうち 話も来なくなるぞ。 45 00:04:59,299 --> 00:05:03,170 ご心配頂かずとも すぐにでも婿取りしますよ。 46 00:05:03,170 --> 00:05:06,473 コレって男さえ出てきてくれりゃ。 47 00:05:16,249 --> 00:05:18,552 では また。 48 00:05:25,258 --> 00:05:29,596 ただいま戻りました。 (水野の母)ああ 祐之進。 49 00:05:29,596 --> 00:05:31,531 どうでした 米の値。 50 00:05:31,531 --> 00:05:36,937 ため息しか出ませんよ。 買いたたかれるばかりで。 51 00:05:36,937 --> 00:05:40,807 傘張りも始めなさるので? 皆しておることです。 52 00:05:40,807 --> 00:05:44,611 お扶持だけでは やってはいけませぬからね。 53 00:05:44,611 --> 00:05:46,913 母上。 54 00:05:48,481 --> 00:05:51,484 考えておることがございまして。 55 00:05:51,484 --> 00:06:15,575 ♬~ 56 00:06:15,575 --> 00:06:20,247 旦那! 水野の旦那! 57 00:06:20,247 --> 00:06:24,551 おー! よ! 田嶋屋のお嬢! 58 00:06:29,256 --> 00:06:35,595 旦那。 大奥に上がるって本当!? 59 00:06:35,595 --> 00:06:37,931 相変わらず 耳が早いな。 60 00:06:37,931 --> 00:06:41,601 ところで どうだ? この頭。 似合ってるか。 61 00:06:41,601 --> 00:06:44,504 似合ってない! 62 00:06:44,504 --> 00:06:49,276 月代も大奥も まったく似合ってない! 63 00:06:49,276 --> 00:06:54,614 そもそも 旦那みたいな人が 大奥で うまくやってけるわけないわよ! 64 00:06:54,614 --> 00:06:58,952 そうかなぁ。 俺 案外 出世する気がしてんだけど。 65 00:06:58,952 --> 00:07:02,822 日の本中から えりすぐりのいい男が 集められてんのよ! 66 00:07:02,822 --> 00:07:05,558 家柄も お金も 学もある! 67 00:07:05,558 --> 00:07:07,894 そいつらが上様のご寵愛を得ようと➡ 68 00:07:07,894 --> 00:07:10,797 金魚みたいに着飾って ベタついた戦い 繰り広げてんのよ! 69 00:07:10,797 --> 00:07:14,567 旦那みたいなお人よしの剣術狂い お呼びじゃないに決まってるじゃない! 70 00:07:14,567 --> 00:07:19,239 そう言われても 伯母上に無理言って 算段つけてもらった話だしなぁ。 71 00:07:19,239 --> 00:07:23,109 体を壊したとか何とか 言い訳なんていくらでも。 72 00:07:23,109 --> 00:07:25,111 大奥に入ったら最後➡ 73 00:07:25,111 --> 00:07:27,580 死ぬまで戻ってなんて来られない っていうじゃない! 74 00:07:27,580 --> 00:07:32,252 でも 出世したら 表のご老中並みの俸禄で 遊んで暮らせるって話だぜ。 75 00:07:32,252 --> 00:07:36,589 そんなお方は一握り!➡ 76 00:07:36,589 --> 00:07:41,261 やめときなさいよ 旦那。➡ 77 00:07:41,261 --> 00:07:45,966 柄じゃないわよ。 大奥なんて。 78 00:07:47,934 --> 00:07:50,236 ね。 79 00:07:54,808 --> 00:08:00,880 でもよ 俺ぁ こんなところで 朽ち果てるなんて ごめんなんだよ。 80 00:08:00,880 --> 00:08:02,816 は? 81 00:08:02,816 --> 00:08:05,552 戦もねえ 仕事もねえ。 82 00:08:05,552 --> 00:08:10,890 当節武家の男が出世をしようと思えば 大奥しかねえ。 83 00:08:10,890 --> 00:08:15,762 上様とお子をなし 将軍の父となる。 84 00:08:15,762 --> 00:08:18,765 俺は そんな望みも持っちゃいけねえのか。 85 00:08:23,903 --> 00:08:26,206 考えたことなかったか? 86 00:08:30,777 --> 00:08:33,480 ヘタな嘘ついてんじゃないわよ! 87 00:08:56,603 --> 00:09:03,610 じゃ 達者でな。 幼なじみどの。 88 00:09:09,883 --> 00:09:15,221 旦那がいなくなったって私 婿なんて取らないから。➡ 89 00:09:15,221 --> 00:09:19,092 私は 好みの男が現れないから 一緒にならないだけで➡ 90 00:09:19,092 --> 00:09:24,230 それは 旦那にゃ これっぽっちも 関わりないことなんですからね! 91 00:09:24,230 --> 00:09:29,569 幸せんなれよー! お信! 92 00:09:29,569 --> 00:09:32,872 尼寺 入っちゃうからねー! 93 00:09:35,241 --> 00:09:40,947 (泣き声) 94 00:09:49,589 --> 00:09:55,462 本日から大奥にご奉公つかまつります 水野祐之進にございます! 95 00:09:55,462 --> 00:09:58,164 (松島)面を上げよ。 96 00:10:00,233 --> 00:10:04,137 そちの伯母 三雲より 子細承っておる。 97 00:10:04,137 --> 00:10:09,142 では まず こちらを。 98 00:10:15,281 --> 00:10:20,153 大奥で見聞きしたる いかなることも 親兄弟はもとより➡ 99 00:10:20,153 --> 00:10:23,156 一切口外いたすまじきこと。 100 00:10:23,156 --> 00:10:28,294 たとえ 勤めを終えることがあっても ここでのことを他言すれば➡ 101 00:10:28,294 --> 00:10:34,634 首が飛ぶということだ。 一族にも累が及ぶ。 102 00:10:34,634 --> 00:10:36,636 一族。 103 00:10:40,306 --> 00:10:46,012 そこに名と血判を。 はい。 104 00:11:15,942 --> 00:11:18,611 本当に男だらけですね。 105 00:11:18,611 --> 00:11:23,283 ちまたでは 大奥3,000人などと いわれておるようだが➡ 106 00:11:23,283 --> 00:11:26,186 まことのところは 800名そこそこ。 107 00:11:26,186 --> 00:11:30,189 その者たちは 大きく2つに分かれる。 108 00:11:31,958 --> 00:11:34,294 あ…。 109 00:11:34,294 --> 00:11:38,164 上様にお目通りを許される 御目見以上➡ 110 00:11:38,164 --> 00:11:40,633 お目にかかれぬ御目見以下。 111 00:11:40,633 --> 00:11:42,569 御目見以上と御目見以下。 112 00:11:42,569 --> 00:11:48,508 おおまかには 御目見以上というのは じかに上様にお仕えする者たち➡ 113 00:11:48,508 --> 00:11:56,649 御目見以下というのは その者たちの 世話をする下働きと捉えればよい。➡ 114 00:11:56,649 --> 00:11:59,319 例えば こちらの呉服の間。 115 00:11:59,319 --> 00:12:03,022 大奥中の衣服を仕立てるのが役目。 116 00:12:04,591 --> 00:12:08,595 (松島)この者たちは 御目見以下。 117 00:12:12,265 --> 00:12:14,601 まきを割っておるものは。 118 00:12:14,601 --> 00:12:16,536 御目見以下! さよう。 119 00:12:16,536 --> 00:12:21,941 その中でも 御半下というて 最下位の下男じゃ。 120 00:12:21,941 --> 00:12:26,279 俺は どんな働きをするんで? 121 00:12:26,279 --> 00:12:30,149 せめて私と言え。 122 00:12:30,149 --> 00:12:32,952 私は どのような働きを。 123 00:12:32,952 --> 00:12:36,289 そなたが入るのは お三の間じゃ。 お三の間。 124 00:12:36,289 --> 00:12:42,161 御目見以下の中では最も位の高い間で 旗本の子息しかつくことのできぬ。 125 00:12:42,161 --> 00:12:46,866 いわば 奥づかえの振り出しじゃ。 126 00:12:58,311 --> 00:13:06,019 ここじゃ。 では せいぜい励めよ。 127 00:13:16,796 --> 00:13:22,935 ここが お三の間…。 よし。 128 00:13:22,935 --> 00:13:25,605 (大声で)おたのもーす! 129 00:13:25,605 --> 00:13:31,477 お三の間 新参者の水野でござる! 何とぞ よしなに! 130 00:13:31,477 --> 00:13:35,948 (笑い声) 131 00:13:35,948 --> 00:13:38,618 何か? 132 00:13:38,618 --> 00:13:41,621 (副島)おい 新入り。 133 00:13:47,960 --> 00:13:49,896 脚を見せてみよ。 134 00:13:49,896 --> 00:13:52,899 脚ですか? 135 00:13:56,636 --> 00:14:02,241 これはいかん! すねの毛は全て そり落とさねばいかんぞ。 136 00:14:02,241 --> 00:14:04,177 すねの毛を!? 137 00:14:04,177 --> 00:14:09,916 当代の上様は 御年7歳。 毛深いのを怖がられてのう。 138 00:14:09,916 --> 00:14:15,254 ゆえに すねの毛は全て そり落とす決まりとなったのじゃ。 139 00:14:15,254 --> 00:14:18,925 さすが大奥。 さようなところまで心遣いを。 140 00:14:18,925 --> 00:14:25,264 そうじゃ。 では これで そり落としてみよ。 141 00:14:25,264 --> 00:14:28,167 え… 今 ここでにございますか? 142 00:14:28,167 --> 00:14:33,606 そうじゃ。 まことにそり落としたかどうか 確かめねばならぬからのう。 143 00:14:33,606 --> 00:14:39,479 なるほど。 では 失礼いたす。 144 00:14:39,479 --> 00:14:44,617 (杉下)やめておけ。 そなた 担がれておるのじゃ。➡ 145 00:14:44,617 --> 00:14:50,623 ここでは すねをそってる者など 誰もおらぬ。 146 00:14:52,959 --> 00:14:57,630 (副島)すぐに種明かししては 面白うなかろう。 杉下。 147 00:14:57,630 --> 00:15:04,237 (笑い声) 148 00:15:04,237 --> 00:15:08,107 すまぬすまぬ。 そなたのような ウブな田舎者をからかうのは➡ 149 00:15:08,107 --> 00:15:13,579 面白うてのう。 田舎者? 150 00:15:13,579 --> 00:15:19,452 しかし そなた 何じゃ そのどぶねずみ色の着物は! 151 00:15:19,452 --> 00:15:24,924 手元不如意なのは分かるが もう少し どうにかならなかったのか? 152 00:15:24,924 --> 00:15:27,827 それに この頭! 153 00:15:27,827 --> 00:15:33,599 張り切って 月代なぞ。 (笑い声) 154 00:15:33,599 --> 00:15:36,269 ここは大奥ぞ。 155 00:15:36,269 --> 00:15:41,607 おい 何ぬかしやがんでい! このオカチメンコ! 156 00:15:41,607 --> 00:15:43,943 お? 月代ってのはなぁ! 157 00:15:43,943 --> 00:15:47,613 その昔 男たちが戦場で のぼせ上がんねえように➡ 158 00:15:47,613 --> 00:15:49,549 髪をそったとこから始まってんだ! 159 00:15:49,549 --> 00:15:53,486 言ってみりゃ 侍の覚悟の証しなんだよ! 160 00:15:53,486 --> 00:15:57,290 いい年して 若衆髷結ってる方が よっぽど薄気味悪いぜ! 161 00:15:57,290 --> 00:16:01,561 大体 若衆って面か! え! 鏡 貸してやろか!? 162 00:16:01,561 --> 00:16:05,431 貴様。 それにな 着物は確かに上等じゃあねえが➡ 163 00:16:05,431 --> 00:16:09,435 茶ねずは 江戸っ子が今 争って着る粋な色だぜ! 164 00:16:09,435 --> 00:16:13,172 田舎モンは どっちだって話だい! この野暮天が! 165 00:16:13,172 --> 00:16:16,576 許さぬ。 許さぬぞ! お前! 166 00:16:16,576 --> 00:16:20,246 おう どう許さねえってんだ。 おい。 おい。 167 00:16:20,246 --> 00:16:22,181 いてっ。 168 00:16:22,181 --> 00:16:25,918 大奥では一切の私闘を禁ず。 禁を犯せば 罰される。 169 00:16:25,918 --> 00:16:28,588 覚えておけ 水野。 170 00:16:28,588 --> 00:16:34,594 副島! そなたも もちろん存じておろうな。 171 00:16:41,601 --> 00:16:47,940 私は お三の間10年の古参 杉下と申す。➡ 172 00:16:47,940 --> 00:16:50,943 しばらくは 私についてまいれ。 173 00:16:53,279 --> 00:16:55,615 この色 ガキくせえんだけど。 174 00:16:55,615 --> 00:16:58,951 (杉下) お三の間の者は これを着るのが決まりだ。 175 00:16:58,951 --> 00:17:02,221 どこまで行くんですか? 御目見以上の方々のお部屋だ。 176 00:17:02,221 --> 00:17:06,092 そのお部屋の掃除や身の回りのお世話や くみ水運び➡ 177 00:17:06,092 --> 00:17:10,096 その一切の雑用が我らの仕事だ。 178 00:17:18,237 --> 00:17:21,240 音一つしねえ。 179 00:17:27,914 --> 00:17:30,216 はええ! 180 00:17:35,788 --> 00:17:42,929 お火の~番! 181 00:17:42,929 --> 00:17:52,939 あい廻りまする~! 182 00:18:20,766 --> 00:18:39,118 ♬~ 183 00:18:39,118 --> 00:18:44,824 まこと見目だけは極上じゃのう。 184 00:18:49,595 --> 00:18:52,598 何をされるか分からぬか。 185 00:18:54,934 --> 00:19:02,241 お前の尻の穴に丁子油を塗り 女の代わりにするのよ。 186 00:19:07,213 --> 00:19:12,084 驚いたか。 そうであろうのう。 外の世界は 女だらけ。 187 00:19:12,084 --> 00:19:15,888 男と寝るなどとは 考えることもなかろうが。 188 00:19:15,888 --> 00:19:19,225 お…! 189 00:19:19,225 --> 00:19:21,927 己 やりやがったな! 190 00:19:24,096 --> 00:19:27,900 そなた 刃傷沙汰は御法度! 切腹ものぞ! 191 00:19:27,900 --> 00:19:32,238 うるせえ! それなら道連れだ! 192 00:19:32,238 --> 00:19:38,110 お前ら全員 たたっ斬った上で 腹かっさばいてやらぁ! 193 00:19:38,110 --> 00:19:40,813 ⚟何事だ~! 194 00:20:00,266 --> 00:20:04,937 (藤波)昨夜 お三の間で 恒例の新入り騒ぎがあったらしい。➡ 195 00:20:04,937 --> 00:20:10,609 腹を蹴られ あざを作ったもの 歯を折ったものも出たようじゃ。 196 00:20:10,609 --> 00:20:15,281 その新参というのは 熊のような男なのか。 197 00:20:15,281 --> 00:20:17,216 (柏木)ご興味が? 198 00:20:17,216 --> 00:20:22,221 何じゃ? 気になるのか 柏木。 199 00:20:24,623 --> 00:20:27,960 ⚟(松島)藤波様。 少しよろしうございますか? 200 00:20:27,960 --> 00:20:30,262 入れ。 201 00:20:35,835 --> 00:20:39,305 藤波様。 ただいま中奥に➡ 202 00:20:39,305 --> 00:20:43,642 お匙が常にはないほどの数出入りしておる という知らせが参りました。 203 00:20:43,642 --> 00:20:47,513 中奥。 では! 204 00:20:47,513 --> 00:20:49,515 上様が。 205 00:20:49,515 --> 00:20:54,653 (松島)こたびは 長患いとなっておる というお話でしたし。 206 00:20:54,653 --> 00:21:00,259 (柏木)御跡を継ぐのは 尾張となるか紀伊となるか。 207 00:21:00,259 --> 00:21:04,597 いずれにせよ 次の上様はご成人。 208 00:21:04,597 --> 00:21:10,302 大奥も 久方ぶりに活気づくことになろうかの…。 209 00:21:13,939 --> 00:21:17,276 (杉下)ここには 女は上様お一人。➡ 210 00:21:17,276 --> 00:21:20,179 寵を得られるのは そもそも ほんの一握り。 211 00:21:20,179 --> 00:21:24,617 一歩 城の外に出りゃ 子種が手に入らず困ってる女で➡ 212 00:21:24,617 --> 00:21:27,286 あふれかえってるってのにさ。 213 00:21:27,286 --> 00:21:30,189 なんてぇ贅沢な話だって。 214 00:21:30,189 --> 00:21:36,962 使わぬ種を囲い込む この贅沢こそ 上様のご威光ということだ。 215 00:21:36,962 --> 00:21:40,666 我らは 金魚ということですか。 216 00:21:42,835 --> 00:21:49,975 ただ眺めるためだけに 金魚鉢の中で飼われてる。 217 00:21:49,975 --> 00:21:54,847 そなた なぜ ここへ。 218 00:21:54,847 --> 00:21:58,851 お世継ぎの父となるという 野望を抱いてか? 219 00:22:01,253 --> 00:22:04,590 俺 幼なじみがいるんですよ。 220 00:22:04,590 --> 00:22:08,460 これが 誰でも知ってるような大店の娘で。 221 00:22:08,460 --> 00:22:11,463 口は悪いが 気風はいい。 222 00:22:11,463 --> 00:22:15,935 握り飯作るのがうまい とびきりいい女でね。 223 00:22:15,935 --> 00:22:21,607 ところが こいつが 俺がいると いつまでも婿を取らねえ。 224 00:22:21,607 --> 00:22:26,478 (杉下)だが 武家が商家に 婿入りするわけにもいかぬという話か。 225 00:22:26,478 --> 00:22:31,617 おまけに 母も姉も俺に甘くて。 226 00:22:31,617 --> 00:22:33,552 暮らしは追いつかねえ➡ 227 00:22:33,552 --> 00:22:36,288 姉が婿を取るための結納金も ためられねえ。 228 00:22:36,288 --> 00:22:41,961 なのに 今どき 道楽でしかねえ 道場通いもさせてくれるんで。 229 00:22:41,961 --> 00:22:44,863 俺は みんなの前からいなくなる。 230 00:22:44,863 --> 00:22:49,301 で 代わりに 仕送りが 入ってくるようになるってのがね。 231 00:22:49,301 --> 00:22:53,172 周りの女を幸せにするために ここに来たと。 232 00:22:53,172 --> 00:22:56,976 そのつもりだったんですけど…。 233 00:22:56,976 --> 00:23:00,579 ⚟気に入った! 234 00:23:00,579 --> 00:23:06,252 なんという見上げた心がけか。 今どき かような若者がおるとはな。 235 00:23:06,252 --> 00:23:10,122 大奥総取締の藤波様だ。 え…。 236 00:23:10,122 --> 00:23:14,426 よいよい 両人とも面を上げ。 237 00:23:19,798 --> 00:23:27,273 濁りのない よい目をしておるな。 そなたが噂の水野とやらか。 238 00:23:27,273 --> 00:23:29,208 噂 とは。 239 00:23:29,208 --> 00:23:35,614 お三の間で大立ち回りを演じたと。 やっとうも相当やっておったそうじゃな。 240 00:23:35,614 --> 00:23:39,485 不心得にて申し訳ございませぬ! 今後 二度と。 241 00:23:39,485 --> 00:23:45,958 まぁ そのうち 相手を頼むかもしれぬゆえ その時は お手柔らかにの。 242 00:23:45,958 --> 00:23:47,960 はい! 243 00:23:54,967 --> 00:23:58,637 藤波様も お好きなんですかねえ。 244 00:23:58,637 --> 00:24:03,909 何の相手かは分からぬぞ。 え! 245 00:24:03,909 --> 00:24:08,914 別のお相手かもしれん。ええっ! 246 00:24:28,133 --> 00:24:31,136 (いななき) 247 00:24:35,607 --> 00:24:39,278 (久通)殿~! 殿~! 248 00:24:39,278 --> 00:24:42,181 (吉宗)はっ! (久通)知らせが参りました!➡ 249 00:24:42,181 --> 00:24:49,288 徳川将軍! 吉宗公の誕生にございます! 殿~! 250 00:24:49,288 --> 00:24:51,290 はっ! 251 00:24:52,958 --> 00:24:55,961 (いななき) 252 00:24:58,297 --> 00:25:01,567 コレでは お目に留まらぬ! 253 00:25:01,567 --> 00:25:05,437 とにかく派手に 豪華絢爛に仕立てるのじゃ! はっ。 254 00:25:05,437 --> 00:25:07,906 力士の絵をあしらうのでございますか!? 255 00:25:07,906 --> 00:25:10,809 どうやら 相撲が ご趣味であられるらしうての。 256 00:25:10,809 --> 00:25:13,245 蜜柑色をうまく使いたいのじゃ! 257 00:25:13,245 --> 00:25:18,117 蜜柑で紀州家を立て直した お方じゃからの!はっ。 258 00:25:18,117 --> 00:25:21,587 「総触れ」とやらのための裃づくりですか。 259 00:25:21,587 --> 00:25:28,260 そうだ。 ここに ずらーっと御中臈が並んでの。➡ 260 00:25:28,260 --> 00:25:34,600 向こうからやって来る上様をお迎えし そこで夜伽の相手を選ばれるのじゃ。 261 00:25:34,600 --> 00:25:40,272 はぁ。 それで皆様 お気に入られるように 趣向を凝らしてるということですか。 262 00:25:40,272 --> 00:25:43,942 そういうことじゃ。 263 00:25:43,942 --> 00:25:49,615 どんなお方なんでしょうねぇ。 新しい上様は。 264 00:25:49,615 --> 00:25:55,487 武芸や相撲を好まれる 豪快で勇ましい大女。 265 00:25:55,487 --> 00:25:58,624 さまざまなお噂が流れておるが…。 266 00:25:58,624 --> 00:26:01,894 コレだけは間違いないであろうと 感じるのは➡ 267 00:26:01,894 --> 00:26:05,764 筋金入りの「ケチ」だということじゃ。 ケチ? 268 00:26:05,764 --> 00:26:09,768 自らのお代替わりにもかかわらず➡ 269 00:26:09,768 --> 00:26:14,473 畳も替えられぬお方ということであろう。 確かに。 270 00:26:24,917 --> 00:26:27,586 (間部)いかがでしょう 上様。➡ 271 00:26:27,586 --> 00:26:36,261 黒の練貫地に 松竹梅の紋様を縫い取った お掻取でございます。 272 00:26:36,261 --> 00:26:38,931 財政ひっ迫の折➡ 273 00:26:38,931 --> 00:26:42,601 贅を尽くしたものは不要と 伝えたはずじゃが。 274 00:26:42,601 --> 00:26:45,270 (間部)恐れながら これ以上質素になさっては➡ 275 00:26:45,270 --> 00:26:48,941 上様のご威光に関わるかと存じます。 276 00:26:48,941 --> 00:26:52,244 ここは紀州の田舎では ございませぬゆえ。 277 00:26:54,613 --> 00:26:57,516 あい分かった。 ならば致し方あるまい。 278 00:26:57,516 --> 00:27:01,420 お分かり頂き ありがたく存じます。 279 00:27:01,420 --> 00:27:05,557 本日限りで そなたには暇をとらす。 280 00:27:05,557 --> 00:27:08,894 は!? (吉宗)幕府未曽有の財政難儀の折➡ 281 00:27:08,894 --> 00:27:12,764 さような理で かような金の使い方をする人間は➡ 282 00:27:12,764 --> 00:27:15,234 私には理解しかねる。 283 00:27:15,234 --> 00:27:20,105 理解しかねる者と共に政を進めるなど 私にはできかねる。 284 00:27:20,105 --> 00:27:22,908 お… 恐れながら 上様。 聞こえなんだか? 285 00:27:22,908 --> 00:27:26,912 下がりゃ! は… ははぁ。 286 00:27:40,926 --> 00:27:45,597 初手から うまくおやりになりましたね 信様。 287 00:27:45,597 --> 00:27:49,468 もとい 上様。 288 00:27:49,468 --> 00:27:52,938 渡りに船 渡りにかいとりじゃ。 289 00:27:52,938 --> 00:27:57,809 なれど 今度はどのように。 側用人がいなければ 何かとご不便では。 290 00:27:57,809 --> 00:28:04,883 今後は名を「御用取次」と改め その者を事実上の側用人とする。 291 00:28:04,883 --> 00:28:11,223 私の名代として 表の老中たちとも 大奥とも渡り合ってもらう。 292 00:28:11,223 --> 00:28:15,561 それは大変なお役目で。 (吉宗)何を笑うておる。➡ 293 00:28:15,561 --> 00:28:18,463 そなたがやるのじゃぞ 久通。 294 00:28:18,463 --> 00:28:23,235 わ… 私が!? ただし 禄は低いぞ。 295 00:28:23,235 --> 00:28:26,905 私が 渡り合うのでございますか。 296 00:28:26,905 --> 00:28:31,577 (吉宗)不安か? いささか。 297 00:28:31,577 --> 00:28:36,915 この国の行く末を思うて進めばよい。 298 00:28:36,915 --> 00:28:40,619 では 頼んだぞ。 299 00:28:46,258 --> 00:28:50,596 上様! どちらへ。 このあと 大奥総取締 藤波様とお約束が。 300 00:28:50,596 --> 00:28:54,933 案ずるな。 かわやじゃ。 すぐ戻る。 301 00:28:54,933 --> 00:29:00,539 (藤波)上様には急ぎの用が入られた。 (久通)ええ 藤波様。 302 00:29:00,539 --> 00:29:03,442 では せめて見込みで。 303 00:29:03,442 --> 00:29:08,213 初の大奥へのお渡りは いつごろになりそうにございますかな。 304 00:29:08,213 --> 00:29:10,882 (久通)後ほど こちらから お伝え申し上げますゆえ。➡ 305 00:29:10,882 --> 00:29:13,218 お言葉をお待ち頂きたく。 加納殿。 306 00:29:13,218 --> 00:29:16,888 はい。 そもそもいらして既に10日! 307 00:29:16,888 --> 00:29:21,560 その間一度も お顔見せがない! それすら 前代未聞なのですぞ! 308 00:29:21,560 --> 00:29:23,895 上様には 一体 何をお考えか! 309 00:29:23,895 --> 00:29:29,768 それは もちろん この国の行く末にございます。 310 00:29:29,768 --> 00:29:38,243 なるほど。 大奥は この国の行く末には関わりがないと。 311 00:29:38,243 --> 00:29:40,912 めっそうもないことにございます。 312 00:29:40,912 --> 00:29:45,784 藤波様には ぜひ この国の行く末を担う お世継ぎの父となるにふさわしい➡ 313 00:29:45,784 --> 00:29:49,254 殿御をご差配頂ければと存じます。 314 00:29:49,254 --> 00:29:54,126 ♬~ 315 00:29:54,126 --> 00:29:58,930 紀州生まれの公方様 ご入城だあ!➡ 316 00:29:58,930 --> 00:30:03,268 この公方様 日ごと日ごとに 若え男に囲まれ➡ 317 00:30:03,268 --> 00:30:07,939 大奥では 蝶よ花よと贅沢三昧。 318 00:30:07,939 --> 00:30:26,625 ♬~ 319 00:30:26,625 --> 00:30:30,295 (久通) 上様 もうお昼どきにございますよ。 320 00:30:30,295 --> 00:30:35,167 お着替えになられては。 (吉宗)やることが多くてのう。➡ 321 00:30:35,167 --> 00:30:39,638 それに 表に来るのは 女ばかりであるしな。 322 00:30:39,638 --> 00:30:43,975 いかがでした? 江戸の町の厠は。 323 00:30:43,975 --> 00:30:48,980 気付いておったか。 お仕えして長うございますゆえ。 324 00:30:50,849 --> 00:30:52,984 とにかく景気がようない。➡ 325 00:30:52,984 --> 00:30:57,322 米の値は下がり 代わって 物の値は上がる一方。➡ 326 00:30:57,322 --> 00:31:01,193 武家の暮らしは立ち行かず 職人は仕事にあぶれ。➡ 327 00:31:01,193 --> 00:31:04,596 羽振りがよいのは 大店の商人ばかり。➡ 328 00:31:04,596 --> 00:31:08,266 にもかかわらず お城では贅沢三昧と➡ 329 00:31:08,266 --> 00:31:11,937 公儀には なかなか厳しい目が向けられておる。 330 00:31:11,937 --> 00:31:16,241 それは なんとかせねばなりませぬね。 うむ…。 331 00:31:17,809 --> 00:31:21,279 ところで 藤波はいかがであった? 332 00:31:21,279 --> 00:31:27,619 はい。 我らを軽んじておるのかと お顔に書かれておりました。 333 00:31:27,619 --> 00:31:31,289 軽んじておるつもりはないのじゃがの。 334 00:31:31,289 --> 00:31:35,627 まぁ 一度見てからにするか。 335 00:31:35,627 --> 00:31:39,297 10日後に渡ると知らせてくれ。 336 00:31:39,297 --> 00:31:43,969 それがしを 御中臈にございますか!? 337 00:31:43,969 --> 00:31:49,674 そうじゃ。 あの 何故 いきなり それがしに。 338 00:31:51,843 --> 00:31:54,980 それは まぁ。 339 00:31:54,980 --> 00:32:06,258 ♬~ 340 00:32:06,258 --> 00:32:09,928 何なりと お申し付け下さいませ。 旦那様。 341 00:32:09,928 --> 00:32:13,265 よして下さいよ。 杉下さん。 342 00:32:13,265 --> 00:32:18,603 そなたの出世に伴って 私も お広の間に移されることになってな。 343 00:32:18,603 --> 00:32:21,606 そなたの部屋子を仰せつかった。 344 00:32:23,275 --> 00:32:26,178 あまり喜んではおらぬようだが。 345 00:32:26,178 --> 00:32:32,284 そういうわけでもねえんですが どうにも不思議で。 何故 俺が急に。 346 00:32:32,284 --> 00:32:34,619 藤波様のお手がついたからではないのか? 347 00:32:34,619 --> 00:32:37,522 違いますよ! 急に呼び出されたと思ったら➡ 348 00:32:37,522 --> 00:32:45,530 いきなりですよ。 まぁ 顔ってことじゃないですか? 349 00:32:49,968 --> 00:32:55,974 ⚟(垣添)水野様。 藤波様より 裃を急ぎあつらえよと申しつかりました。 350 00:32:58,643 --> 00:33:04,249 大奥のはやりってえのが どうも好みじゃぁねえんだよなぁ。 351 00:33:04,249 --> 00:33:08,587 (垣添)そうおっしゃらずにどうか。 承らないと 私が叱られます。 352 00:33:08,587 --> 00:33:15,293 でもよぉ。 この花鳥風月ぎっちりなんてぇ 死んでも御免。 353 00:33:18,263 --> 00:33:23,969 上様のお手つきともなれば 俸禄も はね上がりましょうがねぇ。 354 00:33:26,938 --> 00:33:30,275 そりゃあそうだ。 そりゃあそうだな。 355 00:33:30,275 --> 00:33:33,612 旦那様は どのような風がお好みで。 356 00:33:33,612 --> 00:33:38,283 う~ん… そりゃ俺ぁ 水野だからよ。 357 00:33:38,283 --> 00:33:45,957 スキッとキリッと 水も滴るいい男 男ぶりも水際立ってといきたいねぇ。 358 00:33:45,957 --> 00:33:47,959 水。 359 00:33:55,967 --> 00:33:59,838 これなど いかがでございましょう? 360 00:33:59,838 --> 00:34:01,773 何だい こりゃ? 361 00:34:01,773 --> 00:34:06,077 (垣添)流水紋といって 水の流れを表した意匠です。 362 00:34:08,914 --> 00:34:11,583 いいねぇ。 363 00:34:11,583 --> 00:34:19,257 これを 背中に大きく流し入れるだけ ってのはどうだ。 364 00:34:19,257 --> 00:34:22,594 大変よろしゅうございますかと! 365 00:34:22,594 --> 00:34:25,263 地は いかがいたしましょうか。 366 00:34:25,263 --> 00:34:34,272 お顔だちからすると 濃い色 藍か緋か。 367 00:34:34,272 --> 00:34:37,175 いっそ 黒はどうだ。 368 00:34:37,175 --> 00:34:39,611 (2人)黒!? そうだ。 369 00:34:39,611 --> 00:34:41,546 遠目から見りゃ 黒一色に見える。 370 00:34:41,546 --> 00:34:45,483 だが 近寄って よくよく見りゃあ 水の流れが施されてるってのはどうだ? 371 00:34:45,483 --> 00:34:49,287 お任せ下さい! 水野の旦那様! 372 00:34:49,287 --> 00:34:52,290  回想 (信)水野の旦那! 373 00:35:11,242 --> 00:35:16,114 柏木殿。 裃が幾分おとなしいの。 374 00:35:16,114 --> 00:35:22,120 藤波様から 初日だけが勝負でないと 諭されてな。 375 00:35:24,789 --> 00:35:28,259 おい あれ。 376 00:35:28,259 --> 00:35:52,951 ♬~ 377 00:35:52,951 --> 00:35:58,823 柏木殿。 新参ゆえ 勝手が分からず。 それがしは どの辺りに控えれば。 378 00:35:58,823 --> 00:36:02,227 あぁ あちらへ。 379 00:36:02,227 --> 00:36:05,230 かたじけのうござる。 380 00:36:12,570 --> 00:36:15,273 流水紋。 381 00:36:19,244 --> 00:36:23,581 何じゃ あれは。 黒一色とは。 382 00:36:23,581 --> 00:36:37,929 ♬~ 383 00:36:37,929 --> 00:36:42,267 (鈴の音) 384 00:36:42,267 --> 00:36:48,139 (お錠口)上様のおなーりー! 385 00:36:48,139 --> 00:37:03,455 ♬~ 386 00:37:07,425 --> 00:37:11,129 待たせたな。 藤波。 387 00:37:13,231 --> 00:37:17,569 一日千秋の思いで お待ち申しておりました。 388 00:37:17,569 --> 00:37:22,907 お運び 心より御礼申し上げまする。 389 00:37:22,907 --> 00:37:28,580 そなたの手引き まことに助かった。 390 00:37:28,580 --> 00:37:33,918 これよりほか 私が留め置くことはないか? 391 00:37:33,918 --> 00:37:35,854 ございませぬ。 392 00:37:35,854 --> 00:37:40,859 そうか。 では。 393 00:37:53,605 --> 00:37:57,942 千両箱がいくつあっても足らんの。 394 00:37:57,942 --> 00:38:03,748 (藤波)は? いや。 美しうて 涙が出てくるぞ。 395 00:38:03,748 --> 00:38:06,551 (藤波)ありがたきお言葉。 396 00:38:06,551 --> 00:38:11,890 お気に召した者には 名をお尋ね下さいませ。 397 00:38:11,890 --> 00:38:13,892 うむ。 398 00:38:34,913 --> 00:38:41,252 (小さい声で)この足さばき。 399 00:38:41,252 --> 00:38:45,590 ん? 足をお取られになられたようですな。 400 00:38:45,590 --> 00:38:47,592 (笑い声) 401 00:38:53,464 --> 00:38:58,770 今 笑うたやつがおるの。 402 00:39:05,076 --> 00:39:12,083 なかなかよい度胸じゃ。 名乗り出よ。 403 00:39:20,425 --> 00:39:24,128 今 笑うたのは誰じゃ! 404 00:39:26,231 --> 00:39:33,538 それがしにございます! 大変なご無礼 申し訳ございませぬ! 405 00:39:39,577 --> 00:39:43,881 面を上げい。 は! 406 00:40:03,268 --> 00:40:09,941 そなた 名は。 407 00:40:09,941 --> 00:40:13,611 水野と申します。 408 00:40:13,611 --> 00:40:20,618 ふん。 なかなか肝が据わっておるではないか。 409 00:40:25,957 --> 00:40:29,661 黒一色の裃も悪くない。 410 00:40:37,302 --> 00:40:43,174 藤波。 は! しかと承りましてございます。 411 00:40:43,174 --> 00:41:15,173 ♬~ 412 00:41:20,611 --> 00:41:24,482 今宵は そなたの出番じゃ。 413 00:41:24,482 --> 00:41:26,484 えっ! 414 00:41:34,959 --> 00:41:36,894 紅なんかさすのか? 415 00:41:36,894 --> 00:41:42,900 唇ではございません。 お目をお伏せ下さい。 416 00:42:17,935 --> 00:42:21,272 苦しうない。 面を上げよ。 417 00:42:21,272 --> 00:42:23,975 はっ。 418 00:42:32,617 --> 00:42:34,919 何じゃ。 419 00:42:38,489 --> 00:42:45,630 あの お話などしても よろしいのでしょうか。 420 00:42:45,630 --> 00:42:49,967 構わぬ。 何じゃ。 421 00:42:49,967 --> 00:42:54,305 上様は 相当に使われるのですか? 422 00:42:54,305 --> 00:42:59,644 おみ足運びに剣術の心得を感じまして。 423 00:42:59,644 --> 00:43:05,917 しかし 今日は思わぬ伏兵にやられた。 伏兵? 424 00:43:05,917 --> 00:43:14,258 かいどりに足をからめとられた。 やつらは なかなか油断がならぬ。 425 00:43:14,258 --> 00:43:19,130 フフフッ…。 426 00:43:19,130 --> 00:43:22,133 そなたも剣術には親しんでおるのか? 427 00:43:22,133 --> 00:43:26,604 はい。 母が昔かたぎの女子でして。 428 00:43:26,604 --> 00:43:31,476 太平の世 無用の長物なれど 武家の男のたしなみとして➡ 429 00:43:31,476 --> 00:43:35,613 剣の腕は磨くべしと。 430 00:43:35,613 --> 00:43:39,317 母御とは話が合いそうじゃ。 431 00:43:48,192 --> 00:43:51,629 そなた 名は何と申す。 432 00:43:51,629 --> 00:43:54,532 水野。 違う 下の名じゃ。 433 00:43:54,532 --> 00:44:00,538 かようなところで 水野 上様というのも味気なかろう。 434 00:44:02,907 --> 00:44:06,577 意外か? 435 00:44:06,577 --> 00:44:12,583 私は 着物や化粧に興味はないが…。 436 00:44:18,189 --> 00:44:22,193 男に興味がないわけではないぞ。 437 00:44:26,597 --> 00:44:30,935 祐之進と。 438 00:44:30,935 --> 00:44:36,274 私の女名は 信じゃ。 439 00:44:36,274 --> 00:44:44,949 ♬~ 440 00:44:44,949 --> 00:44:50,621 どうかしたか? いえ。 441 00:44:50,621 --> 00:44:54,292 よい 言え。 442 00:44:54,292 --> 00:44:56,227 大したことではございませぬ。 443 00:44:56,227 --> 00:45:02,233 昔 同じ名の知り合いがおったもので 驚いただけにございます…。 444 00:45:03,901 --> 00:45:09,240 ふーん。 まぁ よい。 445 00:45:09,240 --> 00:45:15,112 今日から そなたは私の男じゃ。 446 00:45:15,112 --> 00:45:53,818 ♬~ 447 00:45:53,818 --> 00:45:57,955 上様。 今朝は ご機嫌がおよろしいようで。 448 00:45:57,955 --> 00:46:02,560 ふふ。 私も女ということよ。 449 00:46:02,560 --> 00:46:06,230 ⚟(久通)御免つかまつります! 上様 よろしうございますか。 450 00:46:06,230 --> 00:46:09,567 ちょうどよかった 久通。 藤波に…。 (久通)実は 先ほど➡ 451 00:46:09,567 --> 00:46:13,437 藤波様より お話がございまして 大奥のご定法では➡ 452 00:46:13,437 --> 00:46:16,440 将軍の初めての 夜伽の相手をいたしました者は➡ 453 00:46:16,440 --> 00:46:22,146 ご内証の方と呼ばれ 打ち首になると。 454 00:46:26,917 --> 00:46:32,790 (藤波)よって そなたには死んでもらわねばならぬ。➡ 455 00:46:32,790 --> 00:46:37,561 なんとかしてやりたいが これは家光公の御世から受け継がれる➡ 456 00:46:37,561 --> 00:46:42,566 大奥のご定法でな どうにもならぬ。 457 00:46:44,935 --> 00:46:49,273 何で そんなご定法が。 458 00:46:49,273 --> 00:46:56,947 (藤波)将軍のお体を傷つけるのは 極めて大罪であるということじゃ。 459 00:46:56,947 --> 00:47:00,217 恐れながら! 上様は御年32。➡ 460 00:47:00,217 --> 00:47:02,553 既に 大人の女性であられますかと。 461 00:47:02,553 --> 00:47:04,889 (藤波)しきたりというは そういうことではない 杉下。 462 00:47:04,889 --> 00:47:09,226 (杉下)しかし恐れながら 先々代の 家宣公の御時には さようなことは! 463 00:47:09,226 --> 00:47:12,229 何様のつもりじゃ! 杉下! 464 00:47:15,099 --> 00:47:20,237 藤波様。 俺が そのご内証の方になったってことで➡ 465 00:47:20,237 --> 00:47:22,940 何か 一族に累は及びますか。 466 00:47:25,910 --> 00:47:30,581 ない。 それは約束する。 467 00:47:30,581 --> 00:47:35,252 では 何と伝えられましょうか。 468 00:47:35,252 --> 00:47:39,924 ただ 病死と。 469 00:47:39,924 --> 00:47:43,794 ゆえに 手厚い見舞い金が出る。 470 00:47:43,794 --> 00:47:51,502 また 相応の理由をつけ 水野家には禄高の加増もいたす。 471 00:48:05,082 --> 00:48:08,552 承知いたしました。 472 00:48:08,552 --> 00:48:12,857 謹んで ご処分お受けいたします。 473 00:48:17,561 --> 00:48:23,234 水野。 では 仕置きの日まで好きに過ごせ。 474 00:48:23,234 --> 00:48:31,909 ♬~ 475 00:48:31,909 --> 00:48:35,579 (杉下)上様に申し上げましょう。 476 00:48:35,579 --> 00:48:39,250 まさか 上様が このことを ご存じないはずがあるまい。 477 00:48:39,250 --> 00:48:41,185 そうとは限りませぬかと。 478 00:48:41,185 --> 00:48:46,590 なんとか 上様に渡りをつける…。 どうやって渡りなんか つけるんだよ。 479 00:48:46,590 --> 00:48:51,262 出入りの商人に。 やめてくれ。 心が曇る! 480 00:48:51,262 --> 00:49:00,871 ♬~ 481 00:49:00,871 --> 00:49:07,745 いいのよ。 俺は そもそも いなくなろうって肚だったんだからさ…。 482 00:49:07,745 --> 00:49:13,217 家に金は入る。 姉上は婿を取れる。 483 00:49:13,217 --> 00:49:21,091 お信も さすがに諦めて 婿を取るだろ。 484 00:49:21,091 --> 00:49:25,229 だから いいのよ これで。 485 00:49:25,229 --> 00:49:42,580 ♬~ 486 00:49:42,580 --> 00:49:48,919 (柏木)私たちをお守り下さるための 水野の抜てきにございましたか。 487 00:49:48,919 --> 00:49:53,257 まぁ そなたや ほかの中臈が選ばれれば➡ 488 00:49:53,257 --> 00:50:00,130 ご内証の話は 持ち出さなかったのじゃがな。は? 489 00:50:00,130 --> 00:50:07,805 大奥など表の政には関わりない たかが閨。 490 00:50:07,805 --> 00:50:13,811 あの田舎者の上様は 心の内で そうつぶやいておるのが わしには分かる。 491 00:50:16,280 --> 00:50:23,954 我らをうかつに扱えば 人の死すら招くことがある。 492 00:50:23,954 --> 00:50:28,292 さすがに それに気付いてもらえると よいのじゃがな…。 493 00:50:28,292 --> 00:50:42,840 ♬~ 494 00:50:42,840 --> 00:50:45,643 (久通)何度読み返しても ご内証の方のことは➡ 495 00:50:45,643 --> 00:50:48,546 ひと言も書かれておりませぬ。 496 00:50:48,546 --> 00:50:52,516 これを盾に 藤波をとがめまするか? 497 00:50:52,516 --> 00:50:56,287 (吉宗)今度は 上様には告げぬがご定法とでも➡ 498 00:50:56,287 --> 00:51:01,926 言いだすのではないか? それでは捨て置きますか。 499 00:51:01,926 --> 00:51:07,231 それはそれで いまひとつ面白うないの…。 500 00:51:22,246 --> 00:51:24,949 面紙を。 はっ。 501 00:51:38,829 --> 00:51:43,968 何か言い残すことはないか。 502 00:51:43,968 --> 00:51:46,637 ございませぬ。 503 00:51:46,637 --> 00:51:50,941 そうか では。 504 00:52:51,301 --> 00:52:54,605 (吉宗)そなたは これで死んだ。 505 00:52:58,976 --> 00:53:01,578 上様…! 506 00:53:01,578 --> 00:53:07,918 大奥にいた水野という中臈は ここで死んだ。 507 00:53:07,918 --> 00:53:23,267 ♬~ 508 00:53:23,267 --> 00:53:26,170 呉服の間で見ませんでしたか? 509 00:53:26,170 --> 00:53:32,943 この者らは ご公儀の御庭番 我らの手のものなのですよ。 510 00:53:32,943 --> 00:53:36,280 (吉宗)薬種問屋の田嶋屋では。➡ 511 00:53:36,280 --> 00:53:39,950 信という娘が 生涯 婿は取らぬ➡ 512 00:53:39,950 --> 00:53:43,620 無理強いするなら 尼寺へ入ると だだをこね➡ 513 00:53:43,620 --> 00:53:46,523 親は往生しておるらしい。➡ 514 00:53:46,523 --> 00:53:51,495 ここは ひとつ 婿となり 助けてやってはどうじゃ。 515 00:53:51,495 --> 00:53:55,232 町人 進吉よ。 516 00:53:55,232 --> 00:54:07,244 ♬~ 517 00:54:07,244 --> 00:54:14,251 かたじけのう まことかたじけのう存じます! 518 00:54:16,253 --> 00:54:23,260 進吉 このご恩は一生忘れませぬ! 519 00:54:25,929 --> 00:54:31,802 大奥で見知ったこと。 決して 口外はならぬぞ。 520 00:54:31,802 --> 00:55:20,117 ♬~ 521 00:55:20,117 --> 00:55:24,121 (藤波) 水野の仕置きは無事終わられたそうで。 522 00:55:24,121 --> 00:55:30,594 (久通)はい。 つきましては 明後日 八ツ半大奥南の庭に➡ 523 00:55:30,594 --> 00:55:37,467 35歳以下の眉目秀麗な男たちを集めよ と上様の仰せにございます。 524 00:55:37,467 --> 00:55:39,603 なんと。 525 00:55:39,603 --> 00:55:44,308 (鈴の音) 526 00:55:53,951 --> 00:56:00,657 上様のおなーりー。 527 00:56:02,559 --> 00:56:07,898 なるほど。 黒の裃か。 528 00:56:07,898 --> 00:56:12,903 心遣い感謝するぞ 藤波。 529 00:56:24,248 --> 00:56:31,922 今日 その方たちに集まってもらったのは ほかでもない。 530 00:56:31,922 --> 00:56:35,626 そなたたちに暇を出すためだ。 531 00:56:37,261 --> 00:56:42,132 (吉宗)幕府の財政は かつてないほど ひっ迫しておる。➡ 532 00:56:42,132 --> 00:56:47,905 大奥についても 人手を減らすことは やむをえないところである。 533 00:56:47,905 --> 00:56:49,840 恐れながら 上様。 534 00:56:49,840 --> 00:56:54,611 (吉宗)若く美しいそなたらなら すぐにでも婿のもらい手はあろう。 535 00:56:54,611 --> 00:56:56,546 (藤波)上様。 536 00:56:56,546 --> 00:57:00,884 花の盛りを この鳥籠のような場で 朽ち果てさせるのも➡ 537 00:57:00,884 --> 00:57:03,553 不憫といえば不憫。 上様! 538 00:57:03,553 --> 00:57:06,857 黙りゃ! このタヌキジジイ! 539 00:57:13,563 --> 00:57:19,903 皆の者 この上は どうか故郷にて良縁を得➡ 540 00:57:19,903 --> 00:57:22,906 幸せに暮らしてほしい。 541 00:57:24,775 --> 00:57:29,246 吉宗 心からの願いである! 542 00:57:29,246 --> 00:57:45,262 ♬~ 543 00:57:45,262 --> 00:57:47,197 たばかったな! 加納! 544 00:57:47,197 --> 00:57:50,934 (久通)まことのことをお話しすれば お選びにくうなると存じましたので。 545 00:57:50,934 --> 00:57:54,271 図に乗るなよ 田舎者が! 546 00:57:54,271 --> 00:57:56,940 大奥が開かれて以来 我らを軽んじて➡ 547 00:57:56,940 --> 00:57:59,843 表の政が うまくいったためしなどないのだぞ! 548 00:57:59,843 --> 00:58:02,746 ならば 大奥など なくしてしまえ。 549 00:58:02,746 --> 00:58:05,549 上様は しきたりにとらわれぬお方。 550 00:58:05,549 --> 00:58:08,452 お言葉には注意された方がよろしいかと。 551 00:58:08,452 --> 00:58:11,421 上様が 今後 総取締に望まれるのは➡ 552 00:58:11,421 --> 00:58:15,125 大奥のかかりを3分の1にすること。 553 00:58:23,900 --> 00:58:27,237 いかがなさいますか。 藤波様。 554 00:58:27,237 --> 00:58:30,574 それでも お残りになりますか? 555 00:58:30,574 --> 00:59:06,410 ♬~ 556 00:59:06,410 --> 00:59:08,412 今のお方が上様とは! 557 00:59:08,412 --> 00:59:12,182 この世にいてはならぬお方にございます。 558 00:59:12,182 --> 00:59:15,085 もしや 家光公は。 559 00:59:15,085 --> 00:59:17,087 (鳴き声) 560 00:59:17,087 --> 00:59:23,560 そなたが 大奥から出られる手だてが 一つだけございます。 561 00:59:23,560 --> 00:59:27,264 ♬~