1 00:00:01,935 --> 00:00:06,273 (吉宗)村瀬が死んだ? (久通)はい。➡ 2 00:00:06,273 --> 00:00:10,143 今朝方 右筆部屋に出てこぬので 見に行ったところ➡ 3 00:00:10,143 --> 00:00:15,616 布団の中で息を引き取っていたと 奥より知らせがございました。 4 00:00:15,616 --> 00:00:18,518 かくしゃくとしておったがのぅ。 5 00:00:18,518 --> 00:00:22,956 (久通)今年で御年97であったそうで。 6 00:00:22,956 --> 00:00:29,830 丁重に葬り 村瀬の後継を選ぶよう藤波に。 7 00:00:29,830 --> 00:00:31,832 それから。 8 00:00:33,600 --> 00:00:37,304 そちらの続きを 借り出してくるのでございますね。 9 00:00:37,304 --> 00:00:39,239 そうじゃ。 10 00:00:39,239 --> 00:00:48,916 ♬~ 11 00:00:48,916 --> 00:00:51,652 続きがないとは 何としたことじゃ! 12 00:00:51,652 --> 00:00:56,323 (藤波)それが どこを探しても 出てまいりませんで。 13 00:00:56,323 --> 00:00:59,993 盗まれたということか? 14 00:00:59,993 --> 00:01:03,597 恐れながら 他の右筆によると➡ 15 00:01:03,597 --> 00:01:08,936 そもそも ここまでしかなかったのではないかと。 16 00:01:08,936 --> 00:01:13,273 村瀬は綱吉公が亡くなるまでしか 書いておらなかったということか。 17 00:01:13,273 --> 00:01:16,176 (藤波)ええ。 18 00:01:16,176 --> 00:01:21,615  回想 (吉宗)村瀬とやらは そなたか? 19 00:01:21,615 --> 00:01:27,955 しかし 私が会った時にも 村瀬は 何か書きつけておるようであったぞ。 20 00:01:27,955 --> 00:01:33,660 恐れながら 「没日録」だとは限りますまい。 21 00:01:39,299 --> 00:01:46,173 (藤波)ところで 上様。 男の好みなどをお教え頂けますか? 22 00:01:46,173 --> 00:01:50,644 おもだった中臈は 全ておらぬようになってしまいました。 23 00:01:50,644 --> 00:01:53,981  回想  皆の者 どうか故郷にて良縁を得➡ 24 00:01:53,981 --> 00:01:55,916 幸せに暮らしてほしい。 25 00:01:55,916 --> 00:01:58,852 これでは 総触れも成り立ちませぬ。➡ 26 00:01:58,852 --> 00:02:04,257 安い禄でもよいから 上がりたいと 申す者たちも多くおりますし。 27 00:02:04,257 --> 00:02:08,929 まずは 約束どおり 大奥のかかりを3分の1にせよ。 28 00:02:08,929 --> 00:02:10,864 それができれば考えてやる。 29 00:02:10,864 --> 00:02:13,800 しかし それでは。 お世継ぎは どうなさいますのか。 30 00:02:13,800 --> 00:02:19,506 (吉宗)たわけ! 総触れなどなくとも 世継ぎは作れる! 31 00:02:21,508 --> 00:02:25,479 (吉宗) なくなったのは ここ数年の記録のみ。➡ 32 00:02:25,479 --> 00:02:32,619 とすれば 今 大奥にいる誰かにとって 都合の悪いことが そこに記されていた➡ 33 00:02:32,619 --> 00:02:35,956 と考えるのが もっとも合点がゆかぬか? 34 00:02:35,956 --> 00:02:42,829 その誰かが藤波様 もしくは その周りの者などであれば➡ 35 00:02:42,829 --> 00:02:45,632 お庭番に見張らせておきましょう。 36 00:02:45,632 --> 00:02:48,969 頼む。 37 00:02:48,969 --> 00:02:55,308 あぁ それから 進吉に書状を出せ。 38 00:02:55,308 --> 00:02:58,645  回想 (吉宗)そなたは これで死んだ。 39 00:02:58,645 --> 00:03:01,548 薬種問屋の田嶋屋では。➡ 40 00:03:01,548 --> 00:03:05,252 信という娘が 生涯 婿は取らぬと だだをこね➡ 41 00:03:05,252 --> 00:03:07,921 親は往生しておるらしい。 ここは ひとつ➡ 42 00:03:07,921 --> 00:03:10,590 婿となり助けてやってはどうじゃ。 43 00:03:10,590 --> 00:03:12,526 町人 進吉よ。 44 00:03:12,526 --> 00:03:15,929 水野を呼び戻すのでございますか? 45 00:03:15,929 --> 00:03:17,931 そうじゃ。 46 00:03:20,801 --> 00:03:34,948 ♬~ 47 00:03:34,948 --> 00:03:37,284 ハハハ…。 (水野)いやあ➡ 48 00:03:37,284 --> 00:03:41,621 今まで こんなに見られたことはねえ ってくらい見られましたよ。 49 00:03:41,621 --> 00:03:45,292 表に入ることができるのは 女のみであるからの。 50 00:03:45,292 --> 00:03:49,629 笑い事じゃあございませんよ。 お城の中だけじゃありませんからね。 51 00:03:49,629 --> 00:03:53,500 店から ずーっと この格好で 市中を練り歩いてきたんですから! 52 00:03:53,500 --> 00:03:57,971 まぁ そう怒るな。 なかなか似合うておるぞ。 53 00:03:57,971 --> 00:04:00,240 ハハハ…。 54 00:04:00,240 --> 00:04:05,946 ところで 書状にて頂きました ご相談事とおっしゃいますのは。 55 00:04:08,115 --> 00:04:14,788 その方に 赤面に効く薬を 探し出してもらおうと思うての。 56 00:04:14,788 --> 00:04:18,492 …赤面。 うむ。 57 00:04:20,260 --> 00:04:23,597 さようなもの あるわけございませんでしょう! 58 00:04:23,597 --> 00:04:25,532 なぜないと言い切れるのじゃ。 59 00:04:25,532 --> 00:04:34,241 上様。 薬屋だって 赤面が出る度に ありとあらゆる薬を試してきてるんです。 60 00:04:34,241 --> 00:04:42,282 しかし 赤面が治らぬ では困るのだ。 この国が滅びてしまうからの。 61 00:04:42,282 --> 00:04:45,185 …国が滅ぶ。 62 00:04:45,185 --> 00:04:49,156 この大奥を作った 春日というババがおっての。➡ 63 00:04:49,156 --> 00:04:54,628 そのババが言うには この国は赤面ゆえに滅ぶ と。 64 00:04:54,628 --> 00:04:57,297 赤面ゆえ。 65 00:04:57,297 --> 00:05:01,568 表向きは キリシタンの禁制などとなっておるが➡ 66 00:05:01,568 --> 00:05:05,438 我が国が異国との関わりを絶っておる まことの理由は➡ 67 00:05:05,438 --> 00:05:09,442 赤面ゆえの事情を 異国に知られぬためじゃ。 68 00:05:09,442 --> 00:05:14,581 お待ち下さい。 異国には 赤面はねえんでございますか? 69 00:05:14,581 --> 00:05:20,453 あるのかないのか 国を閉じたゆえ それすら もはや定かではない。➡ 70 00:05:20,453 --> 00:05:27,928 が… 女は体は強くとも 男より腕っぷしは弱いのが常。 71 00:05:27,928 --> 00:05:32,599 もし 異国に赤面がなく 男たちに攻め入られれば➡ 72 00:05:32,599 --> 00:05:37,938 ひとたまりもない。 春日は さように予言したのじゃ。 73 00:05:37,938 --> 00:05:41,274 国が 滅ぶ。 74 00:05:41,274 --> 00:05:46,980 何かよい知恵はないですか 田嶋屋。 赤面を治す薬を見つけるために。 75 00:05:51,918 --> 00:05:54,821 いや うーん。 しかし…。 76 00:05:54,821 --> 00:05:57,290 ん? 何かあるのだな。 77 00:05:57,290 --> 00:06:03,897 いや 薬ってなぁ 土地土地によって 随分違うんですよ。 78 00:06:03,897 --> 00:06:07,767 草木や生き物 要するに そこにあるもんで こしらえるってわけで。 79 00:06:07,767 --> 00:06:13,240 では どこか遠くの山奥には 赤面に効く薬があるかもしれぬ と。 80 00:06:13,240 --> 00:06:15,909 まぁ かもしれねえ ぐらいですよ。 あい分かった。 81 00:06:15,909 --> 00:06:17,844 では 田嶋屋よ。 82 00:06:17,844 --> 00:06:20,780 日の本中をくまなく 探し回れるようにしてやるゆえ➡ 83 00:06:20,780 --> 00:06:23,783 赤面に効く薬を探し出せ! 84 00:06:23,783 --> 00:06:25,919 む… 無理ですよ! 85 00:06:25,919 --> 00:06:29,256 俺 まだ婿入りしたばかりの 素人に毛が生えたようなもんで。 86 00:06:29,256 --> 00:06:33,593 そなた 誰のおかげで 今日 ここにおられると思うておるのじゃ! 87 00:06:33,593 --> 00:06:35,595 それは…。 88 00:06:37,264 --> 00:06:44,604 まぁ せっかく生き返っても 国が滅びてしまってはな。 89 00:06:44,604 --> 00:06:47,274 元も子もなかろう? 90 00:06:47,274 --> 00:06:50,176 はあ…。 91 00:06:50,176 --> 00:06:53,179 では 頼んだぞ。 92 00:06:59,853 --> 00:07:04,858 では 話したことを素案にまとめ 私までお持ち下さいませ。 93 00:07:07,227 --> 00:07:13,233 ところで 加納様 杉下さんって どうしてます? 94 00:07:28,915 --> 00:07:32,252 (杉下)上様! いかにも吉宗じゃ。 95 00:07:32,252 --> 00:07:34,587 悪いが時がない! 急ぐぞ! 96 00:07:34,587 --> 00:07:36,923 上様! 上様 何を! 97 00:07:36,923 --> 00:07:41,795 半時後には 表に戻らねばならぬ。 この隙に子を作るのじゃ。 98 00:07:41,795 --> 00:07:45,932 上様! 上様! 上様! 99 00:07:45,932 --> 00:07:49,602 私は 種無しにございます! 100 00:07:49,602 --> 00:07:53,273 なんと。 101 00:07:53,273 --> 00:08:00,547 お忙しいさなか 私との子作りほど 時を無駄にすることもございませぬかと! 102 00:08:00,547 --> 00:08:06,853 お子をなすほかなら いかなる働きも 身を粉にして努めますゆえ! 103 00:08:13,126 --> 00:08:16,896 そなた 今は何の働きをしておるのじゃ。 104 00:08:16,896 --> 00:08:22,769 水野様がいなくなってからは 再び お三の間にて雑事を。 105 00:08:22,769 --> 00:08:28,074 そなた 水野の部屋子であったのか。 はい。 106 00:08:32,245 --> 00:08:37,584 この者を私の右腕にせよ と。 107 00:08:37,584 --> 00:08:42,922 見よ! この着物を。 この者は最古参でありながら➡ 108 00:08:42,922 --> 00:08:46,593 お三の間の着物は 一度も作り直しておらぬそうじゃ。 109 00:08:46,593 --> 00:08:50,897 かような男は 質素倹約は得手なはずじゃ! 110 00:08:54,267 --> 00:08:58,138 恐れながら上様 この者は。 111 00:08:58,138 --> 00:09:00,140 杉下。 112 00:09:01,875 --> 00:09:07,747 藤波様。 水野様の一件では 無礼を申しましたこと➡ 113 00:09:07,747 --> 00:09:11,051 心よりお詫び申し上げます。 114 00:09:13,486 --> 00:09:18,892 杉下も悔いておるし 水に流さぬか? 115 00:09:18,892 --> 00:09:22,896 水野も もうこの世におらぬことであるし。 116 00:09:27,901 --> 00:09:32,572 まぁ さようなことでございますれば。 117 00:09:32,572 --> 00:09:36,910 (杉下)上様 仰せつかったお役目にございますが➡ 118 00:09:36,910 --> 00:09:39,813 私などで つとまりますでしょうか。 119 00:09:39,813 --> 00:09:43,783 (吉宗)自ら 種無しと打ち明け 手つきを辞退するなど➡ 120 00:09:43,783 --> 00:09:46,920 そなたほど欲のない男も珍しい。 121 00:09:46,920 --> 00:09:50,590 きっと目覚ましい質素倹約を成しえよう。 122 00:09:50,590 --> 00:09:58,264 あ いえ そちらではなく。 藤波様の動きを見張るという。 123 00:09:58,264 --> 00:10:02,936 大事ない。 そこは そなたのほかに 見張っておるものもおるゆえ➡ 124 00:10:02,936 --> 00:10:05,939 安堵せよ。 はっ。 125 00:10:15,281 --> 00:10:18,184 ではの! 杉下。 126 00:10:18,184 --> 00:10:31,831 ♬~ 127 00:10:31,831 --> 00:10:33,967 (吉宗)市中における米の値は下がり…。 128 00:10:33,967 --> 00:10:38,838 <吉宗公は 幕府の蔵に金を満たす策に取り組まれた> 129 00:10:38,838 --> 00:10:41,307 もう30年も続いておる。 130 00:10:41,307 --> 00:10:43,977 幕府の収入は米。 131 00:10:43,977 --> 00:10:48,848 故に 米の値が下がれば おのずと 幕府の実入りも減る。➡ 132 00:10:48,848 --> 00:10:54,154 折からの浪費もかさみ 金蔵は かつてないほど ひっ迫しておる。 133 00:10:56,556 --> 00:11:02,862 このまま捨て置けば 公儀の威信は揺らぎ 世は乱れることとなろう。 134 00:11:05,265 --> 00:11:09,602 かくなる上は 市中より じかに米を買い上げ➡ 135 00:11:09,602 --> 00:11:12,605 米の値を上げることとしたい! 136 00:11:16,943 --> 00:11:23,283 して この役目を対馬守 そなたに委ねたいのだが。 137 00:11:23,283 --> 00:11:29,622 (対馬守)お… 恐れながら さようなやり方は前代未聞。 138 00:11:29,622 --> 00:11:34,294 何をしたらよいものやら 皆目見当が。 139 00:11:34,294 --> 00:11:39,966 (和泉守)私とて 武士の端くれ。 銭金のために働くなど できかねまする。 140 00:11:39,966 --> 00:11:45,271 (河内守)わ… 私は 商人は苦手にございまして! 141 00:11:47,840 --> 00:11:51,978 (吉宗)ま 思ったとおりではあったな。 142 00:11:51,978 --> 00:11:54,647 対馬守様の領地は茶の産地➡ 143 00:11:54,647 --> 00:11:58,318 米の値にかかわらず 十分 潤うてございます。 144 00:11:58,318 --> 00:12:02,188 和泉守様と河内守様は 商人たちに諸事便宜を図り➡ 145 00:12:02,188 --> 00:12:06,125 礼をたんまり懐に入れている という噂にございます。 146 00:12:06,125 --> 00:12:11,598 しかし それもこれも 徳川より 所領を安堵されたからできること。 147 00:12:11,598 --> 00:12:16,936 大本が揺らいでしまえば 我が身も 危うくなるとは考えぬものだろうか。 148 00:12:16,936 --> 00:12:22,275 いずれも 世襲の殿様方にございますからね。 149 00:12:22,275 --> 00:12:29,282 国が滅ぶ などとは 誰も考えもせぬということか。 150 00:12:34,287 --> 00:12:36,222 上様。 151 00:12:36,222 --> 00:12:42,161 一人 お会い頂きたい者がございます。 普請奉行なのですが。 152 00:12:42,161 --> 00:12:45,632 そなたの采配した 旗本らの屋敷替え➡ 153 00:12:45,632 --> 00:12:50,503 実に見事であると 評判だそうではないか。 154 00:12:50,503 --> 00:12:56,275 (忠相)私は 双方のよき落としどころを 探ったまでにございます。 155 00:12:56,275 --> 00:13:00,913 実は 一つ 相談があっての。 156 00:13:00,913 --> 00:13:06,252 今 米の値は安く 比して 物の値は高くなりすぎておる。 157 00:13:06,252 --> 00:13:09,155 双方 よき落としどころに おさめるためには➡ 158 00:13:09,155 --> 00:13:12,125 何をすればよいと考える。 159 00:13:12,125 --> 00:13:18,598 そもそも出回る米の量を減らすというのは いかがにございましょうか。 160 00:13:18,598 --> 00:13:21,501 米の出回る量を減らす。 161 00:13:21,501 --> 00:13:26,939 一旦 出回った米を じかに 幕府が買い取るのがよろしいかと。➡ 162 00:13:26,939 --> 00:13:30,810 出回る米の量が減れば 米の値は おのずと上がります。➡ 163 00:13:30,810 --> 00:13:33,813 その相場を見つつ 高値になれば➡ 164 00:13:33,813 --> 00:13:37,283 買い取った米を今度は売りに出し 米の値を下げる。 165 00:13:37,283 --> 00:13:42,588 さようにして 幕府がかじ取りをしては いかがにございましょうか。 166 00:13:46,292 --> 00:13:51,164 あ… あくまで素人考えにございますので。 167 00:13:51,164 --> 00:13:55,968 大岡忠相 そなたを町奉行に任ず! 168 00:13:55,968 --> 00:13:57,904 は? 169 00:13:57,904 --> 00:14:00,807 かつ この件について➡ 170 00:14:00,807 --> 00:14:04,577 以後 そなたに一任す。 よいな! 171 00:14:04,577 --> 00:14:09,916 あ いえ あの。 私 銭勘定の扱いは素人でございますし➡ 172 00:14:09,916 --> 00:14:14,787 そもそも そのような大事は 老中はじめ 重役方のほうが。 173 00:14:14,787 --> 00:14:20,927 案ずるな。 久通。 はい。 174 00:14:20,927 --> 00:14:23,830 お役御免? 175 00:14:23,830 --> 00:14:26,599 はい。 176 00:14:26,599 --> 00:14:28,534 (吉宗)採薬使。 177 00:14:28,534 --> 00:14:34,941 はい。 赤面に効く薬草を探し 同時に諸国の薬の実情を把握するために➡ 178 00:14:34,941 --> 00:14:39,946 正式な薬草探索方を設けて頂きたい。 179 00:14:41,814 --> 00:14:46,953 (久通)それが田嶋屋 および 本草学者たちからの嘆願にございます。 180 00:14:46,953 --> 00:14:50,623 本草学者。 あやつ さようなところにも相談を。 181 00:14:50,623 --> 00:14:54,494 今では 存外のめり込んでおるようで。 182 00:14:54,494 --> 00:14:57,296 それは重畳。 183 00:14:57,296 --> 00:15:02,135 米の値をおさめるための鍵を握るのは 大坂にございます。➡ 184 00:15:02,135 --> 00:15:05,571 大坂の米市場で 取り引きされている米の量は➡ 185 00:15:05,571 --> 00:15:09,442 江戸に比べて 圧倒的に多うございます。 186 00:15:09,442 --> 00:15:14,247 いくら江戸で米を買い上げたところで 焼け石に水ということか。 187 00:15:14,247 --> 00:15:16,582 (忠相)さようでございます。 188 00:15:16,582 --> 00:15:20,253 上方か。 話には応じそうか。 189 00:15:20,253 --> 00:15:23,923 彼らも見返りがないと 助力はいたしませぬかと。 190 00:15:23,923 --> 00:15:26,259 それは さすがに許しかねる。 191 00:15:26,259 --> 00:15:32,565 見返りではなく 助力せねば それ相応の罰を与えるという触れを出し。 192 00:15:35,268 --> 00:15:37,603 上様。 193 00:15:37,603 --> 00:15:39,906 もしや。 194 00:15:41,941 --> 00:15:46,813 (杉下)ご懐妊にございますか。 それは おめでたきことで。 195 00:15:46,813 --> 00:15:52,952 めでたくはあるが… 上様は総触れで相手を選んではおられぬ。 196 00:15:52,952 --> 00:15:59,826 一体 誰が父であるものか 皆目見当もつかぬと申されるのじゃ。 197 00:15:59,826 --> 00:16:02,762 さすがに おおよその見当は おつきになりますかと。 198 00:16:02,762 --> 00:16:07,900 そうであろう!? ところが さように申し上げたところ➡ 199 00:16:07,900 --> 00:16:10,236 あの加納の狸ババアめは。 200 00:16:10,236 --> 00:16:14,907 どの者が父親であれ 己の子であることにかわりはない。 201 00:16:14,907 --> 00:16:20,246 父親など わざわざ定めずともよい と 上様はお考えです。 202 00:16:20,246 --> 00:16:25,918 しかし 情がないにも程があろう。 203 00:16:25,918 --> 00:16:35,928 将軍のお腹様 これは大奥の いや この世の男の夢であるのじゃぞ。 204 00:16:38,497 --> 00:16:44,804 では かようにしてはいかがでしょう。 205 00:16:51,944 --> 00:16:58,284 今日は 稽古総覧と聞いておったが。 206 00:16:58,284 --> 00:17:02,154 誰も 稽古着もつけておらぬようじゃが。 207 00:17:02,154 --> 00:17:07,093 (杉下)はい しかし この者たちの申すところによりますと➡ 208 00:17:07,093 --> 00:17:14,567 かつて上様と一戦をお手合わせをした その折には 稽古着はいらなんだと。 209 00:17:14,567 --> 00:17:18,571 私は 大奥の男と手合わせをした覚えなど…。 210 00:17:20,907 --> 00:17:23,809 あ。 本日は この中より➡ 211 00:17:23,809 --> 00:17:28,581 お腹様を定めて頂きた…。 父親は定めぬと申し伝えたはずじゃ。 212 00:17:28,581 --> 00:17:30,917 恐れながら 上様。 213 00:17:30,917 --> 00:17:34,587 父親が定まらねば 己が父だと吹き込む者➡ 214 00:17:34,587 --> 00:17:40,459 また 父がおらぬことにつけ込む者などが かえって入り乱れることとなりましょう。 215 00:17:40,459 --> 00:17:44,931 むしろ定めぬことの方が お世継ぎ争いにも➡ 216 00:17:44,931 --> 00:17:48,601 つながるのではないかと 大奥は考えるに至りました。 217 00:17:48,601 --> 00:17:54,941 しかし 今までの父親とて 所詮は将軍の胸三寸ではないか。 218 00:17:54,941 --> 00:17:59,812 ならば いっそ 正々堂々 胸三寸いたしましょう。 219 00:17:59,812 --> 00:18:07,219 どの者を父としたいか ここで上様が お決めになられればよろしいのです。 220 00:18:07,219 --> 00:18:09,155 さあ。 221 00:18:09,155 --> 00:18:26,238 ♬~ 222 00:18:26,238 --> 00:18:30,543 1人 見当たらぬ者がおるのじゃが。 223 00:18:35,247 --> 00:18:37,183 卯の吉。 224 00:18:37,183 --> 00:18:41,921 卯の吉! ほら しっかりせよ! 225 00:18:41,921 --> 00:18:46,792 <さて 吉宗公は城内のみならず➡ 226 00:18:46,792 --> 00:18:52,565 市中にも 質素倹約を旨とする触書を出された。➡ 227 00:18:52,565 --> 00:18:57,470 常ならば 民の不服を買いそうなところだが。➡ 228 00:18:57,470 --> 00:19:01,207 自ら手本となるよう努められたところ➡ 229 00:19:01,207 --> 00:19:07,079 その裏表ない姿勢は 江戸っ子の人気を得ることとなり。➡ 230 00:19:07,079 --> 00:19:13,552 更に 民の訴えをじかに受け付ける 目安箱なるものを設置するに至り> 231 00:19:13,552 --> 00:19:15,488 上様に申し上げたき儀ある者は…。 232 00:19:15,488 --> 00:19:17,890 <その評判は うなぎ登りとなった> 233 00:19:17,890 --> 00:19:20,593 大したもんだよ。 234 00:19:22,228 --> 00:19:28,100 <が そんな吉宗公にも従わぬ者はあった> 235 00:19:28,100 --> 00:19:35,241 では 大坂の商人どもは まだ米の買い上げには応じぬと申すのか。 236 00:19:35,241 --> 00:19:40,112 忠相によりますと いまだ難航しておるようで。➡ 237 00:19:40,112 --> 00:19:45,584 上様。 大事ない。 238 00:19:45,584 --> 00:19:50,923 腹が痛うなっても そうすぐには生まれぬと…。 239 00:19:50,923 --> 00:19:55,928 これ 産婆を。 ⚟はっ!上様 上様。 240 00:19:58,264 --> 00:20:00,966 忠相が参りました。 241 00:20:02,601 --> 00:20:04,537 これは。 (産婆)上様。➡ 242 00:20:04,537 --> 00:20:07,840 まだ息んではなりませぬ! まだ! 243 00:20:09,475 --> 00:20:12,945 (産婆)息んで! (忠相)邪魔をしたの。 改める。 244 00:20:12,945 --> 00:20:14,880 (吉宗)忠相! 245 00:20:14,880 --> 00:20:17,817 待ちかねたぞ! 越前! 大坂は! 246 00:20:17,817 --> 00:20:20,286 (産婆) 上様! あとになさって下さいませ! 247 00:20:20,286 --> 00:20:23,622 よいのじゃ! 私が求めた! 忠相 近う! 248 00:20:23,622 --> 00:20:25,558 はっ。 249 00:20:25,558 --> 00:20:28,494 大坂はいかがであった。 250 00:20:28,494 --> 00:20:36,202 (忠相)大坂は いかなるお話であろうと 米の買い上げには応じかねる と。 251 00:20:36,202 --> 00:20:41,173 大坂は同じ直轄地とはいえ 江戸とは成り立ちが違います。➡ 252 00:20:41,173 --> 00:20:44,310 橋や道 掘割から港づくりまで➡ 253 00:20:44,310 --> 00:20:48,180 全て 力ある商人たちの手によって 成り立っております。 254 00:20:48,180 --> 00:20:54,320 彼らの力の源は 米の流れを 見ることによって得た銭でございます。 255 00:20:54,320 --> 00:20:58,190 お上といえど そこに手を入れるなど 承服できかねる。➡ 256 00:20:58,190 --> 00:21:01,594 一人として応じるものはおりませなんだ。 257 00:21:01,594 --> 00:21:10,269 侮りおって… くっそおおおお 商人めぇ! 258 00:21:10,269 --> 00:21:18,577 (赤子の声) 259 00:21:25,284 --> 00:21:28,621 上様。 おめでとうございます。 260 00:21:28,621 --> 00:21:32,958 玉のような姫君様にございますよ。 261 00:21:32,958 --> 00:21:37,296 (泣き声) 262 00:21:37,296 --> 00:21:39,965 (忠相)では 私はこれにて。 263 00:21:39,965 --> 00:21:41,901 待て! 忠相! 264 00:21:41,901 --> 00:21:44,303 いいかげんになさいませ 上様! 265 00:21:44,303 --> 00:21:50,309 まだ 後産がございます! むやみに動くと お体を壊されますぞ! 266 00:21:55,648 --> 00:22:02,254 要するに 大名たちに一万石につき 百石の米を献上させる。 267 00:22:02,254 --> 00:22:06,592 代わりに参勤交代で 江戸にいなければならぬ日数を➡ 268 00:22:06,592 --> 00:22:11,263 1年から半年にする ということにございますか。 269 00:22:11,263 --> 00:22:16,135 アレは 大名の身からすると 負担が重いゆえな。 270 00:22:16,135 --> 00:22:21,607 米を上納させる 上米の制といった ところにございましょうか。 271 00:22:21,607 --> 00:22:23,542 しごく名案でございますかと! 272 00:22:23,542 --> 00:22:29,548 大名たちも喜んで応じましょうし 幕府の蔵に金は戻りましょう! 273 00:22:32,618 --> 00:22:36,922 しかし 果たして これでよかったかの。 274 00:22:38,958 --> 00:22:43,295 何か ずれておる気がするのじゃ。 275 00:22:43,295 --> 00:22:46,632 ⚟ご無礼いたします。 上様 加納様。 276 00:22:46,632 --> 00:22:49,635 大奥の杉下様より書状が。 277 00:22:53,305 --> 00:22:57,176 (久通) 藤波様が 大奥をお辞めになりたいと。 278 00:22:57,176 --> 00:23:05,884 実家の母上の具合がよろしくないらしい。 故に 宿下がりをしたいと…。 279 00:23:05,884 --> 00:23:09,788 久通。 例の件は? 280 00:23:09,788 --> 00:23:16,795 藤波様に関しては何も怪しい動きはないと お庭番は申しておりますが。 281 00:23:36,849 --> 00:23:44,957 何故 私は かようなお調べを 受けねばならんのにございますか。 282 00:23:44,957 --> 00:23:47,860 いまだ懐が厳しくての。 283 00:23:47,860 --> 00:23:55,601 金めのものを持ち出されては困る。 悪く思うな。 284 00:23:55,601 --> 00:24:00,906 ところで こちらが暇金じゃ。 285 00:24:21,593 --> 00:24:24,296 その額でよいか。 286 00:24:26,265 --> 00:24:32,137 いきなりの荷改め 金子の話。➡ 287 00:24:32,137 --> 00:24:36,909 情趣もへったくれもありませんな。 288 00:24:36,909 --> 00:24:39,912 俸禄は何より大事であろう。 289 00:24:42,281 --> 00:24:48,620 上様 人は牛馬ではございませぬ。 290 00:24:48,620 --> 00:24:54,493 ただ 飯を食い 生きておるだけで 満たされるわけではござりませぬ。 291 00:24:54,493 --> 00:24:57,296 さようなことくらい 言われずとも分かっておる。 292 00:24:57,296 --> 00:25:00,199 いいえ 分かっておられませぬ! 293 00:25:00,199 --> 00:25:04,103 父親など誰でもよいとおっしゃられた! 294 00:25:04,103 --> 00:25:09,241 種馬扱いも ここに極まれりにございます! 295 00:25:09,241 --> 00:25:12,578 そなた 何を言っておるのじゃ? 296 00:25:12,578 --> 00:25:16,448 (藤波)まことには そのとおり➡ 297 00:25:16,448 --> 00:25:21,587 ここにおる者たちは皆 上様の種馬にございます。 298 00:25:21,587 --> 00:25:26,925 けれど それをあからさまにしては あまりにもむなしすぎる。 299 00:25:26,925 --> 00:25:33,265 故に それをあたかも情の通ったものに 彩ってきたのが ここ➡ 300 00:25:33,265 --> 00:25:37,936 大奥にございます。 301 00:25:37,936 --> 00:25:40,839 (鈴の音) 302 00:25:40,839 --> 00:25:45,811 (藤波) 上様と語らい 季節の移ろいをめで➡ 303 00:25:45,811 --> 00:25:51,517 身を飾り けんを競い 華やかなお鈴廊下で選ばれる。 304 00:25:53,952 --> 00:25:57,623 子作りに さようなものが入用かと言われたら➡ 305 00:25:57,623 --> 00:26:00,893 何一つ 入用ではございませぬ。 306 00:26:00,893 --> 00:26:05,564 けれど 「上様と恋をした」。➡ 307 00:26:05,564 --> 00:26:09,234 卑しい無力な種馬たちは そう思いたいのです。 308 00:26:09,234 --> 00:26:12,571 「上様から選ばれた」。 309 00:26:12,571 --> 00:26:17,876 それは ここの男たちの 人としての誇りなのでございます! 310 00:26:24,183 --> 00:26:34,259 上様。 金をかけずとも 情を示す手はずはございます。 311 00:26:34,259 --> 00:26:38,931 そのお顔をお見せ下さいますこと➡ 312 00:26:38,931 --> 00:26:48,941 お文 お言葉 共に剣術で汗を流されても よろしうござりましょう。➡ 313 00:26:48,941 --> 00:26:57,950 表の政がお忙しいのは分かります。 ですが どうか向後は➡ 314 00:26:57,950 --> 00:27:04,556 もう少しばかり 奥の男たちにも 情をおかけ下さいますこと➡ 315 00:27:04,556 --> 00:27:10,262 切にお願い申し上げます。 316 00:27:15,200 --> 00:27:18,504 (吉宗)何が情をかけよじゃ。 317 00:27:24,576 --> 00:27:28,447 これ。 はっ。 318 00:27:28,447 --> 00:27:32,751 (吉宗) よい 酒は銚子1つまでと決めておる。 319 00:27:36,588 --> 00:27:42,294 これは不行き届きを。 以後 心得ておきます。 320 00:27:44,263 --> 00:27:52,604 しかし 藤波の言うとおり 私には人の心など分からぬのかもしれぬ。 321 00:27:52,604 --> 00:27:57,476 奥の男たちの気持ちなど 考えたこともなかった。 322 00:27:57,476 --> 00:28:02,214 大坂の商人たちの心意気もくめはせぬ。 323 00:28:02,214 --> 00:28:09,521 人の心が分からぬから 従えられぬ 背かれる。 324 00:28:14,226 --> 00:28:16,895 産婆もあきれておった。 325 00:28:16,895 --> 00:28:23,602 生まれたばかりであるのに 赤子ではなく 米の値ばかりを気にしておる と。 326 00:28:28,507 --> 00:28:33,812 私は どこか 人として すっぽりと欠けておるのかもしれぬ…。 327 00:28:36,582 --> 00:28:47,926 なるほど では 上様は どこか 欠けていらっしゃるといたしましょう。 328 00:28:47,926 --> 00:28:54,266 それでは この私はどうでございましょう。 329 00:28:54,266 --> 00:28:58,270 そもそも種もございませぬ。 330 00:29:02,874 --> 00:29:06,745 何一つ欠けるところがない者など➡ 331 00:29:06,745 --> 00:29:11,750 果たして この世におるのでございましょうか? 332 00:29:13,885 --> 00:29:22,894 ご案じのところは 微力ではございますが 私が補ってまいります。 333 00:29:22,894 --> 00:29:30,235 きっと 加納様も そのように お思いのことでございましょう。 334 00:29:30,235 --> 00:29:40,579 ですから どうか 上様は今までどおり 世を見据え 前を向き➡ 335 00:29:40,579 --> 00:29:44,283 政をなさって下さいませ。 336 00:29:47,919 --> 00:29:56,228 それは 上様にしかできぬことにございます。 337 00:30:05,937 --> 00:30:12,277 「市中にあふれる極貧の者 病を得ても 何の手当てもこれなく➡ 338 00:30:12,277 --> 00:30:15,614 無残の極みにござそうろう。➡ 339 00:30:15,614 --> 00:30:17,916 小川笙船」。 340 00:30:19,484 --> 00:30:25,791 久通。 忠相を呼べ。 はっ。 341 00:30:30,629 --> 00:30:32,564 話が聞きたければ➡ 342 00:30:32,564 --> 00:30:35,500 城にお召しになれば よかったのではないですか。 343 00:30:35,500 --> 00:30:41,273 随分と 市中には出ておらんかったしの。 344 00:30:41,273 --> 00:30:44,643 (忠相)住むところを失った無宿者➡ 345 00:30:44,643 --> 00:30:48,947 畑を捨て出てきた百姓親子 というところですかね。 346 00:30:50,982 --> 00:30:54,653 おい! 347 00:30:54,653 --> 00:30:57,556 あっ しっかりしろ。 348 00:30:57,556 --> 00:31:00,559 あれが小川笙船ですよ。 349 00:31:05,597 --> 00:31:08,500 上様。 350 00:31:08,500 --> 00:31:11,803 どれ 手伝おう。 かたじけない。 351 00:31:13,939 --> 00:31:20,278 どこへ運べばよいかの? 笙船先生。 こちらへ。 352 00:31:20,278 --> 00:31:22,214 ちょっと手伝って。 353 00:31:22,214 --> 00:31:25,951 ここへ。 頼む。 354 00:31:25,951 --> 00:31:28,253 頑張れ あと少し。 355 00:31:37,963 --> 00:31:41,833 大事ないのか。 具合の悪い者をかようなところに集めて。 356 00:31:41,833 --> 00:31:45,637 しかたないよ。 行き倒れを拾ってくんだ。➡ 357 00:31:45,637 --> 00:31:48,540 至れり尽くせりってわけにゃあ なかなかね。 358 00:31:48,540 --> 00:31:50,509 悪いけど これ頼むよ。 359 00:31:50,509 --> 00:31:54,980 まず この子の体 拭いてやってくれ。 360 00:31:54,980 --> 00:31:59,651 上様。 この辺りで戻りましょう。 361 00:31:59,651 --> 00:32:03,655 体を拭けばよいのか。 上様。 362 00:32:08,927 --> 00:32:10,862 大事ないのか この子は? 363 00:32:10,862 --> 00:32:17,269 ちゃんと食わせて休ませればね。 なに おおかたのもんは治るさ。 364 00:32:17,269 --> 00:32:19,938 そうなのか。 365 00:32:19,938 --> 00:32:24,943 (笙船)食えないから弱り 病にもなるわけでね。 366 00:32:27,813 --> 00:32:31,283 今度の上様は切れ者だっていうから 当てにしてたのに➡ 367 00:32:31,283 --> 00:32:35,954 ぜいたくすんな 倹約しろってばかりでさ。➡ 368 00:32:35,954 --> 00:32:38,290 こちとら 逆さに振っても➡ 369 00:32:38,290 --> 00:32:41,960 鼻血も出ないような輩も 大勢いるってのに。 370 00:32:41,960 --> 00:32:44,629 ただでさえ赤面で人が死ぬんだ。 371 00:32:44,629 --> 00:32:47,299 ほかには一人も飢えさせぬ➡ 372 00:32:47,299 --> 00:32:50,969 死なせてなるものか! って考えには ならんもんかね。 373 00:32:50,969 --> 00:32:53,872 人は国の宝だろうに。➡ 374 00:32:53,872 --> 00:33:00,178 それとも 貧乏人なんか 人と思っちゃおられぬのかね。 375 00:33:04,516 --> 00:33:08,220 そなたの言うとおりじゃ。 376 00:33:11,923 --> 00:33:18,597 まこと そなたの言うとおりじゃ 小川笙船。 377 00:33:18,597 --> 00:33:30,609 ♬~ 378 00:33:30,609 --> 00:33:33,278 ま… まさか。 379 00:33:33,278 --> 00:33:37,282 いかにも吉宗じゃ。 380 00:33:38,950 --> 00:33:41,853 う… う…。 381 00:33:41,853 --> 00:33:48,960 そなたの進言 吉宗 しかと受け止めた。 382 00:33:48,960 --> 00:33:55,300 作ってやろうではないか。 そなたの望む施薬院を。 383 00:33:55,300 --> 00:33:58,303 ははぁ! 384 00:33:59,971 --> 00:34:02,574 病にかかった貧しき者に➡ 385 00:34:02,574 --> 00:34:05,477 薬をお与えになる場を ということにございますか? 386 00:34:05,477 --> 00:34:09,447 幕府の蔵に金の戻る見込みも ついたことであるし➡ 387 00:34:09,447 --> 00:34:13,919 ひとつ その金を 民のために使うてみようと思うてな。 388 00:34:13,919 --> 00:34:16,588 民のために。 389 00:34:16,588 --> 00:34:19,925 不服か? いえ。 390 00:34:19,925 --> 00:34:23,795 いえ 今までで もっとも優れたお考えかと! 391 00:34:23,795 --> 00:34:28,266 久通は 信様は いつかこうなさると! 392 00:34:28,266 --> 00:34:30,602 信。 393 00:34:30,602 --> 00:34:32,938 ご無礼を。 つい。 394 00:34:32,938 --> 00:34:35,607 構わぬぞ。 お通。 395 00:34:35,607 --> 00:34:40,278 上様。 施薬院の場にございますが➡ 396 00:34:40,278 --> 00:34:44,950 思い切って 小石川はいかがでしょうか。 397 00:34:44,950 --> 00:34:47,619 (吉宗)小石川? (忠相)はい。➡ 398 00:34:47,619 --> 00:34:52,958 小石川には 薬草を育てている 御薬園がございますでしょう。➡ 399 00:34:52,958 --> 00:34:56,628 既に周囲が薬草だらけなのは 都合がようございましょうし➡ 400 00:34:56,628 --> 00:35:01,232 何より… もっともかかりが少うて 済みますかと! 401 00:35:01,232 --> 00:35:03,568 妙案じゃ! 忠相。 402 00:35:03,568 --> 00:35:07,439 直ちに建物の普請に取りかかれ。 はい。 403 00:35:07,439 --> 00:35:11,443 それから 久通。 田嶋屋でございますね。 404 00:35:19,584 --> 00:35:22,921 ここを全て薬草畑に。 405 00:35:22,921 --> 00:35:29,594 そうじゃ。 今 入用なのは 花ではなく薬じゃからの。 406 00:35:29,594 --> 00:35:35,934 笙船と そなたと 本草の学者たちとで ここに何を植えたらよいか相談の上➡ 407 00:35:35,934 --> 00:35:39,270 薬草を育ててほしい。 408 00:35:39,270 --> 00:35:45,944 上様。 この際 各地で効くと評判の薬草も ここで増やしてみませんか? 409 00:35:45,944 --> 00:35:50,281 そいつをここで増やせれば 皆 助かることになりませんかね。 410 00:35:50,281 --> 00:35:55,954 そなたは随分とやる気になったものだの。 ハハハ。 411 00:35:55,954 --> 00:36:01,760 上様。 俺ね 分かったんですよ。 412 00:36:01,760 --> 00:36:06,564 俺ぁ このために あの日 進吉になったんだって。 413 00:36:06,564 --> 00:36:08,900 このため? 414 00:36:08,900 --> 00:36:13,571 赤面が治る病になりゃ 男は もちろん万々歳だが➡ 415 00:36:13,571 --> 00:36:15,907 女も楽になるでしょ? 416 00:36:15,907 --> 00:36:22,580 子種は得やすくなるし 仕事だって男に任せられるようになる。 417 00:36:22,580 --> 00:36:26,451 周りの女を幸せにしてぇと思って 入った大奥から➡ 418 00:36:26,451 --> 00:36:30,455 世の中の女をぐるっとまとめて 幸せにするため 出ていった。 419 00:36:30,455 --> 00:36:33,758 こりゃ そういう寸法だってことじゃ ねえですかね? 420 00:36:40,598 --> 00:36:45,603 奥から出すのではなかったの。 はい? 421 00:36:47,472 --> 00:36:56,614 どうじゃ。 そなた 私も女じゃ。 ぐるっと幸せというのなら➡ 422 00:36:56,614 --> 00:37:02,420 もう一度 私も幸せにしてみるというのは。 423 00:37:02,420 --> 00:37:04,422 もちろん。 424 00:37:04,422 --> 00:37:09,727 上様のために 赤面の薬を探し出してみせまさぁ! 425 00:37:16,901 --> 00:37:19,571 …うん。 頼むの。 426 00:37:19,571 --> 00:37:21,506 はい! 427 00:37:21,506 --> 00:37:43,595 ♬~ 428 00:37:43,595 --> 00:37:46,297 こちらでございます。 429 00:37:54,239 --> 00:37:58,143 ここが薬部屋かぁ。 430 00:37:58,143 --> 00:38:13,892 ♬~ 431 00:38:13,892 --> 00:38:18,563 病人は こちらで とう留するのでございますね。 432 00:38:18,563 --> 00:38:21,466 すばらしい普請にございますね! 大岡殿。 433 00:38:21,466 --> 00:38:25,236 そもそも 普請奉行にございますゆえ。 434 00:38:25,236 --> 00:38:28,540 俺 ここで暮らしたいです。 435 00:38:31,576 --> 00:38:35,914 上様。 どうじゃ 笙船。 436 00:38:35,914 --> 00:38:39,250 これで 一人も死なせずに済むかの。 437 00:38:39,250 --> 00:38:44,122 この御恩は 終生忘れませぬ! 438 00:38:44,122 --> 00:38:51,262 小川笙船 この身の朽ち果てるまで 相つとめまする! 439 00:38:51,262 --> 00:38:55,567 面を上げよ。 こちらこそ礼を言うぞ。 440 00:38:58,603 --> 00:39:01,506 そなたが言いだしてくれねば➡ 441 00:39:01,506 --> 00:39:07,212 私は かようなものを作ろうとは 思わなかった。 442 00:39:07,212 --> 00:39:11,549 おかげで 将軍としてなすべきことができた。 443 00:39:11,549 --> 00:39:15,420 いいえ もったいない。 444 00:39:15,420 --> 00:39:20,892 喜んでくれるかのぅ。 江戸の民も。 445 00:39:20,892 --> 00:39:25,230 きっと人であふれかえりますよ。 446 00:39:25,230 --> 00:39:36,241 ♬~ 447 00:39:36,241 --> 00:39:39,577 誰も来ぬ? 448 00:39:39,577 --> 00:39:44,249 一人も頼ってこぬ とは いかなることじゃ! 449 00:39:44,249 --> 00:39:48,920 (忠相) どうも悪い噂が立ってしまったようで。 450 00:39:48,920 --> 00:39:52,257 悪い噂? はい。 451 00:39:52,257 --> 00:39:55,927 身寄りのない病人が タダで療治を受けられ➡ 452 00:39:55,927 --> 00:40:01,266 薬も食事も宿も与えられる。 あまりにも手厚い手当てに➡ 453 00:40:01,266 --> 00:40:08,139 「お上が かようなことをしてくれる わけがない」と思われたようで。 454 00:40:08,139 --> 00:40:10,942 そこに 近頃 薬園に➡ 455 00:40:10,942 --> 00:40:14,812 何やら次々と薬草が植えられている ということも知られ➡ 456 00:40:14,812 --> 00:40:23,288 どうも あそこを頼れば 薬の試しに使われるのではないかと。 457 00:40:23,288 --> 00:40:28,626 ふふっ… ふふ… ははは…。 458 00:40:28,626 --> 00:40:30,962 上様? 459 00:40:30,962 --> 00:40:35,833 人の心とは まか不思議じゃ。 460 00:40:35,833 --> 00:40:41,139 やはり 私には人の心など分からぬ。 461 00:40:53,651 --> 00:40:56,988 上様のお心が 伝わっておらぬだけにございます。 462 00:40:56,988 --> 00:41:00,692 ひとつ 伝え直してまいりましょう。 463 00:41:03,795 --> 00:41:08,933 ねえ 養生所でさ 持病の腹痛 治してもらったんだよ。 464 00:41:08,933 --> 00:41:11,602 しかも タダで。 465 00:41:11,602 --> 00:41:13,938 薬も米も もらえるらしいよ。 466 00:41:13,938 --> 00:41:16,274 <こうして➡ 467 00:41:16,274 --> 00:41:21,946 加納様は人を使って 養生所のよい噂を流し> 468 00:41:21,946 --> 00:41:24,615 (忠相)ここが薬部屋じゃ。 469 00:41:24,615 --> 00:41:29,954 <大岡様は 町名主らに養生所の中を見学させ➡ 470 00:41:29,954 --> 00:41:32,623 悪い噂を拭い去った> 471 00:41:32,623 --> 00:41:37,295 かように整ったところとは。 472 00:41:37,295 --> 00:41:40,631 先生 腹が痛いんです。 473 00:41:40,631 --> 00:41:44,502 先生 胸が…。 大事ないか。 苦しいか。 474 00:41:44,502 --> 00:41:46,971 よくなる。 よくなる。 475 00:41:46,971 --> 00:41:50,308 人の手が足りぬほど 病人が来ておるらしくての。 476 00:41:50,308 --> 00:41:54,178 それはようございました。 477 00:41:54,178 --> 00:41:58,182 ん? 1つはすぎたぞ。 478 00:41:58,182 --> 00:42:02,587 これは私が自ら求めました➡ 479 00:42:02,587 --> 00:42:07,258 上様へのお祝いにございます。 480 00:42:07,258 --> 00:42:10,928 では 遠慮なく。 481 00:42:10,928 --> 00:42:24,942 ♬~ 482 00:42:26,944 --> 00:42:31,616 <採薬使らは 薬を日の本中でくまなく探す中➡ 483 00:42:31,616 --> 00:42:35,620 男が多く暮らす村を見つけ出した> 484 00:42:45,163 --> 00:42:47,165 ここが。 ええ。 485 00:42:47,165 --> 00:42:52,870 いまだ一人も赤面を出しておらぬ 猟師の村にございます。 486 00:43:06,250 --> 00:43:08,553 こっち手伝って。 487 00:43:10,121 --> 00:43:15,927 ♬~ 488 00:43:15,927 --> 00:43:18,596 (吉宗)赤面に効くかもしれぬ薬? 489 00:43:18,596 --> 00:43:23,601 はい。 猿の肝を干したものにございます。 490 00:43:25,937 --> 00:43:28,272 猿の肝にございますか。 491 00:43:28,272 --> 00:43:31,175 ハハハッ! そうなりまさぁね! 492 00:43:31,175 --> 00:43:35,146 けど そこの男は この気持ちの悪いもんを口にする。 493 00:43:35,146 --> 00:43:38,916 だから 今まで一人も 赤面を出してねぇんです! 494 00:43:38,916 --> 00:43:43,821 信じられねえかもしれませんが 俺ぁ この目で見たんですよ! 495 00:43:43,821 --> 00:43:48,126 男が女と同じほどいる村を! 496 00:43:50,962 --> 00:43:53,264 ⚟(忠相)上様! 497 00:43:55,633 --> 00:43:57,969 奉行所の方に知らせが参りまして。 498 00:43:57,969 --> 00:44:01,973 市中で 赤面が発生したと。 499 00:44:07,578 --> 00:44:09,514 水野は まだ戻らぬのか! 500 00:44:09,514 --> 00:44:12,450 これは 赤面との戦じゃ。 501 00:44:12,450 --> 00:44:16,254 この国を滅ぼさぬために。 502 00:44:16,254 --> 00:44:19,590 たあげ! 面を上げよ。 503 00:44:19,590 --> 00:44:24,295 あい…。 滅びぬ道とやらは どこにあるのだ。