1 00:00:02,569 --> 00:00:06,907 (村瀬) こやつは 「お猫様」でございましたか。 2 00:00:06,907 --> 00:00:08,842 (玉栄)お猫様? 3 00:00:08,842 --> 00:00:13,247 上様から賜ったとあらば これはもう ただの猫ではなく➡ 4 00:00:13,247 --> 00:00:17,117 「お猫様」ということになろうかと。 5 00:00:17,117 --> 00:00:22,589 (有功)ふぅん。 お猫様ですか。 6 00:00:22,589 --> 00:00:24,925 お猫様。 7 00:00:24,925 --> 00:00:27,928 ⚟(家光)おい! 入るぞ! 8 00:00:36,937 --> 00:00:42,276 これはまた おかわいらしい鈴でございますね。 9 00:00:42,276 --> 00:00:47,948 (家光)鈴があれば 迷うた時でも 分かりやすかろうと思うてな。 10 00:00:47,948 --> 00:00:50,617 お心遣い ありがとうございます。 11 00:00:50,617 --> 00:00:56,623 大奥は広うございますから 助かります。 12 00:01:04,164 --> 00:01:06,567 どうぞ。 13 00:01:06,567 --> 00:01:09,236 名は 決めたのか。 14 00:01:09,236 --> 00:01:13,573 若紫としましょうかと。 若紫? 15 00:01:13,573 --> 00:01:17,444 源氏物語にちなんでの 若紫にございますか?ええ。 16 00:01:17,444 --> 00:01:20,914 何じゃ よく知られた名なのか。 17 00:01:20,914 --> 00:01:24,585 古の世に編まれた 源氏物語という草子の中に➡ 18 00:01:24,585 --> 00:01:28,455 幼き頃 光源氏の君という 高貴なお方に見初められ➡ 19 00:01:28,455 --> 00:01:32,459 育て上げられ やがて 光君の望むすぐれた女人になる➡ 20 00:01:32,459 --> 00:01:35,596 紫の上となるお方の話がございまして。 21 00:01:35,596 --> 00:01:42,936 ふーん。 何じゃ そなたの望む雌猫にでも 育て上げようとでもいう魂胆か? 22 00:01:42,936 --> 00:01:47,274 若紫のごとく 私に懐いて下さいますようにと。 23 00:01:47,274 --> 00:01:50,177 お気に召しませんか? 24 00:01:50,177 --> 00:01:55,182 そなた 猫のくせに 大層な名をもらいよって。 25 00:01:57,618 --> 00:02:00,887  回想  (家光)今日から お前の名は お万じゃ。 26 00:02:00,887 --> 00:02:04,758  回想 (正勝)あの方は この世にいては ならぬお方にございます。 27 00:02:04,758 --> 00:02:06,760  回想 分かったか! お万! 28 00:02:06,760 --> 00:02:09,062  回想 (正勝)上様とだけ。 29 00:02:11,231 --> 00:02:15,902 では。 戻るとするか 若紫。 30 00:02:15,902 --> 00:02:17,838 (一同)は!? 31 00:02:17,838 --> 00:02:23,577 今日は私のところで過ごさせる。 明日 また返しに来る。 32 00:02:23,577 --> 00:02:28,281 あの。 そうする! よいな! 33 00:02:33,253 --> 00:02:37,924 何や 下されたんやなかったんですか? 34 00:02:37,924 --> 00:02:57,277 ♬~ 35 00:02:57,277 --> 00:03:01,548 (春日局)有功殿に猫を。 上様が? 36 00:03:01,548 --> 00:03:04,451 のみならず 自ら後日お部屋をお訪ねになり➡ 37 00:03:04,451 --> 00:03:10,157 しかも翌日お会いする口実まで…。 村瀬 これはもしや。 38 00:03:13,160 --> 00:03:15,562 ⚟(家光)春日! (春日局)はい! 39 00:03:15,562 --> 00:03:18,265 後で 源氏物語とやらを持ってこい。 40 00:03:33,580 --> 00:03:36,917 仕事の邪魔だ! 小僧! 41 00:03:36,917 --> 00:03:42,255 こっちも仕事や! 今日は ネズミ 勝手に入ったりしてへんやろな! 42 00:03:42,255 --> 00:03:48,128 (角南)何じゃ何じゃ 威勢がいいのう。➡ 43 00:03:48,128 --> 00:03:54,267 何だ 震えておるではないか。 44 00:03:54,267 --> 00:03:58,605 かわいいやつだな。 45 00:03:58,605 --> 00:04:04,211 いっそ わしの部屋子になるか。 46 00:04:04,211 --> 00:04:09,549  回想  おい 主人にもよう言うておけよ。➡ 47 00:04:09,549 --> 00:04:14,421 次はお前がこうなるとな。 48 00:04:14,421 --> 00:04:20,427 (笑い声) 49 00:04:31,238 --> 00:04:35,108 玉栄。 何かあったんか。 50 00:04:35,108 --> 00:04:37,110 いえ。 51 00:04:51,258 --> 00:04:53,260 (春日局)失礼いたします。 52 00:04:54,928 --> 00:04:57,631 面白うございますか? 53 00:05:01,735 --> 00:05:06,540 書をお読みになるのは 大変よろしいことです。 54 00:05:06,540 --> 00:05:12,212 あ~ 若紫様。 55 00:05:12,212 --> 00:05:15,882 さっ さっ ご覧下され。➡ 56 00:05:15,882 --> 00:05:19,753 たんとご用意いたしましたよ。 57 00:05:19,753 --> 00:05:23,557 そなた 猫を相手に何をしておる。 58 00:05:23,557 --> 00:05:27,227 若紫様にも お好みがあるかと。➡ 59 00:05:27,227 --> 00:05:33,900 さっ たんと召し上がれ。 それがお好みか。 60 00:05:33,900 --> 00:05:37,571 猫を相手に7つも餌をでございますか。 61 00:05:37,571 --> 00:05:41,908 そうよ。 春日めは とかくずらりと飯をそろえれば➡ 62 00:05:41,908 --> 00:05:45,779 必ず気に入るものがあると 思うておるのよ。はぁ。 63 00:05:45,779 --> 00:05:48,782 家光公は 食の細いお子であったらしく➡ 64 00:05:48,782 --> 00:05:51,585 乳母であった春日は体を案じ➡ 65 00:05:51,585 --> 00:05:54,254 ずらり飯を取りそろえたらしいぞ。 66 00:05:54,254 --> 00:05:57,924 ひょっとして その飯のごとく 女性をそろえたのが➡ 67 00:05:57,924 --> 00:05:59,860 大奥の起こりにございますか? 68 00:05:59,860 --> 00:06:03,196 公は男色であったからな。 69 00:06:03,196 --> 00:06:07,534 あれもこれもと女子をそろえれば 一つくらい手を出すであろう と。 70 00:06:07,534 --> 00:06:16,543 では 私も七色飯ならぬ 四色飯の一つにございますか。 71 00:06:16,543 --> 00:06:20,213 何も学んでおらぬのよ 春日は。 72 00:06:20,213 --> 00:06:23,884 飯が好きではない子に 飯をやってもしかたない➡ 73 00:06:23,884 --> 00:06:28,555 男が好きな男に 女を取りそろえてもしかたがない。 74 00:06:28,555 --> 00:06:33,894 しかし 上様のお母上とは ご一緒になられたわけにございますよね。 75 00:06:33,894 --> 00:06:37,230 そこは やはり お母上に よほど惹かれるものが➡ 76 00:06:37,230 --> 00:06:39,933 おありになったということですね。 77 00:06:45,572 --> 00:06:47,574 上様? 78 00:06:50,243 --> 00:06:55,582 ま 家の外 よそで食う飯はうまかった。 79 00:06:55,582 --> 00:06:58,885 そういうことだったのではないかの。 80 00:07:02,856 --> 00:07:08,862 何故に あのようなお顔を…。 81 00:07:21,207 --> 00:07:24,110 そなたには よう懐いておるの。 82 00:07:24,110 --> 00:07:28,548 あまり構わずにいると 寄ってくるようにございます。 83 00:07:28,548 --> 00:07:30,483 なるほど。 84 00:07:30,483 --> 00:07:34,421 そなたは そうやって女も懐かせてきたのか。 85 00:07:34,421 --> 00:07:37,223 元は公家であったのであろう。 86 00:07:37,223 --> 00:07:42,095 源氏のように 女相手に駆け引きをし あまたの想い人を作り➡ 87 00:07:42,095 --> 00:07:46,566 そのころは さように暮らしておったのか。 88 00:07:46,566 --> 00:07:49,903 源氏を お読みなのですか? 89 00:07:49,903 --> 00:07:53,239 若紫の名のもとになったと言われたらの。 90 00:07:53,239 --> 00:07:55,909 お気持ち うれしうございます。 91 00:07:55,909 --> 00:08:01,715 話としては面白いが あそこに出てくる女どもが男を求め➡ 92 00:08:01,715 --> 00:08:05,518 許す気持ちは 私は 生涯 持ちえぬ気がする。 93 00:08:05,518 --> 00:08:08,421 許す気持ちをお持ちになれぬ。 94 00:08:08,421 --> 00:08:14,427 は… 私は 人として 何かが欠けておるのかもしれぬ。 95 00:08:17,864 --> 00:08:23,536  回想 3年前 上様は初めての男を お手討ちになさったそうじゃ。 96 00:08:23,536 --> 00:08:35,548 ♬~ 97 00:08:35,548 --> 00:08:39,886 まだ有功様に拾われる前 物乞い暮らしをしてた時に➡ 98 00:08:39,886 --> 00:08:44,557 隆光とかいう坊さんが俺の顔を見て 言いよったんです。 99 00:08:44,557 --> 00:08:51,231 「そなたは将軍の父となる!」と。 100 00:08:51,231 --> 00:08:55,101 なぜ すき好んで そなたのようなガキを 選ばねばならぬのだ。 101 00:08:55,101 --> 00:08:59,105 私かて あんたみたいなクソガキ 好みやないわ。 102 00:08:59,105 --> 00:09:03,176 これ! 上様に何という! ほんまのことやろ! 103 00:09:03,176 --> 00:09:08,515 あんたから上様取ったら 残るんはクソガキだけや! 104 00:09:08,515 --> 00:09:12,852 上様… 上様 私から よく言って聞かせますから! 105 00:09:12,852 --> 00:09:15,522 上様。 106 00:09:15,522 --> 00:09:18,858 (家光)つけあがるなよ。 お万。 107 00:09:18,858 --> 00:09:22,529 わしは誰の子も産まぬ。 108 00:09:22,529 --> 00:09:25,432 もちろん お前の子もな! 109 00:09:25,432 --> 00:09:50,223 ♬~ 110 00:09:50,223 --> 00:09:52,525 来るな。 111 00:09:54,894 --> 00:09:57,797 伝右衛門。 (伝右衛門)はっ。 112 00:09:57,797 --> 00:10:00,233 (鈴の音) 113 00:10:00,233 --> 00:10:02,902 やめよ。 若紫。➡ 114 00:10:02,902 --> 00:10:05,205 このバカ猫! 115 00:10:12,912 --> 00:10:15,615 畜生めが。 116 00:10:19,786 --> 00:10:22,922 私が上様に歌を? 117 00:10:22,922 --> 00:10:29,929 はい。 このところ 源氏の物語などにも 親しまれておられますし。 118 00:10:31,598 --> 00:10:36,936 もう一息 上様をその気にさせて頂きたいのです。 119 00:10:36,936 --> 00:10:44,811 上様は あなた様のことを憎からず お思いになり始めていらっしゃる。 120 00:10:44,811 --> 00:10:49,516 そこで 美しい歌などを。 121 00:10:49,516 --> 00:10:53,520 お公家様であれば お手の物でございましょう? 122 00:10:55,622 --> 00:11:03,897 恐れながら 歌をお送りすることが よき手だてなのか 私には計りかねます。 123 00:11:03,897 --> 00:11:08,568 確かに上様は 源氏をお読みになってはおられますが➡ 124 00:11:08,568 --> 00:11:12,438 恋物語に少女らしく憧れておる➡ 125 00:11:12,438 --> 00:11:16,442 ということではないようにも お見受けします。 126 00:11:21,915 --> 00:11:29,255 斬り殺されたという最初のお方は 一体 どのようなお方なのです? 127 00:11:29,255 --> 00:11:34,260 決して口外いたしませぬゆえ お教え願えぬでしょうか。 128 00:11:39,599 --> 00:11:43,469 どのように出来た傷かは分からずとも➡ 129 00:11:43,469 --> 00:11:48,474 塗る薬があれば 傷は治るものでございましょう。 130 00:11:51,211 --> 00:11:54,147 薬を間違えれば➡ 131 00:11:54,147 --> 00:11:59,619 かえって 傷を悪くすることもございましょう。 132 00:11:59,619 --> 00:12:07,226 上様にとって もっともよく効くお薬は お子でございます。➡ 133 00:12:07,226 --> 00:12:12,899 子を持ち 母になれば さような昔のこと どうでもよくなります。 134 00:12:12,899 --> 00:12:19,772 しかし お子を持つことそのものを 望んでいらっしゃらぬような。 135 00:12:19,772 --> 00:12:25,245 いいえ 女とはそういうものです。 136 00:12:25,245 --> 00:12:30,116 そのようにできているのです。 137 00:12:30,116 --> 00:12:35,822 女でもないあなた様には お分かりにならぬでしょうが。 138 00:12:41,594 --> 00:12:46,299 若紫 どこや。 139 00:12:48,468 --> 00:12:51,270 若紫。 (鈴の音) 140 00:12:51,270 --> 00:12:54,607 (鳴き声) いた。 141 00:12:54,607 --> 00:12:57,610 若紫。 (鳴き声) 142 00:13:02,215 --> 00:13:06,085 ⚟(角南)このままでは まずいのではないか?➡ 143 00:13:06,085 --> 00:13:12,225 猫を肴に 上様は あやつの部屋に 入り浸りというではないか。 144 00:13:12,225 --> 00:13:15,895 (和田) あやつが上様を男好きにしてくれれば➡ 145 00:13:15,895 --> 00:13:19,766 そのうち 我らにも 出番が回ってくるかもしれぬしなぁ。 146 00:13:19,766 --> 00:13:22,568 何をのんきなことを!➡ 147 00:13:22,568 --> 00:13:25,905 このままでは 我らに先はない。➡ 148 00:13:25,905 --> 00:13:28,808 あの男をなんとかせねば。 149 00:13:28,808 --> 00:13:31,244 ⚟(勝田)とは言っても いかがするのじゃ。 150 00:13:31,244 --> 00:13:36,115 ⚟(角南)まず けがをするようにたばかり そのあと 寝込みを襲って➡ 151 00:13:36,115 --> 00:13:41,587 首を折ってしまうのはどうじゃ。 152 00:13:41,587 --> 00:13:47,260 ああ。 誰かほかにおらぬのか。 153 00:13:47,260 --> 00:14:03,209 ♬~ 154 00:14:03,209 --> 00:14:07,213 堪忍な 若紫。 155 00:14:14,554 --> 00:14:18,224 おかえり。 156 00:14:18,224 --> 00:14:20,526 若紫は? 157 00:14:23,563 --> 00:14:26,232 見つかりませんでした。 158 00:14:26,232 --> 00:14:29,135 上様とこに戻ったんとちゃうか? 159 00:14:29,135 --> 00:14:34,907 そやったらええんですけど。 明日また探してみます。 160 00:14:34,907 --> 00:14:40,780 玉栄 また けがしたんか? 161 00:14:40,780 --> 00:14:47,086 あぁ… ちょっと あっちこっち探した時に 擦りむいたんです。 162 00:14:50,256 --> 00:14:56,129 玉栄 こないだから 何や私に隠してることはないか? 163 00:14:56,129 --> 00:14:59,599 ございませんよ。 何言うたはるんですか。 164 00:14:59,599 --> 00:15:02,301 ほな おやすみやす。 165 00:15:16,883 --> 00:15:20,553 では 若紫は そちらにも来ておらぬのか。 166 00:15:20,553 --> 00:15:23,456 上様のところにも戻っておりませんか? 167 00:15:23,456 --> 00:15:25,892 庭で遊んでおるのかの。 168 00:15:25,892 --> 00:15:29,562 念のためと 玉栄が もう一度探しに出ておるのですが。 169 00:15:29,562 --> 00:15:33,232 ⚟(玉栄)上様! 有功様! 170 00:15:33,232 --> 00:15:39,238 若紫が… お猫様が! 171 00:15:42,909 --> 00:15:44,911 こちらです。 172 00:15:47,580 --> 00:15:50,283 若紫。 173 00:15:57,256 --> 00:15:59,592 見つけたのは そなたか。 174 00:15:59,592 --> 00:16:02,862 (玉栄)はい。 ゆうべから お姿が見えず。➡ 175 00:16:02,862 --> 00:16:06,199 今朝方 もう一度見て回りましたところ。 176 00:16:06,199 --> 00:16:11,504 これは刀傷。 (正勝)しかり。 何者かが斬りつけたようだな。 177 00:16:21,747 --> 00:16:25,551 これは いかなることじゃ 重郷。 178 00:16:25,551 --> 00:16:27,887 何も存じませぬ。 179 00:16:27,887 --> 00:16:33,559 しかし 現に そなたの部屋の前で かようなことになっておるではないか。 180 00:16:33,559 --> 00:16:39,232 天命に誓い それがしは何も存じ上げませぬ! 181 00:16:39,232 --> 00:16:42,902 こやつの刀を調べれば よいのではないか?➡ 182 00:16:42,902 --> 00:16:46,239 伝右衛門! (伝右衛門)はっ。 183 00:16:46,239 --> 00:16:50,943 (角南) そうじゃ! どうぞそうして下され! 184 00:16:56,883 --> 00:16:59,252 (伝右衛門)血曇りがございますな。 185 00:16:59,252 --> 00:17:02,521 そんなバカな。 バカな! 186 00:17:02,521 --> 00:17:07,393 それがしではござりませぬ! それが証し… 証しに!➡ 187 00:17:07,393 --> 00:17:10,396 そうじゃ! それがしがあやめたなら➡ 188 00:17:10,396 --> 00:17:13,866 調べてほしいなどと言えるはずが ござりませぬ! 189 00:17:13,866 --> 00:17:19,539 誰かが それがしをおとしめたのでは ございませぬか! 190 00:17:19,539 --> 00:17:22,441 上様! 上様! おやめ下さいませ! 191 00:17:22,441 --> 00:17:26,412 (家光)のけい。 お万。 のけと言うておる! 192 00:17:26,412 --> 00:17:29,215 そなたも共に たたき斬られたいか! 193 00:17:29,215 --> 00:17:32,885 恐れながら この者を斬っても若紫は戻りませぬ! 194 00:17:32,885 --> 00:17:36,222 しかも人を斬れば 人を斬った痛みが➡ 195 00:17:36,222 --> 00:17:40,560 その御身の内に 残るだけでございましょう! 196 00:17:40,560 --> 00:17:44,430 お前などに何が分かる。 197 00:17:44,430 --> 00:17:49,569 どうか お納め下さいませ。 198 00:17:49,569 --> 00:17:53,439 のけ お万! 199 00:17:53,439 --> 00:17:55,908 のけ! 200 00:17:55,908 --> 00:17:59,579 はなせ! 正勝! はなせー! 201 00:17:59,579 --> 00:18:04,417 上様。 そのような者を斬っても 刀の穢れとなるだけ。 202 00:18:04,417 --> 00:18:08,187 自らお手討ちになさることも ございますまい。(家光)はなせ! 203 00:18:08,187 --> 00:18:14,860 (正勝)上様! さっ 上様! はなせ! はなせ! 204 00:18:14,860 --> 00:18:18,197 (正勝)上様! (家光)はなせ! やめろ! 205 00:18:18,197 --> 00:18:21,100 (正勝)上様! (家光)はなせ! 206 00:18:21,100 --> 00:18:25,538 重郷。 分かっておろうな。 207 00:18:25,538 --> 00:18:30,843 それがしは。 分かっておろうな! 208 00:18:32,411 --> 00:18:37,550 違う! 違う! 俺ではない! 俺はやってない! 春日様!➡ 209 00:18:37,550 --> 00:18:43,422 ご指南役! 話を聞いて下さい! 俺はやってない…!➡ 210 00:18:43,422 --> 00:18:48,894 俺はやってないんだ! はなせ!➡ 211 00:18:48,894 --> 00:18:53,199 ご指南役! ご指南役! 話を聞いてくれ! 212 00:19:05,177 --> 00:19:10,516 (玉栄)有功様 私らも戻りましょか。 213 00:19:10,516 --> 00:19:17,857 あの 若紫は どこに埋められるのだ? 214 00:19:17,857 --> 00:19:20,526 お目の穢れとならぬところに。 215 00:19:20,526 --> 00:19:24,864 では 私が弔ってもよいか? 216 00:19:24,864 --> 00:19:27,533 いや しかし。 217 00:19:27,533 --> 00:19:33,205 私が勝手にやったということで 構わぬから。 218 00:19:33,205 --> 00:19:49,755 ♬~ 219 00:19:49,755 --> 00:19:56,896 痛かったやろな。 若紫。 220 00:19:56,896 --> 00:20:41,941 ♬~ 221 00:20:41,941 --> 00:20:47,279  回想 人を斬った痛みが その御身の内に 残るだけでございましょう! 222 00:20:47,279 --> 00:20:55,621 ♬~ 223 00:20:55,621 --> 00:20:58,924 伝右衛門。 ⚟(村瀬)上様。 224 00:21:05,898 --> 00:21:09,201 では 私はこれで。 225 00:21:11,570 --> 00:21:16,575 上様 こちらへ。 226 00:21:30,589 --> 00:21:32,892 何じゃ いきなり。 227 00:21:36,262 --> 00:21:41,133 今から若紫を弔ってやろうと思います。 228 00:21:41,133 --> 00:21:43,135 弔い? 229 00:21:44,937 --> 00:21:49,809 上様もどうぞ 共に手を合わせてやって下さいませ。 230 00:21:49,809 --> 00:21:52,611 手など合わせて何になる。 231 00:21:52,611 --> 00:21:55,915 若紫が生き返るわけでもあるまいに。 232 00:22:00,219 --> 00:22:04,557 上様。 弔いというのは➡ 233 00:22:04,557 --> 00:22:11,263 残された者が心を鎮めるためにあるのだと 私は思っております。 234 00:22:19,572 --> 00:22:25,244 お経を唱えるうちに 心を落ち着け➡ 235 00:22:25,244 --> 00:22:30,115 また思い出し心騒げば また唱え…。 236 00:22:30,115 --> 00:22:33,919 そうしているうちに 心がおさまっていく。 237 00:22:33,919 --> 00:22:35,854 きれい事じゃ! 238 00:22:35,854 --> 00:22:40,593 経で救われるなど 幸せなもののざれ言よ。 239 00:22:40,593 --> 00:22:44,263 心落ち着く間もなく つらいことばかり起こる者は➡ 240 00:22:44,263 --> 00:22:46,932 どうすればよいのだ! 241 00:22:46,932 --> 00:22:50,803 めそめそと経など唱えている暇があったら 仇をとった方がよい。 242 00:22:50,803 --> 00:22:55,274 その方が よほど心が晴れる! 243 00:22:55,274 --> 00:22:59,144 ああ そうじゃ! 心晴れぬのは そなたのせいじゃ。 244 00:22:59,144 --> 00:23:03,549 やはり あの時 重郷を たたっ斬ってやればよかったのじゃ! 245 00:23:03,549 --> 00:23:08,420 では 仇がおらぬ場合はどうしますか? 246 00:23:08,420 --> 00:23:12,558 その時は。 その時は。 247 00:23:12,558 --> 00:23:15,895 手近な者を斬ればよいではないか。 248 00:23:15,895 --> 00:23:19,231 生きるに値せぬものなど いくらでもおる。 249 00:23:19,231 --> 00:23:22,134 生きるに値せぬものとは。 生きておっても死んでおっても➡ 250 00:23:22,134 --> 00:23:24,903 どうでもよい者など いくらでもおるであろう。 251 00:23:24,903 --> 00:23:27,907 物乞いや盗賊 女郎。 252 00:23:33,912 --> 00:23:38,584 もしや 上様は そのような鬱憤を 民草にぶつけてはおりませぬか。 253 00:23:38,584 --> 00:23:43,589 例えば 若い娘の髪を切るなどして。 254 00:23:46,458 --> 00:23:48,594 は…。 255 00:23:48,594 --> 00:23:51,263 別に髪くらいよいではないか。 256 00:23:51,263 --> 00:23:55,968 私なぞ 髪を伸ばすことすら 許されんのだぞ。 257 00:23:57,603 --> 00:24:03,409 お城に上る折に 髪を切られたという娘に会いました。 258 00:24:03,409 --> 00:24:08,881 まだ幼い 上様より幼い子にございました。 259 00:24:08,881 --> 00:24:14,219 しかも 兄を赤面疱瘡で亡くし 弔いも受けられず➡ 260 00:24:14,219 --> 00:24:17,556 何故に我が身ばかりが このような目に遭うのかと➡ 261 00:24:17,556 --> 00:24:21,226 叫びだしたかったことでしょう! 262 00:24:21,226 --> 00:24:23,562 それでも ただひたすらに耐え➡ 263 00:24:23,562 --> 00:24:26,899 兄のために お経を唱え 成仏を願っておりました! 264 00:24:26,899 --> 00:24:32,237 けれど その者には父も母もおったのであろうが! 265 00:24:32,237 --> 00:24:36,575 私には父はおらぬ おったらしいが会ったこともない! 266 00:24:36,575 --> 00:24:40,245 上様となるべく母も取り上げられた! 267 00:24:40,245 --> 00:24:43,148 わけも分からず 髪を切られ 名を取り上げられ➡ 268 00:24:43,148 --> 00:24:49,254 女のなりも取り上げられ にもかかわらず 女の腹だけは貸せという。 269 00:24:49,254 --> 00:24:53,592 腹の内では わしをバカにしておる者たちに襲われ➡ 270 00:24:53,592 --> 00:24:56,261 子をなせという。 271 00:24:56,261 --> 00:25:00,532 徳川のために 太平の世のために! 272 00:25:00,532 --> 00:25:04,203 私は世のために 何もかも ささげておるのじゃ! 273 00:25:04,203 --> 00:25:06,138 髪くらい切って何が悪い! 274 00:25:06,138 --> 00:25:08,540 甘えてるんやない! 275 00:25:08,540 --> 00:25:14,413 人はみんな どうにもならん運命を 受け入れながら生きてるんや。 276 00:25:14,413 --> 00:25:16,415 あなただけやない! 277 00:25:16,415 --> 00:25:20,886 私かてそうや! 何も好きでこんなとこ来たんやない! 278 00:25:20,886 --> 00:25:23,222 自分だけが つらい思いをしてるとお思いやったら➡ 279 00:25:23,222 --> 00:25:25,557 それは大間違いや! 280 00:25:25,557 --> 00:25:31,864 それで… お心は晴れますか? 281 00:25:35,234 --> 00:25:37,236 晴れますか! 282 00:25:40,906 --> 00:25:43,208 沙汰を待て。 283 00:25:46,779 --> 00:25:49,581 部屋にて沙汰を待て。 284 00:25:49,581 --> 00:25:52,918 わしに差し出口をききおって。 285 00:25:52,918 --> 00:25:55,821 楽しみにしておるがよい! 286 00:25:55,821 --> 00:26:07,533 ♬~ 287 00:26:10,869 --> 00:26:14,206 有功殿を里へ返す。 288 00:26:14,206 --> 00:26:17,876 したり顔で わしに説教をたれおった。 289 00:26:17,876 --> 00:26:21,213 いいかげん 目障りじゃ。 290 00:26:21,213 --> 00:26:24,883 しかし 返すと申しましても…。 291 00:26:24,883 --> 00:26:27,586 返せと言うておる! 292 00:26:31,757 --> 00:26:37,229 では 致し方ございませぬ。 斬りましょう。 293 00:26:37,229 --> 00:26:40,566 それは。 (春日局)追い返すのであれば➡ 294 00:26:40,566 --> 00:26:43,235 どうせ もう会うこともございません。 295 00:26:43,235 --> 00:26:48,240 生きようが 死のうが 同じことではございませぬか? 296 00:26:50,576 --> 00:26:57,583 そうじゃな。 では さようにせよ。 297 00:27:00,185 --> 00:27:04,523 さようにせよ! 298 00:27:04,523 --> 00:27:09,528 あー もうくさくさしたことばかりで つまらんのぅ。 299 00:27:15,868 --> 00:27:18,537 上様 これは。 300 00:27:18,537 --> 00:27:25,210 白々しいのぅ。 どうせ知っておったくせに。 301 00:27:25,210 --> 00:27:30,215 わしの髪は 誰かに切られてしもうたからのぅ。 302 00:27:32,885 --> 00:27:37,589 のうのうと髪を伸ばしておる娘が 我慢ならんのじゃ。 303 00:27:43,896 --> 00:27:53,238 そうじゃ 今宵 男たちを集め これをつけさせよ。 304 00:27:53,238 --> 00:27:56,141 (春日局) 男たちに これをでございますか? 305 00:27:56,141 --> 00:27:58,911 女のなりをし 女のように振る舞わせよ。 306 00:27:58,911 --> 00:28:04,182 そうじゃ 一番うまくやった輩には 褒美を遣わす。 307 00:28:04,182 --> 00:28:06,885 わしをな! 308 00:28:08,520 --> 00:28:11,857 そいつと子をなしてやる。 309 00:28:11,857 --> 00:28:15,727 男のなりをしたわしと 女のなりをしたそやつと! 310 00:28:15,727 --> 00:28:20,532 さぞ似合いの夫婦になろうぞ! 311 00:28:20,532 --> 00:28:28,207 どうじゃ 春日。 うれしかろう? 312 00:28:28,207 --> 00:28:31,877 沙汰を待てって… 何でそんな。 313 00:28:31,877 --> 00:28:37,749 あれは説教のていをした 八つ当たりや。 314 00:28:37,749 --> 00:28:44,456 お手討ちになっても致し方ないわ。 315 00:28:46,225 --> 00:28:52,230 そんな。 こんなんやったら…。 316 00:28:56,235 --> 00:29:03,242 やっぱり 角南殿を陥れたんは お前か。 317 00:29:12,718 --> 00:29:17,856 あいつら どうやって有功様を潰すかって ひどい話をしてて…。 318 00:29:17,856 --> 00:29:21,526 責めてるんやない。 319 00:29:21,526 --> 00:29:27,532 私も半ば 分かりながらも 黙ってたんや。 320 00:29:29,868 --> 00:29:40,212 若紫を殺したんは お前かもしれへんけど 角南殿を殺したんは私や。 321 00:29:40,212 --> 00:29:43,915 ちゃいます! それは ちゃ…。 322 00:29:49,221 --> 00:29:58,530 ここは 修羅道やな 玉栄。 323 00:30:00,565 --> 00:30:10,575 因果が巡り 絡まり いけにえばかりが増えていく。 324 00:30:18,583 --> 00:30:24,289 ⚟(正勝) 有功殿。 よろしうございますかな。 325 00:30:31,163 --> 00:30:34,866 お分かりにございますな。 326 00:30:37,269 --> 00:30:44,943 はい。 しかし どうか 部屋子の命は お助け下さいませ。 327 00:30:44,943 --> 00:30:48,613 分かり申した。 328 00:30:48,613 --> 00:30:52,951 最後に一つ 話がございましてな。 329 00:30:52,951 --> 00:30:55,620 お話? 330 00:30:55,620 --> 00:31:02,894 春日様より 冥土の土産に 上様のまことを話してやるがよい と。 331 00:31:02,894 --> 00:31:06,765 上様のまこと…。 332 00:31:06,765 --> 00:31:15,474 上様が 先の家光公が よそでお作りになったお子であることは。 333 00:31:15,474 --> 00:31:20,245 はい。 以前 お伝え頂きました。 334 00:31:20,245 --> 00:31:25,584 ですが それは情を交わすというには➡ 335 00:31:25,584 --> 00:31:30,455 あまりにも かけ離れたものにございまして。 336 00:31:30,455 --> 00:31:34,593 ご趣味の つじ斬りをなさった 高ぶりのついでに➡ 337 00:31:34,593 --> 00:31:42,267 けだもののように 近場にいた女子を手込めにされたのです。 338 00:31:42,267 --> 00:31:44,603  回想 私には父はおらぬ➡ 339 00:31:44,603 --> 00:31:47,506 おったらしいが会ったこともない! 340 00:31:47,506 --> 00:31:51,943 (正勝) 誰とも知らぬ男に襲われて出来た子…。 341 00:31:51,943 --> 00:31:56,815 女子も 初めは気鬱になっておったようですが➡ 342 00:31:56,815 --> 00:32:00,218 生まれた子に罪はない。 343 00:32:00,218 --> 00:32:05,090 むしろ 子を育むことで 生きる力を取り戻したようで➡ 344 00:32:05,090 --> 00:32:10,395 貧しいながらも 親子仲よう暮らしておりました。 345 00:32:13,231 --> 00:32:18,236 ですが 先の家光公が亡くなられ…。 346 00:32:20,572 --> 00:32:24,910 いやじゃ。 かか様! 347 00:32:24,910 --> 00:32:27,245 かか様! 千恵~! 348 00:32:27,245 --> 00:32:30,949 いやじゃあ! かか様! 349 00:32:34,119 --> 00:32:40,592 ええ子じゃ。 そのきかん気! お父上にそっくりじゃ。➡ 350 00:32:40,592 --> 00:32:45,263 あなたのお父上は 将軍様だったのでございますよ。 351 00:32:45,263 --> 00:32:48,600 この世で一番偉いお方です。➡ 352 00:32:48,600 --> 00:32:53,939 そして今日からは あなたが上様です。 353 00:32:53,939 --> 00:32:56,842 私は千恵じゃ。 (春日局)いいえ➡ 354 00:32:56,842 --> 00:33:00,545 今日からは 上様です。 355 00:33:00,545 --> 00:33:03,215 上様。 356 00:33:03,215 --> 00:33:07,085 (正勝)まだ10やそこらの子どもです。 357 00:33:07,085 --> 00:33:13,558 数年は春日様のもと おびえるように 暮らしておられましたが…➡ 358 00:33:13,558 --> 00:33:21,900 やがて 物が分かるようになり ここを逃げだそうとされまして。➡ 359 00:33:21,900 --> 00:33:26,204 大奥の外へ行ってしまわれ…。 360 00:33:28,773 --> 00:33:34,779 すまぬ。 ん? お前は どこの小姓だ? 361 00:33:37,249 --> 00:33:40,552 (正勝)事情をまったく知らぬ者に。 362 00:33:42,120 --> 00:33:44,923 ハハ… ハハハ…。 363 00:33:44,923 --> 00:33:48,226 来るな 来るな! 364 00:33:55,567 --> 00:34:00,205 この者は 上様の体に傷をつけた! 365 00:34:00,205 --> 00:34:03,508 殺されて当然であろう! 366 00:34:05,076 --> 00:34:07,779 当然であろう! 367 00:34:11,550 --> 00:34:21,893 (正勝)それから 上様は居丈高になり 人を傷つけるようになられました。➡ 368 00:34:21,893 --> 00:34:26,564 ふとすれば 狂うてしまいそうになるお心を➡ 369 00:34:26,564 --> 00:34:29,568 守っておられたのかと。 370 00:34:44,115 --> 00:34:51,823 仏弟子なんて よう言うたもんや。 371 00:34:54,259 --> 00:34:58,597 一番身近におられる…➡ 372 00:34:58,597 --> 00:35:05,870 一番身近におられる方の悲しみにすら 気付かんと。 373 00:35:05,870 --> 00:35:09,574 とんだお笑いぐさや。 374 00:35:15,880 --> 00:35:18,183 (正勝)では。 375 00:35:28,460 --> 00:35:32,230 (正勝)あ 肝心なことを。 376 00:35:32,230 --> 00:35:37,569 いかがなさるか お沙汰は己でお決めになって下さい と➡ 377 00:35:37,569 --> 00:35:40,271 春日様からです。 378 00:35:49,180 --> 00:35:51,116 ハハハハハハッ! 379 00:35:51,116 --> 00:35:58,590 何じゃ その頭も。 情けないのう。 ハハハッ…!➡ 380 00:35:58,590 --> 00:36:01,493 ほれほれ。 足が開いておるぞ! 381 00:36:01,493 --> 00:36:06,865 女子はこう 女子はこうじゃ!➡ 382 00:36:06,865 --> 00:36:11,202 何じゃ できぬのか! 383 00:36:11,202 --> 00:36:15,073 邪魔なものを取ってやろうか!? 384 00:36:15,073 --> 00:36:21,780 ハハハハハハッ…! 385 00:36:23,782 --> 00:36:27,218 ハハハハハハッ…! 386 00:36:27,218 --> 00:36:29,154  回想 上様! 上様! 387 00:36:29,154 --> 00:36:31,456 ハハハッ…! 388 00:36:34,092 --> 00:36:36,895  回想 自分だけが つらい思いをしてると お思いやったら➡ 389 00:36:36,895 --> 00:36:39,798 それは大間違いや! 390 00:36:39,798 --> 00:36:45,570 ハハハハハ…。 391 00:36:45,570 --> 00:36:47,572 上様? 392 00:36:50,442 --> 00:36:53,445 おかしうて。 393 00:36:53,445 --> 00:37:01,519 人というのは なんと まぁ 愚かで滑稽な生き物よ。 394 00:37:01,519 --> 00:37:07,826 ハハハ… ハハハハハ…。 395 00:37:24,742 --> 00:37:30,048 上様 お万でございます。 396 00:37:40,892 --> 00:37:44,562 下がれ。 397 00:37:44,562 --> 00:37:48,900 下がれ。 下がれ! お万。 398 00:37:48,900 --> 00:37:50,835 下がれと言うておる! 399 00:37:50,835 --> 00:37:54,139 わしの言うことが聞けぬのか! お万! 400 00:37:58,910 --> 00:38:06,518 はい。 万は上様に お伝えしたいことがございますゆえ➡ 401 00:38:06,518 --> 00:38:09,220 聞けませぬ。 402 00:38:22,867 --> 00:38:25,170 どうぞ。 403 00:38:39,884 --> 00:38:45,890 いかがですか。 私の女のなりは。 404 00:38:48,226 --> 00:38:53,565 に… 似合わぬ…。 405 00:38:53,565 --> 00:39:01,873 そうですか。 実は私も そう思うておりまして。 406 00:39:24,195 --> 00:39:36,908 ほら 上様の方が よほどお似合いにございます。 407 00:39:42,547 --> 00:39:45,550 千恵様。 408 00:39:51,556 --> 00:40:36,934 (泣き声) 409 00:40:36,934 --> 00:40:49,247 「凍え雛 一羽身を寄せ 坊主雛 千の恵や 功有らんと願ふ」。 410 00:40:52,950 --> 00:41:02,961 (吉宗)それは 二羽の傷つき凍えた雛が 互いに身を寄せ合うがごとき恋の始まり。 411 00:41:05,229 --> 00:41:12,904 (村瀬)なんとも 悲しく美しい お二人でございました。 412 00:41:12,904 --> 00:41:19,777 しかしまぁ そなた これでは記録ではなく読み物ではないか。 413 00:41:19,777 --> 00:41:22,580 褒めておらぬ。 414 00:41:22,580 --> 00:41:28,252 で このお二人の子が 四代家綱公か? 415 00:41:28,252 --> 00:41:33,925 まぁ お進み下さいませ。 416 00:41:33,925 --> 00:41:40,631 私は 歴代の色恋のあれやこれやを 知りたいわけではないのだがの。 417 00:41:55,213 --> 00:41:58,950 だんだんと私にも分かってきたのじゃ。 418 00:41:58,950 --> 00:42:04,555 そなたが どのような考えを好み 好まぬのか。 419 00:42:04,555 --> 00:42:10,261 さようなところは やはり改めたいと思うのじゃ。 420 00:42:15,566 --> 00:42:20,271 何で こんなにかいらしんやー! 421 00:42:24,242 --> 00:42:30,114 好きですよ。 上様。 422 00:42:30,114 --> 00:42:34,585 上様が どこで何を言われようと➡ 423 00:42:34,585 --> 00:42:37,889 何をなされようとも。 424 00:42:39,924 --> 00:42:43,594 のう 有功➡ 425 00:42:43,594 --> 00:42:49,934 私は今までずっと 春日を恨んできたのじゃ。 426 00:42:49,934 --> 00:42:56,808 でも 今となっては 礼を言いたくなる。 427 00:42:56,808 --> 00:43:04,115 春日がいなければ 有功には出会うことはなかった。 428 00:43:07,885 --> 00:43:10,888 私もにございます。 429 00:43:18,896 --> 00:43:28,906 ♬~ 430 00:43:28,906 --> 00:43:31,809 失礼いたします。 431 00:43:31,809 --> 00:43:36,514 (春日局)ああ わざわざすまぬな 有功殿。 432 00:43:40,918 --> 00:43:44,622 折り入って 私にお話とは? 433 00:43:48,793 --> 00:43:56,801 お万の方様 この月をもって 上様のおしとねよりお下がり頂きたい。 434 00:44:00,872 --> 00:44:03,574 え? 435 00:44:05,743 --> 00:44:09,213 死ね! 母上! 436 00:44:09,213 --> 00:44:11,148 運が尽きたんです。 437 00:44:11,148 --> 00:44:15,086 この夜で一番美しく 尊いお方にお仕えしている。 438 00:44:15,086 --> 00:44:17,788 そう心して励むことだ。 439 00:44:19,557 --> 00:44:21,492 わしは父の名代➡ 440 00:44:21,492 --> 00:44:24,195 将軍という名の人柱である。